JP7005981B2 - セラミド合成促進剤及び皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)を含有することを特徴とするセラミド合成促進剤及び該セラミド合成促進剤を含有する皮膚外用剤に関する。さらに詳細には、MELを有効成分としたセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子、あるいはスフィンゴミエリナーゼ遺伝子の発現量を向上させることのできるセラミド合成促進剤及び該セラミド合成促進剤を含有する皮膚外用剤に関する。
皮膚は、生体の最外層を覆い、外界との境界を形成して外界物質の浸入防止、水分を包含する体内成分の損失防止といったバリア機能を担っている。さらに、皮膚の最外層は角質層で構成され、その構造はレンガとモルタルに例えられ、約15層に積み重なった角層細胞を細胞間脂質が繋ぎ止める形で強固なバリア膜を形成している。角層細胞は、アミノ酸を主成分とする天然保湿因子を細胞内に含有することによって水分を保持している。一方、細胞間脂質は、約50%のセラミドを主成分とし、コレステロール、脂肪酸等の両親媒性脂質から構成されており、疎水性部分と親水性部分が交互に繰り返される層板構造、いわゆるラメラ構造を特徴としている。
この細胞間脂質の約50%を構成するセラミドは、加齢、紫外線暴露等の内的又は外的な要因によって減少することで、バリア機能が低下し、アトピー性皮膚炎、魚鱗癬、ニキビ、皮膚免疫異常、皮膚感染症等の様々な皮膚障害を誘発することが知られている。従来、セラミドの減少によって誘発される皮膚障害を抑制するために、減少したセラミドを外部から補給する手法が試みられている。しかしながら、減少したセラミドを外部から補給する手法では、効果の持続性が不十分であったりするため、その効果は満足できるものではない。
一方、セラミドは、表皮細胞の角化の過程において、セリンとパルミトイルCoAを基に、セラミド合成の律速酵素として知られるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)をはじめとした酵素の働きにより生成される。また、セラミドの生成に関わる経路としては、この新生合成経路とは別に、サルベージ経路が知られている。サルベージ経路は、セラミドが顆粒細胞内の層板顆粒として分泌されるまでにスフィンゴミエリンやグルコシルセラミドに変換され、角質細胞になる過程において、層板顆粒中のスフィンゴミエリナーゼ(SMase)やβグルコセレブロシダーゼにより、ホスホリルコリンが加水分解され、再びセラミドとなるものである。これらの経路によってセラミドが生成され、細胞間脂質としての機能を果たす(非特許文献1)。
そこで、近年、セラミドの減少によって誘発されるバリア機能低下を改善する手法として、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの発現を促進させることにより、細胞自身によるセラミドの合成を促進させる方法が検討されている。例えば、特許文献1には、アシタバの抽出物、イラクサの抽出物、インチンコウの抽出物、クマザサの抽出物、ゲンチアナの抽出物、及びトウニンの抽出物には、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を促進する作用があることが報告されている。また、特許文献2には、硫酸化グルコサミノグリカンがセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子の発現を促進する作用があることが報告されている。
しかしながら、製剤処方の多様化や、安全で効果的なセラミド合成促進作用を有する成分の更なる開発といった要望に追従するために、低濃度であってもセラミド合成促進効果を発揮する成分や、植物エキス以外の天然物に由来するセラミド合成促進効果を発揮するような成分の開発が望まれている。
このような、製剤処方の多様化や、安全で効果的な成分の開発といった背景のもと、微生物が生産する発酵物をスキンケア素材として利用するための研究開発も近年盛んに行われている。
前述の微生物が生産するスキンケア素材として、親水基と親油基を併せもつ両親媒性物質で、界面活性能を有するバイオサーファクタントが一例として挙げられる。微生物由来の界面活性剤であるバイオサーファクタントは、安全性が高く、環境への負荷が少ない生分解性に優れた環境先進型界面活性剤として研究が進められている。
現在、バイオサーファクタントとしては、糖型、アシルペプチド型、リン脂質型、脂肪酸型及び高分子化合物型の5つに分類することができるが、中でも糖型バイオサーファクタントが最もよく研究されており、細菌及び酵母によって生産された多くの種類の物質が報告されている。
そのような糖型バイオサーファクタントとして、近年マンノシルエリスリトールリピッド(以下「MEL」ということがある)がスキンケア分野において高機能エモリエント剤として用いられている。例えば非特許文献2(北本大,薬学雑誌,128(5), 695-706(2008))には、MELの生化学的な特性として、(1)ヒト急性前骨髄性白血病細胞(HL60細胞)をはじめとする各種の白血病細胞に対する増殖抑制や分化誘導、(2)ラット褐色細胞腫由来細胞(PC12)に対する神経突起の伸展促進、分化誘導、(3)悪性腫瘍であるマウスメラノーマ細胞(B16)に対する増殖抑制、分化誘導、アポトーシスを示すことが報告されている。しかしながら、MELのセラミド合成遺伝子に対する作用に関する報告は、従来全くなされていない。
