JP7243736B2 - 磁性体検査装置および磁性体検査システム - Google Patents

磁性体検査装置および磁性体検査システム Download PDF

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Description

本発明は、磁性体検査装置および磁性体検査システムに関する。
従来、クレーンやエレベータ、吊り橋、ロボットなどに使用されるワイヤロープ(磁性体)が知られている。このようなワイヤロープでは、素線断線、摩耗、変形などによる劣化の程度を知るために、目視による外観検査が行われている。また、たとえば目視による外観検査だけではワイヤロープの内部の劣化の程度が分からないなどの理由から、磁気による非破壊検査が行われる場合もある。
このような非破壊検査を行う装置として、従来、磁性体を検査可能な磁性体検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1には、ワイヤロープ(磁性体)を検査可能なロープテスタ(磁性体検査装置)が開示されている。このロープテスタは、磁化検出体によるワイヤロープの磁束の検出結果に基づいて、ワイヤロープに傷みが生じているかを判定する。また、磁化検出体の各々は、ワイヤロープの磁束を検出するためのパンケーキコイルを含んでいる。導線が巻回されたパンケーキコイルは、ワイヤロープの周りを囲うように、曲げ加工によりU字状に湾曲するように設けられている。
特開2005-89172号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたロープテスタでは、導線が巻回されたパンケーキコイルがU字状に湾曲するように設けられているため、コイル(パンケーキコイル)の形状および構造が複雑化する。また、導線が巻回されたパンケーキコイルをU字状に形成するために曲げ加工を行う必要があるため、コイル(パンケーキコイル)の製造性(製造容易性)が低下する。これらの結果、導線が巻回されたコイルの形状および構造を簡素化し、導線が巻回されたコイルの製造性を向上させつつ、ワイヤロープに傷みが生じているかを判定することができないという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、コイルの形状および構造を簡素化し、コイルの製造性を向上させることが可能な磁性体検査装置および磁性体検査システムを提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による磁性体検査装置は、磁性体の磁束を検知する差動コイルを含む検知部と、差動コイルの検知信号を取得する検知信号取得部と、を備え、差動コイルは、差動接続された第1受信コイルと第2受信コイルとを少なくとも有し、第1受信コイルおよび第2受信コイルは、磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように配置されており、差動コイルは、第1受信コイルの全体により得られた信号と、第2受信コイルの全体により得られた信号との差分の信号を、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の一方側の部分と、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の他方側の部分との差動信号として出力するように設けられており、第1受信コイルと第2受信コイルとでは、検出面内において磁性体が延びる方向である第1方向に略直交する第2方向の幅が、第1方向の幅よりも大きい。なお、差動接続とは、第1コイルと第2コイルとにおいて、流れる電流の向きが互いに異なるように接続することを意味する。たとえば、第1コイルの巻回方向と第2コイルの巻回方向とが同一方向の場合、第1コイルの一方側の端子と第2コイルの一方側の端子とを接続することにより、第1コイルと第2コイルとが差動接続される。また、第1コイルの巻回方向と第2コイルの巻回方向とが異なる方向である場合、第1コイルの一方側の端子と第2コイルの他方側の端子とを接続することにより、第1コイルと第2コイルとが差動接続される。すなわち、第1コイルの巻回方向と第2コイルの巻回方向とが異なる方向である場合、第1コイルの端子と第2コイルの端子とが互い違いになるように接続することにより、第1コイルと第2コイルとが差動接続される。
この発明の第1の局面による磁性体検査装置では、上記のように構成することにより、ま、第1受信コイルおよび第2受信コイルを、磁性体を挟むように互いの検出面同士が対向するように配置することにより、差動コイルを、磁性体の延びる方向周りに巻き回された差動コイルと略等しい構成の差動コイルとして機能させることができる。その結果、磁性体の延びる方向周りに巻き回された差動コイルの検知信号に基づいて磁性体の検査を行う全磁束法と略等しい検査結果を取得することができる。また、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の一方側の部分を、磁性体の延びる方向周りに巻き回された1つのコイルとみなすことができる。また、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の他方側の部分を、磁性体の延びる方向周りに巻き回された1つのコイルとみなすことができる。したがって、第1受信コイルと第2受信コイルとを差動コイルとして容易に機能させることができる。その結果、第1受信コイルと第2受信コイルとにより差動コイルの構成を簡素化しつつ、第1受信コイルおよび第2受信コイルによって磁性体を挟む構成の差動コイルを、磁性体の延びる方向周りに巻き回された差動コイルとして容易に機能させることができる。また、磁性体から発せられる磁界の大きさは、距離の3乗に比例して減衰する。したがって、第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向の部分と磁性体との間の長さを、第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向と略直交する方向の部分と磁性体との間の長さよりも大きくすることにより、第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向の部分の磁性体の傷みの検知への寄与度を小さくすることができる。また、第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向に略直交する方向の部分の磁性体の傷みの検知への寄与度を大きくすることができる。これらの結果、検知信号のS/N比(信号雑音比)を向上させることが可能となるので、磁性体の傷みの検知精度を向上させることができる。
この場合、好ましくは、第1受信コイルおよび第2受信コイルは、平板状の基板に設けられた矩形状のコイルであ。このように構成すれば、平板状の基板において第1受信コイルおよび第2受信コイルを矩形状に形成することにより、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の一方側の部分を磁性体が延びる方向と直交する同一面内に配置することができる。また、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の他方側の部分を、磁性体が延びる方向と直交する同一面内に配置することができる。これらの結果、差動コイルを、磁性体が延びる方向周りに巻回された矩形状の差動コイルと略等しい構成の差動コイルとして機能させることができる
上記第1受信コイルと第2受信コイルとの検出面内における磁性体が延びる方向である第1方向に略直交する第2方向の幅が、第1方向の幅よりも大きい構成において、好ましくは、磁性体検査装置は、磁性体が貫通する入口および出口を有する磁性体配置部をさらに備え、第1受信コイルおよび第2受信コイルは、磁性体配置部に磁性体が配置された際に磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように磁性体配置部に一体的に設けられている。このように構成すれば、磁性体配置部に磁性体を配置することにより、第1受信コイルと第2受信コイルとが磁性体に非接触の状態において、第1受信コイルと第2受信コイルとによって磁性体を挟むことができる。なお、「磁性体を挟むように」とは、第1コイルおよび第2コイルにより、非接触の状態で磁性体を挟むことを意味する。すなわち、「磁性体を挟むように」とは、第1コイルと第2コイルとの間に、非接触の状態で磁性体が配置されることをいう。
この場合、好ましくは、第1受信コイルおよび第2受信コイルは、磁性体配置部に磁性体が配置された際に、磁性体から第1受信コイルおよび第2受信コイルの検出面までの距離が、磁性体から第1受信コイルまたは第2受信コイルの検出面内における第2方向の両端部までのそれぞれの距離よりも小さくなるように、磁性体配置部に一体的に設けられている。このように構成すれば、磁性体配置部に磁性体を配置した際に、磁性体から第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向の部分の磁性体の傷みの検知への寄与度を、第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向に略直交する方向の部分の磁性体の傷みの検知への寄与度よりも小さくすることができる。その結果、磁性体の傷みの検知に寄与させたくない第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向の部分の、磁性体の傷みの検知への寄与度を小さくすることができるとともに、磁性体の傷みの検知に寄与させたい第1受信コイルと第2受信コイルとの磁性体が延びる方向に略直交する方向の部分の、磁性体の傷みの検知への寄与度を大きくすることができる。
