JP7610105B2 - ゴム配合の設計方法およびシステム - Google Patents

ゴム配合の設計方法およびシステム Download PDF

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本発明は、ゴム配合の設計方法およびシステムに関し、さらに詳しくは、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を、精度よく簡便に把握できるゴム配合の設計方法およびシステムに関するものである。
加硫ゴムは、未加硫ゴムを加硫することで製造される。未加硫ゴムは、複数種類の配合成分がそれぞれ、特定の配合量で配合されて成形されている。それぞれの配合成分の配合量を異ならせることで、製造される加硫ゴムのゴム物性を変化させることができる。換言すると、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムを製造するには、ゴム配合(それぞれの配合成分の配合量)を目標とするゴム物性に応じて適切に設定する必要がある。
従来、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムを製造するには例えば、まず、ゴム配合を異ならせて複数種類の未加硫ゴムを成形し、それぞれの未加硫ゴムを加硫した加硫ゴムを製造する。次いで、製造した複数種類の加硫ゴムのゴム物性を測定して、目標とするゴム物性と近似するゴム物性を有する加硫ゴムを特定する。その特定した加硫ゴムのゴム配合を参照することで、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を把握していた。この方法を用いて適切なゴム配合を把握するには多大な試行錯誤を伴う。
近年、機械学習を利用して所定の特性を有する製品の製造レシピの設計支援をする装置および方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1で提案されている装置および方法は、対象にする製品をゴムに特化していないため、ゴム製品に適用するには、ゴムに特有の考慮をする必要がある。また、この提案の装置および方法では、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を精度よく把握するには、演算処理の負荷が過大になるおそれがあるため、この負荷の軽減化を図る必要がある。それ故、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を、精度よく簡便に把握するは改善の余地がある。
特開2019-86817号公報
本発明の目的は、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を、精度よく簡便に把握できるゴム配合の設計方法およびシステムを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のゴム配合の設計方法は、複数種類のゴム物性データの目標値を満足する加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量が設定された配合データを把握するゴム配合の設計方法において、前記配合データを異ならせた多数種類の未加硫ゴムを加硫して製造されたそれぞれの前記加硫ゴムの前記複数種類のゴム物性データを取得し、それぞれの前記配合データと、取得したそれぞれのゴム物性データと、それぞれの前記加硫ゴムの加硫条件データとを学習データとして、所定の制約条件データにより設定された制約条件下で、前記学習データに基づいて敵対的生成ネットワークを利用して構築された配合生成モデルを用いて、演算装置により演算処理することによって、前記制約条件データによる制約を満たすとともに、それぞれの前記ゴム物性データの目標値を満足すると判定され、かつ、前記学習データの配合データとは異なる配合データの候補を複数生成し、前記学習データに基づいて機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成したそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データを算出し、算出したそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データを、それぞれの前記候補の中から選択することを特徴とする。
本発明のゴム配合の設計システムは、演算装置と、前記演算装置にデータを入力する入力部と、前記演算装置と通信可能に接続された出力部とを有して、複数種類のゴム物性データの目標値を満足する加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量が設定された配合データを把握するゴムの配合設計システムにおいて、
