[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1では、二次側ブリッジ回路の出力電流を検出し、その正負に応じて二次側ブリッジ回路におけるスイッチング素子の開閉状態の切替えタイミングを制御する。そのため、出力電流として、スイッチング周期内で大きく変動する電流の瞬時値を検出する必要があり、高周波電流を高精度に検出可能な電流センサが必要となる。こうした電流センサは高価であるため、製造コストが増加する。加えて、電流センサの遅延等を考慮すると、制御周波数を高周波化することが困難となる。したがって、PI演算部の出力値に基づいてブリッジ回路の制御周波数を変更する場合もその変更範囲が制限される。
さらに、出力電流に基づいてスイッチング素子の開閉状態の切替えタイミングを制御するためには、リアクトル電流と一致した電流を出力電流として検出する必要がある。すなわち、特許文献1では、検出する出力電流が(絶対値を取った後に)リアクトル電流と一致することが前提となる。そのため、出力電流がリアクトル電流と一致することを阻害するコンデンサ等を、出力電流を検出するための電流センサと二次側ブリッジ回路との間に配置できない。このようなコンデンサは、サージ対策、又はノイズ対策等を図るためのスナバコンデンサとして用いられることが多い。したがって、特許文献1に記載の構成では、サージ対策、又はノイズ対策等を図ることが困難となる。
このように、特許文献1に記載の技術はその適用範囲が限定されるという不都合がある。このため、特許文献1に記載の技術を用いた場合、設計自由度が低下するという問題がある。
それゆえに、本開示の1つの目的は、設計自由度が高く、かつ、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制することが可能な電力変換装置、及び車載充電器を提供することである。
本開示の他の目的は、設計自由度が高く、かつ、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制することが可能な電力変換装置における制御方法を提供することである。
[本開示の効果]
本開示によれば、設計自由度が高く、かつ、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制することが可能な電力変換装置、及び車載充電器を提供できる。
本開示によればさらに、設計自由度が高く、かつ、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制することが可能な電力変換装置における制御方法を提供できる。
[本開示の実施形態の説明]
本開示の好適な実施形態を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本開示の第1の局面に係る電力変換装置は、絶縁型の電力変換装置である。この電力変換装置は、トランスと、複数のスイッチング素子を含み、トランスの一次側に設けられる第1のブリッジ回路と、複数のスイッチング素子を含み、トランスの二次側に設けられる第2のブリッジ回路と、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路のスイッチングを制御する制御部とを含む。制御部は、電力変換装置の出力電圧及び出力電力に基づいて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数を、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の制御においてソフトスイッチングが成立する周波数に切替える。
制御部は、電力変換装置の出力電圧及び出力電力に基づいて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数をソフトスイッチングが成立する周波数に切替える。すなわち、出力電圧及び出力電力に基づいて動作周波数を切替えることで、スイッチング素子がハードスイッチングになるのを抑制する。これにより、ハードスイッチングに起因するスイッチング損失を低減して、電力変換効率の低下を抑制できる。加えて、出力電圧及び出力電力に基づいて動作周波数を切替える構成とすることによって、入出力電圧又は出力電力が変化した場合でもソフトスイッチングを実現できる。さらに、動作周波数を切替える構成では、スイッチング素子の開閉状態の切替えタイミングを制御する場合とは異なり、リアクトル電流と一致する出力電流の瞬時値を検出する必要がない。そのため、動作周波数を容易に高周波化できるとともに、コンデンサ等の素子を設けることによって、サージ対策、又はノイズ対策等を図ることもできる。このように、上記構成を採用することによって、設計自由度の低下の抑制と、ハードスイッチングの抑制とを両立できる。
(2)好ましくは、電力変換装置は、当該電力変換装置の出力電流及び出力電圧をそれぞれ検出する電流センサ及び電圧センサをさらに含み、制御部は、電圧センサで検出した出力電圧、並びに、電流センサ、及び電圧センサでそれぞれ検出した出力電流及び出力電圧を用いて算出した出力電力に基づいて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数を切替える。リアクトル電流と一致する出力電流の瞬時値を電流センサで検出する必要がないため、安価な電流センサを用いることができる。電流センサの選択肢が広がるため、設計自由度をより高めることができる。加えて、電流センサに遅延があっても、動作周波数を高周波化できる。
(3)より好ましくは、電力変換装置は、電流センサで検出する出力電流に対して周波数制限をかける回路をさらに含む。出力電力の算出に用いる電流情報は、周波数制限をかけた情報(例えば高周波成分をカットした情報)でもよい。そのため、周波数制限をかける回路を含む構成とすることができる。この場合、出力電力の算出が容易になる。
(4)さらに好ましくは、周波数制限をかける回路は、第2のブリッジ回路と電流センサとの間に配置されるフィルタ回路を含む。これにより、出力電力をより容易に算出できる。
(5)さらに好ましくは、電力変換装置は、第2のブリッジ回路と電流センサとの間の領域であって、第2のブリッジ回路と隣り合う領域に配置されるコンデンサをさらに含む。これにより、サージ対策、又はノイズ対策等を図ることができるので、電力変換装置の信頼性を高めることができる。
(6)さらに好ましくは、電力変換装置は、トランスの二次側に設けられ、当該電力変換装置の出力電圧を検出する電圧センサと、出力電力を外部からの指示値として取得する取得部とをさらに含み、制御部は、電圧センサで検出した出力電圧、及び取得部が取得した出力電力に基づいて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数を切替える。出力電力を算出する必要がないため、容易に、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制できる。
(7)さらに好ましくは、制御部は、ソフトスイッチングが成立するか否かを判定するための判定条件を記憶する記憶部を含み、出力電圧及び出力電力と判定条件とを用いて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路のスイッチングがソフトスイッチングか否かを判定し、判定結果に応じて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数を切替える。これにより、入出力電圧又は出力電力が変化した場合でも、容易に、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数をソフトスイッチングが成立する周波数に切替えることができる。
(8)さらに好ましくは、記憶部は、判定条件として、種々の出力電圧値及び出力電力値に対してソフトスイッチングの成立条件を満たすか否かを示すテーブルを記憶し、制御部は、出力電圧及び出力電力に対してテーブルを参照することで、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路のスイッチングがソフトスイッチングか否かを判定し、判定結果に応じて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数を切替える。これにより、より容易に、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数をソフトスイッチングが成立する周波数に切替えることができる。
