JP7317735B2 - 外燃機用燃料油組成物及びその製造方法 - Google Patents

外燃機用燃料油組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外燃機用燃料油組成物及びその製造方法に関する。
ボイラや温風暖房機、工業炉等の外燃機用の燃料油組成物として、主に、灯油(JIS K 2203)、A重油(JIS K 2205の1種重油)及びC重油(JIS K 2205の3種重油)が使用されている。
灯油は、硫黄分、窒素分、残留炭素分の含有率が極めて低く、燃焼による環境負荷が小さいという特性を有する。また、低温流動性が優れているため、厳寒期の寒冷地において、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機に用いられても、優れた燃焼性を発揮する。しかし、冬季の寒冷地においては、室内暖房等の灯油需要が多く、安定供給に特段の配慮が必要となる。
A重油は、一般に供給安定性に優れており、かつ、灯油に比較して発熱量が高い長所を有している。しかし、A重油には、寒冷地の厳寒期において、ワックスの析出によるフィルタ閉塞防止のために、設備対応等の配慮が必要になることがある。また、A重油は、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機に使用する場合、燃焼性の改善が必要である。
C重油は、A重油より高い発熱量を有する。しかし、高粘度であるため、使用時に加熱設備が必要となる等、取り扱いが不便である。また、C重油は、燃焼性が低いため、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機に使用できず、硫黄分、窒素分及び残留炭素分が高く、環境負荷が大きいという欠点を有している。
冬季における外燃機用燃料油組成物の安定供給に寄与することを目的として、本発明者らは、これまでに、長期貯蔵において優れた安定性を示し、厳寒期の寒冷地においても優れた低温流動性を示し、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機においても優れた燃焼性を示し、高い得率で得られる外燃機用燃料油組成物を提案してきた(特許文献1~3参照)。
特開2004-182744号公報 特開2004-182745号公報 特開2017-114948号公報
しかしながら、特に冬季における外燃機用燃料油組成物の供給のさらなる安定化とともに、発熱量の向上による燃費改善が望まれるようになっている中、上記特許文献に記載される燃料油組成物だけでは十分に対応できない場合が生じており、より幅広い多様な基材を使用し、かつ種々の要求性能を満足する外燃機用燃料油組成物が要望されるようになっている。
そこで、本発明は、長期貯蔵においても優れた安定性を有し、厳寒期の寒冷地においても優れた低温流動性を示し、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機においても優れた燃焼性を示し、さらに高い得率による安定した供給が可能であり、かつ高い発熱量を有することで燃費改善に寄与し得る外燃機用燃料油組成物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討の結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の構成を有する外燃機用燃料油組成物及びその製造方法を提供するものである。
[1]原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を90.0容量%以上含む、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足する重質灯油留分、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足するパラフィン系炭化水素及び酸化防止剤を含み、前記パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満であり、前記酸化防止剤の組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下であり、かつ下記(1)~(6)の条件をいずれも満足する外燃機用燃料油組成物。
(a)初留点が140.0℃以上
(b)95容量%留出温度が271.0℃以上300.0℃以下
(c)引火点が40.0℃以上
(d)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
(e)曇り点が-20.0℃以下
(a)飽和分含有量が99.0容量%以上
(b)硫黄分含有量が20質量ppm以下
(c)曇り点が-50.0℃以下
(d)30℃における動粘度が5.00mm/s以上20.0mm/s以下
(e)引火点が70.0℃以上
(1)初留点が140.0℃以上
(2)95容量%留出温度が275.0℃以上310.0℃未満
(3)引火点が40.0℃以上
(4)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
(5)曇り点が-20.0℃以下
(6)総発熱量が37,000(kJ/L)以上
[2]原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を90.0容量%以上含む、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足する重質灯油留分と、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足するパラフィン系炭化水素及び酸化防止剤とを、前記パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満、前記酸化防止剤の組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下となるように配合する、下記(1)~(6)の条件をいずれも満足する外燃機用燃料油組成物の製造方法。
(a)初留点が140.0℃以上
(b)95容量%留出温度が271.0℃以上300.0℃以下
(c)引火点が40.0℃以上
(d)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
(e)曇り点が-20.0℃以下
(a)飽和分含有量が99.0容量%以上
(b)硫黄分含有量が20質量ppm以下
(c)曇り点が-50.0℃以下
(d)30℃における動粘度が5.00mm/s以上20.0mm/s以下
(e)引火点が70.0℃以上
(1)初留点が140.0℃以上
(2)95容量%留出温度が275.0℃以上310.0℃未満
(3)引火点が40.0℃以上
