JP7435115B2 - ビスフェノールの製造方法およびポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、芳香族アルコールとケトン又はアルデヒドとからビスフェノールを製造する方法において、使用される有機溶媒の再利用を図るとともに、良好な品質のビスフェノールを製造できる方法を提供することを目的とする。
また、上記ビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
<1> 下記の工程(A1)~工程(A4)を有する、ビスフェノールの製造方法。
工程(A1):酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程
工程(A2):前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程
工程(A3):前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程
工程(A4):前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程
<2> 前記工程(A2)と前記工程(A3)との間に工程(y1)を有し、
前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
前記工程(A2)が、前記スラリー反応生成液(S1)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C1)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1-1)とを得る工程であり、
前記工程(y)が、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1-1)又は前記溶液(e1-1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1-2)を、水相(yW)と前記芳香族炭化水素を含む有機相(yO)とに分離させ、前記水相(yW)を除去し、前記有機相(yO)を得る工程であり、
前記工程(A3)で用いられる溶液(E)が、前記有機相(yO)である前記<1>に記載のビスフェノールの製造方法。
<3> 前記工程(A1)と前記工程(A2)の間に、工程(x1)と工程(x2)とを有し、
前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
前記工程(x1)が、前記スラリー反応生成液(S1)から水相(xW)を除去し、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO)を得る工程であり、
前記工程(x2)が、前記有機相(xO)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程であり、
前記工程(A2)で用いられるスラリー溶液(S)が、前記スラリー溶液(S2)である前記<1>に記載のビスフェノールの製造方法。
<4> 前記塩基性化合物が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上の塩基性化合物である、前記<1>乃至<3>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<5> 前記酸触媒が、硫酸である前記<1>乃至<4>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<6> 前記芳香族炭化水素が、トルエンである前記<1>乃至<5>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<7> 前記ビスフェノールが、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン又は1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンである前記<1>乃至<6>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法。
<8> 前記<1>乃至<7>のいずれかに記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
また、得られたビスフェノールを用いて、ポリカーボネート樹脂を製造することができる。
本発明は、下記の工程(A1)~工程(A4)を有する、ビスフェノールの製造方法。(以下、「本発明のビスフェノールの製造方法」と称する場合がある。)に関するものである。
工程(A2):前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー状の溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程
工程(A3):前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程
工程(A4):前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程
ビスフェノールは芳香族炭化水素に溶けにくいため、ビスフェノールの洗浄に芳香族炭化水素を用いることで、ビスフェノールの損出が少ないという利点がある。
また、工程(A3)において、芳香族炭化水素を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した後、芳香族炭化水素を蒸留回収することにより、回収溶剤(R)中に重合阻害物質が混入することが抑制され、工程(A4)において、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を用いてビスフェノールの洗浄を行っても、得られるビスフェノールの重合活性の低下が抑えられる。回収溶剤(R)の回収率も向上する。
工程(A1)は、酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程である。
本発明のビスフェノールの製造方法に用いる芳香族アルコールは、通常、以下の一般式(1)で表される化合物である。
本発明のビスフェノールの製造方法に用いるケトン又はアルデヒドは、通常、以下の一般式(2)で表される化合物である。
