JP7465187B2 - 複合成形体及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、複合成形体及びその製造方法に関し、詳しくはペーパーコア材及び熱可塑性樹脂発泡粒子を用いた複合成形体及びその製造方法に関する。
従来、建築物、輸送媒体など様々な構造体の構成素材において、軽量で強度に優れる素材が求められている。特に車、航空機等の構造部材においては、CO排出量の低減及び低燃費化をより改善するために、軽量化が進められている。この軽量化の手段の一つとして、炭素繊維と熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とを一体化した複合材料である、炭素繊維複合材料の利用が進んでいる。前記炭素繊維複合材料の更なる軽量化の手法として、発泡体と炭素繊維複合材料との複合化についても検討が進んでいる。
例えば特許文献1には、強度がより改良された複合成形体を提供することを目的として、脂肪族ポリエステル系樹脂発泡粒子と、該発泡粒子間に形成された強化繊維を含む熱硬化性樹脂硬化物とが固着一体化された複合成形体が開示されている。また、特許文献2には、特許文献1の技術を改良し、軽量で、強度に優れる複合体を提供することを目的として、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を介して強化繊維が付着している複合粒子、並びに該複合粒子が互いに接着してなる複合粒子成形体と熱硬化性樹脂との複合体であり、前記複合粒子成形体は前記複合粒子間に連通した空隙を有し、前記空隙に熱硬化性樹脂が充填されている複合体が開示されている。
特許第5952979号公報 国際公開第2019/093414号
しかしながら、近年では、さらに複合成形体としての曲げ特性に優れる成形体が望まれている。本発明が解決しようとする課題は、比較的軽量で、強度に優れる複合成形体を提供することである。
本発明は、以下の複合成形体及び複合成形体の製造方法に関する。
<1> セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなるペーパーコア材と、熱可塑性樹脂発泡粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物とを備える複合成形体であって、前記セル中に熱可塑性樹脂発泡粒子群が充填されており、前記ペーパーコア材と前記熱可塑性樹脂発泡粒子とが前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着し、前記熱可塑性発泡粒子同士が前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着しており、前記セル壁がペーパーコア材の厚み方向に座屈部を有し、前記ペーパーコア材に前記熱硬化性樹脂が含浸し、硬化している、複合成形体。
<2> 前記熱可塑性樹脂発泡粒子の平均粒径が1~10mmである、上記<1>に記載の複合成形体。
<3> 前記セル1つ当たりの開口面積が1~20cmである、上記<1>又は<2>に記載の複合成形体。
<4> 前記熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の複合成形体。
<5> 前記複合成形体の厚み方向表面側断面における、前記熱可塑性樹脂発泡粒子部分の面積(Pb1)に対する前記セル壁部分の面積(Pw1)の比(Pw1/Pb1)をSとし、前記複合成形体の厚み方向中心断面における、前記熱可塑性樹脂発泡粒子部分の面積(Pb2)に対する前記セル壁部分の面積(Pw2)の比(Pw2/Pb2)をCとしたとき、前記Sの値が0.03~0.1であり、前記Cに対する前記Sの比(S/C)が0.8~1.1である、上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の複合成形体。
<6> 上記<1>~<5>のいずれかに記載の複合成形体の製造方法であって、
セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなるペーパーコア材のセル中に、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に未硬化状態の熱硬化性樹脂が付着した発泡粒子を充填する工程、及び
前記熱可塑性樹脂発泡粒子が充填されたペーパーコア材を、該ペーパーコア材の厚み方向に加熱、圧縮して、前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程
を含む、複合成形体の製造方法。
本発明の複合成形体は、軽量で、強度に優れる。また、本発明によれば、軽量で、強度に優れる複合成形体を提供することができる。
図1は、本発明の複合成形体の一実施形態の厚み方向断面写真である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<1.複合成形体>
本発明の複合成形体は、セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなるペーパーコア材と、熱可塑性樹脂発泡粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物とを備える複合成形体である。そして、前記セル中に熱可塑性樹脂発泡粒子群が充填されており、前記ペーパーコア材と前記熱可塑性樹脂発泡粒子とが前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着し、前記熱可塑性発泡粒子同士が前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着しており、前記セル壁がペーパーコア材の厚み方向に座屈部を有し、前記ペーパーコア材に前記熱硬化性樹脂が含浸し、硬化している。
本発明の複合成形体は、熱可塑性樹脂発泡粒子を含むため軽量である。また、ペーパーコア材を含み、かつ、ペーパーコア材の厚み方向に座屈部を有しており、該座屈部を有するペーパーコア材に熱硬化性樹脂が含浸し、硬化されて繊維強化層を構築することにより、高い強度が得られる。特に、該座屈部に熱可塑性樹脂発泡粒子及び熱硬化性樹脂硬化物が食い込んだ形状で接着しているため、熱可塑性樹脂発泡粒子が厚み方向へ移動することが制限される。また、ペーパーコア材のセル中に熱可塑性樹脂発泡粒子群が充填されており、ペーパーコア材と熱可塑性樹脂発泡粒子とが熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着し、さらに熱可塑性発泡粒子同士が熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着しているため、前記セル中にも熱硬化性樹脂による3次元の網目構造が形成されることになるので、複合成形体の強度が更に向上している。そして、本発明の複合成形体は、ペーパーコア材と、熱可塑性樹脂発泡粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物とが固着一体化されていることで、高い強度を有する。
<1-1.ペーパーコア材>
本発明に用いられるペーパーコア材は、セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなる。具体的には、ペーパーコア材は、例えばJIS A6931-1994に記載されているように、紙を接着剤で重積接着し、多数の連続した六角形、円形及び不等辺多角形などの孔をもっている。なお、本発明に用いられるペーパーコア材においては、セルに発泡粒子群が充填できればよいので、中空部分は貫通孔でもよく、厚み方向の両側に開口していてもよい。取扱性の観点からは、中空部分は貫通孔であることが好ましい。
ペーパーコア材の空隙率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。空隙率は、JIS A6931-1994に基づいて算出される、(展張したときの体積-実質部分の体積)/展張したときの体積×100であり、「展張」とは、正規のセルサイズを保つために拡げられていることを意味する。
