JP7189609B2 - 飲料抽出用シート材および飲料抽出用バッグ - Google Patents
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Description
しかし、PETやポリ乳酸等の合成樹脂は、その多くが疎水性であることから、このような合成樹脂製の不織布や織物で飲料抽出用シート材を作成した場合には、水や湯を、シート材の表面で弾いてしまい透過させ難く、飲料を短時間で抽出することが困難であるという問題があった。
例えば、下記の特許文献1(特許第3939326号公報)には、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維やポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維の不織布からなる飲料抽出用シート材に、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、またはショ糖脂肪酸エステル等を含む処理剤の水溶液を付着させることで、飲料抽出用シート材の透水性を高めることができる旨が記載されている。
しかし、特許文献2には、バインダを含まない界面活性剤や静電気防止剤を、不織布ウェブに対して付着ムラなく均一に付着させる技術については開示されていない。
また、本発明は、上記の飲料抽出用シート材によって形成される、シール箇所のシール強度が高い飲料抽出用バッグを提供することを課題とする。
A成分:下記の化学式1で示される、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
化学式1・・・R1-O-(CH2-CH2-O)n-H
(化学式1において、R1は炭素数8~18のアシル基、nは1~30の整数。)
B成分:下記の化学式2で示される、直鎖アルキルスルホン酸塩。
化学式2・・・R2-SO3 - X1+
(化学式2において、R2は炭素数10~18の直鎖脂肪族炭化水素基、X1はナトリウムまたはカリウム。)
C成分:下記の化学式3で示される、脂肪族炭化水素硫酸エステル塩。
化学式3・・・R3-SO3 - X2+
(化学式3において、R3は炭素数10~18の動植物油脂由来のアルコキシ基、X2はナトリウムまたはカリウム。)
本発明の飲料抽出用シート材は、上記処理剤の付着量が0.001~1.00%と少量であるにもかかわらず、表面の電気抵抗値(表面抵抗値)が2.00×1013Ω以下であって、通電し易く制電性の高いものである。これは、飲料抽出用シート材の表面に界面活性機能を有する上記処理剤がほぼ均一に付着し、上記処理剤の連続的に繋がった薄層が形成されていることによると推察される。
このように、本発明の飲料抽出用シート材は、上記処理剤がほぼ均一に付着しているため、瞬時透水性に優れ適切な状態で飲料の抽出を行うことができるという効果を奏する。
すなわち、飲料抽出用シート材に対する処理剤の付着量が0.001~0.25%と極めて少ないので、飲料抽出用シート材から飲料抽出用バッグを長時間にわたって連続的に製造する場合であっても、製袋・充填装置のヒートシールバー、または超音波ホーンやアンビル等に、処理剤が飲料抽出用シート材から徐々に移って汚れとして付着し蓄積することを防ぐことができる。そのため、飲料抽出用バッグへの汚れ移りや、シール不良を防止することができる。
すなわち、この発明にかかる飲料抽出用バッグは、上記〔1〕または〔2〕の発明にかかる飲料抽出用シート材によって形成されているので、上記(a)または(b)に記載された飲料抽出用シート材の効果と同一の効果を奏する。
また、かかる飲料抽出用バッグは、その袋体の表面に処理剤が均一に付着しているので、使用時に袋体を湯面に下した際には、袋体のどの部分が湯面に接触しても瞬時に湯が浸透するため、袋体を湯中にスムーズに沈降させて、適切な状態で飲料の抽出を行うことができる。
また、本発明において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
さらに、本発明において、「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