(9)本開示の第2の局面に係る車載充電器は、交流電力を直流電力に変換して出力する変換回路と、変換回路が変換した直流電力が入力される、上記第1の局面に係る電力変換装置とを含む。これにより、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制することが可能であって、設計自由度の高い車載充電器が得られる。
(10)本開示の第3の局面に係る制御方法は、トランスと、複数のスイッチング素子を含み、トランスの一次側に設けられる第1のブリッジ回路と、複数のスイッチング素子を含み、トランスの二次側に設けられる第2のブリッジ回路とを含む電力変換装置の制御方法である。この制御方法は、第1のブリッジ回路と第2のブリッジ回路との間で位相差が生じるように、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路のスイッチングを制御するステップと、電力変換装置の出力電圧及び出力電力に基づいて、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の動作周波数を、第1のブリッジ回路及び第2のブリッジ回路の制御においてソフトスイッチングが成立する周波数に切替えるステップとを含む。このような制御方法を用いることによって、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制できるとともに、設計自由度が低下するのを抑制することもできる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
(第1の実施の形態)
[全体構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る電力変換装置50は、トランスTRを含む絶縁型の電力変換装置である。より詳細には、電力変換装置50は、DAB方式のDC/DCコンバータである。電力変換装置50は、直流電圧源である第1の直流電源40と二次電池等の第2の直流電源42との間に配置され、第1の直流電源40から供給される電力を変換して第2の直流電源42に出力する。この場合、一次側に入力される、電力変換装置50の入力電圧をE1とし、二次側から出力される、電力変換装置50の出力電圧をE2とする。DAB方式のDC/DCコンバータは双方向型のコンバータであるため、電力変換装置50は、第2の直流電源42から供給される電力を、第1の直流電源40に対して出力することも可能である。
トランスTRは、一次側コイル60、二次側コイル62、及び、コア部材64を含む。一次側コイル60と二次側コイル62との巻き数比は、例えば1:1である。ただし、トランスTRの巻き数比はこれに限定されない。巻き数比は任意の巻き数比に適宜設定できる。
電力変換装置50は、トランスTRに加えて、トランスTRの一次側に設けられる一次側ブリッジ回路100、トランスTRの二次側に設けられる二次側ブリッジ回路120、出力電流を検出する電流センサ140、出力電圧を検出する電圧センサ150、及び、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120を制御する制御部160を含む。一次側ブリッジ回路100の入力側には平滑コンデンサ110が設けられており、二次側ブリッジ回路120の出力側には平滑コンデンサ130が設けられている。
一次側ブリッジ回路100は、複数のスイッチング素子Q1~Q4を含むスイッチング回路である。これらスイッチング素子Q1~Q4は、フルブリッジ接続されることによってインバータ回路を構成している。具体的には、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが互いに直列接続されて第1のレグを構成している。同様に、スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とが互いに直列接続されて第2のレグを構成している。第1のレグと第2のレグとは互いに並列接続されている。
第1のレグにおけるスイッチング素子Q1及びQ2の接点は、トランスTRの一次側コイル60の一方端(第1の端部)と接続されている。トランスTRの一次側コイル60の他方端(第2の端部)は、第2のレグにおけるスイッチング素子Q3及びQ4の接点と接続されている。
スイッチング素子Q1~Q4は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)から構成されている。なお、スイッチング素子Q1~Q4は、MOSFET以外の例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はHEMT(High Electron Mobility Transistor)等のパワー半導体デバイスであってもよい。
二次側ブリッジ回路120も、一次側ブリッジ回路100と同様の構成を有している。すなわち、二次側ブリッジ回路120は、複数のスイッチング素子Q5~Q8を含むスイッチング回路である。これらスイッチング素子Q5~Q8は、フルブリッジ接続されることによってインバータ回路を構成している。具体的には、スイッチング素子Q5とスイッチング素子Q5とが互いに直列接続されて第3のレグを構成している。同様に、スイッチング素子Q7とスイッチング素子Q8とが互いに直列接続されて第4のレグを構成している。第3のレグと第4のレグとは互いに並列接続されている。
第3のレグにおけるスイッチング素子Q5及びQ6の接点は、トランスTRの二次側コイル62の一方端(第1の端部)と接続されている。トランスTRの二次側コイル62の他方端(第2の端部)は、第2のレグにおけるスイッチング素子Q7及びQ8の接点と接続されている。
スイッチング素子Q5~Q8も、スイッチング素子Q1~Q4と同様、例えば、MOSFETから構成されている。なお、スイッチング素子Q5~Q8も、MOSFET以外の例えばIGBT、又はHEMT等のパワー半導体デバイスであってもよい。
各スイッチング素子Q1~Q8には、それぞれ、還流ダイオードD1~D8が設けられている。一次側の平滑コンデンサ110及び二次側の平滑コンデンサ130は、それぞれ、リプル等の電圧変動を平滑化する機能を持つ。電力変換装置50は、DAB方式のDC/DCコンバータであるため、一次側ブリッジ回路100と二次側ブリッジ回路120との間にリアクトルL1及びL2が設けられる。リアクトルL1及びL2は、トランスTRの漏れインダクタンスであってもよいし、外付けのリアクトルであってもよい。
電流センサ140は、二次側に流れる出力電流を検出し、その電流検出値を制御部160に提供する。電圧センサ150は、電力変換装置50の出力電圧E2を検出し、その電圧検出値を制御部160に提供する。
各スイッチング素子Q1~Q8は、制御部160に接続されており、制御部160からのゲート信号によりオン・オフ制御される。各スイッチング素子Q1~Q8のオン・オフ制御により、一次側ブリッジ回路100の出力電圧V1と二次側ブリッジ回路120の出力電圧V2との位相差(すなわち、トランス電圧の位相差)が制御される。この位相差によって、一次側から二次側、又はその逆方向に電力が伝送される。すなわち、電力変換装置50は、ブリッジ回路間の位相差を制御することによって出力電力を調整する。なお、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の各出力電力との混同をさけるために、電力変換装置50の出力電力E2を「直流出力電圧」と呼ぶことがある。
制御部160における各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。より詳細には、制御部160は、例えばCPU(Central Processing Unit)162及び記憶部164を含むマイクロコンピュータであり、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の駆動を制御する。この制御部160は、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120に対してゲート信号を出力することにより、各スイッチング素子Q1~Q8の動作をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。より具体的には、制御部160は、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120を所定の動作周波数(スイッチング周波数)で駆動させる。その際、制御部160は、一次側ブリッジ回路100の電圧V1に対して位相差を持つ電圧V2を出力するように、二次側ブリッジ回路120を駆動する。
