JP7143645B2 - 空気入りタイヤ、空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents
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Description
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に塗布することにより形成されたシーラント層、すなわち、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されたシーラント層では、パンク原因異物(例えば、φ5mm、長さ60mmの釘)がタイヤに刺さった際に、刺さった箇所が、隣り合うシーラント材同士の境界面(接着面)であると、隣り合うシーラント材同士の境界面部分が周方向側に裂け、シールする事ができなくなるおそれがある。特に低温状態のシーラント材は粘度が高いため、低温状態においてパンク原因異物が隣り合うシーラント材同士の境界面に刺さった場合、さらに周方向側に裂けやすくなり、シール性能が低くなるおそれがある。
すなわち、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されたシーラント層では、隣り合うシーラント材同士の境界面にパンク原因異物が刺さった場合、裂けるおそれがあり、良好なシーラント層の耐裂性が得られない場合があった。
上記シーラント層が、上記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
上記第一シーラント層が、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
上記第二シーラント層が、上記第一シーラント層に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向と、上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向とが交差する空気入りタイヤ(シーラントタイヤ)に関する。
上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向と、上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向とが交差する角度θが以下の式(1)を満たすことが好ましい。
θ=arctan(上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長)+arctan(上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長) (1)
上記シーラント層が、上記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に沿って塗布することにより第一シーラント層を形成する工程と、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状に上記第一シーラント層に沿って、上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向と、上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向とが交差するように塗布することにより第二シーラント層を形成する工程とを含む空気入りタイヤ(シーラントタイヤ)の製造方法に関する。
上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向と、上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向とが交差する角度θが以下の式(1)を満たすことが好ましい。
θ=arctan(上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長)+arctan(上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長) (1)
本発明の空気入りタイヤは、例えば、本発明の空気入りタイヤの製造方法、すなわち、インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、上記シーラント層が、上記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に沿って塗布することにより第一シーラント層を形成する工程と、略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状に上記第一シーラント層に沿って、上記第一シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向と、上記第二シーラント層を構成する上記シーラント材が延びる方向とが交差するように塗布することにより第二シーラント層を形成する工程とを含む空気入りタイヤの製造方法、により製造できる。
シーラント層が、インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、前記第一シーラント層が、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、前記第二シーラント層が、前記第一シーラント層に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が、同一の周方向に配されており、更に、前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が、タイヤ幅方向にずれずに(揃えて)配置されている場合(図13(a)参照)、第一シーラント層及び第二シーラント層において、隣り合うシーラント材同士の境界面部分がタイヤ幅方向において同じ位置に存在することとなり、パンク原因異物が隣り合うシーラント材同士の境界面に刺さった場合(図13(b)参照)、第一シーラント層及び第二シーラント層の両シーラント層において、隣り合うシーラント材同士の境界面部分が周方向側に裂け、その結果、パンク原因異物にシーラント材が付着せず、シールする事ができなくなるおそれがある(図13(c)参照)。