(4)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
(5)曇り点が-20.0以下
(6)総発熱量が37,000(kJ/L)以上
本発明によれば、長期貯蔵においても優れた安定性を有し、厳寒期の寒冷地においても優れた低温流動性を示し、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機においても優れた燃焼性を示し、高い得率による安定した供給が可能であり、かつ高い発熱量を有することで燃費改善に寄与し得る外燃機用燃料油組成物及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態(以後、単に「本実施形態」と称する場合がある。)に係る外燃機用燃料油組成物、及びその製造方法について具体的に説明する。なお、本明細書中において、数値範囲の記載に関する「以下」、「以上」及び「~」に係る数値は任意に組み合わせができる数値であり、また実施例の数値は上限値又は下限値として用いられ得る数値である。
〔外燃機用燃料油組成物〕
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を90.0容量%以上含む、(a)初留点が140.0℃以上、(b)95容量%留出温度が271.0℃以上300.0℃以下、(c)引火点が40.0℃以上、(d)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下及び(e)曇り点が-20.0℃以下の条件をいずれも満足する重質灯油留分と、(a)飽和分含有量が99.0容量%以上、(b)硫黄分含有量が20質量ppm以下、(c)曇り点が-50.0℃以下、(d)30℃における動粘度が5.00mm/s以上20.0mm/s以下及び(e)引火点が70.0℃以上の条件をいずれも満足するパラフィン系炭化水素、並びに酸化防止剤を含み、前記パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満であり、前記酸化防止剤の組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下であり、かつ(1)初留点が140.0℃以上、(2)95容量%留出温度が275.0℃以上310.0℃未満、(3)引火点が40.0℃以上、(4)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下、(5)曇り点が-20.0以下及び(6)総発熱量が37,000(kJ/L)以上の条件をいずれも満足する。
(外燃機用燃料油組成物の組成及び性状)
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、上記(1)~(6)で規定された組成及び性状をいずれも満足する。(1)~(6)の各規定について、以下に詳述する。
(1)初留点
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の初留点は、140.0℃以上である。初留点が140℃未満であると、取り扱い上の安全性が低下する。取り扱い上の安全性の向上の観点から、好ましくは145.0℃以上、より好ましくは155.0℃以上であり、得率及び燃焼性を向上させる観点から、上限としては、好ましくは175.0℃以下であり、より好ましくは170.0℃以下である。
なお、本明細書において、初留点、後述する95容量%留出温度及び終点は、JIS K2254:1998(石油製品-蒸留試験方法-)に準じて測定される値である。
(2)95容量%留出温度
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の95容量%留出温度は、275.0℃以上310.0℃未満である。95容量%留出温度が上記範囲内にないと、優れた得率が得られない。外燃機用燃料油組成物の95容量%留出温度が275.0℃以上であると、1号灯油の95容量%留出温度(270℃以下)よりも高くなることから、沸点範囲は1号灯油の沸点範囲よりも広くなるので、優れた得率が得られることとなる。
なお、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の95容量%留出温度は、構成成分となる留分の95容量%留出温度に左右されるため、本実施形態においては、95容量%留出温度が271.0℃以上310.0℃未満であるので、1号灯油の沸点範囲よりも広く、原油からの得率が1号灯油よりも高くなる。
得率を向上させる観点から、95容量%留出温度は、好ましくは277.0℃以上、より好ましくは280.0℃以上、さらに好ましくは290.0℃以上であり、燃焼性を向上させる観点から、上限値としては好ましくは308.0℃以下、より好ましくは305.0℃以下である。
(3)引火点
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の引火点は、40.0℃以上である。引火点が40.0℃未満であると、取り扱い上の安全性が低下する。取り扱い上の安全性の向上の観点から、引火点は、好ましくは45.0℃以上、より好ましくは48.0℃以上、さらに好ましくは50.0℃以上である。
本明細書において、外燃機用燃料油組成物及び重質灯油留分の引火点は、JIS K 2265-1:2007(原油及び石油製品-引火点試験方法- 第1部:タグ密閉法)に準じて測定される値である。
(4)硫黄分含有量
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量は、3質量ppm以上10質量ppm以下である。硫黄分含有量が上記範囲内にないと、貯蔵安定性の維持が困難となり、排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じる場合がある。貯蔵安定性を向上させ、環境負荷、腐食の発生を抑制する観点から、硫黄分含有量は、好ましくは7質量ppm以下、より好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは4質量ppm以下である。
本明細書において、硫黄分含有量は、JIS K2541-7:2003(原油及び石油製品-硫黄分試験方法- 第7部:波長分散蛍光X線法)に準じて測定される値である。
(5)曇り点
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の曇り点は、-20.0℃以下である。曇り点が-20.0℃より高いと、低温流動性が低下し、析出ワックスによるフィルタの目詰まりが生じやすくなり、保温等の設備対応が必要となる。寒冷地の厳冬期における低温流動性の向上によりフィルタの目詰まりを抑制し、また保温等の設備対応を不要とする観点から、好ましくは-23.0℃以下、より好ましくは-24.0℃以下、さらに好ましくは-25.0℃以下である。一方、下限値として特に制限はないが、通常-40.0℃以上である。
