JP7512845B2 - 銅合金、銅合金塑性加工材、電子・電気機器用部品、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板 - Google Patents
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Description
ここで、電子機器や電気機器等の大電流化にともない、電流密度の低減およびジュール発熱による熱の拡散のために、これら電子機器や電気機器等に使用される電子・電気機器用部品においては、導電率に優れた無酸素銅等の純銅材が適用されている。
しかしながら、純銅材においては、高温での硬度低下のしにくさを表す耐熱性が不十分であり、高温環境下での使用ができないといった問題があった。
そこで、特許文献1には、Mgを0.005mass%以上0.1mass%未満の範囲で含む銅圧延板が開示されている。
また、上述の電子・電気機器用部品は、エンジンルーム等の高温環境下で使用されることが多く、電子・電気機器用部品を構成する銅材においては、従来にも増して耐熱性を向上させる必要がある。
さらに、粒界における小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率を規定することで強度が向上するとの知見を得た。
LLB/(LLB+LHB)>20%
の関係を有することを特徴としている。
そして、小傾角粒界およびサブグレインバウンダリーの長さをLLB、大傾角粒界の長さをLHBとしたときに、LLB/(LLB+LHB)>20%の関係を有しているので、転位密度の増加に伴う加工硬化により、強度(耐力)を向上させることが可能となる。
この場合、Agを上述の範囲で含有しているので、Agが粒界近傍に偏析し、粒界拡散が抑制され、耐応力緩和特性をさらに向上させることが可能となる。
この場合、圧延方向に平行な方向における引張強度が十分に高く、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
この場合、半軟化温度が200℃以とされているので、耐熱性に十分に優れており、高温環境下でも安定して使用することができる。
この構成の銅合金塑性加工材によれば、上述の銅合金で構成されていることから、導電性、強度、耐熱性に優れており、大電流用途、高温環境下で使用される端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。なお、本発明の銅合金塑性加工材としては、例えば、板条材、断面異形条材、棒材、線材、管材等が挙げられる。断面異形条材は、長手方向に直交する断面において、その厚さが幅方向で異なるような断面形状としたものを含む。
この場合、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であることから、この銅合金塑性加工材(圧延板)に対して打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品を成形することができる。
この場合、表面にSnめっき層又はAgめっき層を有しているので、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。なお、本発明において、「Snめっき」は、純Snめっき又はSn合金めっきを含み、「Agめっき」は、純Agめっき又はAg合金めっきを含む。
この構成の電子・電気機器用部品は、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
この構成の端子は、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
この構成のバスバーは、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
この構成のリードフレームは、上述の銅合金塑性加工材を用いて製造されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
この構成の放熱基板は、上述の銅合金を用いて作製されているので、大電流用途、高温環境下においても、優れた特性を発揮することができる。
本実施形態である銅合金は、Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされている。
なお、本実施形態である銅合金においては、Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内であってもよい。
そして、本実施形態である銅合金においては、EBSD法により10000μm2以上の測定面積を、0.25μmの測定間隔のステップでCI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間を結晶粒界とし、Area Fractionにより平均粒径Aを求め、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で10000μm2以上となる測定面積で、データ解析ソフトOIMにより解析されたCI値が0.1以下である測定点を除いて解析し、隣接する測定点間の方位差が2°以上15°以下となる測定点間である小傾角粒界およびサブグレインバウンダリーの長さをLLB、隣接する測定点間の方位差が15°を超える測定点間である大傾角粒界の長さをLHBとしたときに、LLB/(LLB+LHB)>20%の関係を有している。
