JP7368727B2 - 壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法 - Google Patents

壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法に関する。
従来、製鉄所の築炉用仮設上屋の建設では、在来工法により建屋全面に足場を設置して人力により外壁工事を行うことが一般的である。この場合、高所作業となることから、作業負荷が大きく、工期が長くなっていた。
これに対して、例えば特許文献1に示すような波形状の折板などの薄板軽量形鋼からなる壁パネルを使用し、所定の大きさに形成された壁パネルを建屋の構造部材に対して接合した壁構造が知られている。この場合には、現場における外壁工事の作業を減らすことが可能となるので、足場を建屋全面に設置することなく、部分的に足場を設けるだけですむ利点がある。
特開2017-19885号公報
しかしながら、特許文献1に記載される波形状の薄板軽量形鋼(薄板鋼板)からなる壁パネルは、壁材としての機能は有するが、構造部材としての機能を有していない。具体的には、鉄骨を建て、その鉄骨にブレースを取り付けて構造部材を構築した後、その鉄骨に対して壁パネルを接合している。つまり、特許文献1に示す構造では、壁パネル自体が薄板鋼板のせん断耐力に基づく剛性のみで設計した非構造部材である。そのため、鉄骨に対してブレースを取り付ける作業を削減することができない。
また、壁パネルがせん断耐力以上となると変形してしまうため、大型化することが難しく、壁パネルの分割数が多くなるので、現場で行う鉄骨に対する接合作業にかかる手間やコストが増大してしまうという問題があった。
そのため、さらなる施工の簡略化を図って工期の短縮と工事費の低減が求められており、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、工期を短縮できるとともに、工事にかかるコストを低減できる壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明に係る壁パネルでは、建屋の鉄骨の壁面に接合される横方向の長さで少なくとも10m以上の大型な壁パネルであって、間隔をあけて対向して配置された一対の縦枠材、及び該一対の縦枠材の上端同士と下端同士を接続する横枠材によって矩形状に枠組みされた枠体と、前記枠体の片面に該枠体の開口を塞ぐようにして接合され、山部と谷部が配列された波形状の薄板鋼板と、を備え、前記縦枠材及び横枠材の延在方向に沿う接合間隔は、前記枠体に対して前記波形状の薄板鋼板を波幅のピッチで接合するための接合部材の間隔であって、(1)式~(3)式を満足する範囲であることを特徴としている。
Figure 0007368727000001
本発明に係る壁パネルでは、枠体に対して波形状の薄板鋼板を接合するための例えばビス等の接合部材の接合間隔を、上述した(1)式~(3)式を満足する範囲とすることで、薄板鋼板の座屈を抑制し、接合部材と薄板鋼板の負担せん断力を高めることができる。そのため、枠体と薄板鋼板とを剛に接合することができ、壁パネルとしてせん断耐力を向上させてブレース機能が付与された構造部材となるため、建屋の鉄骨に接合された壁パネルに建屋の水平荷重を負担させることができる。そして、前述のように壁パネルが構造部材となるので、壁パネルの大型化を図ることができる。また、この場合には、接合部材を必要以上に使用することがないことから、壁パネルの製作にかかる作業の手間や部材コストを低減することができる。
このように、建屋の鉄骨に接合される壁パネルにブレース機能をもたせることで、建屋の鉄骨に組み付けられるブレースを削減することができ、鉄骨数量を低減することが可能となり、しかも壁パネルを大型化してパネル数を減らすことが可能となる。したがって、本発明では、ブレースの取り付けにかかる作業を削減することが可能となり、工期の短縮を図ることができるうえ、鉄骨の部材コストと、施工の効率化に伴うコストを低減できる。
また、本発明では、壁パネルの大型化により重機を用いて行う外壁工事の効率化を図ることができるうえ、建屋全面に足場を設置する必要がなく、足場の低減を図ることができる。
また、本発明に係る壁パネルでは、前記薄板鋼板は、山部と谷部が横方向に配列されていることを特徴としてもよい。
この場合には、捩れに対して効果を発揮できる波形鋼板が上述したビス等の接合部材の接合間隔で枠体に接合されるので、波形鋼板が受ける捩れの力を抑制して枠体に伝達することができる。
