JP7623859B2 - 粘着フィルム、及び加飾フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、粘着フィルム、及び加飾フィルムに関する。
従来、車両の外装部品等の物品の表面を装飾する方法として、物品の表面に貼り付けた粘着フィルムに装飾を施す方法、及び粘着フィルムと装飾とが一体化した加飾フィルムを物品に貼り付ける方法等が知られている。また、近年、外装部品の材質としては、軽量性、加工性及びコスト等の観点から、樹脂が主流となっている。特に、ポリオレフィン系樹脂製の外装部品は、軽量性、加工性及び生産コスト等の観点から、広く利用されている。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は極性が低いため、ポリオレフィン系樹脂製の外装部品は難接着性であることが多い。そのため、これらの外装部品に貼り付けるための粘着フィルム及び加飾フィルムには、ポリオレフィン系樹脂製被着体に対する高い接着強度が要求されている。
このようなポリオレフィン系樹脂製被着体に貼り付けるための粘着フィルムとして、(メタ)アクリル共重合体と、軟化点が100℃以上であるロジン系粘着付与樹脂と、架橋剤とを含む粘着剤組成物より作製された粘着剤層を有する粘着シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2018-177902号公報
競技用二輪車等が備える燃料タンク及び燃料パイプ等の燃料装置は、軽量性及び強度の観点から、ポリエチレン製であることがある。しかしながら、ポリエチレンは燃料の一種であるガソリンを透過しやすいため、ガソリンを保持するポリエチレン製燃料装置の表面に貼り付けられた粘着フィルムは、当該燃料装置を透過したガソリンに曝露されることがある。特許文献1に記載の粘着シートは、ガソリンに曝露すると、粘着シートの粘着剤がガソリンに溶解し粘着力が低下しやすいことに加え、透過したガソリンにより粘着シートが膨れ外観が損なわれやすいという問題があった。
すなわち、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガソリンに曝露した後でも、良好な外観を維持できる粘着フィルム、及びその関連技術を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る粘着フィルムは、基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを備える粘着フィルムであって、前記基材層は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含み、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び架橋剤(C)を含む粘着剤組成物から形成されてなり、前記粘着剤層は、前記基材層に背向する面に溝部を有し、前記溝部の深さは、前記粘着剤層の厚さよりも小さく、前記粘着フィルムの、23℃、50%RH雰囲気下におけるガソリン透過量は、15g/m・h以上であり、前記粘着剤層の、ポリオレフィン系樹脂製被着体に貼り合わせた後、23℃、50%RH雰囲気下でガソリン蒸気に2時間曝した後の粘着力は、10.0N/25mm以上である。
本発明によれば、ガソリンに曝露した後でも、良好な外観を維持できる粘着フィルム、及びその関連技術を提供できる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100の断面を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100を粘着剤層20側から基材層10側へと見た外観を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る粘着フィルム101の断面を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る加飾フィルム200の断面を模式的に示す図である。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において、格別に断らない限り、単に「%」と記載されている場合には、当該記載は「重量%」を意味する。
本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの一方又は両方を意味する。また、本明細書において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の一方又は両方を意味する。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味する。
<粘着フィルム100>
ガソリンを保持する被着体に粘着フィルムを貼り付けると、一定時間経過後に被着体と粘着フィルムとの密着が失われて当該粘着フィルムが膨れて見えることがある。以下では、この粘着フィルムが膨れて見えることを、「ガソリン膨れ」と称することがある。本発明者らは、ガソリン膨れの原因が、(1)粘着フィルムにおけるガソリン透過量が低いことと、(2)被着体を透過したガソリンに粘着フィルムの粘着剤層が溶解することにより粘着力が低下することと、であることを見出した。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100は、後述する物性及び層構成を有することで、ガソリン透過量が高い。このため、粘着フィルムがガソリンに曝されたとき、ガソリンを好適に放散させることで、ガソリン膨れが起こりにくい。これにより、良好な外観を維持できる。また、粘着フィルム100は、その粘着剤層20がガソリンに溶解することによる粘着力の低下が起こりにくい。これによっても、粘着フィルム100は、良好な外観を維持できると共に、良好な粘着力を維持できる。以下、本明細書中、ガソリン膨れが生じにくいことを、「耐ガソリン膨れ性」が高いと称することがあり、粘着剤層20がガソリンに溶解することによる粘着力の低下が起こりにくいことを、「耐ガソリン性」が高いと称することがある。
以下、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100の物性、次いで層構成について説明する。
〔粘着フィルム100の物性〕
以下、粘着フィルム100の物性について、詳細に説明する。
(ガソリン透過量)
粘着フィルム100の、23℃、50%RH(相対湿度)雰囲気下におけるガソリン透過量は、15g/m・h以上である。ガソリン透過量とは、面積当たりの粘着フィルム100を時間当たりに透過するガソリンの重量を意味する。当該ガソリン透過量が15g/m・h以上であることにより、被着体を透過したガソリンが粘着フィルム100をも容易に透過することができ、被着体に貼り付けられた状態において、ガソリンに曝されても、当該ガソリンによる膨れが発生することを防止できる。これにより、粘着フィルム100は、粘着剤層20を溶解し得るガソリンを粘着剤層20から放散できる。したがって、粘着フィルム100は、耐ガソリン膨れ性が高まり、ガソリンに曝露した後でも良好な外観を維持できる。粘着フィルム100の、23℃、50%RH(相対湿度)雰囲気下におけるガソリン透過量は、耐ガソリン膨れ性をより向上させる観点から、好ましくは17g/m・h以上であり、より好ましくは20g/m・h以上である。
粘着フィルム100の、23℃、50%RH(相対湿度)雰囲気下におけるガソリン透過量の上限は、耐ガソリン膨れ性をより向上させる観点からは特に制限されない。当該ガソリン透過量は、粘着フィルム100の機械的強度が過度に損なわれないようにする観点から、好ましくは50g/m・h以下であり、より好ましくは40g/m・h以下である。
なお、粘着フィルム100の、23℃、50%RH(相対湿度)雰囲気下におけるガソリン透過量は、当技術分野で公知の方法によって、測定することが可能である。例えば、当該ガソリン透過量は、透湿カップにガソリンを加え、透湿カップの開口部を粘着フィルム100で覆った後、23℃、50%RH(相対湿度)雰囲気下に静置した透湿カップの重量の経時変化を記録することによって、算出するとよい。例えば、当該ガソリン透過量は、以下の式(1)を用いて算出してもよい。
ガソリン透過量(g/m・h)=(M-M)/(S・T) 式(1)
式(1)中、M(g)は粘着フィルム100を貼り合わせた直後の透湿カップの重量、M(g)は粘着フィルム100を貼り合わせた後、所定時間T(h)が経過した後の透湿カップの重量、S(m)は透湿カップの開口部面積である。ガソリン透過量の評価は、ガソリンに対する粘着フィルムの耐ガソリン膨れ性を評価する促進テストとしての側面も有している。
(ガソリン曝露前の粘着力)
粘着フィルム100のガソリン曝露前の粘着力は、被着体に貼り付けられた後に23℃、50%RH雰囲気下に48時間静置された粘着フィルム100の幅25mmの部分を剥離するために必要な力を意味する。当該粘着力は、被着体と粘着フィルム100との間の接着状態を好適に定着させる観点から、好ましくは10.0N/25mm以上であり、より好ましくは12.0N/25mm以上である。
粘着フィルム100のガソリン曝露前の粘着力の上限は、被着体と粘着フィルム100との間の接着状態を定着させる観点からは、特に制限されない。当該粘着力は、粘着フィルム100の貼り直しを容易にする観点等から、好ましくは20.0N/25mm以下であり、より好ましくは15.0N/25mm以下である。
なお、粘着フィルム100のガソリン曝露前の粘着力は、当技術分野において公知の方法によって、あるいはそれを利用して測定できる。たとえば、当該粘着力は、JIS Z 0237:2009によって、またはそれに準拠する方法によって測定できる。詳細は実施例の欄を参照されたい。