特開2009-107965号公報 特開2017-88558号公報
芋川玄爾,セラミド―基礎と応用,セラミド研究会,63-73(2011年) 北本大,薬学雑誌,128(5), 695-706(2008年)
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたセラミド合成促進作用(セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進作用あるいはスフィンゴミエリナーゼ遺伝子発現促進作用等)を有し、かつ、安全性の高いセラミド合成促進剤、並びに、前記セラミド合成促進剤を利用した皮膚外用剤を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、微生物が生産する発酵物であるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)が、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子、あるいはスフィンゴミエリナーゼ遺伝子といったセラミド合成に関与する遺伝子の発現を促進する作用があり、表皮細胞におけるセラミド合成を促進できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、以下に示すような手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の構成から成る。
項1.マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)を含有することを特徴とするセラミド合成促進剤。
項2.前記MELが、MEL-A、MEL-B及びMEL-Cからなる群より選択される少なくとも1種である項1に記載のセラミド合成促進剤。
項3.前記セラミド合成促進剤が、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)遺伝子発現促進剤であることを特徴とする項1又は2に記載のセラミド合成促進剤。
項4.前記セラミド合成促進剤が、スフィンゴミエリナーゼ(SMase)遺伝子発現促進剤であることを特徴とする項1又は2に記載のセラミド合成促進剤。
項5.項1から4のいずれかに記載のセラミド合成促進剤を含むことを特徴とする皮膚外用剤。
本発明により、MELを有効成分としたセラミド合成促進剤を提供することができる。特に本発明においては、MELによる皮膚のエモリエント効果に加え、表皮細胞のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子、スフィンゴミエリナーゼ遺伝子の発現を促進することにより、セラミドの合成を促進できる。つまり、エモリエント効果による皮膚機能の保全と、セラミド合成促進作用の2つの異なる作用を期待できるので、セラミドの減少によって誘発される皮膚障害の予防又は治療に有効である。
MEL-BによるSPT遺伝子発現促進効果(2×10cells/well)を示す図である。 MEL-A及びMEL-CによるSPT遺伝子発現促進効果(1×10cells/well)を示す図である。 MEL-BによるSMase遺伝子発現促進効果(2×10cells/well)を示す図である。 MEL-A及びMEL-CによるSMase遺伝子発現促進効果(1×10cells/well)を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のセラミド合成促進剤は、MELを有効成分とすることを特徴とする。本発明により提供されるセラミド合成促進剤は、セラミドの合成を促進できるので、セラミドの減少によって誘発される皮膚障害の予防又は治療に有効である。さらに、MEL自身のエモリエント効果を有することから、保湿作用、細胞賦活作用、抗老化作用、育毛作用及び肌荒れ改善作用などの効果を有する。また、種々の配合成分を添加することにより、その効果の向上が期待される。このセラミド合成促進剤は、化粧品、医薬部外品 、医療用品、衛生用品、医薬品として提供することできる。
(MEL)
MELの構造を一般式(1)に示す。一般式(1)中、置換基R1は、同一でも異なっていてもよい炭素数4~24の脂肪族アシル基である。MELは、マンノースの4位及び6位のアセチル基の有無に基づいて、MEL-A、MEL-B、MEL-C及びMEL-Dの4種類に分類される。
Figure 0007005981000001
具体的には、MEL-Aは、一般式(1)中、置換基R2およびR3がともにアセチル基である。MEL-Bは、一般式(1)中、置換基R2はアセチル基であり、置換基R3は水素である。MEL-Cは、一般式(1)中、置換基R2が水素であり、置換基R3はアセチル基である。MEL-Dは、一般式(1)中、置換基R2及びR3がともに水素である。
上記一般式(1)で示されるMELにおける置換基R1の炭素数は、MEL生産培地に含有させる油脂類であるトリグリセリドを構成する脂肪酸の炭素数、および、使用するMEL生産菌の脂肪酸の資化の程度によって変化する。また、上記トリグリセリドが不飽和脂肪酸残基を有する場合、MEL生産菌が上記不飽和脂肪酸の二重結合部分まで資化しなければ、置換基R1として不飽和脂肪酸残基を含ませることも可能である。以上の説明から明らかなように、得られるMELは、通常、置換基R1の脂肪酸残基部分が異なる化合物の混合物の形態である。