例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、フルオレニリデン、キサントニリデン、チオキサントニリデンなどが挙げられる。
本発明のビスフェノールの製造方法における酸触媒としては、硫酸、塩酸、塩化水素ガス、塩酸、p-トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸、メタンスルホン酸などの脂肪族スルホン酸、リン酸などの強酸を用いることができる。
芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを縮合させる反応では、助触媒としてチオール助触媒を用いることができる。チオール助触媒としては、例えば、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸などのメルカプトカルボン酸、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタン、へキシルメルカプタン、へプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン(デカンチオール)、ウンデシルメルカプタン(ウンデカンチオール)、ドデシルメルカプタン(ドデカンチオール)、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ペンタデシルメルカプタン、メルカプトフェノールなどが挙げられる。
ビスフェノールを生成する反応は、有機溶媒の存在下で行うことが出来る。有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族アルコール、脂肪族炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は、1種以上を含んでもよい。例えば、芳香族炭化水素と脂肪族アルコールとの混合溶媒を用いてもよい。
脂肪族アルコールは、反応効率等の観点から、炭素数1~12の1価のアルキルアルコールが好ましく、炭素数1~8の1価のアルキルアルコールとすることがより好ましい。
なお、後述するように、有機溶媒は、分割して供給してもよく、分割して供給する場合は、ケトン又はアルデヒドに対する、反応液の調製に用いられる有機溶媒の合計量が上記範囲内であることが好ましい。
芳香族炭化水素の中でも、沸点が200℃以下のものが好ましく、170℃以下のものがより好ましい。ビスフェノールの溶解性や沸点などの観点から、トルエンが特に好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法で製造されるビスフェノールは、通常、以下の一般式(3)で表される化合物である。
工程(A2)は、工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、ビスフェノールを含む固形分(C)と、芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程である。
また、得られる固形分(C)は、ビスフェノールを含む。なお、得られる固形分(C)は、液体成分の一部を含んでよいが、その含液量は通常50質量%以下である。
工程(A3)は、芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程である。
蒸留を行う蒸留原料(D)は、芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と、塩基性化合物とを混合したものである。
溶液(E)と塩基性化合物とを混合した後、蒸留を行うことで、溶液(E)に含有する重合阻害成分が芳香族炭化水素の回収溶剤(R)へ混入することを抑制できる。
また、図2に示すように、溶液(E)は、溶液(e)に加えて、工程(A4)で排出される廃液を加えたものとすることもできる。
入手しやすく安価であるという観点から、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される1種以上であることが特に好ましい。
溶液(E)と塩基性化合物との混合時間は、塩基性化合物が効率的に重合活性阻害成分と反応して中和させるため、0.1時間以上が好ましく、0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上が更に好ましい。また、経済的に回収溶剤(R)を回収させるため、200時間以下が好ましく、190時間以下がより好ましく、180時間以下が更に好ましい。
本発明のビスフェノールの製造方法において、反応時の有機溶媒や精製時の抽出溶媒として用いた芳香族炭化水素の回収は、定法により行うことが出来る。例えば、蒸留原料(D)を蒸留装置に入れ、加熱し、沸点の小さいケトン又はアルデヒドや水を分留し、純度の高い芳香族炭化水素の回収溶剤(R)得ることが出来る。また、蒸留の操作は減圧下で実施しても良い。
蒸留時の温度や減圧条件は、芳香族炭化水素の種類等にもよるが、例えば、70~120℃、200~800hpaの減圧下で蒸留を行うことができる。
蒸留回収率(留出液の質量/溶液(E)の質量×100(%))は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上、70質量%以上、75質量%の順でより好ましい。また、その上限は、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)の純度等を考慮して、95質量%以下や90質量%以下、85質量%以下などにできる。
芳香族炭化水素の回収溶剤(R)の純度(芳香族炭化水素の質量/回収溶剤(R)の質量×100(%))が低いと、洗浄溶媒として再利用した場合に、得られるビスフェノールの品質を悪化させることから、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
工程(A4)は、回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程である。
本発明のビスフェノールの製造方法で得られるビスフェノールは、光学材料、記録材料、絶縁材料、透明材料、電子材料、接着材料、耐熱材料など種々の用途に用いられるポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ-ト樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂など種々の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリベンゾオキサジン樹脂、シアネート樹脂など種々の熱硬化性樹脂などの構成成分、硬化剤、添加剤もしくはそれらの前駆体などとして用いることができる。また、感熱記録材料等の顕色剤や退色防止剤、殺菌剤、防菌防カビ剤等の添加剤としても有用である。
