JP7101405B2 - 障害釘及び障害釘の製造方法並びに遊技機 - Google Patents

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本発明は、パチンコ機などの遊技機の遊技盤に所定の配列に従って打ち込まれる障害釘及び障害釘の製造方法並びに障害釘が遊技盤に打ち込まれた遊技機に関する。
パチンコ機などの遊技機の遊技盤に所定の配列に従って打ち込まれる障害釘として、従来、特許文献1において、頭部と軸部とを有する障害釘であって、軸部の中間部を頭部より高硬度とした障害釘が記載されている。この障害釘は、遊技球が障害釘に衝突した際の反発力の変化を小さくし、遊技機のゲーム性を維持させながら、障害釘の耐久性を向上させることができるものとしている。
特開2011-139783号公報
しかし、特許文献1に記載された従来の障害釘は、軸部の中間部が高硬度であっても、黄銅によって形成されたものであるため、外力を受けることにより塑性変形し易いものであった。このため、従来の障害釘は、パチンコ店などの遊技場側で意図的に障害釘を曲げる釘調整をすることができ、入賞確率を調整することが可能となる。入賞確率が調整されたパチンコ機は、パチンコ機メーカが設定した入賞確率からかけ離れたものとなり、予定された遊技内容が再現されなくなるという課題があった。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、塑性変形し難く、パチンコ店などの遊技場側で釘調整をすることが困難な障害釘を提供することを目的とする。
本発明に係る障害釘は、炭素含有量が0.4~1.5%の鋼材から形成され、引張試験における、弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であることを特徴とする。
本発明の障害釘によれば、弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であり、弾性限度の応力未満の応力を受けても塑性変形しないため、パチンコ店などの遊技場側で釘調整をすることが困難なものとすることができる。
ここで、上記障害釘において、前記引張試験における引張強さの応力が1.6kN/mm2以下であるものとすることができる。
これによれば、パチンコ店などの遊技場側が無理に塑性変形を試みることにより障害釘が破断するため、パチンコ店などの遊技場側で釘調整をすることがより困難であるものとすることができる。
ここで、上記障害釘の製造方法は、前記障害釘の製造方法であって、伸線及び焼鈍加工後の鋼材を、釘形状に成形する第1の工程と、釘形状に成形された該鋼材に焼入れをする第2の工程と、を含むものとすることができる。
これによれば、第1の工程で釘形状に成形された鋼材が第2の工程で焼入れをされるため、障害釘は、釘形状の状態で、鋼材の硬度を高めることができる。このため、障害釘を形成する鋼材は、引張試験における、弾性限度の応力が高い鋼材とすることができる。
また、上記障害釘の製造方法において、前記焼入れの温度は、900~1200℃であるものとすることができる。
これによれば、障害釘を形成する鋼材は、好適に鋼材の硬度が高められ、弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であるものとすることができる。
ここで、本発明に係る遊技機は、上記障害釘が遊技盤に打ち込まれたものとすることができる。
これによれば、遊技機の障害釘が塑性変形し難いため、パチンコ店などの遊技場側で遊技機の釘調整をすることが困難となる。
本発明の障害釘によれば、弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であり、弾性限度の応力未満の応力を受けても塑性変形しないため、パチンコ店などの遊技場側で釘調整をすることが困難なものとすることができる。
本発明の実施形態の障害釘の側面図である。 本発明の実施形態の障害釘と従来の障害釘の引張試験の応力-ひずみ曲線を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る障害釘について説明する。実施形態の障害釘は、図1に示すように、胴部2の後端部に丸頭状の頭部3が形成され、胴体2の先端側に遊技盤に打ち込まれる螺旋状の螺旋部5が形成されている。頭部3及び螺旋部5は、後に述べる製釘工程の釘形状に成形する第1の工程によって加工が施される。障害釘の長さは34mm±0.5mmであり、胴部2の直径は1.8mm±0.05mmである。障害釘は、遊技盤に打ち込まれたとき、障害釘の先端から15mmまでの部分が遊技盤に埋没する。