本発明のセラミド合成促進剤に好ましく用いられるMELは、MEL-A、MEL-BもしくはMEL-Cであり、より好ましくは一般式(2)または一般式(3)にて示される構造を有するMEL-Bである。特に好ましくは、一般式(3)にて示される構造を有するMEL-Bである。尚、一般式(3)中、置換基R1は同一でも異なっていてもよく、炭素数4~24の脂肪族アシル基である。置換基R1の炭素数は上記範囲内であれば特に限定されないが、8個~14個であることがさらに好ましい。また、置換基R1は、飽和脂肪族アシル基であっても不飽和脂肪族アシル基であってもよく、特に限定されるものではない。不飽和結合を有している場合、例えば、複数の二重結合を有していても良い。炭素鎖は直鎖であっても分岐鎖状であってもよい。また、酸素原子含有炭化水素基の場合、含まれる酸素原子の数及び位置は特に限定されない。
Figure 0007005981000002
Figure 0007005981000003
なお、本発明において、MELは1種類を単独で使用してもよいが、2種以上のMELを併用することもできる。
MELは微生物を用いて培養生産することができる。例えば、Pseudozyma sp.等を培養して得られたMEL混合物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、それぞれのMEL-A、MEL-B及びMEL-Cを単離することが出来る。
本発明の組成物に添加する前記MELの使用形態は任意である。例えば、MELは、微生物培養液からの抽出物のまま、あるいは精製した高純度品を用いる。もしくは水に懸濁し、あるいは溶媒に溶かした後使用してもよい。好適なMEL-Bは精製した高純度品であり、80%~100%の純度に精製されたものが好ましく用いられる。
本発明は表皮細胞におけるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進剤又はスフィンゴミエリナーゼ遺伝子発現促進剤を提供するものであるが、MELの配合量は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子又はスフィンゴミエリナーゼ遺伝子の発現を促進する範囲で添加すれば良く、セラミド合成促進剤中において通常0.0001~1.0質量%が好ましく、0.005~0.1質量%がより好ましく、0.001~0.005質量%がさらに好ましい。0.0001質量%未満の場合、表皮細胞におけるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子又はスフィンゴミエリナーゼ遺伝子発現促進剤への作用が微弱となる可能性があり、一方、1.0質量%を超える場合、MELの界面活性効果による表皮細胞への影響が顕著となる可能性がある。
また、前記セラミド合成促進剤中に含まれ得る、前記MEL以外のその他の成分としても、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その他の成分としては、保湿剤、増粘剤、薬効成分、防腐剤、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等が挙げられる。
前記した保湿剤としては、化粧料に一般的に使用される成分であればいずれを使用してもよく、例えばピロリドンカルボン酸、乳酸、乳酸ナトリウム、アミノ酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記した増粘剤としては、化粧料に一般的に使用される成分であればいずれを使用してもよく、例えばグアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸,キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト等が挙げられる。
前記した薬効成分としては、化粧料に一般的に使用される成分であればいずれを使用してもよく、例えばビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6又はその誘導体、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類、各種動植物抽出物等が挙げられる。
前記した防腐剤としては、化粧料に一般的に使用される成分であればいずれを使用してもよく、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン等が挙げられる。
前記したpH調製剤としては、化粧料に一般的に使用される成分であればいずれを使用してもよく、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
本発明のセラミド合成促進剤は、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進作用、スフィンゴミエリン遺伝子発現促進作用に基づく優れたセラミド合成促進作用を有すると共に、安全性に優れるため、例えば、後述する本発明の皮膚外用剤への利用に好適である。
本発明の皮膚外用剤は、前記した本発明のセラミド合成促進剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。ここで、前記皮膚外用剤とは、皮膚に適用される各種の薬剤を意味し、その区分としては特に制限されるものではなく、例えば、皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものである。
