JP7256252B2 - ポリオキシメチレン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオキシメチレン及びその製造方法に関する。
ポリオキシメチレンは、機械的強度や寸法安定性に優れたエンジニアリングプラスチックであり、主に歯車など摺動性が必要とされる機械部品に用いられている。さらに強度やクリープ性を高めるべく、ガラスファイバー等の補強材を添加したグレードが開発されており広く使用されている。
ポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド又は1,3,5-トリオキサン等環状エーテルのカチオン重合、もしくはホルムアルデヒドのアニオン重合によって得ることができる。
熱的に安定なポリオキシメチレンは、ホルムアルデヒド単位を形成するモノマー(好ましくは、1,3,5-トリオキサン)を少量のコモノマーと共にカチオン共重合に供し、それにより少量のオキシアルキレン単位を鎖中に実質的にランダムに組み込むことによって合成することができる。分子量の調節は連鎖移動剤、一般にはジアルキルホルマール類によって実現される。不安定な端部がアルカリ媒体中で最初のオキシアルキレン単位にまで分解されることにより(加水分解)、安定な末端ヒドロキシアルキル基(コモノマー由来)及び末端アルキル基(連鎖移動剤由来)を有するコポリマーが得られる。一般的に、開始剤として、パーフルオロアルカンスルホン酸(誘導体)やリンタングステン酸等のヘテロポリ酸、三フッ化ホウ素アルキルエーテル錯体が用いられ、水分及びギ酸の含量が少ないモノマーが使用される。重合混合物の失活は、塩基性試薬の添加によりおこなわれる。
前記重合条件下で生成するポリマーは、重合の初期段階において固化し、条件によって様々な分子量分布をもたらす。典型的には、分子量分布の曲線における極大が比較的低分子量領域(例えば2,000~5,000ダルトン)に存在し、また分子量分布の曲線におけるさらなる極大が比較的高分子量領域(例えば50,000~200,000ダルトン)に存在する。全体の分子量分布に占める低分子量成分の比率は5~20%であり、低分子量成分はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。これら低分子量成分の含有量は、ポリマーの機械的特性に大きな影響を及ぼす。また、低分子量成分は環状体であることが知られている。
低分子量成分(数平均分子量Mnが8,000ダルトン未満であるポリオキシメチレン)が3重量%未満で単峰性の分子量分布を有することで、衝撃強度及び曲げ弾性率の向上したポリオキシメチレンが、1,3,5-トリオキサンのカチオン重合により得られることが知られている(特許文献1)。また、低分子量成分(ここでは、数平均分子量Mnが10,000ダルトン未満であるポリオキシメチレン)を1乃至5質量%に規定し、二峰性の分子量分布を有するポリオキシメチレンも提案されている(特許文献2)。また、重合中に連鎖移動反応が進行し分子量が低下するため、従来技術では重量平均分子量(Mw)600,000程度のポリオキシメチレンが得られている(特許文献3)。
特開2011-68855号公報 特許第5709060号公報 特開2017-160332号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているようにヘテロポリ酸を開始剤として用いた場合には、その酸性の強さにより熱によるポリマー分解が促進されるため、熱安定性が損なわれるという問題があった。また、特許文献2に記載のポリオキシメチレンも強プロトン酸を開始剤に用いていることから、ヘテロポリ酸を開始剤として用いた先述の場合と同様に、熱安定性が損なわれることが推測できる。また、特許文献3に開示されるような従来技術により得られるポリオキシメチレンでは、ポリマー自体による強度が十分とは言えず、更なる向上が求められている。
分子量分布が単峰か二峰であるかは、分子量測定装置やカラムの分離能と、高分子量側のピークと低分子量側のピークとの位置関係によって決まるものであり、本質的には物性と相関しない。物性に影響するのは、あくまで平均分子量であり、低分子量成分の分子量と含有量である。
本発明の目的は、高い耐衝撃性を示し、かつ熱安定性に優れるポリオキシメチレンを提供することである。また、本発明の目的は、機械的強度を飛躍的に向上させたポリオキシメチレンを提供することである。さらに、本発明の目的は、上記のポリオキシメチレンを製造するための製造方法を提供することである。
本発明者らが、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意検討した結果、低分子量成分の含有量が特定の範囲であるポリオキシメチレンとすることにより、上記課題を解決できることが見出された。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して得られた分子量分布における分子量10,000以下の低分子量成分の比率が、全体の7.0%以下であることを特徴とする、ポリオキシメチレン。
具体的には、本発明の第一の態様は、以下のポリオキシメチレンを提供するものである。
(2)
ホウ素原子を0.50質量ppm以上100質量ppm未満含有する、(1)に記載のポリオキシメチレン。
(3)
前記測定で得られた分子量分布曲線が単峰性の形状を示し、分子量の対数値logM=4.5~7.0(Mは分子量)にピークトップがあるピークを有する、(2)に記載のポリオキシメチレン。
また、本発明の第二の態様は、以下のポリオキシメチレンを提供するものである。
(4)
前記測定で測定した重量平均分子量(Mw)が75万以上であり、ホウ素原子0.5質量ppm以上、タングステン原子0.1質量ppm以上、モリブデン原子0.1質量ppm以上、バナジウム原子5ppm以上、フッ素原子5質量ppm以上、塩素原子0.5ppm以上、又は硫黄原子0.5ppm以上を含有する(1)に記載のポリオキシメチレン。
(5)
前記測定で得られた分子量分布において、分子量の対数値logM=5.0~7.0(Mは分子量)の範囲に1つ以上のピークを有し、分子量10,000以下の低分子量成分の比率が全体の0.1~7.0%を占める、(4)に記載のポリオキシメチレン。
(6)
(1)に記載のポリオキシメチレンを製造する方法であり、開始剤の存在下で[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記モノマーを固体状態で重合することを特徴とする、ポリオキシメチレンの製造方法。
(7)
(1)に記載のポリオキシメチレンを製造する方法であり、開始剤の存在下で[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記開始剤が平均孔径1.0~5.5nmのメソポーラスシリカとともに用いられることを特徴とする、ポリオキシメチレンの製造方法。
(8)
(2)又は(4)に記載のポリオキシメチレンを製造する方法であり、開始剤の存在下で[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含むことを特徴とする、ポリオキシメチレンの製造方法。
(9)
前記モノマーとして環状エーテルを用いる、(8)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
(10)
前記モノマーの沸点以下で重合したのち、前記モノマーの沸点以上に加熱することを含む、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
(11)
前記モノマーを溶融させ、溶融状態の該モノマーを重合反応中にその融点以下に冷却することを含む、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
(12)
開始剤及びルイス塩基の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記ルイス塩基が、一般式(1)により表される化合物である、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
一般式(1):
Figure 0007256252000001
式中、Rは及びRは互いに独立に1~8個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)
(13)
開始剤及びルイス塩基の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記ルイス塩基が、一般式(2)により表される化合物である、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
一般式(2):
Figure 0007256252000002
(式中、nは1~8の整数であり、R及びRは互いに独立に1~8個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)
(14)
開始剤及びルイス塩基の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記ルイス塩基が、一般式(3)により表される化合物である、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
一般式(3):
Figure 0007256252000003
(式中、R及びRは互いに独立で1~6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)
(15)
開始剤及びルイス塩基の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記ルイス塩基が、一般式(4)により表される化合物である、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
一般式(4):
Figure 0007256252000004
(式中、Rは1~13個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。)
(16)
開始剤及びルイス塩基の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記ルイス塩基が、トリフルオロメチル基を含有する化合物である、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
(17)
開始剤及びルイス塩基の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記ルイス塩基が、カルボニル基を含有する環状化合物である、(8)又は(9)に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
本発明のポリオキシメチレンは、高い耐衝撃性を示し、かつ熱安定性に優れるという効果を有する。また、本発明によれば、機械的強度を飛躍的に向上させたポリオキシメチレンを提供することができる。さらに、本発明によれば、上記のポリオキシメチレンを製造することができる製造方法を提供することができる。
本願の参考例B2のポリオキシメチレンの結晶を後述の[結晶ドメインサイズ]に記載のとおり偏光顕微鏡を用いて観察したときの写真である。図中の矢印は、このポリオキシメチレンの結晶の不定形のドメインの長径を示す。 比較例B2のポリオキシメチレンの結晶を後述の[結晶ドメインサイズ]に記載のとおり偏光顕微鏡を用いて観察したときの写真である。図中の矢印は、このポリオキシメチレンの結晶の不定形のドメインの長径を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。すなわち、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<ポリオキシメチレン>
