JP7598756B2 - 樹脂フィルム、金属張積層板及び回路基板 - Google Patents
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Description
本発明の樹脂フィルムは、前記第1接着剤層及び前記第2接着剤層の50℃における貯蔵弾性率が、それぞれ独立に1800MPa以下であり、180~260℃における貯蔵弾性率の最大値が、それぞれ独立に800MPa以下であることを特徴とする。
0.15 ≦(TB1+TB2)/(TFE+TB1+TB2)≦ 0.70
第2金属層と、前記第2金属層の少なくとも片側の面に積層された第2絶縁樹脂層と、を有する第2片面金属張積層板と、
前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層に当接するように配置されて、前記第1片面金属張積層板と前記第2片面金属張積層板との間に積層された中間樹脂層と、を備えた金属張積層板である。
そして、本発明の金属張積層板は、前記中間樹脂層が、上記のいずれかの樹脂フィルムからなることを特徴とする。
第2配線層と、前記第2配線層の少なくとも片側の面に積層された第2絶縁樹脂層と、を有する第2回路基板と、
前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層に当接するように配置されて、前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に積層された中間樹脂層と、を備えた回路基板である。
そして、本発明の回路基板は、前記中間樹脂層が、上記のいずれかの樹脂フィルムからなることを特徴とする。
従って、本発明の樹脂フィルムを使用した回路基板において、高周波信号伝送時の伝送損失の低減が可能であり、かつ、優れた層間の接着性と寸法安定性を確保できる。
また、本発明の金属張積層板は、上記樹脂フィルムを介在させて2つの片面金属張積層板を貼り合わせた構造であるため、絶縁樹脂層の厚みを大きくすることが可能であり、高周波信号伝送時の伝送損失の低減が可能であり、しかも、寸法安定性に優れている。
従って、本発明の樹脂フィルム又は金属張積層板を使用することによって、回路基板における高周波化への対応が可能となり、信頼性及び歩留まりの向上も図ることができる。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる樹脂フィルム(A)の構成を示す模式図である。樹脂フィルム(A)は、PTFE層(FE)と、PTFE層(FE)の片側に積層された第1接着剤層(B1)と、PTFE層(FE)の第1接着剤層(B1)とは反対側に積層された第2接着剤層(B2)と、を備えている。樹脂フィルム(A)は、PTFE層(FE)を第1接着剤層(B1)及び第2接着剤層(B2)で挟み込んだサンドイッチ構造を有している。
PTFE層(FE)は、樹脂成分の主成分として、好ましくは樹脂成分の70重量%以上、より好ましくは樹脂成分の90重量%以上、最も好ましくは樹脂成分の全部として、PTFEを含有する層であればよい。なお、樹脂成分の主成分とは、全樹脂成分に対して50重量%を超えて含まれる成分を意味する。PTFEは、誘電特性の周波数依存性がほとんどなく、非常に優れた誘電特性を有するとともに、難燃性向上にも寄与する。
第1接着剤層(B1)及び第2接着剤層(B2)は、50℃における貯蔵弾性率が、それぞれ独立に1800MPa以下であり、180~260℃における貯蔵弾性率の最大値がそれぞれ独立に800MPa以下であり、好ましくは500MPa以下の範囲内である。このような貯蔵弾性率とすることによって、PTFE層(FE)との接着性が担保されるとともに、熱圧着時の内部応力を緩和して回路加工後の寸法安定性を保持し、回路加工後の半田リフロー工程を経由した後においても、反りが生じにくくなる。
なお、第1接着剤層(B1)と第2接着剤層(B2)は、厚み、物性、材質等の構成が同じでもよいし、異なっていてもよいが、同じ構成であることが好ましい。