また、本実施形態である銅合金においては、半軟化温度が200℃以上であることが好ましい。
Mgは、銅の母相中に固溶することで、導電率を大きく低下させることなく、強度および耐熱性を向上させる作用効果を有する元素である。また、Mgを母相中に固溶させることにより、耐応力緩和特性が向上することになる。
ここで、Mgの含有量が10massppm以下の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることができなくなるおそれがある。一方、Mgの含有量が100massppm以上の場合には、導電率が低下するおそれがある。
以上のことから、本実施形態では、Mgの含有量を10massppm超え100massppm未満の範囲内に設定している。
また、導電率の低下をさらに抑制するためには、Mgの含有量の上限を90massppm未満とすることが好ましく、80massppm未満とすることがさらに好ましく、70massppm未満とすることがより好ましい。
上述のS,P,Se,Te,Sb,Bi,Asといった元素は、一般的に銅合金に混入しやすい元素である。そして、これらの元素は、Mgと反応し化合物を形成しやすく、微量添加したMgの固溶効果を低減するおそれがある。このため、これらの元素の含有量は厳しく制御する必要がある。
そこで、本実施形態においては、Sの含有量を10massppm以下、Pの含有量を10massppm以下、Seの含有量を5massppm以下、Teの含有量を5massppm以下、Sbの含有量を5massppm以下、Biの含有量を5masppm以下、Asの含有量を5masppm以下に制限している。
さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を30massppm以下に制限している。
Pの含有量は、6massppm以下であることが好ましく、3massppm以下であることがさらに好ましい。
Seの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
Teの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
Sbの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
Biの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
Asの含有量は、4massppm以下であることが好ましく、2massppm以下であることがさらに好ましい。
さらに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量は、24massppm以下であることが好ましく、18massppm以下であることがさらに好ましい。
上述のように、S,P,Se,Te,Sb,Bi,Asといった元素は、Mgと反応して化合物を形成しやすいことから、本実施形態においては、Mgの含有量と、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量との比を規定することで、Mgの存在形態を制御している。
Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が50を超えると、銅中にMgが過剰に固溶状態で存在しており、導電率が低下するおそれがある。一方、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6未満では、Mgが十分に固溶しておらず、耐熱性および耐応力緩和特性が十分に向上しないおそれがある。
よって、本実施形態では、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕を0.6以上50以下の範囲内に設定している。
また、耐熱性および耐応力緩和特性をさらに向上させるためには、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕の下限を0.8以上とすることが好ましく、1.0以上とすることがさらに好ましい。
Agは、250℃以下の通常の電子・電気機器の使用温度範囲ではほとんどCuの母相中に固溶することができない。このため、銅中に微量に添加されたAgは、粒界近傍に偏析することとなる。これにより粒界での原子の移動は妨げられ、粒界拡散が抑制されるため、耐熱性と耐応力緩和特性が向上することになる。
ここで、Agの含有量が5massppm以上の場合には、その作用効果を十分に奏功せしめることが可能となる。一方、Agの含有量が20massppm以下である場合には、導電率が確保されるとともに製造コストの増加を抑制することができる。
以上のことから、本実施形態では、Agの含有量を5massppm以上20massppm以下の範囲内に設定している。
また、Agを意図的に含まずに不純物として含む場合には、Agの含有量が5massppm未満であってもよい。