ペーパーコア材は、特に限定されないが、例えばJIS A6931-1994に記載されている、6角形状、円柱形状、段ボール形状、リブ形状、折紙形状などが挙げられる。ペーパーコア材としては、フェザーコア、コルゲートコア、ロールコア及びハニカムコアの形状からなることが好ましく、フェザーコア、コルゲートコア、ロールコア及びハニカムコアからなる群から選ばれる少なくとも1種のセル断面形状を有することがより好ましい。ここで、フェザーコアとは、中芯原紙を波形に連続成型積層したものであり、波形壁と波形壁とで囲まれたセル断面形状を有する。コルゲートコアとは、一方向に長尺なライナー紙と、ライナー紙間に挟まれた波形の中芯原紙とからなる積層体であり、ライナー壁と波形の中芯壁とで囲まれたセル断面形状を有する。ロールコアとは、中芯原紙を円柱状に連続成型積層したものであり、円形状のセル断面形状を有する。ハニカムコアとは、中芯原紙を六角形のハチの巣状に連続成型積層したものであり、六角形のセル断面形状を有する。セル断面形状は、これらに限られず、八角形やバイアス状を含むものであってもよい。また、ペーパーコア材は、使用される際に中空セルを形成していればよく、展開コアや折りたたみコアであってもよい。
ライナー紙、中芯原紙の厚みは、特に制限はないが、繊維強化層を形成する際の熱硬化性樹脂の含浸性の観点から、平均で0.1~1mmが好ましい。
セルサイズは、特に制限はなく、軽量性及び強度等の観点から、平均で5~50mmが好ましく、6~40mmがより好ましく、8~20mmが更に好ましい。ここで、「セルサイズ」は、JIS A6931-1994で規定される積層心心間隔を意味する。ただし、セルが円形状の場合は積層方向に直角な方向の心心間隔を意味する。また、セル1つ当たりの開口面積は、好ましくは0.25cm以上、より好ましくは0.5cm以上、更に好ましくは1cm以上であり、そして、好ましくは25cm以下、より好ましくは20cm以下、更に好ましくは15cm以下である。
ペーパーコア材の厚みは、特に制限はなく、複合成形体の形状にあわせて設定できるが、軽量性及び強度等の観点から、開口方向に向けて10~100mmが好ましく、15~90mmがより好ましく、20~80mmが更に好ましい。なお、このような厚みを有する複数枚(例えば2~10枚)のハニカムコアを重ねることによって、複合成形体の総厚みを調整することも可能である。
ペーパーコア材は、市販品を使用することができる。例えば、「ロールコア」、「フェザーコア」、「フェザーコア-SF」、「ハニコーム-P」、「ダンコア」(いずれも商品名、新日本フエザーコア株式会社製)等を使用することができる。
<1-2.熱可塑性樹脂発泡粒子>
<1-2-1.熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱可塑性樹脂は、好ましくはポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、より好ましくはポリエステル系樹脂である。
ポリエステル系樹脂としては、通常、ジカルボン酸と二価アルコールとを縮重合させてなる線状ポリエステル等を採用することができる。ポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
芳香族ポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とを含むポリエステルである。芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂は、その主鎖に脂肪族エステルを主成分として含むものである。その脂肪族エステルの主鎖中の含有割合は、少なくとも60モル%、好ましくは80~100モル%、より好ましくは90~100モル%である。脂肪族ポリエステル系樹脂には、ヒドロキシ酸重縮合物、ラクトンの開環重合物及び多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との重縮合体等が包含される。ヒドロキシ酸重縮合物としてはポリ乳酸、ヒドロキシ酪酸の重縮合物等が挙げられる。ラクトンの開環重合物としてはポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等が挙げられる。多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との重縮合体としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート等が挙げられる。これらの中でも、熱硬化性樹脂の硬化時の発熱による発泡粒子の減容を防止する観点からは、脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。
発泡粒子を構成するポリ乳酸系樹脂は、結晶性を有することが好ましい。ポリ乳酸系樹脂が結晶性を有することにより、複合成形体の製造時に、発泡粒子が減容したり、発泡粒子が熱収縮を起こして熱硬化性樹脂との界面に隙間を生じたり、複合粒子型内成形体にヒケが生じたりしてしまうことを防止、抑制することができる。
結晶化が進んだポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得る方法としては、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度が調整できる限り、特にその方法は限定されない。例えば、発泡工程において加熱処理を行い、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を進行させて発泡粒子を得る方法、発泡粒子を65℃以上の雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。なお、発泡粒子を熱処理する温度は、好ましくは66~80℃であり、より好ましくは67~75℃である。また、熱処理時間は8時間以上であることが好ましく、その上限は概ね48時間である。
また、ポリオレフィン系樹脂としては、オレフィン成分を50重量%以上含有する樹脂であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂としてポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用されてもよい。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリアミド共重合体等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ジアミンとカルボン酸との重縮合により得られる、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリテトラメチレンアジパミド等、ラクタムの開環重合により得られるポリカプロアミド等が挙げられる。
ポリアミド共重合体としては、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレン、カプロラクタム/ヘキサメチレンアミノアジピン酸/ラウリルラクタム、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体等が挙げられる。
<1-2-2.熱可塑性樹脂発泡粒子の物性>
熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度及び融解温度(融点)の少なくともいずれかは、耐熱性の観点から、その下限が好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上である。そして、熱可塑性発泡粒子の生産性の観点から、その上限が好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは180℃以下である。
熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、熱可塑性樹脂発泡粒子を脱泡せずに、JIS K7121-1987により熱流束示差走査熱量測定にて得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度として求められる。なお、ガラス転移温度を求めるための試験片はJIS K7121-1987の「3.試験片の状態調節(3)」に記載の『一定の熱処理を行った後、ガラス転移温度を測定する場合』に準拠して試験片を作製する。具体的には、試験片が、DSC装置の容器において、200℃まで10℃/分の加熱速度にて昇温して加熱溶解され、直ちに0℃まで10℃/分の冷却速度にて冷却される。
熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂の融解温度(融点)は、熱可塑性樹脂発泡粒子を脱泡せずに、JIS K7121-1987に準拠し、熱流束示差走査熱量測定により測定される値である。具体的には、JIS K7121-1987の「3.試験片の状態調節(2)」の条件(但し、冷却速度10℃/分)により試験片を状態調整した試験片が使用される。該融解温度は、該試験片が10℃/分の加熱速度にて昇温されることにより得られた融解ピークの頂点の温度である。但し、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も面積の大きな融解ピークの頂点の温度が融点である。
