当業者は、以下の考察から、本明細書において例示された構造および方法の代替的な態様を、本明細書に記載された本発明の原理を逸脱することなしに使用しうることを容易に認識するであろう。
詳細な説明
用語および定義
特許請求の範囲および本明細書において用いられる用語は、別様に指定されていない限り、以下に明記されるように定義される。
本明細書で用いる場合、「ウェーハ」という用語は、集積回路の製造において一般に用いられるシリコン結晶またはゲルマニウム結晶などの半導体材料の薄片のことを指す。ウェーハは、例えば、1方向に沿った寸法が25.4mm(1インチ)から300mm(11.8インチ)までであって、厚さが例えば、275μmから775μmまでである、種々のサイズであってよい。
本明細書で用いる場合、「フォトレジスト」または「レジスト」または「光活性材料」という用語は、紫外線または深紫外線の照射に曝された時に溶液中でのその溶解性が変化する感光性材料のことを指す。フォトレジストは、典型的にはポジティブレジストおよびネガティブレジストという2つの種類に分けられる、有機化合物または無機化合物である。ポジティブレジストとは、露光されたフォトレジストの部分がフォトレジスト現像剤に対して可溶性になるフォトレジストの一種である。フォトレジストの露光されなかった部分は、フォトレジスト現像剤に対して不溶性のままである。ネガティブレジストとは、露光されたフォトレジストの部分がフォトレジスト現像剤に対して不溶性になるフォトレジストの一種である。フォトレジストの露光されなかった部分はフォトレジスト現像剤によって溶解される。
本明細書で用いる場合、「フォトマスク」または「レチクル」または「マスク」という用語は、光が通過することが可能な透明なパターンまたは穴を有する不透明なプレートのことを指す。典型的な露光プロセスでは、フォトマスク上のパターンがフォトレジストに転写される。
本明細書で用いる場合、「カップリング分子」または「モノマー分子」という用語は、そのアミノ基がフルオレニルメトキシカルボニル基またはt-ブトキシカルボニル基によって保護されている、あらゆる天然アミノ酸または人工的に合成されたアミノ酸を含む。これらのアミノ酸は、任意でそれらの側鎖が保護されていてもよい。カップリング分子の例には、Boc-Gly-Oh、Fmoc-Trp-Ohなどが含まれる。他の例は以下に記載されている。
本明細書で用いる場合、「カップリング」または「カップリングプロセス」または「カップリング段階」という用語は、連結分子またはカップリング分子などの2つまたはそれを上回る分子の間に結合を形成させるプロセスのことを指す。結合はペプチド結合などの共有結合であってもよい。ペプチド結合は、一方のカップリング分子のカルボキシル基がもう一方のカップリング分子のアミノ基と反応して、水(H2O)の分子を放出する時に、2つの分子の間に形成される化学結合でありうる。これは脱水合成反応であり(縮合反応としても知られる)、通常はアミノ酸の間に生じる。結果として生じるCO-NH結合はペプチド結合と呼ばれ、結果として生じる分子はアミドである。
本明細書で用いる場合、「生体分子」、「ポリペプチド、」「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は、結合によって連結されたアミノ酸の鎖または重合体を記述するために互換的に用いられる。したがって、「ペプチド」という用語は、本明細書で用いる場合、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、およびポリペプチドを含む。「ペプチド」という用語は、いかなる特定の数のアミノ酸にも限定されない。いくつかの態様において、ペプチドは、約2~約50アミノ酸、約5~約40アミノ酸、約5~約20アミノ酸、または約7~約15アミノ酸を含む。酵素を含む、タンパク質またはポリペプチドなどの分子は、それが自然界に天然に存在することを意味する「ネイティブな」分子もしくは「野生型」分子であってもよく、または、それがネイティブな分子から、もしくは突然変異体などの別の分子から作製されるか、修飾されるか、導き出されるか、もしくは何らかの様式で異なるかもしくは変化していることを意味する「突然変異体」、「変異体」、「誘導体」、もしくは「修飾物」であってもよい。
本明細書で用いる場合、「リンカー分子」または「スペーサー分子」という用語は、結果として生じるペプチドにいかなる機能も付け加えないが、ペプチドを支持体から隔てるとともにそこから伸ばし、それによって基板表面と伸長するペプチドとの間の距離を大きくする任意の分子を含む。これは一般に、(単分子フォールディング反応および多分子結合反応を含む)ペプチドが関係する反応に関する立体障害を低下させ、そうすることで、ペプチド機能の1つまたは複数の態様を測定するためのアッセイの性能を向上させる。
本明細書で用いる場合、「現像剤」という用語は、露光されたかまたは露光されていないかのいずれかである材料を選択的に溶解させる溶液のことを指す。典型的には、現像剤は、微量の塩基が添加された、水をベースとする溶液である。その例には、水をベースとする現像剤中にある水酸化テトラメチルアンモニウムが含まれる。現像剤は、市販のフォトレジストを用いる初期パターンの規定のために用いられる。現像剤の使用については以下の実施例1に記載されている。
本明細書で用いる場合、「保護基」という用語は、その後の化学反応において化学選択性を得る目的で、官能基の化学修飾によって分子に導入される基を含む。化学選択性とは、化学反応を、別のものと比較してあらかじめ選択された生成物を得るために望まれる所望の経路に沿って導くことを指す。例えば、保護基としてtbocを用いることにより、光マスクおよび光酸発生剤を用いて、保護基を選択的に除去し、光マスクによって規定される場所にあらかじめ決定されたペプチドカップリング反応が起こることを導くペプチド合成のための化学選択性が可能になる。
本明細書で用いる場合、「マイクロアレイ」という用語は、タンパク質または特定のDNA結合性配列の種々のプローブ分子が順序付けられた様式で別々の場所に固定され、それによって微細なアレイを形成している基板のことを指す。
本明細書で用いる場合、「マイクロアレイシステム」という用語は、ガラス、プラスチックまたはシリコンチップなどの固体平面上に形式に従って並べられた生体分子プローブ、それに加えて、試料を扱うために必要とされる機器(自動ロボット装置)、レポーター分子を読み取るために必要とされる機器(スキャナー)、およびデータを解析するために必要とされる機器(バイオインフォマティクス用ツール)から通常構成されるシステムのことを指す。
本明細書で用いる場合、「パターン化領域」または「パターン」または「場所」という用語は、異なるフィーチャーをその上で成長させる、基板上の領域のことを指す。これらのパターンは、フォトマスクを用いて規定することができる。
本明細書で用いる場合、「誘導体化」という用語は、生体分子の合成に適するように表面を化学修飾するプロセスのことを指す。典型的には、誘導体化は以下の段階を含む:基板を親水性にする段階、アミノシラン基を付加する段階、およびリンカー分子を付加する段階。
本明細書で用いる場合、「キャッピング」または「キャッピングプロセス」または「キャッピング段階」という用語は、それが取り付けられた分子のさらなる反応を防ぐ分子の付加のことを指す。例えば、ペプチド結合のさらなる形成を防ぐために、アミノ基は典型的には無水酢酸分子によってキャッピングされる。
本明細書で用いる場合、「拡散」という用語は、化学物質がランダム運動を通じてより濃度の高い領域からより濃度の低い領域へと広がることを指す。
本明細書で用いる場合、「色素分子」という用語は、典型的には基板と結合しうる着色物質である色素のことを指す。色素分子は、アレイ上のフィーチャーと関心対象の分子との間の結合を検出するのに有用であってよい。
本明細書で用いる場合、「免疫学的結合」および「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子(またはその変異体、例えばscFvなど)と、その免疫グロブリンが特異的である抗原との間で起こる種類の非共有結合性相互作用のことを指す。
本明細書で用いる場合、「生体試料」という用語は、関心対象の分析物に関してアッセイすることができる、生体組織または生体液に由来する試料のことを指す。そのような試料には、痰、羊水、血液、血液細胞(例えば、白血球)、組織生検または細針生検試料、尿、腹腔液、および胸水、それら由来の細胞が非限定的に含まれる。また、生体試料には、組織の切片、例えば組織学的目的で採取される凍結切片なども含まれうる。試料は典型的にはヒト患者から採取されるが、アッセイは、任意の生物(例えば、哺乳動物、細菌、ウイルス、藻類もしくは酵母)または哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ヒツジ、ウシおよびブタに由来する試料中の関心対象の分析物を検出するために用いることができる。試料を、必要に応じて適切な緩衝液中への希釈によって前処理してもよく、または濃縮してもよい。
本明細書で用いる場合、「アッセイ」という用語は、物質の複合的な混合物を含有しうる溶液における関心対象の物質の存在または濃度を測定する、生化学試験の一種のことを指す。
「対象」という用語は、対象がヒトであるか、または哺乳動物種、さらには鳥類種をも含む非ヒト動物であるかにかかわらず、特に、個体、患者、標的、宿主またはレシピエントを含む。「対象」という用語は、このため、ヒト、非ヒト霊長動物(例えば、ゴリラ、マーモセット、アフリカミドリザル)、家畜(例えば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ)、実験試験動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ハムスター)、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)、捕獲された野生動物(例えば、キツネ、シカ、狩猟動物)、および家禽鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ)を含む鳥類種を含む。しかし、好ましい対象はヒトである。
「抗原」という用語は、本明細書で用いる場合、対象の免疫系による免疫応答、例えば免疫系による抗体の産生および/または免疫系の細胞性免疫側の活性化(例えば、抗原に反応してのさまざまなサイトカインの放出を伴う、貪食細胞、ナチュラルキラー細胞、および抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球の活性化)を誘発する分子のことを指す。抗原は、外因性抗原、内因性抗原または自己抗原でありうる。外因性抗原は、吸入、摂取または注射によって外部から身体内に侵入したものである。内因性抗原は、以前は正常であった細胞内で正常な細胞代謝の結果として、またはウイルスもしくは細胞内細菌感染に起因して生成されたものである。自己抗原は、宿主の体内に存在する正常なタンパク質またはタンパク質複合体であるが、免疫応答を刺激しうるものである。
本明細書で用いる場合、「エピトープ」または「免疫活性領域」という用語は、適応免疫系の構成要素、例えば、抗体またはT細胞受容体による結合を受けることができる抗原の特有の分子表面特徴のことを指す。抗原性分子は、特異的抗体との相互作用点として作用しうるいくつかの表面特徴を提示しうる。任意のそのような特有の分子フィーチャーがエピトープを構成しうる。このため、抗体は、そのそれぞれが特定のエピトープに対して特異的であるいくつかの特有の抗体による結合を受ける能力を有する。
本明細書で用いる場合、「抗体」または「免疫グロブリン分子」という用語は、免疫系の特定の種類の細胞、すなわちB細胞によって天然に分泌される分子のことを指す。抗体には、5種類の異なる天然のアイソタイプ、すなわちIgA、IgM、IgG、IgDおよびIgEが存在する。
本明細書で用いる場合、「免疫関連分子」という用語は、免疫応答の活性化または調節に関与する生体分子のことを指す。これらには、例えば、抗体、T細胞受容体またはMHC複合体(例えば、ヒト白血球抗原)が含まれる。
本明細書で用いる場合、「炎症応答分子」という用語は、炎症応答のシグナル伝達を行うかまたは炎症応答を媒介する分子、例えば、インターロイキンおよび腫瘍壊死因子などのサイトカインのことを指す。炎症応答分子には、例えば、炎症誘発性分子が含まれる。
本明細書で用いる場合、「自己免疫障害」という用語は、対象の免疫系に対象自身の組織を損傷させる免疫系の異常機能によって特徴付けられる大規模な疾患群の中のいずれかのことを指す。セリアック障害、エリテマトーデス、および関節リウマチは、自己免疫障害の例である。自己免疫障害が環境因子によって誘導されることもある。
2つまたはそれを上回る核酸またはポリペプチド配列の文脈における「一致度(percent identity)」または「配列一致度」という用語は、以下に記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNまたは当業者が利用可能な他のアルゴリズム)の1つを用いるか、または手作業によるアラインメントおよび目視評価による測定で、最大の対応関係が得られるように比較およびアラインメントを行った場合に、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基を指定されたパーセンテージで有する、2つまたはそれを上回る配列または部分配列のことを指す。用途に応じて、「一致率」は、比較される配列のある領域にわたって、例えば、機能ドメインにわたって存在してもよく、または代替的には、比較しようとする2つの配列の完全長にわたって存在してもよい。
配列比較のためには、典型的には、1つの配列を、被験配列と比較するための参照配列として利用する。配列比較アルゴリズムを用いる場合には、被験配列および参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定して、配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。続いて、配列比較アルゴリズムが、指定したプログラムのパラメーターに基づいて、参照配列を基準とする被験配列の配列一致度を計算する。
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピュータ・インプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)により、または目視検査(概要については、Ausubel et al., 前記を参照)により、行うことができる。
配列一致度および配列類似度を決定するのに適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センターウェブサイト(National Center for Biotechnology Information)を通じて公開されている。一致度スコアは、本出願の優先日の時点で米国国立バイオテクノロジー情報センターのウェブサイトで入手可能な、このプログラム用のデフォールト値を用いて計算することができる。
本明細書で用いる場合、「生物学的活性断片」という用語またはその変形物は、グルテンに対する感受性がある対象において、それの由来であるポリペプチド(例えば、グリアジン)に比して、実質的に等しいかまたはそれを上回るT細胞応答を生じさせることのできるポリペプチドのことを指す。別の態様において、生物学的活性断片は、グルテンに対する感受性がある対象において、それの由来であるペプチドに比して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%であるT細胞応答を生じさせることができる。1つの態様において、生物学的活性断片は14、13、12、11、10、9、8アミノ酸の長さであり、7アミノ酸未満の長さではない。いずれかのペプチドのいずれかの末端における欠失および/または付加も特に想定している。本明細書において開示される生物学的活性断片の例には、SEQ ID NO:1~127が含まれる。
「セリアック病」という用語は、小腸の慢性炎症性疾患のことを指す。本疾患は、さまざまな度合いのグルテン感受性によって特徴付けられる、平坦な小腸粘膜(過形成性絨毛萎縮)によって特徴付けられる重症型、ならびに疲労、慢性下痢、栄養素の吸収障害、体重減少、腹部膨満、貧血を含むより軽度の症状ならびに骨粗鬆症および腸悪性腫瘍(リンパ腫および癌腫)の発症リスクの実質的な増大によって特徴付けられる他の型を含む、ある範囲にわたる病状を範囲に含む。
「グルテンに対する感受性がある」という用語は、セリアック病の症状のいずれか1つもしくは複数、または不適切なT細胞応答が、グルテンまたはそのペプチド断片に曝露された対象によって呈される状態のことを指す。グルテンに対する感受性がない対象では、グルテンの摂取によって引き起こされるT細胞応答はわずかであるかまたは全くない。対照的に、グルテンに対する感受性がある対象では、その摂取後に、グルテンに由来するペプチドに対する不適切なCD4+ T細胞媒介性免疫応答が見られる。
「免疫寛容」、「免疫学的寛容」、「寛容」または「脱感作する」という用語は、本明細書において、グルテンに対する対象の免疫学的反応性を低下させることによって、感作された対象または高感受性の対象を、グルテンに対してより低感受性にする、非感受性にする、または非反応性にすることと定義される。免疫寛容は、例えば、本明細書において定義するようなグルテンの寛容誘導性抗原断片に対する粘膜表面の曝露によって生じうる。抗原の高用量および低用量のいずれの粘膜投与も、抗原のその後の全身投与に対する免疫応答が低下する免疫寛容をもたらす可能性がある。免疫寛容には少なくとも2つの機序が存在しうる。高用量の抗原に対する寛容は、Th1細胞およびTh2細胞の不活性化またはクローン除去によって起こるように思われる。対照的に、低用量の抗原に対する寛容は、Treg細胞の刺激によって媒介されるバイスタンダー免疫抑制を招いて、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-10(IL-10)およびTGFβなどの抑制性サイトカインを産生させる。
「免疫寛容を誘導すること」という用語は、本明細書で用いる場合、グルテンに対する感受性がある対象においてグルテンに対する免疫寛容をもたらす、生じさせる、または引き起こすことを指す。
「高感受性の」という用語は、本明細書において、グルテンに対して生理的に異常に感受性が高いことと定義される。
「アネルギー」という用語は、T細胞(またはB細胞)の抗原に対する可逆的な不応答性または低応答性の状態のことを指す。
本明細書で用いる場合、「Treg」とは、免疫反応の間のT細胞媒介性免疫を終結させること、および胸腺における負の選択を免れた自己反応性T細胞を抑制することにその主な役割がある、T細胞のサブクラスのことを指す。「Treg応答」とは、本明細書で用いる場合、forkheadファミリー転写因子FOXP3(forkhead box p3)および/もしくはMHCクラスII関連タンパク質LAG-3を発現するか、かつ/またはIL-2受容体α鎖(CD25)を高レベルに発現する、CD4+またはCD8+ Treg細胞の集団の分化および増殖によって特徴付けられる。また、MHCクラスI拘束性CD8+ FOXP3を発現するTreg細胞という少ない割合の集団も存在する。末梢循環血または脾臓におけるTreg細胞の存在は、CD4+/CD25+発現の分析によって判定することができる。これはフローサイトメトリーを用いて達成することが好都合である。加えて、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって末梢血由来または脾臓由来の単核細胞におけるFOXP3 mRNAのレベルを決定することによってTreg細胞を定量することもできる。加えて、インビボでのTreg応答の誘導を、末梢血由来またはリンパ節由来の単核リンパ球からのTreg関連サイトカインの測定によって評価することもできる。Treg細胞は典型的には、IL-10およびTGFβなどの抗炎症サイトカインのより高い発現レベルを示し、これらのメディエーターの存在は、当技術分野において公知の方法、例えばフローサイトメトリー、免疫組織化学染色またはELISAなどによって判定することができる。
「T細胞刺激ペプチド」または「刺激ペプチド」という用語は、T細胞を活性化することができるペプチドまたはエピトープのことを指す。
T細胞に関係する「活性化する」または「活性化すること」または「活性化」という用語は、T細胞による共刺激分子の結合を伴って、1つの細胞上のMHC分子によって、第2の(T)細胞上の適切なT細胞受容体に対するエピトープが提示され、それによって「T細胞応答」が誘発されることを指す。
本明細書で用いる場合、「毒性ペプチド」とは、対象におけるT細胞活性化を刺激するペプチドのことを指す。
「増大(expansion)」という用語は、本明細書で用いる場合、T細胞活性化の後のT細胞集団の増殖および増幅のことを指す。
「免疫優性」という用語は、免疫系によって最も容易に認識され、それ故に、誘導される免疫応答、例えばT細胞応答などの特異性に最も影響を及ぼす、ペプチドのサブユニット(エピトープ)のことを指す。「免疫優性」は、本明細書において「優性」と互換的に用いられることがある。
本明細書で用いる場合、「T細胞応答をモジュレートすること」という用語は、グルテンに対する感受性のある対象におけるT細胞応答を調節または調整し、その結果、グルテンに対するT細胞応答が低下するかまたは小さくなるようにすることを指す。
本明細書で用いる場合、「サイトカイン分泌を改変すること」とは、グルテンに対する感受性がある対象によるサイトカインの分泌をある程度変化させるかまたは変更し、その結果、対象におけるグルテン感受性が低下するかまたは小さくなるようにすることを指す。この用語は、ある特定のサイトカインまたはサイトカインの組み合わせの分泌増加と、ある特定のサイトカインまたはサイトカインの組み合わせの分泌減少の両方を範囲に含む。
本明細書で用いる場合、「エピトープ」とは、免疫系、例えば、T細胞受容体または主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII、抗体、B細胞受容体によって認識される、抗原またはペプチドの部分であって、高親和性結合のために十分である部分のことを指す。一般に、認識のための線状エピトープは少なくとも約3アミノ酸の長さであると考えられ、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15アミノ酸の長さであるかまたはそれを上回ってよい。
「ポリエピトープ」という用語は、単一のポリペプチド鎖に2つまたはそれを上回るエピトープ(ペプチドが)が連結されて存在することを指す。
本明細書で用いる場合、「抗原」および「免疫原」およびそれらの変形物は、一般に互換的に用いられ、免疫系によって認識されるエピトープ含有構造のことを指す。
「グルテン」または「グルテンタンパク質」という用語は、コムギにおけるアルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)およびオメガ(ω)グリアジンならびに低分子量および高分子量(LMWおよびHMW)グルテニン、オオムギにおけるB、CおよびDホルデイン、ライムギにおけるβ、γおよびωセカリン、ならびに任意でカラスムギにおけるアベニンを範囲に含む。「グルテンペプチド」は、グルテンタンパク質の1つまたは複数に由来するか、またはその範囲に含まれるペプチドのことである。
「グリアジン」という用語は、グルテン、特に、ただし排他的ではないものの、コムギ、例えばパンコムギ(Triticum aestivum)に由来するグルテンの水性アルコール溶解性画分のことを指す。
「グルテニン」という用語は、グルテン、特に、ただし排他的ではないが、コムギ、例えばパンコムギに由来するグルテンの水性アルコール不溶性画分のことを指す。
本明細書で用いる場合、「ホルデイン」または「オオムギホルデイン」とは、オオムギ(Hordein vulgare)に由来するグルテンのことを指す。
本明細書で用いる場合、「セカリン」または「ライセカリン」とは、ライムギ(Secale cerale)に由来するグルテンのことを指す。
本明細書で用いる場合、「アベジン(avedin)」または「カラスムギアベジン(avedin)」とは、カラスムギ(Avena sativa)に由来するグルテンのことを指す。「ヒト白血球抗原」および「HLA」という用語は、本明細書において、身体の免疫系が外来生物に反応するのを活性化させる決定的な役割を果たすタンパク質で構成される、ヒト白血球および血小板上の遺伝子フィンガープリントと定義される。ヒトおよび他の動物において、HLAは「主要組織適合性複合体」(MHC)とも称される。
組織「トランスグルタミナーゼ」はセリアック病における決定的な因子であるが、これはそれがグルテン特異的T細胞応答を促進するためである。組織トランスグルタミナーゼはグルテンの選択的脱アミド化を引き起こし、それがひいては、HLA-DQ2分子またはHLA-DQ8分子と高親和性で結合する一連のグルテンペプチドの生成を引き起こす。結果として生じるHLA-DQ2(DQ8)-グルテンペプチドの相互作用は、炎症誘発性CD4 T細胞応答の引き金となる。すなわち、「脱アミド化」という用語は、グルタミンのグルタミン酸への変換、またはアスパラギンのアスパラギン酸への変換のことを指す。本明細書で用いる場合、脱アミド化は特に、グルテンペプチドがT細胞を活性化する性向を強めるプロセスである、グルテンにおけるグルタミンのグルタミン酸への変換のことを指す。
本明細書で用いる場合、「作用物質」という用語は、ペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの集成物のことを指す。ペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、同じ組成物中にあってもよく(ワクチンなど)、異なる組成物中にあってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい(例えば、本明細書において定義される第1および第2のペプチドが1つの組成物中にあり、第3のものが別の組成物中にある)。異なる組成物中にあるならば、それらは好ましくは、例えばキット内のように近接していると考えられる。したがって、本発明の方法は、本発明の作用物質の個々の構成要素ペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを、単一の組成物(ワクチン)中にある形で、または異なる組成物中にある形で逐次的に、またはそれらの組み合わせの形で提供すること(例えば、対象に投与すること)を想定している。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数形の言及物も含む。
