以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物(以下、組成物(X)ともいう)は、光重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、紫外線吸収剤(C)と、増感剤(D)とを含有する。光重合性化合物(A)は、単官能光重合性化合物(A011)を含有する。組成物(X)中の固形分に対する単官能光重合性化合物(A011)の百分比は、10質量%以上40質量%以下である。
本実施形態によると、組成物(X)に光を照射することで硬化物を作製できる。組成物(X)は、紫外線吸収剤(C)を含有するものの、増感剤(D)を更に含有するため、組成物(X)に光が照射された場合の良好な反応性が維持されやすい。また、紫外線吸収剤(C)によって紫外線が吸収されることで、硬化物は紫外線を透過させにくい。また、光重合性化合物(A)が単官能光重合性化合物(A011)を含有するため、単官能光重合性化合物(A011)の重合反応が多少進行しても組成物(X)の粘度は大きく変動しにくいので、組成物(X)を保管している間の組成物(X)の粘度上昇を抑制でき、すなわち組成物(X)の保存安定性を高めやすい。特に本実施形態では、組成物(X)が増感剤(D)を含有するため、組成物(X)の保管中に増感剤(D)によって光重合性化合物(A)の反応が促進されることがあるが、そのような場合でも、単官能光重合性化合物(A011)によって組成物(X)の粘度上昇が生じにくくなる。組成物(X)中の固形分に対する単官能光重合性化合物(A011)の百分比が10質量%以上であるため、組成物(X)の保存安定性が高まりやすく、この百分比が40質量%以下であるため、組成物(X)の反応性が確保されやすい。
これにより、本実施形態では、紫外線吸収剤を含有しながら、硬化性が低下しにくく、かつ良好な保管性を有することができる組成物(X)が得られる。
本実施形態では、組成物(X)を硬化させた厚み10μmの硬化物の、波長400nmの光の透過率が、30%以下であることが、好ましい。この場合、硬化物が紫外線を特に透過させにくくなる。この透過率は20%以下であればより好ましく、10%以下であれば更に好ましい。この透過率は低いほど好ましく、理想的には0%である。この低い透過率は、紫外線吸収剤(C)及び増感剤(D)の選択によって実現可能である。
本実施形態では、組成物(X)を硬化させた厚み10μmの硬化物の、波長430nmの光の透過率が、70%以上であることが好ましい。この場合、硬化物は可視光の透過を阻害しにくい。そのため、組成物(X)を発光装置における光学部品を作製するために使用した場合に、発光装置の発光性能が光学部品によって損なわれにくい。この透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であれば更に好ましい。この透過率は、紫外線吸収剤(C)及び増感剤(D)の選択によって実現可能である。
本実施形態では、組成物(X)にピーク波長395nmの光が照射された場合に組成物(X)が硬化可能であることが好ましい。特に、本実施形態では、組成物(X)から厚み10μmの塗膜を作製し、塗膜にピーク波長395nmの光を、照射強度3W/cm2かつ積算光量0.9J/cm2の条件で照射した場合の、組成物(X)中の光重合性化合物(A)の反応率は、80%以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)は紫外線吸収剤(C)を含有するにもかかわらず、波長395nm付近の紫外線を利用して組成物(X)を硬化させることができる。このような特性は、増感剤(D)の選択によって実現可能である。この反応率は、90%以上であれば更に好ましい。
これらの組成物(X)及び硬化物の特性は、下記に詳述する組成物(X)の組成によって実現可能である。
組成物(X)から光学部品を製造することができ、また光学部品を備える発光装置を製造することもできる。なお、組成物(X)の用途は、光学部品の製造のみには制限されず、組成物(X)の特質を利用した種々の用途に適用可能である。
組成物(X)は、インクジェット法で成形されることが好ましい。この場合、組成物(X)の硬化物及び光学部品を位置精度良く作製しやすい。また、スクリーン印刷法などの接触を伴う印刷法で成形する場合と比べて、組成物(X)をインクジェット法で成形する場合は、組成物(X)及びその硬化物に異物が混入しにくく、そのため、光学部品を作製するに当たっての歩留りが悪化しにくい。
本実施形態では、組成物(X)の25℃での粘度が30mPa・s以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)を成形しやすく、特にインクジェット法で成形しやすい。この粘度が20mPa・s以下であれば更に好ましく、15mPa・s以下であれば特に好ましい。この粘度が1mPa・s以上であることも好ましく、5mPa・s以上であることもより好ましい。
組成物(X)の40℃における粘度が30mPa・s以下であることも好ましい。この場合、常温における組成物(X)の粘度がいかなる値であっても、組成物(X)を僅かに加熱すれば低粘度化させることが可能である。このため、加熱すれば、組成物(X)を成形しやすくでき、特にインクジェット法で成形しやすくできる。また、組成物(X)を大きく加熱することなく低粘度化させることができるので、組成物(X)中の成分が揮発することによる組成物(X)の組成の変化を生じにくくできる。この粘度が25mPa・s以下であればより好ましく、20mPa・s以下であれば更に好ましく、15mPa・s以下であれば特に好ましい。この粘度が1mPa・s以上であることも好ましく、5mPa・s以上であることもより好ましい。
このような組成物(X)の25℃又は40℃における低い粘度は、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって実現可能である。なお、組成物(X)の25℃及び40℃の各々の場合の粘度の測定方法及び条件は、後掲の実施例の欄において詳しく説明する。
組成物(X)の硬化物を100℃で30分間加熱した場合に生じるアウトガスの割合が300ppm以下であることが好ましい。この場合、硬化物からアウトガスが生じにくい。このため、例えば硬化物からなる光学部品を備える発光装置内にアウトガスに起因する空隙を生じにくくできる。このため空隙を通じて発光素子に水及び酸素が到達するようなことを起こりにくくして、発光素子が水及び酸素により劣化しにくくできる。このアウトガスの割合は、100ppm以下であれば更に好ましい。なお、アウトガスの割合の測定方法は、後掲の実施例において詳しく説明する。
組成物(X)は、溶剤を含有せず又は溶剤の含有量が1質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)及び組成物(X)の硬化物からは、溶剤に由来するアウトガスが発生しにくい。また、光学部品及び発光装置の製造時に組成物(X)及び硬化物から溶剤を除去するための乾燥工程を不要にできる。組成物(X)及び硬化物の少なくとも一方から溶剤を除去するための乾燥工程があってもよいが、この場合は乾燥工程における加熱温度の低減と加熱時間の短縮化との、少なくとも一方を可能とできる。このため、光学部品及び発光装置の製造効率を低下させることなく、光学部品からアウトガスを生じにくくできる。さらに、組成物(X)を特にインクジェット法で成形する場合に、成形後の組成物(X)から溶剤が揮発することによる厚みの減少が生じにくく、そのため光学部品の厚みの減少が生じにくい。そのため、インクジェット法で成形しながら、光学部品の厚みをできるだけ大きく確保できる。溶剤の含有量は、0.5質量%以下であればより好ましく、0.3質量%以下であれば更に好ましく、0.1質量%以下であれば特に好ましい。組成物(X)は、溶剤を含有せず、又は不可避的に混入する溶剤のみを含有することが、特に好ましい。
組成物(X)の硬化物のガラス転移温度は75℃以上であることが好ましい。すなわち、組成物(X)は、硬化することでガラス転移温度が75℃以上の硬化物になる性質を有することが好ましい。この場合、硬化物は良好な耐熱性を有することができる。そのため、例えば硬化物に温度上昇を伴う処理が施された場合に、硬化物が劣化しにくい。このため、例えば光学部品に重なる無機質材料の層(例えばパッシベーション層6)をプラズマCVD法といった蒸着法で作製する場合、光学部品が加熱されても、光学部品が劣化しにくい。また、耐熱性を高めることで、光学部品を、耐熱性に対する要求が厳しい車載用途に適合させることもできる。硬化物のガラス転移温度は80℃以上であればより好ましく、90℃以上であれば更に好ましく、100℃以上であれば特に好ましい。この硬化物のガラス転移温度は、下記で詳細に説明される組成物(X)の組成によって実現可能である。