熱可塑性樹脂発泡粒子としては、熱可塑性樹脂の樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得たものの他、発泡ストランド、発泡成形体及び押出発泡体の粉砕物等が挙げられる。
なお、樹脂粒子の形状は、円柱状、球状、角柱状、楕円球状、円筒状等を採用することができる。かかる樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子は、発泡前の樹脂粒子形状、上記の円柱状、球状、角柱状、楕円球状、円筒状等に略対応した形状を有する発泡粒子となる。
発泡粒子の平均粒径は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。上記範囲内であれば、複合成形体の強度の向上に好適である。なお、発泡粒子の平均粒径は、少なくとも100個以上の発泡粒子の最大外形寸法として測定される値の平均値である。
さらに、本発明に用いられる発泡粒子としては、発泡層のみからなる単層の発泡粒子だけではなく、多層構造の発泡粒子を用いることができる。なお、多層構造の発泡粒子とは、具体的には、発泡した芯層と、該芯層を被覆する被覆層とからなる発泡粒子が例示される。また、被覆層は発泡状態であっても非発泡状態であってもよい。
前記多層構造の発泡粒子としては、例えば、結晶構造を有するポリ乳酸樹脂を芯層に用いることが好ましい。また、結晶化しない或いはほとんど結晶化しないポリ乳酸樹脂(以下、併せて「低結晶性ポリ乳酸系樹脂」という)を被覆層に用いることが好ましい。低結晶性ポリ乳酸系樹脂は熱硬化性樹脂に溶解又は膨潤しやすい特性を有することから、被覆層のポリ乳酸系樹脂が低結晶性であると、発泡粒子は、高い、熱硬化性樹脂液体原料との親和性を有する。一方、結晶構造を有するポリ乳酸系樹脂は、熱硬化性樹脂液体原料に対して溶解しにくく、また、膨潤され難いことから、芯層のポリ乳酸樹脂が結晶構造を有していると、発泡粒子の形状が維持され易くなる。上記のようなポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、例えば、特開2012-025869号公報に記載の方法により調製することができる。
本発明に用いられる発泡粒子の嵩密度の下限は、好ましくは10kg/m以上、より好ましくは20kg/m以上、更に好ましくは30kg/m以上であり、そして、その上限が好ましくは250kg/m以下、より好ましくは200kg/m以下、更に好ましくは150kg/m以下である。上記範囲内であれば、発泡粒子が高い軽量化効果を発揮する。また、発泡粒子が独立気泡構造を形成しやすいので、複合成形体の強度が向上する。
なお、発泡粒子の嵩密度は、次のようにして求められる。発泡粒子がメスシリンダー等の容器内に自由落下によって充填される。その後、該容器を振動させる。発泡粒子の嵩体積は、振動後の体積が恒量に達したときの該メスシリンダーの目盛りの値である。容器内に充填された発泡粒子の全重量を該嵩体積で除することにより発泡粒子の嵩密度が求められる。
発泡粒子の1個当りの重量(粒子重量)の下限は、発泡粒子の充填性の観点から、好ましくは0.1mg以上、より好ましくは0.5mg以上であり、更に好ましくは0.8mg以上である。そして、発泡粒子の1個当りの重量の上限は好ましくは20mg以下、より好ましくは5mg以下である。
なお、粒子重量は、100個の粒子を無作為に選び、選んだ100個の粒子をまとめて重量を測定し、測定した重量を100で除した値を算出した、平均粒子重量である。
発泡粒子としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂発泡体である株式会社ジェイエスピー製の商品名「LACTIF(登録商標)」のうち、嵩密度が15~200kg/mである発泡粒子等が例示される。また、特公昭53-1313号公報、国際公開第2012/086305号、特開2012-025869号公報等を参照して、発泡粒子を得ることもできる。
<1-3.熱硬化性樹脂>
熱硬化性樹脂は未硬化状態であり、硬化剤と反応して硬化し得る樹脂であり、熱硬化性樹脂が硬化した後は熱硬化性樹脂硬化物となる。
熱硬化性樹脂が未硬化状態であるとは、硬化が進んでいない状態であるAステージ状態のみならず、硬化が進み始めているが、完全に硬化していない状態(半硬化状態)であるBステージ状態も含む。上記Aステージ状態、及びBステージ状態は、JIS K6900-1994で定義される。なお、熱硬化性樹脂が硬化状態であるか未硬化状態であるかの確認は、JIS K7122-1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に準拠して行う。そして、熱硬化性樹脂の硬化発熱ピークが観測される場合には、熱硬化性樹脂は未硬化状態であると判断される。上記観点から、熱硬化性樹脂層の硬化発熱ピークが110~180℃で観測されることが好ましく、120~160℃で観測されることがより好ましい。また、該硬化発熱ピークの熱量は3J/g以上であることが好ましく、5J/g以上であることがより好ましい。なお、上記硬化発熱ピークが他の樹脂のピークと重複する場合には、その分を差し引くことで算出される。
熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ウレタン系樹脂等が例示される。これらの中でも、発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂との接着性に優れる観点から、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂のうちの1種、又は2種以上の組合せであることが好ましく、エポキシ系樹脂から構成されることがより好ましい。
不飽和ポリエステル系樹脂としては、不飽和多価カルボン酸と多価アルコールとから得られる縮合生成物をビニルモノマーに溶解させて得られる不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。不飽和多価カルボン酸としては、無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸等が例示される。多価アルコールとしてはエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が例示される。ビニルモノマーとしては、スチレン系モノマー等が例示される。
エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ系樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ系樹脂;脂環式エポキシ系樹脂;グリシジルエーテル型エポキシ系樹脂;グリシジル化アミン型エポキシ系樹脂;ハロゲン化エポキシ系樹脂;或いは、グリシジル化ポリエステル、グリシジル化ポリウレタン、グリシジル化アクリル等のエポキシ基含有モノマーもしくはオリゴマーの付加重合体等が挙げられる。これらのエポキシ系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
ビニルエステル系樹脂(エポキシアクリレート系樹脂と呼ばれることもある)としては、原料のエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタクリル酸を用いてエステル化し、その反応物に重合性モノマーを付加重合させて得られる樹脂が挙げられる。原料のエポキシ化合物には、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物等が用いられるが、高い強度を得る観点からビスフェノールA型エポキシ化合物から製造されるビニルエステル樹脂が好適に用いられる。
<1-4.複合成形体の構造>
本発明の複合成形体は、ペーパーコア材のセル中に熱可塑性樹脂発泡粒子群が充填されており、ペーパーコア材と熱可塑性樹脂発泡粒子とが熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着し、さらに熱可塑性発泡粒子同士が熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着している。そして、ペーパーコア材に熱硬化性樹脂が含浸し、硬化していることで、複合成形体における繊維強化層を構築している。