また、本発明に係る壁構造では、上述した壁パネルを建屋の鉄骨に接合した壁構造であって、前記建屋の鉄骨のうち本柱にガイド部材が接続され、前記ガイド部材に高力ボルトによって前記壁パネルの前記枠体が摩擦接合されていることを特徴としている。
また、本発明に係る壁構造の構築方法では、上述した壁構造の構築方法であって、前記縦枠材及び横枠材の延在方向に沿う接合間隔を前記(1)式~(3)式を満足する範囲で設定して、前記枠体に前記薄板鋼板を接合して前記壁パネルを設ける工程と、前記建屋の鉄骨のうち本柱に前記ガイド部材を接続する工程と、前記ガイド部材に高力ボルトによって前記壁パネルの前記枠体を接合する工程と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、建屋の鉄骨の本柱に対してガイド部材を介して壁パネルが高力ボルトで摩擦接合されているので、壁パネルが負担する水平荷重(せん断力)を建屋の本柱に伝達させることができる。
そして、本発明では、上述した構造部材からなる壁パネルを建屋の鉄骨に接合した構造となるので、上述したように建屋の鉄骨に組み付けられるブレースを削減することができ、鉄骨数量を低減することが可能となり、しかも壁パネルを大型化してパネル数を減らすことが可能となる。したがって、本発明では、ブレースの取り付けにかかる作業を削減することが可能となり、工期の短縮を図ることができるうえ、鉄骨の部材コストと、施工の効率化に伴うコストを低減できる。
また、本発明に係る壁構造では、前記本柱は、外壁面に配置されるフランジを有する部材であり、前記ガイド部材は、前記フランジから壁面方向に張り出し、上下方向に延びるガイドプレートをなし、前記ガイドプレートの裏面に前記壁パネルの前記縦枠材を当接させて高力ボルトで摩擦接合していることを特徴としてもよい。
この場合、本柱のフランジに上下方向に延びるガイドプレート(ガイド部材)を外壁面方向に張り出した状態で設けることで、そのガイドプレートの裏面に壁パネルの縦枠材を高力ボルトで締結して接合する作業を効率よく行うことができる。そして、建屋の鉄骨の本柱に対してガイド部材を介して壁パネルが高力ボルトで摩擦接合されているので、壁パネルが負担する水平荷重(せん断力)を建屋の本柱に伝達させることができる。
本発明の壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法によれば、工期を短縮できるとともに、工事にかかるコストを低減できる。
本発明の実施形態による複数の壁パネルが接合された建屋を示す斜視図である。 図1に示す建屋の鉄骨に接合される壁パネルを斜め前方から見た斜視図である。 図2に示す壁パネルの分解斜視図であって、ビスが省略された図である。 (a)は壁パネルを前方から見た正面図、(b)は壁パネルを後方から見た正面図である。 図4に示すA-A線断面図であって、壁パネルの水平断面図である。 図5における本柱と壁パネルとの接合部を示す要部水平断面図である。 設計耐力の計算式を説明するための図であって、(a)は薄板鋼板の正面図、(b)は薄板鋼板を上方から見た図である。 計算例で使用する鋼板の各寸法を示す図である。 (a)~(c)は、建屋の鉄骨に壁パネルを接合する施工手順を示す斜視図である。 (a)~(c)は、実施例による壁パネルの解析モデルを示す図である。 解析結果による壁パネルの荷重-変位関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態による壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による壁パネル1は、製鉄所のコークス炉の仮設の建屋10に設けられている。建屋10は、四方の外壁面に対して、構造部材である鉄骨からなる本柱11(図6参照)に対して本実施形態の複数の壁パネル1が接合されている。
ここで、壁パネル1において、図2~図6に示すように、建屋10の外壁面の位置に接合された状態で上下方向、縦方向yとし、外壁面に対して直交する方向から見て縦方向に直交する水平方向を横方向xとし、外壁面に直交する方向を奥行方向zとして以下説明する。なお、奥行方向zにおいて、建屋10の外側を向く方向を前側、前方といい、建屋10の内側を向く方向を後側、後方という。
建屋10は、図6に示す本柱11と梁(図示省略)からなる鉄骨構造であり、外壁面に本実施形態の壁パネル1が複数配置されるとともに、上面には図1に示す屋根材12が設けられている。本柱11は、H形鋼が用いられ、フランジ11Aの外面11a(図6参照)を建屋10の外壁面に一致させた状態で配置されている。
