JP7655309B2 - 熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電変換素子に関する。
近年、エネルギー消費低減のために、例えばボイラー、焼却炉、自動車の熱源からの排熱を電気として回収することが検討されている。特にゼーベック効果によって熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる熱電変換素子を用いて、効率よく電気エネルギーを回収できる熱電変換モジュールが注目されている。最も実用化が進んでいる材料としてBiTe系化合物が挙げられ、主に常温から200℃程度の温度域で使われているが、次なる普及材料をめざし、様々な温度域において高い熱電性能を発揮する材料の探索が進められている。特に、シリサイド系、Pb-Te系、スクッテルダイト系、Si-Ge系、ホイスラー系の無機材料は300℃以上の温度域で高い熱電特性を示すことが示されており盛んに研究されている。
無機材料熱電変換モジュールは、電子をキャリアとするN型素子とホールをキャリアとするP型素子を並べ一端を電極でつなぎπ型状にしたものが良く知られている。パイ型モジュールに使われる素子は数mm~1cm程度の直方体または立方体であるため、数mmの素子バルク材料を高効率に作製する技術も求められる。その方法として一般的に行われている製法が、素原料を溶解して所望の組成にした材料を粉砕するなどして粉体状にし、その後、粉体を加圧焼結する方法である。加圧焼結は、加熱中に圧縮することにより、焼結及び成形を同時に行う方法で、ホットプレス法やHIP(Hot Isostatic Pressing)、さらには機械的な加圧とパルス通電加熱を同時に行う放電プラズマ焼結法(SPS法)などが採用されている。
例えば、特許文献1にスクッテルダイト系化合物Ce0.2Co3.95Mn0.05Sb12を用いた熱電変換素子と、その製造方法として、Ce、Co、Mn、Sbを含む金属原料を石英管に入れ、真空中で封止し、1100℃で12時間溶融したのちに、水中でクエンチし、得られたインゴットを800℃で120時間熱処理して、得られた粉末を50MPaの圧力で600℃5分間のSPS焼結を行ったことが開示されている。
また、特許文献2には、結晶の平均粒径が50nm以下である熱電変換材料であって、熱電変換材料の相対密度が85%以上である熱電変換材料と、その製造方法として、微粉砕粉末を準備して、0.5GPa以上10GPa以下の圧力下で焼結もしくは固化させることが開示されている。
国際公開第2013/009430号 国際公開第2004/049464号
特許文献1の方法では、量産のために大型化すると圧力不足などにより、熱電変換素子の相対密度が不足しやすいという課題がある。一方で、特許文献2のように微粉砕粉末を得た場合、比表面積が大きくなるため焼結前段階で酸化が進みやすく、これを用いて熱電変換素子を得た場合に、熱電変換素子の熱電性能が低下しやすいという課題があった。
本発明の目的は、熱電特性を維持しながら、高密度化に好適な、量産性に優れた熱電変換素子の製造方法を提供することである。
本発明の熱電変換素子の製造方法は、
Sbを含むスクッテルダイト型の熱電変換材料粉末と、Mn及びSbからなる化合物を含む焼結助剤とを混合し混合物を得る工程と、
前記混合物を焼結する工程と、
を含むことを特徴とする。
また、前記Mn及びSbからなる化合物が、XRDにより、Mn1.1Sb又はMnSbの、少なくともいずれか一方の結晶構造のピークが観測されることが好ましい。
また、前記混合物は、熱電変換材料及び焼結助剤の全量に対して焼結助剤が10mass%以下であることが好ましい。
また、前記熱電変換材料粉末は、Yb及びCoを含むことが好ましい。
また、前記熱電変換材料粉末は、Ce及びFeを含むことが好ましい。
本発明によれば、熱電特性を維持しながら、高密度化に好適な、量産性に優れた熱電変換素子の製造方法を提供できる。