さらに、ペーパーコア材からなる繊維強化層と熱可塑性樹脂発泡粒子及び熱可塑性発泡粒子同士が熱硬化性樹脂の硬化物を介して互いに接着し、ペーパーコア材のセル中においても熱硬化性樹脂の硬化物による3次元網目構造が形成されるため、複合成形体の強度に優れる。そして、本発明の複合成形体は、ペーパーコア材と、熱可塑性樹脂発泡粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物とが固着一体化されていることで、高い強度を有する。
また、本発明の複合成形体は、セル壁がペーパーコア材の厚み方向に座屈部を有する。セル壁がペーパーコア材の厚み方向に座屈部を有することで、セル壁がより剛直に形成されるため複合成形体の強度が更に向上している。
なお、座屈部は、具体的には、本発明の複合成形体の製造時にペーパーコア材の厚み方向に十分に圧縮することで形成され、ペーパーコア材のセル壁が厚み方向に対して、略直交する方向に屈曲した部分を有する。さらに具体的には、図1に示すように、折り曲げ屈曲されている部分を有する。熱硬化性樹脂硬化物を介して熱可塑性樹脂発泡粒子が接着している界面に座屈部が食い込んだ形状で接着しているため、熱可塑性樹脂発泡粒子の移動が制限され、より強固な構造が形成される。
この、強化繊維材としてのペーパーコア材が折り曲げ屈曲され、さらに熱硬化性樹脂が含浸硬化されていることにより、座屈部を有するセル壁は、より剛直となるので、複合成形体の強度を向上させることができる。
なお、上記の座屈部は、本発明の複合成形体の製造時において、ペーパーコア材の厚み方向に好ましくは1.5~5倍、より好ましくは1.6~3倍に圧縮することで形成される。特に、本発明の複合成形体の製造時には、ペーパーコア材に熱可塑性樹脂発泡粒子が充填された状態で圧縮されるので、図1に示すような屈曲構造が形成されると考えられる。
また、前記座屈部においても、ペーパーコア材のセル壁と接着しており、発泡粒子層に前記座屈部が食い込んだ形状で接着している。このような構造であることにより、厚み方向への移動も制限されるので、ペーパーコア材のセル壁がより強固となる。
複合成形体の厚み方向表面側断面における、発泡粒子部分の面積(Pb1)に対するセル壁部分の面積(Pw1)の比(Pw1/Pb1)をSとしたとき、Sの値は、複合成形体の強度の観点から、好ましくは0.03~0.1、より好ましくは0.04~0.08である。なお、前記の複合成形体の厚み方向表面側断面とは、ペーパーコア材の開口方向であり、複合成形体の厚み方向の表面から5mmの深さの部分の断面をいう。
複合成形体の厚み方向中心断面における、発泡粒子部分の面積(Pb2)に対するセル壁部分の面積(Pw2)の比(Pw2/Pb2)をCとしたとき、Cの値は、複合成形体の強度の観点から、好ましくは0.03~0.1、より好ましくは0.04~0.5である。また、前記Cに対する前記Sの比(S/C)は、好ましくは0.8~1.1であり、より好ましくは0.85~1.0である。なお、前記の複合成形体の厚み方向中心断面とは、複合成形体の表面から厚み方向に少なくとも5mm深さの部分を除く部分であり、複合成形体の厚み方向中心部分の断面をいう。また、上記の中心断面部における比(Pw2/Pb2)を満足するには、流動性が改善された後述の複合粒子を用いることが好ましい。
複合成形体のペーパーコア材のセル中には、熱可塑性樹脂発泡粒子が平均100~200個存在していることが好ましく、110~170個存在していることがより好ましい。上記範囲内であれば、軽量性を有しつつ、強度にも優れるものとなる。
特に、本発明の複合成形体においては、ペーパーコア材のセル中に熱可塑性樹脂発泡粒子が充填された上に、圧縮されており、セル壁に座屈部が形成されたものとなっている。したがって、上記座屈部が形成される場合には、結果として、ペーパーコア材のセル中の空隙は、熱可塑性樹脂発泡粒子を単に充填して得られる空隙率である26%前後よりも、十分に低下している。前記セル中の空隙率の上限は、軽量性と熱硬化性樹脂硬化物により発揮される強度とのバランスの観点から、10%であることが好ましく、5%であることがより好ましく、3%であることが更に好ましい。前記空隙率の下限は、概ね0.5%である。
複合成形体におけるペーパーコア材と、熱硬化性樹脂硬化物と、熱可塑性樹脂発泡粒子との重量の関係は、ペーパーコア材100重量部に対して、熱硬化性樹脂硬化物が好ましくは10~50重量部、より好ましくは20~40重量部であり、熱可塑性樹脂発泡粒子が好ましくは50~200重量部、より好ましくは70~150重量部である。上記範囲内であれば、複合成形体は、軽量性と強度のバランスが特に優れるものとなる。
前記ペーパーコア材と前記熱可塑性樹脂発泡粒子とは前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着しており、また、前記熱可塑性発泡粒子同士は前記熱硬化性樹脂を介して接着している。したがって、前記熱硬化性樹脂からなる前記熱硬化性樹脂硬化物層は、前記ペーパーコア材のセル中で3次元網目構造を形成している。前記熱硬化性樹脂硬化物層の厚みは、0.1μm~5μmであることが好ましい。
本発明の複合成形体において、セル中に充填される熱可塑性樹脂発泡粒子は、該熱可塑性樹脂発泡粒子の表面が未硬化状態の熱硬化性樹脂層で被覆されている複合粒子であることが好ましい。該複合粒子の熱硬化性樹脂層が硬化してなる該熱硬化性樹脂の硬化物を介して、ペーパーコア材と熱可塑性樹脂発泡粒子、及び熱可塑性樹脂発泡粒子が接着されている複合成形体では、特に、均一に熱硬化性樹脂硬化物の3次元網目構造を形成できる観点から好ましい態様である。
特に、熱硬化性樹脂硬化物中には、強化繊維が含有されていることが好ましい。このような場合には、熱硬化性樹脂硬化物の3次元網目構造がさらに強化されるので、より強度に優れるものとなる。なお、このような構造の3次元網目構造は、複合成形体を形成する際に、後述する複合粒子を用いる等して形成することができる。
上記観点から、熱硬化性樹脂硬化物100重量部に対して、強化繊維が20~300重量部添加されていることが好ましく、より好ましくは50~250重量部である。
複合成形体の成形体密度は、50~300kg/mであることが好ましい。上記範囲内であれば、特に軽量性に優れるものとなる。上記観点から、成形体密度は、100~250kg/mであることがより好ましく、120~200kg/mであることが更に好ましい。
複合成形体の3点曲げ試験における1mm曲げたわみ荷重は10N以上であることが好ましく、15N以上であることがより好ましい。上記範囲内であれば、特に軽量性と強度に優れるものとなる。
<2.複合成形体の製造方法>
本発明の複合成形体の製造方法は、特に限定されず、ペーパーコア材のセル中に、熱可塑性樹脂発泡粒子及び熱硬化性樹脂を充填する工程、及び発泡粒子が充填されたペーパーコア材を、該ペーパーコア材の厚み方向に加熱、圧縮して、前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程を含むことが好ましい。
本発明の複合成形体を製造する際、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂発泡粒子とを別々に使用してもよいが、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面を未硬化状態の熱硬化性樹脂層で被覆した複合粒子を用いてもよい。このような複合粒子を用いた場合には、特に、均一に熱硬化性樹脂硬化物の3次元網目構造を形成できる観点から好ましい態様である。
複合粒子を使用する場合における本発明の複合成形体の製造方法は、セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなるペーパーコア材のセル中に、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に未硬化状態の熱硬化性樹脂が付着した発泡粒子(複合粒子)を充填する工程、及び前記発泡粒子が充填されたペーパーコア材を、該ペーパーコア材の厚み方向に加熱、圧縮して、前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程、を含むことが好ましい。
<2-1.複合粒子>
複合粒子は、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂層が形成されており、個々の粒子として存在している。
複合粒子の平均粒径の下限は、複合粒子を金型に充填して最終成型体の形状を自由に設定する観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上である。そして、複合粒子の平均粒径の上限は、好ましくは10mm以下、より好ましくは6mm以下、更に好ましくは5mm以下である。複合粒子の平均粒径は、光学顕微鏡にて各試料について50個の複合粒子を観察し、複合粒子の(長径+短径)/2の平均値より算出される。
