図1に示されるように、比較例に係る2線式伝送器900は、2本の伝送線L1及びL2を介して外部回路10に接続されている。2線式伝送器900は、外部回路10が供給する電力によって動作する。つまり、2線式伝送器900は、外部回路10を電源として動作する。外部回路10は、電圧源Ebと抵抗R1とを有する。電圧源Ebと抵抗R1とは、伝送線L1及びL2に対して直列に接続されている。2線式伝送器900は、ダイオードD1を介して伝送線L1からIoutで表される電流を引き込み、抵抗R3を介して伝送線L2にIoutで表される電流を流すことによって、外部回路10に電流信号Ioutを出力する。
比較例に係る2線式伝送器900は、センサ50に接続されている。2線式伝送器900は、センサ50から測定データを取得する。センサ50は、2線式伝送器900からの電力で動作する。センサ50は、圧力又は温度等の物理量を測定し、測定信号S1に変換し、2線式伝送器900に出力する。
比較例に係る2線式伝送器900は、測定データ処理回路102と、電流出力回路106と、シャントレギュレータ回路108とを備える。
測定データ処理回路102は、信号処理回路104を備える。信号処理回路104は、センサ50から測定信号S1を取得し、測定信号S1に対して直線性補正等の所定の処理を実行する。信号処理回路104は、所定の処理を実行した測定信号S1をパルス幅変調方式で変調し、変調した信号を、切替え制御信号としてスイッチSW1に出力する。パルス幅変調方式で変調した信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号とも称される。スイッチSW1に出力されるPWM信号は、電流信号用PWM信号と称される。スイッチSW1は、2つの固定接点と1つの可動接点とを有する。スイッチSW1は、一方の固定接点において、VR1で表される電圧を出力する第1基準電圧源PR1に接続されている。スイッチSW1は、他方の固定接点において、VR2で表される電圧を出力する第2基準電圧源PR2に接続されている。スイッチSW1は、可動接点において、信号線L3に接続されている。スイッチSW1の可動接点の接続先は、入力される電流信号用PWM信号の電圧レベルの変化に応じて、2つの固定接点の間で切り替わる。これによって、測定データ処理回路102は、VR1とVR2との間で電圧が変化する信号を、信号S2として信号線L3に出力する。
電流出力回路106は、信号線L3を介して入力される信号S2に基づいて、外部回路10に出力する電流信号の値を決定する。電流信号Ioutは、4mAから20mAまでの電流によって表される。電流出力回路106は、LPF(Low Pass Filter)3と、バッファ増幅器Q1と、誤差増幅器Q2と、トランジスタQ3及びQ4とを備える。トランジスタQ4のエミッタ及びコレクタに対して並列に抵抗R8が接続されている。2線式伝送器900は、外部回路10から抵抗R8を介して供給される電力によって起動できる。LPF3は、抵抗R2と容量C1とを有し、信号S2を平滑化する。バッファ増幅器Q1は、平滑化された信号S2をバッファリングし、信号Va’として出力する。伝送線L2の電圧は、Vbで表されるとする。誤差増幅器Q2は、信号Va’と電圧Vbとの電位差を抵抗R4と抵抗R5とで分圧した電圧と、第1基準電圧源PR1が出力する電圧VR1を抵抗R6と抵抗R7とで分圧した電圧との誤差を検出し、それらの電圧が一致するように、トランジスタQ3及びQ4に流れる電流を制御する。トランジスタQ4が外部回路10から引き込む電流は、センサ50が出力した測定信号S1に応じた電流信号Ioutとなる。通常、電流信号Ioutは、センサ50の測定結果が設定スパンに対して0%であるときに4mAとなり、100%であるときに20mAとなるように決定される。センサ50が出力する測定信号S1が小さいほど、電流信号Ioutが小さくなる。
測定データ処理回路102は、基準電圧出力部110をさらに備える。信号処理回路104は、基準電圧出力部110に、センサ50から取得した測定信号S1に応じた電気信号を出力する。
比較例に係る2線式伝送器900は、基準電圧処理回路112をさらに備える。基準電圧出力部110は、基準電圧処理回路112に、信号処理回路104から入力される電気信号に応じて、基準電圧を出力する。基準電圧出力部110は、基準電圧を表す基準電圧用信号としてPWM信号を採用する。基準電圧を表すPWM信号は、基準電圧用PWM信号と称される。基準電圧出力部110は、信号処理回路104から入力される電気信号が小さいほど、つまり、センサ50から出力される測定信号S1が小さいほど、高いデューティ比を有する基準電圧用PWM信号を出力する。基準電圧出力部110は、信号処理回路104から入力される電気信号が大きいほど、つまり、センサ50から出力される測定信号S1が大きいほど、低いデューティ比を有する基準電圧用PWM信号を出力する。ここで、センサ50から出力される測定信号S1が小さい場合、電流信号Ioutは例えば4mA等の小さい値となっている。
基準電圧処理回路112は、LPF4と誤差増幅器Q5と抵抗R10及びR11とを備える。LPF4は、抵抗R9と容量C2とを有する。基準電圧処理回路112は、LPF4によって基準電圧用PWM信号を平滑化し、誤差増幅器Q5と抵抗R10及びR11とによって負帰還増幅を行い、その出力Vrefをシャントレギュレータ回路108に出力する。
シャントレギュレータ回路108は、誤差増幅器Q6とトランジスタQ7と抵抗R13及びR14とを備える。誤差増幅器Q6は、誤差増幅器Q5の出力Vrefと、回路に印加されている回路電圧V1を抵抗R13と抵抗R14とで分圧した電圧との誤差を検出し、それらが一致するようにトランジスタQ7とともに回路電圧V1を制御する。トランジスタQ7のドレイン電流は、IDと表されている。回路電圧V1は、接地線と電源線との間に印加されている電圧に対応する。接地線は、COMとして表されている接地点に接続されている配線である。接地線の電圧は、接地電圧又はCOM電圧ともいう。電源線は、伝送線L1にダイオードD1とトランジスタQ4又は抵抗R8を介して接続されている配線である。
