以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はそれに対応するメタクリル酸を意味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基等の他の類似表現についても同様である。
[半導体装置の製造方法]
(準備工程)
準備工程は、支持面及びその反対側の裏面を有する支持基板と支持面上に設けられた仮固定材層とを備え、仮固定材層の一部又は全部が、光を吸収して熱を発生する光吸収層である仮固定用積層体であって、仮固定材層が、仮固定材層の少なくとも一方の最表面を含む硬化性樹脂層を有する、仮固定用積層体を準備する工程である。
半導体装置を製造するために、半導体部材を加工する間、半導体部材を支持基板に対して仮固定するための仮固定用積層体が準備される。図1は、仮固定用積層体のいくつかの実施形態を示す断面図である。図1に示される仮固定用積層体1は、支持面S1としての主面及びその裏側の裏面S2を有する支持基板10と、支持基板10の支持面S1上に設けられた仮固定材層30とを有する。仮固定材層30は、硬化性樹脂層31を有する。硬化性樹脂層31は、仮固定材層30の支持基板10とは反対側の最表面S3を含む。加えて、仮固定材層30は、硬化性樹脂層31とは別の層として設けられた光吸収層32、又は、硬化性樹脂層31の一部として設けられた光吸収層31Bを有する。光吸収層32、31Bは、光を吸収して熱を発生する層である。
図1(a)に示される仮固定用積層体1の仮固定材層30は、支持基板10とは反対側の最表面S3を含む硬化性樹脂層31と、硬化性樹脂層31とは別の層として設けられた光吸収層32とを有する。言い換えると、支持基板10の一方の主面である支持面S1上に、光吸収層32及び硬化性樹脂層31がこの順に積層されている。
図1(b)に示される仮固定用積層体1の仮固定材層30は、光吸収層31Bをその一部として含む硬化性樹脂層31からなる。ここでの硬化性樹脂層31は、最表面S3を含む光吸収層31Bと、光吸収層31Bの支持基板10側に設けられた、実質的に非発熱性の硬化性樹脂層31Aとを有する。
図1(c)に示される仮固定用積層体1の仮固定材層30の場合、図1(b)と同様の光吸収層31Bに加えて、光吸収層32が硬化性樹脂層31とは別の層としてさらに設けられている。硬化性樹脂層31とは別の層として設けられた光吸収層32に代えて、硬化性樹脂層31の一部を構成する光吸収層が硬化性樹脂層31Aと支持基板10との間にさらに設けられてもよい。
仮固定用積層体1は、例えば、支持基板10上に各層を順次形成することによって得ることができる。硬化性樹脂層及び光吸収層を有する積層フィルムを準備し、それらを支持基板10上に積層してもよい。
図2、図3、及び図4は、仮固定用積層体を用いて半導体装置を製造する方法の一実施形態を示す工程図である。ここでは、図1(a)の仮固定用積層体1を用いた方法が例示されるが、他の構成の仮固定用積層体を用いて同様に半導体装置を製造することもできる。図2~4に示される方法は、半導体部材45を、仮固定材層30を介して支持基板10に対して仮固定する仮固定工程(図2)と、支持基板10に対して仮固定された半導体部材45を加工する加工工程(図3(a))と、必要に応じて、加工された半導体部材45を封止する封止層50を形成する封止工程(図3(b))と、仮固定用積層体1に対して支持基板10側から光hνを照射し、半導体部材45を支持基板10から分離する分離工程(図3(b))と、を備える。半導体部材45は、半導体基板40及び半導体基板40の一方の面側に設けられた再配線層41を有していてもよい。半導体部材45は、再配線層41が硬化性樹脂層31側に位置する向きで硬化性樹脂層31上に配置されてもよい。
(仮固定工程)
仮固定工程は、半導体部材を、仮固定材層を介して支持基板に対して仮固定する工程である。
支持基板10は、高い透過率を有し、半導体部材45の加工時に受ける負荷に耐え得る板状体である。支持基板10としては、例えば、無機ガラス基板、透明樹脂基板等が挙げられる。
支持基板10の厚みは、例えば、0.1~2.0mmであってよい。支持基板10の厚みが0.1mm以上であると、ハンドリングが容易となる傾向にある。支持基板10の厚みが2.0mm以下であると、材料費を抑制することができる傾向にある。
仮固定材層30の半導体部材45が仮固定される側の最表面S3は、硬化性樹脂層31の表面である。例えば、硬化性樹脂層31上に半導体部材45が載せられた状態で硬化性樹脂層31を硬化させることによって、半導体部材45を支持基板10に対して仮固定することができる。言い換えると、半導体部材45が、硬化した硬化性樹脂層31cを有する仮固定材層30を介して支持基板10に対して一時的に接着され得る。
硬化性樹脂層31は、熱又は光によって硬化する硬化性樹脂組成物を含む層である。硬化前の硬化性樹脂層31は、半導体部材45を圧着等によって貼り付けることが可能な程度の接着性(又は貼付性)を有する。硬化した硬化性樹脂層31cは、加工される半導体部材45を保持する。本明細書において、硬化性樹脂層31を構成する導電性粒子以外の成分は、全て硬化性樹脂組成物の成分とみなされる。