熱電変換素子の製造方法を示すフローチャートである。 熱電変換材料粉末を準備する工程を示すフローチャートである。 熱電変換材料粉末と焼結助剤とを混合する工程とそれに付随する工程を示すフローチャートである。 焼結する工程を示すフローチャートである。 実施例1、及び比較例1の(a)電気抵抗、(b)ゼーベック係数、(c)パワーファクター、の比較である。 実施例1の断面を(a)500倍、(b)2000倍の倍率でSEM観察した写真である。 比較例1の断面を(a)500倍、(b)2000倍の倍率でSEM観察した写真である。 (a)実施例3の断面を倍率2000倍でSEM観察した写真、(b)比較例3の断面を倍率2000倍でSEM観察した写真である。 焼結圧力に対する熱電変換素子の密度の関係を示す図である。 熱電変換素子の粒界をHAADF-STEM-EDXライン分析した結果である。 実施例10、及び、比較例4の加圧焼結圧力と密度の相関である。 実施例11、及び、実施例12、比較例5の加圧焼結圧力と密度の相関である。 実施例14、及び、比較例7の加圧焼結圧力と密度の相関である。
本発明の熱電変換素子の製造方法の実施の形態を以下に説明する。本実施形態の熱電変換素子の製造方法は、図1に示す通り、Sbを含むスクッテルダイト型の熱電変換材料粉末を準備する工程(S1:熱電変換材料粉末準備工程)と、前記熱電変換材料粉末と、Mn及びSbからなる化合物を含む焼結助剤とを混合し混合物を得る工程(S2:焼結助剤混合工程)と、前記混合物を焼結する工程(S3:焼結工程)と、を含む。尚、Sbを含むスクッテルダイト型の熱電変換材料粉末は購入するなどして、Sbを含むスクッテルダイト型の熱電変換材料粉末を準備する工程(S1:熱電変換材料粉末準備工程)を省略してもよい。
まず、図2に示す熱電変換材料粉末を準備する工程について以下に説明する。本発明において熱電変換材料とは、Sbを含み、結晶構造としてスクッテルダイト型を有している。例えば、Ybを含むCoSb系、CoSb系、Ceを含むCoSb系、Ceを含むFeSb系の材料などが挙げられる。例えば、Yb0.3CoSb12などの所望する熱電変換材料の組成式に従って金属素原料を秤量する(S1-1:素原料秤量工程)。この時アンチモン(Sb)は蒸気圧が高いため、加熱時の微量蒸発を考慮して秤量時に若干量、例えば1~3mass%多めに秤量しても良い。また、酸化しやすい素原料、たとえばセリウム(Ce)などは不活性雰囲気中で秤量することが好ましい。
秤量済みの金属素原料を、非酸化性雰囲気中にて、電気炉あるいは高周波炉で溶解凝固する(S1-2:溶解凝固工程)。非酸化性雰囲気として、不活性ガス(アルゴン、窒素Nなど)などを用いたり、石英管などに真空封入すればよく、溶解凝固では、液体急冷凝固を用いてもよい。溶解と液体急冷凝固は同一炉内で連続で実施しても良いし、溶解して素原料混合インゴットを一度作製してから、インゴットを改めて加熱溶解して液体急冷凝固しても良い。例えば、高周波溶解の場合は、全体が液相になって溶湯が高周波により撹拌していることを確認し、数十秒~数分程度保持した後に、鋳型に流し込みインゴットとする。液体急冷凝固では約100℃以下(室温、水冷などでもよい)のロールを回転させ、その上に溶解した溶湯を流す方法、噴射口のついたルツボ内で溶解した溶湯をガス圧で噴射口から噴射する方法等を適用してもよい。液体急冷凝固で得られた試料はリボン状で、その厚みは1μm以上1mm以下の範囲内が好ましい。急冷凝固されたリボン状試料はスクッテルダイト結晶、アモルファス混合物、スクッテルダイト以外の金属間化合物などが混ざった状態である。スクッテルダイト結晶を増加させるために、非酸化性雰囲気中にて所定温度で熱処理(S1-3:熱処理工程)してもよい。熱電変換材料としてスクッテルダイト型が主相であるか否かは、XRD(X-ray Diffraction)にて確認できる。
リボン状試料を熱処理することにより得られたスクッテルダイト材料を不活性雰囲気下で粉砕してもよい(S1-4:粉砕工程)。粉砕方法は、例えば、ハンマーミル、ジェットミル、ボールミル、乳鉢を備えた擂潰機等の手法を用いても良い。平均粒径は、湿式のレーザー回折などを用いればよく、例えばD50が0.5μm以上100μm以下となることが望ましく、1μm以上80μm以下となることが好ましく、さらに2μm以上50μm以下が好ましい。粉砕後に適宜、微粉や粗粉を篩で分級するなどの手法を用いても良い。
