JP7622934B2 - リチウム複合酸化物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム複合酸化物及びその製造方法に関し、より詳しくは、出力特性を向上した異種金属を置換されたリチウム複合酸化物及びその製造方法に関する。
リチウム二次電池用正極活物質は一般的にリチウム複合酸化物が使用されている。リチウム複合酸化物、具体的にはコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等、は全世界に流通されているリチウム二次電池の正極活物質として多く使用されている。このようなリチウム複合酸化物は特性改善(高容量化、高出力化、サイクル安定化)や安全性改善に活発な研究が行われている。
これらの目標に適するリチウム二次電池用正極活物質としてリチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及び酸素(O)からなるLiNi1-y-zCoMn(NCM)、Li、Ni、Co、アルミニウム(Al)及びOからなるLiNi1-y-zCoAl(NCA)が使用されている。これらの材料は既存リチウム複合酸化物よりCoの使用量を減らして安全性を高めて、より安価な金属を使用し、放電容量もNCMが165mAh/g程度、NCAが200mAh/g程度でLiCoOより高容量を実現された。
このようなリチウム二次電池の性能向上については特に高容量化が注目されており、LiMnOで表され、結晶構造がジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するリチウム複合酸化物が高容量材料として公開された(特許文献1参照)。
直方晶及び単斜晶のうちの1種以上からなることを特徴とするLiMnOが公開され(特許文献2及び特許文献3参照)、放電容量は170mAh/g程度で低容量であったが、特許文献1では、メカニカルミリング後熱処理する工程により結晶構造が変型し、260mAh/gである高い放電容量を持つ正極活物質としてさらに改良された。
このようなLiMnOは高容量でありながら安価であるリチウム二次電池用正極活物質を見出したが、出力特性が低い課題がある。
本発明は出力特性が低いとの課題に鑑みて、マンガン化合物に異種金属元素を置換された金属複合酸化物を製造し、リチウム化合物と混合して焼結し、既存LiMnOより結晶構造を変化させ、出力特性を改善するリチウム複合酸化物及びその製造方法である。
特開2019-153564号公報 特開2003-007297号公報 特開2002-145619号公報
リチウム二次電池は最近電子機器が小型、軽量化されるに伴って、ますます高容量、高電圧、高出力などの電気化学的特性に優れた電池を開発するための研究が進められている。特に、背景技術に記載されているようにリチウム二次電池用正極材の実用化に活物質の
高出力化は必須で要求される。
本発明は、高出力化の要求を解決することを目的とし、電気化学的特性に優れたリチウム二次電池用正極活物質を得るためのリチウム複合酸化物及びその製造方法にある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、直方晶及び単斜晶を有する連晶体のLiMnOに金属置換元素(特に、Al、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選択される元素)を含むリチウム複合酸化物を見出して、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、組成式LiMeMn1-y(但し、0<x≦1.2であり、0<y≦0.2である。MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属元素である。)で示され、直方晶系ジグザグ層状構造を母構造とし、単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造のドメインを有し、かつ、粉体X線回折で15.3±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(A)と18.2±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(B)との強度比(A/B)が0.5以上であることを特徴とするリチウム複合酸化物、及びその製造方法にある。
本発明のリチウム複合酸化物を用いた正極活物質は、異種金属が置換された構造を有することにより、放電容量が改善し、出力特性が向上することができるという顕著な効果を奏する。このような正極活物質を電池に適用することで、高容量及び高出力でありながら価格を抑えることが可能なリチウム二次電池を提供できる効果が期待される。
直方晶系ジグザグ層状構造を示した模式図である。 層状構造(2a)及び岩塩型構造(2b)を示した模式図である。 (3a)は実施例1~5及び比較例1、2のリチウム複合酸化物のXRDパターンを、(3b)は実施例6~12のリチウム複合酸化物のXRDパターンを、それぞれ示した図である。
実施例2、6及び比較例2のリチウム複合酸化物のXRDパターンを示した図である。 (5a)は実施例2、5、6及び比較例2における正極の0.3Cでの放電曲線を、(5b)は実施例8、10、12及び比較例2における正極の0.3Cでの放電曲線を、それぞれ示した図である。 実施例6、13の各リチウム複合酸化物のSEM像を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリチウム複合酸化物は、組成式LiMeMn1-y(但し、0<x≦1.2であり、0<y≦0.2である)で示され、マンガンに異種金属が置換されている。