障害釘は、パチンコ店などの遊技場側で意図的に障害釘を曲げる釘調整ができないように、引張試験における、弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であり、弾性限度の応力未満の応力を受けても塑性変形することがないため、釘調整が困難となるものである。弾性限度の応力が0.5kN/mm2未満だと、遊技場側で釘調整をすることが可能となるおそれがある。一方、弾性限度の応力が1.4kN/mm2を超えるものとすると、鋼材として製造することが困難となり、使用することが難しいと考えられる。より好ましくは、鋼材の弾性限度の応力は、0.8~1.2kN/mm2であり、さらに好ましくは、0.9~1.1kN/mm2である。
障害釘は、過大な力を受けることにより障害釘が破断して釘調整ができないように、引張試験における、引張強さの応力が1.6kN/mm2以下である鋼材から形成される。これにより、障害釘は、無理に釘調整が行なわれると、破断することになる。引張強さの応力が1.6kN/mm2を超えると、鋼材が硬くなりすぎ、遊技場側で無理に釘調整が行われた際に、障害釘ではなく障害釘の打ち込まれた遊技盤に割れなどの損傷が生じるおそれがある。より好ましくは、引張強さは、1.55kN/mm2以下であり、さらに好ましくは、1.5kN/mm2以下である。
ここで、弾性限度の応力とは、弾性変形が可能な最大の応力であり、最大弾性変形域での応力である。つまり、弾性限度の応力を超えた応力を受けると、障害釘は、塑性変形することになる。弾性限度の応力を受けた際から引張強さの応力を受ける際までは、鋼材は塑性変形をする。引張強さの応力は、最大の引張強さの応力であり、鋼材では、鋼材が破断する直前に最大の引張強さを示す。引張強さの応力は、弾性限度の応力以上の値となる。なお、図2の本発明の実施形態の障害釘と従来の障害釘の応力-ひずみ曲線を示す図において、実施形態の障害釘(実施例)と従来の障害釘(比較例)の弾性限度をEeとEcで示し、実施例と比較例の引張強さをTeとTcで示した。また、直径1.8mmの障害釘に0.5kN/mm2の応力を受けた状態とは、地球の重力下で、障害釘に130kgのおもりをぶら下げた状態と同じ応力を受けた状態となる。なお、障害釘が固定されている遊技盤は、塑性変形が可能な木材又は合成樹脂材から構成されているため、支点が塑性変形して定まらない状態となる。このため、応力の測定は、曲げ試験ではなく、障害釘の軸方向外側に力を加える引張試験(JIS G 3532(鉄線):2011 11.2 引張試験)に準拠させた。
障害釘に使用される鋼材は、炭素含有量が0.4~1.5%であることにより、焼入れが施され、弾性限度の応力が高い0.5kN/mm2以上のものとすることができる。これにより、障害釘を構成する鋼材は、塑性変形し難い鋼材となり、遊技場側で釘調整をすることが困難であるものとすることができる。鋼材の炭素含有量が0.4%未満だと、鋼材が柔らかくなり、弾性限度の応力が0.5kN/mm2に満たないおそれがある。一方、炭素含流量が1.5%を超えると、鋼材が硬くなり、釘形状に成形する第1の工程において、鋼材を変形させることができないおそれがある。より好ましくは、炭素含有量は、0.7~1.2%であり、さらに好ましくは、0.9~1.1%である。炭素含有量の調整は、鋼材の選定によって行なうことができる。
また、障害釘に使用される鋼材は、クロム含有量が10~20%であるものが好ましい。これにより、障害釘は、耐摩耗性に優れるものとすることができ、摩耗による変形を防止することができるものとすることができる。鋼材のクロム含有量が10%未満だと、障害釘の耐摩耗性を十分に向上させることができないおそれがある。一方、クロム含有量が20%を超えると、クロムが高価な原材料であるため、不経済となるおそれがある。より好ましくは、障害釘に使用される鋼材のクロム含有量は、12~17%である。
障害釘に使用される鋼材として、マルテンサイト系ステンレス鋼を使用することができる。好ましくは、SUS440A、SUS440B、SUS440C及びSUS440Fを使用することができる。
次に、実施形態の障害釘の製造方法について述べる。障害釘の製造方法は、伸線及び焼鈍(annealing)加工後の鋼材を、釘形状に成形する第1の工程と、釘形状に成形された鋼材に焼入れ(quenching)をする第2の工程と、を含むものである。
障害釘に使用する鋼材には、伸線及び焼鈍加工がされた鋼材を使用する。伸線及び焼鈍加工がされた鋼材の形状は、直径が1.8mm±0.05mmの断面が円形の棒状体である。