次に、図3に示す、熱電変換材料粉末と、Mn及びSbからなる化合物を含む焼結助剤とを混合し混合物を得る工程(S2-4:熱電変換材料粉末と焼結助剤との混合工程)について説明する。熱電変換材料の粉末と、焼結助剤とが、焼結工程において緻密化が進むように、十分に混ざり合って分散されていればよく、例えば、メディアを用いたミルや、乳鉢混合や、V型混合機などを用いた回転混合等を行えばよい。以下に用いる焼結助剤について説明する。本実施形態における焼結助剤は、Mn及びSbからなる化合物を含み、かかる焼結助剤と熱電変換材料粉末とを混合して焼結することで焼結しやすくなる効果が得られる。ここで、Mn及びSbからなる化合物とは、例えば、純マンガンおよび純アンチモンを原子比でMn/Sb=0.2~3の範囲で秤量し(S2-1:焼結助剤秤量工程)、溶解すること(S2-2:溶解凝固工程)で目的の化合物を得られる。これにより得られる助剤成分は、例えば、原子比Mn/Sbが1以下の場合はMnSbとSbの混合体となり、原子比Mn/Sb=1付近ではMnSbとなり、原子比でMn/Sb>1.2の場合は、MnSbに加えてMnSbの混合物となる。Mn/Sb>2の場合はMnSbに過剰のMnが混合した状態となる。すなわち、Mn及びSbからなる化合物とは、Sbに対してMnがおよそ1となる化合物(以後、Mn1.1Sbと表記することがある。)、または、Sbに対してMnがおよそ2となる化合物(以後、MnSbと表記することがある。)を含む、といえる。Mn及びSbからなる化合物を含むか否かは、XRDにて確認でき、Mn及びSbの合金相図からMn1.1Sb又はMnSbのいずれかが安定な合金であるため、これらを含む化合物を用いた。すなわち、焼結助剤として、Mn及びSbからなる化合物が、XRDにより、Mn1.1Sb又はMnSbの、少なくともいずれか一方の結晶構造のピークが観測できればよい。
なお、混合工程の前工程にあたる、溶解プロセス(S2-2:溶解凝固工程)では、電気炉あるいは高周波炉どちらを用いても良い。また、液体急冷凝固法を用いてもよく、金属ロールを備えた液体急冷凝固装置で溶解し、回転ロール上に溶湯を流して急冷凝固してリボン状の試料を得ることで、この後の粉砕工程が容易になる。続いて、溶解凝固によって得られたインゴット状の材料を粉状に粉砕してもよい(S2-3:粉砕工程)。粉は、熱電変換材料粉表面によく分散・配位させることで焼結助剤として効果的に働く。熱電変換材料と焼結助剤が一様に分散しているかどうか、例えばSEM-EDX(Scanning Electron Microscope Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いて、助剤中のMnと熱電変換材料中のCoやFeなどの元素との分布を観察すればよい。焼結助剤の添加量としては、熱電変換材料が全体の量から相対的に著しく減少しないようにすることが望ましいので、例えば熱電変換材料及び焼結助剤の全量に対して10mass%以下が好ましく、さらに0.01mass%以上2mass%以下が好ましい。
次に、図4に示す焼結工程について説明する。
固相反応により緻密なバルクとするため、混合物を加圧焼結用の型に入れ加圧熱処理(S3-2:焼結工程)をするか、もしくは一軸プレスやCIP(Cold Isostatic Pressing)等で圧粉体に成形(S3-1:予備成形)したものを熱処理(S3-2:焼結工程)することによって焼結し、スクッテルダイト熱電変換素子が得られる。焼結助剤を用いることで、プレス能力が同じ装置を用いて金型を大型化する、すなわち面にかかる力が一定で面積が大きくなり単位面積当たりの力は小さくなる場合、など45MPa以下の加圧焼結、さらには、加圧無しの焼結での高密度化が可能になる。その結果、熱電変換素子として、50MPa以上の加圧熱処理により得られた焼結体の密度を基準とした場合、加圧無しの焼結でも相対密度が90%以上、10MPa程度の加圧熱処理であれば97%以上を得られる。