JP7096830B2 - 塞栓形成用体内留置具およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は塞栓形成用体内留置具に関し、詳しくは動脈瘤等の病変部の塞栓に用いられる塞栓形成用体内留置具に関する。
現在、動脈瘤等血管内病変に対する侵襲の少ない治療法としてカテーテル等を使用する血管内治療法が知られている。血管内治療法には、例えば、カテーテルを通じて動脈瘤などに塞栓形成用体内留置具(以下、単に「留置具」という)を挿入し、離脱部で切断して留置具の一部を動脈瘤内に留置し、動脈瘤を塞栓する方法がある。動脈瘤内に留置された留置具の一部は血流に対して物理的な障害となるとともに、留置された当該留置具の一部の周りに血栓が形成されることによって、動脈瘤破裂の危険性を減少させることができる。
留置具は、体内に留置されるコイル部分と、コイル部分を所定部位まで配置するためのプッシャー部が、離脱部を介して接続された構造を有する。コイル部分が動脈瘤等の所定部位に配置された後、機械的、熱的又は電気的な操作などにより、離脱部が切断される。
カテーテルから押し出されたコイル部分が所定部位に配置された後、切断前に、コイル部分をカテーテル内に回収して留置状態を修正する再留置操作を確実に行うことができるよう、留置具には、コイル部分が無制限に伸びることを防止又は抑制する機能を有することが要求される。
上記コイル部分の伸張を防止又は抑制する手段として、軸方向へのコイル部分の伸張を抑制する伸張抑制部材をコイル部分内部の両端部に固定するなどの方法が取られる。伸張抑制部材には前記の理由により高い強度が必要とされる。従って、操作時の安全性をより高めるために、伸張抑制部材は比較的強度の高い材料、例えば貴金属類やポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂ポリマーなどが好ましく用いられる。
伸張抑制部材はコイル部分の近位側端部と遠位側端部で固定される。固定方法としては、コイル部分の両端部と伸張抑制部材を接着、溶着、圧着または物理的に連結する方法などがよく用いられている。伸張抑制部材のコイル部分の伸張を防止又は抑制する機能を確保するためには、伸張抑制部材をコイル部分の両端部に固定することが好ましい。また、これまでの接着や溶着、圧着、物理的に連結する方法などでも伸張抑制機能を確保できていたが、コイル部分への固定強度をより増強することで更に安定した伸張抑制機能が実現できる。
特許文献1には、一次コイルであるコイル部分に延在する切り離し縫合糸が、送達プッシャー先端、コイルフックのループ、およびブレードの正面開口部を通り、縫合糸係止管によって、内側シャフトに取り付けられたデバイスである留置具が開示されている。特許文献1にはまた、縫合糸の近位端は、内側シャフトの周囲に結び目によって結着されてもよく、接着剤が、結び目に塗布されてもよく、または結び目は、若干、溶融され、縫合糸を定位置にさらに固着させてもよいことが開示されている。特許文献1に係るデバイスでは、縫合糸が切り離されることによって、所定部位にコイル部分が配置される。しかし特許文献1の構成では、縫合糸はコイル部分の両端に固定されていないため、ブレードによって縫合糸が切り離されると、コイル部分に対する伸張抑制効果がなくなることがある。
特許文献2には、近位端と遠位端を有する押出アッセンブリと、押出アッセンブリの遠位端に配置した導電性犠牲リンクと、押出アッセンブリに犠牲リンクによって固定されている脈管閉塞デバイスと、を具える脈管閉塞デバイス送達アッセンブリが開示される。加えて前記脈管閉塞デバイスが、前記脈管閉塞デバイスの遠位部分に固定された遠位端を有する伸縮性抵抗部材を具え、前記犠牲リンクの遠位端コネクタ部分が、前記遠位側コネクタ部材の遠位側に延在しており、前記伸縮性抵抗部材の近位端に固定されていることを特徴とする脈管閉塞デバイス送達アッセンブリが開示されている。特許文献2中の犠牲リンクは、第1及び第2の導電体に電気的に接続されており、第1の導電体、犠牲リンク、及び第2の導電体が電気回路を形成しており、犠牲リンクを介して第1及び第2の導電体に切り離し電流が印加されると、犠牲リンクが熱的に切り離され、これによって、取り付け部材と脈管閉塞デバイスが押出アッセンブリから開放される。特許文献2に係る脈管閉塞デバイスでは、伸縮性抵抗部材を脈管閉塞デバイスの両端に結んで固定していないため、カテーテル内で前記脈管閉塞デバイスを移動させる際や再配置などの操作の際に、伸縮性抵抗部材が導電体から外れるおそれがある。
特許文献3には、離脱可能インプラント送達システムであって、ヒーターと、送達デバイスと、送達デバイスの該遠位端に取り付けられたインプラントと、送達デバイスとインプラントとを接続し、インプラント内部の2点と、送達相対デバイス上の第3点に取り付けられる伸張抵抗性部材とを含み、伸張抵抗性部材が、結び目によってインプラントに取り付けられており、ヒーターの起動の際に、ヒーターに接近している第3点付近の伸張抵抗性部材が破壊されて、該インプラントを開放される離脱可能インプラント送達システムが開示されている。特許文献3に係る送達システムでは、離脱後、インプラント内部の2点に取り付けられた伸張抵抗性部材の近位端が自由端として残るため、インプラントからほつれ出る可能性がある。
特表2016-511065号公報 特表2016-512085号公報 特開2016-154946号公報
