JP6973189B2 - 全固体電池 - Google Patents

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Description

本開示は、全固体電池に関する。
全固体電池は、正極層および負極層の間に固体電解質層を有する電池である。例えば、特許文献1には、Siを含む負極活物質微粒子と、黒鉛等の導電性微粒子とを含む無機固体電解質微粒子を用いた負極合材が開示されている。この技術は、エネルギー密度およびサイクル特性が高い全固体リチウム電池を提供することを目的としている。
特許文献2には、活物質として炭素粒子を含有する下層と、活物質としてLiと合金を形成し得る金属を含有する上層とが積層された非水系二次電池用負極が開示されている。この技術は、高容量で長寿命な非水系二次電池用負極を提供することを目的としている。また、特許文献3には、シリコンを含む活物質の粒子を含む活物質層を備え、粒子の表面の少なくとも一部が金属材料の層で被覆されていると共に、該粒子どうしの間に空隙が形成された非水電解液二次電池用負極であって、最表面に炭素材料の粒子を含む層を有する非水電解液二次電池用負極が開示されている。この技術は、負極全体の電子伝導性が向上し、充放電効率やサイクル特性が向上し得る非水系電解液二次電池用負極を提供することを目的としている。さらに、特許文献4には、黒鉛層および非晶質シリコン層を含む活物質と、集電体とを備えたリチウム2次電池用電極が開示されている。この技術は、充放電を繰り返した際に充放電容量の低下をより抑制することのできるリチウム2次電池用電極を提供することを目的としている。さらにまた、特許文献5には、Si等の合金系負極活物質粒子、分散媒、固体電解質、導電助剤を含む負極活物質層用ペーストを用いて形成された負極活物質層が開示されている。この技術は、サイクル特性の向上した全固体電池システムを提供することを目的としている。
特開2014−192093号公報 特開2007−179864号公報 特開2008−277156号公報 特開2009−117165号公報 特開2017−059534号公報
全固体電池は、負極層に含まれる負極活物質としてSi系活物質を用い、Si系活物質の充填率を高めることで、負極層の高エネルギー密度化を達成することができる。一方、Si系活物質は、充電中の体積膨張が大きく、負極層が膨張しやすい。例えば、外装体を用いて外部拘束を行うことで電池の膨張を抑制することができるが、負極層の膨張が大きいときには外装体が大型化してしまうため、電池全体としてのエネルギー密度が低下してしまう。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、負極活物質としてSi系活物質を用いた全固体電池であって、負極層のエネルギー密度を良好に維持しつつ、充電中の負極層の体積膨張を抑えることが可能な全固体電池を提供することを主目的とする。
上記課題を達成するために、本開示においては、負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層および正極集電体が、この順で配置された全固体電池であって、上記負極層は、上記固体電解質層側から順にA層およびB層を有し、上記A層は、炭素系活物質を含み、上記B層は、Si合金系活物質を含み、上記B層に含まれるSi合金系活物質に対する、上記A層に含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)は、0.18以上0.43以下である、全固体電池を提供する。
本開示によれば、負極層がA層およびB層を有することにより、負極層のエネルギー密度を良好に維持しつつ、充電中の負極層の体積膨張を抑えることが全固体電池を提供することができる。
本開示の全固体電池は、負極層のエネルギー密度を良好に維持しつつ、充電中の負極層の体積膨張を抑えることできるという効果を奏する。
本開示の全固体電池の一例を示す概略断面図である。 本開示における負極層を説明するための説明図である。 実施例1および比較例1〜3で得られた全固体電池の負極のエネルギー密度および拘束圧増加量の結果を示すグラフである。 実施例1、2および比較例2、4、5で得られた全固体電池の、C/Si重量比に対する負極のエネルギー密度および拘束圧増加量の結果を示すグラフである。 実施例1、3、4および比較例2で得られた全固体電池の、A層中の炭素系活物質の変形性に対する負極のエネルギー密度および拘束圧増加量の結果を示すグラフである。
以下、本開示の全固体電池について、詳細に説明する。
本開示の全固体電池は、負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層および正極集電体が、この順で配置された全固体電池であって、上記負極層は、上記固体電解質層側から順にA層およびB層を有し、上記A層は、炭素系活物質を含み、上記B層は、Si合金系活物質を含み、上記B層に含まれるSi合金系活物質に対する、上記A層に含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)は、0.18以上0.43以下である、電池である。