硬化性樹脂層31の厚みは、応力緩和の観点から、例えば、2000μm以下、500μm以下、又は200μm以下であってもよく、0.1μm以上又は1μm以上であってもよい。
硬化した硬化性樹脂層31cの25℃における貯蔵弾性率は、5~100MPaであってよい。硬化した硬化性樹脂層31cの25℃における貯蔵弾性率が5MPa以上であると、支持基板10が撓むことなく半導体部材45を保持し易い傾向にある。また、半導体部材45を支持基板から分離した時に、半導体部材45上に硬化性樹脂層31cの残さが残り難い傾向にある。硬化した硬化性樹脂層31cの25℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であると、半導体部材45の位置ずれを小さくできる傾向にある。同様の観点から、硬化した硬化性樹脂層31cの25℃における貯蔵弾性率は、5.5MPa以上、6MPa以上、又は6.3MPa以上であってもよく、90MPa以下、80MPa以下、70MPa以下、又は65MPa以下であってもよい。本明細書において、硬化した硬化性樹脂層31cの貯蔵弾性率は、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、引張モードの条件で測定される粘弾性測定によって求められる値を意味する。
硬化した硬化性樹脂層31cの25℃における貯蔵弾性率は、例えば、後述の炭化水素樹脂の含有量を大きくする、高いTgを有する炭化水素樹脂を適用する、絶縁性フィラーを硬化性樹脂組成物に添加するといった方法によって、増加させることができる。
硬化した硬化性樹脂層31cの250℃における貯蔵弾性率は、0.70MPa以上、0.80MPa以上、0.85MPa以上、又は0.90MPa以上であってよく、2.00MPa以下、1.90MPa以下、1.80MPa以下、又は1.75MPa以下であってよい。
硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、炭化水素樹脂とを含有していてもよい。炭化水素樹脂は、主骨格が炭化水素で構成される樹脂である。硬化性樹脂組成物が炭化水素樹脂を含むことによって、半導体部材45を硬化性樹脂層31に低温で貼り付け易い傾向にある。
硬化性樹脂層31の低温での貼付性の観点から、炭化水素樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以下であってもよい。硬化性樹脂層31の良好な剥離性の観点から、炭化水素樹脂のTgが-100℃以上又は-50℃以上であってもよい。
炭化水素樹脂のTgは、示差走査熱量測定(DSC)によって得られる中間点ガラス転移温度値である。炭化水素樹脂のTgは、具体的には、昇温速度10℃/分、測定温度:-80~80℃の条件で熱量変化を測定し、JIS K 7121に準拠した方法によって算出した中間点ガラス転移温度である。
炭化水素樹脂は、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体エラストマー、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、エチレン・ノルボルネン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテン・非共役ジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びこれらの水素添加物からなる群より選ばれる少なくとも1種であってよい。これらの炭化水素樹脂は、カルボキシル基を有していてもよい。カルボキシル基は、例えば、無水マレイン酸等を用いた変性によって導入される。炭化水素樹脂は、スチレンに由来するモノマー単位を含むスチレン系樹脂を含んでいてもよい。スチレン系樹脂は、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)であってもよい。
炭化水素樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1万~500万又は10万~200万であってよい。重量平均分子量が1万以上であると、仮固定材層30の耐熱性を確保し易くなる傾向にある。重量平均分子量が500万以下であると、仮固定材層30のフローの低下及び貼付性の低下を抑制し易い傾向にある。ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
炭化水素樹脂の含有量は、硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、40質量部以上、50質量部以上、又は60質量部以上であってよく、90質量部以下、85質量部以下、又は80量部以下であってよい。炭化水素樹脂の含有量がこれら数値範囲内にあると、薄く平坦な硬化性樹脂層31を形成し易い傾向にある。また、硬化性樹脂層31が、低温での良好な感圧接着性と、硬化後の適切な貯蔵弾性率を有し易い傾向がある。
