JP7513059B2 - リチウムイオン伝導体、及び、リチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
<態様1>
リチウムイオン伝導体であって、第1化合物及び第2化合物を含み、
前記第1化合物が、LiGaX4(Xは1種以上のハロゲンである)で示される複合ハロゲン化物であり、
前記第2化合物が、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであり、
前記第1化合物と前記第2化合物との合計に占める前記第2化合物の割合が、0mol%超30mol%以下である、
リチウムイオン伝導体。
<態様2>
前記複合ハロゲン化物が、Brを含む、
態様1のリチウムイオン伝導体。
<態様3>
リチウムイオン電池であって、正極、電解質層及び負極を有し、
前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つが、態様1又は2のリチウムイオン伝導体を含む、
リチウムイオン電池。
<態様4>
前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つが、前記リチウムイオン伝導体と、硫化物固体電解質とを含む、
態様3のリチウムイオン電池。
本開示のリチウムイオン伝導体は、第1化合物及び第2化合物を含む。前記第1化合物は、LiGaX4(Xは1種以上のハロゲンである)で示される複合ハロゲン化物である。前記第2化合物は、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TBATFSI(TBATFSAという場合もある))である。前記第1化合物と前記第2化合物との合計に占める前記第2化合物の割合は、0mol%超30mol%以下である。
本発明者の新たな知見によると、LiGaX4で示される複合ハロゲン化物は、加圧状態において室温でも界面抵抗が消失又は低下する「室温焼結機構」が働き、イオン伝導度が徐々に向上する性質を有する。一方で、リチウムイオン伝導体が各種の電気化学デバイスに適用された場合、当該リチウムイオン伝導体は少なからず加圧された状態となり得る。そのため、本開示のリチウムイオン伝導体は、各種の電気化学デバイスにおいて、高いイオン伝導性を発揮し易い。また、当該複合ハロゲン化物は、比較的軟質であるため、周囲の材料の変形等に追従し得る。すなわち、材料の変形や割れ等によって生じた隙間が、本開示のリチウムイオン伝導体によって埋められ、イオン伝導パスの途切れ等が生じ難い。
(1)上記の複合ハロゲン化物が、Brを含む。
(2)上記の複合ハロゲン化物が、Clを含む。
(3)上記の複合ハロゲン化物が、複数種類のハロゲンを含む。
(4)上記の複合ハロゲン化物が、Br及びClを含む。
(5)上記の複合ハロゲン化物が、Br及びIを含む。
本開示のリチウムイオン伝導体は、上記の複合ハロゲン化物(第1化合物)とともにTBATFSI(第2化合物)を含む。ここで、第1化合物と第2化合物との合計(100mol%)に占める第2化合物の割合は、0mol%超30mol%以下である。言い換えれば、[第2化合物の量(mol)]/[第1化合物の量(mol)+第2化合物の量(mol)]は、0超0.3以下である。尚、リチウムイオン伝導体における第1化合物と第2化合物との合計に占める第2化合物の割合は、リチウムイオン伝導体に含まれるカチオンやアニオンの種類や量、リチウムイオン伝導体に含まれる結晶相等を分析することによって特定できる。
本開示のリチウムイオン伝導体は、LiGaX4で示される複合ハロゲン化物以外に、その他のハロゲン化物を含んでいてもよい。例えば、LiX、GaX2、GaX3、LiGaX3等を含んでいてもよい。すなわち、本開示のリチウムイオン伝導体において、複合ハロゲン化物の化学組成は、必ずしも、LiとGaとXとを1:1:4のモル比で含むものである必要は無い。また、本開示のリチウムイオン伝導体を構成する複合ハロゲン化物は、他のリチウム化合物を共晶化させることも可能と考えられ、その際にも同様の効果を発揮するものと考えられる。例えば、B系リチウム塩;Al系リチウム塩;In系リチウム塩;LiPF6、LiBF4といった他のハロゲン系リチウム塩;LiBH4やLiCBHといった水素化物系リチウム塩;Li3PS4、LPSIといったリチウム硫化物;LLZO、LPO、LLTOといったリチウム酸化物;硝酸塩、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩といったその他の無機系リチウム化合物;等から選ばれる少なくとも1種の無機系リチウム化合物と、上記の複合ハロゲン化物とを共晶化させることで、無機系リチウム化合物を軟質化させたり、加圧状態におけるリチウムイオン伝導性を向上させたりすることが可能と考えられる。或いは、LiTFSA(LiTFSI、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド)、LiBETI(リチウムビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド)、LiFSA(LiFSI、リチウムビスフルオロスルホニルイミド)、LiFTA(LiFTI、リチウムフルオロスルホニル(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)といったアミド塩やイミド塩等の有機系リチウム塩と、上記の複合ハロゲン化物及びTBATFSIとを組み合わせることも可能である。