異種金属は、Al、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属であり、その内Al、Co、Fe、Mg、Nb、Ni、Ti、及びZnからなる群より選ばれる1種以上の金属であることが好ましい。異種金属の置換量は、特に限定するものではないが、マンガンの20.0モル%以下であることが好ましく、1.0~10.0モル%であることがより好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物は、直方晶系ジグザグ層状構造を母構造とし、単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造のドメインを有するものである。直方晶系ジグザグ層状構造を母構造とし、単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造のドメインを有することで、初期活性充放電サイクルが必要なく、初期サイクルから高容量を発現することが可能であるので、数十サイクル程度充放電を行うことで活性化して高容量を発現する直方晶LiMnOに対して有利である。
ここに、直方晶系ジグザグ層状構造とは、空間群(Space group)Pmnmに帰属することをいう。直方晶系ジグザグ層状構造の模式図を図1に示す。また、直方晶系ジグザグ層状構造とは異なる、層状構造及び岩塩型構造の模式図を、それぞれ、図2の(2a)、(2b)に示す。図1及び図2からわかるように、直方晶系ジグザグ層状構造は、α-NaFeO型層状構造における層が上下に交互に規則的に成長し、ジグザグ型の層状となっている結晶構造である。
単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造のドメインとは、空間群C2/m、R-3m又はFm-3mに帰属することをいい、単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造のドメインであることにより、直方晶と単斜晶又は菱面体晶が積層欠陥で連晶体構造になっているものである。
本発明のリチウム複合酸化物は、以下の測定条件での粉体X線回折で15.3±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(A)と18.2±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(B)との強度比(A/B)が0.5以上であることを特徴とするものである。
[測定条件]
・X線源:CuKα線=1.5418Å
・発散スリット:1/2°
・散乱スリット:1°
・受光スリット:2mm
・ステップ幅:0.01°
・スキャンスピード:0.5°/min
当該強度比(A/B)が0.5未満であると、主相が単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造で、直方晶系ジグザグ層状構造のドメインを有するリチウム複合酸化物となり、サイクル劣化が大きくなる可能性がある。当該強度比(A/B)は、1.0~146.0が好ましく、2.6~33.6がより好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物のBET比表面積は、特に限定するものではないが、8.0m/g以下が好ましく、2.0~7.0m/gがより好ましい。なお、BET比表面積は、後記するように、本発明のリチウム複合酸化物がカーボン若しくは金属の複合化剤で複合化されている場合、10.0~60.0m/gが好ましく、10.0~40.0m/gがより好ましい。この場合、BET比表面積はリチウム複合酸化物と上記複合化剤との混合比や上記複合化剤の比表面積に比例して増加する。
リチウム複合酸化物のBET比表面積は、物理ガス吸着から求めた吸着等温線をBETプロットに変換し、BET等温式を基づいて単分子層のガス吸着量Vを求め、物理吸着に使用したガスの分子大きさを基に比表面積を計算する、いわゆるBET法により求めることができる。
本発明のリチウム複合酸化物の粒径は、レーザ回折・散乱法により粒度分布から算出される平均粒子径(D50)によって表される。本発明のリチウム複合酸化物の平均粒子径(D50)は、特に限定するものではないが、0.2~5.0μmであることが好ましく
、0.5~3.0μmがより好ましく、0.5~2.5μmがさらに好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物は、導電性を有するカーボン若しくは金属が好ましくはその表面に複合化されている複合化リチウム複合酸化物とすることにより、出力特性などの電気化学特性をさらに向上させることができる。カーボン、金属は、両者を併用してもよい。リチウム複合酸化物の上記複合化は活物質とカーボン若しくは金属を含む複合化剤が電極中に均一に分散することを目的として行う。活物質のリチウム複合酸化物は、二次粒子の平均粒子径が2.0~40.0μmの幅広い大きさを有するために伝導パスが不均一な電極が形成されることに対して、上記複合化したリチウム複合酸化物は、カーボン若しくは金属との複合化過程で二次粒子の粉砕と共にこれらの複合化剤との均一混合ができ、均一電極が形成できる利点がある。
上記複合化リチウム複合酸化物を得るために使用されるカーボンとしては、グラフェン、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックが挙げられ、特に、コスト面からアセチレンブラック又はケッチェンブラックが好ましい。また、上記金属とは、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、コバルト、亜鉛、ニッケルが挙げられ、特に電極の集電体としても使用されるアルミニウムが好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物は、組成式(MeMn1-y(但し、1.3<a/b<1.6であり、0<y≦0.2であり、MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属)で示され、金属イオンの平均酸化数が2.6以上3.3以下であるマンガン化合物とリチウム化合物を混合して焼結し、主相がジグザグ層状構造を有するLiMeMn1-yで表されるリチウム複合酸化物を作製する工程、及び、前記工程で得られたLiMeMn1-yにメカニカルミリングを施し、次いで不活性ガス中で熱処理することで製造することができる。
製造で使用する金属の原料に特に制限はない。例えば、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化塩、水酸化塩、酸化塩等が例示されるが、これに制限はない。