第1接着剤層(B1)及び第2接着剤層(B2)がポリイミド層である場合、これらを構成するポリイミドは、テトラカルボン酸無水物成分から誘導される酸無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するとともに、全ジアミン残基に対し、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級アミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸由来のジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル%以上含有するポリイミドであることが好ましい。以下、第1接着剤層(B1)及び第2接着剤層(B2)を構成するポリイミドを「接着性ポリイミド」と記すことがある。なお、本発明において、「テトラカルボン酸残基」とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、「ジアミン残基」とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。原料であるテトラカルボン酸無水物及びジアミン化合物をほぼ等モルで反応させた場合には、原料の種類とモル比に対して、ポリイミド中に含まれるテトラカルボン酸残基及びジアミン残基の種類とモル比をほぼ対応させることができる。
また、本発明で「ポリイミド」という場合、ポリイミドの他、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリシロキサンイミド、ポリベンズイミダゾールイミドなど、分子構造中にイミド基を有するポリマーからなる樹脂を意味する。
接着性ポリイミドは、原料として一般に熱可塑性ポリイミドに使用されるテトラカルボン酸無水物を特に制限なく使用できるが、全テトラカルボン酸無水物成分に対して、下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物を合計で90モル%以上含有する原料を用いることが好ましい。換言すれば、接着性ポリイミドは、全テトラカルボン酸残基に対して、下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を、合計で90モル%以上含有することが好ましい。下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基を、全テトラカルボン酸残基に対して合計で90モル%以上含有させることによって、接着性ポリイミドの柔軟性と耐熱性の両立が図りやすく好ましい。下記の一般式(1)及び/又は(2)で表されるテトラカルボン酸無水物から誘導されるテトラカルボン酸残基の合計が90モル%未満では、接着性ポリイミドの溶剤溶解性が低下する傾向になる。
接着性ポリイミドは、原料として一般に熱可塑性ポリイミドに使用されるジアミン化合物を特に制限なく使用できるが、全ジアミン成分に対して、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級アミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸由来のジアミンを50モル%以上含有する原料を用いることが好ましい。換言すれば、接着性ポリイミドは、全ジアミン残基に対し、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級アミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸由来のジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル%以上含有することが好ましい。ダイマー酸由来のジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル%以上含有することにより、接着性ポリイミドの低誘電率化・低誘電正接化が可能になるとともに、接着性を高めることができる。
(a)成分のダイマージアミンとは、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基(-COOH)が、1級のアミノメチル基(-CH2-NH2)又はアミノ基(-NH2)に置換されてなるジアミンを意味する。ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られる既知の二塩基酸であり、その工業的製造プロセスは業界でほぼ標準化されており、炭素数が11~22の不飽和脂肪酸を粘土触媒等にて二量化して得られる。工業的に得られるダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸、リノレン酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸を二量化することによって得られる炭素数36の二塩基酸が主成分であるが、精製の度合いに応じ、任意量のモノマー酸(炭素数18)、トリマー酸(炭素数54)、炭素数20~54の他の重合脂肪酸を含有する。また、ダイマー化反応後には二重結合が残存するが、本発明では、更に水素添加反応して不飽和度を低下させたものもダイマー酸に含めるものとする。(a)成分のダイマージアミンは、炭素数18~54の範囲内、好ましくは22~44の範囲内にある二塩基酸化合物の末端カルボン酸基を1級アミノメチル基又はアミノ基に置換して得られるジアミン化合物、と定義することができる。