本開示のリチウムイオン伝導体は、例えば、リチウムイオン電池におけるリチウムイオン伝導材料として適用可能である。図1に示されるように、一実施形態に係るリチウムイオン電池100は、正極10、電解質層20及び負極30を有する。ここで、正極10、電解質層20及び負極30のうちの少なくとも1つが、上記の本開示のリチウムイオン伝導体を含む。上述の通り、本開示のリチウムイオン伝導体は、軟質であり、且つ、加圧状態が維持されるとイオン伝導度が大きく向上するものである。そのため、例えば、電池の製造時に、当該リチウムイオン伝導体が変形して、電極や電解質層の隙間を埋めることから、電極や電解質層における充填率が高まり易い。また、電池の使用時等において電極や電解質層に割れや剥離等が生じたとしても、割れ部分や剥離部分に当該リチウムイオン伝導体が充填されることで、割れや剥離による隙間を解消することができ、イオン伝導パスの途切れ等が生じ難い。また、本開示のリチウムイオン伝導体は、リチウムイオン電池の内部において、加圧された状態となり易く、優れたリチウムイオン伝導性を発揮し易い。さらに、リチウム金属を用いたリチウムイオン電池において、本開示のリチウムイオン伝導体を併用することで、デンドライトの発生を抑制する効果も期待できる。このように、リチウムイオン電池100の正極10、電解質層20及び負極30のうちの少なくとも1つに本開示のリチウムイオン伝導体が含まれることで、リチウムイオン電池100の性能が高まり易い。
図1に示されるように、一実施形態に係る正極10は、正極活物質層11と正極集電体12とを備えるものであってよく、この場合、正極活物質層11が上記のリチウムイオン伝導体を含み得る。
正極活物質層11は、正極活物質を含み、さらに任意に、電解質、導電助剤、バインダー等を含んでいてもよい。さらに、正極活物質層11はその他に各種の添加剤を含んでいてもよい。正極活物質層11が上記本開示のリチウムイオン伝導体を電解質として含むものである場合、正極活物質層11は、当該リチウムイオン伝導体に加えて、正極活物質を含み、さらに任意に、その他の電解質、導電助剤、バインダー、各種の添加剤を含み得る。正極活物質層11における正極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、正極活物質層11全体(固形分全体)を100質量%として、正極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%未満又は90質量%以下であってもよい。正極活物質層11の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状であってもよい。正極活物質層11の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上、1μm以上、10μm以上又は30μm以上であってもよく、2mm以下、1mm以下、500μm以下又は100μm以下であってもよい。
図1に示されるように、正極10は、上記の正極活物質層11と接触する正極集電体12を備えていてもよい。正極集電体12は、電池の正極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、正極集電体12は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。正極集電体12は、金属箔又は金属メッシュによって構成されていてもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。正極集電体12は、複数枚の箔からなっていてもよい。正極集電体12を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、酸化耐性を確保する観点等から、正極集電体12がAlを含むものであってもよい。正極集電体12は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体12は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、正極集電体12が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。正極集電体12の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
電解質層20は少なくとも電解質を含む。電解質層20は、固体電解質を含んでいてもよく、さらに任意にバインダー等を含んでいてもよい。電解質層20が上記本開示のリチウムイオン伝導体を電解質として含むものである場合、電解質層20は、当該リチウムイオン伝導体に加えて、その他の電解質、バインダー及び各種添加剤をさらに含んでいてもよい。この場合、電解質層20における電解質とバインダー等との含有量は特に限定されない。或いは、電解質層20は、電解液を含むものであってもよく、さらに、当該電解液を保持するとともに、正極活物質層11と負極活物質層31との接触を防止するためのセパレータ等を有していてもよい。電解質層20の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
図1に示されるように、一実施形態に係る負極30は、負極活物質層31と負極集電体32とを備えるものであってよく、この場合、負極活物質層31が上記のリチウムイオン伝導体を含み得る。