本発明のリチウム複合酸化物の製造において、マンガン化合物は、組成式(MeMn1-y(但し、1.3<a/b<1.6であり、0<y≦0.2であり、MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属)で示され、金属イオンの平均酸化数が2.6以上3.3以下であり、好ましいMe/Mnモル比になるように置換元素とマンガンの金属塩水溶液を予め調製したものである。例えば、本発明において好ましいMe/Mnモル比に成るように予め調製した硫化物[(Me・Mn)(SO]、水酸化物[(Me・Mn)(OH)]、オキシ水酸化物[(Me・Mn)(OOH)]、酸化物[(Me・Mn)O]などが例示されるが、これらに制限はない。式中、a、b、c、dは原子価を満足する数値である。
リチウム複合酸化物の製造で使用される金属の原料に特に制限はなく、例えば、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化塩、水酸化塩、酸化塩等が例示されるが、これらに制限はない。
上記のマンガン化合物は、600~900℃で12~24時間、空気中で焼結することでマンガン酸化物になる。
マンガン化合物の金属イオンの平均酸化数が2.6未満の場合は、空気中で焼結することでMn帰属組成(MnMe1-yになり、さらに、3.3を超える場合は、MnO帰属組成MnMe1-yになる。これらのマンガン化合物とリチウム化合物を混合して焼結すると主相がジグザグ層状構造を有するLiMeMn1-yで表されるリチウム複合酸化物は得られるものの、単斜晶又は菱面体晶α-NaFe
型層状構造のドメインを有しないため、出力特性の改良性がなくなる。好ましいMe/Mnモル比になるように置換元素とマンガンの金属塩水溶液を予め調製するとは、仕込み組成通りのMe/Mnモル比でマンガン化合物を製造することをいう。
本発明のリチウム複合酸化物の製造において、マンガン化合物と混合するリチウム化合物は特に制限はないが、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、蓚酸リチウム、硫酸リチウム、酸化リチウム等が例示されるが、これらに制限はない。
上記のマンガン化合物とリチウム化合物の焼結は、特に限定するものではないが、例えば、700~1000℃で6~24時間、不活性ガス中で行うことが好ましく、メカニカルミリングは、例えば、300~800rpmで6~72時間とすることが好ましい。
上記のメカニカルミリングは、密閉容器に入れ、容器と同じ材質のボールで不活性ガス中行うことが好ましい。密閉容器とボールの材質は特に限定するものではないが、例えば、窒化ケイ素、ジルコニア、ステンレス、タングステンカーバイド、シンタードアルミナ等が例示されるが、これらに制限はない。
メカニカルミリングに次いで行う熱処理は、特に限定するものではないが、例えば、500~900℃で1~24時間、不活性ガス中で行うことが好ましく、500~700℃で1~12時間、不活性ガス中で行うことがより好ましい。
本発明のリチウム複合酸化物は、また、金属組成がMeMn1-y(但し、yは0<y≦0.2であり、MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属)で示されるマンガン化合物と上記リチウム化合物を混合し、アルカリ性水溶液中で水熱処理することで製造することができる。
上記の水熱処理が行われるアルカリ性水溶液中とは、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウムの混合液をいう。アルカリ性水溶液のpHは、例えば、11.0~13.5とすることが好ましい。
上記の水熱処理の温度は、特に限定するものではないが、例えば、150℃以上で1時間以上が好ましく、180~240℃で4~24時間がより好ましい。
上記の水熱処理は、マンガン化合物とリチウム化合物の混合比(Li/Mn+Me)を特に限定するものではないが、1.5以上が好ましく、2.0~4.0がより好ましい。
上記の水熱処理は、pHを特に限定するものではないが、11以上が好ましく、12.0~13.5がより好ましい。
本発明において、上記複合化リチウム複合酸化物を製造するための好ましい複合化手段としては、リチウム複合酸化物と導電性を有するカーボン若しくは金属をメカニカルミリングすることが挙げられる。メカニカルミリングは、密閉容器に入れ、容器と同じ材質のボールで行うことが好ましい。密閉容器とボールの材質は特に限定するものではないが、好ましくは、窒化ケイ素、ジルコニア、ステンレス、タングステンカーバイド、シンタードアルミナ等が例示されるが、これらに制限はない。
複合化リチウム複合酸化物を製造するため、上記メカニカルミリングは、高速回転で長時間行うと、活物質の二次粒子の粉砕以外に直方晶系ジグザグ層状構造を母構造とし、単斜晶又は菱面体晶のα-NaFeO型層状構造のドメインを有する結晶構造から岩塩型構造へ変化する可能性があるので、リチウム複合酸化物を製造する条件より低速、かつ、短時間で行うのが好ましい。メカニカルミリングは、活物質の二次粒子の粉砕や複合化をより適切に行うため、例えば、100~600rpmで1~24時間とすることが好まし
く、100~300rpmで2~12時間とすることがより好ましい。
本発明の電極(正極)は、本発明のリチウム複合酸化物を正極活物質として含むことを特徴とし、当該リチウム複合酸化物のほかに、さらに、導電材及びバインダを含むことが好ましい。
なお、上記複合化リチウム複合酸化物における複合化剤である導電性を有するカーボン若しくは金属は、上記複合化過程を別にして、ここにおける導電材としても機能することができる。ここにおける導電材としては、上記複合化リチウム複合酸化物における複合化剤であるカーボン若しくは金属以外の導電性高分子なども使用できる。もちろん、上記複合化リチウム複合酸化物における複合化剤であるカーボン若しくは金属も使用できる。
本発明の電極(正極)のリチウム複合酸化物に対する導電材の含有量は、特に限定するものではないが、1~10重量%であることが好ましい。