記憶部164には、一次側ブリッジ回路100の各スイッチング素子Q1~Q4、及び二次側ブリッジ回路120の各スイッチング素子Q5~Q8の各々の動作を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。このコンピュータプログラムをCPU162が実行することで、制御部160は、直流出力電圧と出力電力とに基づいて、ソフトスイッチングが成立する条件で一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の駆動を制御する処理を実行する。
なお、制御部160は、アナログIC(Integrated Circuit)、専用LSI(Large-Scale Integration)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の制御用ICであってもよいし、その一部又は全部がハードウェア回路によって構成されてもよい。
DAB方式のDC/DCコンバータでは、入力電圧と出力電圧(直流出力電圧)との差が大きく、出力電力が小さいときに、一部のスイッチング素子がハードスイッチングになる。そのため、本実施の形態に係る電力変換装置50は、直流出力電圧と出力電力とに基づいて、ソフトスイッチングが行われているか否かを判定し、判定結果が否定の場合(ハードスイッチングになっている場合)、動作周波数を変更することでハードスイッチングを抑制する。
[ソフトスイッチングの動作例]
図2に、ソフトスイッチングが成立する場合の電圧及び電流の波形を示す。図2の上段は、一次側ブリッジ回路の出力電圧V1及び二次側ブリッジ回路の出力電圧V2の波形図であり、下段は、リアクトル電流I2の波形図である。この動作例では、一次側ブリッジ回路及び二次側ブリッジ回路は、それぞれ、出力電圧V1及び出力電圧V2がDuty50%の矩形波となるように制御されている。出力電圧V1の立ち上がりから出力電圧V2の立ち上がりまでの期間を期間Aとし、出力電圧V2の立ち上がりから出力電圧V1の立ち下がりまでの期間を期間Bとする。期間Aと期間Bとの間にはデッドタイムが設けられている。なお、図2は、出力電圧V1が出力電圧V2より大きい場合の例を示している。
期間A及び期間Bにおいて、各スイッチング素子Q1~Q8は、それぞれ、以下の表1に示すように制御(スイッチング)される。
図2を参照して、期間Aではリアクトル電流I2が増加しており、期間Aの終了直前にはリアクトル電流I2は「正」の値となっている。リアクトル電流I2の流れる向きについては、トランスTRの二次側コイル62からリアクトルL2に流れる電流の向きを正方向と定義する。デッドタイムを挟んで期間Bへと移行する。期間Bでは、一次側から二次側に電力が伝送(伝達)される。破線aで囲んで示すように、期間Aから期間Bに切替わる時のリアクトル電流I2の値は「正」になっており、リアクトル電流I2は、トランスTRの二次側コイル62からリアクトルL2に向けて流れている。
図3を参照して、期間Aの終了直前は、一次側ブリッジ回路100では、スイッチング素子Q1及びQ4がオンにされ、スイッチング素子Q2及びQ3がオフにされている。二次側ブリッジ回路120では、スイッチング素子Q6及びQ7がオンにされ、スイッチング素子Q5及びQ8がオフにされている。期間Aの終了直前はリアクトル電流I2の値が「正」であるため、電流は、太線矢印のように流れている。
図4を参照して、デッドタイムでは、二次側ブリッジ回路120のスイッチング素子Q5~Q8の全てがオフにされる。このとき、スイッチング素子Q5の還流ダイオードD5が導通するとともに、スイッチング素子Q8の還流ダイオードD8が導通する。そのため、デッドタイムにおいても、太線矢印で示される経路に沿って電流が流れ続ける。
図5を参照して、期間Bでは、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q8がオンされる。スイッチング素子Q5は、還流ダイオードD5が導通した状態、すなわち、電圧0Vの状態でオンされる。そのため、スイッチング素子Q5をオンにするスイッチングはZVS(Zero Voltage Switching)となる。同様に、スイッチング素子Q8は、還流ダイオードD8が導通した状態、すなわち、電圧0Vの状態でオンされる。そのため、スイッチング素子Q8をオンにするスイッチングもZVSとなる。したがって、期間Bに移行するためのスイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q8は、いずれも、ソフトスイッチングとなる。
[ハードスイッチングの動作例]
図6に、ソフトスイッチングが成立しない場合、すなわちハードスイッチングとなる場合の電圧及び電流の波形を示す。図6の上段は、一次側ブリッジ回路の出力電圧V1及び二次側ブリッジ回路の出力電圧V2の波形図であり、下段は、リアクトル電流I2の波形図である。この動作例では、ソフトスイッチングの動作例と同様、一次側ブリッジ回路及び二次側ブリッジ回路は、それぞれ、出力電圧V1及び出力電圧V2がDuty50%の矩形波となるように制御されている。期間Aは、出力電圧V1の立ち上がりから出力電圧V2の立ち上がりまでの期間であり、期間Bは、出力電圧V2の立ち上がりから出力電圧V1の立ち下がりまでの期間である。期間Aと期間Bとの間にデッドタイムが設けられている点も同様である。なお、図6も、出力電圧V1が出力電圧V2より大きい場合の例を示している。
各スイッチング素子Q1~Q8は、期間A及び期間Bにおいて、ソフトスイッチングの動作例と同様に制御される。すなわち、各スイッチング素子Q1~Q8は、それぞれ、表1に示したように制御される。
図6を参照して、期間Aではリアクトル電流I2が増加しているものの、期間Aの終了直前にはリアクトル電流I2は「負」の値となっている。デッドタイムを挟んで期間Bへと移行する。期間Bでは、一次側から二次側に電力が伝送(伝達)される。これより、破線bで囲んで示すように、期間Aから期間Bに切替わる時のリアクトル電流I2の値は「負」になっており、リアクトル電流I2は、リアクトルL2からトランスTRの二次側コイル62に向けて流れている。
図7を参照して、期間Aの終了直前はリアクトル電流I2の値が「負」であるため、電流は、太線矢印のように流れている。すなわち、図3で示した、ソフトスイッチングの場合とは逆方向に電流が流れている。
図8を参照して、デッドタイムでは、二次側ブリッジ回路120のスイッチング素子Q5~Q8の全てがオフにされる。このとき、スイッチング素子Q6の還流ダイオードD6が導通するとともに、スイッチング素子Q7の還流ダイオードD7が導通する。そのため、デッドタイムにおいても、太線矢印で示される経路に沿って、期間Aの時と同方向に電流が流れ続ける。
図9を参照して、期間Bでは、スイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q8がオンされる。しかし、スイッチング素子Q5は、スイッチング素子Q6の還流ダイオードD6が導通した状態、すなわち、スイッチング素子Q5の電圧が0Vではない状態でオンされるため、ZVSにはならない。同様に、スイッチング素子Q8は、還流ダイオードD7が導通した状態、すなわち、スイッチング素子Q8の電圧が0Vではない状態でオンされるため、ZVSにはならない。したがって、期間Bに移行するためのスイッチング素子Q5及びスイッチング素子Q8は、いずれも、ハードスイッチングとなる。
以上のように、期間Aの終了直前(期間Aから期間Bに切替わる時)のリアクトル電流I2の値が「正」か「負」かによって、ソフトスイッチングになるかハードスイッチングになるかの判断が可能である。
[制御部160による制御]
制御部160は、電力変換装置50の直流出力電圧及び出力電力に基づいて、各ブリッジ回路のスイッチングがソフトスイッチングか否かを判定する機能を持つ。制御部160は、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120のスイッチングがソフトスイッチングでない場合、すなわち、ハードスイッチングとなっている場合に、ソフトスイッチングが成立する周波数に動作周波数を変更する。この構成について、より詳細に説明する。
電力変換装置50は、DAB方式のDC/DCコンバータであるため、出力電力Pは以下の式(1)で表される。
P:出力電力
E
1:入力電圧
E
2’:トランスの巻き数比を考慮した出力電圧(直流出力電圧)
(出力電圧E
2を一次側に換算した電圧)
L
r:トランスに直列のインダクタ成分の合計値
ω:スイッチング周波数×2π
Φ:ブリッジ回路間の位相差
出力電力Pは、式(2)の形に書き換えることができる。
T:スイッチング周期
T
p:位相差
E
2:出力電圧(直流出力電圧)
式3では、トランスの巻き数比を1:1として、E