上記第1の局面による磁性体検査装置において、好ましくは、第1受信コイルと第2受信コイルとは、それぞれの検出面が互いに略平行となるように配置されている。このように構成すれば、第1受信コイルおよび第2受信コイルにおいて、磁性体が延びる方向の部分の一方側と他方側との磁性体までの距離が異なることを抑制することができる。その結果、第1受信コイルと第2受信コイルとにおいて、磁性体が延びる方向の一方側と他方側とにおいて検知した検知信号の強度が異なることを抑制することが可能となるので、差動コイルによる検知信号を正確に取得することができる。
上記第1受信コイルおよび第2受信コイルが、磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように磁性体配置部に一体的に設けられている構成において、好ましくは、磁性体配置部は、第1受信コイルが配置される第1磁性体配置部と、第2受信コイルが配置される第2磁性体配置部とを含むとともに、第1磁性体配置部と第2磁性体配置部とのうち、少なくともどちらか一方を移動させることにより、磁性体を外部から磁性体配置部内に配置可能なように磁性体配置部を開放した状態と、磁性体を検査する際の磁性体配置部を閉鎖した状態とを切替可能に構成されている。このように構成すれば、磁性体配置部を開放した状態にすることによって、磁性体配置部に磁性体を容易に配置することができる。また、磁性体配置部を閉鎖した状態にすることにより、磁性体の検査を行う際に、磁性体が脱離するのを抑制することができる。
上記第1の局面による磁性体検査装置において、好ましくは、差動コイルは、差動接続された第3受信コイルと第4受信コイルとをさらに有し、第3受信コイルおよび第4受信コイルは、互いの検出面同士が対向する方向が、第1受信コイルおよび第2受信コイルの検出面同士が互いに対向する方向と交差するように配置されているとともに、平板状の基板に設けられており、差動コイルは、磁性体に沿う方向の部分において、互いに磁界を打ち消し合う方向に電流が流れるように差動接続されている。このように構成すれば、磁性体に沿う方向の部分において、互いに磁界を打ち消し合うため、磁性体から各受信コイルまでの距離によらず、各受信コイルの磁性体に沿う方向の部分の磁性体の傷みの検知の寄与度を略ゼロにすることができる。したがって、各受信コイルの磁性体が延びる方向の一方側の部分を、磁性体が延びる方向と直交する面内において巻回された矩形状のコイルとみなすことができる。また、各受信コイルの磁性体が延びる方向の他方側の部分を、磁性体が延びる方向と直交する面内において巻回された矩形状のコイルとみなすことができる。その結果、差動コイルを、磁性体が延びる方向周りに巻回された矩形状の差動コイルの構成により近い構成の差動コイルとして機能させることが可能となるので、磁性体の延びる方向周りに巻き回された差動コイルの検知信号に基づいて磁性体の検査を行う全磁束法により近い検査結果を取得することができる。
上記第1の局面による磁性体検査装置において、好ましくは、第1受信コイルは、多層構造を有する平板状の第1多層基板に複数設けられているとともに、第2受信コイルは、多層構造を有する平板状の第2多層基板に複数設けられており、差動コイルは、第1多層基板と第2多層基板とが差動接続されることにより構成されている。このように構成すれば、多層基板に設ける受信コイルの数を増加させることにより、差動コイルの巻回数を大きくすることができる。その結果、検知部が検知する検知信号の信号強度を大きくすることができる。
上記第1の局面による磁性体検査装置において、好ましくは、磁性体検査装置は、検知信号に基づいて磁性体の状態判定を行う判定部と、判定部が磁性体に異常が生じたと判定した場合、磁性体に異常が生じたことを示す異常判定信号を出力する異常判定信号出力部とをさらに備える。このように構成すれば、磁性体検査装置において、磁性体の状態の判定結果を取得することができる。すなわち、磁性体検査装置から検知信号を外部に取り出すことなく、容易に判定結果を取得することができる。また、ユーザは、異常判定信号に基づいて、磁性体に異常が生じたことを、磁性体の検査を実施している場所において早期に知ることができるので、磁性体に生じた異常の解消を早期に行うことができる。
上記第1の局面による磁性体検査装置において、好ましくは、磁性体に対して予め磁界を印加し磁性体の磁化の大きさと向きとを整える磁界印加部をさらに備え、差動コイルは、磁界印加部により予め磁界が印加された磁性体の磁界の変化を検知するように構成されている。このように構成すれば、磁性体に対して予め磁界が印加されるので、磁性体の磁化の向きを略一定にすることができる。その結果、検知信号取得部によって取得される検知信号のノイズを低減することが可能となり、検知信号のS/N比を向上させることができる。したがって、検知信号のS/N比を向上させることによって、磁性体の状態(傷等の有無)をより精度よく検査することができる。
上記第1の局面による磁性体検査装置において、好ましくは、検知部は、磁性体の磁化の状態を励振するための励振コイルをさらに含むとともに、励振コイルに流れる励振電流により発生した磁界により磁化の状態が励振された磁性体の延びる方向の磁界または磁界の変化を検知するように構成されている。このように構成すれば、励振コイルにより磁性体の傷等の部分の磁化の状態が励振されるので、磁性体の傷等の部分からの磁性体が延びる方向の磁界または磁界の変化を容易に検知することができる。特に、交流電流等を励振コイルに流すことにより磁性体の磁化の状態に時間変化する励振を与える場合には、磁性体の磁界も時間変化する。そのため、磁性体と検知部とを相対移動させることなく、検知部により検知される磁界を変化させ、検知することができる。
この発明の第2の局面による磁性体検査システムは、磁性体の磁束を検知する差動コイルを含む検知部を備える磁性体検査装置と、差動コイルの検知信号を取得する処理装置と、を備え、差動コイルは、差動接続された第1受信コイルと第2受信コイルとを少なくとも有し、第1受信コイルおよび第2受信コイルは、磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように配置されており、差動コイルは、第1受信コイルの全体により得られた信号と、第2受信コイルの全体により得られた信号との差分の信号を、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の一方側の部分と、第1受信コイルおよび第2受信コイルの磁性体が延びる方向の他方側の部分との差動信号として出力するように設けられており、第1受信コイルと第2受信コイルとでは、検出面内において磁性体が延びる方向である第1方向に略直交する第2方向の幅が、第1方向の幅よりも大きく、処理装置は、検知信号に基づいて磁性体の状態判定を行うとともに、磁性体に異常が生じたと判定した場合、磁性体に異常が生じたことを示す異常判定信号を出力するように構成されている。
この発明の第2の局面による磁性体検査システムでは、上記のように構成することにより、第1の局面による磁性体検査装置と同様に、コイルの形状および構造を簡素化し、コイルの製造性を向上させることが可能な磁性体検査システムを提供することができる。また、ユーザは、異常判定信号に基づいて磁性体に異常が生じたことを知ることが可能となるので、ユーザが検知信号に基づいて磁性体の状態を判定する場合と比較して、磁性体に異常が生じているか否かを容易に把握することができる。また、ユーザは、異常判定信号に基づいて、磁性体に異常が生じたことを早期に知ることができるので、磁性体に生じた異常の解消を早期に行うことができる。
本発明によれば、上記のように、コイルの形状および構造を簡素化し、コイルの製造性を向上させることができる。
第1実施形態による磁性体検査システムの構成を示す概略図である。 第1実施形態による磁性体検査装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態による磁性体検査装置がワイヤロープを検査する状態をY方向から見た模式図(A)および図3(A)の900-900線に沿った断面図(B)である。 第1実施形態による差動コイルを示す模式的な斜視図である。 第1実施形態による磁性体配置部を示す模式的な斜視図である。 第1実施形態による差動コイルの第1受信コイルと第2受信コイルとを示す模式的な斜視図である。 第1実施形態による第1受信コイルおよび第2受信コイルと磁性体との位置関係を説明するための模式図である。 比較例によるワイヤロープの周りに巻き回された差動コイルがワイヤロープの磁束を検知する状態を示した模式図である。 第1位実施形態による差動コイルがワイヤロープの磁束を検知する状態を示した模式図である。 第1実施形態による磁性体配置部に磁性体が配置された際の模式的な斜視図である。 第1実施形態による磁性体配置部を開放した状態の模式図(A)および磁性体配置部を閉鎖した状態の模式図(B)である。 第1実施形態による磁性体検査装置の構成を示すブロック図である。 第2実施形態による差動コイルを示す模式図である。 第2実施形態による磁性体配置部を開放した状態の模式図(A)および磁性体配置部を閉鎖した状態の模式図(B)である。 第1実施形態の第1変形例による磁性体配置部を開放した状態の模式図(A)および磁性体配置部を閉鎖した状態の模式図(B)である。 第1実施形態の第2変形例による差動コイルの模式図である。 第1実施形態の第3変形例による磁性体検査装置の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の第4変形例による磁性体検査装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図7および図9~図11を参照して、第1実施形態による磁性体検査システム300の構成について説明する。
