JP7422016B2 - 筆記具用水性インキ組成物、およびそれを用いた筆記具 - Google Patents
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Description
特に、溶媒に水を用いた水性インキ組成物により得られる筆跡は、水滴や汗などによる影響が出やすく、筆跡の耐水性の向上は、溶媒に有機溶剤を用いたような油性インキ組成物に比べ、より強く求められている。
そこで、上記課題を解決するため、着色剤に高分子染料や顔料を用いることや、耐水性付与剤として、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂などの各種樹脂剤を添加することが提案されている。(特許文献1、2など)
特許文献1に記載のインキ組成物は、高分子染料を用いており、ある程度、筆跡の耐水性は向上するものの、十分に満足できるものではない上、筆跡の発色性が劣ってしまうなどの課題が生じる。
特許文献2に記載のインキ組成物は、顔料とアクリル系樹脂を含んでなるものであるが、筆跡の耐水性を向上させることはできるものの、顔料の種類によっては、顔料が凝集してしまい、インキの追従不良が起こって、筆跡がかすれたり、中抜けしたり、さらには、筆記不能となって筆跡が得られないことや、また、着色剤が変色して所望の色で発色良く筆跡が得られないことがあるなど、満足な筆記性能が得られ難いことがあった。
特に、染料などの色材で樹脂粒子を着色させた着色樹脂粒子を用いた場合、耐水性の向上を図ると、用いる添加剤の影響を受け、上述のように筆記性能に不具合が生じやすい傾向にある。しかしながら、着色樹脂粒子は、一般的な色彩をはじめ、蛍光色など、多彩な色彩を発色良く表現できるものであり、有効に用いられる。よって、着色樹脂粒子を用いた筆記具用水性インキ組成物において、筆記性能に優れながらも、筆跡耐水性を向上させることは、解決すべき大きな課題である。
「1.MQレジンと、着色剤と、水と、を含んでなることを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物。
2.前記MQレジンの含有率が、前記筆記具用水性インキ組成物の総質量を基準として、0.01質量%~30質量%である、第1項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
3.脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物をさらに含む、第1項または第2項に記載の筆記具用水性インキ組成物。
4.第1項ないし第3項のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。
5.マーキングペンである第4項に記載の筆記具。」とする。
本発明による筆記具用水性インキ組成物(以下、場合により、インキ組成物と表す)は、MQレジンと、着色剤と、水と、を含んでなることを特徴とする。
以下、本発明のインキ組成物における構成成分について、詳細に説明する。
本発明のインキ組成物は、MQレジンを含んでなる。
MQレジンは、一般式(1)で表されるシロキサン単位(M単位)と、一般式(2)で表されるシロキサン単位(Q単位)を主構成成分とするシリコーンレジンである。
これは、インキ組成物中にMQレジンを添加すると、得られる筆跡の表面に撥水性を有する被膜が形成され、該被膜により、着色剤が被筆記面にしっかり定着されるとともに、該被膜により、着色剤と水との接触を防ぐことができるためと推測する。
よって、MQレジンを含んでなる本発明のインキ組成物は、得られる筆跡に、水滴が付着したり、筆跡が水中に浸漬されても、着色剤の流出が抑制され、筆跡が滲んだり、薄くなったり、消失することなどなく、優れた筆跡耐水性を奏することができる。
また、MQレジンの形成する被膜は、筆跡の発色性に影響を与え難い。このため、本発明のインキ組成物は、耐水性に優れながらも、発色鮮明な筆跡を残すことができる。また、MQレジンは、着色剤に対して安定的であり、着色剤が凝集したり、変色したりすることを抑制できる。よって、本発明のインキ組成物は、凝集物によって、追従不良が生じることがなく、カスレや中抜けのない良好な筆跡が得られるとともに、得られた筆跡は、所望の色彩で、発色鮮明性に優れた状態であるなど、優れた筆跡性能も奏することができる。さらには、この優れた筆記性能を長期にわたって維持することが可能である。
Q単位に対するM単位のモル比が上記数値の範囲内であれば、優れた経時安定性、筆記性能を維持しながらも、筆跡耐水性を向上しやすい。
この場合のMQレジンの平均粒子径は、好ましくは0.01μm~2.0μmであり、より好ましくは0.05μm~1.5μmである。
ここで、本発明において、MQレジンの平均粒子径とは、レーザー回折法により測定される体積基準の平均粒子径である。MQレジンの平均粒子径は、前記した含量の平均粒子径と同様の方法により測定することができる。