炭素数10~40の範囲内にある一塩基酸化合物は、ダイマー酸の原料に由来する炭素数10~20の範囲内にある一塩基性不飽和脂肪酸、及びダイマー酸の製造時の副生成物である炭素数21~40の範囲内にある一塩基酸化合物の混合物である。モノアミン化合物は、これらの一塩基酸化合物の末端カルボン酸基を1級アミノメチル基又はアミノ基に置換して得られるものである。
炭素数41~80の範囲内にある炭化水素基を有する多塩基酸化合物は、ダイマー酸の製造時の副生成物である炭素数41~80の範囲内にある三塩基酸化合物を主成分とする多塩基酸化合物である。また、炭素数41~80のダイマー酸以外の重合脂肪酸を含んでいてもよい。アミン化合物は、これらの多塩基酸化合物の末端カルボン酸基を1級アミノメチル基又はアミノ基に置換して得られるものである。
接着性ポリイミドがケトン基を有する場合に、該ケトン基と求核付加反応する官能基を有する架橋剤を反応させることによって、架橋構造を形成することができる。架橋構造の形成によって、耐熱性を向上させることができる。このような架橋構造を形成したポリイミド(以下「架橋ポリイミド」と記すことがある)は、接着性ポリイミドの応用例であり、好ましい形態となる。
(1)接着性ポリイミドの合成(イミド化)に引き続き、架橋形成用アミノ化合物を添加して加熱する方法、
(2)ジアミン成分として予め過剰量のアミノ化合物を仕込んでおき、接着性ポリイミドの合成(イミド化)に引き続き、イミド化若しくはアミド化に関与しない残りのアミノ化合物を架橋形成用アミノ化合物として利用して接着性ポリイミドとともに加熱する方法、
又は、
(3)上記の架橋形成用アミノ化合物を添加した接着性ポリイミドの組成物を所定の形状に加工した後(例えば任意の基材に塗布した後やフィルム状に形成した後)に加熱する方法、
等によって行うことができる。
0.15 ≦(TB1+TB2)/(TFE+TB1+TB2)≦ 0.70
樹脂フィルム(A)の総厚みに対する第1接着剤層(B1)及び第2接着剤層(B2)の合計厚みの比率が0.15より小さいと、加熱後の寸法変化率が大きくなって、寸法安定性が損なわれるおそれがあり、0.70より大きいとPTFEによる樹脂フィルム(A)全体の誘電特性の向上効果が得られにくくなる。
ここで、PTFE層(FE)の厚みTFEは、特に限定されるものではないが、例えば25~250μmの範囲内が好ましく、50~100μmの範囲内がより好ましい。また、第1接着剤層(B1)の厚みTB1及び第2接着剤層(B2)の厚みTB2は、特に限定されるものではないが、それぞれ、例えば1~100μmの範囲内が好ましく、5~50μmの範囲内がより好ましい。
[1]PTFEフィルムの片面に、接着性ポリイミドを溶液の状態(例えば、ポリイミド組成物の状態)で塗布して塗布膜を形成し、これを例えば80~180℃の温度で乾燥させた後、もう片側の面にも、同様にして接着性ポリイミドによる塗布膜を形成し、加熱乾燥して樹脂フィルム(A)を形成する方法。
[2]任意の基材に、接着性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、イミド化してフィルム化した後、基材から剥離する。このようにして得られたポリイミドフィルム2枚の間にPTFEフィルムを挟みこみ、熱圧着することによって樹脂フィルム(A)を形成する方法。
[3]任意の基材に、接着性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸の溶液を塗布・乾燥した後、ポリアミド酸のゲルフィルムを基材から剥離する。このようにして得られたゲルフィルム2枚の間にPTFEフィルムを挟みこみ、熱圧着することによってイミド化と同時に樹脂フィルム(A)を形成する方法。
接着性ポリイミドの溶液(又はポリアミド酸溶液)を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
図2は、本発明の一実施の形態にかかる金属張積層板の構成を示す模式図である。本実施の形態の金属張積層板(C)は、一対の片面金属張積層板を、接着層(A’)で貼り合わせた構造を有している。
すなわち、金属張積層板(C)は、第1の片面金属張積層板(C1)と、第2の片面金属張積層板(C2)と、これら第1の片面金属張積層板(C1)及び第2の片面金属張積層板(C2)の間に積層された接着層(A’)を備えている。ここで、接着層(A’)は、上記樹脂フィルム(A)によって構成されている。
