JP6915073B2 - プラズマ着火方法及びプラズマ生成装置 - Google Patents

プラズマ着火方法及びプラズマ生成装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマ着火方法及びプラズマ生成装置に関する。特に、本発明は、異常放電を生じさせることなくプラズマを早期に着火させるプラズマ着火方法及びプラズマ生成装置に関する。
従来、処理ガスが供給されるチャンバと、チャンバの上部(処理ガスの供給方向上流側)に取り付けられたプラズマ生成用のコイル又は電極とを備えたプラズマ生成装置が知られている。そして、このプラズマ生成装置と、チャンバの下部(処理ガスの供給方向下流側)に取り付けられた基板が載置される載置台とを備え、処理ガスによって生成されたプラズマを用いて基板にエッチング処理や成膜処理等のプラズマ処理を施すプラズマ処理装置が知られている。プラズマ生成装置がコイルを備える場合には、コイルに高周波電力を印加することで、誘導結合プラズマが生成される。また、プラズマ生成装置が載置台に平行に配置された電極(上部電極)を備える場合には、電極に高周波電力を印加することで、容量結合プラズマが生成される。
上記のプラズマ生成装置において、例えば、チャンバ内に供給される処理ガスの流量が小さく、チャンバ内の圧力が低圧である場合には、プラズマが着火(生成開始)し難くなることが知られている。早期にプラズマを着火させるために、チャンバ内の圧力を高圧にすることも考えられるが、チャンバ内の圧力を高圧にし過ぎると、プラズマ処理の均一性が低下するという問題が生じる。チャンバ内の圧力を高圧にしてプラズマを着火した後、低圧に変更することも考えられるが、変更に時間を要するため、生産性が低下するという問題が生じる。
このため、プラズマの着火方法として、種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、尖頭出力が少なくとも10MW程度のエキシマレーザ光を発生させ、このレーザ光をチャンバ内に集光させて、レーザ光の集光部におけるレーザ光による絶縁破壊によってスパークを発生させてプラズマ着火を行う方法が提案されている。
しかしながら、近年のプラズマ処理による微細加工の要請に伴い、プラズマ処理中におけるチャンバ内のコンタミやパーティクルの発生を低減することが求められている。このため、特許文献1に記載の方法のようにスパーク等の異常放電を生じさせることなく、プラズマを着火させる方法が求められている。
特公平8−10635号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、異常放電を生じさせることなくプラズマを早期に着火させるプラズマ着火方法及びプラズマ生成装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、エキシマレーザに比べて一般的に出力が小さい半導体レーザを用い、なお且つ、プラズマの着火後に半導体レーザからのレーザ光の出射を停止すれば、チャンバ内に異常放電を生じさせることなくプラズマを短時間で着火できることを見出し、本発明を完成した。なお、出力が小さい半導体レーザを用いてもプラズマを着火できるのは、処理ガスが多光子イオン化されるからだと推定される。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、プラズマ生成装置が備えるチャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成装置が備えるプラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、を含み、前記プラズマの着火が、前記プラズマの生成開始を意味する、ことを特徴とするプラズマ着火方法を提供する。
本発明によれば、着火工程において、半導体レーザから出射したレーザ光を処理ガスに対して照射し、停止工程において、プラズマの着火後に半導体レーザからのレーザ光の出射を停止するため、前述の本発明者の知見の通り、チャンバ内に異常放電を生じさせることなくプラズマを早期に着火可能である。
また、本発明によれば、小型で安価な半導体レーザを用いるので、設置する際に設備の制約を受け難い上、コストを抑えることが可能であるという利点も得られる。
さらに、本発明によれば、レーザ光でプラズマ放電を維持するレーザ放電とは異なり、プラズマの着火後に半導体レーザからのレーザ光の出射を停止するため、半導体レーザの過熱を防止できると共に、冷却設備が不要であるという利点も得られる。
