JP7147971B2 - 全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法 - Google Patents

全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素を含む被処理物から、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素を分離する方法に関する。
二重結合を有するパーフルオロカーボンは、半導体や液晶の製造プロセスにおいてエッチング用ガス、クリーニング用ガスとして用いられてきたテトラフルオロエタン(CF4)、ヘキサフルオロエタン(C2F6)等の飽和パーフルオロカーボンの代替やフッ素樹脂の原料として、開発が進められてきた。二重結合を有するパーフルオロカーボンは改善された地球温暖化係数を有するものの、そのレベルは無視できるものではないことに加え、蒸気圧の高さや毒性の問題等から、厳しい規制下にある。そのため、二重結合を有するパーフルオロカーボンの検出方法や除去方法について、種々の提案がなされている(特許文献1~5)。
特開2001-324492号公報 特開2001-302551号公報 特開2000-342931号公報 特開2012-121018号公報 国際公開2012/002239号公報
上記先行技術は、いずれも二重結合を有するパーフルオロカーボンをまとめて検出対象又は除去対象として捉えており、二重結合を有するパーフルオロカーボンに包含される個々の化合物について着目したものではない。二重結合を有するパーフルオロカーボンについては、化合物の骨格(例えば、直鎖状であるか、脂環式であるか等)によって、特性が異なり得る。そのため、再利用の可能性等の点から、化合物の骨格に基づき、二重結合を有するパーフルオロカーボンに包含される化合物の選択的な分離や除去を行うことができれば便利である。
本発明者は、二重結合を有するパーフルオロカーボンの骨格に着目して鋭意検討を行った。そして、二重結合を有するパーフルオロカーボンが、直鎖状の化合物と脂環式の化合物とを含む場合、所定のアミン化合物を接触させることで、直鎖状の化合物を選択的に分離することができることを見出した。本発明者はまた、この知見がパーフルオロカーボンのみならず、塩素原子で全置換されている炭化水素化合物、フッ素原子及び塩素原子で全置換されている炭化水素化合物にも適用できることを見出した。本発明は、かかる知見の下、完成されたものである。
即ち、本発明は、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素を含む被処理物を、式:NR1R2R3(ここで、R1、R2及びR3は、独立してアルキル基であり、これらのうち2つは一緒になって、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよいアルキレン基を形成していてもよい。)で表される第三級アミン及び複素環式芳香族アミン化合物からなる群から選ばれる1種以上のアミン化合物と接触させることを特徴とする、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法に関する。
本明細書において、「二重結合」は、炭素-炭素二重結合をいう。
本明細書において、「フッ素原子又は塩素原子で置換されている」は、フッ素原子のみで置換されている場合、フッ素原子及び塩素原子の両方で置換されている場合、塩素原子のみで置換されている場合のいずれも含む。
本明細書において、「パーフルオロ」は、炭化水素の水素原子の全てをフッ素原子で置き換えたものをいう。
本明細書において、「複素環式芳香族アミン化合物」は、複素芳香環の環構成原子に窒素原子を含むアミン化合物をいう。
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する炭化水素化合物は、二重結合を有しているため反応性が高く、また、化合物同士の沸点が近い場合や蒸気圧が高い場合も多く、分離や除去を蒸留精製や吸着処理などの方法で選択的に行うことが一般的に難しい。本発明によれば、所定のアミン化合物との接触という簡便な方法で、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素を含む被処理物から、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素を分離することができ、再利用等にも便利である。本発明の分離方法は、上記被処理物から、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素を除去する方法として利用することもできる。
本発明は、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素を含む被処理物を、所定のアミン化合物に接触させると、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素が選択的に反応することを利用して、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素を分離するものである。
本発明は、被処理物を液体の状態のアミン化合物と接触させることが好ましい。液体の状態のアミン化合物は、液相のアミン化合物であっても、アミン化合物を溶媒に溶解又は分散させた液体の形態であってもよい。アミン化合物が液相にあることで反応の進行が速やかである点から、被処理物との接触時に、液相にあるアミン化合物を用いることが好ましい。
