JP7301247B1 - 軸受構造、圧縮機及び冷凍サイクル装置 - Google Patents

軸受構造、圧縮機及び冷凍サイクル装置 Download PDF

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Abstract

軸受構造は、潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、回転体には、隙間と主給油孔とを連通し、潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、分岐給油孔の回転体の回転方向後側には、潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられている。

Description

本開示は、給油孔が設けられたシャフトと、シャフトを支持するすべり軸受とを有する軸受構造、圧縮機及び冷凍サイクル装置に関する。
一般に、圧縮機等の回転機械は、回転運動するシャフトと、シャフトを回転自在に保持するすべり軸受と、を有する軸受構造を備えている。シャフトには、シャフトとすべり軸受とのしゅう動部に潤滑油を供給する給油孔が設けられている。従来の圧縮機において、シャフトの内部に設けられ、軸方向に延びた主給油孔と、主給油孔からシャフトの半径方向に分岐した分岐給油孔と、を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。シャフトが回転しているとき、主給油孔の潤滑油には径方向外側へ向かう遠心力が作用することにより、潤滑油は主給油孔から分岐給油孔へ流れて、すべり軸受とシャフトとのしゅう動部に供給される。しゅう動部で摩耗を生じさせる要因の一つとして、しゅう動部で生じた摩耗粉等の異物が潤滑油とともに、シャフトの給油構造を介してしゅう動部に供給されることが考えられる。しゅう動部に潤滑油とともに供給された異物は、シャフトの外周面とすべり軸受の内周面との間に挟まれた状態で、両者のしゅう動に伴ってシャフトの回転方向へ運ばれる。このとき、シャフトの外周面及びすべり軸受の内周面が異物により削られることで、しゅう動部で摩耗が生じ、摩耗粉が生じて圧縮機内の異物(摩耗粉を含む)の量がさらに増える。したがって、異物によるすべり軸受とシャフトとの摩耗を抑制するには、異物を潤滑油から分離することが効果的である。
特許文献1の圧縮機において、クランク軸(シャフト)の外周面には、周方向において分岐給油孔が設けられた位置をクランク軸の回転方向最前の位置として、この位置に、分岐給油孔と連通し、軸方向に延びた給油溝が設けられている。また、特許文献1の圧縮機において、クランク軸の外周面には、周方向において給油溝が設けられている位置よりも回転方向後方の位置に、分岐給油孔に連通せず、軸方向に延びた排出溝が設けられており、給油溝と排出溝との間にはしゅう動領域が形成されている。特許文献1の圧縮機によれば、分岐給油孔を介してクランク軸とすべり軸受との間に供給された異物のうち、一定の大きさの異物(例えば、この隙間よりも大きい異物)は、給油口から出た後すぐに給油溝に捕集されて軸受構造の外に排出され、あるいは、給油口から出た後、しゅう動領域を通った後に排出溝に捕集されて軸受構造の外に排出される。
特開2015-161209号公報
しかしながら、特許文献1に記載の圧縮機では、給油溝及び排出溝といった異物分離空間が、潤滑油の流れる方向で給油口よりも後側すなわち下流側に設けられているので、すべり軸受とクランク軸との間に供給される異物の量を低減することができない。また、特許文献1に記載の圧縮機では、すべり軸受とクランク軸との間に供給された異物のうち、例えば両者間の隙間(クリアランス)程度又はそれ以下の大きさを有する異物は、給油溝及び排出溝のいずれにも捕集されずに隙間に残ってしまい、しゅう動部を摩耗させる。したがって、特許文献1では、シャフト等の回転体とすべり軸受とのしゅう動部における摩耗を抑制する効果が十分に得られない。
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、回転体とすべり軸受とのしゅう動部における摩耗を従来よりも抑制した軸受構造、圧縮機及び冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
本開示に係る軸受構造は、潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、前記異物分離部は、前記分岐給油孔の途中または流入口側に設けられている
また、本開示に係る軸受構造は、潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、前記異物分離部は、直接には前記隙間につながらず前記分岐給油孔における排出口側の一部を介して前記隙間に連通する。
また、本開示に係る軸受構造は、潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、前記回転体は、シャフトで構成され、前記シャフトは、前記分岐給油孔の一部を含む第1部材と、前記分岐給油孔の残りの部分を含む第2部材と、により構成されている。
また、本開示に係る軸受構造は、潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、前記回転体は、円筒形状のシャフトと、前記シャフトの外周部に嵌められ、前記シャフトとともに回転する円筒形状のスリーブと、により構成され、前記回転体の前記分岐給油孔は、前記シャフトに設けられたシャフト給油孔と、前記スリーブに設けられたスリーブ給油孔と、を含むものであり、前記シャフト給油孔の開口縁における回転方向後側には、前記シャフトの前記外周部が凹んで形成された第1外周凹部が設けられ、前記異物分離部は、前記シャフトの前記第1外周凹部と前記スリーブの内周面とにより形成されている。
また、本開示に係る圧縮機は、上記の軸受構造と、前記軸受構造を収容する密閉容器と、を備えている。
また、本開示に係る冷凍サイクル装置は、上記の圧縮機と、蒸発器と、減圧装置と、凝縮器とが冷媒配管を介して接続された冷媒回路を有する。
本開示によれば、分岐給油孔の回転方向後側には、潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられている。よって、回転体を流れる潤滑油に異物が含まれる場合でも、分岐給油孔を流れる潤滑油及び異物に、慣性力が作用することを利用して、潤滑油よりも密度の大きい異物を異物分離部において潤滑油から分離できる。したがって、回転体の分岐給油孔から、回転体とすべり軸受との間に異物が供給されること自体が抑制されるので、すべり軸受とシャフトとのしゅう動部における摩耗を従来よりも抑制することができる。
実施の形態1に係る軸受構造の横断面図である。 図1のA-A線に沿うシャフトの縦断面図である。 実施の形態1に係る軸受構造の異物分離空間の変形例を示す縦断面図であり、軸受構造におけるすべり軸受を切断してシャフトの外周面を露出させた縦断面図である。 図3のA-A線に沿うシャフトの縦断面図である。 図4のシャフトにおける分岐給油孔付近を含む破線Cで囲った部分の部分拡大図である。 実施の形態2に係る軸受構造のシャフトの横断面図である。 図6のA-A線に沿う縦断面図である。 図6のB-B線に沿う縦断面図である。 実施の形態2に係る軸受構造のシャフトの変形例を示す横断面図である。 図9のA-A線に沿う縦断面図であり異物分離空間の加工方法を示す図である。 実施の形態3に係る軸受構造の回転体の構成を示す縦断面図である。 図11のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態4に係る軸受構造の回転体の構成を示す縦断面図である。 図13のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態5に係る軸受構造の回転体の構成を示す縦断面図である。 図15のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態6に係る軸受構造の回転体の構成を示す縦断面図である。 図17のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第1変形例を示す縦断面図である。 図19のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第2変形例を示す横断面図である。 実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第3変形例を示す縦断面図である。 図22のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第4変形例を示す横断面図である。 実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第5変形例を示す横断面図である。 実施の形態7に係る軸受構造のシャフトの変形例を示す縦断面図である。 図26のA-A線に沿う部分横断面図である。 実施の形態8に係る圧縮機の構成を示す縦断面図である。 実施の形態8に係る圧縮機を備えた冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す回路図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る軸受構造1の横断面図である。図2は、図1のA-A線に沿うシャフト3の縦断面図である。軸受構造1は、圧縮機12(後述の図28参照)等の回転機械に設けられる。以下、図1及び図2を用いて、軸受構造1の構成について説明する。