なお、本発明において「プラズマの着火後に・・(中略)・・レーザ光の出射を停止する」とは、実際にプラズマの着火が生じたことを判定した後にレーザ光の出射を停止する場合に限るものではなく、レーザ光の出射を開始してから、或いはコイル又は電極への高周波電力の印加を開始してから、着火が適正に生じるまでの経過時間(例えば、2秒)を予め決めておき、この経過時間に至った又は超過したタイミングでレーザ光の出射を停止することも含む概念である。
実際にプラズマの着火が生じたことを判定する方法としては、チャンバ内の状況を目視で確認したときに光って明るくなった場合には着火が生じたと判定する方法や、コイル又は電極に高周波電力を印加した際に、高周波電源とコイル又は電極との間に介在する整合器の内部回路等における反射波信号の大きさが所定値以下に小さくなれば着火が生じたと判定する方法等が考えられる。チャンバ内の状況を目視で確認する代わりに、チャンバ内で生じた光の強度をフォトダイオードやフォトトランジスタなどの光検出器や分光器等で検出し、所定値以上の強度が生じた場合には着火が生じたと自動的に判定することも可能である。
また、本発明における「コイル」としては、円筒状コイルに限るものではなく、平面コイル、トルネードコイル、立体コイルなどを用いることも可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、プラズマ生成装置が備えるチャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成装置が備えるプラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、を含み、前記着火工程において、前記レーザ光の照射を開始した後に、前記コイル又は前記電極への高周波電力の印加を開始することを特徴とするプラズマ着火方法としても提供される
本発明によれば、コイル又は電極への高周波電力の印加を開始した後にレーザ光の照射を開始する場合に比べて、プラズマが着火しない状態でコイル又は電極に高周波電力を印加するおそれを低減できるため、プラズマ生成装置の故障等を防止可能である。
好ましくは、前記着火工程において、前記レーザ光を前記コイル又は前記電極の近傍に照射する。
コイル又は電極の近傍には、チャンバ内の反応生成物がデポとして付着し難い(コイルの場合、付着したとしてもスパッタリングによって取り除かれる)。
したがい、上記の好ましい方法によれば、レーザ光がデポに吸収されたり、デポによって散乱するおそれが低減し、所望する強度のレーザ光を処理ガスに照射可能である。
本発明者らの知見によれば、レーザ光を円筒状コイルの上方を通る経路、換言すれば、円筒状コイル内に到達する前の処理ガスにも照射される経路で照射すると、プラズマが早期に着火され易い。
したがい、好ましくは、前記プラズマ生成装置は、前記コイルとして円筒状コイルを備え、前記着火工程において、前記レーザ光を前記円筒状コイルの上方を通る経路で照射する。
上記の好ましい方法によれば、プラズマを早期に着火することが可能である。
本発明者らの知見によれば、円筒状コイルの上方を通る経路の中でも、円筒状コイルの上方から円筒状コイルの下方に向けて斜めに通る経路で照射すると、プラズマが最も早期に着火され易い。
したがい、好ましくは、前記着火工程において、前記レーザ光を前記円筒状コイルの上方から前記円筒状コイルの下方に向けて斜めに照射する。
上記の好ましい方法によれば、プラズマを最も早期に着火することが可能である。
好ましくは、前記レーザ光は、可視光領域の波長を有する。
上記の好ましい方法によれば、紫外光や赤外光領域の波長を有するレーザ光を用いる場合に比べて、安価で、半導体レーザの光軸調整等の調整作業を行い易く、安全性にも優れる。
好ましくは、前記処理ガスは、Clガス、Oガス、SFガス、CFガス及びC ガスのうち、少なくとも何れか一種のガスである。
Clガス、Oガス、SFガス、CFガス、Cガス等の電気陰性度の高いガスは、プラズマ化し難い。
したがい、本発明は、処理ガスがこれら電気陰性度の高いガスに対して好適に用いることができる。
また、前記課題を解決するため、本発明は、チャンバと、プラズマ生成用のコイル又は電極と、半導体レーザと、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記チャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、を実行可能であり、前記プラズマの着火が、前記プラズマの生成開始を意味する、ことを特徴とするプラズマ生成装置としても提供される。