上記動作によって、電流信号Ioutが小さいことによって2線式伝送器900に外部回路10から流れ込む電流が小さい場合に、回路電圧V1が高くなる。このようにすることで2線式伝送器900の内部で消費可能な電力が増える。回路電圧V1を入力電圧としたDC-DCコンバータが使用される場合、DC-DCコンバータの出力側(2次側)で使用可能な電流が増やされる。
比較例に係る2線式伝送器900は、コンパレータ回路113をさらに備える。コンパレータ回路113は、比較器Q8を備える。比較器Q8の反転入力端子に、基準電圧用PWM信号をLPF4で平滑化した電圧が入力される。比較器Q8の非反転入力端子に、回路電圧V1を抵抗R13と抵抗R14とで分圧した電圧が入力される。比較器Q8は、これらの電圧を比較し、非反転入力端子に入力される電圧が低下した場合、つまり、回路電圧V1が低下した場合、信号処理回路104に対して出力する電圧の反転によって、信号処理回路104に異常を知らせる。信号処理回路104は、比較器Q8から入力される電圧の反転を検出した場合、測定信号S1の現在値を保存する等の処理を実行する。
以上説明してきたように、比較例に係る2線式伝送器900において、基準電圧出力部110は、センサ50から入力される測定信号S1が小さいほど、高いデューティ比を有する基準電圧用PWM信号を出力する。このようにすることで、センサ50から入力される測定信号S1が小さいほど、シャントレギュレータ回路108が制御する回路電圧V1は高くなる。つまり、外部回路10から供給される電流に対応する電流信号Ioutが小さい場合に、回路電圧V1が高くされる。その結果、2線式伝送器900の回路内で消費可能な電力が増える。
比較例に係る2線式伝送器900において、電流出力回路106に信号を出力するLPF3の過渡応答特性と、シャントレギュレータ回路108に信号を出力するLPF4の過渡応答特性とは、互いに異なることがある。LPF3及びLPF4の過渡応答特性が互いに異なる場合、電流出力回路106又はシャントレギュレータ回路108が想定と異なる動作をする可能性がある。
例えば、LPF4の過渡応答よりもLPF3の過渡応答が速い場合、電流出力回路106による電流信号の変化は、シャントレギュレータ回路108による回路電圧V1の変化より速くなる。
電流出力回路106が電流信号を大きくする場合、電流信号が大きくなることによって、抵抗R1及びR3での電圧降下が大きくなる。抵抗の電圧降下が大きくなることによって、トランジスタQ4のエミッタ電圧が小さくなる。一方で、LPF4の過渡応答がLPF3の過渡応答よりも遅いことによって、回路電圧V1が高いままに制御されている。回路電圧V1が高いままであることによって、トランジスタQ4のコレクタ-エミッタ間の電圧が小さくなる。コレクタ-エミッタ間の電圧が小さくなることによって、トランジスタQ4は飽和する。トランジスタQ4が飽和している場合、トランジスタQ4のコレクタ電流が増えにくい。電流出力回路106がトランジスタQ4のコレクタ電流を増やすことによって電流信号を大きくする場合、誤差増幅器Q2の出力電圧を大きくし、トランジスタQ3のコレクタ電流を増やし、トランジスタQ4のベース電流を増やそうとする。しかし、誤差増幅器Q2の出力電圧の上限によって、トランジスタQ3のコレクタ電流を十分に増やせないことがある。その結果、測定データに基づいて出力すべき電流信号の大きさが確保できないことが起こりうる。
電流出力回路106が電流信号を小さくする場合、電流信号が小さくなる速さに比べて、回路電圧V1が大きくなる速さが遅い。つまり、電流信号が小さくなった場合に、回路電圧V1が小さいままとなる状態が発生しうる。この場合、2線式伝送器900の各回路に供給される電力が減少する。その結果、2線式伝送器900が動作停止(リセット)状態になりうる。
例えば、LPF4の過渡応答よりもLPF3の過渡応答が遅い場合、電流出力回路106による電流信号の変化は、シャントレギュレータ回路108による回路電圧V1の変化より遅くなる。電流出力回路106が電流信号を大きくしようとする場合、回路電圧V1が先に小さくなってしまう状態が発生しうる。この場合、2線式伝送器900の各回路に供給される電力が減少する。その結果、2線式伝送器900が動作停止(リセット)状態になりうる。電流出力回路106が電流信号を小さくしようとする場合、回路電圧V1が先に大きくなってしまう状態が発生しうる。この場合、トランジスタQ4が飽和しうる。その結果、トランジスタQ4のコレクタ電流を十分に増やせず、測定データに基づいて出力すべき電流信号の大きさが確保できないことが起こりうる。
比較例に係る2線式伝送器900は、起動時に想定と異なる動作をする可能性がある。起動時において、2線式伝送器900に印加される回路電圧V1は、時間の経過とともに上昇していく。回路電圧V1が上昇している途中において、誤差増幅器Q5が動作していない場合、誤差増幅器Q5の出力は、高インピーダンスとなっている。この場合、誤差増幅器Q5の出力は、抵抗R10及びR11によってCOM電圧にプルダウンされている状態となっている。この状態で、シャントレギュレータ回路108に含まれる誤差増幅器Q6の非反転入力端子には、COM電圧が入力されている。誤差増幅器Q6の反転入力端子の電圧は、抵抗R14にかかる電圧だけCOM電圧よりも高いので、非反転入力端子の電圧より高くなる。この状態で、誤差増幅器Q6が先に動作する場合、誤差増幅器Q6は、COM電圧を出力する。誤差増幅器Q6がCOM電圧を出力することによってトランジスタQ7のゲートにCOM電圧が入力される。トランジスタQ7のゲートとドレインとが同じCOM電圧となることによって、トランジスタQ7がオン状態となる。トランジスタQ7がオン状態となる場合、2線式伝送器900に入力される電流は、トランジスタQ7に流れ、他の回路に流れにくくなる。電流がトランジスタQ7以外の回路に流れにくくなる結果として、2線式伝送器900が起動できなくなることがある。
そこで、本開示は、2つのLPF間で過渡応答特性が異なるような、回路パラメータの誤差がある場合でも、回路が想定通りに動作可能な2線式伝送器を説明する。
(本開示の実施形態)