一方、本発明のように、第一シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向と、第二シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向とが交差する場合(図12(a)、図13(d)参照)、第一シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向と、第二シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向とが異なっているため、お互いのシーラント材の存在によって、境界面部分が裂けることが防止されるため、隣り合うシーラント材同士の境界面部分が周方向側に裂けることを防止でき、その結果、シーラント材がパンク原因異物に付着し、パンク原因異物にシーラント材が引っ張られて好適にシールする事が可能である(図13(f)参照)。
そもそも、第一シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向と、第二シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向とが交差する場合(図13(d)参照)、第一シーラント層及び第二シーラント層において、隣り合うシーラント材同士の境界面部分がタイヤ幅方向において同じ位置に存在する蓋然性が非常に低く、パンク原因異物が、いずれかのシーラント層の隣り合うシーラント材同士の境界面に刺さった場合(図13(e)参照)であっても、他方のシーラント層では、隣り合うシーラント材同士の境界面部分が周方向側に裂けるおそれもなく、その結果、他方のシーラント層のシーラント材がパンク原因異物に付着し、パンク原因異物にシーラント材が引っ張られて好適にシールする事が可能である(図13(f)参照)。
そして、仮に、第一シーラント層及び第二シーラント層において、隣り合うシーラント材同士の境界面部分がタイヤ幅方向において同じ位置に存在していたとしても、上記の通り、第一シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向と、第二シーラント層を構成するシーラント材が延びる方向とが異なっているため、お互いのシーラント材の存在によって、境界面部分が裂けることが防止されるため、隣り合うシーラント材同士の境界面部分が周方向側に裂けることを防止でき、好適にシールする事が可能である。
1)走行中に釘などの異物が刺さった場合のシール性能。
2)異物が刺さった状態での走行における異物の拗れや加熱により、異物が刺さった部分の周囲のゴムが破壊されることで、異物によって形成された穴が広がった後、高速走行時の遠心力により、異物がタイヤから抜けた場合のシール性能。
3)異物が刺さった状態での走行により、異物によって形成された穴が広がり、タイヤから空気が徐々に漏れることで内圧が減少し、内圧警報装置が作動して運転者がパンクに気付いた後、運転者が異物を抜いた場合のシール性能。
4)3)の雰囲気が極低温であった場合のシール性能。
の4つのタイプに大別される。
また、高温になる夏場では高粘度の第二シーラント層で、低温になる冬場では低粘度の第一シーラント層でシールすることができるため、夏場でのシール性能と冬場でのシール性能とを両立させることもできる。
該100℃における動粘度は、好ましくは3900mm2/s以下、より好ましくは3800mm2/s以下である。4010mm2/sを超えると、シール性が悪化するおそれがある。
該40℃における動粘度は、好ましくは200000mm2/s以下、より好ましくは170000mm2/s以下である。200000mm2/sを超えると、シーラント材の粘度が高くなり過ぎて、シール性が悪化するおそれがある。
上記のとおり、低温~高温におけるシール性能を確保できるという理由から、第一シーラント層及び第二シーラント層の粘度が異なることが好ましい。シーラント材の粘度によって、シール可能な温度範囲が異なる為、第一シーラント層及び第二シーラント層の粘度が異なることにより、1層のみの場合や、同一配合を重ねて塗布する場合よりもシール可能な温度範囲が広くなる。
更に、従来のシーラントタイヤでは困難であった走行後のシール性能及び低温でのシール性能の両立が可能となり、さらに、良好な初期シール性能も得られるという理由から、第一シーラント層の粘度が、第二シーラント層の粘度よりも低いことが好ましい。
第一シーラント層の95℃粘度と第二シーラント層の95℃粘度との差(第二シーラント層の95℃粘度から第一シーラント層の95℃粘度を引いた値)は、好ましくは0.1kPa・s以上、より好ましくは2kPa・s以上であり、また、好ましくは25kPa・s以下、より好ましくは15kPa・s以下、更に好ましくは12kPa・s以下である。
上記範囲内であれば、効果がより好適に得られる。
シーラント材の定常流せん断粘度を測定し、計測歪を横軸にせん断粘度を縦軸にとったグラフを作成した場合の一例の概略を図10に示す。
<測定条件>
測定機:レオメーターMCR52(アントンパール社製の二円板型回転粘度計)
測定モード:定常流せん断粘度
測定温度:0℃又は95℃
予熱時間:1分間(設定温度に熱したプレート間に挟み込んでからの時間)
ギャップ:1mm(プレート間距離、ただし、シーラント材のはみ出しはなし)
計測時間:15(秒)
計測歪:0~10,000(%)
せん断速度:6(1/s)
ロータ形状:円形プレート(平行平板形、円板径:12mm)
ユニフォミティー及びシール性により優れたシーラントタイヤが好適に得られるという理由から、排出口から吐出されるシーラント材の量(吐出量)が実質的に一定であることが好ましい。