組成物(X)20mgを、熱重量分析計を用いて100℃30分の条件で加熱する処理をした場合の揮発性は、40%以下であることが好ましい。組成物(X)の揮発性は、処理前の組成物(X)の重量に対する、処理後の組成物(X)の重量減少量(組成物(X)の、処理前の重量と処理後の重量との差)の百分比で規定される。この場合、組成物(X)の揮発性が低いことで、組成物(X)の保存安定性を高めることができる。また、組成物(X)の硬化物及び光学部品からアウトガスが生じにくくなる。そのため、発光装置内にアウトガスに起因する空隙が更に生じにくくなる。組成物(X)の揮発性は、組成物(X)20mgを熱重量分析計を用いて100℃30分の条件で加熱する処理をし、処理前の重量に対する処理後の重量の重量減少量を算出することで求めることができる。組成物(X)20mgを、熱重量分析計を用いて100℃30分の条件で加熱する処理をした場合の揮発性は、30%以下であることがより好ましく、20%以下であれば更に好ましい。組成物(X)の揮発性の下限は特に限定されないが、例えば、0.1%以上であってよい。
組成物(X)が含有する成分について、更に詳しく説明する。
光重合性化合物(A)及び光重合開始剤(B)について説明する。
光重合性化合物(A)は、光の照射を受けて重合反応を生じうる化合物である。光重合性化合物(A)は、例えばモノマー、オリゴマー及びプレポリマーからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
光重合性化合物(A)は、上述のとおり、重合性官能基を一つのみ有する単官能光重合性化合物(A011)を含有し、組成物(X)中の固形分に対する単官能光重合性化合物(A011)の百分比は、10質量%以上40質量%以下である。この百分比が10質量%以上であれば、組成物(X)の保存安定性がより高まりやすい。またこの百分比が40質量%以下であれば、組成物(X)の反応性がより確保されやすい。この百分比は12質量%以上であればより好ましく、14質量%以上であれば更に好ましい。またこの百分比は30質量%以下であればより好ましく、20質量%以下であれば更に好ましい。
光重合性化合物(A)は、重合性官能基を二つ以上有する多官能光重合性化合物(A012)を更に含有してもよい。この場合、組成物(X)に光が照射された場合の組成物(X)の反応性が高まる。このため、組成物(X)に波長395nm付近の光が照射された場合の良好な反応性を実現することができ、また硬化物からのアウトガスの発生が抑制される。
組成物(X)中の固形分に対する多官能光重合性化合物(A012)の百分比は、50質量%以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)の反応性がより確保されやすく、アウトガスがより発生しにくい。この百分比は60質量%以上であればより好ましく、70質量%以上であれば更に好ましい。また、この百分比は90質量%以下であることが好ましい。その場合、組成物(X)を保管している間の組成物(X)の粘度上昇を抑制でき、すなわち組成物(X)の保存安定性を高めやすいという利点がある。また、十分に硬化収縮が抑えられるという利点もある。この百分比は、85質量%以下であればより好ましく、80質量%以下であれば更に好ましい。
光重合性化合物(A)は、-R-O-骨格と-R-N-骨格とのうち少なくとも一方を有する化合物(A02)を含有することが好ましい。この場合、硬化物からの紫外線吸収剤(C)及び増感剤(D)のブリードアウトが、生じにくくなる。これは、光重合性化合物(A)と紫外線吸収剤(C)及び増感剤(D)との親和性が高まるからであると推察される。-R-O-骨格と-R-N-骨格との各々におけるRは炭素数2以上のアルキレン基等の二価の炭化水素基である。Rの炭素数が3以上であれば、より高い効果が得られやすい。また、Rの炭素数は例えば12以下である。ただし、前記の-R-O-骨格及び-R-N-骨格のそれぞれからは、三員環中に存在する-R-O-骨格及び-R-N-骨格と、四員環中に存在する-R-O-骨格及び-R-N-骨格とは、除かれる。
組成物(X)中の固形分に対する化合物(A02)の百分比は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。この百分比が10質量%以上であれば、ブリードアウトが更に生じにくい。この百分比が90質量%以下であれば、組成物(X)の保管性が高まりやすい。この百分比は30質量%以上であればより好ましく、50質量%以上であれば更に好ましい。またこの百分比は80質量%以下であれば更に好ましい。
化合物(A02)は、後述の光重合性化合物(A)に含まれる化合物の具体例として記載されている化合物のうちの-R-O-骨格と-R-N-骨格とのうち少なくとも一方を有する化合物よりなる群から選択される、少なくとも一種の化合物を含有できる。
光重合性化合物(A)は、例えばラジカル重合性化合物(A1)とカチオン重合性化合物(A2)とのうち少なくとも一方を含有する。光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物(A1)を含有する場合、光重合開始剤(B)は光ラジカル重合開始剤(B1)を含有することが好ましい。光重合性化合物(A)がカチオン重合性化合物(A2)を含有する場合、光重合開始剤(B)は光カチオン重合開始剤(B2)(カチオン硬化触媒)を含有することが好ましい。
光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物(A1)を含有する場合について説明する。
ラジカル重合性化合物(A1)は、アクリル化合物(Y)と、アクリル化合物(Y)以外のラジカル重合性化合物(Z)とのうち、少なくとも一方を含有する。ラジカル重合性化合物(A1)は、アクリル化合物(Y)を含有することが好ましい。アクリル化合物(Y)は、一分子中に一つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
アクリル化合物(Y)全体の25℃での粘度は50mPa・s以下であることが好ましい。この場合、アクリル化合物(Y)は組成物(X)を特に低粘度化させることができる。アクリル化合物(Y)全体の粘度は30mPa・s以下であれば更に好ましく、20mPa・s以下であれば特に好ましい。また、アクリル化合物(Y)全体の粘度は例えば3mPa・s以上である。
アクリル化合物(Y)全体の40℃での粘度が50mPa・s以下であることも好ましい。この場合、アクリル化合物(Y)は、加熱された場合の組成物(X)を特に低粘度化させることができる。アクリル化合物(Y)全体の粘度は30mPa・s以下であれば更に好ましく、20mPa・s以下であれば特に好ましい。また、アクリル化合物(Y)全体の粘度は、例えば3mPa・s以上である。
アクリル化合物(Y)中の、沸点が270℃以上である成分の百分比は、80質量%以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)の保存安定性が特に損なわれにくく、かつ硬化物からアウトガスが特に生じにくい。アクリル化合物(Y)中の、沸点が280℃以上である成分の百分比が80質量%以上であれば、更に好ましい。
アクリル化合物(Y)は、25℃での粘度が20mPa・s以下である成分を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)を低粘度化できる。
アクリル化合物(Y)全量に対する、25℃での粘度が20mPa・s以下である成分の割合は、50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)を特に低粘度化でき、組成物(X)をインクジェット法で特に塗布しやすくなる。この割合は、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。また、この割合は、95質量%以下であることもより好ましく、90質量%以下であることも更に好ましい。
25℃での粘度が20mPa・s以下である成分は、80℃以上のガラス転移温度を有する化合物を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)を低粘度化しながら、硬化物のガラス転移温度を高めることができる。この成分は、90℃以上のガラス転移温度を有する化合物を含有すればより好ましく、100℃以上のガラス転移温度を有する化合物を含有すれば更に好ましい。この成分に含まれる化合物のガラス転移温度の上限に制限はないが、例えば150℃以下である。
アクリル化合物(Y)が含みうる化合物について説明する。
アクリル化合物(Y)は、一分子中にラジカル重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を一つのみ有する単官能アクリル化合物(Y2)と、一分子中に(メタ)アクリロイル基を含む二つ以上のラジカル重合性官能基を有する多官能アクリル化合物(Y1)とのうち、少なくとも一方を含有する。なお、単官能アクリル化合物(Y2)は上述の単官能光重合性化合物(A011)に含まれ、多官能アクリル化合物(Y1)は上述の多官能光重合性化合物(A012)に含まれる。
多官能アクリル化合物(Y1)は、硬化物のガラス転移温度を高めることができ、このため、硬化物の耐熱性を高めることができる。多官能アクリル化合物(Y1)の割合は、アクリル化合物(Y)全体に対して50質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