本実施形態のポリオキシメチレンは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して得られた分子量分布における分子量10,000以下の低分子量成分の比率が、全体の7.0%以下である。
本実施形態のポリオキシメチレンは、ポリオキシメチレンの骨格がすべてオキシメチレン単位で構成されるホモポリマーであってもよく、骨格にオキシアルキレン単位も含むコポリマーであってもよい。
[低分子量成分]
本実施形態のポリオキシメチレンにおける低分子量成分の含有量は、7.0%以下であり、好ましくは5.0%以下であり、特に好ましくは4.5%以下である。この範囲にあることにより、高い耐衝撃性を保持する材料となる。
低分子量成分の含有量を上記範囲に制御する方法としては、例えば、重合時に使用する開始剤溶液の濃度の調整やルイス塩基の使用、重合時間や温度の調整等が挙げられる。
なお、本実施形態で定義する低分子量成分とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定してPMMAの標準物質で換算した分子量分布における分子量10,000以下の成分をいい、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
<<第一の態様のポリオキシメチレン>>
本発明の第一の態様では、本実施形態のポリオキシメチレンは、ホウ素原子を0.50質量ppm以上100質量ppm未満含有することが好ましい。
[数平均分子量及び重量平均分子量]
本実施形態のポリオキシメチレンの数平均分子量Mnは、好ましくは10,000超、より好ましくは25,000超、最も好ましくは30,000~300,000である。
また、重量平均分子量Mwは、好ましくは10,000超、より好ましくは100,000超、最も好ましくは200,000~2000,000である。
平均分子量は高いほど機械強度が高いことが一般的に知られているが、平均分子量が高すぎると溶融粘度が高まるため成形加工が困難になる。この範囲であることにより、機械物性と成形加工性に優れたポリマーを提供することができる。
[分子量分布]
本実施形態のポリオキシメチレンの分子量分布曲線の形状は、限定されないが、機械的強度向上の観点からは、分子量の対数値logM=4.5~8.0(Mは分子量)にピークトップがあるピークを有する単峰性の形状であることが好ましく、より好ましくはlogM=4.5~7.0、さらに好ましくはlogM=4.5~6.0にピークトップがあるピークを有する単峰性の形状である。なお、logMは10を底とするMの対数であり、Mはゲル浸透クロマトグラフィーにおける分子量である。
ここで「単峰」とは、山なりのピークを一つのみ持つ形状であることを指す。
低分子量成分を含有する場合は、分子量10,000以下の領域で、分子量分布曲線が、山なりのピークの一部をなすことなく、ピークトップに対してショルダーをなしたり、ピークトップに連なってテーリングしたりする。
なお、本実施形態における数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[ホウ素原子の含有量]
本実施形態のポリオキシメチレンは、ホウ素原子を0.50質量ppm以上含有することが好ましく、より好ましくは0.55質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、好ましくは100質量ppm未満であり、より好ましくは30.0質量ppm以下であり、さらに好ましくは10質量ppm以下であり、特に好ましくは1.0質量ppm以下である。
ホウ素原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤は三フッ化ホウ素や、三フッ化ホウ素のジアルキルエーテル錯体であってよい。また、開始剤は液体の状態で添加してもよく、噴霧してもよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、ICP-MSで測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[熱安定性]
本実施形態のポリオキシメチレンは、熱重量測定(TG)により窒素雰囲気下にて30℃から200℃まで10℃/分で昇温し、200℃で60分間保持したときの重量減少率が30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下であり、最も好ましくは15質量%以下である。熱重量減少率が低いほど、熱安定性に優れる。
なお、重量減少率は、熱重量測定装置を用いて測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[衝撃強さ]
本実施形態のポリオキシメチレンのシャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)は、10.0kJ/m以上であることが好ましく、より好ましくは12.0kJ/m以上である。
なお、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)は、ISO179(JIS K7111)に準拠して測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[結晶性]
本実施形態のポリオキシメチレンの結晶性は、特に限定されないが、結晶性が高いほど高い強度を示す。一般に、示差熱量測定(DSC)で測定されるファーストスキャンの融点は結晶の大きさと相関を示すが、ファーストスキャンの融点は170℃以上であることが好ましい。機械的強度向上の観点から、ファーストスキャンの融点は、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは185℃以上、特に好ましくは190℃以上である。本実施形態のポリオキシメチレンは、固体状態のモノマーと触媒とを接触させることによっても製造することができるが、この方法では、固相で重合が進行するため結晶性の高いポリマーが得られ、従来のポリオキシメチレンよりも高いファーストスキャンの融点を示す。
なお、ファーストスキャンの融点とは、重合後に特別な熱処理をしていない状態の試料を所定の昇温条件で測定開始して最初に検出される融点ピークのピークトップの温度である。NETZSCH製DSC装置(DSC3500)を使用し、アルミニウムパンにサンプル5mgを採取したのち、窒素雰囲気下で30℃から200℃まで20℃/minの昇温速度で昇温するプログラムにより測定できる。
また、一般に、偏光顕微鏡観察で観察されるポリオキシメチレンのドメインサイズは、ある一方向に配光した結晶粒の集まりの大きさを示すが、このドメインサイズは20μm以上が好ましい。機械的強度向上の観点から、ドメインサイズは、より好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは75μm以上である。本実施形態のポリオキシメチレンは、先述のように固体状態のモノマーと触媒とを接触させることによって製造した場合、固相で重合が進行するため結晶性の高いポリマーが得られ、偏光顕微鏡観察によって従来のポリオキシメチレンよりも大きなドメインサイズが観察される。
なお、ドメインサイズは、試料をエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームで2μm厚の切片を作製し、偏光顕微鏡(本体LEITZ DMRP・カメラLEICA DFC450 C)で観察して同一色を示す不定形のドメインにおいて、その長径を計測することによって推定される。
<<第二の態様のポリオキシメチレン>>
本発明の第二の態様では、本実施形態のポリオキシメチレン(ポリアセタール)は、PMMAを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が65万以上であることが好ましい。
また、本実施形態のポリオキシメチレンは、重量平均分子量(Mw)が75万以上であり、ホウ素原子0.5質量ppm以上、タングステン原子0.1質量ppm以上、モリブデン原子0.1質量ppm以上、バナジウム原子5ppm以上、フッ素原子5質量ppm以上、塩素原子0.5ppm以上、又は硫黄原子0.5ppm以上を含有することがより好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンによれば、機械的強度を飛躍的に向上させることができる。
なお、ポリオキシメチレンは、オキシメチレン単位を骨格に含むところ、本実施形態のポリオキシメチレンは、その骨格がすべてオキシメチレン単位で構成されるホモポリマーであってもよく、オキシアルキレン単位を含むコポリマーであってもよい。
[平均分子量]
本実施形態のポリオキシメチレンにおける重量平均分子量(Mw)は、65万以上であることが好ましい。重量平均分子量が高いほど、剛性と強度が増すとともに、末端数の減少により熱安定性が向上し、それゆえに機械的強度を飛躍的に向上させることができる。当該重量平均分子量は、より好ましくは70万以上であり、さらに好ましくは75万以上であり、よりさらに好ましくは80万以上であり、さらにより好ましくは100万以上であり、特に好ましくは120万以上である。
また本実施形態のポリオキシメチレンにおける数平均分子量(Mn)は、好ましくは20,000超であり、より好ましくは30,000超であり、さらに好ましくは34,000以上である。当該数平均分子量(Mn)がこの範囲であることにより、機械物性と成形加工性に優れたポリマーを提供することができる。
また、分子量分布の分散度(Mw/Mn)は、好ましくは10以上であり、より好ましくは13以上であり、さらに好ましくは15以上である。当該分散度(Mw/Mn)がこの範囲であることにより、機械物性と成形加工性に優れたポリマーを提供することができる。
なお、上記の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および、下記の分子量分布は、PMMAを標準物質としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することで得られ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[分子量分布]
本実施形態のポリオキシメチレンは、分子量分布において、好適には分子量の対数値logM=5.0以上の範囲に1つ以上のピークを有しており、より好適には分子量の対数値logM=5.5以上の範囲に1つ以上のピークを有する。また、好適には分子量の対数値logM=8.0以下の範囲に1つ以上のピークを有しており、より好適には分子量の対数値logM=7.0以下の範囲に1つ以上のピークを有する。これにより、機械的強度を飛躍的に向上させることができる。なお、logMは10を底とするMの対数であり、Mはゲル浸透クロマトグラフィーにおける分子量である。
また、本実施形態のポリオキシメチレンは、低分子量領域(分子量10,000以下)にピークやショルダーやテーリングを有した形状の分子量分布でもよい。ポリオキシメチレンにおいては、重量平均分子量(Mw)が高いほど機械的強度は増す一方、溶融粘度が高まるため成形加工性が低下し得るが、分子量10,000以下のような低分子量成分を有することにより、高い機械的強度を保ちながら成形加工性に優れたポリマーとなる。
