JP7351960B2 - 易接着層付集電体を用いた電極、全固体二次電池、電子機器及び電気自動車、並びに、電極及び全固体二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、上述の積層体を電極として備えた二次電池において、電極(を構成する集電体)の検討が進められている。例えば、炭素質成分等の導電材料と、リチウムポリシリケート等の特定のポリマー材料とを含有するプライマー層(コーティング層)を表面に設けた集電体等が提案されている(例えば、特許文献1~3)。
<1>集電体の少なくとも一方の表面に易接着層を有する易接着層付集電体であって、
易接着層が、トルエンに対する25℃における溶解度が1g/100g以上である重合体を含有する、易接着層付集電体。
<2>易接着層の表面抵抗が104Ω/□以上である、<1>に記載の易接着層付集電体。
<3>易接着層の厚さが10~300nmである、<1>又は<2>に記載の易接着層付集電体。
<4>易接着層が、その表面に1×105~1×1011個/m2の凸部を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の易接着層付集電体。
<5>易接着層の引張弾性率が500MPa以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の易接着層付集電体。
<6>重合体のガラス転移温度が0℃以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の易接着層付集電体。
<7>易接着層の残存水分量が100ppm以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の易接着層付集電体。
<8>上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の易接着層付集電体における易接着層を設けた表面上に、固体電解質を含有する電極活物質層を有する電極。
<9>固体電解質が無機固体電解質である、<8>に記載の電極。
<10>無機固体電解質が硫化物系固体電解質である、<9>に記載の電極。
<11>電極活物質層が粒子状バインダーを含有する、<8>~<10>のいずれか1つに記載の電極。
<12>上記<8>~<11>のいずれか1つに記載の電極を有する全固体二次電池。
<13>上記<12>に記載の全固体二次電池を用いた電子機器。
<14>上記<12>に記載の全固体二次電池を用いた電気自動車。
<15>集電体の表面に、トルエンに対する25℃における溶解度が1g/100g以上である重合体を含有する易接着層形成用組成物を製膜する、易接着層付集電体の製造方法。
<16>易接着層形成用組成物が溶剤を含有し、この易接着層形成用組成物を塗布法により製膜する、<15>に記載の易接着層付集電体の製造方法。
<17>溶剤が水系溶剤である、<16>に記載の易接着層付集電体の製造方法。
<18>上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の易接着層付集電体を用いた、電極の製造方法であって、
CLogP値が2.0以上で、かつ易接着層付集電体の易接着層に含まれる重合体を1g/100g以上の溶解度で溶解する溶剤と、電極活物質とを含有する活物質層形成用組成物を易接着層付集電体の易接着層上で製膜する、電極の製造方法。
<19>上記<18>に記載の電極の製造方法を介して全固体二次電池を製造する、全固体二次電池の製造方法。
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、適宜添付の図面を参照して、下記の記載からより明らかになるであろう。
本明細書において、単に「アクリル」又は「(メタ)アクリル」と記載するときは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
本明細書において化合物の表示(例えば、化合物と末尾に付して呼ぶとき)については、この化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を損なわない範囲で置換基を導入するなど一部を変化させた誘導体を含む意味である。
本明細書において置換又は無置換を明記していない置換基、連結基等(以下、置換基等という。)については、その基に適宜の置換基を有していてもよい意味である。よって、本明細書において、単に、YYY基と記載されている場合であっても、このYYY基は、置換基を有しない態様に加えて、更に置換基を有する態様も包含する。これは置換又は無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、後述する置換基Tが挙げられる。
本明細書において、特定の符号で示された置換基等が複数あるとき、又は複数の置換基等を同時若しくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が隣接するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい意味である。
本発明の易接着層付集電体は、CLogP値2.0以上である溶剤に対する溶解度(25℃)が1g/100g以上である重合体を含有する易接着層を備えた集電体(集電体と易接着層との積層体)である。
本発明において、易接着層とは、集電体の、電極活物質層が積層される表面に設けられる層であって、集電体上で電極活物質を製膜する際に、集電体と電極活物質とを強固に接着(密着)させ、電極活物質層の集電体からの剥離を抑制する機能を果たす層(接着層)をいう。易接着層が集電体と電極活物質とを接着させる接着強度は、易接着層付集電体の用途等により一義的に決定できないが、例えば、実施例で評価する「膜強度試験」において評価基準「C」以上(欠陥発生径が16mm以下)となる強度が挙げられる。
このような易接着層を備えた本発明の易接着層付集電体は、二次電池の電極を構成する材料として用いることにより、CLogP値が2.0以上の溶剤を含有する活物質層形成用組成物で形成される電極活物質層(活物質層ともいう。)に対して高い密着力を示し、かつ高い電池性能を二次電池に付与できる。その理由の詳細はまだ明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、易接着層中の重合体は、本発明の易接着層付集電体上に活物質層を形成した後(本発明の易接着層付集電体が電極に組み込まれた後)には、活物質層を形成するための活物質層形成用組成物中の上記溶剤に一旦溶解して、形成される活物質層中に拡散、侵入等して取り込まれ、場合によっては活物質層を構成する成分との混合領域を形成する(易接着層が層としての形態を維持せず、消失する)。これにより、集電体と活物質層との強固な密着性が発現する。また、易接着層が絶縁性であっても易接着層が消失して露出した集電体の表面と活物質層とが接触して伝導パスが構築される(集電体と活物質層との絶縁が解消される。)。しかも、伝導パスを構築しなくてもよいため、易接着層を薄層に形成でき、二次電池の薄厚化にも資する。
このように、本発明の易接着層付集電体は、活物質層の形成に際して易接着層中の重合体が活物質層中に取り込まれ、好ましくは易接着層を消失させることにより、集電体上に設けられる活物質層に対して高い密着力を示し、かつ二次電池に高い電池性能を付与できる。
本発明において、易接着層付集電体を、正極を形成する材料として用いる場合、易接着層付正極集電体といい、負極を形成する材料として用いる場合、易接着層付負極集電体ということがある。
ここで、CLogP値とは、1-オクタノールと水との分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値である。ClogP値の計算に用いる方法若しくはソフトウェアについては公知のものを用いることができるが、特に断らない限り、本発明ではPerkinElmer社製のChemBioDrawUltra(バージョン13.0)を用いて構造を描画し算出することとする。
また、CLogP値が2.0以上の溶剤に対する重合体の溶解度は、易接着層から採取した重合体及びCLogP値が2.0以上の溶剤を用いて、後述する実施例で示す方法及び条件で測定した値とする。
本発明の易接着層付集電体を、正極、電解質及び負極からなる1ユニットを複数積層した積層構造の二次電池に用いる場合、集電体の両表面に、本発明で規定する易接着層を設けることが好ましい。
集電体の厚さは、易接着層付集電体の総厚が上記範囲を満たす厚さであれば特に制限されず、例えば、1~50μmが好ましく、3~30μmがより好ましい。
集電体の表面は、表面処理により凹凸を形成することも好ましい。
易接着層の厚さは、特に制限されないが、活物質層を形成する際に速やかに消失(重合体が溶解)して活物質層に対する高い密着性を維持しつつ、更に優れた電池性能を付与できる点で、10~500nmであることが好ましく、10~300nmであることがより好ましく、30~300nmが更に好ましく、50~200nmが特に好ましい。易接着層の厚さが上記範囲にあると、二次電池の総厚をより薄くでき、エネルギー密度の向上、更には電気抵抗の低減を図ることができる。この点は、特に複数の二次電池を積層して構成する場合に効果的である。
易接着層の凸部は、後述する粒子を易接着層に含有させて形成してもよく、ショットブラスト法等の表面処理により形成してもよい。
易接着層が含有する重合体は、上記溶解度を満たすものであれば特に制限されず、二次電池に通常用いられる各種の重合体が挙げられる。重合体は、単独重合体、共重合体を包含し、共重合体は、付加重合体、縮重合体を含み、重合様式は特に制限されない。この重合体は、架橋重合体でも非架橋重合体でもよい。
上記重合体は、絶縁性の有機重合体が好ましく、例えば、下記の各樹脂、その他の樹脂が挙げられる。
含フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニレンジフルオリド(PVdF)、ポリビニレンジフルオリドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(PVdF-HFP)が挙げられる。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加(水添)スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマーの単独重合体又は共重合体(好ましくは、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体)が挙げられる。また、その他のビニル系モノマーとの共重合体(コポリマー)も好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチルとスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとアクリロニトリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ブチルとアクリロニトリルとスチレンとの共重合体が挙げられる。本発明において、コポリマーは、統計コポリマー及び周期コポリマーのいずれでもよく、ブロックコポリマーが好ましい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
中でも、含フッ素樹脂、炭化水素系熱可塑性樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂及びセルロース誘導体樹脂が好ましい。
重合体は、1種を単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
重合体の質量平均分子量は、特に制限されず、適宜に決定される。
添加剤としては、二次電池の構成層に通常用いられる成分を用いることができ、また、易接着層の表面に凸部を形成する粒子等が挙げられる。このような粒子としては、絶縁性の粒子であることが好ましく、例えば、無機フィラーの粒子、樹脂粒子等が挙げられる。無機フィラーとしては、特に制限されないが、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン等が挙げられる。樹脂粒子を構成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、上述の重合体で挙げた各種の樹脂が挙げられる。粒子の平均粒径は、特に制限されないが、易接着層に上述の突起数で凸部を形成できる点で、0.02~5μmであることが好ましく、0.1~1μmであることがより好ましい。粒子の平均粒径は、後述する実施例に記載した測定方法により得られる値(体積平均粒子径)とする。本発明において、易接着層は、伝導性を示さない(伝導パスを構築しない)含有量であれば、導電性粒子(例えば、特許文献1~3に記載の炭素材料からなる粒子、金属粒子)を含有していてもよい。
本発明の易接着層付集電体の製造方法は、特に制限されないが、集電体の少なくとも一方の表面に、CLogP値が2.0以上の溶剤(例えばトルエン)に対する25℃における溶解度が1g/100g以上である重合体を含有する易接着層形成用組成物を調製し、この易接着層形成用組成物を集電体の表面で製膜することにより、得られる。
本発明において、固形分とは、特に断りがない限り、組成物を、1mmHgの気圧下、窒素雰囲気下170℃で6時間乾燥処理したときに、揮発又は蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、溶剤以外の成分を指す。
易接着層形成用組成物中の溶剤の含有量は、特に制限されないが、例えば、20~99質量%が好ましく、30~95質量%がより好ましく、40~90質量%が特に好ましい。
易接着層形成用組成物は、上記の各成分及び溶剤を常法にて混合することにより、調製できる。
次いで、塗布した易接着層形成用組成物を乾燥する。乾燥温度は特に制限されないが、例えば、その下限は、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下が更に好ましい。乾燥温度は、特に制限されず、適宜に設定できる。
こうして、集電体の少なくとも一方の表面に易接着層を備えた易接着層付集電体を作製できる。
本発明の電極(電極シート)は、本発明の易接着層付集電体における易接着層を設けた表面上に電極活物質層を有している。この電極は、本発明の易接着層付集電体を用いて作製されたものであり、集電体と活物質層との高い密着力を維持しつつ、二次電池の電極として用いることにより高い電池性能を二次電池に付与できる。
本発明の電極は、電解質として固体電解質層を有する全固体二次電池の電極として好適に用いることができ、電解質として液体電解質(電解液)を有する二次電池の電極としても用いることができる。