上記のバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等が例示されるが、特に制限はない。
本発明の電極(正極)におけるバインダの含有量は、特に限定するものではないが、例えば、1~10重量%であることが好ましい。
本発明において、正極以外のリチウム二次電池の構成としては、次のようなものを挙げることができるが、特に制限はない。
負極には、Liを可逆に吸蔵放出する材料、例えば、炭素系材料、酸化錫系材料、酸化ケイ素系材料、LiTi12、Liと合金を形成する材料などが例示される。
電解質には、例えば、有機溶媒にLi塩や各種添加剤を溶解した有機電解液や、イオン液体、Liイオン伝導性の固体電解質、これらを組み合わせたものなどが例示される。当該電解液の有機溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)が例示され、電解質塩としては、テトラフルオロボレート(BF )、ヘキサフルオロホスファート(PF )、フルオロメタンスルホニルイミド(FSI)、トリフルオロメタンスルホニルイミド(TFSI)、トリフルオロメタンスルホナート(CFSO )等が例示されるが、特に制限はない。
以下に、本発明の実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されて解釈されるものではない。
<結晶構造の確認>
リチウム複合酸化物の結晶構造の同定について粉末XRD(商品名:UltimaIV、Rigaku社製)を用いて行った。
計測条件は以下の通りとした。
・ターゲット:Cu/Kα
・出力:8.0kW(200mA-40kV)
・データ間隔:0.01°又は0.04°(2θ/θ)
・測定範囲:10~20°(1.0°/min)又は10~90°(5°/min)
<組成分析>
調製したオキシ水酸化物前駆体及びリチウム複合酸化物正極活物質の組成は、ICP-AES(商品名:Optima5300DV、PerkinElmer社製)で分析した
<BET比表面積の測定>
試料1gをBET比表面積測定用のガラス製セルに入れ、窒素気流下で150℃、1時間脱水処理を行い、粉体粒子に付着した水分の除去を行った。処理後の試料をBET測定装置(商品名:Micromeritics FlowsorbIII、島津製作所社製)で窒素ガスを用いて1点法でBET比表面積を測定した。
<平均粒子径(D50)の測定>
粒度分布測定装置(商品名:MT3000IIシリーズ、MicrotracBEL社製)を使用して、粒子径分布図から平均粒子径(D50)を求めた。測定は、純水に適量の正極活物質を入れて、5分間超音波分散をかけた後に行った。
<電池の作製>
実施例、比較例で得られたリチウム複合酸化物と導電材(商品名:デンカブラック、デンカ社製)とバインダ(10wt%PvdF/N-Methyl-2-Pyrrolidone溶液)を重量比80:10:10でメノウ乳鉢を使用して混合し、さらに混合器(AR-100、Thinky社製)で均一化して、正極材インクを作製した。得られた正極材インクはアルミニウムホイルに110μmの厚さで塗布し、80℃で2時間乾燥及び150℃で12時間以上減圧乾燥後、直径16mmの円形に切った。切った電極は50kN/cmで一軸プレスし、150℃で2時間減圧乾燥して正極とした。
上記の正極以外のリチウム二次電池の構成には、電解液としてECとDMCを1:2の容積比で混合した溶液中にLiPFを1.0Mの濃度となる溶液を、セパレータとしてセルガード2400(直径26mm、セルガード社製)を、負極としてリチウム箔(直径18mm、厚さ200μm、本城金属社製)を用いた。
<充電・放電サイクル試験>
作製した正極及び電池の性能評価は充放電評価装置(商品名:BTS2004W、NAGANO社製)を用いて25℃で行った。測定は4.8V-1.5V電位範囲で0.3Cの電流密度で充放電を行った。C-rateは230mAh/gを実用放電容量とし、0.3Cを算出した(70mA/g)。
実施例1
硫酸コバルト(CoSO)及び硫酸マンガン(MnSO)を純水に溶解し、0.025mol/L(リットル)の硫酸コバルト及び1.975mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を得て、これを金属塩水溶液とした。なお金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった。
1.0Lの反応容器に200gの純水を入れた後、60℃で昇温、撹拌・維持した。上記金属塩水溶液を、供給速度0.75g/minで反応容器に添加した。また、上記の供給操作中、酸化剤として空気を供給速度1.0L/minで反応容器中にバブリングし続けた。さらに、混合液がpH8.5となるように、2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加して混合した。反応によって得られた沈殿したスラリーをろ過、洗浄後、120℃で12時間乾燥することで、MnとCoを含むマンガン酸化物(理論組成(Co0.025Mn0.975)を得た。
上記で得られたマンガン酸化物は700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Co0.025Mn0.975を作製した。ICPから求めた金属組成の重量比から、Li/(Co+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウム(LiCO、レアメタリック社製)を乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混
合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiCo0.025Mn0.975を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiCo0.025Mn0.975はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiCo0.025Mn0.975を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiCo0.025Mn0.975を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiCo0.025Mn0.975のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例2