多官能アクリル化合物(Y1)は、例えば1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル、ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールトリアクリレート、ビスペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化リン酸トリアクリレート、エトキシ化トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、テトラメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシレートグリセリルトリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ネオペンチルグリコールオリゴアクリレート、トリメチロールプロパンオリゴアクリレート、ペンタエリスリトールオリゴアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
多官能アクリル化合物(Y1)のアクリル当量は、150g/eq以下であることが好ましく、90g/eq以上150g/eq以下であることがより好ましい。多官能アクリル化合物(Y1)の重量平均分子量は、例えば100以上1000以下であり、200以上800以下がより好ましい。
多官能アクリル化合物(Y1)が、下記式(200)に示す構造を有する化合物(Y11)を含有することが好ましい。
CH2=CR1-COO-(R3-O)n-CO-CR2=CH2 …(200)
式(200)において、R1及びR2の各々は水素又はメチル基、nは1以上の整数、R3は炭素数1以上のアルキレン基であり、nが2以上の場合は一分子中の複数のR3は互いに同一であっても異なっていてもよい。
R3の炭素数が2以上である場合には、化合物(Y11)は上述の化合物(A02)に含まれる。R3は炭素数3以上6以下のアルキレン基であることが好ましい。
化合物(Y11)は、式(200)に示す構造を有すること、特に式(200)のR3の炭素数が3以上であることにより、硬化物の水との親和性を高めにくい。R3の炭素数は、例えば1以上15以下であり、好ましくは3以上15以下である。また、化合物(Y11)は、式(200)に示す構造を有すること、特に一分子中に二つの(メタ)アクリロイル基を有することにより、硬化物のガラス転移温度を高めることができ、このため、硬化物の耐熱性を高めることができる。また、式(200)のnは、例えば1以上12以下の整数である。
化合物(Y11)は、特に沸点が270℃以上である成分を含有することが好ましい。すなわち、アクリル化合物(Y)は、式(200)に示す構造を有し、かつ沸点が270℃以上である成分を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)の保存中及び組成物(X)が加熱された場合に、組成物(X)からアクリル化合物(Y)が揮発しにくい。そのため、組成物(X)の保存安定性が損なわれにくい。また、組成物(X)の硬化物中に化合物(Y11)が未反応で残留していても、硬化物から化合物(Y11)に起因するアウトガスが生じにくい。そのため、発光装置1内に、アウトガスによる空隙が生じにくい。発光装置1中に空隙があると空隙を通じて発光素子4に水分が侵入してしまうおそれがあるが、空隙が生じにくいと、発光素子4に水分が侵入しにくい。なお、沸点は、減圧下の沸点を換算して得られる常圧下の沸点であり、例えばScience of Petroleum, Vol.II. P.1281(1938)に示される方法で求められる。化合物(Y11)が沸点が280℃以上である成分を含有すればより好ましい。
アクリル化合物(Y)に対する化合物(Y11)の百分比は50質量%以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)の保存安定性が効果的に高められ、かつ硬化物からのアウトガス発生が効果的に低減され、更に硬化物の水に対する親和性が特に高められにくい。アクリル化合物(Y)に対する化合物(Y11)の百分比は、例えば100質量%以下であり、又は95質量%以下であり、好ましくは80質量%以下である。
化合物(Y11)の25℃での粘度は25mPa・s以下であることが好ましい。この場合、化合物(Y11)は組成物(X)の粘度を低めることができる。化合物(Y11)の25℃での粘度は、25mPa・s以下であればより好ましく、20mPa・s以下であれば更に好ましく、15mPa・s以下であれば特に好ましい。また、化合物(Y11)の25℃での粘度は、例えば1mPa・s以上であり、3mPa・s以上であれば好ましく、5mPa・s以上であれば更に好ましい。
化合物(Y11)は、例えばアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートと、ポリアルキレングルコールジ(メタ)アクリレートと、アルキレンオキサイド変性アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、式(200)においてnが1である化合物である。この場合、式(200)におけるR3の炭素数は4~12であることが好ましい。R3は、直鎖状でもよく、分岐を有していてもよい。特にアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。また、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、サートマー社製の品番SR213、大阪有機化学工業社製の品番V195、サートマー社製の品番SR212、サートマー社製の品番SR247、共栄社化学社製の品名ライトアクリレートNP-A、サートマー社製の品番SR238NS、大阪有機化学工業社製の品番V230、ダイセル社製の品番HDDA、共栄化学工業社製の品番1,6HX-A、大阪有機化学工業社製の品番V260、共栄化学工業社製の品番1,9-ND-A、新中村化学工業社製の品番A-NOD-A、サートマー社製の品番CD595、サートマー社製の品番SR214NS、新中村化学工業社製の品番BD、サートマー社製の品番SR297、サートマー社製の品番SR248、共栄社化学社製の品名ライトエステルNP、サートマー社製の品番SR239NS、共栄社化学社製の品名ライトエステル1,6HX、新中村化学工業社製の品番HD-N、共栄社化学社製の品名ライトエステル1,9ND、新中村化学工業社製の品番NOD-N、共栄社化学社製の品名ライトエステル1,10DC、新中村化学工業社製の品番DOD-N、及びサートマー社製の品番SR262からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えば式(200)においてnが2以上である化合物である。nは例えば2~10であり、2~7であることが好ましく、2~6であることも好ましく、2~3であることも好ましい。R3の炭素数は例えば2~7であり、好ましくは2~5である。炭素数が多いほど、硬化物の疎水性が高くなり、硬化物が水分を透過させにくい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、特にジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジメタクリレート及びポリエチレングリコール200ジアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。また、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、特にサートマー社製の品番SR230、サートマー社製の品番SR508NS、ダイセル社製の品番DPGDA、サートマー社製の品番SR306NS、ダイセル社製の品番TPGDA、大阪有機化学工業社製の品番V310HP、新中村化学工業社製の品番APG200、共栄社化学社製の品名ライトアクリレートPTMGA-250、サートマー社製の品番SR231NS、共栄社化学社製の品名ライトエステル2EG、サートマー社製の品番SR205NS、共栄社化学社製の品名ライトエステル3EG、サートマー社製の品番SR210NS、共栄社化学社製の品名ライトエステル4EG、三菱化学社製の品名アクリエステルHX及び新中村化学工業社製の品番3PGからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
アルキレンオキサイド変性アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えばプロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールを含有する。また、アルキレンオキサイド変性アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、例えばダイセル社製の品番EBECRYL145を含有する。