(磁性体検査システムの構成)
図1に示すように、磁性体検査システム300は、検査対象物であり磁性体であるワイヤロープWの傷み(素線断線など)を検査するためのシステムである。磁性体検査システム300は、ワイヤロープWの磁束を計測する磁性体検査装置100と、磁性体検査装置100によるワイヤロープWの磁束の計測結果の表示、および、磁性体検査装置100によるワイヤロープWの磁束の計測結果に基づく解析などを行う処理装置200とを備えている。磁性体検査システム300によりワイヤロープWの傷みを検査することにより、目視により確認しにくいワイヤロープWの傷みを確認可能である。なお、ワイヤロープWは、請求の範囲の「磁性体」の一例である。
ワイヤロープWは、磁性を有する素線材料が編みこまれる(たとえば、ストランド編みされる)ことにより形成されており、Z方向に延びる長尺材からなる磁性体である。ワイヤロープWは、劣化による切断が生じることを未然に防ぐために、磁性体検査装置100により状態(傷等の有無)を検査されている。ワイヤロープWの磁束の計測の結果、劣化の程度が決められた基準を超えたと判断されるワイヤロープWは、作業者により交換される。なお、本明細書において、ワイヤロープWが延びる方向(Z方向)に略直交する面内のうち、互いに直交する2方向のうち、一方の方向をX方向とする。また、Z方向に略直交する面内のうち、互いに直交する2方向のうち、他方の方向をY方向とする。また、Z方向は、請求の範囲の「第1方向」の一例である。また、X方向は、請求の範囲の「第2方向」の一例である。
図1では、磁性体検査装置100が、エレベータ110のかご111の移動に用いられるワイヤロープWを検査する例を示している。エレベータ110は、かご111と、ワイヤロープWを駆動するための巻き上げ機112とを備えている。エレベータ110は、巻き上げ機112によりワイヤロープWを移動させることにより、かご111を上下方向(Z方向)に移動させるように構成されている。磁性体検査装置100は、ワイヤロープWに対して移動しないように固定された状態で、巻き上げ機112により移動されるワイヤロープWの傷みを検査する。
ワイヤロープWは、磁性体検査装置100の位置において、Z方向に延びるように配置されている。磁性体検査装置100は、ワイヤロープWの表面に沿って、ワイヤロープWに対して相対的にZ方向(ワイヤロープWの長手方向)に移動しながら、ワイヤロープWの磁束を計測する。第1実施形態では、エレベータ110に使用されるワイヤロープWをZ方向に移動させながら、磁性体検査装置100によるワイヤロープWの磁束の計測が行われる。これにより、ワイヤロープWのZ方向の各位置における磁束を計測することができるので、ワイヤロープWのZ方向の各位置における傷みを検査可能である。
(処理装置の構成)
図1に示すように、処理装置200は、たとえばパーソナルコンピュータである。処理装置200は、磁性体検査装置100が配置される空間とは違う空間に配置されている。処理装置200は、通信部201と、処理部202と、記憶部203と、表示部204とを備えている。通信部201は、通信用のインターフェースであり、磁性体検査装置100と処理装置200とを通信可能に接続する。処理装置200は、通信部201を介して、磁性体検査装置100によるワイヤロープWの計測結果(計測データ)を受信する。処理部202は、処理装置200の各部を制御する。処理部202は、CPUなどのプロセッサ、メモリなどを含んでいる。処理部202は、通信部201を介して受信したワイヤロープWの計測結果に基づいて、素線断線などのワイヤロープWの傷みを解析する。記憶部203は、たとえばフラッシュメモリを含む記憶媒体であり、ワイヤロープWの計測結果、処理部202によるワイヤロープWの計測結果の解析結果などの情報を記憶(保存)する。表示部204は、たとえば液晶モニタであり、ワイヤロープWの計測結果、処理部202によるワイヤロープWの計測結果の解析結果などの情報を表示する。
第1実施形態では、処理装置200は、磁性体検査装置100から取得した検知信号(計測結果)に基づいてワイヤロープWの状態判定を行うとともに、ワイヤロープWに異常が生じたと判定した場合、ワイヤロープWに異常が生じたことを示す異常判定信号を出力するように構成されている。たとえば、処理装置200は、異常判定信号を表示部204に出力して、ワイヤロープWに異常が生じたことを表示部204に表示させる。これにより、ユーザは、ワイヤロープWに異常が生じたことを容易に確認可能である。また、たとえば、処理装置200は、異常判定信号を検査されたワイヤロープWが用いられている装置(エレベータ110)に出力して、異常判定信号に応じた動作(停止動作など)をこの装置に行わせる。なお、処理装置200は、検知信号に基づいてワイヤロープWに傷みが生じているか否かを判定する。たとえば、処理装置200は、検知信号の信号強度が所定の閾値よりも大きい場合に、ワイヤロープWに傷みが生じていると判定する。また、処理装置200は、検知信号の波形の形状と、ワイヤロープWに傷みが生じている場合の検知信号のモデル波形の形状との一致度が所定の値よりも大きい場合に、ワイヤロープWに傷みが生じていると判定する。
(磁性体検査装置の構成)
図2に示すように、磁性体検査装置100は、検知部1と、電子回路部2とを備えている。検知部1は、ワイヤロープWの磁束を検知(計測)する。具体的には、検知部1は、励振コイル11と、一対の受信コイル121および122を有する差動コイル12とを含んでいる。励振コイル11は、ワイヤロープWの磁化の状態を励振する。励振コイル11は、励振交流電流が流れることにより、Z方向(ワイヤロープWの長手方向、軸方向)に沿った磁界を内部(輪の内側)に発生させるとともに、発生させた磁界を内部に配置されたワイヤロープWに印加する。差動コイル12は、励振コイル11に流れる励振電流により発生した磁界により磁化の状態が励振されたワイヤロープWの延びる方向(Z方向)の磁界または磁界の変化を検知(計測)する。差動コイル12は、検知したワイヤロープWの磁束に応じた検知信号(差動信号)を送信する。なお、差動コイル12の詳細な構成については後述する。また、受信コイル121および122は、それぞれ、請求の範囲の「第1受信コイル」および「第2受信コイル」の一例である。
電子回路部2は、処理部21と、受信I/F(インターフェース)22と、励振I/F23と、電源回路24と、記憶部25と、通信部26とを含んでいる。処理部21は、磁性体検査装置100の各部を制御するように構成されている。処理部21は、CPU(中央処理装置)などのプロセッサ、メモリ、AD変換器などを含んでいる。受信I/F22は、差動コイル12の検知信号(差動信号)を受信して、処理部21に送信する。受信I/F22は、増幅器を含んでいる。受信I/F22は、増幅器により差動コイル12の検知信号を増幅して、処理部21に送信する。励振I/F23は、処理部21からの制御信号を受信する。励振I/F23は、受信した制御信号に基づいて、励振コイル11に対する電力の供給を制御する。電源回路24は、外部から電力を受け取って、励振コイル11などの磁性体検査装置100の各部に電力を供給する。記憶部25は、たとえばフラッシュメモリを含む記憶媒体であり、ワイヤロープWの計測結果(計測データ)などの情報を記憶(保存)する。通信部26は、通信用のインターフェースであり、磁性体検査装置100と処理装置200とを通信可能に接続する。なお、処理部21は、請求の範囲の「検知信号取得部」の一例である。
(差動コイルに関する構成)
図3(A)および図3(B)に示すように、エレベータ110(図1参照)には、ワイヤロープWが設けられている。磁性体検査装置100は、ワイヤロープWを検査可能に構成されている。具体的には、磁性体検査装置100には、励振コイル11および差動コイル12が設けられている。励振コイル11は、ワイヤロープWを取り囲むように巻き回された導線11aによって構成されている。また、励振コイル11は、ワイヤロープWの磁化の状態を励振するように構成されている。また、励振コイル11は、ワイヤロープWと共に、差動コイル12を取り囲むように設けられている。ワイヤロープWと差動コイル12とは、励振コイル11の内部(輪の内側)に配置されている。なお、差動コイル12は、励振コイル11の外部(輪の外側)に配置されていてもよい。
また、差動コイル12は、励振コイル11によって磁化の状態が励振されたワイヤロープWの磁束を検知して、検知信号を送信する。処理部21は、差動コイル12の検知信号を取得する。
ここで、図3(B)に示すように、第1実施形態では、差動コイル12は、差動接続された平面コイルからなる受信コイル121と平面コイルからなる受信コイル122とを有している。受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWを挟むように、互いの検出面同士が対向するように配置されている。差動コイル12は、ワイヤロープWの磁束を検知する際に、受信コイル121と受信コイル122との間にワイヤロープWが非接触で配置されるように構成されている。すなわち、受信コイル121と受信コイル122とは、ワイヤロープWの磁束を検知する際に、ワイヤロープWとは接触しないように設けられている。差動コイル12は、受信コイル121により得られた信号と受信コイル122により得られた信号との差動信号を検知信号として出力するように設けられている。また、検知部1は、後述するように、ワイヤロープWを外部から配置可能な開放状態と、ワイヤロープWを検査する際の閉鎖状態とに切換え可能に構成されているため、励振コイル11も開放状態と閉鎖状態とを切替え可能に構成されている。具体的には、励振コイル11は、導線11aを接続するコネクタ11bを備えている。励振コイル11は、コネクタ11bを離間させることにより、開放状態とすることができる。また、励振コイル11は、コネクタ11bを結合させることにより、閉鎖状態とすることができる。励振コイル11は、閉鎖状態において、コネクタ11bを介して導線11aが接続されることにより励振コイルとして機能するように構成されている。