上述した元素以外のその他の不可避的不純物としては、Al,B,Ba,Be,Ca,Cd,Cr,Sc,希土類元素,V,Nb,Ta,Mo,Ni,W,Mn,Re,Ru,Sr,Ti,Os,Co,Rh,Ir,Pb,Pd,Pt,Au,Zn,Zr,Hf,Hg,Ga,In,Ge,Y,Tl,N,Si,Sn,Li等が挙げられる。これらの不可避不純物は、特性に影響を与えない範囲で含有されていてもよい。
ここで、これらの不可避不純物は、導電率を低下させるおそれがあることから、総量で0.1mass%以下とすることが好ましく、0.05mass%以下とすることがさらに好ましく、0.03mass%以下とすることがより好ましく、さらには0.01mass%以下とすることが好ましい。
また、これらの不可避不純物のそれぞれの含有量の上限は、10massppm以下とすることが好ましく、5massppm以下とすることがさらに好ましく、2massppm以下とすることがより好ましい。
粒界において、小傾角粒界およびサブグレインバウンダリーは加工時に導入された転位の密度が高い領域であるため、全粒界中の小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率LLB/(LLB+LHB)が20%を超えるように組織制御することで、転位密度の増加に伴う加工硬化により、強度(耐力)を向上させることが可能となる。
本実施形態である銅合金においては、導電率が97%IACS以上とされている。導電率を97%IACS以上とすることにより、通電時の発熱を抑えて、純銅材の代替として端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品として良好に使用することが可能となる。
なお、導電率は97.5%IACS以上であることが好ましく、98.0%IACS以上であることがさらに好ましく、98.5%IACS以上であることがより好ましく、99.0%IACS以上であることがより一層好ましい。
本実施形態である銅合金において、圧延方向に平行な方向における引張強度が200MPa以上である場合には、端子、バスバー、リードフレーム等の電子・電気機器用部品の素材として特に適するものとなる。なお、特に圧延方向に平行な方向における引張強度の上限は定めないが、コイル巻きされた条材を用いる際のコイルの巻き癖による生産性低下を回避するため、圧延方向に平行な方向における引張強度は500MPa以下とすることが好ましい。
なお、圧延方向に平行な方向における引張強度の下限は、275MPa以上であることがさらに好ましく、300MPa以上であることがより好ましい。
本実施形態である銅合金において、半軟化温度が高い場合には、高温でも銅材の回復、再結晶による軟化現象が起きにくいことから、高温環境下で使用される通電部材への適用が可能となる。
このため、本実施形態においては、1時間の熱処理での半軟化温度が200℃以上とされていることが好ましい。本実施形態では、半軟化温度は、ビッカース硬度を測定することにより評価した。
なお、1時間の熱処理での半軟化温度は、225℃以上であることがさらに好ましく、250℃以上であることがより好ましく、275℃以上であることが一層好ましい。
まず、銅原料を溶解して得られた銅溶湯に、前述の元素を添加して成分調整を行い、銅合金溶湯を製出する。なお、各種元素の添加には、元素単体や母合金等を用いることができる。また、上述の元素を含む原料を銅原料とともに溶解してもよい。また、本合金のリサイクル材およびスクラップ材を用いてもよい。
ここで、銅原料は、純度が99.99mass%以上とされたいわゆる4NCu、あるいは99.999mass%以上とされたいわゆる5NCuとすることが好ましい。
そして、成分調整された銅合金溶湯を鋳型に注入して鋳塊を製出する。なお、量産を考慮した場合には、連続鋳造法または半連続鋳造法を用いることが好ましい。
次に、得られた鋳塊の均質化および溶体化のために加熱処理を行う。鋳塊の内部には、凝固の過程においてMgが偏析で濃縮することにより発生したCuとMgを主成分とする金属間化合物等が存在することがある。そこで、これらの偏析および金属間化合物等を消失または低減させるために、鋳塊を300℃以上1080℃以下にまで加熱する加熱処理を行うことで、鋳塊内において、Mgを均質に拡散させたり、Mgを母相中に固溶させたりする。なお、この均質化/溶体化工程S02は、非酸化性または還元性雰囲気中で実施することが好ましい。
なお、後述する粗圧延の効率化と組織の均一化のために、前述の均質化/溶体化工程S02の後に熱間加工を実施してもよい。この場合、加工方法に特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。また、熱間加工温度は、300℃以上1080℃以下の範囲内とすることが好ましい。
所定の形状に加工するために、粗加工を行う。なお、この粗加工工程S03における温度条件は特に限定はないが、再結晶を抑制するために、あるいは寸法精度の向上のため、冷間または温間圧延となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。加工率については、20%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。また、加工方法については、特に限定はなく、例えば圧延、引抜、押出、溝圧延、鍛造、プレス等を採用することができる。
