JP7002170B2 - 黒鉛粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉛直上端面が大気開放され、内壁面に電極を有する炉を用いた黒鉛粉末の製造方法に関する。
高純度黒鉛粉末は、二次電池負極材料、メカニカルシール材といった粉体、または半導体製造に使用する部材として用いられる。特に、灰分が数十~数ppmオーダーの半導体製造工程で使用される製品は、高温かつ長時間の処理で高度に不純物を除去して製造され、高価である。従来、ハロゲンガスやハロゲン化物を用いた高純度黒鉛粉末の製造方法が知られている。
特許文献1には、断熱材を充填した加熱炉に黒鉛製で円筒形の加熱容器を入れ、黒鉛を供給しながら通電加熱することで、連続的に純化処理を行う装置が記載されている。特許文献2には、縮合多環炭化水素を重合させてメソフェーズピッチとしてから、熱処理および粉砕によって結晶性で平均粒径10μmの黒鉛粉末を得る方法が記載されている。特許文献3には、炭素原料粉末をバインダと共に焼成したのちにハロゲンを含む有機物を含浸させ、含浸体を熱処理することで高純度な黒鉛部材を得る方法が記載されている。
特許文献1~3に記載の方法は、いずれもハロゲン化物を用い、黒鉛中の金属酸化物を金属ハロゲン化物に還元し、沸点を下げて揮発させている。これらと同様に、バインダと共に焼成成型する、あるいは炭素内に埋没するといった方法で加熱装置内に設置したのち、ハロゲンガスやハロゲン化物の存在下で熱を加えることで灰分を低減する方法も一般的に行われている。しかし、ハロゲンガスやハロゲン化物を用いて灰分が数十ppm以下の高純度な黒鉛粉末を製造しようとすると、ガスの漏洩防止策や排ガス処理設備を設ける必要があり、高コストになる。
一方、アチソン炉(非特許文献1、特許文献4参照)を用いた黒鉛の製造方法が知られている。特許文献5記載の方法では、炉内の容器に黒鉛化したい原料を充填し細い炭素棒に電流を流すことで、簡易に黒鉛を製造している。特許文献6記載の方法では、炉内にコークスと珪石の混合物を充填し、炭素材に通電して、炭化珪素を生成し、加熱により珪素原子を熱解離して黒鉛を製造している。
特開平8-198612号公報 特開平10-121054号公報 特開2006-232565号公報 特開2015-157737号公報 昭和十年特許出願公告第525号公報 特開平9-157022号公報
新版工業炉ハンドブック、財団法人省エネルギーセンター発行、1997年11月28日、P485~488
上記のように、従来は、簡易な方法で黒鉛粉末を製造すると灰分が数十ppm以下の高純度の黒鉛粉末は製造できない。一方、高純度の黒鉛粉末を製造しようとすると高価な設備等が必要となり製造コストが嵩む。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な設備で高効率に黒鉛粉末原料内の不純物を排出し、低コストで高純度の黒鉛粉末が得られる黒鉛粉末の製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の黒鉛粉末の製造方法は、鉛直上端面が大気開放され、内壁面に電極を有する炉を用いた黒鉛粉末の製造方法であって、無機珪酸質粒子および炭素質粒子が混合された充填材の内部に埋設され、炉内の電極間を接続する黒鉛粉末原料を配置する工程と、前記黒鉛粉末原料を通電加熱する工程と、を含み、前記充填材のかさ密度は、0.50×10kg/m以上1.2×10kg/m以下であることを特徴としている。
上記のようなかさ密度の充填材で加熱することで、充填材から生じたSiOガスを黒鉛粉末原料の形状を維持しつつその内部に速く拡散させて金属酸化物を還元し、高効率で還元された金属を充填材中へ排出できる。その結果、簡易な設備で高効率に黒鉛粉末原料内の不純物を排出し、低コストで高純度の黒鉛粉末が得られる。また、黒鉛粉末原料に電流を流して直接加熱していることに加え、充填材が無機珪酸質粒子および炭素質粒子の混合物であり周囲に余分な電流が生じ難いことから、エネルギー効率を向上できる。
(2)また、本発明の黒鉛粉末の製造方法は、前記黒鉛粉末原料が、前記炉の電極が設置されていない内壁面および鉛直上端面のいずれに対しても、前記黒鉛粉末原料の代表太さの2倍以上10倍以下の間隔を空けて前記充填材の内部に埋設されていることを特徴としている。これにより、SiOガスを炉内に維持し金属不純物を効率的に除去しつつ、高純度の黒鉛粉末の収率を向上できる。