熱硬化性樹脂は、熱硬化反応によって硬化性樹脂組成物を硬化させる成分である。熱硬化反応は、熱硬化樹脂と硬化剤との反応、熱硬化性樹脂の自己重合、又はこれらの組み合わせであることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。熱硬化性樹脂は、耐熱性、作業性、及び信頼性により優れることから、エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
エポキシ樹脂は、1以上のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ樹脂は、2以上のエポキシ基を有していてもよい。2以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂等)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及びその硬化剤を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂及びその硬化剤の合計の含有量は、硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、10質量部以上、15質量部以上、又は20質量部以上であってよく、60質量部以下、50質量部以下、又は40質量部以下であってよい。熱硬化性樹脂及びその硬化剤の合計の含有量がこれら範囲内にあると、薄く平坦な硬化性樹脂層を容易に形成できる傾向にあり、硬化した硬化性樹脂層31cの耐熱性がより優れる傾向にある。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の硬化剤を含んでいてもよい。エポキシ樹脂の硬化剤としては、特に制限されないが、例えば、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、フェノール樹脂(フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化反応を促進する硬化促進剤をさらに含んでいてもよい。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール-テトラフェニルボレート、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7-テトラフェニルボレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂及び硬化剤の総量100質量部に対して、0.01~5質量部であってよい。硬化促進剤の含有量がこの範囲内であると、硬化性樹脂層の硬化性と硬化後の耐熱性がより優れる傾向にある。
硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物は、重合性不飽和基を有する重合性モノマーと、重合開始剤とを含んでいてもよい。この場合も、硬化性樹脂組成物が上述の炭化水素樹脂をさらに含んでいてもよい。
重合性モノマーは、エチレン性不飽和基等の重合性不飽和基を有する化合物である。重合性モノマーは、1官能、2官能、又は3官能以上のいずれであってもよいが、充分な硬化性を得る観点から、2官能以上の重合性モノマーを用いてもよい。重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルピリジン、ビニルアミド、アリール化ビニル等が挙げられる。重合性モノマーは、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸であってもよい。(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート、又はこれらの組み合わせであってもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、モノ(2-(メタ)アクリロイロキシエチル)スクシネート等の脂肪族(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、o-ビフェニル(メタ)アクリレート、1-ナフチル(メタ)アクリレート、2-ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ナフトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(o-フェニルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(1-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(2-ナフトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エトキシ化2-メチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化フルオレン型ジ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリレートは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの(メタ)アクリレートをその他の重合性モノマーと組み合わせてもよい。