例えば、本発明の電極を長尺状にライン製造する場合(搬送中に巻き取っても)、また、捲回型二次電池の電極として用いる場合において、固体粒子同士の高い密着性、更には集電体と活物質中の固体粒子との高い密着性を維持できる。このような電極を用いて二次電池を製造すると、優れた電池性能を示し、更には高い生産性及び歩留まり(再現性)を実現できる。
このように、本発明の電極は、易接着層付集電体と活物質層とを備えた積層体であるが、易接着層は層として残存していてもよく、(活物質層に取り込まれて)消失していてもよい。本発明においては、特段の断りがない限り、易接着層中の重合体が取り込まれていても(混合領域を含めて)活物質層という。なお、図2に示す全固体二次電池において、易接着層付集電体の易接着層は図示していないが、易接着層が残存する場合、負極集電体1と負極活物質層2との界面、又は、正極集電体5と正極活物質層4との界面に、存在する。
本発明において、正極活物質層及び負極活物質層のいずれか、又は、両方を合わせて、単に電極活物質層と称することがある。また、正極活物質及び負極活物質のいずれか、又は両方を合わせて、単に、活物質又は電極活物質と称することがある。同様に、正極及び負極のいずれか、又は両方を合わせて、単に電極と称することがある。正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に集電体と称することがある。
活物質は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの挿入放出が可能なものである。このような活物質としては、以下に説明する、正極活物質及び負極活物質が挙げられ、活物質層は本発明の電極の用途に応じて正極活物質又は負極活物質を含有する。正極活物質としては遷移金属酸化物(好ましくは遷移金属酸化物)が好ましく、負極活物質としては、金属酸化物若しくはSn、Si、Al及びIn等のリチウムと合金形成可能な金属が好ましい。
正極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び/又は放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、遷移金属酸化物、又は、硫黄などのLiと複合化できる元素などでもよい。
中でも、正極活物質としては、遷移金属酸化物を用いることが好ましく、遷移金属元素Ma(Co、Ni、Fe、Mn、Cu及びVから選択される1種以上の元素)を有する遷移金属酸化物がより好ましい。また、この遷移金属酸化物に元素Mb(リチウム以外の金属周期律表の第1(Ia)族の元素、第2(IIa)族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P及びBなどの元素)を混合してもよい。混合量としては、遷移金属元素Maの量(100mol%)に対して0~30mol%が好ましい。Li/Maのモル比が0.3~2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
遷移金属酸化物の具体例としては、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物、(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物、(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物及び(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物等が挙げられる。
(MB)スピネル型構造を有する遷移金属酸化物の具体例として、LiMn2O4(LMO)、LiCoMnO4、Li2FeMn3O8、Li2CuMn3O8、Li2CrMn3O8及びLi2NiMn3O8が挙げられる。
(MC)リチウム含有遷移金属リン酸化合物としては、例えば、LiFePO4及びLi3Fe2(PO4)3等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP2O7等のピロリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類並びにLi3V2(PO4)3(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
(MD)リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物としては、例えば、Li2FePO4F等のフッ化リン酸鉄塩、Li2MnPO4F等のフッ化リン酸マンガン塩及びLi2CoPO4F等のフッ化リン酸コバルト類が挙げられる。
(ME)リチウム含有遷移金属ケイ酸化合物としては、例えば、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、Li2CoSiO4等が挙げられる。
本発明では、(MA)層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物が好ましく、LCO又はNMCがより好ましい。
正極活物質層を形成する場合、正極活物質層の単位面積(cm2)当たりの正極活物質の質量(mg)(目付量)は特に制限されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができ、例えば、1~100mg/cm2とすることができる。
負極活物質は、可逆的にリチウムイオンを挿入及び/又は放出できるものが好ましい。その材料は、上記特性を有するものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫等の金属酸化物、酸化ケイ素、金属複合酸化物、リチウム単体又はリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、並びに、Sn、Si、Al、In等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。中でも、炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質層を形成する場合、負極活物質層の単位面積(cm2)当たりの負極活物質の質量(mg)(目付量)は特に制限されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができ、例えば、1~100mg/cm2とすることができる。
正極活物質及び負極活物質の表面は別の金属酸化物で表面被覆されていてもよい。表面被覆剤としてはTi、Nb、Ta、W、Zr、Al、Si又はLiを含有する金属酸化物等が挙げられる。具体的には、チタン酸スピネル、タンタル系酸化物、ニオブ系酸化物、ニオブ酸リチウム系化合物等が挙げられ、具体的には、Li4Ti5O12、Li2Ti2O5、LiTaO3、LiNbO3、LiAlO2、Li2ZrO3、Li2WO4、Li2TiO3、Li2B4O7、Li3PO4、Li2MoO4、Li3BO3、LiBO2、Li2CO3、Li2SiO3、SiO2、TiO2、ZrO2、Al2O3、B2O3等が挙げられる。
また、正極活物質又は負極活物質を含む電極表面は硫黄又はリンで表面処理されていてもよい。
更に、正極活物質又は負極活物質の粒子表面は、上記表面被覆の前後において活性光線又は活性気体(プラズマ等)により表面処理を施されていてもよい。
活物質層は、活物質の電子導電性を向上させる等のために用いられる導電助剤を適宜必要に応じて含有してもよい。導電助剤としては、一般的な導電助剤を用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維若しくはカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェン若しくはフラーレンなどの炭素質材料であってもよいし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でもよく、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体などの導電性高分子を用いてもよい。またこれらの内1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
活物質層中の導電助剤の含有量は、0~10質量%が好ましい。
本発明において、活物質と導電助剤とを併用する場合、上記の導電助剤のうち、電池を充放電した際にLiの挿入と放出が起きず、活物質として機能しないものを導電助剤とする。電池を充放電した際に活物質として機能するか否かは、一義的ではなく、活物質との組み合わせにより決定される。
活物質層は、好ましくはバインダーを含有する。これにより、固体粒子同士を強固に密着させることができる。また、固体粒子と集電体とを強固に密着性させることもできる。
本発明に用いるバインダーは、全固体二次電池に通常用いられるものであれば特に制限されないが、特開2015-088486号公報に記載のバインダー、国際公開第2017/131093号公報に記載のバインダーが好ましく挙げられる。特に、本発明の易接着層付集電体に対して設けられる活物質層に下記に示すバインダーを含有させると、固体粒子同士(例えば、無機固体電解質同士、無機固体電解質と活物物質、活物質同士)の強固な密着性(結着性)を維持しつつ、更には活物質層(中の固体粒子)と集電体とをより強固に密着させることができる。
- バインダー粒子A -
バインダー粒子Aを構成するポリマーは、数平均分子量(Mn)が好ましくは1000以上のマクロモノマーAに由来する構成成分が組み込まれている。このバインダー粒子Aを構成するポリマー中、マクロモノマーA由来のグラフト部分は、主鎖に対し側鎖を構成する。主鎖は特に限定されない。このバインダー粒子Aは、とりわけ正極活物質に対して高い密着性を示す。
バインダー粒子Aを構成するポリマーのマクロモノマーA由来の構成成分以外(例えば主鎖)の構成成分は特に限定されず、通常のポリマー成分を適用することができる。マクロモノマーA由来の構成成分以外の構成成分を導入するためのモノマー(以下、このモノマーを「モノマー(a)」とも称する。)としては、重合性不飽和結合を有するモノマーであることが好ましく、例えば各種のビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマーを適用することができる。本発明においては、中でも、(メタ)アクリル系モノマーを用いることが好ましい。更に好ましくは、(メタ)アクリル酸モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(メタ)アクリロニトリルから選ばれるモノマーを用いることが好ましい。モノマー1分子中の重合性基の数は特に限定されないが、1~4個であることが好ましい。
バインダー粒子Aを構成するポリマーは、下記官能基群(a)のうち少なくとも1つを有していることが好ましい。この官能基群は、主鎖に含まれていても、マクロモノマーA由来の側鎖に含まれていてもよいが、主鎖に含まれることが好ましい。このように、主鎖等に特定の官能基が含まれることで、無機固体電解質、活物質、集電体の表面に存在していると考えられる水素原子、酸素原子、硫黄原子との相互作用が強くなり、結着性が向上し、界面の抵抗が下げられるという作用が期待できる。
カルボニル基含有基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、ヒドロキシ基、エーテル基、シアノ基、チオール(スルファニル)基
カルボニル基含有基としてはカルボキシ基、カルボニルオキシ基、アミド基、カルバモイル基等が挙げられ、炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい。カルボニルオキシ基はカルボニル基又はオキシ基がポリマーとの結合部となる基であり、カルボニル基又はオキシ基に結合する末端基としては後述する置換基Tが挙げられる。
アミノ基は炭素数0~12が好ましく、0~6がより好ましく、0~2が特に好ましい。
スルホン酸基はそのエステル若しくは塩でもよい。エステルの場合、炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい。
リン酸基はそのエステル若しくは塩でもよい。エステルの場合、炭素数1~24が好ましく、1~12がより好ましく、1~6が特に好ましい。
エーテル基としては、-O-結合を有する基であれば特に制限されず、-O-に結合する末端基としては後述する置換基Tが挙げられる。
なお、上記官能基は、置換基として存在しても、連結基として存在していてもよい。例えば、アミノ基は2価のイミノ基又は3価の窒素原子として存在してもよい。
R2は更に後記置換基Tを有していてもよい。中でも、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、ヒドロキシ基、アルキル基などが置換していてもよい。
カルボキシ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基は例えば炭素数1~6のアルキル基を伴ってエステル化されていてもよい。
酸素原子を含有する脂肪族複素環基は、エポキシ基含有基、オキセタン基含有基、テトラヒドロフリル基含有基などが好ましい。
R3は、R2と同義である。ただし、その好ましいものとしては、水素原子、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、チオール基、リン酸基、ホスホン酸基、酸素原子を含有する脂肪族複素環基、アミノ基(NRN 2)などが挙げられる。
L2は、任意の連結基であり、L1の例が好ましく、酸素原子、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基、炭素数2~6(好ましくは2~3)のアルケニレン基、カルボニル基、イミノ基(NRN)、又はそれらの組み合わせに係る基等がより好ましい。
L3は連結基であり、L2の例が好ましく、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキレン基がより好ましい。
L4は、L1と同義である。
R4は、水素原子、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキル基、炭素数0~6(好ましくは0~3)のヒドロキシ基含有基、炭素数0~6(好ましくは0~3)のカルボキシ基含有基、又は(メタ)アクリロイルオキシ基である。なお、R4は上記L1の連結基になって、この部分で2量体を構成していてもよい。
