JP7149595B2 - ガラス及び結晶化ガラス - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1は、成分組成の適正化が図られた、表面圧縮応力が300MPa以上の強化ガラスを開示している。
また、特許文献2は、二ケイ酸リチウムの結晶相及びβ-スポジュメンの結晶相を所定比で含むガラスセラミックが、高い機械的強度を有することができることを開示している。
更に、特許文献3は、成分組成の適正化が図られた、主結晶としてメタケイ酸リチウム(Li2SiO3)を含むガラスセラミック材料を開示している。このガラスセラミック材料は、そのままでは機械加工し易いが、熱処理により、機械的特性に優れるガラスセラミック製品へと変換され得る材料であることが報告されている。
また、特許文献3に記載の材料は、イオン交換(化学強化)による圧縮応力層の形成を考慮していないため、イオン交換性が低く、強度の点で不十分である。
酸化物換算のモル%で、
SiO2:50%以上70%以下、
B2O3:0%超15%以下、
P2O5:0%超2%以下、
Al2O3:0%超0.5%以下、
Li2O:25%以上35%以下、
Na2O:0%超10%以下、
K2O:0%以上5%以下、
TiO2:0%以上10%以下、及び
ZrO2:0%以上10%以下
であり、SiO2及びLi2Oの合計が95%以下である組成を有する、ことを特徴とする。かかるガラスは、融液にしたときの粘度が十分に低く、結晶化処理によって高強度で且つ均質な結晶化ガラスを形成可能である上、そのまま(未結晶化ガラスの状態)でも結晶化ガラスの状態にしてもイオン交換(化学強化)により効果的に高い強度を発揮する。
酸化物換算のモル%で、
SiO2:50%以上70%以下、
B2O3:0%超15%以下、
P2O5:0%超2%以下、
Al2O3:0%超0.5%以下、
Li2O:25%以上35%以下、
Na2O:0%超10%以下、
K2O:0%以上5%以下、
TiO2:0%以上10%以下、及び
ZrO2:0%以上10%以下
であり、SiO2及びLi2Oの合計が95%以下である組成を有し、且つ、
Li2Si2O5結晶を含む、ことを特徴とする。かかる結晶化ガラスは、上述したガラスから形成可能であり、高い強度を有し、且つ均質である。
以下、本発明の一実施形態のガラス(「本実施形態のガラス」と称することがある。)を具体的に説明する。本実施形態のガラスは、酸化物換算のモル%で、
酸化物換算のモル%で、
SiO2:50%以上70%以下、
B2O3:0%超15%以下、
P2O5:0%超2%以下、
Al2O3:0%超0.5%以下、
Li2O:25%以上35%以下、
Na2O:0%超10%以下、
K2O:0%以上5%以下、
TiO2:0%以上10%以下、及び
ZrO2:0%以上10%以下
であり、SiO2及びLi2Oの合計が95%以下である組成を有する、ことを特徴とする。なお、本明細書において単に「ガラス」と称するものは、別で説明がない限り、後述する「結晶化ガラス」との対比としての「結晶化されていないガラス」又は「未結晶化ガラス」を指すものとする。
ここで、「上述した成分のみからなる」とは、当該成分以外の不純物成分が不可避的に混入する、具体的には、不純物成分の割合が0.2モル%以下である場合を包含するものとする。
なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り、酸化物換算のモル%を意味するものとする。
本実施形態のガラスにおいて、SiO2は、ガラス形成を可能にする必須成分であり、また、結晶化させた際に主に析出するLi2Si2O5結晶を構成する重要な成分である。しかしながら、その含有量が70%を超えると、ガラス融液の粘度が著しく高くなる虞がある。一方、その含有量が50%未満であると、ガラス形成能が低下するか、或いは、結晶化させた際にLi2Si2O5結晶が析出しない虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、SiO2の含有量を50%以上70%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるSiO2の含有量は、52%以上であることが好ましく、54%以上であることがより好ましく、56%以上であることが更に好ましく、また、68%以下であることが好ましく、66%以下であることがより好ましく、64%以下であることが更に好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、B2O3は、ガラス形成成分であるとともに、ガラス融液の粘度を低下させ、更にはNaNO3熔融塩等を使用した化学強化処理(イオン交換処理)においてイオン交換性を高め、加えて均質な結晶化を促進する重要な必須成分である。また、本実施形態のガラスにおいて、B2O3は、ガラスを結晶化させた際の収縮(比重の増加)を抑制する成分でもある。しかしながら、その含有量が15%を超えると、均質な結晶化が進まない虞がある。