図1に示されるように、軸受構造1は、円筒形状を有する回転体と、回転体の径方向外側に設けられたすべり軸受2と、を備えている。すべり軸受2は、円筒形状を有しており、回転機械の密閉容器103(後述の図28参照)に固定される。回転体は、すべり軸受2の内側に挿入され、すべり軸受2によって軸Ax周りに回転自在に保持されている。
実施の形態1では、回転体はシャフト3で構成されており、すべり軸受2の内周面21に対してシャフト3の外周部32がしゅう動する。シャフト3の外周部32とすべり軸受2の内周面21との間には隙間G(いわゆる、クリアランス)が形成されている。
シャフト3の内部には、潤滑油が流れる主給油孔5が軸方向に設けられている。軸方向とは、シャフト3の軸Axが延びる方向である。主給油孔5は、シャフト3の軸Axを中心軸とした略円筒形状を有し、シャフト3の軸方向の下端に開口部を有している。シャフト3の回転に伴い、この開口部を介して潤滑油が主給油孔5に流入する。主給油孔5内の潤滑油は軸方向に流れ、給油ポンプなどで圧送されていても良い。
また、シャフト3には、主給油孔5から径方向外側へ分岐した円柱状の分岐給油孔6が設けられている。分岐給油孔6は、シャフト3の内周面33に流入口を有し、シャフト3の外周部32に排出口32oを有しており、シャフト3とすべり軸受2との間の隙間Gと、主給油孔5とを連通させる。シャフト3の回転に伴い、主給油孔5に流入した潤滑油は、分岐給油孔6を通り、排出口32oを介して排出される。
シャフト3の外周部32とすべり軸受2の内周面21との間の隙間Gは、シャフト3の分岐給油孔6から排出された潤滑油で満たされている。シャフト3が回転する際のすべり軸受2の内周面21とシャフト3の外周部32との摩擦が、潤滑油により軽減される。
主給油孔5の潤滑油には、摩耗粉等の異物8が含まれている場合がある。摩耗粉等の異物8は、例えばすべり軸受2とシャフト3とのしゅう動部等で生じる。異物8は、潤滑油とともに回転機械の密閉容器内を循環するので、異物8が潤滑油から分離されずにそのまますべり軸受2とシャフト3との間に供給されると、その異物8によってさらに摩耗が生じ、異物8の量が増える場合がある。
そこで、すべり軸受2とシャフト3のしゅう動部の隙間Gに潤滑油が供給されるまでの潤滑油の流路において、異物を分離する構造(以下、異物分離部ともいう)が設けられている。異物分離部が設けられる場所の選択肢は大きく分けて、シャフト3の分岐給油孔6における排出口32o側、分岐給油孔6の途中、及び分岐給油孔6の流入口側の3箇所ある。シャフト3における分岐給油孔6の排出口32o側、途中及び流入口側の3箇所のうちの1箇所に異物分離部が設けられる構成としても、あるいは2箇所以上に異物分離部を設ける構成としてもよい。
実施の形態1の軸受構造1では、分岐給油孔6の途中に、潤滑油から異物8を分離する異物分離部が設けられている。具体的には、分岐給油孔6の内壁31のうち回転方向(矢印R方向)後側の内壁部31aにおいて、排出口32oよりも手前側に、異物分離部である凹形状の異物分離空間7aが設けられている。換言すると、異物分離空間7aは、直接には主給油孔5とつながっておらず、分岐給油孔6における流入口側の一部を介して主給油孔5に連通し、また、直接には隙間Gにつながっておらず、分岐給油孔6における排出口32o側の一部を介して隙間Gに連通している。
図1を参照して、主給油孔5の潤滑油に異物8が含まれる場合において、隙間Gへの潤滑油の供給前に潤滑油から異物8を分離するメカニズムについて説明する。回転するシャフト3の主給油孔5内に存在する潤滑油は、シャフト3と同じ回転方向(矢印R方向)に旋回流を形成する。旋回流を形成する潤滑油中に異物8が存在すると、異物8には遠心力が作用するため、異物8はシャフト3の内周面33すなわち主給油孔5の内壁面に押し当てられる。このとき、分岐給油孔6と主給油孔5との境界部に存在する異物8は、遠心力によって、主給油孔5よりも径方向外側の分岐給油孔6に潤滑油とともに放出される。
また、シャフト3と同じ角速度で回転する回転座標系においては、異物8には、遠心力の他に、見かけの力であるコリオリ力(図1に白抜き矢印Fcで示される)がシャフト3の回転方向(矢印R方向)とは逆方向に作用する。このコリオリ力によって、異物8は、図中に矢印F2で示されるように、分岐給油孔6の内壁31における回転方向(矢印R方向)後側の内壁部31a側へ漸近するように軌跡を描いて移動する。
一方、分岐給油孔6の内部の潤滑油にも同様のコリオリ力が作用するが、潤滑油と異物8との密度差により、異物8に作用するコリオリ力の方が潤滑油に作用するコリオリ力よりも大きい。よって、図中に矢印F2で示される異物8の軌跡は、図中に矢印F1で示される潤滑油の軌跡よりも、回転方向(矢印R方向)後方へ曲がったものとなり、分岐給油孔6の内部において異物8と潤滑油とが分離する。そして、回転方向(矢印R方向)後側の内壁部31a側に漸近するように移動する異物8は、内壁部31aに設けられた異物分離空間7aに入り、排出口32oよりも手前で捕捉される。
図2に示される例では、軸Axが延びる方向である軸方向(図2では紙面上下方向)における異物分離空間7aの幅(以下、異物分離空間7aの軸方向の幅という)が、軸方向における分岐給油孔6の幅(分岐給油孔6の径であり、以下、分岐給油孔6の軸方向の幅という)と同じとなるように異物分離空間7aが設けられている。なお、異物分離空間7aの軸方向の幅が、分岐給油孔6の軸方向の幅よりも短い場合でも、分岐給油孔6の排出口32oよりも手前で異物8を捕捉する一定の効果は得られる。ただし、異物分離空間7aの軸方向の幅を分岐給油孔6の軸方向の幅以上とすることにより、分岐給油孔6においてより多くの異物8を異物分離空間7aに流入させることができるので、なお良い。
実施の形態1の回転体は、シャフト3で構成されており、図1及び図2に示される例では、シャフト3において少なくともすべり軸受2と対向した部位は一部品で構成されている。このような回転体すなわちシャフト3の製造には、例えば3Dプリンタを用いることができる。3Dプリンタを用いることにより、分岐給油孔6の内壁31の途中に異物分離空間7aを設け、且つ、シャフト3を継ぎ目がなく不可分な構成とすることができる。3Dプリンタを用いると、分岐給油孔6において、複雑な異物分離空間7aを容易に形成することができる。
以上のように、実施の形態1に係る軸受構造1は、潤滑油が通る主給油孔5が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、回転体との間に隙間Gを有して径方向外側に設けられ、回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受2と、を備えている。回転体には、隙間Gと主給油孔5とを連通し、潤滑油が通る分岐給油孔6が設けられ、分岐給油孔6の回転体の回転方向後側(回転方向とは逆方向の側)には、潤滑油から異物を分離する異物分離部(例えば、異物分離空間7a)が設けられている。
これにより、分岐給油孔6の回転方向(矢印R方向)後側には、潤滑油から異物8を分離する異物分離部が設けられている。よって、回転体を流れる潤滑油に異物8が含まれる場合でも、分岐給油孔6を流れる潤滑油及び異物8に、慣性力が作用することを利用して、潤滑油よりも密度の大きい異物8を異物分離部において潤滑油から分離できる。したがって、回転体の分岐給油孔6から、回転体とすべり軸受2との間に異物8が供給されること自体が抑制されるので、すべり軸受2とシャフト3とのしゅう動部における摩耗を従来よりも抑制することができる。
また、異物分離部は、分岐給油孔6の内壁31のうち回転方向後側の内壁部31aに設けられた凹形状の異物分離空間7aである。これにより、異物8が回転体の主給油孔5から潤滑油の流れに沿って分岐給油孔6に移動しても、分岐給油孔6を流れる潤滑油及び異物8に、慣性力の一種であるコリオリ力が作用することを利用して、潤滑油よりも密度の大きいから異物8を異物分離空間7aに流入させ、潤滑油から分離でき、異物8がすべり軸受2と回転体のしゅう動部に供給されることを抑制することができる。
また、異物分離空間7aは、軸方向において、少なくとも分岐給油孔6の軸方向の幅以上の幅を有する。これにより、分岐給油孔6においてより多くの異物8を異物分離空間7aに流入させることができるので、なお良い。
図3は、実施の形態1に係る軸受構造1の異物分離空間7aの変形例を示す縦断面図であり、軸受構造におけるすべり軸受2を切断してシャフト3の外周面を露出させた縦断面図である。図4は、図3のA-A線に沿うシャフト3の縦断面図である。図5は、図4のシャフト3における分岐給油孔6付近を含む破線Cで囲った部分の部分拡大図である。図4及び図5には、異物8の排出方向が二点鎖線の白抜き矢印Fdで示される。また、図5には、コリオリ力の作用方向が実線の白抜き矢印Fcで示される。