mは1~200の整数を表し、1~100の整数であることが好ましく、1~50の整数であることがより好ましい。
マクロモノマーAは、数平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが特に好ましい。上限としては、500,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることが特に好ましい。上記バインダー粒子Aを構成するポリマーが上記の範囲の分子量をもつマクロモノマーA由来の側鎖を有することで、より良好に有機溶剤(分散媒)中に均一に分散でき固体電解質粒子等と混合して塗布できるようになる。
本発明においてバインダーAを構成するポリマー及びマクロモノマーAの分子量については、特に断らない限り、数平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の数平均分子量を計測する。測定法としては、基本として下記条件1又は条件2(優先)の方法により測定した値とする。ただし、ポリマー種によっては適宜適切な溶離液を選定して用いればよい。
(条件1)
カラム:TOSOH TSKgel Super AWM-H(商品名、東ソー社製)を2本つなげる。
キャリア:10mMLiBr/N-メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
(条件2)
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM-H、TOSOH TSKgel Super HZ4000、TOSOH TSKgel Super HZ2000(いずれも商品名、東ソー社製)をつないだカラムを用いる。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0ml/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
本明細書においてSP値は、特に断らない限り、Hoy法によって求める(H.L.Hoy Journal of Painting,1970,Vol.42,76-118)。また、SP値については単位を省略して示しているが、その単位はcal1/2cm-3/2である。なお、側鎖成分のSP値は、上記側鎖をなす原料モノマーのSP値とほぼ変わらず、それにより評価してもよい。
本発明において、「アクリル」ないし「アクリロイル」というときには、アクリロイル基のみならずその誘導構造を含むものを広く指し、アクリロイル基のα位に特定の置換基を有する構造を含むものとする。ただし、狭義には、α位が水素原子の場合をアクリル若しくはアクリロイルと称することがある。α位にメチル基を有するものをメタクリルと呼び、アクリル(α位が水素原子)とメタクリル(α位がメチル基)のいずれかのものを意味して(メタ)アクリルと称することがある。
*の結合部の先に存在する構造部としては、マクロモノマーAとしての分子量を満たせば特に限定されないが、炭素原子、酸素原子、水素原子から構成される構造部位であることが好ましい。このとき、置換基Tを有していてもよく、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子)などを有していてもよい。
Rbは二価の連結基である。
Ra及びRbが連結基であるとき、その連結基としては、下記連結基Lが挙げられる。具体的には、炭素数1~30のアルカン連結基(2価の場合アルキレン基)、炭素数3~12のシクロアルカン連結基(2価の場合シクロアルキレン基)、炭素数6~24のアリール連結基(2価の場合アリーレン基)、炭素数3~12のヘテロアリール連結基(2価の場合ヘテロアリーレン基)、エーテル基(-O-)、スルフィド基(-S-)、ホスフィニデン基(-PR-:Rは水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基)、シリレン基(-SiRR’-:R、R’は水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基)、カルボニル基、イミノ基(-NRN-:RNは後記の定義に従い、ここでは、水素原子若しくは炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基)、又はその組み合わせであることが好ましい。中でも、炭素数1~30のアルカン連結基(2価の場合アルキレン基)、炭素数6~24のアリール連結基(2価の場合アリーレン基)、エーテル基、カルボニル基、又はその組み合わせであることが好ましい。また、Ra及びRbが連結基であるとき、その連結基として、下記連結基Lが採用されてもよい。
Ra及びRbを構成する連結基は、炭素原子、酸素原子、水素原子から構成される連結構造であることが好ましい。又は、Ra及びRbを構成する連結基が、後記繰り返し単位(b-15)を有する構造部であることも好ましい。Ra及びRbが連結基であるときの連結基を構成する原子の数や連結原子数は後記連結基Lと同義である。
あるいは、Raが1価の置換基であるときは、-Rb-Rcの構造や、後記繰り返し単位(b-15)を有する構造部であることも好ましい。ここでRcは、後記置換基Tの例が挙げられ、中でもアルキル基、アルケニル基、アリール基であることが好ましい。
Xは連結基であり、連結基Lの例が挙げられる。好ましくは、エーテル基、カルボニル基、イミノ基、アルキレン基、アリーレン基、又はその組み合わせである。組み合わせに係る連結基としては、具体的には、カルボニルオキシ基、アミド基、酸素原子、炭素原子、及び水素原子で構成された連結基が挙げられる。Rb4及びXが炭素原子を含むときその好ましい炭素数は、後記置換基T及び連結基Lと同義である。連結基の好ましい構成原子数や連結原子数も同義である。
その他、マクロモノマーAは、上述した重合性基を有する繰り返し単位のほか、上記式(b-15)のような(メタ)アクリレート構成単位、ハロゲン原子(例えばフッ素原子)を有していてもよいアルキレン鎖(例えばエチレン鎖)を有していてもよい。このとき、アルキレン鎖には、エーテル基(-O-)等が介在していてもよい。
アルキル基(好ましくは炭素数1~20のアルキル基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、ペンチル、ヘプチル、1-エチルペンチル、ベンジル、2-エトキシエチル、1-カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~20のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~20のアルキニル基、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3~20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6~26のアリール基、例えば、フェニル、1-ナフチル、4-メトキシフェニル、2-クロロフェニル、3-メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2~20のヘテロ環基で、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5又は6員環のヘテロ環基である。ヘテロ環基には芳香族ヘテロ環基及び脂肪族ヘテロ環基を含む。例えば、テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、2-ピリジル、4-ピリジル、2-イミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、2-チアゾリル、2-オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~20のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、1-ナフチルオキシ、3-メチルフェノキシ、4-メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(上記ヘテロ環基に-O-基が結合した基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6~26のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、3-メチルフェノキシカルボニル、4-メトキシフェノキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0~20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチルアミノ、アニリノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0~20のスルファモイル基、例えば、N,N-ジメチルスルファモイル、N-フェニルスルファモイル等)、アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、好ましくは炭素数1~20のアシル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、オクタノイル、ヘキサデカノイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、ベンゾイル、ナフトイル、ニコチノイル等)、アシルオキシ基(アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、ヘテロ環カルボニルオキシ基を含み、好ましくは炭素数1~20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、オクタノイルオキシ、ヘキサデカノイルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、クロトノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ニコチノイルオキシ等)、アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素数7~23のアリーロイルオキシ基、例えば、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~20のカルバモイル基、例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N-フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1~20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~20のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~26のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、1-ナフチルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メトキシフェニルチオ等)、ヘテロ環チオ基(上記ヘテロ環基に-S-基が結合した基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~20のアルキルスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6~22のアリールスルホニル基、例えば、ベンゼンスルホニル等)、アルキルシリル基(好ましくは炭素数1~20のアルキルシリル基、例えば、モノメチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル等)、アリールシリル基(好ましくは炭素数6~42のアリールシリル基、例えば、トリフェニルシリル等)、ホスホリル基(好ましくは炭素数0~20のリン酸基、例えば、-OP(=O)(RP)2)、ホスホニル基(好ましくは炭素数0~20のホスホニル基、例えば、-P(=O)(RP)2)、ホスフィニル基(好ましくは炭素数0~20のホスフィニル基、例えば、-P(RP)2)、スルホ基(スルホン酸基)、ヒドロキシ基、スルファニル基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tが更に置換していてもよい。
バインダー粒子Aを構成するポリマーの数平均分子量は5,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、30,000以上であることが特に好ましい。上限としては、1,000,000以下であることが好ましく、200,000以下であることがより好ましい。
無機固体電解質の平均粒子径より、上記バインダー粒子Aの粒径が小さいことが好ましい。
バインダー粒子Aの大きさを上記の範囲とすることにより、良好な密着性と界面抵抗の抑制とを実現することができる。
なお、作製された全固体二次電池からの測定は、例えば、電池を分解し電極を水に入れてその材料を分散させた後、ろ過を行い、残った固体を収集し、上記Tgの測定法でガラス転移温度を測定することにより行うことができる。
バインダー粒子Bは、質量平均分子量(Mw)が好ましくは1,000以上1,000,000未満のマクロモノマーB由来の構成成分を含み、かつ、2環以上の環構造を含む基を有する。このバインダー粒子Bは、とりわけ負極活物質に対して高い密着性を示す。
バインダー粒子Bを構成するポリマーとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレタン又は(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
バインダー粒子Bの合成に用いられるマクロモノマーB以外のモノマーは特に限定されない。このようなモノマーとしては、重合性不飽和結合を有するモノマーであることが好ましく、例えば各種のビニル系モノマー及び/又は(メタ)アクリル系モノマーを適用することができる。具体的には、上述のバインダー粒子Aで記載したモノマー(a)を採用することができる。
本発明に用いられるバインダー粒子Bを構成するポリマーは、質量平均分子量が好ましくは1000以上のマクロモノマーB由来の構成成分が組み込まれている。上記バインダー粒子Bを構成するポリマーにおいて、マクロモノマーB由来の構成成分は主鎖に対し側鎖を構成する。