ここで、抽出材料としては、湯、水またはアルコールなどに含有成分を抽出する飲料の材料であり、例えば、緑茶・紅茶・ほうじ茶・烏龍茶・杜仲茶などの茶葉、麦茶、花茶、コーヒー粉、鰹節・鯖節などの削り節、だし昆布、煮干、漢方薬等を挙げることができる。
処理剤に含まれる界面活性剤としては、下記のA成分を含むことが必須であり、下記のB成分とC成分は、少なくともいずれか一方を含む必要がある。
化学式1・・・R1-O-(CH2-CH2-O)n-H
この化学式1において、R1は炭素数8~18のアシル基であり、例えば、直鎖のアシル基(オクタノイル基、ノナイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基等)、あるいは、これらのアシル基の構造の一部に分岐または二重結合を含んだものであってもよい。また、R1は単一構造のアシル基に限らず、例えば、動植物油脂から得られるアシル基のように、複数種類のアシル基が混在しているものを用いても差し支えない。
また、化学式1において、nは1~30の整数である。
かかるA成分のポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、公知の方法により製造することができる。
化学式2・・・R2-SO3 - X1+
この化学式2において、R2は炭素数10~18の直鎖脂肪族炭化水素基であり、例えば、直鎖のアルキル基(デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基等)、または、直鎖のアルケニル基(デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等)等である。
また、化学式2において、X1はナトリウムまたはカリウムである。
かかるB成分の直鎖アルキルスルホン酸塩は、公知の方法により製造することができる。
化学式3・・・R3-SO3 - X2+
この化学式3において、R3は炭素数10~18の動植物油脂由来のアルコキシ基であり、複数種類のアルコキシ基が混在しているものである。例えば、直鎖のアルコキシ基(デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等)、あるいは、これらのアルコキシ基の構造の一部に分岐または二重結合を含んだものなどが、混在した状態のものである。
また、化学式3において、X2はナトリウムまたはカリウムである
かかるC成分の脂肪族炭化水素硫酸エステル塩は、公知の方法により製造することができる。
なお、B成分とC成分は、いずれもアニオン界面活性剤であって性質が近似しているため、いずれか一方のみを用いることも可能であるが、併用することで処理剤の水への分散性をより向上させることができる。
上記処理剤を長繊維不織布、織物または編物に付着させるには、例えば、処理剤を水で希釈することで、濃度1~10%の水溶液(分散液または乳化液)にして、長繊維不織布等に対して噴霧するか、ローラ等によって塗布し、その後乾燥させればよい。その際の付着量の調節は、処理剤の水溶液濃度と、噴霧量または塗布量を適宜に変更することにより行うことができる。また、必要に応じて、上記長繊維不織布等の表裏で付着量に差をつけたり、表裏の一方のみに付着させたりすることもできる。
飲料抽出用バッグ1は、一般にティーバッグと呼ばれる製品であり、上記飲料抽出用シート材を用いて、テトラ形(四面体形)に形成された袋体2と、飲料抽出用バッグ1を使用する際に、指先で摘まみ上げるためのタグ5と、一端が袋体2の上部に接着され、他端がタグ5に接着された吊糸4とからなる。袋体2は、超音波シールにより各辺の縁部に線溶着部3を形成することで袋状にされており、その内部には、抽出材料(図示せず)として緑茶用の乾燥茶葉等の抽出材料が封入されている。
かかる飲料抽出用バック1を使用する場合は、例えば、指先でタグ5を持ち、湯の入ったカップに袋体2を数秒から数分間浸漬し、袋体2内の抽出材料を湯戻しして飲料成分を溶出させればよい。
まず、本発明における各指標の測定または試験方法を説明する。
飲料抽出用シート材への処理剤の付着量の測定は、ソックスレー抽出器を使用し、JIS L 1095 9.28に規定する測定方法において使用される測定溶剤のジエチルエーテルに代えて、石油エーテルを使用した以外は、同測定方法に準じて行った。