(ガソリン曝露後の粘着力)
粘着フィルム100のガソリン曝露後の粘着力は、被着体に貼り付けられた後に23℃、50%RH雰囲気下に48時間、次いで23℃、50%RH及びガソリン蒸気雰囲気下に2時間、次いで23℃、50%RH雰囲気下に30分間静置された粘着フィルム100の幅25mmの部分を剥離するために必要な力を意味する。当該粘着力は、10.0N/25mm以上である。これにより、粘着フィルム100は、ガソリンに曝露した後でも、被着体に対する良好な粘着力を維持できる。粘着フィルム100のガソリン曝露後の粘着力は、被着体と粘着フィルム100との間の接着状態を維持し良好な外観を維持する観点から、好ましくは12.0N/25mm以上であり、より好ましくは14.0N/25mm以上である。
粘着フィルム100のガソリン曝露後の粘着力の上限は、良好な外観を維持する観点からは、特に制限されない。当該粘着力は、粘着フィルム100の貼り直しを容易にする観点等から、好ましくは20.0N/25mm以下であり、より好ましくは15.0N/25mm以下である。
なお、粘着フィルム100のガソリン曝露後の粘着力は、上述したガソリン曝露前の粘着力と同様の方法によって測定できる。詳細は実施例の欄を参照されたい。
〔粘着フィルム100の層構成〕
上述した物性を有する粘着フィルム100は、後述の層構成によって実現することが可能である。
以下、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100の層構成について、図1及び図2を参照して、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100の断面を模式的に示す図である。図1に示すように、粘着フィルム100は、基材層10と、基材層10の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層20とを備える。図2は、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100を粘着剤層20側から基材層10側へと見た外観を模式的に示す図である。
(基材層10)
粘着フィルム100は、基材層10を備える。基材層10は、粘着フィルム100の機械的強度及び耐候性を高める機能を主に有する層である。
基材層10は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。より具体的には、基材層10は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む基材組成物から形成されてなる。ポリ塩化ビニル系樹脂は、機械的強度及び耐候性に優れるとともに、ガソリンを容易に透過する性質を有する。したがって、基材層10がポリ塩化ビニル系樹脂を含むことで、粘着フィルム100の機械的強度、耐候性及びガソリン透過量を高めることができる。
基材組成物に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば:塩化ビニルの単独重合体;構成単位として塩化ビニルを含む共重合体、並びに当該共重合体の構成単位がさらに塩素化された重合体;ポリオレフィン又はポリジエンの構成単位が有する水素の1つ以上が塩素化された重合体;等の樹脂が挙げられる。これらのポリ塩化ビニル系樹脂は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。構成単位として塩化ビニルを含む共重合体に含まれる他の構成単位としては、例えば:エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル類;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド類;等が挙げられる。これらの他の構成単位は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。ポリ塩化ビニル系樹脂としては、より具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルエチレン共重合体、及びクロロプレンゴム等が挙げられる。
基材組成物に含まれるポリ塩化ビニル系樹脂は、可塑剤を含んでいることが好ましい。ポリ塩化ビニル系樹脂に含まれる可塑剤の含有量は、粘着フィルム100のガソリン透過量を高める観点からは多い方が好ましく、100重量部のポリ塩化ビニル系樹脂に対して、好ましくは15重量部以上であり、より好ましくは20重量部以上である。また、当該含有量は、粘着フィルム100の機械的強度及び耐候性を高める観点からは少ない方が好ましく、100重量部の基材組成物に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは35重量部以下である。
可塑剤には、例えば、ポリエステル系可塑剤が挙げられ、ジオクチルテレフタレート(DOP)、及びジイソノニルテレフタレート(DINP)等のフタル酸エステル系可塑剤、並びにトリメリット酸エステル系可塑剤等の芳香族ポリエステル系可塑剤、並びにアジピン酸エステル等の脂肪酸ポリエステル系可塑剤が挙げられる。その他、可塑剤には、パラフィン系鉱物油軟化剤、流動パラフィン、ポリブテン等が挙げられる。これら可塑剤は、適宜選択すればよい。
基材層10を形成する基材組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述したポリ塩化ビニル系樹脂及び可塑剤以外の他の成分を含んでもよい。他の成分は、粘着フィルム100の用途に応じて、適宜に決めることができる。他の成分としては、例えば、顔料、分散剤、熱安定剤、充填剤、紫外線吸収剤及び加工助剤等が挙げられる。
基材層10の厚さLは、基材層10全体に沿って均一であってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲において、領域ごとに異なっていてもよく、粘着フィルム100の用途に応じて適宜に決めることができる。基材層10の厚さLは、粘着フィルム100の機械的強度及び耐候性を高める観点からは厚い方が好ましく、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは25μm以上である。基材層10の厚さLは、粘着フィルム100のガソリン透過量を高める観点からは薄い方が好ましく、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは35μm以下である。なお、基材層10の厚さLは、23℃、50%RH雰囲気下において、低圧厚さ測定器によって測定されればよい。すなわち、基材層10の厚さLは、例えば、ラベルとして切り出された粘着フィルムにおける基材層10の平均厚さとして上記の好ましい厚さであることが好ましい。
基材層10の形状は、粘着フィルム100の用途に応じて適宜に決めることができる。基材層10の形状は、例えば、平面形状であってもよく、曲面形状であってもよい。基材層10の形状は、粘着フィルム100をより広い面積で被着体に接着させる観点から、被着体に対して皺伸無く接着可能な形状であることが好ましい。
(粘着剤層20)
粘着フィルム100は、基材層10の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層20を備える。粘着剤層20は、被着体に対する粘着フィルム100の粘着性を高める機能を主に有する層である。
粘着剤層20は、(メタ)アクリル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び架橋剤(C)を含む粘着剤組成物から形成されてなる。粘着剤組成物は、液状、ペースト状、又は粉末状の組成物であり、架橋剤(C)による架橋構造が構築される前の状態の組成物を意味する。また、粘着剤層20は、固形状、又はゲル状の層であり、架橋剤(C)による架橋構造が構築された後の状態の層状の組成物を意味する。
粘着剤組成物に含まれる(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)及びガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を含む共重合体であることが好ましい。また、(メタ)アクリル共重合体(A)は(メタ)アクリレート系単量体(A-3)を含んでいてもよい。(メタ)アクリル共重合体(A)は、ポリオレフィン系樹脂製被着体に対して良好な粘着力を示すと共に、ガソリンを好適に透過する。そのため、(メタ)アクリル共重合体(A)は、粘着フィルム100が備える粘着剤層20の材料として好適である。
(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位を含んでいることが好ましい。本明細書中、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)とは、(メタ)アクリル酸に代表されるカルボキシル基と、ラジカル重合が可能な不飽和二重結合基とを備える単量体という意味を含む。(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸及びシトラコン酸等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)とアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)とは、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)が有するカルボキシル基がエステル結合されているか否かによって区別され得る。