壁パネル1は、図2~図4(a)、(b)に示すように、枠体2と、枠体2の片面に枠体2の開口を塞ぐようにしてビス4により接合(ねじ固定)されるとともに、山部と谷部が横方向に配列された波形状の波形鋼板3(薄板鋼板)と、を備えている。
壁パネル1の一例として、例えば横方向xの長さが10.8m、縦方向yの長さ(高さ寸法)が2.4mとなる大型形状の壁パネルを採用することができる。なお、例示した形状の壁パネル1であることに限定されることはなく、横方向xの長さで少なくとも10m以上の大型な壁パネルであればよいのである。
また、壁パネル1の大きさとしては、例えば車両や船等による運搬可能な大きさを上限値に設定される。
枠体2は、間隔をあけて対向して配置された一対の縦枠材21と、及び一対の縦枠材21の上端同士と下端同士を接続する一対の横枠材22と、によって矩形状に枠組みされている。さらに枠体2の開口には、一対の縦枠材21、21間で横方向xに一定の間隔をあけて配置される複数の中間縦材23と、上下の横枠材22、22間で縦方向yの中央に配置される中間横材24と、が設けられている。中間縦材23と中間横材24は、縦枠材21及び横枠材22によって枠組みされる外枠部分のたわみや座屈を防止するように補剛している。つまり、壁パネル1が本実施形態で例示したように横方向xの寸法で10mを超えるので、たわみに対して補剛するために中間縦材23や中間横材24を設けている。
これら枠体2の縦枠材21、横枠材22、中間縦材23及び中間横材24は、断面矩形状の角形鋼管が用いられ、それぞれ溶接により連結されている。なお、枠体2の角形鋼管であることに限定されることはなく、波形鋼板3に先行して崩壊しないために十分な耐力を有していれば、H形鋼、断面略コ字形(C字形)の溝形構、L型鋼等の他の鋼材であってもかまわない。
なお、枠体2の各鋼材同士の接合方法として、溶接に限定されるものではなく、壁パネル1に作用する面内せん断力を相互に伝達することが可能であれば、ボルトやビス等の他の方法を用いて接合してもよい。
波形鋼板3は、例えば横方向xの長さ寸法(幅寸法)が650mmのものを横方向xに複数枚配列させて設けられ、好適な部材形状、及び材料により選定されたものを使用することができる。波形鋼板3は、縦方向yに延びて横方向xに交互に設けられる山部31と谷部32とを有して形成され、谷部32がビス4で枠体2に接合されている(図5及び図6参照)。本実施形態では、枠体2に対する波形鋼板3におけるビス止め領域は、枠体2の縦枠材21、横枠材22、及び中間縦材23であって、中間横材24に対してはビス止めしていない。
波形鋼板3は、薄板が折り曲げ加工されて断面台形角波形に製作した折板である。つまり、波形鋼板3の折り筋の延在方向を縦方向yに向けた状態で谷部32を枠体2に当接させたてビス止めにより接合されている。波形鋼板3において横方向xに隣り合う鋼板同士の接続部分は、互いに厚さ方向に重ね合わせてビス4によって固定されている。
本実施形態の壁パネル1では、波形鋼板3の折り筋が縦枠材21に平行に配置されているので、波形鋼板3は折り筋に直角方向の曲げに抵抗し、これにより縦枠材21の曲げ変形が効果的に抑制される構造となっている。
波形鋼板3を枠体2に接合するビス4としては、例えばビス径が6mm以上のドリルビスを使用することができる。また、ドリルビスの他、タッピングビス等も採用してもよい。枠体2と反対側(前方)から波形鋼板3の谷部32をビス4で貫通させて枠体2に螺合させることで、枠体2と波形鋼板3とが接合されるようになっている。
ビス4は、縦方向y及び横方向xに沿って例えば90mm以上100mm以下の接合間隔で設けられている。このビス4のビスピッチや本数は、下記(1)式に示す壁パネル1の設計耐力pを求める式により算出することができる。(1)式におけるDx、Dyは、パネル形状により決定される係数であり、それぞれ(2)式、(3)式により表わされる。計算例を以下に示す。
ここで、図7(a)、(b)において、aは波形鋼板3の横方向xの長さ寸法(直行幅)(m)、bは波形鋼板3の縦方向yの長さ寸法(平行幅)(m)、Eは波形鋼板3のヤング係数(E=200(kN/mm))、Iyは波形鋼板3の折り筋方向に対して直交する方向中立軸に関する単位長さ当たりの断面2次モーメント(mm)、qは波形鋼板3の一山の波幅(波形鋼板3と枠体2との接合間隔(ビスピッチ)(図5参照))、tは波形鋼板3の板厚(mm)、Sは波形鋼板3の一山の展開長(mm)である。