本開示の全固体電池について、図面を参照して説明する。図1は、本開示の全固体電池の一例を示す概略断面図である。図1に例示する全固体電池10は、負極集電体1、負極層2、固体電解質層3、正極層4、正極集電体5が、この順で配置された構成を有する。また、図1の全固体電池10は、上述した部材が電池ケース6に収納された例を示している。図2は、本開示における負極層を説明するための概略断面図である。図2に例示する負極層2は、固体電解質層3側から順にA層2AおよびB層2Bを有し、A層2Aは、炭素系活物質を含み、B層2Bは、Si系活物質を含み、B層2Bに含まれるSi系活物質に対する、A層2Aに含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)は、0.18以上0.43以下である。
本開示によれば、負極層がA層およびB層を有することにより、負極層のエネルギー密度を良好に維持しつつ、充電中の負極層の体積膨張を抑えることが全固体電池を提供することができる。具体的な理由については、次のようなことが推測される。
上述したように、全固体電池は、負極層に含まれる負極活物質としてSi系活物質を用い、Si系活物質の充填率を高めることで、負極層の高エネルギー密度化を達成することができる。一方、Si系活物質は、他の活物質に比べて、リチウムイオンの挿入脱離反応による体積変化が3〜4倍と非常に大きいという特徴がある。また、Si系活物質は、高充填化すると、充電中の体積膨張が大きくなる傾向にある。したがって、負極層に含まれる負極活物質としてSi系活物質を用いた場合には、Si系活物質の体積膨張を負極層内で吸収することができず、結果として負極層が膨張しやすい。負極層が膨張してしまうと、負極層に割れが生じる場合があり、この場合、負極層と固体電解質層との間でのイオンパスや電子パスの経路が切れてしまうおそれがある。いわゆる、パス切れが発生するおそれがある。例えば、外装体を用いて外部拘束を行うことで電池の膨張を抑制することができるが、負極層の膨張が大きいときには外装体が大型化してしまうため、電池全体としてのエネルギー密度が低下してしまう。
これに対し、本開示によれば、負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層および正極集電体が、この順で配置された全固体電池であって、上記負極層は、上記固体電解質層側から順にA層およびB層を有し、上記A層は、炭素系活物質を含み、上記B層は、Si合金系活物質を含み、上記B層に含まれるSi合金系活物質に対する、上記A層に含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)は、0.18以上0.43以下である、全固体電池を提供することにより、上記課題を解決することできる。このような理由としては、以下のことが考えられる。すなわち、負極層がSi系活物質を有する層(B層)の他に、Si系活物質よりも柔らかい炭素系活物質を有する層(A層)を有することにより、B層中のSi系活物質が体積膨張した場合であっても、A層中の炭素系活物質がクッション材として機能する。そのため、負極層としての体積膨張を緩和することができると考えられる。また、負極層としての体積膨張が緩和された場合には、外装体を小型化(軽装化)することができるため、電池全体としてのエネルギー密度の低下を抑制することができると考えられる。さらに、負極層におけるA層が固体電解質層側に配置され、B層が負極層側に配置されていることにより、Si系活物質を含むB層のみを高圧プレスして形成することができる。したがって、B層中のSi系活物質を高充填化することができ、電極の高エネルギー密度化を図ることができると考えられる。
1.負極層
負極層は、負極集電体と固体電解質層との間に配置される層である。また、負極層は、固体電解質層側から順に、A層およびB層を有する。
負極層は、A層およびB層の2層を有する。負極層はA層およびB層のみを有する2層構造であってもよく、A層およびB層以外のその他の層を有する3層以上の多層構造であってもよい。負極層を構成するA層およびB層は、固体電解質層側からA層およびB層がこの順で積層されていればよいが、A層およびB層が直接接触して積層されていることが好ましい。本開示の効果を十分に得ることができるからである。
以下、負極層を構成するA層およびB層について説明する。
(1)A層
A層は、後述するB層の固体電解質層側に配置される層である。また、A層は、炭素系活物質を含む。
炭素系活物質は、リチウムイオンの挿入脱離反応により充放電を行う活物質である。また、例えば後述するB層に含まれるSi系活物質が、リチウムイオンの挿入反応により体積膨張した際に、A層に含まれる炭素系活物質がクッション材として機能し、Si系活物質の体積膨張による影響を低減することができる。