図4に示すように、受信コイル121は、平板状の基板13に設けられた矩形状のコイルである。具体的には、受信コイル121は、平板状の基板13の基板面内において巻き回された渦巻き状の導線からなる。同様に、受信コイル122は、平板状の基板14に設けられた矩形状のコイルである。具体的には、受信コイル122は、平板状の基板14の基板面内において巻き回された渦巻き状の導線からなる。また、受信コイル121と受信コイル122とは、それぞれの検出面が互いに略平行となるように配置されている。なお、受信コイル121および受信コイル122の検出面とは、コイルを巻き回す面のことであり、平板状の基板13および平板状の基板14の基板表面(または基板裏面)と略平行の面である。
図5に示すように、磁性体検査装置100は、受信コイル121と受信コイル122との間にワイヤロープWを非接触で配置するために、磁性体配置部30を備えている。磁性体配置部30は、ワイヤロープWが貫通する入口31および出口32を有する。第1実施形態では、ワイヤロープWがZ方向に延びる方向に配置されているため、入口31および出口32は、磁性体配置部30において、Z2方向側およびZ1方向側に設けられている。受信コイル121および受信コイル122は、磁性体配置部30にワイヤロープWが配置された際にワイヤロープWを挟むように、互いの検知面同士が対向するように磁性体配置部30に一体的に設けられている。磁性体配置部30の詳細な構成については、後述する。
図6に示すように、受信コイル121の端部と、受信コイル122の端部とは、互いに差動接続されている。具体的には、受信コイル121の巻回方向と受信コイル122の巻回方向とが同一方向であるため、受信コイル121と受信コイル122とは、受信コイル121の内側の端部と受信コイル122の内側の端部とが互いに接続されることにより、差動接続されている。受信コイル121と受信コイル122とは、互いに逆方向に電流が流れるように構成されている。
受信コイル121は、Y方向から見て、略矩形状に形成されている。具体的には、受信コイル121は、長手方向がX方向であり、短手方向がZ方向である略矩形状に形成されている。また、受信コイル121は、X方向に幅W1を有し、Z方向に幅W2を有している。幅W1は、たとえば、受信コイル121のX方向の一方側の端部から他方側の端部までの幅である。幅W2は、たとえば、受信コイル121のZ方向の一方側の端部から他方側の端部までの幅である。X方向の幅W1は、Z方向の幅W2よりも大きい。幅W1は、たとえば、幅W2の約4倍である。
受信コイル121は、Z方向の一方側(Z1方向側)の導線部分である長手部分121aと、Z方向の他方側(Z2方向側)の導線部分である長手部分121bと、X方向の一方側(X1方向側)の導線部分である短手部分121cと、X方向の他方側(X2方向側)の導線部分である短手部分121dとを有している。長手部分121aおよび121bは、X方向に延びるように設けられている。短手部分121cおよび121dは、Z方向に延びるように設けられている。また、受信コイル121の長手部分121aおよび121bと、短手部分121cおよび121dとにより囲まれた空間である非導線部分121eが形成される。
受信コイル122は、受信コイル121に対応する形状を有している。つまり、受信コイル122は、Y方向から見て、略矩形状に形成されている。具体的には、受信コイル122は、長手方向がX方向であり、短手方向がZ方向である略矩形状に形成されている。また、受信コイル122は、X方向に幅W3を有し、Z方向に幅W4を有している。幅W3は、たとえば、受信コイル122のX方向の一方側の端部から他方側の端部までの幅である。幅W4は、たとえば、受信コイル122のZ方向の一方側の端部から他方側の端部までの幅である。X方向の幅W3は、Z方向の幅W4よりも大きい。幅W3は、たとえば、幅W4の約4倍である。なお、幅W3は、幅W1と同じ大きさを有しており、幅W4は、幅W2と同じ大きさを有している。
受信コイル122は、Z方向の一方側(Z1方向側)の導線部分である長手部分122aと、Z方向の他方側(Z2方向側)の導線部分である長手部分122bと、X方向の一方側(X1方向側)の導線部分である短手部分122cと、X方向の他方側(X2方向側)の導線部分である短手部分122dとを有している。長手部分122aおよび122bは、X方向に延びるように設けられている。短手部分122cおよび122dは、Z方向に延びるように設けられている。また、受信コイル122の長手部分122aおよび122bと、短手部分122cおよび122dとにより囲まれた空間である非導線部分122eが形成される。
図7に示すように、受信コイル121および受信コイル122は、磁性体配置部30にワイヤロープWが配置された際に、ワイヤロープWから受信コイル121および受信コイル122の検出面までの距離が、ワイヤロープWから受信コイル121または受信コイル122の検出面内におけるX方向の両端部までのそれぞれの距離よりも小さくなるように、磁性体配置部30に一体的に設けられている。なお、図7に示す例では、便宜上、磁性体配置部30は図示していない。
具体的には、受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWから受信コイル121までの距離d1が、ワイヤロープWから受信コイル121の検出面内におけるX1方向側の端部までのX方向の距離d3よりも小さくなるように配置される。また、受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWから受信コイル121までの距離d1が、ワイヤロープWから受信コイル122の検出面内におけるX2方向側の端部までのX方向の距離d4よりも小さくなるように配置される。また、受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWから受信コイル122までの距離d2が、ワイヤロープWから受信コイル121の検出面内におけるX1方向側の端部までの距離d3よりも小さくなるように配置される。また、受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWから受信コイル122までの距離d2が、ワイヤロープWから受信コイル122の検出面内におけるX2方向側の端部までの距離d4よりも小さくなるように配置される。
ワイヤロープWから発せられる磁界の大きさは、距離の3乗に比例して減衰する。したがって、受信コイル121と受信コイル122とを差動コイルとして機能させるためには、距離d3および距離d4の大きさは、たとえば、距離d1および距離d2の2倍以上の大きさであることが好ましい。また、受信コイル121と受信コイル122とは、距離d1と距離d2とが略等しい距離となるように、磁性体配置部30に設けられている。また、受信コイル121と受信コイル122とは、距離d3と距離d4とが略等しい距離となるように、磁性体配置部30に設けられている。
ここで、図8および図9を参照して、差動コイル12では、ワイヤロープWの周りに巻き回すように設けられた差動コイル220と等価的な検知信号が得られる点について説明する。
図8に示すように、比較例による差動コイル220は、互いに差動接続されているとともに、共にワイヤロープWの周りに巻き回すように設けられた受信コイル221と、受信コイル222とを有している。差動コイル220は、受信コイル221により得られた信号と受信コイル222により得られた信号との差動信号を検知信号として出力するように設けられている。
また、受信コイル221(222)は、Z方向から見て、X方向に長手方向を有し、Y方向に短手方向を有する略矩形状に形成されている。受信コイル221(222)は、Y方向の一方側(Y1方向側)の導線部分である長手部分221a(222a)と、Y方向の他方側(Y2方向側)の導線部分である長手部分221b(222b)と、X方向の一方側(X1方向側)の導線部分である短手部分221c(222c)と、X方向の他方側(X2方向側)の導線部分である短手部分221d(222d)とを有している。
ここで、差動コイル220では、短手部分221c(222c)および221d(222d)は、長手部分221a(222a)および221b(222b)よりもワイヤロープWから十分に遠くなるように設けられている。この場合、得られる信号がワイヤロープWからの距離の3乗に比例して減衰するため、短手部分221c(222c)および221d(222d)により得られる信号は相対的に小さくなり、長手部分221a(222a)および221b(222b)により得られる信号は相対的に大きくなる。
言い換えると、短手部分221c(222c)および221d(222d)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度が小さくなるとともに、長手部分221a(222a)および221b(222b)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度が大きくなる。この結果、差動コイル220は、実質的に、受信コイル221の長手部分221aおよび221bと、受信コイル222の長手部分222aおよび222bとにより得られた信号を検知信号として出力する。具体的には、差動コイル220は、実質的に、受信コイル221の長手部分221aおよび221bにより得られた信号と、受信コイル222の長手部分222aおよび222bにより得られた信号との差動信号を検知信号として出力する。