2’=E
2としている。
この式(2)より、位相差Tpは、式(3)で表される。
図10を参照して、例えば、電力変換装置の入力電圧E1(図1)が出力電圧E2(図1)より大きい場合(E1>E2)、期間Aの終了直前のリアクトル電流I2は式(4)で表すことができる。なお、期間Bの終了直前のリアクトル電流I2は式(5)で表すことができる。
上述したように、期間Aの終了直前(期間Aから期間Bに切替わる時)のリアクトル電流I2の値が「正」か「負」かによって、ソフトスイッチングが成立するか否かが決まる。リアクトル電流I2の値が「正」(>0)の場合はソフトスイッチングになり、「負」(<0)の場合はハードスイッチングになる。期間Aにおけるリアクトル電流の変化量ΔIは、位相差Tp(すなわち出力電力P)に依存する。そのため、ソフトスイッチングが成立するか否かも出力電力Pに依存する。
ハードスイッチングかソフトスイッチングかの境界条件は、電力変換装置の入力電圧E1が出力電圧E2より大きい場合(E1>E2)、以下の式(6)で表すことができる。式(6)は、式(3)を式(4)に代入することによって得られる。
入力電圧E1が出力電圧E2より小さい場合(E1<E2)、ハードスイッチングかソフトスイッチングかの境界条件は、以下の式(7)で表すことができる。
式(6)又は式(7)を満たす場合、ソフトスイッチングが成立し、満たさない場合はハードスイッチングとなる。なお、式(6)及び式(7)は、トランスの巻き数比が1:1の場合を示している。トランスの巻き数比が1:1以外の場合は、出力電圧E2を、トランスの巻き数比を考慮した出力電圧E2’とすればよい。
式(6)及び式(7)より、入力電圧E1を一定(固定)とした場合のパラメータは、出力電圧E2、出力電力P、及びスイッチング周期T(すなわち動作周波数)である。そのため、出力電圧E2、及び出力電力Pを監視することによって、スイッチング周期Tでブリッジ回路を駆動させているときのスイッチングがソフトスイッチングかハードスイッチングかを判定できる。ソフトスイッチングが成立しない、すなわちハードスイッチングと判定された場合、スイッチング周期T(動作周波数)が変更される。これにより、式(6)又は式(7)が満たされ、ソフトスイッチングを行うことが可能となる。
このように、本実施の形態に係る電力変換装置50(制御部160)は、期間Aの終了直前のリアクトル電流I2(リアクトル電流I2と一致する出力電流)の瞬時値を計測してソフトスイッチングが成立するか否かを判定するのではなく、電力変換装置50の出力電圧E2、及び出力電力Pに基づいて、期間Aの終了直前のリアクトル電流I2の値が「正」か「負」かを判定し、これによって、ソフトスイッチングが成立するか否かを判定する。
再び図1を参照して、例えば、制御部160の記憶部164には基準となる動作周波数(スイッチング周波数)以外の動作周波数が記憶されている。記憶する動作周波数は、例えば、電力変換装置50の直流出力電圧及び出力電力が変更された場合に、その直流出力電圧及び出力電力でソフトスイッチングを実現することが可能な動作周波数を上記式(6)及び式(7)を用いて決定するのが好ましい。制御部160は、ソフトスイッチングが成立しないと判定された場合に、記憶部164に記憶されている他の動作周波数に一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の動作周波数を切替える。
[ソフトウェア構成]
図11及び図12を参照して、電力変換装置50の出力電圧(直流出力電圧)と出力電力とに基づいて、ソフトスイッチングが成立する条件で一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の駆動を制御するために、制御部160(図1参照)で実行されるコンピュータプログラムの制御構造について説明する。このプログラムは、電力変換装置50に対する動作開始の指示に応じて開始する。図11に示されるプログラムは、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120のスイッチングを制御するプログラムであり、図12に示されるプログラムは、各ブリッジ回路の駆動時のスイッチングを判定し、その判定結果に応じて動作周波数を変更するプログラムである。図11のプログラムと図12のプログラムとは、並列で実行される。
図11を参照して、このプログラムは、動作周波数を初期化(基準周波数を設定)するとともに、記憶部164の共有領域のFlagを初期化(Flag=0)するステップS1000と、ステップS1000の後に実行され、動作周波数を読み込むステップS1010と、ステップS1010の後に実行され、読み込んだ動作周波数にて一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120をスイッチングすることで各ブリッジ回路を駆動制御するステップS1030を、1サイクルのスイッチングを1回として、各ブリッジ回路のスイッチングが所定回数になるまで繰り返すステップS1020と、ステップS1020の後に実行され、Flagを1に設定するステップS1040と、ステップS1040の後に実行され、電力変換装置50の動作を停止させる動作停止の指示がされたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS1050とを含む。ステップS1050において、動作停止の指示がされていないと判定された場合、制御はステップS1010に戻る。ステップS1050において、動作停止の指示がされていると判定された場合、このプログラムは終了する。
図12を参照して、このプログラムは、記憶部164の共有領域を監視し、Flagが1に設定されるまで待機するステップS2000と、Flagが1に設定された場合に、電流センサ140及び電圧センサ150を介して、出力電流及び直流出力電圧を検出するステップS2010と、ステップS2010の後に実行され、出力電流及び直流出力電圧を用いて出力電力を算出するステップS2020と、ステップS2020の後に実行され、直流出力電圧及び出力電力に基づいて、ブリッジ回路のスイッチングがソフトスイッチングか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2030と、ステップS2030において、ソフトスイッチングではない(ハードスイッチングである)と判定された場合に実行され、動作周波数を変更するステップS2040と、ステップS2030において、ソフトスイッチングであると判定された場合、又はステップS2040の後に実行され、Flagを0に設定するステップS2050と、ステップS2050の後に実行され、電力変換装置50の動作を停止させる動作停止の指示がされたか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2060とを含む。ステップS2060において、動作停止の指示がされていないと判定された場合、制御はステップS2000に戻る。ステップS2060において、動作停止の指示がされていると判定された場合、このプログラムは終了する。
[動作]
本実施の形態に係る電力変換装置50は以下のように動作する。
図1を参照して、電力変換装置50の制御部160は、動作開始の指示を受けると、動作周波数を初期化するとともにFlagを初期化する。具体的には、制御部160は、基準となる動作周波数を設定するとともに、Flagに0を設定する(図11のステップS1000)。制御部160は、設定した動作周波数を読み込むことによって(ステップS1010)、その動作周波数で各ブリッジ回路を駆動する(ステップS1030)。その際、一次側ブリッジ回路100と二次側ブリッジ回路120との間で電圧の位相差が生じるように、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120のスイッチングを制御する。本実施の形態では、制御部160は、入力電圧を所定の一定電圧として一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120を動作させるものとする。
1サイクルのスイッチングを1回として所定回数(例えば10回)のスイッチングが行われると、制御部160は、Flagに1を設定する。制御部160は、動作停止の指示があるまで、ステップS1010~ステップS1040の処理を繰り返す。制御部160は、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120のスイッチング制御と並行して、ソフトスイッチングが行われているか否かを判定する処理を実行する。制御部160は、Flagが1に設定されると(図12のステップS2000においてYES)、この処理を実行する。すなわち、この処理は、ブリッジ回路のスイッチングを所定サイクル(例えば10サイクル)行う毎に実行される。