本明細書において、曇り点は、JIS K2269:1987(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)に準じて測定される値である。
(6)総発熱量
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の総発熱量は、37,000(kJ/L)以上である。総発熱量が37,000(kJ/L)未満であると、燃費が低下し、燃費改善が困難となる。燃費改善を図る観点から、総発熱量は、好ましくは37,010(kJ/L)以上、より好ましくは37,020(kJ/L)以上である。また上限としては特に制限はないが、燃焼性の観点から、好ましくは37,100(kJ/L)以下、より好ましくは37,070(kJ/L)以下である。
本明細書において、総発熱量は、JIS K2279:2003(原油及び石油製品-発熱量試験方法及び計算による推定方法-)に準じて測定し、推定(「6.総発熱量推定方法、6.3 e)1)」に規定される原油、灯油、軽油、A重油及びB重油の場合の計算式により推定)される値である。
また、本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、上記(1)~(6)の性状及び組成に加えて、さらに以下の(7)~(12)の条件から選ばれる少なくとも1つを満足することが好ましく、特に以下の(7)~(12)の条件のいずれも満足することが好ましい。
(7)石油製品反応試験の結果が中性
(8)水分含有率が0.01容量%以下
(9)灰分量が0.001質量%以下
(10)30℃における動粘度が1.300mm/s以上2.400mm/s以下
(11)15℃における密度が0.7985g/cm以上0.8020g/cm以下
(12)組成物全量基準の飽和分が80.0容量%以上、オレフィン分が0.3容量%以下、1環芳香族分が20.0容量%以下、2環芳香族分が2.0容量%以下、及び3環以上の芳香族分が1.0容量%以下
以下、(7)~(12)の各規定について以下に詳述する。
(7)石油製品反応試験
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、JIS K 2252:1998による石油製品-反応試験の結果が中性であることが好ましい。中性であることにより、本実施形態の外燃機用燃料油組成物が触れる各種機器、例えば、燃料油タンク、配管、ディーゼルエンジン、及び装備しているポンプ等の補機の腐食を防止することができるので、より容易に外燃機の安定運転が可能となる。
(8)水分含有率
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の水分含有率は、0.01容量%以下であることが好ましい。水分含有率が上記範囲内であると、貯蔵安定性の低下、氷結等を抑制し、フィルタの閉塞を防止することができる。
本明細書において、水分含有率は、JIS K 2275-3:2015(原油及び石油製品-水分の求め方- 第3部:カールフィッシャー式電量滴定法)に準じて測定される値である。
(9)灰分量
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の灰分量は、0.001質量%以下であることが好ましい。灰分量が上記範囲内であると、バーナチップの摩耗をより抑制することができ、排ガスによる環境負荷の低減を図ることができる。
本明細書において、灰分量は、JIS K 2272:1998(原油及び石油製品-灰分及び硫酸灰分試験方法-)に準じて測定される値である。
(10)30℃における動粘度
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の30℃における動粘度は、好ましくは1.300mm/s以上、より好ましくは1.520mm/s以上、さらに好ましくは1.750mm/s以上、さらに好ましくは1.850mm/s以上であり、上限値として好ましくは2.400mm/s以下、より好ましくは2.300mm/s以下、さらに好ましくは2.250mm/s以下である。30℃における動粘度が上記範囲内であると、ポンプ及び流量計等の各種機器の仕様範囲に外燃機用燃料油組成物を適合させやすくなり、また燃焼性が向上する。
本明細書において、30℃における動粘度は、JIS K 2283:2000(原油及び石油製品の動粘度試験方法)に準じて測定される値である。
(11)15℃における密度
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の15℃における密度は、0.7985g/cm以上0.8020g/cm以下であることが好ましい。上記範囲内であると、得率を向上させ、また発熱量による燃費改善、及び燃焼性を向上させることができる。これと同様の観点から、好ましくは0.7990g/cm以上、より好ましくは0.7995g/cm以上であり、上限として好ましくは0.8015g/cm以下、より好ましくは0.8013g/cm以下である。
本明細書において、15℃における密度は、JIS K 2249-1:2011(原油及び石油製品-密度の求め方- 第1部:振動法)に準じて測定される値である。
(12)組成
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の組成物全量基準の飽和分は、好ましくは80.0容量%以上、より好ましくは82.0容量%以上、更に好ましくは84.0容量%以上である。オレフィン分は、好ましくは0.3容量%以下、より好ましくは0.1容量%以下である。1環芳香族分は、好ましくは20.0容量%以下、より好ましくは17.5容量%以下、さらに好ましくは15.0容量%以下である。2環芳香族分は、好ましくは2.0容量%以下、より好ましくは1.0容量%以下、さらに好ましくは0.75容量%以下である。また、3環以上の芳香族分は、好ましくは1.0容量%以下、より好ましくは0.5容量%以下、さらに好ましくは0.3容量%以下である。これらの成分の含有量が上記範囲内にあると、特に燃焼性が向上する。
本明細書において、飽和分、オレフィン分、1環芳香族分、2環芳香族分及び3環以上の芳香族分は、JPI-5S-49-2007に規定される、石油製品-炭化水素タイプ試験方法-高速液体クロマトグラフィー法(High Performance Liquid Chromatography法)により測定される値である。
(重質灯油留分)
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の主成分である重質灯油留分は、原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分(以下、「水素化脱硫留分」と称することがある。)を90.0容量%以上含み、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足する留分である。上記重質灯油留分を含有しないと、優れた低温流動性、燃焼性は得られず、また高い得率による安定した供給ができず、高い発熱量による燃費改善を図り得る、本実施形態の外燃機用燃料油組成物は得られない。