被処理物とアミン化合物の接触は反応器内で行うことができ、導入量の細かな調整が容易であり、かつ反応の暴走抑制も行える点から、被処理物を気体の状態で反応器に導入することが好ましい。被処理物を加熱等して、気体としてもよい。
被処理物とアミン化合物の接触は、反応の進行を円滑に終点まで行うことを容易にする点から、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素の沸点未満の温度で行うことが好ましい。全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素として、複数の化合物が存在する場合、最も低い沸点を有する化合物の沸点未満の温度とすることができる。
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素は、フッ素原子もしくは塩素原子で置換されたことによる化合物としての安定性の点から、全水素原子がフッ素原子もしくは塩素原子で置換されている直鎖状のアルケン又は全水素原子がフッ素原子もしくは塩素原子で置換されている直鎖状のアルカジエンであることが好ましく、フッ素原子のみで置換されたことによるフッ素原子の電子構造、電子親和力、結合エネルギーにより安定性がさらに高まる点から、直鎖状のパーフルオロアルケン又は直鎖状のパーフルオロアルカジエンであることがさらに好ましい。
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素は、気体の状態での反応器への導入が容易である点から、50℃以下の沸点を有する化合物であることが好ましい。
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素は、全水素原子がフッ素原子もしくは塩素原子で置換されているシクロアルケン又は全水素原子がフッ素原子もしくは塩素原子で置換されているシクロアルカジエンであることができ、パーフルオロシクロアルケン又はパーフルオロシクロアルカジエンであってもよい。
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素は、気体の状態での反応器への導入が容易である点から、30℃以下の沸点を有する化合物であることが好ましい。
本発明における、所定のアミン化合物のうち、第三級アミンとしては、トリアルキルアミン、N-アルキルモルホリン、N-アルキルピペリジン又はN-アルキルピロリジンが好ましく、複素環式芳香族アミン化合物としては、ピリジンもしくはその誘導体、ピリダジンもしくはその誘導体又はイソキノリンもしくはその誘導体が好ましい。誘導体としては、アルキル、アルコキシ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシから選ばれる置換基の1個以上で置換された置換誘導体が挙げられる。
本発明においては、所定のアミン化合物は第三級アミンであっても、複素環式芳香族アミン化合物であってもよい。
本発明においては、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素のモル数に対して、0.01倍以上10倍以下の量の前記アミン化合物を用いることが好ましい。
本発明によれば、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する炭化水素化合物が直鎖状の化合物と脂環式の化合物を含む場合について、所定のアミン化合物との接触という簡便な方法で、直鎖状の化合物を選択的に分離することができ、便利である。
実施例12の第2の耐圧容器内部の化合物のフッ素NMR測定の結果である。 実施例12の第1の耐圧容器内部の化合物のフッ素NMR測定の結果である。
(被処理物)
本発明の被処理物は、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素(以下「化合物X」ともいう。)及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素(以下「化合物Y」ともいう。)を含む。
<全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素(以下「化合物X」ともいう。)>
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素である化合物Xは、二重結合を有する直鎖炭化水素において、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子のいずれかで置換されているものであればよい。塩素原子で置換されている場合、化合物X中の水素原子のうち、1個又は2個が塩素原子で置換され、その他はフッ素原子で置換されていることが好ましい。
化合物Xは、沸点が50℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下である。沸点は-80℃以上であることができる。
化合物X中の炭素原子数は2個以上であればよく、好ましくは2個以上5個以下である。
化合物X中の二重結合は1個以上であればよく、1個又は2個が好ましい。