ペプチド
本開示は、以下のペプチドおよびその修飾物を含む。いくつかの態様は、セリアック病の治療および診断のための作用物質またはワクチンである新規かつ選択的なポリエピトープを含有するペプチドを含む。いくつかの態様において、ポリエピトープ含有ペプチドは、グルテンに対する感受性があるかまたはセリアック病を有する対象のT細胞応答をモジュレートする抗原である。C末端でアミド化されてもよい、これらのポリエピトープ含有性でセリアック活性のあるペプチドの例は、表1および2に提供されている。
本明細書には、新規生物活性配列を同定する方法、およびそのような生物活性配列の用途が開示される。本明細書において開示される新規生物活性配列を含むアレイまたは製剤の用途には、研究応用、治療目的、医療診断、および/または1例もしくは複数例の患者もしくは対象の層別化が含まれうる。
生物活性変異体には、所定のペプチドとは1つまたは複数のアミノ酸が異なるペプチドが含まれ、これは当技術分野において相同体としても知られる。例えば、変異体は、ペプチドのいずれか1つまたは複数に、1つまたは複数のアミノ酸置換を含みうる。本明細書で用いる場合、「置換された」または「置換」には、アミノ酸残基の置換、置き換え、付加、挿入、脱落および/または欠失(そのため変異体は断片であってもよい)が含まれる。特に、これは、本発明の方法におけるそれらの用途をなくすことも著しく減じさせることもない保存的置換を有するペプチドのことを指す。好ましくは、生物活性変異体は、グルテンに対する感受性のある対象において、それの由来であるペプチドに比して実質的に等しいかまたはそれを上回るT細胞応答を生じさせることができる。別の態様において、生物活性変異体は、グルテンに対する感受性のある対象において、それの由来であるペプチドに比して少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%のT細胞応答を生じさせることができる。
ペプチドの生物活性変異体は、各ペプチドの配列を改変し、続いて、結果として生じるペプチドを、免疫応答、例えばT細胞の産生を刺激する能力に関してアッセイすることによって同定することができる。
1つの態様において、本明細書において定義されるペプチド配列と比較して、所定のペプチドにおいて、5つを上回らない、より好ましくは4つを上回らない、より好ましくは3つを上回らない、より好ましくは2つを上回らない、さらにより好ましくは1つのアミノ酸のみが異なる(置換、欠失または付加によって)。
1つの代替的な態様において、特定の配列(変異体)と参照配列(本明細書において定義されるペプチド)との一致度は、少なくとも約60%または少なくとも約70%または少なくとも約80%または少なくとも約90%または少なくとも約95%であるかまたはそれを上回り、例えば少なくとも約96%、97%、98%、99%またはそれを上回る。一致度は、すぐに入手可能なソフトウェアパッケージ、例えばBLAST(www.ncbi.nlm.nih.gov/)およびGAPを用いて決定することができる。天然アミノ酸には、アラニン(A)、アルギニン(R)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)、システイン(C)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、ロイシン(L)、リジン(K)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、プロリン(P)、セリン(S)、トレオニン(T)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、バリン(V)、ヒドロキシプロリン(Oおよび/またはHyp)、イソジチロシン(IDT)およびジ-イソジチロシン(di-IDT)が含まれる。ヒドロキシプロリン、イソジチロシンおよびジ-イソジチロシンは翻訳後に形成される。天然アミノ酸、特に遺伝的にコードされる20種のアミノ酸の使用を特に想定している。
置換は、置換されたアミノ酸が、参照配列中の対応するアミノ酸と類似の構造的または化学特性を有する、保存的アミノ酸置換であってよい。または、置換は、所望の活性が維持される限りにおいて、非保存的アミノ酸置換であってもよい。
例として、保存的アミノ酸置換は、1つの脂肪族または疎水性のアミノ酸、例えば、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンの、別のものによる置換;1つのヒドロキシル含有アミノ酸、例えば、セリンおよびトレオニンの、別のものによる置換;1つの酸性残基、例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸の、別のものとの置換、1つのアミド含有残基、例えば、アスパラギンおよびグルタミンの、別のものによる置き換え;1つの芳香族残基、例えば、フェニルアラニンおよびチロシンの、別のものによる置き換え;1つの塩基性残基、例えば、リジン、アルギニンおよびヒスチジンの、別のものによる置き換え;ならびに1つの小型アミノ酸、例えば、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニンおよびグリシンの、別のものによる置き換えを含む。
ペプチド変異体は、突然変異誘発または他の化学的方法によって生成されうる。アラニンスキャニングは、重要なアミノ酸を同定するために有用な手法である。この手法では、アミノ酸残基をAlaによって置き換え、ペプチドの活性に対するその影響を判定する。例えば、ジスルフィド結合を介した二量体形成を最小化するために、システイン残基を置換してもよい。ペプチドの重要な領域を決定するために、ペプチドのアミノ酸残基のそれぞれをこの様式で分析する。そのようなペプチドを調製するための手段は当技術分野において十分に理解されている。
天然に存在するアミノ酸に加えて、天然に存在しないアミノ酸または修飾アミノ酸も想定されており、本発明の範囲内にある。事実、本明細書で用いる場合、「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸、天然に存在しないアミノ酸、およびアミノ酸類似体、ならびにそれぞれのD立体異性体またはL立体異性体のことを指す。
「保護基」および「遮断基」という語句は、本明細書で用いる場合、ペプチドを特にインビボにおいて望ましくない化学反応から保護する、ペプチドに対する修飾のことを指す。そのような保護基の例には、カルボン酸およびボロン酸のエステル、アルコールおよびアセタールのエーテル、ならびにアルデヒドおよびケトンのケタールが含まれる。適した基の例には、アシル保護基、例えば、フロイル、ホルミル、アジピル、アゼライル(azelayl)、スベリル、ダンシル、アセチル、テイル(theyl)、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、スクシニルおよびメトキシスクシニルなど;芳香族ウレタン保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)など;脂肪族ウレタン保護基、例えば、t-ブトキシカルボニル(Boc)または9-フルオレニルメトキシ-カルボニル(FMOC)など;ピログルタミン酸およびアミド化などが含まれる。効力の増大、活性の延長、精製の容易さ、および/または半減期の延長をもたらす他の多くの修飾は、当業者には公知であろう。
1つの態様において、1つまたは複数のペプチドの複数のグルタミン酸残基の1つは、ペプチドに対するtTG活性によって生成されうる。代替的な態様において、この反応は、投与後にインビボで起こりうる。
ペプチドは1つまたは複数の修飾を含んでよく、それは天然の翻訳後修飾であっても人工的な修飾であってもよい。修飾は、例えば、アミノ、アセチル、アシル、カルボキシ、ヒドロキシもしくはハロゲン(例えば、フッ素)基、または糖質基などの化学部分(典型的には、例えばC-H結合の、水素の置換により)をもたらしうる。典型的には、修飾はN末端またはC末端に存在する。その上、ペプチドの1つまたは複数がPEG化されていてもよく、ここでPEG(ポリエチレンオキシ基)は、血流中での寿命の延長をもたらす。また、ペプチドの1つまたは複数を、標的細胞上の特定部分に対する標的化のために、融合タンパク質またはキメラタンパク質として他のタンパク質と組み合わせてもよい。
ペプチド変異体は、ペプチドがアミノ酸側鎖、アミノ酸キラリティー、および/またはペプチド骨格のレベルで化学的に修飾された状態で得ることができる。
本明細書に記載のある特定のペプチドは、特に幾何異性体または立体異性体の形態で存在してもよい。本発明は、シス-(Z)およびトランス-(E)異性体、R-およびS-鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、それらのラセミ混合物、ならびに他の混合物を含む、そのようなすべての形態を、本発明の範囲内にあると想定している。そのほかの不斉炭素原子が、置換基、例えばアルキル基などに存在してもよい。そのようなすべての異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明に含まれることを意図している。
別の例において、ペプチダーゼによる切断を防ぐために、ペプチドのいずれか1つまたは複数が、より安定的なペプチドが得られるように、特に感受性の高いペプチド結合の代わりに非切断性ペプチド結合を含んでもよい。そのような非切断性ペプチド結合はβアミノ酸を含みうる。
ある態様において、ペプチドのいずれか複数が、例えば、解離しやすいペプチド結合の代わりにある官能基を含んでもよく、これは適宜、セリン型、システイン型またはアスパラギン酸型プロテアーゼの阻害を助長する。例えば、本発明は、ペプチジルジケトンまたはペプチジルケトエステル、ペプチドハロアルキルケトン、ペプチドフッ化スルホニル、ボロン酸ペプチジル、ペプチドエポキシド、ペプチジルジアゾメタン、ホスホン酸ペプチジル、イソクマリン、ベンゾオキサジン-4-オン、カルバメート、イソシアネート、イサト酸無水物などを含む。そのような官能基は、他のペプチド分子に与えられており、それらの合成のための一般的な経路は公知である。
変異体は、模倣体であってもよい。「模倣体」という用語は、それが模倣する分子に対してある程度の化学的類似性を有し、かつ関心対象の特定の活性(例えば、寛容を誘導すること)を保っている物質を指すことを意図している。ペプチド模倣体の使用の基礎にある根拠は、タンパク質のペプチド骨格が、アミノ酸側鎖を主として、分子相互作用、例えばT細胞とMHCペプチド、抗体と抗原、酵素と基質またはスカフォールドタンパク質とのものなどを助長するように配向させるために存在することにある。ペプチド模倣体は、天然の分子と類似の分子相互作用を可能にするように設計される。模倣体には、オレフィン、ホスホネート、アザ-アミノ酸類似体などが含まれる。当業者はペプチドの模倣体を設計するための方法を容易に理解すると考えられ、それらを本明細書において定義されるペプチドの模倣体を設計するために利用することができるであろう。
ペプチドを親水性分析によって分析することもでき、それを用いることで、ペプチドの疎水性領域および親水性領域を同定し、それによって結合実験、抗体合成などにおける実験操作のためのペプチドの設計の一助とすることができる。特定の構造モチーフをとるペプチドの領域を同定するために、二次構造的分析を行うこともできる。操作、翻訳、二次構造の予測、親水性および疎水性のプロフィール、オープンリーディングフレームの予測およびプロッティング、ならびに配列相同性の決定は、当技術分野において利用可能なコンピュータソフトウェアプログラムを用いて実現することができる。X線結晶解析、質量分析およびガスクロマトグラフィー、コンピューターモデリング、旋光分散(ORD)、または円偏光二色性(CD)を非限定的に含む、構造分析の他の方法を用いることもできる。
ペプチド、断片または変異体は、塩の形態、好ましくは薬学的に許容される塩の形態にあってもよい。「薬学的に許容される塩の形態」には、ペプチドの従来の非毒性塩または四級アンモニウム塩、例えば、非毒性の有機酸または無機酸からのものが含まれる。従来の非毒性塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの;および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの有機酸から調製される塩が含まれる。
ペプチドは、別々のペプチドとして、または例えば、ポリエピトープ構造内に連結された状態で、作用物質またはワクチン中に用意することができる。1つの態様において、ペプチドは、単一のポリペプチド鎖(ポリエピトープ連鎖)中に、すなわち、直線状または環状の配置で提示されてもよい。別の態様において、ペプチドは、特にポリリジンなどのデンドリマー骨格を基にした、複数の抗原提示系において提示されてもよい。ポリリジン骨格は、エピトープの非直線状の分枝状配置をもたらす。この系には、ペプチドが互いに干渉しないか、または切断されて潜在性エピトープになることが起こりにくく、それ故に完全なT細胞応答を誘導することができるという、ポリエピトープ連鎖を上回る利点がある。
コンジュゲート
ペプチドの1つまたは複数を、標準的な方法を用いて化合物とコンジュゲートさせてもよい。ペプチドをコンジュゲートさせることができる化合物の例には、放射性同位体、蛍光性標識、化学発光性化合物、酵素標識、フリーラジカル、アビジン-ビオチン標識、バクテリオファージ標識、対象におけるペプチドの半減期を延長させる化合物、アジュバント、MHC分子またはその断片が非限定的に含まれる。
それらの化合物は、コンジュゲートされたペプチドの検出および/または単離を容易にするか、またはその免疫原性を高めることができる。
「コンジュゲートされた」とは、本明細書で用いる場合、共有結合性または非共有結合性の結合を介してカップリングされていることを意味する。共有結合が好ましいものの、化合物が、共有結合を伴わない複合体化を介して、例えば、水素結合または静電相互作用、疎水性相互作用などの相互作用を介して、ペプチドと連結されていてもよい。
典型的な放射性同位体には、3H、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe、75Se、および152Euが含まれる。
典型的な蛍光性標識には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、およびフルオレサミンが含まれる。
典型的な化学発光性化合物には、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびオキサレートエステルが含まれる。典型的な生物発光化合物には、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンが含まれる。
典型的な酵素標識には、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、マレイン酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、およびペルオキシダーゼが含まれる。
1つの態様においては、非特異的リンカーが、化合物と、それがコンジュゲートされるペプチドとの間に用いられる。そのようなリンカーはペプチドの活性に関与しない。そうではなくて、リンカーは、ペプチドと機能部分との間のスペーサーとして働きうる。リンカーの用途には、精製または検出を支援するといった目的でのペプチドの固定化が含まれる。または、リンカーが、空間的または時間的に、特定の標的、例えば細胞または組織へのペプチドの特異的送達を可能にする、ペプチドに対する化合物の取り付けを可能にしてもよい。ワクチンとして用いる場合、ペプチドの1つまたは複数を、ペプチドと免疫原性担体との間のスペーサーとして働くか、またはペプチドと免疫原性キャリアとのカップリングの向上を可能にして潜在性エピトープの形成を防止するリンカーとカップリングさせてもよい。
1つの態様において、ペプチドの1つまたは複数は、ジフテリアトキソイド(DT)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイド(TT)またはインフルエンザウイルスの核タンパク質(NP)などのアジュバント(免疫原性担体タンパク質)と共有結合性にカップリングされる。非特異的リンカーは、ペプチドと免疫原性担体との間に存在することができ、好ましくは、免疫原性担体とのカップリングを容易にするために、かつ/またはペプチドと免疫原性担体との間のスペーサーとして働くために、ペプチドと連結しているかまたは共合成されている。
診断用薬として用いられる場合、ペプチドの1つまたは複数は、好ましくは、それまでにワクチン接種のために用いられていない免疫原性担体とコンジュゲートされる。ワクチン接種の成功についてモニターする場合、これは、診断用薬がワクチンの担体画分に対して形成された抗体と反応することを防ぐ。
1つの態様において、化合物は、MHCクラスII分子またはそのペプチド結合性断片である。MHCクラスII分子は生体試料から精製することができる。または、MHCクラスII分子を組換えによって作製することもできる。MHCクラスII分子のペプチド結合性断片を、例えば、精製されたかもしくは組換え性のインタクト分子の酵素切断によって得ることもできる。または、ペプチド結合性断片を、組換えによって作製することもできる。1つの好ましい態様において、化合物は、組換え2ドメインMHCクラスII分子である。
その最も基本的な形態において、2ドメインMHCクラスII分子は、哺乳動物MHCクラスII分子のα1ドメインおよびβ1ドメインを含み、ここでα1ドメインのアミノ末端はβ1ドメインのカルボキシ末端と共有結合性に連結しており、かつポリペプチドはα2ドメインもβ2ドメインも含まない。2ドメインMHCクラスII分子は、本明細書において定義されるペプチドと、共有結合性または非共有結合性の相互作用によって結合している。ある態様において、ペプチドは、クラスII分子のβ1ドメインのアミノ末端と共有結合性に連結している。また、2ドメインMHCクラスII分子が、蛍光性標識または毒素などの検出可能な標識を含んでもよい。検出可能な標識または毒素を、指定された様式(すなわち、ランダムに取り付けられるのではなく)でMHC分子と共有結合性に連結させようとする場合には、それは一般に、アミノ末端に連結されたペプチド抗原との干渉が最小限になるように、分子のカルボキシ末端に連結させると考えられる。
インビトロで、2ドメインMHCクラスII分子を、T細胞を検出して定量するため、およびT細胞機能を調節するために用いてもよい。すなわち、選択されたペプチドが負荷されたそのような分子を用いて、そのペプチドに対して特異的であるT細胞の集団を検出すること、モニターすること、および定量することができる。また、2ドメインMHCクラスII分子/ペプチド結合体を、グルテン特異的T細胞のアネルギーを誘導して、セリアック病に伴う症状を軽減するために用いることもできる。または、そのような分子を、疾患の原因となるT細胞をより直接的に死滅されるために、毒素とコンジュゲートさせてもよい。適した毒素には、タンパク質毒素(例えば、リシン、ジフテリア、およびシュードモナス毒素)、化学療法薬(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、サイトトキシン、およびアンチセンスRNA)、細胞傷害性T細胞表面分子に対する抗体、リパーゼ、および「ハードな」放射線、例えばβ線を放射する放射性同位体が含まれる。
抗原提示細胞
本明細書において定義される作用物質および/またはペプチドは、APCに、例えば、第1、第2および第3のペプチド、それらの1つもしくは複数の生物学的活性断片または変異体、ならびに/またはそれらの1つもしくは複数をコードするポリヌクレオチドを負荷することによって送達することができる。
好ましくは、APCは、対象と共通のMHC表現型を有するMHCクラスII分子を発現する、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球および肝類洞壁内皮細胞からなる群より選択される。例えば、APCが、HLA-DQ2(例えば、HLA DQA1*05およびHLA DQB1*02)および/またはHLA DQ8を発現してもよい。この目的に使用されるAPCは、負荷後にそれらが投与されることになる対象から単離されてもよく、またはそれらを、アロタイプが一致する対象から入手してもよい。
APCに「負荷する」とは、APCを、ペプチド、それらの1つもしくは複数の生物学的活性断片もしくは変異体、またはそれらの1つもしくは複数をコードするポリヌクレオチドとともにインキュベートするか、またはそれらによってトランスフェクトすることを意味する。APCへの負荷は、脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、およびリン酸カルシウムトランスフェクションなどの、従来の核酸トランスフェクション法を用いることによって達成することができる。
ペプチドの生産
ペプチドは任意の適した様式で調製することができる。例えば、ペプチドは組換えによって、および/または合成により生産することができる。
ペプチドは、市販のペプチド合成装置を用いる自動化された手順による合成を含む、標準的な化学手法によって合成することができる。一般に、ペプチド類似体は固相ペプチド合成法によって調製され、これは、それぞれの保護されたアミノ酸残基を、ジシクロヘキシルカルボジイミドによる活性化によって、樹脂、好ましくは4-メチルベンズヒドリルアミン樹脂の支持体にカップリングさせて、C末端アミドを有するペプチドを得ることを含みうる。または、クロロメチル樹脂(メリフィールド樹脂)を用いて、C末端に遊離カルボン酸を有するペプチドを得ることもできる。最後の残基を取り付けた後に、ペプチドを樹脂から切断するとともに側鎖官能基を脱保護するために、保護されたペプチド-樹脂をフッ化水素で処理する。粗生成物を、ゲル濾過、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、分配クロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーによって、さらに精製することができる。
所望の場合、および上記に概説したように、作用物質のペプチド中に、合成の間または発現の間に、他の分子または表面との結合を可能にするさまざまな基を導入することができる。例えば、チオエステルを作製するためにシステインを、金属イオン錯体と連結させるためにヒスチジンを、アミドまたはエステルを形成させるためにカルボキシル基を、アミドを形成させるためにアミノ基を用いることなどができる。
また、ペプチドを無細胞翻訳系を用いて生産することもできる。網状赤血球溶解液およびコムギ胚芽抽出物などの標準的な翻訳系は、RNAをテンプレートとして用いる。一方、「カップリングされた」および「連結された」系は、DNAのテンプレートを用いて開始し、これがRNAに転写され、続いて翻訳される。
または、宿主細胞に、1つまたは複数のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをトランスフェクトさせることによって、ペプチドを生産することもできる。
組換え生産のためには、ペプチドの1つまたは複数をコードする配列を含む組換え構築物を、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストリン媒介性トランスフェクション、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、衝撃導入(ballistic introduction)または感染などの従来の方法によって、宿主細胞内に導入する。
ペプチドの1つまたは複数を、例えば、哺乳動物細胞(例えば、COS、CHO、BHK、293 HEK、VERO、HeLa、HepG2、MDCK、W138、もしくはNIH 3T3細胞)、酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)もしくはピキア(Pichia))、細菌(例えば、大腸菌(E. coli)、ピキア・パストリス(P. pastoris)もしくは枯草菌(B. subtilis))、昆虫細胞(例えば、Sf9細胞内のバキュロウイルス)、または他の細胞などの適した宿主細胞において、適切なプロモーターの制御下において、従来の技術を用いて発現させてもよい。適した宿主株のトランスフェクション、および宿主株の適切な細胞密度への増殖の後に、細胞を遠心分離によって収集し、物理的または化学的手段によって破壊して、結果的に生じた粗抽出物を、ペプチドまたはその変異体のさらなる精製のために保管する。
適した発現ベクターには、例えば、染色体性の、非染色体性の、および合成性のポリヌクレオチド、例えば、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAとの組み合わせに由来するベクター、ウイルスDNA、例えばワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、カナリアポックスウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、バキュロウイルス、ヘルペスウイルスおよびレトロウイルスなどが含まれる。ポリヌクレオチドは、当技術分野において公知の従来の手順によって、発現ベクター中へ導入することができる。
1つまたは複数のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、発現制御配列、すなわち、mRNA合成を導くプロモーターと機能的に連結されていてよい。そのようなプロモーターの代表的な例には、LTRまたはSV40プロモーター、大腸菌のlacまたはtrp、ファージラムダPLプロモーター、および原核細胞もしくは真核細胞において、またはウイルスにおいて遺伝子の発現を制御することが知られている他のプロモーターが含まれる。また、発現ベクターが、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、および転写終結因子を含んでもよい。
また、発現ベクターは、複製起点、および、形質転換細胞、すなわち異種性ポリヌクレオチドを発現する細胞の選択を可能にするための大腸菌のアンピシリン耐性遺伝子などの選択マーカーを含んでもよい。ペプチドの1つまたは複数をコードする核酸分子を、翻訳開始配列および終結配列とインフレームでベクター中に組み込んでもよい。
ペプチドの1つまたは複数は、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、およびHPLCを含む、周知の方法によって、組換え細胞培養物から(すなわち、細胞または培養培地から)回収して精製することができる。単離および/または精製の間にペプチドが変性する場合には、活性のある立体配置を再生させるために、タンパク質をリフォールディングするための周知の技術を用いることができる。