炭素系活物質は、後述するSi系活物質が膨張収縮した際に生じる応力を緩和することができる程度の変形性(軟らかさ、クッション性)を有することが好ましい。ここで、炭素系活物質のクッション性とは、例えば、後述するB層に含まれるSi系活物質が、リチウムイオンの挿入反応により体積膨張した際に、Si系活物質の当該体積膨張を吸収・緩和する性質をいう。炭素系活物質の変形性は、例えば、炭素系活物質の単粒子に対し、プレス成形圧相当の荷重を印加し、その後、荷重を除荷して粒子を復元し、再度同じ荷重を印加した際の炭素系活物質の変形量を測定することにより算出することができる。測定には、ドライルーム内に設置した微小圧縮試験機(島津製作所、MCT-210)を用いることができる。具体的に、炭素系活物質の単粒子に対する荷重をF(N)、荷重を印加した際の炭素系活物質の変形量をΔx(m)としたときに、測定温度25℃の条件下で、Δx/Fの値が所定の範囲内であることが好ましい。炭素系活物質の変形量は、例えば、5.0×10−7m/N以上であり、8.3×10−7m/N以上であることが好ましく、1.7×10−6m/N以上であることが好ましい。一方、炭素系活物質の変形量は、例えば、5.0×10−6m/N以下であり、4.0×10−6m/N以下であることが好ましい。炭素系活物質の変形量は、例えば、コアとなる炭素材料の表面への非晶質炭素の被覆量により調整することができる。A層に含まれる全ての炭素系活物質中の非晶質炭素量は、例えば0wt%であってもよく、0wt%より大きくてもよく、6wt%以上であってもよい。一方、A層に含まれる全ての炭素系活物質中の非晶質炭素量は、例えば60wt%以下であり、40wt%以下であってもよく、20wt%以下であってもよい。なお、非晶質炭素の被覆方法としては、一般的に周知の方法と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
炭素系活物質は、例えば、上述のようなクッション性を有する活物質が好ましい。このような炭素系活物質としては、例えば、天然黒鉛(グラファイト)およびその改良体、人造黒鉛(例えばMCMB)、難黒鉛化材料(ハードカーボン)、易黒鉛化性材料(ソフトカーボン)等が挙げら、中でもグラファイトを用いることが好ましい。結晶性が高く、理論容量も比較的高いからである。
A層に含まれる活物質は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。A層に含まれる活物質が2種以上である場合には、炭素系活物質以外の活物質を有していてもよいが、A層中の全ての活物質の中で、炭素系活物質の量が最も多いことが好ましい。炭素系活物質以外の活物質としては、一般的な負極活物質が挙げられ、例えばIn、Al等の金属活物質が挙げられる。
炭素系活物質の形状は、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状、薄膜形状が挙げられ、中でも粒子形状であることが好ましい。また、炭素系活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば0.1μm以上であり、1μm以上であってもよい。一方、炭素系活物質が粒子形状である場合の平均粒径は、例えば、100μm以下でり、50μm以下であってもよい。なお、炭素系活物質の平均粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される粒径を測定して、平均することにより求めることができる。
A層中の炭素系活物質の含有量は、例えば後述するB層に含まれるSi系活物質が、リチウムイオンの挿入反応により体積膨張した際に、A層がクッション材としての機能を発揮することができる程度の含有量であることが好ましく、炭素系活物質の種類等に応じて適宜調整することができる。具体的には、B層に含まれるSi系活物質に対する、A層に含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)が、0.18以上0.43以下となる。本開示においては、上記C/Si重量比が、例えば、0.25以上であり、0.30以上であってもよく、0.35以上であってもよい。上記C/Si重量比が、上述した範囲であることにより、負極層の膨張を抑制することができる。したがって、仮に、外装体を用いて外部拘束を行うことで電池の膨張を抑制する場合であっても、従来のような大型の外装体ではなく、小型の外装体を用いることが可能となり、結果として、電池全体としてのエネルギー密度の低下を抑制することが可能となる。
A層の充填率は、負極層中でのパス切れを抑制することができる程度であることが好ましく、後述するB層の充填率よりも低いことが好ましい。具体的には、B層の充填率とA層の充填率との差が、例えば0.5%以上であり、3.0%以上であってもよく、5.0%以上であってもよい。また、A層の充填率は、例えば、80%以上であり、85%以上であってもよい。一方、A層の充填率は、例えば、95%以下であり、90%以下であってもよい。なお、A層の充填率は、以下の式により求めることができる。