例えば、35MPa以下、15MPa以下、さらには10MPa以下の圧力でも高密度化が可能である。このときパワーファクターとしては、例えばYb0.3CoSb12については、焼結助剤を0.05~2mass%加え10MPa程度の加圧熱処理であれば、500℃において、5mW・m-1・K-2以上で、好ましい値を得ることができる。焼結時の温度は、550℃以上860℃以下の範囲が好ましい。550℃以上であれば焼結を進めやすく、860℃以下であればスクッテルダイトの分解を抑制しやすい。雰囲気としては、非酸化性であることが好ましく、不活性ガス(アルゴンAr、窒素Nなど)や、真空などを用いればよい。また、還元性の水素を用いることもできる。尚、以下の実施例では、得られた焼結体をスライサー等により評価用サイズに加工して評価に用いた。
[実施例1]
焼結助剤としてMnSbを想定し、原子比(Mn/Sb)=1となるようにマンガン(高純度化学製、3N、粒径300μm以下)およびアンチモン(日本精鉱製、4N、粒状)を秤量した。秤量済み素原料をカーボンるつぼに入れ、アルゴン雰囲気中、高周波溶解炉で加熱溶解した。溶湯が高周波により撹拌されることを確認後、溶湯を鋳型に流し入れた。鋳型中で固まったインゴットを液体急冷凝固装置にセットし、再びアルゴン雰囲気下で溶解した。溶湯温度を放射温度計で測定し1100℃にした後、回転銅ロール上に溶湯を噴射して急冷凝固し、リボン状の材料を得た。リボン状材料を解砕機(羽根式ミル)にて微粉砕し、焼結助剤(MnSb微粉)を得た。この焼結助剤粉末をXRDで測定したところ、Mn及びSbからなる化合物として、Mn1.1Sb単相のピークが得られた。
熱電変換材料Yb0.3CoSb12の組成式に従って純金属Yb、Co、Sbを秤量した。秤量した純金属素原料をカーボンるつぼに入れ、不活性ガス雰囲気中、高周波溶解炉で加熱溶解した。溶湯が高周波により撹拌されることを確認後、溶湯を鋳型に流し入れた。鋳型中で固まったインゴットを液体急冷凝固装置にセットし、再び不活性雰囲気下で溶解した。溶湯温度を放射温度計で測定し1150℃にした後、回転する銅ロール上に溶湯を噴射することにより急冷凝固した。急冷凝固した材料を不活性雰囲気下で700℃24時間熱処理した後、ハンマーミルを使用して粉砕した。これにより熱電変換材料の粉末(スクッテルダイト粉末)が得られた。スクッテルダイト粉末に、上述のMnSb微粉を、全量に対して1mass%添加し、ミックスローターを用いて1500回回転混合した。混合後の粉20gを内径Φ30mmのカーボン型にセットし、アルゴン雰囲気下、700℃、プレス圧力15MPaで1時間保持した。すなわち、混合物を加圧焼結用の型に入れ加圧しながら焼結した。見かけ密度7.74Mg/mの緻密な焼結体を得た。なお、見掛け密度は、アルキメデス法により求めた。焼結体内部をSEM観察すると、図6に示す通り、緻密なバルク体となっていた。
得られた焼結体を測定用に切削加工し、アドバンス理工ZEM-3にて熱電特性を測定した結果を図5に示す。図5によれば、300℃においてゼーベック係数-158μV/K、電気抵抗率4.69μΩm、パワーファクター5.29mW・m-1・K-2である。400℃においてゼーベック係数-168μV/K、電気抵抗率5.09μΩm、パワーファクター5.55mW・m-1・K-2である。500℃においてゼーベック係数-175μV/K、電気抵抗率5.48μΩm、パワーファクターは5.60mW・m-1・K-2となり、後述する比較例1と比べ、低抵抗で高いパワーファクターを示した。
[比較例1]
焼結助剤を添加しない点以外は実施例1と同様にして焼結体を作製し、評価した。この焼結体のアルキメデス法による見掛け密度は7.45Mg/mであった。焼結体断面をSEM観察すると、図7に示す通り、空隙が材料全体に存在していた。