金属塩水溶液の成分が、0.05mol/Lの硫酸コバルト及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様の方法でリチウム複合酸化物を製造し、さらに、電池を作製した。
実施例3
Li/(Co+Mn)モル比が1.05になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合したこと以外は実施例2と同様の方法でリチウム複合酸化物を製造し、さらに、電池を作製した。
実施例4
金属塩水溶液の成分が、0.025mol/Lの硫酸鉄(III)(Fe(SO)及び1.975mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いた。なお金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった。
1.0Lの反応容器に200gの純水を入れた後、60℃で昇温、撹拌・維持した。上記金属塩水溶液を、供給速度0.75g/minで反応容器に添加した。また、上記の供給操作中、酸化剤として空気を供給速度1.0L/minで反応容器中にバブリングし続けた。さらに、混合液がpH8.5となるように、2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加して混合した。反応によって得られた沈殿したスラリーをろ過、洗浄後、120℃で12時間乾燥することで、MnとFeを含むマンガン酸化物(理論組成(Fe0.025Mn0.975)を得た。
上記で得られたマンガン酸化物は700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Fe0.025Mn0.975を作製した。ICPから求めた金属組成の重量比から、Li/(Fe+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiFe0.025Mn0.975を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiFe0.025Mn0.975はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiFe0.025Mn0.975を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g
入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiFe0.025Mn0.975を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiFe0.025Mn0.975のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例5
金属塩水溶液の成分が、0.05mol/Lの硫酸鉄(III)及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いたこと以外は実施例4と同様の方法でリチウム複合酸化物を製造し、さらに、電池を作製した。
実施例6
金属塩水溶液の成分が、0.025mol/Lの硫酸ニッケル(NiSO)、0.025mol/Lの硫酸チタニル(TiOSO)及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いた。なお金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった。
1.0Lの反応容器に200gの純水を入れた後、60℃で昇温、撹拌・維持した。上記金属塩水溶液を、供給速度0.75g/minで反応容器に添加した。また、上記の供給操作中、酸化剤として空気を供給速度1.0L/minで反応容器中にバブリングし続けた。さらに、混合液がpH8.5となるように、2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加して混合した。反応によって得られた沈殿したスラリーをろ過、洗浄後、120℃で12時間乾燥することで、Mn、NiとTiを含むマンガン酸化物(理論組成(Ni0.025Ti0.025Mn0.95)を得た。
上記で得られたマンガン酸化物は700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Ni0.025Ti0.025Mn0.95を作製した。ICPから求めた金属組成の重量比から、Li/(Ni+Ti+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiNi0.025Ti0.025Mn0.95を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiNi0.025Ti0.025Mn0.95はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiNi0.025Ti0.025Mn0.95を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiNi0.025Ti0.025Mn0.95を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiNi0.025Ti0.025Mn0.95のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例7
Li/(Ni+Mn)モル比が1.05になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合したこと以外は実施例6と同様の方法でリチウム複合酸化物を製造し、さらに、電池を作製した。
実施例8