伸張抑制部材がコイル部分の両端部に強く固定されていない場合、伸張抑制部材がコイル部分から外れることによって、意図せずコイル部分が伸張する可能性が高くなる。伸張したコイル部分は回収しにくく、病変部を傷つけてしまうおそれがある。そのため、伸張抑制部材をコイル部分により確実に固定できる留置具が求められている。
本発明者は、前述の課題解決のために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記の塞栓形成用体内留置具およびその製造方法に関する。
[1]近位側および遠位側を有し、長軸方向に渡って管腔を備えるコイル部分と、前記管腔内に配置される伸張抑制部材を含む塞栓形成用体内留置具であって、前記コイル部分の近位部の管腔内に固定され、前記管腔の近位端より近位側に延びる棒状の離脱部を有し、前記離脱部に前記伸張抑制部材を結んだ結合構造を有することを特徴とする塞栓形成用体内留置具。
[2]前記結合構造よりも近位側であって、前記離脱部上に絶縁部を有する[1]に記載の塞栓形成用体内留置具。
[3]前記コイル部分の近位側端部に、前記コイル部分の遠位部の内径よりも内径の小さい縮径部を備える[1]または[2]に記載の塞栓形成用体内留置具。
[4]前記結合構造は、前記管腔の近位端より近位側に設けられた少なくとも1個の一重結びを備える[1]~[3]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[5]前記結合構造は、異なる箇所に設けられた複数の一重結びを備える[1]~[4]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[6]前記伸張抑制部材は、前記コイル部分の遠位部で折り返された二つ折りで前記管腔内に配置される[1]~[5]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[7]前記結合構造は、硬化された接着剤を含み、前記接着剤は、粘度が10~2000mPa・sである、紫外線硬化型、熱硬化型、湿気硬化型のいずれかから選択される[1]~[6]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[8]前記硬化された接着剤は前記コイル部分の近位部から前記離脱部の遠位部に及ぶ[7]に記載の塞栓形成用体内留置具。
[9]前記離脱部の遠位端は前記コイル部分内に配置され、前記伸張抑制部材の結び目は前記コイル部分の外に配置される[1]~[8]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[10]前記離脱部に、熱溶解性材料を含む[1]~[9]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[11]前記留置具は、遠位側から、前記コイル部分、前記離脱部、およびプッシャー部を備え、前記コイル部分と前記プッシャー部とは前記離脱部を介して離脱可能に固定されている[1]~[10]のいずれかに記載の塞栓形成用体内留置具。
[12]体内留置具の製造方法であって、伸張抑制部材をコイル部分内部に配置する工程と、離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入する工程と、離脱部に伸張抑制部材を結んで結合構造を形成する工程と、接着剤を結合構造に注入する工程と、接着剤を硬化させる工程を含むことを特徴とする塞栓形成用体内留置具の製造方法。
[13]前記伸張抑制部材をコイル部分内部に配置する工程の後に、前記コイル部分の近位端の内径を縮小する工程を含む[12]に記載の塞栓形成用体内留置具の製造方法。
本発明の留置具は、伸張抑制部材とコイル部分間の固定強度が高いものとなる。
本発明の塞栓形成用体内留置具の一例を表し、留置具の全体側面図を表す。 本発明の塞栓形成用体内留置具の遠位側部分の一例を表し、留置具の遠位側部分を側面から見た部分断面図を表す。 本発明の塞栓形成用体内留置具の遠位側部分の他の例を表し、留置具の遠位側部分を側面から見た部分断面図を表す。 本発明の塞栓形成用体内留置具の遠位側部分の他の例を表し、留置具の遠位側部分を側面から見た部分断面図を表す。 本発明の塞栓形成用体内留置具の遠位側部分の他の例を表し、留置具の遠位側部分を側面から見た部分断面図を表す。 伸張抑制部材を一重結びで離脱部に結んだ結合構造の例を表す。
以下、下記実施の形態に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
本発明の塞栓形成用体内留置具(以下、単に「留置具」という)10は、図1に示されるように、遠位側から、コイル部分11、離脱部13、およびプッシャー部30を有する。留置具10において、コイル部分11の先端側を遠位側、プッシャー部30の離脱部13と接続しない側を近位側という。留置具10の遠近方向を長軸方向という。近位部と遠位部とは、対象となる部材において遠近方向の中心より近位側の部分と遠位側の部分をそれぞれ意味し、好ましくは近位側1/3の部分と遠位側1/3の部分を意味する。近位側端部とは、対象となる部材において近位端を含む部分、例えば近位側1/8の部分を意味し、遠位側端部とは、対象となる部材において遠位端を含む部分、例えば遠位側1/8の部分を意味する。