アクリル化合物(Y)が式(200)に示す構造を有する化合物(Y11)を含有する場合、化合物(Y11)は、式(200)中のnの値が5以上の化合物を含まないことが好ましい。(R3-O)nがポリエチレングリコール骨格である場合に、式(200)中のnの値が5より大きい化合物を含まないことが特に好ましい。化合物(Y11)が式(200)中のnの値が5より大きい化合物を含む場合でも、アクリル化合物(Y)に対する、式(200)中のnの値が5より大きい化合物の百分比は、20質量%以下であることが好ましい。また、化合物(Y11)が式(200)中のnの値が5より大きい化合物を含む場合でも、化合物(Y11)は、nの値が9よりも大きい化合物を含まないことが好ましく、nの値が7よりも大きい化合物を含まないことが更に好ましい。これらの場合、組成物(X)の粘度上昇が特に生じにくくなる。
多官能アクリル化合物(Y1)がポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含有すれば、特に好ましい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、粘度が低く、かつ揮発しにくいため、組成物(X)の低粘度化に寄与でき、かつ組成物(X)の保存安定性の向上及び硬化物からのアウトガスの低減に寄与できる。
多官能アクリル化合物(Y1)がポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートを含有する場合、アクリル化合物(Y)に対するポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの割合は、40質量%以上80質量%以下であることが好ましい。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートの割合が40質量%以上であると、組成物(X)の粘度を効果的に低下できる。この割合は42質量%以上75質量%以下であればより好ましく、45質量%以上70質量%以下であれば更に好ましい。
多官能アクリル化合物(Y1)は、一分子中に(メタ)アクリロイル基を含む三つ以上のラジカル重合性官能基を有する化合物を含有してもよい。この場合、多官能アクリル化合物(Y1)は、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種を含有できる。この場合、硬化物のガラス転移温度を特に高めることができ、このため、硬化物の耐熱性を特に高めることができる。
多官能アクリル化合物(Y1)は、特にペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。この場合、硬化物のガラス転移温度を特に高めることができ、かつ組成物(X)の反応性を向上させることができる。組成物(X)の反応性が向上すると、大気雰囲気等の酸素を含む環境下であっても組成物(X)を容易に硬化させることができる。
多官能アクリル化合物(Y1)がペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートを含有する場合、アクリル化合物(Y)に対するペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの割合は、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の高い反応性と低粘度とを両立可能である。この割合は1質量%以上9質量%以下であればより好ましく、2質量%以上8質量%以下であれば更に好ましい。
多官能アクリル化合物(Y1)は、ベンゼン環、脂環及び極性基のうち少なくとも一つを有してもよい。極性基は、例えばOH基及びNHCO基のうち少なくとも一方である。この場合、組成物(X)が硬化する際の収縮を特に低減できる。さらに、硬化物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素といった無機化合物との間の密着性を高めることもできる。多官能アクリル化合物(Y1)は、特にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。これらの化合物は、組成物(X)が硬化する際の収縮を特に低減できる。さらに、これらの化合物は、硬化物と、窒化ケイ素、酸化ケイ素といった無機化合物との間の密着性を高めることもできる。
硬化物と無機材料との密着性が高まると、光学部品がSiN膜などの無機材料製の膜(無機質膜)と重ねられる場合には、光学部品と無機質膜との間の高い密着性が得られやすい。
多官能アクリル化合物(Y1)がポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートとを含有すれば特に好ましい。この場合、組成物(X)は低粘度でかつ反応性に優れる。このため、大気雰囲気等の酸素を含む環境下であっても、組成物(X)を容易に硬化させることができる。
アクリル化合物(Y)は、一分子中のラジカル重合性官能基が一つの(メタ)アクリロイル基のみである単官能アクリル化合物(Y2)を含有することも好ましい。単官能アクリル化合物(Y2)は、組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。
アクリル化合物(Y)が単官能アクリル化合物(Y2)を含有する場合、アクリル化合物(Y)全量に対する単官能アクリル化合物(Y2)の量は、0質量%より多く50質量%以下であることが好ましい。単官能アクリル化合物(Y2)の量が0質量%より多ければ、組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。また、単官能アクリル化合物(Y2)の量が50質量%以下であれば、多官能アクリル化合物(Y1)の量が50質量%以上になりうることで、硬化物の耐熱性を特に向上できる。単官能アクリル化合物(Y2)の量が5質量%以上であれば更に好ましく、30質量%以下であることも更に好ましく、20質量%以下であれば特に好ましい。
単官能アクリル化合物(Y2)は、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジキシルエチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルモノアクリレート、イミドアクリレート、イソアミルアクリレート、エトキシ化コハク酸アクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、トリデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(350)モノアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(550)モノアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレートのエチレンオキサイド付加物、2-フェノキシエチルアクリレートのプロピレンオキサイド付加物、アクリロイルモルホリン、アクリル酸モルホリン4-イル、ジシクロペンタニルアクリレ-ト、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、3-メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド及び3-アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
単官能アクリル化合物(Y2)は、脂環式構造を有する化合物及び環状エーテル構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。
脂環式構造を有する化合物は、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、アクリロイルモルホリン、アクリル酸モルホリン4-イル、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレ-ト、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、及び1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
環状エーテル構造を有する化合物における環状エーテル構造の環員数は3以上が好ましく、3以上4以下がより好ましい。環状エーテル構造に含まれる炭素原子数は、2以上9以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。環状エーテル構造を有する化合物は、例えば3-メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド及び3-アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アクリル化合物(Y)は、分子骨格中にケイ素を有する化合物を含有してもよい。この場合、硬化物と無機材料との間の密着性が向上する。分子骨格中にケイ素を有する化合物は、例えばアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(例えば信越化学工業社製の品番KBM5103)及び(メタ)アクリル基含有アルコキシシランオリゴマー(例えば信越化学工業社製の品番KR-513)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アクリル化合物(Y)は、分子骨格中にリンを有する化合物を含有してもよい。この場合、硬化物と無機材料との間の密着性が向上する。分子骨格中にリンを有する化合物は、例えばアシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレートといった、アシッドホスホキシ(メタ)アクリレートを含む。