図3に示されるように、分岐給油孔6の途中でシャフト3の外部に向けて連通する異物排出孔32fが設けられている。図3~5のシャフト3を軸長方向の真上から見た時に時計方向に軸は回転している(図1の矢印Rを参照)。この場合、図4及び図5に示されるように、回転方向後側に異物粒子にコリオリ力が作用する(図5の白抜き矢印Fcを参照)。このため、異物排出孔32fは、分岐給油孔6の内壁31から回転方向後側に延びるように設けられる。また、異物排出孔32fは、分岐給油孔6の内壁31から軸方向の下側に延びるように設けられ、異物排出孔32fの出口32foは、シャフト3の外周面においてすべり軸受2から露出した部分すなわちしゅう動部の外側に設けられる。異物排出孔32fは、軸方向で上側に延伸しても下側に延伸してもよいが、下側に延伸することが好ましい。下側に延伸することで、潤滑油よりも密度が大きい異物8を、潤滑油の流れから分離して排出し易いからである。異物排出孔32fの直径は異物粒子よりも大きいサイズである必要がある。一方、異物排出孔32fの直径が大き過ぎると、すべり軸受2とシャフト3との間に形成される隙間G(図3参照)に供給される油量が少なくなるため、異物排出孔32fの直径の上限は分岐給油孔6の直径の5分の1程度がよい。
以上のように、図3~図5に示される変形例では、回転体は、すべり軸受2の内周面21と直接しゅう動するように支持されたシャフト3であって、回転体の分岐給油孔6から回転方向後側に向けて設けられた異物排出孔32fを含むものである。そして、異物分離空間7aは、シャフト3の分岐給油孔6と異物排出孔32fとにより形成されている。
これにより、異物分離空間7aを図4に示される異物排出孔32fで構成することで、図1に示されるように異物分離空間7aが凹形状である場合と比べ、異物分離空間7a内に出口32foへ向かう潤滑油及び異物8の流れが生じる。そして、異物排出孔32fは分岐給油孔6から回転方向後側に向けて設けられているので、潤滑油及び異物8が分岐給油孔6を通る際に潤滑油よりも密度が大きい異物8が、異物排出孔32fに流入し易く、異物8の分離が容易となる。
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る軸受構造1のシャフト3の横断面図である。図7は、図6のA-A線に沿う縦断面図である。図8は、図6のB-B線に沿う縦断面図である。
図6~図8に示されるように、実施の形態2の軸受構造1においても、実施の形態1の場合と同様に、回転体はシャフト3で構成されており、すべり軸受2の内周面21に対してシャフト3の外周部32がしゅう動する。また、実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様に、シャフト3には、主給油孔5、分岐給油孔6及び異物分離空間7aが設けられている。
実施の形態2では、シャフト3が、分岐給油孔6を分割するように複数の部材で構成されている点が、実施の形態1の場合とは異なり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。実施の形態2では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
図6~図8に基づき、シャフト3の一構成例について説明する。図6に示されるように、シャフト3は、シャフト3の大部分を構成する第2部材3bと、シャフト3の外周側の一部を構成する第1部材3aと、により構成されている。第2部材3bには、主給油孔5と、分岐給油孔6及び異物分離空間7aにおける主給油孔5側の部分と、が含まれる。また、第1部材3aには、分岐給油孔6及び異物分離空間7aにおける排出口32o側の部分が含まれる。つまり、第1部材3aと第2部材3bとが組み立てられて、シャフト3の分岐給油孔6及び異物分離空間7aが形成されている。
第1部材3aは、分岐給油孔6の中心線と垂直に交わり、且つ異物分離空間7aを通る第1平面部35aを有し、第2部材3bもまた、分岐給油孔6の中心線と垂直に交わり、且つ異物分離空間7aを通る第2平面部35bを有している。第1平面部35a及び第2平面部35bはそれぞれ、軸Axと略平行な面である。なお、図6において分岐給油孔6の中心線はB-B線と重複するので図示を省略している。
第1部材3aにおいて第1平面部35aの横方向両端には、例えば凹凸面で構成された第1嵌合部36aが形成され、第2部材3bにおいて第2平面部35bの横方向両端には、例えば凹凸面で構成され、第1嵌合部36aと嵌合する第2嵌合部36bが形成されている。第2部材3bの第2嵌合部36bは、第1部材3aの外周側に回り込むように設けられた一対の爪(不図示)を形成しており、この一対の爪により、第1部材3aが第2部材3bの径方向外側に抜け落ちないように構成されている。第1嵌合部36aと第2嵌合部36bとが嵌合することにより、第1部材3aの第1平面部35aと第2部材3bの第2平面部35bとが対面する。
次に、このようなシャフト3の製造方法について説明する。まず、図6に示されるように、主給油孔5を有する円筒形状のシェル材の外周側の一部を他の部分から切り離して、第1部材3aと第2部材3bとが形成される。このとき、横方向の両側では、凹凸面でシェル材が分割されて第1嵌合部36a及び第2嵌合部36bが形成される。また、横方向の中央部では、軸Axと平行な面でシェル材が分割されて第1平面部35a及び第2平面部35bが形成される。外周側の一部が第1部材3aとなり、他の部分が第2部材3bとなる。
また、図7に示されるように、シェル材において軸方向の予め決められた高さに、シェル材の外周部から主給油孔5へ貫通する円柱状の分岐給油孔6が開口される。分岐給油孔6は、第1部材3aと第2部材3bとを貫通するように径方向に設けられる。その後、第1部材3aを第2部材3bから軸方向に引き抜いて第1部材3aと第2部材3bとが分離される。
図8に示される第1部材3aと第2部材3bとを分離した後、第1部材3a及び第2部材3bそれぞれに、異物分離空間7aが形成される。実施の形態2の図6~8に示される例では、分岐給油孔6をシャフト3の径方向で分断するようにシャフト3が第1部材3aと第2部材3bとに分けられるので、フライス加工により異物分離空間7aを形成することができる。具体的には、第1部材3aにおいて第1平面部35aからフライス加工を行い、また、第2部材3bにおいて第2平面部35bからフライス加工を行うことで、異物分離空間7aを形成することができる。
その後、第1部材3aの第1嵌合部36aと第2部材3bの第2嵌合部36bとが噛み合うように第1部材3aと第2部材3bとが組み立てられて、分岐給油孔6及び異物分離空間7aが形成される。
なお、製造方法において、分岐給油孔6を形成する工程を実施するタイミングは上記のタイミングに限定されない。例えば、シェル材を第1部材3aと第2部材3bとに切り離す工程よりも前に、分岐給油孔6を形成する工程が行われてもよい。
また、シャフト3を構成する部材の数及びシャフト3を構成する各部材の形状は、特に上記のものに限定されない。
図9は、実施の形態2に係る軸受構造1のシャフト3の変形例を示す横断面図である。図10は、図9のA-A線に沿う縦断面図であり異物分離空間7aの加工方法を示す図である。図6~図8の構成例では、軸Axに平行な面でシャフト3が分割されていたが、図9~図10に示される変形例では、シャフト3は軸Axに垂直な面で分割されている。
図9に示されるように、シャフト3は、シャフト3の軸方向の一方すなわち上側部分を構成し、分岐給油孔6及び異物分離空間7aの上側部分を含む第1部材3a(不図示)と、シャフト3の軸方向の他方すなわち下側部分を構成し、分岐給油孔6及び異物分離空間7aの下側部分を含む第2部材3bと、を有している。第1部材3aと第2部材3bとが組み立てられて、シャフト3の分岐給油孔6及び異物分離空間7aが形成される。つまり、実施の形態2の変形例では、図9に示されるように、第1部材3a(不図示)及び第2部材3bのいずれも略円柱形状を有している。また、実施の形態2の変形例では、図10に示されるように、分岐給油孔6及び異物分離空間7aのそれぞれは四角形状の断面形状を有している。
図示していないが、実施の形態2の変形例では、第1部材3aの下端部と第2部材3bの上端部とで嵌合する構成とされ、第1部材3aの下面部と第2部材3bの上面部35cとが対向する。
実施の形態2の図9~10に示される変形例では、分岐給油孔6を軸Axに垂直な面で上下に分断するようにシャフト3が第1部材3aと第2部材3bとに切り分けられるので、フライス加工により異物分離空間7aを形成することができる。具体的には、第2部材3bにおいて上面部35cからフライス加工を行い、また、第1部材3aにおいて下面部からフライス加工を行うことで、異物分離空間7aを形成することができる。具体的には、回転する切削工具200を、第2部材3bの上面部35cにおいて分岐給油孔6の予定位置に下ろして切削する。また、分岐給油孔6の中心線に対して横方向に垂直にフライス加工を施すことにより、異物分離空間7aが形成される。
なお、図10に示されるように分岐給油孔6及び異物分離空間7aのそれぞれが四角形状の断面形状を有する場合、第2部材3bにのみフライス加工を行い、第1部材3aの下面部により分岐給油孔6及び異物分離空間7aの上壁を構成するようにしてもよい。
実施の形態2の図6~8に示される例、及び図9~10の変形例においても、分岐給油孔6で異物8が潤滑油から分離され異物分離空間7aに捕集されるので、実施の形態1の場合と同様に、従来よりもしゅう動部の摩耗を抑制することができるという効果が得られる。
また、実施の形態2に係る軸受構造1において、回転体は、シャフト3で構成され、シャフト3は、分岐給油孔6の一部を含む第1部材3aと、分岐給油孔6の残りの部分を含む第2部材3bと、により構成されている。
これにより、第1部材3aと第2部材3bとの分割面(第1平面部35a等)からフライス加工を施して異物分離空間7aが形成できるので、3Dプリンタ等の特別な装置が不要となり、製造コストの増加を回避できる。
実施の形態3.