但し、低分子量成分の比率が高いと機械的強度が損なわれ得るため、用途に応じた低分子量成分比率の適切なコントロールが必要である。したがって、分子量10,000以下の低分子量成分の含有量は、7%以下であり、好ましくは5%以下であり、特に好ましくは4.5%以下であり、より特に好ましくは4%以下である。また、分子量10,000以下の低分子量成分の含有量は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.3%以上である。なお、低分子量成分の含有量は、例えば、重合工程における重合温度をより低温にすること、撹拌条件を穏やかにすること、冷却速度を大きくすること、冷却前後の温度差を大きくすることにより、低分子量成分の比率を低くすることができる。
[ホウ素原子、タングステン原子、モリブデン原子、バナジウム原子、フッ素原子、塩素原子、及び硫黄原子の含有量]
本実施形態のポリオキシメチレンは、ホウ素原子0.5質量ppm以上、タングステン原子0.1質量ppm以上、モリブデン原子0.1質量ppm以上、バナジウム原子5ppm以上、フッ素原子5質量ppm以上、塩素原子0.5ppm以上、又は硫黄原子0.5ppm以上を含有することが好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンがホウ素原子を含む場合、その含有量は、0.5質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは0.55質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは100質量ppm以下であり、より好ましくは30質量ppm以下である。
ホウ素原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤は三フッ化ホウ素や、三フッ化ホウ素のジアルキルエーテル錯体であってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、ICP-MSで測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンがタングステン原子を含む場合、その含有量は、0.1質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは20質量ppm以下であり、より好ましくは10質量ppm以下である。
タングステン原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤はリンタングステン酸の水和物や塩などのヘテロポリ酸であってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中のタングステン原子の含有量は、ICP-MSで測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンがモリブデン原子を含む場合、その含有量は、0.1質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは20質量ppm以下であり、より好ましくは10質量ppm以下である。
モリブデン原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤はリンモリブデン酸の水和物や塩などのヘテロポリ酸であってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中のモリブデン原子の含有量は、ICP-MSで測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンがバナジウム原子を含む場合、その含有量は、5.0質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは8.0質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは20質量ppm以下であり、より好ましくは10質量ppm以下である。
バナジウム原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤はホスホモリブドバナジン酸などのヘテロポリ酸であってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中のバナジウム原子の含有量は、ICP-MSで測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンがフッ素原子を含む場合、その含有量は、5質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは7質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは20質量ppm以下である。
フッ素原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤はトリフルオロメタンスルホン酸のようなフッ化アルキルスルホン酸やフッ化アリールスルホン酸等、強プロトン酸であってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中のフッ素原子の含有量は、IC法で測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンが塩素原子を含む場合、その含有量は、0.5質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは20質量ppm以下である。
塩素原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤は過塩素酸やそのエステル、四塩化スズなどであってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中の塩素原子の含有量は、IC法で測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態のポリオキシメチレンが硫黄原子を含む場合、その含有量は、0.5質量ppm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0質量ppm以上である。また、上記含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは50質量ppm以下であり、より好ましくは20質量ppm以下である。
硫黄原子は開始剤由来の成分であってよく、使用される開始剤はトリフルオロメタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸、硫酸やそのエステルなどであってよい。
なお、本実施形態におけるポリオキシメチレン中の硫黄原子の含有量は、IC法で測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[衝撃強さ]
本実施形態のポリオキシメチレンのシャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)は、10kJ/m以上であることが好ましく、より好ましくは12kJ/m以上であり、さらに好ましくは14kJ/m以上である。
なお、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)は、ISO179(JIS K7111)に準拠して測定することができ、具体的には、実施例に記載の方法で測定することができる。
[融点]
本実施形態のポリオキシメチレンは、示差熱量測定(DSC)で測定されるファーストスキャンの融点が185℃以上であることが好ましい。機械的強度向上の観点から、好ましくは188℃以上である。本実施形態のポリオキシメチレンは、例えば、後述の製造方法で製造することができるが、かかる方法では、冷却して比較的低温で重合するため結晶化速度が高まり、また固相で重合が進行すると考えられ、従来のポリオキシメチレンよりも高融点を示す。なお、融点は、実施例に記載の方法で測定することができる。また、本実施形態のポリオキシメチレンは保管期間中にも結晶化が徐々に進行し、経時的にファーストスキャンの融点が上昇する。
[結晶ドメインサイズ]
本実施形態のポリオキシメチレンは、偏光顕微鏡観察で観察されるドメインサイズは20μm以上が好ましい。機械的強度向上の観点から、好ましくは30μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは75μm以上である。また、成形加工性の観点から、好ましくは1,000μm以下、さらに好ましくは800μm以下であり、特に好ましくは400μm以下である。本実施形態のポリオキシメチレンは、例えば後述の製造方法で製造することができるが、かかる方法では、冷却して比較的低温で重合するため結晶化速度が高まり、また固相で重合が進行すると考えられ、従来のポリオキシメチレンよりも、大きなドメインサイズが観察される。なお、ドメインサイズは、試料をエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームで2μm厚の切片を作製し、偏光顕微鏡(本体LEITZ DMRP・カメラLEICA DFC450C)で観察して同一色を示す不定形のドメインにおいて、その長径を計測することによって推定される。
<ポリオキシメチレンの製造方法>
本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、上述のポリオキシメチレンを製造する方法であり、開始剤の存在下で[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含む方法が好ましい。
モノマー及びコモノマーは、後述の第一の態様のポリオキシメチレンの製造方法又は第二の態様のポリオキシメチレンの製造方法で使用されるものとしてよい。
開始剤は、特に限定されず、一般的なカチオン重合の開始剤を使用することができる。
また、本実施形態のポリオキシメチレンの製造には、種々の目的により分岐剤や連鎖移動剤、添加塩基等の添加剤を使用してもよい。
また、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、モノマーを固体状態で重合してもよい。モノマーを固体状態で重合すると、得られるポリオキシメチレンはオリゴマー比率が小さく、また高結晶性となる傾向にある。
また、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、開始剤が平均孔径1.0~5.5nmのメソポーラスシリカとともに用いられてもよい。
好適な実施形態では、開始剤が平均孔径1.0~5.5nmのメソポーラスシリカに担持されている開始剤担持メソポーラスシリカを使用する。
以下、上記好適な実施形態に用いられるメソポーラスシリカの詳細について記載する。
[メソポーラスシリカ]
[メソポーラスシリカの孔径]
本実施形態で用いるメソポーラスシリカは、平均孔径1.0~5.5nmの細孔を有する。細孔径がこの範囲にあることにより、開始剤が孔に侵入して担持されやすくなり、さらにモノマーが侵入することによって孔内で重合がなされ、狭い反応場により成長末端の運動が制限されるため、環状体つまり低分子量成分の副生が抑制される。細孔の平均孔径は、モノマー反応速度の観点から、好ましくは1.0~5.0nmであり、より好ましくは1.0~4.0nmである。
なお、メソポーラスシリカの細孔の平均孔径は、窒素吸着試験から得られる窒素吸着等温線をBHJ法で解析することにより算出できる。
[メソポーラスシリカの構造]
本実施形態で用いるメソポーラスシリカの細孔は、好ましくは個々の細孔が三次元で円筒構造を有する。多数の細孔は、二次元で六方構造(六方晶系秩序構造)をなすことが好ましい。
二次元で六方構造をなすメソポーラスシリカの具体例としては、MCM-41、SBA-15等が挙げられる。
本実施形態で用いるメソポーラスシリカの細孔壁の平均厚みは、0.5~2.5nmであることが好ましく、より好ましくは0.5~2.0nmである。