(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれる(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは6重量部以上である。(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位の含有量が多い程、粘着剤組成物中のカルボキシル官能基の量が増加し粘着剤組成物の凝集力が向上するため、耐ガソリン性が高められる。また、(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれる(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは8重量部以下である。これにより、粘着剤層20を柔らかくすることができ、耐ガソリン膨れ性を備えつつ、被着体に対する粘着フィルム100の密着性を向上させることができる。
(メタ)アクリル共重合体(A)は、ガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を含むことが好ましい。ガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位とは、当該構成単位の単独重合体におけるガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体の構成単位のことを意味する。当該構成単位は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位、及び後述する(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位よりも、(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度を低くすることに寄与する。なお、本明細書において、「アルキル(メタ)アクリレート系単量体」とは、少なくとも部分的にアルキル鎖を有する(メタ)アクリレート系単量体の意味と、アルキル鎖に加えて、水酸基等の官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系単量体の意味とを包含する。
(メタ)アクリル共重合体(A)が、ガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を含むことにより、(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度を好適に低下させることができ、ポリオレフィン製である被着体への粘着フィルム100の密着性をより向上させることができる。ガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を得るための単量体としては、例えば、イソデシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を得るための単量体としては、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレートも挙げられる。(メタ)アクリル共重合体(A)において、アルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。
(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは20重量部以上であり、より好ましくは25重量部以上である。これにより、粘着フィルム100の被着体に対する密着性をより向上させることができる。また、(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは30重量部以下であり、含有量がより少ない方が粘着剤組成物の凝集力が向上するため、粘着フィルム100の耐ガソリン性をより向上させることができる。
また、(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位及びアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位以外の(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位を含んでもよい。
(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位とは、当該構成単位の単独重合体におけるガラス転移温度が-60℃よりも高い(メタ)アクリレート系単量体の構成単位のことを意味する。当該構成単位は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位、及び前述の(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位よりも、(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度を高くすることに寄与する。(メタ)アクリル共重合体(A)が、(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位を含むことにより、凝集力を付与でき、ガソリン曝露後の接着力低下を抑制することができる。(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位を得るための単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-メトキシ(メタ)アクリレート、2-エトキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位を得るための単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートも挙げられる。中でも、(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位を得るための単量体は、粘着剤組成物の凝集力を向上させる観点から、好ましくはブチルアクリレートである。(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。
また、(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれる(メタ)アクリレート系単量体(A-3)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは50重量部以上であり、より好ましくは65重量部以上であり、含有量がより多い方が、粘着剤組成物の凝集力が向上するため、粘着フィルム100の耐ガソリン性をより向上させることができる。
その他、(メタ)アクリル共重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、(メタ)アクリル単量体と共重合可能な単量体を含んでいてもよい。当該共重合可能な単量体には、例えば、酢酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルエーテル、アクリロニトリル、アクリルアミド及びスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、粘着剤層20を柔らかくし、粘着フィルム100の被着体に対する密着性を向上させ粘着力を高める観点から、好ましくは-50℃以下であり、より好ましくは-55℃以下である。また、(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、粘着剤組成物の凝集力を向上させ耐ガソリン性を向上させる観点から、好ましくは-60℃以上であり、より好ましくは-58℃以上であり、-60℃以上において高くすることが好ましい。
(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、(メタ)アクリル共重合体(A)に構成単位として含まれる単量体のガラス転移温度及び含有量に応じて、求められる。具体的には、構成単位として第1~n(nは2以上の整数である。)の単量体を含む(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度Tg(K)は、以下の式(2)を用いて求められる。
1/Tg=[(W/Tg)+(W/Tg)+・・・+(W/Tg)]/100 式(2)
式(2)中、Tg~Tg(K)は、それぞれ第1~nの単量体のガラス転移温度、W~W(重量部)は、それぞれ100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれる第1~nの単量体の含有量である。なお、(メタ)アクリル共重合体(A)のガラス転移温度Tg(K)は、絶対温度(K)を用いて求められるが、本明細書においてはセルシウス度(℃)を用いて記載する。また、第i(iは1以上、n以下の任意の整数である。)の単量体のガラス転移温度Tgは、示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて下記の条件で測定して得られたDSCカーブの変曲点の温度である。
示差走査熱量(DSC)測定装置 「EXSTAR6000」(セイコーインスツルメンツ株式会社製)
雰囲気 窒素気流
測定試料の量 10mg
昇温速度 10℃/分
各構成単位の単独重合体の代表的なガラス転移温度は、メタクリル酸メチル:103℃、n-ブチルメタクリレート:21℃、ブチルアクリレート:-57℃、2-ヒドロキシエチルメタクリレート:55℃、2-ヒドロキシエチルアクリレート:-15℃、アクリル酸:166℃、メタクリル酸:185℃、等として測定されている。これら単独重合体のガラス転移温度は、(メタ)アクリル共重合体(A)と同じく、示差走査熱量(DSC)測定装置により、測定される。