グリコシル化されたペプチドを生成するために、組換え技術を用いることが好ましい。グリコシル化されたペプチドを生成するために、組換え手法において、COS-7細胞およびHep-G2細胞などの哺乳動物を用いることが好ましい。
また、ペプチドを、より長いペプチドの切断によって、特に食品抽出物から調製することもできる。
ペプチドの薬学的に許容される塩は、塩基部分または酸部分を含むペプチドから、従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、塩は、遊離塩基または遊離酸を、化学量論的な量または過剰な量の、所望の塩を形成する無機性または有機性の酸または塩基と、適した溶媒中で反応させることによって、調製される。
生物活性配列を同定する方法
本明細書においては、本明細書に開示されたエピトープ探索および作製の新規な方法によって作製される新規エピトープが開示される。1つの態様において、新規エピトープ配列を作製する方法は、抗体と結合すること、または個体において免疫応答を誘発することができる、ポリペプチド上の連続エピトープ配列の探索を伴う。エピトープ配列が発見されれば、それらをランダムな配列または発見された他のエピトープ配列と組み換えて、自己免疫障害と関連する抗体に対する結合に関する感度および特異性がネイティブなエピトープ単独よりも上回る、新たな合成ポリペプチド配列を作製する。好ましい態様において、配列の作製およびスクリーニングのプロセスは、試料と接触するように構成されたペプチドアレイ上で行われる。
いくつかの態様においては、図2に図示するように、新規エピトープを同定する方法は、以下の段階を含む:1)それぞれが生物活性を示すネイティブな活性タンパク質またはポリペプチドの部分を含む、第1の複数の一部重なり合うポリペプチド断片を作製する段階;2)各ポリペプチド断片に対する自己免疫障害と相互関係がある抗体の特異性および感度について、ポリペプチド断片を含むアレイを、自己免疫障害を有する対象由来の試料と接触させることによって決定する段階;3)結合の感度および/もしくは特異性に関してあらかじめ定められた閾値を上回るポリペプチド断片を、またはポリペプチド断片の集成物の中で最大の感度および/もしくは特異性の値を有するものを選択する段階;4)段階3において同定されたポリペプチド断片から、ポリペプチド断片の内部でのエピトープ配列の出現を同定する段階;5)それぞれが段階4におけるエピトープ配列を少なくとも2つ含み、かつ任意で少なくとも1つのランダムなポリペプチド配列を含む、第2の複数の合成ポリペプチドを作製する段階;6)段階5において作製された合成ポリペプチドのそれぞれに関して、合成ポリペプチド断片を含むアレイを、免疫障害を有する対象由来の試料と接触させることによって特異性および感度を決定する段階;ならびに7)特異性および感度の閾値を上回る段階6による合成ポリペプチドを、自己免疫障害に関するバイオマーカーとして用いるために選択する段階。任意で、自己免疫障害と関連する抗体の結合に関する合成ポリペプチドの感度および/または特異性をさらにより優れたものとするために、段階5から段階7までを繰り返してもよい。この方法により、自己免疫障害(例えば、セリアック病)の診断および治療のために有用な複数の新規生物活性ポリペプチドの作製がもたらされる。
1つの態様において、自己免疫障害はセリアック病である。1つの態様において、生物活性を有するタンパク質はグリアジンである。1つの態様において、グリアジンは、α-グリアジン、β-グリアジン、γ-グリアジン、またはω-グリアジンである。
抗原におけるエピトープの同定
本明細書において開示されるように、グリアジンなどの生物活性タンパク質上のエピトープを同定する方法が提供され、自己免疫疾患の診断および治療に用いるための新規生物活性ポリペプチド配列の作製のために用いられる。1つの態様においては、完全長生物活性ポリペプチド配列を、ある個別の長さの一部重なり合うポリペプチド断片に分ける。1つの態様において、各ポリペプチド断片は6~15アミノ酸の長さである。1つの態様において、各ポリペプチド断片は、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15アミノ酸の長さである。1つの好ましい態様において、各ポリペプチド断片は12アミノ酸の長さである。完全長生物活性ポリペプチドのポリペプチド断片間の重なり合いの量はポリペプチド断片の刻み幅によって決めることができ、これは、完全長生物活性ポリペプチドによって決定される、各ポリペプチド断片の各N末端またはC末端アミノ酸の間の距離のことを指す。刻み幅が2アミノ酸である態様の図を図1に示しており、ここでポリペプチド断片の長さは12アミノ酸である。この結果として、隣接するポリペプチド断片間の重なり合いは10アミノ酸となる。この重なり合いにより、生物活性ポリペプチド配列上の活性エピトープ配列のより正確な決定が可能になる。いくつかの態様において、刻み幅は異なってもよく、例えば、刻み幅は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12アミノ酸であってよい。1つの好ましい態様において、刻み幅は2アミノ酸である。また、より多くの断片ポリペプチドの作製が必要になることを代償として、精度を向上させるために、1アミノ酸の刻み幅を用いることもできる。
以上に考察したポリペプチド断片の作製のスキームに基づいて、自己免疫障害と相互関係がある抗体を有する試料に対するスクリーニング用のアレイ上に、断片ポリペプチドを合成する。アレイ上の断片ポリペプチドに対する抗体の結合は二次抗体を介して検出されるが、当業者に公知である他の検出方法でも十分であると考えられる。各ポリペプチド断片と、自己免疫障害を有するかまたは有しないことが特定されている対象由来の試料中の抗体との結合に関する情報を比較して、各ペプチドの感度および特異性を決定する。一部重なり合う領域により、エピトープ配列の同定が可能になる。1つの態様において、同定されるエピトープは3~11アミノ酸の長さである。1つの態様において、同定される各エピトープは、3、4、5、6、7、8、9、10または11アミノ酸の長さである。1つの好ましい態様において、各エピトープは3アミノ酸の長さに限定される。いくつかの態様においては、ポリペプチド断片の中から、自己免疫陽性試料に対する結合の特異性および/または感度の閾値を上回るエピトープの対を同定する。続いて、以下に述べるように、これらのエピトープの対を用いて、合成配列を作製する。
新規生物活性配列の作製
上記のネイティブな生物活性ポリペプチドから同定されたエピトープを用いて、さらなるスクリーニング用のアレイ上に新規合成生物活性ポリペプチド配列の作製および合成を行う。1つの態様において、各新規合成生物活性ポリペプチドは、本明細書において開示される方法によって同定された、少なくとも1つのエピトープを含む。別の態様において、各新規合成生物活性ポリペプチドは、本明細書において開示される方法によって同定された、少なくとも2つのエピトープを含む。いくつかの態様において、各新規合成生物活性ポリペプチドは、本明細書に記載の方法によって同定された2つ、3つ、4つ、または5つのエピトープを含む。いくつかの態様において、各新規合成生物活性ポリペプチドは、少なくとも1つの、または少なくとも2つのエピトープ配列に加えて、ランダムに生成されたポリペプチド配列を含む。いくつかの態様において、ランダムに生成された配列は、3、6、9または12アミノ酸の長さである。1つの好ましい態様において、各新規合成生物活性ポリペプチド配列は、12アミノ酸の新規合成生物活性ポリペプチド配列が作製されるように、本明細書において開示される方法によって同定された2つの3アミノ酸エピトープ配列、およびランダムに生成された少なくとも1つのポリペプチド配列を含む。1つの態様において、新規合成生物活性ポリペプチド配列は、SEQ ID NO:1~127から選択される。1つの態様において、複数の新規合成生物活性ポリペプチド配列が、自己免疫障害を有する試料の検出に関する各新規合成生物活性ポリペプチド配列の感度および特異性を決定するための試料との接触のために、アレイ上に合成される。1つの態様において、自己免疫障害の検出に関して高い感度および/または特異性を有する新規合成生物活性ポリペプチドを、別のポリペプチドアレイ上でのスクリーニングのために、その中に含まれるエピトープ周辺のランダムなポリペプチド配列のさらなる改変のために選択する。本明細書に記載の方法は、高い感度および/または特異性を有する、自己免疫疾患と関連する抗体に対する結合のためのエピトープとして作用する生物活性ポリペプチド配列の作製をもたらす。
1つの態様において、本明細書において提供される複数の合成生物活性ポリペプチド配列を有するポリペプチドアレイが作製される。1つの態様において、アレイは、本明細書において開示される方法によって作製された、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100個の新規合成生物活性ポリペプチド配列を有する。1つの態様において、アレイは、SEQ ID NO:1~127からなる群より選択される配列を有する、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100種のポリペプチドを有する。1つの態様において、ポリペプチドアレイは、自己免疫障害を有する疑いのある対象において、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を上回る、自己免疫障害の検出感度を有する。1つの態様において、ポリペプチドアレイは、自己免疫障害を有する疑いのある対象において、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を上回る、自己免疫障害の検出特異性を有する。
生物活性配列および治療のための使用の方法
ワクチンおよび投与
本発明はまた、第1、第2および第3のペプチド、それらの1つもしくは複数の生物学的活性断片もしくは変異体、ならびに/またはそれらの1つもしくは複数をコードするポリヌクレオチドを含むワクチンも提供する。また、本発明のペプチドおよび/または本発明のポリヌクレオチドを含むワクチンも提供する。
本明細書で用いる場合、「ワクチン」という用語は、グルテンに対する感受性がある対象に対して、グルテンに対する対象の応答をモジュレートするために投与することができる組成物のことを指す。ワクチンは、グルテンに対する対象の免疫学的反応性を低下させることができる。好ましくは、ワクチンはグルテンに対する寛容を誘導する。
対象に対するワクチンの投与は、グルテン特異的エフェクターT細胞集団、例えばグルテン特異的CD4+ T細胞のクローン除去によって、またはその後のグルテン(またはそのペプチド)への曝露に対する前記T細胞の応答性が低くなるか、もしくは好ましくは非応答性になるような前記T細胞の不活化(アネルギー)によって、寛容を誘導することができる。
代替的、または追加的に、ワクチンの投与は、対象のサイトカイン分泌プロフィールを改変する(例えば、IL-4、IL-2、TNFαおよび/もしくはIFNγの減少、ならびに/またはIL-10の増加をもたらす)ことができる。ワクチンは、サプレッサーT細胞の部分集団、例えばTreg細胞を誘導して、IL-10および/またはTGFβを産生させ、それによってグルテン特異的エフェクターT細胞を抑制させることができる。
本発明のワクチンは、グルテンに対する感受性を生じうる対象、例えば、HLA-DQ2および/もしくはHLA-DQ8遺伝子を保有すると診断された対象の予防処置のため、ならびに/またはグルテンに対する感受性がある対象、例えば、セリアック病を有する対象の継続中の治療のために用いることができる。さまざまな自己免疫性病状およびモデル免疫性病状、例えば実験的アレルギー性脳炎に対する免疫優性ペプチドの予防的活性を裏付ける相当量の動物データが存在する。
本明細書で用いる場合、「治療」という用語は、疾患または病状の進行を、抑止する、阻害する、緩徐化する、もしくは好転させること、または疾患(例えば、セリアック病)もしくは病状の臨床症状を改善するかもしくは予防することを含む。
投与されることになるワクチン(または作用物質、ペプチド、ポリヌクレオチドおよび/またはAPC)の量は、「有効量」と称される。「有効量」という用語は、適切なまたは十分な条件下で投与された時に、所望の治療的または生理的な効果をもたらすのに十分な量を意味する。単回または複数回の用量を投与することができる。望ましくない影響、例えば、副作用が、所望の治療効果とともに時に現れる;それ故に、実地医は適切な「有効量」が何かを決定するにあたって潜在的有益性と潜在的リスクとのバランスをとる。求められる厳密な量は、対象の種、齢、サイズおよび全身状態、投与様式などに応じて対象毎に異なると考えられる。このため、厳密な「有効量」を特定するのは不可能であると思われる。しかし、当業者は慣行的な実験のみを用いて、任意の個別の場合における適切な「有効量」を決定することができる。
ワクチン(または作用物質、ペプチド、ポリヌクレオチドおよび/またはAPC)は、グリアジン、セカリン、ホルデイン、グルテニンおよび任意でアベジン(avedin)タンパク質によって代表されるような、対象におけるコムギ、オオムギおよびライムギ、好ましくはコムギ、オオムギ、ライムギおよびカラスムギに対するT細胞応答を改変する。このため、本発明による治療を受けた対象は、好ましくは、通常であればセリアック病の症状を招くと考えられる顕著なT細胞応答を伴わずに、少なくともコムギ、ライムギ、オオムギおよび任意でカラスムギを食べることができる。
本発明の作用物質の個々の構成要素は、同じ組成物中にある状態で、または異なる組成物中にある状態で、またはそれらの組み合わせで投与することができる(例えば、本明細書において定義される第1および第2のペプチドが1つの組成物中にあり、第3のペプチドが別の組成物中にある)。異なる組成物中にある場合、それらは同時にまたは逐次的に投与することができる。
作用物質またはワクチンは、薬学的に許容される担体を含んでもよい。「薬学的に許容される担体」という用語は、対象、特に哺乳動物、より詳細にはヒトに投与された時に、アレルギー反応も毒性反応も他の有害反応も生じさせない分子的実体および組成物のことを指す。薬学的に許容される担体は、固体または液体であってよい。薬学的に許容される担体の有用な例には、本発明の活性作用物質の活性に影響を及ぼさない、希釈剤、賦形剤、溶媒、界面活性剤、懸濁化剤、緩衝剤、潤滑剤、補助剤、媒体、乳化剤、吸収剤、分散媒、コーティング剤、安定化剤、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、チキソトロープ剤作用物質、浸透剤、封鎖剤、等張剤および吸収遅延剤が非限定的に含まれる。
担体は、従来より用いられているもののいずれであってもよく、溶解性、および活性作用物質との反応性のなさといった化学物理的考慮事項、ならびに投与の経路によってのみ限定される。本発明のための適した担体には、従来より用いられているもの、例えば、水、食塩水、水性デキストロース、ラクトース、リンゲル液、緩衝液、ヒアルロナン、グリコール、デンプン、セルロース、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが含まれる。また、リポソームを担体として用いることもできる。
薬学的組成物を製造するための手法は、当技術分野において一般に公知であり、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th Ed. Mack Publishing Company, 1980によって例示されている。
「アジュバント」という用語は、一般に、本明細書において定義される1つまたは複数のペプチドの免疫原性を強化するように設計された免疫刺激物質のことを指す。好ましくは、アジュバントは、Th1応答を生じさせず、さらに、免疫寛容を促進する、かつ/または炎症を軽減する。適した補助剤には、1)アルミニウムを基にした無機酸塩アジュバント、例えばAl(OH)3ゲルまたはリン酸アルミニウムなど、ただしカルシウム、鉄または亜鉛の塩であってもよい;および2)デキサメタゾン(Kang et al., 2008)が含まれる。
投与は、従来の非毒性で薬学的に許容される担体を含む単位投与製剤における、経口的、局所的(経皮的)、非経口的、吸入噴霧による、または直腸内であってよい。「非経口的」という用語は、本明細書で用いる場合、静脈内注射、動脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、結膜下注射、腔内注射、経皮的注射および皮下注射、 肺もしくは鼻腔への投与のためのエアロゾル、または例えば浸透圧ポンプなどによる注入による投与が含まれる。
本発明の活性化合物は、経口使用のために適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性の懸濁液、分散可能な散剤もしくは顆粒、エマルション、硬もしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤であってよい。経口用途を意図する組成物は、薬学的組成物の製造のための当技術分野において公知の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、薬学的に上品で味のよい製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群より選択される1つまたは複数の作用物質を含有してよい。
錠剤
活性成分を薬学的に許容される賦形剤と混合された状態で含有する錠剤を、公知の方法によって製造することもできる。用いられる賦形剤は、例えば、(1)炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;(2)コーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;(3)デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムなどの結合剤、ならびに(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤であってよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、またはそれらを胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期にわたる持続的作用をもたらすために、公知の技術によってコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。それらはまた、制御放出のための浸透圧治療錠剤を形成するためにコーティングされてもよい。
場合によっては、経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどと混合される、硬ゼラチンカプセルの形態にあってもよい。それらはまた、活性成分が、水性または油性の媒質、例えばピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などと混合されている、軟ゼラチンカプセルの形態にあってもよい。
水性懸濁液
水性懸濁液は通常、活性材料を、水性懸濁液の製造のために適した賦形剤とともに混合された状態で含有する。そのような賦形剤には、以下が含まれうる:(1)懸濁化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアラビアゴムなど;または(2)分散剤もしくは湿潤剤、例えば、C2~C18脂肪酸のPEGエステル、Tween 80またはポリエチレンオキシドソルビタンモノラウレート、ブリージ(Brij)またはポリオキシエチレンアルコール、Triton-Xまたはポリエチレングリコールp-イソオクチルフェニルエーテル、Triton-N、およびTriton A-20または4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、ホルムアルデヒドおよびオキシランとのポリマー、DECON、トリスまたは2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよびCremophor ELなど。
水性懸濁液はまた、1つまたは複数の保存剤、例えば、エチルまたはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエート;1つまたは複数の着色剤;1つまたは複数の香味剤;および、スクロース、アスパルテームまたはサッカリンなどの1つまたは複数の甘味剤を含んでもよい。
油性懸濁液
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油、ω3脂肪酸を含有する魚油、または流動パラフィンなどの鉱油の中に懸濁させることによって、製剤化することができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えばミツロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有してもよい。甘味剤および香味剤を、味のよい経口製剤を得るために添加してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存することができる。
分散可能な散剤および顆粒
分散可能な散剤および顆粒は、水性懸濁液の製造のために適する。それらは活性成分を、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つまたは複数の保存剤との混合物中に与える。適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に先に述べたものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、上記の甘味剤、香味剤および着色剤も存在してよい。
エマルション
薬学的組成物はまた、水中油型エマルションの形態にあってもよい。油相は、オリーブ油またはラッカセイ油などの植物油、流動パラフィンなどの鉱油、またはそれらの混合物であってよい。適した乳化剤には、アラビアゴム、トラガカントガム、大豆、レシチン、ポリオキシエチレンオキシドソルビタンモノラウレート(Tween 80)が含まれる。エマルションは甘味剤および香味剤を含んでもよい。
シロップおよびエリキシル剤
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたはスクロースとともに製剤化してもよい。そのような製剤はまた、粘滑薬、保存剤、香味剤および着色剤を含んでもよい。
注射剤
薬学的組成物は、無菌の注射可能な水性または油性の懸濁液の形態にあってよい。この懸濁液は、上述した適した分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の方法に従って製剤化することができる。無菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であってよい。使用しうる許容される担体の中には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の硬化油も、溶媒または懸濁媒として従来より用いられている。この目的には、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、刺激の少ない任意の硬化油を用いることができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も、注射剤の製剤に利用することができる。
非経口投与のために適した組成物には、水性および非水性の無菌注射溶液が非限定的に含まれる。皮下投与のための適切な送達機構には、インプラント、デポー剤、針、カプセル、および浸透圧ポンプが非限定的に含まれる。
持続放出組成物
持続放出組成物を調製することもできる。持続放出製剤の適した例には、固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、このマトリックスは、成形された物品、例えばフィルム、またはマイクロカプセルの形態にある。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタミン酸とのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸などのポリマーは、分子を100日間以上にわたって放出することができるが、ある種のヒドロゲルは、タンパク質をより短い期間放出する。
活性作用物質を、例えば、従来の手法によって、または界面重合によって調製したマイクロカプセル製剤、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセル)の状態で、またはマクロエマルションの状態で、封入してもよい。
持続放出のためのマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン(rhIFN)、インターロイキン-2、およびMN rgp120について、成功裏に行われてきた。これらのタンパク質の持続放出製剤は、その生体適合性および広範囲にわたる生分解性特性を理由として、PLGAポリマーを用いて開発された。PLGA、乳酸-グリコール酸の分解生成物は、ヒトの体内において速やかに除去される。さらに、このポリマーの分解性は、その分子量および組成に応じて、数カ月から数年までに調整することができる。
遺伝子治療
1つのさらなる態様において、対象への投与を目的として、本明細書において定義される1つまたは複数のペプチドをコードするポリヌクレオチドを、組換え発現ベクター中に挿入する。
「組換え発現ベクター」という用語は、1つまたは複数のペプチドをコードする核酸の挿入または組み込みによって操作された、当技術分野において公知のプラスミド、ウイルスまたは他の媒体のことを指す。そのような発現ベクターは、宿主における挿入された遺伝子配列の効率的な転写を促進するプロモーター配列を含む。発現ベクターは、典型的には、複製起点、プロモーター、ならびに形質転換細胞の表現型による選択を可能にする特定の遺伝子を含む。
1つの態様において、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)に由来するものであり、本明細書において定義されるペプチドの十分なレベルの発現を誘導することができる、構成性または調節可能なプロモーターを含む。好ましくは、ウイルスベクターは、WO 93/24641号に記載されたものなどの、AAVの逆位末端反復配列を含む。1つの好ましい態様において、ウイルスベクターは、pTR-UF5プラスミドのポリヌクレオチド配列を含む。pTR-UF5プラスミドは、pTR.sub.BS-UF/UF1/UF2/UFBシリーズのプラスミド(Zolotukiin et al., 1996;Klein et al., 1998)の改変バージョンである。