ここで、本明細書において、吐出量が実質的に一定とは、吐出量の変動が93~107%(好ましくは97~103%、より好ましくは98~102%、更に好ましくは99~101%)に収まることを意味する。
ここで、トレッド部に対応するタイヤの内周面とは、路面に接するトレッド部のタイヤ半径方向内側に位置するタイヤの内周面を意味し、ブレーカーに対応するタイヤの内周面とは、ブレーカーのタイヤ半径方向内側に位置するタイヤの内周面を意味する。なお、ブレーカーとは、トレッドの内部で、かつカーカスの半径方向外側に配される部材であり、具体的には、図9のブレーカー16などに示される部材である。
製造設備は、二軸混練押出機60、二軸混練押出機60に原料を供給する材料フィーダー62、タイヤ10を固定して回転させるとともに、タイヤの幅方向及び半径方向に移動させる回転駆動装置50を有する。二軸混練押出機60は、供給口61を5個有している。具体的には、上流側の供給口61aを3個、中流側の供給口61bを1個、下流側の供給口61cを1個有している。更に、二軸混練押出機60の排出口にはノズル30が接続されている。
また、効果がより好適に得られるという理由から、第一シーラント層において、隣接するシーラント材同士が接触していることが好ましく、幅方向に重ならず、隙間なく貼り付けられていることがより好ましい。同様の理由から、第二シーラント層においても、隣接するシーラント材同士が接触していることが好ましく、幅方向に重ならず、隙間なく貼り付けられていることがより好ましい。
なお、第一シーラント層及び第二シーラント層を積層する際は、まず、第一シーラント層をらせん状に配置してから、第一シーラント層と重なるように、第一シーラント層上に、第二シーラント層をらせん状に配置すればよい。
具体的には、図12(a)のように、第一シーラント層を構成するシーラント材20aが延びる方向(図中の矢印aの方向)と、第二シーラント層を構成するシーラント材20bが延びる方向(図中の矢印bの方向)とが異なる結果、両者が交差することを意味する。
なお、ここでの方向とは、タイヤ周方向に対する方向を意味する。
ここで、本明細書において、略紐状形状のシーラント材が延びる方向が実質的に一定とは、塗布されるシーラント材の周方向に対する角度の変動が90~110%(好ましくは95~105%、より好ましくは98~102%、更に好ましくは99~101%)に収まることを意味する。
θ=arctan(第一シーラント層を構成するシーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長)+arctan(第二シーラント層を構成するシーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長) (1)
角度θは、第一シーラント層を構成するシーラント材のタイヤ周方向に対する角度α1と、第二シーラント層を構成するシーラント材のタイヤ周方向に対する角度α2との合計となる(θ=α1+α2)。
よって、tanα1=(ピッチ幅/タイヤの内周長)なので、α1=arctan(ピッチ幅/タイヤの内周長)である。同様に、tanα2=(ピッチ幅/タイヤの内周長)なので、α2=arctan(ピッチ幅/タイヤの内周長)である。
よって、
θ=α1+α2=arctan(第一シーラント層を構成するシーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長)+arctan(第二シーラント層を構成するシーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長) (1)
となる。
なお、上記式では、第一シーラント層、第二シーラント層共に、「タイヤの内周長」を用いて計算しているが、正確には、第二シーラント層の場合には、第一シーラント層の厚み分、内周長が長くなる。しかしながら、その差は無視できるぐらいに小さいため、上記式で誤りはない。
ここで、本明細書において、ピッチ幅とは、らせん1周当たりに、塗布位置がタイヤの幅方向に移動する長さを意味する。より具体的には、シーラント材をタイヤの内周面に1周巻き付ける間に、すなわち、タイヤが1回転する間に、塗布位置がタイヤの幅方向に移動する長さを意味し、図8中、Tで示される長さを意味する。ここで、塗布位置とは、貼り付けられたシーラント材のタイヤの幅方向中央の位置を意味する。
第二シーラント層(第二シーラント層に使用するシーラント材)の厚さは、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.3mm以上、更に好ましくは2mm以上、特に好ましくは3mm以上であり、また、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下である。
第一シーラント層及び第二シーラント層の厚さの合計は、好ましくは7mm以下、より好ましくは6mm以下であり、また、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上である。
上記範囲内であれば、効果がより好適に得られる。
第1実施形態では、シーラントタイヤは、タイヤを回転させ、かつ、上記タイヤ及びノズルの少なくとも一方をタイヤの幅方向に移動させながら、粘着性のシーラント材を上記ノズルによって上記タイヤの内周面に塗布する際、非接触式変位センサによって上記タイヤの内周面と上記ノズルの先端との距離を測定する工程(1)と、測定結果に基づき、上記タイヤ及びノズルの少なくとも一方をタイヤの半径方向に移動させることで、上記タイヤの内周面と上記ノズルの先端との間隔を所定の距離に調整する工程(2)と、上記間隔が調整されたタイヤの内周面に上記シーラント材を塗布する工程(3)とを行うこと等により、製造できる。
このように、非接触式変位センサが測定する距離dとは、タイヤの内周面とノズルの先端とのタイヤの半径方向の距離である。