(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、粘着剤組成物の凝集力を向上させ、耐ガソリン性を向上させる観点から、好ましくは80×10以上であり、より好ましくは100×10以上であり、より大きいことが好ましい。また、(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、粘着剤組成物を柔らかくし、粘着フィルム100の被着体に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは150×10以下であり、より好ましくは120×10以下であり、より小さいことが、ガソリンの透過性を高める観点からより好ましい。
粘着剤組成物は粘着付与樹脂(B)を含む。これにより、上述した(メタ)アクリル共重合体(A)を含む粘着剤組成物の粘着力をより向上させると共に、タック性を向上させることができる。
粘着剤組成物に含まれる粘着付与樹脂(B)としては、例えば、天然樹脂系粘着付与樹脂、及び合成樹脂系粘着付与樹脂等が挙げられる。本明細書において、これらの粘着付与樹脂は、タッキファイヤー樹脂と称することがある。天然樹脂系粘着付与樹脂としては、例えば:ロジン、ロジンエステル、ロジンフェノール及び無色ロジン誘導体等のロジン樹脂;テルペン、芳香族変性テルペン及びテルペンフェノール等のテルペン樹脂;等が挙げられる。合成樹脂系粘着付与樹脂としては、例えば:芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂及び脂環族系石油樹脂等の石油系樹脂;スチレン系合成樹脂;フェノール系合成樹脂;キシレン系合成樹脂;ケトン系合成樹脂;等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂(B)は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。
粘着付与樹脂(B)は、製造品であってもよいし、市販品であってもよい。市販品の粘着付与樹脂(B)としては、例えば、「FTR6100」(三井化学株式会社製、「FTR」は同社の登録商標)、「YSポリスターTH130」(ヤスハラケミカル株式会社製)、「D-125」(荒川化学工業株式会社製)、及び「ハリタックPCJ」(ハリマ化成グループ株式会社製)等が挙げられる。
粘着剤組成物に含まれる粘着付与樹脂(B)の含有量は、粘着フィルム100の被着体に対する粘着力をより向上させる観点から、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは20重量部以上であり、より好ましくは30重量部以上である。また、粘着剤組成物に含まれる粘着付与樹脂(B)の含有量は、粘着剤組成物の凝集力を向上させ耐ガソリン性を向上させる観点から、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは35重量部以下であり、40重量部以下において少ないことが好ましい。
粘着剤組成物は、架橋剤(C)を含む。粘着剤組成物に含まれる架橋剤(C)は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。
粘着剤組成物に含まれる架橋剤(C)としては、タック性と凝集力とのバランスを向上させる観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、イソシアネートの多量体、及びイソシアネートの付加体等が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びトリレンジイソシアネート(TDI)等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、及び水添ジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)等が挙げられる。イソシアネートの多量体としては、例えば、イソシアネートの2量体、及び3量体等が挙げられる。イソシアネートの付加体としては、例えば、イソシアネートと、多価アルコールまたは尿素化合物との付加体等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤は、製造品であってもよいし、市販品であってもよい。市販品のイソシアネート系架橋剤としては、例えば、「コロネートL-45E」(東ソー株式会社製、「コロネート」は同社の登録商標)、「デュラネートD201」(旭化成株式会社製、「デュラネート」は同社の登録商標)、及び「タケネートD-127N」(三井化学株式会社製、「タケネート」は同社の登録商標)等が挙げられる。
粘着剤組成物に含まれる架橋剤(C)としては、イソシアネート系架橋剤の代わりに、又はイソシアネート系架橋剤に加えて、他の架橋剤が含まれてもよい。他の架橋剤としては、メラミン系架橋剤、ベンゾグアナミン系架橋剤、尿素系架橋剤、金属キレート系架橋剤、オルガノシラン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及び酸無水物系架橋剤等が挙げられる。他の架橋剤は、1種が単独で含まれてもよいし、2種以上が混合して含まれてもよい。
粘着剤組成物に含まれる架橋剤(C)の含有量は、粘着剤組成物の凝集力を向上させる観点から、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは1.00重量部以上であり、より好ましくは1.25重量部以上である。また、粘着剤組成物に含まれる架橋剤(C)の含有量は、タック性を向上させる観点から、100重量部の(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、好ましくは2.50重量部以下であり、より好ましくは2.00重量部以下である。
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述した(メタ)アクリル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び架橋剤(C)以外にも、他の成分を含んでもよい。他の成分は、粘着フィルム100の用途に応じて、適宜に決めることができる。他の成分としては、例えば、顔料、分散剤、熱安定剤、可塑剤、充填剤、及び紫外線吸収剤等が挙げられる。
粘着剤層20の厚さLは、粘着フィルム100の被着体に対する粘着力を向上させる観点から、好ましくは20μm以上であり、より好ましくは25μm以上である。また、粘着剤層20の厚さLは、粘着フィルム100の生産性を向上させる観点から、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは35μm以下である。
粘着剤層20は、基材層10に背向する面に溝部21を有する。粘着剤層20の基材層10に背向する面、すなわち接着面に溝部21があることにより、粘着フィルム100を被着体に貼り付けた際に、被着体と粘着フィルム100との間に隙間が生じる。これにより、被着体を透過し粘着フィルム100に到達したガソリンが、ガス状態又は液体状態問わず、当該隙間を通って粘着フィルム100の外部に放散することができる。よって、粘着フィルム100におけるガソリン膨れを減じる、又は防ぐことができる。
溝部21の深さLは、粘着剤層20の厚さLよりも小さい。すなわち、溝部21は、粘着剤層20を貫通せず、基材層10に到達しない。これにより、粘着フィルム100を製造する際に発生し、製品不良の原因となる気泡を減じることができることに加え、基材層10の粘着剤層20に背向する面に凹凸形状が賦形されることを減じることができる。溝部21の深さLは、ガソリンをより効率的に放散する観点から、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは12μm以上であり、より深い方が好ましい。また、溝部21の深さLは、溝部21を閉塞しにくくし、ガソリンを放散する機能を好適に保つ観点から、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは18μm以下である。
溝部21の深さLと、溝部21の幅Lとの比は、好ましくは2:20~10:20であり、より好ましくは3:20~8:20である。すなわち、深さLよりも、幅Lを大きくすることでガソリンにより粘着剤層20が膨潤した場合であっても、溝部21が閉塞しにくく、ガソリンを放散する機能を好適に保つことができる。なお、上記比を算出するにあたって、溝部21の幅Lは、溝部21の平均幅として定義されることが好ましい。
溝部21の開口を、平坦な被着体で塞ぎ、溝部21が延在する方向に対して垂直な面で切断したときにおいて、溝部21と被着体とにより形成される流路の断面積は、好ましくは500μm以上であり、より好ましくは1000μm以上である。これにより、ガソリンにより粘着剤層20が膨潤する前に、溝部21により形成される流路からガソリンを放散する機能を粘着フィルム100に付与できる。溝部21と被着体とにより形成される流路の断面積は、例えば、図1における、深さLと、溝部21の幅Lとの積として、500μm以上であり、より好ましくは1000μm以上の面積を有していればよい。当該断面の形状は必ずしも矩形でなくてもよく、台形、または三角形であってもよい。溝部21を、溝部21が延在する方向に対して垂直な面で切断したときの、溝部21内側の形状は、V字形、及びU字などであってもよい。