負極活物質層31は、負極活物質を含み、さらに任意に、電解質、導電助剤、バインダー等を含んでいてもよい。さらに、負極活物質層31はその他に各種の添加剤を含んでいてもよい。負極活物質層31が上記本開示のリチウムイオン伝導体を電解質として含むものである場合、負極活物質層31は、当該リチウムイオン伝導体に加えて、負極活物質を含み、さらに任意に、その他の電解質、導電助剤、バインダー、各種の添加剤を含み得る。負極活物質層31における負極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。例えば、負極活物質層31全体(固形分全体)を100質量%として、負極活物質の含有量が40質量%以上、50質量%以上又は60質量%以上であってもよく、100質量%未満又は90質量%以下であってもよい。負極活物質層31の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状であってもよい。負極活物質層31の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上、1μm以上、10μm以上又は30μm以上であってもよく、2mm以下、1mm以下、500μm以下又は100μm以下であってもよい。
図1に示されるように、負極30は、上記の負極活物質層31と接触する負極集電体32を備えていてもよい。負極集電体32は、電池の負極集電体として一般的なものをいずれも採用可能である。また、負極集電体32は、箔状、板状、メッシュ状、パンチングメタル状、及び、発泡体等であってよい。負極集電体32は、金属箔又は金属メッシュであってもよく、或いは、カーボンシートであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。負極集電体32は、複数枚の箔やシートからなっていてもよい。負極集電体32を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、還元耐性を確保する観点及びリチウムと合金化し難い観点から、負極集電体32がCu、Ni及びステンレス鋼から選ばれる少なくとも1種の金属を含むものであってもよい。負極集電体32は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、負極集電体32は、金属箔や基材に上記の金属がめっき又は蒸着されたものであってもよい。また、負極集電体32が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔の間に何らかの層を有していてもよい。負極集電体32の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
リチウムイオン電池100は、上記の各構成が外装体の内部に収容されたものであってもよい。外装体は、電池の外装体として公知のものをいずれも採用可能である。また、複数のリチウムイオン電池100が、任意に電気的に接続され、また、任意に重ね合わされて、組電池とされていてもよい。この場合、公知の電池ケースの内部に当該組電池が収容されてもよい。リチウムイオン電池100は、このほか必要な端子等の自明な構成を備えていてよい。リチウムイオン電池100の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型、及び角型等を挙げることができる。
(1)正極活物質層を構成する正極活物質等を溶媒に分散させて正極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて正極層用スラリーを正極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、正極集電体の表面に正極活物質層を形成し、正極とする。
(2)負極活物質層を構成する負極活物質等を溶媒に分散させて負極層用スラリーを得る。この場合に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、水や各種有機溶媒を用いることができる。ドクターブレード等を用いて負極層用スラリーを負極集電体の表面に塗工し、その後乾燥させることで、負極集電体の表面に負極活物質層を形成し、負極とする。
(3)負極と正極とで電解質層(固体電解質層又はセパレータ)を挟み込むように各層を積層し、負極集電体、負極活物質層、電解質層、正極活物質層及び正極集電体をこの順に有する積層体を得る。積層体には必要に応じて端子等のその他の部材を取り付ける。
(4)積層体を電池ケースに収容し、電解液電池の場合は電池ケース内に電解液を充填し、積層体を電解液に浸漬するようにして、電池ケース内に積層体を密封することで、リチウムイオン電池とする。尚、電解液を含む電池の場合に上記(3)の段階で負極活物質層、セパレータ及び正極活物質層に電解液を含ませてもよい。
本開示のリチウムイオン伝導体は、例えば、
(1)ハロゲン化リチウムと、ハロゲン化ガリウムとを混合することによってLiGaX4(Xは1種以上のハロゲンである)で示される複合ハロゲン化物を得ること、及び、
(2)前記複合ハロゲン化物とテトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとを混合すること、
を経て製造することができる。