前記分散剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好適に用いられる。その他の添加剤に悪影響を及ぼし難く、さらにMQレジンの撥水被膜形成にも影響を与え難い傾向にある、ノニオン性界面活性剤を用いることが特に好ましい。よって、本発明においては、ノニオン性のMQレジンの乳化分散体を用いることが好ましい。
なお、アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸ナトリウム塩化合物等が好適に用いることができ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキアルキレンアルキルエーテル等が好適に用いられる。
前記シリコーンオイルは、動粘度が1cSt~1000cStであるものが好ましく、さらには、1cSt~100cStであるものが好ましい。
また、本発明においては、MQレジンは、該シリコーンオイルに溶解させた後、水に乳化分散させた状態で用いることが特に効果的であり、経時安定性が向上し、耐水性、発色鮮明性に特に優れた筆跡を得ることができる。
これは、0.01質量%以上でれば、MQレジンの耐水性付与剤としての効果を十分に得ることができ、30質量%以下であれば、MQレジンが、インキ中で安定に存在しやすくなり、優れた経時安定性が得られやすい上、MQレジンが形成する被膜の厚みを適度に保つことができ、発色鮮明に優れた筆跡が得られる。
筆跡耐水性の更なる向上を考慮すれば、0.02質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。
また、インキ組成物の粘度を低く抑え、優れたインキ吐出性を維持して良好な筆跡を残すことも考慮すると、25質量%以下であるであることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが特に好ましく、10質量%以下であることが最も好ましく、6質量%以下であることが特段に好ましい。
尚、MQレジンは、1種または、2種以上の混合物として使用することも可能である。
本発明で用いる着色剤は、特に限定されないが、筆記具用水性インキ組成物に用いられる顔料、染料などを使用することができる。
尚、顔料は、予め顔料分散剤を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等を用いてもよい。該顔料分散剤としては、水溶性樹脂、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
これらの顔料および染料は、1種または、2種以上の混合物として使用してもかまわない。
これは、MQレジンが形成する被膜により、顔料が被筆記面上にしっかり定着する上、該被膜が、顔料と水との接触を防ぎ、筆跡から顔料の流出を十分に防ぐことができるためと推測する。
しかしその一方で、着色樹脂粒子は、他の添加剤の影響を受けて、凝集してしまったり、変色して所望の色彩を表現できなくなってしまったりと、優れた筆跡性能、さらには経時安定性が得難いものでもある。
しかし、本発明に用いるMQレジンは、着色樹脂粒子に対しても安定的であり、着色樹脂粒子が凝集、変色することなく、筆跡に優れた耐水性を付与できる。よって、MQレジンを含んでなる本発明において、着色樹脂粒子を用いることは、良好な経時安定性を有しながらも、多彩な色彩を発色良く表現できるとともに、カスレや中抜けがない良好な筆跡を、優れた耐水性を有するものとして残すことができるため、効果的である。
また、着色樹脂粒子は球状粒子であり、さらにその集合体は、一般顔料に比べて均質的な集合体である。このため、着色樹脂粒子により形成される筆跡表面は、MQレジンの被膜がより均一に形成しやすい傾向にある。よって、着色樹脂粒子を用いた場合には、筆跡の発色鮮明性を損なうことなく、筆跡に耐水性を付与しやすく、この観点からも、本発明において、着色樹脂粒子を用いることは好適である。
また、着色樹脂粒子の中でも、蛍光染料を用いて着色させた着色樹脂粒子(蛍光性着色樹脂粒子)は、下地を隠蔽することのない蛍光性を有する筆跡を発色良く残すことができる。このため、マーキングペン用インキ組成物の着色剤として好適に用いることができ、有用である。しかし、該蛍光性着色樹脂粒子は、さらに添加剤の影響を受けて、凝集や変色が起こりやすい傾向にある。しかし、MQレジンは、この蛍光性着色樹脂粒子においても安定的であることから、蛍光性着色樹脂粒子の凝集や変色を起こし難く、さらに、蛍光発色性を阻害することなく良好な撥水被膜を筆跡表面に形成することができる。よって、本発明において、蛍光性着色樹脂粒子を用いることは、優れた筆跡耐水性と筆記性能が得られるため、効果的である。