前記皮膚外用剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、石鹸、ボディシャンプーなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、皮膚外用剤を製造するにあたって通常用いられる成分、例えば、収斂剤、殺菌、抗菌剤、美白剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗老化剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。
また、本発明のセラミド合成促進剤、並びに皮膚外用剤に、上述のような種々の成分を添加することにより、それらの成分に応じて、保湿作用、細胞賦活作用、抗老化作用、育毛作用及び肌荒れ改善作用などの効果を付与することが期待できる。
本発明のセラミド合成促進剤、並びに皮膚外用剤は、日常的に使用することが可能であり、有効成分である前記MELの働きによって、少なくともセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進作用、スフィンゴミエリナーゼ遺伝子発現促進作用に基づくセラミド合成促進作用を、極めて効果的に発揮させることができるものである。そのため、本発明のセラミド合成促進剤、並びに皮膚外用剤は、表皮細胞自身のセラミド合成を活発化させ、セラミド産生機能を健常に戻すことができ、例えば、加齢、乾燥肌、荒れ肌、紫外線曝露、アトピー性皮膚炎などによって減少した角層中のセラミドを増加させ、高いバリア機能及び保湿機能を有する皮膚を取り戻すことを目的とした皮膚外用剤に好適に利用可能である。このような皮膚外用剤を利用することにより、例えば、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎、乾癬など、様々な皮膚症状の予防・改善を効果的に行えるようになることが期待される。
なお、本発明のセラミド合成促進剤、並びに皮膚外用剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することも可能である。また、本発明のセラミド合成促進剤、並びに皮膚外用剤は、微生物発酵による天然由来成分を有効成分としたものであり、安全性に優れる点でも、有利である。
以下の実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに特に限定されるものではない。
(製造例)
製造例1 MEL-Aの製造
Pseudozyma antarctica(NBRC 10736)を、500ml容坂口フラスコを用いて、YM培地にて培養温度26℃で48時間通気攪拌培養した。得られた溶液を種培養液とする。得られた種培養液を、10L容ジャーファーメンターを用いて、YM培地(5% オリーブ油を含む)にて、培養温度26℃で7日間通気攪拌培養した。培養液に等量の酢酸エチルを加え攪拌し分配を行った。酢酸エチル層に無水硫酸Naを適量加え30分間静置させた後、加温濃縮し、粗MEL-Aを得た。得られた粗MEL-Aを、シリカゲルカラムを用いて、クロロホルム:アセトン=1:0、クロロホルム:アセトン=9:1、クロロホルム:アセトン1:1、クロロホルム:アセトン=3:7、クロロホルム:アセトン=0:1で溶出した。MEL-A画分を分取・濃縮し、精製MEL-Aを得た。
製造例2 MEL-Bの製造
Pseudozyma tsukubaensis(NBRC 1940)を、500ml容坂口フラスコを用いて、YM培地にて培養温度26℃で48時間通気攪拌培養した。得られた溶液を種培養液とする。得られた種培養液を、10L容ジャーファーメンターを用いて、YM培地(5% オリーブ油を含む)にて、培養温度26℃で7日間通気攪拌培養した。培養液に等量の酢酸エチルを加え攪拌し分配を行った。酢酸エチル層に無水硫酸Naを適量加え30分間静置させた後、加温濃縮し、粗MEL-Bを得た。得られた粗MEL-Bを、シリカゲルカラムを用いて、クロロホルム:アセトン=1:0、クロロホルム:アセトン=9:1、クロロホルム:アセトン1:1、クロロホルム:アセトン=3:7、クロロホルム:アセトン=0:1で溶出した。MEL-B画分を分取・濃縮し、精製MEL-Bを得た。
製造例3 MEL-Cの製造
Pseudozyma hubeiensis KM-59株(FERM-20987)を、500ml容坂口フラスコを用いて、YM培地にて培養温度26℃で48時間通気攪拌培養した。得られた溶液を種培養液とする。得られた種培養液を、10L容ジャーファーメンターを用いて、YM培地(5%オリーブ油を含む)にて、培養温度26℃で7日間通気攪拌培養した。培養液に等量の酢酸エチルを加え攪拌し分配を行った。酢酸エチル層に無水硫酸Naを適量加え30分間静置させた後、加温濃縮し、粗MEL-Cを得た。得られた粗MEL-Cを、シリカゲルカラムを用いて、クロロホルム:アセトン=1:0、クロロホルム:アセトン=9:1、クロロホルム:アセトン1:1、クロロホルム:アセトン=3:7、クロロホルム:アセトン=0:1で溶出した。MEL-C画分を分取・濃縮し、精製MEL-Cを得た。
本発明の実施例では、上述の製造例1~3で得られたMELを用いた。
実施例1:セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進作用の評価
前記MELを被験試料として用い、下記試験方法によりセリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子発現促進作用を評価した。
