JP7533450B2 - 粉末状植物性蛋白素材の製造法 - Google Patents
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Description
また、引用文献3~5による方法では、製造条件によっては得られる粉末状植物性蛋白素材の溶解性が低くなってしまい、口内でのザラつきが発生したり、製品の保存中における経時的な風味劣化が大きくなったりし、製造工程上のコントロールに熟練を要する。
さらに、従来の粉末状植物性蛋白素材を粉末飲料に用いると、該素材特有の製造過程で生ずる臭気が感じられ、乳蛋白素材を用いた粉末飲料よりも嗜好性が低くなる傾向にある。
(1)NSIが60以上であって、蛋白質含量が固形分中75重量%以上の粉末状植物性蛋白素材を、粉末状態で垂直方向に落下させつつ水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理し、NSI(窒素溶解性指数)を加圧加熱処理前よりも低下させることを特徴とする、粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(2)粉末状植物由来蛋白質素材は、蛋白質含量が固形分中90重量%以上である、前記(1)記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(3)加熱圧力が0.03~0.7MPaである、前記(1)又は(2)記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(4)加熱圧力が0.1~0.7MPaである、前記(1)又は(2)記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(5)加熱時間が0.00001~0.5秒である、前記(1)~(4)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(6)加熱時間が0.001~0.3秒である、前記(1)~(4)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(7)NSIが80以上の粉末状植物性蛋白素材を加圧加熱処理する、前記(1)~(6)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(8)NSIが94以上の粉末状植物性蛋白素材を加圧加熱処理する、前記(1)~(6)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
(9)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20以上55未満である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(10)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20~30である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(11)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが55以上80未満である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(12)加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが60~70である、前記(1)~(8)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法、
(13)粉末飲料用である、前記(1)~(13)の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
(14)前記(1)~(13)の何れか1項記載の製造法で得られる粉末状植物性蛋白素材を配合することを特徴とする、粉末飲料の製造法。
また本発明によれば、粉末状植物性蛋白素材に特有の製造過程で生ずる臭気を低減し、該素材の風味を向上させることができるので、植物性蛋白質を含む嗜好性の高い粉末飲料や、各種加工食品や飲料に用いることができる。
本発明において「粉末状植物性蛋白素材」は、原料である植物性原料から、蛋白質以外の成分、すなわち脂質、可溶性糖質、澱粉、不溶性繊維(オカラ)などをできるだけ除去し、蛋白質が濃縮されたものを粉末化した蛋白素材をいう。その蛋白質含量は一般には固形分中75重量%以上、80重量%以上又は90重量%以上などである。
I)抽出工程
大豆原料として脱脂大豆を使用し、これに加水し攪拌等して懸濁液(スラリー)とし、蛋白質を水で抽出する。水は中性~アルカリ性のpHとすることができ、塩化カルシウム等の塩を含むこともできる。これを遠心分離等の固液分離手段でオカラを分離し、蛋白質抽出液(いわゆる豆乳)を得る。この段階で加熱殺菌し、噴霧乾燥したものが、いわゆる脱脂豆乳粉末である。
II)酸沈殿工程
次に蛋白質抽出液に塩酸やクエン酸等の酸を添加し、該抽出液のpHを大豆蛋白質の等電点であるpH4~5に調整し、蛋白質を不溶化させて酸沈殿させる。次に遠心分離等の固液分離手段により酸可溶性成分である糖質や灰分を含む上清(いわゆるホエー)を除去して、酸不溶性成分を含む「酸沈殿カード」を回収する。この段階で加熱殺菌し、噴霧乾燥したものが、いわゆるカードパウダーである。