なお、メソポーラスシリカの細孔壁の平均厚みは、断面SEM画像において、任意に細孔を10個選び、各細孔について当該細孔に最も近接する他の細孔との距離(細孔間距離)を測定し、当該距離を平均した値をいう。
細孔形状や細孔壁の平均厚みが上記形態や範囲であることにより、開始剤が細孔内に侵入しやすくなり細孔内部以外に担持される開始剤を低減できる。
また、本実施形態では、開始剤が細孔内に侵入しやすくなり細孔内部以外に担持される開始剤を低減できることから、メソポーラスシリカ粒子の形状は好ましくは球状であり、細孔が粒子中心部から外側に放射状に配列していることが好ましい。
本実施形態の開始剤担持メソポーラスシリカは、前述のメソポーラスシリカに開始剤が担持されたものとしてよく、担持は、水素結合や分子間力等の相互作用による付着、接着、吸着等により、又は化学的結合により、なされていてよい。
本実施形態では、開始剤担持メソポーラスシリカを調製する段階において、メソポーラスシリカの添加量としては、開始剤1molに対して、メソポーラスシリカが、60g以下が好ましく、より好ましくは55g以下であり、また、35g以上が好ましく、より好ましくは40g以上である。
また、本実施形態では、重合系中において、メソポーラスシリカの添加量としては、モノマーとコモノマーとの合計量1molに対して、メソポーラスシリカが、3.0×10-2g以下が好ましく、より好ましくは2.5×10-2g以下であり、また、5.0×10-3g以上が好ましく、より好ましくは1.0×10-2g以上である。
メソポーラスシリカの添加量が上記範囲であれば、低い低分子量成分比率により高い耐衝撃性を示し、かつ熱安定性に優れるポリオキシメチレンが得られやすい。
前述の開始剤担持メソポーラスシリカを使用する好適な実施形態以外の形態であっても、メソポーラスシリカと開始剤とは、これらとモノマー、コモノマー、添加剤等とを重合系中で混合する前に、予め混合することが好ましい。より具体的には、メソポーラスシリカを溶媒に開始剤を溶解させた開始剤溶液に分散させ、一定時間静置することが好ましい。
なお、前述の好適な実施形態以外の形態における、メソポーラスシリカの孔径、メソポーラスシリカの構造、メソポーラスシリカの開始剤に対する添加量等、メソポーラスシリカのモノマーとコモノマーとの合計量に対する添加量等は、前述の好適な実施形態におけるものとしてよい。
<<第一の態様のポリオキシメチレンの製造方法>>
本発明の第一の態様において、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、特に限定されないが、開始剤の存在下で[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させる方法が好ましい。
特にポリオキシメチレンを固相重合する場合は、開始剤を液体の状態で添加することが好ましく、噴霧により添加してもよい。
また、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、モノマーの沸点以下で重合したのち、当該モノマーの沸点以上に加熱することが好ましい。モノマーの沸点以下で重合したのち、当該モノマーの沸点以上に加熱すると、得られるポリオキシメチレンはオリゴマー比率が小さく、やや分子量が低くなる傾向にある。
[モノマー]
モノマーは、ポリオキシメチレンにおいて[-CH-O-]単位を形成するものとしてよい。中でも、環状エーテルを用いることが好ましい。
具体例を挙げると、1,3,5-トリオキサンである。
[コモノマー]
コモノマーは、ポリオキシメチレンにおいて次の式(I)の構造式で表される単位を形成するものが好ましい。
[-O-(CH-]・・・(I)
式(I)中、xは2~8の整数を表し、x=2が特に好ましい。
具体例を挙げると、1,3-ジオキソランである。
[開始剤]
本実施形態では、フッ化ホウ素化合物が使用されてよく、フッ化ホウ素、フッ化ホウ素水和物、フッ化ホウ素と有機化合物(例えばエーテル類)との配位化合物が開始剤として使用されてよい。これらは、ポリマーの熱分解への影響が小さいため、実用上好ましい。
望ましい開始剤は、三フッ化ホウ素ジアルキルエーテル錯体であり、特に好ましいのは三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジ-n-ブチルエーテル錯体である。
開始剤は液体の状態で添加してもよく、噴霧してもよい。
開始剤の添加量としては、モノマーとコモノマーとの合計量1molに対して、開始剤が、3.5×10-4mol以下であることが好ましく、より好ましくは2.6×10-4mol以下であり、また、5.0×10-7mol以上が好ましく、より好ましくは2.0×10-5mol以上である。
開始剤の添加量が上記範囲であれば、低分子量成分の含有量が低く、高い耐衝撃性を示し、かつ熱安定性に優れるポリオキシメチレンが得られやすい。
一般的にポリオキシメチレンの製造の開始剤には、トリフルオロメタンスルホン酸に代表されるフッ化又はアルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸のような強プロトン酸や、リンタングステン酸のようなヘテロポリ酸が用いられる。しかしながら、これら開始剤を使用した場合には、その強力な酸性によりポリオキシメチレンが分解されてしまい、末端安定化等の処理を施してもなお熱安定性に劣るという欠点があった。
本実施形態のようにフッ化ホウ素をベースとした開始剤を用いることにより、熱安定性に優れたポリマーを提供することができる。
また、開始剤は、上述のようにメソポーラスシリカに担持されていてもよく、担持は、水素結合や分子間力等の相互作用による付着、接着、吸着等により、又は化学的結合により、なされていてよい。
[添加剤]
本実施形態のポリオキシメチレンの製造には、種々の目的により分岐剤や連鎖移動剤、添加塩基を使用してもよい。
好ましい分岐剤は、多官能エポキシド、多官能性グリシジルエーテル又は多官能性環状ホルマールである。
好ましい連鎖移動剤は、式(II)で表される化合物である。
-(-O-CH-O-R・・・(II)
式(II)中、rは整数を表し、R及びRは、炭素数1~6のアルキル基である。
好ましくはrが1である式(II)で表される化合物であり、特に好ましいのはメチラールである。
また、ポリマー末端OH基の標的製造に対して、プロトンを移動する連鎖移動剤を使用することもまた可能である。
連鎖移動剤の例は、水、ギ酸、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセロール又は1,1,1-トリメチロールプロパンのような一価及び多価アルコールである。これらのプロトン性移動剤を使用することによって、その後の加水分解において安定した末端アルキレン-OH基を導く、一定の割合の不安定な末端ヘミアセタール基が初めに生じる。好ましい移動剤は、多価アルコールである。
連鎖移動剤は、通常、モノマー及びコモノマーの合計を基準として、20,000質量ppm以下で使用してよく、好ましくは100~5,000質量ppm、特に好ましくは200~2,000質量ppmで使用される。
また、本発明の第一の態様において、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、開始剤及び添加塩基の存在下で重合してもよい。
好ましい添加塩基として、ルイス塩基を使用してもよい。適切な添加塩基の利用により、低分子量成分の副生抑制が可能である。
好ましいルイス塩基は、エステル基、リン酸エステル基、チオエーテル基、ニトリル基、炭化フッ素基、及び/又はカルボニル基を含むルイス塩基である。
[ルイス塩基]
ルイス塩基は活性なカルボカチオン末端を捕捉してその運動を抑制する働きがあり、これにより連鎖移動反応による低分子量成分の生成が抑制されると考えている。作用の強さはルイス塩基性置換基の電子的因子と側鎖の立体的因子とが関与している。
以下、本実施形態において好適なルイス塩基について記載する。
ルイス塩基は、エステル基を含有する場合には一般式(1)により表される化合物としてよい。
一般式(1):
Figure 0007256252000005
式(1)中、Rは及びRは互いに独立に1~8個の炭素原子を有するアルキル基を表す。具体的には、Rは及びRは互いに独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、2-エチルヘキシルからなる群から選ばれてよい。ここで、上記炭素原子数は2個以上、3個以上、4個以上としてよく、また、7個以下、6個以下、5個以下としてよい。また、上記アルキル基は、置換又は非置換のものとしてよく、直鎖状又は分岐鎖状のものとしてよい。
一般式(1)において、Rはメチル基であり、かつRは炭素原子2~8個のアルキル基であることが好ましく、また、Rは炭素原子2~8個のアルキル基であり、かつRはメチル基の化合物が好ましい。
特に好ましくは、Rはメチル基であり、かつRは炭素原子4~8個のアルキル基の化合物であり、また、Rは炭素原子3~8個のアルキル基であり、かつRはメチル基の化合物である。
具体例を挙げると、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、t-ブチル酢酸、酪酸メチル、酪酸オクチル、プロピオン酸メチル、ヘキシル酸アミルである。
ルイス塩基は、エステル基を含有する場合には一般式(2)により表される化合物としてよい。
一般式(2):
Figure 0007256252000006
式(2)中、nは1~8の整数であり、R及びRは互いに独立に1~8個の炭素原子を有するアルキル基を表す。具体的には、R及びRは互いに独立に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、2-エチルヘキシルからなる群から選ばれてよい。ここで、上記炭素原子数は2個以上、3個以上、4個以上としてよく、また、7個以下、6個以下、5個以下としてよい。一般式(2)においては、n=1~8において、R及びRは5~8個の炭素原子を有するアルキル基を有する化合物が好ましい。また、上記アルキル基は、置換又は非置換のものとしてよく、直鎖状又は分岐鎖状のものとしてよい。
また、一般式(2)においては、n=1でありかつR及びRは1~8個の炭素原子を有するアルキル基を有する化合物、n=7でありかつR及びRは1~8個の炭素原子を有するアルキル基を有する化合物がより好ましい。
具体例を挙げると、マロン酸ジメチル、マロン酸ジヘキシル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)である。
また、ルイス塩基は、チオエーテル基を含有する場合には一般式(3)により表される化合物としてよい。
一般式(3):
Figure 0007256252000007
式(3)中、R及びRは互いに独立で1~6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。ここで、上記炭素原子数は2個以上、3個以上としてよく、また、5個以下、4個以下としてよい。一般式(3)においては、R及びRは炭素数1~6の直鎖のアルキル基が好ましい。また、上記アルキル基は、置換又は非置換のものとしてよく、直鎖状又は分岐鎖状のものとしてよい。
具体例を挙げると、ジエチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、メチルプロピルスルフィド、ジヘキシルスルフィドである。
ルイス塩基は、ニトリル基を含有する場合には一般式(4)により表される化合物である。
一般式(4):
Figure 0007256252000008
式(4)中、Rは1~13個の炭素原子を有する基を表す。ここで、上記炭素原子数は2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上としてよく、また、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下としてよい。一般式(4)については、Rは炭素数1~13の炭化水素基が好ましい。炭化水素基は芳香族でも非芳香族でもよい。