留置具10は、長軸方向に渡って管腔を備えるコイル部分11を有する。管腔は、コイル内部の空洞である。管腔は、コイル部分11の全長に渡ってもよく、コイル管腔の一部が閉じた構造であってもよい。留置具10はコイル部分11を備え、このコイル部分11の遠位側端部、図2ではコイル部分11の左端部に、略半球状の丸みを帯びた頭部12が設けられていることが好ましい。コイル部分11の近位側端部には、コイル部分11とプッシャー部30とを接続する例えば棒状の離脱部13が設けられている。離脱部13は、コイル部分11の近位側端部の管腔内に固定され、当該管腔の近位端より近位側に延びるように設けられる。すなわち離脱部13は、その遠位部の一部がコイル部分11の近位側端部における内周面に固定された状態で、コイル部分11の近位端より近位側、図2において右方に突出して延びるように設けられている。離脱部13の近位部は、プッシャー部30に固定されている。なお、留置具10において、頭部12の形状は、略半球状の丸みを帯びた形状に限定されず、血管を傷付けない他の形状を採用することも可能である。離脱部13は、コイル部分11を任意のプッシャーなどに対して連結する部分であり、コイル部分11とプッシャー部30は離脱部13を介して離脱可能に固定されている。
コイル部分11は、一般的には金属線材がらせん状に巻回されて構成されている。このような金属線材としては、人体内に長期間留置させた際に人体に対して、貴金属のように化学的に安定なもの、生体内で表面に不動態膜を形成し化学的に安定化するもの、さらには毒性の低いもの、生体適合性を有するものの中から選択することができる。金属材料としては、例えば白金、金、チタン、タングステンおよびこれらの合金、ステンレス鋼等を例示することができる。これらの中でも、生体内における化学的安定性と強度や弾性の物理的特性及び加工性を兼ね備えていることから、コイル部分11には、白金-タングステン等の白金合金を用いることが好ましい。
留置具10を構成するコイル部分11は、柔軟性または可撓性を有することが好ましく、コイル部分11を構成する金属線材の材質によっても異なるが、次に示すような構成のものであることが好ましい。コイル部分11を構成する金属線材の直径、すなわち素線径は、10μm以上120μm以下であることが好ましい。コイル部分11のコイル径は100μm以上500μm以下であることが好ましい。コイル部分11のコイル長は2mm以上500mm以下であることが好ましい。
コイル部分11は、金属線材をらせん状に巻回した形状の他に、金属線材をらせん状に巻回したコイル形状を一次形状とし、一次形状にさらに形状を付与した二次形状とすることができる。金属線材は、円柱状の一次型に巻回してコイル状の一次形状とすることができる。さらに、一次形状のコイルを円柱状の二次型に巻回して、コイル状の二次形状とすることができる。あるいは、一次形状のコイルを所定の箱状の二次型に挿入して、箱状の二次形状を付与することができる。金属線材、一次形状等に対して、型に巻き付ける、型に挿入するなどした後に加熱することにより、形状を付与することができる。コイル部分11に二次形状を付与した後、さらに三次形状を付与することもできる。型としては、外側に線材やコイルを巻き付けて形状を付与する型や、内腔を有しその内腔に線材やコイルを挿入することによって内腔に応じた形状を付与する型を用いることができる。図2~図5には、直線状に伸ばした一次形状のコイル部分11が示されている。この形態は、例えばカテーテル等のチューブ内に保持されているときの形態であり、カテーテルの管壁などによって拘束されていないときには、不定形であったり、図1に示すように、コイル部分11は、コイルがさらに巻回された二次コイル形状を呈することができる。
コイル部分11の二次コイル径は、適用部位、例えば動脈瘤の大きさ、内径に応じて適宜選択されるが、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、また40mm以下が好ましく、25mm以下が好ましく、20mm以下がさらに好ましい。
離脱部13の形状は棒状であり、円柱状や角柱状やこれらを組み合わせた形状とすることができる。離脱部13の外径は、プッシャー部30およびコイル部分11の具体的な構成によって異なり、目的とするコイル部分11をプッシャー部30に適宜の手段によって連結できるものであればよい。離脱部13は、外径が例えば0.05mm以上2.0mm以下であることが好ましく、長さが1.0mm以上10mm以下であることが好ましい。
離脱部13の材質は、生体に悪影響を与えず、コイル部分11とプッシャー部30とを、熱的、機械的または電気的方法などによって変形、溶解などして、切り離すことができるものが好ましい。具体的には、離脱部13は、加熱されると溶融切断するポリビニルアルコール系重合体などの熱溶解性材料を含むことが好ましい。なお、離脱部13の材質はこれに限定されるものではなく、例えば、形状記憶合金、形状記憶樹脂などの加熱によって変形する材質を用いることもできる。これにより、熱的操作によって、コイル部分11とプッシャー部30とを切り離すことができる。
留置具10は、コイル部分11の管腔内に配置される伸張抑制部材20を有する。伸張抑制部材20は線状体として設けられることが好ましく、コイル部分11の管腔の長軸方向に長く配置される。伸張抑制部材20は、全体がコイル部分11の管腔内で長軸方向に延びた状態で配置されることが好ましい。