具体的には、制御部160は、電流センサ140及び電圧センサ150を介して出力電圧及び出力電流を検出し(図12のステップS2010)、検出した出力電圧及び出力電流から出力電力を算出する(ステップS2020)。出力電力の算出に用いる出力電流は、例えば、スイッチング周期当たりの平均電流でよい。制御部160は、電力変換装置50の直流出力電圧及び出力電力に基づいて、上記した式(6)又は式(7)を満たすか否かを判定する。式(6)及び式(7)のいずれを用いるかは出力電圧E2を入力電圧E1と比較することによって決まる。式(6)又は式(7)を満たす場合、制御部160は、ソフトスイッチングが実行されていると判定する(ステップS2030においてYES)。一方、式(6)又は式(7)を満たさない場合、制御部160は、ソフトスイッチングが実行されていない、すなわちハードスイッチングになっていると判定する(ステップS2030においてNO)。
制御部160は、ソフトスイッチングが実行されていないと判定すると、動作周波数を変更する(ステップS2040)。制御部160は、Flagを0に設定し(ステップS2050)、Flagが1に設定されるまで再び待機する。動作周波数が変更されると、制御部160は、変更後の動作周波数を読み込み(図11のステップS1010)、変更後の動作周波数で各ブリッジ回路を駆動する(ステップS1030)。
動作停止の指示がなされると、制御部160は、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の動作を停止させる(図11のステップS1050においてYES、及び図12のステップS2060においてYES)。
[本実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る電力変換装置50は以下に述べる効果を奏する。
制御部160は、電力変換装置50の出力電圧(直流出力電圧)及び出力電力に基づいて、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の動作周波数をソフトスイッチングが成立する周波数に切替える。すなわち、出力電圧及び出力電力に基づいて動作周波数を切替えることで、スイッチング素子がハードスイッチングになるのを抑制する。これにより、ハードスイッチングに起因するスイッチング損失を低減して、電力変換効率の低下を抑制できる。加えて、出力電圧及び出力電力に基づいて動作周波数を切替える構成とすることによって、入出力電圧又は出力電力が変化した場合でもソフトスイッチングを実現できる。さらに、動作周波数を切替える構成では、スイッチング素子の開閉状態の切替えタイミングを制御する場合とは異なり、リアクトル電流と一致する出力電流の瞬時値を検出する必要がない。そのため、動作周波数を容易に高周波化できるとともに、コンデンサ等の素子を設けることによって、サージ対策、又はノイズ対策等を図ることもできる。このように、上記構成を採用することによって、設計自由度の低下の抑制と、ハードスイッチングの抑制とを両立できる。
なお、期間Aの終了直前のリアクトル電流の瞬時値を計測し、その正負に応じて二次側ブリッジ回路におけるスイッチング素子の開閉状態の切替えタイミングを制御する方法の場合、電流センサの遅延等を考慮すると、制御周波数を例えば100kHz以上に高周波化することが困難となる。
電力変換装置50は、二次側における出力電流及び出力電圧(直流出力電圧)をそれぞれ検出する電流センサ140及び電圧センサ150を含む。制御部160は、電圧センサ150で検出した出力電圧、出力電流と出力電圧から算出した出力電力に基づいて、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の動作周波数を切替える。出力電力の算出に用いる出力電流は、例えば、スイッチング周期当たりの平均電流でよく、リアクトル電流と一致する出力電流の瞬時値を電流センサで検出する必要がない。そのため、電流センサ140として安価な電流センサを用いることができる。電流センサ140の選択肢が広がるため、設計自由度をより高めることができる。加えて、電流センサ140に遅延があっても、動作周波数を高周波化できる。これにより、出力電力が小さい場合でも、容易に周波数を上げてソフトスイッチングを実現できる。
[検証]
本実施の形態に係る電力変換装置50の効果を確認するために行った検証の結果について説明する。
この検証では、入力電圧E1を400V、出力電圧E2を300V、インダクタのL値を33μHとした。
図13に、動作周波数30kHz、出力電力3.6kWで電力変換装置を動作させた場合の動作結果を示す。図13を参照して、スイッチング素子Q6は、図2~図5に示したように、リアクトル電流I2が正の状態でゲートをオフするため、インダクタに蓄えられたエネルギーでスイッチング素子Q5の並列容量成分の電荷が放電される。そのため、スイッチング素子Q5のドレイン-ソース間電圧Vds_Q5が低下してから、ゲート-ソース間電圧Vgs_Q5が立ち上がる。そのため、スイッチング素子Q5はソフトスイッチングとなる。
この状態から出力電力を1.8kWに下げる場合、動作周波数を30kHzに維持したままで、位相差を小さくすることが考えられる。DAB方式のDC/DCコンバータでは、通常、このように制御されている。図14に、このように動作させた場合の動作結果を示す。
図14を参照して、出力電力を1.8kWに下げることによって、期間Aの終了直前(破線の丸で囲んだ部分)のリアクトル電流I2の値は負となっている。スイッチング素子Q6は、リアクトル電流I2が負の状態でゲートをオフする。図6~図9に示したように、スイッチング素子Q6は、逆方向に電流を流すことのできる還流ダイオードを含むため、ゲートをオフしてもインダクタの電流経路は変わらない。そのため、スイッチング素子Q5の電荷放電は行われず、スイッチング素子Q5のドレイン-ソース間電圧Vds_Q5が低下する前にゲート-ソース間電圧Vgs_Q5が立ち上がる。そのため、この場合のスイッチング素子Q5はハードスイッチングとなり、大きなスイッチング損失が発生する。
本実施の形態では、出力電力を1.8kWに下げる場合、動作周波数を変更した上で各ブリッジ回路の駆動を行う。その際、フィードバック制御によって、位相差を若干調整することがある。
図15に、動作周波数60kHz、出力電力1.8kWで電力変換装置を動作させた場合の動作結果を示す。図15を参照して、出力電力を1.8kWに下げた場合でも、動作周波数を60kHzに上げることによって、期間Aの終了直前(破線の丸で囲んだ部分)のリアクトル電流I2の値は正となる。これにより、スイッチング素子Q6は、リアクトル電流I2が正の状態でゲートをオフすることができるため、スイッチング素子Q5の電荷放電を引き出すことができる。そのため、スイッチング素子Q5はソフトスイッチングとなり、出力電力が小さい場合でもソフトスイッチングを維持できる。
以上より、本実施の形態に係る電力変換装置50によれば、出力電力が小さい場合でもソフトスイッチングが維持できることが確認できた。
(第2の実施の形態)
図16を参照して、本実施の形態に係る電力変換装置50Aは、外部装置200から制御指令を受け取り、制御指令に含まれる出力電力の指示値を用いてソフトスイッチングか否かの判定を行う点において、第1の実施の形態とは異なる。
電力変換装置50Aは、制御部160(図1)に代えて、制御部160Aを含む。この制御部160Aは、外部装置200からの制御指令に基づいて、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の駆動を制御する。制御指令には出力電力の指示値が含まれ、制御部160Aは、指示値が示す出力電力となるように、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120を制御する。
図17を参照して、制御部160Aは、一次側ブリッジ回路100及び二次側ブリッジ回路120の駆動を制御する駆動制御部170、出力電力を外部からの指示値として取得する取得部172、ソフトスイッチングが行われているか否かを判定する判定部174、判定部174の判定結果に応じて動作周波数を変更する周波数変更部176を機能部として含む。