塩素原子及びフッ素原子の両方を有する化合物Xとしては、CF2=CFCl、CFCl=CFCl、CF3CF=CFCl、CF3CCl=CF2、CF3CCl=CFCl、CF3CF=CCl2が挙げられる。
フッ素原子のみを有する化合物Xとしては、直鎖状のパーフルオロアルケン、直鎖状のパーフルオロアルカジエンが挙げられる。直鎖状のパーフルオロアルケンとしては、CF2=CF2、CF3CF=CF2、CF3CF2CF=CF2、CF3CF=CFCF3、CF3CF2CF2CF=CF2、CF3CF2CF=CFCF3等が挙げられ、直鎖状のパーフルオロアルカジエンとしては、CF2=CFCF=CF2、CF2=CFCF=CFCF3、CF2=CFCF2CF=CF2等が挙げられる。
被処理物中の化合物Xは、1種のみでも、2種以上であってもよい。
<全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素(以下「化合物Y」ともいう。)>
全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素である化合物Yは、二重結合を有する脂環式炭化水素において、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子のいずれかで置換されているものであればよい。塩素原子で置換されている場合、塩素原子数が多くなるにつれて安定性が一般的に上がり反応性が低下するため、化合物Y中の水素原子のうち、1個又は2個が塩素原子で置換され、その他はフッ素原子で置換されていることが好ましい。
化合物Yは、沸点が30℃以下であることが好ましく、より好ましくは15℃以下である。沸点は-20℃以上であることができる。
化合物Yは、炭素環を構成する炭素原子数が3個以上であればよく、好ましくは3個以上6個以下である。
化合物Yは、単環式化合物であっても、多環式化合物であってもよく、好ましくは単環式化合物である。化合物Yは、炭素環上に、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されているアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基)を有していてもよい。
化合物Yの二重結合は1個以上であればよく、1個又は2個が好ましい。
塩素原子及びフッ素原子の両方を有する化合物Yとしては、1-クロロペンタフルオロシクロブテン、1,2-ジクロロテトラフルオロシクロブテン、1,3-ジクロロテトラフルオロシクロブテン等が挙げられる。
フッ素原子のみを有する化合物Yとしては、パーフルオロシクロアルケン、パーフルオロシクロアルカジエンが挙げられる。パーフルオロシクロアルケンとしては、テトラフルオロシクロプロペン、ヘキサフルオロシクロブテン、オクタフルオロシクロペンテン、デカフルオロシクロヘキセン等が挙げられ、パーフルオロシクロアルカジエンとしては、テトラフルオロシクロブタジエン、ヘキサフルオロシクロペンタジエン、オクタフルオロ-1,3-シクロヘキサジエン、オクタフルオロ-1,4-シクロヘキサジエン等が挙げられる。これらは、炭素環上に全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されているアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のパーフルオロアルキル基)を有していてもよく、例えば、3-トリフルオロメチル-ペンタフルオロ-シクロブテン、3-トリフルオロメチル-ヘプタフルオロ-シクロペンテン、4-トリフルオロメチル-ヘプタフルオロ-シクロペンテン等が挙げられる。
被処理物中の化合物Yは、1種のみでも、2種以上であってもよい。
<混合比>
被処理物における化合物Xと化合物Yの割合は、特に限定されず、これらの質量割合(化合物Xの質量:化合物Yの質量)は、例えば、0.1:99.9~99.9:0.1とすることができる。分離効果が十分に得られ、分離後の化合物Xの回収が容易である観点から、これらの質量割合(化合物Xの質量:化合物Yの質量)は1:9~9:1が好ましく、より好ましくは3:7~7:3である。
<その他>
被処理物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含んでいてもよく、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、大気、脂肪族飽和炭化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類等が挙げられる。他の成分は、被処理物の全体に対して、99モル%以下が好ましく、より好ましくは50モル%以下である。他の成分は0%であってもよく、この場合、被処理物は、化合物Xと化合物Yから構成される。被処理物は、所定のアミン化合物との接触時に、化合物Xと化合物Yを含んでいればよい。
(所定のアミン化合物)
本発明は、式:NR1R2R3(ここで、R1、R2及びR3は、独立してアルキル基であり、これらのうち2つは一緒になって、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよいアルキレン基を形成していてもよい。)で表される第三級アミン及び複素環式芳香族アミン化合物からなる群から選ばれる1種以上のアミン化合物を用いる。アミン化合物は、第三級アミンであっても、複素環式芳香族アミン化合物であってもよく、これらの併用であることもできる。