具体例を挙げると、ミリストニトリル、フェニルアセトニトリル、バレロニトリルである。
ルイス塩基は、炭化フッ素基を含む化合物としてよい。
炭化フッ素基を含む化合物では、パーフルオロアルキル基を含有する化合物が好ましく、トリフルオロメチル基を含有する化合物が特に好ましい。
具体的を挙げると、トリフルオロアセチルアセトンや3-アセチルベンゾトリフルオリドである。
ルイス塩基は、カルボニル基を含む化合物としてよく、カルボニル基を含む環状化合物が好ましい。
また、カルボニル基を含む環状化合物では、特に、環構造中にエーテル結合を含有する化合物が好ましい。
具体的を挙げると、テトラヒドロ-2-メチルフラン-3-オンである。
本実施形態におけるルイス塩基として、炭化フッ素基を含み、かつカルボニル基を含む化合物も好ましい。
本実施形態のルイス塩基の添加方法や添加順序は、特に限定されることなく、開始剤溶液と混合して添加してもよく、重合前に直接モノマーと混合してもよい。各ルイス塩基によって最適な添加方法や添加順序が異なる。
また、使用する開始剤、重合スケールによってルイス塩基の最適な添加量は異なるため、重合条件によって適宜添加量の最適化が必要である。開始剤の物質量よりもルイス塩基の物質量の方が最適量を超えて多いと、触媒活性を損ない、低分子量成分の増加やポリマー収率の低下を引き起こす。また、開始剤の物質量よりもルイス塩基の物質量の方が最適量より少ないと、低分子量成分の比率は変化しない。
ルイス塩基の添加量の開始剤の添加量に対するモル量での割合(mol/mol)は、0.01~200の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.01~150であり、さらに好ましくは0.01~60である。
特に、重合反応の阻害効果の小さい上述のエステルを含有するルイス塩基は、開始剤の溶媒として用いることもでき、その場合、ルイス塩基の添加量の開始剤の添加量に対するモル量での割合(mol/mol)は、濃度にもよるが、60~200としてよく、好ましくは60~150である。
前述されるルイス塩基は活性なカルボカチオン末端を捕捉し、運動を制限する働きがある。そのため、フッ化ホウ素系以外の開始剤を用いた場合にも本質的に同様に作用する。
ルイス塩基の添加方法や添加順序は、特に限定されることなく、開始剤溶液と混合して添加してもよく、重合前に直接モノマーと混合してもよい。各ルイス塩基によって最適な添加方法や添加順序が異なる。
また、使用する開始剤、重合スケールによってルイス塩基の最適な添加量は異なるため、重合条件によって適宜添加量の最適化が必要である。開始剤の物質量よりもルイス塩基の物質量の方が最適量を超えて多いと、開始剤の活性を損ない、低分子量成分の増加やポリマー収率の低下を引き起こす。また、開始剤の物質量よりもルイス塩基の物質量の方が最適量より少ないと、低分子量成分の含有量は変化しない。
<<第二の態様のポリオキシメチレンの製造方法>>
本発明の第二の態様では、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、開始剤の存在下で[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させる方法が好ましい。
また、本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、モノマーを10℃以下で重合する工程を含むことが好ましい。
本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法によれば、機械的強度を飛躍的に向上させたポリオキシメチレンを製造することができる。具体的には、上記の重合条件とすることにより、重合熱と結晶化熱の除熱によりポリオキシメチレンの結晶化を促進することができるとともに、同時に、副反応を抑制することもできるため、得られるポリオキシメチレンが高分子量化すると推測される。除熱速度の観点から、重合工程における重合温度は好ましくは25℃以下であり、より好ましくは5℃以下であり、さらに好ましくは-20℃以下であり、特に好ましくは-78℃以下である。重合温度をより低温にすることにより、結晶化の促進と副反応の抑制が同時になされ、ポリマー全体がより高分子量化・高結晶化し低分子量成分をより低減することができる。
ところで、本実施形態において、モノマーおよびコモノマーの融点が上記の重合温度を超える場合には、モノマーとコモノマーと触媒とを良好に混合する観点から、触媒添加前にはモノマーを当該融点以上に加温しておき、触媒添加の直前もしくは直後に、低温環境下に移動または転換する操作が好ましい。即ち、モノマーを融点以上に加温して溶融させ、溶融状態の該モノマーを重合反応中にその融点以下に冷却することを含むことが好ましい。具体的には、例えば1,3,5-トリオキサンをモノマーとして用いてカチオン重合を行う場合には、1,3,5-トリオキサンの融点である63℃以上に加温しておき、好ましくは触媒添加の直前もしくは直後に、低温環境下に移動または転換する操作を行う。また、より好ましくは、重合工程において、触媒を添加した直後に重合を低温環境下にすることであり、これにより、モノマー反応率が低下せず収率を保つことができる。
また、重合工程において、重合工程全体を通して重合温度を10℃以下とする必要はなく、重合工程の一部のみの実施としてもよい。例えば、また、重合工程において、重合工程の初期において、重合温度を低温とし、重合工程の中期または後期に低温環境下ではない温度環境下で重合することもできる。なお、低温での重合工程のあとモノマーの融点以上の温度環境下に置けば、連鎖移動反応により分子鎖が切断されるため分子量の調整も可能である。
本実施形態において、重合反応時間は特に限定されない。例えば重合温度を10℃以下とする反応時間を比較的短時間にしても比較的長時間にしても、本実施形態に係るポリオキシメチレンを得ることができる。必要な重合時間は、開始剤種とモノマーに対する開始剤の物質量比や反応容器、また撹拌機構に依存する。
[触媒・開始剤]
本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法は、重合工程において使用する触媒や開始剤は限定されず、一般的なカチオン重合の触媒や開始剤を使用することができる。ただし、一般的にポリオキシメチレンの製造の触媒(開始剤)としては、トリフルオロメタンスルホン酸に代表されるフッ化アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸およびアリールスルホン酸のような強プロトン酸や、リンタングステン酸のようなヘテロポリ酸が用いられるが、これら触媒を使用した場合には、その強力な酸性によりポリマー鎖が分解されてしまい、末端安定化等の処理を施してもなお本質的に熱安定性に問題が残り得る。したがって、熱安定性の観点から使用する触媒としては、より酸性の低い、フッ化ホウ素化合物を用いることが好ましい。また、より好ましくは、フッ化ホウ素、フッ化ホウ素水和物、フッ化ホウ素と有機化合物(例えばエーテル類)との配位化合物であり、さらに好ましくは三フッ化ホウ素ジアルキルエーテル錯体であり、特に好ましくは、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジ-n-ブチルエーテル錯体である。
[モノマー]
本実施形態のポリオキシメチレンの製造方法では、モノマーとして[-CH-O-]単位を形成するものであれば特に限定されず、環状エーテルを用いることが好ましく、より好ましくは、1,3,5-トリオキサンである。
[コモノマー]
本実施形態のポリオキシメチレンは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいところ、コポリマーとする場合には、コモノマーは、ポリオキシメチレンにおいて次の式(I)の構造式で表される単位を形成するものが、機械的特性の観点から好ましい。
[-O-(CH-]・・・(I)
式(I)中、xは2~8の整数を表し、x=2が特に好ましい。
具体例を挙げると、1,3-ジオキソランである。
[添加剤]
本実施形態のポリオキシメチレンの製造には、種々の目的により分岐剤や連鎖移動剤を使用して分子量調整を図ってもよい。好ましい分岐剤は、多官能エポキシド、多官能性グリシジルエーテルおよび多官能性環状ホルマールである。また好ましい連鎖移動剤は式(II)で表わされる化合物である。
-(-O-CH-O-R・・・(II)
式(II)中、rは整数を表し、RおよびRは、炭素原子数1~6のアルキル基である。好ましくはrが1である式(II)で表わされる化合物であり、特に好ましいのはメチラールである。
また、ポリマー末端OH基の標的製造に対して、プロトンを移動する連鎖移動剤を使用することもまた可能である。この基の例は、水、ギ酸、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセロールまたは1,1,1-トリメチロールプロパンのような一価および多価アルコールである。これらのプロトン性移動剤を使用することによって、その後の加水分解において安定した末端アルキレン-OH基を導く、一定の割合の不安定な末端ヘミアセタール基が初めに生じる。好ましい移動剤は、多価アルコールである。
前記連鎖移動剤は、通常、モノマーおよびモノマーの合計を基準として、20,000質量ppm以下で使用してよく、好ましくは100~5,000質量ppm、特に好ましくは200~2,000ppmで使用される。
以下の実施例は本発明を制限することなく説明するものである。
<実施例A、参考例A、及び比較例A、参考例Z>
実施例A、参考例A、及び比較例A、参考例Zで用いた分析方法及び評価方法は以下のとおりである。
[ホウ素原子の含有量の測定]
実施例、参考例、及び比較例にて得たポリオキシメチレンのサンプル約0.1gをTFM製分解容器に精秤し、硫酸及び硝酸を加えて、マイクロウェーブ分解装置で加圧酸分解を行い、分解液を50mLに定容して、ICP-MS測定に供した。ICP-MS測定にはアジレント・テクノロジー製装置(Agilent 7500CX)を使用した。
[重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布の測定]
実施例、参考例、及び比較例にて得たポリオキシメチレンについて、東ソー株式会社製GPC装置(HPLC8320)を使用し、Mn、Mw、分子量分布を測定した。標準物質にはPMMAを使用した。
また、分子量分布曲線が単峰性の形状である場合は、そのピークトップの位置を求めた。
溶離液にトリフルオロ酢酸ナトリウム塩を0.4質量%溶解させたヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用いた。
ポリオキシメチレンを上記溶離液に溶解し、濃度0.5mg/mLの試料溶液とした。
カラムには、Shodex社製のK-G4A×1本、Shodex社製のKF-606M×2本をヘキサフルオロイソプロパノールに溶媒置換して用いた。
検出器には、RI(示差屈折)検出器を用いた。
流速0.3mL/分
カラム温度40℃
試料溶液の注入量60μL
[低分子量成分の含有量の測定]
低分子量成分の含有量は、分子量分布においてlogM=4.14の位置に標準偏差σ=0.3の正規分布のピークを仮定することで、logM=3.0~3.7にピークトップを有する正規分布のピークを低分子量成分のピークとして仮定し、ピークフィッティングにより分子量分布曲線全体の面積における低分子量成分のピークの面積の比率を求め、算出した。
[熱重量測定]