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、チャンバと、プラズマ生成用のコイル又は電極と、半導体レーザと、制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記チャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、を実行可能であり、前記着火工程において、前記レーザ光の照射を開始した後に、前記コイル又は前記電極への高周波電力の印加を開始する、ことを特徴とするプラズマ生成装置としても提供される。
本発明によれば、異常放電を生じさせることなくプラズマを早期に着火させることができる。
本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を一部端面で示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るプラズマ着火方法の供給工程、着火工程及び停止工程の手順を概略的に示すタイミングチャートである。 着火工程におけるレーザ光の他の照射方向の例を示す模式図である。 本発明に係るプラズマ着火方法を適用可能な他のプラズマ生成装置の概略構成を一部端面で示す模式図である。 本発明の実施例及び比較例に係る試験の主な条件及び結果を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るプラズマ生成装置を備えたプラズマ処理装置、及びこれを用いたプラズマ着火方法について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラズマ処理装置の概略構成を一部端面で示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態のプラズマ処理装置100は、チャンバ1と、プラズマ生成用のコイル2と、載置台3と、半導体レーザ10と、制御手段20とを備えている。本実施形態のプラズマ生成装置は、チャンバ1(上部チャンバ1a)、コイル2、半導体レーザ10及び制御手段20によって構成されている。
チャンバ1は、円筒状の上部チャンバ1aと、円筒状の下部チャンバ1bとから構成されている。上部チャンバ1aの内部には、処理ガスが供給され、プラズマが生成されるプラズマ生成空間11が設けられ、下部チャンバ1bの内部には、生成されたプラズマによってプラズマ処理が実行されるプラズマ処理空間12が設けられている。上部チャンバ1aのうち、少なくとも半導体レーザ10から出射するレーザ光Lが通る部位は、レーザ光Lの波長に対して透明な材料から形成されている。本実施形態では、上部チャンバ1aの全体が石英等の透明な材料から形成されている。
コイル2は、プラズマ生成空間11を囲うように上部チャンバ1aの外部に配置されている。本実施形態のコイル2は、円筒状コイル(より正確には、螺旋状コイル)である。ただし、本発明はこれに限るものではなく、平面コイルや、サムコ社製の「トルネードICP」で用いられているトルネードコイルや、パナソニック社製の「Advanced−ICP」で用いられている立体コイルなど、他の形態のコイルを適用することも可能である。平面コイルを用いる場合には、平面コイルは上部チャンバ1aの上方に配置される。
載置台3は、プラズマ処理空間12に配置され、この載置台3にプラズマ処理を施す基板Sが載置される。載置台3は、載置台3を昇降させる昇降手段(図示せず)に取り付けられていてもよいし、昇降不能にチャンバ1に固定されていてもよい。載置台3は、Al等の金属から形成された載置台本体31と、載置台本体31上に位置し、直流電源に接続された電極(図示せず)が埋設された誘電体から形成されている静電チャック32とを具備する。
また、プラズマ処理装置100は、載置台3を貫通し基板Sの下面に接触するリフトピンを昇降させる昇降装置4と、コイル2に整合器(図示せず)を介して接続された高周波電源5と、載置台3(載置台本体31)に整合器(図示せず)を介して接続された高周波電源6と、ガス供給源7と、排気装置8とを備えている。
ガス供給源7は、プラズマを生成するための処理ガスをプラズマ生成空間11に供給する。高周波電源5は、コイル2に高周波電力を印加する。これにより、プラズマ生成空間11に供給された処理ガスがプラズマ化し、誘導結合プラズマが生成される。高周波電源6は、載置台3の載置台本体31に高周波電力を印加する。これにより、生成されたプラズマが基板Sに向けて移動する。
排気装置8は、チャンバ1内のガスをチャンバ1の外部に排気する。