障害釘に使用される鋼材は、製釘工程による釘形状に成形する第1の工程によって、図1に示す如く、鋼材の後端部をつぶして頭部3を形成し、先端側に螺旋部5が形成される。
障害釘に使用される鋼材は、釘形状に成形する第1の工程後に焼入れをする第2の工程が施される。釘形状に成形された鋼材は、焼入れが施されることにより、釘形状となった状態で、鋼材の硬度が高められ、弾性限度の応力の高い0.5~1.4kN/mm2である鋼材とすることができる。そして、焼入れの温度は、900~1200℃であることが好ましい。焼入れの温度が900℃未満だと、弾性限度の応力の高いものとすることができないおそれがある。一方、焼入れの温度が1200℃を超えると、鋼材に過多の熱を加えることになり、不経済となるおそれがある。より好ましくは、焼入れの温度は、950~1100℃であり、さらに好ましくは、1000~1050℃である。また、鋼材に焼入れを施す時間は、30~120分であることが好ましい。鋼材に焼入れを施す時間が30分未満だと、弾性限度の応力の高いものとすることができないおそれがある。一方、鋼材に焼入れを施す時間が120分を超えると、鋼材に過多の熱を加えることになり、不経済となるおそれがある。より好ましくは、鋼材に焼入れを施す時間は、45~75分である。
焼入れをする第2の工程が施された鋼材は、冷却された後に、第3の工程として焼戻し(tempering)を施すことができる。焼入れが施された鋼材は、焼戻しが施されることにより、鋼材に粘りと強靭性とが付与され、鋼材の脆さを減少させることができる。そして、焼戻しの温度は、150~300℃であることが好ましい。焼戻しの温度が150℃未満だと、鋼材の脆さを減少させることができないおそれがある。一方、焼戻しの温度が300℃を超えると、鋼材に過多の熱を加えることになり、不経済となるおそれがある。より好ましくは、170~200℃である。また、鋼材に焼戻しを施す時間は、60~180分であることが好ましい。焼き戻しの時間が60分未満だと、鋼材の脆さを減少させることができないおそれがある。一方、焼戻しの時間が180分を超えると、鋼材に過多の熱を加えることになり、不経済となるおそれがある。より好ましくは、焼き戻しの時間は、90~150分である。
鋼材としての障害釘は、鋼材の表面の炭素含有量を調整することによって、障害釘を構成する鋼材の表面の硬度を調整することができる。鋼材の表面の炭素含有量の調整には、鋼材の炭素含有量を高める浸炭加工と、炭素含有量を低減させる脱炭加工とがあり、必要によりどちらかを施すことができる。浸炭加工とは、焼入れ時の炉の中の炭素含有量を高めることにより、鋼材の表面の炭素含有量を高め、鋼材の表面の硬度を高めるものである。脱炭加工とは、焼入れ時の炉の中の酸素量を高めることにより、鋼材の表面の炭素含有量を低減させ、鋼材の表面の硬度を下げるものである。
以上のように製造された障害釘は、遊技盤に所定の配列に従って打ち込まれ、遊技機の使用の際には、障害釘に遊技球が衝突して弾かれ、遊技機の嗜好性を向上させる。
実施形態の障害釘が打ち込まれた遊技機は、長時間にわたって遊技がなされても、障害釘の弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であり、障害釘が塑性変形し難いため、障害釘を出荷時の状態に戻す釘調整が不要となる。また、遊技場側の人が、意図的に障害釘を釘調整しようと、障害釘に外力を加えても、障害釘の弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であるため、障害釘が塑性変形し難く、釘調整を行なうことができない。一方、遊技場側の人が、障害釘に無理な外力を加え、釘調整をしようとすると、障害釘の引張強さの応力が、1.6kN/mm2以下であるため、障害釘が簡単に折れてしまう。また、弾性限度の応力から引張強さの応力までのいわゆる塑性変形域が狭いため、人の力の調整能力によっては、塑性変形域の力に調整することが困難であるため、障害釘を塑性変形させることは困難を極めるものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。実施例では、障害釘の鋼材にマルテンサイト系ステンレス鋼のSUS440Cを用いた。比較例として、従来の障害釘の鋼材には黄銅(Cu65%、Zn35%)を用いた。なお、実施例の障害釘の鋼材は伸線及び焼鈍加工がされたものであり、1030℃×60分で焼入れを施し、180℃×120分で焼戻しを施した。実施例の鋼材(SUS440C)の組成(%)を表1に記載する。
Figure 0007101405000001