図3に示すビスフェノールの製造方法(I)は、工程(A1-1)と、工程(A2-1)と、工程(y1)と、工程(A3-1a)と、工程(A4-1a)とを有するビスフェノールの製造方法である。
工程(A2-1)は、スラリー反応生成液(S1)を固液分離し、ビスフェノールを含む固形分(C1)と、芳香族炭化水素を含む溶液(e1-1)とを得る工程であり、工程(A2)の態様のひとつである。
工程(y1)は、溶液(e1-1)を水相(yW1)と有機相(yO1)とに分離させ、水相(yW1)を除去し、有機相(yO1)を得る工程であり、工程(y)の態様のひとつである。
工程(A3-1a)は、有機相(yO1)と、塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D1a)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R1a)を回収する工程であり、工程(A3)の態様のひとつである。
工程(A4-1a)は、回収溶剤(R1a)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C1)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程であり、工程(A4)の態様のひとつである。
ビスフェノールの製造方法(I)では、工程(A2)のスラリー溶液(S)として、工程(A1-1)で得られたスラリー反応生成液(S1)をそのまま用い、工程(A3)の溶液(E)として、工程(y1)で得られた有機相(yO1)を用いる。
一般的に、工程(A2-1)で固液分離される溶液(e1-1)は静置することで、水相(yW1)を下相として、水相(yW1)と有機相(yO1)とに分離する。このため、水相(yW1)は、反応槽の底から抜き出すことができる。
図4に示すビスフェノールの製造方法(II)は、工程(A1-1)と、工程(A2-1)と、工程(y2)と、工程(A3-1b)と、工程(A4-1b)とを有するビスフェノールの製造方法である。
工程(y2)は、溶液(e1-1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1-2)を、水相(yW2)と有機相(yO2)とに分離させ、水相(yW2)を除去し、有機相(yO2)を得る工程であり、工程(y)の態様のひとつである。
工程(A3-1b)は、有機相(yO2)と、塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D1b)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R1b)を回収する工程であり、工程(A3)の態様のひとつである。
工程(A4-1b)は、回収溶剤(R1b)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C1)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程であり、工程(A4)の態様のひとつである。
ビスフェノールの製造方法(II)では、工程(A2)のスラリー溶液(S)として、工程(A1-1)で得られたスラリー反応生成液(S1)をそのまま用い、工程(A3)の溶液(E)として、工程(y2)で得られた有機相(yO2)を用いる。
溶液(e1-2)を静置することで、水相(yW2)が下相として分離するため反応槽の底から抜き出すことができる。
溶液(e1-1)に混合させる塩基性水溶液としては、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等が挙げられる。溶液(e1-1)に過剰の塩基性水溶液を混合すると、得られる有機相(yO2)に残存する塩が多く、工程(A3-1b)で蒸留回収される回収溶剤(R1b)の回収率が悪化するため、水相(yW2)のpHが7~12程度となるように、塩基性水溶液は混合することが好ましい。
例えば、溶液(e1-1)と塩基性水溶液とを混合した溶液(e1-2)から、pHが9~12の水相(yW2a)を除去し、有機相(yO2a)を得る。次いで、有機相(yO2a)を、除去する水相のpHが6.5~7.5になるまで水で洗浄したり、除去する水相の電気伝導度100μS/cm以下となるまで水で洗浄する。この水洗後の有機相(yO2a)を工程(A3-1b)に用いてもよい。
ここで、水相のpHは、株式会社堀場製作所製pH計「pH METER ES-73」などを用い、25℃での測定とできる。また、水相の電気伝導度は、株式会社堀場製作所製電気伝導度計「COND METER D-71」を用い、25℃での測定とできる。
また、より純度の高いビスフェノールを得るためには、工程(A4-1a)、工程(A4-1b)の後に、晶析と洗浄(懸濁洗浄など)を行うことが好ましい。この晶析後の洗浄にも、工程(A3-1a)の回収溶剤(R1a)、工程(A3-1b)の回収溶剤(R1b)を使用できる。
図5に示すビスフェノールの製造方法(III)は、工程(A1-1)と、工程(x1)と、工程(x2)と、工程(A2-2)と、工程(A3-2)と、工程(A4-2)とを有するビスフェノールの製造方法である。
工程(x1)は、スラリー反応生成液(S1)から水相(xW1)を除去し、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る工程である。
工程(x2)は、有機相(xO1)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程である。
工程(A2-2)は、スラリー溶液(S2)を固液分離し、ビスフェノールを含む固形分(C2)と、芳香族炭化水素を含む溶液(e2)とを得る工程であり、工程(A2)の態様のひとつである。
工程(A3-2)は、溶液(e2)と、塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D2)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R2)を回収する工程であり、工程(A3)の態様のひとつである。