(充填率)=(A層が密である場合の理論上の体積)/(A層の実際の体積)×100
また、A層が密である場合の理論上の体積は、活物質の質量を、活物質の比重で除することにより求めることができる。
A層は、通常、固体電解質を含有する。固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有するものであればよく、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、窒化物固体電解質、ハロゲン化物固体電解質等の無機固体電解質が挙げられる。本開示においては、中でも、硫化物固体電解質または酸化物固体電解質を用いることが好ましく、硫化物固体電解質を用いることがより好ましい。硫化物固体電解質は、イオン伝導性が高い点で好ましく、酸化物固体電解質は化学的安定性が高い点で好ましい。なお、ハロゲン化物固体電解質とは、ハロゲンを含有する無機固体電解質をいう。
硫化物固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−P−LiI、LiS−P−LiI−LiBr、LiS−P−LiO、LiS−P−LiO−LiI、LiS−SiS、LiS―SiS−LiI、LiS−SiS−LiBr、LiS−SiS−LiCl、LiS−SiS−B−LiI、LiS−SiS−P−LiI、LiS−B、LiS−P−Z(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS−GeS、LiS−SiS−LiPO、LiS−SiS−LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)等を挙げることができる。なお、上記「LiS−P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成物を用いてなる硫化物固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
硫化物固体電解質は、硫化物ガラスであってもよく、結晶化硫化物ガラスであってもよく、固相法により得られる結晶質材料であってもよい。なお、硫化物ガラスは、例えば原料組成物に対してメカニカルミリング(ボールミル等)を行うことにより得ることができる。また、結晶化硫化物ガラスは、例えば硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で熱処理を行うことにより得ることができる。また、硫化物固体電解質の常温におけるリチウムイオン伝導度は、例えば、1×10−5S/cm以上であることが好ましく、1×10−4S/cm以上であることがより好ましい。
酸化物固体電解質としては、例えば、NASICON型構造を有する化合物等を挙げることができる。NASICON型構造を有する化合物の一例としては、一般式Li1+xAlGe2−x(PO(0≦x≦2)で表される化合物が挙げられる。中でも上記酸化物固体電解質は、Li1.5Al0.5Ge1.5(POであることが好ましい。また、NASICON型構造を有する化合物の他の例としては、例えば、一般式Li1+xAlTi2−x(PO(0≦x≦2)で表される化合物が挙げられる。中でも上記酸化物固体電解質は、Li1.5Al0.5Ti1.5(POであることが好ましい。また、酸化物固体電解質の他の例としては、例えば、LiLaTiO(例えば、Li0.34La0.51TiO)、LiPON(例えば、Li2.9PO3.30.46)、LiLaZrO(例えば、LiLaZr12)等が挙げられる。
固体電解質の形状としては、例えば粒子状、薄膜状等を挙げることができる。固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上であり、10nm以上であってもよい。一方、固体電解質の平均粒径(D50)は、例えば100μm以下であり、30μm以下である。
A層における固体電解質の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば、10重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
A層は、必要に応じて、結着材および導電化材を有していてもよい。A層が導電化材を有することにより、電子伝導性が向上する。結着材としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、導電化材としては、例えば、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、気相成長カーボン、黒鉛等の炭素材料等が挙げられる。
(2)B層
B層は、上述したA層の固体電解質層とは反対の面側に配置される層である。また、B層は、Si系活物質を含む。