前記配合データを異ならせた多数種類の未加硫ゴムを加硫して製造されたそれぞれの前記加硫ゴムの前記複数種類のゴム物性データと、それぞれの前記配合データと、それぞれの前記加硫ゴムの加硫条件データとを学習データにして、所定の制約条件データにより設定された制約条件下で、前記学習データに基づいて敵対的生成ネットワークを利用して構築された配合生成モデルを用いて、演算装置により演算処理することによって、前記制約条件データによる制約を満たすとともに、それぞれの前記ゴム物性データの目標値を満足すると判定され、かつ、前記学習データの配合データとは異なる配合データの候補が複数生成されて、前記学習データに基づいて機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成されたそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データが算出され、算出されたそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データが、それぞれの前記候補の中から選択されて前記出力部により出力されることを特徴とする。
本発明によれば、所定の制約条件データにより設定された制約条件下で、前記学習データに基づいて敵対的生成ネットワークを利用して構築された前記配合生成モデルを用いることで、前記制約条件データによる制約を満たすとともに、それぞれの前記ゴム物性データの目標値を満足すると判定され、かつ、前記学習データの配合データとは異なる配合データの候補が複数生成される。即ち、前記候補となる配合データが所定の制約条件下で生成されるので、前記候補となる配合データを生成するための演算処理の負担が軽減される。また、それぞれの前記候補の前記配合データと、前記対象加硫ゴムの加硫条件データとに基づいて、前記予測モデルを用いて演算処理することで、前記対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データを精度よく算出することができる。その結果、それぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に高い精度で近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データを簡便に把握することができる。
本発明のゴム配合の設計システムを例示する説明図である。 学習データを例示する説明図である。 配合データの候補を生成する配合生成モデルの説明図である。 ゴム物性データが目標値に近似する対象加硫ゴムの配合データを把握する手順を例示するフロー図である。
以下、本発明のゴム配合の設計方法およびシステムを、図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
図1に例示する本発明のゴム配合の設計システム1を用いて、本発明のゴム配合の設計方法が実施される。加硫ゴムGは未加硫ゴムRを加硫することで製造されている。加硫ゴムG(未加硫ゴムR)は、複数種類の配合成分C(C1、C2、・・・Cn)がそれぞれ、特定の配合量で配合されて形成されている。本発明は、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムGのゴム配合(それぞれの配合成分の配合量)を精度よく簡便に把握するために工夫して創作されている。
この設計システム1は、演算装置2と入力部3と出力部4とを有している。演算装置2と入力部3および出力部4とは有線または無線により通信可能に接続されている。この実施形態では、設計システム1はさらに測定装置5を有している。測定装置5により取得されたデータは入力部3を通じて演算装置2に入力される。測定装置5は、設計システム1とは独立別個にして、測定装置5によって取得されたデータが演算装置2に入力される構成にしてもよい。
演算装置2は、種々のデータが入力、記憶され、これらデータを用いて演算処理を行う。演算装置2としては、種々のコンピュータを用いることができる。したがって、演算装置2は、種々のデータが記憶されるメモリと、演算処理を行うCPUを有している。
入力部3は、演算装置2に種々のデータを入力する入力手段である。入力部3としては、キーボード、マウス、各種端末機器や、演算装置2に設けられたインターフェースなどを例示できる。
出力部4は、演算装置2に入力された種々のデータ、これらデータを用いて演算処理された演算結果(数値、表、図面など)を表示する出力手段である。出力部4としては、各種のモニタやプリンタを例示できる。