(3)また、本発明の黒鉛粉末の製造方法は、前記黒鉛粉末原料の代表太さが、50mm以上500mm以下の範囲であることを特徴としている。これにより、加熱に十分な通電を維持しつつ、黒鉛粉末原料の中心まで金属不純物を除去できる。
(4)また、本発明の黒鉛粉末の製造方法は、前記充填材のSiを除いた灰分が、前記充填材に対して重量分率で1000ppm以下であることを特徴としている。これにより、充填材から黒鉛粉末原料に流れる不純物を低減し、黒鉛粉末原料を高純度化できる。
(5)また、本発明の黒鉛粉末の製造方法は、前記充填材に含まれる炭素質粒子の重量分率が、前記炭素質粒子および無機珪酸質粒子の合計重量に対して30wt%以上60wt%以下であることを特徴としている。これにより、高い効率でSiOガスを発生させることができる。
本発明によれば、簡易な設備で高効率に黒鉛粉末原料内の不純物を排出し、低コストで高純度の黒鉛粉末が得られる。
(a)、(b)それぞれ炉、充填材および黒鉛粉末原料を示す側断面図および正断面図である。 各実施例、比較例の実験条件および16時間焼成後の灰分の測定結果を示す表である。 焼成時間と灰分量の関係を示すグラフである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、黒鉛粉末原料を、無機珪酸質原料及び炭素質原料を含む充填材内に充填し、黒鉛粉末原料を通電加熱することで、ハロゲン化物を用いず、安価に高純度黒鉛を製造できる方法を発明した。以下に、本発明の実施形態について説明する。
[高純度黒鉛が得られる原理]
一般に、黒鉛は熱処理により高純度化される。これは、揮発性物質を揮発させるとともに、黒鉛に含まれる金属の酸化物を還元して金属単体とし、蒸発させることによる。高純度化したい黒鉛をハロゲンガスで保たれた場所に置いたり、炭素中に埋没させたりすることで還元雰囲気を保つことができる。
ハロゲンガス中で加熱する方法は、ガスを介しての間接加熱となるためエネルギー効率が悪くなる。また、反応性の高いハロゲンガスを多量に使用する必要があり、ガスに対する安全対策を講ずる必要がある。内部に対象物を埋没させた炭素に電圧をかけてジュール熱で加熱する直接加熱の方法がある。しかし、他の炭素にも電流が流れてしまい、電流効率に劣る。また、炉内に粒子の流れがないため、金属が単体になったとしても、炭素原料中から排斥されにくく、不純物が残りやすい。
これに対し、黒鉛粉末原料を無機珪酸質原料および炭素質原料からなる充填材に埋没させて通電加熱すれば、黒鉛粉末原料を直接加熱でき、ガス中で加熱する場合と比較してエネルギー効率が高い。また、充填材が無機珪酸質原料および炭素質原料の混合物であることから、炭素を充填材として用いるより周囲に余分な電流が流れにくい。
また、炉内が高温になると、無機珪酸質原料と炭素質原料が反応し、活性の高いSiOガスが生じる。このSiOガスの一部が黒鉛粉末原料の間に進入するが、SiOガスは還元性が強く、黒鉛粉末原料に含まれる金属酸化物を還元できる。加熱により黒鉛粉末原料は2500℃以上に昇温し、この温度ではほとんどの金属は少なくとも一部が気化する。気化した金属は、SiOガスの流れによって黒鉛粉末原料中から充填材中に移動する。
低温になると金属は再び酸化物や炭化物になる。充填材中の方が黒鉛粉末原料中より還元雰囲気が弱くまた温度が低いため、不純物は充填材側に移動する。同様の不純物の移動は炭素中で黒鉛を高純度化する場合でも起こる。上記の製造方法では、還元性のあるSiOガスを発生させることで、黒鉛粉末原料に含まれる不純物元素を速やかに還元し充填材側へ排斥できる。その結果、黒鉛粉末原料から高純度化された黒鉛粉末を得ることができる。
[黒鉛粉末の製造方法]
次に、上記の原理に基づく黒鉛粉末の製造方法について説明する。
(炉の構成)
まず、製造方法に用いる炉の構成を説明する。図1(a)、(b)は、それぞれ炉10、充填材20および黒鉛粉末原料30を示す側断面図および正断面図である。本発明の黒鉛粉末の製造方法は、電極15a、15bつきの反応容器である炉10を用いて行う。炉10は、鉛直上端面が大気開放され、内壁面に電極を有する。
炉本体11を形成する容器の形状は特に問わないが、黒鉛粉末原料30に通電するための電極15a、15bを有していることが必要である。電極15a、15bは、容器内側の対向する両端面に設けられていることが好ましく、炉本体11は平行な対向する二面を有することが好ましい。炉本体11には、直方形の形状の容器を用いるのが簡便で好ましい。炉本体11は、反応ガスが過剰に発生した際にその濃度を適度に保つためのガス抜け用の隙間としてスリットを有してもよい。