飲料抽出用シート材の表面抵抗値の測定は、高抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製,Hiresta-UP MCP-HT450)を使用し、JIS K 6911 5.13に準拠して測定した。プローブは、d1(中心電極の直径)=0.59cm,d2(リング電極の内直径)=1.1cm,d3(リング電極の外直径)=1.8cmのURSプローブを使用した。測定時は気温20℃、相対湿度(RH)40%であった。
〈1:不織布シート材〉
加熱して溶融させたポリエチレンテレフタレートを紡糸ノズルから押出して繊維状とし、その繊維状の樹脂を、エジェクターを用いて紡糸速度5000m/分で延伸しつつ冷却して長繊維を形成し、その長繊維を一定速度で移動するベルトコンベア上に集積していきスパンボンド不織布(第1層)を形成した。
次いで、加熱して溶融させたポリエステル(酸成分のテレフタル酸/イソフタル酸の重合比が86/14)を紡糸ノズルから押出して繊維状とし、その繊維状の樹脂に対して370℃に加熱した空気流を当てて飛散させ、一定速度で移動する上記スパンボンド不織布の上面に吹き付け集積固化させていくことで、メルトブロー不織布(第2層)を形成するとともに、上記両不織布を接着し、その後フラットロール間を通して厚さを70μmに調整して、120mm幅の長尺状の不織布シート材を製造した。
なお、かかる不織布シート材において、第1層は表面側に該当し、第2層は裏面側に該当する。
下記のA1成分とB1成分とC1成分とを、80:10:10の割合で混合して処理剤を調製した。
A1成分:次式で表されるポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
R1-O-(CH2-CH2-O)n-H
ここで、R1=ヤシ油脂由来のアシル基、n=15。
B1成分:次式で表される直鎖アルキルスルホン酸塩。
R2-SO3 - X1+
ここで、R2=ドデシル基、X1=カリウム。
C1成分:次式で表される脂肪族炭化水素硫酸エステル塩。
R3-SO3- X2+
ここで、R3=ヤシ油脂由来のアルコキシ基、X2=カリウム。
上記〈2:処理剤〉で得られた処理剤を水で希釈して、濃度4.5%の水溶液(分散液)を調製した。次いで、上記〈1:不織布シート材〉で得られた不織布シート材の裏面側(第2層側)に、噴霧装置によって上記水溶液を噴霧した後に乾燥させて、120mm幅の長尺状の飲料抽出用シート材を製造した。
このように、得られた飲料抽出用シート材は、処理剤の付着量が少量であるにもかかわらず表面抵抗値が低いものであることから、かかる飲料抽出用シート材の表面には、処理剤がほぼ均一に付着し、処理剤の連続的に繋がった薄層が形成されているものと推察される。
上記の実施例1の飲料抽出用シート材を、製袋・充填装置(椿本興業株式会社製TWINKLE,充填能力200袋/分)にセットし、飲料抽出用シート材の表面側が外側に、裏面側が内側になるようにして、所定箇所を超音波シールにより線溶着してテトラ形(一辺50mm)の袋体2を形成しつつ緑茶の乾燥茶葉(1.8g)を封入することで、図1に示す飲料抽出用バッグ(緑茶ティーバッグ)1を製造した。
飲料抽出用バッグ1の製造中に、静電気の誘引作用によって飲料抽出用シート材に乾燥茶葉が付着したり、製袋・充填装置の各部位に飲料抽出用シートが貼り付いたりすることはなく、不良品は発生しなかった。
また、製袋・充填装置の超音波シール工程部位(ホーンおよびアンビル)に汚れは認められなかった。
その後、袋体2を湯中に1分間浸漬させた後、ゆっくりと上下に5回往復振とうさせて緑茶を抽出したところ、良好な濃さの緑茶を抽出することができた。抽出した緑茶を試飲したところ、風味が良好であり、処理剤の風味への影響は感じられなかった。
《1:飲料抽出用シート材のサンプルの作成》
上記[実施例1]の〈2:処理剤〉に記載のA1成分、B1成分およびC1成分を、下記表1の飲料抽出用シート材サンプルS1~S7の「混合割合」欄に記載のように、7通りの混合割合で混合して、7種類の処理剤を調製した。