測定装置5は、加硫ゴムGのゴム物性データD2を測定、取得する手段である。このゴム物性データD2の種類としては、tanδ(損失係数)、硬度、破断強度、破断伸び、300%モジュラス、比重、加硫速度T95など、公知の種々のゴム物性を例示できる。本発明では、所望の複数種類のゴム物性データD2が使用される。測定装置5には、それぞれのゴム物性データD2の測定に対応した公知の装置が用いられて、公知の方法(対応するJIS規格など)に準じた方法によってそれぞれのゴム物性データD2が測定、取得される。尚、加硫速度T95とは、振動式ディスク加硫試験機を使用して得られるトルクと加硫時間との加硫曲線から求める最大トルクの95%迄の加硫時間である。
本発明では、図2に例示する学習データを使用する。この学習データは、配合データD1を異ならせて製造された多数種類の加硫ゴムG(G1,G2,・・・)の配合データD1と、所望の複数種類のゴム物性データD2と、それぞれの加硫ゴムGの加硫条件データD3とを有している。図2には4種類の加硫ゴムのデータのみ記載しているが、実際には極めて多数種類の加硫ゴムGのデータが学習データとなる。配合データD1は、それぞれの配合成分Cの配合量を特定するデータである。学習データは、それぞれの配合データD1を規定するパラメータ(α、β、・・・)が設定されている。このパラメータ値は、配合データD1に変換可能な数値であり、パラメータ値が判明すれば配合データD1も判明する。演算にはこのパラメータ値が使用される。
学習データを取得するには、それぞれの配合成分Cの配合量が設定された配合データD1に基づいて未加硫ゴムRを成形する。その際に、配合データD1を異ならせた多数種類の未加硫ゴムRを成形する。配合データD1を異ならせるとは、それぞれの配合成分Cの少なくとも1種類の配合量を異ならせることを意味する。特定の配合成分Cの配合量がゼロの場合もあるので、この場合は使用される配合成分Cの種類を異ならせることになる。
次いで、成形したそれぞれの未加硫ゴムRを所定の加硫条件で加硫して加硫ゴムGを製造する。即ち、配合データD1を異ならせた多数種類の加硫ゴムGを製造する。それぞれの配合成分Cの配合量は、加硫ゴムGのゴム物性データD2に影響を与えるが、その影響具合は配合成分Cの種類および配合量によって相違する。
加硫条件としては、加硫温度、加硫圧力、加硫時間等を例示できる。これらの加硫条件を示す指標が加硫条件データD3となる。加硫条件は、その未加硫ゴムRに対して加硫過不足がない適切な条件に設定される。加硫条件データD3もゴム物性データD2に影響を与える。実験室レベルで加硫ゴムGを製造する場合は、例えば、統一された加硫条件によって加硫を行うようにして、すべての加硫ゴムGに対する加硫条件を一定に設定することもできる。これにより、加硫ゴムGのゴム物性データD2に対する加硫条件データD3の違いによる影響を実質的に排除できる。
次いで、製造したそれぞれの加硫ゴムGのゴム物性データD2を、測定装置5を用いて測定、取得する。上記に例示した多数種類のゴム物性データD2から所望の複数種類のゴム物性データD2が測定、取得される。ゴム製品の製造業者であれば、従来から蓄積されている膨大なこれらデータD1、D2、D3を学習データとして有効に利用することができる。
本発明では、条件付き敵対的生成ネットワーク(Conditional Generative Adversarial Nets、以下CGANという)を利用して構築された配合生成モデルGMを利用する。この配合生成モデルGMは、加硫ゴムGが所望の複数種類のゴム物性に対して目標値D2aを満足すると判断され、かつ、学習データとは異なる配合データD1(配合成分Cの組み合わせや配合量が異なるデータ)の候補を生成するコンピュータプログラムの一種である。
さらに本発明では、学習データに基づいて機械学習されることで構築された予測モデルPMを利用する。この予測モデルPMは、所定の加硫条件で対象未加硫ゴムRaを加硫して製造される対象加硫ゴムGaの所望の複数種類のゴム物性データD2を予測するためのコンピュータプログラムの一種である。
次に、配合生成モデルGMを構築する手順の一例を説明する。
図3に例示するように、配合生成モデルGMを一般化すると、生成部と識別部とを有する公知のCGANを利用して構築される。生成部は学習データの本物のサンプル(x)に対して偽のサンプル(x*)を生成する。生成部には乱数ベクトルZと所定の制約条件データDyが入力される。この入力に対して生成部は、制約条件データDyによる制約をラベルyとして、制約条件データDyによる制約を満足する偽のサンプル(x*|y,y)を出力する。即ち、生成部は偽のサンプル(x*)とラベルyの組み合わせを出力する。識別部には、生成部により生成されたこの組み合わせ(x*|y,y)と、学習データのサンプル(x)と制約されたラベルyの組み合わせ(x,y)とが入力される。