図9に示すように、第1実施形態による差動コイル12では、短手部分121c(122c)および121d(122d)は、長手部分121a(122a)および121b(122b)よりもワイヤロープWから十分に遠くなるように設けられている。この場合、得られる信号がワイヤロープWからの距離の3乗に比例して減衰するため、短手部分121c(122c)および121d(122d)により得られる信号は相対的に小さくなり、長手部分121a(122a)および121b(122b)により得られる信号は相対的に大きくなる。
言い換えると、短手部分121c(122c)および121d(122d)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度が小さくなるとともに、長手部分121a(122a)および121b(122b)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度が大きくなる。この結果、差動コイル12は、実質的に、受信コイル121の長手部分121aおよび121bと、受信コイル122の長手部分122aおよび122bとにより得られた信号を検知信号として出力する。具体的には、差動コイル12は、実質的に、受信コイル121の長手部分121aおよび受信コイル122の長手部分122aにより得られた信号と、受信コイル121の長手部分121bおよび受信コイル122の長手部分122bにより得られた信号との差動信号を検知信号として出力する。
以上のように、第1実施形態による差動コイル12と、比較例による差動コイル220とでは、共に実質的に長手部分だけで信号が得られるため、等価的な検知信号が得られる。
(磁性体配置部に関する構成)
図10に示すように、磁性体配置部30は、第1磁性体配置部33と、第2磁性体配置部34と、ヒンジ35とを含んでいる。第1磁性体配置部33と第2磁性体配置部34とは、ヒンジ35によって接続されている。また、第1磁性体配置部33と第2磁性体配置部34とは、ヒンジ35を中心として回動可能に構成されている。磁性体配置部30は、第1磁性体配置部33と第2磁性体配置部34とのうち、少なくともどちらか一方を移動させることにより、ワイヤロープWを外部から磁性体配置部30内に配置可能なように磁性体配置部30を開放した状態と、ワイヤロープWを検査する際の磁性体配置部30を閉鎖した状態とを切替可能に構成されている。
第1実施形態では、磁性体配置部30は、第1磁性体配置部33を移動(回動)させることにより、図11(A)に示す磁性体配置部30を開放した状態と、図11(B)に示す磁性体配置部30を閉鎖した状態とを切替可能に構成されている。なお、ヒンジ35は、導線CWが内部を貫通可能に構成されている。したがって、第1磁性体配置部33に設けられた受信コイル121と、第2磁性体配置部34に設けられた受信コイル122とは、導線CWによって接続されることにより差動接続される。
第1磁性体配置部33には、凹部33aが設けられている。また、第2磁性体配置部34には、凹部34aが設けられている。凹部33aおよび凹部34aは、それぞれ、Z方向に延びるように第1磁性体配置部33および第2磁性体配置部34に設けられている。また、凹部33aおよび凹部34aは、X方向における位置が略等しくなるように、第1磁性体配置部33および第2磁性体配置部34に設けられている。したがって、凹部33aおよび凹部34aは、図11(B)に示すように、磁性体配置部30を閉鎖した状態において、入口31および出口32を形成する。
第1実施形態では、磁性体配置部30を開放状態にすることにより、ワイヤロープWを磁性体検査装置100内に導入する。その後、磁性体配置部30を閉鎖状態にすることにより、ワイヤロープWの検査を行う。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、磁性体検査装置100は、ワイヤロープWの磁束を検知する差動コイル12を含む検知部1と、差動コイル12の検知信号を取得する処理部21と、を備え、差動コイル12は、差動接続された平面コイルからなる受信コイル121と平面コイルからなる受信コイル122とを少なくとも有し、受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWを挟むように、互いの検知面同士が対向するように配置されている。これにより、差動コイル12の受信コイル121と受信コイル122とを共に平面コイルにより構成することができるので、コイルをワイヤロープWの周りに巻き回すように設ける場合に比べて、コイル(差動コイル12)の形状および構造を簡素化することができる。また、コイルをU字状に湾曲するように設ける場合と異なり、コイルをU字状に湾曲させる曲げ加工を行う必要がないため、コイル(差動コイル12)の製造性を向上させることができる。これらの結果、コイル(差動コイル12)の形状および構造を簡素化し、コイル(差動コイル12)の製造性を向上させることが可能な磁性体検査装置100を提供することができる。また、平面コイルからなる受信コイル121および受信コイル122を、ワイヤロープWを挟むように互いの検出面同士が対向するように配置することにより、差動コイル12を、Z方向周りに巻き回された差動コイルと略等しい構成の差動コイルとして機能させることができる。その結果、Z方向周りに巻き回された差動コイルの検知信号に基づいてワイヤロープWの検査を行う全磁束法と略等しい検査結果を取得することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、差動コイル12は、受信コイル121および受信コイル122のZ方向の一方側(Z1方向側)の部分と、受信コイル121および受信コイル122のZ方向の他方側(Z2方向側)の部分との差動信号を出力するように設けられている。これにより、受信コイル121および受信コイル122のZ方向の一方側(Z1方向側)の部分を、Z方向周りに巻き回された1つのコイルとみなすことができる。また、受信コイル121および受信コイル122のZ方向の他方側(Z2方向側)の部分を、Z方向周りに巻き回された1つのコイルとみなすことができる。したがって、受信コイル121と受信コイル122とが平面コイルである場合にも、受信コイル121と受信コイル122とを差動コイル12として容易に機能させることができる。その結果、平面コイルである受信コイル121と受信コイル122とにより差動コイル12の構成を簡素化しつつ、平面コイルからなる受信コイル121および受信コイル122によってワイヤロープWを挟む構成の差動コイル12を、Z方向周りに巻き回された差動コイルとして容易に機能させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、受信コイル121および受信コイル122は、平板状の基板13および平板状の基板14に設けられた矩形状のコイルであり、受信コイル121と受信コイル122とでは、検出面内においてワイヤロープWが延びる方向であるZ方向に略直交するX方向の幅W1および幅W3が、Z方向の幅W2および幅W4よりも大きい。これにより、平板状の基板13および平板状の基板14において、受信コイル121および受信コイル122のZ方向の一方側の部分をZ方向と直交する同一面内に配置することができる。また、受信コイル121および受信コイル122のZ方向の他方側の部分を、Z方向と直交する同一面内に配置することができる。これらの結果、差動コイル12を、Z方向周りに巻回された矩形状の差動コイルと略等しい構成の差動コイルとして機能させることができる。また、受信コイル121と受信コイル122とのZ方向の部分(短手部分121c、121d、122c、122d)とワイヤロープWとの間の長さを、受信コイル121と受信コイル122とのX方向の部分(長手部分121a、121b、122a、122b)とワイヤロープWとの間の長さよりも大きくすることにより、受信コイル121と受信コイル122とのZ方向の部分(短手部分121c、121d、122c、122d)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度を小さくすることができる。また、受信コイル121と受信コイル122とのX方向の部分(長手部分121a、121b、122a、122b)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度を大きくすることができる。これらの結果、検知信号のS/N比(信号雑音比)を向上させることが可能となるので、ワイヤロープWの傷みの検知精度を向上させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁性体検査装置100は、ワイヤロープWが貫通する入口31および出口32を有する磁性体配置部30をさらに備え、受信コイル121および受信コイル122は、磁性体配置部30にワイヤロープWが配置された際にワイヤロープWを挟むように、互いの検知面同士が対向するように磁性体配置部30に一体的に設けられている。これにより、磁性体配置部30にワイヤロープWを配置することにより、受信コイル121と受信コイル122とがワイヤロープWに非接触の状態において、受信コイル121と受信コイル122とによってワイヤロープWを挟むことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、受信コイル121および受信コイル122は、磁性体配置部30にワイヤロープWが配置された際に、ワイヤロープWから受信コイル121および受信コイル122の検出面までの距離d1および距離d2が、ワイヤロープWから受信コイル121または受信コイル122の検出面内におけるX方向の両端部までのそれぞれの距離d3および距離d4よりも小さくなるように、磁性体配置部30に一体的に設けられている。