図2に示されるように、一実施形態に係る2線式伝送器100は、測定データ処理回路102と、電流出力回路106と、シャントレギュレータ回路108とを備える。2線式伝送器100は、コンパレータ回路113をさらに備えてよい。測定データ処理回路102は、信号処理回路104と、第1信号生成回路105とを備えてよい。
図2において、実線は、外部回路10から電力の供給を受けるための電気配線を表している。外部回路10は、電圧源Ebと抵抗R1とを有する。電圧源Ebと抵抗R1とは、伝送線L1及びL2に対して直列に接続されている。2線式伝送器100は、外部回路10が供給する電力によって動作する。つまり、2線式伝送器100は、外部回路10を電源として動作する。電流出力回路106は、外部回路10から電流信号Ioutに対応する電流を引き込む。電流出力回路106は、引き込む電流の大きさを制御することによって、外部回路10に出力する電流信号Ioutを生成する。電流信号Ioutは、4mAから20mAまでの電流によって表されるとする。電流信号Ioutは、異なる電流値によって表されてもよい。外部回路10は、電流信号Ioutに基づいて、2線式伝送器100から情報を取得できる。シャントレギュレータ回路108は、2線式伝送器100の各構成部に印加される回路電圧V1を決定する。信号処理回路104、第1信号生成回路105及びコンパレータ回路113は、シャントレギュレータ回路108で決定された回路電圧V1で動作してよいし、降圧電源IC(Integrated Circuit)等によって回路電圧V1を降圧した電圧で動作してもよい。2線式伝送器100の各構成部に供給される電力は、回路電圧V1に基づいて決定される。
センサ50は、圧力又は温度等の物理量を測定し、測定データを電気信号に変換し、2線式伝送器100に出力する。センサ50は、2線式伝送器100からの電力で動作してよい。センサ50は、2線式伝送器100からの電力ではなく、他の電源からの電力によって動作してもよい。
図2において、破線は、各構成部間の信号の流れを表している。信号処理回路104は、センサ50から測定データに基づく電気信号を取得する。測定データに基づく電気信号は、測定信号ともいう。信号処理回路104がセンサ50から取得する測定信号は、S1で表されるとする。信号処理回路104は、第1信号生成回路105に測定信号に基づく信号を出力する。測定信号に基づく信号は、S2で表されるとする。第1信号生成回路105は、信号処理回路104から取得した信号に基づいて第1信号Vaを生成する。つまり、測定データ処理回路102は、測定データに基づく第1信号Vaを生成する。測定データ処理回路102は、第1信号Vaを電流出力回路106と、シャントレギュレータ回路108とに出力する。電流出力回路106は、入力された第1信号Vaに基づいて、電流信号Ioutを決定する。通常、電流信号Ioutは、センサ50の測定結果が設定スパンに対して0%であるときに4mAとなり、100%であるときに20mAとなるように決定される。センサ50が出力する測定信号が小さいほど、電流信号Ioutが小さくなる。シャントレギュレータ回路108は、入力された第1信号Vaに基づいて、回路電圧V1を決定する。回路電圧V1は、接地線と電源線との間に印加されている電圧に対応する。接地線は、COMとして表されている接地点に接続されている配線である。接地線の電圧は、接地電圧又はCOM電圧ともいう。接地線は、伝送線L2に接続している配線である。電源線は、電流出力回路106を介して伝送線L1に接続している配線である。外部回路10は、電源線を介して、2線式伝送器100に電力を供給する。シャントレギュレータ回路108は、回路電圧V1に基づく信号をコンパレータ回路113に出力する。コンパレータ回路113は、シャントレギュレータ回路108から取得した信号に基づいて、回路電圧V1に異常があるか否かを表す信号を生成し、信号処理回路104に出力する。
図3を参照して、測定データ処理回路102の動作を説明する。
2線式伝送器100は、測定データ処理回路102でセンサ50に接続可能であり、図3においてセンサ50に接続されている。2線式伝送器100は、センサ50から測定データを取得する。センサ50は、2線式伝送器100からの電力で動作してよい。センサ50は、2線式伝送器100からの電力ではなく、他の電源からの電力によって動作してもよい。
測定データ処理回路102は、信号処理回路104と、スイッチ回路103と、第1信号生成回路105とを備える。
信号処理回路104は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用的な集積回路によって構成されてよい。信号処理回路104は、所定のプログラムを実行することによって、種々の機能を実現してよい。信号処理回路104は、記憶部を有してよい。2線式伝送器100は、信号処理回路104とは別個の構成部として記憶部を備えてもよい。記憶部は、信号処理回路104の動作に用いられる各種情報、又は、信号処理回路104の機能を実現するためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、信号処理回路104のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。
信号処理回路104は、センサ50から測定信号S1を取得する。信号処理回路104は、RS485等の規格に基づいてセンサ50と通信してよい。
信号処理回路104は、測定信号S1を、PWM信号に変換し、スイッチ回路103に出力する。スイッチ回路103に出力されるPWM信号は、電流信号用PWM信号と称される。信号処理回路104は、測定信号S1をPWM信号に変換する前に、測定信号S1に直線性補正等の所定の処理を実行してよい。所定の処理は、例えば、直線性補正等の処理を含んでよい。信号処理回路104は、測定信号S1を、パルス幅変調方式に限られず、例えば、パルス密度変調方式又はパルス振幅変調方式等の種々の変調方式で変調してもよい。