実施例、参考例、及び比較例にて得たポリオキシメチレンについて、ネッチ・ジャパン株式会社製TG装置(TG-DTA2500)を使用し、窒素雰囲気下にて次のプログラムで測定し、測定開始から終了まで(30℃から200℃まで)の重量減少率(質量%)を算出した。
サンプル量:約10mg
測定雰囲気:窒素(20mL/分)
測定条件:(1)30℃から200℃まで10℃/分で昇温、(2)200℃で60分間保持、(3)30℃から200℃までの重量減少率(質量%)を算出した。
[シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)]
試験法:ISO179(JIS K7111)
短冊試験片:実施例、参考例、及び比較例にて得たポリオキシメチレンを用いて中央にノッチ(切り込み)を入れた短冊試験片を作製した。
この短冊試験片の両端を支持して水平に保ち、ノッチを入れた面の反対側の面に打撃鎚を打ち付けて試験片を破壊した。試験片の破壊に要したエネルギーを求め、試験片の断面積で除して、シャルピー衝撃強さ(kJ/m)を算出した。
下記の評価基準に従って評価を行った。
◎(優れる):12.0kJ/m以上、○(良好):10.0kJ/m~12.0kJ/m未満、×(実用可能):10.0kJ/m未満
[参考例A1]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(東京化成販売(株)製、融点64℃、沸点114.5℃、以下、1,3-ジオキソランとシクロヘキサン以外の試薬はすべて東京化成販売(株)製のものを使用した。)を2g計量して撹拌子と共に入れ、次いでルイス塩基として酢酸ブチル50μLを加えてセプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソラン(シグマアルドリッチ製)を60μL加え、さらにシクロヘキサン(シグマアルドリッチ製)で0.06mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
ポリマーの分子量分布は単峰性であり、熱重量減少率は7質量%であった。
[参考例A2]
酢酸ブチルの代わりに3-アセチルベンゾトリフルオリドを40μL添加した以外には、参考例1と同様に実施した。
[参考例A3]
酢酸ブチルを添加せず、重合開始から60分後に重合を停止した以外は、参考例A1と同様に実施した。
[参考例A4]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μL加え、シクロヘキサンで0.06mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を100μL添加し、重合を開始した。
重合開始から5分後、140℃に加温しておいたオイルバスに試験管を移して固定した。
10分後(重合開始から15分後)、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[参考例A5]
(開始剤担持)
シグマアルドリッチ・ジャパン合同会社販売のメソポーラスシリカMCM41(細孔の平均孔径:2.9nm、細孔壁の平均厚み:0.9nm)を38mg計量し、シクロヘキサン5mLと混合し分散させた。シクロヘキサンで0.19mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を5mL加え、撹拌し3時間以上静置した後、濾過した。濾過物を20mg計量し、シクロヘキサン5mLと混合して分散させ、4mg/mLメソポーラスシリカ担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を調製した。操作はすべて窒素雰囲気下で行った。
(重合)
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μL加え、メソポーラスシリカ担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[参考例A6]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μL加え、シクロヘキサンで0.19mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を20μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[参考例A7~A12]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、それぞれ参考例A1~6と同様に重合した。
[実施例A13]
1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を10g計量して直径30mmのフッ素樹脂製試験管に撹拌子と共に入れてセプタムキャップをし、70℃に加温したオイルバスに浸して1,3,5-トリオキサンを融解させた。そこへコモノマー成分として1,3-ジオキソランを300μL加え、試験管をオイルバスから取り出し氷浴に浸け、冷却・固化させた。得られた1,3,5-トリオキサン及び1,3-ジオキソランを粉砕機(Retsch製ZM200)で微細化した粉末を2g計量して直径16mmのフッ素樹脂製試験管に撹拌子と共に入れ、シクロヘキサンで0.12mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を25℃環境下で50μL添加し、重合を開始した。30分後、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施しポリオキシメチレンを得た。
[実施例A14~A16]
オイルバスを用いて重合温度40℃~60℃で重合した以外には、それぞれ実施例A13と同様に実施した。
[実施例A17]
1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を微細化せず2g計量して直径16mmのフッ素樹脂製試験管に撹拌子と共に入れ、シクロヘキサンで0.12mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を25℃環境下で50μL添加し、重合を開始した。180分後、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施しポリオキシメチレンを得た。
[実施例A18]
粉砕機(同上)で微細化した粉末の1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して直径16mmのフッ素樹脂製試験管に撹拌子と共に入れ、シクロヘキサンで0.12mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を25℃環境下で50μL添加し、重合を開始した。30分後、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施しポリオキシメチレンを得た。
[実施例A19~A21]
オイルバスを用いて重合温度40℃~60℃で重合した以外には、それぞれ実施例A18と同様に実施した。
[比較例A1]
酢酸ブチルを添加しない以外には、参考例A1と同様に重合した。
[比較例A2]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、比較例1と同様に重合した。
[比較例A3]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μL加え、アジピン酸ジメチルで4.4×10-4mmol/mLに調製したリンタングステン酸27水和物溶液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。り生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃下で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[比較例A4]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、比較例3と同様に重合した。
[比較例A5]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μL加え、1,4-ジオキサンで1×10-3mmol/mLに調製したトリフルオロメタンスルホン酸溶液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[比較例A6]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、比較例5と同様に重合した。
[実施例Z]
1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を10g計量して直径30mmのフッ素樹脂製試験管に撹拌子と共に入れてセプタムキャップをし、70℃に加温したオイルバスに浸して1,3,5-トリオキサンを融解させた。試験管をオイルバスから取り出し、37%ホルムアルデヒド/メタノール溶液(東京化成販売(株)製)を6μL添加して混合させたのち氷浴に浸け、冷却・固化させた。得られた1,3,5-トリオキサンを粉砕機(Retsch製ZM200)で微細化した粉末を2g計量して直径16mmのフッ素樹脂製試験管に撹拌子と共に入れ、50℃環境下で重合を開始した。24時間後、蒸留水を5mL加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施しポリオキシメチレンを得た。
表1~5に各実施例・参考例・比較例の重合条件と結果をまとめた。
Figure 0007256252000009
Figure 0007256252000010
Figure 0007256252000011
Figure 0007256252000012
Figure 0007256252000013
<参考例B及び比較例B>
参考例B及び比較例Bで用いた分析方法及び評価方法は以下のとおりである。
[ホウ素原子の含有量の測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、ホウ素原子の含有量を測定・評価した。
[タングステン原子の含有量の測定]
参考例及び比較例にて得たポリオキシメチレンのサンプル約0.1gをTFM製分解容器に精秤し、硫酸及び硝酸を加えて、マイクロウェーブ分解装置で加圧酸分解を行った。得られた分解液を50mLに定容して、ICP-MS測定に供した。ICP-MS測定には、アジレント・テクノロジー社製装置(Agilent 7900)を使用した。
[モリブテン原子の含有量の測定]
上述のタングステン原子の含有量の測定と同じ方法により、測定・評価した。
[バナジウム原子の含有量の測定]
上述のタングステン原子の含有量の測定と同じ方法により、測定・評価した。
[フッ素原子の含有量の測定]
参考例及び比較例にて得たポリオキシメチレンのサンプル約80mgを燃焼管燃焼法により燃焼し、発生したガスを吸収液に吸収させて10mLに定容し、IC測定に供した。吸収液には、過酸化水素水および抱水ヒドラジン含有の超純水を用いた。IC測定には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製装置(Integrion RFIC)を使用した。
[塩素原子の含有量の測定]
上述のフッ素原子の含有量の測定と同じ方法により、測定・評価した。
[硫黄原子の含有量の測定]
参考例及び比較例にて得たポリオキシメチレンのサンプル約50mgを自動燃焼法により燃焼し、発生したガスを吸収液に吸収させ、IC測定に供した。吸収液には、過酸化水素水および酒石酸を用いた。IC測定には、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製装置(ICS-1500)を使用した。