図2に示すように、非接触式変位センサ40により、シーラント材20を塗布する前のタイヤ10の内周面11とノズル30の先端31との距離dを測定する。距離dの測定は、シーラント材20を各タイヤ10の内周面11に塗布する度に行い、シーラント材20の塗布開始から塗布終了まで行う。
距離dの測定データを回転駆動装置の制御機構に転送する。制御機構では、測定データに基づき、タイヤ10の内周面11とノズル30の先端31との間隔が所定の距離になるように、タイヤの半径方向の移動量を調整する。
シーラント材20は、ノズル30の先端31から連続的に吐出されているので、上記間隔が調整されたタイヤ10の内周面11に塗布されることになる。以上の工程(1)~(3)により、タイヤ10の内周面11に均一な厚さのシーラント材20を塗布することができる。
図3に示すように、ノズル30がタイヤ10に対して(a)~(d)で示す位置に移動する間、タイヤ10の内周面11とノズル30の先端31との間隔を所定の距離d0に保ちながらシーラント材を塗布することができる。
ここで、調整後の間隔d0とは、上記工程(2)により調整された後のタイヤの内周面とノズルの先端とのタイヤの半径方向の距離である。
ここで、本明細書において、厚さが実質的に一定とは、厚さの変動が90~110%(好ましくは95~105%、より好ましくは98~102%、更に好ましくは99~101%)に収まることを意味する。
なお、本明細書において、タイヤに複数のブレーカーが設けられている場合、ブレーカーのタイヤ幅方向の長さは、複数のブレーカーのうち、最もタイヤ幅方向の長さが長いブレーカーのタイヤ幅方向の長さを意味する。
架橋工程では、シーラントタイヤを加熱することが好ましい。これにより、シーラント材の架橋速度を向上でき、架橋反応をより好適に進行でき、より生産性良くシーラントタイヤを製造できる。加熱方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、オーブンを使用する方法が好適である。架橋工程は、例えば、シーラントタイヤを70℃~190℃(好ましくは150℃~190℃)のオーブン内に2~15分間入れればよい。
なお、塗布直後の流動しやすいシーラント材でも流動を防ぎユニフォミティーを悪化させずに架橋反応を行うことができるという理由から、架橋する際に、タイヤをタイヤ周方向に回転させることが好ましい。回転速度は、好ましくは300~1000rpmである。具体的には、例えば、オーブンとして回転機構付きオーブンを使用すれば良い。
(1)連続混練機、全ての供給装置を同時に稼働、停止させることにより、シーラント材のタイヤの内周面への供給を制御する
すなわち、1のタイヤへの塗布が終了すると、連続混練機、全ての供給装置を同時に停止させ、タイヤを交換し(1分以内に交換することが好ましい)、連続混練機、全ての供給装置を同時に稼働させ、タイヤへの塗布を再開すればよい。タイヤの交換を速やかに(好ましくは1分以内に)行うことにより、品質の低下を抑制できる。
(2)連続混練機、全ての供給装置を稼働させたまま、流路を切り替えることにより、シーラント材のタイヤの内周面への供給を制御する
すなわち、連続混練機に、タイヤの内周面に直接フィードするノズルとは別の流路を設けておき、1のタイヤへの塗布が終了すると、タイヤの交換が終了するまで、調製されたシーラント材を別の流路から排出すれば良い。この方法では、連続混練機、全ての供給装置を稼働させたままシーラントタイヤを製造できるため、より品質の高いシーラントタイヤを製造できる。
第1実施形態の方法のみでは、シーラント材が略紐状形状の場合に、タイヤの内周面へのシーラント材の貼り付けが難しい場合があり、特に、貼り付け開始部分のシーラント材が剥離しやすいという問題があることが本発明者の検討の結果明らかとなってきた。第2実施形態では、上記シーラントタイヤの製造方法において、タイヤの内周面とノズルの先端との間隔を距離d1にしてシーラント材を貼り付けた後、上記間隔を距離d1より大きい距離d2にしてシーラント材を貼り付けることを特徴としている。これにより、貼り付け開始時においてタイヤの内周面とノズルの先端との間隔を近づけることで、貼り付け開始部分に対応するシーラント材の幅を広くすることができ、少なくともトレッド部に対応するタイヤの内周面に、粘着性を有し、かつ略紐状形状のシーラント材が連続的にらせん状に貼り付けられており、シーラント材の長さ方向における端部の少なくとも一方が、長さ方向に隣接する部分よりも幅が広い幅広部であることを特徴とするシーラントタイヤを容易に製造することができる。該シーラントタイヤでは、貼り付け開始部分に対応するシーラント材の幅を広くすることにより、当該部分の接着力を改善し、当該部分におけるシーラント材の剥離を防止することができる。
なお、第2実施形態の説明では、主に第1実施形態と異なる点のみを説明し、第1実施形態と重複する内容については記載を省略する。
図6は、第2実施形態のシーラントタイヤに貼り付けられているシーラント材の一例を模式的に示す説明図である。
ブチルゴム:レギュラーブチル065(日本ブチル(株)製、125℃におけるムーニー粘度ML1+8=32)
液状ポリブテン:液状ポリブテンA(日石ポリブテンHV300(JX日鉱日石エネルギー製、40℃における動粘度26,000mm2/s、100℃における動粘度590mm2/s、数平均分子量1,400))と、液状ポリブテンBの(日石ポリブテンHV1900(JX日鉱日石エネルギー製、40℃における動粘度160,000mm2/s、100℃における動粘度3,710mm2/s、数平均分子量2,900))とを1:1(質量比)で併用
カーボンブラック:N330(キャボットジャパン(株)製、HAFグレード、DBP吸油量102ml/100g)
架橋助剤:バルノックGM(大内新興化学(株)製、p-ベンゾキノンジオキシム)
架橋剤:ナイパーNS(日油(株)製、ジベンゾイルパーオキサイド(40%希釈品、ジベンゾイルパーオキサイド:40% ジブチルフタレート:48%)、表1の配合量は純ベンゾイルパーオキサイド量)