スイッチ回路103は、スイッチSW1と、第1基準電圧源PR1と、第2基準電圧源PR2とを備える。第1基準電圧源PR1及び第2基準電圧源PR2はそれぞれ、VR1及びVR2で表される電圧を出力する。スイッチSW1は、2つの固定接点と1つの可動接点とを有する。各固定接点は、第1基準電圧源PR1と第2基準電圧源PR2とに接続されている。可動接点は、第1信号生成回路105に信号を出力する信号線L3に接続されている。
スイッチSW1の可動接点は、信号処理回路104から入力されるPWM信号の電圧レベルに基づいていずれかの固定接点に接触することによって、信号線L3にVR1及びVR2のいずれかの電圧を出力する。PWM信号は、High及びLowとそれぞれ称される2つの電圧レベルの信号を含む。Highと称される電圧レベルは、Hレベルともいう。Lowと称される電圧レベルは、Lレベルともいう。PWM信号は、所定期間内における各電圧レベルの時間の比を表すデューティ比によって、0~100%の値を表す。例えば、所定期間内において、半分の時間でHレベルが続き、残りの半分の時間でLレベルが続くPWM信号は、50%を表す。所定期間内の全ての時間でLレベルが続くPWM信号は、0%を表す。所定期間内の全ての時間でHレベルが続くPWM信号は、100%を表す。本実施形態において、Lレベルは、接地電圧であるとする。Lレベルの電圧は、L電圧ともいう。Hレベルは、所定電圧であるとする。所定電圧は、適宜設定されてよい。Hレベルの電圧は、H電圧ともいう。スイッチSW1の可動接点は、例えば、PWM信号の電圧レベルがLレベルである場合に第1基準電圧源PR1に接続されている固定接点に接触し、VR1で表される電圧を信号線L3に出力してよい。スイッチSW1の可動接点は、例えば、PWM信号の電圧レベルがHレベルである場合に第2基準電圧源PR2に接続されている固定接点に接触し、VR2で表される電圧を信号線L3に出力してよい。スイッチ回路103が可動接点の接触する先を制御することによって、VR1及びVR2のいずれかの電圧レベルを含む信号S2が信号線L3に出力される。信号S2は、制御信号ともいう。
第1信号生成回路105は、抵抗R2と容量C1とを含むLPF1を含む。第1信号生成回路105は、バッファ増幅器Q1をさらに含んでもよい。バッファ増幅器Q1は、オペアンプであるとする。第1信号生成回路105は、LPF1で信号S2を平滑化し、直流信号に変換する。第1信号生成回路105は、バッファ増幅器Q1で、LPF1で変換された直流信号をバッファリングし、第1信号Vaとして出力する。第1信号生成回路105は、信号線L4を介して、第1信号Vaを電流出力回路106に出力する。第1信号生成回路105は、信号線L5を介して、第1信号Vaをシャントレギュレータ回路108に出力する。第1信号生成回路105は、LPF1とバッファ増幅器Q1とに分けられている構成に限られず、LPF1とバッファ増幅器Q1とが一体となったアクティブフィルタとして構成されてもよい。第1信号生成回路105において、LPF1がアクティブフィルタに置き換えられてもよい。
図4を参照して、電流出力回路106の動作を説明する。
図4に示されるように、電流出力回路106は、伝送線L1及びL2を介して外部回路10に接続されている。つまり、一実施形態に係る2線式伝送器100は、外部回路10に接続可能である。外部回路10は、電圧源Ebと抵抗R1とを有する。電圧源Ebと抵抗R1とは、伝送線L1及びL2に対して直列に接続されている。電流出力回路106は、ダイオードD1を介して伝送線L1からIoutで表される電流を引き込み、抵抗R3を介して伝送線L2にIoutで表される電流を流すことによって、外部回路10に電流信号を出力する。電流出力回路106は、測定データ処理回路102から第1信号Vaを取得する。電流出力回路106は、第1信号Vaに基づいて、電流信号Ioutを外部回路10に出力する。つまり、2線式伝送器100は、第1信号Vaに基づいて外部回路10に出力する電流信号Ioutを決定する。外部回路10は、電流信号Ioutに基づいて、2線式伝送器100からセンサ50の測定データに基づく情報を取得できる。
電流出力回路106は、誤差増幅器Q2を含む。誤差増幅器Q2は、オペアンプであるとする。誤差増幅器Q2の非反転端子は、抵抗R4を介して、測定データ処理回路102から第1信号Vaを入力する信号線L4に接続されている。信号線L4は、抵抗R4、R5及びR3を介して接地線に接続している。伝送線L2の電圧は、Vbで表されるとする。第1信号Vaと電圧Vbとの電位差を抵抗R4と抵抗R5とで分圧した電圧が誤差増幅器Q2の非反転端子に入力される。電圧Vbは、抵抗R3に流れる電流によって抵抗R3の両端に生じる電圧降下に対応する。抵抗R3に流れる電流は、電流信号Ioutに対応する。第1信号Vaと電圧Vbとの電位差を抵抗R4と抵抗R5とで分圧した電圧が誤差増幅器Q2の非反転端子に入力されることによって、電流信号Ioutに関する信号が誤差増幅器Q2の非反転端子にフィードバックされる。誤差増幅器Q2の反転端子は、抵抗R6を介して第1基準電圧源PR1に接続されており、抵抗R7を介して接地線に接続されている。第1基準電圧源PR1が出力する電圧VR1を、抵抗R6と抵抗R7とで分圧した電圧が誤差増幅器Q2の反転端子に入力される。
電流出力回路106は、トランジスタQ3とトランジスタQ4とを含む。トランジスタQ3は、npnトランジスタであるとする。トランジスタQ4は、pnpトランジスタであるとする。トランジスタQ4は、エミッタの側でダイオードD1を介して、外部回路10と2線式伝送器100とを接続する伝送線L1に接続されており、コレクタの側で電源線に接続されている。トランジスタQ4のエミッタ及びコレクタに対して並列に抵抗R8が接続されている。2線式伝送器100は、外部回路10から抵抗R8を介して供給される電力によって起動できる。トランジスタQ4のベースは、トランジスタQ3のコレクタに接続されている。トランジスタQ3のエミッタは、ダイオードD2を介して接地線に接続されている。トランジスタQ3のエミッタは、ダイオードを介さずに接地線に接続されていてもよいし、抵抗又はその他の素子を介して接地線に接続されていてもよい。誤差増幅器Q2の出力は、トランジスタQ3のベースに接続されている。つまり、誤差増幅器Q2の出力は、トランジスタQ3のベースに入力される。