Figure 0007368727000002
Figure 0007368727000003
Figure 0007368727000004
以下、計算例を示す。
波形鋼板として、図8に示す形状、寸法の鋼板を使用した。この鋼板における上記、(1)式~(3)式における各パラメータは、E=200kN/mm、t=0.6mm、S=131mm、Iy=2.8cm/m×0.09m=2520mm、a=10800mm、b=2400mm、p=60kNとする。
これらパラメータに基づいて(2)式、(3)式によりDx、Dyを算出すると、Dx≒0.055q(kN・mm)となり、Dy≒(5.04×10)/q(kN・mm)となる。次に、このDx、Dyの算出結果を(1)に代入すると、q≦106.2mmとなる。
そして、本計算例で使用する鋼板の一山の波幅qが90mmとなることにより、鋼板と枠体との接合間隔は、90≦q≦100の範囲に設定した。
上述した壁パネル1は、図6に示すように、建屋10の本柱11に接続されるガイド部材5に対して高力ボルト51によって摩擦接合されている。ガイド部材5は、本柱11の外側に位置するフランジ11Aから外壁面方向で横方向xに張り出し、上下方向に延びるガイドプレートをなしている。ガイド部材5には、複数のボルト孔52が上下方向に所定間隔をあけて形成されている。なお、壁パネル1の縦枠材21にもガイド部材5のボルト孔52に対応する位置に図示しないボルト穴が形成されるとともに、その縦枠材21の前壁21aにおける裏面側のボルト穴にナット53が溶着されている。
壁パネル1は、ガイド部材5の裏面5bに壁パネル1の縦枠材21の前壁21aを当接させた状態で配置され、ガイド部材5の前面5a側から高力ボルト51をボルト孔52及び縦枠材21の前記ボルト穴に挿通させてナット53に螺合させることで摩擦接合した状態で本柱11に接合されている。
次に、上述した壁パネル1を使用した壁構造の構築方法について、図面を用いて詳細に説明する。
先ず、図2~図4(a)、(b)に示すように、枠体2に波形鋼板3をビス4によって、上述した(1)式~(3)式を満足する範囲として、上述した90mm以上100mm以下のビスピッチ(図2、図4(a)及び図5参照)で接合して壁パネル1を製作する。壁パネル1は、建屋10の構築現場近傍で地組みすることで製作されてもよいし、構築現場から離れた工場等で製作してから構築現場に搬入してもよい。
構築現場では、先ず、図9(a)に示すように、建屋10の鉄骨を組み立てる。図9(a)では、一枚の壁パネル1が接合される領域の本柱11と梁13が示されている。本柱11と梁13はボルト締結や溶着により接合されている。
そして、図6に示すように、本柱11の外側のフランジ11Aには上下方向に延びるガイド部材5を溶接により固着させる。
次に、図9(b)、(c)に示すように、製作された壁パネル1を重機で吊って本柱11に対してガイド部材5を介して接合する。具体的には、図6に示すように、ガイド部材5の裏面5bに壁パネル1の縦枠材21の前壁21aを当接させた状態で配置し、ガイド部材5の前面側から高力ボルト51をボルト孔52及び縦枠材21の前記ボルト穴に挿通させてナット53に螺合させる。これにより、ガイド部材5と壁パネル1の縦枠材21とが摩擦接合した状態となって、壁パネル1が本柱11に接合される。
そして、建屋10の外壁面に対して複数の壁パネル1を、上記と同様の手順により接合することにより、建屋10の外壁部分が構築される。
次に、上述した壁パネル1、壁構造及び壁構造の構築方法の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図2~図4(a)、(b)に示すように、枠体2に対して波形鋼板3を接合するためビス4の接合間隔(図2、図4(a)及び図5に示す波形鋼板3の一山の波幅q)を、上述した(1)式~(3)式を満足する範囲とすることで、波形鋼板3の座屈を抑制し、ビス4と波形鋼板3の負担せん断力を高めることができる。そのため、枠体2と波形鋼板3とを剛に接合することができ、壁パネル1としてせん断耐力を向上させてブレース機能が付与された構造部材となるため、建屋10の鉄骨である本柱11(図6参照)に接合された壁パネル1に建屋10の水平荷重を負担させることができる。そして、前述のように壁パネル1が構造部材となるので、壁パネル1の大型化を図ることができる。また、この場合には、ビス4を必要以上に使用することがないことから、壁パネル1の製作にかかる作業の手間や部材コストを低減することができる。