目的とする発明について有用なプロモーターには、例えば、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)、ヒト伸長因子1-αプロモーター(EF1)、核内低分子RNAプロモーター(U1aおよびU1b)、α-ミオシン重鎖プロモーター、サルウイルス40プロモーター(SV40)、ラウス肉腫ウイルスプロモーター(RSV)、アデノウイルス主要後期プロモーター、β-アクチンプロモーター、およびCMVエンハンサー/β-アクチンプロモーターを含むハイブリッド調節エレメントが含まれる。これらのプロモーターは、広範囲にわたる哺乳動物細胞において活性であることが示されている。
プロモーターは、本明細書において定義される1つまたは複数のペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドと機能的に連結されている。「機能的に連結される」とは、プロモーターエレメントが、コード配列に対して、コード配列の発現を生じさせうるように位置していることを意図している。
また、本発明のベクターによる使用のため想定されているものには、誘導性および細胞型特異的なプロモーター、例えば、Tet誘導性プロモーター(Clontech, Palo Alto, Calif.)およびVP16-LexAプロモーター(Nettelbeck et al., 1998)がある。
所与のプロモーターからの転写のレベルを高めるために機能しうる転写エンハンサーエレメントを、ベクター中に含めることもできる。エンハンサーは一般に、プロモーター配列に対して3'または5'のいずれかの向きに配置される。天然のエンハンサーに加えて、合成のエンハンサーを本発明に用いてもよく、例えば、筋特異的エレメント、血清応答因子結合エレメント(SRE)、筋細胞特異的エンハンサー因子-1(MEF-1)、筋細胞特異的エンハンサー因子-2(MEF-2)、転写エンハンサー因子-1(TEF-1)およびSP-1を含む(Li et al., 1999;Deshpande et al., 1997;Stewart et al., 1996;Mitchell and Tjian, 1989;Briggs et al., 1986;Pitluk et al., 1991)、Spc5-12に由来するエレメントから無作為に組み立てられた合成エンハンサーをベクター中に用いてもよい。
遺伝子治療法は、患者の細胞または組織のエクスビボまたはインビボでの治療によって行うことができる。ベクターを、当技術分野において公知の方法を用いて、適した細胞、細胞株または組織に導入する。ウイルス粒子およびベクターは、細胞または組織中に、インビトロまたはインビボで導入することができる。想定している方法には、トランスフェクション、形質導入、注射および吸入が含まれ、例えば、ベクターを、目的のベクターを含むリポソームを用いて、ベクター単独による直接トランスフェクションによって、エレクトロポレーションによって、または微粒子銃(particle bombardment)によって、細胞に導入することができる。
投薬
活性物質を単位剤形として製剤化することは、投与の容易性および投薬の均一性のために特に有用である。「単位剤形」とは、本明細書で用いる場合、治療しようとする対象への単位投薬に適した物理的に分離した単位のことを指す。各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性作用物質を、必要とされる薬学的担体とともに含む。単位剤形についての詳細は、活性作用物質の特有の特徴および達成しようとする特定の治療効果、ならびに対象治療のためにそのような活性作用物質を配合する技術分野におる固有の限定要因により決定され、これらに依存する。または、組成物は多回剤形の形で用意してもよい。
投与単位の例には、密封されたアンプルおよびバイアルが含まれ、使用の直前に無菌の液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥状態で保存することができる。
作用物質またはワクチンはまた、容器、パック、またはディスペンサー中に、投与のための説明書とともに含めることができる。
投与される実際の量(または用量もしくは投与量)ならびに投与の速度および時間経過は、治療される状態の性質および重篤度に依存する。治療の処方、例えば、投与量、タイミング、頻度などの決定は、一般的な医師または専門家(ヒトの医師、獣医師または医科学者を含む)の責任の範囲内であり、典型的には、治療しようとする障害、対象の状態、送達の部位、投与の方法、および医師に公知である他の要因を考慮する。手法およびプロトコールの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990), Mack Publishing, Company, Easton, Pa., U.S.A.)に見いだすことができる。用量、投与頻度、期間、投与の経路および維持療法の必要性は、他のペプチド免疫治療薬についての基準に基づくことができる。
有効量は、1分間、1時間、1日、1週間または1カ月当たりのng/体重1kg~g/体重1kgで測定することができる。
本発明の作用物質またはワクチンのインビボ投与を用いる場合、通常の投与量は、1日当たり、約10ng/kg~100mg/哺乳動物の体重1kg、またはそれより多く、好ましくは約1μg/kg/日~10mg/kg/1日であり、投与の経路に応じて異なりうる。特定の投与量および送達の経路についての手引きは、文献に提供されている。
作用物質またはワクチンの毒性および治療効果は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって、IC50および最大耐用量を決定することによって、決定することができる。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータを、ヒトのために適した範囲を設定するために用いることができる。
診断および治療の有効性
本明細書において定義されるペプチドはまた、診断用薬としても有用である。
1つの例では、グルテン寛容を、本明細書において定義されるペプチドに曝露された、刺激された細胞、例えばTreg細胞から分泌されるIL-10および/またはTGFβを測定することによってアッセイする。Treg細胞は、大量のIL-10およびTGFβを産生する能力によって特徴付けられる。IL-10は、免疫抑制に関与する主要なサイトカインの一つであると考えられ、抑制の標的は、エフェクター細胞におけるIL-2の転写制御であると考えられる。
別の例では、グルテン寛容を、刺激された細胞、例えば、グルテン特異的CD4+ T細胞から分泌されるIFNγを測定することによりアッセイする。
診断検査は、全血またはそこから単離された、および/または分画された細胞を用いてインビトロで行ってもよい。
1つの例では、細胞は、ペプチドの1つまたは複数に(単独で、またはMHC分子もしくはその断片、またはペプチドを負荷したAPCとコンジュゲートされて)あらかじめ曝露されている。別の例では、細胞は、ペプチドとの(単独での、またはMHC分子もしくはその断片、またはペプチドを負荷したAPCとコンジュゲートされての)コインキュベーションによって、インビトロで刺激される。
作用物質の直接的なT細胞媒介性効果は、末梢血または組織(例えば、小腸)から単離された細胞を利用する機能アッセイによってモニターすることができる。コグネイトT細胞の下流でのペプチド投与の効果は、免疫細胞の型、組織、生体液(例えば、血漿、腸分泌物、尿または便)を用いてアッセイすることができる。
一般に、コグネイトT細胞により認識されたペプチドの生物学的効果は、投薬レジメン、投与の様式、および、ペプチドが修飾されているかまたは免疫学的特性を有する別の化合物、例えばアジュバントと共投与されるか否かに依存して、炎症誘発性であるかまたは免疫寛容誘発性であるかのいずれかである。ペプチドベースの治療用ワクチンにおける使用のために選択されたこれらのおよび他のペプチドは、一般に、短く(29アミノ酸未満)、水溶性であり、自然免疫効果を有さず、病原性T細胞のかなりの割合によって認識される。T細胞媒介性疾患および他のヒト疾患の動物モデルにおける観察によれば、初回投与の後にコグネイトT細胞の活性化が起こる。しかし、作用物質の反復投与は、T細胞のアネルギーおよび/または寛容を誘導すると予想される。進行中の定期的なペプチド投与は、グルテンに対する寛容を維持し、小腸における炎症を抑制し、かつ炎症誘発性グルテン特異的T細胞を全身的に阻害することが予測される。
したがって、治療成功の鍵となるマーカーは、計画的なグルテン摂取の後に小腸において炎症が存在しないことである。グルテン摂取の後に腸組織が正常であるかそれとも炎症性であるかを予測することができる可能性がある免疫の代用マーカーには、免疫活性化、炎症または寛容に関連する可溶性または細胞結合型タンパク質または低分子を測定するための、免疫細胞、生体液または組織試料の純粋な混合物または粗混合物を利用する広範囲のアッセイが含まれる。これらのアッセイは、齧歯動物、ヒトにおける免疫疾患、特にセリアック病に精通した免疫学者、免疫組織学者および医師に周知である。より具体的には、セリアック病およびグルテンにより誘導される免疫の活性を評価するマーカーは、小腸の組織検査、血清IgAおよびIgG特異的グリアジン(タンパク質またはペプチド)、ならびにtTGを含むさまざまな宿主タンパク質が含まれる。
セリアック病に対するペプチド免疫治療のモニタリングに、またはセリアック病の診断のために適合化しうる可能性のある、セリアック病における免疫の一般的および特異的なマーカーには、以下が含まれる:
(a)血液または組織から単離されたCD4+ T細胞に対するペプチドの直接的効果は、エクスビボ/インビトロで、ペプチドにより刺激されたサイトカイン放出、T細胞増殖、またはインビボで変化する場合があるCD4+ T細胞マーカーの決定によって、モニターすることができる。
(b)ぺプチドまたはグルテンに対して特異的な個々のCD4+ T細胞の頻度および表現型は、一般に細胞の直接的な計数によって、例えば、FACS分析によって、評価することができる。通常ではグルテン除去食に従っているセリアック病を有する患者におけるグルテンの経口摂取は、ペプチドおよびグルテンに対して特異的なT細胞を刺激することが一般に知られている。グルテン負荷試験などの臨床試験を、血液または他の組織において誘導されるT細胞を評価するために用いてもよい。続いて、単離されたT細胞の表現型を、新鮮なまま、またはインビトロでの短期増殖の後で、評価することができる。T細胞のアッセイは、MHC-ペプチド複合体、抗原により刺激された細胞内サイトカイン、または抗原により活性化されたT細胞上で誘導される他の細胞表面マーカーに依存しうる。CD4+ T細胞の機能的状態は、多様な細胞表面および細胞内マーカー、例えば、CD25およびCD69を含む活性化マーカー、または「寛容」および調節性T細胞の機能のマーカー、例えば、GITRおよびFOXP3の存在と相関する。IFNγ、IL-4、IL-5およびIL-13などのサイトカインの産生、およびIL-17の産生は、古典的なTh1、Th2またはTh17の炎症誘発性免疫応答からみて、炎症誘発性であると考えられる。対照的に、IL-10およびTGFβの分泌は、免疫寛容誘発性の免疫応答に関連する。炎症誘発性免疫応答のマーカーが低下すること、および/または免疫寛容誘発性の免疫応答のマーカーが強化されることが予測される。
(c)CD4+ T細胞に対するペプチドの効果はまた、細胞の混合物、例えば、全血、PBMC、組織から単離された単核細胞を用いて、またはペプチドとともにインキュベートされた組織を用いて、測定することができる。個々のまたは複数のタンパク質またはサイトカインおよびケモカインなどの関連する免疫もしくは疾患関連タンパク質をコードするRNAを、ペプチドとの短期のインキュベーションの後に評価してもよい。患者に対するグルテンもしくはそのペプチドの投与の前および/もしくは後でのPBMCを用いるIFNγELISpotなどのアッセイ、またはPBMCを用いるケモカインおよびサイトカインの多重アッセイは、患者からのペプチド特異的T細胞の生物学的効果を検出することができる。ペプチドの治療効果は、炎症誘発性免疫応答に関連するマーカーから、免疫寛容に関連するマーカー(例えばIL-10)へのシフト、およびIFNγなどの炎症誘発性マーカーの一般的な減少により示される。
(d)組織に対するペプチドの効果は、実際的でありうる。機能アッセイは、PPD(精製タンパク質誘導体)の皮内適用および24~72時間後の注射部位における発赤の直径の評価を伴う結核のためのMantoux試験におけるもののように、遅延型過敏を評価するためのペプチドの皮膚への直接適用の形態をとりうる。また、同じ様式で評価するために、ペプチドを他の粘膜および皮膚部位に適用してもよい。診療では、ペプチドおよび穀物のいずれに由来するタンパク質によって刺激された免疫応答も、セリアック病において重要である。例えば、選択されるペプチドを用いる免疫治療が、ペプチドに対して特異的なT細胞により刺激される免疫応答の抑制をもたらすのみならず、「寛容」が「感染性」であり、また他のグルテンから誘導されるペプチドおよびグルテン自体に対する炎症誘発性免疫の抑制をももたらすことが予測される。したがって、ペプチド治療の効果はまた、セリアック病において、上記のアッセイにおけるペプチドの代わりにさまざまな穀物(コムギ、ライムギ、オオムギ)由来のグルテンを用いて、モニターすることができる。実際、ネコ感受性喘息に対するペプチド治療は、治療用ペプチドの由来である全タンパク質抗原を利用するそのような皮膚試験などによってモニターされている(Oldfield et al., 2002)。
(e)最終的に、ペプチド免疫治療の臨床的効果は、グルテンに曝露された組織の組織学的試験により評価する。これは、典型的には小腸であるが、実験的設定においては口腔および直腸の粘膜もまた評価され、原理的には食道および結腸などの他の部位においても評価されうる。これらの部位からの組織は、直接的な可視化によって、典型的には内視鏡生検によって、採取することができる。内視鏡による直接的な可視化はまた、粘膜の外観によってセリアック病を診断するために用いられてきた。絨毛萎縮症は、標準的な内視鏡および拡大カプセル内視鏡により評価することができる。このように、ペプチドの寛容誘発効果は、胃腸管における顕微鏡的な組織損傷の検出によって簡便に評価することができる。
(f)ペプチドもしくは他のグルテンペプチドに特異的な免疫グロブリン、またはセリアック病に関連する自己抗原は、疾患の活性、および、ペプチド自体の治療効果を損う可能性があるオプソニン化活性に関して、グルテン免疫のマーカーになる可能性がある。
(g)ペプチドもしくはグルテンに特異的なIgE、または末梢血好塩基球によるヒスタミン放出などの、アナフィラキシーに関連するマーカーの存在はまた、ペプチド免疫治療の合併症および治療を調整または停止する必要性を予測するために用いることができる。
食品試験
本発明はまた、組成物または食品がセリアック病を引き起こしうるか否かを決定する方法であって、組成物または食品試料における本発明の作用物質、本発明のペプチドおよび/または本発明のポリヌクレオチドの存在を検出する段階を含む方法も提供する。典型的には、これは、本明細書において定義される1つまたは複数のペプチドに特異的な様式で結合する1つまたは複数の化合物を組成物と接触させ、ペプチド/化合物複合体の形成を検出して、ペプチドの存在を確認するために用いる、結合アッセイを用いることによって行うことができる。1つの例では、化合物は抗体である。任意の適した形式の結合アッセイを用いることができる。典型的には、アッセイでは、非競合的なサンドイッチ型ELISAにおいて、グルテンペプチドに対するモノクローナル抗体を利用する。食品試料は、まず抽出し、任意で希釈して、続いてアッセイにおいて試験する。
組成物または食品は、典型的には、グルテンを発現する植物からの材料を含む。そのような材料は、収穫された産物(例えば種)などの植物の部分であってよい。材料は、小麦粉またはグルテンを含む食品などの植物材料の加工製品であってもよい。適した結合アッセイにおける食品材料の加工および試験は慣行的である(例えば、Kricka, 1998を参照)。組成物または食品材料を、化合物と接触させる前に、tTGで処理してもよい。
1つの態様において、組成物または食品材料を、脱アミド化および/または非脱アミド化形態における、本明細書において定義されるペプチドに特異的である、少なくとも2、3、5、10種またはそれを上回る抗体と接触させる。好ましくは、抗体は、プロテアーゼ耐性である配列に対するものであり、コムギにおけるα、β、γおよびωグリアジンならびにLMWおよびHMWグルテニン、オオムギにおけるB、CおよびDホルデイン、ライムギにおけるβ、γおよびωセカリン、ならびに随意にカラスムギにおけるアベニンの検出を可能にする。
本明細書において定義されるペプチド/エピトープに対する抗体は、食品中のグルテンの検出および/または定量のためのアッセイにおける使用のためのキットの形態において提供してもよい。
プロテアーゼ同定
本発明はまた、本明細書において定義されるペプチドを切断することができるプロテアーゼを同定する方法であって、ペプチドをプロテアーゼと、ペプチドの特異的切断を生じさせてタンパク質分解生成物を生成させるための条件下で接触させる段階、およびタンパク質分解生成物を検出する段階を含む方法を提供する。1つの例では、タンパク質分解生成物は、例えば、SDS-PAGE、HPLC、ELIZAまたはウェスタンブロットを用いて検出する。さらなる例において、ペプチドを、蛍光ドナーと消光アクセプターとの間の分子内共鳴エネルギー転移を可能にするために、蛍光ドナーおよび消光アクセプターに融合させる。切断の際に、ドナーとアクセプターとは分離し、ドナーの蛍光放出の検出を可能にする。典型的には、ペプチドは、蛍光ドナーと消光アクセプターとを約100オングストローム未満の距離で分離する。蛍光ドナーはペプチドのC末端と結合することができ、消光アクセプターはペプチドのN末端と結合することができ、逆もまた然りである。
生物活性配列を有するアレイの使用方法
本明細書に記載のアレイの任意のものを、研究ツールとして、または研究用途に用いることができる。1つの局面において、アレイは、アレイは、ハイスループットスクリーニングアッセイのために用いうる。例えば、酵素基質(すなわち、本明細書に記載のペプチドアレイ上のペプチド)は、アレイを酵素に供して、アレイ上の酵素基質の有無を、例えばアレイのフィーチャーの中の少なくとも1つの変化を検出することによって同定することによって、試験することができる。
また、アレイを、基質特異性を確かめるためのリガンド結合のスクリーニングアッセイ、またはタンパク質を阻害もしくは活性化するペプチドを同定するためのスクリーニングアッセイに用いることもできる。これらの方法を行うために有用な標識手法、プロテアーゼアッセイ、ならびに結合アッセイは一般に当業者に周知である。
いくつかの態様において、アレイは、既知のタンパク質配列を一部重なり合うペプチドの配列として提示するために用いることができる。例えば、既知タンパク質のアミノ酸配列を任意の長さおよび任意の適した一部重なり合うフレームの一部重なり合う配列セグメントに分け、それぞれの配列セグメントに対応するペプチドを、本明細書において開示されたようにインサイチューで合成させる。このように合成された個々のペプチドセグメントを、既知タンパク質のアミノ末端から開始して並べることができる。
いくつかの態様において、既知タンパク質の抗原配列全体がエピトープスライディングによってカバーされている少なくとも1つの領域をアレイの抗原提示が含む方法において、アレイが用いられる。抗原の免疫活性領域は、アレイまたは複数の異なるアレイ上の1つまたは複数の臨床試料を接触させることによって決定され、既知のタンパク質抗原を提示するために必要とされるペプチド配列のセットは低減される。
いくつかの態様において、試料は、複数のランダムペプチドを有するアレイに適用される。所定の抗原配列と、例えば、90%以上の同一性を有する相同ドメインを決定するためにランダムペプチドをスクリーニングおよびBLAST検索することができる。続いて、いくつかの局面において、関心対象の疾患の潜在的なマーカーおよび/または原因を同定するために、抗原配列全体を合成して使用することができる。
いくつかの態様において、アレイは1つまたは複数の遺伝因子のハイスループットスクリーニングに用いられる。遺伝子に関連するタンパク質は潜在的な抗原となる可能性があり、これらのタンパク質に対する抗体を用いて、遺伝子と疾患との関係を推定することができる。
別の例では、アレイは1つまたは複数のバイオマーカーを同定するために用いることができる。バイオマーカーは疾患の診断、予後予測、治療、および管理に用いることができる。バイオマーカーは、疾患状態、疾患の段階、および疾患治療に対する反応に応じて、個体において発現されてもよく、存在しなくてもよく、異なるレベルでもよい。バイオマーカーは、例えば、DNA、RNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、糖、塩、脂肪、脂質、またはイオンであってよい。
また、アレイを、治療目的、例えば、1つまたは複数の生物活性物質の同定に用いることもできる。生物活性物質を同定するための方法は、複数の被験化合物をアレイに適用する段階、および生物活性物質として少なくとも1つの被験化合物を同定する段階を含んでもよい。被験化合物は、小分子、アプタマー、オリゴヌクレオチド、化学物質、天然抽出物、ペプチド、タンパク質、抗体断片、抗体様分子、または抗体でもよい。生物活性物質は、治療薬または治療標的の修飾物質でもよい。治療標的には、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、シグナル伝達分子、転写因子、タンパク質輸送体、タンパク質ソーター、細胞表面受容体、分泌因子、および細胞骨格タンパク質が含まれうる。
別の局面において、アレイは、治療用の薬物候補を同定するために用いることができる。例えば、特異的抗体に対する1つまたは複数のエピトープがアッセイ(例えば、ELISAなどの結合アッセイ)によって決定された場合に、それらのエピトープは、疾患における標的抗体に対する薬物(例えば、モノクローナル中和抗体)を開発するために用いることができる。
1つの局面において、医療診断に用いるためのアレイも提供される。アレイは、薬物またはワクチンの投与に対する反応を判定するために用いることができる。例えば、ワクチンに対する個体の反応は、誘導された免疫応答によって産生される抗体が認識するエピトープを提示するペプチドを有するアレイを用いて個体の抗体レベルを検出することによって判定することができる。別の診断用途は、バイオマーカーの存在について個体を試験することである。ここで、試料は対象から採取され、1つまたは複数のバイオマーカーの存在について試験される。
また、アレイを、対象が治療的処置に反応する可能性を示すバイオマーカーの存在または非存在に基づいて患者集団を層別化するために用いることもできる。アレイは、既知のバイオマーカーを同定して適切な治療群を決定するために用いることができる。例えば、ある病状を有する対象由来の試料をアレイに適用することができる。アレイに対する結合によって、その病状に関するバイオマーカーの存在が示されることがある。以前の研究から、バイオマーカーは治療後の正のアウトカムと関連するのに対して、バイオマーカーの欠如は治療後の負または中立のアウトカムに関連することが示されることもある。患者がバイオマーカーを有することから、医療専門家によってその患者が処置を受ける群に層別化されることもある。
いくつかの態様において、試料中の関心対象のタンパク質の有無を検出する方法は、本明細書において開示されるアレイを入手して、関心対象のタンパク質を含む可能性がある試料と接触させる段階;および、アレイの1つまたは複数のフィーチャーとの結合の有無を検出することによって関心対象のタンパク質が試料中に存在するかどうかを判定する段階を含みうる。
いくつかの態様において、ワクチン候補を同定する方法は、ワクチン候補が事前に投与された対象から得られた試料と接触させた、本明細書において開示されたアレイを得る段階であって、試料が複数の抗体を含む段階;およびアレイの1つまたは複数のフィーチャーに対する複数の抗体の結合特異性を決定する段階を含みうる。いくつかの態様において、フィーチャーは、既知配列を有する供給源タンパク質に由来する部分配列を含む、複数の別個の入れ子状の一部重なり合うペプチド鎖を含む。
1つの態様において、自己免疫障害を診断および治療する方法が提供される。1つの態様において、血清試料中の複数の抗体を検出するためのペプチドチップの使用が提供される。いくつかの態様において、この方法は、単一のアッセイで行われる。いくつかの態様において、この方法は、単一のペプチドチップ上で行われる。1つの態様において、この方法は、自己免疫障害に由来する複数のケモカインを検出する能力を提供する。1つの態様において、この方法は、自己免疫障害のサブタイプおよび重症度を同定する能力を提供する。
1つの態様において、ペプチドチップを用いる診断方法は、R2が0.95を上回る再現性を有する。いくつかの態様において、ペプチドチップを用いて自己免疫障害を診断する方法は、0.99を上回る特異性および/または0.99を上回る感度を有する。
1つの態様において、自己免疫障害はセリアック病である。別の態様において、自己免疫障害はエリテマトーデスである。別の態様において、自己免疫障害は関節リウマチである。
本明細書において開示されるペプチドアレイは、自己免疫疾患に関連するエピトープを同定するために用いることができる。1つの態様において、エピトープは、B細胞エピトープ、T細胞エピトープ、または炎症応答に関連するエピトープ(例えば、TNF)である。炎症応答に関連するエピトープは、サイトカインアッセイを用いて本発明によって同定することができる。1つの態様において、このサイトカインアッセイによって同定されたペプチド配列を、免疫抑制ワクチンに用いることができる。他の態様において、このペプチド配列は、炎症性障害、例えば自己免疫障害を有する疑いのある対象における炎症性分子の存在を同定するためのペプチドアレイの一部として用いることができる。1つの態様において、ペプチドアレイは、B細胞エピトープを同定するために用いうる。この態様において、自己免疫障害に関連する試料由来の抗体と結合するエピトープが同定される。続いて、これらのペプチドを、自己免疫障害の診断に有用な別のペプチドアレイに用いる。1つの態様において、自己免疫障害の診断は、自己免疫障害のサブタイプの同定を含む。いくつかの態様において、同定されたB細胞エピトープは、自己免疫障害の治療に対する患者の応答を測定するために用いられる。1つの態様において、T細胞エピトープは、MHC複合体アッセイ(例えば、ヒト白血球抗原アッセイ)を用いて、本発明によって同定されうる。自己免疫障害を有すると同定された対象においてMHC複合体と相互作用することが同定されたエピトープは、自己免疫障害の治療に用いうる。そのようなペプチドは、T細胞の調節のためのワクチンまたは他の薬物において有用でありうる。本発明のいくつかの態様による、エピトープ配列の同定およびそれらの使用を描写したフローチャートが、図3に示されている。
