JP7620188B2 - ゴム配合の設計方法およびシステム - Google Patents

ゴム配合の設計方法およびシステム Download PDF

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Description

本発明は、ゴム配合の設計方法およびシステムに関し、さらに詳しくは、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を、精度よく簡便に把握できるゴム配合の設計方法およびシステムに関するものである。
加硫ゴムは、未加硫ゴムを加硫することで製造される。未加硫ゴムは、複数種類の配合成分がそれぞれ、特定の配合量で配合されて成形されている。それぞれの配合成分の配合量を異ならせることで、製造される加硫ゴムのゴム物性を変化させることができる。換言すると、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムを製造するには、ゴム配合(それぞれの配合成分の配合量)を目標とするゴム物性に応じて適切に設定する必要がある。
従来、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムを製造するには例えば、まず、ゴム配合を異ならせて複数種類の未加硫ゴムを成形し、それぞれの未加硫ゴムを加硫した加硫ゴムを製造する。次いで、製造した複数種類の加硫ゴムのゴム物性を測定して、目標とするゴム物性と近似するゴム物性を有する加硫ゴムを特定する。その特定した加硫ゴムのゴム配合を参照することで、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を把握していた。この方法を用いて適切なゴム配合を把握するには多大な試行錯誤を伴う。
近年、機械学習を利用して所定の特性を有する製品の製造レシピの設計支援をする装置および方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1で提案されている装置および方法は、対象にする製品をゴムに特化していないため、ゴム製品に適用するには、ゴムに特有の考慮をする必要がある。また、この提案の装置および方法では、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を精度よく把握するには、演算処理の負荷が過大になるおそれがあるため、この負荷の軽減化を図る必要がある。それ故、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を、精度よく簡便に把握するは改善の余地がある。
特開2019-86817号公報
本発明の目的は、目標とするゴム物性に適合するゴム配合を、精度よく簡便に把握できるゴム配合の設計方法およびシステムを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のゴム配合の設計方法は、加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量の指定範囲が設定された配合指定データと、前記加硫ゴムの複数種類のゴム物性データの目標値とを演算装置に入力し、前記配合指定データに基づいて前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記配合成分の配合量が特定され、かつ、前記配合指定データにより設定された前記指定範囲を満足する配合データの候補を複数生成し、機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成したそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データを算出し、算出したそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データを、それぞれの前記候補の中から選択することを特徴とする。
本発明のゴム配合の設計システムは、演算装置と、前記演算装置にデータを入力する入力部と、前記演算装置と通信可能に接続された出力部とを有するゴムの配合設計システムにおいて、加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量の指定範囲が設定された配合指定データと、前記加硫ゴムの複数種類のゴム物性データの目標値とが前記演算装置に入力されて、前記配合指定データに基づいて前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記配合成分の配合量が特定され、かつ、前記配合指定データにより設定された前記指定範囲を満足する配合データの候補が複数生成され、機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成されたそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データが算出され、算出されたそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データが、それぞれの前記候補の中から選択されて前記出力部により出力されることを特徴とする。
