JP7244803B2 - ホウ素含有スラグの改質方法及びこれを利用した土木建築用資材の製造方法、並びに改質スラグ - Google Patents
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Description
後述する本発明の各実施形態は、この知見に基づくものである。
本発明の第1の実施形態に係るホウ素含有スラグの改質方法(以下、単に「第1実施形態」と記載することがある。)は、改質対象とするホウ素含有スラグ(以下、「改質前スラグ」と記載することがある)の組成に基づく平衡計算により、該スラグが固液共存状態にある所定温度Tでの液相中のホウ素濃度である改質前計算ホウ素濃度C1を算出することを含む。
平衡計算に用いる改質前スラグの組成は、該スラグについて、蛍光X線(XRF)分析等により定量したものを使用できる。また、所定の条件で生成したホウ素含有スラグの分析結果に基づいて、該条件の変化から予想されるホウ素含有スラグの組成を使用してもよい。
平衡計算では、まず、所定温度Tを次のように決定する。すなわち、改質前スラグの組成から、該スラグが固液共存状態にある温度範囲を算出すると共に、該温度範囲内の各温度における液相の割合を算出する。また、前記改質前スラグの粉末X線回折測定結果から、該スラグ中に常温で存在するガラス相の割合を算出する。ここで、本明細書における「常温」とは、特に冷却又は加熱を行わない温度を意味し、概ね5℃~35℃程度の温度のことをいう。そして、前記ガラス相の割合に前記液相の割合が一致する温度を求め、該温度±50℃の範囲内から所定温度Tを決定する。このとき、該所定温度Tを1100℃~1200℃とすることで、平衡計算から算出される液相の割合及びその組成を、改質前スラグ中に常温で存在するガラス相の割合及びその組成により近いものとすることができ、後述する改質材添加の要否を、より高精度で判定できるため好ましい。
次いで、前記所定温度T及び改質前スラグの組成から、該所定温度Tにおいて液相側に存在するホウ素の濃度を算出し、これを改質前計算ホウ素濃度C1とする。
前記所定の閾値Cの決定に際しては、改質前スラグ中に常温で存在するガラス相中のホウ素の安定性を考慮して、該スラグから溶出するホウ素の量が環境基準を超えない範囲とすればよい。例えば、改質前スラグが、溶融物を冷却・固化して得られたスラグである場合、急冷により得られたものは、ガラス中のホウ素の安定性が高く溶出しにくいため、前記閾値Cは比較的大きく設定できる。反対に、溶融状態から徐冷により得られた改質前スラグでは、ホウ素が溶出し易いため、前記閾値Cを比較的小さく設定する。溶融状態にある改質前スラグについて閾値Cを設定する場合には、通常の操業条件における冷却速度等を考慮して該閾値Cを設定すればよい。
なお、改質材の選定に当たっては、前記所定温度Tにて、添加した改質材が前記スラグの液相中に溶解する質量の割合((溶解した改質材の質量)/(添加した改質材の質量)×100)が10%以上であること目安にできる。実際の操業では、改質材の添加は所定温度T以上で行なわれることが多い。一般的に、高温ほど前記スラグの液相量は多くなり、改質材の前記スラグへの溶解度も高くなるので、実際の操業では、改質材を高い歩留まりで前記スラグに溶解させることができる。
改質材としては、廃ガラスやろう石を用いることができる。一般に、結晶質SiO2の融点は1700℃以上であるが、廃ガラス中のSiO2を初めとする各成分は結晶化していないため、高温のスラグに添加した際に溶融し、液相中に容易に溶解する。また、ろう石も、Al2O3を10質量%以上含んでいることで、結晶質SiO2を主成分とする珪砂よりも融点が低下していると考えられ、これによりスラグの液相に容易に溶解する。
改質材の形状は特に限定されないが、改質を迅速に行う点で、粉末状ないし粒子状とすることが好ましい。また、改質材の添加による改質前スラグの温度低下を抑制するために、改質材は予め加熱しておくことが好ましい。
改質前スラグに改質材を添加した後は、撹拌や流動を行うことが、改質が均一かつ迅速に進行する点で好ましい。
改質スラグを薄層状に流し込むことで、該改質スラグ全体を高速で冷却することができ、生成するガラス相中に含まれるホウ素の安定性が高まるとともに、生産性が向上する。薄層の厚みは、高い冷却速度を得る点で、70mm以下とすることが好ましく、50mm以下とすることがより好ましい。他方、薄層の厚みは、冷却に要する面積を抑える点で、5mm以上とすることが好ましい。
その際には、1000℃までの冷却速度を10℃/min以上とすることで、生成するガラス相中に含まれるホウ素の安定性が高まり、改質スラグからのホウ素の溶出が抑制される。前記冷却速度は、20℃/min以上とすることが好ましく、30℃/min以上とすることがより好ましい。