重合性モノマーの含有量は、硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、10~60質量部であってよい。
重合開始剤は、加熱又は紫外光等の照射によって重合性モノマーの重合反応を開始させる化合物である。例えば、重合性モノマーがエチレン性不飽和基を有する化合物である場合、重合開始剤は熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、又はこれらの組み合わせであってよい。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウリレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2’-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンゾインケタール;1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等のα-ヒドロキシケトン;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のホスフィンオキシドなどが挙げられる。
これらの熱及び光ラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の含有量は、重合性モノマーの総量100質量部に対して、0.01~5質量部であってよい。
硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物は、その他の成分として、絶縁性フィラー、増感剤、酸化防止剤等をさらに含んでいてもよい。
絶縁性フィラーは、硬化性樹脂組成物に低熱膨張性、低吸湿性を付与する目的で添加される。絶縁性フィラーの例としては、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、セラミック等の非金属無機フィラーが挙げられる。これらの絶縁性フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
絶縁性フィラーの含有量は、硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、5~20質量部であってよい。絶縁性フィラーの含有量がこの数値範囲内にあると、硬化した硬化性樹脂層31cが優れた耐熱性及び良好な剥離性を有する傾向がある。
増感剤としては、例えば、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンゾピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダンスレン、チオキサンテン-9-オン、2-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン、4-イソプロピル-9H-チオキサンテン-9-オン、1-クロロ-4‐プロポキシチオキサントン等が挙げられる。増感剤の含有量は、硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、0.01~10質量部であってもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ベンゾキノン、ハイドロキノン等のキノン誘導体、4-メトキシフェノール、4-t-ブチルカテコール等のフェノール誘導体、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル等のアミノキシル誘導体、テトラメチルピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン誘導体などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、0.1~10質量部であってもよい。
硬化性樹脂層31は、例えば、支持フィルム及び支持フィルム上に形成された硬化性樹脂層を有する積層フィルムを予め準備し、これを光吸収層32に貼り付けることによって、光吸収層32上に設けられる。積層フィルムの光吸収層32への貼り付けは、ロールラミネーター、真空ラミネーター等を用いて、室温(20℃)で又は加熱しながら行うことができる。支持フィルム及び硬化性樹脂層を有する積層フィルムは、例えば、熱硬化性樹脂又は重合性モノマーと、有機溶剤と、必要によりその他の成分とを含む樹脂ワニスを支持フィルムに塗布することと、塗膜から有機溶剤を除去することとを含む方法によって得ることができる。あるいは、同様の樹脂ワニスを光吸収層32に直接塗布し、塗膜から有機溶剤を除去する方法によって、光吸収層32上に硬化性樹脂層31を形成してもよい。