複合粒子における熱硬化性樹脂層の厚みの下限は、機械的強度及び発泡成形性の観点から、好ましくは4μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは100μm以上である。そして、複合粒子における熱硬化性樹脂層の厚みの上限は、好ましくは1000μm以下、より好ましくは800μm以下、更に好ましくは300μm以下である。熱硬化性樹脂層の厚みは、((各複合粒子(Bステージビーズ)の平均粒径)-(原料の発泡粒子の平均粒径))/2より算出される。なお、上記平均粒径は、走査型電子顕微鏡にて各試料の発泡粒子及び複合粒子についてそれぞれ50個の粒子を観察し、その長径の平均値を平均粒径とする。
なお、複合粒子の平均粒径に対する、熱硬化性樹脂層の厚みの比は、0.01~0.2であることが好ましい。上記範囲内であれば、熱硬化性樹脂層が脱落することなく、複合粒子の表面に熱硬化性樹脂層が積層され、良好な複合粒子を形成できる。上記観点から、該比は、0.015~0.15であることがより好ましく、0.02~0.1であることが更に好ましい。
複合粒子の嵩密度の下限は、好ましくは30kg/m以上、より好ましくは45kg/m以上、更に好ましくは50kg/m以上である。そして、複合粒子の嵩密度の上限は、好ましくは700kg/m以下、より好ましくは500kg/m以下、更に好ましくは300kg/m以下である。上記範囲内であれば、複合粒子は、軽量性に優れると共に強度にも優れる。複合粒子の嵩密度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
また、複合粒子の見掛け密度の下限は、好ましくは50kg/m以上、より好ましくは80kg/m以上である。そして、複合粒子の見掛け密度の上限は、好ましくは700kg/m以下、より好ましくは500kg/m以下である。
複合粒子においては、熱硬化性樹脂からなる被覆層に、複合粒子の流動性を向上させる処理が施されていることが好ましい。このような処理としては、被覆層を構成する熱硬化性樹脂に強化繊維、無機充填剤よりなる粉末、半硬化状態の熱硬化性樹脂粉末などを添加する方法が挙げられる。また、複合粒子の被覆層表面に、強化繊維、無機充填剤よりなる粉末、半硬化状態の熱硬化性樹脂粉末などが付着されていてもよい。さらには、複合粒子の被覆層の最表面に、強化繊維、無機充填剤よりなる粉末、半硬化状態の熱硬化性樹脂粉末などが偏在していることが好ましい。複合粒子の、傾斜法による安息角は、30~60°であることが好ましく、35~55°であることがより好ましい。上記安息角の測定は、例えば、筒井理学機器株式会社製の三輪式筒回転法の安息角測定器を用いる等して測定される。
<2-1-1.強化繊維>
強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、セラミックス繊維、スチール繊維、ステンレス(SUS)繊維、アルミニウム繊維、ホウ素繊維及びこれらの2以上の併用が例示される。これらの中で高強度性、汎用性、経済性等の観点から、強化繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、ビニロン繊維であることが特に好ましい。なお、強化繊維は、熱硬化性樹脂と強化繊維とを複合化した場合に、複合粒子の強度を向上させることができる。
複合粒子の、熱硬化性樹脂と強化繊維との重量比(熱硬化性樹脂/強化繊維)は、5/95~95/5であることが好ましい。上記重量比は、熱硬化性樹脂が硬化した際の強度や、強化繊維の発泡粒子からの脱落の観点から、10/90~85/15であることが好ましい。
なお、熱硬化性樹脂層の強化繊維含有率は、JIS K7075-1991 7-(2)(硝酸分解法)に準拠した方法で測定される。
複合粒子に用いられる強化繊維の平均繊維長(L)は、0.05mm以上1mm以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、繊維の絡み合いが生じやすく、複合粒子の耐衝撃性能が向上し、複合粒子における繊維の分散がより均一となる。
なお、強化繊維の平均繊維長(L)と繊維直径(D)は、電子顕微鏡で観察することにより測定される。
熱可塑性樹脂発泡粒子の表面を熱硬化性樹脂層で被覆した複合粒子を使用する場合、複合粒子の熱硬化性樹脂層中には強化繊維が含有されていることが好ましい。複合粒子の熱硬化性樹脂層中には強化繊維が含有されている場合、熱硬化性樹脂硬化物の3次元網目構造がさらに強化されるので、より強度に優れるものとなる。また、複合粒子において、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を介して、多数の強化繊維が付着していることがより好ましい。このような構成により、複合粒子を成形型内に充填するときに、複合粒子同士の互着を防ぐことができ、複合粒子をペーパーコア材のセル中に均一に充填することができる。なお、複合粒子に被覆される前記熱硬化性樹脂中には、さらに強化繊維を含有することが、複合成形体の強度の向上の観点から好ましい。
なお、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に被覆された未硬化状態の熱硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂に付着した強化繊維とをあわせて、「熱硬化性樹脂層」ということがある。具体的には、熱硬化性樹脂層は、熱硬化性樹脂が硬化された際には、強化繊維で強化された繊維強化プラスチック(FRP)層として機能する。前記複合粒子において、熱硬化性樹脂層は発泡粒子の表面を被覆している。
発泡粒子を被覆する熱硬化性樹脂層においては、強化繊維が、熱硬化性樹脂層の厚み方向中央部よりも熱硬化性樹脂層の外表面側に多く存在していることが好ましい。この場合、熱硬化性樹脂層には、強化繊維の含有量が外表面に向けて増加する、強化繊維の傾斜構造が形成される。
また、熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂は、発泡粒子の表面に被覆されており、実質的に未硬化の状態であるAステージ状態、又は常温において固体状ないし半固体状を示し、一般に「Bステージ」と呼ばれる状態(以下において「Bステージ品」、「Bステージ材料」ということがある。)であることが好ましい。また、取扱性の観点から熱硬化性樹脂層を構成する熱硬化性樹脂はBステージ状態であることが好ましい。
また、複合粒子において、上述の強化繊維による傾斜構造が熱硬化性樹脂層に形成されている場合には、複合粒子の流動性がさらに向上している。なお、熱硬化性樹脂層の外表面の少なくとも一部には、外表面に露出した強化繊維による凹凸が形成されていることが好ましい。このような凹凸の構造により、さらに複合粒子同士の互着を防ぐことができる。
同様の観点から、熱硬化性樹脂層の外表面には、少なくとも一部の強化繊維が露出していることが好ましい。強化繊維が熱硬化性樹脂層の外表面に露出していることで、複合粒子同士の互着をより効率的に防ぐことができる。なお、個々の強化繊維の中の一部分が熱硬化性樹脂層の外表面から露出していればよい。
<2-1-2.無機充填剤>
本発明においては、無機充填剤を熱硬化性樹脂層に含有させることができる。無機充填剤としては、ガラス粉体や、一般的に無機フィラーと呼ばれるものでシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、ほう砂、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム及びこれらの2以上の併用が例示される。これらの中でも、無機充填剤は、シリカ、酸化マグネシウムであることが好ましい。
無機充填剤の比表面積は、20m/g以上であることが好ましく、50m/g以上であることがより好ましい。比表面積の上限は特に制限はないが、入手容易性の観点から、500m/g以下であることが好ましい。比表面積は、不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法で求められる。
特に、無機充填剤が、比表面積100~300m/gのヒュームドシリカや酸化マグネシウムからなる場合には、熱硬化性樹脂が高粘度化されることにより、熱硬化性樹脂と強化繊維との接着性がより向上する。また、無機充填剤により熱硬化性樹脂の流動性が低下する為、熱硬化性樹脂が複合粒子の表面に浸出し難くなる。その結果、強化繊維の添加量が少ない場合においても複合粒子の流動性が確保される。