炉本体11の材質は特に問わないが、通電時に黒鉛粉末原料からの伝熱により壁面が高温になるため、充填材と接触する部分には耐火性の高い材料を使うことが望ましい。例えば、高アルミナ質耐火れんが、珪酸カルシウムボード等が好適である。
炉本体11に保持させる電極15a、15bとしては、高純度化の観点から金属を含まない素材が好ましい。電極15a、15bは、黒鉛粉末原料からの伝熱の影響を受けることから、高温にも耐性のある黒鉛成型体が好適である。
(方法全体の手順)
黒鉛粉末原料30の埋設は、無機珪酸質粒子および炭素質粒子が混合された充填材20の内部に炉10内の電極15a、15b間を接続するように行う。
無機珪酸質原料には、化学式SiOで表される物質一般が使用できる。SiOで表される物質には、例えば、珪砂、石英粉末、結晶質シリカ粉末、非晶質シリカ粉末、シリカゲル等が挙げられる。上記SiOガスの発生は非晶質のSiOを使用した方が起こりやすいことから、非晶質シリカ粉末、シリカゲルは特に好適である。
炭素質原料には、結晶質の黒鉛、非晶質のカーボンブラックの両方が使用できる。いずれも形態は問わず、例えば土状、鱗片状等であってもよい。高純度化の対象となる黒鉛により多くの電流を流すことがエネルギーコストの面で望ましいため、炭素質原料には電導性の小さい非晶性のカーボンブラック粉末が特に適している。
充填材20に黒鉛粉末原料30を埋設し終えたら、電極15a、15bに通電する。その結果、充填された黒鉛粉末原料30が通電により発熱する。次第に伝熱により黒鉛粉末原料30から周囲の充填材20に熱が伝わり、徐々にSiOガスの発生、それに伴う黒鉛の高純度化が起こる。
反応が進んでいくと、次第に、黒鉛粉末原料30の周囲の炭素質原料と無機珪酸質原料が溶融あるいは反応し、ガラス質の組織や反応によって生じた炭化珪素結晶が生じる。このようにして黒鉛粉末原料30から高純度化した黒鉛粉末が得られる。黒鉛粉末原料に電流を流して直接加熱していることに加え、充填材が無機珪酸質粒子および炭素質粒子の混合物であり周囲に余分な電流が生じ難いことから、エネルギー効率を向上できる。
通電は、黒鉛粉末原料30周辺の温度が1500℃以上になるように電流等を調整するのが好ましい。これにより、SiOガスが生じる。後述する単離を容易にするため、硬質な炭化珪素結晶の生じやすい2200℃以上になるようにするのが特に好ましい。
所定時間の通電の後、得られた黒鉛粉末が冷めるのを待って炉本体11から取り出す。黒鉛粉末は、上記の反応中に生成したガラス質組織または炭化珪素結晶の殻に包まれたような状態となっており、充填材や、上記の殻との分離は容易に行うことができる。例えば、上記の殻ごと取り出し、殻をハンマー等で粉砕後、中の黒鉛粉末をかき出し、混入した殻をふるいで除去することができる。
このようにして、灰分を0.1%程度含む黒鉛粉末を安価に精製し、灰分を50ppm以下にまで低減できる。製造された高純度の黒鉛粉末は、高純度の黒鉛るつぼ、半導体製造部材等に使用できる。
(炉本体内の充填材および黒鉛粉末原料の詳細)
炉本体内に充填された充填材のかさ密度は、0.50×10kg/m以上1.2×10kg/m以下に調整する。かさ密度を1.2×10kg/m以下にすることで、充填材内にて発生したSiOガスの拡散速度を維持でき、不純物金属の還元反応を促進できる。また、かさ密度を0.50×10kg/m以上にすることで、充填材の一部が反応して炭化珪素(真密度3.21×10kg/m)となる反応の進行を抑制して充填材の体積を維持し、柱状に充填した黒鉛粉末原料の崩壊を防止できる。充填材のかさ密度は、0.55×10kg/m以上1.15×10kg/m以下であることがさらに好ましい。これにより、不純物金属の排出効果が高まり、さらに取扱いが容易になる。
充填材のSiを除いた灰分は、充填材に対して重量分率で1000ppm以下であることが好ましい。これにより、充填材から黒鉛粉末原料に流れる不純物を低減し、黒鉛粉末原料を高純度化できる。灰分が1000ppm以下なので、充填材の不純物の黒鉛粉末原料への移動が抑制される。その結果、有効に高純度化でき、灰分50ppm以下を達成できる。
