JPH1067520A - リチウム鉄酸化物粉末及びその製造法 - Google Patents

リチウム鉄酸化物粉末及びその製造法

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JPH1067520A
JPH1067520A JP8241146A JP24114696A JPH1067520A JP H1067520 A JPH1067520 A JP H1067520A JP 8241146 A JP8241146 A JP 8241146A JP 24114696 A JP24114696 A JP 24114696A JP H1067520 A JPH1067520 A JP H1067520A
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lithium
iron oxide
lithium iron
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JP8241146A
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Tatsuya Nakamura
龍哉 中村
Riyouji Sugano
了次 菅野
Mikio Takano
幹夫 高野
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Original Assignee
Toda Kogyo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウム電池の正極活物質として用いた場合
に、電極反応速度が高いリチウム鉄酸化物粉末を提供す
る。 【解決手段】 電極反応速度が高いリチウム鉄酸化物粉
末は、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれた金
属の1種又は2種以上をCo、Ni及びMnの各換算の
総和で0.5〜10.0mol%含有しており、且つ、
ジグザグ層状構造を有するLix (Fe,M)O2 (0
<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金属の
1種又は2種以上)からなるリチウム鉄酸化物粉末であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、正極活物質として用い
た場合に電極反応速度が高いため、リチウム電池の正極
活物質用材料として好適であるジグザグ層状構造を有す
るLix (Fe,M)O2 (0<x≦1、M=Co,N
i及びMnから選ばれた金属の1種又は2種以上)から
なるリチウム鉄酸化物粉末及びその製造法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューター、携帯
電話等のポータブル機器の開発に伴って、その電源とし
ての電池の需要が高まっている。特に、リチウム電池
は、リチウムの原子量が小さく、かつ、イオン化エネル
ギーが大きい物質であることに起因して、起電力が高
く、高エネルギー密度化が可能な電池が期待できること
から各方面で盛んに研究が行われている。
【0003】リチウム電池の高性能化への要求はとどま
るところがなく、リチウム電池に用いられる正極活物質
として、電極反応速度ができるだけ高いことが強く要求
されている。
【0004】近時、リチウム電池に用いられる正極活物
質用材料として、高電圧を発生させることが可能なLi
x CoO2 やLix NiO2 等が知られており、該Li
x CoO2 は既に実用化されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】正極活物質材料として
知られている前記公知のLix CoO2 やLix NiO
2 は、層状岩塩型(α−NaFeO2 型)の結晶構造を
有する。
【0006】一方、安価な正極活物質用材料としてリチ
ウム鉄化合物粉末の利用が期待されるが、層状岩塩型結
晶構造を有するリチウム鉄化合物粉末は知られていな
い。
【0007】即ち、リチウム鉄化合物粉末は、鉄酸化物
とリチウム化合物との混合粉体を800℃程度で焼成す
る、所謂、高温合成による場合には、不規則配列の正方
晶岩塩型結晶構造のものが得られ、上記混合粉体を40
0〜500℃程度で焼成する、所謂、低温合成による場
合には、正方晶の規則配列のものが得られ、いずれの場
合も、リチウム電池の正極活物質としては作用しないも
のであった。
【0008】本発明者らは、リチウム電池の正極活物質
として作用するリチウム鉄酸化物粉末を得るべく、鋭意