所定のアミン化合物は、室温(23℃)、大気圧下で、液体であることが好ましい。所定のアミンは、融点が-120℃以上であることが好ましく、より好ましくは-50℃以上あり、また、50℃以下であることが好ましく、より好ましくは30℃以下である。
<第三級アミン>
第三級アミンは、式:NR1R2R3(ここで、R1、R2及びR3は、独立してアルキル基であり、これらのうち2つは一緒になって、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよいアルキレン基を形成していてもよい。)で表される。
R1、R2、R3がアルキル基の場合、これらは同じであっても、異なっていてもよいが、好ましくは同じである。
アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基としては、炭素原子数1個以上4個以下のアルキル基が挙げられ、好ましくは1個以上3個以下であり、例えば、メチル、エチル、プロピルである。
R1、R2、R3のうち、2つは一緒になって、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよいアルキレン基を形成していてもよく、基:-(CH2)p-(ここで、pは3以上6以下の整数である。)、-(CH2)q-O-(CH2)q-(ここで、qは、同じであっても異なっていてもよく、1以上3以下の整数である。)、-(CH2)r-S-(CH2)r-(ここで、rは、同じであっても異なっていてもよく、1以上3以下の整数である。)、等が挙げられる。R1、R2、R3のうち、残りの1つは、アルキル基であり、アルキル基については、上記の例示及び好適例が適用される。
第三級アミンとしては、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等のトリアルキルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ブチルモルホリン等のN-アルキルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン等のN-アルキルピペリジン、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン等のN-アルキルピロリジン等が好ましい。
<複素環式芳香族アミン化合物>
複素環式芳香族アミン化合物は、単環式化合物であっても、多環式化合物であってもよく、好ましくは単環式化合物である。複素芳香環の環構成原子である窒素原子は、水素原子を有していないことが好ましい。
複素環式芳香族アミン化合物としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、ビピリジン及びこれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、置換誘導体が挙げられ、置換基としては、アルキル、アルコキシ、アシル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、シアノ等が挙げられる。置換基は1個であっても、2個以上であってもよい。
上記置換基におけるアルキル部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素原子数が1個以上5個以下であることが好ましい。アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられ、アシルとしては、アセチル、プロピオニル等が挙げられ、アルコキシカルボニルとしては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられ、アシルオキシとしては、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ等が挙げられる。
複素環式芳香族アミン化合物としては、ピリジンもしくはその誘導体、ピリダジンもしくはその誘導体又はイソキノリンもしくはその誘導体が好ましい。
(接触工程)
被処理物と所定のアミン化合物との接触の方法は、特に限定されず、例えば、所定のアミン化合物を含む反応器に、被処理物を添加してもよく、所定の反応器に被処理物を導入した後、所定のアミンを注入してもよい。
被処理物と所定のアミン化合物との接触は、所定のアミン化合物が液体の状態で行うことが好ましい。例えば、所定のアミン化合物を融点以上の温度として液体とするか、所定のアミン化合物を溶媒(例えば、脂肪族飽和炭化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類等)に溶解又は分散させた液体とし、被処理物と接触させることができる。
被処理物は、気体の状態で反応器に導入することができる。被処理物を加熱等して、気体の状態にしてもよい。反応器への導入後、気相で所定のアミン化合物と接触させてもよく、反応器内で冷却して一部又は全部を液化させて、液相で所定のアミン化合物と接触させてもよい。
被処理物中の化合物Yの沸点未満の温度で、被処理物を所定のアミン化合物に接触させることが好ましい。化合物Yが複数存在する場合、最も低い沸点を有するものの沸点未満とすることができる。
被処理物と所定のアミン化合物との接触時間は、特に限定されず、例えば、1時間以上24時間以下とすることができ、好ましくは5時間以上18時間以下である。接触時、反応器内を撹拌することにより反応時間を短縮させることができる。