III)中和工程
次に酸沈殿カードに再度加水し、必要により該カードを水で洗浄後、「カードスラリー」を得る。そして該スラリーに水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリを加えて中和し、「中和スラリー」を得る。
IV)殺菌・粉末化工程
次に中和スラリーを加熱殺菌し、スプレードライヤー等により噴霧乾燥し、必要により流動層造粒を経て分離大豆蛋白を得る。
ただし、本発明における分離大豆蛋白は上記製造例にて製造されるものには限定されるものではない。大豆原料としては脱脂大豆の代わりに全脂大豆や部分脱脂大豆などの種々の大豆原料を用いることができる。抽出手段も種々の抽出条件や装置を適用できる。たん白質抽出液からホエーを除去する方法として酸沈殿を行う代わりに限外ろ過膜等による膜濃縮を行うこともでき、その場合は中和工程は必ずしも必要ではない。さらに、大豆原料から予め酸性水やアルコールにより洗浄してホエーを除去した後に、中性乃至アルカリ性の水で蛋白質を抽出する方法を適用して製造することもできる。また、上記のいずれかの段階にて蛋白質の溶液にプロテアーゼを作用させ、蛋白質を部分加水分解することもできる。
しかし、NSIが60以上の粉末状植物性蛋白素材を用いて本製造法を実施することにより、より高い水への分散性向上効果を得ることができる。
本発明の粉末状植物性蛋白素材では、上記の粉末状植物性蛋白素材を、水系下ではなく、粉末状態で水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理し、NSIを加圧加熱処理前よりも低下させることが特徴である。かかる工程により、大豆臭等の原料由来の臭気や、油の劣化臭等の不快な風味による品質への影響を抑制しつつ、所望のNSIに低下させることができる。これによって水への分散性が良好で、風味が向上した粉末状植物性蛋白素材を製造することができる。
これにより、粉末状植物性蛋白素材のNSIを効率的に所望の範囲に低下させ、かつ風味の向上効果を高めることができる。
本発明の粉末状植物性蛋白素材の製造法は、上記の加圧加熱処理によってNSIを加圧加熱処理前のNSIよりも低下させることが特徴である。特に溶解性が高く水への分散性が良くない粉末状植物性蛋白素材を、より低いNSIに低下させ、水への分散性を向上させることが特徴である。
NSIが高い粉末状植物性蛋白素材の場合、水への溶解性が高すぎるため消費者が家庭で手作業で撹拌するような低速撹拌の条件で溶解する際に、非常にダマになりやすく、分散性が悪い傾向となる。また、NSIが低くなりすぎると、水への分散性は問題ないが口内で感じるザラツキが強くなる傾向となる。
本発明の粉末状植物性蛋白素材のNSIは、粉末状態での加圧加熱処理の条件の選定により、比較的溶解性が低い態様として、20以上55未満にすることができ、さらに20~50、20~40、20~30又は20~25にすることができ、また30~50にもすることができる。
また比較的溶解性が高い別の態様として、55以上80未満にすることができ、さらに55~75、60~75、60~70又は62~66にすることができる。本発明の粉末状植物性蛋白素材のNSIを何れのレベルにまで低下させるかは、当業者が風味や水への分散性の状態の観点から適宜ニーズに合致するものを選択することができる。
すなわち、試料3gに60mlの水を加え、37℃で1時間プロペラ攪拌した後、1400×gにて10分間遠心分離し、上澄み液(I)を採取する。次に、残った沈殿に再度水100mlを加え、再度37℃で1時間プロペラ撹拌した後、遠心分離し、上澄み液(II)を採取する。(I)液および(II)液を合わせ、その混合液に水を加えて250mlとする。これを濾紙(NO.5)にて濾過した後、濾液中の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素量をケルダール法にて測定し、濾液として回収された窒素量(水溶性窒素)の試料中の全窒素量に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
本発明により得られる粉末状植物性蛋白素材は、水への分散性に優れるため、そのような品質が要求される用途に広く用いられる。特に緩やかな撹拌条件において良好な分散性が要求される用途に適しており、特に粉末飲料に適している。粉末飲料は海外では乾式混合飲料(dry blended beverages)とも呼ばれている。
本発明の粉末状植物性蛋白素材を粉末飲料に使用することにより、水への良好な分散性を保持しつつ、高蛋白質で高栄養の粉末飲料を得ることができる。
本発明の粉末状植物性蛋白素材は、粉末飲料中に広範囲な配合率で配合することができ、例えば1~99重量%を配合することができる。特に限定はされないが、他の栄養素とのバランスをより考慮する場合には、5~50重量%、さらには10~40重量%を配合することができる。
該粉末飲料の原料には、粉末状植物性蛋白素材の他、製造者の所望の品質に応じて糖類、食物繊維、油脂、乳化剤、香料、甘味料、各種機能性成分等を適宜混合することができる。
脱脂大豆粕10部を水100部に分散させ、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌しながら50℃で30分間蛋白質を抽出した後、遠心分離機を用いて不溶性食物繊維(オカラ)を除去し、蛋白質抽出液を得た。