工程(A4-2)は、回収溶剤(R2)を含む洗浄溶媒を用いて、ビスフェノールを含む固形分(C2)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程であり、工程(A4)の態様のひとつである。
工程(x1)と工程(x2)を行うことで、純度の高いビスフェノールを得やすい。
ビスフェノールの製造方法(III)では、工程(A2)のスラリー溶液(S)として、工程(x2)で得られたスラリー溶液(S2)を用いる。また、工程(A3)の溶液(E)として、工程(A2-2)で得られた溶液(e2)をそのまま用いる。
工程(x1)は、加熱や良溶媒の添加等によりビスフェノールを有機溶媒中に溶解させた後、水相(xW1)を除去し、有機相(xO1)を得る工程とできる。また、水相(xW1)を除去した後、加熱や良溶媒の添加等によりビスフェノールを有機溶媒中に溶解させて、有機相(xO1)を得る工程としてもよい。
工程(A1-1)で得られたスラリー反応生成液(S1)と塩基性水溶液とを加熱混合し、ビスフェノールを溶解させる。次いで、水相(xW1)と有機相(xO1)とに分離させた後、水相(xW1)を除去し、有機相(xO1)を得る。
工程(A1-1)で得られたスラリー反応生成液(S1)と塩基性水溶液と抽出溶媒とを加熱混合し、ビスフェノールを溶解させる。次いで、水相(xW1)と有機相(xO1)とに分離させた後、水相(xW1)を除去し、有機相(xO1)を得る。
工程(A1-1)で得られたスラリー反応生成液(S1)を、水相(xW1)とビスフェノールが分散した芳香族炭化水素を含むスラリー状の有機相(sO1)とに分離させ、水相(xW1)を除去する。次いで、有機相(sO1)を加熱し、ビスフェノールを溶解させ、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る。
工程(A1-1)で得られたスラリー反応生成液(S1)を希釈溶媒で希釈したスラリー状の希釈液を、水相(xW1)とビスフェノールが分散した芳香族炭化水素を含むスラリー状の有機相(sO1)とに分離させ、水相(xW1)を除去する。次いで、有機相(sO1)を加熱し、ビスフェノールを溶解させ、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO1)を得る。
方法(ii)で用いられる抽出溶媒としては、芳香族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。
方法(iv)で用いられる希釈溶媒としては、イオン交換水、脱塩水、蒸留水などの水や、食塩水などの酸性~中性の水溶液、芳香族炭化水素などの有機溶媒が挙げられる。
ここで、工程(A1-1)の反応液(L1)は芳香族炭化水を使用した例であるが、工程(x1)の抽出溶媒や希釈溶媒として芳香族炭化水素を使用する場合には、工程(A1-1)の反応液(L1)は、芳香族炭化水素を含まなくてもよい。
工程(x2)は、有機相(xO1)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程である。
冷却方法は特に限定されないが、水冷や空冷等で行うことができる。結晶が析出しやすく、析出する結晶の純度を高めるためには、種晶を添加してもよい。種晶は、冷却開始時や冷却中に添加することができる。芳香族アルコールを多量に用いる場合は、工程(x2)の前に蒸留による余剰の芳香族アルコールを留去してから行うことができる。
本発明のビスフェノールの製造方法にて得られたビスフェノール(以下、「本発明のビスフェノール」と記載する場合がある。)を原料とするポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法にて得られるポリカーボネート樹脂は、本発明のビスフェノールと、炭酸ジフェニル等の炭酸ジエステルとを、例えば、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の存在下でエステル交換反応させる方法などにより製造することができる。上記エステル交換反応は、公知の方法を適宜選択して行うことができるが、以下に本発明のビスフェノールと炭酸ジフェニルを原料とした一例を説明する。
エステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造においては、通常、原料混合槽に供給された両原料は、均一に攪拌された後、触媒が添加される重合槽に供給され、ポリマーが生産される。
オルトクレゾール、アセトン、トルエン、硫酸、ドデカンチオール、メタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム及びビフェニルは、和光純薬株式会社の試薬を使用した。炭酸ジフェニルは三菱ケミカル株式会社製を使用した。
<フェノールの生成率>
ビスフェノールCと、炭酸ジフェニルとの反応によるフェノールの生成率は、高速液体クロマトグラフィー(以下、LCと称する)により、以下の手順と条件で行った。
・分析装置:島津製作所社製LC-2010A
Imtakt ScherzoSM-C18 3μm 250mm×3.0mmID
・方式:イソクラティック法
・分析温度:40℃
・溶離液組成:
A液 酢酸アンモニウム:酢酸:脱塩素水=3.000g:1mL:1Lの溶液
B液 酢酸アンモニウム:酢酸:アセトニトリル=1.500g:1mL:900mLの溶液
A液:B液=10:90(体積比)
・分析時間:20分
・流速0.34ミリリットル/分
・検出波長は254nmとした。
フェノール生成率(重合初期活性)=フェノールのLC面積÷(フェノールのLC面積+炭酸ジフェニルのLC面積+ビスフェノールCのLC面積)×100(%)
なお、LC面積とは、高速クロマトグラフィーで検出されたピークの面積を示す。
◎:フェノール生成率が12.0面積%以上
〇:フェノール生成率が5.0~12.0面積%
△:フェノール生成率が2.0~5.0面積%
×:フェノール生成率が2.0面積%以下
得られたビスフェノールCを用いてポリカーボネート樹脂を製造し、280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)をビスフェノールの重合活性として評価した。ビスフェノールの重合活性は、以下の基準に基づき、評価した。
○:140分以上200分以下
△:140分未満又は200分超
×:既定の重合触媒量で重合反応が進行しない
工程(A3)での芳香族炭化水素の蒸留回収率は、下式で算出した。
