JP6989832B2 - 移動体、及びこれを用いる方法 - Google Patents

移動体、及びこれを用いる方法 Download PDF

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Description

本発明は、移動体、及びこれを用いる方法に関する。より詳細には、本発明は、管状空間内部、矩形状空間内部等の閉鎖性空間内部を初めとした任意の環境で移動する移動体、及びこれを用いる方法に関する。
下水道管路の耐用年数はおよそ50年とされており、今後、耐用年数を迎える施設が飛躍的に増加すると想定されている。効率的な維持管理のためには、下水道管路状態の把握が不可欠である。
従来、下水道管路状態の調査方法は、調査員が管内に潜行して直接目視により調査する方法、地上とケーブル接続されたテレビカメラを管内に配置して撮影する方法、地上とケーブル接続されたテレビカメラを自走式車両に搭載して管内に配置し、走行しつつ撮影する方法等が用いられていた。しかしながら、調査員の直接目視による方法においては、下水道管路内に有毒ガスが発生して人体に影響を及ぼす危険性や急な降雨時の浸水による危険性等、さまざまな問題があり、またテレビカメラを管内に配置する方法においても、十分な調査速度が得られなかったり、下水道管路内の水位が上昇した時に車両の制御が困難になったりする等の問題がある。
また、下水道管路の中には、調査員による直接目視や自走式車両の走行が困難なほど細い管路もあり、そのような管路の調査も可能にするべく、小型化に適した設計の無人機が求められている。
特開2017-087917号公報(日本) 特開2017-226259号公報(日本) 特開2018-001967号公報(日本)
そこで本発明は、少なくとも1つの方向から見たときの小型化に適した構成を備える移動体、及びこれを用いる方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するべく、本発明は、進行方向に関して前後に位置する2以上のロータと、2以上のロータを駆動する駆動装置であって、2以上のロータのうち少なくとも2つを互いに異なる方向に回転させる駆動装置とを備えた、移動体を提供する。
上記駆動装置は、各々のロータに各々が動力を与える2以上のモータを備えていてよく、2以上のモータのうち少なくとも2つが、自己により動力を与えられるロータを互いに異なる方向に回転させるよう構成されていてよい。
上記移動体は、当該移動体の姿勢に関する姿勢情報を計測する姿勢情報センサと、姿勢情報センサが計測した姿勢情報に応じて2以上のロータのうち少なくとも1つの回転速度を制御することにより移動体の姿勢を制御するべく、駆動装置を制御する姿勢制御部とを備えていてよい。
上記移動体は、進行方向撮影カメラと、進行方向撮影データ送信器とを更に備え、進行方向撮影カメラにより進行方向を撮影し、得られた進行方向撮影データを進行方向撮影データ送信器から外部に送信しつつ移動するよう構成されていてよい。
上記移動体は、後方撮影カメラを更に備えていてよい。
上記後方撮影カメラが進行方向に関して2以上のロータの後方側に位置し、後方側から見たときに各々のロータの少なくとも一部が後方撮影カメラによって遮られないよう、上記移動体は構成されていてよい。
上記移動体は線状部材に対して接続されていてよい。
上記線状部材は電力供給線を含んでよく、上記移動体が、外部電源から電力供給線を介して電力の供給を受けつつ移動するよう構成されていてよい。
上記移動体が、上記2以上のロータを上記進行方向に対して側面で少なくとも部分的に覆うカバー部材を更に備えていてよく、カバー部材は下側の側面内に排気孔を有していてよい。
また本発明は、進行方向に関して前後に位置する2以上のロータと、2以上のロータを駆動する駆動装置であって、2以上のロータのうち少なくとも2つを互いに異なる方向に回転させる駆動装置と、後方撮影カメラとを備え、線状部材に対して接続された移動体に、閉鎖性空間の内部を進行方向に移動させる段階と、線状部材を用いて移動体を進行方向とは逆側に移動させつつ、後方撮影カメラにより閉鎖性空間の内部を撮影する段階とを備えた方法を提供する。
本発明に従った移動体は、進行方向に関して前後に位置する2以上のロータを備えるという構成をとることにより、進行方向から見たときの小型化に適した構成を備えており、これを用いることによりさまざまな環境での運用が可能となる。