金属塩水溶液の成分が、0.025mol/Lの硫酸マグネシウム(MgSO)、0.025mol/Lの硫酸チタニル及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いた。なお金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった。
1.0Lの反応容器に200gの純水を入れた後、60℃で昇温、撹拌・維持した。上記金属塩水溶液を、供給速度0.75g/minで反応容器に添加した。また、上記の供給操作中、酸化剤として空気を供給速度1.0L/minで反応容器中にバブリングし続けた。さらに、混合液がpH8.5となるように、2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加して混合した。反応によって得られた沈殿したスラリーをろ過、洗浄後、120℃で12時間乾燥することで、Mn、MgとTiを含むマンガン酸化物(理論組成(Mg0.025Ti0.025Mn0.95)を得た。
上記で得られたマンガン酸化物は700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Mg0.025Ti0.025Mn0.95を作製した。ICPから求めた金属組成の重量比から、Li/(Mg+Ti+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiMg0.025Ti0.025Mn0.95を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiMg0.025Ti0.025Mn0.95はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiMg0.025Ti0.025Mn0.95を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiMg0.025Ti0.025Mn0.95を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiMg0.025Ti0.025Mn0.95のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例9
金属塩水溶液の成分が、0.05mol/Lの硫酸マグネシウム及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いたこと以外は実施例8と同様の方法でLiMg0.05Ti0.05Mn0.9リチウム複合酸化物を製造し、さらに、電池を作製した。
実施例10
金属塩水溶液の成分が、0.025mol/Lの硫酸亜鉛(ZnSO)、0.025mol/Lの硫酸チタニル及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いた。なお金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった。
1.0Lの反応容器に200gの純水を入れた後、60℃で昇温、撹拌・維持した。上記金属塩水溶液を、供給速度0.75g/minで反応容器に添加した。また、上記の供給操作中、酸化剤として空気を供給速度1.0L/minで反応容器中にバブリングし続けた。さらに、混合液がpH9.0となるように、2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加して混合した。反応によって得られた沈殿したスラリーをろ過、洗浄後、120℃で12時間乾燥することで、Mn、ZnとTiを含むマンガン酸化物(理論組成(Zn0.025Ti0.025Mn0.95)を得た。
上記で得られたマンガン酸化物は700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Zn0.025Ti0.025Mn0.95を作製した。ICPから求めた金属組成の重量比から、Li/(Zn+Ti+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiZn0.025Ti0.025Mn0.95を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiZn0.025Ti0.025Mn0.95はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiZn0.025Ti0.025Mn0.95を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiZn0.025Ti0.025Mn0.95を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiZn0.025Ti0.025Mn0.95のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例11
金属塩水溶液の成分が、0.05mol/Lの硫酸マグネシウム及び1.95mol/Lの硫酸マンガンを含む水溶液を用いた。なお金属塩水溶液中の全金属の合計濃度は2.0mol/Lであった。
1.0Lの反応容器に200gの純水を入れた後、60℃で昇温、撹拌・維持した。上記金属塩水溶液を、供給速度0.75g/minで反応容器に添加した。また、上記の供給操作中、酸化剤として空気を供給速度1.0L/minで反応容器中にバブリングし続けた。さらに、混合液がpH9.0となるように、2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を断続的に添加して混合した。反応によって得られた沈殿したスラリーをろ過、洗浄後、120℃で12時間乾燥することで、MnとMgを含むマンガン酸化物(理論組成(Mg0.05Mn0.95)を得た。