所定の時間、接触させた後、反応器内の気体を捕集するとともに、接触により生成した反応生成物を回収する。化合物Xは、捕集された気体中に分離される。
被処理物中の化合物Yのモル数に対して、所定のアミン化合物のモル数を0.01倍以上10倍以下とすることができ、0.03倍以上5.0倍以下とすることが好ましい。所定のアミン化合物が第三級アミンの場合、好ましくは0.5倍以上であり、より好ましくは1.0倍以上であり、また、好ましくは4.0倍以下であり、より好ましくは3.0倍以下である。所定のアミン化合物が複素環式芳香族アミン化合物の場合、好ましくは0.05倍以上であり、より好ましくは0.1倍以上であり、また、好ましくは3.0倍以下であり、より好ましくは2.0倍以下である。
本発明の分離方法を利用して、微量の所定のアミン化合物を含む、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素を得ることができる。微量の所定のアミン化合物が、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素に残留することで、その臭気によるガス検知が可能となる。例えば、式:NR1R2R3(ここで、R1、R2及びR3は、独立してアルキル基であり、これらのうち2つは一緒になって、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよいアルキレン基を形成していてもよい。)で表される第三級アミン及び複素環式芳香族アミン化合物からなる群から選ばれる1種以上のアミン化合物を、気相中に0.001体積ppm以上1000体積ppm以下含む、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素が挙げられる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例においては、表1に示す所定のアミン化合物、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素(化合物X)及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素(化合物Y)を用いた。
CF2=CFCl (沸点-28℃)
CF3CF=CF2 (沸点-29℃)
CF3CF=CFCF3 (沸点1.2℃)
CF3CF2CF=CF2 (沸点6℃)
CF2=CFCF=CF2 (沸点5~6℃)
c-C4F6:ヘキサフルオロシクロブテン (沸点5~6℃)
c-C5F8:オクタフルオロシクロペンテン (沸点27℃)
内部を減圧にし、-20~-40℃に冷却した第1の耐圧容器に、第1の耐圧容器に連結したバルブを介して、化合物X及び化合物Yを表1に示す質量割合で気体で供給した後、所定のアミン化合物を仕込んだ。所定のアミン化合物の使用量について、化合物Y1モルに対するモル数に対応する量を表1に示す。表1に示す温度の恒温槽に第1の耐圧容器を入れ、容器内を撹拌しながら1晩(14時間)放置した。
その後、第1の耐圧容器に、内部を減圧にし、-20~-60℃に冷却した第2の耐圧容器を接続し、それぞれの容器のバルブを開き、第1の耐圧容器に残留した気体を第2の耐圧容器に移した。その後、第1の耐圧容器を30分かけて徐々に30℃まで加温した。それぞれのバルブを閉じ、第1の耐圧容器の残留分の質量、第2の耐圧容器に捕集した気体の質量を求めた。
その後、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器を、それぞれ-20~-40℃まで冷却し、NMR分析用の重クロロホルムを容器内へ入れ、それぞれの耐圧容器内部の化合物を溶解させ、冷却下で取り出し、フッ素NMR測定を実施した。
測定条件:19F-NMR測定(376MHz,CDCl3、内部標準物質としてトリフルオロメチルトルエンを添加。)
実施例12のフッ素NMR測定の結果を図1に示す。
図1は、第2の耐圧容器内部の化合物の測定結果である。対応するピークはCF3CF=CF2由来のピークであり、c-C4F6のピーク(-122.2ppm(CF2)及び-131.0ppm(CF)は検出されていない。
図2は、第1の耐圧容器内部の化合物の測定結果である。c-C4F6のピークは検出されておらず、CF3CF=CF2由来のピーク以外は生成物由来と推測される。
フッ素NMR測定における、化合物X、化合物Y、反応生成物のピークの積分値により、それぞれの耐圧容器内での割合を算出し、先に求めた残留分の質量、捕集した気体の質量から、化合物Yの転化率、化合物Xの未転化率を算出した。
化合物Yの転化率は、化合物Yの仕込み量に対する、接触後の化合物Yの減少量の割合であり、以下のようにして評価した。
化合物Yの転化率
転化率:80%以上 ・・・ A
転化率:20%以上80%未満 ・・・ B
転化率:20%未満 ・・・ C
転化率:反応生成物なし ・・・ D
化合物Xの未転化率は、化合物Xの仕込み量に対する、接触後の化合物Xの残存量の割合であり、以下のようにして評価した。
化合物Xの未転化率
未転化率:99%以上 ・・・ A
未転化率:95%以上99%未満 ・・・ B
未転化率:95%未満 ・・・ C
転化率がA又はBであり、かつ未転化率がA又はBの場合、化合物Xの分離が達成されているとした。結果を表1に示す。