本発明によれば、加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量の指定範囲が設定された配合指定データに基づいて、それぞれの前記配合成分の配合量が特定され、かつ、前記指定範囲を満足する配合データの候補が、前記演算装置による演算処理によって複数生成される。即ち、前記候補となる前記配合データが前記指定範囲を満足する制約条件下で生成されるので、前記候補となる配合データを生成するための演算処理や前記予測モデルを用いた演算処理の負担が軽減される。また、前記予測モデルを用いて、生成されたそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することで、前記対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データを精度よく算出することができる。その結果、それぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に高い精度で近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データを簡便に把握することができる。
本発明のゴム配合の設計システムを例示する説明図である。 ゴム物性データが目標値に近似する対象加硫ゴムの配合データを把握する手順を例示するフロー図である。
以下、本発明のゴム配合の設計方法およびシステムを、図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
図1に例示する本発明のゴム配合の設計システム1を用いて、本発明のゴム配合の設計方法が実施される。加硫ゴムGは未加硫ゴムRを加硫することで製造されている。加硫ゴムG、未加硫ゴムRは、複数種類のそれぞれの配合成分C(C1、C2、・・・Cn)が特定の配合量で配合されて形成されている。本発明は、目標とするゴム物性を有する加硫ゴムG(対象加硫ゴムGa)のゴム配合、即ち、加硫ゴムGを形成するそれぞれの配合成分Cの配合量を精度よく簡便に把握するために工夫をして創作されている。
この設計システム1は、演算装置2と入力部3と出力部4とを有している。演算装置2と入力部3および出力部4とは有線または無線により通信可能に接続されている。この実施形態では、設計システム1はさらに測定装置5を有している。測定装置5により取得されたデータは入力部3を通じて演算装置2に入力される。測定装置5は、設計システム1とは独立別個にして、測定装置5によって取得されたデータが演算装置2に入力される構成にしてもよい。
演算装置2は、種々のデータが入力、記憶され、これらデータを用いて演算処理を行う。演算装置2としては、種々のコンピュータを用いることができる。したがって、演算装置2は、種々のデータが記憶されるメモリと、演算処理を行うCPUを有している。
入力部3は、演算装置2に種々のデータを入力する入力手段である。入力部3としては、キーボード、マウス、各種端末機器や、演算装置2に設けられたインターフェースなどを例示できる。
出力部4は、演算装置2に入力された種々のデータ、これらデータを用いて演算処理された演算結果(数値、表、図面など)を表示する出力手段である。出力部4としては、各種のモニタやプリンタを例示できる。
測定装置5は、加硫ゴムGのゴム物性データD2を測定、取得する手段である。このゴム物性データD2の種類としては、tanδ(損失係数)、硬度、破断強度、破断伸び、300%モジュラス、比重など、公知の種々のゴム物性を例示できる。本発明では、所望の複数種類のゴム物性データD2が使用される。測定装置5には、それぞれのゴム物性データD2の測定に対応した公知の装置が用いられて、公知の方法(対応するJIS規格など)に準じた方法によってそれぞれのゴム物性データD2が測定、取得される。
本発明では、機械学習により構築された予測モデルPMを利用する。この予測モデルPMは、所定の加硫条件で対象未加硫ゴムRaを加硫して製造される対象加硫ゴムGaの所望の複数種類のゴム物性データD2を予測するためのコンピュータプログラムの一種である。この予測モデルPMを構築する手順の一例を説明する。
まず、それぞれの配合成分Cの配合量が設定された配合データD1に基づいて未加硫ゴムRを成形する。その際に、配合データD1を異ならせた多数種類の未加硫ゴムRを成形する。配合データD1を異ならせるとは、それぞれの配合成分Cの少なくとも1種類の配合量を異ならせることを意味する。特定の配合成分Cの配合量がゼロの場合もあるので、この場合は使用される配合成分Cの種類を異ならせることになる。