本発明の一実施形態である移動体の斜視図。 図1Aの移動体を進行方向の後方側から見た斜視図。 図1Aの移動体をyの負方向から見た図。 図1Aの移動体を図1CのA-A面で切断した時の切断面を示す図。 図1Dの切断面図において、ロータが回転するときの気体の流れの一例を示す図。 図1Aの移動体を、図1DのD-D面で切断した時の切断面を示す図。 図1Aの移動体を、図1DのF-F面で切断した時の切断面を示す図。 図1Aの移動体を、図1Dの矢印G方向から見た時の図。 図1Aの移動体の内部構造を示す図。 図1Iの内部構造のうち本体部や接続アームを省略し、各ロータの回転方向を示した図。 ロータの回転方向と、それに起因して生じるトルクによる回転方向を示す図。 本発明の一実施形態である、ロータを2つ備えた移動体の構成を示す図。 図1Aの移動体の機能構成を示すブロック図。 図1Aの移動体において、カバー部材や接続アームの空洞部分に配線が通されていることを説明するための図。 図1Aの移動体に設けられた孔に線状部材を通すことにより移動体に線状部材を接続した構成を示す図。 図1Aの移動体の本体部内の電源系に外部からの電力供給線を接続した構成を概略的に示す図。 図1Aの移動体のカバー部材の下側に排気孔が形成された構成を示す図。 図7のように排気孔が形成された構成においてロータが回転した時の気体の流れを示す図。 図1Aの移動体を移動させることができる下水道管路施設の構造を示す図。 図9の下水道管路施設内の管状空間の内部を移動する、図1Aの移動体を示す図。 図10に示す移動体の前方移動後に、線状部材を引っ張ることにより移動体を後方に移動させつつ、後方カメラにより閉鎖性空間内部を撮影する様子を示す図。 前方カメラにより撮影される下水道管路内の画像の一例を示す図。
以下、本発明の一実施形態である移動体、及びこれを用いる方法を、図面を参照しつつ説明する。ただし本発明による移動体、及びこれを用いる方法が以下に説明する具体的態様に限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能であることに留意する。例えば、本発明に係る移動体は自律制御型の移動体である必要はなく、移動体の機能構成も、図3に示されるものに限らず同様の動作が可能であれば任意であり、例えば通信部の機能を主演算部に統合する等、複数の構成要素が実行すべき動作を単独の構成要素により実行してもよいし、あるいは主演算部の機能を複数の演算部に分散する等、図示される単独の構成要素の実行すべき動作を複数の構成要素により実行してもよい。移動体の自律制御プログラムは、ハードディスクドライブ等の記録デバイスに記録されて主演算部により読み出されて実行されるものであってもよいし(図示される自律制御プログラムが複数のプログラムモジュールに分解されてもよいし、その他の任意のプログラムが主演算部等により実行されてもよい。)、マイコン等を用いた組み込み型のシステムによって同様の動作が実行されてもよい。以下の実施形態で示される全ての構成要素を本発明に係る移動体が備える必要はなく(例えば、自律制御を行わずに完全に外部からの制御で移動体を移動させるならば自律制御プログラムや各種データベースを備える必要はない。)、また示される方法ステップの全てを本発明に係る方法が備える必要もない。移動体に備えられるロータ(推力を発生させるためのプロペラや、移動体を浮揚させるための回転翼等、任意のロータであってよい。以下の実施例では3つのロータブレードを有するロータを用いるが、ロータの具体的構造も任意である。)も、図1J等で示されるような3つのロータ5~7に限らず2以上の任意のロータであってよい。ロータの形状も、ねじれた形状とする等、任意である。移動体のサイズも任意である。以下の実施例においては移動体が閉鎖性空間内を撮影移動する一例を示すが、閉鎖性空間に限らず任意の環境で、そして任意の目的で本発明の移動体を移動させることができる(移動体の「移動」は任意の態様の移動であってよく、例えば地面や水面に接触しつつ滑る態様の移動でも、図8の構成を用いることにより非接触で移動する態様でも、或いはロータの回転により浮揚して飛行する態様でも構わない。)。なお、閉鎖性空間が完全に閉鎖されている必要はなく、少なくとも部分的に閉鎖された、移動体の移動が少なくとも一部制約される空間であればよい。例えば、以下の実施形態に示すようにマンホールを介して外部と接続されている下水道管路内の管状空間も閉鎖性空間であるし、高速道路のトンネルも閉鎖性空間である。なお、移動体を構成する各部材は、例えば金属、プラスチック等から形成することができるが、移動体としての機能が発揮できるならば弾性体等、任意の材料から形成されたものであっても構わない。
移動体の構成