図11は、実施の形態3に係る軸受構造1の回転体の構成を示す縦断面図である。図12は、図11のA-A線に沿う部分横断面図である。実施の形態3では、回転体が、シャフト3と、シャフト3の外周部32に嵌められ円筒形状のスリーブ9と、により構成されている点が、実施の形態1の場合とは異なり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。実施の形態3では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。以下、実施の形態3の軸受構造1について、図11及び図12に基づき説明する。
スリーブ9は、シャフト3に固定されており、シャフト3と同じ回転数で回転する。つまり、実施の形態3では、すべり軸受2としゅう動する相手材はスリーブ9であり、すべり軸受2の内周面21とスリーブ9の外周部92との間の隙間G(図1参照)に、潤滑油が供給される。
図12に示されるように、スリーブ9には、径方向に貫通するスリーブ給油孔62が設けられ、シャフト3には、径方向に貫通するシャフト給油孔61が設けられ、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とにより、回転体の分岐給油孔6が構成されている。回転体の周方向において、スリーブ給油孔62は、シャフト給油孔61と同じ位置に設けられ、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とが一直線上に配置され、直接連通している。スリーブ9の外周部92に設けられたスリーブ給油孔62の開口部が、分岐給油孔6の排出口92oとなる。
ここで、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とが一直線上に配置されるとは、図12に示されるように、シャフト給油孔61の中心線(図12に一点鎖線で示される)とスリーブ給油孔62の中心線とが一直線上に配置されることをいう。図12に示される例では、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とが一直線上に設けられ、且つ、スリーブ給油孔62は、シャフト給油孔61の径と同じ径を有し、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61との境界部で分岐給油孔6の内壁31は面一になっている。なお、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61の径は異なっていても良い。
図11及び図12には、シャフト3が一部材で構成されるものとして示しているが、実施の形態2で示したような複数の部材を組立てることにより異物分離空間7aを形成する、複数の部材でシャフト3が構成されていてもよい。
シャフト給油孔61の排出口32oの縁部における回転方向(矢印R方向)後側には、シャフト3の外周部32が凹んで形成された第1外周凹部32aが設けられている。異物分離空間7aは、シャフト3の第1外周凹部32aとスリーブ9の内周面91とにより形成されている。すなわち、実施の形態3においても、異物分離空間7aは、回転体の分岐給油孔6の内壁31のうち回転方向(矢印R方向)後側の内壁部31aに、排出口92oよりも手前に設けられている。
以下、実施の形態3の軸受構造1の製造方法の一例について説明する。スリーブ9にスリーブ給油孔62を形成し、シャフト3にシャフト給油孔61及び第1外周凹部32aを形成した後、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とが対向するようにシャフト3の外周部32にスリーブ9を嵌めて固定する。
なお、分岐給油孔6を形成するタイミングは上記の場合に限定されない。例えば、シャフト3の外周部32にスリーブ9を嵌めた状態でスリーブ9の外周部92側からスリーブ給油孔62及びシャフト給油孔61をあけ、その後、スリーブ9とシャフト3とを分離して、シャフト3に第1外周凹部32aを形成してもよい。
以上のように、実施の形態3に係る軸受構造1においても、分岐給油孔6で異物8が潤滑油から分離され異物分離空間7aに捕集されるので、実施の形態1の場合と同様に、従来よりもしゅう動部の摩耗を抑制することができるという効果が得られる。
また、実施の形態3では、回転体は、円筒形状のシャフト3と、シャフト3の外周部32に嵌められ、シャフト3とともに回転する円筒形状のスリーブ9と、により構成されている。回転体の分岐給油孔6は、シャフト3に設けられたシャフト給油孔61と、スリーブ9に設けられたスリーブ給油孔62と、を含むものである。シャフト給油孔61の開口縁(排出口32oの縁部)における回転方向(矢印R方向)後側には、シャフト3の外周部32が凹んで形成された第1外周凹部32aが設けられている。異物分離空間7aは、シャフト3の第1外周凹部32aとスリーブ9の内周面91とにより形成されている。
これにより、シャフト3とスリーブ9とを分離した状態でシャフト3の外周部32に第1外周凹部32aを設け、その後にシャフト3とスリーブ9とを組み付けることで、分岐給油孔6の途中に異物分離空間7aを有する軸受構造1を製造できる。よって、3Dプリンタ等の特別な装置を用いずに容易に製造できる。
また、回転体の周方向において、スリーブ給油孔62は、シャフト給油孔61と同じ位置に設けられており、回転体の分岐給油孔6は、シャフト給油孔61とスリーブ給油孔62とで構成されている。これにより、分岐給油孔6において潤滑油の主流の流れが阻害されないので、異物8を異物分離空間7aに分離しつつ、潤滑油をしゅう動部へ円滑に供給することができる。
実施の形態4.
図13は、実施の形態4に係る軸受構造1の回転体の構成を示す縦断面図である。図14は、図13のA-A線に沿う部分横断面図である。
実施の形態4の軸受構造1においても、実施の形態3の場合と同様に、回転体はシャフト3とスリーブ9とで構成されている。ただし、実施の形態4では、回転体の分岐給油孔6の形状が、実施の形態3の場合とは異なる。以下、図13~図14を参照して、実施の形態4に係る軸受構造1の構成について説明する。
実施の形態4では、図14に示されるように、回転体の周方向において、スリーブ給油孔62は、シャフト給油孔61よりも回転方向(矢印R方向)前側の位置に設けられており、スリーブ給油孔62の入口は、シャフト給油孔61の排出口32oよりも回転方向前側に設けられている。回転体は、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とを連通させる給油空間63を有しており、分岐給油孔6は、シャフト給油孔61とスリーブ給油孔62と給油空間63とにより構成されている。
シャフト給油孔61の排出口32oの縁部における回転方向(矢印R方向)前側には、シャフト3の外周部32が凹んで形成された第2外周凹部32bが設けられている。給油空間63は、シャフト3の第2外周凹部32bとスリーブ9の内周面91とにより形成されている。すなわち、実施の形態4では、シャフト給油孔61の排出口32oの縁部における回転方向(矢印R方向)後側と前側の双方において、シャフト3の外周部32が凹んだ構成とされている。
図13及び図14に示される例では、第1外周凹部32a及び第2外周凹部32bは、図13に示されるように、シャフト給油孔61の排出口32oの軸方向の幅と同じ幅を有し、第1外周凹部32aと第2外周凹部32bとにより横長の長方形状を呈している。そして、図13及び図14に示される例では、第1外周凹部32aと第2外周凹部32bとは、図14に示されるように、シャフト3の外周部32が同一平面で切り欠かれた形状とされている。
以下、実施の形態4の軸受構造1の製造方法の一例について説明する。スリーブ9にスリーブ給油孔62を形成し、シャフト3にシャフト給油孔61を形成する。また、シャフト3の外周部32に切削工具200を当てつつ、シャフト給油孔61の中心線と垂直な面に沿って横方向に通過させることで、第1外周凹部32a及び第2外周凹部32bを形成する。その後、シャフト3の第2外周凹部32bとスリーブ給油孔62とが対向するようにシャフト3の外周部32にスリーブ9を嵌めて固定する。
以上のように、実施の形態4に係る軸受構造1においても、分岐給油孔6で異物8が潤滑油から分離され異物分離空間7aに捕集されるので、実施の形態1の場合と同様に、従来よりもしゅう動部の摩耗を抑制することができるという効果が得られる。
また、実施の形態4では、回転体の周方向において、スリーブ給油孔62は、シャフト給油孔61よりも回転方向(矢印R方向)前側の位置に設けられている。シャフト給油孔61の開口縁(排出口32oの縁部)における回転方向前側には、シャフト3の外周部32が凹んで形成された第2外周凹部32bが設けられ、シャフト3の第2外周凹部32bとスリーブ9の内周面91とにより給油空間63が形成されている。そして、回転体の分岐給油孔6は、シャフト給油孔61とスリーブ給油孔62と給油空間63とにより構成されている。
これにより、分岐給油孔6における排出口92oよりも手前側において異物8を滞留させる空間の容積を増加させることができ、より多くの異物8を回転体内に留めることができるので、異物8が排出口92oから外側へ流出することが抑制される。また、スリーブ給油孔62を、シャフト給油孔61よりも回転方向(矢印R方向)前側の位置に設けることによって、分岐給油孔6がスリーブ給油孔62よりも手前で回転方向前側に曲がった構成となる。よって、潤滑油よりも大きなコリオリ力が作用する異物8がスリーブ給油孔62に到達することが抑制される。これは、回転中のシャフト3においては、回転方向とは逆方向に作用するコリオリ力よりも大きな回転方向の力は異物8に作用しないためである。したがって、実施の形態4では、分岐給油孔6が一直線に設けられた実施の形態3の場合と比べ、すべり軸受2とスリーブ9の隙間Gに供給される異物8の量をさらに抑制することができる。
実施の形態5.