次に該抽出液のpHが4.5になるまで撹拌しつつ塩酸を添加し、遠心分離機により上清を除去し、酸沈殿カードを回収した。
この酸沈殿カード(固形分4部)を水40部に分散してカードスラリーを得、さらに該スラリーに水酸化ナトリウムを加えてpHを7.2に中和し、大豆蛋白質の中和スラリーを得た。
次に、該中和スラリーをスチームインジェクション方式の直接加熱装置にて120℃で30秒間加熱処理を行い、高温加熱処理液を得た。
次に、該高温加熱処理液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、分離大豆蛋白の粉末を得た。得られた分離大豆蛋白のNSIを測定したところ、97.8であった。
特開平6-141783号公報の実施例2に記載の方法に従い、比較例1の製造工程中に塩化カルシウムを添加し、カルシウム添加タイプの分離大豆蛋白を得た。
比較製造例1で得られた分離大豆蛋白を用いて、水蒸気による直接加熱方式で、縦型タイプの加圧加熱装置「Sonic Stera」((株)フジワラテクノアート製)により、表1の4つの条件により粉末状態で加圧加熱処理を行い、本発明の分離大豆蛋白を製造した。得られた分離大豆蛋白の水分、NSI、嵩比重を測定し、表1に示した。
60℃の水100gを入れた200mL容量カップに分離大豆蛋白20gを入れ、撹拌棒を用いて1分間手で撹拌した後、茶漉し(20メッシュ、JIS規格)で濾して水分を切った後、ウエス紙で茶漉しの下部の水分を拭き取り、残ったママコの量(g、含水)を測定し、水への分散性について評価した。分散性が向上しているか否かは、比較例1のママコ量を対照として比較を行い、ママコ量が対照よりも1g以上減少すれば、分散性は向上したと判断した。
粉末状植物性蛋白素材の官能検査に熟練した嗜好パネラー10名に、分離大豆蛋白を10%溶液になるよう溶解した粉末飲料を試飲してもらい、口内でのザラつきと、大豆臭の程度を評価対象として、10点満点の評点法で評価をしてもらい、その平均点を算出して考察した。なお、大豆臭は、分離大豆蛋白の製造工程中に付与される特有の臭気である。
なお「ザラつき」の評点基準は、ザラツキの程度が最も少ないとパネラーが考えるものを10点とし、ザラツキの程度が最も多いとパネラーが考えるものを1点とし、その程度差に応じて1~10点を付けてもらった。
また、「大豆臭」評点基準は、大豆臭の程度が最も少ないとパネラーが考えるものを10点とし、大豆臭の程度が最も多いとパネラーが考えるものを1点とし、その程度差に応じて1~10点を付けてもらった。
そして、ザラつきと大豆臭の平均点がどちらも5点以上であった試験区を合格とした。
また加圧加熱処理をした実施例の分離大豆蛋白は、比較例1と同程度にザラつきが感じられないことが示され、かつ比較例1に比べて顕著に大豆臭が低減されていることが示された。さらに、実施例の分離大豆蛋白の食感は、比較例1に比べて口溶けが良く特有の食感を有していた。
Claims (13)
- NSI(窒素溶解性指数)が85以上であって、蛋白質含量が固形分中75重量%以上の粉末状植物性蛋白素材を、粉末状態で垂直方向に落下させつつ水蒸気による直接加熱方式で加圧加熱処理し、NSIを20以上55未満、又は55以上80未満に低下させることを特徴とする、粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 粉末状植物由来蛋白質素材は、蛋白質含量が固形分中90重量%以上である、請求項1記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加熱圧力が0.03~0.7MPaである、請求項1又は2記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加熱圧力が0.1~0.7MPaである、請求項1又は2記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加熱時間が0.00001~0.5秒である、請求項1~4の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加熱時間が0.001~0.3秒である、請求項1~4の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- NSIが94以上の粉末状植物性蛋白素材を加圧加熱処理する、請求項1~6の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20以上55未満である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが20~30である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが55以上80未満である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 加圧加熱処理後の粉末状植物性蛋白素材のNSIが60~70である、請求項1~7の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 粉末飲料用である、請求項1~11の何れか1項記載の粉末状植物性蛋白素材の製造法。
- 請求項1~11記載の製造法で得られる粉末状植物性蛋白素材を配合することを特徴とする、粉末飲料の製造法。
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