検討を重ね、周知のLix MnO2 の結晶構造と同様の
ジグザグ層状構造を有するリチウム鉄酸化物Lix Fe
2 粉末を既に得ている(特願平8−38283号)。
【0009】しかしながら、このジグザグ層状構造を有
するLix FeO2 粉末は、電子伝導性が低く、層間で
のリチウムイオンの拡散が遅いものであり、リチウム電
池の電極材料として用いた場合には、電極反応速度が低
いものとなり、電池の作動電流が小さなものとなるとい
う欠点を有していた。
【0010】そこで、本発明は、リチウム電池の正極活
物質として用いた場合に、電極反応速度ができるだけ高
いリチウム鉄酸化物粉末を得ることを技術的課題とす
る。
【0011】
【問題点を解決するための手段】前記技術的課題は、次
の通りの本発明によって達成できる。
【0012】即ち、本発明は、コバルト、ニッケル及び
マンガンから選ばれた金属の1種又は2種以上をCo、
Ni及びMnの各換算の総和で0.5〜10.0mol
%含有しており、且つ、ジグザグ層状構造を有するLi
x (Fe,M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及び
Mnから選ばれた金属の1種又は2種以上)からなるリ
チウム鉄酸化物粉末である。
【0013】また、本発明は、コバルト、ニッケル及び
マンガンから選ばれた金属の1種又は2種以上を含有す
るレビドクロサイト粒子粉末とリチウム化合物粉末との
混合粉末を100〜150℃の温度範囲で加熱すること
からなる前記リチウム鉄酸化物粉末の製造法である。
【0014】次に、本発明の構成を詳しく説明すれば、
次の通りである。
【0015】先ず、本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末
について述べる。
【0016】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末は、コ
バルト、ニッケル及びマンガンから選ばれた金属の1種
又は2種以上をCo、Ni及びMnの各換算の総和で
0.5〜10.0mol%含有している。0.5mol
%未満の場合には、本発明の目的とする高い起電力を発
生させるリチウム鉄酸化物粉末を得ることができない。
10.0mol%を越える場合にも、高い起電力を発生
させるリチウム鉄酸化物粉末を得ることができるが、経
済性を考慮すれば、必要以上に含有させる意味がない。
【0017】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末は、ジ
グザグ層状構造を有しており、特に、リチウムイオンの
電気化学的な可逆反応を示す。
【0018】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末は、レ
ピドクロサイトのジグザグ層状構造の層間に含有される
プロトンと、リチウム化合物に含有されるリチウムイオ
ンとのイオン交換反応により得られるものであるから、
その組成は、Lix (Fe,M)O2 (0<x≦1、M
=Co,Ni及びMnから選ばれた金属の1種又は2種
以上)の組成を有する。そして、リチウムイオン伝導性
の電解質中では、リチウムイオンの出入りが生じること
から、Lix (Fe,M)O2 (0<x≦2)の組成を
有する。
【0019】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末のサイ
ズは、鉄原料であるレピドクロサイト粉末の粒子サイズ
とほぼ同じであり、平均粒径0.01〜1.0μm程度
である。
【0020】次に、本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末
の製造法について述べる。
【0021】本発明におけるコバルト、ニッケル及びマ
ンガンから選ばれた金属Mの1種又は2種以上を含有す
るレピドクロサイト粉末は、γ−(Fe,M)OOHで
示され、コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれた
金属の1種又は2種以上をCo、Ni及びMnの各換算
の総和で0.5〜10.0mol%含有する平均粒径
0.01〜1.0μmの粒子が好ましい。
【0022】本発明に係るレピドクロサイト粒子粉末に
おけるコバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれた金
属の1種又は2種以上の含有量が、Co、Ni及びMn
の各換算の総和で0.5mol%未満の場合には、本発
明の目的とするリチウムイオンの拡散速度の高いリチウ
ム鉄酸化物粉末が得られ難い。後出するレピドクロサイ