マクロモノマーBの質量平均分子量は、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが更に好ましい。上限は、1,000,000未満であることが好ましく、500,000以下であることより好ましく、100,000以下であることが更に好ましく、30,000以下であることが特に好ましい。上記バインダー粒子Bを構成するポリマーが上記の範囲の分子量をもつ側鎖を有することで、より良好に有機溶剤中に均一に分散でき固体電解質粒子と混合して塗布できるようになる。
なお、マクロモノマーBの質量平均分子量は、マクロモノマーAの数平均分子量の測定方法と同様にして、測定することができる。
親油性ジオールは、官能基が2以下のポリオールであって、好ましい分子量は700以上5000未満である。ただし、親油性ジオールは、これに限定されない。親油性ジオールの具体例としては、各種の油脂を低級アルコール及び/又はグリコールを用いてアルコリシス化する方法、油脂を部分鹸化する方法、水酸基含有脂肪酸をグリコールによりエステル化する方法等によって、油脂に約2個以下の水酸基を含有させたもの、あるいはJ.H.SAUNDERS,K.C.FRISCH著のPOLYURETHANES,CHEMISTRY AND TECHNOLOGY PART1,Chemistry(pp.48~53、1962年発行)等に記載の、油脂変性ポリオール、末端アルコール変性した(メタ)アクリル樹脂及び末端アルコール変性したポリエステル等が挙げられる。
上記のうち、水酸基含有脂肪酸としては、例えば、リシノレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸及び水添ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。
末端アルコール変性した(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、チオグリセロールを連鎖移動剤として用いた長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートの重合物としては、炭素数6以上30未満のアルキル(メタ)アクリレートの1種又は2種以上が好適に用いられる。更に好ましくは、炭素数8以上25未満(特に好ましくは炭素数10以上20未満)のアルキル(メタ)アクリレートである。
イソシアネート化合物としては、通常のイソシアネート化合物を全て適用でき、特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添加トルエンジイソシアネート(水添加TDI)、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート(水添加MDI)及びイソホロジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族系ジイソシアネート化合物である。
アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、N-アミノエチルピペラジン、ビス-アミノプロピルピペラジン、ポリオキシプロピレンジアミン、4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、チオ尿素及びメチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。アミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合した混合物として用いてもよい。
上記マクロモノマーBとして、末端にエチレン性不飽和結合を有するマクロモノマーを用いてもよい。ここで、マクロモノマーBは、ポリマー鎖部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。
本発明に用いられる2環以上の環構造を含む基は、2環以上の環(好ましくは縮環)構造を有する化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた基であればよく、下記一般式(D)で表される化合物の少なくとも1つの水素原子を結合手に置き換えた基であることが好ましく、1つ又は2つの水素原子を結合手に置き換えた基であることがより好ましく、1つの水素原子を結合手に置き換えた基であることが特に好ましい。
下記一般式(D)で表される化合物から形成される基は、炭素質材料等との親和性に優れるため、バインダー粒子Bを含有する組成物の分散安定性を向上させることができ、固体粒子の結着性を向上させることができる。分散安定性の向上、結着性の向上に伴い、本発明の二次電池はサイクル特性に優れる。2環以上の環構造を含む基は、サイクル特性向上の観点から、3環以上の環構造を含む基であることが好ましく、4環以上の環構造を含む基であることが更に好ましい。上限に特に制限はないが、18環以下が好ましく、16環以下がより好ましく、12環以下が更に好ましく、8環以下が更に好ましく、6環以下が更に好ましい。
ヘテロ環の具体的な構造としては、エチレンイミン、エチレンオキシド、エチレンスルフィド、アセチレンオキシド、アザシクロブタン、1,3-プロピレンオキシド、トリメチレンスルフィド、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、ピリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘキサメチレンオキシド、ヘキサメチレンスルフィド、アザロトピリデン、オキサシクロヘプタトリエン、チオトロピリデン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、クロメン、イソクロメン、アクリジン、キサンテン、アクリジン、ベンゾキノリン、カルバゾール、ベンゾ-O-シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリンなどが挙げられる。
また、RD1で表される置換基として、=Oも好ましい。このような=Oを有する環αの例として、アントラキノンを含む構造が挙げられる。
以下、上記2環以上の環構造を有する化合物が、一般式(D)で表される化合物である場合を例に挙げて説明する。
ポリマーの主鎖に有するとは、一般式(D)で表される化合物が、一般式(D)で表される化合物の少なくとも2つの水素原子を結合手に置き換えた構造でポリマーに組み込まれ、ポリマーの繰り返し構造となる主鎖そのものとなるものである。一方、ポリマーの側鎖に有するとは、一般式(D)で表される化合物の1つの水素原子を結合手に置き換えた構造でポリマーに組み込まれることを意味する。また、ポリマー末端に有するとは、一般式(D)で表される化合物の1つ水素原子を結合手に置き換えた構造でポリマーに組み込まれ、ポリマー鎖長となるものである。ここで、ポリマーの主鎖、側鎖及びポリマー末端の複数に含まれていても構わない。
本発明では、バインダー粒子Bを構成するポリマーが、上記2環以上の環構造を含む基を、主鎖又は側鎖に有することが好ましく、側鎖に有することがより好ましく、マクロモノマーB由来の構成成分の側鎖(マクロモノマーB由来の構成成分が有するグラフト鎖)中に有することが特に好ましい。マクロモノマーB成分の側鎖に有するとは、一般式(D)で表される化合物の1つの水素原子を結合手に置き換えた構造を側鎖として有する繰り返し単位が、マクロモノマーB成分を構成する繰り返し単位の1つとして、マクロモノマーB成分に組み込まれていることを意味する。
なお、上記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量は、バインダー粒子Bの合成に用いられるモノマーの仕込み量(使用量)から算出することができる。国際公開第2017/131093号に記載の表1において、M1~M4及びMMで表される成分のうち、2環以上の環構造を含む基を有する成分の合計が、上記2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量である。例えば、表1のBP-5では、M4(B-5)とMM(MM-2)が2環以上の環構造を含む基を有しており、2環以上の環構造を含む基を有する繰り返し単位の含有量は40質量%である。
下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される脂肪族炭化水素は、負極活物質である炭素質材料等との親和性に優れる。そのため、これらの化合物を含有する組成物の分散安定性をより向上させるとともに固体粒子の結着性を向上させることができる。また、分散安定性の向上、結着性の向上に伴い、この組成物を用いて作製した二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
アリールオキシ基:アリールオキシ基中のアリール基は、上記アリール基と同じである。
ヘテロアリールオキシ基:ヘテロアリールオキシ基中のヘテロアリール基は、上記ヘテロアリール基と同じである。
アルキルチオ基:アルキルチオ基中のアルキル基は、上記アルキル基と同じである。
アリールチオ基:アリールチオ基中のアリール基は、上記アリール基と同じである。
ヘテロアリールチオ基:ヘテロアリールチオ基中のヘテロアリール基は、上記ヘテロアリール基と同じである。
アシル基:炭素数は、1~30が好ましく、1~25がより好ましく、1~20が更に好ましい。アシル基はホルミル基、脂肪族カルボニル基、芳香族カルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含む。例えば、次の基が挙げられる。ホルミル、アセチル(メチルカルボニル)、ベンゾイル(フェニルカルボニル)、エチルカルボニル、アクリロイル、メタクリロイル、オクチルカルボニル、ドデシルカルボニル(ステアリン酸残基)、リノール酸残基、リノレン酸残基
アシルオキシ基:アシルオキシ基中のアシル基は、上記アシル基と同じである。
アルコキシカルボニル基:アルコキシカルボニル基中のアルキル基は、上記アルキル基と同じである。
アリールオキシカルボニル基:アリールオキシカルボニル基中のアリール基は、上記アリール基と同じである。
アルキルカルボニルオキシ基:アルキルカルボニルオキシ基中のアルキル基は、上記アルキル基と同じである。
アリールカルボニルオキシ基:アリールカルボニルオキシ基中のアリール基は、上記アリール基と同じである。
一般式(1-2)において、Rxは一般式(1)におけるRxと同義であり、好ましい範囲も同じである。R10は置換基を表し、nxは0~4の整数を表す。m3は3以上の整数を表す。Ryは、水素原子又は置換基を表す。ここで、RxとRyが結合してもよい。
m3は、3~10の整数が好ましく、3~8の整数がより好ましく、3~5の整数が特に好ましい。
ここで、A環は、飽和環、二重結合を1若しくは2個有する不飽和環又は芳香環であってもよく、B環及びC環は、二重結合を1若しくは2個有する不飽和環であってもよい。なお、a、b、c又はdの各々において、2~4の整数の場合、互いに隣接する置換基が結合して環を形成してもよい。
ここで、ステロイド骨格の炭素番号は、下記の通りである。
アルキル基は、炭素数1~12のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基が挙げられる。アルキル基としては内部に二重結合又は三重結合の不飽和炭素結合を含有することが更に好ましい。
アルケニル基は、炭素数1~12のアルケニル基が好ましく、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、どのような置換基でも構わないが、アルキル基、アルケニル基、ヒドロキシ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホ基が挙げられる。
R21は、炭素番号3に置換するのが好ましく、R22は、炭素番号6又は7に置換するのが好ましく、R23は炭素番号11又は12に置換するのが好ましく、R24は、炭素番号17に置換するのが好ましい。
下記では、ステロイド環に有する置換基は、立体的に制御されているものである。
左からコレスタン類、コラン類、プレグナン類、アンドロスタン類、エストラン類である。
なお、L1a-P1はL1aで環に結合する。また、L2a-P2及びL3a-P2はL2a及びL3aでそれぞれ環に結合する。
L1aは一定以上の長さを有することが好ましい。具体的には環α(環α、一般式(1)又は(2)における環構造を構成する原子のうちL1aが結合する原子)とP1とを連結する最短原子数は、2原子以上が好ましく、4原子以上がより好ましく、6原子以上が更に好ましく、8原子以上が特に好ましい。上限は1000原子以下であることが好ましく、500原子以下であることがより好ましく、100原子以下であることが更に好ましく、20原子以下であることが特に好ましい。
なお、エチレン性不飽和基は、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基(アリル基を含む)が挙げられる。
R31として採りうるアルキル基としては、特に限定されないが、炭素数1~24のアルキル基が好ましく、1~12のアルキル基がより好ましく、1~6のアルキル基が特に好ましい。
R31として採りうるアルケニル基としては、特に限定されないが、炭素数2~24のアルケニル基が好ましく、2~12のアルケニル基がより好ましく、2~6のアルケニル基が特に好ましい。
R31として採りうるアルキニル基としては、特に限定されないが、炭素数2~24のアルキニル基が好ましく、2~12のアルキニル基がより好ましく、2~6のアルキニル基が特に好ましい。
R31として採りうるアリール基としては、特に限定されないが、炭素数6~22のアリール基が好ましく、6~14のアリール基がより好ましい。
R31として採りうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
R31は、中でも、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又はメチルがより好ましい。
R31が置換基を採りうる基(アルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアリール基)であるとき、R31は更に置換基を有していてもよい。置換基としては上記置換基Tが挙げられ、中でも、ハロゲン原子(フッ素原子等)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アリーロイルオキシ基等)、アミド基(カルバモイル基)が好ましい。
L31が置換基を採りうる基であるとき、更に置換基を有していてもよい。置換基としては上記置換基Tが挙げられ、中でも、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子)、アルキル基、アシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基が好ましい。