粗加工工程S03後に、再結晶組織にするために熱処理を実施する。なお、中間熱処理工程S04と後述する上前加工工程S05を繰り返し実施してもよい。
ここで、この中間熱処理工程S04が実質的に最後の再結晶熱処理となるため、この工程で得られた再結晶組織の結晶粒径は最終的な結晶粒径にほぼ等しくなる。そのため、この中間熱処理工程S04では、平均結晶粒径が5μm以上となるように、適宜、熱処理条件を選定することが好ましい。例えば700℃では1秒から120秒程度保持することが好ましい。
中間熱処理工程S04後の銅素材を所定の形状に加工するため、上前加工を行う。なお、この上前加工工程S05における温度条件は特に限定はないが、加工時の再結晶を抑制するため、または軟化を抑制するために冷間、または温間加工となる-200℃から200℃の範囲内とすることが好ましく、特に常温が好ましい。
また、加工率は、最終形状に近似するように適宜選択されることになるが、上前加工工程S05において小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率を高め、加工硬化によって強度を向上させるためには、加工率を10%以上とすることが好ましい。また、さらなる強度の向上を図る場合には、加工率を15%以上とすることがより好ましく、加工率を20%以上とすることがさらに好ましい。一方、小傾角粒界およびサブグレインバウンダリーの過剰な増加による曲げ加工性の劣化を抑制させるため、加工率を95%以下とすることが好ましく、加工率を90%以下とすることがより好ましい。なお、一般に加工率は、圧延や伸線の減面率である。
上前加工工程S05後に、機械的表面処理を行う。機械的表面処理は、所望の形状がほぼ得られた後に表面近傍に圧縮応力を与える処理であり、耐応力緩和特性を向上させる効果がある。
機械的表面処理は、ショットピーニング処理、ブラスト処理、ラッピング処理、ポリッシング処理、バフ研磨、グラインダー研磨、サンドペーパー研磨、テンションレベラー処理、1パス当りの圧下率が低い軽圧延(1パス当たりの圧下率1~10%とし3回以上繰り返す)など一般的に使用される種々の方法が使用できる。
Mgを添加した銅合金に、この機械的表面処理を加えることで、耐応力緩和特性が大きく向上することになる。
次に、機械的表面処理工程S06によって得られた塑性加工材に対して、含有元素の粒界への偏析および残留ひずみの除去のため、仕上熱処理を実施してもよい。
この際、熱処理温度が高すぎると小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率LLB/(LLB+LHB)が大きく低下することから、熱処理温度は、100℃以上800℃以下の範囲内とすることが好ましい。なお、この仕上熱処理工程S07においては、再結晶による強度の大幅な低下を避けるように、熱処理条件を設定する必要がある。例えば450℃では0.1秒から10秒程度保持、250℃では1分から100時間とすることが好ましい。この熱処理は、非酸化雰囲気または還元性雰囲気中で行うことが好ましい。熱処理の方法は特に限定はないが、製造コスト低減の効果から、連続焼鈍炉による短時間の熱処理が好ましい。
さらに、上述の上前加工工程S05、機械的表面処理工程S06、仕上熱処理工程S07を、繰り返し実施してもよい。
ここで、銅合金塑性加工材の板厚を0.1mm以上とした場合には、大電流用途での導体としての使用に適している。また、銅合金塑性加工材の板厚を10.0mm以下とすることにより、プレス機の荷重の増大を抑制し、単位時間あたりの生産性を確保することができ、製造コストを抑えることができる。
このため、銅合金塑性加工材(銅合金圧延材)の板厚は0.1mm以上10.0mm以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、銅合金塑性加工材(銅合金圧延材)の板厚の下限は0.5mm以上とすることが好ましく、1.0mm以上とすることがより好ましい。一方、銅合金塑性加工材(銅合金圧延材)の板厚の上限は9.0mm未満とすることが好ましく、8.0mm未満とすることがより好ましい。
よって、本実施形態の銅合金によれば、導電率を97%IACS以上とすることができ、高い導電率と優れた耐熱性とを両立することが可能となる。
よって、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
さらに、本実施形態において、半軟化温度が200℃以とされている場合には、耐熱性に十分に優れており、高温環境下でも安定して使用することができる。
また、本実施形態である銅合金塑性加工材を、厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板とした場合には、銅合金塑性加工材(圧延板)に対して打ち抜き加工や曲げ加工を施すことで、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品を比較的容易に成形することができる。
なお、本実施形態である銅合金塑性加工材の表面にSnめっき層又はAgめっき層を形成した場合には、端子、バスバー、リードフレーム、放熱基板等の電子・電気機器用部品の素材として特に適している。