第1の金属層(M1)及び第2の金属層(M2)の材質としては、特に制限はないが、例えば、銅、ステンレス、鉄、ニッケル、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム、銀、金、スズ、ジルコニウム、タンタル、チタン、鉛、マグネシウム、マンガン及びこれらの合金等が挙げられる。この中でも、特に銅又は銅合金が好ましい。なお、後述する本実施の形態の回路基板における配線層の材質も第1の金属層(M1)及び第2の金属層(M2)と同様である。
第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)としては、電気的絶縁性を有する樹脂により構成されるものであれば特に限定はなく、例えばポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ETFEなどを挙げることができるが、ポリイミドによって構成されることが好ましい。また、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、単層に限らず、複数の樹脂層が積層されたものであってもよい。
金属張積層板(C)は、第1の絶縁樹脂層(P1)と接着層(A’)と第2の絶縁樹脂層(P2)の合計厚みをT1としたとき、該合計厚みT1が50~500μmの範囲内であり、100~300μmの範囲内であることが好ましい。合計厚みT1が50μm未満では、回路基板とした際の伝送損失を低下させる効果が不十分となり、500μmを超えると、回路基板の屈曲性の低下や生産性低下の恐れがある。
第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、熱膨張係数(CTE)が10ppm/K以上がよく、好ましくは10ppm/K以上30ppm/K以下の範囲内、より好ましくは15ppm/K以上25ppm/K以下の範囲内である。CTEが10ppm/K未満であるか、又は30ppm/Kを超えると、反りが発生したり、寸法安定性が低下したりする。使用する原料の組合せ、厚み、乾燥・硬化条件を適宜変更することで所望のCTEを有するポリイミド層とすることができる。
第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、例えば回路基板に適用する場合において、誘電損失の悪化を抑制するために、それぞれ、10GHzにおける誘電正接(Tanδ)が、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.008以下がよい。第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の10GHzにおける誘電正接が0.02を超えると、回路基板に適用した際に、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。一方、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の10GHzにおける誘電正接の下限値は特に制限されないが、回路基板の絶縁樹脂層としての物性制御を考慮している。
第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)は、例えば回路基板の絶縁樹脂層として適用する場合において、インピーダンス整合性を確保するために、絶縁樹脂層全体として、10GHzにおける比誘電率が4.0以下であることが好ましい。第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の10GHzにおける比誘電率が4.0を超えると、回路基板に適用した際に、第1の絶縁樹脂層(P1)及び第2の絶縁樹脂層(P2)の誘電損失の悪化に繋がり、高周波信号の伝送経路上で電気信号のロスなどの不都合が生じやすくなる。
金属張積層板(C)では、絶縁樹脂層全体の低誘電正接化を図り、高周波信号伝送への対応を可能にするため、接着層(A’)にPTFE層(FE)を設けている。しかし、PTFE層(FE)は、接着性が低く、加熱前後の寸法変化率が大きいため、PTFE層(FE)の層厚を大きくするに伴い、密着性不足に起因する層間剥離などの問題や、寸法安定性の低下を招く恐れがある。
金属張積層板(C)は、例えば接着層(A’)となる樹脂フィルム(A)を、第1の片面金属張積層板(C1)の第1の絶縁樹脂層(P1)と、第2の片面金属張積層板(C2)の第2の絶縁樹脂層(P2)との間に配置して貼り合わせ、熱圧着させる方法によって製造することができる。
次に、本実施の形態の金属張積層板(C)における第1の絶縁樹脂層(P1)、第2の絶縁樹脂層(P2)、接着層(A’)、第1の金属層(M1)及び第2の金属層(M2)について、より具体的に説明する。