伸張抑制部材20は近位側端部が離脱部13に固定されている。伸張抑制部材20の遠位側端部はコイル部分11の遠位部に固定されることが好ましく、頭部12に固定されてもよい。伸張抑制部材20は、留置具10がカテーテルを通過して体内へと送り込まれる際に、コイル部分11がカテーテル内や生体内でコイル部分11が必要以上に伸張することを防止する。コイル部分11の管腔内に伸張抑制部材20が設けられない場合、コイル部分11が長く伸びて体内に適切に留置できなかったり、コイル部分11が伸びきって素線状に戻ってしまうおそれがある。コイル部分11は、伸張抑制部材20が緊張するまでの範囲内、すなわち伸張抑制部材20が伸びて直線状になるまでの範囲内で、伸張自在な状態となることが好ましい。
伸張抑制部材20は、離脱部13の切断等によってコイル部分11とプッシャー部30とが切り離される際に、コイル部分11に付属したままプッシャー部30とが切り離されることが好ましい。特に、離脱部13の切断の際に、伸張抑制部材20や、伸張抑制部材20の離脱部13への結合構造に変化のないことが好ましい。
コイル部分11の管腔内に配置する伸張抑制部材20の本数は特に限定されず、1本であってもよく、複数本であってもよい。図2では、コイル部分11内に伸張抑制部材20が2本配置されている。また、1本の伸張抑制部材20をコイル部分11内で折り返して配置することもできる。この場合は、伸張抑制部材20の両方の末端を離脱部13に固定し、伸張抑制部材20の折り返し部分をコイル部分11の遠位部に固定すればよい。
伸張抑制部材20は1本のモノファイバーやその撚線などにより構成することができる。あるいは、伸張抑制部材20は、コイル部分11と同じように、例えば白金-タングステンなどの白金合金製の金属線材から構成することができる。なお、伸張抑制部材20を金属線材で構成した場合、コイル部分11を体内の適当な場所で留置する際にコイル部分11をカテーテルから繰り返し出し入れすると、伸張抑制部材20が金属疲労で裂断するおそれがある。これを防ぐため、伸張抑制部材20は、例えば、金属疲労に強い金属材料や金属疲労を起こさないポリプロピレン(PP)などの樹脂線材から構成することができる。
伸張抑制部材20に用いることのできる樹脂線材の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-グリコール酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレート吉草酸、3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸の共重合体ポリエステルなどの合成樹脂;セルロース、ポリジオキサノン、タンパク、ビニルポリマーなどの生分解高分子由来のポリマー等が挙げられる。中でも、生体適合性の観点から、伸張抑制部材20の樹脂線材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリジオキサノン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、絹、または、これらからの任意の組み合わせよりなる複合材料から構成されることが好ましい。
樹脂線材の直径は、0.025mm以上0.125mm以下が好ましい。これにより、後述するように、伸張抑制部材20を離脱部13に結びやすくなる。
伸張抑制部材20は、所定波長を備えた波形であってもよい。すなわち、伸張抑制部材20は、留置具10の側面から見て、波形に形成されていてもよい。留置具10を動脈瘤などの所定部位に配置する際には、長尺のコイル部分11が狭い瘤内に配置されるため、瘤内でコイル部分11が何箇所も曲がって詰め込まれる状態となる。このようなコイル部分11の変形に対応できるよう、伸張抑制部材20は変形に追随できる長さ、または伸縮性を備えることが好ましい。例えば、伸張抑制部材20をコイル状とすることによって、伸縮性を付与することができる。一方で、伸張抑制部材20が長く伸びすぎると、コイル部分11を再配置のために回収する際に、コイル部分11が伸張し、カテーテルへの回収作業が困難になる。
伸張抑制部材20の遠位側端部をコイル部分11の遠位部や頭部12へ固定する方法、あるいは伸張抑制部材20の近位側端部を離脱部13へ固定する方法としては、例えば接着剤による接着、溶接や介在物を含むことによる溶着、機械的にかしめる等の圧着、物理的な連結、結紮およびその他の方法を用いることができる。
留置具10は、離脱部13に伸張抑制部材20を結んだ結合構造を有することが好ましい。これにより伸張抑制部材20と離脱部13との固定強度を高めることができる。図2~図5では、結合構造として、離脱部13に伸張抑制部材20を結んだ結び目15が形成されている。結び目15は、伸張抑制部材20の近位側端部を離脱部13に結ぶことにより形成される。留置具10はまた、コイル部分11の遠位部に伸張抑制部材20を結んだ結合構造を有していてもよい。図2および図4では、結合構造として、コイル部分11の頭部12に伸張抑制部材20を結んだ結び目14が形成されている。結び目14は、伸張抑制部材20の遠位側端部を頭部12に結ぶことにより形成される。結合構造は、接着剤等により当該部分の結合が強化されていてもよい。すなわち、結合構造は、硬化された接着剤を含むものであってもよい。図2~図5では、結び目15が接着剤16により接着され、結合構造が強化されている。図面には示されていないが、結び目14も接着剤により接着され、結合構造が強化されていることが好ましい。