得られた焼結体を測定用に切削加工し、アドバンス理工ZEM-3にて熱電特性を測定した結果を図5に示す。図5によれば、300℃においてゼーベック係数-154μV/K、電気抵抗率7.19μΩm、パワーファクター3.29mW・m-1・K-2である。400℃においてゼーベック係数-165μV/K、電気抵抗率7.84μΩm、パワーファクター3.46mW・m-1・K-2である。500℃においてゼーベック係数-176μV/K、電気抵抗率8.49μΩmパワーファクター3.63mW・m-1・K-2となった。
[実施例2]
実施例1と同様に焼結助剤であるMnSb微粉と、熱電変換材料Yb0.3CoSb12スクッテルダイト粉末を作製し、混合した。プレス圧力10MPaで1時間保持したこと以外は、実施例1と同様に焼結した。この焼結体のアルキメデス法による見掛け密度は7.70Mg/mであった。焼結体内部をSEM観察すると、緻密なバルク体となっていた。
得られた焼結体を測定用に切削加工し、アドバンス理工ZEM-3にて熱電特性を測定した結果、300℃においてゼーベック係数-158μV/K、電気抵抗率5.31μΩm、パワーファクター4.68mW・m-1・K-2である。400℃においてゼーベック係数-168μV/K、電気抵抗率5.76μΩm、パワーファクター4.92mW・m-1・K-2である。500℃においてゼーベック係数-176μV/K、電気抵抗率6.06μΩm、パワーファクター5.11mW・m-1・K-2となり、比較例1と比べ、低抵抗で高いパワーファクターを示した。
[実施例3]
焼結助剤としてMn/Sb原子比=1.8となるようにマンガンおよびアンチモンを秤量し、その後のプロセスは実施例1と同様に焼結助剤の粉末を作製した。この焼結助剤をXRDで測定したところMn1.1SbとMnSbの混合物であることが分かった。Yb0.3CoSb12スクッテルダイト粉末は実施例と同様のプロセスで作製した。
Yb0.3CoSb12スクッテルダイト粉末にMnSb微粉を1mass%添加し、乳鉢を用いて混合した。混合後の粉2gを内径Φ10mmの金型にセットし、室温で一軸プレスにて15kNで加圧成形した。真空対応炉に成形体を入れ、10Pa未満の真空度で、35℃/minで昇温後、730℃で1時間保持した。すなわち、混合物を成形用の型に入れ、加圧成形した後に、真空中で加圧せずに焼結した。焼結前成形体はφ10mmだったのに対し熱処理後すなわち焼結後はφ8.97mmと10%収縮し、そのアルキメデス法による見かけ密度は7.52Mg/mとなった。SEM観察したところ、図8(a)に示す通り、焼結が進んでいることが分かった。
以上の実施例より、加圧せずとも7.50Mg/m以上、15MPa以下の圧力で7.70Mg/m以上の密度が得られることが分かった。
[比較例2]
実施例3で用いた同バッチのスクッテルダイト粉末を使用し、スクッテルダイト粉末2gを内径Φ10mmの金型にセットし、室温で一軸プレスにて15kNで加圧成形した。真空対応炉に成形体を入れ、10Pa未満の真空度で、35℃/minで昇温後、730℃で1時間保持した。熱処理後の試料径は熱処理前と同様にΦ10mmであった。SEMで組織を観察したところ、図8(b)に示す通り、スクッテルダイト粉末のままで焼結していないことが観察された。
[実施例4]
実施例1、実施例2と同様のプロセスでスクッテルダイト粉末およびMnSb微粉を準備し、焼結時の圧力を10MPa以上68MPa以下の範囲で変えたときの焼結体の密度の変化を図9に示す。68MPaでの加圧焼結を参考例とする。これによれば、5MPa以上35MPa以下の低圧の範囲において、密度が比較例(焼結助剤無添加)より高く、68MPa加圧焼結時の見かけ密度は7.77Mg/mで、68MPaで加圧焼結した焼結体を基準にすると、10MPaまで圧力を落としても相対密度は99%以上である。このことから低圧の加圧焼結によっても緻密化しやすく、量産性が高いことが分かった。
[実施例5]
実施例2の各条件において、焼結助剤を0.1mass%とした。このときの密度は7.71Mg/mである(参考例の68MPa加圧焼結体を基準にすると相対密度99%)。結果を図9に示す。これによれば、密度が比較例2より高く、このことから、例えば、焼結助剤の量が少ない場合においても、低圧の加圧焼結によっても緻密化しやすく、量産性が高いことが分かった。