図1Aから図1Jに、本発明の一実施形態である3ロータ型の移動体の外観、内部構造、断面図等を示す。図1Aは斜視図であり、図1Bは図1Aの移動体を進行方向の後方側から見た斜視図であり、図1Cはyの負方向から見た図であり、図1Dは図1CのA-A面で切断した時の切断面を示す図である(本体部3の内部は略した。これ以外の図面においても、同様に説明の簡略化の目的で一部の構成要素を略す等している。)。図1Eは、図1Dの切断面図において、ロータが回転するときの気体の流れの一例を示す図であり、図1Fは、図1Aの移動体を図1DのD-D面で切断した時の切断面を示す図であり、図1Gは、図1Aの移動体を図1DのF-F面で切断した時の切断面を示す図であり、図1Hは、図1Aの移動体を図1Dの矢印G方向から見た時の図であり、図1Iは、図1Aの移動体の内部構造を示す図であり、図1Jは、図1Iの内部構造のうち本体部や接続アームを省略し、各ロータの回転方向を示した図である。なお、図1Aに示すとおり、図1Aのx軸方向のまわりの矢印方向の回転を(正の)ロール回転とし、y軸方向のまわりの矢印方向の回転を(正の)ピッチ回転とし、z軸方向のまわりの矢印方向の回転を(正の)ヨー回転とする(図1B以降においては見易さのために座標軸を移動体1からずらして表示する。)。
移動体1は、一例においては口径400mm程度の閉鎖性空間内を移動できるよう、全幅(図1A中、y方向の幅)約160mm、全長(図1A中、x方向の幅)約500mmのサイズで設計されており、本体部3(防水ケース4に収納されている。)と、本体部3からの制御により駆動する3つのモータ8~10(図3参照。)と、モータ8~10の各々の駆動により回転して移動体1を移動させる3つのロータ5~7と(ロータ5,7はxの負方向側から見て反時計回りに回転し、ロータ6はxの負方向側から見て時計回りに回転する等、ロータ5~7のうち少なくとも2つは互いに異なる方向に回転する。またロータ5~7それぞれの回転軸は図1Aのx軸に沿っていて(進行方向に沿っていて)、ロータ5~7はそれぞれ、図1Aのx軸に垂直な面に沿って回転する(このような構成も既に述べたとおり必須ではなく、ロータ5~7の回転軸やロータ5~7が回転する面、空間等は基本的に任意である。)。図1J参照。またロータ5はロータブレード5a,5b,5cを有し、またロータ6はロータブレード6a,6b,6cを有し、またロータ7はロータブレード7a,7b,7cを有する。図1F,図1H参照。)、前方カメラ14と、後方カメラ15とを備えており、またロータや本体部等の構成要素は、進行方向(図1A中、xの正方向とする。)に対して側面で、円柱側面に類似した形状のカバー部材2(後述のとおり中空形状)により少なくとも部分的に覆われている。なお、カバー部材2には、後述のとおり(図5参照)線状部材49~51を通して移動体1に接続するための孔46~48が設けられている。ロータ5~7が進行方向に関して前後に位置しているため、進行方向から見たときのサイズ(図1A中、yz平面で移動体1が占める領域のサイズ)を小さくすることが可能であり、この点において移動体1の構成は細い管路等を移動させるのに有利である。
前方カメラ14は、移動体1による閉鎖性空間の内部の移動中に進行方向の静止画、又は動画を撮影するためのカメラであり、撮影された静止画又は動画のデータは随時外部装置(ディスプレイを備えたコンピュータ等)に送信され、操縦者はこれを確認しながら移動体1を操縦することができる。後方カメラ15は、移動体1による閉鎖性空間の内部の移動中に後方(図1A中、xの負方向とする。)の静止画、又は動画を撮影するためのカメラであり、一例においてはGoPro session(タジマモーターコーポレーション)等の市販カメラを用いることができる。前方カメラ14と後方カメラ15は、赤外線カメラや紫外線カメラ等のカメラであってもよい。
図1Dに示すとおり、モータ8~10は、それぞれモータ保持部11~13によって保持されており(モータ保持部11は前方カメラ14も保持しており、後方カメラ15は本体部3に接続されて防水ケース4によって保持されている。)、モータ保持部11は接続アーム16~18によって、モータ保持部12は接続アーム19~21によって、モータ保持部13は接続アーム22~24によって、それぞれカバー部材2に接続されている(図1I)。また本体部3を収納する防水ケース4は、接続アーム25~30によりカバー部材2に接続されている(図1I)。図4を用いて後に説明するとおり、接続アーム16~30やカバー部材2、防水ケース4は中空形状の部材として形成されており、これらの中空形状の空洞部分に配線等を通すことで、本体部3に含まれる構成要素と、前方カメラ14やモータ8~10等、本体部3の外にある構成要素とを接続することができる。