ハロゲン化リチウムとしては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、又は、これらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化リチウムは、ハロゲン化ガリウムと混合可能な形態であればよく、例えば、粒子状であってもよい。
ハロゲン化ガリウムとしては、塩化ガリウム、臭化ガリウム、ヨウ化ガリウム、又は、これらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン化ガリウムは、ハロゲン化リチウムと混合可能な形態であればよく、例えば、粒子状であってもよい。ハロゲン化ガリウムにおけるガリウムの価数は、2価であっても、3価であってもよいが、特に3価である場合に高いイオン伝導度が確保され易い。すなわち、ハロゲン化ガリウムとしてGaX3(Xは1種以上のハロゲンである)が用いられるとよい。
ハロゲン化リチウムとハロゲン化ガリウムとの混合比は、混合後のリチウムイオン伝導体において、LiGaX4が生成するような比率であればよい。例えば、ハロゲン化リチウムにおけるリチウムとハロゲン化ガリウムにおけるガリウムとのモル比(Li/Ga)は、0.5以上1.5以下であってもよい。当該モル比は、0.6以上、0.7以上、0.8以上、又は、0.9以上であってもよく、1.4以下、1.3以下、1.2以下、又は、1.1以下であってもよい。
本開示のリチウムイオン伝導体を構成する複合ハロゲン化物は、例えば、上記のハロゲン化リチウムとハロゲン化ガリウムとに対して応力を付与しつつ混合することによって製造することができる。応力としては、例えば、摩擦力、せん断力、ずり応力、衝撃力等であってよい。混合時にこのような応力を印加する方法としては、例えば、乳鉢等を用いて手作業で混合する方法や、ボールミル等の機械的混合手段によって粉砕しつつ混合する方法等が挙げられる。
本開示のリチウムイオン伝導体は、上述したように、第1化合物としての複合ハロゲン化物と、第2化合物としてのTBATFSIと合計に対する第2化合物の割合が、0mol%超30mol%以下となるように、複合ハロゲン化物とTBATFSIとを混合することにより製造され得る。
本開示のリチウムイオン伝導体は、例えば、上記の複合ハロゲン化物とTBATFSIとに対して応力を付与しつつ混合することによって製造することができる。応力としては、例えば、摩擦力、せん断力、ずり応力、衝撃力等であってよい。混合時にこのような応力を印加する方法としては、例えば、乳鉢等を用いて手作業で混合する方法や、ボールミル等の機械的混合手段によって粉砕しつつ混合する方法等が挙げられる。
本開示の技術は、リチウムイオン伝導体の使用方法としての側面も有する。すなわち、本開示のリチウムイオン伝導体の使用方法は、電気化学デバイスにおいて本開示のリチウムイオン伝導体を加圧しながら使用することを特徴とする。例えば、本開示のリチウムイオン伝導体は、リチウムイオン電池の正極、電解質層及び負極のうちの少なくとも1つにおいて、加圧された状態で使用される。リチウムイオン伝導体に対して加えられる圧力の大きさは、特に限定されるものではない。例えば、リチウムイオン伝導体がリチウムイオン電池の正極、電解質層及び負極のうちの少なくとも1つにおいて、加圧された状態で含まれる場合、当該リチウムイオン伝導体に加わる圧力は0.1MPa以上100MPa以下、1MPa以上50MPa以下、又は、5MPa以上又は30MPa以下であってもよい。
本開示のリチウムイオン伝導体がリチウムイオン電池の正極、電解質層及び負極のうちの少なくとも1つに含まれる場合、当該リチウムイオン電池の充放電サイクル特性が改善され易い。すなわち、本開示のリチウムイオン電池の充放電方法やリチウムイオン電池のサイクル特性を改善する方法は、前記リチウムイオン電池の充電及び放電を繰り返すことを含み、前記リチウムイオン電池が、正極、電解質層及び負極を有し、前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つが、本開示のリチウムイオン伝導体を含み、前記リチウムイオン電池の充放電に伴って前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つに隙間が生じた場合に、本開示のリチウムイオン伝導体によって前記隙間の少なくとも一部を解消することを特徴とする。ここで、「隙間」とは、活物質の体積変化に伴って前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つに生じ得るものであってよい。「隙間」は、「割れ」等を含む概念である。当該隙間の少なくとも一部が本開示のイオン伝導体によって解消されること(すなわち、隙間の少なくとも一部に本開示のリチウムイオン伝導体が充填されること)により、隙間によって途切れたイオン伝導パスや導電パスを回復することができるものと考えられる。
上述の通り、本開示のリチウムイオン伝導体がリチウムイオン電池の正極、電解質層及び負極のうちの少なくとも1つに含まれる場合、当該リチウムイオン電池の充放電サイクル特性の改善が期待できる。このように充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン電池は、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)及び電気自動車(BEV)から選ばれる少なくとも1種の車両において好適に使用され得る。すなわち、本開示の技術は、リチウムイオン電池を有する車両であって、前記リチウムイオン電池が、正極、電解質層及び負極を有し、前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つが、本開示のリチウムイオン伝導体を含むもの、としての側面も有する。