図15は、実施の形態5に係る軸受構造1の回転体の構成を示す縦断面図である。図16は、図15のA-A線に沿う部分横断面図である。
実施の形態5の軸受構造1においても、実施の形態3の場合と同様に、回転体はシャフト3とスリーブ9とで構成されている。ただし、実施の形態5では、シャフト3の形状が、実施の形態3の場合とは異なる。以下、図15~図16を参照して、実施の形態5に係る軸受構造1の構成について説明する。
実施の形態5では、シャフト3は、外周部32が樽型となるクラウニング部3cを有している。クラウニング部3cは、シャフト3における軸方向の一部に設けられている。スリーブ9は、クラウニング部3cの外周部を覆うようにシャフト3の外周部32に嵌められて固定されており、クラウニング部3cとスリーブ9とは同じ回転数で回転する。クラウニング部3cは、シャフト3が傾斜した場合でも、すべり軸受2とスリーブ9とが平行の位置関係を維持するように設けられている。
シャフト給油孔61及び第1外周凹部32aは、シャフト3のクラウニング部3cに設けられており、クラウニング部3cに設けられた第1外周凹部32aとスリーブ9の内周面91とによって異物分離空間7aが形成されている。なお、図15には、実施の形態3の構成にクラウニング部3cを適用した場合について示しているが、実施の形態4の構成にクラウニング部3cを適用してもよい。実施の形態4の構成にクラウニング部3cを適用する場合、クラウニング部3cに、シャフト給油孔61、第1外周凹部32a及び第2外周凹部32bが設けられる。
以上のように、実施の形態5に係る軸受構造1においても、分岐給油孔6で異物8が潤滑油から分離され異物分離空間7aに捕集されるので、実施の形態1の場合と同様に、従来よりもしゅう動部の摩耗を抑制することができるという効果が得られる。
また、実施の形態5では、シャフト3の軸方向の一部には、シャフト3の外周部32が樽型となるクラウニング部3cが設けられ、シャフト給油孔61及び第1外周凹部32aは、シャフト3のクラウニング部3cに設けられている。そして、スリーブ9は、クラウニング部3cの外周を覆うようにシャフト3の外周部32に嵌められている。これにより、シャフト3にクラウニング部3cが設けられている場合でも異物8を分離する構成を適用でき、汎用性が増す。
実施の形態6.
図17は、実施の形態6に係る軸受構造1の回転体の構成を示す縦断面図である。図18は、図17のA-A線に沿う部分横断面図である。
実施の形態6の軸受構造1においても、実施の形態5の場合と同様に、シャフト3にクラウニング部3cが設けられ、クラウニング部3cの外周部を覆うようにスリーブ9が設けられ、クラウニング部3cの外周部に第1外周凹部32aが設けられている。ただし、実施の形態6では、シャフト3の外周部32に異物貯留溝32c及び異物排出溝32dが形成されている点が、実施の形態5の場合とは異なる。以下、図17~図18を参照して、実施の形態6に係る軸受構造1の構成について説明する。
第1外周凹部32a、異物貯留溝32c及び異物排出溝32dは、シャフト3の外周部32においてスリーブ9に覆われた部分に形成されている。異物貯留溝32cは、第1外周凹部32aから軸方向に離れた位置において、周方向に沿って設けられている。異物排出溝32dは、第1外周凹部32aと異物貯留溝32cとを連通させる。異物分離空間7aに捕集された異物8が異物貯留溝32cを介して異物貯留溝32cに流れ込み、異物貯留溝32cにより回収される。
図17に示される例では、異物貯留溝32cは、クラウニング部3cにおける軸方向の端部に設けられている。具体的には、シャフト3の外周部32においてクラウニング部3cよりも上の部分とクラウニング部3cとの境界、及び、シャフト3の外周部32においてクラウニング部3cよりも下の部分とクラウニング部3cとの境界に、それぞれ異物貯留溝32cが形成されている。図17に示される例では、2つの異物貯留溝32cは、それぞれが異物分離空間7aと離間して設けられており、第1外周凹部32aの上端から上側の異物貯留溝32cに向かって異物排出溝32dが設けられ、また、第1外周凹部32aの下端から下側の異物貯留溝32cに向かって異物排出溝32dが設けられている。
異物排出溝32dの形状は、異物8に作用するコリオリ力の向きを参考にして決められる。図17に示される例では、第1外周凹部32aから延伸する異物排出溝32dは、シャフト3の回転方向(矢印R方向)とは逆方向を向くように傾斜している。すなわち、異物排出溝32dは、第1外周凹部32aから異物貯留溝32cに向かうに従い回転方向と逆向きすなわち回転方向後方に傾斜して設けられている。このように異物排出溝32dが設けられることにより、異物貯留溝32cから異物分離空間7aに異物8が逆流することが抑制される。
実施の形態6においても、実施の形態5の場合と同様に、シャフト給油孔61はシャフト3のクラウニング部3cに設けられている。図18に示される例では、実施の形態3の場合と同様に、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とは一直線上で直接連通して設けられている。なお、実施の形態4に示されるように、周方向において、スリーブ給油孔62はシャフト給油孔61よりもシャフト3の回転方向前側に設けられ、給油空間63を介してスリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とが連通する構成としてもよい。
コリオリ力の作用により潤滑油と分離して異物分離空間7aに捕集された異物8は、さらに、コリオリ力の作用により、異物分離空間7aから異物排出溝32dを通じて異物貯留溝32cに流れ込み、回収される。実施の形態6の場合、異物排出溝32dが設けられているので、シャフト3が逆方向に回転しない限り、異物貯留溝32cから異物分離空間7aに異物8が逆流することはない。
以上のように、実施の形態6に係る軸受構造1においても、分岐給油孔6で異物8が潤滑油から分離され異物分離空間7aに捕集されるので、実施の形態1の場合と同様に、従来よりもしゅう動部の摩耗を抑制することができるという効果が得られる。
また、実施の形態6では、シャフト3の外周部32におけるスリーブ9に覆われた部分には、第1外周凹部32aから軸方向に離れて設けられた異物貯留溝32cと、第1外周凹部32aと異物貯留溝32cとを連通させる異物排出溝32dと、が形成されている。
これにより、異物分離空間7aに捕集された異物8を異物貯留溝32cに回収することによって、より多くの異物8を回転体内に滞留させることができるので、すべり軸受2とスリーブ9との間の隙間Gに供給される異物8の量を抑制することができる。さらには、回収した異物8を排出口92oからより深い流路すなわち異物貯留溝32cに滞留させることができる。よって、異物分離空間7aに一度捕集された異物8が再び分岐給油孔6に流れてしまうことが抑制され、隙間Gへ供給される異物8の量をより確実に低減することができる。
また、シャフト3の軸方向の一部には、シャフト3の外周部32が樽型となるクラウニング部3cが設けられ、シャフト給油孔61及び第1外周凹部32aは、シャフト3のクラウニング部3cに設けられている。スリーブ9は、クラウニング部3cの外周を覆うようにシャフト3の外周部32に嵌められており、異物貯留溝32cは、クラウニング部3cにおける軸方向の端部に設けられている。
これにより、クラウニング部3cの形状を利用して、樽型に膨らんだクラウニング部3cの外周部に膨らんだ部分に第1外周凹部32a及び異物排出溝32dといった凹みを設け、クラウニング部3cの端部のくびれた部分に異物貯留溝32cを設けることができる。よって、スリーブ9との間に異物8を滞留させる構造を容易に形成できる。
図19は、実施の形態6に係る軸受構造1の回転体の第1変形例を示す縦断面図である。図20は、図19のA-A線に沿う部分横断面図である。図19及び図20に基づき、実施の形態6の第1変形例について説明する。