非熱可塑性ポリイミド層111を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むことが好ましい。
非熱可塑性ポリイミド層111を構成する非熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基として、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)の少なくとも1種から誘導されるテトラカルボン酸残基並びにピロメリット酸二無水物(PMDA)及び2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTCDA)の少なくとも1種から誘導されるテトラカルボン酸残基を含有することが好ましい。
そのため、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、全テトラカルボン酸残基の100モル部に対して、PMDA残基及びNTCDA残基の合計を好ましくは40モル部以上70モル部以下の範囲内、より好ましくは50モル部以上60モル部以下の範囲内、さらに好ましくは50~55モル部の範囲内で含有する。PMDA残基及びNTCDA残基の合計が40モル部未満では、CTEが増加したり、耐熱性が低下したりするおそれがあり、70モル部を超えると、ポリマーのイミド基濃度が高くなり、極性基が増加して低吸湿性が損なわれ、誘電正接が増加するおそれやフィルムが脆くなりフィルムの自己支持性が低下するおそれがある。
非熱可塑性ポリイミド層111を構成する非熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、一般式(A1)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が好ましい。
熱可塑性ポリイミド層112を構成する熱可塑性ポリイミドは、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものであり、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むことが好ましい。
熱可塑性ポリイミド層112を構成する熱可塑性ポリイミドに用いるテトラカルボン酸残基としては、上記非熱可塑性ポリイミド層111を構成する非熱可塑性ポリイミドにおけるテトラカルボン酸残基として例示したものと同様のものを用いることができる。
熱可塑性ポリイミド層112を構成する熱可塑性ポリイミドに含まれるジアミン残基としては、上述の接着性ポリイミドに関して説明した一般式(B1)~(B7)で表されるジアミン化合物から誘導されるジアミン残基が好ましい。
なお、金属張積層板100において、2つのポリイミド層110と接着層120の合計厚みT1、接着層120の厚みT2、及び、合計厚みT1に対する接着層120の厚みT2の比率(T2/T1)については、図2について説明したとおりである。
ポリイミド層110を構成するポリイミドは、上記酸無水物及びジアミンを溶媒中で反応させ、前駆体樹脂を生成したのち加熱閉環させることにより製造できる。なお、ポリイミドの合成方法は、上記接着性ポリイミドについて説明した方法に準じて実施可能である。
金属張積層板100は、主にFPC、リジッド・フレックス回路基板などの回路基板材料として有用である。すなわち、金属張積層板100の2つの金属層101の片方又は両方を、常法によってパターン状に加工して配線層を形成することによって、本発明の一実施の形態であるFPCなどの回路基板を製造できる。この回路基板は、図示は省略するが、第1の絶縁樹脂層(P1)と、接着層(A’)と、第2の絶縁樹脂層(P2)とがこの順に積層された樹脂積層体と、この樹脂積層体の片側又は両側の面に設けられた配線層と、を備えている。
約2gのダイマージアミン組成物を200~250mLの三角フラスコに秤量し、指示薬としてフェノールフタレインを用い、溶液が薄いピンク色を呈するまで、0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液を滴下し、中和を行ったブタノール約100mLに溶解させる。そこに3~7滴のフェノールフタレイン溶液を加え、サンプルの溶液が薄いピンク色に変わるまで、0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液で攪拌しながら滴定する。そこへブロモフェノールブルー溶液を5滴加え、サンプル溶液が黄色に変わるまで、0.2mol/Lの塩酸/イソプロパノール溶液で攪拌しながら滴定する。
アミン価は、次の式(1)により算出する。
アミン価={(V2×C2)-(V1×C1)}×MKOH/m ・・・(1)