一方、含有していないと、ガラス融液の粘度の低下が図れないか、或いは、均質な結晶化ガラスを得ることができない。よって、本実施形態のガラスにおいては、B2O3の含有量を0%超15%以下の範囲とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるB2O3の含有量は、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、また、12%以下であることが好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、P2O5は、均質な結晶化を促進する重要な必須成分である。しかしながら、その含有量が2%を超えると、ガラス形成能が低下する虞がある。一方、含有していないと、結晶化処理を施したときに均質に結晶を析出させることができない。よって、本実施形態のガラスにおいては、P2O5の含有量を0超~2%とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるP2O5の含有量は、0.5%以上であることが好ましく、また、1.5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、Al2O3は、ガラス形成能を高め、更にはNaNO3熔融塩等を使用した化学強化処理においてイオン交換性を高める重要な必須成分である。しかしながら、その含有量が0.5%を超えると、ガラス融液の粘度が著しく高くなる虞、及び、均質な結晶化ガラスを得ることができない虞がある。一方、含有していないと、化学強化処理による強度向上を十分に図ることができない虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、Al2O3の含有量を0%超0.5%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるAl2O3の含有量は、0.4%以下であることが好ましく、0.3%以下であることがより好ましく、0.2%以下であることが更に好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、Li2Oは、ガラス融液の粘度を大幅に低下させる必須成分であり、また、結晶化させた際に主に析出するLi2Si2O5結晶を構成するとともに、NaNO3熔融塩等を用いた化学強化処理においてNa+イオンと交換されるLi+イオン源となる重要な成分である。しかしながら、その含有量が35%を超えると、ガラス形成能が低下する虞、及び結晶化させた際の変形の度合いが大きくなる虞がある。一方、その含有量が25%未満であると、ガラス融液の粘度を低下させる効果が不十分であり、均質な結晶化が進まない虞があり、更には、化学強化処理による強度向上を十分に図ることができない虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、Li2Oの含有量を25%以上35%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるLi2Oの含有量は、26%以上であることが好ましく、27%以上であることがより好ましく、28%以上であることが更に好ましく、また、34%以下であることが好ましく、33%以下であることがより好ましく、32%以下であることが更に好ましい。
ここで、本実施形態のガラスは、SiO2及びLi2Oの合計が95%を超えると、たとえSiO2及びLi2Oそれぞれの含有量が上述した範囲内にあったとしても、結晶化させた際の体積(密度)変化量の増大の虞、均質な結晶化が進まない虞、及び化学強化処理におけるイオン交換性の低下の虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、SiO2及びLi2Oの合計を95%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるSiO2及びLi2Oの合計は、92%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。また、本実施形態のガラスにおけるSiO2及びLi2Oの合計は、結晶化させた際に十分な量のLi2Si2O5結晶を析出させる観点から、80%以上であることが好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、Na2Oは、ガラス融液の粘度を低下させ、Li2Oとの併用によりガラス形成能を高める必須成分であり、また、NaNO3熔融塩等を使用した化学強化処理においてNa+イオンとLi+イオンとのイオン交換性を高め、更にKNO3熔融塩等を用いた化学強化処理においてK+イオンと交換されるNa+イオン源となる重要な成分である。また、本実施形態のガラスにおいて、Na2Oは、ガラスを結晶化させた際の収縮(比重の増加)を抑制する成分でもある。