また、着色樹脂粒子に用いられる色材としては、樹脂粒子を着色することが可能であれば限定されるものではない。基材の樹脂粒子に応じて従来公知の染料、顔料を適宜使用可能であるが、より良好な発色性が得られやすい、染料を用いることが好ましく、塩基性染料、酸性染料、直接染料、分散染料、およびソルベント染料などを用いることができる。
前述の通り、本発明において、蛍光性着色樹脂粒子は好適に用いることができるが、この場合、樹脂粒子を着色する色材としては、蛍光染料を用いることが好ましい。具体的には、キサンテン骨格、トリアリール骨格、またはアゾ骨格を有する塩基性染料、または分散染料が挙げられる。これらのうち、より筆跡の視認性が高いことから、キサンテン骨格、またはアゾ骨格を有する塩基性染料が好ましい。このような蛍光染料としては、ダイレクトイエロー85、ベーシックイエロー1、同40、ベーシックレッド1、同1:1、ベーシックバイオレット10、同11:1、アシッドイエロー7、アシッドレッド92、アシッドブルー9、ディスパースイエロー82、同121などが挙げられる。
尚、本明細書では、着色樹脂粒子の「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒子径のことを指すものとする。
水としては、特に制限はなく、例えば、水道水、イオン交換水、限外ろ過水または蒸留水などを用いることができる。
本発明のインキ組成物は、必要に応じて任意の添加剤を含むことができる。好適に用いることができる添加剤について説明すると以下の通りである。
例えば、(i)エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、またはグリセリンなどのグリコール類、(ii)メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートやその他の高級アルコールなどのアルコール類、および(iii)エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシブタノール、または3-メトキシ-3-メチルブタノールなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。これらを1種または、2種以上の混合物として使用することが可能である。
よって、暫く、ペン先が大気に晒された状態にあっても、書き出しからスムーズにインキが吐出され、均一な筆跡を残すことができるなど、書き出し性能にも優れたものとなる。
優れた筆跡耐水性を維持しつつ、書き出し性能と筆跡乾燥性をバランス良く向上させることを考慮すると、0.5質量%~40質量%であることが好ましく、0.5質量%~15質量%であることがより好ましい。
脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物を用いることで、MQレジンの撥水被膜形成を阻害することなく、インキ組成物の紙面浸透性を向上させ、紙面に形成された筆跡の乾燥性を良化できる。
よって、本発明において、脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物を更に含んでなることで、筆跡耐水性と筆跡乾燥性に優れたものとなり、さらに、脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物は、インキ組成物に含まれる着色剤に吸着して、着色剤同士が凝集することも抑制できるため、経時安定性を良化し、安定したインキ流動性も奏することができる。
さらに、ポリアルキレンオキサイドが複数種のアルキレンオキサイド基から形成されている場合には、ポリアルキレンオキサイドはランダム重合体、交互重合体、またはブロック重合体であっても良い。
また、脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物として、より好ましくは10~16のHLB値を有する、脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物である。
特に好ましくは、前記炭素数を有する脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物であって、さらに前記HLB値を有する物質の中でも、下記式(6)または式(7)で示される構造を有する物質である。
このような物質の中でも、前記式(6)、式(7)の構造を有する物質は、MQレジンとの相性も良く、筆跡に耐水性を付与しながら、インキ組成物の紙面浸透性を向上でき、さらに、インキ滲みの抑制にも優れていることから、好適に用いられる。さらに、式(6)の構造を有する物質は溶解安定性が特に優れているため、本発明のインキ組成物により好適に用いられる。
なお、前記HLB値はグリフィン法に基づく数値であり、下記の式(8)によって算出
される値をいう。グリフィン法によるHLB値は、0~20の範囲内の値を示し、数値が
大きい程、化合物が親水性であることを示す。
HLB値=20×(親水基の質量%)=20×(親水基の式量の総和/界面活性剤の分子量)・・・(8)