このように、建屋10の鉄骨に接合される壁パネル1にブレース機能をもたせることで、建屋10の鉄骨に組み付けられるブレースを削減することができ、鉄骨数量を低減することが可能となり、しかも壁パネル1を大型化してパネル数を減らすことが可能となる。したがって、本実施形態では、ブレースの取り付けにかかる作業を削減することが可能となり、工期の短縮を図ることができるうえ、鉄骨の部材コストと、施工の効率化に伴うコストを低減できる。さらに、壁パネル1の大型化によって建屋10の解体作業も効率化できる利点がある。
そのため、とくに短工期の必要性が求められる本実施形態のような製鉄所のコークス炉の仮設建屋に好適である。
また、本実施形態では、壁パネル1の大型化により重機を用いて行う外壁工事の効率化を図ることができるうえ、建屋10の全面に足場を設置する必要がなく、足場の低減を図ることができる。
また、本実施形態では、山部31と谷部32が横方向xに配列された波形状の波形鋼板3が採用され、捩れに対して効果を発揮できる波形鋼板3が上述したビス4の接合間隔で枠体2に接合されるので、波形鋼板3が受ける捩れの力を抑制して枠体2に伝達することができる。
また、本実施形態では、図6に示すように、建屋10の本柱11に対してガイド部材5を介して壁パネル1が高力ボルト51で摩擦接合されているので、壁パネル1が負担する水平荷重(せん断力)を建屋10の本柱11に伝達させることができる。
さらに、本実施形態では、本柱11のフランジ11Aに上下方向に延びるガイド部材5を外壁面方向に張り出した状態で設けることで、そのガイド部材5の裏面5bに壁パネル1の縦枠材21を高力ボルト51で締結して接合する作業を効率よく行うことができる。そして、建屋10の本柱11に対してガイド部材5を介して壁パネル1が高力ボルト51で摩擦接合されているので、壁パネル1が負担する水平荷重(せん断力)を建屋10の本柱11に伝達させることができる。
上述した本実施形態による壁パネル1、壁構造及び壁構造の構築方法では、工期を短縮できるとともに、工事にかかるコストを低減できる。
次に、上述した実施形態による壁パネル1、壁構造及び壁構造の構築方法の効果を裏付けるための実施例について、以下説明する。
(実施例)
実施例は、図10(a)~(c)に示すように、ビスの配置を変えた3つの解析モデルS1、S2、S3を使用してFEM解析を行って応力を求めるとともに、上記実施形態の(1)式~(3)式(以下、(1)式~(3)式を耐力評価式という)により計算した1枚当たりの壁パネルのせん断耐力(荷重)が60kN/枚を発揮できるか評価した。解析は、解析モデルS1を使用する比較ケースと、解析モデルS2を使用する実施ケース1と、解析モデルS3を使用する実施ケース2と、の3つの解析ケースを実施した。
解析モデルS1、S2、S3の壁パネルは、縦枠材として横150mm×縦150mmの角形鋼管を使用し、横枠材として横250mm×縦150mmの角形鋼管を使用し、中間縦材と中間横材としてそれぞれ横150mm×縦150mmの角形鋼管を使用し、波形鋼板として厚さ0.6mmのキーストンプレートを使用している。
図10(a)に示す比較ケースの解析モデルS1は、耐力評価式で得られたビス本数を190mmピッチで均等に配置したものである。図10(b)に示す実施ケース1の解析モデルS2は、90mm~100mmのピッチ間隔で打てるビス本数を均等に配置したものである。図10(c)に示す実施ケース2の解析モデルS3は、実施ケース2と同様に90mm~100mmのピッチ間隔で打てるビス本数を均等に配置し、中間縦材に配置するビスのうち上下方向の中間部分の本数を削減したものである。
図11は、比較ケース、実施ケース1、及び実施ケース2の解析結果として、荷重(kN)と変位(mm)の関係を示している。図11に示すように、比較ケースの場合には、評価基準である荷重60kNに達していないことから、必要耐力が不足していることがわかる。実施ケース1ではせん断耐力である荷重60kNを十分に満足し、実施ケース2でもせん断耐力である荷重60kNを満足していることが確認できる。つまり、せん断耐力は、実施ケース1、実施ケース2、比較ケースの順でせん断耐力が低下していることがわかった。
したがって、実施ケース1、2のようにビスの接合間隔を90~100mmの範囲に設定することが好ましい。とくに、実施ケース2の場合のように、中間縦材に配置するビスのうち上下方向の中間部分の本数を削減しても、せん断耐力である荷重60kNを満足できるので、ビスの本数も減らすことによる製作の手間とコストを低減できる効果があることがわかった。