例えば、上述の実施形態では、銅合金(銅合金塑性加工材)の製造方法の一例について説明したが、銅合金の製造方法は、実施形態に記載したものに限定されることはなく、既存の製造方法を適宜選択して製造してもよい。
帯溶融精製法により、純度99.999mass%以上の純銅からなる原料を高純度グラファイト坩堝内に装入して、Arガス雰囲気とされた雰囲気炉内において高周波溶解した。
その後、適宜最終厚みになる様に厚みを調整して切断を行った。切断されたそれぞれの試料は表3,4に記載の条件で粗圧延を行った後、再結晶により結晶粒径が30μm程度となる条件で中間熱処理を実施した。
そして、これらの試料に表3,4に記載された手法で機械的表面処理工程を施した。
なお、サンドペーパー研磨は♯320の研磨紙を用いて行った。
ラッピング処理は、アルミナ系の砥粒を用い、鋳鉄のラップを使用して実施した。
ショットピーニング処理は直径0.1mmのステンレスのショットを用い、投射速度5m/秒、投射時間10秒で実施した。
その後、表3,4に記載の条件で仕上熱処理を行い、それぞれ表3,4に記載された厚さ×幅約60mmの条材を製出した。
得られた鋳塊から測定試料を採取し、Mgは誘導結合プラズマ発光分光分析法で、その他の元素はグロー放電質量分析装置(GD-MS)を用いて測定した。なお、測定は試料中央部と幅方向端部の2カ所で測定を行い、含有量の多い方をそのサンプルの含有量とした。その結果、表1,2に示す成分組成であることを確認した。
特性評価用条材から幅10mm×長さ60mmの試験片を採取し、4端子法によって電気抵抗を求めた。また、マイクロメータを用いて試験片の寸法測定を行い、試験片の体積を算出した。そして、測定した電気抵抗値と体積とから、導電率を算出した。なお、試験片は、その長手方向が特性評価用条材の圧延方向に対して平行になるように採取した。評価結果を表3,4に示す。
圧延面、すなわちND面(Normal direction)を観察面として、EBSD測定装置及びOIM解析ソフトによって、次のように小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率を求めた。
耐水研磨紙、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨を行った後、コロイダルシリカ溶液を用いて仕上げ研磨を行った。そして、EBSD測定装置(FEI社製Quanta FEG 450,EDAX/TSL社製(現 AMETEK社) OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社製(現 AMETEK社)OIM Data Analysis ver.7.3.1)によって、電子線の加速電圧15kV、10000μm2以上の測定面積を、0.25μmの測定間隔のステップでCI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間を結晶粒界とし、データ解析ソフトOIMを用いてArea Fractionによる平均粒径Aを求めた。その後、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で10000μm2以上となる測定面積で、データ解析ソフトOIMにより解析されたCI値が0.1以下である測定点を除いて解析し、隣接する測定点間の方位差が2°以上15°以下となる測定点間を小傾角粒界およびサブグレインバウンダリーとし、その長さをLLB、15°を超える測定点間を大傾角粒界としその長さをLHBとすることで、全粒界における小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率LLB/(LLB+LHB)を求めた。
耐応力緩和特性試験は、日本伸銅協会技術標準JCBA-T309:2004に準拠し、片持はりねじ式に準じた方法によって応力を負荷し、150℃の温度で1000時間保持後の残留応力率を測定した。評価結果を表3,4に示す。
試験方法としては、各特性評価用条材から圧延方向に対して平行な方向に試験片(幅10mm)を採取し、試験片の表面最大応力が耐力の80%となるよう、初期たわみ変位を2mmと設定し、スパン長さを調整した。上記表面最大応力は次式で定められる。
表面最大応力(MPa)=1.5Etδ0/Ls 2
ただし、
E:ヤング率(MPa)
t:試料の厚さ(mm)
δ0:初期たわみ変位(mm)
Ls:スパン長さ(mm)
である。
150℃の温度で、1000時間保持後の曲げ癖から、残留応力率を測定し、耐応力緩和特性を評価した。なお残留応力率は次式を用いて算出した。
残留応力率(%)=(1-δt/δ0)×100
ただし、
δt:150℃で1000時間保持後の永久たわみ変位(mm)-常温で24時間保持後の永久たわみ変位(mm)
δ0:初期たわみ変位(mm)
である。
特性評価用条材からJIS Z 2241に規定される13B号試験片を採取し、JIS Z 2241のオフセット法により、引張強度を測定した。なお、試験片は、圧延方向に平行な方向で採取した。評価結果を表3,4に示す。
JIS-Z2244に規定されているマイクロビッカース硬さ試験方法に準拠し、特性評価用条材の表面すなわちND面(Normal Direction)で試験加重0.98Nでビッカース硬度を測定した。評価結果を表3,4に示す。