プラズマ処理を施す前の基板Sは、搬送機構(図示せず)によってチャンバ1の外部から内部に搬送され、載置台3の上面(静電チャック32の上面)よりも上方に突出したリフトピン上に載置される。次いで、昇降装置4によってリフトピンが降下することで、基板Sは載置台3(静電チャック32)上に載置される。プラズマ処理が終了した後には、昇降装置4によりリフトピンが上昇し、これに伴い、基板Sも上昇する。上昇した基板Sは、搬送機構によってチャンバ1の外部に搬送される。
半導体レーザ10は、上部チャンバ1aの外部において、出射したレーザ光Lが上部チャンバ1a内に供給された処理ガスに照射されるように配置されている。本実施形態の半導体レーザ10は、可視光領域の波長(例えば、405nm)を有するレーザ光Lを出射する。ただし、本発明はこれに限るものではなく、紫外光領域など他の波長を有するレーザ光を出射する半導体レーザを用いることも可能である。また、本実施形態の半導体レーザ10は、連続発振(CW)式であるが、本発明はこれに限るものではなく、単位時間当たりのエネルギー密度を高めるために、パルス発振式の半導体レーザを用いることも可能である。
本実施形態の半導体レーザ10は、出射されるレーザ光Lが平行光束となるように、レーザ光Lの出射面側に配置されたレンズ(平凸レンズ)を備えている。これにより、レーザ光Lは、その経路において略同等のビームスポット径となり、経路におけるレーザ光Lのエネルギーの減衰を無視すれば、いずれの位置の処理ガスに対しても略同等のエネルギー密度で照射されることになる。
本実施形態の半導体レーザ10は、レーザ光Lがコイル2の近傍に照射されるように配置されている。具体的には、半導体レーザ10は、レーザ光Lがコイル2の上方を通る経路(図1に示す例では、図1の左側においてコイル2の上方を通っている)で照射されるように配置されている。より具体的には、半導体レーザ10は、レーザ光Lがコイル2の上方からコイル2の下方に向けて(図1に示す例では、図1の左側においてコイル2の上方を通り、図1の右側においてコイル2の下方を通っている)斜めに照射されるように配置されている。
制御手段20は、高周波電源5、ガス供給源7、及び半導体レーザ10に電気的に接続されており、これらの動作を制御する機能を有する。制御手段20としては、PLC(Programmable Logic Controller)やコンピュータを用いることができる。
なお、プラズマ処理装置100の他の構成要素や動作については、一般的なプラズマ処理装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以下、上記の構成を有するプラズマ処理装置100(プラズマ生成装置)を用いた本実施形態に係るプラズマ着火方法について説明する。
本実施形態に係るプラズマ着火方法は、供給工程と、着火工程と、停止工程とを含む。以下、各工程について順に説明する。
<供給工程>
供給工程では、ガス供給源7からチャンバ1(上部チャンバ1a)内のプラズマ生成空間11に処理ガスを供給する。具体的には、制御手段20から送信された制御信号に応じて、ガス供給源7とチャンバ1とを接続する配管に設けられて処理ガスの流量を制御するMFC(Mass Flow Controller)(図示せず)が制御され、所定流量の処理ガスがチャンバ1内に供給される。
本実施形態では、処理ガスとして、例えば、Clガスが用いられる。ただし、本発明はこれに限るものではなく、種々の処理ガスを用いることが可能である。特に、Clガス、Oガス、SFガス、CFガス、Cガス等の電気陰性度の高いガスは、プラズマ化し難いため、本実施形態に係るプラズマ着火方法を適用することが有効である。
<着火工程>
着火工程では、チャンバ1内に供給された処理ガスに対して半導体レーザ10から出射したレーザ光Lを照射する。具体的には、制御手段20から送信された制御信号に応じて、半導体レーザ10の電源がオンされ、レーザ光Lが出射される。
また、着火工程では、高周波電源5からコイル2に高周波電力を印加する。具体的には、制御手段20から送信された制御信号に応じて、高周波電源5がオンされ、コイル2に高周波電力が印加される。
図2は、本実施形態の供給工程、着火工程及び停止工程の手順を概略的に示すタイミングチャートである。
図2に示すように、本実施形態の着火工程では、前述の供給工程を開始した後(図2に示す「処理ガス供給」が「オン」になった後)に、半導体レーザ10からのレーザ光Lの照射を開始し、この後(図2に示す「半導体レーザ」が「オン」になった後)に、高周波電源5からコイル2への高周波電力の印加を開始する(図2に示す「高周波電源」が「オン」になる)。具体的には、レーザ光Lの照射を開始してから時間T1だけ経過した後に、コイル2への高周波電力の印加を開始する。時間T1としては、0.5〜1.0sec程度を例示できる。なお、前述の供給工程を開始する前からレーザ光Lの照射を開始してもよい。