[分子量分布測定]
参考例および比較例にて得たポリオキシメチレンについて、東ソー株式会社製GPC装置(HPLC8320)を使用し、溶離液にトリフルオロ酢酸ナトリウム塩を0.4質量%溶解させたヘキサフルオロイソプロパノールを用いて、Mn、Mw、分子量分布を測定した。標準物質にはPMMAを使用した。
低分子量成分の比率(%)は、分子量分布においてlogM=4.14の位置に幅0.3の正規分布のピークを仮定したうえで、低分子量側の裾からlogM=3.0~3.7を低分子量成分のピークトップとして、ガウス分布によるピークフィッティングにより算出した。
[ファーストスキャンの融点]
参考例および比較例にて得たポリオキシメチレンについて、NETZSCH製DSC装置(DSC3500)を使用し、アルミニウムパンにサンプル5mgを採取したのち、窒素雰囲気下で30℃から200℃まで20℃/minの昇温速度で昇温するプログラムにより測定した。ファーストスキャンの融点(℃)とは、重合後に特別な熱処理をしていない状態の試料を上記の昇温条件で測定開始して最初に検出される融点ピークのピークトップの温度である。
[結晶ドメインサイズ]
参考例および比較例にて得たポリオキシメチレンについて、サンプルをエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームで2μm厚の切片を作製した。この切片を偏光顕微鏡(本体LEITZ DMRP・カメラLEICA DFC450C)で観察される不定形のドメインにおいて、その長径を計測することによって、結晶ドメインサイズ(μm)を定めた。
なお、上記「不定形のドメイン」は、上記偏光顕微鏡のコンデンサ側に挿入した偏光板(ポラライザ)と対物レンズ側に挿入した偏光板(アナライザ)との振動方向が直交した状態、かつ、上記偏光顕微鏡光路中に光路差530nmの鋭敏色板を挿入した状態において、干渉色が黄色で観察されるドメイン乃至青色で観察されるドメイン(複屈折量で0~0.06の範囲)とした。
また、「不定形のドメイン」の「長径」を当該「不定形のドメイン」の結晶ドメインサイズ(μm)とした。
そして、上記結晶ドメインサイズ(μm)の測定を20個のサンプルについて行い、その平均をポリオキシメチレンの結晶ドメインサイズ(μm)とした。
図1は、本願の参考例B2のポリオキシメチレンの結晶を後述の[結晶ドメインサイズ]に記載のとおり偏光顕微鏡を用いて観察したときの写真である。図中の矢印は、このポリオキシメチレンの結晶の不定形のドメインの長径を示す。
図2は、比較例B2のポリオキシメチレンの結晶を後述の[結晶ドメインサイズ]に記載のとおり偏光顕微鏡を用いて観察したときの写真である。図中の矢印は、このポリオキシメチレンの結晶の不定形のドメインの長径を示す。
[シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)を測定・評価した。
[参考例B1]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させたのち、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μL加えた。ついで、シクロヘキサンで0.12mol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を50μL添加し、その直後、試験管を氷水の入ったビーカー(4℃)に移動し、重合反応を継続した。15分後、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加えて重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃下で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gの参考例B1のポリオキシメチレンを得た。得られたポリマーについて、上記の各評価を行った。得られたポリオキシメチレンの重量平均分子量は1,057,891であった。表6に各結果をまとめた。また、得られたポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、0.6質量ppmであった。
[参考例B2]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた。ついで、シクロヘキサンで0.12mol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を50μL添加し、その直後、試験管を氷水の入ったビーカー(4℃)に移動し、重合反応を継続した。15分後、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃下で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gの参考例B2のポリオキシメチレンを得た。得られたポリマーについて、上記の各評価を行った。得られたポリオキシメチレンの重量平均分子量は1,101,779であった。表1に各結果をまとめた。また、得られたポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、0.67質量ppmであった。
[参考例B3]
氷水の代わりに氷と塩化ナトリウムの混合物を用いて-20℃に温度調整したこと以外は、参考例B2と同様に実施した。また、得られたポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、0.6質量ppmであった。
[参考例B4]
氷水の代わりにエタノールとドライアイスの混合物を用いて-78℃に温度調整したこと以外は、参考例B2と同様に実施した。また、得られたポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、0.7質量ppmであった。
[参考例B5]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた。ついで、シクロヘキサンで0.12mol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を50μL添加し、その直後、試験管を氷水の入ったビーカーに移動し、重合反応を継続した。15分後、140℃に保温したオイルバスに試験管を移動し、さらに3分間重合反応を継続した。その後、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃下で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gの参考例B5のポリオキシメチレンを得た。得られたポリマーについて、上記の各評価を行った。得られたポリオキシメチレンの重量平均分子量は689,433であった。表1に各結果をまとめた。また、得られたポリオキシメチレン中のホウ素原子の含有量は、0.6質量ppmであった。
[参考例B6]
開始剤として、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液の代わりに、アジピン酸ジメチルで4.4×10-4mmol/mLに調製したリンタングステン酸27水和物溶液100μLを添加した以外は、参考例B2と同様に実施した。得られたポリオキシメチレン中のタングステン原子の含有量は、2.0質量ppmであった。
[参考例B7]
開始剤として、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液の代わりに、アジピン酸ジメチルで0.03質量%に調製したリンモリブデン酸溶液を30μL添加した以外は、参考例B2と同様に実施した。得られたポリオキシメチレン中のモリブデン原子の含有量は、0.5質量ppmであった。
[参考例B8]
開始剤として、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液の代わりに、1,4-ジオキサンで1×10-3mmol/mLに調製したトリフルオロメタンスルホン酸溶液を100μL添加した以外は、参考例B2と同様に実施した。得られたポリオキシメチレン中のフッ素原子の含有量は、10質量ppm、硫黄原子の含有量は0.7質量ppmであった。
[参考例B9]
開始剤として、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液の代わりに、シクロヘキサンで0.12mol/mLに調製した四塩化スズ溶液を50μL添加した以外は、参考例B2と同様に実施した。得られたポリオキシメチレン中の塩素原子の含有量は、12質量ppmであった。
[比較例B1]
氷水に移動せず、90℃のオイルバスで重合を継続した(重合温度を90℃とした)こと以外は、参考例B1と同様に重合した。
[比較例B2]
氷水に移動せず、90℃のオイルバスで重合を継続した(重合温度を90℃とした)こと以外は、参考例B2と同様に重合した。
[比較例B3]
氷水の代わりに水道水を用いて、25℃に温度調整した(重合温度を25℃とした)こと以外は、参考例B2と同様に実施した。
Figure 0007256252000014
表6に示すように、重量平均分子量(Mw)が65万以上である参考例B1~B9は、機械的強度が飛躍的に向上していることがわかる。
<参考例C及び比較例C>
参考例C及び比較例Cで用いた分析方法及び評価方法は以下のとおりである。
[重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布の測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、Mn、Mw、分子量分布を測定した。
[低分子量成分の含有量の測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、低分子量成分の含有量を測定した。
[熱重量測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により熱重量を測定し、下記の評価基準に従って評価を行った。
◎(優れる):15質量%未満、○(良好):15質量%以上25質量%未満、△(実用可能):25質量%以上30質量%未満、×(不良):30質量%以上
[シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)を測定・評価した。
[参考例C1]
<開始剤担持>
シグマアルドリッチ・ジャパン合同会社販売のメソポーラスシリカMCM41を38mg計量し、シクロヘキサン5mLと混合し分散させた。シクロヘキサンで0.19mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を5mL加え、撹拌し3時間以上静置した後、濾過した。濾過物を20mg計量し、シクロヘキサン5mLと混合して分散させ、4mg/mLメソポーラスシリカ担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を調製した。操作はすべて窒素雰囲気下で行った。
<重合>
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μLを加え、さらにメソポーラスシリカ担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[参考例C2]
<球状コアシェル型メソポーラスシリカの合成>