ト粉末の生成反応においてコバルト、ニッケル及びマン
ガンから選ばれた金属の1種又は2種以上をCo、Ni
及びMnの各換算の総和で10.0mol%を越える量
を添加した場合には、レピドクロサイト粒子粉末以外に
スピネルフェライト粉末が生成混在し、コバルト、ニッ
ケル及びマンガンから選ばれた金属の1種又は2種以上
を含有するレピドクロサイト粒子粉末のみを得ることが
困難となる。
【0023】本発明におけるコバルト、ニッケル及びマ
ンガンから選ばれた金属の1種又は2種以上を含有する
レピドクロサイト粒子粉末は、レピドクロサイト粒子粉
末の周知の製造法において、反応系にコバルト化合物、
ニッケル化合物及びマンガン化合物から選ばれた金属の
1種又は2種以上の化合物存在させることにより得るこ
とができる。
【0024】レピドクロサイト粉末の最も代表的な製造
法としては、水酸化第一鉄を含む酸性乃至中性懸濁液に
空気等の酸素含有ガスを通気して酸化する方法である。
【0025】本発明におけるリチウム化合物粉末として
は、Li2 O、LiOH、LiOH・H2 O等を使用す
ることができる。不規則配列のα−LiFeO2 の生成
を抑制し、本発明の目的とするLix (Fe,M)O2
(0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金
属の1種又は2種以上)粉末のみを生成させるために
は、リチウム化合物の無水物を使用することが好まし
い。
【0026】本発明におけるコバルト、ニッケル及びマ
ンガンから選ばれた金属の1種又は2種以上を含有する
レピドクロサイト粉末とリチウム化合物粉末との混合割
合は、リチウムと鉄がモル比でLi/Fe≧1.2とな
る範囲であることが好ましい。より好ましくはLi/F
e≧1.4である。リチウムと鉄のモル比が1.2未満
の場合は、本発明の目的とするLix (Fe,M)O2
(0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金
属の1種又は2種以上)よりもリチウム量が少ない不規
則スピネルβ−Li(Fe,M)5 8 粉末が生成しや
すくなる。
【0027】リチウム化合物量が化学量論組成を大きく
越えると、水酸化リチウム等未反応のリチウム化合物粉
末がそのまま残存し、Lix (Fe,M)O2 (0<x
≦1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金属の1種
又は2種以上)粉末に水酸化リチウム等のリチウム化合
物粉末が混在する。
【0028】本発明における混合粉末の加熱温度は、1
00〜150℃の範囲である。100℃未満の場合に
は、イオン交換反応の反応速度が遅くなり、イオン交換
反応に長時間を要する。150℃を越える場合には、高
温で安定相を形成する不規則配列のα−Li(Fe,
M)O2 の生成量が増える。
【0029】本発明においては、前述した通り、反応条
件により、本発明の目的とするLix (Fe,M)O2
(0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金
属の1種又は2種以上)粉末以外に未反応のリチウム化
合物粉末が混在することがある。
【0030】未反応のリチウム化合物粉末が混在したL
x (Fe,M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及
びMnから選ばれた金属の1種又は2種以上)粉末を正
極活物質用材料としてリチウム電池を構成した場合に
は、未反応リチウムが可逆的な電極反応を示さないた
め、電池の容量が低いものとなり、電気化学的な可逆反
応速度が低下する。そのため、未反応のリチウム化合物
粉末を除去することが肝要である。混在している未反応
のリチウム化合物粉末を除去するためには、できるだけ
低温、殊に、30℃以下の水中に反応生成物粉末を懸濁
した後、できるだけ短時間裡に濾別、乾燥することが好
ましい。
【0031】反応生成物粉末は、10〜50重量%とな
るように水中に懸濁することが好ましい。水中では、L
x (Fe,M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及
びMnから選ばれた金属の1種又は2種以上)が分解し
てレピドクロサイトγ−(Fe,M)OOHが生成しや
すくなる。このため、反応生成物粉末を水中に懸濁させ
る際には、一旦、生成したLix (Fe,M)O2 (0
<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金属の
1種又は2種以上)が分解しない、できるだけ低温、殊