Si系活物質は、上述した炭素系活物質よりも充放電電位(リチウムイオンの挿入脱離電位)が貴であってもよく卑であってもよいが、炭素系活物質よりも充放電電位が貴であることが好ましい。Si系活物質の充放電位が炭素系活物質よりも貴であることにより、充電初期においてSi系活物質へのリチウムイオン挿入脱離反応が、炭素系活物質へのリチウムイオン挿入脱離反応よりも先に起こる。このため、Si系活物質は体積が膨張した状態となるが、上述した炭素系活物質により上記膨張が緩和されるため、負極層内において効果的に自己拘束力が掛かった状態にすることができる。なお、Si系活物質が炭素系活物質よりも充放電電位が貴であることは、例えば、サイクリックボルタンメトリ−法による測定を行うことにより確認することができる。
Si系活物質は、リチウムと合金化反応を起こす活物質である。Si系活物質は、少なくともSi元素を含む活物質であり、Si元素の単体であってもよく、Si元素を含む合金であってもよい。上記Si元素を含む合金は、Si元素以外に、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、チタンおよびクロム等の元素を含むことが好ましい。また、上記Si元素を含む合金は、Si元素を主成分として含有することが好ましい。
B層に含まれる活物質は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。B層に含まれる活物質が2種以上である場合には、Si系活物質以外の活物質を有していてもよいが、B層中の全ての活物質の中で、Si系活物質の量が最も多いことが好ましい。Si系活物質以外の活物質としては、一般的な負極活物質が挙げられ、例えばIn、Al等の金属活物質、およびメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン活物質等が挙げられる。
Si系活物質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状、針状、薄膜状等を挙げることができ、中でも粒子形状であることが好ましい。また、Si系活物質が粒子形状である場合、その平均粒径(D50)は、例えば、5nm以上であり、50nm以上であってもよい。一方、Si系活物質が粒子形状であるときの平均粒径(D50)は、例えば、50μm以下である。なお、Si系活物質の平均粒径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される粒径を測定して、平均することにより求めることができる。
B層中のSi系活物質の含有量は、B層に含まれるSi系活物質に対する、A層に含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)が、0.18以上0.43以下を達成することができればよく、上述したA層中の炭素系活物質の含有量に応じて適宜変更することができる。したがって、B層中のSi系活物質の含有量についての詳細な説明は省略する。
B層の充填率は、負極層中でのパス切れを抑制することができる程度であることが好ましく、負極層の高エネルギー密度化を達成するといった観点から、より高いことが好ましい。例えば、上述したA層の充填率よりも、B層の充填率が高いことが好ましい。具体的なB層の充填率は、例えば、85%以上であり、90%以上であってもよい。一方、B層の充填率は、例えば、95%以下である。なお、B層の充填率は、以下の式により求めることができる。
(充填率)=(B層が密である場合の理論上の体積)/(B層の実際の体積)×100
また、B層が密である場合の理論上の体積は、活物質の質量を、活物質の比重で除することにより求めることができる。
B層の充填率をA層の充填率よりも高める方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、負極集電体の一方の面に、B層を形成するためのB層形成用組成物を塗布・乾燥させてB層を形成するB層形成工程、負極集電体およびB層の積層体を厚み方向に加圧するプレス工程、B層の負極集電体とは反対側の面にA層を形成するためのA層形成用組成物を塗布・乾燥させてA層を形成するA層形成工程を、この順で有する方法が挙げられる。
B層は、通常、固体電解質を含有する。なお、固体電解質については、上記「(1)A層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
B層は、必要に応じて、結着材および導電化材を有していてもよい。なお、結着材および導電化材については、上記「(1)A層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
(3)負極層
負極層に含まれる全ての活物質(負極活物質)の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましい。負極層に含まれる負極活物質の含有量は、例えば60wt%以上であり、70wt%以上であることが好ましい。一方、負極層に含まれる負極活物質の含有量は、例えば99wt%以下であり、95wt%以下であってもよい。