これにより、磁性体配置部30にワイヤロープWを配置した際に、ワイヤロープWから受信コイル121と受信コイル122とのZ方向の部分(短手部分121c、121d、122c、122d)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度を、受信コイル121と受信コイル122とのX方向の部分(長手部分121a、121b、122a、122b)のワイヤロープWの傷みの検知への寄与度よりも小さくすることができる。その結果、ワイヤロープWの傷みの検知に寄与させたくない受信コイル121と受信コイル122とのZ方向の部分(短手部分121c、121d、122c、122d)の、ワイヤロープWの傷みの検知への寄与度を小さくすることができるとともに、ワイヤロープWの傷みの検知に寄与させたい受信コイル121と受信コイル122とのX方向の部分(長手部分121a、121b、122a、122b)の、ワイヤロープWの傷みの検知への寄与度を大きくすることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、受信コイル121と受信コイル122とは、それぞれの検出面が互いに略平行となるように配置されている。これにより、受信コイル121および受信コイル122において、Z方向の部分(短手部分121c、121d、122c、122d)の一方側(Z1方向側)と他方側(Z2方向側)とのワイヤロープWまでの距離が異なることを抑制することができる。その結果、受信コイル121と受信コイル122とにおいて、Z方向の一方側(Z1方向側)と他方側(Z2方向側)とにおいて検知した検知信号の強度が異なることを抑制することが可能となるので、差動コイル12による検知信号を正確に取得することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁性体配置部30は、受信コイル121が配置される第1磁性体配置部33と、受信コイル122が配置される第2磁性体配置部34とを含むとともに、第1磁性体配置部33と第2磁性体配置部34とのうち、第1磁性体配置部33を移動させることにより、ワイヤロープWを外部から磁性体配置部30内に配置可能なように磁性体配置部30を開放した状態と、ワイヤロープWを検査する際の磁性体配置部30を閉鎖した状態とを切替可能に構成されている。これにより、磁性体配置部30を開放した状態にすることによって、磁性体配置部30にワイヤロープWを容易に配置することができる。また、磁性体配置部30を閉鎖した状態にすることにより、ワイヤロープWの検査を行う際に、ワイヤロープWが脱離するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、磁性体検査システム300は、ワイヤロープWの磁束を検知する差動コイル12を含む検知部1を備える磁性体検査装置100と、差動コイル12の検知信号を取得する処理装置200と、を備え、差動コイル12は、差動接続された平面コイルからなる受信コイル121と平面コイルからなる受信コイル122とを少なくとも有し、受信コイル121および受信コイル122は、ワイヤロープWを挟むように、互いの検知面同士が対向するように配置されており、処理装置200は、検知信号に基づいてワイヤロープWの状態判定を行うとともに、ワイヤロープWに異常が生じたと判定した場合、ワイヤロープWに異常が生じたことを示す異常判定信号を出力するように構成されている。これにより、磁性体検査装置100と同様にコイル(差動コイル12)の形状および構造を簡素化し、コイル(差動コイル12)の製造性を向上させることが可能な磁性体検査システム300を提供することができる。また、ユーザは、異常判定信号に基づいてワイヤロープWに異常が生じたことを知ることが可能となるので、ユーザが検知信号に基づいてワイヤロープWの状態を判定する場合と比較して、ワイヤロープWに異常が生じているか否かを容易に把握することができる。また、ユーザは、異常判定信号に基づいて、ワイヤロープWに異常が生じたことを早期に知ることができるので、ワイヤロープWに生じた異常の解消を早期に行うことができる。
また、第1実施形態では、上記のように、検知部1は、ワイヤロープWの磁化の状態を励振するための励振コイル11をさらに含むとともに、励振コイル11に流れる励振電流により発生した磁界により磁化の状態が励振されたワイヤロープWの延びる方向(Z方向)の磁界または磁界の変化を検知するように構成されている。これにより、励振コイル11によりワイヤロープWの傷等の部分の磁化の状態が励振されるので、ワイヤロープWの傷等の部分からのワイヤロープWが延びる方向(Z方向)の磁界または磁界の変化を容易に検知することができる。特に、交流電流等を励振コイル11に流すことによりワイヤロープWの磁化の状態に時間変化する励振を与える場合には、ワイヤロープWの磁界も時間変化する。そのため、ワイヤロープWと検知部1とを相対移動させることなく、検知部1により検知される磁界を変化させ、検知することができる。
[第2実施形態]
次に、図1、および、図12~図14を参照して、第2実施形態による磁性体検査装置400について説明する。差動コイル12が受信コイル121および受信コイル122により構成される上記第1実施形態と異なり、第2実施形態では、差動コイル12は、受信コイル121および受信コイル122に加えて、差動接続された受信コイル123と受信コイル124とをさらに有する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
磁性体検査システム500は、図1に示すように、磁性体検査装置400を備える点で、上記第1実施形態の磁性体検査システム300と相違する。また、磁性体検査装置400は、図12に示すように、差動コイル412を備える点で、上記第1実施形態の磁性体検査装置100と相違する。
第2実施形態では、磁性体検査装置400の差動コイル412は、差動接続され受信コイル121と受信コイル122とに加えて、差動接続された受信コイル123と受信コイル124とをさらに有する。なお、受信コイル123および受信コイル124は、それぞれ、請求の範囲の「第3受信コイル」および「第4受信コイル」の一例である。
具体的には、図13に示すように、受信コイル123および受信コイル124は、互いの検出面同士が対向する方向(X方向)が、受信コイル121および受信コイル122の検出面同士が互いに対向する方向(Y方向)と交差するように配置されている。受信コイル123は、平板状の基板15(図14(A)参照)に設けられている。また、受信コイル124は、平板状の基板16(図14(B)参照)に設けられている。受信コイル123および受信コイル124は、受信コイル121および受信コイル122と同様に、導線の巻回方向が同一方向であり、互いに内側の端部同士が接続されている。
また、図13に示すように、第2実施形態では、差動コイル412は、ワイヤロープWから受信コイル121および受信コイル122までの長さと、ワイヤロープWから受信コイル123および受信コイル124までの長さとが、略等しくなるように構成されている。すなわち、差動コイル412は、X方向の長さと、Z方向の長さとが、略等しくなるよう様に構成されている。
なお、図13に示す例では、便宜上、ワイヤロープW、基板15および基板16の図示を省略している。また、図13に示す例では、受信コイル121に流れる電流を実線の矢印A1によって図示している。また、受信コイル122に流れる電流を破線の矢印A2によって図示している。また、受信コイル123に流れる電流を一点鎖線の矢印A3によって図示している。また、受信コイル124に流れる電流を二点鎖線の矢印A4によって図示している。
第2実施形態では、差動コイル412は、ワイヤロープWに沿う方向(Z方向)の部分において、互いに磁界を打ち消し合う方向に電流が流れるように差動接続されている。具体的には、図13に示すように、差動コイル412は、領域RC1、領域RC2、領域RC3および領域RC4において、互いに磁界を打ち消し合う方向に電流が流れるように構成されている。
図14に示すように、第2実施形態では、磁性体配置部130は、第1磁性体配置部133と、第2磁性体配置部134と、ヒンジ135とを含む。第1磁性体配置部133と、第2磁性体配置部134とはヒンジ135を中心として回動可能に構成されている。
第1磁性体配置部133には、受信コイル121および受信コイル123が設けられている。また、第2磁性体配置部134には、受信コイル122および受信コイル124が設けられている。第2実施形態では、磁性体配置部130は、第1磁性体配置部133を移動(回動)させることにより、図14(A)に示す磁性体配置部130を開放した状態と、図14(B)に示す磁性体配置部130を閉鎖した状態とを切替可能に構成されている。
第1実施形態と同様に、第1実施形態における第1磁性体配置部133には、凹部133aが設けられている。また、第2磁性体配置部134には、凹部134aが設けられている。凹部133aおよび凹部134aは、それぞれ、Z方向に延びるように第1磁性体配置部133および第2磁性体配置部134に設けられている。また、凹部133aおよび凹部134aは、X方向における位置が略等しくなるように、第1磁性体配置部133および第2磁性体配置部134に設けられている。したがって、凹部133aおよび凹部134aは、図14(B)に示すように、磁性体配置部30を閉鎖した状態において、入口131および出口132を形成する。