上記で得られたマンガン酸化物は700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Mg0.05Mn0.95を作製した。ICPから求めた金属組成の重量比から、Li/(Mg+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiMg0.05Mn0.95を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiMg0.05Mn0.95はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiMg0.05Mn0.95を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiMg0.05Mn0.95を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiMg0.05Mn0.95のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製
した。
実施例12
炭酸マンガン(MnCO)を700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Mn)のマンガン酸化物を作製する。金属組成のV/(V+Mn)モル比が0.05、及び、Li/(V+Mn)モル比が1.0になるようにマンガン酸化物、市販の酸化バナジウム(V)(V、和光社製)と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主相がジグザグ層状構造を有するLiV0.05Mn0.95を得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiV0.05Mn0.95はAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiV0.05Mn0.95を得た。メカニカルミリングにはジルコニア製を使用し、リチウム複合酸化物試料1.5gに直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて行った。
次に、岩塩型構造を有するLiV0.05Mn0.95を600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiV0.05Mn0.95のリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例13
ジルコニア製密閉容器に、実施例6で得られた、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiNi0.025Ti0.025Mn0.95のリチウム複合酸化物を0.4g、複合化材(商品名:デンカブラック、デンカ社製)を0.05g、直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて100rpmで12時間メカニカルミリングを行って、カーボン複合化リチウム複合酸化物を得た。
次に、得られたカーボン複合化リチウム複合酸化物とバインダ(10wt%PvdF/N-Methyl-2-Pyrrolidone溶液)を重量比90:10で混合器を用いて均一混合して、正極材インクを作製し、その正極材インクを用いた以外は、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
実施例14
ジルコニア製密閉容器に、実施例6で得られた、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiNi0.025Ti0.025Mn0.95のリチウム複合酸化物を0.4g、カーボンナノチューブ(Shenzhen
SUSN Nanotech社製)を0.05g、直径10mmボールを3個、直径5mmボールを10個及び直径1mmボールを2g入れて100rpmで12時間メカニカルミリングを行って、カーボン複合化リチウム複合酸化物を得た。
次に、得られたカーボン複合化リチウム複合酸化物とバインダ(10wt%PvdF/N-Methyl-2-Pyrrolidone溶液)を重量比90:10で混合器を用いて均一混合して、正極材インクを作製し、その正極材インクを用いた以外は、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
比較例1
炭酸マンガン(MnCO)を700℃で12時間、空気中で焼成し、理論組成(Mn)のマンガン酸化物を作製した。金属組成のLi/Mnモル比が1.0になるようにマンガン酸化物と市販の炭酸リチウムを乳鉢で20分間乾式混合した。得られた混合粉を焼成皿に入れて、900℃で12時間、Arガス中で加熱を行い、室温まで冷却して主
相がジグザグ層状構造を有するLiMnOを得た。昇温速度と降温速度は10℃/minとした。
得られたLiMnOはAr雰囲気の密閉容器中600rpmで36時間メカニカルミリングを行い、岩塩型LiMnOを得た。
次に、岩塩型構造を有するLiMnOを600℃で12時間、Arガス中で熱処理を行い、ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO型層状構造のドメインを有するLiMnOのリチウム複合酸化物を得た。さらに、得られたリチウム複合酸化物を用い、上記の<電池の作製>に従って電池を作製した。
比較例2
岩塩型構造を有するLiMnOを700℃で12時間、Arガス中で熱処理を行ったこと以外は比較例1と同様の方法でリチウム複合酸化物を製造し、さらに、電池を作製した。
実施例1~14及び比較例1、2の作製条件及び物性を表1に示した。
Figure 0007622934000001
<リチウム複合酸化物の平均粒子径>
実施例1~14及び比較例1、2で製造されたリチウム複合酸化物の粒度径測定を行い
、その結果の平均粒子径(D50)を表1に示した。実施例で作製したリチウム複合酸化物は、異種金属(Co、Fe、Ni+Ti、Mg+Ti、Zn+Ti、Mg、V)置換からなる粒度分布の変化はされていないことが確認できた。
<リチウム複合酸化物のBET比表面積>
実施例1~14及び比較例1、2で製造されたリチウム複合酸化物のBET比表面積の測定を行い、その結果を表1に示した。実施例で作製したリチウム複合酸化物は、異種金属置換からなるBET比表面積の変化はされていないことが確認できた。
<リチウム複合酸化物の結晶性>