ここで、アミン価はmg-KOH/gで表される値であり、MKOHは水酸化カリウムの分子量56.1である。また、V、Cはそれぞれ滴定に用いた溶液の体積と濃度であり、添え字の1、2はそれぞれ0.1mol/Lのエタノール性水酸化カリウム溶液、0.2mol/Lの塩酸/イソプロパノール溶液を表す。さらに、mはグラムで表されるサンプル重量である。
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー株式会社製、HLC-8220GPCを使用)により測定した。標準物質としてポリスチレンを用い、展開溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用いた。
E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
3mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、サーモメカニカルアナライザー(Bruker社製、商品名;4000SA)を用い、5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度で30℃から265℃まで20℃/分の速度で昇温させ、更にその温度で10分保持した後、5℃/分の速度で冷却し、250℃から100℃までの平均熱膨張係数(熱膨張係数)を求めた。
金属張積層板を幅:8cm×長さ:4cmに切断し、測定サンプルを調製した。測定サンプルのPTFEフィルムと接着剤層の界面のピール強度は、テンシロンテスター(東洋精機製作所製、商品名;ストログラフVE-1D)を用いて、測定サンプルの銅箔面を両面テープによりアルミ板に固定し、接着剤層を180°方向に50mm/分の速度で剥離していき、PTFE層から10mm剥離したときの中央値強度を求めた。
ベクトルネットワークアナライザ(Agilent社製、商品名;E8363C)ならびにSPDR共振器を用いて、10GHzにおける樹脂シート(接着剤フィルム、樹脂積層体)の比誘電率および誘電正接を測定した。なお、測定に使用した材料は、温度;24~26℃、湿度45℃~55%RHの条件下で、24時間放置したものである。
5mm×20mmにサンプルを切り出し、動的粘弾性装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、昇温速度4℃/分で30℃から400℃まで段階的に加熱し、周波数11Hzで測定を行った。また、測定中のTanδの値が最大となる最大温度をTgとして定義した。
寸法変化率の測定は、以下の手順で行った。まず、150mm角の試験片を用い、100mm間隔にてドライフィルムレジストを露光、現像することによって、位置測定用ターゲットを形成する。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中にてエッチング前(常態)の寸法を測定した後に、試験片のターゲット以外の銅をエッチング(液温40℃以下、時間10分以内)により除去する。温度23±2℃、相対湿度50±5%の雰囲気中に24±4時間静置後、エッチング後の寸法を測定する。MD方向(長手方向)及びTD方向(幅方向)の各3箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後の寸法変化率とする。エッチング後寸法変化率は下記数式により算出した。
A;エッチング前のターゲット間距離
B;エッチング後のターゲット間距離
B;エッチング後のターゲット間距離
C;加熱後のターゲット間距離
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
m-TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
TPE-R:1,3-ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
ビスアニリン-M:1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
DDA:炭素数36の脂肪族ジアミン(クローダジャパン株式会社製、商品名;PRIAMINE1074、アミン価;205mgKOH/g、環状構造及び鎖状構造のダイマージアミンの混合物、ダイマー成分の含有量;95重量%以上)
N-12:ドデカン二酸ジヒドラジド
OP935:有機ホスフィン酸アルミニウム塩(クラリアントジャパン社製、商品名;Exolit OP935)
<接着剤層用の樹脂溶液の調製>