<停止工程>
停止工程では、プラズマの着火後に、半導体レーザ10からのレーザ光Lの出射を停止する。具体的には、制御手段20から送信された制御信号に応じて、半導体レーザ10の電源がオフされ、レーザ光Lの出射が停止する。
図2に示すように、本実施形態では、コイル2への高周波電力の印加を開始してから、着火が適正に生じるまでの経過時間T2を予め決めておき、この経過時間T2を制御手段20に設定記憶させておく。制御手段20は、コイル2への高周波電力の印加を開始してから、設定記憶した経過時間T2に至ったタイミングで、半導体レーザ10の電源をオフする制御信号を送信する。時間T2としては、2.0〜3.0sec程度を例示できる。
ただし、本発明はこれに限るものではなく、実際にプラズマの着火が生じたことを判定した後にレーザ光Lの出射を停止する方法を採用することも可能である。
例えば、コイル2に高周波電力を印加した際に、高周波電源5とコイル2との間に介在する整合器(図示せず)の内部回路等における反射波信号の大きさを検出するセンサを設け、このセンサの出力信号を制御手段20に入力し、制御手段20がセンサで検出した反射波信号の大きさが所定値以下に小さくなれば着火が生じたと判定する方法が考えられる。また、チャンバ1内で生じた光の強度を検出する分光器等を設け、分光器等で検出した光の強度を制御手段20に入力し、制御手段20が検出した光の強度が所定値以上であれば着火が生じたと判定する方法も考えられる。
以上に説明した本実施形態に係るプラズマ着火方法によれば、着火工程において、半導体レーザ10から出射したレーザ光Lを処理ガスに対して照射し、停止工程において、プラズマの着火後に半導体レーザ10からのレーザ光Lの出射を停止するため、チャンバ1内に異常放電を生じさせることなくプラズマを早期に着火可能である。
また、着火工程において、レーザ光Lの照射を開始した後に、コイル2への高周波電力の印加を開始するため、コイル2への高周波電力の印加を開始した後にレーザ光Lの照射を開始する場合に比べて、プラズマが着火しない状態でコイル2に高周波電力を印加するおそれを低減できる。このため、プラズマ処理装置100の故障等を防止可能である。
また、着火工程において、レーザ光Lをチャンバ1内の反応生成物がデポとして付着し難いコイル2の近傍に照射するため、レーザ光Lがデポに吸収されたり、デポによって散乱するおそれが低減し、所望する強度のレーザ光Lを処理ガスに照射可能である。
さらに、着火工程において、レーザ光Lをコイル2の上方からコイル2の下方に向けて斜めに照射するため、プラズマを最も早期に着火することが可能である。
図3は、着火工程におけるレーザ光Lの他の照射方向の例を示す模式図である。図3では、上部チャンバ1a近傍のみを図示している。
図1に示す例では、着火工程において、レーザ光Lをコイル2の上方からコイル2の下方に向けて斜めに照射する態様について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、図3(a)に示すように、レーザ光Lをコイル2の上方を通る水平な経路で照射することも可能である。また、図3(b)に示すように、レーザ光Lをコイル2の下方からコイル2の上方に向けて斜めに照射することも可能である。
図4は、本発明に係るプラズマ着火方法を適用可能な他のプラズマ生成装置の概略構成を一部端面で示す模式図である。
図4(a)に示すプラズマ生成装置は、上部チャンバ1aによって2箇所のプラズマ生成空間11(内側のプラズマ生成空間11a、外側のプラズマ生成空間11b)が形成され、各プラズマ生成空間11に処理ガスが供給される。コイルは、内側のコイル21と、コイル21に対して同心状に配置された外側のコイル22とから構成されている。図4(a)に示すプラズマ生成装置の2箇所のプラズマ生成空間11に供給された処理ガスに対して、2つの半導体レーザ10から出射したレーザ光Lがそれぞれ照射される。