また、充填材に含まれる炭素質粒子の重量分率は、炭素質粒子および無機珪酸質粒子の合計重量に対して30wt%以上60wt%以下であることが好ましい。これにより、高い効率でSiOガスを発生させることができる。炭素質粒子の重量分率が30wt%以上なので、無機珪酸質原料のSiOの還元反応が起こりやすく、SiOガスの発生量を確保できる。また、炭素質粒子の重量分率が60wt%以下なので、SiOの存在量を確保でき、十分なSiOガスの発生量を維持できる。
黒鉛粉末原料は、電極間を電気的に接続できればよいが、柱状に形成されていることが好ましい。そして、図1(a)に示すように、炉10の電極が設置されていない内壁面および鉛直上端面のいずれに対しても、黒鉛粉末原料30の代表太さXの2倍以上10倍以下の間隔を空けて充填材20の内部に埋設されていることが好ましい。これにより、SiOガスを炉内に維持し金属不純物を効率的に除去しつつ、高純度の黒鉛粉末の収率を向上できる。
すなわち、炉10の電極が設置されていない内壁面および鉛直上端面のいずれに対しても、黒鉛粉末原料30の代表太さの2倍以上の間隔で充填材20が充填されているため、高純度化の鍵となるSiOガスが炉外に拡散するのを防止でき、金属不純物の除去効率が向上する。また、黒鉛粉末からの伝熱が緩衝され炉壁の傷みを低減できる。炉壁から溶出した金属不純物による黒鉛粉末の汚染を防止できる。
一方、炉10の電極が設置されていない内壁面および鉛直上端面のいずれに対しても、黒鉛粉末原料30の代表太さの10倍以下の間隔で充填材20が充填されているため、充填材20の使用量を抑えられる。また、黒鉛粉末原料30の柱が細くなりすぎないため、高純度化処理中の十分な通電を確保できる。
ここで代表太さXとは、柱状に形成された黒鉛粉末原料30の代表太さであり、柱の断面が正方形である場合はその一辺の長さを指す。また、各辺の長さがAおよびBの長方形である場合はX=(A+B)/2、円柱状である場合はその直径を指す。それ以外の場合は、断面の外周の長さをLとしたとき、同じ外周の長さを持つ円の直径(すなわちX=L/π)を指す。また、黒鉛粉末原料30の代表太さXが炉内で変化する場合は、最も黒鉛粉末原料30の柱の断面積が小さい位置におけるXを採用する。
また、黒鉛粉末原料30の代表太さXは、50mm以上500mm以下の範囲であることが好ましい。黒鉛粉末原料30の代表太さXが50mm以上なので、高純度化処理中の十分な通電を確保できる。一方、500mm以下なので、SiOガスが十分に黒鉛粉末原料30中に拡散し、内部まで金属不純物を除去できる。
[実施例、比較例の実験条件]
実施例1~10、比較例1~8として黒鉛粉末を製造し、純度を測定する実験を行った。
(実施例1)
高アルミナ質耐火れんがを用いて、内寸が、幅1050mm、長さ2530mm、高さ1020mmの直方体の炉本体を作製した。そして、炉本体の長尺方向の両端の二面における、高さ480mm、短尺両側の壁から均等な位置のれんがに穴を開けて、電極として直径100mm、長さ320mmの円柱状の黒鉛成型体を挿入した。
炭素質原料としてカーボンブラック(灰分550ppm、かさ密度0.74×10kg/m)、無機珪酸質原料として非晶質シリカ(灰分670ppm、かさ密度0.53×10kg/m)を質量比4:6で混合し、灰分622ppm、かさ密度0.66×10kg/mの充填材を準備した。なお、原料のかさ密度は、炭素質原料については「JIS K 1474 活性炭試験方法 充填密度」に記される方法により、無機珪酸質原料については「JIS K 1150 シリカゲル試験方法 かさ密度」に記される方法により測定した。
また、灰分420ppm、かさ密度0.35×10kg/mの黒鉛粉末原料を準備した。ただし充填時の体積と重量から計算すると、充填時の黒鉛粉末原料のかさ密度は0.65×10kg/mである。なお、原料のかさ密度は、「JIS K 1474 活性炭試験方法 充填密度」に記される方法により測定した。
炉本体内に、充填材1610kgと黒鉛粉末原料23.7kgを充填した。この時、黒鉛粉末原料は、両端の電極を結ぶよう、幅120mm、高さ120mm、長さ2530mmの直方体状に充填した。充填高さは960mmであった。充填材と黒鉛粉末原料の充填後、両端の電極を介して黒鉛粉末原料に通電を行った。
通電加熱により、2400℃で16時間の焼成を行った後、常温になるまで空冷し、炉本体から、ガラス質および炭化珪素結晶に内包された黒鉛粉末を取り出した。回収できた黒鉛粉末全体を十分混合した上でサンプリングし、後述の灰分の算出方法に沿って黒鉛粉末の灰分の測定を行った。同様に、8時間、24時間の焼成を行った際の黒鉛粉末の灰分も測定した。なお、8時間、24時間の焼成は実施例1、比較例1、3についてのみ行った。