(a)初留点が140.0℃以上
(b)95容量%留出温度が271.0℃以上300.0℃以下
(c)引火点が40.0℃以上
(d)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
(e)曇り点が-20.0℃以下
上記直留留分を水素化脱硫して水素化脱硫留分を得る際の、水素化脱硫条件は、例えば、以下のとおりである。以下の水素化脱硫条件とすることで、より容易に水素化脱硫留分が得られる。
反応温度;250℃以上390℃以下、好ましくは300℃以上350℃以下
水素分圧;1.0MPa以上10.0MPa以下、好ましくは2.0MPa以上5.0MPa以下
水素/原料油比;50Nm/kL以上500Nm/kL以下、好ましくは100Nm/kL以上300Nm/kL以下、
液空間速度;0.1hr-1以上10.0hr-1以下、好ましくは1.0hr-1以上8.0hr-1以下
(a)初留点
本実施形態で用いられる重質灯油留分の初留点は、140.0℃以上である。初留点が上記範囲にないと、取り扱い上の安全性が低下する。取り扱い上の安全性の向上の観点から、好ましくは142.0℃以上、より好ましくは145.0℃以上であり、上限としては、得率及び燃焼性を向上させる観点から、好ましくは160.0℃以下であり、より好ましくは155.0℃以下である。また、重質灯油留分の初留点が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の初留点を140.0℃以上としやすくなる。
(b)95容量%留出温度
本実施形態で用いられる重質灯油留分の95容量%留出温度は271.0℃以上300.0℃以下である。上記のとおり、95容量%留出温度が上記範囲であり、灯油よりも沸点範囲が広い重質灯油留分を用いることにより、結果として本実施形態の外燃機用燃料油組成物の得率を向上させることができる。95容量%留出温度は、得率を向上させる観点から、好ましくは273.0℃以上、より好ましくは275.0℃以上であり、燃焼性を向上させる観点から、上限として好ましくは290.0℃以下、より好ましくは280.0℃以下である。また、重質灯油留分の95容量%留出温度が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の95容量%留出温度を275.0℃以上310.0℃未満としやすくなる。
(c)引火点
本実施形態で用いられる重質灯油留分の引火点は、40.0℃以上である。引火点が上記範囲にないと、取り扱い上の安全性が低下する。取り扱い上の安全性の向上の観点から、引火点は、好ましくは42.0℃以上、より好ましくは44.5℃以上である。また、重質灯油留分の引火点が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の引火点を40.0℃以上としやすくなる。
(d)硫黄分含有量
本実施形態で用いられる重質灯油留分の硫黄分含有量は、3質量ppm以上10質量ppm以下である。硫黄分含有量が上記範囲内にないと、貯蔵安定性の維持が困難となり、排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じる場合がある。貯蔵安定性を向上させ、環境負荷、腐食の発生を抑制する観点から、硫黄分含有量は、好ましくは8質量ppm以下、より好ましくは6質量ppm以下であり、下限として好ましくは4質量ppm以上である。また、重質灯油留分の硫黄分含有量が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量を3質量ppm以上10質量ppm以下としやすくなる。
(e)曇り点
本実施形態で用いられる重質灯油留分の曇り点は、-20.0℃以下である。曇り点が-20.0℃より高いと、低温流動性が低下し、析出ワックスによるフィルタの目詰まりが生じやすくなり、保温等の設備対応が必要となる。寒冷地の厳冬期における低温流動性の向上によりフィルタの目詰まりを抑制し、また保温等の設備対応を不要とする観点から、好ましくは-20.5℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常-40.0℃以上である。また、重質灯油留分の曇り点が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の曇り点を-20.0℃以下としやすくなる。
また、本実施形態で用いられる重質灯油留分は、上記(a)~(e)の性状及び組成に加えて、更に以下(f)~(h)の条件から選ばれる少なくとも1つを満足することが好ましく、特に以下(f)~(h)の条件のいずれも満足することが好ましい。
(f)15℃における密度
本実施形態で用いられる重質灯油留分の15℃における密度は、好ましくは0.7890g/cm以上、より好ましくは0.7920g/cm以上、更に好ましくは0.7940g/cm以上であり、上限として好ましくは0.7980g/cm以下、より好ましくは0.7970g/cm以下である。15℃における密度が上記範囲内であると、得率が向上し、また発熱量による燃費改善、及び燃焼性も向上する。
(g)30℃における動粘度
本実施形態で用いられる重質灯油留分の30℃における動粘度は、好ましくは1.300mm/s以上、より好ましくは1.400mm/s以上、さらに好ましくは1.500mm/s以上であり、上限として好ましくは1.600mm/s以下、より好ましくは1.550mm/s以下、更に好ましくは1.510mm/s以下である。30℃における動粘度が上記範囲内であると、ポンプ及び流量計等の各種機器の仕様範囲に外燃機用燃料油組成物を適合させやすくなり、また燃焼性が向上する。
(h)組成
本実施形態で用いられる重質灯油留分の組成物全量基準の飽和分は、好ましくは70.0容量%以上、より好ましくは75.0容量%以上、さらに好ましくは78.0容量%以上であり、上限として好ましくは90.0容量%以下、より好ましくは85.0容量%以下、さらに好ましくは83.0容量%以下である。オレフィン分は、好ましくは0.3容量%以下、より好ましくは0.1容量%以下である。1環芳香族分は好ましくは25.0容量%以下、より好ましくは23.0容量%以下、さらに好ましくは20.0容量%以下であり、2環芳香族分は好ましくは3.0容量%以下、より好ましくは2.0容量%以下、さらに好ましくは1.0容量%以下であり、3環芳香族分は好ましくは1.0容量%以下、より好ましくは0.8容量%以下、さらに好ましくは0.5容量%以下である。これらの成分の含有量が上記範囲内にあると、特に燃焼性が向上する。