次いで、成形したそれぞれの未加硫ゴムRを所定の加硫条件で加硫して加硫ゴムGを製造する。即ち、配合データD1を異ならせた多数種類の加硫ゴムGを製造する。それぞれの配合成分Cの配合量は、加硫ゴムGのゴム物性データD2に影響を与えるが、その影響具合は配合成分Cの種類および配合量によって相違する。
加硫条件としては、加硫温度、加硫圧力、加硫時間等を例示できる。これらの加硫条件を示す指標が加硫条件データD3となる。加硫条件は、その未加硫ゴムRに対して加硫過不足がない適切な条件に設定される。加硫条件データD3もゴム物性データD2に影響を与える。実験室レベルで加硫ゴムGを製造する場合は、例えば、統一された加硫条件によって加硫を行うようにして、すべての加硫ゴムGに対する加硫条件を一定に設定することもできる。これにより、加硫ゴムGのゴム物性データD2に対する加硫条件データD3の違いによる影響を実質的に排除できる。
次いで、製造したそれぞれの加硫ゴムGのゴム物性データD2を、測定装置5を用いて測定、取得する。上記に例示した多数種類のゴム物性データD2から所望の複数種類のゴム物性データD2が測定、取得される。
製造したそれぞれの加硫ゴムGから取得した所望の複数種類のゴム物性データD2とともに、それぞれの加硫ゴムGの配合データD1と、それぞれの加硫ゴムGの加硫条件データD3とを準備する。次いで、それぞれの加硫ゴムGのそれぞれのゴム物性データD2と、配合データD1と、加硫条件データD3とを、対象加硫ゴムGaのゴム物性データD2を予測するための基礎データ(即ち、学習データ)とする。そして、この学習データを用いて機械学習させることで予測モデルPMを構築する。
具体的には、上記データD1、D2、D3を演算装置2に入力して、これらデータD1、D2、D3を用いて機械学習させる。即ち、それぞれのゴム物性データD2と、配合データD1および加硫条件データD3との関係を紐付けして、製造される加硫ゴムGのそれぞれのゴム物性データD2に対する配合データD1および加硫条件データD3の影響具合が分析、評価されて予測モデルPMが構築される。配合データD1に関していえば、配合成分Cの種類および配合量のゴム物性データD2に対する影響具合が分析、評価される。
上述したそれぞれのデータD1、D3の要因が複雑に影響し合って加硫ゴムGのゴム物性データD2が変化する。それ故、データD1、D2、D3を学習データとして用いて、データD1とD3との組み合わせ、データD1でのそれぞれの配合成分Cの組合せ、それぞれの配合成分Cの配合量の違いなどによるデータD2(ゴム物性データ)の相違程度やそれぞれの場合におけるデータD2の特徴を人工知能(AI)に機械学習させることで、予測モデルPMを構築することが可能になる。機械学習の手法としては、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングなど公知の手法を例示できる。この予測モデルPMの構築には、従来から蓄積されている膨大なこれらデータD1、D2、D3を有効に利用することができる。構築された予測モデルPMは、演算装置2に記憶される。
次いで、目標とするゴム物性を有する対象加硫ゴムGaのゴム配合D1を把握する手順の一例を説明する。即ち、所望の複数種類のゴム物性データD2に対して設定されたそれぞれの目標値D2aを満足するゴム物性を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1を把握する手順を例示する。以下の説明では、所望の複数種類のゴム物性データD2が目標値D2aを満足していない従来の加硫ゴムGの配合データD1を見直して、それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aを満足する対象加硫ゴムGaの配合データD1を把握する場合を例にする。
主な手順は図2に例示するとおりである。まず、入力部3を用いて必要なデータを演算装置2に入力する。入力するデータは、下記の表1に例示している対象加硫ゴムGaに対する配合指定データDx、下記の表2に例示している対象加硫ゴムGaに対するゴム物性データD2の目標値D2a、および、対象加硫ゴムGaに対する加硫条件データD3である。
Figure 0007620188000001
Figure 0007620188000002
表1に例示するように、配合指定データDxは、対象加硫ゴムGaのそれぞれの配合成分Cに対して配合量の指定範囲を設定している。この事例では、配合成分Cとして、SBR、BRの2種類のゴム成分と、カーボン、亜鉛華、・・・・、加硫促進剤Bの全11種類が設定されている。配合成分Cは、ここで例示する種類に限らず、必要に応じた種類が使用される。尚、表1の当初値とは従来の加硫ゴムGでの配合データである。