図10に、実施例3における粒界付近のHAADF-STEM-EDX(High-angle Annular Dark Field Scanning TEM Energy dispersive X-ray spectroscopy)を用いて粒界をまたがるように70nmライン分析を行った。これにより、粒界付近に対して粒界のMnの濃度が3倍高い傾向にあることが分かった。
[実施例6]
実施例1と同様のプロセスでスクッテルダイト粉末およびMnSb微粉を準備し、MnSb添加量を0.05mass%として混合した混合粉を作製し、焼結時の圧力を10MPaとして焼結した。焼結体の密度は7.70Mg/mであった。実施例4あるいは図9に示す焼結助剤無添加の68MPaでの加圧焼結体を基準にすると、相対密度は99%であり、かつ実施例4における焼結助剤1mass%添加の10MPa加圧焼結体と同じ密度を示していることから、添加量0.05mass%とした場合でも1mass%添加と遜色なく緻密化の効果があることがわかった。
得られた焼結体を実施例1、比較例1と同様手順で熱電特性を測定したところ、300℃においてゼーベック係数-160μV/K、電気抵抗率4.93μΩm、パワーファクター5.16mW・m-1・K-2である。400℃においてゼーベック係数-171μV/K、電気抵抗率5.39μΩm、パワーファクター5.39mW・m-1・K-2である。500℃においてゼーベック係数-179μV/K、電気抵抗率5.76μΩm、パワーファクター5.59mW・m-1・K-2となり、比較例1と比べ、低抵抗で高いパワーファクターを示した。
[実施例7]
実施例1と同様のプロセスでスクッテルダイト粉末および焼結助剤であるMnSb微粉を準備し、MnSb添加量を1.5mass%として混合した混合粉を作製し、焼結時の圧力を5MPaとして焼結した。焼結体の密度は7.54Mg/mであった。比較例3よりも高い密度が得られMnSb微粉の添加により高密度化することがわかった。
[比較例3]
焼結助剤を添加しない点以外は実施例7と同様にして焼結圧5MPaの焼結体を作製し、密度測定したところ、7.08Mg/mであった。
[実施例8]
焼結時の圧力を3MPaとした以外は実施例7と同様のプロセスで焼結体を作製し密度測定したところ、7.36Mg/mであった。比較例3よりも焼結圧が低いにも関わらず密度が高く、焼結助剤の添加により高密度化することがわかった。
[実施例9]
焼結助剤として原子比Mn/Sb=0.606となるようにマンガンおよびアンチモンを秤量し、その後のプロセスは実施例1と同様に焼結助剤の粉末を作製した。この焼結助剤をXRDで測定すると、Mn1.1SbとSbの混合物であることがわかった。Yb0.3CoSb12スクッテルダイト粉末は実施例1と同様のプロセスで作製した。実施例7と同様に、焼結助剤粉末の添加量が1.5mass%として混合した混合粉を作製し、焼結時の圧力を5MPaとして焼結した。焼結体の密度は7.57Mg/mであった。比較例3よりも高い密度が得られ、Mn1.1SbとSbの混合物である焼結助剤の添加により高密度化することがわかった。
[実施例10]
熱電変換材料Ce0.2(Co3.95Mn0.05)Sb12の組成式に従って純金属Ce、Co、Mn、Sbを秤量し、その後は実施例1と同様のプロセスでスクッテルダイト粉末を作製した。焼結助剤MnSb微粉(XRDでMn1.1Sb単相のピークを示した)の作製および、スクッテルダイト粉末とMnSb微粉の混合は実施例1と同様のプロセスで実施した。
この混合粉を用いて焼結時の圧力を8.5MPa以上45MPa以下の範囲で変えたときの焼結体の密度は、45MPaでは7.67Mg/m、30MPaでは7.64Mg/m、8.5MPaでは7.58Mg/mとなった。この加圧焼結圧力と密度の変化を図11に示す。70MPaでの焼結助剤無添加の加圧焼結を参考例とする。これによれば、8.5MPa以上45MPa以下の低圧の範囲において、密度が焼結助剤無添加の焼結体より高く、参考例である70MPa加圧焼結体の密度が7.66Mg/mであるのに対し、8.5MPaまで焼結圧を落としても焼結助剤MnSb微粉を混合した焼結体の相対密度は99%と高密度であった。このことから、45MPa以下の範囲において、7.50Mg/m以上の密度が得られることが分かった。