半軟化温度は日本伸銅協会のJCBA T325:2013に準拠して、1時間の熱処理でのビッカース硬度による等時軟化曲線を取得することで評価した。なお、ビッカース硬度の測定面は圧延面とした。評価結果を表3,4に示す。
比較例2は、Mgの含有量が本発明の範囲を超えており、導電率が低くなった。
比較例3は、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppmを超えており、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。また、半軟化温度が低く、耐熱性が不十分であった。
比較例4は、質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6未満であり、残留応力率が低く、耐応力緩和特性が不十分であった。また、半軟化温度が低く、耐熱性が不十分であった。
比較例5は、小傾角粒界およびサブグレインバウンダリー長さ比率:LLB/(LLB+LHB)が本発明の範囲よりも低いため、引張強度、硬度が低くなった。
以上のことから、本発明例によれば、高い導電率、強度、優れた耐熱性を有するとともに強度と耐応力緩和特性を両立することができる銅合金を提供可能であることが確認された。
Claims (12)
- Mgの含有量が10massppm超え100massppm未満の範囲内、残部がCu及び不可避不純物とした組成を有し、前記不可避不純物のうち、Sの含有量が10massppm以下、Pの含有量が10massppm以下、Seの含有量が5massppm以下、Teの含有量が5massppm以下、Sbの含有量が5massppm以下、Biの含有量が5masppm以下、Asの含有量が5masppm以下とされるとともに、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量が30massppm以下とされており、
Mgの含有量を〔Mg〕とし、SとPとSeとTeとSbとBiとAsの合計含有量を〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕とした場合に、これらの質量比〔Mg〕/〔S+P+Se+Te+Sb+Bi+As〕が0.6以上50以下の範囲内とされており、
導電率が97%IACS以上とされ、
EBSD法により、10000μm2以上の測定面積を、0.25μmの測定間隔のステップでCI値が0.1以下である測定点を除いて、各結晶粒の方位差の解析を行い、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間を結晶粒界とし、Area Fractionにより平均粒径Aを求め、平均粒径Aの10分の1以下となる測定間隔のステップで測定して、総数1000個以上の結晶粒が含まれるように、複数視野で10000μm2以上となる測定面積で、データ解析ソフトOIMにより解析されたCI値が0.1以下である測定点を除いて解析し、隣接する測定点間の方位差が2°以上15°以下となる測定点間である小傾角粒界およびサブグレインバウンダリーの長さをLLB、隣接する測定点間の方位差が15°を超える測定点間である大傾角粒界の長さをLHBとしたときに、
LLB/(LLB+LHB)>20%
の関係を有することを特徴とする銅合金。 - Agの含有量が5massppm以上20massppm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の銅合金。
- 圧延方向に平行な方向における引張強度が200MPa以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅合金。
- 半軟化温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の銅合金。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の銅合金からなることを特徴とする銅合金塑性加工材。
- 厚さが0.1mm以上10mm以下の範囲内の圧延板であることを特徴とする請求項5に記載の銅合金塑性加工材。
- 表面にSnめっき層又はAgめっき層を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の銅合金塑性加工材。
- 請求項5から請求項7のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とする電子・電気機器用部品。
- 請求項5から請求項7のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とする端子。
- 請求項5から請求項7のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とするバスバー。
- 請求項5から請求項7のいずれか一項に記載された銅合金塑性加工材からなることを特徴とするリードフレーム。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された銅合金を用いて作製されたことを特徴とする放熱基板。
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