光吸収層32は、光を吸収して熱を発生する層である。光吸収層32の一態様は、光を吸収して熱を発生する導電体を含む導電体層である。光吸収層32としての導電体層を構成する導電体としては、例えば、金属、金属酸化物、導電性カーボン材料等が挙げられる。金属は、クロム、銅、チタン、銀、白金、金等の単体金属であっても、ニッケル-クロム、ステンレス鋼、銅-亜鉛等の合金であってもよい。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化ニオブ等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電体は、クロム、チタン、又は導電性カーボン材料であってよい。
光吸収層32は、単層又は複数の層からなる金属層であってもよい。光吸収層32は、例えば、銅層、チタン層、又は銅層及びチタン層からなる層であってもよい。光吸収層32としての金属層は、真空蒸着、スパッタリング等の物理気相成長(PVD)、又はプラズマ化学蒸着等の化学気相成長(CVD)によって形成された層であってもよく、電解めっき又は無電解めっきによって形成されためっき層であってもよい。物理気相成長によれば、支持基板10が大きな面積を有していても、支持基板10の表面を覆う光吸収層32としての金属層を効率的に形成することができる。
光吸収層の他の態様は、光を吸収して熱を発生する導電性粒子と、導電性粒子が分散したバインダー樹脂とを含有する層である。導電性粒子は、上述の導電体を含む粒子であってもよい。バインダー樹脂が硬化性樹脂組成物であってもよく、その場合、光吸収層は硬化性樹脂層31の一部を構成する。例えば、図1(b)の仮固定用積層体1における光吸収層31Bは、導電性粒子及び硬化性樹脂組成物を含む層であることができる。光吸収層を構成する硬化性樹脂組成物は、光吸収層以外の部分の硬化性樹脂層を構成する硬化性樹脂組成物と同様の成分を含むことができる。光吸収層を構成する硬化性樹脂組成物は、光吸収層以外の部分の硬化性樹脂層を構成する硬化性樹脂組成物と同じでも異なっていてもよい。光吸収層における導電性粒子の含有量は、光吸収層の導電性粒子以外の成分の総量、すなわち、バインダー樹脂の総量又は硬化性樹脂組成物の総量100質量部に対して、10~90質量部であってよい。
導電性粒子及びバインダー樹脂を含む光吸収層は、例えば、導電性粒子、バインダー樹脂及び有機溶剤を含有するワニスを支持基板上又は硬化性樹脂層上に塗布することと、塗膜から有機溶剤を除去することとを含む方法によって形成することができる。予め作製された光吸収層32を支持基板10上又は硬化性樹脂層上に積層してもよい。光吸収層及び硬化性樹脂層からなる積層体を支持基板上に積層してもよい。
光吸収層32の厚みは、軽剥離性の観点から、1~5000nm又は100~3000nmであってよい。また、光吸収層32の厚みが50~300nmであると、光吸収層32が充分に低い透過率を有し易い傾向にある。
仮固定材層30の厚み(図1(a)の場合、光吸収層32と硬化性樹脂層31との合計の厚み)は、応力緩和の観点から、0.1~2000μm又は10~500μmであってよい。
仮固定用積層体1を準備した後、図2(a)に示されるように、硬化性樹脂層31上に加工前の半導体部材45が配置される。半導体部材45は、半導体基板40及び再配線層41を有する。半導体部材45は、外部接続端子をさらに有していてもよい。半導体基板40は、半導体ウェハ又は半導体ウェハを分割して得られた半導体チップであってよい。図2(a)の例では複数の半導体部材45が硬化性樹脂層31に載せられるが、半導体部材の数は1個であってもよい。
半導体部材45の厚みは、半導体装置の小型化、薄型化に加えて、搬送時、加工工程等の際の割れ抑制の観点から、1~1000μm、10~500μm、又は20~200μmであってもよい。
硬化性樹脂層31上に載せられた半導体部材45は、例えば真空プレス機又は真空ラミネーターを用いて硬化性樹脂層31に対して圧着される。真空プレス機を用いる場合、圧着の条件は、気圧1hPa以下、圧着圧力1MPa、圧着温度120~200℃、及び保持時間100~300秒間であることができる。真空ラミネーターを用いる場合、圧着の条件は、例えば、気圧1hPa以下、圧着温度60~180℃又は80~150℃、ラミネート圧力0.01~0.5MPa又は0.1~0.5MPa、保持時間1~600秒間又は30~300秒間であることができる。
硬化性樹脂層31上に半導体部材45が配置された後、硬化性樹脂層31を熱硬化又は光硬化させることによって、半導体部材45が、硬化した硬化性樹脂層31cを有する仮固定材層30を介して、支持基板10に対して仮固定される。熱硬化の条件は、例えば、300℃以下又は100~200℃で、1~180分間又は1~60分間であってよい。
(加工工程)
加工工程は、支持基板に対して仮固定された半導体部材を加工する工程である。
図3(a)に示されるように、支持基板10に対して仮固定された半導体部材が加工される。図3(a)は、半導体基板の薄化を含む加工の例を示すものである。半導体部材の加工は、これに限定されず、例えば、半導体基板の薄化、半導体部材の分割(ダイシング)、貫通電極の形成、エッチング処理、めっきリフロー処理、スパッタリング処理、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
半導体基板40の薄化は、グラインダー等を用いて、半導体基板40の再配線層41とは反対側の面を研削することによって行われる。薄化された半導体基板40の厚みは、例えば、100μm以下であってよい。