また、式(7)に示される、脂肪族アルコールが脂肪族多価アルコールである、脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドとアセチレングリコールとから成る、商品名:オルフィンE1010(アセチレングリコールの炭素数14、HLB値:13~14、日信化学工業(株)製)や、商品名:アセチレノールE-100(アセチレングリコールの炭素数14、HLB値13~14、川研ファインケミカル(株))を挙げることができる。
尚、本発明に用いられる脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物はこれらに限られるものではない。
脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物の含有率を上記数値範囲内とすると、筆跡の乾燥性を良好とすることができる。また、インキ塗布部上に筆記した際には、インキ塗布部の着色剤が筆跡へ遊離することを抑制しやすくなる。
これらは、インキ貯蔵体やインキ流量調節体への濡れ性を向上させるため、スムーズなインキ吐出により、良好な筆跡を得ることができる。
また、消泡剤を添加することもできる。また、リン酸エステル系界面活性剤や脂肪酸などの潤滑剤も添加することができる。
また、本発明においては、剪断減粘性付与剤を添加し、インキに適当な粘性を与えて実用に供することができる。用いられる剪断減粘性付与剤は従来公知のものから適宜選択することができる。その具体例としては、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン等の多糖類、ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸、会合性ウレタンなどの合成高分子非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられ、1種または、2種以上の混合物として使用することが可能である。
また、着色樹脂粒子を用いる場合には、着色樹脂粒子の変色や凝集を抑制しやすいため、pH値は7未満であることが好ましい。また、本発明において蛍光性着色樹脂粒子を用いる場合、pH値が6.5以下であることが、上記効果を顕著に得ることができるため、特に好ましい。
さらに、筆跡耐水性、筆記性能、経時安定性をバランス良く向上させるとともに、インキの安全性をも考慮すると、pH値は3.0~6.5がより好ましく、4.0~6.5であることがより好ましく、特には5.0~6.3であることがより好ましい。
尚、本発明において、pH値は、例えばD-51型pHメーター((株)堀場製作所製)により20℃にて測定することができる。
インキ組成物の粘度が上記数値範囲内であれば、マーキングペンに使用した場合のインキ吐出性を適度に良好とすることができるため、発色性に優れながらも、カスレや中抜けなどない良好な筆跡が得られる。さらには、筆跡乾燥性も良好とすることが容易となる上、紙面の裏抜けを抑制することも容易となる。
尚、インキ組成物の粘度は、B型回転粘度計(東京計器(株)製、BLアダプター使用)を用いて、20℃、回転数30rpmの条件下で測定することができる。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学(株)製の表面張力計測器を用い、白金プレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、前記各成分を必要量配合し、マグネットホットスターラー、プロペラ攪拌機、ホモジナイザー攪拌機、ホモディスパー、ホモミキサー、遊星式撹拌機などの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などにて混合し、製造することができる。
本発明の筆記具用水性インキ組成物を充填する筆記具自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来から汎用のものが適用でき、繊維チップ、フェルトチップ、多孔質チップ、プラスチックチップなどのペン芯をペン先としたマーキングペン(サインペン)や、ボールペンチップなどをペン先としたボールペン、さらに、金属製のペン先を用いた万年筆など、各種筆記具に用いることができる。
尚、マーキングペンに用いる場合、そのペン先は、上述のように、繊維チップ、フェルトチップ、多孔質チップ、プラスチックチップなどのペン芯が挙げられるが、中でも、繊維束を樹脂で結着させてなる繊維チップまたはポリプロピレン等の樹脂粒子を融着させてなる多孔質チップのペン芯を用いることが好ましい。なお、ペン芯の形状は、砲弾型、チゼル型または筆ペン型などであってよい。