識別部は、入力された(x*|y,y)と(x,y)とが、本物のサンプルxとラベルyの組み合わせ(x,y)か否かを判定し、その判定結果で誤差逆伝播により生成部と識別部は調教される(重みが変更される)。生成器を調教するときは識別機の重みが固定され、識別機を調教するときは生成器の重みが固定される。生成部が生成した組み合わせ(x*|y,y)と学習データの組み合わせ(x,y)とを識別部が判定するプロセスを繰り返し行い、識別部と生成部の調教はミニバッチ1セットずつ交互に行われる。このプロセスを繰り返し行うことにより、識別部は、学習データの組み合わせ(x,y)により存在しそうな組み合わせ(x*|y,y)を生成部が生成しても、正しい判定をすることができるように判定精度を向上させる。生成部は、生成した組み合わせ(x*|y,y)が識別部によって学習データの組み合わせ(x,y)であるとより高い確率で判定される組み合わせ(x*|y,y)を生成できるように生成精度を向上させる。このようにして、生成部および識別部が十分に調教されて配合成形モデルGMは構築される。
制約条件データDyは任意に設定することができるが、配合成分Cの数、ゴム成分の種類数などを例示できる。本発明では、学習データの配合データD1が取りうる範囲が標本空間となって配合データD1の候補が、乱数ベクトルZの発生回数だけ生成される。生成部には、学習データから所望の複数種類のゴム物性データD2の数値(物性値)と、制約条件データDyと、乱数ベクトルZの発生回数とが入力される。それぞれのゴム物性データD2の数値の入力に基づいて、生成部は設定されている重みに従って配合データD1(パラメータ値)を算出して生成する。生成される配合データD1は制約条件データDyを満足したデータである。識別部には、生成部からは生成部が生成した配合データD1(パラメータ値)が入力され、学習データからは学習データが有している配合データD1(パラメータ値)が入力される。識別部は、生成部が生成した配合データD1(即ち、偽のサンプル)が学習データの有する配合データD1(即ち、本物のサンプル)と近似しているか否かを判定する。このプロセスを繰り返し行って、上述したように、生成部および識別部が十分に調教された配合成形モデルGMが構築される。
構築された配合生成モデルGMは演算装置2に記憶される。CGANを利用して構築された配合生成モデルGMを用いることで、所定の制約条件データDyで設定された制約を満足し、所望の複数種類のゴム物性データD2の目標値D2aを満足すると判定された配合データD1の候補が生成される。この生成される候補の配合データD1は、学習データに存在する配合データD1とは異なっている。
次に、予測モデルPMを構築する手順の一例を説明する。
上述した学習データを用いて機械学習させることで、対象加硫ゴムGaのゴム物性データD2を予測する予測モデルPMを構築する。具体的には、上記データD1、D2、D3を演算装置2に入力して、これらデータD1、D2、D3を用いて機械学習させる。即ち、それぞれのゴム物性データD2と、配合データD1および加硫条件データD3との関係を紐付けして、製造される加硫ゴムGのそれぞれのゴム物性データD2に対する配合データD1および加硫条件データD3の影響具合が分析、評価されて予測モデルPMが構築される。配合データD1に関していえば、配合成分Cの種類および配合量のゴム物性データD2に対する影響具合が分析、評価される。
上述したそれぞれのデータD1、D3の要因が複雑に影響し合って加硫ゴムGaのゴム物性データD2が変化する。それ故、データD1、D2、D3を学習データとして用いて、データD1とD3との組み合わせ、データD1でのそれぞれの配合成分Cの組合せ、それぞれの配合成分Cの配合量の違いなどによるデータD2(ゴム物性データ)の相違程度やそれぞれの場合におけるデータD2の特徴を機械学習させることで、予測モデルPMを構築することが可能になる。機械学習の手法としては、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングなど公知の手法を例示できる。ディープラーニングでは、公知の手法で入力層と複数の中間層と出力層との多層構造にして、各層の間でノード間に重みを設定して結び付けたネットワークを使用する。そして、それぞれのゴム物性データD2に影響する配合データD1、加硫条件データD3を入力層から入力して、ゴム物性データD2の予測値を出力層に出力する。算出した予測値とそれぞれのゴム物性データD2の実測値とを比較して両者の誤差を小さくするようにそれぞれの重みを変更する。これにより、予測精度を向上させた予測モデルPMを構築する。構築された予測モデルPMは、演算装置2に記憶される。
次いで、目標とするゴム物性を有する対象加硫ゴムGaのゴム配合D1を把握する手順の一例を説明する。即ち、所望の複数種類のゴム物性データD2に対して設定されたそれぞれの目標値D2aを満足するゴム物性を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1を把握する手順を例示する。