負極層の厚みは、全固体電池の構成によって大きく異なるが、例えば0.1μm以上1000μm以下とすることができる。
負極層の形成方法としては、例えば、後述する実施例の方法が挙げられる。
2.正極層
正極層は、少なくとも正極活物質層を含む層である。正極層は、必要に応じて、固体電解質、結着材および導電化材の少なくとも一つを含んでいてもよい。
正極活物質としては、全固体電池の種類に応じて適宜選択され、例えば、酸化物活物質、硫化物活物質等が挙げられる。正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li(Ni0.5Mn1.5)O、Li1+xMn2−x−y(MがAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選択される一種以上である。)等のスピネル型活物質、チタン酸リチウム(LiTiO)、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO等のオリビン型活物質等が挙げられる。
正極層に用いられる固体電解質、結着材および導電化材については、上述した「1.負極層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
正極層の厚みは、例えば0.1μm以上1000μm以下とすることができる。
正極層に含まれる正極活物質は、表面に被覆層が形成されていてもよい。正極活物質の表面に被覆層が形成されていることにより、正極活物質と固体電解質との反応を抑制することができ、出力特性に優れた電固体電池を得ることができる。被覆層の材料は、イオン伝導性を有し、かつ活物質や固体電解質と接触して流動せず、被覆層の形態を維持することが可能な材料であることが好ましい。被覆層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiTi12等が挙げられる。被覆層の厚みは、例えば0.1nm以上あり、1nm以上であってもよい。一方、被覆層の厚みは、例えば100nm以下であり、20nm以下であってもよい。正極活物質表面における被覆層の被覆率は、例えば50%以上であり、80%以上であってもよい。
3.固体電解質層
負極層および正極層の間に形成される。固体電解質層は、固体電解質を含有する層である。固体電解質層は、必要に応じて、結着材を含有していてもよい。
固体電解質層における固体電解質の含有量は、例えば、10重量%以上であり、50重量%以上であってもよい。一方、上記固体電解質の含有量は、例えば、100重量%以下である。
固体電解質層に用いられる固体電解質および結着材については、上述した「1.負極層」の項に記載した内容と同様とすることができるため、ここでの記載は省略する。
固体電解質層の厚みは、例えば0.1μm以上1000μm以下とすることができる。
4.負極集電体
負極集電体は、負極層の集電を行う機能を有する。負極集電体の材料としては、例えば、SUS、銅、ニッケルおよびカーボン等が挙げられる。負極集電体の厚さや形状等については、全固体電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
5.正極集電体
正極集電体は、正極層の集電を行う機能を有するものである。正極集電体の材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等が挙げられる。正極集電体の厚さや形状等については、全固体電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
6.拘束部材
拘束部材は、負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層および正極集電体が、この順で積層した積層体に、積層方向の拘束圧力を与えることができればよく、全固体電池の拘束部材として使用可能な公知の拘束部材を用いることができる。例えば、積層体の両表面を挟む板状部と、2つの板状部を連結する棒状部と、棒状部に連結され、ねじ構造等により拘束圧力を調整する調整部を有する拘束部材が挙げられる。調整部によって、積層体に所望の拘束圧力を与えることができる。
拘束圧力は、特に限定されるものではないが、例えば、初回充電前に0.1ton/cm以上であることが好ましく、1ton/cm以上であってもよく、5ton/cm以上であってもよい。拘束圧力を大きくすることで、各層の接触を良好にしやすいという利点があるためである。一方、拘束圧力は、例えば、100ton/cm以下であり、50ton/cm以下であってもよく、20ton/cmであってもよい。本開示においては、負極層の膨張を抑制することができるため、拘束圧力を比較的低くすることができ、拘束部材の小型化を図ることができる。
7.全固体電池