表1に例示する配合指定データDxは、対象加硫ゴムGaでは、SBR、BR、カーボン、アロマオイルのそれぞれに対して、従来の加硫ゴムGの配合データ(当初値)に対して、±20phrの変動量を設定している。したがって、対象加硫ゴムGaでのSBR、BR、カーボン、アロマオイルのそれぞれの配合量は、30phr以上70phr以下に設定されている。亜鉛華などのその他の配合成分Cに対しては、従来の加硫ゴムGの配合データ(当初値)に対して、ゼロの変動量を設定している。したがって、対象加硫ゴムGaでの亜鉛華などのその他の配合成分Cの配合量は、従来の加硫ゴムGと同じ配合データ(当初値)に設定されている。
このように本発明では、配合指定データDxによって、対象加硫ゴムGaのそれぞれの配合成分Cの配合量が設定される。したがって、目的に応じて、所望の配合成分Cの配合量だけを変化させる、或いは、所望の配合成分Cの配合量をゼロにしてその配合成分Cを除くことができる。
表2に例示するように、ゴム物性データD2の目標値D2aは、所望の複数種類のゴム物性データD2に対して設定される。表2の当初値とは従来の加硫ゴムGの物性データD2である。この事例では、所望の複数種類のゴム物性データD2として、60℃でのtanδと20℃での硬度HSとの2種類が設定されているが、これに限定されず所望の種類のゴム物性データD2が採用され、採用されるゴム物性データD2は3種類以上にすることもできる。表2では、60℃でのtanδを0.2から0.18にするとともに、20℃での硬度HSを65から64にする目標が設定されている。
演算装置2は、入力された配合指定データDxに基づいて演算処理することで、配合指定データDxにより設定された指定範囲を満足する配合データD1の候補を所定条件で複数生成する。即ち、所定条件に従って、この指定範囲を満足する配合成分Cのすべての組合せを配合データD1の候補として生成する。この所定条件とは、配合成分Cに設定されている変動量を変化させるピッチ(変動量変化ピッチ)である。変動量が設定されているBR、BR、カーボン、アロマオイルのそれぞれの配合量を例えば1phrのピッチで変化させて、配合指定データDxにより設定された指定範囲を満足する配合成分Cのすべての組合せを配合データD1の候補として生成する。
このピッチを小さくする程、候補として生成される配合データD1の数は多くなる。これに伴い、目的とする配合データD1をより高い精度で把握するには有利になる。一方で、このピッチを小さくし過ぎると、候補して生成される配合データD1の数が過大になるので演算処理の負担が大きくなるので、上記の精度の向上と演算処理の負担軽減とを考慮してピッチの大きさを設定する。例えば、このピッチは0.5~4phr程度に設定する。
このピッチは、それぞれの配合成分Cに対して同じにすることも、特定の配合成分Cに対して相対的に大きく(小さく)することもできる。例えば、ゴム物性データD2に対して、より少量で影響を及ぼす配合成分Cに対しては、このピッチをより小さく設定し、より多量でなければ影響を及ぼさない配合成分Cに対しては、このピッチをより大きく設定するとよい。即ち、それぞれの配合成分Cのこのピッチの大きさは、ゴム物性データD2に対するその配合成分Cの影響具合の大きさに基づいて設定するとよい。
次いで、生成されたそれぞれの候補の配合データD1と、対象加硫ゴムGaの加硫条件データD3(対象未加硫ゴムRaを加硫する際の加硫条件データD3)とを予測モデルPMに入力して、予測モデルPMを実行させる演算処理を行う。予測モデルPMは、入力された配合データD1と加硫条件データD3とに基づいて、その配合データD1で形成される対象加硫ゴムGaのそれぞれのゴム物性データD2を算出する。
算出されたそれぞれのゴム物性データD2は、それぞれに設定された目標値D2aと比較されて、近似していると設定されている許容範囲か否かが演算装置2により判断される。この許容範囲は任意に設定することができるが、例えば、目標値D2aに対して±5%、或いは、±2%程度の範囲である。生成されたすべての候補の配合データD1の中から、それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aに近似していると判断された配合データD1が演算装置2により選択される。選択される配合データD1は1つに限らず、複数の場合もある。
下記の表3に例示するように、選択された対象加硫ゴムGaの配合データD1は、出力4に出力される。出力部4がモニタ類であればこの配合データD1が表示され、出力部4がプリンタ類であればこの配合データD1が印刷される。
Figure 0007620188000003
表3では、それぞれの配合成分Cの配合量は、配合指定データDxにより設定された指定範囲を満足している。しかも、この配合データD1で形成されて、入力された加硫条件データD3の加硫条件に基づいて加硫される対象加硫ゴムGaは、表2に記載されたそれぞれのゴム物性データD2の目標値D2aを満足すると予測されている。