誤差増幅器Q2は、非反転端子に入力される電圧と反転端子に入力される電圧との差を検出し、その差を増幅して出力する。誤差増幅器Q2は、非反転端子に入力される電圧と反転端子に入力される電圧とが一致するように、トランジスタQ3及びQ4に流れる電流を制御する。具体的には、誤差増幅器Q2の出力に基づいて、トランジスタQ3のベース電流が決定されるとともに、トランジスタQ3のコレクタ電流が決定される。トランジスタQ4において、エミッタ電流は、ベース電流によって決定される。トランジスタQ4のベース電流は、誤差増幅器Q2の出力に基づいて決定されるトランジスタQ3のコレクタ電流に一致する。よって、トランジスタQ4のエミッタ電流は、誤差増幅器Q2の出力に基づいて決定される。トランジスタQ4のエミッタ電流は、外部回路10から引き込まれる、Ioutで表される電流信号に対応する。誤差増幅器Q2の非反転端子は、抵抗R3を通じて接地線に接続されている。つまり、誤差増幅器Q2の出力は、抵抗R3を通じて誤差増幅器Q2の非反転端子にフィードバックされる。
電流出力回路106の各回路要素のパラメータは、センサ50の測定データの測定レンジと、電流信号の大きさの範囲とが対応するように適宜設定されうる。電流信号が計装用標準信号である場合、測定データの測定レンジに対応する電流信号の大きさの範囲が4mA以上且つ20mA以下となるように、パラメータが設定されてよい。センサ50の測定信号は、センサ50の測定レンジの下限に対応する信号として0%の値を表し、測定レンジの上限に対応する信号として100%の値を表してよい。つまり、測定信号は、センサ50の測定データを0%から100%までの値で表してよい。電流信号の大きさは、測定信号が0%の値を表す場合に下限値の4mAとされ、測定信号が100%の値を表す場合に上限値の20mAとされてよい。
例えば以下に項目(a)~(f)として示される条件を前提として、電流信号の大きさが設定されうる。
(a)R6>>R7
(b)R4=R5
(c)R5>>R3
(d)VR1=0.4V
(e)VR2=2.0V
(f)スイッチSW1は、入力されるPWM信号の電圧レベルがLレベルの場合、VR1を信号線L3に出力し、Hレベルの場合、VR2を信号線L3に出力する。
上記項目(a)~(f)の条件下で、電流出力回路106は、以下のように動作する。項目(a)に基づいて、誤差増幅器Q2の反転端子の電圧は、COM電圧になる。誤差増幅器Q2は、非反転端子の電圧がCOM電圧になるように、トランジスタQ3及びQ4の電流を制御する。このとき、項目(b)に基づいてVb=-Vaが成立するとともに、項目(c)に基づいてIout=Va/R3が成立する。ここで、抵抗R3の抵抗値は、100Ωであるとする。項目(d)~(f)に基づいて、第1信号生成回路105が出力する第1信号Vaは、PWM信号の電圧レベルがLレベルで一定となっている場合に0.4Vとなる。この場合、電流信号Ioutは、下限値の4mAとなる。第1信号Vaは、PWM信号の電圧レベルがHレベルで一定となっている場合に2.0Vとなる。この場合、電流信号Ioutは、上限値の20mAとなる。このようにして、電流信号の下限値及び上限値が設定されうる。
図5を参照して、シャントレギュレータ回路108の動作を説明する。
シャントレギュレータ回路108は、測定データ処理回路102から第1信号Vaを取得する。シャントレギュレータ回路108は、第1信号Vaに基づいて、2線式伝送器100に印加する回路電圧V1を制御する。回路電圧V1は、接地線と電源線との間に印加されている電圧に対応する。図5において、接地線は、COMとして表されている接地点に接続されている配線である。接地線の電圧は、接地電圧又はCOM電圧ともいう。電源線は、V1と表されている配線である。
図5に示されるように、シャントレギュレータ回路108は、誤差増幅器Q6を含む。誤差増幅器Q6は、オペアンプであるとする。誤差増幅器Q6の反転端子は、抵抗R17を介して、測定データ処理回路102から第1信号Vaを入力する信号線L5に接続されている。抵抗R17と誤差増幅器Q6の非反転端子との間に位置する節点N1は、抵抗R14とを介して接地線に接続されている。節点N1は、抵抗R13及びR18を介して電源線に接続されている。節点N1の電圧は、第1信号Vaを抵抗R17と抵抗R14とで分圧した電圧となる。つまり、第1信号Vaを抵抗R17と抵抗R14とで分圧した電圧が誤差増幅器Q6の反転端子に入力される。誤差増幅器Q6の非反転端子は、第2基準電圧源PR2に接続されている。第2基準電圧源PR2が出力する電圧VR2が誤差増幅器Q6の非反転端子に入力される。
シャントレギュレータ回路108は、トランジスタQ7を含む。トランジスタQ7は、pチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるとする。トランジスタQ7は、pチャネルMOSFETに限られず、pnpトランジスタであってもよい。誤差増幅器Q6の反転入力端子への入力と非反転入力端子への入力とが交換される場合に、トランジスタQ7は、nチャネルMOSFET又はnpnトランジスタに置き換えられてもよい。トランジスタQ7は、ソースで電源線に接続されており、ドレインで接地線に接続されている。誤差増幅器Q6の出力は、トランジスタQ7のゲートに接続されている。つまり、誤差増幅器Q6の出力は、トランジスタQ7のゲートに入力される。
誤差増幅器Q6は、非反転端子に入力される電圧と反転端子に入力される電圧との差を検出し、その差を増幅して出力する。誤差増幅器Q6は、非反転端子に入力される電圧と反転端子に入力される電圧とが一致するように、トランジスタQ7に流れる電流Icを制御する。具体的には、シャントレギュレータ回路108は、誤差増幅器Q6の反転端子の電圧がVR2になるように回路電圧V1を制御する。つまり、節点N1の電圧がVR2に制御される。節点N1の電圧がVR2である場合、抵抗R14に流れる電流Idは、Id=VR2/R14で算出され、一定値となる。
第1信号Vaと節点N1の電圧との差に基づいて抵抗R17に流れる電流Iaは、Ia=(Va-VR2)/R17で算出される。