いくつかの態様において、本発明は、例えば情報価値のある部分配列を同定するための、データのバイオインフォマティクス分析、ならびにその後の、ある状態を診断するために有用な合成ペプチド配列の合成および試験を含む。これらのバイオインフォマティクス法は、一部、以下の段階の1つまたは複数を達成するためにコンピュータを用いて実施される:1)より長い配列から部分配列を生成する段階;2)タイル状に並べられた天然ペプチド配列のアレイに結合させた試料の陽性ヒットにおける部分配列の出現を集計してランク付けする段階;3)情報価値のある部分配列を含む合成配列を含むアレイに対するヒットを分析する段階。
以下の考察から明らかなように、別のことが特に示されていない限り、本明細書を通じて、「処理する」または「計算する」または「算出する」または「決定する」または「表示する」または「分析する」または「比較する」または「同定する」などの用語を用いる考察は、コンピュータシステムのレジスタまたはメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作および変換して、同様にコンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表される他のデータに、同様にコンピュータシステムのメモリもしくはレジスタまたは他のそのような情報保存、伝達もしくは表示デバイス内の物理量として表される他のデータにする、コンピュータシステムまたは同様の電子計算デバイスの動作および処理のことを指す。
本発明はまた、本明細書の作業を実施するためのシステム装置にも関する。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築することができ、またはそれはそのコンピュータに保存されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成される汎用コンピュータを含みうる。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読保存媒体、例えば、限定はされないが、フロッピーディスク、光学ディスク、CD-ROM、および光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、リードオンリーメモリー(ROM)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気もしくは光学カード、または電子的な指示の保存に適した任意のタイプの媒体などに保存することができ、これらはそれぞれコンピュータのシステムバスに接続されている。
さまざまな汎用システムを、本明細書における教示によるプログラムとともに用いることができ、またはそれは必要とされる方法の手順を実行するためのより専門的な装置を構成するのに便利であること判明すると考えられる。種々のこれらのシステムに必要とされる構造は、以下の説明から明らかになるであろう。加えて、本発明は、任意の特定のプログラミング言語を参照して説明されるものではない。本明細書に記載される本発明の教示を実行するために種々のプログラミング言語を用いうることが理解されるであろう。
組成物
配合物
本明細書には、配合物、例えば、光活性配合物(例えば、フォトレジスト配合物)、カップリング配合物、およびリンカー配合物が開示される。これらの配合物は、例えば、本明細書において開示される基板および/またはペプチドアレイを製造および/または使用する上で有用でありうる。一般に、本明細書において開示される各配合物の構成成分は、室温(およそ25℃)で水に溶解する。
光活性配合物
本明細書には、光活性配合物が開示されている。1つの局面において、光活性配合物は、化学増幅レジスト配合物を含みうる。化学増幅(CA)レジストでは、一次的な光化学イベントによって移動可能な触媒が生成され、これが次に、典型的には後の露光後ベーキング(PEB)の間に、5~25nmの半径内で二次的な触媒イベントにつながる物質のカスケードを誘導する。このため、そのような化学増幅は、最大で数百の総量子収率(物質反応の数を吸収されたフォトンの数で割ったもの)を実現する。CAレジストは、典型的に、少量(およそ1~5重量%)の放射線感受性触媒前駆体、例えば光酸発生剤(PAG);触媒の存在下での脱離、付加または再配置によって反応することができる複数の化学基;他の構成成分を滑らかで透明なフィルムに分散させることができるポリマーマトリックス;ならびに性能または加工性を改善する任意の添加物、例えば界面活性剤、光増感剤、およびエッチングレジストを含む。
1つの局面において、光活性カップリング配合物は、光活性化合物を含みうる。光活性化合物は、光塩基発生剤または光酸発生剤を含みうる。光活性化合物の電磁放射線への曝露は、化合物が生成される一次的な光化学イベントであり、それが次に、拡散律速半径内で二次的な物質変換反応を誘導する。光活性カップリング配合物は、放射線感受性触媒前駆体、例えば光酸発生剤(PAG)を含む光活性化合物;触媒の存在下での脱離、付加または再配置によって反応することができる複数の化学基;ならびに性能または加工性を改善する任意の添加物、例えば界面活性剤、光増感剤、およびエッチングレジストを含みうる。
いくつかの態様において、光活性カップリング配合物は、溶媒中に分散されたポリマーマトリックスの中に光塩基発生剤および光増感剤を含む。いくつかの態様において、フォトレジストの組成物中のポリマーは一般に不活性および非架橋性であるが、光活性化合物は、電磁放射線に曝露されると所望の反応を引き起こして、許容される収率で生成物を生じるのに十分な量の光塩基を容易に発生する。
いくつかの態様において、光活性配合物は化学増幅されず、すなわち、発生するすべての酸が反応中に消費される(例えば、すべてのtbocが脱保護され、酸が反応中に消費される)。tboc保護されたアミノ酸は、化学増幅が起こったかどうかを検証するために、フォトレジスト配合物とともに添加することができる。いくつかの態様において、光増感剤は、248nmを用いる場合、任意である。
いくつかの態様において、光活性配合物は、水中に分散されたポリマーマトリックス中に水溶性光酸発生剤および水溶性光増感剤を含む。いくつかの態様において、フォトレジストの組成物中のポリマーは一般に不活性および非架橋性であるが、光反応性構成成分は深紫外線照射ツールで露光された際に容易に十分量の光酸を生成し、許容される収量の生成物を生成する所望の反応を起こすであろう。
いくつかの態様において、光活性配合物は、さまざまな構成成分、例えば、水溶性光増感剤、水溶性光活性化合物、水溶性ポリマー、および溶媒を含みうる。光活性配合物の具体例は、表1に示されている。
光増感剤は一般に、光酸発生剤の感度を高め、配合物の吸収スペクトルを深UV(248nm)付近にするために配合物に添加される。いくつかの態様において、水溶性光増感剤はチオキサンテノンであってよい。いくつかの態様において、一般的なチオキサンテノン構造は、以下:
に示されるものである。
いくつかの態様において、上記のチオキサンテノン構造のA、R
1、R
2およびR
3基は:
でありうる。
いくつかの態様において、水溶性光増感剤は、配合物総濃度の約0.5~5重量%でありうる。いくつかの態様において、水溶性光増感剤は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回ってよい。
いくつかの態様において、水溶性光活性化合物は、光酸発生剤(PAG)または光塩基発生剤(PBG)であってよい。光酸発生剤(またはPAG)は、カチオン性光開始剤である。光開始剤は、特に、吸収した光エネルギー、UVまたは可視光を開始種、例えば遊離ラジカルまたはカチオンの形態の化学エネルギーに変換するために配合物に添加される化合物である。カチオン性光開始剤は、フォトリソグラフィーにおいて広く利用されている。非常に強力なプロトン酸またはルイス酸の潜在的な光化学的供給源として機能するいくつかのタイプのカチオン性光開始剤の能力は、一般に、光学画像化用途におけるそれらの利用の基盤となっている。いくつかの態様において、光酸発生剤は、水溶性ヨードニウム塩、水溶性ポロニウム塩または水溶性スルホニウム塩である。いくつかの態様において、光酸発生剤は、(4-メトキシフェニル)フェニルヨードニウムまたはトリフルオロメタンスルホネートである。いくつかの態様において、光酸発生剤は、以下に示される(2,4-ジヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフレートまたは(4メトキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフレート:
である。
いくつかの態様において、光酸発生剤は、トリフレート、ホスフェートおよび/もしくはアンチモネートのヨードニウム塩およびスルホニウム塩、1,3-ビス[(2-ニトロベンジル)オキシカルボニル-4-ピペリジル]プロパン、または1,3-ビス[1-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-4-ピペリジル]プロパンである。いくつかの態様において、光酸発生剤は、配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、光酸発生剤は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、水溶性非架橋不活性ポリマーである。いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンの一般的な構造は以下:
の通りであり、式中、nは1よりも大きい任意の正の整数である。
いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、ビニルピロリドンのポリマーである。いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、ポリビニルピロリドンである。ポリビニルピロリドンは、水および他の極性溶媒に溶解する。乾燥状態では、それは薄いフレーク状の粉末であり、一般に、大気水中でその重量の最大40%分を容易に吸収する。溶解状態では、それは優れた湿潤性を有し、容易にフィルムを形成する。
いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、配合物総濃度の配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
いくつかの態様において、溶媒は、水、乳酸エチル、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様において、乳酸エチルは、水中に50%超溶解して溶媒を形成することができる。いくつかの態様において、溶媒は、約10%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)および約90%の脱イオン水であり得る。いくつかの態様において、溶媒は、最大約20%のPGMEAを含み得る。
いくつかの態様において、溶媒は、全製剤濃度の約80~90重量%である。いくつかの態様では、溶媒は、全製剤濃度のおよそ、70重量%未満、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、88、89、90、95、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107、108、107重量%であるか、または99重量%を上回る。
光活性カップリング配合物は、カップリング分子を含む。カップリング分子はアミノ酸を含んでもよい。場合によっては、本明細書に記載のアレイ上にあるペプチドはすべて、天然アミノ酸で構成される。また別の場合には、本明細書に記載のアレイ上にあるペプチドが、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の組み合わせで構成されてもよい。また別の場合には、アレイ上にあるペプチドが非天然アミノ酸のみで構成されてもよい。非天然アミノ酸にはペプチド模倣体ならびにD-アミノ酸が含まれる。R基は天然アミノ酸に認められるものであってもよく、または天然アミノ酸のR基とサイズが似ている基であってもよい。さらに、非天然アミノ酸、例えば、β-アラニン、フェニルグリシン、ホモアルギニン、アミノ酪酸、アミノヘキサン酸、アミノイソ酪酸、ブチルグリシン、シトルリン、シクロヘキシルアラニン、ジアミノプロピオン酸、ヒドロキシプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、サルコシン、およびチエニルアラニンなども組み込むことができる。これらのおよび他の天然アミノ酸および非天然アミノ酸は、例えば、EMD Biosciences, Inc., San Diego, Calif.から入手可能である。いくつかの態様において、カップリング分子は天然または人工のアミノ酸またはポリペプチドを含む。カップリング分子の例には、Boc-グリシン-OHおよびBoc-ヒスチジン-OHが含まれる。いくつかの態様において、人工アミノ酸はD-アミノ酸である。いくつかの態様において、カップリング分子は配合物総濃度の1~2重量%である。いくつかの態様において、カップリング分子は配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、カップリング分子は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。いくつかの態様において、カップリング分子は、保護された基、例えば、t-BocまたはF-Moc化学を介して保護された基を含む。ほとんどの場合には、カップリング分子の濃度を高めることで最良の成績が得られる。
いくつかの態様において、配合物は、露光後ベーキングの際に発生する開始酸の化学増幅を補助するt-Boc基を含みうる。このため、配合物は、例えば露光後ベーキング中の化学増幅を強化するために、tboc保護されたアミノ酸を含みうる。いくつかの態様において、このt-Boc保護されたアミノ酸は、配合物の約0.5~1重量%を占めると考えられる。いくつかの態様において、保護されたアミノ酸は、総配合物濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、保護されたアミノ酸は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
いくつかの態様において、カップリング試薬はカルボジイミドまたはトリアゾールである。いくつかの態様において、カップリング試薬はN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)である。いくつかの態様において、カップリング試薬は配合物総濃度の2~4重量%である。いくつかの態様において、カップリング試薬は配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、カップリング試薬は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
上記の組み合わせのいずれにおいても、配合物は、光曝露およびベーキングの後であっても完全に水で剥がし落とすことができる。したがって、いくつかの態様において、露光後およびベーキング後に光活性カップリング配合物を洗い流すのには水のみを用いる。
カルボン酸活性化配合物
本明細書において、生体分子、例えば、アミノ酸、ペプチド、またはポリペプチドの遊離アミノ基とカルボン酸が反応するように、カルボン酸を活性化するための活性化配合物が開示される。活性化配合物は、カルボン酸基活性化化合物などの構成成分および溶媒を含んでもよい。いくつかの態様において、カルボン酸基活性化化合物は、カルボジイミドまたはカルボジイミド前駆体である。いくつかの態様において、カルボジイミドは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。いくつかの態様において、カルボン酸基活性化化合物はN-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]である。いくつかの態様において、カルボン酸基活性化化合物は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]、N-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]、ヒドロキシベンゾトリアゾール[HOBt]、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール[HOAt]、(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)[HATU]、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]より選択される。いくつかの態様において、溶媒は水である。いくつかの態様において、溶媒はN-メチルピロリドン[NMP]である。いくつかの態様において、カルボン酸基活性化化合物はカルボン酸をカルボニル基に変換する(すなわち、カルボン酸基活性化)。いくつかの態様において、活性化配合物に曝露された後に、カルボン酸基は5分間、10分間、15分間、20分間、30分間、45分間、または60分間活性化される。
いくつかの態様において、活性化配合物は、脱イオン水に溶解させた4重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドおよび2重量%のN-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]を含む。いくつかの態様において、活性化配合物は、NMPに溶解させた4重量%の1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]および2重量%のヒドロキシベンゾトリアゾール[HOBt]を含む。いくつかの態様において、活性化配合物は、NMPに溶解させた4重量%の(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)[HATU]および2重量%のN,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]を含む。いくつかの態様において、活性化配合物は、NMPに溶解させた4重量%のベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート[PyBOP]および2重量%のDIEAを含む。
いくつかの態様において、カルボン酸基活性化化合物はカルボジイミド前駆体である。1つの局面において、カルボジイミド前駆体は、放射線、例えば、紫外線への曝露によってカルボジイミドに変換される。1つの態様において、カルボジイミド前駆体はチオンである。カルボジイミド前駆体は光活性化カルボジイミドと呼ばれることもある。1つの態様において、光活性化カルボジイミドは、好ましい活性化波長の電磁放射線への光活性化カルボジイミド溶液の曝露を空間的に制御することによって、アレイ上にあるカルボン酸基の部位特異的活性化をもたらすために用いられる。いくつかの態様において、好ましい活性化波長は248nmである。
いくつかの態様において、カルボジイミド前駆体は、光活性化を介してカルボジイミドに変換されるチオンである。1つの局面において、チオンは、電磁放射線への露光後にヒドロキシメチルフェニルカルボジイミドに変換される。いくつかの態様において、チオンは、4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、4-シクロヘキシル-1H-テトラゾール-5(4H)-チオン、または1-フェニル-4-(ピペリジノメチル)テトラゾール-5(4H)-チオンなどである。
いくつかの態様において、活性化溶液は、カルボジイミド前駆体、溶媒、およびポリマーを含む。1つの態様において、カルボジイミド前駆体は、4,5-ジヒドロ-4-(ヒドロキシメチル)-1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオン、1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-4-エチル-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオン、または1,4-Bis(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル)-1,4-ジヒドロ-5H-テトラゾール-5-チオンである。いくつかの態様において、カルボジイミド前駆体は2.5重量%の濃度で活性化溶液中に存在する。いくつかの態様において、カルボジイミド前駆体は、活性化溶液中に、配合物総濃度の0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、または5.0重量%の濃度で存在する。
いくつかの態様において、溶媒は水である。いくつかの態様において、溶媒は配合物総濃度の約80~90重量%である。いくつかの態様において、溶媒は、配合物総濃度のおよそ、70重量%未満、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%であるか、または99重量%を上回る。
いくつかの態様において、ポリマーはポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。いくつかの態様において、ポリマーは配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、ポリマーは、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
いくつかの態様において、カップリング試薬はカルボジイミドである。いくつかの態様において、カップリング試薬はトリアゾールである。いくつかの態様において、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。いくつかの態様において、カップリング試薬は配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、カップリング試薬は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
リンカー配合物
リンカー配合物も本明細書において開示される。リンカー配合物は、溶媒、水溶性ポリマー、水溶性リンカー分子、および水溶性カップリング試薬などの成分を含みうる。いくつかの態様において、ポリマーは1重量%のポリビニルアルコールおよび2.5重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は1.25重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は1重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は水を含む。いくつかの態様において、ポリマーは0.5~5重量%のポリビニルアルコールおよび0.5~5重量%のポリビニルピロリドンであり、リンカー分子は0.5~5重量%のポリエチレンオキシドであり、カップリング試薬は0.5~5重量%の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドであり、溶媒は水を含む。
いくつかの態様において、溶媒は水、有機溶媒、またはその組み合わせである。いくつかの態様において、有機溶媒は、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、またはその組み合わせである。いくつかの態様において、溶媒は配合物総濃度の約80~90重量%である。いくつかの態様において、溶媒は、配合物総濃度のおよそ、70重量%未満、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%であるか、または99重量%を上回る。
いくつかの態様において、ポリマーはポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの一般的な構造は以下の通り:
であり、式中、nは、1よりも大きい任意の正の整数である。
いくつかの態様において、水溶性ポリマーは配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
いくつかの態様において、カップリング試薬は水溶性カルボジイミドである。いくつかの態様において、カップリング試薬は水溶性トリアゾールである。いくつかの態様において、カップリング試薬は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドである。いくつかの態様において、カップリング試薬は、水溶性ポリマーは配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、水溶性ポリマーは、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
リンカー分子は、本明細書において開示された表面と、カップリング分子を介して合成されているペプチドとの間に挿入される分子であってもよい。リンカー分子は、必ずしも、結果として生じたペプチドに分子認識機能などの機能をもたらすとは限らないが、表面にあるペプチドの機能領域の露出を高めるために、表面とペプチドとの間の距離を延長することができる。いくつかの態様において、リンカーは、露出させるために約4~約40原子の長さでもよい。リンカー分子は、例えば、アリールアセチレン、2~10個のモノマー単位を含有するエチレングリコールオリゴマー[PEG]、ジアミン、二酸、アミノ酸、およびその組み合わせでもよい。ジアミンの例には、エチレンジアミンおよびジアミノプロパンが含まれる。または、リンカーは、合成されている分子(例えば、新生ポリマーまたはさまざまなカップリング分子)と同じ分子タイプ、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸誘導体のポリマー、例えば、アミノヘキサン酸でもよい。いくつかの態様において、リンカー分子は、分子の第1の末端にカルボキシル基を有し、分子の第2の末端に保護基を有する分子である。いくつかの態様において、保護基はt-Boc保護基またはF-Moc保護基である。いくつかの態様において、リンカー分子は、アリールアセチレン、ポリエチレングリコール、新生ポリペプチド、ジアミン、二酸、ペプチド、またはその組み合わせであるか、これを含む。いくつかの態様において、リンカー分子は配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、リンカー分子は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