(封止工程)
封止工程は、加工された半導体部材を封止する封止層を形成する工程である。
半導体部材45の加工の後、必要に応じて、図3(b)に示されるように、加工された半導体部材45を封止する封止層50が形成される。封止層50は、半導体素子の製造のために通常用いられる封止材を用いて形成することができる。例えば、封止層50を熱硬化性樹脂組成物によって形成してもよい。封止層50に用いられる熱硬化性樹脂組成物は、例えば、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルジエポキシ樹脂、ナフトールノボラックエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。封止層50及びこれを形成するための熱硬化性樹脂組成物は、フィラー、難燃剤等の添加剤を含んでもよい。
封止層50は、例えば、固形材、液状材、細粒材、又は封止フィルムを用いて形成される。封止フィルムを用いる場合、コンプレッション封止成形機、真空ラミネート装置等が用いられる。例えば、これら装置を用いて、40~180℃(又は60~150℃)、0.1~10MPa(又は0.5~8MPa)、かつ0.5~10分間の条件で熱溶融させた封止フィルムで半導体部材45を被覆することによって、封止層50を形成することができる。封止フィルムの厚みは、封止層50が加工後の半導体部材45の厚み以上になるように調整される。封止フィルムの厚みは、50~2000μm、70~1500μm、又は100~1000μmであってよい。
封止層50を形成した後、図4(a)に示されるように、封止層50及び硬化性樹脂層31cを、半導体部材45を1個ずつ含む複数の部分に分割してもよい。
(分離工程)
仮固定用積層体に対して裏面側から光を照射し、半導体部材を支持基板から分離する工程である。
図4(b)に示されるように、仮固定用積層体1に対して支持基板10側から光hνを間歇的に照射し、すなわち、光hνを複数回に分けて照射し、半導体部材45を支持基板10から分離する。光hνの照射によって、光吸収層32が光を吸収して熱を瞬間的に発生する。発生した熱によって、例えば、硬化した硬化性樹脂層31cの溶融又は支持基板10と半導体部材45との間に生じる熱応力が生じ得る。これらの現象が主な原因となって、半導体部材45が支持基板10から容易に分離し得る。光hνを間歇的に照射して行われる光hνのエネルギー量の合計は、1~50J/cm2の範囲であってよい。硬化性樹脂層31を構成する硬化性樹脂組成物が炭化水素樹脂を含み、硬化した硬化性樹脂層の25℃における貯蔵弾性率が5~100MPaであると、光吸収層32と硬化した硬化性樹脂層31のとの界面での剥離が起こり易い傾向がある。この傾向は、光hνのエネルギー量が1~50J/cm2の範囲である場合に特に顕著である。半導体部材45を支持基板10から分離するために、光hνの照射とともに、半導体部材45に対して応力をわずかに加えてもよい。
光hνを間歇的に照射する、すなわち、光hνを複数回に分けて照射することによって、1回当たりの光hνのエネルギー量を抑えることできる。このような光照射は、同じ光hνのエネルギー量を1回で照射する場合に比べて、仮固定材層30における光吸収層32の飛散等による破壊を防ぐことができ、結果として、光吸収層32の破壊による半導体部材の破損を抑制することが可能となる。光hνを間歇的に照射するときの照射回数は、2回以上又は3回以上であってよい。照射回数の上限は、特に制限されないが、作業性の観点から、15回以下、12回以下、10回以下、8回以下、7回以下、又は6回以下であってよい。
光hνは、インコヒーレント光、又はレーザー光の等のコヒーレント光であってもよいが、インコヒーレント光であってよい。インコヒーレント光は、コヒーレントでない光であり、干渉縞が発生しない、可干渉性が低い、指向性が低いといった性質を有する電磁波である。インコヒーレント光は、光路長が長くなるほど、減衰する傾向を有する。レーザー光は、一般にコヒーレント光であるのに対して、太陽光、蛍光灯の光等の光は、インコヒーレント光である。インコヒーレント光は、レーザー光を除く光ということもできる。本実施形態の製造方法では、比較的エネルギー量の小さいインコヒーレント光であっても、加工後の半導体部材を支持基板から容易に分離することが可能である。エネルギー量の小さいインコヒーレント光を用いることによって、半導体部材の再配線層のような微細な構造の損傷を抑制することができる。また、インコヒーレント光の照射面積は、一般にコヒーレント光(すなわち、レーザー光)よりも圧倒的に広いため、照射回数を比較的に少なくすることが可能である。
光hνは、赤外線を含んでいてもよい。光hνは、パルス光であってもよい。光hνがインコヒーレント光であるとき、その光源は、特に制限されないが、キセノンランプであってよい。キセノンランプは、キセノンガスを封入した発光管での印加・放電による発光を利用したランプである。キセノンランプは、電離及び励起を繰り返しながら放電するため、紫外光領域から赤外光領域までの連続波長を安定的に有する。キセノンランプは、メタルハライドランプ等のランプと比較して始動に要する時間が短いため、工程に係る時間を大幅に短縮することができる。また、発光には、高電圧を印加する必要があるため、高熱が瞬間的に生じるが、冷却時間が短く、連続的な作業が可能な点でも、キセノンランプは有利である。