L31は一定以上の長さを有することが好ましい。環α(環α、一般式(1)又は(2)における環構造を構成する原子のうちL1aが結合する原子)とX31とを連結する最短原子数は、環αとP1とを連結する最短原子数と同じである。
なお、バインダー粒子Bの平均粒子径の測定方法は、バインダー粒子Aの平均粒子径の測定方法と同じである。
なお、バインダー粒子Bを構成するポリマーの質量平均分子量は、バインダー粒子Aを構成するポリマーの数平均分子量の測定方法と同様にして測定することができる。
バインダーを上記の範囲で用いることにより、一層効果的に無機固体電解質の結着性と界面抵抗の抑制性とを両立して実現することができる。
なお、本発明に用いられるバインダーは、常法により調製することができる。
また、バインダーとして、バインダー粒子が分散した分散液として用いることもできる。バインダーを粒子化する方法としては、例えば、重合反応時にバインダー粒子を形成する方法、重合反応液からバインダー樹脂を沈殿させて粒子化する方法等が挙げられる。
活物質層は、固体電解質を含有してもよく、本発明の電極を全固体二次電池に用いる場合、活物質層は固体電解質を含有することが好ましい。
固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。固体電解質は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する固体電解質であればよい。このような固体電解質としては、有機固体電解質及び無機固体電解質が挙げられ、無機固体電解質が好ましい。
有機固体電解質は、二次電池に通常使用されるものを特に制限されることなく用いることができ、例えば、ポリマー電解質が挙げられる。ポリマー電解質は、電解質塩と、この電解質塩を溶解してポリマー電解質にイオン伝導度を付与しうるポリマーとからなるものが挙げられる。
ポリマー電解質を形成するポリマーは、電解質塩とともにイオン伝導体として機能するものであればよく、例えば、二次電池用のポリマー電解質に通常用いられる高分子を挙げることができる。具体的には、ポリエーテル、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアクリレート等の各ポリマーが挙げられる。中でも、ポリエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)、ポリプロピレンオキシド(ポリプロピレングリコール)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリテトラヒドロフラン)などのポリエーテル、ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸などのポリアクリレート、ポリカーボネートが好ましい。
ポリマー電解質を形成する電解質塩は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンを含有する塩である。この電解質塩は、全固体二次電池の充電及び放電によって、正極と負極との間を往復するイオンとして周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンを解離する(発生させる)金属塩である。この電解質塩は、上述のポリマーに溶解されることにより、ポリマーとともにイオン伝導性を発現する特性を示す。
電解質塩としては、上記イオン伝導性を発現する特性を示すものであれば特に限定されず、全固体二次電池用のポリマー電解質に通常用いられる電解質塩を挙げることができる。
中でも、リチウム塩が好ましく、下記(a-1)及び(a-2)から選ばれる金属塩(リチウム塩)が好ましい。
Aは、P、B、As、Sb、Cl、Br若しくはIであるか、又は、P、B、As、Sb、Cl、Br及びIから選ばれる2種以上の元素の組み合わせを示す。Dは、F又はOを示す。xは1~6であり、1~3がより好ましい。yは1~12であり、4~6がより好ましい。
LiAxDyで示される金属塩の好ましい具体例として、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6及びLiSbF6から選ばれる無機フッ化物塩、並びに、LiClO4、LiBrO4及びLiIO4から選ばれる過ハロゲン酸塩を挙げることができる。
Rfはフッ素原子又はパーフルオロアルキル基を示す。このパーフルオロアルキル基の炭素数は1~4が好ましく、1~2がより好ましい。
LiN(RfSO2)2で示される金属塩の好ましい具体例として、例えば、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(FSO2)2及びLiN(CF3SO2)(C4F9SO2)から選ばれるパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩を挙げることができる。
有機固体電解質の、活物質層中の含有量は、併用する活物質との合計含有量として、0.01~50質量%であることが好ましく、0.05~40質量%であることがより好ましい。上記ポリマーと上記電解質塩との質量比は、上記ポリマー:電解質塩=1:0.05~2.50が好ましく、1:0.3~1がより好ましい。
本発明において、無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、上述の有機固体電解質とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオン及びアニオンに解離又は遊離していない。この点で、電解液、又は、ポリマー中でカチオン及びアニオンに解離若しくは遊離している無機電解質塩(LiPF6、LiBF4、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば、特に限定されず、電子伝導性を有さないものが一般的である。本発明の(全固体)二次電池がリチウムイオン電池の場合、無機固体電解質は、リチウムイオンのイオン伝導性を有することが好ましい。
上記無機固体電解質は、二次電池に通常使用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は、(i)硫化物系無機固体電解質、(ii)酸化物系無機固体電解質、(iii)ハロゲン化物系無機固体電解質、及び、(iV)水素化物系固体電解質が挙げられ、活物質と無機固体電解質との間により良好な界面を形成することができる観点から、硫化物系無機固体電解質が好ましい。
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子を含有し、かつ、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、S及びPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的又は場合に応じて、Li、S及びP以外の他の元素を含んでもよい。
La1Mb1Pc1Sd1Ae1 (1)
式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1~e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1~12:0~5:1:2~12:0~10を満たす。a1は1~9が好ましく、1.5~7.5がより好ましい。b1は0~3が好ましく、0~1がより好ましい。d1は2.5~10が好ましく、3.0~8.5がより好ましい。e1は0~5が好ましく、0~3がより好ましい。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(Li2S)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mで表される元素の硫化物(例えばSiS2、SnS、GeS2)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子を含有し、かつ、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものが好ましい。
酸化物系無機固体電解質は、イオン伝導度として、1×10-6S/cm以上であることが好ましく、5×10-6S/cm以上であることがより好ましく、1×10-5S/cm以上であることが特に好ましい。上限は特に制限されないが、1×10-1S/cm以下であることが実際的である。
またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li3PO4); リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON; LiPOD1(D1は、好ましくは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt及びAuから選ばれる1種以上の元素である。)等が挙げられる。
更に、LiA1ON(A1は、Si、B、Ge、Al、C及びGaから選ばれる1種以上の元素である。)等も好ましく用いることができる。
ハロゲン化物系無機固体電解質は、ハロゲン原子を含有し、かつ、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
ハロゲン化物系無機固体電解質としては、特に制限されないが、例えば、LiCl、LiBr、LiI、ADVANCED MATERIALS,2018,30,1803075に記載のLi3YBr6、Li3YCl6等の化合物が挙げられる。中でも、Li3YBr6、Li3YCl6を好ましい。
水素化物系無機固体電解質は、水素原子を含有し、かつ、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
水素化物系無機固体電解質としては、特に制限されないが、例えば、LiBH4、Li4(BH4)3I、3LiBH4-LiCl等が挙げられる。
固体電解質層を形成する場合、固体電解質層の単位面積(cm2)当たりの無機固体電解質の質量(mg)(目付量)は特に制限されるものではない。設計された電池容量に応じて、適宜に決めることができ、例えば、1~100mg/cm2とすることができる。
ただし、固体電解質層が上述の活物質を含有する場合、無機固体電解質の目付量は、活物質と無機固体電解質との合計量が上記範囲であることが好ましい。
本発明の固体電解質組成物は、上記各成分以外の他の成分として、所望により、イオン液体、リチウム塩(支持電解質)、増粘剤、架橋剤(ラジカル重合、縮合重合又は開環重合により架橋反応するもの等)、重合開始剤(酸又はラジカルを熱又は光によって発生させるものなど)、消泡剤、レベリング剤、脱水剤、酸化防止剤等の添加剤を、適宜の含有量で、含有することができる。
リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はなく、例えば、特開2015-088486の段落0082~0085記載のリチウム塩が好ましい。イオン液体は、イオン伝導度をより向上させるため含有されるものであり、公知のものを特に制限されることなく用いることができる。
本発明の電極の製造方法は、本発明の易接着層付集電体を用いて、この易接着層を形成する重合体を活物質層内に取り込むことができる方法であれば特に制限されない。好ましい製造方法として、CLogP値が2.0以上で、かつ易接着層付集電体の易接着層に含まれる重合体の溶解度が1g/100g以上である溶剤と電極活物質とを含有する活物質層形成用組成物を調製し、得られた活物質層形成用組成物を易接着層付集電体の易接着層上で製膜する方法である。この方法においては、上記集電体、上記易接着層形成用組成物及び活物質層形成用組成物を組み合わせて用いることができる。活物質層形成用組成物を製膜する過程において、易接着層の表面に活物質層形成用組成物を塗布することにより、易接着層を形成する重合体を、活物質層形成用組成物が含有する溶剤により、再溶解させて活物質層形成用組成物中に取り込み、その後活物質層形成用組成物を乾燥する。これにより、本発明の電極を作製できる。
CLogP値が2.0以上の溶剤は、通常、低極性で疎水性を示す溶剤である。このような溶剤であれば特に制限されず、各種の溶剤を用いることができる。例えば、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、脂肪族化合物、エステル化合物等の各有機溶剤が好ましく、その具体例としては下記のものが挙げられる。
ケトン化合物としては、例えば、ジプロピルケトン(ClogP=2.34)、ジブチルケトン(ClogP=3.6)、ジイソブチルケトン(ClogP=3.48)、2-デカノン(ClogP=4.01)、ジイソプロピルケトン(ClogP=2.64)などが挙げられる。
芳香族化合物としては、例えば、トルエン(ClogP=2.52)、エチルベンゼン(ClogP=2.94)、キシレン(ClogP=3.01)などが挙げられる。
脂肪族化合物としては、例えば、ヘプタン(ClogP=3.42)、オクタン(ClogP=3.84)、シクロヘキサン(ClogP=2.5)、シクロオクタン(ClogP=3.34)、メチルシクロヘキサン(ClogP=2.83)、エチルシクロヘキサン(ClogP=3.25)などが挙げられる。
エステル化合物としては、例えば、酪酸ブチル(ClogP=2.27)、酪酸ペンチル(ClogP=2.69)、イソ酪酸イソブチル(ClogP=2.4)、プロピオン酸ペンチル(ClogP=2.27)などが挙げられる。
非水系分散媒としても、上記記載の溶剤が挙げられる。
溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活物質層形成用組成物の塗布方法は、特に制限されないが、易接着層形成用組成物の塗布方法と同じである。また、活物質層形成用組成物の乾燥方法(条件)は、易接着層中の重合体を活物質中に取り込むことができる方法(条件)であれば特に制限されないが、重合体の種類及び溶剤の種類等に応じて、易接着層形成用組成物の乾燥方法(条件)から適宜に選択できる。易接着層中の重合体を再溶解させるため、活物質層形成用組成物を易接着層上に塗布した状態をしばらく維持した後に乾燥してもよい。
本発明の電極の製造方法においては、こうして得られた電極(活物質層)を加圧することもできる。加圧条件等については、後述する、全固体二次電池の製造方法において説明する。ただし、加圧力は、全固体二次電池にかける加圧力よりも低く設定することができ、例えば、2~100MPaに設定することができる。