制御部160Aは、ソフトスイッチングが行われているか否かの判定を行う際に、指示値が示す出力電力を用いる。すなわち、制御部160Aは、指示値が示す出力電力及び電圧センサ150を介して検出した出力電圧(直流出力電圧)に基づいて当該判定を行う。出力電力を算出する必要がないため、ソフトスイッチングが行われているか否かの判定を容易に行うことができる。したがって、本実施の形態によれば、容易に、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下を抑制できる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態に係る電力変換装置は、基準となる動作周波数にてソフトスイッチングが可能か否かを判断するテーブル(以下「マップ」と呼ぶ。)を用いて、動作周波数を切替えるか否かを判定する点において、第1の実施の形態とは異なる。マップは、種々の直流出力電圧値及び出力電力値に対してソフトスイッチングの成立条件を満たすか否かを示す。
図18に、基準となる動作周波数が250kHzの場合のマップの一例を示す。図18を参照して、このマップは、縦軸(行)を出力電力(W)、横軸(列)を直流出力電圧(V)とするマトリクス形状である。マップは、上記した式(6)及び式(7)を用いて、ソフトスイッチングが可能か否かを直流出力電圧及び出力電力毎に算出し、その結果を示している。算出に際し用いた入力電圧は400V、トランスに直列のインダクタ成分の合計値Lrは40μHである。マップ中の「TRUE」は、ソフトスイッチングが可能であることを示しており、「FALSE」は、ソフトスイッチングが不可(ハードスイッチング)であることを示している。例えば、出力電力が1600W、直流出力電圧が300Vの場合は「TRUE」であるため、この場合は、ソフトスイッチングが可能であると判定される。一方、例えば、出力電力が1000W、直流出力電圧が300Vの場合は「FALSE」であるため、この場合は、ハードスイッチングと判定される。図18では、切替える動作周波数が異なることを示すために、便宜的に、「FALSE」を「FALSE1」と「FALSE2」とに分けて示している。FALSE1及びFALSE2は、いずれも、ソフトスイッチングが不可(ハードスイッチング)であることを示す点においては同じである。
図18に示したようなマップが制御部(記憶部)に予め記憶されており、本実施の形態に係る電力変換装置は、ソフトスイッチングが可能か否かを判断する際に、記憶部に記憶されているマップを参照する。図18に示すマップの「FALSE1」及び「FALSE2」には、それぞれ、切替える動作周波数(ソフトスイッチングが可能な所定の動作周波数)が対応付けられている。FALSE1には、例えば、500kHzの動作周波数が対応付けられており、FALSE2には、500kHzより高い所定の動作周波数(例えば、800kHz)が対応付けられている。すなわち、FALSE2の条件は500kHzの動作周波数でもソフトスイッチングが不可のため、FALSE2には、500kHzより高い動作周波数が対応付けられている。
[ソフトウェア構成]
本実施の形態に係る電力変換装置では、図12に示されるプログラムに代えて、図19に示されるプログラムが実行される。図19に示されるプログラムは、図11のプログラムと並列で実行される。
図19のプログラムは、図12のプログラムにおいて、ステップS2030に代えて、ステップS2032及びステップS2034を含む。図19のステップS2000~ステップS2020、及びステップS2040~ステップS2060における処理は、図12に示される各ステップにおける処理と同じである。以下、異なる部分について説明する。
図19を参照して、このプログラムは、ステップS2020の後に実行され、マップを参照するステップS2032と、ステップS2032の後に実行され、マップと、直流出力電圧及び出力電力とに基づいて、ブリッジ回路のスイッチングがソフトスイッチングか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2034とを含む。ステップS2034において、ソフトスイッチングではない(ハードスイッチングである)と判定された場合、制御はステップS2040に進む。ステップS2034において、ソフトスイッチングであると判定された場合、制御はステップS2050に進む。
[動作]
本実施の形態に係る電力変換装置は以下のように動作する。なお、マップを参照してソフトスイッチングが可能か否かを判断する動作を除いた動作は、上記第1の実施の形態と同様である。したがって、同様の動作についての詳細な説明は繰返さない。
電力変換装置は、マップを参照して、直流出力電圧及び出力電力に対応する真理値を抽出する。電力変換装置は、抽出した真理値が「TRUE」の場合(ステップS2034においてYES)、ソフトスイッチングが実行されていると判断して、実行中の動作周波数(例えば250kHz)を維持する。一方、抽出した真理値が「FALSE」の場合(ステップS2034においてNO)、電力変換装置は、ソフトスイッチングが実行されていない(ハードスイッチングになっている)と判断して、動作周波数を変更する(ステップS2040)。具体的には、抽出した真理値が「FALSE(FALSE1)」であって、実行中の動作周波数が250kHzの場合、電力変換装置は、動作周波数を例えば500kHzに切替える。抽出した真理値が「FALSE(FALSE2)」の場合、電力変換装置は、動作周波数をソフトスイッチングが可能な所定の周波数(例えば800kHz)に切替える。
電力変換装置は、複数の動作周波数に対応するマップを記憶しておき、動作周波数を切替えた後に、切替え後の動作周波数に対応するマップを参照して、引き続き、ソフトスイッチングが可能か否かを判断するようにしてもよい。例えば、動作周波数を500kHzに切替えた後に、500kHzに対応するマップを参照して、ソフトスイッチングが可能か否かを判断してもよい。この場合、マップの真理値をFALSE1及びFALSE2のように区分けする必要がなく、単に、「TRUE」、「FALSE」とすることができる。
さらに、例えば、動作周波数を500kHzに切替えた後も、250kHzのマップを参照して、ソフトスイッチングが可能と判断された場合に動作周波数を250kHzに戻すようにしてもよい。DAB方式のDC/DCコンバータでは、動作周波数を高くすると出力可能な電力の上限値が小さくなる。そのため、ソフトスイッチングが可能と判断された場合に動作周波数を250kHzに戻すことによって、出力可能な電力の範囲を高めることができる。
このように、ソフトスイッチングが可能か否かを判断する際にマップ(テーブル)を参照することによって、ソフトスイッチングが可能か否かの判断が容易になる。そのため、より容易に、一次側ブリッジ回路及び二次側ブリッジ回路の動作周波数をソフトスイッチングが成立する周波数に切替えることができる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態では、ソフトスイッチングが成立するか否かを示すマップに基づいて、動作周波数を切替える出力電力のしきい値を求め、出力電力としきい値との比較結果に応じて動作周波数を切替える。その他の構成は、上記した実施の形態と同様である。
図20に、動作周波数が250kHzの場合のマップの一例を示す。図21に、動作周波数が500kHzの場合のマップの一例を示す。図18に示したマップと同様、これらのマップは、縦軸(行)を出力電力(W)、横軸(列)を直流出力電圧(V)とするマトリクス形状である。図20及び図21に示すマップは、上記した式(6)及び式(7)を用いて、ソフトスイッチングが可能か否か直流出力電圧及び出力電力毎に算出し、その結果を示している。算出に際し用いた入力電圧は400V、トランスに直列のインダクタ成分の合計値Lrは40μHである。
同様に、マップ中の「TRUE」は、ソフトスイッチングが可能であることを示しており、「FALSE」は、ソフトスイッチングが不可(ハードスイッチング)であることを示している。図21のマップにおいて、真理値が示されていない領域は、その条件では動作できない出力不可(DISABLE)の領域である。そのため、出力不可の領域に対応する直流出力電圧及び出力電力の組み合わせは検出されない。
図20のマップと図21のマップとを組み合わせることによって、図22に示されるマップが得られる。図22を参照して、このマップは、一例として、出力電力が1800W以上の領域に動作周波数250kHzのマップ(図20)が適用され、出力電力が1600W以下の領域に動作周波数500kHzのマップ(図21)が適用されている。すなわち、図20のマップと図21のマップとを組み合わせることによって、動作周波数を切替える出力電力のしきい値が得られる。図22のマップの例では、出力電力のしきい値として、1600Wと1800Wの2つのしきい値が求められる。1600Wのしきい値は、例えば、動作周波数を250kHzから500kHzに切替えるときのしきい値であり、1800Wのしきい値は、例えば、動作周波数を500kHzから250kHzに切替えるときのしきい値とすることができる。