ロータ5~7が回転すると、一例においては(進行方向を水平方向、すなわち重力と垂直な方向とする場合等)図1E中の矢印Wで示す方向に気体の流れが発生し、移動体1は進行方向(図1A中のx方向)に移動することができる。本実施例の移動体1においては、後方カメラ15が進行方向に関してロータ5~7の後方側(図1A中、xの負方向側とする。)に位置し、また図1Hに示すとおり後方側から見たときに各々のロータ5~7の少なくとも一部が後方カメラ15によって遮られないよう、ロータ5~7が配置されており(図1H中でロータ5のロータブレード5a,5b,5cは略したが、ロータ6,7と同様にこれらロータブレードの少なくとも一部が後方カメラ15によって遮られないよう配置されている。)、図1Eに示すような気体の流れが発生する。ただし、そのようにロータ5~7を配置することは必須ではなく、仮に後方側から見たときにロータ5~7が後方カメラ15により完全に遮られていたとしても、図1Eに矢印Wで示すとおりロータ5~7の位置から後方側へ気体を送り出す開口部(隙間)等が確保されていればよい。一例においては気体の反作用により推力が発生して移動体1が移動する。別の一例においては、ロータ5~7の回転により揚力が発生して移動体1が浮揚する(進行方向を鉛直上方、すなわち重力方向と逆方向とする場合等)。以降の説明において移動体1の進行方向は基本的に水平方向であるとするが、進行方向をどのように定義するかは任意であることに留意する。
図1Kは、ロータの回転方向と、それに起因して生じるトルクによる回転方向を示す図である。図1K中、Rで示す矢印方向にロータ5(6,7)が回転したとすると、その反作用として、図1K中にTで示す矢印方向に移動体1を回転させようとするトルクが発生する。本実施例においてはロータ5~7のうち少なくとも2つが互いに異なる方向に回転しており、図1Jに示すとおりの回転方向でロータ5~7を回転させる場合には、ロータ5,7の回転により発生するトルクと、ロータ6の回転により発生するトルクとが互いに逆方向に移動体1を回転させようとするため、各々のロータの回転に起因するトルクの作用による移動体1の回転(ロール回転)を少なくとも一部互いに打ち消して低減させることができる。
なお、既に述べたとおりロータの数は3つである必要はなく2以上の任意の数であってよい。一例として、ロータを2つ備えた移動体の構成を図2に示す。図2に示す移動体1の構成は、ロータの数が2つであること以外は、これまでに説明した3ロータ型の移動体1の構成と同様であってよい。図2の移動体1においては、図1Aのxの負方向から見てロータ5を反時計回りに回転させ、図1Aのxの負方向から見てロータ7を時計回りに回転させる等、ロータ5,7を互いに異なる方向に回転させることにより、3ロータ型の場合と同様に移動体1の回転を少なくとも低減させることができる。
図3は、図1Aの移動体の機能構成を示すブロック図である。移動体1の本体部3は、プロセッサ、一時メモリ等から構成されて各種演算を行う主演算部31aと、主演算部31aによる演算で得られた制御指令値データをパルス信号(PWM:Pulse Width Modulation信号)に変換する等の処理を担う、プロセッサ、一時メモリ等から構成される信号変換部31bと(主演算部31a、信号変換部31bを含む演算部を制御信号生成部32と称する。)、制御信号生成部32により生成されたパルス信号をモータ8~10への駆動電流へと変換するスピードコントローラ(ESC:Electric Speed Controller)33~35と、外部との各種データ信号の送受信を担う通信アンテナ36及び通信部37(プロセッサ、一時メモリ等から構成される)と、GPS(Global Positioning System)センサ、姿勢情報センサ、高度センサ、方位センサ等の各種センサを含むセンサ部38と、自律制御プログラム39a、各種データベース39b等を記録するハードディスクドライブ等の記録デバイスから構成される記録装置40と、リチウムポリマーバッテリやリチウムイオンバッテリ等のバッテリデバイスや各要素への配電系を含む電源系41とを備えている。その他に、移動体1は機能用途に応じて任意の機能部、情報等を備えていてよい。