実施例及び比較例の障害釘は、引張試験による応力を測定し、実際に遊技盤に障害釘を打ち込んで、障害釘の調整が可能か否かの確認を行った。
引張試験は、引張試験(JIS G 3532(鉄線):2011 11.2 引張試験)に準拠して求めたが、試験片には、直径が1.8mm、長さが250mmの断面が円形の棒状体であるものを使用した。なお、チャック間距離は、190mmとした。引張試験の応力-ひずみ曲線を図2に示し、最大弾性変形域(弾性限度)と破断点(最大引張強さ)のそれぞれの応力と変位(ひずみ)を表2に記載する。
Figure 0007101405000002
比較例(黄銅)の弾性限度Ecの応力が0.27kN/mm2であるのに対し、実施例(SUS440C)の弾性限度Eeの応力が0.98kN/mm2であり、実施例の弾性限度Eeは、比較例の3.7倍の応力であっても塑性変形しないことが確認できた。なお、直径1.8mmの障害釘に0.27kN/mm2の応力を受けた状態とは、重力下で、障害釘に69kgのおもりをぶら下げたときと同じ応力を受けた状態であり、直径1.8mmの障害釘に0.98kN/mm2の応力を受けた状態とは、重力下で、障害釘に255kgのおもりをぶら下げたときと同じ応力を受けた状態である。
塑性変形域での変位は、比較例(EcからTcの変位)が12.0mmであり、実施例(EeからTeの変位)が1.6mmであり、実施例の障害釘は塑性変形域が狭い。このため、人の手による釘調整では、障害釘を塑性変形させることが困難である。
また、比較例の引張強さTcの応力は、0.55kN/mm2であり、比較例の弾性限度Ecの応力(0.27kN/mm2)の2.07倍である。実施例の引張強さTeの応力は、1.45kN/mm2であり、弾性限度Eeの応力(0.98kN/mm2)の1.47倍である。このため実施例の障害釘は、比較例の障害釘と比較して、弾性変形域での最大応力を超える応力を受けるとすぐに破断することが確認できる。なお、実施例及び比較例ともに、最大引張強さTe,Tcの応力を示した直後での破断が確認された。
障害釘の調整が可能か否かの確認は、遊技盤に、打ち込み寸法15mmとなるように障害釘を打ち込み、障害釘を金槌で叩き、調整可能か以下かを確認した。障害釘のサイズは、一般に流通している障害釘のサイズ(長さ:34mm、胴部の直径:1.8mm、頭部の直径:3mm)とし、図1に示すように、先端側に螺旋状に形成された螺旋部5を設けたものを使用した。比較例の障害釘は、金槌で叩くことにより、簡単に塑性変形し、釘調整が容易であった。一方、実施例の障害釘は、金槌で叩いても塑性変形せず、釘調整は不可能であった。また、試しに、大型の金槌で調整を試みたところ、実施例の障害釘は塑性変形する間もなく、障害釘が折れて(破断して)しまった。
(変形例)
なお、実施形態の障害釘は、以下のような形態であっても実施することができる。
実施形態の障害釘は、先端側に螺旋状に形成された螺旋部5を設けたものとしたが、螺旋部5を設けない構成としても良い。
実施形態の障害釘に使用される鋼材は、伸線及び焼鈍加工が施された線材を用いたが、MIM(金属粉末射出成形法)によって焼結された鋼材であっても使用することができる。
実施形態の障害釘は、伸線及び焼鈍加工が施された線材を製釘工程によって、頭部3及び螺旋部5を設けたものとしたが、鋼材のブロックを削り出し、焼き入れを施すことによっても、製造することができる。
実施形態の障害釘は、遊技球を誘導する障害釘の用途としたが、風車の軸となる釘などに対しても適用することができる。
2…胴部、3…頭部、5…螺旋部、Ee,Ec…弾性限度、Te,Tc…引張強さ。

Claims (5)

  1. 炭素含有量が0.4~1.5%の鋼材から形成され、引張試験における、弾性限度の応力が0.5~1.4kN/mm2であることを特徴とする障害釘。
  2. 前記引張試験における、引張強さの応力が1.6kN/mm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の障害釘。
  3. 請求項1又は2に記載の障害釘の製造方法であって、伸線及び焼鈍加工後の鋼材を、釘形状に成形する第1の工程と、釘形状に成形された該鋼材に焼入れをする第2の工程と、を含むことを特徴とする障害釘の製造方法。
  4. 前記焼入れの温度が、900~1200℃であることを特徴とする請求項3に記載の障害釘の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の障害釘が、遊技盤に打ち込まれたものであることを特徴とする遊技機。
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