しかしながら、その含有量が10%を超えると、ガラス形成能が低下する虞、及び結晶化させた際の変形の度合いが大きくなる虞がある。一方、含有していないと、均質な結晶化が進まない虞、及び、化学強化処理による強度向上を図ることができない虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、Na2Oの含有量を0%超10%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるNa2Oの含有量は、1%以上であることが好ましく、また、8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、K2Oは、ガラス融液の粘度を低下させ、また、KNO3熔融塩を用いた化学強化処理においてK+イオンとNa+イオンとの交換性を高める成分である。しかしながら、その含有量が5%を超えると、ガラス形成能が低下する虞、及び結晶化させた際の変形の度合いが大きくなる虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、K2Oの含有量を0%以上5%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるK2Oの含有量は、4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることが更に好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、TiO2は、結晶化ガラスの不透明性を高める成分である。しかしながら、その含有量が10%を超えると、化学強化処理におけるイオン交換性が低下する虞、及び、結晶化させた際の変形の度合いが大きくなる虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、TiO2の含有量を0%以上10%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるTiO2の含有量は、8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、4%以下であることが更に好ましい。
本実施形態のガラスにおいて、ZrO2は、結晶化ガラスの不透明性を高める成分である。しかしながら、その含有量が10%を超えると、ガラス融液の粘度が高くなる虞、化学強化処理におけるイオン交換性が低下する虞、及び、結晶化させた際の変形の度合いが大きくなる虞がある。よって、本実施形態のガラスにおいては、ZrO2の含有量を0%以上10%以下とした。同様の観点から、本実施形態のガラスにおけるZrO2の含有量は、8%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、4%以下であることが更に好ましい。
本実施形態のガラスには、目的を外れない限り、上述した成分以外のその他の成分、例えばV2O5、Cr2O3、MnO、MnO2、FeO、Fe2O3、Co2O3、Co3O4、NiO、CuO、MoO3、CeO2、Pr2O3、Nd2O3、Sm2O3、Eu2O3、Tb2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3及びTm2O3から選択される1種以上の着色成分を少量(例えば、外割りで10モル%以下となるような量)含有させることができる。
なお、本実施形態のガラスにおける各成分(SiO2、Li2Oなど)の組成の計算には、上記その他の成分を考慮しないものとする。
なお、本明細書において、ガラスに関して「透明」とは、厚み2.0mmの当該ガラスにおいて、可視光(波長380~780nm)における任意の波長の透過率が80%以上であることを指すものとする。
なお、ガラスの1200℃における粘度は、例えばガラス組成を適宜調節することにより、調整することができる。
なお、ガラス表面への圧縮応力層の形成は、例えば、ガラスに対し、化学強化処理(イオン交換処理)を施す、急冷させて表面に歪みを加える等により、達成することができる。
なお、本明細書において、ガラスの3点曲げ強さは、JIS R1601:2008「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」に準拠して測定される。
次に、本実施形態のガラスの製造方法について説明する。
ここで、本実施形態のガラスは、各成分の組成が上述した範囲を満足していればよく、その製造方法については特に限定されることなく、従来の製造方法に従って製造することができる。