伸張抑制部材20の結合構造には種々の結び方を採用することができ、その種類は特に限定されない。結び方の種類としては、例えば、一重結び、二重結び、もやい結び、巻き結び、8の字結び、S字結び、てぐす結び、縦結び、引き結び等が挙げられる。これらの中でも、より小さい結合構造を形成できる点から、一重結びが好ましい。一重結びとは、伸張抑制部材20の一部にループを作り、伸張抑制部材20の近位側端部または遠位側端部をそのループに一度通してから引き締めることによって得られる結びである。図6には、離脱部13に伸張抑制部材20を一重結びで結んだ結合構造の例を示している。
留置具10は、離脱部13に伸張抑制部材20を結んだ結合構造として、コイル部分11の管腔の近位端より近位側に設けられた少なくとも1個の一重結びを備えることが好ましい。一重結びを2個設ける場合は、結合構造を小さく形成するために、離脱部13において、1つ目の一重結びの反対側にもう1つの一重結びを作ることが好ましい。
伸張抑制部材20のコイル部分11の遠位部への固定は、例えば、コイル部分11の頭部12に一巻き小さくらせん状に巻回された構造を設け、その構造に伸張抑制部材20を引掛けたり結ぶことにより行ってもよい。図3に示すように、伸張抑制部材20の途中部分をコイル部分11の頭部12の構造に引掛け、離脱部13上に伸張抑制部材20の両方の末端を結んで固定することもできる。この場合、伸張抑制部材20はコイル部分11の管腔で、二つ折りに折り返された状態になる。すなわち、伸張抑制部材20は、コイル部分11の遠位部で折り返された二つ折りでコイル部分11の管腔内に配置される。伸張抑制部材20を折り返す場合にも、1本または複数の伸張抑制部材20を用いることができる。
離脱部13における伸張抑制部材20の固定方法としては、コイル部分11の近位端より近位側、図2において右方に突出した離脱部13に、伸張抑制部材20を少なくとも1回一重結びをして結び目15を形成し、これにより伸張抑制部材20の近位側端部を離脱部13に固定する態様がある。伸張抑制部材20を2回以上結んだり、あるいはさらに接着剤で接着することで、より強い固定強度を実現できる。ただし、伸張抑制部材20を離脱部13の同じ箇所で2回以上結ぶと、結び目15が大きくなり、留置具10がカテーテルを通過して体内へと送り込まれる際に、カテーテル内壁や血管内壁との摩擦が増大し、留置具10の損壊又は血管の破裂を招くおそれがある。そのため、伸張抑制部材20を離脱部13に2回以上結ぶ時は、離脱部13上の異なる箇所で結ぶことが好ましい。すなわち、結合構造は、異なる箇所に設けられた複数の一重結びを備えることが好ましい。伸張抑制部材20の結び目15は、コイル部分11の管腔内に配置してもよく、コイル部分11の管腔外に配置してもよい。
離脱部13の遠位部は、コイル部分11の管腔内に配置されることが好ましい。これにより、結合構造をより強固にすることができる。離脱部13の遠位部をコイル部分11の管腔内に配置した場合、伸張抑制部材20の結び目15は、離脱部13のコイル部分11の管腔内に配置される部分に設けられてもよく、離脱部13のコイル部分11の外に配置される部分に設けられてもよい。複数の結び目15が設けられる場合は、複数の結び目15の一部がコイル部分11の管腔内に設けられ、他部がコイル部分11の外に設けられてもよい。さらに、1つの結び目15がコイル部分11の管腔内から管腔外にわたって設けられていてもよい。好ましくは、離脱部13の遠位部がコイル部分11内に配置され、伸張抑制部材20の結び目15がコイル部分11の外に配置される。結び目15の結合構造を接着剤により強化する場合は、硬化された接着剤はコイル部分11の近位部から離脱部13の遠位部に及ぶことが好ましい。
結合構造を形成する接着剤としては、生体毒性の低いもの、生体適合性を有するものが好ましく、紫外線硬化型、熱硬化型または湿気硬化型の接着剤を用いることができる。接着剤として、同様の性質を持つ樹脂を用いることができる。したがって、結合構造は硬化された樹脂と伸張抑制部材を含むことができる。結び目を接着剤で固定するため、接着剤の粘度は、10mPa・s以上2000mPa・s以下であることが好ましい。接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤等が挙げられる。
紫外線硬化型接着剤は、紫外線を照射することにより短時間で硬化し、例として、アクリル樹脂系接着剤やエポキシ系接着剤が挙げられる。熱硬化型接着剤は、加熱することで樹脂中の硬化剤が活性化して硬化し、例として、エポキシ樹脂系接着剤やアクリル樹脂系接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤は、空気中の水分と反応して硬化し、例として、シアノアクリレート系接着剤やシリコーンゴム系接着剤が挙げられる。
結び目15を接着剤16で強化する場合、接着剤16で固定した結び目15の直径はコイル部分11の外径より小さいことが好ましい。
伸張抑制部材20を結んだ結合構造をより強固にする点から、離脱部13は、その表面に単数または複数の溝が形成されていてもよい。離脱部13の溝は、留置具10の長軸方向に沿っていてもよく、長軸方向に垂直な方向、例えばコイル部分11の周回方向に沿って設けられていてもよい。離脱部13の溝が、長軸方向に垂直な方向に設けられている場合、その溝部分で、伸張抑制部材20を結んだ結合構造を設けることができる。これにより、より強固な結合構造とすることができる。また、溝の方向に関わらず、溝に接着剤が流入することにより、結合構造を補強することができる。