なお、図4(a)では、図1と同様に、レーザ光Lをコイル21又は22の上方からコイル21又は22の下方に向けて斜めに照射する態様を図示しているが、本発明はこれに限るものではない。図3(a)と同様に、レーザ光Lをコイル21又は22の上方を通る水平な経路で照射することも可能である。また、図3(b)と同様に、レーザ光Lをコイル21又は22の下方からコイル21又は22の上方に向けて斜めに照射することも可能である。また、図4(a)では、内側のプラズマ生成空間11aにレーザ光Lを照射する半導体レーザ10と、外側のプラズマ生成空間11bにレーザ光Lを照射する半導体レーザ10とを配置しており、着火性を高める上では、このようにプラズマ生成空間11の数に応じて2つ又はそれより多くの半導体レーザ10を配置することが好ましい。しかしながら、内側のプラズマ生成空間11aと外側のプラズマ生成空間11bとは連通しており、両プラズマ生成空間11の間でプラズマが広がることになる。このため、内側のプラズマ生成空間11aにレーザ光Lを照射する半導体レーザ10のみを配置する構成や、外側のプラズマ生成空間11bにレーザ光Lを照射する半導体レーザ10のみを配置する構成であっても、プラズマを早期に着火させることが可能である。さらに、図4(a)に示す内側のプラズマ生成空間11aが無く、外側のプラズマ生成空間11bだけを有するプラズマ生成装置であってもよい。
図4(b)に示すプラズマ生成装置は、処理ガスを通すための多数の孔が設けられたシャワーヘッド型の上部電極91と、基板Sが載置される下部電極92とが平行に配置された平行平板型のプラズマ生成装置である。このプラズマ生成装置の上部電極91に高周波電力を印加することで、プラズマ生成空間11に容量結合プラズマが生成される。図4(b)に示すプラズマ生成装置の場合、プラズマ生成空間11に供給された処理ガスに対して、半導体レーザ10から出射したレーザ光Lが照射される。
図4(b)に示す例では、レーザ光Lを上部電極91と下部電極92との間を通る水平な経路で照射する態様を図示しているが、必ずしもこれに限るものではなく、設備的に可能であれば、上部電極91の上方から下方に向けた経路で照射してもよい。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
実施例1〜8として、図1及び図3(a)に示すプラズマ生成装置及びレーザ光Lの照射方向を用いて、ガス流量、チャンバ1内の圧力、コイル2に印加する高周波電力のパワー密度等の条件を変えながら、プラズマの着火時間を評価する試験を行った。処理ガスとしては、何れもClガスを用いた。半導体レーザ10としては、光出力20mWで、波長405nmのレーザ光Lを出射するCW式の半導体レーザを用いた。本試験で用いた半導体レーザ10の出射面側には平凸レンズが配置されており、これにより2〜3mm程度のビームスポット径を有する平行光束のレーザ光Lが出射された。ビームスポット径が2〜3mmであれば、レーザ光Lの放射照度は、2.2×10〜5.0×10W/mとなる。
また、比較例1〜8として、レーザ光Lを照射せずにプラズマの着火時間を評価する試験を行った。比較例1〜8は、レーザ光Lを照射しなかったこと以外、それぞれ対応する番号の実施例1〜8と同じ条件で試験を行った。
図5は、上記試験の主な条件及び結果を示す図である。なお、上記の試験においては、チャンバ1内の状況を目視で確認し、光って明るくなった場合に着火が生じたと判定し、コイル2への高周波電力の印加を開始してから着火が生じるまでの経過時間を着火時間として評価した。また、図5に示す「高周波電力パワー密度」は、コイル2に印加する高周波電力/プラズマが接触するチャンバ1内面の表面積を意味する。
図5に示すように、実施例1〜8では、何れもプラズマの着火時間が1sec以下となり、プラズマを早期に着火させることができた。また、プラズマの着火時に異常放電は生じなかった。これに対し、比較例1〜8では、プラズマの着火時間が少なくとも2secを超え、プラズマを早期に着火させることができなかった。
なお、実施例1〜8は、何れもプラズマの着火時間が1sec以下となった点では共通するものの、実施例1〜6(図1に示すレーザ光Lの照射方向の場合)の方が、実施例7、8(図3(a)に示すレーザ光Lの照射方向の場合)よりも0.数秒の違いで着火時間が早かった。このように、図1に示すレーザ光の照射方向の場合に最も早期に着火され易い理由としては、以下の(a)、(b)が推定される。
(a)図1に示すレーザ光Lの照射方向の場合、レーザ光Lがコイル2の上方からコイル2の下方に向けて斜めに照射されるため、電磁場の強度が最も高くプラズマが生成され易いと考えられるコイル2の中心をレーザ光Lが通過することになる。
(b)レーザ光Lのエネルギー密度は、プラズマ生成空間11への入射側で最も高くなる。図1に示すレーザ光Lの照射方向の場合、レーザ光Lのエネルギー密度が最も高い入射側がコイル2の上方に位置するため、コイル2内の上部に位置する処理ガスにエネルギー密度の高いレーザ光Lが照射されることで、プラズマの生成確率が高まると考えられる。
1・・・チャンバ
2・・・コイル
10・・・半導体レーザ
20・・・制御手段
91・・・電極(上部電極)
100・・・プラズマ処理装置
L・・・レーザ光