図20に示されるように、実施の形態6の第1変形例では、実施の形態4の場合と同様に、周方向において、スリーブ給油孔62はシャフト給油孔61よりもシャフト3の回転方向前側に設けられている。クラウニング部3cの外周部には第1外周凹部32aと第2外周凹部32bとがひとつながりに設けられ、第1外周凹部32aとスリーブ9の内周面91とにより形成された給油空間63により、スリーブ給油孔62とシャフト給油孔61とが連通されている。また、実施の形態6の変形例では、軸Axと平行な面内に形成された第1外周凹部32a及び第2外周凹部32bの側面32sに対して、シャフト給油孔61が傾斜して設けられている。具体的には、シャフト給油孔61の排出口32oが、スリーブ給油孔62の入口から離れるように、シャフト給油孔61は回転方向(矢印R方向)後方へ傾斜している。
図19に示されるように、シャフト給油孔61の排出口32oの縁部から離間して縁部の軸方向両側に、異物貯留溝32cが設けられている。実施の形態6の変形例では、第1外周凹部32aと第2外周凹部32bとは、シャフト給油孔61の排出口32oの縁部全てを含むように、上側の異物貯留溝32cと下側の異物貯留溝32cとの間にわたって設けられている。すなわち、異物分離空間7aは異物貯留溝32cに直接つながっており、異物排出溝32dは設けられていない。
実施の形態6の第1変形例のシャフト3において、ひと続きの異物分離空間7a及び給油空間63を形成する方法として、実施の形態4の場合と同様に、例えば、フライス加工によってクラウニング部3cの外周部の周方向の一部を除去加工する方法がある。
以上のように、実施の形態6の第1変形例では、シャフト3の外周部32におけるスリーブ9に覆われた部分には、シャフト給油孔61の開口縁(排出口32oの縁部)から離間してその軸方向両側に異物貯留溝32cが設けられている。第1外周凹部32aは、軸方向において2つの異物貯留溝32cの間に渡って設けられている。これにより、異物排出溝32dを設ける必要がないので、製造工程が簡素化される。
また、実施の形態6の第1変形例では、シャフト3の外周部32におけるスリーブ9に覆われた部分には、シャフト給油孔61の開口縁(排出口32oの縁部)から離間してその軸方向両側に異物貯留溝32cが設けられている。第1外周凹部32aと第2外周凹部32bとは、ひと続きに設けられ、軸方向において2つの異物貯留溝32cの間に渡って設けられている。そして、シャフト給油孔61は、第1外周凹部32a及び第2外周凹部32bの側面32sに対して傾斜して交わり、回転方向後方へ傾いている。
これにより、異物8を含んだ潤滑油がスリーブ給油孔62から離れた空間へ放出されるので、潤滑油よりも大きなコリオリ力が作用する異物8がスリーブ給油孔62に到達することがより確実に抑制される。結果、隙間Gに供給される異物8の量をさらに抑制することができる。
図21は、実施の形態6に係る軸受構造1の回転体の第2変形例を示す横断面図である。図21に示されるように、第2変形例では、シャフト3の外周部32の輪郭が、円弧と複数の直線を組み合わせた形状とされる。なお、シャフト3の外周部32の輪郭は、複数の直線から成る多角形又は複数の円弧から成る多円弧の形状であっても良い。第2変形例では、シャフト3の外周部32とスリーブ9の内周部とにより異物分離空間7aが形成される。これにより、シャフト給油孔61から出た潤滑油中の異物8を捕集することができる。結果、隙間Gに供給される異物8の量を抑制することができる。
図22は、実施の形態6に係る軸受構造1の回転体の第3変形例を示す縦断面図である。図23は、図22のA-A線に沿う部分横断面図である。図23には、図20に示したシャフト給油孔61と第1外周凹部32a及び第2外周凹部32bの側面32sとの投影位置が破線Pで示される。
図22に示されるように、第3変形例では、シャフト3において樽型のクラウニング部3cの上側と下側とに、それぞれ異物貯留溝32cを介して円筒形状の円筒部3dが設けられている。また、シャフト3において上側の円筒部3dのさらに上側には、円筒部3dに対して偏心した偏心部30が設けられている。シャフト3の軸方向でクラウニング部3cと、その上側及び下側にそれぞれ設けられた異物貯留溝32c及び円筒部3dとは、スリーブ9により覆われ、偏心部30は、スリーブ9から露出している。
第3変形例では、図22及び図23に示されるように、シャフト3の円筒部3dの外周部32に切り欠きを設けることにより、スリーブ9の内周面91との間に異物排出空間32eが設けられている。図22に示されるように、異物排出空間32eは、上側の円筒部3dの外周部32に、その上端から下端まで軸方向に延伸して設けられ、異物貯留溝32cと円筒部3dの上方の空間とを連通する。シャフト給油孔61から出た異物8は、図22に矢印F20で示される軌跡を描きながら、回転方向(矢印R方向)へ回転するシャフト3に対して回転方向後側へ移動しつつ、第1外周凹部32a、異物貯留溝32c、及び異物排出空間32eを通ってシャフト3の外部に排出される。
なお、図示していないが、シャフト給油孔61の上側の円筒部3dだけでなく下側の円筒部3dにも異物排出空間32eを設けても良い。また、図22ではシャフト3の外周部32におけるスリーブ9で覆われた部分にのみ異物排出空間32eが設けられているが、異物排出空間32eは、シャフト3の外周部32におけるスリーブ9から露出した部分まで延出していても良い。
また、異物排出空間32eは、図17の異物排出溝32dの形状のように、シャフト3が回転した時に異物分離空間7aから異物を積極的に排出する方向に傾斜した形状を有するものであっても良い。すなわち、異物排出空間32eは、軸方向で入口である異物貯留溝32cの側から出口に向かうに従い回転方向(矢印R方向)と逆向きすなわち回転方向後方に傾斜して設けられても良い。
さらに、異物排出空間32eは、図22及び図23に示されるように、シャフト給油孔61の投影位置よりも回転方向後方の角度に設けても良い。すなわち、図23に示されるように、投影したシャフト給油孔61(破線P参照)の中心軸線L1よりも異物排出空間32eの中心軸線L2が回転方向(矢印R方向)で後方となるように、異物排出空間32eが設けられてもよい。ここで、異物排出空間32eの中心軸線L2とは、シャフト3の周方向における異物排出空間32eの中心とシャフト3の軸Axとを通る直線である。なお、図23には、シャフト給油孔61の投影位置を、破線Pを用いて図示したが、図22に示されるように、軸方向において異物排出空間32eが設けられる位置はシャフト給油孔61が設けられる位置と異なる。
以上のように、図22及び図23に示される第3変形例では、シャフト3の外周部32におけるスリーブ9で覆われた部分には、異物貯留溝32cと、異物貯留溝32cとシャフト3の外周部32におけるスリーブ9で覆われた部分の外側とを連通させる異物排出空間32eと、が形成されている。これにより、異物分離空間7aと給油空間63に捕集された異物が異物排出空間32eを通じて軸受構造の外側に排出される。結果、隙間Gに供給される異物8の量をさらに抑制することができる。
図24は、実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第4変形例を示す横断面図である。図24に示されるように、スリーブ9の内周面91にキー溝のように、異物排出空間32eを設けてもよい。異物排出空間32eによって、異物分離空間7aに滞留する異物8を多く含んだ潤滑油を積極的に排出することができる。
図25は、実施の形態6に係る軸受構造の回転体の第5変形例を示す横断面図である。図25に示されるように、実施の形態6の第5変形例では、異物分離空間7aがスリーブ9の内周面91に設けられている。第5変形例において異物分離空間7aは、例えばワイヤ放電加工によって形成される。ワイヤ放電加工によりスリーブ9の内周面91の軸方向の全長にわたって溝が形成された場合、実施の形態6の第4変形例(図24参照)で示した異物排出空間32eも同時に形成される。異物分離空間7aを形成する方法は上記の方法に限定されず、異物分離空間7aは、内面研削盤によってスリーブ9の内周面91に凹みを加工することで形成しても良い。
以上のように、異物分離空間7a及び異物排出空間32eをスリーブ9に設けた場合でも、異物分離空間7a及び異物排出空間32eをシャフト3に設けた場合と同様、異物分離空間7aに捕集された異物8が異物排出空間32eを通じて軸受構造の外側に排出される。結果、隙間Gに供給される異物8の量をさらに抑制することができる。
実施の形態7.