リンカー分子の非結合部分、またはリンカー分子の遊離末端は、除去可能な保護基、例えば上記のようなt-BocまたはF-Mocによって、ブロックされているか、保護されているか、または他の方法で反応に利用できないようにされている反応性官能基を有してもよい。保護基は、モノマー、ポリマー、またはリンカー分子にある反応性官能基を保護するために、モノマー、ポリマー、またはリンカー分子に結合されてもよい。用いうる保護基には、酸に不安定な保護基および塩基に不安定なすべての保護基が含まれる。例えば、ペプチドアミン基は、両方とも酸に不安定であるt-ブトキシカルボニル[t-BOCもしくはBOC]またはベンジルオキシカルボニル[CBZ]によって保護されてもよく、塩基に不安定である9-フルオレニルメトキシカルボニル[FMOC]によって保護されてもよい。
用いうるさらなる保護基には、アミノ部分を保護するための、酸に不安定な基:tert-アミルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、1-メチルシクロブチルオキシカルボニル、2-(p-ビフェニル)プロピル(2)オキシカルボニル、2-(p-フェニルアゾフェニルイル)プロピル(2)オキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメチルオキシベンジルオキシ-カルボニル、2-フェニルプロピル(2)オキシカルボニル、4-メチルオキシベンジルオキシカルボニル、フルフリルオキシカルボニル、トリフェニルメチル(トリチル)、p-トルエンスルフェニルアミノカルボニル、ジメチルホスフィノチオイル、ジフェニルホスフィノチオイル、2-ベンゾイル-1-メチルビニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、および1-ナフチリデン;アミノ部分を保護するための、塩基に不安定な基:9フルオレニルメチルオキシカルボニル、メチルスルホニルエチルオキシカルボニル、および5-ベンズイソアゾイルメチレンオキシカルボニル;還元された時に不安定になる、アミノ部分を保護するための基:ジチアスクシノイル、p-トルエンスルホニル、およびピペリジノ-オキシカルボニル;酸化された時に不安定になる、アミノ部分を保護するための基:(エチルチオ)カルボニル;多種多様な試薬に対して不安定なアミノ部分を保護するための基については、適切な薬剤を基の後にある括弧内に示す:フタロイル(ヒドラジン)、トリフルオロアセチル(ピペリジン)およびクロロアセチル(2-アミノチオフェノール);カルボン酸を保護するための、酸に不安定な基:tert-ブチルエステル;ヒドロキシル基を保護するための、酸に不安定な基:ジメチルトリチルが含まれる。(また、Greene, T. W., Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscience, NY, (1981)も参照されたい)。
カップリング配合物
また、カップリング配合物も開示される。いくつかの態様において、カップリング配合物は、溶媒、水溶性ポリマー、水溶性カップリング分子、水溶性中和試薬、および水溶性カップリング試薬などの構成成分を含みうる。
いくつかの態様において、溶媒は、水、有機溶媒、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様において、有機溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせである。
いくつかの態様において、ポリマーは、水溶性ビニルピロリドンまたは水溶性ビニルアルコールである。いくつかの態様において、ポリマーは、配合物総濃度の2.5~5重量%である。いくつかの態様において、ポリマーは、配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、ポリマーは、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
いくつかの態様において、中和試薬は、ヒューニッヒ塩基を含みうる。ヒューニッヒ塩基の構造は以下:
である。
いくつかの態様において、中和試薬は、配合物総濃度の1~2重量%である。いくつかの態様において、中和試薬は、配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、中和試薬は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
カップリング分子は、アミノ酸を含みうる。いくつかの態様において、本明細書に記載のアレイ上のすべてのペプチドは、天然アミノ酸で構成される。また別の場合では、本明細書に記載のアレイ上のペプチドは、天然アミノ酸および非天然アミノ酸の組み合わせで構成されてもよい。また別の場合には、アレイ上のペプチドが非天然アミノ酸のみで構成されてもよい。非天然アミノ酸にはペプチド模倣体ならびにD-アミノ酸が含まれる。R基は天然アミノ酸に認められるものであってもよく、または天然アミノ酸のR基とサイズが似ている基であってもよい。さらに、非天然アミノ酸、例えば、β-アラニン、フェニルグリシン、ホモアルギニン、アミノ酪酸、アミノヘキサン酸、アミノイソ酪酸、ブチルグリシン、シトルリン、シクロヘキシルアラニン、ジアミノプロピオン酸、ヒドロキシプロリン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、ペニシラミン、ピログルタミン酸、サルコシン、およびチエニルアラニンなども組み込むことができる。これらのおよび他の天然アミノ酸および非天然アミノ酸は、例えば、EMD Biosciences, Inc., San Diego, Calif.から入手可能である。いくつかの態様において、カップリング分子は天然または人工のアミノ酸またはポリペプチドを含む。カップリング分子の例には、Boc-グリシン-OHおよびBoc-ヒスチジン-OHが含まれる。いくつかの態様において、人工アミノ酸はD-アミノ酸である。いくつかの態様において、カップリング分子は配合物総濃度の1~2重量%である。いくつかの態様において、カップリング分子は配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、カップリング分子は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。いくつかの態様において、カップリング分子は、保護された基、例えば、t-BocまたはF-Moc化学を介して保護された基を含む。ほとんどの場合には、カップリング分子の濃度を高めることで最良の成績が得られる。
いくつかの態様において、カップリング試薬は、水溶性カルボジイミドまたは水溶性トリアゾールである。いくつかの態様において、カップリング試薬は、配合物総濃度の2~4重量%である。いくつかの態様において、カップリング試薬は、配合物総濃度の約0.5~5重量%である。いくつかの態様において、カップリング試薬は、配合物総濃度のおよそ、0.1重量%未満、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.0重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%であるか、または5.0重量%を上回る。
上記の組み合わせのいずれにおいても、配合物は完全に水で剥がし落とすことができる。
基板
また、基板も本明細書において開示される。いくつかの態様において、基板表面は平面(すなわち、二次元)である。いくつかの態様において、基板表面は遊離カルボン酸基によって官能化される。いくつかの態様において、基板表面は遊離アミン基によって官能化される。遊離アミン基によって官能化された表面は、少なくとも2つの遊離カルボン酸基を含む分子のカルボン酸基を活性化して反応させ(例えば、カルボジイミドを用いて、カルボン酸基をカルボニル基に変換する)、かつその分子と基板の表面に結合した遊離アミン基とを反応させることによって、遊離カルボン酸基に変換されうる。いくつかの態様において、複数のカルボン酸基を含む分子は、無水コハク酸、ポリエチレングリコール二酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸、またはカルボキシメチルデキストランである。
いくつかの態様において、基板は、第1のモノマー構成要素との結合のための官能基を含む多孔質層(すなわち、三次元の層)を含みうる。いくつかの態様において、基板表面は、ペプチドの取り付けまたは合成のためのピラーを含む。いくつかの態様においては、多孔質層がピラーの上に追加される。
ピラー基板
いくつかの態様において、基板は、上面および下面を有する平面層;ならびに位置的に定められた場所で層に機能的にカップリングされた複数のピラーを含むことができ、ここで各ピラーは層から伸びる平面を有し、各ピラーの表面と層の上面との間の距離は約1,000~5,000オングストロームであり、かつ複数のピラーはおよそ10,000/cm2を上回る密度で存在する。基板の一例は図3Bおよび3Cに示されている。
いくつかの態様において、各ピラーの表面と層の上面との距離は、およそ、1,000オングストローム未満、2,000オングストローム未満、3,000オングストローム未満、3,500オングストローム未満、4,500オングストローム未満、5,000オングストローム未満、または5,000オングストローム超(またはその間の任意の整数値)の間であってよい。
いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と平行である。いくつかの態様において、各ピラーの表面は層の上面と実質的に平行である。
いくつかの態様において、複数のピラーは、500/cm2超、1,000/cm2超、2,000/cm2超、3,000/cm2超、4,000/cm2超、5,000/cm2超、6,000/cm2超、7,000/cm2超、8,000/cm2超、9,000/cm2超、10,000/cm2超、11,000/cm2超、または12,000/cm2超(またはその間の任意の整数値)の密度で存在する。いくつかの態様において、複数のピラーは、10,000/cm2を上回る密度で存在する。いくつかの態様において、複数のピラーは、約10,000/cm2~約250万/cm2(またはその間の任意の整数値)の密度で存在する。いくつかの態様において、複数のピラーは、250万/cm2を上回る密度で存在する。
いくつかの態様において、各ピラー表面の表面積は少なくとも1μm2である。いくつかの態様において、各ピラー表面の表面積は、少なくとも0.1μm2、0.5μm2、12μm2、3μm2、4μm2、5μm2、6μm2、7μm2、8μm2、9μm2、10μm2、15μm2、20μm2、25μm2、30μm2、35μm2、40μm2、45μm2、または50μm2(またはその間の任意の整数値)であってよい。いくつかの態様において、各ピラー表面の表面積は、10,000μm2未満の総面積を有する。いくつかの態様において、各ピラー表面の表面積は、500μm2未満、1,000μm2未満、2,000μm2未満、3,000μm2未満、4,000μm2未満、5,000μm2未満、6,000μm2未満、7,000μm2未満、8,000μm2未満、9,000μm2未満、10,000μm2未満、11,000μm2未満、または12,000μm2未満(またはその間の任意の整数値)の総面積を有する。
いくつかの態様において、各ピラーの表面と層の下面との距離は2,000~7,000オングストロームである。いくつかの態様において、各ピラーの表面と層の下面との距離は、約500オングストローム未満、1,000オングストローム未満、2,000オングストローム未満、3,000オングストローム未満、4,000オングストローム未満、5,000オングストローム未満、6,000オングストローム未満、7,000オングストローム未満、8,000オングストローム未満、9,000オングストローム未満、10,000オングストローム未満、11,000オングストローム未満、12,000オングストローム未満、または12,000オングストローム超(またはその間の任意の整数値)である。いくつかの態様において、各ピラーの表面と層の下面との距離は、7,000、3,000、4,000、5,000、6,000または7,000オングストローム(またはその間の任意の整数値)である。
いくつかの態様において、層は1,000~2,000オングストロームの厚さである。いくつかの態様において、層は、およそ、500オングストローム未満、1,000オングストローム未満、2,000オングストローム未満、3,000オングストローム未満、4,000オングストローム未満、5,000オングストローム未満、6,000オングストローム未満、7,000オングストローム未満、8,000オングストローム未満、9,000オングストローム未満、10,000オングストローム未満、11,000オングストローム未満、12,000オングストローム未満の厚さ、または12,000オングストロームを上回る厚さ(またはその間の任意の整数値)である。
いくつかの態様において、各ピラーの中心は、他のいかなるピラーの中心からも少なくとも2,000オングストロームである。いくつかの態様において、各ピラーの中心は、他のいかなるピラーの中心からも少なくとも約500オングストローム、1,000オングストローム、2,000オングストローム、3,000オングストローム、または4,000オングストローム(またはその間の任意の整数値)である。いくつかの態様において、各ピラーの中心は、他のいかなるピラーの中心からも少なくとも約2μm~200μmである。
いくつかの態様において、平面層は金属を含む。いくつかの態様において、金属はクロムである。いくつかの態様において、金属はクロム、チタン、アルミニウム、タングステン、金、銀、スズ、鉛、タリウム、インジウム、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様において、層は少なくとも98.5~99%が金属である。いくつかの態様において、層は100%が金属である。いくつかの態様において、層は少なくともおよそ、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、98.5%超または99%超が金属である。いくつかの態様において、層は金属の均質層である。
いくつかの態様において、平面層はシリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのまたは各ピラーはシリコンシリコンを含む。いくつかの態様において、少なくともの1つのまたは各ピラーは、二酸化ケイ素または窒化ケイ素を含む。いくつかの態様において、少なくとも1つのまたは各ピラーは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%または99%が二酸化ケイ素である。
いくつかの態様において、基板は、各ピラーの表面に取り付けられた遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含みうる。いくつかの態様において、基板は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられた遊離アミノ末端を有するリンカー分子を含みうる。いくつかの態様において、基板は、各ピラーの表面に取り付けられた保護基を有するリンカー分子を含みうる。いくつかの態様において、基板は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられた保護基を有するリンカー分子を含みうる。いくつかの態様において、基板は、少なくとも1つのピラーの表面に取り付けられたカップリング分子を含みうる。いくつかの態様において、基板は、各ピラーの表面に取り付けられたカップリング分子を含みうる。いくつかの態様において、基板は、前記ピラーの少なくとも1つの表面と接触している水溶性ポリマーを含みうる。いくつかの態様において、基板は、各ピラーの表面と接触している水溶性ポリマーを含みうる。いくつかの態様において、基板は、前記ピラーの少なくとも1つの表面と接触しているゼラチン形態の水溶性ポリマーを含みうる。いくつかの態様において、基板は、前記ピラーの少なくとも1つの表面と接触している固体形態の水溶性ポリマーを含みうる。
いくつかの態様において、前記のピラー基板の少なくとも1つの表面は誘導体化されている。いくつかの態様において、基板は、前記ピラーの少なくとも1つの表面と取り付けられたポリマー鎖を含みうる。いくつかの態様において、ポリマー鎖はペプチド鎖を含む。いくつかの態様において、前記少なくとも1つのピラーの表面との取り付けは、共有結合を介する。
いくつかの態様において、各ピラーの表面は正方形または長方形の形状である。いくつかの態様において、基板は二酸化シリコン層にカップリングさせることができる。二酸化シリコン層は約0.5μm~3μmの厚さであってよい。いくつかの態様において、基板は、ウェーハ、例えば、シリコンウェーハにカップリングさせることができる。二酸化シリコン層は約700μm~750μmの厚さであってよい。
いくつかの態様において、基板は、第1のモノマー構成要素と結合するための官能基を含む多孔質層を含みうる。
多孔質層基板
用いうる多孔質層は、第1のペプチド構成要素の取り付けのための官能基(構成要素であるポリマーにとってネイティブであるか、または多孔質層に導入された)を有しうる多孔質構造を持つ透過性ポリマー材料である。官能基は、遊離カルボン酸基または遊離アミノ基を含みうる。例えば、多孔質層は、ポリマー構成要素を取り付けるための官能基がその表面に取り付けられている多孔質シリコンで構成されうる。別の例において、多孔質層は、架橋されたポリマー材料を含みうる。いくつかの態様において、多孔質層には、ポリスチレン、サッカロース、デキストラン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロールピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、アガロース、セファロース、他の従来的なクロマトグラフィータイプの材料、ならびにそれらの誘導体および混合物を使用することができる。いくつかの態様において、多孔質層を構築する材料は、ポリ(ビニルアルコール)、デキストラン、アルギン酸ナトリウム、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)-ナトリウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、多糖類、およびセルロース誘導体から選択される。好ましくは、多孔質層は、10~80%の多孔質性を有する。1つの態様において、多孔質層の厚さは、0.01μm~約1,000μmの範囲である。多孔質層に含まれる孔径は、2nm~約100μmの範囲でありうる。
本発明の別の局面によれば、10~80%の多孔質性を有する多孔質ポリマー材料を含む基板であって、反応性基が孔表面に化学的に結合されており、かつ、例えば化学的な結合によって、反応性種、例えば脱保護されたモノマー構成要素またはポリマー鎖と相互作用させて用いるために適合化されている基板が提供される。1つの態様において、反応性基はカルボン酸基である。カルボン酸基は、例えば、ペプチドまたはポリペプチドの保護されていないアミン基と自由に結合することができる。別の態様において、反応性基は、例えば、ペプチドまたはポリペプチドの保護されていないカルボン酸基と自由に結合することができるアミノ基である。
1つの態様において、多孔質層は、支持層と接触している。支持層は、例えば、金属、プラスチック、シリコン、酸化ケイ素、または窒化ケイ素を含む。別の態様において、多孔質層は、パターン化表面、例えば上記のピラー基板の上面などと接触していてもよい。
アレイ
本明細書にはアレイも開示される。いくつかの態様において、アレイは二次元アレイであってよい。いくつかの態様において、二次元アレイは、位置的に定められた場所で表面に取り付けられたフィーチャーを含むことができ、前記フィーチャーはそれぞれ、決定可能な配列および意図された長さのペプチド鎖の集成物を含み、個々のフィーチャーにおいて、意図された長さを有する前記集成物中のペプチド鎖の割合は、約98%を上回る、各カップリング段階での平均カップリング効率によって特徴付けられる。
いくつかの態様において、アレイの表面は遊離カルボン酸によって官能化されている。いくつかの態様において、遊離カルボン酸は、例えば、アレイ表面上でのポリペプチド合成の間に、アミン基と結合するように活性化される。いくつかの態様において、アレイ上にある遊離カルボン酸基の表面密度は、10/cm2、100/cm2、1,000/cm2、10,000/cm2、100,000/cm2、1,000,000/cm2、または10,000,000/cm2を上回る。
いくつかの態様において、アレイは、三次元アレイ、例えば、多孔質アレイの表面に取り付けられたフィーチャーを備える多孔質アレイでもよい。いくつかの態様において、多孔質アレイの表面は、外面、および多孔質アレイ内の孔容積を規定する表面を含む。いくつかの態様において、三次元アレイは、位置的に定められた場所で表面に取り付けられたフィーチャーを含んでよく、前記フィーチャーはそれぞれ、決定可能な配列および意図された長さのペプチド鎖の集成物を含む。1つの態様において、個々のフィーチャーにおいて、意図された長さを有する前記集成物中のペプチド鎖の割合は、約98%を上回る、各カップリング段階での平均カップリング効率によって特徴付けられる。
いくつかの態様において、各カップリング段階での平均カップリング効率は少なくとも98.5%である。いくつかの態様において、各カップリング段階での平均カップリング効率は少なくとも99%である。いくつかの態様において、各カップリング段階での平均カップリング効率は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%である。いくつかの態様において、カップリング効率は各カップリングサイクルで実質的に一定であり、98%を上回る。いくつかの態様において、平均カップリング効率は、4-merまたは5-merまたは6-merまたは7-merまたはそれよりも長いポリペプチドを合成するために用いられる各カップリング段階で98%を上回る。いくつかの態様において、カップリング効率は実質的に一定であり、かつ4-merまたは5-merまたは6-merまたは7-merまたはそれよりも長いポリペプチドを合成するために用いられる各カップリング段階で98%を上回る。
いくつかの態様において、表面は、本明細書において開示される基板を含む。いくつかの態様において、表面は、剛性または半剛性を有する材料または材料群である。いくつかの態様において、表面は実質的に平面状でありうるが、いくつかの態様においては、異なる分子またはフィーチャーのための合成領域を、例えばウェル、隆起した領域、ピン、ピラー、エッチングされた溝などによって、実質的に分離することが望ましい場合がある。ある態様において、表面は多孔質であってよい。表面材料には、例えば、シリコン、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)[PMMA]およびポリジメチルシロキサン[PDMS]、ガラス、SiO2(例えば、半導体産業で用いられるような熱酸化シリコンウェーハ)、石英、窒化ケイ素、官能化ガラス、金、白金およびアルミニウムが含まれうる。官能化された表面には、例えば、アミノ官能化ガラス、カルボキシ官能化ガラスおよびヒドロキシ官能化ガラスが含まれる。加えて、表面は、任意で、分子の取り付けもしくは官能化、反応性の増大もしくは低下、結合の検出または他の特別な用途のための第2の表面を用意するために、1つまたは複数の層でコーティングされてもよい。表面材料およびまたは層は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。例えば、表面は多孔質シリコンで構成されてよい。加えて、表面は、半導体装置製造業で用いられるような、シリコンウェーハまたはチップであってもよい。ウェーハまたはチップの場合には、ウェーハ上で複数のアレイを合成することができる。
いくつかの態様において、各ペプチド鎖は5~60アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は少なくとも5アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は、5アミノ酸未満、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60アミノ酸、または60アミノ酸を上回る長さである。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は、1つまたは複数のLアミノ酸を含む。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は、1つまたは複数のDアミノ酸を含む。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は、1つまたは複数の天然アミノ酸を含む。いくつかの態様において、各ペプチド鎖は、1つまたは複数の合成アミノ酸を含む。
いくつかの態様において、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも1,000個の異なるペプチド鎖を含みうる。いくつかの態様において、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも10,000個の異なるペプチド鎖を含みうる。いくつかの態様において、アレイは、表面に取り付けられた少なくとも100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000個、または10,000個を上回る(またはその間の任意の整数値の)異なるペプチド鎖を含みうる。