本発明の第2の実施形態に係る土木建築資材の製造方法(以下、単に「第2実施形態」と記載することがある。)は、前述した第1実施形態に係るホウ素含有スラグの改質方法により得られた改質スラグを材料として使用することを特徴とする。
本発明の第3実施形態に係る改質スラグ(以下、単に「第3実施形態」と記載することがある)は、ホウ素が0.15質量%を超えるホウ素含有スラグと、SiO2を30質量%以上含有し、前記スラグの組成に基づく平衡計算により算出される、1100℃~1200℃の範囲内にある所定温度Tにて前記スラグの液相に溶解する改質材とを混合してなる改質スラグであって、前記所定温度Tにおける液相中のホウ素濃度、及びSiO2濃度が、それぞれ1.0質量%以下、及び25質量%以上であり、かつ環境庁告示第46号に定める溶出試験によるホウ素溶出量が1mg/L以下であることを特徴とする。
ホウ素含有スラグとして、表1に示す組成を有するスラグを準備した。このスラグは、金属製錬工程で常態的に発生するものである。なお、表1に示すスラグの組成は、普段の操業条件から推定したものである。
改質材として、ろう石と生石灰とを質量比100:8で混合したものを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係るホウ素含有スラグの改質方法を行った。改質スラグからのホウ素溶出量を、環境庁告示第46号に定める溶出試験により測定したところ、自主基準値以下であることが確認された。
改質材の添加効果を確認するため、改質材を添加しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1に係るホウ素含有スラグの改質方法を行った。改質スラグからのホウ素溶出量を、環境庁告示第46号に定める溶出試験により測定したところ、自主基準値を超えるホウ素の溶出が確認された。
冷却速度によるホウ素溶出量の変化を確認するため、1250℃から1000℃までの温度範囲における、薄層の厚み方向中央部の冷却速度を5℃/minと遅くした以外は実施例2と同様にして、比較例2に係るホウ素含有スラグの改質方法を行った。改質スラグからのホウ素溶出量を、環境庁告示第46号に定める溶出試験により測定したところ、自主基準値を超えるホウ素の溶出が確認された。
改質後計算ホウ素濃度C2を、閾値Cを超える1.1質量%とした以外は実施例1と同様にして、比較例3に係るホウ素含有スラグの改質方法を行った。改質スラグからのホウ素溶出量を、環境庁告示第46号に定める溶出試験により測定したところ、自主基準値を超えるホウ素の溶出が確認された。
Claims (6)
- ホウ素含有スラグの改質方法であって、
改質前スラグの組成に基づく平衡計算により、該スラグが固液共存状態にある所定温度Tでの液相中のホウ素濃度である改質前計算ホウ素濃度C1を算出すること、
前記改質前計算ホウ素濃度C1が所定の閾値Cを超える改質前スラグに対し、前記所定温度T以上にある状態で、SiO2を30質量%以上含有し、前記所定温度Tにて前記スラグの液相に溶解する改質材を添加してこれを改質し、組成に基づく平衡計算により算出される、固液共存状態にある所定温度Tでの液相中の改質後計算ホウ素濃度C2が、前記所定の閾値C以下となる改質スラグを調製すること、及び、
前記改質スラグを薄層状に流し込み、該薄層の厚み方向中央部における冷却速度が、前記所定温度Tから1000℃まで、10℃/min以上となるように冷却すること
を含む、ホウ素含有スラグの改質方法。
ただし、前記所定の閾値Cは、0.5質量%~1.0質量%の範囲から選ばれる値であり、前記所定温度Tは、前記改質前スラグの粉末X線回折測定結果から算出した該スラグ中に常温で存在するガラス相の割合に、前記平衡計算で算出される固液共存状態における液相の割合が一致する温度±50℃である。 - 前記所定温度Tが1100℃~1200℃である、請求項1に記載のホウ素含有スラグの改質方法。
- 前記改質材が廃ガラスである、請求項1又は請求項2に記載のホウ素含有スラグの改質方法。
- 前記改質材がろう石を50質量%以上含有する、請求項1又は請求項2に記載のホウ素含有スラグの改質方法。
- 前記改質前スラグのホウ素含有量が0.15質量%を超える、請求項1~4のいずれか1項に記載のホウ素含有スラグの改質方法。
- 土木建築用資材の製造方法であって、請求項1~5のいずれか1項に記載のホウ素含有スラグの改質方法により得られたスラグを材料として使用することを特徴とする、土木建築用資材の製造方法。
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