離脱部13の遠位部がコイル部分11の管腔内に配置される場合は、接着剤はコイル部分11の内側に位置する離脱部13の溝部分に留まることが好ましい。すなわち、コイル部分11の内側に位置する離脱部13の溝部分に硬化した接着剤が位置することが好ましい。これにより、離脱部13の切断をより容易にすることができる。後述する絶縁部17を設けた場合は、硬化した接着剤がコイル部分11の近位側に配置される絶縁部17の近位端より遠位側にあることにより、離脱部13の切断をより容易にすることができる。離脱部13の切断をより容易にする点からは、硬化した接着剤は本質的にコイル部分11の内側に位置する離脱部13の溝部分に配置されることが好ましい。なお、この場合、硬化した接着剤は、離脱部13より遠位側のコイル部分11の内部や、コイル部分11の内側に位置する離脱部13の溝以外の部分に配置されていてもよい。離脱部13には、その周回方向に沿って離脱部13を取り囲むように接着剤がない部分が存在することが好ましく、これにより離脱部13の切断をより容易にすることができる。
図4および図5に示すように、コイル部分11の近位側端部の内径を、コイル部分11の遠位部の内径よりも小さくすることが好ましい。このようにコイル部分11の近位側端部の直径が小さくなった部分を縮径部と称する。縮径部により、結び目15をコイル部分11の外に配置しやすくなる。また、コイル部分11の近位側端部において、コイル部分11と伸張抑制部材20との距離を近付けることができるため、伸張抑制部材20のコイル部分11への固着をより強くすることができる。
縮径部は、少なくともコイル部分11の近位端に配置されることが好ましく、近位端からワイヤの1巻きから10巻き程度遠位側に配置されてもよい。縮径部は、コイル部分11の近位端からワイヤの10巻き以下の範囲に配置されることが好ましく、6巻以下の範囲がより好ましく、4巻以下の範囲がさらに好ましい。縮径部では、コイル部分11を縮径して、離脱部13の外径程度まで内径を小さくすることが好ましい。縮径部の内径は、コイル部分11の遠位部の内径の95%以下であることが好ましい。縮径部は、離脱部13に食い込むように設けられてもよい。
図4および図5に示すように、結合構造よりも近位側であって、離脱部13上に絶縁部17を配置することができる。これにより、プッシャー部30の先端とコイル部分11とが電気的に接触することを防ぐことができる。血管の屈曲部などにおいてプッシャー部30の先端とコイル部分11とが電気的に接触すると、ショートが起き、コイル部分11が離脱できなくなるおそれがあるためである。
絶縁部17の材質は、非導電性または絶縁性であれば特に限定されるものではないが、生体適合性を有するものが好ましい。絶縁部17の材質は実質的に水で膨潤しないものであることが好ましく、その具体例としては、例えば、シアノアクリレート系接着剤やエポキシ系接着剤などの接着剤を硬化させたものを挙げることができる。これ以外にも絶縁部17は生体適合性がある様々な高分子材料から構成することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリイミド、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の熱硬化性樹脂、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。絶縁部17は、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニルアルコール(PVA)およびシアノアクリレートから選ばれる少なくとも1種の高分子材料から構成されることが好ましい。
絶縁部17は、リング状であることが好ましい。リング状の絶縁部17を棒状の離脱部13に通すことにより、絶縁部17を離脱部13上に配置することができる。リング状の絶縁部17の断面形状は、円形に限定されるものではなく、楕円形や、四角形、三角形等の多角形であってもよい。絶縁部17は、長軸方向の長さが0.15mm以上0.20mm以下であることが好ましい。絶縁部17の長さが長すぎると、離脱部13が硬くなるおそれがあり、短すぎると接着剤などが離脱部13の加熱される部分に流れ、離脱しにくくなるおそれがある。
次に留置具の製造方法を説明する。本発明の留置具の製造方法は、伸張抑制部材をコイル部分内部に配置する工程(「伸張抑制部材配置工程」と称する)と、離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入する工程(「離脱部挿入工程」と称する)と、離脱部に伸張抑制部材を結んで結合構造を形成する工程(「結合構造形成工程」と称する)と、接着剤を結合構造に注入する工程(「接着剤注入工程」と称する)と、接着剤を硬化させる工程(「接着剤硬化工程」と称する)を含む。これらの工程を行う順番は、結合構造形成工程の後に接着剤注入工程を行い、さらに接着剤注入工程の後に接着剤硬化工程を行う以外は、特に限定されない。なお、離脱部挿入工程は伸張抑制部材配置工程の後に行うことが好ましい。
伸張抑制部材配置工程では、伸張抑制部材をコイル部分の管腔内に配置する。伸張抑制部材は、コイル部分の一端、すなわち近位端または遠位端から挿入する。コイル部分の遠位側端部の頭部に伸張抑制部材を引掛ける又は固定する構造を設けた場合は、コイル部分の近位端から伸張抑制部材を挿入することが好ましい。伸張抑制部材配置工程では、伸張抑制部材の遠位側をコイル部分内に配置し、近位側端部をコイル部分の外に配置することが好ましい。これにより、結合構造形成工程を伸張抑制部材配置工程の後に行う場合に、結合構造形成工程において、離脱部に伸張抑制部材を結びやすくなる。なお、伸張抑制部材配置工程の前に結合構造形成工程を行う場合は、伸張抑制部材の近位側端部をコイル部分の管腔内に配置してもよく、コイル部分の外に配置してもよい。