また、インキ組成物を直に充填する構成の筆記具や、インキ収容体を備える筆記具で、さらに、インキ組成物の着色剤に顔料を用いる場合には、顔料を再分散させるためにインキ収容体にインキを攪拌する攪拌ボールなどの攪拌体を内蔵することが好ましい。前記攪拌体の形状としては、球状体、棒状体などが挙げられる。攪拌体の材質は特に限定されるものではないが、具体例として、金属、セラミック、樹脂、および硝子などを挙げることができる。
また、インキ組成物を充填することのできるインキ吸蔵体を備えるものである場合は、インキ吸蔵体は、撚り合わせた繊維を用いてなる繊維集束体が好ましい。
などからなるインキ誘導芯をインキ流量調節部材として備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、インキ組成物をペン先に供給する機構、(3)弁機構によるインキ流量調節部材を備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、(4)ペン先を具備したインキ収容体または軸筒より、インキ組成物を直接、ペン先に供給する機構などを挙げることができる。
下記原材料および各配合量にて、室温で1時間撹拌混合して、筆記具用水性インキ組成物を得た。
得られたインキ組成物の粘度をB型回転粘度計(BLアダプター使用、東京計器(株)製)により測定したところ、20℃での回転速度30rpmにおける粘度は3.5mPa・sであった。
さらに、pHメーター(商品名:D-51、(株)堀場製作所製)を用いて、20℃にてインキ組成物のpHを測定した結果、pH値は5.9であった。
・着色剤 50.00質量%
(蛍光性着色樹脂粒子(蛍光イエロー)の30質量%水分散体)
・MQレジン(1) 8.62質量%
(MQレジンのエマルジョン(不揮発分58質量%、ノニオン性、低粘度シリコーンオイル含有、信越化学工業(株)製)
・水溶性有機溶剤 10.00質量%
(グリセリン)
・防腐剤 0.10質量%
(4-クロロ-3-メチルフェノール)
・水 31.28質量%
実施例2~実施例15、比較例1~比較例3は、インキ組成物に含まれる成分の種類や配合量を表1、表2において表される組成に変更した以外は、実施例1と同じ方法で筆記具用水性インキ組成物を得た。
各インキ組成物の粘度とpH値についても、実施例1と同じ方法で測定した。ただし、比較例2のインキ組成物の粘度は、実施例1の方法では測定上限値を超えたため、B型回転粘度計(BLアダプター使用、東京計器(株)製)を用いて、20℃で回転速度12rpmの条件で測定した。
(2)蛍光性着色樹脂粒子(蛍光ピンク)の37質量%水分散体、蛍光性着色樹脂粒子[スチレン-アクリロニトリル樹脂粒子を蛍光染料で着色したもの]、平均粒子径:0.1μm、商品名:ルミコールNKW-3207E、日本蛍光化学(株)製
(3)高分子染料の35質量%水分散体、高分子染料[部分スルホン化線状ポリエステル樹脂(分子量:18,000、水酸基価:4~8、酸価:<5、Tg:65℃、スルホン酸当量:400~600]と蛍光染料(フラビンC.I.49005)を質量比において1:0.26で水中で反応させた生成物]
(4)MQレジンのエマルジョン、低粘度シリコーンオイル含有、不揮発分58質量%、ノニオン性、MQレジン[M単位/Q単位(モル比)=0.5~1.5、式(1)中のRはメチル基)、ポリ(オキシエチレン)=アルキル(炭素数12~15)エーテル含有、平均粒子径0.49μm、商品名:X-52-8005、信越化学工業(株)製
(5)MQレジンのエマルジョン、低粘度シリコーンオイル含有、不揮発分60質量%、アニオン性、MQレジン[M単位/Q単位(モル比)=0.5~1.5、式(1)中のRはメチル基)、スルホン酸ナトリウム塩化合物含有、ソルビタン脂肪酸エステル含有、(MQレジンを低粘度シリコーンオイル(動粘度6cSt)に溶解させ、アニオン性界面活性剤で水に乳化分散させたもの、MQレジンの含有量20質量%、低粘度シリコーンオイルの含有量39質量%)、平均粒子径1.42μm、商品名:KM-9717、信越化学工業(株)製
(6)スチレン/アクリル樹脂のエマルジョン、不揮発分50質量%、商品名:モビニールVDM7410、日本合成化学(株)製
(7)イソデシルアルコールのポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド付加物、HLB値:13.9、商品名:ノイゲンLF-80X、第一工業製薬(株)製
(8)アセチレングリコールのポリエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコールの炭素数:14、HLB値:13~14、商品名:オルフィンE1010、日信化学工業(株)製
(9)酢酸30質量%水溶液
(10) 商品名:ホクサイドPCMC、北興産業(株)製
上記の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定機(商品名「ナノトラックNANO-flex」、マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて動的光散乱法で測定される粒度分布の体積累積50%時の粒子径(D50)である。