に、30℃以下の温度の冷水中に懸濁し、できるだけ短
時間裡に濾別して、Lix (Fe,M)O2 (0<x≦
1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金属の1種又
は2種以上)の分解をできるだけ抑制することが好まし
い。
【0032】反応生成物粉末を水中に懸濁し、LiOH
等の未反応のリチウム化合物粉末を水洗、除去した後の
沈澱物の乾燥は、できるだけ低温、殊に、40℃以下で
行うことが好ましく、必要により、減圧下で行うことが
好ましい。40℃を越えると得られたLix (Fe,
M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選
ばれた金属の1種又は2種以上)が分解してレピドクロ
サイトγ−(Fe,M)OOHが生成しやすくなる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施形態は、次
の通りである。
【0035】なお、反応生成物粉末の同定、その結晶構
造及び結晶性の程度は、X線回折(RIGAKU製、使
用X線:Mn−filtered Fe−Kα線、管電
圧:40kV、管電流:20mA)により調べた。
【0036】結晶構造は、ジグザグ層状構造を有するこ
とが周知の斜方晶LiMnO2 と対比することにより確
認した。
【0037】リチウム鉄酸化物粉末に含有されるCo,
Ni及びMn量は、リチウム鉄酸化物粉末を濃塩酸に溶
解させて、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICA
P−575、日本ジャーレルアッシュ社製)を用いて標
準添加法により測定した。上記、プラズマ発光分光の結
果より、リチウム、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン
のみを決定し、酸素は、(Fe,M)当たり2原子が含
まれているものとした。
【0038】リチウム鉄酸化物の電極活物質として、そ
の電気化学特性をポテンシャルスイープ法により評価し
た。
【0039】まず、測定用作用電極として、リチウム鉄
酸化物と、結着剤としてポリ4フッ化エチレン、導電剤
として黒鉛を各々重量比で10%混合し、この混合物を
30mg秤量し、集電体としてステンレス鋼のメッシュ
に充填し、作用電極とした。
【0040】このようにして得られた作用電極に、ステ
ンレス鋼線からなるリード端子をスポット溶接した。ま
た、対極としては、金属リチウム箔をステンレス鋼メッ
シュに充填し、同様にリード端子をスポット溶接した。
参照極としては、リチウム金属を用い同様に構成した。
【0041】電解質には、過過塩素酸リチウム(LiC
lO4 )を炭酸プロピレン、ジメトキシエタンを体積比
で1:1の割合で混合した溶媒中に1molの濃度で溶
解させたものを用いた。
【0042】このようにして作成した作用電極、対極及
び参照極を電解質中に浸漬し、電気化学セルを構成し
た。この電気化学セルを用い、金属リチウム電極基準で
1.5V〜3.5Vの電位範囲で、10mV/secの
掃引速度で電位掃引を行い、その時観測される電流変化
を調べた。これらの電気化学測定セルの作製並びに測定
はアルゴンを満たしたドライボックス中で行った。
【0043】このリチウム鉄酸化物の電極反応速度の指
標としては、この電位範囲で観測された電位−電流曲線
に現れた、還元電流のピーク値を求めた。
【0044】<リチウム鉄酸化物の製造>Coを3.0
mol%含有したレピドクロサイトγ−(Fe,Co)
OOH粉末24.0gとLiOH(無水物)粉末9.0
5g(Li/Fe=1.4)を混合し、この混合粉末を
スクリューキャップ耐圧瓶に入れて、予め130℃に加
熱しておいた電気オーブン中に入れて1時間反応させて
反応生成物粉末を得た。
【0045】上記反応生成物粉末を、水温約10℃の冷
水200ccに5分間浸漬、懸濁して水洗し、次いで、
沈殿固形分を濾別した後、30℃の減圧下で3日間乾燥
して、黄褐色粉末を得た。
【0046】得られた黄褐色粉末は、図1に示すX線回
折図に示す通り、ジグザグ層状構造を有するLix (F
e,Co)O2 粉末であった。図1中、ピークAは、L
x(Fe,Co)O2 を示す。そして、ICAP分析
の結果、3.0mol%のCoを含有するLi0.95Fe
0.97Co0.032 粉末であった。
【0047】このリチウム鉄酸化物について行ったポテ
ンシャルスイープにおいて現れた還元電流のピーク値
は、22.3mVであった。
【0048】
【作用】本発明において最も重要な点は、鉄原料として
コバルト、ニッケル及びマンガンから選ばれた金属の1