キセノンランプの照射条件としては、例えば、印加電圧、パルス幅、照射時間、照射周期(間歇周期)、照射距離(光源と仮固定材層との距離)、照射エネルギー等が挙げられるが、これらは、照射回数等に応じて、任意に設定することができる。
分離した半導体部材45上に、硬化性樹脂層31cの一部が残さ31c’として付着することがある。付着した残さ31c’は、図4(c)に示されるように除去される。残さ31c’は、例えば溶剤で洗浄することにより除去される。溶剤としては、特に制限されないが、エタノール、メタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。残さ31c’の除去のために、半導体部材45を溶剤に浸漬させてもよいし、超音波洗浄を行ってもよい。100℃以下程度の低温で半導体部材45を加熱してもよい。
以上より、加工された半導体部材45を備える半導体素子60を得ることができる。得られた半導体素子60を、他の半導体素子又は半導体素子搭載用基板に接続することによって半導体装置を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[試験体の作製]
<硬化性樹脂層の作製>
水添スチレン・ブタジエンエラストマー(商品名:ダイナロン2324P、JSR株式会社)をトルエンに溶解して、濃度40質量%のエラストマー溶液を調製した。80質量部の水添スチレン・ブタジエンエラストマーを含むエラストマー溶液と、1,9-ノナンジオールジアクリレ-ト(商品名:FA-129AS、日立化成株式会社)20質量部と、パーオキシエステル(商品名:パーヘキサ25O、日油株式会社)1質量部とを混合して、樹脂ワニスを得た。
得られた樹脂ワニスを、精密塗工機を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社、厚み:38μm)の離型処理面に塗工した。塗膜を80℃で10分間の加熱により乾燥して、厚み約100μmの硬化性樹脂層を作製した。
<光吸収層の作製>
支持基板として、20mm×20mmのサイズを有する矩形のスライドガラスを準備した。準備したスライドガラス上に、スパッタリングによってチタン層、銅層の順で形成して、チタン層(厚み:20nm)/銅層(厚み:200nm)の2層からなる光吸収層を作製した。スパッタリングにおいて、逆スパッタリングによる前処理の後、RFスパッタリングによってチタン層及び銅層を形成した。
<仮固定用積層体の作製>
スライドガラス上に形成された光吸収層上に、10mm×10mmのサイズに切り出した硬化性樹脂層を配置した。真空ラミネートによって光吸収層に硬化性樹脂層を密着させて、支持基板/仮固定材層(支持基板/光吸収層/硬化性樹脂層)の構成を有する仮固定用積層体を得た。
<試験用積層体の作製>
仮固定用積層体の硬化性樹脂層上に、半導体部材としての半導体チップ(サイズ:10mm×10mm)を配置した。180℃で1時間の加熱によって硬化性樹脂層を硬化させて、支持基板に対して仮固定された半導体部材を有する試験用積層体を得た。
[剥離試験]
(実施例1)
試験用積層体の支持基板側から仮固定材層(光吸収層)に対してパルス光を照射した。キセノンランプとして、NovaCentrix社製のPulseForge(登録商標)1300を用いた。出射される光の波長範囲は200~1500nmである。印加電圧800V及びパルス幅150μsのパルス光を、照射周期200μsで間歇的に3回照射した。照射されたパルス光のエネルギー量の合計は5.6J/cm2であった。
光照射によって、スライドガラスから半導体チップがはく離した。また、仮固定材層の光吸収層を観察したところ、光吸収層の破壊、こげ等は観察されなかった。
(比較例1)
実施例1と同様に、試験用積層体の支持基板側から仮固定材層(光吸収層)に対してパルス光を照射した。印加電圧800V及びパルス幅400μsのパルス光を、仮固定材層(光吸収層)に対して1回照射した。照射されたパルス光のエネルギー量の合計は5.6J/cm2であった。
光照射によって、スライドガラスから半導体チップがはく離したが、仮固定材層の光吸収層を観察したところ、光吸収層の一部において破壊が観察された。
実施例1と比較例1との対比から、照射されたパルス光のエネルギー量の合計が同じである場合において、光を間歇的に照射する(すなわち、光の照射回数が複数回である)方が、光吸収層の破壊が抑制されることが判明した。
(実施例2-1~2-3)
実施例1と同様に、試験用積層体の支持基板側から仮固定材層(光吸収層)に対してパルス光を照射した。光照射の条件は、表1に示すとおりである。いずれの条件においても、光照射によって、スライドガラスから半導体チップがはく離した。また、仮固定材層の光吸収層を観察したところ、光吸収層の破壊、こげ等は観察されなかった。
以上の結果から、本発明の半導体装置の製造方法が、半導体部材の破損を抑制することが可能であることが確認された。