コア粒子として、株式会社トクヤマ製品のシリカ粒子SS-10を用意した。100mLの蓋付フラスコに、シリカコア粒子4.81g、アンモニア水6.8mL、蒸留水22mL、及びエタノール10mLを加え、90℃に加温したオイルバスに浸け、3時間撹拌し、分散液を得た。次いで、界面活性剤としてドデシルアミン0.73g、及び蒸留水28.8gを入れ、さらに、分散液の全量が80mLとなるようにエタノールを加えた後、これらを充分に混合し、混合分散液を調製した。ついで、25℃の条件下で混合分散液を攪拌しながら、混合分散液にシリカ原料としてテトラエトキシシラン0.17gを添加した。反応液を20時間攪拌し続け、テトラエトキシシランを加水分解させて、シリカコア粒子表面にシェル前駆体を形成させた。
孔径0.1μmのメンブレンフィルターを用いて反応液を濾過し、コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を回収した。コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を50mLのエタノールに分散させ、70℃で1時間攪拌し、ドデシルアミンの一部を溶解除去した。孔径0.1μmのメンブレンフィルターを用いて分散液を濾過し、コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を回収した。コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を550℃で3時間焼成し、ドデシルアミンを完全に除去した。その後、電気炉で800℃、3時間加熱し、重合触媒担体用の球状コアシェル型メソポーラスシリカ(平均孔径1.4nm)を得た。
<開始剤担持>
MCM-41の代わりに前述の球状コアシェル型メソポーラスシリカを使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
<重合>
MCM-41の代わりに前述の球状コアシェル型メソポーラスシリカ担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
[参考例C3]
<球状コアシェル型メソポーラスシリカの合成>
コア粒子として、株式会社トクヤマ製品のシリカ粒子SS-10を用意した。100mLの蓋付フラスコに、シリカコア粒子4.81g、アンモニア水6.8mL、蒸留水22mL、及びエタノール10mLを加え、90℃に加温したオイルバスに浸け、3時間撹拌し、分散液を得た。次いで、界面活性剤としてドデシルアミン0.73g、及び蒸留水28.8gを入れ、さらに、分散液の全量が80mLとなるようにエタノールを加えた後、これらを充分に混合し、混合分散液を調製した。ついで、25℃の条件下で混合分散液を攪拌しながら、混合分散液にシリカ原料としてテトラエトキシシラン0.17gを添加した。反応液を20時間攪拌し続け、テトラエトキシシランを加水分解させて、シリカコア粒子表面にシェル前駆体を形成させた。
孔径0.1μmのメンブレンフィルターを用いて反応液を濾過し、コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を回収した。コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を50mLのエタノールに分散させ、70℃で1時間攪拌し、ドデシルアミンの一部を溶解除去した。孔径0.1μmのメンブレンフィルターを用いて分散液を濾過し、コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を回収した。コアシェル型メソポーラスシリカ前駆体を550℃で3時間焼成し、ドデシルアミンを完全に除去し、重合触媒担体用の球状コアシェル型メソポーラスシリカ(平均孔径2.6nm)を得た。
<開始剤担持>
MCM-41の代わりに前述の球状コアシェル型メソポーラスシリカを使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
<重合>
MCM-41の代わりに前述の球状コアシェル型メソポーラスシリカ担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
[参考例C4]
<開始剤担持>
MCM-41の代わりにシグマアルドリッチ・ジャパン合同会社販売のメソポーラスシリカSBA-15(孔径4.0nmグレード)を使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
<重合>
MCM-41の代わりに前述のシグマアルドリッチ・ジャパン合同会社販売のメソポーラスシリカSBA-15(孔径4.0nmグレード)担持三フッ化ホウ素ジブチルエーテル/シクロヘキサン分散液を使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
[比較例C1]
開始剤をメソポーラスシリカに担持せず、シクロヘキサンで0.0026mol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を重合に使用した以外は参考例C1と同様に重合した。
[比較例C2]
MCM-41の代わりに、シグマアルドリッチ・ジャパン合同会社販売のメソポーラスシリカSBA-15(孔径6.0nmグレード)を使用した以外には、参考例C1と同様に実施した。
[比較例C3]
MCM-41の代わりに、株式会社トクヤマ製品のシリカ粒子SS-10を用いた以外には参考例C1と同様に実施した。
Figure 0007256252000015
<参考例D及び比較例D>
参考例D及び比較例Dで用いた分析方法及び評価方法は以下のとおりである。
[重量平均分子量、数平均分子量、及び分子量分布の測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、Mn、Mw、分子量分布を測定した。
[低分子量成分の含有量の測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法により、低分子量成分の含有量を測定した。
[ホウ素原子の含有量の測定]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法によりホウ素原子の含有量を測定した。
[熱重量測定]
上述の参考例C及び比較例Cにおけるのと同じ方法により熱重量測定を測定・評価した。
[シャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)]
上述の実施例A、参考例A、及び比較例Aにおけるのと同じ方法によりシャルピー衝撃強さ(ノッチ付き)を測定・評価した。
[参考例D1]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、次いで酢酸ブチル50μLを加えてセプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μLを加え、さらにシクロヘキサンで0.06mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジブチルエーテル溶液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
ポリマーの低分子量成分比率は4.5%であり、熱重量減少率は8%であった。
[参考例D2]
酢酸ブチルの代わりに酢酸エチルを50μL添加した以外には、参考例D1と同様に実施した。
[参考例D3~D8、D10~D19、D20~D27、D29~D38]
参考例D3~D8、D10~D19については、ルイス塩基種や添加量を変えた以外には、参考例D1と同様に実施した。また、参考例D20~D27、D29~D38については、コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、参考例D1と同様に実施した。
[参考例D9、D28]
参考例D9については、開始剤溶液として、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)を三フッ化ホウ素ジエチルエーテルと等物質量加えた後、シクロヘキサンで0.06mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジエチルエーテル溶液を用いた以外には、参考例D1と同様に実施した。
参考例D28については、コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加せず、また、開始剤溶液として、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)を三フッ化ホウ素ジエチルエーテルと等物質量加えた後シクロヘキサンで0.06mmol/mLに調製した三フッ化ホウ素ジエチルエーテル溶液を用いた以外には、参考例D1と同様に実施した。
[比較例D1]
酢酸ブチルを添加しない以外には、参考例D1と同様に重合した。
[比較例D2]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、比較例D1と同様に重合した。
[比較例D3]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μLを加え、アジピン酸ジメチルで4.4×10-4mmol/mLに調製したリンタングステン酸27水和物溶液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃下で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[比較例D4]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、比較例D3と同様に重合した。
[比較例D5]
直径16mmのフッ素樹脂製試験管に、1,3,5-トリオキサン(融点64℃、沸点114.5℃)を2g計量して撹拌子と共に入れ、セプタムキャップをした。90℃に加温したオイルバス中に試験管を固定し、1,3,5-トリオキサンを融解させた後、コモノマー成分として1,3-ジオキソランを60μLを加え、1,4-ジオキサンで1×10-3mmol/mLに調製したトリフルオロメタンスルホン酸溶液を100μL添加し、重合を開始した。15分後、オイルバスから試験管を取り出して氷水に浸け、セプタムキャップを外し、20%トリエチルアミン/エタノール溶液を1mLとアセトン2.5mLをそれぞれ加え重合を停止した。生成したポリマーを砕いて取り出し、洗浄後、濾過し、25℃下で2時間の真空乾燥を実施した。結果、約2gのポリオキシメチレンを得た。
[比較例D6]
コモノマー成分である1,3-ジオキソランを添加しない以外には、比較例D5と同様に重合した。
表8~14に各参考例・比較例の重合条件と結果をまとめた。
なお、熱重量減少率の評価結果について、参考例及び比較例の一部については、重量減少率(質量%)の数値も示した。
Figure 0007256252000016
Figure 0007256252000017
Figure 0007256252000018
Figure 0007256252000019
Figure 0007256252000020
Figure 0007256252000021
Figure 0007256252000022
本発明のポリオキシメチレンは熱安定性と耐衝撃性に優れており、産業上の利用可能性がある。また、本発明のポリオキシメチレンは機械的強度に優れており、産業上の利用可能性がある。また、本発明のポリオキシメチレンの製造方法は、上記のポリオキシメチレンを提供する方法として、産業上の利用可能性がある。

Claims (2)

  1. 開始剤の存在下で、[-CH-O-]単位を形成するモノマーをカチオン重合させることを含み、前記モノマーを固体状態で重合することを特徴とする、ポリオキシメチレンの製造方法。
  2. 前記モノマーの沸点以下で重合したのち、前記モノマーの沸点以上に加熱することを含む、請求項1に記載のポリオキシメチレンの製造方法。
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