図26は、実施の形態7に係る軸受構造のシャフト3の変形例を示す縦断面図である。図27は、図26のA-A線に沿う部分横断面図である。実施の形態7において、異物分離部は、分岐給油孔6の入口側に設けられ、分岐給油孔6の入口から主給油孔5内に延出した異物分離壁7bで構成される。図26及び図27に示されるように、異物分離壁7bが主給油孔5の中心付近まで設けられている。すなわち、分岐給油孔6の入口が、主給油孔5の内壁面(シャフト3の内周面33)よりも主給油孔5の中心の近くに設けられている。分岐給油孔6の入口に異物分離壁7bを形成する方法として、例えば分岐給油孔6内に円筒形状の異物分離壁形成部材7cを挿入する方法がある。分岐給油孔6内に挿入された異物分離壁形成部材7cにおける、主給油孔5内に突出した軸Ax側の端部が、異物分離壁7bである。
図27に示されるように、異物分離壁7bにおける回転方向(矢印R方向)後側の壁部7b1と、主給油孔5の内壁面との間には、空間7a1が形成される。すなわち、分岐給油孔6の入口から主給油孔5内に延出する異物分離壁7bにより、分岐給油孔6の入口の回転方向(矢印R方向)後側には空間7a1が形成される。
シャフト3が回転している時、潤滑油は、シャフト3の下端から主給油孔5の中に、給油方向(矢印Fo方向)である上向きに吸入される。主給油孔5の中の潤滑油は、シャフト3の回転方向(矢印R方向)と同じ方向の旋回流を生じながら上方へ移動する。旋回流を形成する潤滑油中に異物8が存在すると、異物8も潤滑油とともに旋回する。異物8には遠心力が作用するので、異物8は、主給油孔5内において軸Axから遠い側をシャフト3の内周面33に沿ってシャフト3の回転方向(矢印R方向)と同じ方向に流れる。主給油孔5の内壁面(内周面33)に沿って旋回する異物8は、異物分離壁7bの壁部7b1により回転方向前側への移動を阻止されて、分岐給油孔6の入口の回転方向後側の空間7a1に捕集される。
以上のように、実施の形態7に係る軸受構造1においても、分岐給油孔6の回転方向後側には異物8が潤滑油から分離される異物分離部が設けられているので、実施の形態1の場合と同様に、異物8によるしゅう動部の摩耗を抑制する効果が得られる。
また、実施の形態7に係る軸受構造1は、分岐給油孔6の入口から主給油孔5内に延びた異物分離壁7bを備え、異物分離壁7bと、異物分離壁7bにより分岐給油孔6の入口の回転方向後側に形成される空間7a1とが、異物分離部として機能する。したがって、潤滑油及び異物8が流れる方向において分岐給油孔6の入口よりも上流側で、潤滑油から異物8を分離して捕集でき、異物8が分岐給油孔6の入口から吸い込まれること自体を抑制することができる。
実施の形態8.
図28は、実施の形態8に係る圧縮機12の構成を示す縦断面図である。実施の形態8では、図17及び図18に示される実施の形態6を、圧縮機12に適用した場合について説明する。圧縮機12は、例えば空調機及び冷凍機等の空調冷熱機器に使用される密閉型の圧縮機である。以下、圧縮機12がスクロール圧縮機であるものとして、図28に基づき圧縮機12の構成について説明する。なお、例えばロータリ圧縮機等の他の圧縮機に本開示を適用することもできる。実施の形態8では、実施の形態1と同一部分には同一符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明するものとする。
圧縮機12は、外郭を構成する密閉容器103と、固定スクロール101と、揺動スクロール102と、偏心部30を有するクランクシャフト107と、を有する。密閉容器103には、冷媒の吸入口109、及び、圧縮された冷媒の吐出口110が設けられている。クランクシャフト107は、上記のシャフト3に相当する。クランクシャフト107は、揺動スクロール102に冷媒を圧縮する動力を伝達する。固定スクロール101及び揺動スクロール102は、それぞれ渦巻状の歯型形状を有する。
また、圧縮機12は、円筒形状のスライダー106と、円筒形状のスリーブ9と、を有する。スライダー106は、クランクシャフト107の偏心部30に嵌められている。スリーブ9は、クランクシャフト107において揺動スクロール102を回転させて冷媒を圧縮した際に発生する反力を支持する箇所に嵌められている。また、圧縮機12は、スライダー106に嵌められた揺動軸受105と、スリーブ9に嵌められた主軸受104と、クランクシャフト107の内部に設けられた主給油孔5と、クランクシャフト107及びスリーブ9にわたり設けられた分岐給油孔6と、を有する。また、クランクシャフト107の下部には給油ポンプ111が取り付けられている。給油ポンプ111はクランクシャフト107の回転により、油溜まり108の潤滑油を吸い上げ、主給油孔5に潤滑油を送る。
図28には、クランクシャフト107においてスリーブ9が嵌る箇所に、実施の形態6の異物分離空間7aが設けられる場合について示しており、回転体はシャフト3とスリーブ9とで構成されている。なお、本開示の圧縮機12には、実施の形態1~7のいずれの軸受構造1を適用してもよい。本開示の圧縮機12に、実施の形態1~2、7の軸受構造1を適用する場合、本開示の回転体、すなわちシャフト3及びスリーブ9の代わりに、実施の形態1~2のシャフト3を備えた構成となる。
以上のように、実施の形態8に係る圧縮機12は、軸受構造1と、軸受構造1を収容する密閉容器103と、を備えている。これにより、油溜まり108に存在する異物8が給油ポンプ111を介して主給油孔5に送られても、異物8が主軸受104とスリーブ9とのしゅう動部に供給されることを抑制できる。よって、しゅう動部の摩耗が抑制でき、圧縮機12の寿命が長くなる。
なお、本開示は、圧縮機12への適用に限定されるものではなく、回転体を介して回転体とすべり軸受2とのしゅう動部に潤滑油を供給する構成を有する他の回転機械に適用されても良い。また、本開示の圧縮機12が適用される冷凍サイクル装置10は、上記の空調冷熱機器に限定されない。
図29は、実施の形態8に係る圧縮機12を備えた冷凍サイクル装置10の冷媒回路11を示す回路図である。冷凍サイクル装置10は、冷媒が循環する冷媒回路11を備えている。ここでは、冷凍サイクル装置10が空調機であるものとして説明する。
冷媒回路11は、圧縮機12、室外熱交換器14、減圧装置15、及び室内熱交換器16等が冷媒配管により接続されて形成されている。圧縮機12は、冷媒を圧縮し、冷媒回路11に循環させる。室外熱交換器14及び室内熱交換器16は、冷媒と空気とを熱交換させる。減圧装置15は、例えば膨張弁で構成され、冷媒を膨張させ減圧する。また、図29に示される例では、冷媒回路11は流路切替装置13を有している。流路切替装置13は、圧縮機12から吐出された冷媒の流路を切り替えるものであり、例えば四方弁で構成される。
流路切替装置13により、冷房と暖房とが切り替えられる。冷凍サイクル装置10は、各種アクチュエータを制御する不図示の制御装置を備えている。制御装置により、圧縮機12の周波数、減圧装置15の開度、及び流路切替装置13の切り替え等が制御される。冷房運転では、図29に実線矢印で示されるように、圧縮機12から吐出された冷媒は、室外熱交換器14、減圧装置15、及び室内熱交換器16の順に流れて圧縮機12に戻る。一方、暖房運転では、図29に破線矢印で示されるように、圧縮機12から吐出された冷媒は、室内熱交換器16、減圧装置15、及び室外熱交換器14の順に流れて圧縮機12に戻る。すなわち、室内の冷房時には室外熱交換器14が凝縮機として機能し、室内熱交換器16が蒸発器として機能し、室内の暖房時には室内熱交換器16が凝縮機として機能し、室外熱交換器14が蒸発器として機能する。よって、室内熱交換器16は、暖房時には、圧縮機12により圧縮された冷媒を放熱させて室内空気を暖め、冷房時には、減圧装置15で膨張した冷媒に吸熱させて室内空気を冷却する。
なお、冷媒回路11の構成は上記の構成に限定されない。例えば、流路切替装置13は省略することができる。
実施の形態8に係る冷凍サイクル装置10は、上記の圧縮機12と、蒸発器(例えば、室内熱交換器16)と、減圧装置15と、凝縮器(例えば、室外熱交換器14)とが冷媒配管を介して接続された冷媒回路11を有する。これにより、異物8によるしゅう動部の摩耗が抑制された圧縮機12を備えることで、冷凍サイクル装置10の信頼性が向上する。