センサ部38に含まれる姿勢情報センサは、一例として、移動体1における図1Aに示すロール回転、ピッチ回転、ヨー回転の各回転の角速度を計測する3軸の角速度センサであってよく、図1Aのx方向,y方向,z方向の各方向の加速度を計測する加速度センサと組み合わせた「6軸ジャイロ」センサとして移動体1に搭載することができる。ここでいう「姿勢情報」とは、ロール回転、ピッチ回転、ヨー回転の各回転の角速度のうち1以上を含む情報であってよいし、角速度センサが計測した角速度の測定値を時間について積分することで得られる(積分計算は、姿勢情報センサに備えられた任意の演算部等で行ってもよいし、主演算部31aで行ってもよい。)移動体1の傾きに関する情報としての、ロール回転角、ピッチ回転角、ヨー回転角の各回転角度のうち1以上を含む情報であってもよい。なお、ここにおいて「計測」とは、角速度等の計測自体のみに限らず、角速度等を計測して測定値から上記回転角度等を計算により決定することも含んでよいものとする。例えば、角速度センサにより角速度を計測し、主演算部31aが回転角度を計算する構成においては、角速度センサと主演算部31aとによって「姿勢情報センサ」が構成されるとしてもよい。そのような姿勢情報を用いて主演算部31aが自律制御プログラム39aを実行することにより、ロータ5~7のうち少なくとも1つの回転速度を制御するための制御指令値を演算し、主演算部31aによる演算で得られた制御指令値データを信号変換部31bがパルス信号に変換し、スピードコントローラ33~35がパルス信号をモータ8~10への駆動電流へと変換し、モータ8~10がロータ5~7の回転速度を制御することにより、姿勢の自律制御が可能となる(この場合、主演算部31aと信号変換部31bを含む制御信号生成部32が姿勢制御部として機能し、スピードコントローラ33~35を介してモータ8~10を制御する。)。具体例として、例えば移動体1の機体(本実施例においては、移動体1中、ロータ5~7以外の構成要素によって機体が構成されるとする。)が正のロール回転(図1Aのx軸まわりの矢印方向の回転)をする角速度を有しているか、既に正のロール回転をして傾斜していることが姿勢情報センサを用いた計測により検知された場合、主演算部31aは、移動体1に負のロール回転をさせようとするトルクを発生させるべく、(図1Jに示す方向にロータ5~7が回転していると仮定する)。ロータ6の回転速度を上げてロータ5,7の回転速度を下げるための制御指令値を決定することができる(すなわち、移動体1の回転方向と同方向に回転するロータの回転速度を相対的に上げることにより、移動体1の回転方向と逆方向に移動体1を回転させるためのトルクを発生させる、又は大きくすることができる。)。この制御指令値を用いて上記のとおりロータ5~7の回転速度を制御することにより、移動体1の機体における正又は負のロール回転を少なくとも低減させて姿勢を安定化することができる。移動体1におけるセミオートモードでの動作の一例においては、移動体1を前進方向に加速又は減速させるための外部制御信号が外部コントローラ(不図示)から送信され、移動体1が通信アンテナ36により外部制御信号を受信し、通信部37においてフィルタリングや変換等の必要な処理をした上で主演算部31aに信号を送り、主演算部31aが外部制御信号に応じてロータ5~7の全体の回転速度を上げる、又は下げるための制御指令値を生成し、以降は既に述べたとおりパルス信号への変換等の処理によってロータ5~7の回転速度を制御するというプロセスで移動体1の移動速度が制御されつつ、上述のとおり姿勢情報センサや姿勢制御部により移動体1の姿勢が自律制御される。なお、姿勢の自律制御においては、一部のロータの回転速度を上げつつ別のロータの回転速度を下げることによりロータの回転速度の合計を一定に維持しても、或いは任意に調整してもよいし、一部のロータの回転速度を上げるのみで、或いは下げるのみで姿勢制御を行ってもよい。なお、移動体1におけるマニュアルモードでの動作の一例においては、ロータ5の回転速度、ロータ6の回転速度、ロータ7の回転速度の各々を別個に上げる、又は下げるための外部制御信号を外部コントローラから送信し、外部制御信号に応じて移動体1がロータ5~7の回転速度を各々別個に制御することも可能である。この場合、移動速度だけでなく移動体1の姿勢もマニュアル制御される。