主な手順は図4に例示するとおりである。まず、入力部3を用いて必要なデータを演算装置2に入力する。入力するデータは、下記の表1に例示している対象加硫ゴムGaに対するゴム物性データD2の目標値D2a、下記の表2に例示している対象加硫ゴムGaに対する制約条件データDy、下記表3に例示している対象加硫ゴムGaに対する加硫条件データD3である。
Figure 0007610105000001
表1に例示するように、ゴム物性データD2の目標値D2aは、所望の複数種類のゴム物性データD2に対して設定される。この事例では、所望の複数種類のゴム物性データD2として、60℃でのtanδ(初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz)、0℃での硬度HS、300%モジュラス、加硫速度T95、比重の5種類が設定されているが、これに限定されず所望の種類のゴム物性データD2が採用される。
Figure 0007610105000002
表2に例示するように、制約条件データDyは、対象加硫ゴムGaの配合成分Cの数と、配合成分Cの中のゴム成分の種類数を設定している。制約条件データDyは、ここで例示する種類に限らず、必要に応じた種類が使用される。
Figure 0007610105000003
表3に例示するように、加硫条件データD3は、加硫温度と加硫時間の種類が設定されている。学習データの加硫条件データD3が統一されていて、この統一された加硫条件で配合データD1を把握するならば、加硫条件データD3を省略することもできる。
演算装置2には、上述した入力データに加えて、乱数ノイズZを発生させる回数(所望の複数回)を入力する。演算装置2は、入力された制約条件データDyとゴム物性データD2の目標値D2aに基づいて、構築された配合生成モデルGMを用いて、制約条件データDyの制約を満足し、所望の複数種類のゴム物性データD2の目標値D2aを満足すると判定される配合データD1を、乱数ノイズZの発生数だけ生成する。生成されるそれぞれの配合データD1は、学習データとは異なる配合データD1である。
次いで、生成されたそれぞれの候補の配合データD1と、対象加硫ゴムGaの加硫条件データD3(対象未加硫ゴムRaを加硫する際の加硫条件データD3)とを予測モデルPMに入力して、予測モデルPMを実行させる演算処理を行う。予測モデルPMは、入力された配合データD1と加硫条件データD3とに基づいて、その配合データD1で形成される対象加硫ゴムGaのそれぞれのゴム物性データD2を予測して算出する。
算出されたそれぞれのゴム物性データD2は、それぞれに設定された目標値D2aと比較されて、近似していると設定されている許容範囲か否かが演算装置2により判断される。この許容範囲は任意に設定することができるが、例えば、目標値D2aに対して±5%、或いは、±2%程度の範囲である。生成されたすべての候補の配合データD1の中から、それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aに近似していると判断された配合データD1が演算装置2により選択される。選択される配合データD1は1つに限らず、複数の場合もある。
下記の表4に例示するように、選択された対象加硫ゴムGaの配合データD1は、出力4に出力される。出力部4がモニタ類であればこの配合データD1が表示され、出力部4がプリンタ類であればこの配合データD1が印刷される。
Figure 0007610105000004
表4に記載された配合データD1は、制約条件Dyを満足し、この配合データD1で形成されて、入力された加硫条件データD3の加硫条件で加硫された対象加硫ゴムGaは、表1に記載されたそれぞれのゴム物性データD2の目標値D2aを満足していると予測されている。
表1~4に示したデータは、実例に即したデータであり、表4の配合データD1の対象未加硫ゴムRaを、表3の加硫条件データD2に基づいて加硫して対象加硫ゴムGaを製造した。製造した対象加硫ゴムGaのゴム物性データD2を測定し、その実測値と表1に示す目標値D2aとを比較した結果を表5に示す。表5に示すように、本発明を用いることで、所望の複数のゴム物性を概ね満足する対象加硫ゴムGaの配合データD1を把握できることが確認できた。
Figure 0007610105000005
上述したように本発明では、候補となる配合データD1が、制約条件データDyによって設定されている制約下で限定して生成される。そのため、候補となる配合データD1を生成するための演算処理の負担が小さい。また、生成される候補の配合データD1は、学習データには存在しないので、新たな配合データD1を把握できる。