即ち、60℃でのtanδを当初値の0.2から目標値の0.18にするとともに、20℃での硬度HSを当初値の65から64するために適切な対象加硫ゴムGaの配合データD1として、表3に記載されたデータを把握することができる。このようにして、従来の加硫ゴムGの配合データD1では得られなかった目標値D2aを満足するゴム物性を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1を把握することができる。尚、表1~3に示したデータは実例に即したデータであり、本発明を用いることで、所望の複数種類のゴム物性データD2を目標値D2aにするために、従来の加硫ゴムGの配合データD1をどのように変化させればよいかを、簡潔に精度よく把握することができた。
本発明によれば、候補となる配合データD1が、配合指定データDxによって設定されている指定範囲を満足する制約条件下で限定して生成されるので、候補となる配合データD1を生成するための演算処理の負担が小さい。そして、その後にゴム物性データD2が予測される配合データD1の候補の数も限定されるので、この予測に対する演算処理の負担が軽減される。
また、生成されたそれぞれの候補の配合データD1と、対象加硫ゴムGaの加硫条件データD3とに基づいて、上述した予測モデルPMを用いて演算処理することで、対象加硫ゴムGaのそれぞれのゴム物性データD2を精度よく算出することができる。その結果、それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aに高い精度で近似する対象加硫ゴムGaの配合データD1を簡便に把握することができる。
それぞれの配合データD1の候補を生成する際には、配合データD1のゴム成分の合計の配合量を100phrに補正することが望ましい。表3では、ゴム成分(SBR、BR)の合計の配合量を100phrに補正して、その他のそれぞれの配合成分Cの配合量が記載されている。配合データD1の候補を生成する際に、このように配合データD1を補正することで、それぞれの配合成分Cの配合量を把握し易くなる。
それぞれのゴム物性データD2が目標値D2aに近似していると判断されて選択される対象加硫ゴムGaの配合データD1が複数存在する場合は、それぞれの配合データD1を以下の順序にして出力部4により出力することができる。
例えば、選択されるそれぞれの配合データD1を、ゴム物性データD2の種類毎に、それぞれの配合データD1で形成される対象加硫ゴムGaのゴム物性データD2が目標値D2aに近似する順にして、出力部4により出力する。詳述すると、それぞれの配合データD1により形成される対象加硫ゴムGaが有するそれぞれのゴム物性データD2を、それぞれのゴム物性データD2の種類毎に目標値D2aと比較する。比較した両者の差異が最も小さくなるゴム物性データD2を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1を1位に順位付けする。両者の差異が2番目、3番目に小さくなるゴム物性データD2を有する対象加硫ゴムGaの配合データD1をそれぞれ、2位、3位に順位付けする。ゴム物性データD2の種類によって、この順位付けは変わることもある。それぞれの配合データD1を、このように順位付けした順位にして出力部4により出力する。このように順位付けすることで、それぞれのゴム物性データD2の種類毎の目標値D2aとの近似具合を指標として、それぞれの配合データD1の優位性を把握し易くなる。
或いは、選択されるそれぞれの配合データD1を、ゴム物性データD2の種類に対して設定されている優先度の重み付けに基づいて決定されるそれぞれの配合データD1で形成される対象加硫ゴムGaのそれぞれのゴム物性データD2の目標値D2aに対する近似度の評価が高い順にして、出力部4により出力する。例えば、tanδ@60℃のゴム物性データD2に対して優先度の重み付けが大きい係数k1、硬度HC@20℃のゴム物性データD2に対して優先度の重み付けが小さい係数k2が設定されている場合で説明する。係数k1、k2は数値が大きい程、優先度が高いことを意味する。そして、tanδ@60℃のゴム物性データD2が目標値D2aに対する近似具合を示す近似係数n1、硬度HC@20℃のゴム物性データD2が目標値D2aに対する近似係数n2である場合、これらのゴム物性データD2を有する対象加硫ゴムGaの近似度の評価は、係数k1×近似係数n1+係数k2×近似係数n2により算出される。近似係数n1、n2は数値が大きい程、目標値D2aに近似していることを意味する。そして、選択されるそれぞれの配合データD1を、それぞれの配合データD1により形成される対象加硫ゴムGaの近似度の評価が高い順に順位付けして出力部4により出力する。このように順位付けすることで、それぞれのゴム物性データD2の優先度の重み付けを考慮したそれぞれの配合データD1の優位性を把握し易くなる。