窒素導入管、撹拌機、熱電対、ディーンスタークトラップ、冷却管を付した500mLの4ツ口フラスコに、44.92gのBTDA(0.139モル)、75.08gのDDA(0.141モル)、168gのNMP及び112gのキシレンを装入し、40℃で30分間混合して、ポリアミド酸溶液を調製した。このポリアミド酸溶液を190℃に昇温し、4時間加熱、攪拌し、留出する水及びキシレンを系外に除去した。その後、100℃まで冷却し、112gのキシレンを加え攪拌し、更に30℃まで冷却することでイミド化を完結したポリイミド溶液1(固形分;29.5重量%、重量平均分子量;75,700)を調製した。
<絶縁樹脂層用のポリアミド酸溶液の調製>
窒素気流下で、反応層に、64.20gのm-TB(0.302モル)及び5.48gのビスアニリン-M(0.016モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、34.20gのPMDA(0.157モル)及び46.13gのBPDA(0.157モル)を添加した後、室温で3時間攪拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2(粘度;26,500cps)を調製した。
<絶縁樹脂層用のポリアミド酸溶液の調製>
69.59gのm-TB(0.328モル)、542.75gのTPE-R(1.857モル)、重合後の固形分濃度が12重量%となる量のDMAc、194.39gのPMDA(0.891モル)及び393.31gのBPDA(1.337モル)を原料組成とした以外は、合成例2と同様にしてポリアミド酸溶液3(粘度;2,650cps)を調製した。
<接着剤フィルムの調製>
ポリイミド溶液1の169.49g(固形分として50g)に1.8gのN-12(0.0036モル)及び12.5gのOP935を配合し、6.485gのNMPと19.345gのキシレンを加えて希釈して、ポリイミドワニス1を調製した。
<片面金属張積層板の調製>
銅箔1(電解銅箔、厚さ;12μm、樹脂層側の表面粗度Rz;0.6μm)の上に、ポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次にその上にポリアミド酸溶液2を硬化後の厚みが、約21μmとなるように均一に塗布し、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、その上にポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃まで段階的な熱処理を行い、イミド化を完結して、片面金属張積層板1を調製した。片面金属張積層板1の寸法変化率は、次のとおりである。なお、片面金属張積層板1で用いたポリアミド酸溶液3の硬化後の50℃における貯蔵弾性率および急勾配温度域180℃~260℃の貯蔵弾性率の最大値はそれぞれ、3.35MPa、2.71MPaであった。
MD方向(長手方向)のエッチング後寸法変化率;0.01%
TD方向(幅方向)のエッチング後寸法変化率;-0.04%
MD方向(長手方向)の加熱後寸法変化率;-0.03%
TD方向(幅方向)の加熱後寸法変化率;-0.01%
塩化第二鉄水溶液を用いて片面金属張積層板1の銅箔層をエッチング除去してポリイミドフィルム1(厚み;25μm、CTE;20ppm/K、Dk;3.40、Df;0.0029)を調製した。
<片面金属張積層板の調製>
銅箔1(電解銅箔、厚さ;12μm、樹脂層側の表面粗度Rz;0.6μm)の上に、ポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次にその上にポリアミド酸溶液2を硬化後の厚みが、約46μmとなるように均一に塗布したこと以外、作製例2と同様に片面金属張積層板2を調製した。
<片面金属張積層板の調製>
銅箔1(電解銅箔、厚さ;12μm、樹脂層側の表面粗度Rz;0.6μm)の上に、ポリアミド酸溶液3を硬化後の厚みが約2~3μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。次にその上にポリアミド酸溶液2を硬化後の厚みが、約8μmとなるように均一に塗布したこと以外、作製例2と同様に片面金属張積層板3を調製した。
表面処理を施したPTFEフィルム(縦×横×厚さ=200mm×100mm×50μm、Dk;2.1、Df;0.00029)を準備し、その両面に2枚の接着剤フィルム1を積層し、樹脂フィルム1を調製した。この樹脂フィルム1のDk及びDfはそれぞれ、2.5、0.0013であった。次に、樹脂フィルム1を介してその両面に片面金属張積層板1の絶縁樹脂層側を重ね合わせ、160℃で1時間、3.5MPaの圧力をかけて圧着して、金属張積層板1を調製した。金属張積層板1の評価結果は次の通りである。
MD方向のエッチング後寸法変化率;-0.08%
TD方向のエッチング後寸法変化率;-0.09%