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、差動コイル412は、差動接続された受信コイル123と受信コイル124とをさらに有し、受信コイル123および受信コイル124は、互いの検出面同士が対向する方向(X方向)が、受信コイル121および受信コイル122の検出面同士が互いに対向する方向(Y方向)と交差するように配置されているとともに、平板状の基板15および編盤上の基板16に設けられており、差動コイル412は、ワイヤロープWに沿う方向(Z方向)の部分において、互いに磁界を打ち消し合う方向に電流が流れるように差動接続されている。これにより、ワイヤロープWに沿う方向(Z方向)の部分において、互いに磁界を打ち消し合うため、ワイヤロープWから受信コイル121および受信コイル122のワイヤロープWに沿う方向(Z方向)の部分までの距離によらず、受信コイル121および受信コイル122のワイヤロープWに沿う方向(Z方向)の部分のワイヤロープWの傷みの検知の寄与度を略ゼロにすることができる。したがって、各受信コイル(受信コイル121、122、123、および124)のZ方向の一方側の部分を、Z方向と直交する面内において巻回された矩形状のコイルとみなすことができる。また、各受信コイル(受信コイル121、122、123、および124)のZ方向の他方側の部分を、Z方向と直交する面内において巻回された矩形状のコイルとみなすことができる。その結果、差動コイル412を、Z方向周りに巻回された矩形状の差動コイルの構成により近い構成の差動コイルとして機能させることが可能となるので、Z方向周りに巻き回された差動コイルの検知信号に基づいてワイヤロープWの検査を行う全磁束法により近い検査結果を取得することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、磁性体検査装置100(400)において検査される磁性体がワイヤロープWである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁性体検査装置100(400)において検査される磁性体は、ワイヤロープW以外の磁性体であってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁性体検査システム300(500)がエレベータ110に用いられるワイヤロープW(磁性体)を検査するシステムである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁性体検査システム300(500)がクレーンや、吊り橋、ロボットなどに用いられる磁性体を検査するシステムであってもよい。なお、吊り橋に使用されるワイヤロープW(磁性体)のように、磁性体自体が移動しない場合には、磁性体検査装置100(400)を磁性体に沿って移動させながら、磁性体検査装置100(400)による磁性体の磁束の計測が行われればよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁性体検査装置100(400)が、励振コイル11を備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁性体検査装置100(400)が、必ずしも励振コイル11を備えていなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1磁性体配置部33(133)を移動(回動)させることにより、磁性体配置部30(130)の開放状態と閉鎖状態とを切り替える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2磁性体配置部34(134)を移動させることにより、磁性体配置部30(130)の開放状態と閉鎖状態とを切り替えてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、第1磁性体配置部33(233)および第2磁性体配置部34(234)が、ヒンジ35(235)を介して接続されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。第1磁性体配置部33(233)および第2磁性体配置部34(234)は、ヒンジ35(235)以外の部材によって接続されていてもよい。たとえば、第1磁性体配置部33(233)および第2磁性体配置部34(234)は、柔軟性を有する基板によって開閉可能に接続されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁性体配置部30(130)がヒンジ35(135)を有しており、第1磁性体配置部33(133)を移動(回動)させることにより、磁性体配置部30(130)の開放状態と閉鎖状態とを切り替える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15(A)に示すように、磁性体配置部230は、第1磁性体配置部233および第2磁性体234を離間させて分割することにより、磁性体配置部230を開放状態とするように構成されていてもよい。また、図15(B)に示すように、第1磁性体配置部233および第2磁性体234を結合させることにより、磁性体配置部230を閉鎖状態とするように構成されていてもよい。第1磁性体配置部233および第2磁性体234を結合させることにより磁性体配置部230を閉鎖状態とする場合、受信コイル121および受信コイル122は、コネクタ236を介して接続するように構成すればよい。
具体的には、図15(B)に示すように、第1磁性体配置部233は、第1コネクタ236aを備えている。第1コネクタ236aは、導線CWaによって、受信コイル121と接続されている。また、第2磁性体配置部234は、第2コネクタ236bを備えている。第2コネクタ236bは、導線CWbによって、受信コイル122と接続されている。磁性体配置部230を閉鎖した状態では、第1コネクタ236aと第2コネクタ236bとが結合することにより、受信コイル121と受信コイル121とが導線CWaと導線CWbとによって接続される。このように構成すれば、第1磁性体配置部233および第2磁性体234を離間させて分割することにより磁性体配置部230を開放状態とするため、上記第1または第2実施形態の構成と比較して、磁性体配置部230にワイヤロープWを配置することがより容易となる。なお、第1磁性体配置部233および第2磁性体配置部234は、凹部233aおよび凹部234aを備えており、図15(B)に示す磁性体配置部230が閉鎖された状態において、入口231および出口232を形成する。
また、上記第1および第2実施形態では、平板状の基板13(14、15、16)が1つの受信コイル121(122、123、124)を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図16に示すように、受信コイル121は、多層構造を有する平板状の第1多層基板17に複数設けられているとともに、受信コイル122は、多層構造を有する平板状の第2多層基板18に複数設けられており、差動コイル212は、第1多層基板17と第2多層基板18とが差動接続されることにより構成されていてもよい。このように構成すれば、第1多層基板17および第2多層基板18に設ける受信コイル121および受信コイル122の数を増加させることにより、差動コイル212の巻回数を大きくすることができる。その結果、検知部1が検知する検知信号の信号強度を大きくすることができる。なお、図16に示す例では、第1多層基板17および第2多層基板18が、それぞれ4層有しており、各層に受信コイル121および受信コイル122を備える構成の例を図示しているが、第1多層基板17および第2多層基板18が有する層の数は、4層に限られない。第1多層基板17および第2多層基板18は、何層で構成されていてもよい。また、第1多層基板17および第2多層基板18は、各層のそれぞれに受信コイル121および受信コイル122を備えていなくてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、磁性体検査装置100(400)が処理装置200に検知信号を出力するとともに、処理装置200が磁性体検査装置100(400)から取得した検知信号に基づいて、ワイヤロープWの状態判定を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図17に示すように、磁性体検査装置600は、検知信号に基づいてワイヤロープWの状態判定を行う処理部621と、処理部621がワイヤロープWに異常が生じたと判定した場合、ワイヤロープWに異常が生じたことを示す異常判定信号を出力する異常判定信号出力部27とを備えるように構成されていてもよい。このように構成すれば、磁性体検査装置600において、ワイヤロープWの状態の判定結果を取得することができる。すなわち、磁性体検査装置600から検知信号を外部に取り出すことなく、容易に判定結果を取得することができる。また、ユーザは、異常判定信号に基づいて、ワイヤロープWに異常が生じたことを、ワイヤロープWの検査を実施している場所において早期に知ることができるので、ワイヤロープWに生じた異常の解消を早期に行うことができる。なお、処理部621は、請求の範囲の「判定部」の一例である。