図4は、図1Aの移動体においてカバー部材や接続アームの空洞部分に配線が通されていることを説明するための図である。既に述べたとおり、接続アーム16~30やカバー部材2、防水ケース4は中空形状の部材として形成されており、図4に示すとおりそれら部材の空洞部分が繋がることにより、部材間に配線等を通すことが可能となっている(図4においては、便宜上、空洞部分やその繋がっている部分が同一平面上で描かれているが、図1Iから明らかなとおり接続アーム16~30は必ずしも全て同一平面上に配置されているわけではないことに留意する。図6等も同様。)。図4の構成においては、スピードコントローラ33とモータ8が、防水ケース4の空洞部分、接続アーム28の空洞部分、カバー部材2の空洞部分、接続アーム16の空洞部分を通る配線(導線)42で接続されており(図4中では配線42がモータ保持部11に接続されているが、実際にはモータ8へと配線42が接続されている。スピードコントローラ34,35とモータ9,10との接続における配線(導線)43,44においても同様。)、スピードコントローラ34とモータ9が、防水ケース4の空洞部分、接続アーム27の空洞部分、カバー部材2の空洞部分、接続アーム21の空洞部分を通る配線(導線)43で接続されており、スピードコントローラ35とモータ10が、防水ケース4の空洞部分、接続アーム27の空洞部分、カバー部材2の空洞部分、接続アーム24の空洞部分を通る配線(導線)44で接続されている。また主演算部31aと前方カメラ14とは、防水ケース4の空洞部分、接続アーム28の空洞部分、カバー部材2の空洞部分、接続アーム16の空洞部分を通る配線(信号線)45で接続されている。
図5は、図1Aの移動体に設けられた孔に線状部材を通すことにより移動体に線状部材を接続した構成を示す図である。カバー部材2に設けられた孔46~48に紐等の線状部材49~51をそれぞれ通すことにより、線状部材49~51が移動体1に接続されている。図11を用いて後述するとおり、移動体1の前方移動後に線状部材49~51を引っ張ることにより移動体1を後方に移動させつつ、後方カメラ15により閉鎖性空間内部を撮影することができる。
なお、線状部材としては紐等の線状部材49~51以外に任意の線状部材を用いることが可能である。一例として、図1Aの移動体1の本体部3内の電源系41に外部からの電力供給線52を接続した構成を、図6に概略的に示す。図6の構成において、モータ8~10等、移動体1中で電力を用いる各構成要素は外部電源(不図示)から電力供給線52を介して供給される電力により動作し、電源系41に含まれる配電制御用の回路(不図示)等に電力供給線52が(カバー部材2内の空洞部分を介して)接続される。具体的に、電力供給線52を介して電源系41に電力が供給され、電源系41の上記配電制御用の回路等を介して主演算部31a、スピードコントローラ33~35等の構成要素に電力が供給され、またモータ8~10には既に述べたとおりスピードコントローラ33~35から電流が供給され、ロータ5~7が回転する。線状部材49~51を用いる構成と同様に、移動体1の前方移動後に電力供給線52を引っ張ることにより移動体1を後方に移動させつつ、後方カメラ15により閉鎖性空間内部を撮影することができる。
またカバー部材の下側(図1A中、zの正方向側)の側面に排気孔を設けることにより(図7)、移動体の移動時の気体の流れを調節することも可能である。図7の構成においては断面が矩形状の排気孔53~57(図8(b)に示すとおり、カバー部材2の或る断面から見ると、カバー部材2の側壁を斜めに貫通している。)が設けられている。このような図7の構成において、ロータが回転した時の気体の流れを図8に示す(単純化のため2ロータ型で描いたが、3ロータにおいても気体の流れは同様。また閉鎖性空間の一例として、移動体1は下水管58内部を移動しているとする。)。移動体1と閉鎖性空間等の下側境界面(下水管自体の内側面であってもよいし、下水管内部に存在する水等との境界面であってもよい。)との間に気体が流れ出すことにより、図1Eの矢印Wで表される気体の流れとは異なる、図8中に矢印W2で示す気体の流れが生じており、この流れ出した気体が移動体1を浮揚させるか、少なくとも移動体1のカバー部材2と下側境界面との間の摩擦を低減させることが可能となると考えられる。
移動体による閉鎖性空間内部での撮影移動
以下、移動体1による閉鎖性空間内部での撮影移動の一例として、下水道管路内の撮影移動を図9から図12を用いて説明する。ただし、既に述べたとおり本発明の移動体、及びこれを用いる方法の用途がそのような撮影移動に限られるわけではなく、任意の環境で、そして任意の目的で、本発明の移動体、及びこれを用いる方法を用いることができる。
図1Aの移動体を移動させることができる下水道管路施設の構造を図9に示す。地表面59に設けられたマンホール60aは下水道管路61に通じており、下水道管路61を図9中の右方向に進むことで別のマンホール60bに到達する(図9中では下水道管路61が途中の2箇所で切断されて描かれているが、これは便宜上の表現であり実際には図示されるよりも長い連続した下水道管路61として形成されている。)。下水道管路61の内壁62により閉鎖性空間の境界面が規定されており、また下水道管路61内には図9中の右方向、所定距離ごとに接続部63が存在する。