[比較例4]
焼結助剤を添加しない点以外は実施例10と同様にして、焼結時の圧力を8.5MPa以上45MPa以下の範囲で変えて加圧焼結した結果を図11に示す。焼結体の密度は、45MPaでは7.64Mg/m、30MPaでは7.58Mg/m、15MPaでは7.50Mg/m、8.5MPaでは7.39MPaとなった。いずれの焼結圧力においても実施例10のほうが密度が高く、焼結助剤による焼結促進効果を確認した。
[実施例11]
熱電変換材料CoSbの組成式に従って、純金属Co、Sbを秤量し、その後は実施例1と同様のプロセスでスクッテルダイト粉末を作製した。焼結助剤であるMnSb微粉(XRDでMn1.1Sb単相のピークを示した)の作製および、スクッテルダイト粉末とMnSb微粉の混合(MnSb微粉1mass%)は実施例1と同様のプロセスで実施した。
この混合粉をプレス圧力10MPaで加圧焼結したが、それ以外は実施例1と同様の条件で実施した。焼結体のアルキメデス法による見かけ密度は、7.56Mg/mとなった。焼結助剤無添加で68MPaでの加圧焼結を参考例とするが、その密度は7.60Mg/mとなった。これによれば、10MPaの低圧でも焼結助剤を加えることにより、68MPa焼結体を基準とすると、相対密度99%と高密度となった。また、後述の比較例5(焼結助剤無添加)における10MPaの焼結体よりも高密度になった。この結果を図12に示す。
[比較例5]
焼結助剤を添加しない点以外は実施例11と同様にして焼結時の圧力を5MPa以上45MPa以下の範囲で変えて加圧焼結した結果を図12に示す。密度は、45MPaでは7.57Mg/m、30MPaでは7.45Mg/m、15MPaでは7.33Mg/m、10MPaでは7.23Mg/m、5MPaでは7.16MPaとなった。45MPaでの焼結では実施例11と同等で、30MPa以下の焼結圧力ではいずれも、実施例11のほうが密度が高く、焼結助剤による焼結促進効果を確認した。
[実施例12]
比較例5(焼結助剤無添加)の5MPa加圧焼結との比較として、CoSbスクッテルダイト粉末に、原子比Mn/Sb=2で配合して作製した焼結助剤の微粉を添加して5MPaで焼結した。この焼結助剤の微粉は実施例1と同様のプロセスで作製し1.5mass%となるようにスクッテルダイト粉末と混合した。焼結体の密度は、7.40Mg/mとなり比較例5に示す5MPa加圧焼結体よりも高密度を得られた。
[実施例13]
実施例11と同様のプロセス(MnSb微粉が1mass%となるように熱電材料CoSbスクッテルダイト粉末と混合)で作製した混合粉を、600℃、プレス圧力68MPaで加圧焼結した。温度とプレス圧力以外は実施例11と同様条件である。焼結体の密度は、7.57Mg/mとなった。比較例6との比較、すなわちMnSb焼結助剤を添加しない結果と比較し、密度が高い焼結体が得られた。また、実施例11中に記載の700℃、68MPaでの焼結と比較して、焼結温度を700℃から600℃に下げたにもかかわらず、相対密度で100%の高密度を得られた。
[比較例6]
焼結助剤を添加しないこと以外は実施例13と同様にして焼結体を作製し、密度測定したところ、7.40Mg/mとなり、焼結助剤を添加した試料よりも低密度となった。
[実施例14]
焼結助剤であるMn1.1Sb微粉を実施例1と同様のプロセスで作製した。次に、熱電変換材料Ce(Fe3.925Mn0.075)Sb12を組成式に従って純金属Ce、Fe、Mn、Sbを秤量した。秤量した純金属素原料をカーボンるつぼに入れ、不活性ガス雰囲気中、高周波溶解炉で加熱溶解した。溶湯が高周波により撹拌されることを確認後、溶湯を鋳型に流し入れた。鋳型中で固まったインゴットを液体急冷凝固装置にセットし、再び不活性雰囲気下で溶解した。溶湯温度を放射温度計で測定し1100℃にした後、回転する銅ロール上に溶湯を噴射することにより急冷凝固した。急冷凝固した材料を不活性雰囲気下で660℃24時間熱処理した後、ハンマーミルを使用して粉砕した。これにより熱電変換材料の粉末(スクッテルダイト粉末)が得られた。