これらの無機充填剤は、熱硬化性樹脂100重量部に対し、好ましくは5~150重量部、より好ましくは10~100重量部混合される。これらの無機充填剤は、硬化前の熱硬化性樹脂液体原料に充分に分散させておくことが好ましい。
<2-1-3.熱硬化性樹脂粉末>
熱硬化性樹脂層には、常温において固体状ないし半固体状を示すBステージ状態にあるものを粉末状に粉砕したものを添加して、複合粒子の流動性を向上させることができる。このような、Bステージ状の熱硬化性樹脂粉末を用いた場合には、複合粒子の流動性を向上させることができる上、加熱した際にはペーパーコア材に含浸される熱硬化性の量を増加させることができる。この際、発泡粒子の表面側に熱硬化性樹脂粉末が偏在するように付着させることが好ましい。
<2-1-4.硬化剤>
熱硬化性樹脂層は、熱硬化性樹脂と反応して硬化物を生成し得る硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤としては、熱硬化性樹脂と反応して硬化し、硬化物を生成し得るものであれば特に制限されるものではない。例えばエポキシ樹脂の硬化剤として、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物等の酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のフェノール樹脂、無水フタル酸誘導体、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、アルミニウムキレート、BFのようなルイス酸のアミン錯体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上混合して用いられる。
熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル系樹脂を使用する場合は、硬化剤(重合開始剤)として過酸化物を用いることが好ましい。過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、パーオキシパーベンゾエート、パーオキシケタール、ジクミルパーオキシド等の有機過酸化物が好ましく用いられる。これらの過酸化物は単独で又は2以上の混合物として用いられる。過酸化物に加えて連鎖移動剤を使用してもよい。
硬化剤の添加量の下限は、熱硬化性樹脂を効率的に硬化させる観点から、熱硬化性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.3重量部以上である。そして、硬化剤の添加量の上限は、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
<2-1-5.その他の改質剤>
熱硬化性樹脂層は、本発明の目的を阻害しない範囲において、増量剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、防カビ剤、可塑剤、カップリング剤、電気伝導性フィラー、磁性体フィラー、熱伝導性フィラー、帯電防止剤、弾性微粒子等の改質剤を必要に応じて含有してもよい。特に難燃性を得るためには難燃剤を含有することが好ましい。
<2-1-6.複合粒子の組成>
複合粒子は、強化繊維の含有量が、複合粒子1個当たり、0.2mg~10mgであることが好ましい。上記範囲内であれば、複合粒子の流動性が向上するとともに、複合粒子から得られる硬化物の強度が優れるものとなる。上記観点から、該含有量は、0.5mg~8mgであることがより好ましく、1mg~5mgであることが更に好ましい。
(複合粒子の組成)
複合粒子は、発泡粒子の重量(X)に対する、熱硬化性樹脂層の重量の比が0.3~8であることが好ましい。該比は、より好ましくは0.5~7であり、更に好ましくは1~6である。上記範囲内であれば、複合粒子は発泡粒子部分と熱硬化性樹脂層部分とのバランスに優れ、発泡粒子の表面により均一な熱硬化性樹脂層を形成することができる。
また、複合粒子は、発泡粒子の重量(X)に対する、被覆している熱硬化性樹脂の重量(Y)の比(Y/X)が、0.3~3であることが好ましい。該比は、より好ましくは0.5~2.5であり、更に好ましくは0.6~2である。また、熱硬化性樹脂層に強化繊維が含まれている場合には、発泡粒子の重量(X)に対する強化繊維の重量(Z)の比(Z/X)は、0.1~8であることが好ましく、0.2~5であることがより好ましく、0.5~3であることが更に好ましい。上記範囲内であれば、複合粒子は発泡粒子からの強化繊維の脱落が発生し難く、均一に強化繊維が分散された熱硬化性樹脂硬化物となっても強度に更に優れるものとなる。
<2-1-7.複合粒子の製造方法>
上記の複合粒子は、具体的には、熱可塑性樹脂発泡粒子と未硬化状態の熱硬化性樹脂とが混合されることにより、発泡粒子が未硬化状態の熱硬化性樹脂で被覆された被覆物を形成する工程(1)を経ることにより作製することができる。さらに、複合粒子の流動性を向上させる工程(2)を経ることが好ましい。工程(2)は、発泡粒子を被覆している熱硬化性樹脂に強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末を付着させることにより、発泡粒子の表面に、強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末と未硬化状態の熱硬化性樹脂とを含む熱硬化性樹脂層が形成される工程である。以下、各工程について詳細に説明する。
工程(1)では、まず、熱硬化性樹脂と硬化剤(重合開始剤)とを撹拌等により混合することにより、熱硬化性樹脂と硬化剤(重合開始剤)とが均一に分散された、熱硬化性樹脂混合液が調製される。
次いで、発泡粒子と熱硬化性樹脂混合液とを混合、または発泡粒子に熱硬化性樹脂混合液を塗布する。そして、発泡粒子表面に熱硬化性樹脂混合液が被覆(コーティング)された被覆物が形成される。なお、発泡粒子と熱硬化性樹脂混合液との混合は、混合運動で発泡粒子の切断、破壊等を伴わないように、プロシェアミキサー、ヘンシェルミキサー等のバッチ型ミキサー、又はモーノポンプ、スクリューポンプ等の連続型ミキサーを用いて行うことが好ましい。なお、複合粒子の強度をさらに向上させたい場合などにおいては、熱硬化性樹脂に強化繊維が含有される。
工程(2)では、工程(1)で得られた被覆物と、強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末とが混合される。工程(1)で得られた被覆物において、発泡粒子表面に被覆された熱硬化性樹脂混合液は未硬化状態である。したがって、該被覆物と強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末とを混合することにより、発泡粒子表面に被覆された熱硬化性樹脂混合液に強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が付着する。そして、複合粒子の外表面側に、特に強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が多く含まれる熱硬化性樹脂層が形成される。
また、熱硬化性樹脂混合液で被覆された発泡粒子被覆物が形成された後に、強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が後工程で被覆物に付着されることが好ましい。このようにして、複合粒子の最表面に強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末を偏在させることができる。そして、複合粒子の流動性がより向上する。
なお、複合粒子は、最終的に、複合粒子の最表面において、強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末が多く含有されるように形成されることが好ましい。例えば、工程(1)と工程(2)が繰り返され、最終的に工程(2)を経て複合粒子が形成されることが好ましい。工程(1)と工程(2)が繰り返されることによって、熱硬化性樹脂層中の強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末は樹脂層の厚み方向中央部よりも該樹脂層の外表面側に多く存在し、さらに、複合粒子に含有される強化繊維、無機充填剤の粉末、又は半硬化状の熱硬化性樹脂粉末の含有量が調整可能となる。
<2-2.ペーパーコア材のセル中に複合粒子を充填する工程>
金型の底部にペーパーコア材を配置し、ペーパーコア材のセル中に複合粒子を充填する。金型の底部又は側面部にはバイブレータを配置して、バイブレータにて振動を発生させながらペーパーコア材のセル中に複合粒子を充填することが好ましい。特に、上記の複合粒子を用いた場合には、複合粒子の外表面側に、特に強化繊維が多く含まれる熱硬化性樹脂層が形成されているので、複合粒子の流動性が向上し、ペーパーコアのセル中の空隙率を低減することができる。