粘着剤層20における溝部21の配置は、上述した溝部21の機能が損なわない範囲において、適宜に決めることができる。粘着剤層20において、流路を形成する溝部21の内側は、図2に示すように縦横に、言い換えれば、四角格子状に延在していてもよいし、粘着剤層20の外縁を構成する2辺に平行なストライプ状に延在していてもよいし、その他の配置であってもよい。流路を形成する溝部21の内側は、四角格子状のみならず、例えば、三角格子状、六角格子状などの多角格子状、及び二重六角格子等の多重多角格子状が挙げられる。溝部21は、ガソリンをより効率的に放散する観点から、少なくとも1箇所において、粘着剤層20の外縁に達していることが好ましい。
また、平面視における粘着剤層の全周の1cmあたりに、複数の溝部が、5~15つ設けられていることが好ましく、8~12つ設けられていることがより好ましい。これにより、粘着フィルムの側面からガソリンを放散する機能を好適に付与でき、粘着フィルムの耐ガソリン膨れ性を高められる。
〔粘着フィルム100の用途〕
粘着フィルム100は、種々の用途に用いることができる。粘着フィルム100の用途としては、ポリオレフィン系樹脂製被着体に貼り付ける用途等が挙げられる。粘着フィルム100の用途としては特に、ポリオレフィン系樹脂製燃料装置の外装用粘着フィルムの用途が好適に挙げられる。本明細書において、「燃料装置」とは、ガソリン及び軽油等の燃料に接触することがある用途において用いられる物品を意味する。燃料装置としては、例えば、燃料を貯蔵する燃料タンク、及び燃料の経路となる燃料パイプ等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂、すなわち、被着体の材料は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられ、ポリエチレンには、例えば、高密度ポリチレン(HDPE)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、軽量性及び高強度であるため、燃料装置の材料として用いられることがある。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は、燃料の一種であるガソリンを透過しやすいため、ガソリンを保持するポリオレフィン系樹脂製燃料装置の表面にはガソリンが染み出すことがある。しかしながら、粘着フィルム100は、上述した物性及び層構成を有することで、ガソリン膨れを起こしにくく良好な外観を維持できるとともに、ガソリンに曝露した後でも良好な粘着力を維持できる。
<粘着フィルム101>
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムは、上述した粘着フィルム100に限定されない。例えば、本発明の一実施形態に係る粘着フィルムは、本発明の効果が得られる範囲において、基材層及び粘着剤層以外の他の層をさらに有していてもよい。以下、他の層を有する本発明の一実施形態に係る粘着フィルム101の層構成について、図3を参照して、詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム101の断面を模式的に示す図である。なお、粘着フィルム101の層構成に関する説明のうち、粘着フィルム100の層構成に関する説明と重複する事項は、省略する。
(離型フィルム30)
本発明の一実施形態に係る粘着フィルム101は、図3に示すように、基材層10及び粘着剤層20以外の他の層として、離型フィルム30を備えていてもよい。離型フィルム30は、離型性を有しており、粘着フィルム101が備える粘着剤層20を剥離可能に担持可能なフィルムである。離型フィルム30は、粘着フィルム101を使用する際には剥離される。これにより、粘着剤層20が露出し、粘着フィルム101を被着体に貼り付けられるようになる。粘着フィルム101が離型フィルム30を備えることは、粘着剤層20の粘着力を良好な状態で保存する観点から好ましい。
離型フィルム30は、粘着剤層20が有する溝部21と咬合可能であり、溝部21に沿って延在する畝部31を有することが好ましい。これにより、粘着フィルム101を保存している間、溝部21が閉塞しにくくなり、粘着フィルム101のガソリン膨れをより好適に減じることができる。離型フィルム30が有する畝部31の高さは、20μm~25μmの範囲内であることが好ましい。
<粘着フィルムの製造方法>
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムは、基材層及び粘着剤層を重ねて配置可能な公知の方法によって製造できる。例えば、本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの製造方法は:基材層を準備する工程(1)と;粘着剤層を形成する工程(2)と;溝部を形成する工程(3)と;を含み得る。
基材層を準備する工程(1)は、公知の基材を基材層として購入することで実施されてもよいし、組成物を混錬し得られた混錬物を公知の製膜方法によって基材層として製膜することで実施されてもよい。製膜方法としては、例えば、押出製法、カレンダー製法、ゾルキャスト製法、及び溶融キャスト製法等が挙げられる。
粘着剤層を形成する工程(2)は:離型フィルムの一方の面に粘着剤組成物を塗工するサブ工程(2-1)と;塗工された粘着剤組成物を乾燥させるサブ工程(2-2)と;乾燥した粘着剤組成物に基材層を貼り付けるサブ工程(2-3)と;を含み得る。
粘着剤組成物を塗工するサブ工程(2-1)は、公知の塗工方法によって実施されてもよい。塗工方法としては、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、コンマコート法、ブレードコート法、ダイコート法、スプレー塗装、静電塗装、及び浸漬塗装等が挙げられる。なお、粘着剤組成物を塗工するサブ工程(2-1)において、粘着剤組成物は、固形分を調整し塗工を容易にする観点から、例えば酢酸エチル等の公知の希釈溶剤を含んでいてもよい。
粘着剤組成物を乾燥させるサブ工程(2-2)は、例えば公知の加熱装置による加熱により、粘着剤組成物を乾燥させる工程であってよい。公知の加熱装置としては、例えば、赤外線ヒータ、熱風乾燥機、又は、オーブン又はホットプレート等が挙げられる。粘着剤組成物を乾燥させるサブ工程(2-2)においては、粘着剤組成物に含まれる希釈剤の蒸発と、粘着剤組成物に含まれる樹脂及び架橋剤の架橋反応と、の少なくとも一方が促進され、粘着剤層が形成され得る。サブ工程(2-2)において、粘着剤組成物を乾燥させる温度は、溶剤の乾燥の観点から、好ましくは80℃~100℃である。
粘着剤組成物に基材層を貼り付けるサブ工程(2-3)は、例えば加熱圧着及びラミネート等の公知の方法により、乾燥した粘着剤組成物に基材層を貼り付ける工程であってよい。サブ工程(2-3)において、加熱圧着及びラミネートの温度は、粘着剤組成物と基材層との密着の観点から、好ましくは20℃~40℃である。
代替的には、粘着剤層を形成する工程(2)は、上述したサブ工程(2-1)(2-2)(2-3)の代わりに:基材層の一方の面に粘着剤組成物を塗工するサブ工程(2-1’)と;塗工された粘着剤組成物を乾燥させるサブ工程(2-2’)と;を含んでもよく、任意に、乾燥した粘着剤組成物に離型フィルムを貼り付けるサブ工程(2-3’)をさらに含んでもよい。サブ工程(2-1’)(2-2’)(2-3’)は、上述したサブ工程(2-1)(2-2)(2-3)における基材層と離型フィルムとを交換した方法によって、実施され得る。
溝部を形成する工程(3)は、粘着剤組成物によって形成される粘着剤層に溝部を設けるための公知の方法によって実施され得る。粘着剤層を形成する工程(2)が離型フィルムの一方の面に粘着剤組成物を塗工するサブ工程(2-1)を含む場合には、例えば、サブ工程(2-1)において延在する畝部を有する離型フィルムを使用し、次いでサブ工程(2-2)(2-3)を実施することで、溝部を形成してもよい。これにより、離型フィルムが有する畝部の形状と咬合可能な形状の溝部を有する粘着剤層を得ることができる。また、粘着剤層を形成する工程(2)が基材層の一方の面に粘着剤組成物を塗工するサブ工程(2-1’)を含む場合には、例えば、サブ工程(2-2’)の後に、乾燥した粘着剤組成物を公知の方法によってエッチングすることで、溝部を形成してもよい。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの製造方法は、上述した工程(1)~(3)の後、粘着フィルムを被着体に貼り付ける前に、23℃~40℃雰囲気下で4日~7日間、静置する工程(4)を含んでもよい。これにより、粘着剤組成物に含まれるアクリル共重合体と架橋剤とが充分に反応できる。
<加飾フィルム200>
本発明の一態様は、加飾フィルムに関する。以下、本発明の一実施形態に係る加飾フィルム200の層構成について、図4を参照して、詳細に説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る加飾フィルム200の断面を模式的に示す図である。なお、加飾フィルム200の層構成に関する説明のうち、粘着フィルム100の層構成に関する説明と重複する事項は、省略する。
(加飾層40)
加飾フィルム200は、本発明の一実施形態に係る粘着フィルムが備える基材層10の一方の面に背向する他方の面、すなわち基材層の粘着剤層20側の面(第1面)とは反対側の面(第2面)に加飾層40を備える。加飾層40は、加飾フィルム200の意匠性を高める機能を主に有する層である。