アクリル化合物(Y)は、分子骨格中に窒素を有する化合物を含有してもよい。この場合、硬化物と無機材料との間の密着性が向上する。また、アクリル化合物(Y)の反応性が向上しやすくなり、そのため硬化物からアウトガスが生じにくくなる。特に、アクリル化合物(Y)は、上述の化合物(A02)に含まれる化合物として、-R-N-骨格を有する化合物を含有することが好ましい。分子骨格中に窒素を有する化合物は、例えばアクリロイルモルホリン、アクリル酸モルホリン4-イルといったモルホリン骨格を有する化合物、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びペンタメチルピペリジルメタクリレ-トからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む。
アクリル化合物(Y)が、モルホリン骨格を有する化合物を含有することが特に好ましい。この場合、組成物(X)の反応性を更に向上でき、大気雰囲気下であっても組成物(X)の硬化性を更に高めることができる。また、モルホリン骨格には-R-O-骨格と-R-N-骨格とが含まれることから、モルホリン骨格を有する化合物は上述の化合物(A02)に含まれる。アクリル化合物(Y)が、アクリロイルモルホリンとアクリル酸モルホリン4-イルとのうち少なくとも一方を含有すれば特に好ましい。この場合、組成物(X)の硬化時の収縮を抑制できる。また、アクリロイルモルホリン及びアクリル酸モルホリン4-イルの粘度は低く、そのため、これらの化合物は組成物(X)の粘度を増大させにくい。さらに、これらの化合物は揮発しにくいため、組成物(X)の保存安定性を向上させやすい。
アクリル化合物(Y)に対するモルホリン骨格を有する化合物の割合は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の硬化物からアウトガスが発生しにくくなるという利点がある。この割合は7質量%以上45質量%以下であればより好ましく、10質量%以上40質量%以下であれば更に好ましい。
アクリル化合物(Y)が、イソボルニル骨格を有する化合物を含有してもよい。イソボルニル骨格を有する化合物は、例えば、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートからなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。
アクリル化合物(Y)は、ジシクロペンタジエン骨格、ジシクロペンタニル骨格、ジシクロペンテニル骨格、及びビスフェノール骨格からなる群から選択される少なくとも一種の骨格を有する化合物からなる成分を含有してもよい。具体的には、アクリル化合物(Y)は、例えばトリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート及びビスフェノールFポリエトキシジアクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。この場合、硬化物と無機材料との密着性を高めることができる。
アクリル化合物(Y)は、下記式(100)に示す化合物を含有してもよい。この場合、組成物(X)の反応性を高めることができ、かつ硬化物と無機材料との密着性を向上できる。
式(100)において、R0はH又はメチル基である。Xは単結合又は二価の炭化水素基である。R1からR11の各々はH、アルキル基又は-R12-OH、R12はアルキレン基でありかつR1からR11のうち少なくとも一つはアルキル基又は-R12-OHである。R1からR11は互いに化学結合していない。Xが二価の炭化水素基である場合は、この化合物は、-R-O-骨格を有することから、上述の化合物(A02)に含まれる。
具体的には、例えばアクリル化合物(Y)は、下記式(110)に示す化合物、式(120)に示す化合物及び式(130)に示す化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。
ラジカル重合性化合物(A1)は、アクリル化合物(Y)以外のラジカル重合性化合物(Z)を含有してもよい。アクリル化合物(Y)とラジカル重合性化合物(Z)との合計量に対するラジカル重合性化合物(Z)の量は、例えば10質量%以下である。ラジカル重合性化合物(Z)は、一分子に二つ以上のラジカル重合性官能基を有する多官能ラジカル重合性化合物(Z1)と、一分子に一つのみのラジカル重合性官能基を有する単官能ラジカル重合性化合物(Z2)とのうち、少なくとも一方を含有できる。なお、単官能ラジカル重合性化合物(Z2)は上述の単官能光重合性化合物(A011)に含まれ、多官能ラジカル重合性化合物(Z1)は上述の多官能光重合性化合物(A012)に含まれる。
多官能ラジカル重合性化合物(Z1)は、例えば一分子中にエチレン性二重結合を2つ以上有する芳香族ウレタンオリゴマー、脂肪族ウレタンオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー及びその他特殊オリゴマーからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。なお、多官能ラジカル重合性化合物(Z1)が含みうる成分は前記には限られない。単官能ラジカル重合性化合物(Z2)は、例えばN-ビニルホルムアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン、フェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2-ブチレンオキサイド、1,3-ブタジエンモノオキサイド、1,2-エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2-エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3-ビニルシクロヘキセンオキサイド、4-ビニルシクロヘキセンオキサイド、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。なお、単官能ラジカル重合性化合物(Z2)が含みうる成分は前記には限られない。
ラジカル重合性化合物(A1)がラジカル重合性化合物(Z)を含有する場合、ラジカル重合性化合物(Z)が分子骨格中に窒素を有する化合物を含有してもよい。分子骨格中に窒素を有する化合物は、例えばN-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含む。この場合、アクリル化合物(Y)が分子骨格中に窒素を有する化合物を含有する場合と同様、硬化物と無機材料との間の密着性が向上する。
言い換えると、ラジカル重合性化合物(A1)は、分子骨格中に窒素を有する化合物を含有することが好ましい。この分子骨格中に窒素を有する化合物は、アクリル化合物(Y)に含まれる化合物を含有してもよく、ラジカル重合性化合物(Z)に含まれる化合物を含有してもよい。この場合、硬化物と無機材料との間の密着性が向上する。ラジカル重合性化合物(A1)全体に対する分子骨格中に窒素を有する化合物の割合は、5質量%以上80質量%以下であることが好ましい。この割合が5質量%以上であることで硬化物と無機材料との間の密着性が特に向上しやすい。この割合が80質量%以下であることで、分子骨格中に窒素を有する化合物が組成物(X)の保存安定性を阻害しにくく、組成物(X)をインクジェット法で噴射する場合のサテライトを生じさせにくい。このため組成物(X)のインクジェット性が阻害されにくい。さらに、分子骨格中に窒素を有する化合物に起因するアウトガスを生じにくくできる。この割合は10質量%以上70質量%以下であればより好ましく、20質量%以上60質量%以下であれば更に好ましく、25質量%以上50質量%以下が特に望ましい。
ラジカル重合性化合物(A1)に対する、ラジカル重合性化合物(A1)中の単官能ラジカル重合性化合物の合計(すなわち単官能アクリル化合物(Y2)と単官能ラジカル重合性化合物(Z2)との合計)の割合は、70質量%以下であることが好ましい。この場合、単官能化合物に起因するアウトガスの発生が起こりにくくなる。この割合は60質量%以下であればより好ましく、50質量%以下であれば更に好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B1)は、光が照射されるとラジカル種を生じさせる化合物であれば、特に制限されない。光ラジカル重合開始剤(B1)は、ピーク波長395nmの光が照射された場合にラジカル種を生じさせる化合物を含有することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B1)は、例えば芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