いくつかの態様において、アレイは、表面1cm2あたりに取り付けられた少なくとも1、000ペプチド鎖のペプチド密度を少なくとも含むことができる。いくつかの態様において、アレイは、少なくとも10,000ペプチド鎖/cm2を含み得る。いくつかの態様において、アレイは、少なくとも100、500、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、1000または10、000を超えるペプチド鎖/cm2(またはその間の任意の整数)を含み得る。
いくつかの態様において、位置的に定められた場所のそれぞれは、位置的に定められた他の場所のそれぞれから物理的に離れている、異なる既知の場所である。いくつかの態様において、位置的に定められた場所のそれぞれは、位置的に識別可能な場所である。いくつかの態様において、各々の決定可能な配列は、既知の配列である。いくつかの態様において、各々の決定可能な配列は、特有の配列である。
いくつかの態様において、フィーチャーは、表面に共有結合性に取り付けられている。いくつかの態様において、ペプチド鎖は、リンカー分子またはカップリング分子を介して表面に取り付けられている。
いくつかの態様において、フィーチャーは、既知の配列を有するソースタンパク質由来の部分配列を含む、複数の別個の入れ子状の一部重なり合うペプチド鎖を含む。いくつかの態様において、複数のうちの各ペプチド鎖は、実質的に同じ長さである。いくつかの態様において、複数のうちの各ペプチド鎖は、同じ長さである。いくつかの態様において、複数のうちの各ペプチド鎖は、少なくとも5アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、複数のうちの各ペプチド鎖は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、複数のうちの各ペプチド鎖は、5アミノ酸未満、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60アミノ酸、または60アミノ酸を上回る長さである。いくつかの態様において、複数のうちの少なくとも1つのペプチド鎖は、少なくとも5アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、複数のうちの少なくとも1つのペプチド鎖は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60アミノ酸の長さである。いくつかの態様において、複数のうちの少なくとも1つのペプチド鎖は、5アミノ酸未満、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60アミノ酸、または60アミノ酸を上回る長さである。いくつかの態様において、フィーチャーの中の各ポリペプチドは、実質的に同じ長さである。いくつかの態様において、フィーチャーの中の各ポリペプチドは、同じ長さである。いくつかの態様において、フィーチャーは、ランダムな、決定可能なアミノ酸配列をそれぞれが有する複数のペプチド鎖を含む。
アレイを製造する方法
本明細書において、アレイを製造するための方法も開示される。いくつかの態様において、本明細書において開示されるアレイは、表面上、例えば本明細書において開示される基板上でインサイチュー合成することができる。ある場合には、フォトリソグラフィーを用いてアレイを作製する。例えば、マスクを用いて、保護基を有するリンカー分子が用意された表面上の特定場所への照射または露光を制御することができる。露光された場所では、保護基が除去され、リンカー上に1つまたは複数の反応性部分が新たに露出する。続いて表面を、カップリング分子を含む溶液と接触させる。カップリング分子は、リンカー上の新たに露出した反応性部分と反応する少なくとも1つの部位および1つもしくは複数の保護基によって保護されている少なくとも1つの第2の反応性部位を有しうる。続いて、所望のカップリング分子が、保護されていないリンカー分子とカップリングされる。このプロセスを、表面上の特定のまたは位置的に定められた場所に多数のフィーチャーを合成するために繰り返すことができる(例えば、Pirrungらに対する米国特許第5,143,854号、米国特許出願公開第2007/0154946号(2005年12月29日出願)、第2007/0122841号(2005年11月30日出願)、第2007/0122842号(2006年3月30日出願)、第2008/0108149号(2006年10月23日出願)および第2010/0093554号(2008年6月2日出願)を参照されたい。これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる)。
いくつかの態様において、フィーチャーの二次元アレイを作製する方法は、以下の段階を含みうる:表面を得る段階;ならびに表面にフィーチャーを取り付ける段階であって、フィーチャーがそれぞれ、決定可能な配列および意図された長さのペプチド鎖の集成物を含み、個々のフィーチャーにおいて、意図された長さを有する集団内のペプチド鎖の割合が、各カップリング段階で少なくとも約98%の平均カップリング効率によって特徴付けられる段階。いくつかの態様において、フィーチャーは、溶媒、水溶性ポリマー、水溶性カップリング分子、水溶性中和試薬、および水溶性カップリング試薬を含むカップリング配合物を用いて表面に取り付けられる。いくつかの態様において、フィーチャーは、本明細書において開示されるカップリング配合物を用いて表面に取り付けられる。いくつかの態様において、カップリング配合物は、水を用いて剥ぎ落とされる。
いくつかの態様において、フィーチャーの二次元アレイを製造する方法は、以下の段階を含みうる:金属を含み、上面および下面を有する平面層と、位置的に定められた場所で層に機能的にカップリングされた複数のピラーとを含む基板を得る段階であって、各ピラーが層から伸びる平面を有し、各ピラーの表面と層の上面との間の距離が約1,000~5,000オングストロームの間であり、かつ複数のピラーが約10,000/cm2を上回る密度で存在する段階;ならびに一連のカップリング反応を通じて複数のピラーにフィーチャーをカップリングさせる段階であって、フィーチャーがそれぞれ、決定可能な配列および意図された長さのペプチド鎖の集成物を含み、個々のフィーチャーにおいて意図された長さを有する集成物内のペプチド鎖の割合が、各カップリング段階で少なくとも約98%または約98.5%の平均カップリング効率によって特徴付けられる段階。いくつかの態様において、カップリング効率は、各カップリングサイクルで実質的に一定であり、98%を上回るかまたは98.5%を上回る。いくつかの態様において、平均カップリング効率は、4-merまたは5-merまたは6-merまたは7-merまたはそれよりも長いポリペプチドを合成するために用いられる各カップリング段階で98%を上回るかまたは98.5%を上回る。いくつかの態様において、カップリング効率は、実質的に一定であり、かつ4-merまたは5-merまたは6-merまたは7-merまたはそれよりも長いポリペプチドを合成するために用いられる各カップリング段階で98%を上回るかまたは98.5%を上回る。カップリング段階は、合成のために用いられる。いくつかの態様において、フィーチャーは、溶媒、水溶性ポリマー、水溶性カップリング分子、水溶性中和試薬、および水溶性カップリング試薬を含むカップリング配合物を用いてピラーにカップリングされる。いくつかの態様において、フィーチャーは、本明細書において開示されるカップリング配合物を用いてカップリングされる。いくつかの態様において、カップリング配合物は、水を用いて剥ぎ落とされる。いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と平行である。いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と実質的に平行である。
いくつかの態様において、フィーチャーの取り付けのための基板を調製する方法は、金属を含み、上面および下面を有する平面層と、位置的に定められた場所で層に機能的にカップリングされた複数のピラーとを含む基板を得る段階であって、各ピラーが層から伸びる平面を有し、各ピラーの表面と層の上面との間の距離が約1,000~5,000オングストロームの間であり、かつ複数のピラーが約10,000/cm2を上回る密度で存在する段階;ならびに1つまたは複数のリンカー分子を複数のピラーに取り付ける段階、を含みうる。いくつかの態様において、リンカー分子は、溶媒、水溶性ポリマー、水溶性リンカー分子、および水溶性カップリング試薬を含むリンカー配合物を用いて取り付けられる。いくつかの態様において、リンカー分子は、本明細書において開示されるリンカー配合物を用いて取り付けられる。いくつかの態様において、リンカー分子は、保護基を含む。いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と平行である。いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と実質的に平行である。
いくつかの態様において、フィーチャーを取り付けるための表面を調製する方法は、表面を得る段階、ならびに溶媒、水溶性ポリマー、水溶性リンカー分子、および水溶性カップリング試薬を含むリンカー配合物を用いてリンカー分子を表面に取り付ける段階、を含みうる。いくつかの態様において、リンカー分子は保護基を含む。
いくつかの態様において、カップリング試薬を基板に取り付ける方法は、金属を含み、上面および下面を有する平面層と、位置的に定められた場所で層に機能的にカップリングされた複数のピラーとを含む基板を得る段階であって、各ピラーが、層から伸びる平面を有し、各ピラーの表面と層の上面との間の距離が1,000~5,000オングストロームの間であり、リンカー分子が各ピラーの表面に付加されており、かつ複数のピラーが10,000/cm2を上回る密度で存在する段階;ならびにカップリング試薬を1つまたは複数のリンカー分子に取り付ける段階、を含みうる。いくつかの態様において、カップリング試薬は、溶媒、水溶性ポリマー、水溶性カップリング分子、水溶性中和試薬、および水溶性カップリング試薬を含むカップリング配合物を用いて、1つまたは複数のリンカー分子に取り付けられる。いくつかの態様において、カップリング試薬は、本明細書において開示されるカップリング配合物を用いて、1つまたは複数のリンカー分子に取り付けられる。いくつかの態様において、少なくとも1つのリンカー分子は、脱保護されたリンカー分子である。いくつかの態様において、カップリング試薬はアミノ酸である。いくつかの態様において、カップリング試薬は保護分子を含む。いくつかの態様において、カップリング配合物は、水を用いて剥ぎ落とされる。いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と平行である。いくつかの態様において、各ピラーの表面は、層の上面と実質的に平行である。
いくつかの態様において、カップリング試薬を表面に取り付ける方法は、リンカー分子が取り付けられた表面を得る段階、ならびに溶媒、水溶性ポリマー、水溶性カップリング分子、水溶性中和試薬、および水溶性カップリング試薬を含むカップリング配合物を用いてカップリング試薬をリンカー分子に取り付ける段階、を含みうる。いくつかの態様において、リンカー分子は、脱保護されたリンカー分子である。いくつかの態様において、カップリング試薬はアミノ酸である。いくつかの態様において、カップリング試薬は保護分子を含む。いくつかの態様において、カップリング配合物は、水を用いて剥ぎ落とされる。
いくつかの態様において、フィーチャーの三次元(例えば、多孔質)アレイを作製する方法は、以下の段階を含みうる:表面に取り付けられた多孔質層を得る段階;ならびに多孔質層にフィーチャーを取り付ける段階であって、フィーチャーがそれぞれ、決定可能な配列および意図された長さのペプチド鎖の集成物を含み、個々のフィーチャーにおいて、意図された長さを有する集成物内のペプチド鎖の割合が、各カップリング段階で少なくとも約98.5%の平均カップリング効率によって特徴付けられる段階。いくつかの態様において、フィーチャーは、光活性化合物、カップリング分子、カップリング試薬、ポリマー、および溶媒を含む光活性カップリング配合物を用いて表面に取り付けられる。いくつかの態様において、フィーチャーは、本明細書において開示される光活性カップリング配合物を用いて表面に取り付けられる。いくつかの態様において、光活性カップリング配合物は、水を用いて剥がし落とされる。
いくつかの態様において、本明細書には、アレイを製造するプロセスが記載される。取り付けられたカルボン酸基を含む表面を用意する。表面を、光活性化合物、カップリング分子、カップリング試薬、ポリマー、および溶媒を含む光活性カップリング溶液と接触させる。フォトマスクによって定められるパターンに従って、表面を深紫外線スキャナーツール内で紫外線光に露光させ、紫外線光に露光された位置は、光活性カップリング溶液中の光塩基発生剤の存在によって光塩基発生を受ける。十分な光塩基を産生するために、露光エネルギーは1mJ/cm2~100mJ/cm2であってよい。
露光したら、露光後ベーキングモジュールにおいて、表面をポストベーキングする。露光後ベーキングは、化学的増幅段階としての役割を果たす。ベーキング段階は、初めに発生した光塩基を増幅し、かつ基板への拡散の速度も高める。少なくとも60秒間、通常は120秒間を超えずに、ポストベーキング温度は、多孔質表面の厚さに応じて75℃~115℃でさまざまであってよい。遊離カルボン酸基を、遊離ペプチドまたはポリペプチドの脱保護されたアミン基にカップリングさせ、表面に取り付けられたカルボン酸基への遊離ペプチドまたはポリペプチドのカップリングがもたらされる。この表面は多孔質表面であってよい。表面に取り付けられたカルボン酸基にカップリングしたペプチドの合成は、N→Cの合成方向で生じ、遊離ペプチドのアミン基は、基板の表面に結合したカルボン酸基と結合する。または、ジアミンリンカーを遊離カルボン酸基に取り付けて、合成をC→N方向に向かわせることもでき、この場合には遊離ペプチドのカルボン酸基は基板の表面に結合したアミン基と結合する。
ここで、光活性カップリング溶液を剥がし落とすことができる。いくつかの態様において、脱イオン(DI)水でフォトレジストを完全に剥離する方法が、本明細書において提供される。このプロセスは、現像モジュールにおいて達成される。ウェーハを真空チャック上で例えば60秒間~90秒間回転させ、かつ脱イオン水をノズルを通して約30秒間分注する。
光活性カップリング配合物を、カップリング回転モジュールにおいて表面に適用することができる。カップリング回転モジュールは、典型的に、光活性カップリング配合物を配給する20個またはそれを上回る数のノズルを有しうる。これらのノズルは、これらの溶液を保持するシリンダーに加圧することによって、または必要とされる量を分注するポンプによって、光活性カップリング配合物を分注するように作製されうる。いくつかの態様において、ポンプを採用して、基板上に5~8ccの光活性カップリング配合物を分注する。基板を真空チャック上で15~30秒間回転させ、かつ光活性カップリング配合物を分注する。回転速度は、2000~2500rpmに設定されうる。
任意で、基板上の未反応アミノ基が隣のカップリング分子と反応するのを防ぐために、キャップフィルム溶液コートを表面に適用する。キャップフィルムコート溶液は、以下の通りに、溶媒、ポリマー、およびカップリング分子で調製されうる。用いうる溶媒は、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせなどの有機溶媒であってよい。キャッピング分子は典型的に無水酢酸であり、かつポリマーは、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルイソプロペニル)ケトン、またはポリ(2メチルペンテン1スルホン)であってよい。いくつかの態様において、キャッピング分子はエタノールアミンである。
このプロセスは、キャッピング回転モジュールにおいて行われる。キャッピング回転モジュールは、基板上にキャップフィルムコート溶液を分注するように作製されうる1個のノズルを含みうる。この溶液は、キャップフィルムコート溶液を蓄えるシリンダーに加圧することによって、または必要とされる量を正確に分注するポンプにより分注されうる。いくつかの態様において、ポンプを用いて、基板上におよそ5~8ccのキャップコート溶液を分注する。基板を真空チャック上で15~30秒間回転させ、かつカップリング配合物を分注する。回転速度は、2000~2500rpmに設定されうる。
キャッピング溶液を有する基板を、キャップベーキングモジュールにおいてベーキングする。キャッピングベーキングモジュールは、キャッピングフィルムコートが適用された直後にウェーハを受け止めるように特異的に組み立てられたホットプレートである。いくつかの態様において、キャッピング反応を有意に加速するために、回転コーティングされたキャッピングコート溶液をホットプレートでベーキングする方法が本明細書において提供される。ホットプレートベーキングは、一般に、アミノ酸に対するキャッピング時間を2分間未満に減少させる。
キャッピング反応の副産物を、剥離モジュールにおいて剥離する。剥離モジュールは、アセトン、イソプロピルアルコール、Nメチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、DI水など、有機溶媒を分注するように組み立てられたいくつかのノズル、典型的に最高10個を含みうる。いくつかの態様において、ノズルは、回転しているウェーハ上に分注されるように、アセトン、それに続くイソプロピルアルコールに対して指定されうる。回転速度は、およそ20秒間、2000~2500rpmであるように設定される。
この全サイクルを、異なるカップリング分子に関して所望されるとおりに毎回繰り返して、所望の配列を得ることができる。
いくつかの態様において、遊離カルボン酸の表面を含むアレイを用いて、N→C方向にポリペプチドを合成する。1つの態様において、基板の表面上のカルボン酸を活性化して(例えば、カルボニルに変換して)、それらをアミノ酸上の遊離アミン基に結合させる。1つの態様において、表面の基上のカルボン酸の活性化は、カルボジイミドまたはスクシンイミドを含む溶液のアレイの表面への添加によって行われうる。いくつかの態様において、カルボン酸は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド[EDC]、N-ヒドロキシスクシンイミド[NHS]、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]、ヒドロキシベンゾトリアゾール[HOBt]、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール[HOAt]、(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)[HATU]、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート[PyBOP]、またはN,N-ジイソプロピルエチルアミン[DIEA]を含む溶液のアレイの表面への添加によって活性化されうる。活性化溶液を洗い流し、かつアレイの表面をアミノ酸層(すなわち、各活性化カルボン酸基に1個のアミノ酸)の付加のために調製する。カルボン酸基は、最高2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間活性化されたままである。
アレイの活性化カルボン酸表面への、遊離アミン基を有するアミノ酸を含む溶液の添加は、各カルボン酸基への単一アミノ酸の結合をもたらす。いくつかの態様において、アミノ酸には、保護されたアミン基を有するアミノ酸が含まれる。感光性化学反応を用いることによって、レチクルを用いて、部位特異的位置における選択アミノ酸のアミン基から保護基を除去することができる。例えば、Fmoc保護されたアミノ酸を、光塩基を含む溶液中で混合する。部位特異的位置で特異的周波数の光にアレイ上の溶液を露光すると、光塩基は、アミノ酸を脱保護する塩基を放出し、アレイの表面上の活性化カルボン酸基へのアミノ酸のカップリングがもたらされる。塩基を発生させる別の方法は、光に曝露された時に光酸発生剤によって放出される光酸によってその後保護されなくなる、保護された塩基を用いることを伴う。いくつかの態様において、保護された塩基はN-Boc-ピペリジンまたは1,4-ビス(N-Boc)-ピペラジンである。
完成したアミノ酸層がカップリングされた後に、後の合成段階におけるアミノ酸の非特異的結合を阻止するために、残存しているカップリングされなかった活性化カルボン酸がキャッピングされる。アレイ上の特定の場所において所望のポリペプチドを合成するために、活性化、アミノ酸層の付加、およびキャッピングの段階が必要に応じて繰り返される。
いくつかの態様において、N→C末端方向に合成されたペプチドは、生物分子、例えば、抗体に対する選択されたポリペプチド配列の結合特性を強化するためにジアミン分子でキャッピングされてもよい。他の態様において、C→N方向に合成されたペプチドは、生物分子に対する選択された配列の結合特性を強化するためにジカルボン酸分子でキャッピングされてもよい。
ポリペプチドをアレイ表面上で同時並行的に合成している間、本明細書に記載の方法はアレイ表面上にあるカルボン酸の完全な活性化を確実にする。活性化エステルには長期間の安定性があるために、1回の活性化段階の後に(例えば、アレイ上の異なる場所にある、2~25個またはより多くの異なるアミノ酸からなる層を丸ごとカップリングするために)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25回、またはより多くのカップリングサイクルが完了されてもよい。カップリングはハードベーキング(コーティング直後に90秒間、85~90℃のホットプレートにおける加熱)の間に行われ、かつ溶液中に過剰なアミノ酸が存在するので、極めて高いカップリング収率を得るために、Fmoc保護アミノ酸の完全な100%脱保護は必要とされない場合がある。全アミノ酸の添加およびキャッピングの後に、すべての遊離活性化カルボン酸はカップリングまたはキャッピングされ、したがって、ポリペプチド合成の高い効率および精度が得られる。
アレイの使用方法
基板、配合物、および/またはアレイを用いる方法も本明細書において開示される。本明細書において開示されるアレイの用途には、研究用途、治療目的、医療診断、および/または1例もしくは複数例の患者の層別化が含まれうる。
本明細書に記載のアレイの任意のものを、研究ツールとして、または研究用途に用いることができる。1つの局面において、アレイは、ハイスループットスクリーニングアッセイのために用いうる。例えば、酵素基質(すなわち、本明細書に記載のペプチドアレイ上のペプチド)は、アレイを酵素に供して、アレイ上の酵素基質の有無を、例えばアレイのフィーチャーの中の少なくとも1つの変化を検出することによって同定することによって、試験することができる。
また、アレイを、基質特異性を確かめるためのリガンド結合のスクリーニングアッセイ、またはタンパク質を阻害もしくは活性化するペプチドを同定するためのスクリーニングアッセイに用いることもできる。これらの方法を行うために有用な標識手法、プロテアーゼアッセイ、ならびに結合アッセイは一般に当業者に周知である。
いくつかの態様において、アレイは、既知のタンパク質配列を一部重なり合うペプチドの配列として提示するために用いることができる。例えば、既知タンパク質のアミノ酸配列を任意の長さおよび任意の適した一部重なり合うフレームの一部重なり合う配列セグメントに分け、それぞれの配列セグメントに対応するペプチドを、本明細書において開示されたようにインサイチューで合成させる。このように合成された個々のペプチドセグメントを、既知タンパク質のアミノ末端から開始して並べることができる。
いくつかの態様において、既知タンパク質の抗原配列全体がエピトープスライディングによってカバーされている少なくとも1つの領域をアレイの抗原提示が含む方法において、アレイが用いられる。抗原の免疫活性領域は、アレイまたは複数の異なるアレイ上の1つまたは複数の臨床試料を接触させることによって決定され、既知のタンパク質抗原を提示するために必要とされるペプチド配列のセットは低減される。
いくつかの態様において、試料は、複数のランダムペプチドを有するアレイに適用される。所定の抗原配列と、例えば、90%またはそれを上回る同一性を有する相同ドメインを決定するためにランダムペプチドをスクリーニングおよびBLAST検索することができる。続いて、いくつかの局面において、関心対象の疾患の潜在的なマーカーおよび/または原因を同定するために、抗原配列全体を合成および使用することができる。
いくつかの態様において、アレイは1つまたは複数の遺伝因子のハイスループットスクリーニングに用いられる。遺伝子に関連するタンパク質は潜在的な抗原となる可能性があり、これらのタンパク質に対する抗体を用いて、遺伝子と疾患との関係を推定することができる。
別の例では、アレイは1つまたは複数のバイオマーカーを同定するために用いることができる。バイオマーカーは疾患の診断、予後予測、治療、および管理に用いることができる。バイオマーカーは、疾患状態、疾患の段階、および疾患治療に対する反応に応じて、個体において発現されてもよく、存在しなくてもよく、異なるレベルでもよい。バイオマーカーは、例えば、DNA、RNA、タンパク質(例えば、キナーゼなどの酵素)、糖、塩、脂肪、脂質、またはイオンであってよい。
また、アレイを、治療目的、例えば、1つまたは複数の生物活性物質の同定に用いることもできる。生物活性物質を同定するための方法は、複数の被験化合物をアレイに適用する段階、および生物活性物質として少なくとも1つの被験化合物を同定する段階を含んでもよい。被験化合物は、小分子、アプタマー、オリゴヌクレオチド、化学物質、天然抽出物、ペプチド、タンパク質、抗体断片、抗体様分子、または抗体でもよい。生物活性物質は、治療薬または治療標的の修飾物質でもよい。治療標的には、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、シグナル伝達分子、転写因子、タンパク質輸送体、タンパク質ソーター、細胞表面受容体、分泌因子、および細胞骨格タンパク質が含まれうる。
別の局面において、アレイは、治療用の薬物候補を同定するために用いることができる。例えば、特異的抗体に対する1つまたは複数のエピトープがアッセイ(例えば、ELISAなどの結合アッセイ)によって決定された場合に、それらのエピトープは、疾患における標的抗体に対する薬物(例えば、モノクローナル中和抗体)を開発するために用いることができる。