蒸留回収率(%)=留出量[g]/仕込み量(晶析ろ液の質量)[g]×100(%)
工程(A3)での芳香族炭化水素のリサイクル可能な回収率をリサイクル率として以下のように評価した。
重合活性評価〇又は△:回収率=リサイクル率
重合活性評価×:リサイクル不可=リサイクル率0%
(1-1)ビスフェノールCの製造
<工程(A1)>
温度計、滴下ロート、ジャケット及びイカリ型撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、窒素雰囲気下でトルエン280.0g、メタノール15.0g、オルトクレゾール230.4gを入れ、内温を10℃以下に維持しつつ、撹拌しながら98質量%の硫酸95.0gを入れ、混合液Aとした。次に、前記滴下ロートに、アセトン61.0g(物質量1.05モル)、ドデカンチオール5.4g、トルエン50.0gを入れ、混合液Bとした。混合液Aを10℃以下に維持した状態で、該滴下ロート内の混合液Bを撹拌しながら45分かけて混合液Aへ滴下した。混合液Aに混合液Bを滴下している途中で、生成したビスフェノールが析出し、スラリー状となった。さらに、反応液を10℃に維持した状態で更に1時間撹拌し、スラリー生成反応液を得た。
得られたスラリー反応生成液に、25%水酸化ナトリウム溶液120gを加えて撹拌し75℃まで昇温し、ビスフェノールを溶解させた後、静置させて油水分離した。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去した。
得られた有機相に、3重量%炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、80℃で撹拌して、油水分離した(水相のpH9.2)。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去した。この有機相に脱塩水100gを加えて、80℃で撹拌し油水分離した。油水分離後、水相をセパラブルフラスコの底から除去した。この操作を3回繰り返し、ビスフェノールCが溶解した有機相620gを得た(最終の水相のpH7.1)。
このビスフェノールCが溶解した有機相を、80℃から5℃まで徐々に冷却し、ビスフェノールCの結晶を析出させ、スラリー溶液を得た。
得られたビスフェノールCの結晶を含むスラリー溶液を、遠心分離機を用いて固液分離を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液とを得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を500.3g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を1.0g入れ、40℃に保ちながら90分間撹拌した。その後、80℃まで昇温し、80℃に保ちながら真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率6.0%(留出量29.9g/仕込み量500.3g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率77.4%(留出量387.2g/仕込み量500.3g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤1を得た。
晶析ろ液に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.200質量%(1.0g/500.3g×100)であった。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤1を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
PTFE製試験管に(1-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが16.2面積%生成していた。
撹拌機及び留出管を備えた内容量150mLのガラス製反応槽に、(1-1)で得られたビスフェノールCを100.00g(0.39モル)、炭酸ジフェニル86.49g(0.4モル)及び、400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μLを入れた。該ガラス製反応槽を約100Paに減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を3回繰り返し、反応槽の内部を窒素に置換した。その後、該反応槽を200℃のオイルバスに浸漬させ、内容物を溶融した。
280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は170分であった。
(2-1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を504.3g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を1.0g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率7.1%(留出量35.7g/仕込み量504.3g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率73.8%(留出量372.3g/仕込み量504.3g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤2を得た。
晶析ろ液に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.198質量%(1.0g/504.3g×100)であった。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤2を100g供給し、ケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
PTFE製試験管に(2-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが14.7面積%生成していた。
(2-1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は172分であった。