回路電圧V1と節点N1の電圧との差に基づいて抵抗R18及びR13に流れる電流Ibは、Ib=(V1-VR2)/(R13+R18)で算出される。
電流Idは、電流Iaと電流Ibとの和に対応する。電流Idが一定値であることに基づけば、電流Iaが大きくなるほど、Ibが小さくなる。電流Ia及び電流Ibをそれぞれ算出する式に基づけば、第1信号Vaが大きいほど、回路電圧V1が小さくなる。
Id=Ia+Ibが成り立つことから、回路電圧V1は、以下の式(1)で算出される。
V1=[1+(R13+R18)/R17+(R13+R18)/R14]×VR2-(R13+R18)/R17×Va (1)
仮に、項目(g)~(i)として以下に示されるような具体的な数値が抵抗値として適用される場合、回路電圧V1は、電流信号Ioutが4mAである場合に12Vとなり、電流信号Ioutが20mAである場合に6Vとなる。
(g)R14=150kΩ
(h)R17=80kΩ
(i)R18+R13=300kΩ
式(1)の右辺第1項は、回路電圧V1がVR2に基づいて決定されることを表している。式(1)の右辺第2項は、回路電圧V1がVaに基づいて決定されることを表している。2線式伝送器100の起動時において、第1信号生成回路105のバッファ増幅器Q1の出力は、高インピーダンスになりうる。バッファ増幅器Q1の出力が高インピーダンスである場合、バッファ増幅器Q1が出力する第1信号Vaは不定となりうる。しかし、Vaが不定となっている場合でも、回路電圧V1は、上記式(1)の右辺第1項に基づいて決定されうる。その結果、起動時に回路電圧V1が不定となる状態が避けられる。
回路電圧V1が決定されることによって、シャントレギュレータ回路108の誤差増幅器Q6の出力がCOM電圧に固定される状態が避けられる。仮に、誤差増幅器Q6の出力がCOM電圧に固定される場合、トランジスタQ7は、オン状態となる。トランジスタQ7がオン状態になった場合、2線式伝送器100に供給される電流の全て又は大部分がトランジスタQ7に流れる状態が発生しうる。この状態が発生してしまうと、2線式伝送器100の他の回路に供給される電流が不足し、2線式伝送器100の起動が阻害される。誤差増幅器Q6の出力がCOM電圧に固定される状態が避けられることによって、起動時にトランジスタQ7に電流が流れすぎる状態が避けられる。その結果、2線式伝送器100の他の回路の起動が阻害される状態が避けられる。
以上説明してきたように、本実施形態に係る2線式伝送器100において、電流出力回路106及びシャントレギュレータ回路108は、両方とも、第1信号生成回路105が生成した第1信号Vaに基づいて動作する。本実施形態に係る2線式伝送器100によれば、電流出力回路106及びシャントレギュレータ回路108が共通の第1信号Vaに基づいて動作する。このようにすることで、LPF3とLPF4との間の過渡応答の差異に起因する上述の問題が回避されうる。その結果、動作の安定性が高まる。
また、本実施形態に係る2線式伝送器100によれば、2線式伝送器100の起動時において、第2基準電圧源PR2が出力する電圧VR2によって回路電圧V1が決定される。これによって、起動時に回路電圧V1が不定となる状態が避けられる。その結果、2線式伝送器100の回路がより確実に起動される。
図3に示されるように、2線式伝送器100は、基準電圧出力部110と、抵抗R9及び容量C2を含むLPF2と、コンパレータ回路113とをさらに備えてよい。コンパレータ回路113は、比較器Q8を備える。比較器Q8の非反転入力端子は、シャントレギュレータ回路108に接続されている。比較器Q8の反転入力端子は、抵抗R9及び容量C2を含むLPF2に接続されている。
基準電圧出力部110は、センサ50からの測定信号S1に基づくPWM信号を出力する。基準電圧出力部110は、測定信号S1に基づいてPWM信号のデューティ比を制御する。測定信号S1が小さいほど、PWM信号のデューティ比が高くされてよい。抵抗R9及び容量C2を含むLPF2は、基準電圧出力部110が出力したPWM信号を平滑化した直流信号を、比較器Q8の反転入力端子に出力する。つまり、測定信号S1に基づく直流信号が比較器Q8の反転入力端子に入力される。
コンパレータ回路113は、シャントレギュレータ回路108から、回路電圧V1に係る信号を取得する。回路電圧V1に係る信号は、比較器Q8の非反転入力端子に入力される。回路電圧V1に係る信号は、回路電圧V1を抵抗R18の抵抗値と、抵抗R13及びR14の抵抗値の和とで分圧した電圧に対応する(図5参照)。
比較器Q8は、回路電圧V1に係る信号と、測定信号S1に基づく直流信号とを比較し、回路電圧V1が所定値以上であるか、所定値未満に低下したか判定する。比較器Q8は、判定結果に係る信号を信号処理回路104に出力する。比較器Q8は、回路電圧V1が所定値以上である場合に電圧レベルがHレベルとなっている信号を出力し、回路電圧V1が所定値未満に低下した場合に電圧レベルがLレベルとなっている信号を出力してよい。信号処理回路104は、比較器Q8が出力する信号の電圧レベルに基づいて、回路電圧V1が所定値以上であるか否か確認できる。回路電圧V1が所定値未満に低下している場合、信号処理回路104は、2線式伝送器100が異常状態になっていると判定してよい。信号処理回路104は、2線式伝送器100が異常状態になっていると判定した場合、異常状態に対応する処理を実行してよい。異常状態に対応する処理は、例えば、センサ50からの測定信号S1の値を保存する等の処理を含んでよい。
図6に示されるように、他の実施形態に係る2線式伝送器100は、いくつかの回路要素が削減されてよい。測定データ処理回路102は、図3において第1基準電圧源PR1とスイッチSW1とを含んでいるのに対して、図6においてこれらを含んでいない。図6の構成例は、図3に示されるスイッチ回路103に対応する構成を含んでいない。図6において、信号処理回路104は、PWM信号を信号S2として、スイッチ回路103に対応する構成を介さずに直接、信号線L3に出力している。PWM信号である信号S2のH電圧は、適宜設定されてよい。信号S2のH電圧は、第2基準電圧源PR2が出力する電圧VR2に基づいて設定されてよい。信号S2のH電圧は、VR2より大きい値に設定されてもよいし、VR2に等しい値に設定されてもよいし、VR2より小さい値に設定されてもよい。