1.1 参考例1
LiCl(高純度化学社製)とGaCl3(東京化成工業社製)とをモル比で50:50となるように秤量し、500mlのZrO2ポットに投入し、φ5mmのZrO2ボールを入れて、ヘプタン(関東化学社製)を100g入れた状態で、回転数300rpmで1時間の粉砕を行い、これを20セット繰り返した。混合物を乾燥して、LiGaCl4を得た。
LiClに替えてLiI(高純度化学社製)を用い、GaCl3に替えてGaI3(アルドリッチ社製)を用いたこと以外は、参考例1と同様にして混合を行い、LiGaI4を得た。参考例1と同様の手法で合成したLiGaCl4と、LiGaI4とを、モル比で80:20となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である80LiGaCl4-20LiGaI4を得た。
LiGaCl4とLiGaI4とを、モル比で50:50となるように混合したこと以外は、参考例2と同様の手順で、溶融塩である50LiGaCl4-50LiGaI4を得た。
LiClに替えてLiBr(高純度化学社製)を用い、GaCl3に替えてGaBr3(アルファ社製)を用いたこと以外は、参考例1と同様にして混合を行い、LiGaBr4を合成した。参考例1と同様の手法で合成したLiGaCl4と、LiGaBr4とを、モル比で80:20となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である80LiGaCl4-20LiGaBr4を得た。
LiGaCl4とLiGaBr4とを、モル比で50:50となるように混合したこと以外は、参考例4と同様の手順で、溶融塩である50LiGaCl4-50LiGaBr4を得た。
LiGaCl4とLiGaBr4とを、モル比で20:80となるように混合したこと以外は、参考例4と同様の手順で、溶融塩である20LiGaCl4-80LiGaBr4を得た。
LiClに替えてLiBr(高純度化学社製)を用い、GaCl3に替えてGaBr3(アルファ社製)を用いたこと以外は、参考例1と同様にして混合を行い、LiGaBr4を得た。
LiGaBr4と、LiGaI4とを、モル比で80:20となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である80LiGaBr4-20LiGaI4を得た。
LiGaBr4と、LiGaI4とを、モル比で70:30となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である70LiGaBr4-30LiGaI4を得た。
LiGaBr4と、LiGaI4とを、モル比で60:40となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である60LiGaBr4-40LiGaI4を得た。
LiGaBr4と、LiGaI4とを、モル比で50:50となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である50LiGaBr4-50LiGaI4を得た。
LiGaBr4と、LiGaI4とを、モル比で40:60となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である40LiGaBr4-60LiGaI4を得た。
LiGaBr4と、LiGaI4とを、モル比で40:60となるように混合し、融点以上の温度で加熱撹拌することによって融液を得た。得られた融液を室温まで冷却後、乳鉢で粉砕することで、溶融塩である20LiGaBr4-80LiGaI4を得た。
LiClと、AlCl3(和光純薬社製)とを、モル比で50:50となるように秤量し、500mlのZrO2ポットに投入し、φ5mmのZrO2ボールを入れて、ヘプタン(関東化学社製)を100g入れた状態で、回転数300rpmで1時間の粉砕を行い、これを20セット繰り返した。混合物を乾燥して、LiAlCl4を得た。
Li-P-S-I-Br系の硫化物固体電解質を用意した。
図2に、参考例1のLiGaCl4についてのX線回折ピークを示す。図2から明らかなように、ボールミルによる混合後に得られるLiGaCl4についてのX線回折ピークにおいて、原料であるLiClやGaCl3に由来するピークは実質的に確認されず(或いは、原料ままと比べてピークが低減しており)、LiClやGaCl3とは異なる結晶相が生成しており、具体的にはLiGaCl4に係る結晶相が生成していることが分かる。参考例7のLiGaBr4についても同様である。すなわち、ボールミルによる混合後に得られるLiGaBr4についてのX線回折ピークにおいて、原料であるLiBrやGaBr3に由来するピークは実質的に確認されず(或いは、原料ままと比べてピークが低減しており)、LiBrやGaBr3とは異なる結晶相が生成しており、具体的にはLiGaBr4に係る結晶相が生成していた。また、参考例2~6及び参考例8~13については、各々の複合ハロゲン化物の共晶組織を有していることが確認された。