また、上記第1および第2実施形態では、差動コイル12(412)が、略矩形状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、差動コイル12(412)が、必ずしも略矩形状に形成されていなくてもよい。たとえば、差動コイル12(412)が、略楕円状に形成されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、検知部1が、磁化の大きさと向きとが整えられていない状態のワイヤロープWを検知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図18に示す磁性体検査装置700のように、ワイヤロープWに対して予め磁界を印加しワイヤロープWの磁化の大きさと向きとを整える磁界印加部4をさらに備え、差動コイル12(412)は、磁界印加部4により予め磁界が印加されたワイヤロープWの磁界の変化を検知するように構成されていてもよい。磁界印加部4は、Y方向においてワイヤロープWを間に挟むように離間して配置された1対の磁石40を含んでいる。上記のように構成すれば、ワイヤロープWに対して予め磁界が印加されるので、ワイヤロープWの磁化の向きを略一定にすることができる。その結果、検知信号取得部によって取得される検知信号のノイズを低減することが可能となり、検知信号のS/N比を向上させることができる。したがって、検知信号のS/N比を向上させることによって、ワイヤロープWの状態(傷等の有無)をより精度よく検査することができる。なお、図18に示す例では、磁界印加部4が、Z1方向側およびZ2方向側にそれぞれ設けられている構成の例を示したが、磁界印加部4は、Z方向のどちらか一方側に設けられる構成であってもよい。また、図18に示す例では、便宜上、磁石40のN極に斜線のハッチングを付して図示している。また、磁石40のS極は斜線のハッチングを付さずに図示している。
1 検知部
4 磁界印加部
11 励振コイル
12、412 差動コイル
13、14、15、16 平板状の基板
17 第1多層基板
18 第2多層基板
21 処理部(検知信号取得部)
27 異常判定信号出力部
30、130、230 磁性体配置部
31 入口
32 出口
33、133、233 第1磁性体配置部
34、134、234 第2磁性体配置部
100、400、600、700 磁性体検査装置
121 受信コイル(第1受信コイル)
122 受信コイル(第2受信コイル)
123 受信コイル(第3受信コイル)
124 受信コイル(第4受信コイル)
200 処理装置
300、500 磁性体検査システム
621 処理部(判定部)
W ワイヤロープ(磁性体)
W1 幅
W2 幅
W3 幅
W4 幅
X方向 (第2方向)
Z方向 (第1方向)

Claims (12)

  1. 磁性体の磁束を検知する差動コイルを含む検知部と、
    前記差動コイルの検知信号を取得する検知信号取得部と、を備え、
    前記差動コイルは、差動接続された第1受信コイルと第2受信コイルとを少なくとも有し、
    前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルは、前記磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように配置されており、
    前記差動コイルは、前記第1受信コイルの全体により得られた信号と、前記第2受信コイルの全体により得られた信号との差分の信号を、前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルの前記磁性体が延びる方向の一方側の部分と、前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルの前記磁性体が延びる方向の他方側の部分との差動信号として出力するように設けられており、
    前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとでは、検出面内において前記磁性体が延びる方向である第1方向に略直交する第2方向の幅が、前記第1方向の幅よりも大きい、磁性体検査装置。
  2. 前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルは、平板状の基板に設けられた矩形状のコイルである、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  3. 前記磁性体が貫通する入口および出口を有する磁性体配置部をさらに備え、
    前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルは、前記磁性体配置部に前記磁性体が配置された際に前記磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように前記磁性体配置部に一体的に設けられている、請求項2に記載の磁性体検査装置。
  4. 前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルは、前記磁性体配置部に前記磁性体が配置された際に、前記磁性体から前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルの検出面までの距離が、前記磁性体から前記第1受信コイルまたは前記第2受信コイルの検出面内における前記第2方向の両端部までのそれぞれの距離よりも小さくなるように、前記磁性体配置部に一体的に設けられている、請求項3に記載の磁性体検査装置。
  5. 前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとは、それぞれの検出面が互いに略平行となるように配置されている、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  6. 前記磁性体配置部は、前記第1受信コイルが配置される第1磁性体配置部と、前記第2受信コイルが配置される第2磁性体配置部とを含むとともに、前記第1磁性体配置部と前記第2磁性体配置部とのうち、少なくともどちらか一方を移動させることにより、前記磁性体を外部から前記磁性体配置部内に配置可能なように前記磁性体配置部を開放した状態と、前記磁性体を検査する際の前記磁性体配置部を閉鎖した状態とを切替可能に構成されている、請求項3に記載の磁性体検査装置。
  7. 前記差動コイルは、差動接続された第3受信コイルと第4受信コイルとをさらに有し、
    前記第3受信コイルおよび前記第4受信コイルは、互いの検出面同士が対向する方向が、前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルの検出面同士が互いに対向する方向と交差するように配置されているとともに、平板状の基板に設けられており、
    前記差動コイルは、前記磁性体に沿う方向の部分において、互いに磁界を打ち消し合う方向に電流が流れるように差動接続されている、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  8. 前記第1受信コイルは、多層構造を有する平板状の第1多層基板に複数設けられているとともに、前記第2受信コイルは、多層構造を有する平板状の第2多層基板に複数設けられており、
    前記差動コイルは、前記第1多層基板と前記第2多層基板とが差動接続されることにより構成されている、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  9. 前記検知信号に基づいて前記磁性体の状態判定を行う判定部と、前記判定部が前記磁性体に異常が生じたと判定した場合、前記磁性体に異常が生じたことを示す異常判定信号を出力する異常判定信号出力部とをさらに備える、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  10. 前記磁性体に対して予め磁界を印加し前記磁性体の磁化の大きさと向きとを整える磁界印加部をさらに備え、
    前記差動コイルは、前記磁界印加部により予め磁界が印加された前記磁性体の磁界の変化を検知するように構成されている、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  11. 前記検知部は、前記磁性体の磁化の状態を励振するための励振コイルをさらに含むとともに、前記励振コイルに流れる励振電流により発生した磁界により磁化の状態が励振された前記磁性体の延びる方向の磁界または磁界の変化を検知するように構成されている、請求項1に記載の磁性体検査装置。
  12. 磁性体の磁束を検知する差動コイルを含む検知部を備える磁性体検査装置と、
    前記差動コイルの検知信号を取得する処理装置と、を備え、
    前記差動コイルは、差動接続された第1受信コイルと第2受信コイルとを少なくとも有し、
    前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルは、前記磁性体を挟むように、互いの検知面同士が対向するように配置されており、
    前記差動コイルは、前記第1受信コイルの全体により得られた信号と、前記第2受信コイルの全体により得られた信号との差分の信号を、前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルの前記磁性体が延びる方向の一方側の部分と、前記第1受信コイルおよび前記第2受信コイルの前記磁性体が延びる方向の他方側の部分との差動信号として出力するように設けられており、
    前記第1受信コイルと前記第2受信コイルとでは、検出面内において前記磁性体が延びる方向である第1方向に略直交する第2方向の幅が、前記第1方向の幅よりも大きく、
    前記処理装置は、前記検知信号に基づいて前記磁性体の状態判定を行うとともに、前記磁性体に異常が生じたと判定した場合、前記磁性体に異常が生じたことを示す異常判定信号を出力するように構成されている、磁性体検査システム。
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