ラジカル重合性化合物(A1)に対する光ラジカル重合開始剤(B1)の割合は、6質量%以上であることが好ましい。この場合、組成物(X)は良好な光硬化性を有することができ、良好な大気雰囲気下での光硬化性も有しうる。この割合は7質量%以上であればより好ましく、8質量%以上であれば更に好ましい。またこの割合は例えば30質量%以下であり、20質量%以下であれば好ましく、18質量%以下であれば更に好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B1)は、フォトブリーチング性を有する光ラジカル重合開始剤(B1)を含むことが好ましい。この場合、組成物(X)の硬化物が良好な光透過性を有しやすい。ラジカル重合性化合物(A1)に対する光ラジカル重合開始剤(B1)の割合は、3質量%以上であることが好ましい。この割合は7質量%以上であればより好ましく、8質量%以上であれば更に好ましい。またこの割合は例えば30質量%以下であり、25質量%以下であれば好ましく、20質量%以下であれば更に好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B1)は、例えばアシルホスフィンオキサイド系光開始剤と、オキシムエステル系光開始剤のうちのフォトブリーチング性を有する化合物とのうち、少なくとも一方を含有する。
光ラジカル重合開始剤(B1)は、分子中に増感剤骨格を有する成分を含むことも好ましい。増感剤骨格は、例えば9H-チオキサンテン-9-オン骨格とアントラセン骨格とのうち少なくとも一方を含む。すなわち、光ラジカル重合開始剤(B1)は、9H-チオキサンテン-9-オン骨格とアントラセン骨格とのうち少なくとも一方を有する成分を含むことが好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B1)は、フォトブリーチング性の有無にかかわらず、オキシムエステル系光開始剤を含むことも好ましい。オキシムエステル系光開始剤は、組成物(X)の硬化性を向上させることができる。そのため大気雰囲気等の酸素を含む環境下であっても組成物(X)を容易に硬化させることができ、かつ硬化物からアウトガスを生じにくくさせることができる。
オキシムエステル系光開始剤は、組成物(X)から分解物が生じることによる組成物(X)及び製造装置の汚染を起こりにくくするため、並びに硬化物からアウトガスを更に生じにくくするために、芳香環を有する化合物を含むことが好ましく、芳香環を含む縮合環を有する化合物を含むことがより好ましく、ベンゼン環とヘテロ環とを含む縮合環を有する化合物を含むことが更に好ましい。
オキシムエステル系光開始剤は、例えば1,2-オクタジオン-1-[4-(フェニルチオ)-、2-(o-ベンゾイルオキシム)]、及びエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)、並びに特開2000-80068号公報、特開2001-233842号公報、特表2010-527339、特表2010-527338、特開2013-041153号公報、及び特開2015-93842号公報等に記載されているオキシムエステル系光開始剤からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。オキシムエステル系光開始剤は、市販品であるカルバゾール骨格を有するイルガキュアOXE-02(BASF製)、アデカアークルズNCI-831、N-1919(ADEKA社製)及びTR-PBG-304(常州強力電子新材料社製)、ジフェニルスルフィド骨格を有するイルガキュアOXE-01、アデカアークルズNCI-930(ADEKA社製)、TR-PBG-345及びTR-PBG-3057(以上、常州強力電子新材料社製)、並びにフルオレン骨格を有するTR-PBG-365(常州強力電子新材料社製)及びSPI-04(三養製)からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有してもよい。特にオキシムエステル系光開始剤がジフェニルスルフィド骨格又はフルオレン骨格を有する化合物を含むと、フォトブリーチングによって硬化物が着色しにくい点で好ましい。オキシムエステル系光開始剤がカルバゾール骨格を有する化合物を含むことも、露光感度が高まりやすい点で好ましい。
オキシムエステル系光開始剤が二種以上の化合物を含有することも好ましい。この場合、例えばオキシムエステル系光開始剤が露光感度の異なる二種以上の化合物を含有することで、良好な露光感度を維持しつつ、光ラジカル重合開始剤(B1)の量を減らすことが可能なため、硬化物からアウトガスを更に生じにくくできる。
フォトブリーチング性を有するオキシムエステル化合物は、例えば下記式(401)に示す化合物と、下記式(402)に示す化合物とのうち、少なくとも一方を含有する。このうち式(402)に示す化合物は特に高感度であるため、組成物(X)の光硬化性を特に高めやすく、そのため組成物(X)の大気雰囲気下での光硬化性を実現しやすい。
光ラジカル重合開始剤(B1)がアシルホスフィンオキサイド化合物を含有する場合、紫外線吸収剤(C)を含有しても、光が照射された場合の組成物(X)の反応性がより高くなりやすく、特に波長395nmの光が照射された場合の組成物(X)の反応性が高くなりやすい。光ラジカル重合開始剤(B1)全体に対するアシルホスフィンオキサイド化合物の百分比は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であればより好ましく、2質量%以上であれば更に好ましい。アシルホスフィンオキサイド化合物は、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドからなる群から選択される少なくとも1種を含有する。
組成物(X)は、光ラジカル重合開始剤(B1)に加えて、重合促進剤を含有してもよい。重合促進剤は、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、p-ジメチルアミノ安息香酸メチル、安息香酸-2-ジメチルアミノエチル、p-ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチルといったアミン化合物を含有する。なお、重合促進剤が含有しうる成分は前記には限られない。
カチオン重合性化合物(A2)について説明する。光重合性化合物(A)がカチオン重合性化合物(A2)を含有する場合、カチオン重合性化合物(A2)は、例えば多官能カチオン重合性化合物(W1)と単官能カチオン重合性化合物(W2)とのうち少なくとも一方を含有する。
多官能カチオン重合性化合物(W1)は、シロキサン骨格を有さない多官能カチオン重合性化合物(W11)と、シロキサン骨格を有する多官能カチオン重合性化合物(W12)とのうち、いずれか一方又は両方を含有できる。
多官能カチオン重合性化合物(W11)は、シロキサン骨格を有さず、一分子あたり二以上のカチオン重合性官能基を有する。多官能カチオン重合性化合物(W11)の一分子あたりのカチオン重合性官能基の数は2~4個であることが好ましく、2~3個であれば更に好ましい。
カチオン重合性官能基は、例えば環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。環状エーテル基は、例えばエポキシ基とオキセタン基とのうち少なくとも一方である。
多官能カチオン重合性化合物(W11)は、例えば多官能脂環式エポキシ化合物、多官能ヘテロ環式エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、アルキレングリコールジグリシジルエーテル、及びアルキレングリコールモノビニルモノグリシジルエーテルからなる群から選択される化合物のうち、少なくとも一種の化合物を含有する。
多官能脂環式エポキシ化合物は、例えば下記式(1)に示す化合物と下記式(20)に示す化合物とのうち、いずれか一方又は両方を含有する。
式(1)において、R1~R18の各々は独立に水素原子、ハロゲン原子、又は炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は1~20の範囲内であることが好ましい。炭化水素基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基といった炭素数1~20のアルキル基;ビニル基、アリル基といった炭素数2~20のアルケニル基;又はエチリデン基、プロピリデン基といった炭素数2~20のアルキリデン基である。炭化水素基は、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい。R1~R18の各々は独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
式(1)において、Xは単結合又は二価の有機基である。有機基は、例えば-CO-O-CH2-であり、この場合は式(1)に示す化合物は上述の化合物(A02)に含まれる。
式(1)に示す化合物の例は、下記式(1a)に示す化合物及び下記式(1b)に示す化合物を含む。
式(20)中、R1~R12の各々は独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~