加飾層40は、着色剤組成物から形成されてなる層であり、通常、所期のデザインを実現するように形成されている。加飾層40は、例えば、通常の印刷に用いられる公知のインキによって構成できる。当該インキは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該インキは、通常の印刷に用いられ得る着色剤を含有していてよい。当該着色剤としては、例えば、有機顔料、無機顔料及び染料等が挙げられる。当該着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、加飾フィルム200の意匠性における特定の効果を発現するために、着色剤として、特定の顔料を用いてもよい。当該特定の顔料としては、光輝性顔料等が挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、鱗片状形状の光反射性の粉末粒子等が挙げられる。当該粉末粒子の材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、銀、錫、チタン、ステンレス、及び真鍮等の金属、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛、貝殻並びにガラス等が挙げられる。
上記のインキとしては、例えば、アクリル系インキ、ウレタン系インキ、ポリエステル系インキ、塩化ビニル系インキ、及び酢酸ビニル系インキ等が挙げられる。当該インキは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加飾層40の厚さLは、初期の意匠性を十分に発現する観点から、好ましくは4μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、加飾層40の厚さLは、加飾フィルム200のガソリン透過量を高める観点から、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。
<別の実施形態に係る加飾フィルム>
本発明の一実施形態に係る加飾フィルムは、上述した加飾フィルム200に限定されない。例えば、本発明の別の実施形態に係る加飾フィルムは、本発明の効果が得られる範囲において、基材層、粘着剤層、及び加飾層以外の他の層をさらに有していてもよい。他の層としては、例えば:(1)上述した離型フィルム;(2)加飾層を保護する表面保護層;(3)表面保護層を加飾層に接着するための粘着剤層等が挙げられる。
加飾フィルムが表面保護層を備えている場合、表面保護層は、加飾シートの表面を構成し、加飾層を覆うことで保護する。表面保護層は、加飾層による意匠性を十分に発現する観点から、光透過性を有し、耐候性を有することが好ましい。耐ガソリン膨れ性の観点から、表面保護層の厚みは、4~15μmの範囲内であることが好ましく、当該範囲内において、より薄いことが好ましい。
表面保護層は、光透過性を有する公知の樹脂フィルムによって構成することが可能である。表面保護層に使用可能な光透過性を有する樹脂の例には、特開2014-200977号公報に記載されているように、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、及びセルロース系樹脂が含まれる。表面保護層を構成する樹脂は、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィンであることが、耐ガソリン膨れ性を維持する観点から好ましい。
表面保護層は、光透過性を有する公知の樹脂フィルムによって構成される場合、表面保護層と加飾層との間に介在する粘着剤層は、耐ガソリン膨れ性、及び耐ガソリン性の観点から、本発明の一実施形態に係る粘着フィルムが備えている粘着剤層を形成するための粘着剤組成物が使用されることが好ましい。粘着剤組成物の構成は、本発明の一実施形態に係る粘着フィルム100が備える粘着剤組成物と同じであるため、その説明を省略する。
<加飾フィルムの製造方法>
本発明の一実施形態に係る加飾フィルムは、基材層、粘着剤層及び加飾層を重ねて配置可能な公知の方法によって製造できる。本発明の一実施形態に係る加飾フィルムの製造方法は、例えば、上述した粘着フィルムの製造方法の後に、加飾層を形成する工程(5)を含み得る。
加飾層を形成する工程は、基材層の粘着剤層に背向する面に着色剤組成物を塗工し乾燥させることによって実施されてもよいし、予め製膜された加飾層を基材層の粘着剤層に背向する面に貼り付けることによって実施されてもよい。
<まとめ>
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムは、基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを備える粘着フィルムであって、前記基材層は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含み、前記粘着剤層は、(メタ)アクリル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び架橋剤(C)を含む粘着剤組成物から形成されてなり、前記粘着剤層は、前記基材層に背向する面に溝部を有し、前記溝部の深さは、前記粘着剤層の厚さよりも小さく、前記粘着フィルムの、23℃、50%RH雰囲気下におけるガソリン透過量は、15g/m・h以上であり、前記粘着剤層の、ポリオレフィン系樹脂製被着体に貼り合わせた後、23℃、50%RH雰囲気下でガソリン蒸気に2時間曝した後の粘着力は、10.0N/25mm以上である。これにより、ガソリンに曝露した後でも、ポリオレフィン系樹脂製被着体に対する良好な粘着力、及び良好な外観を維持できる粘着フィルムを提供できる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)及びガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を含み、前記(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれる(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の前記(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、5重量部以上、10重量部以下であり、前記(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の前記(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、20重量部以上、40重量部以下であり、前記(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、80×10以上、150×10以下であることが好ましい。これにより、粘着剤組成物の凝集力が向上するため、粘着フィルムの耐ガソリン性が向上すると共に、粘着フィルムの被着体に対する密着性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記粘着剤層が有する前記溝部の深さと、前記溝部の幅との比は、2:20~10:20であることが好ましい。これにより、ガソリンをより効率的に放散できると共に、ガソリンを放散する機能を好適に保つことができる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記粘着剤組成物に含まれる前記粘着付与樹脂(B)の含有量は、100重量部の前記(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、20重量部以上、40重量部以下であることが好ましい。これにより、粘着フィルムの被着体に対する粘着力をより向上させることができると共に、粘着剤組成物の凝集力を向上させ耐ガソリン性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムのポリオレフィン系樹脂製被着体に対する、ガソリン蒸気に曝す前の粘着力は、10.0N/25mm以上であることが好ましい。これにより、被着体と粘着フィルムとの間の接着状態を好適に定着させることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記粘着剤層の厚さは、20μm以上、40μm以下であることが好ましい。これにより、粘着フィルムの被着体に対する粘着力を向上させることができると共に、粘着フィルムの生産性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記架橋剤(C)は、イソシアネート系架橋剤であることが好ましい。これにより、適度なタック性と凝集力とを粘着フィルムに付与できる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記基材層の厚さは、20μm以上、40μm以下であることが好ましい。これにより、粘着フィルムの機械的強度及び耐候性を高めることができると共に、粘着フィルムのガソリン透過量を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着フィルムの前記粘着フィルムは、ポリオレフィン系樹脂製燃料装置の外装用粘着フィルムであることが好ましい。
本発明の一実施形態に係る加飾フィルムは、本発明の一実施形態に係る粘着フィルムが備える前記基材層の前記一方の面に背向する他方の面に加飾層を備える。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について以下に説明する。
実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムを作製し、各粘着フィルムについて、ガソリン透過量、ガソリン曝露前の粘着力、ガソリン曝露後の粘着力、及び耐ガソリン膨れ性の評価を行った。