移動体1により下水道管路61の撮影移動を行うにあたり、まずは移動体1をマンホール60aに進入させて下水道管路61の深さまで降下させる。一例においては、マンホール60a,60bの深さと同程度の長さを有するポールの先端に保持台を設け、保持台に移動体1を載せてポールをマンホール60aに差し込むことにより移動体1を降下させる。
移動体1は、線状部材49~51に接続された状態で、或いは電力供給線52に接続された状態で(図6参照)、撮影移動の開始位置から図9中の右方向に向かって(当該方向を図1A中のxの正方向、すなわち進行方向として)撮影移動を開始する(図10)。ここにおいて、移動体1は上述のセミオートモードの一例に従って動作するものとする。移動体1は前進方向の加速又は減速を指示する外部コントローラからの外部制御信号に従って進行方向に移動しつつ姿勢を自律制御し、また前方カメラ14と後方カメラ15により下水道管路61内で静止画又は動画を撮影する。なお、下水道管路61内には通常は水64が存在しているが、移動体1は水64の水面に接した状態、或いは少なくとも一部が水64に浸かった状態で進行方向に移動してもよいし、下水管の下側壁面に接触した状態で進行方向に移動してもよい。水64が存在しない場合、一例において移動体1は下水管の下側壁面に接触した状態で進行方向に移動するが、図7,図8を用いて既に説明したとおりカバー部材2の下側に排気孔53~57を設ける等して気体と下水管下側壁面との間の気体の流れを調節し、移動体1を浮揚させつつ移動させる等してもよい(水64等がある場合も同様に浮揚させること等は可能)。
後方カメラ15により撮影された静止画又は動画のデータは後方カメラ15の内蔵メモリに記録され、前方カメラ14により撮影された静止画又は動画のデータは、前方カメラ14の内蔵メモリに記録された上で通信部37により通信アンテナ36から操縦者の外部コンピュータに随時送信される。操縦者は、受信したデータを用いて外部コンピュータの備えるディスプレイに前方カメラ14の撮影した静止画又は動画を表示し、これを確認しながら外部コントローラによる移動体1の操縦を行う(外部コントローラと通信アンテナ36との間の通信品質が充分でない場合は、予め下水道管路61内に無線中継局を設置する等しておくことが好ましい。GPS信号等の受信も、同様に無線中継局等を介して行うことができる。)。一例においては、表示された静止画又は動画に映っている接続部63を目印として、移動体1の進行した距離を把握しつつ操縦を行う。
移動体1が下水道管路61の他端(図9中、下水道管路61における右側の端。以下、撮影移動の終了位置G。)に到達するか、線状部材49~51(又は電力供給線52)の長さの問題により移動体1がそれ以上前進することができなくなることで、移動体の前進移動は終了する(任意のタイミングで外部コントローラからの制御により前進を終了させてもよい。)。外部コントローラからの外部制御信号の送信を停止して(或いは停止信号を送信する等して)移動体1のロータ5~7の回転を停止させた上で、移動体1に接続された線状部材49~51(又は電力供給線52)を引っ張ることにより移動体1を後方(図1Aのxの負方向とする。)に移動させつつ、後方カメラ15により下水道管路61を撮影することにより、ロータ5~7の回転に伴う水しぶき等の影響を避けた撮影をすることができる。なお、後方カメラ15による撮影は移動体1が上記のとおり後方に移動している間にのみ行うこととしてもよく、この場合、移動体1の前進移動中には後方カメラ15の撮影を停止しておき、前進移動が終了してロータ5~7の回転を停止させた後に、リモートコントローラからの制御信号等により後方カメラ15の撮影を開始させればよい。
線状部材49~51(又は電力供給線52)を引っ張り続けることにより、移動体1は再び開始位置S(図9)へと戻される。先端に保持台を設けたポールをマンホール60aに差し込み、保持台に移動体1を載せて引き揚げる等して移動体1を回収する。回収された移動体1から後方カメラ15を取り外し、そのメモリに記録された静止画、又は動画を見ることにより、下水道管路61や内壁62等の状態を確認することができる。
図12に、前方カメラで撮影される下水道管路内の画像の一例を示す。前方カメラ14を搭載した移動体1の撮影移動により同様の画像が得られると考えられる。操縦者は、図12に示すような前方カメラ14が撮影した一人称視点での静止画、又は動画を見ながら外部コントローラ装置により移動体1を操縦することができる。撮影移動後、回収された移動体1から後方カメラ15を取り外して、メモリに記録された静止画、又は動画を見ることにより、内壁62のクラックや接続部63におけるパッキンのずれ等、下水道管路61の状態を確認することができる。