20の炭化水素基である。ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。炭素数1~20の炭化水素基は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基といった炭素数1~20のアルキル基;ビニル基、アリル基といった炭素数2~20のアルケニル基;又はエチリデン基、プロピリデン基といった炭素数2~20のアルキリデン基である。炭素数1~20の炭化水素基は、酸素原子若しくはハロゲン原子を含んでいてもよい。
R1~R12の各々は独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基であることが好
ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
式(20)に示す化合物の例は、下記式(20a)に示すテトラヒドロインデンジエポキシドを含む。
多官能ヘテロ環式エポキシ化合物は、例えば下記式(2)に示すような三官能エポキシ化合物を含有する。
多官能オキセタン化合物は、例えば下記式(3)に示すような二官能オキセタン化合物を含有する。
アルキレングリコールジグリシジルエーテルは、例えば下記式(4)~(7)に示す化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。
アルキレングリコールモノビニルモノグリシジルエーテルは、例えば下記式(8)に示す化合物を含有する。
上記の式(2)から(8)の各々に示される化合物は、上述の化合物(A02)に含まれる。
より具体的には、多官能カチオン重合性化合物(W11)は、例えばダイセル製のセロキサイド2021P及びセロキサイド8010、日産化学製のTEPIC-VL、東亞合成製のOXT-221、並びに四日市合成製の1,3-PD-DEP、1,4-BG-DEP、1,6-HD-DEP、NPG-DEP及びブチレングリコールモノビニルモノグリシジルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
多官能カチオン重合性化合物(W11)は、多官能脂環式エポキシ化合物を含有することも好ましい。この場合、組成物(X)は特に高いカチオン重合反応性を有することができる。
多官能脂環式エポキシ化合物は、特に式(1)に示す化合物及び式(20)に示す化合物のうち、いずれか一方又は両方を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)はより高いカチオン重合反応性を有することができる。
多官能脂環式エポキシ化合物が式(1)に示す化合物を含有する場合、式(1)に示す化合物は、式(1a)に示す化合物を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)は、より高いカチオン重合反応性を有するとともに、特に低い粘度を有することができる。
また、特に式(20)に示す化合物は、低い粘度を有するため、式(20)に示す化合物を含有する場合、組成物(X)は、良好な光硬化性を有することができるとともに、特に低い粘度を有することができる。さらに、式(20)に示す化合物は、低い粘度を有するわりには、揮発しにくい性質を有する。そのため、組成物(X)が式(20)に示す化合物を含有しても、組成物(X)には、式(20)に示す化合物の揮発による組成の変化が生じにくい。このため、組成物(X)は、式(20)に示す化合物を含有することで、保存安定性を損なうことなく低粘度化されうる。
式(20)に示す化合物は、例えばテトラヒドロインデン骨格を有する環状オレフィン化合物を、酸化剤を用いて酸化することで合成できる。
式(20)に示す化合物は、2つのエポキシ環の立体配置に基づく4つの立体異性体を含みうる。式(20)に示す化合物は、4つの立体異性体のいずれを含んでもよい。すなわち、式(20)に示す化合物は、4つの立体異性体からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。式(20)に示す化合物中における、4つの立体異性体のうちのエキソ-エンド体とエンド-エンド体の合計量の百分比は、エポキシ化合物(A1)全体に対して10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であれば更に好ましい。この場合、硬化物の耐熱性を向上できる。なお、式(20)に示す化合物中の特定の立体異性体の百分比は、ガスクロマトグラフィーで得られるクロマトグラムに現れるピーク面積比に基づいて、求めることができる。
式(20)に示す化合物中のエキソ-エンド体及びエンド-エンド体の量を少なくするためには、式(20)に示す化合物を精密蒸留する方法、シリカゲルなどを充填剤として用いたカラムクロマトグラフィーを適用する方法といった、適宜の方法を適用できる。
組成物(X)が多官能カチオン重合性化合物(W11)を含有する場合、樹脂成分全量に対する多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比は、5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。なお、樹脂成分とは、組成物(X)中のカチオン重合性を有する化合物のことをいい、多官能カチオン重合性化合物(W1)及び単官能カチオン重合性化合物(W2)を含む。多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比が5質量%以上であれば組成物(X)は光カチオン重合反応時に特に優れた反応性を有することができ、またそれによって、硬化物が高い強度(硬度)を有することができる。また、多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比が95質量%以下であれば、組成物(X)が吸湿剤(E)を含有する場合に、組成物(X)中で吸湿剤(E)を特に均一に分散させやすくできる。この多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比は、12質量%以上であればより好ましく、15質量%以上であれば更に好ましく、20質量%以上であれば更に好ましく、25質量%以上であれば特に好ましい。またこの多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比は、85質量%以下であればより好ましく、60質量%以下であれば更に好ましい。例えば多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比が20~60質量%の範囲内であることが好ましい。
多官能カチオン重合性化合物(W11)が多官能脂環式エポキシ化合物を含有する場合、多官能脂環式エポキシ化合物は、多官能カチオン重合性化合物(W11)の一部であってもよく、全部であってもよい。多官能カチオン重合性化合物(W11)に対する、多官能脂環式エポキシ化合物の百分比は、15質量%以上100質量%以下であることが好ましい。この百分比が15質量%以上であると、多官能脂環式エポキシ化合物は組成物(X)の光硬化性の向上に特に寄与できる。
多官能カチオン重合性化合物(W12)は、シロキサン骨格と、一分子あたり二以上のカチオン重合性官能基とを有する。多官能カチオン重合性化合物(W12)の一分子あたりのカチオン重合性官能基の数は、2~6個であることが好ましく、2~4個であれば更に好ましい。多官能カチオン重合性化合物(W12)は、組成物(X)のカチオン重合反応性の向上に寄与できるとともに、硬化物及び光学部品の耐熱変色性の向上に寄与できる。多官能カチオン重合性化合物(W12)は硬化物及び光学部品の低弾性率化にも寄与できる。組成物(X)が吸湿剤を含有する場合、多官能カチオン重合性化合物(W12)は組成物(X)中及び硬化物中の吸湿剤の分散性の向上にも寄与できる。
多官能カチオン重合性化合物(W12)は、25℃で液体であることが好ましい。特に多官能カチオン重合性化合物(W12)の25℃における粘度は、10~300mPa・sの範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)の粘度上昇を抑制できる。
多官能カチオン重合性化合物(W12)が有するカチオン重合性官能基は、例えばエポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。
多官能カチオン重合性化合物(W12)が有するシロキサン骨格は、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。シロキサン骨格が有するSi原子の数は、2~14の範囲内であることが好ましい。この場合、組成物(X)は特に低い粘度を有することができる。このSi原子の数は、2~10の範囲内であればより好ましく、2~7の範囲内であれば更に好ましく、3~6の範囲内であれば特に好ましい。
多官能カチオン重合性化合物(W12)は、例えば式(10)に示す化合物と、式(11)に示す化合物とのうち、少なくとも一方を含有する。