実施例1~12及び比較例1、2のリチウム複合酸化物粉末に対して10~20°のXRDパターンを確認し、その結果を図3の(3a)、(3b)に示した。図3の実施例1~12及び比較例1、2により、本発明工程で作製したリチウム複合酸化物は15.3±1.0°(A)に示される直方晶系(010)面と18.2±1.0°(B)に示される単斜晶系(001)面のピークが確認できた。本発明工程で作製したリチウム複合酸化物は図3のように直方晶系を母構造とし、単斜晶をドメインとする構造であることを確認できた。さらに(A/B)ピーク積算強度比の算出を行い、その結果を表1に示した。
実施例2、6及び比較例2のリチウム複合酸化物粉末に対して10~90°のXRDパターンを確認し、その結果を図4に示した。本発明工程で作製したリチウム複合酸化物は、直方晶系(010)面、(011)面、(200)面、(021)面に強いピークと単斜晶系(001)面に弱いピークを有していることが分かった。すなわち、直方晶系ジグザグ層状構造を母構造とし、α-NaFeO層状構造のドメインを有するリチウム複合酸化物になっていることが分かった。さらに、本発明工程で作製したリチウム複合酸化物は、異種金属置換からなる結晶構造は変化させていないことが確認できた。
<高容量及び高出力特性>
実施例1~14及び比較例1、2で製造されたリチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極の充電・放電測定から求めた0.3C、1.0C、2.0Cでの放電容量、及び0.3Cの放電容量、平均放電電位(V)、電極密度(kg/L)から求めたエネルギー密度を表2に示した。
Figure 0007622934000002
さらに実施例2、5、6、8、10、12、13、14及び比較例2で製造されたリチウム複合酸化物を正極活物質として用いた正極の0.3Cで行った放電測定の結果を図5の(5a)、(5b)、(5c)に示した。エネルギー密度の計算を以下に示す。
エネルギー密度(Wh/kg)=放電容量(Ah/kg)×平均放電電位(V)
エネルギー密度(Wh/L)=放電容量(Ah/kg)×平均放電電位(V)
×電極密度(kg/L)
上記計算に使用された電極密度は上記<電池の作製>の記載に従って作製した電極から、集電体であるアルミニウムホイルを除く、正極活物質+導電材+バインダの重量と電極の直径と厚みから求めた体積で算出した。
表2で示された0.3Cの放電容量結果から、実施例1~14は金属元素置換をされなく製造された比較例1、2より出力特性の改良性が示された。これは、1.0C、2.0Cでの放電容量も同様な結果を示された。
表2で示された実施例1~14で製造された正極のエネルギー密度も比較例1、2より上回って、高容量で高出力を持つリチウム二次電池を達成した。特に、実施例13、14はカーボンがリチウム複合酸化物の周辺に均一分布され、出力特性がさらに改善された効
果を示した。
実施例6、13のリチウム複合酸化物のSEM像を図6に示した。実施例13は、実施例6のリチウム複合酸化物についてカーボン複合化を行うことで、活物質の二次粒子が粉砕によりもっと均一な粒径になることがSEM像で確認できた。
本発明のリチウム複合酸化物は、安価な高容量・高出力の正極活物質として、リチウム二次電池用正極活物質の分野で使用が期待される。



Claims (9)

  1. 組成式LiMeMn1-y(但し、0<x≦1.2であり、0<y≦0.2である。MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属元素である。)で示され、直方晶系ジグザグ層状構造を母構造とし、単斜晶又は菱面体晶α-NaFeO型層状構造のドメインを有し、かつ、粉体X線回折で15.3±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(A)と18.2±1.0°に観測される回折ピーク積分強度(B)との強度比(A/B)が0.5以上であることを特徴とするリチウム複合酸化物。
  2. 前記MeがAl、Co、Fe、Mg、Nb、Ni、Ti、及びZnからなる群より選ばれる1種以上の金属元素である請求項1に記載のリチウム複合酸化物。
  3. BET比表面積が8.0m/g以下であり、平均粒子径(D50)が、0.2~5.0μmである請求項1又は2に記載のリチウム複合酸化物。
  4. 導電性を有するカーボン若しくは金属で複合化されている請求項1~3のいずれかの項に記載のリチウム複合酸化物。
  5. 請求項1~4のいずれかの項に記載のリチウム複合酸化物の製造方法であって、組成式(MeMn1-y(但し、1.3<a/b<1.6であり、0<y≦0.2であり、MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属)で示され、金属イオンの平均酸化数が2.6以上3.3以下であるマンガン化合物とリチウム化合物を混合して焼結し、主相がジグザグ層状構造を有するLiMeMn1-yで表されるリチウム複合酸化物を作製する工程、及び、前記工程で得られたLiMeMn1-yにメカニカルミリングを施し、次いで不活性ガス中で熱処理することを特徴とする製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれかの項に記載のリチウム複合酸化物の製造方法であって、金属組成がMeMn1-y(但し、0<y≦0.2であり、MeがAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mo、Nb、Ni、Si、Ti、V、W、Zn、及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属)で示されるマンガン化合物とリチウム化合物を混合し、次いでアルカリ性水溶液中で水熱処理することを特徴とする製造方法。
  7. 得られるリチウム複合酸化物を、次いで、導電性を有するカーボン若しくは金属の複合化剤とともにメカニカルミリングする請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 請求項1~4のいずれかの項に記載のリチウム複合酸化物を含む電極。
  9. 請求項8に記載の電極を正極に使用したリチウム二次電池。




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