(重質灯油留分中の水素化脱硫留分の含有量)
重質灯油留分中の水素化脱硫留分の含有量は90.0容量%以上である。水素化脱硫留分の含有量が上記範囲内でないと、優れた得率が得られない。より優れた得率を得ることを特に考慮すると、重質灯油留分中の水素化脱硫留分の含有量は、92.0容量%以上が好ましく、95.0容量%以上がより好ましく、100.0容量%、すなわち全量が水素化脱硫留分であることが更に好ましい。
(重質灯油留分が含み得る他の留分)
本実施形態において、重質灯油留分には、水素化脱硫留分の他、他の留分を含んでいてもよい。水素化脱硫留分と組み合わせて用い得る他の留分としては、例えば以下の留分が挙げられる。
(i)原油を常圧蒸留装置で常圧蒸留して得られる軽油留分(「直留軽油留分」とも称する。)を水素化分解した留分
(ii)原油を常圧蒸留装置で常圧蒸留して得られる残渣留分(「常圧蒸留残渣油」とも称する。)を減圧蒸留装置で減圧蒸留して得られる軽油留分(「減圧軽油留分」とも称する。)を水素化分解した留分
(iii)常圧蒸留残渣油及び/又は減圧蒸留残渣油を直接脱硫装置で脱硫処理して得られる残渣留分を、流動接触分解して得られる軽油留分(「分解軽油留分」とも称する。)を水素化分解して得られる留分
(iv)常圧蒸留残渣油及び/又は減圧蒸留残渣油を直接脱硫装置で脱硫処理して得られる軽油留分(「直脱軽油留分」とも称する。)を水素化分解して得られる留分
(v)石油化学工場で製造される芳香族系の溶剤のうち、硫黄分含有率が10質量ppm以下、かつ沸点範囲が140.0℃以上350.0℃以下の留分
(重質灯油留分の含有量)
重質灯油留分の組成物全量基準の含有量は、好ましくは60容量%超、より好ましくは65容量%以上、さらに好ましくは72容量%以上であり、上限として好ましくは90容量%未満、より好ましくは85容量%以下、さらに好ましくは80容量%以下である。重質灯油留分の含有量が上記範囲内であれば、低温流動性が向上し、燃焼性が向上し、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機の燃料油組成物としてより適するものとなり、また高い得率によるより安定した供給が可能となり、かつより高い発熱量を有することで燃費改善に寄与し得るものとなる。
(パラフィン系炭化水素)
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足する特定のパラフィン系炭化水素を、組成物全量基準で10容量%超40容量%未満の含有量で含むことを要する。
(a)飽和分含有量が99.0容量%以上
(b)硫黄分含有量が20質量ppm以下
(c)曇り点が-50.0℃以下
(d)30℃における動粘度が5.00mm/s以上20.0mm/s以下
(e)引火点が70.0℃以上
パラフィン系炭化水素の含有量について、10容量%以下であると、発熱量が低下するため燃費が低下し、燃費改善が困難となるとともに、低温流動性も低下する。一方、パラフィン系炭化水素の含有量が40容量%以上になると、燃焼性が低下する。発熱量を向上させて燃費を向上させるとともに、低温流動性を向上させる観点から、パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量は、好ましくは15容量%以上、より好ましくは20容量%以上であり、上限として好ましくは35容量%以下、より好ましくは30容量%以下である。
以下、本実施形態で用いられるパラフィン系炭化水素が有する性能について説明する。
(a)飽和分含有量
パラフィン系炭化水素の飽和分含有量は、99.0容量%以上であることを要する。パラフィン系炭化水素の飽和分含有量が99.0容量%未満であると、特に低温流動性が低下する。低温流動性、燃焼性を向上させ、また得率向上によるより安定した供給、発熱量による燃費改善を図る観点から、好ましくは99.4容量%以上、より好ましくは99.9容量%以上、更に好ましくは100.0容量%である。
(b)硫黄分含有量
パラフィン系炭化水素の硫黄分含有量は、20質量ppm以下であることを要する。硫黄分含有量が20質量ppmより大きいと、貯蔵安定性の維持が困難となり、排ガス中の硫黄酸化物の上昇により腐食が生じる場合がある。貯蔵安定性を向上させ、環境負荷、腐食の発生を抑制する観点から、硫黄分含有量は好ましくは10質量ppm以下、より好ましくは3質量ppm以下、更に好ましくは1質量ppm以下である。また、パラフィン系炭化水素の硫黄分含有量が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の硫黄分含有量を3質量ppm以上10質量ppm以下としやすくなる。
(c)曇り点
パラフィン系炭化水素の曇り点は、-50.0℃以下であることを要する。曇り点が-50.0℃よりも高いと、低温流動性が低下し、析出ワックスによるフィルタの目詰まりが生じやすくなり、保温等の設備対応が必要となる。また、パラフィン系炭化水素の曇り点が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の曇り点を-20.0℃以下としやすくなる。
本明細書において、曇り点は、JIS K2269:1987(原油及び石油製品の流動点並びに曇り点試験方法)に準じて測定される値である。
(d)30℃における動粘度
パラフィン系炭化水素の30℃における動粘度は、5.00mm/s以上20.0mm/s以下であることを要する。30℃における動粘度が20.0mm/sより大きいと、燃焼性が低下する。また、30℃における動粘度が5.00mm/s未満であると、既存の設備(ポンプ、流量計)等がそのまま使用しにくくなる。燃焼性を向上させ、ポンプ及び流量計等の各種機器の仕様範囲に外燃機用燃料油組成物を適合させやすくする観点から、パラフィン系炭化水素の30℃における動粘度は、好ましくは5.50mm/s以上、より好ましくは5.70mm/s以上であり、上限として好ましくは19.9mm/s以下、より好ましくは19.7mm/s以下である。
(e)引火点
パラフィン系炭化水素の引火点は、70.0℃以上であることを要する。引火点が70.0℃未満であると、取り扱い上の安全性が低下する。取り扱い上の安全性の向上の観点から、引火点は、好ましくは80.0℃、より好ましくは90.0℃以上である。また、パラフィン系炭化水素の引火点が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の引火点を40.0℃以上としやすくなる。
本明細書において、パラフィン系炭化水素の引火点は、JIS K 2265-3:2007(原油及び石油製品-引火点試験方法- 第3部:ペンスキーマルテンス密閉法)に準じて測定される値である。
また、本実施形態で用いられるパラフィン系炭化水素は、上記(a)~(e)の性状及び組成に加えて、更に、以下(f)~(h)の性状及び組成を有することができる。