1 軸受構造、2 軸受、3 シャフト、3a 第1部材、3b 第2部材、3c クラウニング部、3d 円筒部、5 主給油孔、6 分岐給油孔、6a 分岐給油孔内壁面、7a 異物分離空間、7a1 空間、7b 異物分離壁、7b1 壁部、7c 異物分離壁形成部材、8 異物、9 スリーブ、10 冷凍サイクル装置、11 冷媒回路、12 圧縮機、13 流路切替装置、14 室外熱交換器、15 減圧装置、16 室内熱交換器、21 内周面、30 偏心部、31 内壁、31a 内壁部、32 外周部、32a 第1外周凹部、32b 第2外周凹部、32c 異物貯留溝、32d 異物排出溝、32e 異物排出空間、32f 異物排出孔、32fo 出口、32o 排出口、32r 内壁部、32s 側面、33 内周面、35a 第1平面部、35b 第2平面部、35c 上面部、36a 第1嵌合部、36b 第2嵌合部、61 シャフト給油孔、62 スリーブ給油孔、63 給油空間、91 内周面、92 外周部、92o 排出口、101 固定スクロール、102 揺動スクロール、103 密閉容器、104 主軸受、105 揺動軸受、106 スライダー、107 クランクシャフト、108 油溜まり、109 吸入口、110 吐出口、111 給油ポンプ、200 切削工具、Ax 軸、G 隙間。

Claims (18)

  1. 潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、
    前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、
    前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ
    前記異物分離部は、前記分岐給油孔の途中または流入口側に設けられている、
    軸受構造。
  2. 潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、
    前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、
    前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、
    前記異物分離部は、直接には前記隙間につながらず前記分岐給油孔における排出口側の一部を介して前記隙間に連通する
    受構造。
  3. 前記異物分離部は、前記分岐給油孔の内壁のうち回転方向後側の内壁部に設けられた凹形状の異物分離空間である
    請求項1又は2に記載の軸受構造。
  4. 前記異物分離空間は、軸方向において、少なくとも前記分岐給油孔の軸方向の幅以上の幅を有する
    請求項に記載の軸受構造。
  5. 潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、
    前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、
    前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、
    前記回転体は、シャフトで構成され、
    前記シャフトは、前記分岐給油孔の一部を含む第1部材と、前記分岐給油孔の残りの部分を含む第2部材と、により構成されている
    軸受構造。
  6. 潤滑油が通る主給油孔が軸方向に設けられた円筒形状を有する回転体と、前記回転体との間に隙間を有して径方向外側に設けられ、前記回転体を軸周りに回転自在なように保持するすべり軸受と、を備えた回転機械であって、
    前記回転体には、前記隙間と前記主給油孔とを連通し、前記潤滑油が通る分岐給油孔が設けられ、
    前記分岐給油孔の前記回転体の回転方向後側には、前記潤滑油から異物を分離する異物分離部が設けられ、
    前記回転体は、
    円筒形状のシャフトと、
    前記シャフトの外周部に嵌められ、前記シャフトとともに回転する円筒形状のスリーブと、により構成され、
    前記回転体の前記分岐給油孔は、
    前記シャフトに設けられたシャフト給油孔と、
    前記スリーブに設けられたスリーブ給油孔と、を含むものであり、
    前記シャフト給油孔の開口縁における回転方向後側には、前記シャフトの前記外周部が凹んで形成された第1外周凹部が設けられ、
    前記異物分離部は、前記シャフトの前記第1外周凹部と前記スリーブの内周面とにより形成されている
    軸受構造。
  7. 前記回転体の周方向において、前記スリーブ給油孔は、前記シャフト給油孔と同じ位置に設けられており、
    前記回転体の前記分岐給油孔は、前記シャフト給油孔と前記スリーブ給油孔とで構成されている
    請求項に記載の軸受構造。
  8. 前記回転体の周方向において、前記スリーブ給油孔は、前記シャフト給油孔よりも回転方向前側の位置に設けられており、
    前記シャフト給油孔の前記開口縁における回転方向前側には、前記シャフトの前記外周部が凹んで形成された第2外周凹部が設けられ、前記シャフトの前記第2外周凹部と前記スリーブの前記内周面とにより給油空間が形成され、
    前記回転体の前記分岐給油孔は、前記シャフト給油孔と前記スリーブ給油孔と前記給油空間とにより構成されている
    請求項に記載の軸受構造。
  9. 前記シャフトの前記外周部における前記スリーブに覆われた部分には、前記第1外周凹部から軸方向に離れて設けられた異物貯留溝と、前記第1外周凹部と前記異物貯留溝とを連通させる異物排出溝と、が形成されている
    請求項6~8のいずれか一項に記載の軸受構造。
  10. 前記シャフトの前記外周部における前記スリーブに覆われた部分には、前記シャフト給油孔の前記開口縁から離間して前記開口縁の軸方向両側に異物貯留溝が設けられ、
    前記第1外周凹部は、軸方向において2つの前記異物貯留溝の間に渡って設けられている
    請求項6~8のいずれか一項に記載の軸受構造。
  11. 前記シャフトの前記外周部における前記スリーブに覆われた部分には、前記シャフト給油孔の前記開口縁から離間して前記開口縁の軸方向両側に異物貯留溝が設けられ、
    前記第1外周凹部と前記第2外周凹部とは、ひと続きに設けられ、軸方向において2つの前記異物貯留溝の間に渡って設けられており、
    前記シャフト給油孔は、前記第1外周凹部及び前記第2外周凹部の側面に対して傾斜して交わり、回転方向後方へ傾いている
    請求項に記載の軸受構造。
  12. 前記シャフトの軸方向の一部には、前記シャフトの前記外周部が樽型となるクラウニング部が設けられ、
    前記シャフト給油孔及び前記第1外周凹部は、前記シャフトの前記クラウニング部に設けられ、
    前記スリーブは、前記クラウニング部の外周を覆うように前記シャフトの前記外周部に嵌められている
    請求項6~8のいずれか一項に記載の軸受構造。
  13. 前記シャフトの軸方向の一部には、前記シャフトの前記外周部が樽型となるクラウニング部が設けられ、
    前記シャフト給油孔及び前記第1外周凹部は、前記シャフトの前記クラウニング部に設けられ、
    前記スリーブは、前記クラウニング部の外周を覆うように前記シャフトの前記外周部に嵌められ、
    前記異物貯留溝は、前記クラウニング部における軸方向の端部に設けられている
    請求項に記載の軸受構造。
  14. 前記シャフトの前記外周部における前記スリーブに覆われた前記部分には、前記異物貯留溝と、前記異物貯留溝と前記シャフトの前記外周部における前記部分の外側とを連通させる異物排出空間と、が形成されている
    請求項11に記載の軸受構造。
  15. 前記回転体は、前記すべり軸受の内周面と直接しゅう動するように支持されたシャフトであって、前記シャフトの前記分岐給油孔から回転方向後側に向けて設けられた異物排出孔を含むものであり、
    前記異物分離空間は、前記シャフトの前記分岐給油孔と前記異物排出孔とにより形成されている
    請求項に記載の軸受構造。
  16. 前記分岐給油孔の入口から前記主給油孔内に延びた異物分離壁を備える
    請求項1又は2に記載の軸受構造。
  17. 請求項1又は2に記載の軸受構造と、
    前記軸受構造を収容する密閉容器と、を備えた
    圧縮機。
  18. 請求項17に記載の圧縮機と、蒸発器と、減圧装置と、凝縮器とが冷媒配管を介して接続された冷媒回路を有する
    冷凍サイクル装置。
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