全固体電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。全固体電池の形状としては、例えばコイン型、ラミネート型、円筒型および角型等が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本開示をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
<固体電解質の合成>
LiS(日本化学工業株式会社製)とP(アルドリッチ社製)を出発原料として、LiSを0.7656g、Pを1.2344g秤量し、メノウ乳鉢で5分混合し、その後、ヘプタンを4g入れ、遊星型ボールミルを用い40時間メカニカルミリングすることで、硫化物固体電解質を得た。
<全固体電池の作製>
以下のようにして、全固体電池を作製した。
(正極層形成用組成物の作製)
LiNbO(被覆層)でコーティングされたLiNi1/3Co1/3Mn1/3(正極活物質)12.5mgと、上記固体電解質3.53mgと、VGCF(導電化材、昭和電工株式会社製)0.460mgとを秤量し、混合することで正極層形成用組成物を得た。
(B層形成用組成物の作製)
シリコン粉末(Si系活物質)2.00mgと、上記固体電解質1.55mgと、VGCF(導電化材、昭和電工株式会社製)0.16mgとを秤量した。次に、PVDFを75mol%含有するバインダを5wt%の濃度で有機溶媒に溶かし、溶かした状態で0.8mg混合したものを、B層形成用組成物とした。
(A層形成用組成物の作製)
天然黒鉛(炭素系活物質)0.86mg、上記固体電解質0.70mgを秤量し、上記バインダを0.6mg混合したものを、A層形成用組成物とした。
(全固体電池の作製)
1cmのセラミックス製の型に、上記B層形成用組成物を入れ、6ton/cmでプレスしてB層を作製し、型かた取り出した。次に、同じく1cmのセラミックス製の型に、上記固体電解質15mgを秤量し、1ton/cmでプレスし固体電解質層を作製し、その一方の面に上記で作製したA層形成用組成物を入れ、1ton/cmでプレスしてA層を作製した。次に、A層の固体電解質層とは反対側の面に、上記B層を配置し、1ton/cmで最終プレスをした。また、正極集電体にアルミニウム箔を用い、負極集電体に銅箔を用いた。このようにして、負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層および正極集電体が、この順で配置された全固体電池を得た。なお、A層に含まれる炭素性活物質と、B層に含まれるSi系活物質との重量比(C/Si重量比)は、0.18となるように調整した。
[比較例1]
A層を形成せず、B層のプレス圧を1ton/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
[比較例2]
A層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
[比較例3]
炭素系活物質とSi系活物質とを混合した負極層用組成物を用いて負極層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
[評価]
実施例1、比較例1〜3で得られた全固体電池に対して、以下のような電池特性評価を行った。
(負極のエネルギー密度)
負極のエネルギー密度について評価した。負極のエネルギー密度は、以下の式から算出した。
(負極のエネルギー密度)=(初回放電容量)×(初回放電電圧)÷(負極体積)
結果は表1および図3に示す。なお、表1に示すエネルギー密度の値は、比較例1のエネルギー密度を100としたときの相対値である。
(拘束圧増加量)
実施例1、比較例1〜3で得られた全固体電池を、拘束治具で挟み、1MPaの拘束圧下で拘束圧増加量を評価した。具体的には、全固体電池を0.5mAで4.35VまでCC/CV充電した際に起こる拘束圧増加量を、小型圧縮型ロードセル(共和電業株式会社製 LCX−A−10KN−ID)を用いて測定した。結果は、表1および図3に示す。なお、表1に示す拘束圧増加量は、比較例1としてB層のみを形成した場合(A層を形成しなかった場合)の拘束圧増加量を100としたときの比(%)である。
Figure 0006973189
Si系活物質を含むB層のみを形成した(炭素系活物質を含むA層を形成しなかった)比較例1および比較例2を比べた結果、表1および図3に示すように、B層のプレス成形圧が1ton/cmの比較例1に比べて、プレス成形圧が6ton/cmの比較例2の方が、B層の充填率が高まったことに伴い負極のエネルギー密度が向上したが、一方で、拘束圧増加量も増大した。この結果からは、B層の充填率が高まったことで、よりB層(負極層)が膨張しやすくなったことが分かった。次に、Si系活物質と炭素系活物質を混合した負極層を用いた比較例3と、Si系活物質を含むB層および炭素系活物質を含むA層を有する負極層を用いた実施例1とを比べた。その結果、表1および図3に示すように、負極層が炭素系活物質を含むという点で、比較例3および実施例1の負極のエネルギー密度は同程度であったものの、負極層がA層およびB層を有する実施例1の方が、拘束圧増加量が低減した。このことから、Si系活物質を含む層(B層)および炭素系活物質を含む層(A層)がそれぞれ別層であることで、負極層のエネルギー密度を良好に維持しつつ、充電中の負極層の体積膨張を抑制できることが分かった。