<2-3.加熱、圧縮工程>
複合粒子が充填されたペーパーコア材は、好ましくは0.3~2MPa、より好ましくは0.5~1MPaのプレス圧力で、ペーパーコア材の厚み方向に圧縮する。
複合粒子が充填された状態のペーパーコア材の厚み方向に十分に圧縮することで、セル壁におけるペーパーコア材の厚み方向に座屈部を形成させることができ、該座屈部の屈曲した凹凸部分に熱可塑性樹脂発泡粒子及び熱硬化性樹脂硬化物が食い込んだ形状で接着し、その結果として、複合成形体の強度が更に向上する。複合成形体の強度の観点からは、圧縮率は1.3~4倍であることが好ましく、1.5~3倍であることがより好ましい。
また、加熱、圧縮工程の順序は、加熱後に圧縮しても、圧縮後に加熱しても、加熱時に圧縮してもよいが、圧縮時に同時に加熱して、熱硬化性樹脂の流動性を向上させることが好ましい。ペーパーコア材に複合粒子を充填後に加熱工程が行われることで、複合粒子はセル中に速やかに充填される。上記観点から、加熱温度は100~140℃であることが好ましく、110~130℃であることがより好ましい。
特に、上記の加熱・圧縮工程により、複合粒子における熱硬化性樹脂層が流動性を有するようになり、且つペーパーコア材への接触が増えるので、ペーパーコア材に熱硬化性樹脂が含浸される。そして、複合成形体としての、ペーパーコア材に基づく繊維強化構造を形成することが可能となる。
<2-4.熱硬化性樹脂を硬化させる工程>
金型内を加熱して、ペーパーコア材と熱可塑性樹脂発泡粒子とが前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着し、熱可塑性発泡粒子同士が熱硬化性樹脂を介して接着した複合成形体を製造する。さらに、ペーパーコア材に含浸された熱硬化性樹脂が硬化して、ペーパーコア材による強化繊維構造を形成することができる。
未硬化状態の熱硬化性樹脂を加熱硬化させる工程は、80℃から450℃で行われればよく、100℃から150℃で行われることがより好ましい。未硬化状態の熱硬化性樹脂を完全に加熱硬化させて、Cステージ状態とすることで、点接着で接着している複合粒子同士の接着が強固になり、複合成形体の剛性を上げることができる。なお、「Cステージ状態」は、JIS K6900-1994で定義される。上記熱硬化性樹脂を硬化させる工程は、加熱、圧縮工程と同時に圧縮した状態で行うか、又は圧縮工程の後に行うことができるが、圧縮工程と同時に硬化させることが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されない。
(複合粒子の嵩密度)
複合粒子の嵩密度の測定は、一昼夜風乾させた複合粒子に対して行った。風乾後、複合粒子を1Lメスシリンダー内の1Lの標線位置まで充填して計量し、嵩体積1Lの複合粒子の重量WP(単位:g)を小数点第1位まで秤量した。そして、単位換算を行うことにより、嵩密度(単位:kg/m)を求めた。
(複合粒子の平均粒径)
光学顕微鏡にて各試料について複合粒子を観察し、複合粒子の長径及び短径を調べた。各試料について50個の複合粒子を観察した。そして、複合粒子の(長径+短径)/2の平均値より、複合粒子の平均粒径を求めた。
(熱硬化性樹脂層の厚み)
((各複合粒子(Bステージビーズ)の平均粒子径)-(原料の発泡粒子の平均粒子径))/2より、熱硬化性樹脂層の厚みを算出した。なお、上記平均粒子径は、走査型電子顕微鏡を使用して、各試料について発泡粒子、複合粒子を観察し、その長径を調べた。各試料について50個の粒子を観察し、その長径の平均値を平均粒子径とした。
(複合粒子の熱硬化性樹脂層の硬化状態)
複合粒子の熱硬化性樹脂の未硬化状態の確認方法は、JIS K7122-1987に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に準拠して、1~4mgの複合粒子を0℃から200℃まで、10℃/分で昇温してDSC曲線を得た。ここで熱硬化性樹脂層に由来する硬化発熱ピークが確認できたものは未硬化状態と判断した。
(熱硬化性樹脂層における強化繊維の含有割合)
複合粒子を精秤した後、ナイフなどで複合粒子を略2等分にカットし、断面を露出させた。次いで、PP製のビーカー(200mL)にカットしたビーズと1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学株式会社製の商品名「1,3-BAC」)を入れ、12時間、常温に放置してポリ乳酸部分を溶解させた。12時間後、複合粒子内部のポリ乳酸の発泡層が溶解していることを確認した。次いで、溶解せずに残留した熱硬化性樹脂層をピンセットで取り出し、シャーレの上にのせ、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンで洗浄を2回行なった。さらに、熱硬化性樹脂層をアセトン(関東化学株式会社製、鹿1級品)にて2回洗浄し、115℃、2時間の条件で減圧乾燥させた。上記方法により、発泡粒子の重量を測定した。さらに、乾燥後に取り出した、熱硬化性樹脂層の強化繊維含有率は、JIS K7075-1991 7-(2)(硝酸分解法)に準拠した方法で測定した。上記方法により、複合粒子中の、発泡粒子の重量と熱硬化性樹脂層の重量、熱硬化性樹脂層中の強化繊維の重量を算出した。上記の操作を複合粒子10個について測定し、その平均値を強化繊維の含有割合とした。したがって、複合粒子中の、発泡粒子の重量比率、熱硬化性樹脂の重量比率、及び強化繊維の重量比率が算出された。
また、発泡粒子がポリオレフィン系樹脂からなる場合には、140℃のキシレンにてポリオレフィン系樹脂の発泡層を溶解させた後、熱硬化性樹脂層について上記の方法を採用して同様の測定を行うことができる。
(使用した材料)
1.原料粒子(b)
b0:製造例1で得られた多層構造のポリ乳酸系樹脂粒子(結晶性PLA発泡粒子)、嵩密度:38kg/m、粒子重量:1.0mg
2.熱硬化性樹脂(r)
r1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、商品名「Epicron850」、エポキシ当量:190(g/eq.)
3.硬化剤(h)
h1:アミン系硬化剤、三菱ガス化学株式会社製、商品名「1,3-BAC」(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン)、活性水素当量:35.6(g/eq.)
h2:イミダゾール系硬化剤、四国化成株式会社製、商品名「2E4MZ」(2-エチル-4-メチルイミダゾール)
4.強化繊維(f)
f1:ガラス繊維(GF)、セントラル硝子株式会社製、商品名「ミルドファイバーEFK80-31/T」、平均長さ80μm、径13μm、L/D:6.2
5.ペーパーコア材(C)
C1:ペーパーコア材、新日本フエザーコア株式会社製、商品名「フェザーコア F-R」、外寸:400mm×200mm×60mm、空隙率:86%
C2:ペーパーコア材、新日本フエザーコア株式会社製、商品名「フェザーコア F-R」、外寸:400mm×200mm×50mm、空隙率:86%
C3:ペーパーコア材、新日本フエザーコア株式会社製、商品名「フェザーコア F-R」、外寸:400mm×200mm×75mm、空隙率:86%
C4:ペーパーコア材、新日本フエザーコア株式会社製、商品名「フェザーコア F-R」、外寸:400mm×200mm×30mm、空隙率:86%
製造例1
<ポリ乳酸(PLA)系樹脂発泡粒子の製造>
脂肪族ポリエステル樹脂の発泡粒子として多層構造のポリ乳酸系樹脂粒子b0を特許文献1に記載の方法で作製した。
芯層;結晶性ポリ乳酸樹脂:ユニチカ株式会社製「テラマックTP-4000E」(融点:163℃、MFR(190℃/2.16kgf):4.6g/10min、ビカット軟化温度:157℃)
被覆層;低結晶性ポリ乳酸樹脂:ユニチカ株式会社製「テラマックTP-4001E」(融点:なし、MFR(190℃/2.16kgf):6.0g/10min、ビカット軟化温度58℃)
複合粒子の製造に用いられる発泡粒子b0は、多層構造の発泡粒子であり、嵩密度38kg/m、平均粒径4mm、粒子重量1.0mgの特性を有するものであった。
製造例2
(複合粒子の製造)
内容積が200mLのポリプロピレン製ビーカーに、それぞれ表1に示す量で、熱硬化性樹脂r1(エポキシ樹脂、DIC株式会社製の商品名「Epicron850」)、アミン系硬化剤h1(1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、三菱ガス化学株式会社製、商品名「1,3-BAC」)、イミダゾール系硬化剤h2(2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成株式会社製、商品名「2E4MZ」)、を混合し、樹脂混合液を得た。