(f)15℃における密度
パラフィン系炭化水素の15℃における密度は、好ましくは0.8000g/cm以上、より好ましくは0.8050g/cm以上であり、上限として好ましくは0.8250g/cm以下、好ましくは0.8200g/cm以下である。15℃における密度が上記範囲内であると、得率が向上し、また発熱量による燃費改善、及び燃焼性も向上する。
(g)初留点
パラフィン系炭化水素の初留点は、取り扱い上の安全性の向上の観点から、好ましくは200.0℃以上、より好ましくは210.0℃以上、さらに好ましくは220.0℃以上であり、上限としては、得率及び燃焼性を向上させる観点から、好ましくは300.0℃以下、より好ましくは285.0℃以下、更に好ましくは235.0℃以下である。また、パラフィン系炭化水素の初留点が上記範囲内であると、本実施形態の外燃機用燃料油組成物の初留点を140.0℃以上としやすくなる。
(h)終点
パラフィン系炭化水素の終点は、得率を向上させる観点から、好ましくは310.0℃以上、より好ましくは320.0℃以上、さらに好ましくは345.0℃以上であり、燃焼性を向上させる観点から、上限値としては好ましくは360.0℃以下、より好ましくは355.0℃以下である。
(酸化防止剤)
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、酸化防止剤を、組成物全量基準の含有量として20質量ppm以上100質量ppm以下の範囲で含む。上記酸化防止剤を上記含有量で含有しないと、貯蔵安定性が低下し、燃焼性が低下する場合がある。なお、上限値としては、これ以上含有させても添加効果に乏しく、経済的に不利となる。
酸化防止剤の組成物全量基準の含有量は、効率的に、貯蔵安定性を向上させ、燃焼性を向上させる観点から、好ましくは25質量ppm以上、より好ましくは30質量ppm以上であり、上限値として好ましくは80質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下である。
本実施形態で用いられる酸化防止剤としては、燃料油組成物に汎用されるものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の酸化防止剤が好ましく挙げられる。また、本実施形態においては、酸化防止剤は一種単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール等の単環のtert-アルキルフェノール系酸化防止剤;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)等の多環のtert-アルキルフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、モノオクチルジフェニルアミン、モノノニルジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤;4,4’-ジブチルジフェニルアミン、4,4’-ジペンチルジフェニルアミン、4,4’-ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’-ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’-ジオクチルジフェニルアミン、4,4’-ジノニルジフェニルアミン等のジアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤;テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン等のポリアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤;α-ナフチルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、ブチルフェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
本実施形態においては、tert-アルキル基を有するフェノール系酸化防止剤が好ましく、tert-アルキル基を有する単環のフェノール系酸化防止剤がより好ましく、中でも、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールが好ましい。
(他の添加剤)
本実施形態の外燃機用燃料油組成物には、上記の諸性状を維持しうる範囲で、必要に応じ、上記酸化防止剤以外の、他の添加剤として、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、セタン価向上剤、燃焼促進剤、清浄剤、スラッジ分散剤、防カビ剤等の各種添加剤を適宜選択して配合することができる。また、軽油引取税の観点よりクマリンを配合してもよい。
(用途)
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、貯蔵安定性が高く、厳寒期の寒冷地においても優れた低温流動性を示し、酸化安定性に優れ、燃焼性にも優れている。したがって、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機においても優れた燃焼性を示し、さらに高い得率によるより安定した供給が可能であり、より高い発熱量を有することで燃費改善に寄与し得る、という特性を有する。具体的には、蒸気ボイラ、温水ボイラ、温風暖房機、吸収式冷温水機、及び温水発生機等の外燃機に好適に用いられる。
また、本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、上記の外燃機の中でも、定格燃焼量が10.0L/時間以下かつ噴霧油圧が0.90MPa以下、好ましくは定格燃焼量が7.0L/時間以下かつ噴霧油圧が0.80MPa以下、よりに好ましくは定格燃焼量が5.0L/時間以下かつ噴霧油圧が0.70MPa以下の油圧噴霧式バーナを搭載した外燃機に用いると、上記特性が特に発揮される。
〔外燃機用燃料油組成物の製造方法〕
本実施形態の外燃機用燃料油組成物の製造方法は、上記(1)~(6)をいずれも満足する外燃機用燃料油組成物の製造方法であって、原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を90.0容量%以上含む、上記(a)~(e)の条件をいずれも満足する重質灯油留分と、上記(a)~(e)の条件をいずれも満足するパラフィン系炭化水素及び酸化防止剤とを、前記パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満、前記酸化防止剤の組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下となるように配合することを特徴とするものである。本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、本実施形態の製造方法により容易に製造することができる。