本発明の電極を備えた二次電池は、電解質として液体電解質を有する二次電池であってもよく、電解質として固体電解質層を有する全固体二次電池であってもよい。上述のように安全性等の種々の利点を有する全固体二次電池であることが好ましい。
液体電解質を有する二次電池は、本発明の電極を用いること以外は通常の二次電池と同様である。以下に、全固体二次電池について詳述する。
本発明の全固体二次電池は、正極(正極集電体及び正極活物質層)と、この正極に対向する負極(負極活物質層及び負極集電体)と、正極(正極活物質層)及び負極(負極活物質層)の間に配置された固体電解質層とを有する。本発明において、正極及び負極の少なくとも一方、好ましくはいずれも本発明の電極(電極シート)で構成されている。集電体及び活物質層は、本発明の電極におけるものと同じである。なお、正極及び負極の一方が本発明の電極で形成されない場合、活物質を含有する公知の固体電解質組成物を用いて形成することができる。
固体電解質層は、例えば、固体電解質を含有する通常の固体電解質組成物で形成される。
負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層の厚さは、それぞれ、特に制限されない。各層の厚さは、一般的な全固体二次電池の寸法を考慮すると、それぞれ、10~1,000μmが好ましく、20μm以上500μm未満がより好ましい。本発明の全固体二次電池においては、正極活物質層及び負極活物質層の少なくとも1層の厚さが、50μm以上500μm未満であることが更に好ましい。
本発明の全固体二次電池は、用途によっては、上記構造のまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためには更に適当な筐体に封入して用いることが好ましい。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金又は、ステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
本発明の二次電池、とりわけ全固体二次電池は、上述の優れた特性を示し、種々の用途に適用することができる。適用態様には特に制限はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、電子機器としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源などが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
中でも、上述の優れた特性を活かして、上記の各種電子機器、及び自動車に本発明の二次電池を搭載することが好ましい。本発明の二次電池を通常の方法で搭載した電子機器及び電気自動車は優れた電池性能を発揮する。
本発明の二次電池の製造方法は、本発明の電極を用いて製造する方法、すなわち本発明の電極の製造方法を介して(経て)製造する方法であれば特に制限されず、本発明の電極を用いて公知の方法により製造できる。
- 全固体二次電池の製造方法 -
以下に、全固体二次電池の製造方法について説明する。
本発明の全固体二次電池の製造方法は、本発明の電極の製造方法を介して製造する方法である。例えば、本発明の電極を製造し、これを用いて固体電解質層を形成することにより、製造できる。具体的には、固体電解質層は、電極上で製膜してもよく、電極上に配置若しくは転写してもよい。こうして形成した固体電解質層に別の電極を重ねて全固体二次電池とする。少なくとも1つの電極として本発明の電極を用いていれば、他の電極として通常の電極(集電体と活物質層との積層体)を作製して用いてもよい。好ましくは、正極及び負極として本発明の電極を作製し、これらの間に固体電解質層を配置して製造する方法が挙げられる。
本発明の固体電解質組成物は、特に制限されないが、含水率(水分含有量ともいう。)が、500ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが更に好ましく、50ppm以下であることが特に好ましい。含水量は、固体電解質組成物中に含有している水の量(固体電解質組成物に対する質量割合)を示し、具体的には、0.02μmのメンブレンフィルターでろ過し、カールフィッシャー滴定を用いて測定された値とする。
固体電解質組成物の塗布方法は、特に制限されず、上述の易接着層形成用組成物の塗布方法と同じ方法を適用できる。また、固体電解質組成物の乾燥方法(条件)も、特に制限されず、上述の易接着層形成用組成物の乾燥方法(条件)を適用できる。
製膜した固体電解質組成物又は製造した全固体二次電池を加圧することが好ましい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧力としては特に制限されず、一般的には50~1500MPaの範囲であることが好ましい。
上記加圧は、固体電解質組成物の加熱と同時に行うこともできる。加熱温度としては特に制限されず、一般的には30~300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。一方、無機固体電解質とバインダーが共存する場合、バインダーを形成する樹脂のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。加圧は分散媒を予め乾燥させた状態で行ってもよいし、分散媒が残存している状態で行ってもよい。
プレス圧は被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。このときのプレス圧は被圧部の面積又は膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で加圧することもできる。プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
上記のようにして製造した二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は特に制限されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
<粒子状バインダーAの合成例>
還流冷却管、ガス導入コックを付した2L三口フラスコに、下記マクロモノマーM-1の40質量%ヘプタン溶液を7.2g、アクリル酸メチル(上記例示化合物A-3、和光純薬工業社製)を12.4g、アクリル酸(上記例示化合物A-1、和光純薬工業社製)を6.7g、ヘプタン(和光純薬工業社製)を207g、アゾイソブチロニトリルを1.4g添加し、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に、100℃に昇温した。別容器にて調製した液(マクロモノマーM-1の40質量%ヘプタン溶液を93.1g、アクリル酸メチルを222.8g、アクリル酸を120.0g、ヘプタン300.0g、アゾイソブチロニトリル2.1gを混合した液)を4時間かけて滴下した。滴下完了後、アゾイソブチロニトリル0.5gを添加した。その後100℃で2時間攪拌した後、室温まで冷却し、ろ過することで粒子状バインダーAの分散液を得た。固形成分濃度は39.2%であった。
粒子状バインダーAの平均粒径は0.15μmであった。また、粒子状バインダーAを形成する樹脂の質量平均分子量は10万であり、ガラス転移温度は-5℃であった。
12-ヒドロキシステアリン酸(和光純薬工業社製)の自己縮合体(GPCポリスチレンスタンダード数平均分子量:2,000)にグリシジルメタクリレート(東京化成工業社製)を反応させマクロモノマーとしてそれをメタクリル酸メチルとグリシジルメタクリレート(東京化成工業社製)と1:0.99:0.01(モル比)の割合で重合したポリマーにアクリル酸(和光純薬社製)を反応させたマクロモノマーM-1を得た。このマクロモノマーM-1のSP値は9.3、数平均分子量は11000であった。
下記に、粒子状バインダーAを構成するポリマー及びマクロモノマーM-1の推定構造式を示す。
還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つ口フラスコにヘプタンを200質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に室温から80℃に昇温した。攪拌しているヘプタン中に、別容器にて調製した液(アクリル酸ブチル(上記例示化合物A-5、和光純薬工業社製)90質量部、メタクリル酸メチル(上記例示化合物A-4、和光純薬工業社製)20質量部、アクリル酸(上記例示化合物A-1、和光純薬工業社製)10質量部、下記B-27(合成品)を20質量部、下記マクロモノマーMM-1を60質量部(固形分量)、重合開始剤V-601(商品名、和光純薬工業社製)を2.0質量部混合した液)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。その後、得られた混合物にV-601を更に1.0質量部添加し、90℃で2時間攪拌した。得られた溶液をヘプタンで希釈することで、粒子状バインダーBの分散液を得た。固形成分濃度は30%であった。
粒子状バインダーBの平均粒径は0.2μmであった。また、粒子状バインダーBを形成する樹脂の質量平均分子量は15万であり、ガラス転移温度は-20℃であった。
1Lの3つ口フラスコにコレステロール(東京化成工業社製)80g、こはく酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)(アルドリッチ社製)を50g、4-ジメチルアミノピリジン(東京化成工業社製)を5g、ジクロロメタンを500g加えた後、20℃で5分攪拌した。攪拌している溶液中に1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(東京化成工業社製)52gを30分かけて添加し、20℃で5時間攪拌した。その後0.1M塩酸で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧留去を行った。得られたサンプルをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することでB-27を得た。
還流冷却管、ガス導入コックを付した1Lの3つ口フラスコにトルエンを190質量部加え、流速200mL/minにて窒素ガスを10分間導入した後に室温から80℃に昇温した。攪拌しているトルエン中に、別容器にて調製した液(下記処方α)を2時間かけて滴下し、80℃で2時間攪拌した。その後、V-601(和光純薬工業社製)を0.2質量部添加し、更に95℃で2時間攪拌した。攪拌後95℃に保った溶液に2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(東京化成工業社製)を0.025質量部、メタクリル酸グリシジル(和光純薬工業社製)を13質量部、テトラブチルアンモニウムブロミド(東京化成工業社製)を2.5質量部加えて120℃で3時間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却したのちメタノールに加えて沈殿させ、沈殿物をろ取し、メタノールで2回洗浄後、ヘプタン300質量部を加えて溶解させた。得られた溶液を減圧下で濃縮することでマクロモノマーMM-1の溶液を得た。固形分濃度は43.4%、SP値は9.1、質量平均分子量は16,000であった。得られたマクロモノマーMM-1を以下に示す。
メタクリル酸ドデシル(例示化合物A-9、和光純薬工業社製)150質量部
メタクリル酸メチル (例示化合物A-4、和光純薬工業社製) 59質量部
3-メルカプトイソ酪酸 (東京化成工業社製) 2質量部
V-601 (和光純薬工業社製) 1.9質量部
200mL3つ口フラスコに1,4-ブタンジオール0.36gと2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸1.8gとポリカーボネートジオール(商品名:デュラノールT5650J、旭化成社製、Mw800)6.4g、NISSO-PB GI-1000(商品名、水添ポリブタジエンポリオール、日本曹達社製、Mw1500)を加え、メチルエチルケトン49gに溶解した。この溶液に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート7.6gを加えて80℃で撹拌し、均一に溶解させた。この溶液に、ネオスタンU-600(商品名、日東化成社製)100mgを添加して75℃で10時間攪伴後、メタノール1gを加えてポリマー末端を封止して重合反応を停止後、乾燥し、ポリウレタン樹脂Cの粉末を得た。
200mL3つ口フラスコに1,4-ブタンジオール0.36gと2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸1.8gとポリカーボネートジオール(商品名:デュラノールG3450J、旭化成社製、Mw800)6.4g、NISSO-PB GI-1000(商品名、水添ポリブタジエンポリオール、日本曹達社製、Mw1500)を加え、メチルエチルケトン49gに溶解した。この溶液に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート7.6gを加えて80℃で撹拌し、均一に溶解させた。この溶液に、ネオスタンU-600 100mgを添加して75℃で10時間攪伴後、メタノール1gを加えてポリマー末端を封止して重合反応を停止後、乾燥し、ポリウレタン樹脂Dの粉末を得た。
200mL3つ口フラスコに1,4-ブタンジオール0.20gと2,2-ビス(ヒドロキシメチル)酪酸0.41gとポリカーボネートジオール(商品名:エタナコールUH-200、宇部興産社製、Mw2,000)10.0gとトリメチロールプロパン(東京化成工業社製)0.193gとを加え、メチルエチルケトン22gに溶解した。この溶液に、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3.8gを加えて80℃で撹拌し、均一に溶解させた。この溶液に、ネオスタンU-600 100mgを添加して80℃で4時間攪伴し、Mw27,000のプレポリマーを得た。このプレポリマーに、エポール(商品名、末端ジオール変性水添ポリイソプレン、出光興産社製、Mw2,500)3.7gのTHF溶液5gを加えて、更に80℃で4時間攪伴を続け、メタノール1gを加えてポリマー末端を封止して重合反応を停止後、乾燥し、架橋ポリウレタン樹脂Eの粉末を得た。
粒子状バインダーの平均粒径の測定は、以下の手順で行った。上記にて調製した粒子状バインダーの分散液をジイソブチルケトンを用いて0.1質量%の分散液を調製した。この分散液試料に1kHzの超音波を10分間照射した後に、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA-920(商品名、HORIBA社製)を用いて、粒子状バインダーの体積平均粒径を測定した。その他の詳細な条件等は必要によりJIS Z 8828:2013「粒子径解析-動的光散乱法」の記載を参照した。1水準につき5つの試料を作製して測定し、その平均値をバインダー粒子の平均粒径とした。