次いで、最大内容積が約20Lのポリエチレン製袋に、表1に示す量の製造例1で得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子b0を投入し、樹脂混合液を投入し、発泡粒子の表面が樹脂混合液で均一に塗布されるように混合した。
次いで、表1に示す量のガラス繊維f1(セントラル硝子株式会社製、商品名「ミルドファイバーEFK80-31/T」平均長さ80μm、径13μm、L/D:6.2)を2回に分割して、ポリエチレン製袋に投入して混合した。得られた粒子状物を、目開き2mmの金属製のメッシュ(東京スクリーン株式会社製)を用いて、粒子に付着しなかったガラス繊維を除去した。以上の操作により、粒子状の複合粒子b1を得た。
実施例1
縦200mm×横400mm×深さ60mmのアルミ製の金型にペーパーコア材C1(厚み:60mm、セルサイズ10.5mm、密度33kg/m)を挿入した。ペーパーコア材が挿入された金型の側面または底面にポータブルバイブレーター(株式会社タムラインターメーション製、型式:「GT-4PV」)を取り付けた。
次いで、製造例2で得られた複合粒子b1を、ペーパーコア材が挿入された金型にポータブルバイブレーターで振動を発生させながら充填させた。充填後、上型を載せ厚み方向に50%(2倍)圧縮した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後冷却のために、温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体1(厚み:30mm)を得た。
複合成形体1は、ペーパーコア材のセル内に熱可塑性樹脂発泡粒子が平均140個充填されていた。また、複合成形体の表面側断面部における、発泡粒子部分の面積(Pb1)に対するセル壁部分の面積(Pw1)の比S(Pw1/Pb1)は0.05であり、複合成形体の中心断面部における比C(Pw2/Pb2)も0.05であった。これは、複合粒子が、セルの中心部まで均一に充填されていることを示している。したがって、比(S/C)は1であった。
実施例2
実施例1に対して、ペーパーコア材C1をペーパーコア材C2(厚み:50mm)に変更し、ヒートプレス時の圧縮率を2.5倍として複合成形体の厚みを20mmとした以外は、実施例1と同様にして複合成形体2を作製した。なお、発泡粒子部分の面積(Pb1)に対するセル壁部分の面積(Pw1)の比S(Pw1/Pb1)は0.05であり、複合成形体の中心断面部における比C(Pw2/Pb2)は0.055であった。したがって、比(S/C)は0.91であった。
実施例3
実施例1に対して、縦200mm×横400mm×深さ75mmのアルミ製の金型に変更し、ペーパーコア材C1をペーパーコア材C3(厚み:75mm)に変更した以外は、実施例2と同様にして複合成形体3(厚み:30mm)を作製した。なお、発泡粒子部分の面積(Pb1)に対するセル壁部分の面積(Pw1)の比S(Pw1/Pb1)は0.05であり、複合成形体の中心断面部における比C(Pw2/Pb2)は0.055であった。したがって、比(S/C)は0.91であった。
比較例1
縦200mm×横400mm×深さ60mmのアルミ製の金型に製造例2で得られた複合粒子b1を、充填させた。充填後、上型を載せ厚み方向に50%圧縮した後、130℃で10分間の加熱処理(ヒートプレス)を行った。ヒートプレス後冷却のために、温度15℃でコールドプレスを5分間行い、脱型後、複合成形体4(厚み:30mm)を得た。
比較例2
複合粒子をペーパーコア材に充填しない以外は、実施例1と同様にして、複合成形体5(厚み:30mm)を得た。
比較例3
縦200mm×横400mm×深さ30mmのアルミ製の金型にペーパーコア材C4(厚み:30mm)を挿入した。ペーパーコア材が挿入された金型の側面または底面にポータブルバイブレーター(株式会社タムラインターメーション製、型式:「GT-4PV」)を取り付けた。
次いで、製造例2で得られた複合粒子b1を、ペーパーコア材が挿入された金型にポータブルバイブレーターで振動を発生させながら充填させた。充填後、130℃で10分間の加熱処理を行った。温度15℃で5分間冷却を行い、脱型後、複合成形体6(厚み:30mm)を得た。
[複合成形体の評価]
(3点曲げ試験)
複合成型体は、JIS K7171:2006に準拠して、具体的には以下の方法で1.0mmたわみ曲げ荷重、最大降伏点荷重を測定した。
まず、各成形体から幅50mm×長さ400mm×厚み27.5mmの試験片をとなるように切り出した。なお、試験片厚みが上記範囲未満の場合には、成形体厚みの試験片とした。切り出した試験片は、室温23℃、湿度50%の恒室内で試験片を24時間以上放置した後、支点間距離300mm、圧子の半径R5.0mm、支持台の半径R2.0mm、試験速度5mm/min、室温23℃、湿度50%の条件で、(株)島津製作所製の卓上形精密万能試験機「オートグラフAGS-10kNG」によりたわみ-曲げ荷重カーブ(SSカーブ)を測定した。
前記SSカーブのたわみ量1.0mmの時の荷重(1.0mmたわみ荷重(N))を測定し、5点以上の測定値の平均値を測定結果として採用した。
(複合粒子成形体の密度)
サンプルの外形寸法より体積H(リットル)を求め、サンプルの重量W(単位:g)を体積Hで除した値を、単位換算を行うことにより、サンプルの密度(単位:kg/m)とした。
(座屈部の有無)
サンプルを厚み方向に切断し、切断面を目視観察して、ペーパーコア材のセル壁における座屈部の有無を調べた。
(熱硬化性樹脂の含浸の有無)
ペーパーコア材のセル壁への熱硬化性樹脂の含浸の有無について、以下の基準で評価した。
含浸あり;ペーパーコア材のセル壁部分の硬度が、未含浸の場合に比べて、セル壁全体にわたって向上している
微量に含浸;ペーパーコア材のセル壁部分の硬度が、未含浸の場合に比べて、セル壁の一部のみ向上している
含浸無し;ペーパーコア材のセル壁部分の硬度が、未含浸の場合に比べて、変化しない
複合成形体の物性結果を表2に示す。
実施例1~3の複合成形体は、比較例1~3と比べて曲げ強度が大幅に向上していることがわかる。

Claims (6)

  1. セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなるペーパーコア材と、熱可塑性樹脂発泡粒子と、熱硬化性樹脂の硬化物とを備える複合成形体であって、前記セル中に熱可塑性樹脂発泡粒子群が充填されており、前記ペーパーコア材と前記熱可塑性樹脂発泡粒子とが前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着し、前記熱可塑性発泡粒子同士が前記熱硬化性樹脂の硬化物を介して接着しており、前記セル壁がペーパーコア材の厚み方向に座屈部を有し、前記ペーパーコア材に前記熱硬化性樹脂が含浸し、硬化している、複合成形体。
  2. 前記熱可塑性樹脂発泡粒子の平均粒径が1~10mmである、請求項1に記載の複合成形体。
  3. 前記セル1つ当たりの開口面積が1~20cmである、請求項1又は2に記載の複合成形体。
  4. 前記熱可塑性樹脂発泡粒子を構成する熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である、請求項1~3のいずれか1つに記載の複合成形体。
  5. 前記複合成形体の厚み方向表面側断面における、前記熱可塑性樹脂発泡粒子部分の面積(Pb1)に対する前記セル壁部分の面積(Pw1)の比(Pw1/Pb1)をSとし、前記複合成形体の厚み方向中心断面における、前記熱可塑性樹脂発泡粒子部分の面積(Pb2)に対する前記セル壁部分の面積(Pw2)の比(Pw2/Pb2)をCとしたとき、前記Sの値が0.03~0.1であり、前記Cに対する前記Sの比(S/C)が0.8~1.1である、請求項1~4のいずれか1つに記載の複合成形体。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の複合成形体の製造方法であって、
    セル壁により区画されかつ厚み方向の少なくとも一方に開口する多数の中空セルの集合体からなるペーパーコア材のセル中に、熱可塑性樹脂発泡粒子の表面に未硬化状態の熱硬化性樹脂が付着した発泡粒子を充填する工程、及び
    前記熱可塑性樹脂発泡粒子が充填されたペーパーコア材を、該ペーパーコア材の厚み方向に加熱、圧縮して、前記熱硬化性樹脂を硬化させる工程
    を含む、複合成形体の製造方法。
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