[実施例2]
C/Si重量比を0.43にしたこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
[比較例4]
C/Si重量比を1.00にしたこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
[比較例5]
C/Si重量比を2.33にしたこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
[評価]
実施例1、2、比較例2、4、5で得られた全固体電池に対して、以下のような電池特性評価を行った。
(負極のエネルギー密度)
上述した実施例1、比較例1〜3と同様にして負極のエネルギー密度を評価した。
(拘束圧増加量)
上述した実施例1、比較例1〜3と同様にして拘束圧増加量を評価した。
Figure 0006973189
A層を有しない負極層を用いた比較例2と、A層およびB層を有する負極層を用い、かつC/Si重量比が0.18である実施例1とを比べた結果、表2および図4に示すように、比較例2では拘束圧増加量が増大したのに対し、実施例1では負極のエネルギー密度を良好に維持しつつ、拘束圧増加量が低減し、充電中の負極層の体積膨張を大幅に抑制できることが分かった。また、C/Si重量比が0.43である実施例2においても、実施例1と同様に充填中の負極層の体積膨張を大幅に抑制できることが分かった。この結果から、Cの重量が増えるとともに拘束圧増加量の低減を図ることができ、C/Si重量比を0.18以上とすることで、上記効果が得られることが分かった。一方、C/Si重量比が1.00である比較例4およびC/Si重量比が2.33である比較例5では、Cの重量の増大に伴い拘束圧増加量は低減したものの、負極のエネルギー密度が大幅に低下し、負極のエネルギー密度を維持することができなかった。この結果から、負極のエネルギー密度を良好に維持しつつ、充電中の負極層の体積膨張を抑制するためには、Cの重量が増えすぎてはならず、C/Si重量比を0.43以下とすることで上記効果が得られることが分かった。
[実施例3]
炭素系活物質である天然黒鉛へ非晶質炭素を被覆したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。なお、A層中の全炭素系活物質に含まれる非晶質炭素量は6wt%であった。
[実施例4]
炭素系活物質である天然黒鉛へ非晶質炭素を被覆したこと以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。なお、A層中の全炭素系活物質に含まれる非晶質炭素量は20wt%であった。
[評価]
実施例1、3、4、比較例2で得られた全固体電池に対して、以下のような電池特性評価を行った。
(負極のエネルギー密度)
上述した実施例1、比較例1〜3と同様にして負極のエネルギー密度を評価した。
(拘束圧増加量)
上述した実施例1、比較例1〜3と同様にして拘束圧増加量を評価した。
(A層中の炭素系活物質の変形性)
A層中の炭素系活物質の変形性については、上記「1.負極層 (1)A層」の項に記載した算出方法と同様の方法により求めることができるため、ここでの記載は省略する。
Figure 0006973189
A層に含まれる炭素系活物質の変形性を調整した結果、表3および図5に示すように、A層中の炭素系活物質の変形性が1.7×10−6m/N(実施例3)近傍で、拘束圧増加量を効果的に低減することができた。この結果から、A層に含まれる炭素系活物質の変形性を1.7×10−6m/N近傍に調整することで、B層に含まれるSi系活物質の膨張を十分に緩和することができ、充電中の負極層の体積膨張を効果的に抑制できること分かった。
1 … 負極集電体
2 … 負極層
3 … 固体電解質層
4 … 正極層
5 … 正極集電体
6 … 電池ケース
10 … 全固体電池

Claims (1)

  1. 負極集電体、負極層、固体電解質層、正極層および正極集電体が、この順で配置された全固体電池であって、
    前記負極層は、前記固体電解質層側から順にA層およびB層を有し、
    前記A層は、炭素系活物質を含み、
    前記B層は、Si系活物質を含み、
    前記B層に含まれるSi系活物質に対する、前記A層に含まれる炭素系活物質の重量比(C/Si重量比)は、0.18以上0.43以下であり、
    前記炭素系活物質は、グラファイトである、全固体電池。
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