信号線L3に入力された信号S2は、抵抗R2及び容量C1を含むLPF1によって平滑化され、バッファ増幅器Q1でバッファリングされ、第1信号Vaに変換される。第1信号Vaの電圧は、信号S2のH電圧及びデューティ比に基づいて決定される。例えば、信号S2のデューティ比が50%である場合、第1信号Vaの電圧は、信号S2のH電圧の1/2の電圧となる。仮に、信号S2のH電圧が2.0Vであるとする。この仮定の下で、第1信号Vaが例えば0.4Vから2.0Vの間で制御される場合、信号S2のデューティ比は、20%から100%の間で制御される。
図3に示される実施形態において、センサ50の測定信号が100%の値である場合に対応する第1信号Vaの電圧は、VR2と同じになる。測定信号の値が小さくなるほど、Vaは小さくなる。つまり、測定信号が0%から100%の値のいずれの値となる場合でも、Vaは、VR2以下となる。
一方で、図6に示される他の実施形態において、信号S2のH電圧がVR2と異なる電圧に設定されうる。信号S2のH電圧がVR2と異なる電圧に設定された場合、センサ50の測定信号が100%の値である場合に対応する第1信号Vaの電圧は、VR2と異なりうる。
シャントレギュレータ回路108において、VR2とVaとの電位差に基づく電流が抵抗R17に流れる。VaがVR2より低い場合、抵抗R17の電流は、誤差増幅器Q6の側からバッファ増幅器Q1の側に向かう方向に流れる。誤差増幅器Q6の側からバッファ増幅器Q1の側に向かう方向は、第1方向ともいう。VaがVR2より高い場合、抵抗R17の電流は、バッファ増幅器Q1の側から誤差増幅器Q6の側に向かう方向に流れる。バッファ増幅器Q1の側から誤差増幅器Q6の側に向かう方向は、第2方向ともいう。つまり、VaがVR2より低いか高いかに応じて、抵抗R17の電流の方向が変化する。
測定信号が0%以上且つ100%以下の所定値である場合に対応するVaとVR2とが同じ値に設定される場合、VaとVR2との間の大小関係は、測定信号の値に応じて変化する。測定信号が所定値である場合、VaとVR2とが同じ値になる。この場合、抵抗R17の電流は流れない。測定信号が所定値未満である場合、VaはVR2より低くなる。この場合、抵抗R17の電流は、第1方向に流れる。測定信号が所定値より大きい場合、VaはVR2より高くなる。この場合、抵抗R17の電流は、第2方向に流れる。
測定信号が100%の値である場合に対応するVaとVR2とが同じ値に設定される場合、抵抗R17に流れる電流の方向は、第1方向だけとなる。この場合、所定値が100%に設定されているといえる。
測定信号と所定値との差が大きくなるほど、抵抗R17の電流が大きくなるとともに、抵抗R17における消費電力が大きくなる。ここで、測定信号の値の確率分布が0%から100%までの間で一様であると仮定する。この仮定の下で、所定値が50%に設定される場合に、抵抗R17における消費電力が最小化されうる。一方で、所定値が100%に設定される場合に、抵抗R17における消費電力が最大になりうる。つまり、所定値が0%より大きく且つ100%未満に設定されることによって、所定値が100%に設定される場合よりも、抵抗R17における消費電力が低減されうる。
電流出力回路106における誤差増幅器Q2の反転入力端子は、図3において抵抗R6及びR7を介して第1基準電圧源PR1に接続されているのに対して、図6において接地線に接続されている。また、電流出力回路106は、図6において抵抗R6及びR7を含んでいない。
図6において、電流出力回路106における誤差増幅器Q2の反転入力端子が接地線に接続されている構成は、図3において第1基準電圧源PR1が出力する電圧VR1が0Vに設定される場合に対応しうる。つまり、図6の電流出力回路106は、図3に関して説明してきた動作と同様に、第1信号Vaに基づいて電流信号を決定しうる。
図6に例示した2線式伝送器100は、図1に示される2線式伝送器100よりも少ない部品点数で構成されうる。その結果、部品実装面積の削減、又は、低コスト化が実現されうる。
図7に示されるように、一実施形態に係る2線式伝送器100は、DAコンバータ121を備えてよい。図3において2線式伝送器100が備えるスイッチ回路103及び第1信号生成回路105は、図7においてDAコンバータ121に置き換えられている。DAコンバータ121は、信号処理回路104から出力される測定信号に基づく信号を第1信号Vaに変換することによって、スイッチ回路103及び第1信号生成回路105の機能を代替する。この場合、信号処理回路104は、測定信号に基づく信号として、制御信号を出力する。制御信号は、測定信号が0%から100%の間の何れの値であるかを示すデジタル信号を含む。DAコンバータ121は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、第1信号Vaとして出力する。
2線式伝送器100は、DAコンバータ122を備えてよい。図3において2線式伝送器100が備える基準電圧出力部110と抵抗R9及び容量C2を含むLPF2とは、図7においてDAコンバータ122に置き換えられている。DAコンバータ122は、信号処理回路104から出力される基準電圧用の信号を直流信号に変換することによって、基準電圧出力部110及びLPF2の機能を代替する。
DAコンバータ121又はDAコンバータ122は、信号処理回路104と別の構成として配置されていてもよいし、信号処理回路104に含まれていてもよい。2線式伝送器100の一部の回路要素がDAコンバータ121又はDAコンバータ122で置き換えられることによって、部品点数が削減されうる。その結果、部品実装面積の削減、又は、低コスト化が実現されうるとともに、動作の安定性が高まる。
仮に、信号処理回路104が暴走などで異常状態になった場合、第1信号Vaが不定となりうる。この場合、電流出力回路106が出力する電流信号は、バーンアウトすることが求められる。バーンアウトは、電流信号として、例えば3.6mA以下又は21.6mA以上の電流を流す処理をいう。