例えば、まず、本実施形態のガラスに含まれ得る各成分の原料として、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩などを所定の割合で秤量し、十分混合したものをガラス調合原料とする。次いで、このガラス調合原料を、ガラス原料等と反応性のない熔融容器(例えば貴金属坩堝)に投入して、電気炉にて1200~1500℃に加熱して熔融し、適時撹拌する。次いで、電気炉で清澄、均質化してから、適当な温度に予熱した金型内に鋳込んだ後、電気炉内で徐冷して歪みを取り除くことで、本実施形態のガラスを得ることができる。なお、ガラスの着色改善や脱泡のため、Sb2O3を少量(例えば、外割りで0.5モル%以下となるような量)加えることができる。
なお、本実施形態のガラスにおける各成分(SiO2、Li2Oなど)の組成の計算には、上記Sb2O3を考慮しないものとする。
このようなDPによる成形は、特に、モバイル機器の筐体などといった、比較的大きく複雑な形状を有する部材を作製するのに好適である。
以下、本発明の一実施形態の結晶化ガラス(「本実施形態の結晶化ガラス」と称することがある。)を具体的に説明する。本実施形態の結晶化ガラスは、酸化物換算のモル%で、
SiO2:50%以上70%以下、
B2O3:0%超15%以下、
P2O5:0%超2%以下、
Al2O3:0%超0.5%以下、
Li2O:25%以上35%以下、
Na2O:0%超10%以下、
K2O:0%以上5%以下、
TiO2:0%以上10%以下、及び
ZrO2:0%以上10%以下
であり、SiO2及びLi2Oの合計が95%以下である組成を有し、且つ、
Li2Si2O5結晶を含む、ことを特徴とする。
なお、本明細書において「結晶化ガラス」とは、部分的に結晶を含むガラスを指すものとし、「ガラスセラミック」と概ね同義である。
なお、結晶化ガラスの3点曲げ強さは、JIS R1601:2008「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法」に準拠して測定される。
なお、結晶化ガラス表面への圧縮応力層の形成は、例えば、結晶化ガラスに対し、化学強化処理(イオン交換処理)を施す、急冷させて表面に歪みを加える等により、達成することができる。
本実施形態の結晶化ガラスは、各成分の組成が上述した範囲を満足し、且つLi2Si2O5結晶を含んでいればよく、その製造方法については特に限定されることなく、従来の製造方法に従って製造することができる。
例えば、上述したガラス(未結晶化ガラス)を、ガラス転移温度より高く且つガラスが熔融しない温度域で熱処理することで、Li2Si2O5結晶が析出し、本実施形態の結晶化ガラスを得ることができる。なお、熱処理の温度は、より確実に所望の結晶化ガラスを得る観点から、500~800℃であることが好ましい。また、熱処理の時間は、より確実に所望の結晶を析出させる観点から、1~10時間であることが好ましい。
A:顕微鏡下でも結晶の析出に偏りが認められない
B:目視では偏りが認められないが、顕微鏡下にて偏りが認められる
C:目視にて結晶の析出に偏りが認められる、又は結晶が析出していない
参考までに、実施例1の結晶化ガラス(圧縮応力層無し)に関して、走査電子顕微鏡(SEM)による画像(5000倍)を図1に示し、外観を図2に示し、顕微鏡による画像(50倍)を図3に示す。また、比較例8の結晶化ガラス(圧縮応力層無し)に関して、顕微鏡による画像(50倍)を図4に示す。
図1の画像においては、比較的暗く見える領域がLi2Si2O5結晶であり、比較的明るく見える領域がガラス質である。
Claims (8)
- 酸化物換算のモル%で、
SiO2:50%以上70%以下、
B2O3:0%超15%以下、
P2O5:0%超2%以下、
Al2O3:0%超0.4%以下、
Li2O:25%以上35%以下、
Na2O:0%超10%以下、
K2O:0%以上5%以下、
TiO2:0%以上10%以下、及び
ZrO2:0%以上10%以下
であり、SiO2及びLi2Oの合計が95%以下である組成を有する、ことを特徴とする、ガラス。 - 1200℃における粘度が100dPa・s以下である、請求項1に記載のガラス。
- 表面に圧縮応力層を備える、請求項1又は2に記載のガラス。
- JIS R1601:2008に準拠して測定される3点曲げ強さが400MPa以上である、請求項3に記載のガラス。
- 酸化物換算のモル%で、
SiO2:50%以上70%以下、
B2O3:0%超15%以下、
P2O5:0%超2%以下、
Al2O3:0%超0.4%以下、
Li2O:25%以上35%以下、
Na2O:0%超10%以下、
K2O:0%以上5%以下、
TiO2:0%以上10%以下、及び
ZrO2:0%以上10%以下
であり、SiO2及びLi2Oの合計が95%以下である組成を有し、且つ、
Li2Si2O5結晶を含む、ことを特徴とする、結晶化ガラス。 - JIS R1601:2008に準拠して測定される3点曲げ強さが200MPa以上である、請求項5に記載の結晶化ガラス。
- 表面に圧縮応力層を備える、請求項5又は6に記載の結晶化ガラス。
- JIS R1601:2008に準拠して測定される3点曲げ強さが400MPa以上である、請求項7に記載の結晶化ガラス。
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