また、配合生成モデルGMを用いて生成されたそれぞれの候補の配合データD1と、対象加硫ゴムGaの加硫条件データD3とに基づいて、上述した予測モデルPMを用いて演算処理することで、対象加硫ゴムGaのそれぞれのゴム物性データD2を精度よく算出することができる。その結果、それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aに高い精度で近似する対象加硫ゴムGaの配合データD1を簡便に把握することができる。しかも、把握できる配合データD1は学習データには存在していない新たな配合データD1なので、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムの開発作業や改良作業の効率化に大きく寄与する。
それぞれの配合データD1の候補を生成する際には、配合データD1のゴム成分の合計の配合量を100phr(100質量部)に補正することが望ましい。表4では、ゴム成分(NR、BR)の合計の配合量を100phrに補正して、その他のそれぞれの配合成分Cの配合量が記載されている。配合データD1の候補を生成する際に、このように配合データD1を補正することで、それぞれの配合成分Cの配合量を把握し易くなる。
それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aに近似していると判断されて選択される対象加硫ゴムGaの配合データD1が複数存在する場合は、それぞれの配合データD1を以下の順序にして出力部4により出力することができる。
例えば、選択されるそれぞれの配合データD1を、ゴム物性データD2の種類毎に、それぞれの配合データD1で形成される対象加硫ゴムGaのゴム物性データD2が目標値D2aに近似する順にして、出力部4により出力する。詳述すると、それぞれの配合データD1により形成される対象加硫ゴムGaが有するそれぞれのゴム物性データD2を、それぞれのゴム物性データD2の種類毎に目標値D2aと比較する。比較した両者の差異が最も小さくなるゴム物性データD2を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1を1位に順位付けする。両者の差異が2番目、3番目に小さくなるゴム物性データD2を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1をそれぞれ、2位、3位に順位付けする。ゴム物性データD2の種類によって、この順位付けは変わることもある。それぞれの配合データD1を、このように順位付けした順位にして出力部4により出力する。このように順位付けすることで、それぞれのゴム物性データD2の種類毎の目標値D2aとの近似具合を指標として、それぞれの配合データD1の優位性を把握し易くなる。
或いは、選択されるそれぞれの配合データD1を、ゴム物性データD2の種類に対して設定されている優先度の重み付けに基づいて決定されるそれぞれの配合データD1で形成される対象加硫ゴムGaのそれぞれのゴム物性データD2の目標値D2aに対する近似度の評価が高い順にして、出力部4により出力する。例えば、tanδ@60℃のゴム物性データD2に対して優先度の重み付けが大きい係数k1、硬度HC@20℃のゴム物性データD2に対して優先度の重み付けが小さい係数k2が設定されている場合で説明する。係数k1、k2は数値が大きい程、優先度が高いことを意味する。そして、tanδ@60℃のゴム物性データD2が目標値D2aに対する近似具合を示す近似係数n1、硬度HC@20℃のゴム物性データD2が目標値D2aに対する近似係数n2である場合、これらのゴム物性データD2を有する対象加硫ゴムGaの近似度の評価は、係数k1×近似係数n1+係数k2×近似係数n2により算出される。近似係数n1、n2は数値が大きい程、目標値D2aに近似していることを意味する。そして、選択されるそれぞれの配合データD1を、それぞれの配合データD1により形成される対象加硫ゴムGaの近似度の評価が高い順に順位付けして出力部4により出力する。このように順位付けすることで、それぞれのゴム物性データD2の優先度の重み付けを考慮したそれぞれの配合データD1の優位性を把握し易くなる。
選択されるそれぞれの配合データD1を、それぞれの配合データD1に基づいて算出される単位重量当たりの材料コストの低い順に、出力部4により出力することもできる。詳述すると、それぞれの配合成分Cの単位重量当たりのコストを把握しておき、この把握した配合成分C毎のコストと、それぞれの配合データD1でのそれぞれの配合成分Cの配合量とに基づいて、それぞれの配合データD1の単位重量当たりの材料コストを算出する。この算出結果に基づいて、それぞれの配合データD1を順位付けして出力部4に出力する。このように順位付けすることで、それぞれの配合データD1の材料コストの優位性を把握し易くなる。
1 ゴム配合の設計システム
2 演算装置
3 入力部
4 出力部
5 測定装置
PM 予測モデル
GM 配合生成モデル
D1 配合データ
Dy 制約条件データ
D2 ゴム物性データ
D2a 目標値
D3 加硫条件データ
R 未加硫ゴム
Ra 対象未加硫ゴム