Claims (9)

  1. プラズマ生成装置が備えるチャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、
    前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成装置が備えるプラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、
    前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、
    を含み、
    前記プラズマの着火が、前記プラズマの生成開始を意味する、
    ことを特徴とするプラズマ着火方法。
  2. プラズマ生成装置が備えるチャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、
    前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成装置が備えるプラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、
    前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、
    を含み、
    前記着火工程において、前記レーザ光の照射を開始した後に、前記コイル又は前記電極への高周波電力の印加を開始する、
    ことを特徴とすプラズマ着火方法。
  3. 前記着火工程において、前記レーザ光を前記コイル又は前記電極の近傍に照射する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマ着火方法。
  4. 前記プラズマ生成装置は、前記コイルとして円筒状コイルを備え、
    前記着火工程において、前記レーザ光を前記円筒状コイルの上方を通る経路で照射する、
    ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のプラズマ着火方法。
  5. 前記着火工程において、前記レーザ光を前記円筒状コイルの上方から前記円筒状コイルの下方に向けて斜めに照射する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のプラズマ着火方法。
  6. 前記レーザ光は、可視光領域の波長を有する、
    ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のプラズマ着火方法。
  7. 前記処理ガスは、Clガス、Oガス、SFガス、CFガス及びCガスのうち、少なくとも何れか一種のガスである、
    ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のプラズマ着火方法。
  8. チャンバと、
    プラズマ生成用のコイル又は電極と、
    半導体レーザと、
    制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記チャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、
    前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、
    前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、を実行可能であり、
    前記プラズマの着火が、前記プラズマの生成開始を意味する、
    ことを特徴とするプラズマ生成装置。
  9. チャンバと、
    プラズマ生成用のコイル又は電極と、
    半導体レーザと、
    制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、
    前記チャンバ内に処理ガスを供給する供給工程と、
    前記チャンバ内に供給された前記処理ガスに対して半導体レーザから出射したレーザ光を照射すると共に、前記プラズマ生成用のコイル又は電極に高周波電力を印加して、プラズマを着火させる着火工程と、
    前記プラズマの着火後に、前記半導体レーザからのレーザ光の出射を停止する停止工程と、を実行可能であり、
    前記着火工程において、前記レーザ光の照射を開始した後に、前記コイル又は前記電極への高周波電力の印加を開始する、
    ことを特徴とするプラズマ生成装置。
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