種又は2種以上を含有するレピドクロサイト粒子粉末を
用いた場合には、正極活物質として作用するジグザグ層
状構造を有し、且つ、正極活物質として用いた場合に電
極反応速度が高いLix (Fe,M)O2 (0<x≦
1、M=Co,Ni及びMnから選ばれた金属の1種又
は2種以上)が得られるという事実である。
【0049】ジグザグ層状構造を有するLix (Fe,
M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選
ばれた金属の1種又は2種以上)粉末が得られる理由に
ついて、本発明者は、レピドクロサイトγ−(Fe,
M)OOH粉末は、ジグザク層状構造の層間にプロトン
を含有した結晶構造を有するため、リチウム化合物とと
もに加熱すると、イオン交換反応が生じ、プロトンが離
脱すると同時にジグザグ層間にリチウムイオンが導入さ
れることによるものと考えている。
【0050】ジグザグ層状構造を有するLix (Fe,
M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選
ばれた金属の1種又は2種以上)粉末が正極活物質とし
て作用する理由について、本発明者は、層間に存在する
リチウムイオンが、電気化学的に出入りすることによる
ものと考えている。
【0051】正極活物質として用いた場合に電極反応速
度が高いLix (Fe,M)O2 (0<x≦1、M=C
o,Ni及びMnから選ばれた金属の1種又は2種以
上)粉末が得られる理由についてはいまだ明らかではな
いが、本発明者は、次のように考えている。
【0052】即ち、リチウム鉄酸化物は、電子とリチウ
ムイオンの混合伝導体であり、電子は鉄イオン間をホッ
ピングにより伝導し、リチウムイオンは、FeO2 層間
のイオンサイト間を伝導する。電子の移動に伴い鉄イオ
ンに電子が挿入脱離することにより、その近接のリチウ
ムイオンサイトのエネルギーレベルも変化することか
ら、そのイオンサイトをリチウムイオンが占める確率も
変化し、電子とリチウムイオンは結晶中であたかもカッ
プリングしているかのように伝導する。
【0053】リチウム鉄酸化物中の鉄の一部分がコバル
ト、ニッケル及びマンガンから選ばれた金属の1種又は
2種以上により置換されることにより、フェルミ準位付
近の電子構造が変化し、伝導電子帯に熱励起される電子
数が増えるものと思われる。その結果、鉄イオン間をホ
ッピングする電子が増加し、この電子の伝導に伴い層間
のリチウムイオンも伝導することから、リチウムイオン
の伝導性も向上する。また、リチウム鉄酸化物の電子伝
導性も高いものとなることから、電極活物質として用い
た場合、電極反応速度が向上する。
【0054】
【実施例】次に、実施例及び比較例並びに使用例を挙げ
る。
【0055】実施例1〜6、比較例1〜4 レピドクロサイト粉末の種類、レピドクロサイト粉末と
リチウム化合物粉末との混合割合Li/Fe(mol
比)及び加熱温度を種々変化させた以外は、前記発明の
実施の形態と同様にして反応生成物粉末を得た。
【0056】この時の製造条件、反応生成物の諸特性及
び加熱処理物の特性を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】実施例1乃至実施例6で得られたリチウム
鉄酸化物粉末は、いずれもジグザグ層状構造を有するL
x (Fe,M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及
びMnから選ばれた金属の1種又は2種以上)であるこ
とが認められた。
【0059】実施例3で得られたリチウム鉄酸化物粉末
のX線回折図を図2に示す。
【0060】また、比較例1で得られた粉末も、ジグザ
グ層状構造を有するLi0.93Fe1.0 2 粉末であっ
た。
【0061】比較例2で得られた黄褐色粉末は、図3の
X線回折図に示す通り、ジグザク層状構造を有するLi
x FeO2 、α−LiFeO2 及びγ−FeOOHの混
合物粉末であった。
【0062】比較例3で得られた黄褐色粉末は、図4の
X線回折図に示す通り、ジグザク層状構造を有するLi
x FeO2 (0<x≦1)とα−LiFeO2 の混合物
粉末であった。
【0063】比較例4で得られた黄褐色粉末は、図5の
X線回折図に示す通り、ジグザク層状構造を有するLi
x FeO2 、γ−FeOOH及びβ−LiFe5 8
の混合物粉末であった。
【0064】使用例 実施例1乃至実施例6の各実施例で得られたリチウム鉄
酸化物粉末、比較例1乃至比較例4の各比較例で得られ
た粉末のそれぞれを用いて前記発明の実施の形態と同様
にして特性を確認した。