G 加硫ゴム
Ga 対象加硫ゴム
C(C1、C2・・・Cn) 配合成分

Claims (7)

  1. 複数種類のゴム物性データの目標値を満足する加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量が設定された配合データを把握するゴム配合の設計方法において、
    前記配合データを異ならせた多数種類の未加硫ゴムを加硫して製造されたそれぞれの前記加硫ゴムの前記複数種類のゴム物性データを取得し、それぞれの前記配合データと、取得したそれぞれのゴム物性データと、それぞれの前記加硫ゴムの加硫条件データとを学習データとして、
    所定の制約条件データにより設定された制約条件下で、前記学習データに基づいて敵対的生成ネットワークを利用して構築された配合生成モデルを用いて、演算装置により演算処理することによって、前記制約条件データによる制約を満たすとともに、それぞれの前記ゴム物性データの目標値を満足すると判定され、かつ、前記学習データの配合データとは異なる配合データの候補を複数生成し、
    前記学習データに基づいて機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成したそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データを算出し、算出したそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データを、それぞれの前記候補の中から選択することを特徴とするゴムの配合設計方法。
  2. 前記制約条件データを、前記配合成分の数または、前記配合成分中のゴム成分の種類数とする請求項1に記載のゴム配合設計方法。
  3. 選択した前記配合データが複数の場合、選択したそれぞれの前記配合データを、前記ゴム物性データの種類毎に、それぞれの前記配合データで形成される前記対象加硫ゴムの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する順にして、出力部により出力する請求項1または2に記載のゴムの配合設計方法。
  4. 選択した前記配合データが複数の場合、選択したそれぞれの前記配合データを、前記ゴム物性データの種類に対して設定されている優先度の重み付けに基づいて決定されるそれぞれの前記配合データで形成される前記対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データの前記目標値に対する近似度の評価が高い順にして、出力部により出力する請求項1または2に記載のゴムの配合設計方法。
  5. 選択した前記配合データが複数の場合、選択したそれぞれの前記配合データを、それぞれの前記配合データに基づいて算出される単位重量当たりの材料コストの低い順に、出力部により出力する請求項1または2に記載のゴムの配合設計方法。
  6. 前記配合データの前記候補を生成する際に、前記配合データのゴム成分の合計の配合量を100phrに補正する請求項1~5のいずれかに記載のゴムの配合設計方法。
  7. 演算装置と、前記演算装置にデータを入力する入力部と、前記演算装置と通信可能に接続された出力部とを有して、複数種類のゴム物性データの目標値を満足する加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量が設定された配合データを把握するゴムの配合設計システムにおいて、
    前記配合データを異ならせた多数種類の未加硫ゴムを加硫して製造されたそれぞれの前記加硫ゴムの前記複数種類のゴム物性データと、それぞれの前記配合データと、それぞれの前記加硫ゴムの加硫条件データとを学習データにして、
    所定の制約条件データにより設定された制約条件下で、前記学習データに基づいて敵対的生成ネットワークを利用して構築された配合生成モデルを用いて、演算装置により演算処理することによって、前記制約条件データによる制約を満たすとともに、それぞれの前記ゴム物性データの目標値を満足すると判定され、かつ、前記学習データの配合データとは異なる配合データの候補が複数生成されて、
    前記学習データに基づいて機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成されたそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データが算出され、算出されたそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データが、それぞれの前記候補の中から選択されて前記出力部により出力されることを特徴とするゴムの配合設計システム。
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