実施例1~実施例15および比較例1~比較例3の筆記具用水性インキ組成物を、ペン先を具備したマーキングペンのインキ吸蔵体に2g充填し、ペン先にインキ組成物をしみこませ、マーキングペンを作製した。
上記マーキングペンは、ペン先には、チゼル型ポリエステル繊維チップ[(外寸:長さ32mm、直径4mm)、空隙率60%]のペン芯を用い、インキ吸蔵体には撚糸からなる繊維集束体[(外寸:長さ77mm、直径7.3mm)、空隙率88%]を用い、ペン先とインキ吸蔵体とを、インキ吸蔵体に吸蔵されたインキ組成物が供給可能になるよう接続した。
得られたマーキングペンを試験用筆記具として、以下の試験および評価を行った。
実施例1~実施例15および比較例1~比較例3のインキ組成物を用いた試験用筆記具を用いて、試験用紙に3cm直線筆記し、1時間放置した後、筆跡が浸漬するように試験用紙をイオン交換水に1時間浸漬した後の筆跡状態を目視により観察し、下記の評価基準に従って、筆跡耐水性を評価した。なお、試験用紙は、JISP3201に準拠した筆記用紙を用いた。
◎◎:筆跡のにじみや濃度の低下が見られなかった。
◎:着色剤の流出が極僅かに起こり、浸漬液がほんの少し着色したが、筆跡のにじみや濃度の低下は極々わずかであり、実用上全く問題のないレベルであった。
○:着色剤の流出が僅かに起こり、浸漬液が少し着色したが、筆跡のにじみや濃度の低下が極わずかであり、実用上問題のないレベルであった。
△:着色剤の流出がおこり、浸漬液が着色し、筆跡のにじみや濃度低下が顕著に観察され、実用上懸念が残るレベルであった。
×:筆跡が消失してしまい、視認できなかった。
実施例1~実施例15および比較例1~比較例3のインキ組成物を用いた試験用筆記具を用いて、試験用紙に直線筆記し、得られた筆跡の発色性を目視により観察し、下記の評価基準に従って筆記性能(筆跡発色性)を評価した。なお、試験用紙は、JISP3201に準拠した筆記用紙を用いた。
○:発色が鮮明である。
△:発色が若干、不鮮明であるが、十分視認できる。
×:発色が不鮮明で視認困難であり、実用上問題がある。
実施例1~実施例15および比較例1~比較例3のインキ組成物を用いた試験用筆記具を用いて、試験用紙に直線筆記し、得られた筆跡の状態を目視により観察し、下記の評価基準に従って筆記性能(筆記性)を評価した。なお、試験用紙は、JISP3201に準拠した筆記用紙を用いた。
○:筆跡にカスレや中抜けが見られなかった。
△:筆跡にカスレや中抜けが僅かに確認された。
×:筆跡にカスレや中抜けが顕著に確認された、または、筆記不能であった。
実施例1~実施例15および比較例1~比較例3のインキ組成物を用いた試験用筆記具を用いて、試験用紙に直線筆記を行い、筆記から3秒後に筆跡を指で擦過した際にインキ組成物の周辺への広がりを目視により観察し、下記評価基準に従って、筆跡乾燥性を評価した。なお、試験用紙は、JISP3201に準拠した筆記用紙を用いた。
◎:筆跡周辺にインキが広がった形跡は確認されない。
○:筆跡周辺に僅かにインキが広がった形跡が確認されるが、広がりの程度は軽微である。
△:筆跡周辺にインキが広がった形跡が確認されるが、実用上問題ない程度である。
×:筆跡周辺におけるインキの広がりが顕著である。
実施例1~8、14および15のインキ組成物を用いた場合の筆跡乾燥性は、上記の評価では、全て〇であったが、実施例14および15のインキ組成物を用いた場合の方が、実施例1~8のインキ組成物を用いた場合と比較して、インキの広がりの程度がより軽微であり、より筆跡乾燥性に優れていた。
また、実施例1~実施例15のインキ組成物は、変色が起こらず、所望の色彩で筆跡を得ることができた。
尚、比較例2のインキ組成物は、インキ調整後、すぐに着色剤が凝集してしまい、ペン先への追従不良が起こり、筆記不能となって、筆跡が得られなかった。このため、筆跡耐水性試験、筆記性能試験(筆跡発色性)、筆跡乾燥性試験は行わなかった。
Claims (5)
- 着色剤と、MQレジンと、水と、を含んでなることを特徴とする、筆記具用水性インキ組成物。
- 前記MQレジンの含有率が、前記筆記具用水性インキ組成物の総質量を基準として、0.01質量%~30質量%である、請求項1に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 脂肪族アルコールのポリアルキレンオキサイド付加物をさらに含む、請求項1または2に記載の筆記具用水性インキ組成物。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の筆記具用水性インキ組成物を収容してなることを特徴とする、筆記具。
- マーキングペンである請求項4に記載の筆記具。
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