具体的には、以下の工程を有することが好ましい。
(A)原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を得る工程
(B)前工程で得られた留分を90.0容量%以上含む重質灯油留分と、組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満となるようにパラフィン系炭化水素と、組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下となるように酸化防止剤と、を配合する工程
(A)工程において、原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分は、当該留分の含有量が90.0容量%以上であれば、他の留分、例えば上記の(i)直留軽油留分、(ii)減圧軽油留分、(iii)分解軽油留分を水素化分解して得られる留分、(iv)直脱軽油留分を水素化分解して得られる留分、及び(v)石油化学工場で製造される芳香族系の溶剤のうち、硫黄分含有率が10質量ppm以下、かつ沸点範囲が140.0℃以上350.0℃以下の留分等の各種留分を混合してもよい。
また、(B)工程において、重質灯油留分と、パラフィン系炭化水素と、酸化防止剤との配合の順序は特に制限なく、同時に配合してもよいし、重質灯油留分とパラフィン系炭化水素とを配合した後、酸化防止剤を配合してもよいし、またパラフィン系炭化水素と酸化防止剤とを配合した後、重質灯油留分と配合してもよい。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。なお、各基材の性状は、下記の方法に従って求めた。
〔性状と組成の測定〕
重質灯油留分、パラフィン系炭化水素、及び本実施形態の外燃機用燃料油組成物の各種性状及び組成は以下の方法により測定した。
・蒸留性状(初留点、95容量%留出温度及び終点):JIS K2254:1998(石油製品-蒸留試験方法-)に準じて測定した。
・重質灯油留分及び外燃機用燃料油組成物の引火点:JIS K 2265-1:2007(原油及び石油製品-引火点試験方法- 第3部:タグ密閉法)に準じて測定した。
・パラフィン系炭化水素の引火点:JIS K 2265-3:2007(原油及び石油製品-引火点試験方法- 第3部:ペンスキーマルテンス密閉法)に準じて測定した。
・硫黄分含有量:JIS K2541-7:2003(原油及び石油製品-硫黄分試験方法- 第7部:波長分散蛍光X線法)に準じて測定した。
・曇り点:JIS K2269:1987(原油及び石油製品の流動点並びに曇り点試験方法)に準じて測定した。
・総発熱量:JIS K2279:2003(原油及び石油製品-発熱量試験方法及び計算による推定方法-)に準じて測定し、推定(「6.総発熱量推定方法、6.3 e)1)」に規定される原油、灯油、軽油、A重油及びB重油の場合の計算式により推定)した。
・石油製品反応試験:JIS K 2252:1998による石油製品-反応試験により測定した。
・水分含有率:JIS K 2275-3:2015(原油及び石油製品-水分の求め方- 第3部:カールフィッシャー式電量滴定法)に準じて測定した。
・灰分量:JIS K 2272:1998(原油及び石油製品-灰分及び硫酸灰分試験方法-)に準じて測定した。
・30℃における動粘度:JIS K 2283:2000(原油及び石油製品の動粘度試験方法)に準じて測定した。
・15℃における密度:JIS K 2249-1:2011(原油及び石油製品-密度の求め方- 第1部:振動法)に準じて測定した。
・組成:飽和分、オレフィン分、1環芳香族分、2環芳香族分及び3環以上芳香族分は、JPI-5S-49-2007に規定される、石油製品-炭化水素タイプ試験方法-高速液体クロマトグラフィー法(High Performance Liquid Chromatography法)により測定した。
〔性能の評価基準〕
以下の1~4の各性能の評価を行った。いずれかの項目でC評価があれば、総合評価はC評価(不合格)とした。
1.燃焼性
(1)評価機種、条件
・評価機種;温風温暖機(「ハウスカオンキ HK-1527」、ネポン株式会社製、定格燃焼量4.9L/時間、オンオフ制御)
・燃料噴霧圧;0.69MPa(油圧噴霧式バーナ)
・バンドシャッター開度;排ガス酸素濃度を2.8±0.2%になるように調整
・燃料加熱用バーナ前ヒーター;オフ
(2)評価項目
1時間連続燃焼、15分間消火を1サイクルとして繰り返し、燃焼時間で500時間燃焼後、下記項目を評価した。
・着火性;目視で着火遅れがないこと
・燃焼性;バッカラッカスモークテスターで排ガス中の煤濃度(バッカラッカスモークナンバー;SN)を計測
燃焼性については、煤濃度(SN)が小さいほど、優れていることを示す。また、SNは、スタンダード(整数)に対して、中間の煤濃度を0.5として、0.5刻みで読み取った。
(3)評価基準
A:目視で着火遅れがなく、煤濃度(SN)が0.5以下
B:目視で着火遅れがなく、煤濃度(SN)が0.5超1.0以下
C:上記以外
2.貯蔵安定性
(1)評価項目
ASTM D4625に準拠し、43℃にて3週間暗所貯蔵(室温での概ね3ヵ月貯蔵に相当)を行った後、ドライスラッジを、全漁連A重油ドライスラッジ測定法(Z・G・ST-1010)に準じて測定した。
(2)評価基準
A:ドライスラッジが1mg/100mL以下
C:上記以外
3.低温流動性
(1)評価項目
JPI-5S-47-96のA重油の低温流動性試験方法基準(実機シミュレート法)に準拠し、通油限界温度を測定した。通油限界温度とは、低温時に析出するワックスにより、フィルタ閉塞が起きなかった最低油温である。通油限界温度未満に油温を低下させると、ワックスによるフィルタ閉塞の可能性が非常に高くなる。
(2)評価基準
A:通油限界温度が-25.0℃以下
B:通油限界温度が-25.0℃超-20.0℃以下
C:上記以外
4.燃費改善性
(1)評価項目
上記方法により、総発熱量を推定した。
(2)評価基準
総発熱量に基づき、以下の基準で評価した。
A:総発熱量が37,020kJ/L以上
B:総発熱量が37,000kJ/L以上37,020kJ/L未満
C:総発熱量が37,000kJ/L未満
(重質灯油留分の製造)
原油の常圧蒸留により得られた直留灯油留分を、硫黄分が5質量ppmになる反応温度(約340℃)で水素化脱硫処理し、重質灯油留分とした。得られた重質灯油留分の性状、組成の測定は、上記の方法で行った。その結果を第1表に示す。
[実施例1~5、比較例1~6]