1つの局面において、医療診断に用いるためのアレイも提供される。アレイは、薬物またはワクチンの投与に対する反応を判定するために用いることができる。例えば、ワクチンに対する個体の反応は、誘導された免疫応答によって産生される抗体が認識するエピトープを提示するペプチドを有するアレイを用いて個体の抗体レベルを検出することによって判定することができる。別の診断用途は、バイオマーカーの存在について個体を試験することである。ここで、試料は対象から採取され、1つまたは複数のバイオマーカーの存在について試験される。
また、アレイを、対象が治療的処置に反応する可能性を示すバイオマーカーの存在または非存在に基づいて患者集団を層別化するために用いることもできる。アレイは、既知のバイオマーカーを同定して適切な治療群を決定するために用いることができる。例えば、ある病状を有する対象由来の試料をアレイに適用することができる。アレイに対する結合によって、その病状に関するバイオマーカーの存在が示されることがある。以前の研究から、バイオマーカーは治療後の正のアウトカムと関連するのに対して、バイオマーカーの欠如は治療後の負または中立のアウトカムに関連することが示されることもある。患者がバイオマーカーを有することから、医療専門家によってその患者が処置を受ける群に層別化されることもある。
いくつかの態様において、試料中の関心対象のタンパク質(例えば、抗体)の有無を検出する方法は、本明細書において開示されるアレイを入手して、関心対象のタンパク質を含む可能性がある試料と接触させる段階;および、アレイの1つまたは複数のフィーチャーとの結合の有無を検出することによって関心対象のタンパク質が試料中に存在するかどうかを判定する段階を含みうる。いくつかの態様において、関心対象のタンパク質は、体液、例えば、羊水、房水、硝子体液、胆汁、血清、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳び、内リンパ、外リンパ、糞便、女性の膣液、胃酸、胃液、リンパ、粘液、腹水、胸膜液、膿、唾液、皮脂、精液、汗、滑液、涙、腟分泌物、嘔吐物、または尿から得られてもよい。
いくつかの態様において、ワクチン候補を同定する方法は、ワクチン候補が事前に投与された対象から得られた試料と接触させた、本明細書において開示されたアレイを得る段階であって、試料が複数の抗体を含む段階;およびアレイの1つまたは複数のフィーチャーに対する複数の抗体の結合特異性を決定する段階を含みうる。いくつかの態様において、フィーチャーは、既知配列を有する供給源タンパク質に由来する部分配列を含む、複数の別個の入れ子状の一部重なり合うペプチド鎖を含む。
以下の実施例は、セリアック病に関するバイオマーカーを同定する方法を例示している。バイオマーカーには、α、β、γおよびωグリアジン、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)、ならびにそれらの脱アミド化改変物を非限定的に含む、セリアック病における既知の抗原から得られたペプチドのセットが含まれる。本方法は、これらの既知のセリアック抗原に基づいて、12-merペプチドのペプチドライブラリーを合成する段階を含む。いくつかの態様において、12-merペプチドの配列は、既知のセリアック抗原のアミノ酸配列を一度に2アミノ酸または3アミノ酸のいずれかずつシフトさせることによって同定した。図1Aは、α/βグリアジン配列に沿っての2アミノ酸ずつのシフトによる12-mer配列の同定を図示している。図1Bは、ペプチドライブラリーのサイズを増加させるための、12-merペプチドでの一度に1つまたは2つのグルタミンの脱アミノ化を図示している。続いて、以下により詳細に説明するように、ペプチドライブラリーをマイクロアレイ上に合成したところ、それは他の従来のペプチド合成手法よりもかなり優れることが見いだされた。アレイ上での合成中のカップリング収率を、ペプチド収率、純度および配列忠実度に関して、蛍光、質量分析およびモノクローナル抗体結合基質アッセイを用いて連続的にモニターした。ネイティブおよび脱アミド化グリアジン由来ペプチド(GP)のB細胞エピトープに基づくバイオマーカーを同定するために、各ペプチドの三重反復物を含む、GPのペプチドライブラリー由来の210万個の異なるペプチドを含むペプチドマイクロアレイを合成し、取り出して、96ピラープレートの上に置いた。
実施例1:ウェーハ基板の調製
p型ホウ素、(1,0,0)の配向、1~5 Ohm/cm、および725μmの厚さを有する最高級グレードの300mmシリコンウェーハを、Process Specialtiesから入手した。純酸素雰囲気下にある炉内での1000℃での2時間の乾式酸化によって、ウェーハに1000Å熱酸化物を沈着させた。ウェーハに対して、市販のフォトレジストP5107を、Sokudo RF3S Coat/Develop Trackを用いて2000rpm、40秒間かけてスピンコーティングした。ウェーハを、Nikon NSR S205 KrF Scannerを用い、逆ゼロ層(inverse zero layer)マスクを用いて波長248nmで曝露させた。この後に110℃での90秒の露光後ベーキングを行い、続いて現像剤NMD-3を2.38%(TOK America)で用いて現像した。酸化物エッチングは、40重量%のフッ化アンモニウム(Sigma)5に対して49重量%のフッ化水素酸(Sigma)1を1分間混合することによって調製した緩衝化フッ化水素酸を用いる、ウェーハの湿潤酸化物エッチングによって行った。続いてウェーハをNanostrip(CyanTek)によって24時間かけて剥離させ、最後にDI水で洗浄して、DI水の中で10分間の超音波処理によって洗浄した。図3Aに図示されたこのプロセスにより、熱酸化物を含む高さ1000Åと測定されたフィーチャー領域、およびシリコンを含む非フィーチャー領域を有する基板がもたらされた。
基板の粗さの測定および密度の計算には、DI 5000 AFMシステムを用いた。図3Bは、上記のプロセス後に形成され、図3Aに図示されているピラーおよびそれらの寸法を示している。図3Cは、基板の二乗平均平方根(RMS)粗さを図示している。基板の密度はおよそ100~150pMと算出された。
実施例2:ウェーハ表面の誘導体化
ウェーハをDI水で5分間十分に洗浄し、N-メチル-ピロリドン[NMP](BDH)中に1.25%(v/v)の3-アミノプロピルトリエトキシシラン[APTES](Sigma Aldrich)を含有する溶液でスピンコーティングを行い、室温で15分間置いた。ウェーハの硬化は、N2雰囲気下で120℃にて60分間行った。続いてウェーハを、2重量%のFmoc-Gly-OH(Anaspec)、2重量%のHOBt(Anaspec)および2重量%のN,N'-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC](Sigma Aldrich)をNMP中に含有するカップリング溶液中でスピンコーティングし、60℃で5分間ベーキングした。これにより、Fmoc-グリシンとAPTES中に存在する遊離アミンとのカップリングが可能になった。続いてウェーハをNMPですすぎ洗いし、続いて、カップリングされていない残りの遊離アミンをキャッピングするために、50%(v/v)の無水酢酸を50%のNMPと混合したものによってキャッピングした。ウェーハを、アセトン(BDH)およびイソプロピルアルコール[IPA](BDH)によって剥離させた。グリシンのFmoc保護は、NMP中の5%(v/v)のピペリジン(Sigma Aldrich)によってウェーハをスピンコーティングすることによって除去し、80℃でのベーキングを300秒間行った。続いて、2重量%のリンカー、2重量%のHOBt(Anaspec)および2重量%のN,N'-ジイソプロピルカルボジイミド[DIC]をNMP中に含有するカップリング溶液によって、リンカーであるFmoc-(PEG)4-COOH(Anaspec)をウェーハ表面にカップリングさせて、90℃で120秒間のベーキングを行った。続いて、ウェーハをNMPですすぎ洗いし、続いて、カップリングされていない残りの遊離アミンをキャッピングするために、50%(v/v)の無水酢酸を50%のNMPと混合したものによってキャッピングした。表面誘導体化プロセスを完了させるために、ウェーハをアセトンおよびIPAによって剥離させた。
実施例3:ペプチドアレイ合成
アレイ上にペプチドを合成するために行った段階は図4に図示されており、上記に詳細に説明されている。
活性化溶液:アミノ酸活性化溶液は以下の通りに調製した:1重量%のポリ(メチルメタクリレート)[PMMA](Polysciences)を、10分間の超音波処理によってN-メチルピロリドン中に溶解させた。続いて、2重量%のFmoc-アミノ酸(Anaspec)を溶液に添加し、その後に2重量%のHOBt(Anaspec)を添加した。さらに、1重量%のテトラゾールチオンを溶液に添加した。続いて、この溶液を0.05μm濾過装置を用いて濾過した。
カルボジイミドの形成の機序:光活性化されたカルボジイミドのカップリングは以下:
の通りに行った。
248nmで露光されると開環機序を起こしてカルボジイミドを放出し、ウェーハにカップリングされたアミノ酸のカルボン酸基を活性化する、テトラゾールチオンを用いた。HOBtまたはHOAtの添加によって-OBtまたは-OAtのエステルを形成させた。このようにして、248nmでのテトラゾールチオンを、効率的なカップリングのための安定的なエステルを形成させるためにアミノ酸を光活性化するために用いた。
アミノ酸カップリング:NMP中に溶解された1重量%のポリマーおよび3重量%のピペリジンを含有する基本レジスト溶液をウェーハに対して3000rpmで30秒間スピンコーティングし、ホットプレートにて65℃、1分間のソフトベーキングを行った。ここでウェーハを80℃で300秒間ベーキングした。すべてのフィーチャーからFmoc保護を除去し、保護されていないアミン基を残した。投入するアミノ酸活性化溶液をウェーハに対して3000rpmで30秒間スピンコーティングし、ホットプレートにて65℃、1分間のソフトベーキングを行った。ここでウェーハを、投入アミノ酸を曝露量120mJ/cm2でカップリングさせる必要のある所望のフィーチャーを露出させるレチクルを用いて曝露させ、続いてホットプレートにて85℃、90秒間のソフトベーキングを行った。上記のように、テトラゾールチオンは露光されるとカルボジイミドを放出し、露出されたフィーチャーではアミノ酸の選択的活性化が達成される。このため、活性化溶液中に存在する投入されたFmoc保護アミノ酸は、アミノ酸の1つの層のカップリングが完了するのと同じ段階において、活性化されて、ウェーハ上に存在する保護されていないアミンにカップリングされる。各カップリング層は、カップリングさせようとする各投入Fmocアミノ酸に対するレチクルを含み、それは同じ層に関して用いられる他のレチクルとは無関係にフィーチャーを露出させる。ある特定の層のすべてのアミノ酸のカップリング後に、続いてウェーハを、この特定の層に関してアミノ酸がカップリングされていないウェーハの残りの保護されていないアミンをキャッピングするために、50重量%のNMPおよび50重量%の無水酢酸の溶液とともにスピンコーティングする。各段階の後に表面上に存在する基材レジストを除去するために、ウェーハをアセトンおよびIPA中で剥離させる。この全体のプロセスを、アレイ表面に取り付けられるペプチド鎖の合成を完了させるために、カップリングさせようと計画しているアミノ酸の個々の各カップリング層について繰り返した。
側鎖保護除去:ペプチド合成の完了後に、ペプチドの生物活性が可能になるように、カップリングされたあらゆるアミノ酸に存在する残りの側鎖保護を除去した。側鎖保護除去溶液は、95重量%のトリフルオロ酢酸[TFA](Sigma Aldrich)および5重量%のDI水を混合することによって調製した。ウェーハを側鎖保護除去溶液と90分間反応させた。この段階に続いて、TFA(5分間)、IPA(5分間)、NMP(5分間)によるウェーハの連続的な洗浄、NMP中にある5重量%のDIEA(Alfa Aesar)による中和(5分間)、ならびにその後のNMP(5分間)およびIPA(5分間)によるウェーハの連続的な洗浄を行った。
実施例4:合成されたペプチドの純度分析
質量分析:ペプチドLKWLDSFTEQ(SEQ ID NO:128、これは24598PCTにおける1に等しい)を、実施例1~3に記載した通りに合成し、ウェーハ基板から切断した。このペプチドを20~70%硝酸セリウムアンモニウム[CAN]中に1.75分間溶解させ、Phenomenex Lunaカラムに35℃で1.5ml/分でローディングした。ペプチド質量を測定したところ、図5Aに示されているように、予想される質量と一致した。
フルオレセイン品質管理:ペプチド合成プロセスの第2の対照として、最終製品フルオレセインの品質管理を行った。各ペプチド配列における最終アミノ酸を、塩基(NMP中の10%(v/v)のピペリジン)により20分間かけて脱保護し、NMP中に溶解させた1重量%の5(6)-FAM(Anaspec)、2重量%のDICおよび2重量%のHOBtを含む溶液中で30分間カップリングさせた。この後に、NMP(5分間)、エタノール(5分間)、50重量%のEDA(Sigma Aldrich)と50重量%のエタノールの混合物で30分間、エタノールで15分間、およびIPAで5分間という連続的な洗浄段階を行った。国際特許出願第PCT/US2013/062773号により詳細に記載されているように、プローブの蛍光シグナルに基づいて、各アミノ酸カップリング段階の個々のカップリング収率および総カップリング収率が求められ、その開示はその全体が目的を問わずに本明細書に参照により組み入れられる。ペプチドLKWLDSFTEQ(SEQ ID NO:128)およびDKYYEPHLERA(SEQ ID NO:129)に関する例は、図5Bおよび5Cに示されている。
実施例5:セリアック病試料アッセイ
セリアック病(CD)の診断のための新規バイオマーカーを発見するために、3種の供給源から血清を収集した:Mayo Clinicの過去の研究の一部として収集されたコホート2(CD症例48例および対照50例)、ARUP Labsからのコホート(CD症例42例および対照29例)および商業ベースで得られたコホート(関節リウマチ(RA)症例12例および全身性エリテマトーデス(SLE)症例7例)。コミュニティにおけるCDの血清陽性に関する以前の研究19で集められた検証コホート(血清陽性CD症例306例および対照1590例)由来のさらなる血清も、コホートから同定されるかまたは新たに開発されたペプチドセットの診断的有用性を評価するために用いた。表3および4は、試験集団の人口学的特徴を示している。試料はすべて標準的な手順によって取り扱い、-80℃で貯蔵した。試料はすべて、1:101一次抗体希釈物および1:2000二次抗体希釈物を用いて探索し、Hamilton流体工学ステーションおよびGen 2マイクロアレイ蛍光スキャナーからなるNikon Total Solution Platformにてスキャニングを行った。
第1に、CDの未治療患者90例および対照98例のセットからの188件の血清試料を、セリアック試料で最も活性であるGPの中でも出現頻度の高い3-merアミノ酸部分配列を決定するために、マイクロアレイの表面に取り付けられたGPに対するIgGおよびIgA反応性に関して分析した。2つの別個のコンセンサスGPセット(グリアジン由来ペプチド配列)が、コホートにおいてCDを対照と鑑別することが同定され、表5に示されているように、ペプチドセット番号1についてはIgG反応性に関して感度80%および特異性85%であり、一方、ペプチドセット番号2についてはIgA反応性に関して感度86%および特異性89%であった。
(表5)訓練コホートにおいてCDの診断のために同定されたGPセット
*セリアック陽性、陽性は、CD血清検査および/または十二指腸生検で構成される、CDの現行の標準的な診断によって定義した。
実施例6:CD診断のための新規合成バイオマーカーの創出
図6Aおよび6Bに図示されているように、セリアック試料に関して最も活性であったGPを含む3-mer部分配列における出現頻度のパーセンテージを示すマトリックス表を作成した。CDの診断精度を向上させるために、このマトリックス表に含まれる高い出現頻度を有する3-mer部分配列と、マトリックス表からの出現頻度の高い他の3-mer配列、ランダムな3-mer、またはランダムな6-merペプチドとを組み合わせて、それぞれ6-mer、9-mer、12-merおよび15-merペプチドである新規配列セットを決定した。新たにランダム化されたペプチドバイオマーカー配列(6-mer~15-mer)のCD診断に対する精度を評価するために、各バイオマーカーの有意性を評価するとともに試料を分類するために意思決定樹の複数クラスへの投票を行う統計学的アルゴリズムである、ランダムフォレスト(RF)20を用いた。新たに同定されたペプチド配列、およびRFにより検証されたペプチド配列を、続いて、3回の反復試験物を伴って、110kペプチドマイクロアレイ上に合成した。これらの新たにランダム化されたペプチド配列のうち127種のランダム化された異なるペプチド(SEQ ID NO:1~127)は、ELISAキットによる現行の標準的なCD血清検査を用いた場合、実施例5によるペプチドセット番号1および番号2と比較して、CD診断に関する感度(IgG=97%またはIgA=99%)および特異性(98%または100%)(p<0.001)がいずれも有意に改善していた(表6)。表1および2は、それぞれIgGアッセイまたはIgAアッセイのいずれかにおけるペプチド活性に基づいてセット番号3および番号4に分けられた、127種のペプチド(SEQ ID NO:1~127)を列記している。IgA反応性によるCD自己免疫性(CDA)の予測に関してこれらの127種のペプチド配列を用いた受診者動作特性(ROC)曲線の交差検証による曲線下面積は、図7に図示されているように、0.99であった。
実施例7:新規B細胞エピトープの免疫反応性とCD重症度との関係
CDの十二指腸病態と、同定されたペプチドセットに対する免疫反応性との相関を評価するために、48例の臨床的に証明されたCD症例の血清を用いた。実施例5によるセット番号1およびセット番号2におけるペプチドはいずれも、腸疾患の重症度に基づいて血清試料をカテゴリー化することはできなかったが、127種の新たにランダム化されたペプチド(SEQ ID NO:1~127)は、図8および9に図示されているように、小腸病態に関するMarshスコア化法による判定通りに、重症のCD症例とより重症度の低いCD症例とを鑑別することができた。
(表6)CDの診断に関する、不連続B細胞エピトープの新規ペプチドセットの判別力
*セリアック陽性、陽性はCD血清検査および/または十二指腸生検で構成されるCDの現行の標準的な診断によって定義される;+、tTG=Inova Diagnostics, San Diego CAによって製造されたヒト組換え抗原を用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)での組織トランスグルタミナーゼに対する抗組織トランスグルタミナーゼ-IgA抗体;++、DGP=Inova Diagnostics, San Diego CAによって製造されたヒト組換え抗原を用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)での脱アミド化グリアジンペプチドに対する脱アミド化グリアジン由来ペプチド-IgA抗体
実施例8:新規B細胞エピトープの評価
訓練コホートによる新規ペプチド(SEQ ID NO:1~127)の鑑別力を検証するために、対象1896例の集団コホートからの血清を、盲検試験としてアッセイした。このコホートは、現行の標準的なCD血清検査による検査を受けたCDAの対象306例および対照1590例で構成された。CDAは、生検により証明されたセリアック病の予測値が高い、組織トランスグルタミナーゼ(tTG)IgAおよび筋内膜抗体(EMA)の両方が陽性であることによって定義される。これらの対象306例(CDA)のうち、個体33例はその後の経過観察中にCDと診断された。不連続グリアジン配列を含む2つの新規合成ペプチドセット番号3および番号4は、CDA症例を対照と鑑別することに関して高い精度を示し、感度99%および特異性100%を達成した(表6)。加えて、図10A~10Cに図示されているように、CDA症例を、抗体結合強度に基づいて、反応性のより低い群または反応性のより高い群と区別することもでき、後に臨床的に検出されるCDを発症したこの対象33例の血清はすべて、その後にCDが検出されなかった者よりも高い強度を示した。
選択されたペプチドバイオマーカーの訓練セットおよび検証セットの分類精度を評価するために、ランダムフォレスト(RF)20を用いた。新たに同定されたペプチドバイオマーカー(SEQ ID NO:1~127)を、訓練セット(n=188;CD 90例および対照98例)を診断するために用いたところ、RFの全体精度は98.9%[Out-of-Bag(OOB)誤差1.1%、陽性適中率(PPV)100%、および陰性適中率(NPV)98.2%]であった。バイオマーカーの同じセットを、バイオマーカー選択プロセスに全く関与していない検証セット血清(n=1896;CDA 306例および対照1590例)を分類するために用いたところ、RFは、CDA試料を対照から等しい精度で鑑別することができた(予測誤差1.1%、PPV 100.0%、およびNPV 98.2%)。これらの自己抗体バイオマーカー(SEQ ID NO:1~127)を用いて、すべてのCD試料および対照試料(n=2084;CD 396例、対照1688例)をRFで同時に分類したところ、それらはやはり99.1%の感度および100%の特異性を示した。
CDでは、グリアジンのある種のB細胞エピトープが直線状であることが示されている15。三次元構造を認識する抗体は、抗原提示細胞(APC)によって提示された場合にはT細胞受容体に対する親和性を有しないと考えられることが十分に認識されている。CDを典型付ける免疫応答は、コムギなどの穀類由来のタンパク質を必要とする可能性があるため、この新規ウルトラスループットプラットフォームの検出力を用いて、すべての既知のタンパク質に由来する直線状の連続したペプチド、さらには不連続ペプチドの両方を系統的に検索した。新規方法により、脱アミド化グリアジンに由来する不連続ペプチド配列で構成されるセットを有する新規エピトープのセットが同定され、それらはCDの患者の血清中に認められる流血中抗体によって認識され、CDを対照と識別することに関して高い感度および特異性を示した。既知の33-merグリアジン配列21とは異なるこれらの9-mer~15-merの配列は、グリアジンの新規でかつこれまでに同定されていないB細胞エピトープである。同定されたペプチドを、それらの選択に何ら関与していないコミュニティベースの試料に由来する検証コホート、およびそれとともにある特定の血清陽性試料および他の生検陽性試料に対して試行することにより、有意性および適中率に関する厳密な検査にかけた。検証により、疾患診断および重症度検出の高い精度が示された。例えば、訓練コホートからの2件の血清陰性試料および6件の血清陰性試料が検証コホートから捕捉され、それにより、感度および特異性はそれぞれ99%および100%に上昇した。その上、従来の抗体によっては不可能であった、重症度別のサブグループ化を可能にする特異的配列も同定された。
本明細書において提示された超高密度ペプチドマイクロアレイの高効率での大量製造プラットフォームを介したバイオマーカーの発見は、抗原のマッピングおよび免疫強化配列とランダムなペプチドとの組み合わせを通じて新規エピトープを決定するための効率的な方法を提供する。情報価値のあるペプチドを同定する能力を最大にする極めて高密度で免疫原性タンパク質をカバーする、それぞれが3アミノ酸または6アミノ酸ずつ一部重なり合う210万個の9-mer~15-merペプチドを基にしたペプチドマイクロアレイを用いたところ、未知であるが自己免疫疾患の患者によって認識されてはいる新規なエピトープを同定するという、この技術の有効性および有用性が示された。この方法の利点には、セリアック病を含む自己免疫疾患の一群の検査に組み込むことができる、より正確な診断検査の開発が含まれる。さらに、1アミノ酸の横への移動を含むペプチドのマイクロアレイを設計することによって、抗体結合に対する抗原の個々のアミノ酸の寄与を評価し、標的抗原に関するより高いマッピング分解能を達成した。
フォトリソグラフィーに基づく以前のマイクロアレイインサイチュー合成方法はすべて5,22-24、個々にアドレス指定可能な脱保護段階、およびその後の選択的に脱保護された部位に対するモノマーのカップリングに基づく。本明細書に記載の方法は、全般的な脱保護およびその後の選択的活性化を含み、これによって2つの利点が提供される:1)ペプチド合成のはるかに高い忠実度、および2)各段階に必要となる時間の大幅な短縮。これにより、ペプチドマイクロアレイの合成において、400回というほどの多さの著しく多数の段階が可能になり、それは収率低下を極めて小さくすることにつながる。いくつかの態様において、高忠実度とより短い反応時間の組み合わせは、はるかに高い収率、および多数のチップを作製する能力をもたらす。そのほかの利点には、診断検査に必要とされる高忠実度に起因するコスト削減が含まれる。本明細書に記載の方法では、最先端の248nm半導体リソグラフィー半導体ツールを、実績のある300mmシリコンウェーハプラットフォーム上で利用している。いくつかの態様において、マイクロアレイの極めて高い密度は、バイオマーカー探索のために求められる分子多様性だけでなく、大規模バイオマーカー検証をも可能にする。本方法は、チップサイズを、96ウェル、384ウェル、1396ウェルといったあらゆる診断用ウェルプレート形式に適合する0.5x0.5mm2サイズまで縮小しうることから、日常診断用検査の大量製造に十分に適する。これにより、よりサイズの小さい試料を日常診断用検査に用いることが可能になる。
本明細書において開示される方法は、開示されるペプチドマイクロアレイを用いることによって、日常的な医療検査目的に非常によく適し、かつバイオマーカー探索のための強力な新規ツールとなる、非侵襲性で、広範囲に利用可能で、低コストで、かつ多用途の方法となる。
本発明を、好ましい態様およびさまざまな代替的な態様を参照しながら詳細に示し、記載してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形式および詳細にさまざまな変化を加えうることは、当業者には理解されるであろう。
本明細書の本文中で引用されたすべての参考文献、発行済み特許および特許出願は、その全体が、目的を問わず、参照により本明細書に組み入れられる。
なお、本明細書において用いた言葉は、主として読みやすさおよび教示を目的として選ばれており、発明の主題を正確に叙述することや限局することを目的として選ばれているのではないことに留意されたい。したがって、本発明の開示は、発明の範囲を例示することを意図しており、限定的であることを意図してはいない。