離脱部挿入工程では、棒状の離脱部をコイル部分の近位端から挿入し、コイル部分の近位側端部に配置する。離脱部挿入工程では、離脱部の近位部がコイル部分の近位端よりも近位側に出るように、離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入することが好ましい。これにより、離脱部の近位部をプッシャー部に取り付けることができる。あるいは、離脱部挿入工程では、離脱部の近位部をプッシャー部に固定した状態で、離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入してもよい。離脱部挿入工程の後に結合構造形成工程を行う場合は、離脱部の近位部がコイル部分の近位端よりも近位側に出ることで、結合構造形成工程において、離脱部に伸張抑制部材を結びやすくなる。
結合構造形成工程では、棒状の離脱部に伸張抑制部材を結んで結合構造を形成する。結合構造形成工程では、例えば、伸張抑制部材の近位部でコイル部分の近位端より近位側でループを作り、伸張抑制部材の近位側端部をそのループに一度通してから引き締めることによって一重結びを作る。さらに離脱部において、一つ目の一重結びの反対側にもう一つの一重結びを作ることが好ましい。
結合構造形成工程は、伸張抑制部材配置工程の前に行ってもよく、後に行ってもよく、また離脱部挿入工程の前に行ってもよく、後に行ってもよい。例えば、伸張抑制部材を離脱部に結んで結合構造を形成した後に、伸張抑制部材をコイル部分内部に配置するとともに離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入してもよく、伸張抑制部材の遠位部をコイル部分内部に配置した状態で、伸張抑制部材の近位側端部を離脱部に結んで結合構造を形成し、その後離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入してもよく、伸張抑制部材の遠位部をコイル部分内部に配置し、近位側端部をコイル部分の外に配置し、離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入した状態で、伸張抑制部材の近位側端部を離脱部に結んで結合構造を形成してもよい。
接着剤注入工程では、結合構造形成工程で形成した結び目に接着剤が接するように、接着剤を注入する。接着剤は、少なくとも結び目と離脱部とに接触すればよく、さらにコイル部分の管腔内に接着剤が注入されることが好ましい。なお、結び目はコイル部分の管腔内に位置してもよく、管腔外に位置してもよい。コイル部分の管腔内にも接着剤が注入される場合は、接着剤はコイル部分の近位部から離脱部の遠位部に及ぶように注入されることが好ましい。すなわち、結び目、離脱部、コイル部分の管腔が接着剤に接触することが好ましい。なお、コイル部分の管腔内に注入した接着剤は、コイル部分を構成する金属線材の隙間を通ってコイル部分の外側に到達しないことが好ましい。
接着剤硬化工程では、接着剤注入工程で塗工した接着剤を硬化させる。例えば紫外線硬化型接着剤を用いた場合は、UVランプを用いて紫外線を塗工した接着剤に満遍なく照射し、接着剤を硬化させることが好ましい。熱硬化型接着剤を用いた場合は、塗工した接着剤をヒーター等で加熱して、接着剤を硬化させることが好ましい。湿気硬化型接着剤を用いた場合は、必要に応じて湿度を調整した空気中に放置することで、接着剤を硬化させることができる。
接着剤硬化工程は、接着剤注入工程のすぐ後に行ってもよく、接着剤注入工程の後に、伸張抑制部材配置工程および/または離脱部挿入工程を行い、その後接着剤硬化工程を行うこともできる。なお、接着剤硬化工程は接着剤注入工程のすぐ後に行うことが好ましい。
伸張抑制部材配置工程の後に、コイル部分の近位側端部の直径を縮小する工程(「コイル縮小工程」と称する)を設けてもよい。コイル縮小工程により、コイル部分の近位側端部に縮径部を設けることができる。コイル部分の近位側端部の直径を縮小する方法としては、例えば、コイル部分の近位端の金属線材を近位側に引いて、近位側端部の直径を小さくする方法や、コイル部分の近位側端部にコイル部分の管腔よりも小さい芯材を配置し、コイル部分の近位側端部の金属線材のらせん状の巻回しを締めて、芯材上により小さい直径のコイルを形成する方法などが挙げられる。コイル縮小工程は、離脱部挿入工程の前に行ってもよく、後に行ってもよく、また結合構造形成工程の前に行ってもよく、後に行ってもよい。
本願は、2017年9月12日に出願された日本国特許出願第2017-174746号に基づく優先権の利益を主張するものである。2017年9月12日に出願された日本国特許出願第2017-174746号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、本発明の体内留置具による作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