スクッテルダイト粉末に、Mn1.1Sb微粉を、全量に対して0.8mass%となるように添加、混合した。焼結温度660℃として、プレス圧を3MPa、5MPa、7.5MPa、10MPa、15MPaの5条件で加圧焼結して焼結体を作製した。その他の焼結条件は実施例1と同じである。焼結体の密度は、プレス圧が3MPaでは、7.67Mg/m、5MPaでは7.83Mg/m、7.5MPaでは7.84Mg/m、10MPaでは7.84Mg/m、15MPaでは7.85Mg/mであった。参考例として、焼結助剤無添加でプレス圧68MPaで同様に焼結した場合、7.86Mg/mとなる。これによれば、プレス圧68MPaでの加圧焼結体を基準とすると、3MPa焼結では相対密度は98%、5MPa焼結では100%となり、低圧でも高圧焼結と同等の密度を得られた。また、比較例7(焼結助剤無添加)と比較して、7.5MPa以下の低圧焼結時で、焼結助剤を添加したほうが高密度となった。
3MPa加圧焼結体を測定用に切削加工し、アドバンス理工ZEM-3にて熱電特性を測定した結果、300℃においてゼーベック係数140μV/K、電気抵抗率6.67μΩm、パワーファクター2.92mW・m-1・K-2であった。400℃においてゼーベック係数152μV/K、電気抵抗率7.18μΩm、パワーファクター3.23mW・m-1・K-2であった。500℃においてゼーベック係数162μV/K、電気抵抗率7.64μΩm、パワーファクター3.43mW・m-1・K-2となり、後述の比較例7と比べ、低電気抵抗で高いパワーファクターを示した。
[比較例7]
焼結助剤を添加しないことおよび焼結時のプレス圧力以外は実施例14と同様にして焼結体を作製し、評価した。焼結体の密度はプレス圧が3MPaでは、7.57Mg/m、5MPaでは7.76Mg/m、7.5MPaでは7.81Mg/m、10MPaでは7.85Mg/m、15MPaでは7.85Mg/mであった。
3MPa加圧焼結体を測定用に切削加工し、アドバンス理工ZEM-3にて熱電特性を測定した結果、プレス圧3MPaで作製した試料において300℃においてゼーベック係数137μV/K、電気抵抗率7.83μΩm、パワーファクター2.39mW・m-1・K-2である。400℃においてゼーベック係数149μV/K、電気抵抗率8.44μΩm、パワーファクター2.64mW・m-1・K-2である。500℃においてゼーベック係数157μV/K、電気抵抗率8.93μΩmパワーファクター2.76mW・m-1・K-2となった。

Claims (5)

  1. Sbを含むスクッテルダイト型の熱電変換材料粉末と、Mn及びSbからなる化合物を含む焼結助剤と、を混合し混合物を得る工程と、
    前記混合物を焼結する工程と、
    を含むことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
  2. 前記Mn及びSbからなる化合物が、XRDにより、Mn1.1Sb又はMnSbの、少なくともいずれか一方の結晶構造のピークが観測されることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換素子の製造方法。
  3. 前記混合物は、熱電変換材料及び焼結助剤の全量に対して焼結助剤が10mass%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電変換素子の製造方法。
  4. 前記熱電変換材料粉末は、Yb及びCoを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱電変換素子の製造方法。
  5. 前記熱電変換材料粉末は、Ce及びFeを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の熱電変換素子の製造方法。

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