【0065】実施例1乃至実施例6の各実施例で得られ
たリチウム鉄酸化物粉末を用い、前記発明の実施の形態
と同様にして調べた還元電流ビーク値を表1に示した。
【0066】実施例1乃至実施例6で得られたリチウム
鉄酸化物を用いた場合の還元電流ピーク値は、比較例1
乃至比較例4のものに比べて大きな値を示しており、本
発明による電極反応速度のより高いリチウム鉄酸化物が
得られることがわかった。
【0067】なお、本発明の使用例においては、リチウ
ム化合物として無水水酸化リチウムを用いて得られたリ
チウム鉄酸化物を正極活物質用材料として使用した場合
について説明を行ったが、水酸化リチウムの水和物或い
は酸化リチウムや過酸化リチウム、などを用いても同様
の効果が得られている。
【0068】また、M元素としてCo及びNi、Co及
びMn、Co,Ni及びMnのそれぞれを含有している
リチウム鉄酸化物を正極活物質材料として使用した場合
も、実施例1乃至実施例6と同様に電極反応速度が高い
ことを確認している。
【0069】比較例1で得られたリチウム鉄酸化物粉末
を用いた場合には、電気化学的な活性を示したが、電極
反応速度が低いものであった。
【0070】比較例2乃至比較例4の各比較例で得られ
た粉末を用いた場合には、電気化学的な活性をほとんど
示さなかった。
【0071】
【発明の効果】本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末は、
リチウム電池の正極活物質として作用し、しかも、電極
反応速度が高いので、リチウム電池の正極活物質用材料
として好適である。
【0072】また、本発明に係るリチウム鉄酸化物粉末
は、Lix CoO2 やLix NiO2 等に比べ、コスト
が安く、高価なCoやNiを多量に使用する必要がない
ので、リチウム電池の正極活物質用材料として経済的規
模での供給が可能であるので、工業的、経済的に有利で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の実施の形態で得られたリチウム鉄酸化
物のX線回折図を示したものである。
【図2】 実施例3で得られたリチウム鉄酸化物のX線
回折図を示したものである。
【図3】 比較例2で得られた粉末のX線回折図を示し
たものである。
【図4】 比較例3で得られた粉末のX線回折図を示し
たものである。
【図5】 比較例4で得られた粉末のX線回折図を示し
たものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 10/40 H01M 10/40 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルト、ニッケル及びマンガンから選
    ばれた金属の1種又は2種以上をCo、Ni及びMnの
    各換算の総和で0.5〜10.0mol%含有してお
    り、且つ、ジグザグ層状構造を有するLix (Fe,
    M)O2 (0<x≦1、M=Co,Ni及びMnから選
    ばれた金属の1種又は2種以上)からなるリチウム鉄酸
    化物粉末。
  2. 【請求項2】 コバルト、ニッケル及びマンガンから選
    ばれた金属の1種又は2種以上を含有するレビドクロサ
    イト粒子粉末とリチウム化合物粉末との混合粉末を10
    0〜150℃の温度範囲で加熱することを特徴とする請
    求項1記載のリチウム鉄酸化物粉末の製造法。
JP8241146A 1996-08-23 1996-08-23 リチウム鉄酸化物粉末及びその製造法 Pending JPH1067520A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000243392A (ja) * 1999-02-16 2000-09-08 Mitsubishi Electric Corp 正極活物質およびその製造方法並びに上記正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池
JP2007220406A (ja) * 2006-02-15 2007-08-30 Sanyo Electric Co Ltd 非水電解液電池
WO2021235454A1 (ja) * 2020-05-22 2021-11-25 国立大学法人横浜国立大学 リチウム複合酸化物及びその製造方法
JP2021183555A (ja) * 2020-05-22 2021-12-02 国立大学法人横浜国立大学 リチウム複合酸化物及びその製造方法

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