素線径70μmの白金-タングステン合金線材を用いて、コイル径360μm、コイル長10mmのコイル部分を作製した。コイル部分の遠位側端部には、一巻き小さくらせん状に巻回した先端構造を設けた。ポリプロピレン樹脂(以下、「PP」と称する)線材を折り返すことにより作製した伸張抑制部材を、折り返し部分を先頭にコイル部分の近位端より挿入し、コイル部分の遠位側端部に到達させ、折り返し部分をコイル部分の先端構造に引掛けた。エチルシアノアクリレート系の接着剤で、引掛けたPP線材の折り返し部分とコイル部分の先端構造とを固定し、略半球状の丸みを帯びた頭部を作製した。コイル部分の近位側端部に離脱部を差し込み、コイル部分の近位端より突出した離脱部上の異なる2箇所で、折り返したPP線材の近位側端部、すなわちPP線材の両末端を一重結びした。UV硬化型接着剤を結び目とコイル部分の管腔に流し込み、コイル部分、結び目及び離脱部を固定した。これを「留置具1」とする。
(実施例2)
実施例1と同様にPP線材をコイル部分の先端構造に引掛けて頭部を作製した後、コイル部分の近位側端部に離脱部を差し込み、コイル部分の近位端より突出した離脱部上の1箇所で、PP線材の両末端、すなわち折り返したPP線材の近位側端部を一重結びした。UV硬化型接着剤を結び目とコイル部分の管腔に流し込み、コイル部分、結び目及び離脱部を固定した。これを「留置具2」とする。
(比較例)
実施例1と同様にPP線材をコイル部分の先端構造に引掛けて頭部を作製した後、コイル部分の近位側端部に離脱部を差し込んだ。離脱部とコイル部分の近位側端部の接触部分に接着剤を流し込み、コイル部分、PP線材及び離脱部を固定した。これを「比較用留置具」とする。
以上のようにして製造した留置具1、2及び比較用留置具の各々について、離脱部の乾燥時及び膨潤時におけるPP線材の係留強度を評価した。係留強度は、留置具の接着部分の長軸方向の破断強度を測定することにより評価した。
表1に、留置具の接着部分の長軸方向の破断強度の測定結果を示す。破断強度は、引張圧縮試験機「ストログラフEIII」(東洋精機製作所社製)を用い、常温下で、留置具の離脱部及びコイル部分の頭部をチャッキングして、ロードセルスケール2.5NFS、引張速度50mm/minの条件で引張試験を行うことにより得られたものである。
Figure 0007096830000001
表1の結果より、留置具1、2の接着部分は比較用留置具と比べて高い破断強度を有し、十分に高い係留強度を有するものであることが分かる。そのため、留置具1、2は、留置操作を行うに際して高い安全性が得られるものとなる。
10.塞栓形成用体内留置具
11.コイル部分
12.頭部
13.離脱部
14.結び目
15.結び目
16.接着剤
17.絶縁部
20.伸張抑制部材
30.プッシャー部

Claims (11)

  1. 近位側および遠位側を有し、長軸方向に渡って管腔を備えるコイル部分と、
    前記管腔内に配置される伸張抑制部材を含む塞栓形成用体内留置具であって、
    前記コイル部分の近位部の管腔内に固定され、前記管腔の近位端より近位側に延びる棒状の離脱部を有し、
    前記離脱部に前記伸張抑制部材を結んだ結び目を含む結合構造を有し、
    前記離脱部の遠位端は前記コイル部分内に配置され、前記伸張抑制部材の前記結び目は前記コイル部分の外に配置されることを特徴とする塞栓形成用体内留置具。
  2. 前記結合構造よりも近位側であって、前記離脱部上に絶縁部を有する請求項1に記載の塞栓形成用体内留置具。
  3. 前記コイル部分の近位側端部に、前記コイル部分の遠位部の内径よりも内径の小さい縮径部を備える請求項1または2に記載の塞栓形成用体内留置具。
  4. 前記結合構造は、前記管腔の近位端より近位側に設けられた少なくとも1個の一重結びを備える請求項1~3のいずれか一項に記載の塞栓形成用体内留置具。
  5. 前記結合構造は、異なる箇所に設けられた複数の一重結びを備える請求項1~4のいずれか一項に記載の塞栓形成用体内留置具。
  6. 前記伸張抑制部材は、前記コイル部分の遠位部で折り返された二つ折りで前記管腔内に配置される請求項1~5のいずれか一項に記載の塞栓形成用体内留置具。
  7. 前記結合構造は、硬化された接着剤を含み、前記接着剤は、粘度が10~2000mPa・sである、紫外線硬化型、熱硬化型、湿気硬化型のいずれかから選択される請求項1~6のいずれか一項に記載の塞栓形成用体内留置具。
  8. 前記硬化された接着剤は前記コイル部分の近位部から前記離脱部の遠位部に及ぶ請求項7に記載の塞栓形成用体内留置具。
  9. 前記離脱部に、熱溶解性材料を含む請求項1~のいずれか一項に記載の塞栓形成用体内留置具。
  10. 前記留置具は、遠位側から、前記コイル部分、前記離脱部、およびプッシャー部を備え、前記コイル部分と前記プッシャー部とは前記離脱部を介して離脱可能に固定されている請求項1~のいずれか一項に記載の塞栓形成用体内留置具。
  11. 体内留置具の製造方法であって、
    伸張抑制部材をコイル部分内部に配置する工程と、
    離脱部をコイル部分の近位側端部に挿入する工程と、
    離脱部に伸張抑制部材を結んで結合構造を形成する工程と、
    接着剤を結合構造に注入する工程と、
    接着剤を硬化させる工程を含み、
    前記伸張抑制部材をコイル部分内部に配置する工程の後に、前記コイル部分の近位端の内径を縮小する工程を含むことを特徴とする塞栓形成用体内留置具の製造方法。
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