MD方向の加熱後寸法変化率;0.00%
TD方向の加熱後寸法変化率;-0.01%
金属張積層板1は反りがなく、寸法変化、ピール強度も問題はなかった。また、金属張積層板1における銅箔層をエッチング除去して調製した樹脂積層体1(厚み;150μm)におけるDk及びDfはそれぞれ、2.70、0.0031であった。これらの評価結果を表1に示す。
片面金属張積層板2、片面金属張積層板3を使用したこと以外、実施例1と同様にして、金属張積層板2、3を調製した。金属張積層板2、3及び銅箔除去後の樹脂積層体2,3の評価結果を表1に示す。
表面処理したPTFEフィルムの両面に銅箔1を重ね合わせ、330℃で1時間、3.5MPaの圧力をかけて圧着したが剥離した。
表面処理したPTFEフィルムの両面に片面金属張積層板1を重ね合わせ、330℃で1時間、3.5MPaの圧力をかけて圧着したが剥離した。
Claims (9)
- ポリテトラフルオロエチレン層と、
前記ポリテトラフルオロエチレン層の片側に積層された第1接着剤層と、
前記ポリテトラフルオロエチレン層の前記第1接着剤層とは反対側に積層された第2接着剤層と、
を備えた樹脂フィルムであって、
前記第1接着剤層及び前記第2接着剤層が、樹脂成分としてポリイミドを含有し、
前記ポリイミドがテトラカルボン酸無水物成分から誘導される酸無水物残基及びジアミン成分から誘導されるジアミン残基を含有するとともに、全ジアミン残基に対し、ダイマー酸の二つの末端カルボン酸基が1級アミノメチル基又はアミノ基に置換されてなるダイマー酸由来のジアミンから誘導されるジアミン残基を50モル%以上含有するものであり、
前記第1接着剤層及び前記第2接着剤層の50℃における貯蔵弾性率が、それぞれ独立に1800MPa以下であり、180~260℃における貯蔵弾性率の最大値が、それぞれ独立に800MPa以下であることを特徴とする樹脂フィルム。 - 樹脂フィルム全体の10GHzにおける誘電正接が0.0016以下である請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 前記第1接着剤層及び前記第2接着剤層は、それぞれガラス転移温度(Tg)が180℃以下である請求項1に記載の樹脂フィルム。
- 前記ポリテトラフルオロエチレン層の厚みをTFE、前記第1接着剤層の厚みをTB1、前記第2接着剤層の厚みをTB2としたとき、以下の関係を有する請求項1に記載の樹脂フィルム。
0.15 ≦(TB1+TB2)/(TFE+TB1+TB2)≦ 0.70 - 第1金属層と、前記第1金属層の少なくとも片側の面に積層された第1絶縁樹脂層と、を有する第1片面金属張積層板と、
第2金属層と、前記第2金属層の少なくとも片側の面に積層された第2絶縁樹脂層と、を有する第2片面金属張積層板と、
前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層に当接するように配置されて、前記第1片面金属張積層板と前記第2片面金属張積層板との間に積層された中間樹脂層と、を備えた金属張積層板であって、
前記中間樹脂層が、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂フィルムからなることを特徴とする金属張積層板。 - 前記第1絶縁樹脂層と前記中間樹脂層と前記第2絶縁樹脂層の合計厚みT1が50~500μmの範囲内であり、かつ、前記合計厚みT1に対する前記中間樹脂層の厚みT2の比率(T2/T1)が0.50~0.90の範囲内である請求項5に記載の金属張積層板。
- 前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層は、共に、熱可塑性ポリイミド層、非熱可塑性ポリイミド層及び熱可塑性ポリイミド層がこの順に積層された多層構造を有し、
前記中間樹脂層は、2つの前記熱可塑性ポリイミド層に接して設けられている請求項5に記載の金属張積層板。 - 第1配線層と、前記第1配線層の少なくとも片側の面に積層された第1絶縁樹脂層と、を有する第1回路基板と、
第2配線層と、前記第2配線層の少なくとも片側の面に積層された第2絶縁樹脂層と、を有する第2回路基板と、
前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層に当接するように配置されて、前記第1回路基板と前記第2回路基板との間に積層された中間樹脂層と、を備えた回路基板であって、
前記中間樹脂層が、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂フィルムからなることを特徴とする回路基板。
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