(実施例2)
黒鉛粉末原料の充填形状を、幅180mm、高さ180mm、長さ2530mmの直方体とし、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例3)
黒鉛粉末原料の充填形状を、幅80mm、高さ80mm、長さ2530mmの直方体とし、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例4)
無機珪酸質材料として、かさ密度1.40×10kg/m、灰分1070ppmのシリカゲルを使用し、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例5)
無機珪酸質材料として、かさ密度0.38×10kg/m、灰分540ppmの非晶質シリカ粉末を使用し、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例6)
実施例2の黒鉛粉末原料の形状と実施例4の無機珪酸質原料を採用し、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例7)
炭素質材料と無機珪酸質原料の混合比を5:5とし、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例8)
炭素質材料と無機珪酸質原料の混合比を6:4とし、その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例9)
炉本体を、内寸で長さ2100mm、幅2530mm、高さ2040mm(充填高さ2000mm)で構成し、電極を底面からの高さ960mmに配置した。黒鉛粉末原料の充填形状を、幅240mm、高さ240mm、長さ2530mmの直方体とした。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(実施例10)
炉本体を実施例9と同じ寸法で構成し、黒鉛粉末原料の充填形状を、幅360mm、高さ360mm、長さ2530mmの直方体とした。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例1)
黒鉛粉末原料の充填形状を、幅240mm、高さ240mm、長さ2530mmの直方体とした。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例2)
黒鉛粉末原料の充填形状を、幅40mm、高さ40mm、長さ2530mmの直方体とした。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例3)
無機珪酸質原料として、かさ密度1.66×10kg/m、灰分430ppmの珪砂を使用した。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例4)
無機珪酸質原料として、かさ密度0.16×10kg/m、灰分250ppmの非晶質シリカを使用した。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例5)
無機珪酸質材料として、かさ密度1.40×10kg/m、灰分1070ppmのシリカゲルを使用し、炭素質原料として、かさ密度0.91×10kg/m、灰分380ppmのカーボンブラックを使用した。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例6)
炭素質材料と無機珪酸質原料の混合比を7:3とした。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例7)
炉本体の寸法を実施例9と同じにし、黒鉛粉末原料の充填形状を、幅480mm、高さ480mm、長さ2530mmの直方体とした。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(比較例8)
炭素質原料として、かさ密度0.68×10kg/m、灰分4200ppmのカーボンブラックを使用した。その他の条件は実施例1と同様にして工程を行った。
(灰分の算出方法)