本発明は、上水道管路内、下水道管路内、排水路内、高速道路のトンネル内、高速道路の排水管内、洞道内、ダクト内、パイプシャフト内、ガス管路内等、任意の閉鎖性空間における撮影調査に利用することができる。また閉鎖性空間に限らず任意の空間において任意の目的で移動体を移動させる際にも利用できる。
1 移動体
2 カバー部材
3 本体部
4 防水ケース
5~7 ロータ
5a~7c ロータブレード
8~10 モータ
11~13 モータ保持部
14 前方カメラ
15 後方カメラ
16~30 接続アーム
31a 主演算部
31b 信号変換部
32 制御信号生成部
33~35 スピードコントローラ
36 通信アンテナ
37 通信部
38 各種センサ
39a 自律制御プログラム
39b 各種データベース
40 記録装置
41 電源系
42~45 配線
46~48 孔
49~51 線状部材
52 電力供給線
53~57 排気孔
58 下水管
59 地表面
60a,60b マンホール
61 下水道管路
62 内壁
63 接続部
64 水

Claims (9)

  1. 進行方向に関して前後に位置する2以上のロータと、
    前記2以上のロータを駆動する駆動装置であって、該2以上のロータのうち少なくとも2つを互いに異なる方向に回転させる駆動装置と
    を備え、
    前記2以上のロータを前記進行方向に対して側面で少なくとも部分的に覆いつつ該進行方向に関して前後の端部で開口した、該進行方向に沿って伸長した中空構造を有するカバー部材を更に備え、該カバー部材が、下側の該側面内に、該進行方向に沿って配置された複数の排気孔を有し、
    前記複数の排気孔の各々は、前記カバー部材の側壁を、該カバー部材の内側から外側に向かって、且つ前記進行方向に関して前側から後側に向かって斜めに貫通している
    移動体。
  2. 前記駆動装置が、各々の前記ロータに各々が動力を与える2以上のモータを備え、
    前記2以上のモータのうち少なくとも2つが、自己により動力を与えられる前記ロータを互いに異なる方向に回転させるよう構成された、
    請求項1に記載の移動体。
  3. 前記移動体の姿勢に関する姿勢情報を計測する姿勢情報センサと、
    前記姿勢情報センサが計測した前記姿勢情報に応じて前記2以上のロータのうち少なくとも1つの回転速度を制御することにより前記移動体の姿勢を制御するべく、前記駆動装置を制御する姿勢制御部と
    を備えた、請求項1又は2のいずれか一項に記載の移動体。
  4. 進行方向撮影カメラと、進行方向撮影データ送信器とを更に備え、
    前記進行方向撮影カメラにより進行方向を撮影し、得られた進行方向撮影データを前記進行方向撮影データ送信器から外部に送信しつつ移動するよう構成された、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動体。
  5. 後方撮影カメラを更に備えた、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の移動体。
  6. 前記後方撮影カメラが進行方向に関して前記2以上のロータの後方側に位置し、該後方側から見たときに各々のロータの少なくとも一部が該後方撮影カメラによって遮られない、
    請求項5に記載の移動体。
  7. 線状部材に対して接続された、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の移動体。
  8. 前記線状部材が電力供給線を含み、
    前記移動体が、外部電源から前記電力供給線を介して電力の供給を受けつつ移動するよう構成された、
    請求項7に記載の移動体。
  9. 進行方向に関して前後に位置する2以上のロータと、
    前記2以上のロータを駆動する駆動装置であって、該2以上のロータのうち少なくとも2つを互いに異なる方向に回転させる駆動装置と、
    後方撮影カメラと
    を備え、線状部材に対して接続された移動体に、閉鎖性空間の内部を進行方向に移動させる段階と、
    前記線状部材を用いて前記移動体を前記進行方向とは逆側に移動させつつ、前記後方撮影カメラにより前記閉鎖性空間の内部を撮影する段階と
    を備えた方法。
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