参考例1~15の各々の化合物のイオン伝導度を測定した。具体的には、化合物150mgをシリンダー内に充填し、一軸プレスすることでペレットセルを作製した。これをデシケータに入れた状態で、恒温槽にて25℃のインピーダンス測定を実施した。得られた抵抗値とサンプル厚みからプレス後のイオン伝導度を算出した。このペレットセルを恒温槽内で一定時間放置し、抵抗減少が飽和した時点での抵抗値を読み取り、保存後のイオン伝導度を算出した。
4.1 応用参考例1
4.1.1 負極合材の作製
参考例15の硫化物固体電解質と、参考例2の溶融塩とを、体積比率で80:20となるように秤量し、混合電解質を得た。負極活物質としての結晶性Siと、混合電解質と、導電助剤としてのVGCFとを、乳鉢で混合して負極合材を得た。
正極活物質としてのLiNbO3で被覆されたNCM(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)と、参考例15の硫化物固体電解質と、導電助剤としてのVGCFとを、乳鉢で混合して正極合材を得た。
φ11.28mmのアルミナシリンダーに、正極合材、参考例15の硫化物固体電解質、及び、負極合材を層状に積層した状態で、6tプレスを実施し、正極合材層/硫化物固体電解質層/負極合材層からなる積層体を得た。当該積層体を6Nで拘束することで、評価用の全固体電池を作製した。
作製した全固体電池を、室温にて、1/3Cの充放電レートでCCCV充放電を50サイクル繰り返し、初回の容量に対する50サイクル後の容量の比を「容量維持率」として算出した。
負極合材において、参考例2の溶融塩に替えて参考例14のLiAlCl4を用いたこと以外は、応用参考例1と同様にして全固体電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。
負極合材において、電解質として参考例15の硫化物固体電解質のみを用いたこと以外は、応用参考例1と同様にして全固体電池を作製し、充放電サイクル試験を行った。
下記表1に、参考例1~15の各々の化合物の種類及びイオン伝導度を示す。また、下記表2に、応用参考例1~3の各々の全固体電池の容量維持率の測定結果を示す。さらに、図3に、参考例2のペレットセルについてのイオン伝導度の時間依存性を示す。
LiGaX4(Xは1種以上のハロゲンである)と有機系の塩とを複合化した場合について、上記と同様の評価を行った。
参考例7で得られたLiGaBr4と、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TBATFSI(TBATFSAともいう)、アルドリッチ社製)とをモル比で90:10となるように秤量して、乳鉢で混合し、混合物を得た。当該混合物をホットスターラー上で100℃付近まで加熱撹拌することで、複合体を得た。
LiGaBr4とTBATFSIとをモル比で80:20となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
LiGaBr4とTBATFSIとをモル比で70:30となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
LiGaBr4とTBATFSIとをモル比で60:40となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
LiGaBr4とTBATFSIとをモル比で50:50となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
LiGaBr4とTBATFSIとをモル比で20:80となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして複合体を得た。
実施例1~3及び比較例1~3の各々の複合体のイオン伝導度を測定した。測定方法は上記と同様である。結果を下記表3に示す。尚、下記表3においては、参考例7のイオン伝導度増加率を100として、実施例1~3及び比較例1~3のイオン伝導度増加率を相対化して示している。
(2)第2化合物として、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが含まれる。
(3)前記第1化合物と前記第2化合物との合計に占める前記第2化合物の割合が、0mol%超30mol%以下である。
11 正極活物質層
12 正極集電体
20 電解質層
30 負極
31 負極活物質層
32 負極集電体
100 リチウムイオン電池
Claims (4)
- リチウムイオン伝導体であって、第1化合物及び第2化合物を含み、
前記第1化合物が、LiGaX4(Xは1種以上のハロゲンである)で示される複合ハロゲン化物であり、
前記第2化合物が、テトラブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドであり、
前記第1化合物と前記第2化合物との合計に占める前記第2化合物の割合が、0mol%超30mol%以下である、
リチウムイオン伝導体。 - 前記複合ハロゲン化物が、Brを含む、
請求項1に記載のリチウムイオン伝導体。 - リチウムイオン電池であって、正極、電解質層及び負極を有し、
前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つが、請求項1又は2に記載のリチウムイオン伝導体を含む、
リチウムイオン電池。 - 前記正極、前記電解質層及び前記負極のうちの少なくとも1つが、前記リチウムイオン伝導体と、硫化物固体電解質とを含む、
請求項3に記載のリチウムイオン電池。
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