黒鉛粉末および充填材中の炭素質原料の灰分は、「JIS M 8511 天然黒鉛の工業分析及び試験方法」に記載される灰分の分析方法に準じて分析できる。非晶質の炭素質原料、例えばカーボンブラックを使用する場合も同様の分析方法を用いる。
無機珪酸質原料の灰分は、「JIS R 2212-2:2006 耐火物製品の化学分析方法-第2部:けい石質耐火物」に記載されるけい砂の分析方法を用いることができる。すなわち、酸化アルミニウム、酸化鉄(III)、酸化チタン(IV)、酸化マンガン(II)、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化りん(V)、酸化ほう素(III)を定量(質量分率として算出)し、その和を算出する。非晶質の無機珪酸質原料、例えば非晶質シリカを使用する場合も同様の分析方法を用いる。充填材全体の灰分は、充填材を構成する各原料について灰分の測定を行い、混合比率に応じて加重平均をとることで算出できる。
[実施例、比較例の実験結果]
(16時間焼成後の灰分量)
図2は、各実施例、比較例の実験条件および16時間焼成後の灰分の測定結果を示す表である。実施例1~10ではいずれの例も灰分が50ppmを下回った。比較例1~8はいずれも灰分が50ppmを大きく上回った。
なお、比較例2、4は、通電中に急激な抵抗値の上昇が見られ、電力が印加できなくなった。比較例2は、通電開始から1時間後、比較例4は通電開始から3時間後に電力が印加できなくなった。これは、黒鉛粉末原料が断線したためと考えられ、処理対象の黒鉛粉末原料の柱が細すぎたり、充填材のかさ密度が小さすぎたりすると黒鉛粉末原料の柱が崩れやすいことを示している。
比較例1、3、5、7で灰分が低減しなかった理由は、SiOガスが処理対象の黒鉛粉末原料まで浸透しなかったためと考えられる。また、比較例6で灰分が低減しなかった理由は、炭素質原料が過多でSiOガスの発生量が少なかった(あるいはすぐに炭化珪素に変化してしまった)ためと考えられる。比較例8は、カーボンブラックの純度が低く、カーボンブラック中の不純物の一部が黒鉛粉末原料中に拡散したため黒鉛粉末原料の灰分も相対的に高くなったと考えられる。
なお、炭素質材料と無機珪酸質原料の混合比を3:7とした実験は、実施していない。この実験を行うと、珪酸質原料の還元が進まず、SiOガス発生量が減るとともに、炭化珪素が生成しないことによって焼成後に充填材と黒鉛粉末の分離が困難になることが予測されたためである。
(焼成時間と灰分量の関係)
実施例1、比較例1、3について焼成時間に応じて黒鉛粉末の灰分量を確認した。図3は、焼成時間と灰分量の関係を示すグラフである。いずれも焼成16時間後でほぼ値が一定になった。これは、充填材の反応が進んでSiCの生成が盛んになったため、SiOの黒鉛粉末原料への供給が行われなくなったためと考えられる。黒鉛粉末原料の量が多い比較例1や、充填材のかさ密度が大きい比較例3では、黒鉛粉末原料に対してSiOガスの供給が十分に行われないまま反応が終了している。
以上から、黒鉛粉末原料を、炭素質および無機珪酸質からなる充填材中に埋設する際に、充填材のかさ密度、黒鉛粉末原料と充填材のサイズ比を適切な範囲にして通電させることで、黒鉛粉末を十分に高純度化できることが実証された。
10 炉
11 炉本体
15a、15b 電極
20 充填材
30 黒鉛粉末原料

Claims (1)

  1. 鉛直上端面が大気開放され、内壁面に電極を有する炉を用いた黒鉛粉末の製造方法であって、
    無機珪酸質粒子および炭素質粒子が混合された充填材の内部に埋設され、炉内の電極間を接続する黒鉛粉末原料を配置する工程と、
    前記黒鉛粉末原料を通電加熱する工程と、を含み、
    前記充填材のかさ密度は、0.50×10kg/m以上1.2×10kg/m以下であり、
    前記黒鉛粉末原料は、前記炉の電極が設置されていない内壁面および鉛直上端面のいずれに対しても、前記黒鉛粉末原料の代表太さの2倍以上10倍以下の間隔を空けて前記充填材の内部に埋設され、
    前記黒鉛粉末原料の代表太さは、50mm以上500mm以下の範囲であり、
    前記充填材のSiを除いた灰分は、前記充填材に対して重量分率で1000ppm以下であり、
    前記充填材に含まれる炭素質粒子の重量分率は、前記炭素質粒子および無機珪酸質粒子の合計重量に対して30wt%以上60wt%以下であることを特徴とする黒鉛粉末の製造方法。
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