得られた7種類の処理剤を、上記[実施例1]の〈1:不織布シート材〉に記載の不織布シート材に対して、〈3:飲料抽出用シート材〉に記載の方法に準じて付着させて、下記表1に記載の飲料抽出用シート材のサンプルS1~S7を作成した。なお、サンプルS3は、上記[実施例1]の飲料抽出用シート材と同じものである。
飲料抽出用シート材のサンプルS1~S14を用いて、上記[実施例2]に記載の方法に準じて、下記表1に示す飲料抽出用バッグ(緑茶ティーバッグ)のサンプルT1~T14を作成した。
飲料抽出用バッグのサンプルT1~T14を各10個ずつ用意し、これらの各サンプルについて、それらのタグ5を持って袋体2を、カップに入った200mlの約95℃の熱湯の湯面にゆっくり下し、各サンプルの袋体2の湯中への沈降状態を観察した。
本試験の評価は、下記基準に拠った。
a:10個の全てのサンプルについて、袋体2を最初に湯面に下した際に、湯中にスムーズに沈降した。
b:10個のサンプル中に、袋体2を最初に湯面に下した際に湯中にスムーズに沈降せず、数秒間湯面上に浮いた状態になり、その後ゆっくりと湯中に沈降したサンプルが1個以上存在した。
本試験の結果は下記表1の「評価:湯中沈降性」欄に示すとおりである。
飲料抽出用バッグのサンプルT1~T14について、それらのタグ5を持って袋体2を、カップに入った200mlの約95℃の熱湯中に1分間浸漬させ、その間にゆっくりと上下に5回往復振とうさせて各サンプルから緑茶を抽出した。抽出した各緑茶について、5人の評価者によって風味の評価を行った。
本試験の評価は、下記基準に拠った。
a:5人の評価者の全員が異味または異臭を感じなかった。
b:5人の評価者の中に、異味または異臭を感じた者が一人以上存在した。
本試験の結果は下記表1の「評価:風味」欄に示すとおりである。
飲料抽出用シート材のサンプルS1~S14を用いて、上記[実施例2]に記載の方法に準じて、下記表1に示す飲料抽出用バッグ(緑茶ティーバッグ)のサンプルT1~T14を多数作成した。その際の装置の稼働時間は、S1~S14のサンプル毎に60分間とし、サンプル毎の稼働時間が終了する都度、製袋・充填装置の超音波シール工程部位(ホーンおよびアンビル)の汚れ具合を目視観察した。
本試験の評価は、下記基準に拠った。
a:汚れは認められなかった。
b:飲料抽出用シート材から移った処理剤による汚れが少し認められた。
c:飲料抽出用シート材から移った処理剤による汚れが蓄積して、清掃が必要な状態であった。
本試験の結果は下記表1の「評価:汚れ」欄に示すとおりである。
2 袋体
3 線溶着部
4 吊糸
5 タグ
Claims (3)
- 下記のA成分と、下記のB成分とC成分のいずれか一方または両方を合わせたものとを、70:30~95:5の割合で含有してなる処理剤を、ポリエステル系繊維またはポリアミド系繊維により形成された長繊維不織布、織物または編物に、0.001~1.00%となるように付着させてあり、表面抵抗値が2.00×1013Ω以下であることを特徴とする飲料抽出用シート材。
A成分:下記の化学式1で示される、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
化学式1・・・R1-O-(CH2-CH2-O)n-H
(化学式1において、R1は炭素数8~18のアシル基、nは1~30の整数。)
B成分:下記の化学式2で示される、直鎖アルキルスルホン酸塩。
化学式2・・・R2-SO3 - X1+
(化学式2において、R2は炭素数10~18の直鎖脂肪族炭化水素基、X1はナトリウムまたはカリウム。)
C成分:下記の化学式3で示される、脂肪族炭化水素硫酸エステル塩。
化学式3・・・R3-SO3 - X2+
(化学式3において、R3は炭素数10~18の動植物油脂由来のアルコキシ基、X2はナトリウムまたはカリウム。) - 請求項1において、上記処理剤を、上記の長繊維不織布、織物または編物に、0.001~0.25%となるように付着させてあることを特徴とする飲料抽出用シート材。
- 請求項1または2に記載の飲料抽出用シート材によって形成されていることを特徴とする飲料抽出用バッグ。
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