粒子状バインダーを形成する樹脂の数平均分子量又は質量平均分子量は、上記方法(条件2)により、測定した。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
各樹脂若しくは各重合体のガラス転移温度(Tg)を、上記方法により、測定した。
<固形分濃度の測定方法>
粒子状バインダーの各分散液及びマクロモノマー溶液の固形分濃度は、下記方法に基づいて、測定した。
7cmΦのアルミカップ内に粒子状バインダーA若しくはBの分散液又はマクロモノマー溶液を約1.5g秤量し、少数点第3位までの秤量値を読み取った。続いて窒素雰囲気下で90℃2時間、続いて140℃2時間加熱し、乾燥させた。得られたアルミカップ内の残存物の質量を測り、下記式により固形分濃度を算出した。測定は、5回行い、最大値及び最小値を除いた、3回の平均を採用した。
固形分濃度(%)=[アルミカップ内の残存物量(g)]/[粒子状バインダーA若しくはBの分散液又はマクロモノマー溶液(g)]
硫化物系無機固体電解質は、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.Hama,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231-235、及び、A.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872-873の非特許文献を参考にして合成した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点-70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(Li2S、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g及び五硫化二リン(P2S5、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。Li2S及びP2S5の混合比は、モル比でLi2S:P2S5=75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記の硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を完全に密閉した。遊星ボールミルP-7(商品名、フリッチュ社製)に容器をセットし、温度25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li-P-S系ガラス、以下、LPSと表記することがある。)6.20gを得た。
実施例1では、表1に示すように、CLogP値2.0以上の溶剤としてのトルエンに対する25℃における溶解度が1g/100g以上の重合体を含有する易接着層形成用組成物と、CLogP値が2.0以上の溶剤としてのトルエン、電極活物質及び硫化物系無機固体電解質を含有する活物質層形成用組成物を用いて、易接着層付集電体を作製し、電極及び全固体二次電池を製造した。
<易接着層付正極集電体の作製>
以下のようにして、図1に示される易接着層付正極集電体21を作製した。
水添スチレンブタジエンゴム(水添SBR)3g(DYNARON1321P(商品名)、JSR社製)をモレキュラーシーブス3Aで脱水したトルエン100gに加え、プラネタリーミキサーを用いて室温で1時間分散させて、易接着層形成用組成物を得た。
次いで、露点-60℃に設定されたドライルーム内で厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)上にアプリケーター(商品名:SA-201ベーカー式アプリケーター、テスター産業社製)により易接着層形成用組成物を塗布(表1に示す塗布方法は溶剤系)して、100℃のホットプレート上で1時間乾燥した。こうして、厚さ10nmの易接着層を有する易接着層付正極集電体を得た。
なお、表1における「易接着層付正極集電体」欄中の「塗布方法」は、易接着層形成用組成物が有機溶剤を含有する場合、溶剤系と表記し、水系溶剤を含有する場合、水系と表記する。
後述する正極活物質層形成用組成物の調製に用いた溶剤(表1にも示す。)100g(液温25℃に調整)を撹拌しながら、易接着層形成用組成物の調製に用いた重合体(表1にも示す。)を1gずつ添加し、未溶解物が出る直前の値(添加量)を溶解度とした。得られた溶解度を下記基準にてクラス分けして表1に示す。
- 溶解度の基準 -
A:10g/100g以上
B: 5g/100g以上、10g/100g未満
C: 1g/100g以上、 5g/100g未満
D:1gの重合体でも溶解せず、未溶解物が確認できる
溶剤のClogP値は、上述の算出方法に準拠して、算出した。
調製した易接着層形成用組成物をテフロン(登録商標)シート上にベーカー式アプリケーター(パルテック社製)を用いて塗布し、送風乾燥機(ヤマト科学社製)内に静置して100℃で8時間乾燥させた後、テフロン(登録商標)シートから静かに剥離し、厚さ50μm以上の易接着層を得た。得られた易接着層について、JIS C 2151に従い、表面抵抗を測定した。得られた表面抵抗値(単位:Ω/□)を、易接着層付正極集電体における易接着層の表面抵抗値とした。
易接着層付正極集電体の易接着層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して得られたSEM画像から突起50点を任意に選択し、各突起について最も近傍に位置する他の突起との距離(最近傍突起間距離)を測定し、これらの平均を算出した。得られた平均最近傍突起間距離から1m2当たりの突起数(個)を算出した。例えば、平均最近傍突起間距離が1mmである場合、突起数は1000×1000=1000000個/m2となる。
易接着層形成用組成物をテフロン(登録商標)シート上にベーカー式アプリケーター(パルテック社製)を用いて塗布し、送風乾燥機(ヤマト科学社製)内に静置して100℃で8時間乾燥させた。次いで、乾燥後の膜を、ショッパー形試料打抜器(安田精機製作所製)を用いて、JIS K 7127「プラスチック-引張特性の試験方法 第3部:フィルム及びシートの試験条件」により規定される標準試験片タイプ5を作製した。このようにして、引張試験用試験片を調製した。
作製した試験片について、デジタルフォースゲージZTS-5N及び縦型電動計測スタンドMX2シリーズ(いずれも商品名、イマダ社製)を用いて、温度25℃、露点-50℃の環境下で引張試験を行った。試験片中央部には50mm離れて平行な2本の標線をつけ、1分間に10mmの速度で試験片を引き延ばし、JIS K 7161「プラスチック-引張特性の試験方法」に基づいて弾性率を算出した。得られた弾性率を、易接着層付正極集電体における易接着層の弾性率とした。
特開2015-088486号公報の段落[0143]に記載のガラス転移温度(Tg)の測定法に基づいて、測定した。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLPS 2.8g、粒子状バインダーAの分散液を固形分換算で0.2g、分散媒としてトルエン12.3gを投入した。遊星ボールミルP-7(商品名、フリッチュ社製)に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合した。その後、活物質としてNMC(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(アルドリッチ社製))7.0g、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカ社製)を0.2g容器に投入し、同様に、遊星ボールミルP-7に容器をセットし、温度25℃、回転数100rpmで10分間混合を続け、正極活物質層形成用組成物を調製した。
正極活物質層形成用組成物において、粒子状バインダーAは粒子状を維持している。
易接着層付正極集電体の作製において、アルミニウム箔をステンレス鋼(SUS)箔(負極集電体)に変更した以外は、易接着層付正極集電体の作製と同様にして、易接着層付負極集電体Aを作製した。
作製した易接着層付負極集電体について、易接着層付正極集電体と同様にして、上記各特性若しくは物性を測定若しくは算出した。易接着層付負極集電体の各特性及び物性は、易接着層付正極集電体と同じであるため、記載を省略する。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、上記で合成したLPS 2.8g、粒子状バインダーBの分散液を固形分換算で0.2g、分散媒としてトルエン12.3gを投入した。フリッチュ社製遊星ボールミルP-7に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合した。その後、活物質として黒鉛(商品名、CGB20、日本黒鉛社製)7.0gを容器に投入し、同様に、遊星ボールミルP-7に容器をセットし、温度25℃、回転数200rpmで15分間混合を続け負極活物質形成用組成物を調製した。
負極活物質層形成用組成物において、粒子状バインダーBは粒子状を維持している。
図2に示す層構成を有する全固体二次電池を以下のようにして製造した。
すなわち、ポリエチレンテレフタラート(PET)製の円筒に10mmφのSUS製の棒を片側開口部から挿入した。正極シートを直径9mmの円盤状に打ち抜き、円筒内にSUS棒に正極集電体22を対面させた状態で配置した後、円筒内の正極活物質層の表面上にLPSを30mg入れて、円筒の反対側開口部から10mmφのSUS棒を挿入して350MPaで加圧成形して固体電解質層(200μm)を形成した。固体電解質層側のSUS棒を一旦外し、負極シートの負極活物質層を固体電解質層に対面させた状態で直径9mmの円盤状に打ち抜いた負極シートを固体電解質層上に配置した。次いで、外していたSUS棒を円筒内に再度挿入し、600MPaで加圧後、SUS棒をかしめ、実施例1-1の全固体二次電池を製造した。
こうして、本発明の易接着層付集電体を正極及び負極に用いた全固体二次電池を製造した。
実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製において、易接着層の厚さを表1に示す値に変更し、更に実施例1-4においては正極活物質層形成用組成物の溶剤をトルエンに代えてジイソブチルケトン(DIBK)を用い、実施例1-5においては易接着層形成用組成物の溶剤をトルエンに代えてDIBKを用いた以外は、実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製と同様にして、実施例1-2~1-8の易接着層付正極集電体をそれぞれ作製した。
こうして作製した各易接着層付正極集電体を用いた以外(易接着層付負極集電体としては実施例1-1で作製した易接着層付負極集電体A(易接着層の厚さは10nm)を用いた。実施例1-9~1-18及び比較例1-1~1-3も同じ。)は、実施例1-1と同様にして、実施例1-2~1-8の全固体二次電池をそれぞれ製造した。
実施例1-7で作製した易接着層付正極集電体の易接着層を削り取り、水分測定をJIS K0113に沿って測定した結果、残留水分量は80ppmであった。
実施例1-6の易接着層付正極集電体の作製において、易接着層形成用組成物にデンカブラック(平均粒径35nm、デンカ社製)を混合し、このデンカブラックの、水添スチレンブタジエンゴム(DYNARON1321P(商品名))に対する混合質量比を変更して易接着層の表面抵抗を表1に示す値に設定した以外は、実施例1-6と同様にして、実施例1-9、1-10及び参考例11の易接着層付正極集電体をそれぞれ作製した。こうして作製した易接着層付正極集電体を用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-9、1-10及び参考例1-11の全固体二次電池をそれぞれ製造した。
実施例1-3の易接着層付正極集電体の作製において、水添スチレンブタジエンゴムを含有する上記易接着層形成用組成物を、スチレンブタジエンゴム(SBR)のソープフリーラテックス(SX1105(商品名)、日本ゼオン社製)にコロイダルシリカ(スノーテックスZL(商品名)、平均粒径85nm、日産化学社製)を表1に示す突起数になる含有量で含有させた易接着層形成用(水系)組成物を用いた(表1に示す塗布方法は水系)以外は、実施例1-3と同様にして、実施例1-12~1-14の易接着層付正極集電体をそれぞれ作製した。こうして作製した易接着層付正極集電体を用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-12~1-14の全固体二次電池をそれぞれ製造した。
実施例1-3の、易接着層付正極集電体の作製において、水添スチレンブタジエンゴムに代えて、上記で合成したポリウレタン樹脂C(実施例1-15)又はポリウレタン樹脂D(実施例1-16)に変更した以外は、実施例1-3と同様にして、実施例1-15及び1-16の易接着層付正極集電体をそれぞれ作製した。こうして作製した易接着層付正極集電体を用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-15及び1-16の全固体二次電池をそれぞれ製造した。
実施例1-3の、易接着層付正極集電体の作製において、水添スチレンブタジエンゴム3g(DYNARON1321P(商品名))をトルエン100gに溶解した易接着層形成用組成物を、スチレンブタジエンゴムのソープフリーラテックス(SX1105(商品名)、水系組成物、日本ゼオン社製)を水で希釈した組成物に変更した(表1に示す塗布方法は水系)以外は、実施例1-3と同様にして、易接着層付正極集電体を作製した。この易接着層付正極集電体を用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-17の全固体二次電池を製造した。
実施例1-3の正極シートの作製において、粒子状バインダーAの分散液に代えて水添スチレンブタジエンゴム(DYNARON1321P(商品名))を用いて調製した正極活物質層形成用組成物を用いた以外は、実施例1-3と同様にして、正極シートを製造した。正極活物質層形成用組成物において、水添スチレンブタジエンゴム(DYNARON1321P)はトルエンに溶解している。この正極シートを用いた以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-18の全固体二次電池を製造した。