<シーラントタイヤの製造>
表1の配合に従って、二軸混練押出機の上流側供給口から、ブチルゴム、カーボンブラック及び架橋助剤を、中流供給口から、液状ポリブテンBを、下流供給口から、液状ポリブテンA及び架橋剤を投入し、バレル温度100℃、200rpmの条件下で、混練加工し、シーラント材を調製した。なお、液状ポリブテンについては、50℃の液状ポリブテンを供給口から投入した。
(各材料の混練時間)
ブチルゴム、カーボンブラック及び架橋助剤の混合時間:2分
液状ポリブテンBの混合時間:2分
液状ポリブテンA及び架橋剤の混合時間:1.5分
なお、シーラント材の幅は、長さ方向において実質的に一定となるように調整した。また、シーラント層の厚さ、シーラント材の幅は、表2に記載の値となるように調整した。更に、第一シーラント層を形成するシーラント材、第二シーラント層を形成するシーラント材について、シーラント材の幅、ピッチ幅を同一とした。
また、実施例の交差領域割合は、100%、比較例の交差領域割合は0%とした。
タイヤ内腔の全体積:36600cm3
比較例1は、シーラント層を形成していないものである。
タイヤの初期内圧を250kPaにし、雰囲気温度0℃において、JIS N150の釘(胴径5.2mm)の長さを50mmに加工した釘20本をタイヤのブロック部に頭まで打ち込み、1時間放置した後に釘を除去し、丸1日タイヤを雰囲気温度0℃に放置して、タイヤのリムを外し、シーラント層が裂けている数を確認した。
指標が小さい程、シーラント層の耐裂性に優れることを示す。
タイヤの初期内圧を250kPaにし、雰囲気温度25℃において、JIS N150の釘(胴径5.2mm)の長さを50mmに加工した釘20本をタイヤのブロック部に頭まで打ち込み、雰囲気温度25℃、速度150km/h、荷重4.2kNの条件下で、750kmドラム走行を実施した後に釘を除去し、丸1日タイヤを雰囲気温度25℃に放置して、石鹸水を付けてエアが漏れていない釘穴の個数を確認した。
指標が大きい程、走行後のシール性に優れることを示す。指標が5以上であれば良好であると判断した。
テスト2と同様の条件でドラム走行した後、12時間タイヤを雰囲気温度-10℃の部屋に放置した後に釘を除去してから、石鹸水を付けてエアが漏れていない釘穴の個数を確認した。
指標が大きい程、低温でのシール性に優れることを示す。指標が7以上であれば良好であると判断した。
11 タイヤの内周面
14 トレッド部
15 カーカス
16 ブレーカー
17 バンド
19 インナーライナー
20 シーラント材
20a 第一シーラント層を構成するシーラント材
20b 第二シーラント層を構成するシーラント材
21 幅広部
22 シーラント層
22a 第一シーラント層
22b 第二シーラント層
30 ノズル
31 ノズルの先端
40 非接触式変位センサ
50 回転駆動装置
60 二軸混練押出機
61(61a 61b 61c) 供給口
62 材料フィーダー
d、d0、d1、d2 タイヤの内周面とノズルの先端との距離
A 釘
Claims (18)
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤであって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
前記第一シーラント層が、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第二シーラント層が、前記第一シーラント層に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差し、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅が、共に2mm~5mmであり、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差する角度θが以下の式(1)を満たす空気入りタイヤ。
θ=arctan(前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長)+arctan(前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長) (1) - 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の粘度が異なる請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一シーラント層の粘度が、前記第二シーラント層の粘度よりも低い請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
- 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤであって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
前記第一シーラント層が、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第二シーラント層が、前記第一シーラント層に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差し、
前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の粘度が異なる空気入りタイヤ。 - 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる請求項5記載の空気入りタイヤ。
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤであって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