<材料>
本実施例において、以下の材料を用いた。
〔基材層〕
基材層として、以下の基材1~2を用いた。
基材1:ポリ塩化ビニルフィルム(日本カーバイド工業株式会社製、商品名「40110Z」、厚さ30μm)
基材2:ポリ塩化ビニルフィルム(日本カーバイド工業株式会社製、商品名「00178M」、厚さ70μm)
〔(メタ)アクリル共重合体(A)〕
(メタ)アクリル共重合体(A)として、ブチルアクリレート(以下、「BA」と略記することがある。)、2-エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」と略記することがある、Tg:-70℃)及びアクリル酸(以下、「AA」と略記することがある。)を単量体として用いて、表1に示す組成比を有するアクリル共重合体1~5を調製した。アクリル共重合体1~5の固形分(重量%)、ガラス転移温度Tg(℃)、及び重量平均分子量Mw(×10)も表1に示す。
Figure 0007623859000001
〔粘着付与樹脂(B)〕
粘着付与樹脂(B)として、以下の粘着付与樹脂1~3を用いた。
粘着付与樹脂1:スチレン系合成樹脂(三井化学株式会社製、商品名「FTR6100」、固形分100.0%、「FTR」は同社の登録商標)
粘着付与樹脂2:テルペンフェノール系タッキファイヤー樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、商品名「YSポリスターTH130」、固形分100.0%)
粘着付与樹脂3:ロジンエステル系タッキファイヤー樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名「D-125」、固形分100.0%)
〔架橋剤(C)〕
架橋剤(C)として、以下の架橋剤1~2を用いた。
架橋剤1:トリレンジイソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、商品名「コロネートL-45E」、固形分45.0%、「コロネート」は同社の登録商標)
架橋剤2:ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(旭化成株式会社製、商品名「デュラネートD201」、固形分100.0%、「デュラネート」は同社の登録商標)
〔離型フィルム〕
離型フィルムとして、以下の離型フィルム1~3を用いた。
離型フィルム1:マトリックスセパレーター(リケンテクノス株式会社、製商品名「PE5049A」、畝部の断面形状:高さ20μm、上辺70μm、下辺100μmの台形;畝部の配置:三角格子状)
離型フィルム2:マトリックスセパレーター(リケンテクノス株式会社製、商品名「PE5051A」、畝部の断面形状:高さ8μm、上辺5μm、下辺20μmの台形;畝部の配置:二重六角格子状)
離型フィルム3:フラットセパレーター(リンテック株式会社製、商品名「E-KB」、畝部無し)
<粘着フィルムの作製>
実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムは、以下のようにして作製した。
〔実施例1〕
476.2重量部(固形分換算で100.0重量部)のアクリル共重合体1、15.0重量部(固形分換算で15.0重量部)の粘着付与樹脂1、20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂2、及び3.33重量部(固形分換算で1.50重量部)の架橋剤1を混錬し、粘着剤組成物を調製した。調製した粘着剤組成物を離型フィルム1の離型処理面上に、アプリケーターを用いて、乾燥後の粘着剤組成物の厚さが27μmになるように塗工した。塗工された粘着剤組成物を、熱風乾燥機を用いて100℃雰囲気下にて1分間、加熱乾燥した。粘着剤組成物が乾燥して形成された粘着剤層の表面上に、基材1をゴムローラーを用いて、23℃でラミネートした。得られた基材層、粘着剤層及び離型フィルム1を備える積層体を40℃雰囲気下にて4日間、静置することで、実施例1の粘着フィルムを作製した。
〔実施例2〕
乾燥後の粘着剤組成物の厚さが35μmになるように粘着剤組成物を塗工したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の粘着フィルムを作製した。
〔実施例3〕
3.33重量部(固形分換算で1.50重量部)の架橋剤1の代わりに、0.20重量部(固形分換算で0.20重量部)の架橋剤2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の粘着フィルムを作製した。
〔実施例4〕
15.0重量部(固形分換算で15.0重量部)の粘着付与樹脂1及び20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂2の代わりに、20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の粘着フィルムを作製した。
〔実施例5〕
15.0重量部(固形分換算で15.0重量部)の粘着付与樹脂1及び20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂2の代わりに、20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂3を用いたこと、並びに3.33重量部(固形分換算で1.50重量部)の架橋剤1の代わりに、0.20重量部(固形分換算で0.20重量部)の架橋剤2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の粘着フィルムを作製した。
〔実施例6〕
15.0重量部(固形分換算で15.0重量部)の粘着付与樹脂1及び20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂2の代わりに、20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂3を用いたこと、3.33重量部(固形分換算で1.50重量部)の架橋剤1の代わりに、0.20重量部(固形分換算で0.20重量部)の架橋剤2を用いたこと、並びに乾燥後の粘着剤組成物の厚さが35μmになるように粘着剤組成物を塗工したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の粘着フィルムを作製した。
〔実施例7〕
離型フィルム1の代わりに、離型フィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の粘着フィルムを作製した。
〔比較例1〕
基材1の代わりに、基材2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の粘着フィルムを作製した。
〔比較例2〕
476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体1の代わりに、476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の粘着フィルムを作製した。
〔比較例3〕
476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体1の代わりに、476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の粘着フィルムを作製した。
〔比較例4〕
476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体1の代わりに、476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の粘着フィルムを作製した。
〔比較例5〕
476.2重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体1の代わりに、312.5重量部(固形分換算で100重量部)のアクリル共重合体5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5の粘着フィルムを作製した。
〔比較例6〕
15.0重量部(固形分換算で15.0重量部)の粘着付与樹脂1及び20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂2の代わりに、5.0重量部(固形分換算で5.0重量部)の粘着付与樹脂1及び10.0重量部(固形分換算で10.0重量部)の粘着付与樹脂2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6の粘着フィルムを作製した。
〔比較例7〕
15.0重量部(固形分換算で15.0重量部)の粘着付与樹脂1及び20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂2の代わりに、20.0重量部(固形分換算で20.0重量部)の粘着付与樹脂1及び30.0重量部(固形分換算で30.0重量部)の粘着付与樹脂2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7の粘着フィルムを作製した。
〔比較例8〕
乾燥後の粘着剤組成物の厚さが10μmになるように粘着剤組成物を塗工したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8の粘着フィルムを作製した。なお、比較例8の粘着フィルムにおいて、溝部は粘着剤層を貫通し、基材層に到達した段階で止まっていた。よって、実際の溝部の深さは10μmであった。
〔比較例9〕