(3-1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を508.0g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を0.5g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率12.0%(留出量61.2g/仕込み量508.0g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率80.0%(留出量406.6g/仕込み量508.0g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤3を得た。
晶析ろ液に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.098質量%(0.5g/508.0g×100)であった。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤3を100g供給し、ケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
PTFE製試験管に(3-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが16.2面積%生成していた。
(3-1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は164分であった。
(4-1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た蒸留原料を503.4g、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を0.2g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留で回収溶剤を留出させた。留出率11.6%(留出量58.4g/仕込み量503.4g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率71.8%(留出量361.2g/仕込み量503.4g×100)まで蒸発させ、回収溶剤4を得た。蒸留原料に対する炭酸水素ナトリウムの添加量は0.040質量%(0.2g/503.4g×100)であった。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤4を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
オイルバスを備えたエバポレータを用いて、減圧下オイルバス温度100℃で軽沸分を留去することで、白色のビスフェノールC115gを得た。
PTFE製試験管に(4-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが16.0面積%生成していた。
(4-1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は159分であった。
(5-1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を501.8g、25質量%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を8.4g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率11.6%(留出量58.0g/仕込み量501.8g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率76.4%(留出量383.4g/仕込み量501.8g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤5を得た。
晶析ろ液に対する水酸化ナトリウムの添加量は0.418質量%(8.4g×0.25/501.8g×100)であった。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤5を100g供給し、ケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、精ケーキを得た。
PTFE製試験管に(5-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが13.2面積%生成していた。
(5-1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は163分であった。
(6-1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を501.0g、25質量%水酸化カリウム(KOH)水溶液を3.6g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、30分間保持する。その後、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率12.2%(留出量61.0g/仕込み量501.0g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率76.9%(留出量385.4g/仕込み量501.0g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤6を得た。
晶析ろ液に対する水酸化カリウムの添加量は0.180質量%(3.6g×0.25/501.0g×100)であった。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに工程(A3)で得たトルエンの回収溶剤5を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
PTFE製試験管に(6-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが20.1面積%生成していた。
(6-1)で得られたビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施した。280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は158分であった。
(比1-1)ビスフェノールCの製造