選択されるそれぞれの配合データD1を、それぞれの配合データD1に基づいて算出される単位重量当たりの材料コストの低い順に、出力部4により出力することもできる。詳述すると、それぞれの配合成分Cの単位重量当たりのコストを把握しておき、この把握した配合成分C毎のコストと、それぞれの配合データD1でのそれぞれの配合成分Cの配合量とに基づいて、それぞれの配合データD1の単位重量当たりの材料コストを算出する。この算出結果に基づいて、それぞれの配合データD1を順位付けして出力部4に出力する。このように順位付けすることで、それぞれの配合データD1の材料コストの優位性を把握し易くなる。
1 ゴム配合の設計システム
2 演算装置
3 入力部
4 出力部
5 測定装置
PM 予測モデル
D1 配合データ
Dx 配合指定データ
D2 ゴム物性データ
D2a 目標値
D3 加硫条件データ
R 未加硫ゴム
Ra 対象未加硫ゴム
G 加硫ゴム
Ga 対象加硫ゴム
C(C1、C2・・・Cn) 配合成分

Claims (6)

  1. 加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量の指定範囲が設定された配合指定データと、前記加硫ゴムの複数種類のゴム物性データの目標値とを演算装置に入力し、
    前記配合指定データに基づいて前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記配合成分の配合量が特定され、かつ、前記配合指定データにより設定された前記指定範囲を満足する配合データの候補を複数生成し、
    機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成したそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データを算出し、算出したそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データを、それぞれの前記候補の中から選択することを特徴とするゴムの配合設計方法。
  2. 選択した前記配合データが複数の場合、選択したそれぞれの前記配合データを、前記ゴム物性データの種類毎に、それぞれの前記配合データで形成される前記対象加硫ゴムの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する順にして、出力部により出力する請求項1に記載のゴムの配合設計方法。
  3. 選択した前記配合データが複数の場合、選択したそれぞれの前記配合データを、前記ゴム物性データの種類に対して設定されている優先度の重み付けに基づいて決定されるそれぞれの前記配合データで形成される前記対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データの前記目標値に対する近似度の評価が高い順にして、出力部により出力する請求項1に記載のゴムの配合設計方法。
  4. 選択した前記配合データが複数の場合、選択したそれぞれの前記配合データを、それぞれの前記配合データに基づいて算出される単位重量当たりの材料コストの低い順に、出力部により出力する請求項1に記載のゴムの配合設計方法。
  5. 前記配合データの前記候補を生成する際に、前記配合データのゴム成分の合計の配合量を100phrに補正する請求項1~4のいずれかに記載のゴムの配合設計方法。
  6. 演算装置と、前記演算装置にデータを入力する入力部と、前記演算装置と通信可能に接続された出力部とを有するゴムの配合設計システムにおいて、
    加硫ゴムのそれぞれの配合成分の配合量の指定範囲が設定された配合指定データと、前記加硫ゴムの複数種類のゴム物性データの目標値とが前記演算装置に入力されて、
    前記配合指定データに基づいて前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記配合成分の配合量が特定され、かつ、前記配合指定データにより設定された前記指定範囲を満足する配合データの候補が複数生成され、
    機械学習によって構築された予測モデルを用いて、生成されたそれぞれの前記候補の前記配合データと加硫条件データとに基づいて、前記演算装置により演算処理することによって、それぞれの前記候補の前記配合データで形成されて前記加硫条件データに基づいて加硫される対象加硫ゴムのそれぞれの前記ゴム物性データが算出され、算出されたそれぞれの前記ゴム物性データが前記目標値に近似する前記対象加硫ゴムの前記配合データが、それぞれの前記候補の中から選択されて前記出力部により出力されることを特徴とするゴムの配合設計システム。
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