第1表に示す性状及び組成を有する重質灯油留分と、第1表に示す性状及び組成を有するパラフィン系炭化水素を、第2表及び第3表に示される含有量となるように配合して混合油を調製し、酸化防止剤として、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールを上記混合油100質量部に対して30質量ppmとなるように配合して、燃料油組成物を得た。得られた燃料油組成物の性状及び評価結果を第2表及び第3表に示す。
第2表に示されるように、本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、燃焼性、貯蔵安定性、低温流動性、燃費改善性がいずれも良好であり、厳寒期の寒冷地においても優れた低温流動性を示し、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機においても優れた燃焼性を示し、さらに高い得率によるより安定した供給が可能であり、かつより高い発熱量を有することで燃費改善に寄与し得るものであることが確認された。
これに対して、パラフィン系炭化水素を含まない比較例1、パラフィン系炭化水素の含有量が小さい比較例2及び4の組成物は発熱量が小さく、燃費改善性の点で不十分であった。パラフィン系炭化水素の含有量が大きい比較例3の組成物は95容量%留出温度が高く、燃焼性の点で不十分であり、パラフィン系炭化水素を含むものの95容量%留出温度が高い比較例5の組成物も、燃焼性の点で不十分なものとなった。また、実施例1において酸化防止剤を含まない比較例6の油組成物は、貯蔵安定性の点で不十分なものとなった。
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、長期貯蔵においても優れた安定性を有し、厳寒期の寒冷地においても優れた低温流動性を示し、定格燃焼量が少なく噴霧油圧が低い油圧噴霧式バーナを搭載している外燃機においても優れた燃焼性を示し、さらに高い得率による安定した供給が可能であり、かつ高い発熱量を有することで燃費改善に寄与し得るものであり、寒冷地において冬季の需要が非常に多い灯油及び灯油留分の供給不足を解消することができる。
本実施形態の外燃機用燃料油組成物は、蒸気ボイラ、温水ボイラ、温風暖房機、吸収式冷温水機、及び温水発生機等の外燃機に好適に用いられ、特に、定格燃焼量が10.0L/時間以下かつ噴霧油圧が0.90MPa以下の油圧噴霧式バーナを搭載した、蒸気の外燃機に用いると、上記特性が発揮されるため、特に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を90.0容量%以上含む、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足する重質灯油留分、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足するパラフィン系炭化水素及び酸化防止剤を含み、前記パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満であり、前記酸化防止剤の組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下であり、かつ下記(1)~(6)の条件をいずれも満足する外燃機用燃料油組成物。
    (a)初留点が140.0℃以上
    (b)95容量%留出温度が271.0℃以上300.0℃以下
    (c)引火点が40.0℃以上
    (d)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
    (e)曇り点が-20.0℃以下
    (a)飽和分含有量が99.0容量%以上
    (b)硫黄分含有量が20質量ppm以下
    (c)曇り点が-50.0℃以下
    (d)30℃における動粘度が5.00mm/s以上20.0mm/s以下
    (e)引火点が70.0℃以上
    (1)初留点が140.0℃以上
    (2)95容量%留出温度が275.0℃以上310.0℃未満
    (3)引火点が40.0℃以上
    (4)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
    (5)曇り点が-20.0℃以下
    (6)総発熱量が37,000(kJ/L)以上
  2. さらに下記(7)~(12)の条件から選ばれる少なくとも1つを満足する請求項1に記載の外燃機用燃料油組成物。
    (7)石油製品反応試験の結果が中性
    (8)水分含有率が0.01容量%以下
    (9)灰分量が0.001質量%以下
    (10)30℃における動粘度が1.300mm/s以上2.400mm/s以下
    (11)15℃における密度が0.7985g/cm以上0.8020g/cm以下
    (12)組成物全量基準の飽和分が80.0容量%以上、オレフィン分が0.3容量%以下、1環芳香族分が20.0容量%以下、2環芳香族分が2.0容量%以下、及び3環以上の芳香族分が1.0容量%以下
  3. 定格燃焼量が10.0L/時間以下かつ噴霧油圧が0.9MPa以下の油圧噴霧式バーナを搭載した外燃機に用いられる請求項1又は2に記載の外燃機用燃料油組成物。
  4. 原油の常圧蒸留により得られる直留留分を水素化脱硫した留分を90.0容量%以上含む、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足する重質灯油留分と、下記(a)~(e)の条件をいずれも満足するパラフィン系炭化水素及び酸化防止剤とを、前記パラフィン系炭化水素の組成物全量基準の含有量が10容量%超40容量%未満、前記酸化防止剤の組成物全量基準の含有量が20質量ppm以上100質量ppm以下となるように配合する、下記(1)~(6)の条件をいずれも満足する外燃機用燃料油組成物の製造方法。
    (a)初留点が140.0℃以上
    (b)95容量%留出温度が271.0℃以上300.0℃以下
    (c)引火点が40.0℃以上
    (d)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
    (e)曇り点が-20.0℃以下
    (a)飽和分含有量が99.0容量%以上
    (b)硫黄分含有量が20質量ppm以下
    (c)曇り点が-50.0℃以下
    (d)30℃における動粘度が5.00mm/s以上20.0mm/s以下
    (e)引火点が70.0℃以上
    (1)初留点が140.0℃以上
    (2)95容量%留出温度が275.0℃以上310.0℃未満
    (3)引火点が40.0℃以上
    (4)硫黄分含有量が3質量ppm以上10質量ppm以下
    (5)曇り点が-20.0以下
    (6)総発熱量が37,000(kJ/L)以上
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