[ソフトウェア構成]
本実施の形態に係る電力変換装置では、図12に示されるプログラムに代えて、図23に示されるプログラムが実行される。図23に示されるプログラムは、図11のプログラムと並列で実行される。
図23のプログラムは、図12のプログラムにおいて、ステップS2030及びステップS2040に代えて、ステップS2130を含む。図23のステップS2000~ステップS2020、ステップS2050、及びステップS2060における処理は、図12に示される各ステップにおける処理と同じである。以下、異なる部分について説明する。
図23を参照して、このプログラムは、ステップS2020の後に実行され、動作周波数の切替え処理を行うステップS2130を含む。
図24は、図23のステップS2130の詳細なフローである。図24を参照して、このルーチンは、出力電力が1600W未満か否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2200と、ステップS2200において、出力電力が1600W未満であると判定された場合に実行され、実行中の動作周波数が250kHzか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2210と、ステップS2210において、実行中の動作周波数が250kHzであると判定された場合に実行され、動作周波数を500kHzに切替えるステップS2220とを含む。
このルーチンはさらに、ステップS2200において、出力電力が1600W未満ではないと判定された場合に実行され、出力電力が1800W以上か否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2230と、ステップS2230において、出力電力が1800W以上であると判定された場合に実行され、実行中の動作周波数が500kHzか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2240と、ステップS2240において、実行中の動作周波数が500kHzであると判定された場合に実行され、動作周波数を250kHzに切替えるステップS2250とを含む。
ステップS2210において、実行中の動作周波数が250kHzではないと判定された場合、ステップS2230において、出力電力が1800W以上ではないと判定された場合、又はステップS2240において実行中の動作周波数が500kHzではないと判定された場合は、このルーチンは終了する。さらに、ステップS2220又はステップS2250の処理が終了した場合もこのルーチンは終了する。
[動作]
本実施の形態に係る電力変換装置は、以下のように動作する。なお、動作周波数を切替える動作を除いた動作は、上記第1の実施の形態と同様である。したがって、同様の動作についての詳細な説明は繰返さない。
図25を参照して、例えば動作周波数250kHzで電力変換装置が動作しているとする。このときに、出力電力が1600Wを下回ると(図24のステップS2200においてYES、かつ、ステップS2210においてYES)、電力変換装置の制御部は、動作周波数を500kHzに切替える(ステップS2220)。さらに、電力変換装置が、例えば動作周波数500kHzで動作しているとする。このときに、出力電力が1800Wを上回ると(ステップS2230においてYES、かつ、ステップS2240においてYES)、電力変換装置の制御部は、動作周波数を250kHzに切替える(ステップS2250)。
出力電力が1600W以上1800W未満の場合(図24のステップS2200においてNO、かつ、ステップS2230においてNO)、実行中の動作周波数が維持される。出力電力が1800W以上の場合でも(ステップS2230においてYES)、実行中の動作周波数が250kHzの場合は(ステップS2240においてNO)、その動作周波数が維持される。さらに、出力電力が1600W未満の場合でも(ステップS2200においてYES)、実行中の動作周波数が500kHzの場合は(ステップS2210においてNO)、その動作周波数が維持される。
[効果]
本実施の形態では、ソフトスイッチングか否かを判定するのではなく、ソフトスイッチングか否かを判断するためのマップに基づいて算出したしきい値を用い、出力電力としきい値との比較結果に応じて動作周波数を切替える。これにより、ハードスイッチングになる前に動作周波数を切替えることができるので、ハードスイッチングをより確実に抑制できる。これにより、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下をより一層容易に抑制することができる。
なお、本実施の形態では、電力変換装置の出力電圧(直流出力電圧)によらず、一定の出力電力で動作周波数を切替える例について述べたが、出力電圧に応じて出力電力のしきい値を変えるようにしてもよい。例えば、直流出力電圧が400Vでは出力電力0Wまで250kHz動作を維持する一方、直流出力電圧500Vでは出力電力1600Wを境に250kHz動作と500kHz動作を切替えてもよい。
さらに、直流出力電圧に応じて動作周波数を切替えてもよい。例えば、出力電力を1000W一定で動作するような場合、直流出力電圧360Vから440Vまでは250kHz動作し、直流出力電圧300Vから360Vまで、及び直流出力電圧440Vから500Vまでは500kHz動作するように構成すれば、ソフトスイッチング動作を維持できる。
(第5の実施の形態)
本実施の形態に係る電力変換装置は、一次側の入力電圧をも用いてソフトスイッチングか否かの判定を行う点において、第1の実施の形態とは異なる。
図26を参照して、本実施の形態に係る電力変換装置50Bは、一次側の入力電圧を検出する電圧センサ152をさらに含む。電力変換装置50Bは、制御部160(図1参照)に代えて、制御部160Bを含む。制御部160Bは、記憶部164に記憶されるプログラムが制御部160とは異なる。
[ソフトウェア構成]
本実施の形態に係る電力変換装置50Bでは、図12に示されるプログラムに代えて、図27に示されるプログラムが実行される。図27に示されるプログラムは、図11のプログラムと並列で実行される。なお、図27に示されるプログラムでは、初期値として設定される、基準となる動作周波数を例えば250kHzとしている。
図27のプログラムは、図12のプログラムにおいて、ステップS2010に代えてステップS2012を含み、ステップS2030及びステップS2040に代えて、ステップS2132を含む。図27のステップS2000、ステップS2020、ステップS2050、及びステップS2060における処理は、図12に示される各ステップにおける処理と同じである。以下、異なる部分について説明する。
図27を参照して、このプログラムは、ステップS2000において、Flagが1であると判定された場合に実行され、電力変換装置50Bの入力電圧、出力電圧(直流出力電圧)、及び出力電流を検出するステップS2012と、ステップS2020の後に実行され、動作周波数の切替え処理を行うステップS2132とを含む。
図28は、図27のステップS2132の詳細なフローである。図28を参照して、このルーチンは、入力電圧E1が出力電圧E2より大きいか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2300と、ステップS2300において、入力電圧E1が出力電圧E2より大きいと判定された場合に実行され、上記した式(6)を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2310と、ステップS2310において上記した式(6)を満たすと判定された場合に実行され、動作周波数を250kHzに維持するステップS2320と、ステップS2310において上記した式(6)を満たさないと判定された場合に実行され、動作周波数を500kHzに変更するステップS2330とを含む。
このルーチンはさらに、ステップS2300において、入力電圧E1が出力電圧E2より大きくない、すなわち出力電圧E2が入力電圧E1以上であると判定された場合に実行され、上記した式(7)を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて制御の流れを分岐させるステップS2340と、ステップS2340において上記した式(7)を満たすと判定された場合に実行され、動作周波数を250kHzに維持するステップS2350と、ステップS2340において上記した式(7)を満たさないと判定された場合に実行され、動作周波数を500kHzに変更するステップS2360とを含む。