実施例1と同様に、工程(A1)、工程(x1)、工程(x2)および工程(A2)を行い、ビスフェノールCのケーキと晶析ろ液を得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を501.3g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率4.4%(留出量22.3g/仕込み量501.3g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率77.6%(留出量388.9g/仕込み量501.3g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤7を得た。
工程(A2)で得たビスフェノールCのケーキ150gに溶媒回収工程で得たトルエンの回収溶剤7を100g供給し、ビスフェノールCのケーキをほぐしながら懸濁洗浄を実施し、遠心分離機を用いて固液分離を行った。この作業を更に2回繰り返し、ビスフェノールCの精ケーキを得た。
PTFE製試験管に(比1-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが0.3面積%生成していた。
(比1-1)で得られた精製ビスフェノールCを用い、実施例1と同様に重合反応を実施したが、既定の重合触媒量(400質量ppmの炭酸セシウム水溶液479μL)では重合反応が進行しなかった。
(参1-1)
比較例1の溶媒回収工程に代わりに、以下の通りに溶媒回収工程を行った以外は、比較例1と同様にして、白色のビスフェノールCを120g得た。
温度計、スルザーラボラトリーパッキンを備えた留出管、リービッヒ冷却管、撹拌翼及びオイルバスを備えた1Lの蒸留フラスコに、工程(A2)で得た晶析ろ液を687.4g入れ、撹拌しながら80℃に加温し、真空ポンプで647hPaに減圧しつつ、単蒸留でトルエンの回収溶剤を留出させた。留出率4.2%(留出量28.9g/仕込み量687.4g×100)までを初留として廃棄し、オイルバスの温度を110℃まで徐々に昇温しながら留出率45.1%(留出量310.0g/仕込み量687.4g×100)まで蒸発させ、トルエンの回収溶剤9を得た。
PTFE製試験管に(参1-1)で得たビスフェノールC4.7g、炭酸ジフェニル4.5g、453ppmに調整した炭酸セシウム水溶液20μLを入れ、アルミブロックヒーターで190℃、1時間加熱した。
得られた溶融液の一部を取り出し、高速液体クロマトグラフィーで炭酸ジフェニルとの反応によるフェノール生成率を確認したところ、フェノールが10.6面積%生成していた。
280℃に昇温してから重合を終了するまでの時間(後段重合時間)は202分であった。
Claims (7)
- 下記の工程(A1)~工程(A4)を有する、ビスフェノールの製造方法。
工程(A1):酸触媒の存在下、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを反応させ、ビスフェノールを生成させる工程
工程(A2):前記工程(A1)で得られたビスフェノールが芳香族炭化水素を含む溶媒に分散したスラリー溶液(S)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)とを得る工程
工程(A3):前記芳香族炭化水素を含む溶液(e)の少なくとも一部を含む溶液(E)と、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれるいずれか1種以上の塩基性化合物とを混合した蒸留原料(D)を蒸留して、芳香族炭化水素の回収溶剤(R)を回収する工程
工程(A4):前記回収溶剤(R)を含む洗浄溶媒を用いて、前記ビスフェノールを含む固形分(C)を洗浄し、ビスフェノールを得る工程 - 前記工程(A2)と前記工程(A3)との間に工程(y)を有し、
前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
前記工程(A2)が、前記スラリー反応生成液(S1)を固液分離し、前記ビスフェノールを含む固形分(C1)と、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1-1)とを得る工程であり、
前記工程(y)が、前記芳香族炭化水素を含む溶液(e1-1)又は前記溶液(e1-1)と塩基性水溶液との混合溶液(e1-2)を、水相(yW)と前記芳香族炭化水素を含む有機相(yO)とに分離させ、前記水相(yW)を除去し、前記有機相(yO)を得る工程であり、
前記工程(A3)で用いられる溶液(E)が、前記有機相(yO)である請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。 - 前記工程(A1)と前記工程(A2)の間に、工程(x1)と工程(x2)とを有し、
前記工程(A1)が、酸触媒と、芳香族炭化水素と、芳香族アルコールと、ケトン又はアルデヒドとを含む反応液(L1)中で反応を行い、生成するビスフェノールを析出させ、ビスフェノールが分散したスラリー反応生成液(S1)を得る工程であり、
前記工程(x1)が、前記スラリー反応生成液(S1)から水相(xW)を除去し、ビスフェノールが溶解した芳香族炭化水素を含む有機相(xO)を得る工程であり、
前記工程(x2)が、前記有機相(xO)を冷却し、ビスフェノールを析出させて、ビスフェノールが分散したスラリー溶液(S2)を得る工程であり、
前記工程(A2)で用いられるスラリー溶液(S)が、前記スラリー溶液(S2)である請求項1に記載のビスフェノールの製造方法。 - 前記酸触媒が、硫酸である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記芳香族炭化水素が、トルエンである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
- 前記ビスフェノールが、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン又は1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサンである請求項1乃至5のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のビスフェノールの製造方法で製造したビスフェノールを用いたポリカーボネート樹脂の製造方法。
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