Collagen Coating Solution (東洋紡株式会社製)でコラーゲンコートしたT75フラスコに対して、ヒト正常新生児表皮角化細胞(NHEK)を播種し、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia-KG2)を添加して、37℃, 10%COにて培養した。適宜培地交換をおこない、80%以上コンフルエントになるまで培養を8日間継続した。培地を除去してPBSでリンスした後、トリプシン処理を行って細胞を回収した。96ウェルプレートに所定の細胞数となるように細胞を播種し、37℃, 10%COにて1日培養した。
培地を除去し、被験試料を所定濃度含有した培地に交換し、37℃, 10%COにて14時間インキュベートした。培養後は細胞を回収し、SuperPrep(登録商標) Cell Lysis & RT Kit for qPCR(東洋紡株式会社製)を用いて、細胞からcDNA調製を行った。
得られたcDNAをもとに、THUNDERBIRD SYBR(登録商標) qPCR Mix (東洋紡株式会社製)を用いて、qRT-PCRにてセリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNA遺伝子及びスフィンゴミエリナーゼ遺伝子の増幅を行った。反応液組成は添付文書に従った。ただし、反応液量は20μl/wellとし、cDNA量は3μlとした。反応サイクル条件は95℃、1分→(95℃、15秒→60℃、45秒)×40→95℃、15秒→60℃、1分→95℃、15秒で実施した。プライマーは配列番号1~6に示される塩基配列を使用した。機器はStepOnePlus(Applied Biosystems)を使用した。グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子を内部標準として使用し、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子、スフィンゴミエリナーゼ遺伝子の発現量を標準化した。これら遺伝子の発現量を、MELを添加しなかった以外は前記と同様にして確認した遺伝子の発現量(コントロール)で除算し、相対値を算出した。
得られた結果を図1~4に示す。図1~4から分かるように、NHEKにおいて、MELを添加した条件において、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ遺伝子及びスフィンゴミエリナーゼ遺伝子の発現量の増加が認められた。本結果から、MELは、表皮細胞においてセラミド合成遺伝子の発現を促進し、セラミド合成を促進できることが明らかとなった。
以下に、本発明における皮膚外用剤としての処方例を示す。
化粧水
下記組成に従い、化粧水を常法により製造した。
・精製水・・・90.70g
・グリセリン・・・3.00g
・フェノキシエタノール・・・0.20g
・ブチレングリコール・・・5.00g
・ペンチレングリコール・・・1.00g
・MEL-B・・・0.10g
ジェル
下記組成に従い、ジェルを常法により製造した。
・精製水・・・88.80g
・カルボマー・・・0.30g
・キサンタンガム・・・0.10g
・アルギニン・・・0.40g
・グリセリン・・・5.00g
・フェノキシエタノール・・・0.20g
・ブチレングリコール・・・5.00g
・MEL-B・・・0.2g
クリーム
下記組成に従い、クリームを常法により製造した。
・精製水・・・58.50g
・ブチレングリコール・・・10.00g
・グリセリン・・・5.00g
・フェノキシエタノール・・・0.20g
・エチルヘキシルグリセリン・・・0.20g
・スクワラン・・・10.00g
・オリーブ油・・・10.00g
・ベヘニルアルコール・・・2.50g
・ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10・・・1.90g
・ステアロイル乳酸Na・・・0.60g
・パルミチン酸セチル・・・1.00g
・MEL-B・・・0.10g
これらの製剤は、いずれも表皮細胞のセリンパルミトイルトランスフェラーゼmRNAの発現量を増大させる効果が期待され、セラミドの合成促進に有効である。
本発明のセラミド合成促進剤、並びに皮膚外用剤は、表皮細胞自身のセラミド合成を活発化させ、セラミド産生機能を健常に戻すことができるので、例えば、加齢、乾燥肌、荒れ肌、紫外線曝露、アトピー性皮膚炎などによって減少した角層中のセラミドを増加させ、高いバリア機能及び保湿機能を有する皮膚を取り戻すことを目的とした皮膚外用剤に好適に利用可能である。

Claims (4)

  1. マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)を含有してなり、かつ、セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)遺伝子及びスフィンゴミエリナーゼ(SMase)遺伝子の発現を促進する作用を有する、セラミド合成促進剤。
  2. 前記MELが、MEL-A、MEL-B及びMEL-Cからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のセラミド合成促進剤。
  3. 前記MELを0.0001~1.0重量%含有する、請求項1または2に記載のセラミド合成促進剤。
  4. 請求項1からのいずれかに記載のセラミド合成促進剤を含むことを特徴とする皮膚外用剤。
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