ステップS2320、ステップS2330、ステップS2350、又はステップS2360の処理が終了すると、このルーチンは終了する。
本実施の形態に係る電力変換装置50Bは、上記のように、一次側の入力電圧をも用いてソフトスイッチングか否かの判定を行う。そのため、一次側の入力電圧が変わる場合でも、ソフトスイッチングを実現できる。したがって、スイッチング損失を効果的に低減できるので、ハードスイッチングに起因する電力変換効率の低下をより容易に抑制できる。
(第6の実施の形態)
図29を参照して、本実施の形態に係る電力変換装置50Cは、フィルタ回路180、及びスナバコンデンサ190をさらに含む点において、第1の実施の形態とは異なる。
フィルタ回路180は、二次側ブリッジ回路120と電流センサ140との間に配置され、電流センサ140で検出する出力電流に対して周波数制限をかける。フィルタ回路180は、リアクトル182とコンデンサ184とを含むLCフィルタである。
スナバコンデンサ190は、二次側ブリッジ回路120と電流センサ140との間の領域であって、二次側ブリッジ回路120と隣り合う領域に配置されている。すなわち、スナバコンデンサ190は、フィルタ回路180よりも二次側ブリッジ回路120側の領域に配置されている。
上記したように、出力電力の算出に用いる電流情報は、周波数制限をかけた情報(例えば高周波成分をカットした情報)でもよい。電流センサ140の電流情報に対して周波数制限をかけるフィルタ回路180を設けることによって、出力電流と出力電圧(直流出力電圧)とを用いて出力電力を算出する際に、出力電力の算出が容易になる。
さらに、スナバコンデンサ190を設けることによって、サージ対策、又はノイズ対策等を図ることができるので、電力変換装置50Cの信頼性を高めることができる。なお、フィルタ回路180、及びスナバコンデンサ190を設けた場合でも、これらを設けない場合と同様に、ソフトスイッチングか否かの判定を行うことができる。
本実施の形態では、フィルタ回路180、及びスナバコンデンサ190の両方を設けた例について示したが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、フィルタ回路180、及びスナバコンデンサ190のいずれか一方を電力変換装置に設けるようにしてもよい。
(第7の実施の形態)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した電力変換装置を車載充電器に適用する例について説明する。
図30を参照して、本実施の形態に係る車載充電器300は、電力系統340からの交流電力を直流電力に変換して出力するAC/DC変換回路310と、AC/DC変換回路310が変換した直流電力が入力される電力変換装置320とを含む。AC/DC変換回路310と電力変換装置320との間には平滑コンデンサ330が設けられている。なお、図30では、AC/DC変換回路310を制御する制御部、及び電力変換装置320を制御する制御部の記載は省略している。
AC/DC変換回路310は、電力系統340からのAC200Vの交流電力を、例えばDC400Vの直流電力に変換する。
電力変換装置320は、DAB方式のDC/DCコンバータである。電力変換装置320には、上記実施の形態で示したいずれかの電力変換装置を用いることができる。電力変換装置320は、AC/DC変換回路310から出力されたDC400Vの直流電力を、例えばDC300Vの直流電力に変換して、高圧バッテリ350に出力する。高圧バッテリ350は、車載充電器300によって変換された電力により充電される。
[車両への搭載]
図31を参照して、車両400は例えばPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)又はEV(Electric Vehicle)等の電動車両である。この車両400は、充電ソケット410、車載充電器300、高圧バッテリ350、インバータ420、及び駆動装置430を含む。
充電ソケット410は、高圧バッテリ350の充電時に充電器(図示せず)の充電プラグが接続される。充電器は電力系統からのAC200Vの交流電力を出力する。充電器からの充電出力は、充電ソケット410を介して車載充電器300に入力される。車載充電器300は、AC200Vの交流電力を、例えばDC300Vの直流電力に変換して、高圧バッテリ350に出力する。
インバータ420は、車両コントローラ(図示せず)からの指令により駆動装置430への通電制御を行う。駆動装置430は、モータを含み、高圧バッテリ350から供給される電力により駆動力を生成する。すなわち、駆動装置430は、インバータ420によって変換された交流電力により車輪を回す駆動力を生み出す。
(変形例)
上記実施の形態では、2ポートのDAB方式DC/DCコンバータの例について示したが、本開示はそのような実施の形態には限定されない。DAB方式DC/DCコンバータである電力変換装置のポート数は3ポート以上であってもよい。
上記実施の形態では、各ブリッジ回路の出力電圧をDuty50%の矩形波状とする例について示したが、本開示はそのような実施の形態には限定されない。出力電圧のDutyは50%以外であってもよい。さらに、一次側ブリッジ回路のDutyと二次側ブリッジ回路のDutyとは異なる値であってもよい。位相差と動作周波数とによって出力が変わる回路であれば、本開示の技術を適用することが可能である。
上記実施の形態では、動作周波数を30kHzと60kHzの2値間で切替える構成について示したが、本開示はそのような実施の形態には限定されない。例えば、30kHz、40kHz、50kHzというように、30kHzと60kHzとの間を細かく区切り、段階的に動作周波数を切替えるようにしてもよいし、30kHzから60kHzの間で連続的に動作周波数を変更するようにしてもよい。上記実施の形態では、動作周波数を250kHzと500kHzとの2値間で切替える構成についても示している。これについても、上記と同様に、250kHzと500kHzとの間を段階的に切替えるように構成してもよいし、250kHzから500kHzの間で連続的に動作周波数を変更するようにしてもよい。
上記実施の形態では、図18のマップに示したように、ソフトスイッチングが不可である場合(「FALSE」)に、出力電圧及び出力電力に応じて切替える動作周波数を2つ(「FALSE1」及び「FALSE2」)設定した例を示したが、本開示はこのような構成に限定されない。例えば、切替える動作周波数に応じて切替える動作周波数を3つ以上に設定してもよい。
上記実施の形態では、ソフトスイッチングが可能か否かを判断するマップの一例として「TRUE」又は「FALSE」の真理値を用いたマップについて示したが、本開示はそのような実施の形態には限定されない。マップは、真理値以外によりソフトスイッチングが可能か否かを判断するように構成してもよい。例えば、真理値に代えて、ソフトスイッチングが可能な動作周波数を示すマップを用いてもよい。このマップでは、例えば、ソフトスイッチングが可能な出力電圧(直流出力電圧)及び出力電力の組み合わせには動作中の周波数が示され、ソフトスイッチングが不可の出力電圧(直流出力電圧)及び出力電力の組み合わせには変更する周波数が示される。この場合、マップを参照することによって、ソフトスイッチングが可能な動作周波数に容易に切替えることができる。
上記実施の形態で示した動作周波数及び出力電力等の値は一例であって、これに限定されるものではない。また、上記実施の形態で示したマップも一例であって適宜変更することができる。マップに示される出力電圧(横軸)及び出力電力(縦軸)は、各々の範囲を示すものとすることもできる。例えば、マップに示される出力電圧320Vは、320V以上340V未満(又は320Vより大きく340V以下)とすることができる。この場合、出力電圧の検出値が例えば330Vの場合、マップの出力電圧320Vの真理値を参照すればよい。同様に、例えば、出力電力1600Wは、1600W以上1800W未満(又は1600Wより大きく1800W以下)とすることができる。この場合、出力電力の値が例えば1650Wの場合、マップの出力電力1600Wの真理値を参照すればよい。
なお、上記で開示された技術を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本開示の技術的範囲に含まれる。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本開示が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。