以上、本発明による壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、壁パネル1の枠体2に接合される薄板鋼板として、断面形状が略矩形状の波形鋼板としているが、波形鋼板であることに限定されることはない。例えば、薄板鋼板として、平鋼板を採用してもよい。
また、本実施形態では、壁パネル、壁構造及び壁構造の構築方法の適用対象として、製鉄所におけるコークス炉の仮設建屋を対象としているが、これに限定されることはない。要は、建屋の鉄骨の壁面に接合される横方向の長さで少なくとも10m以上の大型な壁パネルを使用できる建屋であればよいのである。
さらに、枠体2に接合される薄板鋼板のビス4の配置領域として、本実施形態において縦枠材21、横枠材22、及び中間縦材23としているが、このような配置領域に限定されることはない。例えば、中間縦材23を省略して縦枠材21及び横枠材22のみをビス止めの対象としてもよいし、中間縦材23に加えて中間横材24もビス4の配置領域とすることも可能である。さらに、中間縦材23や中間横材24におけるビス止め領域は、それぞれ長さ方向の全体にわたって配置される必要はなく、例えば上述した実施例の実施ケース2の解析モデルS3のように中間縦材23の上下方向の中間部分のビス止めを省略するような配置であってもかまわない。
さらにまた、枠体2の部材は角形鋼管に制限されることはなく、他の鋼材を採用してもよい。さらに、中間縦材23や中間横材24の本数、配置位置も適宜設定することができる。
また、本実施形態では、建屋10の鉄骨(本柱11)にガイド部材5(ガイドプレート)を介して壁パネル1を接合する構成としているが、このようなガイドプレートのような形状のガイド部材であることに限定されず、他の形状のガイド部材であってもかまわない。或いは、ガイド部材における壁パネル1の接合位置も変更可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1 壁パネル
2 枠体
3 波形鋼板(薄板鋼板)
4 ビス
5 ガイド部材(ガイドプレート)
10 建屋
11 本柱
13 梁
21 縦枠材
22 横枠材
23 中間縦材
24 中間横材
51 高力ボルト
y 縦方向
x 横方向
z 奥行方向

Claims (5)

  1. 建屋の鉄骨の壁面に接合される横方向の長さで少なくとも10m以上の大型な壁パネルであって、
    間隔をあけて対向して配置された一対の縦枠材、及び該一対の縦枠材の上端同士と下端同士を接続する横枠材によって矩形状に枠組みされた枠体と、
    前記枠体の片面に該枠体の開口を塞ぐようにして接合され、山部と谷部が配列された波形状の薄板鋼板と、を備え、
    前記縦枠材及び横枠材の延在方向に沿う接合間隔は、前記枠体に対して前記波形状の薄板鋼板を波幅のピッチで接合するための接合部材の間隔であって、(1)式~(3)式を満足する範囲であることを特徴とする壁パネル。
    Figure 0007368727000005
  2. 前記薄板鋼板は、山部と谷部が横方向に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の壁パネル。
  3. 請求項1に記載の壁パネルを建屋の鉄骨に接合した壁構造であって、
    前記建屋の鉄骨のうち本柱にガイド部材が接続され、
    前記ガイド部材に高力ボルトによって前記壁パネルの前記枠体が摩擦接合されていることを特徴とする壁構造。
  4. 前記本柱は、外壁面に配置されるフランジを有する部材であり、
    前記ガイド部材は、前記フランジから壁面方向に張り出し、上下方向に延びるガイドプレートをなし、
    前記ガイドプレートの裏面に前記壁パネルの前記縦枠材を当接させて高力ボルトで摩擦接合していることを特徴とする請求項3に記載の壁構造。
  5. 請求項3又は4に記載の壁構造の構築方法であって、
    前記縦枠材及び横枠材の延在方向に沿う接合間隔を前記(1)式~(3)式を満足する範囲で設定して、前記枠体に前記薄板鋼板を接合して前記壁パネルを設ける工程と、
    前記建屋の鉄骨のうち本柱に前記ガイド部材を接続する工程と、
    前記ガイド部材に高力ボルトによって前記壁パネルの前記枠体を接合する工程と、
    を有することを特徴とする壁構造の構築方法。
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