前記第一シーラント層が、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第二シーラント層が、前記第一シーラント層に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差し、
前記第一シーラント層の粘度が、前記第二シーラント層の粘度よりも低い空気入りタイヤ。 - 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる請求項7記載の空気入りタイヤ。
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤであって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
前記第一シーラント層が、タイヤの内周面に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第二シーラント層が、前記第一シーラント層に沿って連続的にらせん状に配置された略紐状形状のシーラント材によって構成されており、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差し、
前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる空気入りタイヤ。 - インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に沿って塗布することにより第一シーラント層を形成する工程と、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状に前記第一シーラント層に沿って、前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差するように塗布することにより第二シーラント層を形成する工程とを含み、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅が、共に2mm~5mmであり、
前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差する角度θが以下の式(1)を満たす空気入りタイヤの製造方法。
θ=arctan(前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長)+arctan(前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材のピッチ幅/タイヤの内周長) (1) - 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の粘度が異なる請求項10記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第一シーラント層の粘度が、前記第二シーラント層の粘度よりも低い請求項10又は11記載の空気入りタイヤの製造方法。
- 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる請求項10~12のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に沿って塗布することにより第一シーラント層を形成する工程と、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状に前記第一シーラント層に沿って、前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差するように塗布することにより第二シーラント層を形成する工程とを含み、
前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の粘度が異なる空気入りタイヤの製造方法。 - 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる請求項14記載の空気入りタイヤの製造方法。
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に沿って塗布することにより第一シーラント層を形成する工程と、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状に前記第一シーラント層に沿って、前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差するように塗布することにより第二シーラント層を形成する工程とを含み、
前記第一シーラント層の粘度が、前記第二シーラント層の粘度よりも低い空気入りタイヤの製造方法。 - 前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる請求項16記載の空気入りタイヤの製造方法。
- インナーライナーのタイヤ半径方向内側にシーラント層を有する空気入りタイヤの製造方法であって、
前記シーラント層が、前記インナーライナー側から、第一シーラント層及び第二シーラント層がこの順に積層された構成を有し、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状にタイヤの内周面に沿って塗布することにより第一シーラント層を形成する工程と、
略紐状形状のシーラント材を連続的にらせん状に前記第一シーラント層に沿って、前記第一シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向と、前記第二シーラント層を構成する前記シーラント材が延びる方向とが交差するように塗布することにより第二シーラント層を形成する工程とを含み、
前記第一シーラント層及び前記第二シーラント層の厚さが異なる空気入りタイヤの製造方法。
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