実施例1-3の、易接着層付正極集電体の作製において、水添スチレンブタジエンゴム(DYNARON1321P(商品名))3gに代えて、架橋ポリウレタン樹脂Eに変更した以外は、実施例1-3の易接着層付正極集電体の作製の作製と同様にして、比較例1-1の易接着層付正極集電体を作製した。この易接着層付正極集電体を用いた以外は実施例1-1と同様にして、全固体二次電池を製造した。
実施例1-16において、トルエンに代えてイソブチロニトリル(IBN)を用いて調製した正極活物質層形成用組成物を用いた以外は、実施例1-16と同様にして、全固体二次電池を製造した。
IBNに対するポリウレタン樹脂Dの溶解度は1g/100g未満であった。
実施例1-17において、スチレンブタジエンゴムのソープフリーラテックスに代えてリチウムシリケート35(日産化学社製)とデンカブラックとを固形分換算で1:1になるように調製した易接着層形成用組成物を用いて厚み2000nmの易接着層を形成した以外は、実施例1-17と同様にして、易接着層付正極集電体を作製した。この易接着層付正極集電体を用いた以外は実施例1-1と同様にして、比較例1-3の全固体二次電池を製造した。
<全固体二次電池の構成層の厚さの測定>
全固体二次電池の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)で観察して得られた画像から構成層の厚さを算出した。
集電体と活物質層との密着力を、下記の膜強度試験により、評価した。
この膜強度試験は、JIS K 5600-5-1に準拠し、マンドレル試験機を用いた耐屈曲性試験として、行った。すなわち、各例で製造した正極シートを幅50mm、長さ100mmの短冊状に切り出した試験片を用いて、正極活物質層をマンドレルとは逆側(正極集電体をマンドレル側)、かつ試験片の幅方向がマンドレルの軸に平行となるようにセットし、マンドレルの外周面に沿って180°屈曲(1回)させた後、正極活物質層の集電体からの剥離が生じているか否かを目視で観察した。この屈曲試験は、まず、直径25mmのマンドレルを用いて行い、剥離が発生していない場合、マンドレルの径(単位mm)を20、16、12、10、8、6、5、4、3、2と徐々に小さくしていき、最初に剥離が発生したマンドレルの直径を記録した。この剥離が最初に発生したマンドレルの直径(欠陥発生径)が下記評価基準のいずれに含まれるかにより、評価した。本試験において、欠陥発生径が小さいほど集電体と正極活物質層の密着性が強固であることを示し、評価基準AA、A、B及びCが合格レベルである。
AA: 5mm未満
A: 5mm以上、10mm未満
B:10mm以上、16mm未満
C:16mm
D:20mm以上
各例で製造した全固体二次電池の電池性能を、充放電評価装置「TOSCAT-3000」(商品名、東洋システム社製)を用いて測定した電池電圧により、評価した。具体的には、全固体二次電池を電池電圧が4.2Vになるまで電流値0.2mAで充電した後、電池電圧が3.0Vになるまで電流値2.0mAで放電した。放電開始10秒後の電池電圧を読み取り、以下の評価基準により、評価した。
評価基準を以下に示す。本試験において、評価基準AA、A、B及びCが合格レベルである。なお、表中の電池性能評価における「-」は、正極シートの膜強度が弱く、電池を製造できなかったため、電池性能の評価ができなかったことを意味する。
AA:4.10V以上
A:4.05V以上、4.10V未満
B:4.00V以上、4.05V未満
C:3.95V以上、4.00V未満
D:3.90V以上、3.95V未満
各例で作製した易接着層付正極集電体から切り出したシート状サンプル10枚を重ね合せて積層サンプルを作製した。シート状サンプルは、上下に位置するシート状サンプルの易接着層と集電体とが接触するように重ねた。この試験体を、温度30℃、相対湿度80%の環境下で、加圧力0.5MPaの加圧状態で24時間加圧し、次いで、温度23℃、相対湿度50%環境下で12時間以上静置した後、10枚の易接着層付正極集電体それぞれを剥離した。各易接着層付集電体の剥離面(下面)を観察して、以下の評価基準により、易接着層付集電体の耐接着性を評価した。本試験において、評価基準A、B及びCが合格レベルである。
- 評価基準 -
A:10枚とも下面に剥離跡が見られない場合
B:1枚又は2枚の易接着層付集電体の下面のエッジ部に僅かに剥離跡が見られる場合
C:1枚又は2枚の易接着層付集電体の下面に剥離跡が見られる場合
D:3枚以上の易接着層付集電体の下面に剥離跡が見られる場合
これに対して、本発明で規定する溶解度を満たす重合体を含む易接着層を有する易接着層付集電体(実施例1-1~1-18)は、本発明で規定するClogP値を満たす溶剤を含有する活物質層形成用組成物を用いて形成される活物質層に対して優れた密着性を示すだけでなく、電池電圧が高く、優れた電池性能を発揮する全固体二次電池を製造できる。更には、耐接着性にも優れ、重ね合わされても易接着層の剥離及び破損を防止できる。
実施例2では、実施例1と同様にして、表2に示される負極を作製し、この負極を用いて全固体二次電池を製造して、負極及び全固体二次電池について評価した。その結果を表2に示す。
実施例2-1は、上記実施例1-3と同様にして電極及び全固体二次電池を製造した。
ただし、易接着層付負極集電体Aに設けた易接着層の厚さを50nmとした。
[実施例2-2]
実施例1-3において、易接着層付負極集電体Aに代えて、下記のようにして作製した易接着層付負極集電体Bを用いた以外は、実施例1-3と同様にして、全固体二次電池を製造した。
- 易接着層付負極集電体Bの作製 -
実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製において、アルミニウム箔を銅箔(負極集電体)に変更し、更に易接着層の厚さを50nmに変更した以外は、実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製と同様にして、易接着層付負極集電体Bを作製した。
比較例1-1において、易接着層付負極集電体Aに代えて易接着層付負極集電体Cを用いた以外は、比較例1-1と同様にして、全固体二次電池を製造した。
- 易接着層付負極集電体Cの作製 -
実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製において、アルミニウム箔をステンレス鋼(負極集電体)に変更し、かつ水添スチレンブタジエンゴム(DYNARON1321P(商品名))を架橋ポリウレタン樹脂Eに変更し、更に易接着層の厚さを50nmとした以外は、実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製と同様にして、易接着層付負極集電体Cを作製した。
[比較例2-2]
比較例2-1において、易接着層付負極集電体Cに代えて易接着層付負極集電体Dを用いた以外は、比較例2-1と同様にして、全固体二次電池を製造した。
- 易接着層付負極集電体Dの作製 -
実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製において、アルミニウム箔を銅箔(負極集電体)に変更し、かつ水添スチレンブタジエンゴム(DYNARON1321P(商品名))を架橋ポリウレタン樹脂Eに変更し、更に易接着層の厚さを50nmとした以外は、実施例1-1の易接着層付正極集電体の作製と同様にして、易接着層付負極集電体Dを作製した。
また、作製した正極シート及び全固体二次電池について、実施例1と同様にして、上述の特性若しくは物性を測定若しくは評価して、その結果を表2に示した。
ただし、膜強度の評価については、評価対象を、正極シートではなく、負極シートに変更して、行った。また、耐接着性は、評価対象を、正極シートではなく、負極シートに変更して、下記負極用評価基準により、評価した。
実施例3では、表3に示すように、正極活物質層の固体電解質として酸化物系無機固体電解質を用いた以外は実施例1と同様にして易接着層付集電体、電極及び全固体二次電池を製造して、これらを評価した。ただし、電池性能の評価は以下の評価基準とした。その結果を表3に示す。本試験において、評価基準AA、A、B及びCが合格レベルである。
- 評価基準 -
AA:3.80V以上
A:3.75V以上、3.80V未満
B:3.70V以上、3.75V未満
C:3.65V以上、3.70V未満
D:3.60V以上、3.65V未満
実施例1-3の正極シートの作製において、硫化物系無機固体電解質LPSに代えて酸化物系無機固体電解質Li7La3Zr2O12(LLZ)を用いて調製した正極活物質層形成用組成物を用いた以外は、実施例1-3と同様にして、正極シートを作製した。この正極シートを用いた以外は実施例1-3と同様にして、全固体二次電池を製造した。
[比較例3-1]
比較例1-1の正極シートの作製において、LPSに代えてLLZを用いて調製した正極活物質層形成用組成物を用いた以外は、比較例1-1と同様にして、正極シートを作製した。この正極シートを用いた以外は比較例1-1と同様にして、全固体二次電池を製造した。
実施例4では、正極活物質層の固体電解質として有機固体電解質を用いた以外は実施例3と同様にして易接着層付集電体、電極及び全固体二次電池を製造して、これらを評価した。その結果を表3に示す。
実施例1-3の正極シートの作製において、硫化物系無機固体電解質としてのLPSに代えて有機固体電解質として下記Li塩含有ポリエチレンオキシド溶液を用いて調製した正極活物質層形成用組成物を用いた以外は、実施例1-3と同様にして、正極シートを作製した。なお、Li塩含有ポリエチレンオキシド溶液の使用量は、その固形分量が実施例1-3のLPSの使用量と同じになるように設定した。こうして得られた正極シートを用いた以外は実施例1-3と同様にして、全固体二次電池を製造した。
<Li塩含有ポリエチレンオキシドの調製例>
ポリエチレンオキシド(PEO、Mw:10万、Aldrich社製)2.5gとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI、和光純薬工業社製)1.0gをアセトニトリル(和光純薬工業社製)25gに溶解させて、Li塩含有ポリエチレンオキシド溶液を調製した。
比較例1-1の正極シートの作製において、LPSに代えて上記Li塩含有ポリエチレンオキシド溶液(使用量は固形分換算)を用いて調製した正極活物質層形成用組成物を用いた以外は、比較例1-1と同様にして、正極シートを作製した。この正極シートを用いた以外は比較例1-1と同様にして、全固体二次電池を製造した。
また、作製した負極シート及び全固体二次電池について、実施例1と同様にして、上述の特性若しくは物性を測定若しくは評価して、その結果を表3に示した。
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 コインケース
12 全固体二次電池用積層体
13 イオン伝導度測定用セル(コイン電池)
21 易接着層付集電体
22 集電体
23 易接着層
Claims (18)
- 集電体の少なくとも一方の表面に易接着層を有する易接着層付集電体における前記易接着層を設けた表面上に、固体電解質を含有する電極活物質層を有する電極であって、
前記易接着層が、トルエンに対する25℃における溶解度が1g/100g以上である重合体を含有し、かつ前記易接着層の表面抵抗が104Ω/□以上であり、
前記易接着層中の前記重合体の一部が前記電極活物質層中に取り込まれている、電極。 - 集電体の少なくとも一方の表面に易接着層を有する易接着層付集電体における前記易接着層を設けた表面上で、固体電解質を含有する電極活物質層を形成してなる電極であって、
前記易接着層が、トルエンに対する25℃における溶解度が1g/100g以上である重合体を含有し、かつ前記易接着層の表面抵抗が10 4 Ω/□以上であり、
前記易接着層中の前記重合体の少なくとも一部が前記電極活物質層中に取り込まれている、電極。 - 前記電極活物質層が、CLogP値が2.0以上で、かつ前記易接着層に含まれる前記重合体を1g/100g以上の溶解度で溶解する溶剤と電極活物質と固体電解質とを含有する活物質層形成用組成物の、前記易接着層を設けた前記表面上での塗布乾燥層である、請求項1又は2に記載の電極。
- 前記易接着層の厚さが10~300nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の電極。
- 前記易接着層が絶縁性粒子を含有し、該絶縁性粒子に由来する凸部を前記一方の表面に1×10 5 ~1×10 11 個/m 2 の凸部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の電極。
- 前記易接着層の引張弾性率が500MPa以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電極。
- 前記重合体のガラス転移温度が0℃以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の電極。
- 前記易接着層の残存水分量が100ppm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の電極。
- 前記固体電解質が無機固体電解質である、請求項1~8のいずれか1項に記載の電極。
- 前記無機固体電解質が硫化物系固体電解質である、請求項9に記載の電極。
- 前記電極活物質層が粒子状バインダーを含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の電極。
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の電極を有する全固体二次電池。
- 請求項12に記載の全固体二次電池を用いた電子機器。
- 請求項12に記載の全固体二次電池を用いた電気自動車。
- 集電体の表面に、トルエンに対する25℃における溶解度が1g/100g以上である重合体を含有する易接着層形成用組成物を製膜して、表面抵抗が10 4 Ω/□以上である易接着層を形成し、
CLogP値が2.0以上で、かつ前記易接着層に含まれる前記重合体を1g/100g以上の溶解度で溶解する溶剤と、電極活物質と、固体電解質とを含有する活物質層形成用組成物を前記易接着層上で製膜する、電極の製造方法。 - 前記易接着層形成用組成物が溶剤を含有し、該易接着層形成用組成物を塗布法により製膜する、請求項15に記載の電極の製造方法。
- 前記溶剤が水系溶剤である、請求項16に記載の電極の製造方法。
- 請求項17に記載の電極の製造方法を介して全固体二次電池を製造する、全固体二次電池の製造方法。
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