Figure 0007147971000001
本発明によれば、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する炭化水素化合物が、直鎖状の化合物と脂環式の化合物を含む場合、所定のアミン化合物との接触という簡便な方法で、直鎖状の化合物を選択的に分離することができ、便利である。

Claims (11)

  1. 全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素及び全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素を含む被処理物を、式:NR1R2R3(ここで、R1、R2及びR3は、独立してアルキル基であり、これらのうち2つは一緒になって、酸素原子又は硫黄原子で中断されていてもよいアルキレン基を形成していてもよい。)で表される第三級アミン及び複素環式芳香族アミン化合物からなる群から選ばれる1種以上のアミン化合物と接触させることを特徴とし、
    ここで、前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素が、炭素原子数2~5の、全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素であり、
    前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素が、炭素環を構成する炭素原子数が3~6の、パーフルオロシクロアルケン又はパーフルオロシクロアルカジエンであり、
    前記第三級アミンが、トリアルキルアミン、N-アルキルモルホリン、N-アルキルピペリジン又はN-アルキルピロリジンであり、
    前記複素環式芳香族アミン化合物が、ピリジンもしくはその誘導体、ピリダジンもしくはその誘導体又はイソキノリンもしくはその誘導体である、
    全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  2. 前記被処理物を、液体の状態の前記アミン化合物と接触させる、請求項1記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  3. 前記被処理物と前記アミン化合物の接触が反応器内で行われ、前記被処理物を気体の状態で前記反応器に導入する、請求項1又は2記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  4. 前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素の沸点未満の温度で、前記被処理物を前記アミン化合物に接触させる、請求項1~3のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  5. 前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素が、全水素原子がフッ素原子もしくは塩素原子で置換されている直鎖状のアルケン又は全水素原子がフッ素原子もしくは塩素原子で置換されている直鎖状のアルカジエンである、請求項1~4のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  6. 前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素が、直鎖状のパーフルオロアルケン又は直鎖状のパーフルオロアルカジエンである、請求項5記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  7. 前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素が、50℃以下の沸点を有する化合物である、請求項1~6のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  8. 前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素が、30℃以下の沸点を有する化合物である、請求項1~7のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  9. 前記アミン化合物が、前記第三級アミンである、請求項1~8のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  10. 前記アミン化合物が、前記複素環式芳香族アミン化合物である、請求項1~8のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する直鎖炭化水素の分離方法。
  11. 前記全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている二重結合を有する脂環式炭化水素のモル数に対して、0.01倍以上10倍以下のモル数の前記アミン化合物を用いる、請求項1~10のいずれか1項記載の全水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置換されている直鎖炭化水素の分離方法。
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