例えば図8に示される一実施形態に係る2線式伝送器100によって、バーンアウトが実現されうる。図8において、電流出力回路106及びシャントレギュレータ回路108の構成に関する詳細な記載は、省略されている。
図8に示される2線式伝送器100は、スイッチSW2、SW3、SW4及びSW5をと、カウンタ114と、オアゲートOGと、インバータINVとを備える。これらの構成は、異常状態検出回路ともいう。異常状態検出回路は、図8に例示される形態に限られず、他の種々の形態で実現されうる。
スイッチSW4は、3つの固定接点を有する。スイッチSW4の第1の固定接点は、電圧VR1を出力する第1基準電圧源PR1の正電極に接続されている。スイッチSW4の第2の固定接点は、電圧VR2を出力する第2基準電圧源PR2の正電極に接続されている。スイッチSW4の第3の固定接点は、電圧VR3を出力する第3基準電圧源PR3の正電極に接続されている。スイッチSW4の可動接点は、信号線L3に接続されている。スイッチSW4は、このように構成されることで、信号処理回路104の動作状態に応じて、電流出力回路106に対して、電圧VR1、VR2及びVR3のいずれかを選択的に出力できる。
カウンタ114は、信号処理回路104の異常を検知するフリーランのカウンタである。カウンタ114は、信号処理回路104の状態に応じた所定レベルのエラー信号ERRを出力する。カウンタ114は、信号処理回路104から入力されるクリア信号CLRのエッジでクリアされる。エラー信号ERRは、信号処理回路104が正常動作している場合、クリアされてLレベルになる。エラー信号ERRは、信号処理回路104が内部に設けられているCPUの暴走などで異常になっている場合、クリアされずにオーバーフローし、Hレベルになる。
エラー信号ERRは、スイッチSW2及びSW3に切替信号として入力されるとともに、オアゲートOGの一方の入力端子に入力されている。オアゲートOGの他方の入力端子に、インバータINVを介して比較器Q8の出力信号V3が入力されている。インバータINVの出力信号iV3は、スイッチSW4にも切替信号として入力されている。出力信号を表すiV3に付されているiは、反転信号を表す記号である。オアゲートOGの出力信号は、電圧切替信号VSELとしてスイッチSW5に入力されている。
スイッチSW2は、2つの固定接点を有し、信号処理回路104が正常であるか異常状態であるかを表す信号を選択的に出力する。スイッチSW2の一方の固定接点に、信号処理回路104から電流信号用PWM信号が入力される。スイッチSW2の他方の固定接点に、スイッチSW3の出力信号が入力される。スイッチSW2の可動接点から出力される出力信号は、スイッチSW4に切替信号として入力されている。
スイッチSW2の可動接点は、信号処理回路104が正常であるか異常状態であるかに基づき動作する。スイッチSW2の可動接点は、エラー信号ERRがLレベルの正常状態を表している場合、電流信号用PWM信号が入力されている固定接点を選択する。スイッチSW2の可動接点は、エラー信号ERRがHレベルの異常状態を表している場合、スイッチSW3の異常方向指示信号DIRが入力されている固定接点を選択する。
スイッチSW3は、2つの固定接点を有し、信号処理回路104の異常状態が上限と下限のいずれの方向への振り切れかを示す電流を選択的に出力する。スイッチSW3の一方の固定接点に、回路電圧V1が入力される。スイッチSW3の他方の固定接点は、接地点に接続される。スイッチSW3の可動接点から出力される出力信号は、異常方向指示信号DIRとしてスイッチSW2の他方の固定接点に入力されている。
スイッチSW3の可動接点は、信号処理回路104が異常状態になっている場合において、上限及び下限のいずれの方向への振り切れによる異常であるかを示す信号が第1信号Vaとして電流出力回路106に出力されるように、いずれかの固定接点を選択する。スイッチSW3の可動接点は、例えば、上限振切時に電流出力回路106が出力する電流が21.6mA以上となるように、回路電圧V1が入力されている固定接点を選択し、異常方向指示信号DIRとして回路電圧V1を出力してよい。スイッチSW3の可動接点は、例えば、下限振切時に電流出力回路106が出力する電流が3.6mA以下となるように、接地電圧が入力されている固定接点を選択し、異常方向指示信号DIRとして接地電圧を出力してよい。図8において、スイッチSW3の切替信号としてエラー信号ERRが入力されているが、他の信号が入力されてもよい。
スイッチSW5は、2つの固定接点を有し、コンパレータ回路113に入力する電圧を選択する。スイッチSW5の一方の固定接点に、基準電圧用PWM信号が入力される。スイッチSW5の他方の固定接点に、直列接続されている抵抗R15及びR16の接続点が接続されている。スイッチSW5の可動接点から出力される出力信号は、LPF2を構成する抵抗R9の一端に入力されている。直列接続されている抵抗R15の一端に、回路電圧V1が入力され、抵抗R16の他端は共通電位点に接続されている。
スイッチSW5の可動接点は、オアゲートOGが出力する電圧切替信号VSELに基づいて、接続する固定接点を選択する。電圧切替信号VSELは、比較器Q8の出力信号V3がLレベルとなっている場合、又は、信号処理回路104が異常状態となっている場合に、Hレベルとなる。電圧切替信号VSELがHレベルである場合、スイッチSW5の可動接点は、回路電圧V1が抵抗R15とR16の直列回路で分圧された電圧が入力されている固定接点を選択する。電圧切替信号VSELは、比較器Q8の出力信号V3がHレベルとなっている場合、且つ、信号処理回路104が正常である場合に、Lレベルとなる。電圧切替信号VSELがLレベルである場合、スイッチSW5の可動接点は、基準電圧用PWM信号が入力されている固定接点を選択する。
図8に示される一実施形態に係る2線式伝送器100は、異常状態検出回路を備えることによって、信号処理回路104が異常になった場合に、電流出力回路106が出力する電流信号を異常状態に応じてバーンアウトさせることができる。
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。