離型フィルム1の代わりに、離型フィルム3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例9の粘着フィルムを作製した。
実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムの構成を、表2に示す。
Figure 0007623859000002
<粘着フィルムの評価>
実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムのそれぞれについて、以下のようにして、ガソリン透過量、ガソリン曝露前の粘着力、ガソリン曝露後の粘着力、及び耐ガソリン膨れ性の評価を行った。
〔ガソリン透過量の評価〕
透湿カップ(株式会社井元製作所製、商品名「透湿カップ(ねじ締付式)」、直径59.95mmの開口部を有する3点ねじ締付式透湿カップ)に20mLの無鉛ガソリン(出光昭和シェル株式会社製)を加えた。離型フィルムを剥離した実施例1の粘着フィルムを透湿カップの開口部に貼り合わせ、開口部を覆った。粘着フィルムを貼り合わせた直後から、透湿カップの重量の経時変化を記録した。実施例1の粘着フィルムのガソリン透過量を、以下の式(1)を用いて算出した。
ガソリン透過量(g/m・h)=(M-M)/(S・T) 式(1)
式(1)中、M(g)は粘着フィルムを貼り合わせた直後の透湿カップの重量、M(g)は粘着フィルムを貼り合わせた後、所定時間T(h)が経過した後の透湿カップの重量、S(m)は透湿カップの開口部面積である。本実施例において、Tは、4hであった。
実施例2~7、比較例1~9の粘着フィルムについても、実施例1の粘着フィルムと同様にして、ガソリン透過量を評価した。実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムのガソリン透過量の評価結果を表3に示す。
〔ガソリン曝露前の粘着力〕
粘着フィルムとして実施例1の粘着フィルムを、ポリオレフィン系樹脂製被着体としてポリエチレン板(昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名「EL-N-AN」)を使用して、試験片を作製した。具体的には、離型フィルムを剥離した実施例1の粘着フィルムを幅25mm、長さ150mmのサイズに切断し、ポリエチレン板に貼り合わせた後、23℃、50%RH雰囲気下に48時間静置することにより、試験片を作製した。次いで、JIS Z 0237:2009に準拠し、試験速度300mm/分、及び試験角度180°の条件にて、試験片の粘着力(N/25mm)を測定した。
実施例2~7、比較例1~9の粘着フィルムについても、実施例1の粘着フィルムと同様にして、ガソリン曝露前の粘着力を評価した。実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムのガソリン曝露前の粘着力の評価結果を表3に示す。
〔ガソリン曝露後の粘着力〕
粘着フィルムとして実施例1の粘着フィルムを、ポリオレフィン系樹脂製被着体としてポリエチレン板(昭和電工マテリアルズ株式会社製、商品名「EL-N-AN」)を使用して、試験片を作製した。具体的には、離型フィルムを剥離した実施例1の粘着フィルムを幅25mm、長さ150mmのサイズに切断し、ポリエチレン板に貼り合わせた後、23℃、50%RH雰囲気下に48時間、次いで23℃、50%RH及び無鉛ガソリン(出光昭和シェル株式会社製)の蒸気雰囲気下に2時間、次いで23℃、50%RH雰囲気下に30分間静置することにより、試験片を作製した。次いで、JIS Z 0237:2009に準拠し、試験速度300mm/分、及び試験角度180°の条件にて、試験片の粘着力(N/25mm)を測定した。
実施例2~7、比較例1~9の粘着フィルムについても、実施例1の粘着フィルムと同様にして、ガソリン曝露後の粘着力を評価した。実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムのガソリン曝露後の粘着力の評価結果を表3に示す。
〔耐ガソリン膨れ性〕
離型フィルムを剥離した実施例1の粘着フィルムをポリエチレン瓶(アズワン株式会社製、商品名「広口瓶 中フタ付 1L」、厚さ1mm)の側部表面に貼り合わせ、23℃、50%RH雰囲気下に48時間静置した。次いで、ポリエチレン瓶に100mLの無鉛ガソリン(出光昭和シェル株式会社製)を加え、蓋を取りつけることで密封した。密封したポリエチレン瓶を23℃、50%RH雰囲気下に14日間、静置することで、ポリエチレン瓶の側部表面から無鉛ガソリンを透過させた後、貼り合わせた粘着フィルムの耐ガソリン膨れ性を評価した。なお、耐ガソリン膨れ性の評価においては、以下の評価基準を用いて、目視にて評価を行った。
〇:粘着フィルムの表面に膨れが見られない。
△:粘着フィルムの表面がわずかに膨れて見えるが、実用上問題が無い範囲であった。
×:粘着フィルムの表面が大きく膨れて見える。
実施例2~7、比較例1~9の粘着フィルムについても、実施例1の粘着フィルムと同様にして、耐ガソリン膨れ性を評価した。実施例1~7、及び比較例1~9の粘着フィルムの耐ガソリン膨れ性の評価結果を表3に示す。耐ガソリン膨れ性が〇又は△であれば、ポリオレフィン系樹脂製燃料装置の外装用粘着フィルムの用途において実用上問題無いと判断できる。
Figure 0007623859000003
<評価結果>
実施例1~7の粘着フィルムは、いずれも、ガソリンに曝露した後でも、ポリオレフィン系樹脂製被着体に対する良好な粘着力を維持できた。また、実施例1~7の粘着フィルムは、いずれも、良好な耐ガソリン膨れ性を示し、ガソリンに曝露した後でも、良好な外観を維持できた。
本発明は、ポリオレフィン系樹脂製燃料装置の外装用粘着フィルムに利用することが出来る。
10 基材層
20 粘着剤層
21 溝部
30 離型フィルム
31 畝部
40 加飾層
100 粘着フィルム
101 粘着フィルム
200 加飾フィルム

Claims (9)

  1. 基材層と、前記基材層の少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とを備える粘着フィルムであって、
    前記基材層は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含み、
    前記粘着剤層は、(メタ)アクリル共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)及び架橋剤(C)を含む粘着剤組成物から形成されてなり、
    前記粘着剤層は、前記基材層に背向する面に溝部を有し、
    前記溝部の深さは、前記粘着剤層の厚さよりも小さく、
    前記粘着フィルムの、23℃、50%RH雰囲気下におけるガソリン透過量は、15g/m・h以上であり、
    前記粘着剤層の、ポリオレフィン系樹脂製被着体に貼り合わせた後、23℃、50%RH雰囲気下でガソリン蒸気に2時間曝した後の粘着力は、10.0N/25mm以上であり、
    前記(メタ)アクリル共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)及びガラス転移温度が-60℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位を含み、
    前記(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれる(メタ)アクリル酸系単量体(A-1)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の前記(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、5重量部以上、10重量部以下であり、
    前記(メタ)アクリル共重合体(A)に含まれるアルキル(メタ)アクリレート系単量体(A-2)に由来する構成単位の含有量は、100重量部の前記(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、20重量部以上、40重量部以下であり、
    前記(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、80×10 以上、150×10 以下である、粘着フィルム。
  2. 前記粘着剤層が有する前記溝部の深さと、前記溝部の幅との比は、2:20~10:20である、請求項1に記載の粘着フィルム。
  3. 前記粘着剤組成物に含まれる前記粘着付与樹脂(B)の含有量は、100重量部の前記(メタ)アクリル共重合体(A)に対して、20重量部以上、40重量部以下である、請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
  4. ポリオレフィン系樹脂製被着体に対する、ガソリン蒸気に曝す前の粘着力は、10.0N/25mm以上である、請求項1~の何れか一項に記載の粘着フィルム。
  5. 前記粘着剤層の厚さは、20μm以上、40μm以下である、請求項1~の何れか一項に記載の粘着フィルム。
  6. 前記架橋剤(C)は、イソシアネート系架橋剤である、請求項1~の何れか一項に記載の粘着フィルム。
  7. 前記基材層の厚さは、20μm以上、40μm以下である、請求項1~の何れか一項に記載の粘着フィルム。
  8. 前記粘着フィルムは、ポリオレフィン系樹脂製燃料装置の外装用粘着フィルムである、
    請求項1~の何れか一項に記載の粘着フィルム。
  9. 請求項1~の何れか一項に記載の粘着フィルムが備える前記基材層の前記一方の面に背向する他方の面に加飾層を備える、加飾フィルム。
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