式(10)及び式(11)の各々におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、アルキレン基であることが好ましい。Yはシロキサン骨格であり、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでもよく、そのSi原子の数は2~14の範囲内であることが好ましく、2~10の範囲内であることがより好ましく、2~7の範囲内であれば更に好ましく、3~6の範囲内であれば特に好ましい。nは2以上の整数であり、2~4の範囲内であることが好ましい。
より具体的には、例えば多官能カチオン重合性化合物(W12)は、次の式(10a)に示す化合物を含有する。
式(10a)におけるRは、単結合又は二価の有機基であり、炭素数1~4のアルキレン基であることが好ましい。式(10a)におけるnは0以上の整数である。nは、0~12の範囲内であることが好ましく、0~8の範囲内であることがより好ましく、0~5の範囲内であれば更に好ましく、1~4の範囲内であれば特に好ましい。
式(10a)に示す化合物は、後述する式(30)に示す化合物を含有することが好ましい。すなわち、多官能カチオン重合性化合物(W12)は、下記式(30)に示す化合物を含有することが好ましい。
より具体的には、多官能カチオン重合性化合物(W12)は、例えば信越化学株式会社製の品番X-40-2669、X-40-2670、X-40-2715、X-40-2732、X-22-169AS、X-22-169B、X-22-2046、X-22-343、X-22-163、及びX-22-163Bからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。
多官能カチオン重合性化合物(W12)は脂環式エポキシ構造を有することが好ましく、多官能カチオン重合性化合物(W12)が式(10a)に示す化合物を含有すれば特に好ましい。式(10a)に示す化合物は、組成物(X)のカチオン重合反応性の向上と低粘度化とに特に寄与できるとともに、硬化物及び光学部品の耐熱変色性の向上及び低弾性率化に特に寄与できる。組成物(X)が吸湿剤(E)を含有する場合は組成物(X)中の吸湿剤(E)の分散性向上にも特に寄与できる。
組成物(X)が多官能カチオン重合性化合物(W12)を含有する場合、樹脂成分全量に対する多官能カチオン重合性化合物(W12)の百分比は、5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。この場合、特に組成物(X)が吸湿剤(E)を含有すると、組成物(X)中及び硬化物中での吸湿剤(E)の分散性が特に向上し、かつ組成物(X)が特に高い光カチオン重合反応性を有することができる。
単官能カチオン重合性化合物(W2)は、カチオン重合性官能基を一分子に対して一つのみ有する。カチオン重合性官能基は、例えばエポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。
単官能カチオン重合性化合物(W2)の25℃における粘度は8mPa・s以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)が溶媒を含有しなくても、単官能カチオン重合性化合物(W2)は組成物(X)の粘度を低減できる。特に単官能カチオン重合性化合物(W2)の25℃における粘度は、0.1~8mPa・sの範囲内であることが好ましい。
単官能カチオン重合性化合物(W2)は、例えば下記式(12)~(17)に示す化合物及びリモネンオキシドからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
上記の式(12)から(14)、(16)及び(17)の各々に示される化合物は、上述の化合物(A02)に含まれる。
樹脂成分全量に対する単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比が5質量%以上であれば組成物(X)の粘度を特に低減できる。また、単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比が50質量%以下であれば、組成物(X)は光カチオン重合反応時に特に優れた反応性を有することができ、またそれによって、硬化物が高い強度(硬度)を有することができる。この単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比は、10質量%以上であればより好ましく、15質量%以上であれば更に好ましい。また、この単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比は、40質量%以下であればより好ましく、35質量%以下であれば更に好ましく、30質量%以下であれば特に好ましい。単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比が特に35質量%以下であれば、組成物(X)を保管している間の組成物(X)中の成分の揮発量を効果的に低減でき、そのため組成物(X)を長期間保存しても組成物(X)の特性が損なわれにくい。さらに、硬化物にタックが生じることを特に抑制できる。例えば単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比が10~35質量%の範囲内であることが好ましい。
また、特に組成物(X)が多官能カチオン重合性化合物(W11)と多官能カチオン重合性化合物(W12)とを含有する場合、樹脂成分全量に対して、多官能カチオン重合性化合物(W11)の百分比は、30質量%以上60質量%以下、多官能カチオン重合性化合物(W12)の百分比は15質量%以上30質量%以下、単官能カチオン重合性化合物(W2)の百分比は15質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)の良好な保存安定性と低い粘度と良好なカチオン重合反応性とをバランス良く実現でき、更に硬化物の優れた透明性(可視光透過性)、優れた吸湿性及び高い屈折率をバランス良く実現できる。
カチオン重合性化合物(A2)が、式(3)に示す化合物と式(16)に示す化合物とを含有すれば、両者の比率を調整することで、組成物(X)から光硬化物を作製する場合の硬化反応の進行のしやすさを適度に調整しつつ、組成物(X)の低粘度化と保存安定性の向上とを実現できる。
式(16)に示す化合物の量は、組成物(X)が前記の特性を有するように適宜調整される。例えば式(16)に示す化合物の量は、樹脂成分全量に対して10質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
カチオン重合性化合物(A2)は、下記式(30)で示される化合物(f1)(以下、芳香族エポキシ化合物(f1)ともいう)を含有することが好ましい。
式(30)中、Xはハロゲン、H、炭化水素基及びアルキレングルコール基からなる群から選択される少なくとも一種であり、一分子中にXが複数ある場合は互いに同一であっても異なっていてもよい。炭化水素基は、例えばアルキル基又はアリール基である。Xが炭化水素基である場合のXの炭素数は例えば1から10までの範囲内である。Rは単結合又は二価の有機基である。Rが二価の有機基である場合、二価の有機基は例えばアルキレン基、オキシアルキレン基、カルボニルオキシアルキレン基(例えば-CO-O-CH2-)、又は-C(Ph)2-O-CH2-基である。YはH又は一価の有機基である。なお、Rがオキシアルキレン基又はカルボニルオキシアルキレン基である場合は、式(30)に示す化合物は上述の化合物(A02)に含まれる。Yが一価の有機基である場合、一価の有機基は例えばアルキル基又はアリール基である。
カチオン重合性化合物(A2)が芳香族エポキシ化合物(f1)を含有すると、芳香族エポキシ化合物(f1)は低い粘度を有するため、芳香族エポキシ化合物(f1)は組成物(X)を低粘度化させやすい。また、芳香族エポキシ化合物(f1)は揮発しにくく、そのため組成物(X)を保存していても、組成物(X)には芳香族エポキシ化合物(f1)の揮発による組成の変化が生じにくい。そのため芳香族エポキシ化合物(f1)は組成物(X)の保存安定性を高めやすい。また、芳香族エポキシ化合物(f1)は高い反応性を有するため、硬化物中に未反応の成分が残留しにくく、そのため硬化物からアウトガスを発生させにくい。さらに、芳香族エポキシ化合物(f1)は硬化物のガラス転移温度を高めやすく、そのため硬化物の耐熱性を高めやすい。
また、芳香族エポキシ化合物(f1)は、組成物(X)をインクジェット法で吐出する場合に、サテライトと呼ばれる不良な液滴を生じさせにくい。
式(30)中のRが単結合又はアルキレン基であることが好ましい。式(30)中のnが2又は3である場合には、式(30)中の複数のRのうち少なくとも一つが単結合又はアルキレン基であることが好ましい。これらの場合、芳香族エポキシ化合物(f1)の反応性が高くなりやすく、そのため組成物(X)に紫外線を照射した場合の組成物(X)の硬化性が高くなりやすい。
芳香族エポキシ化合物(f1)は、例えば下記式(301)~(318)にそれぞれ示される化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。
上記の式(306)から(311)、(313)、及び(315)から(318)の各々に示す化合物は、上述の化合物(A02)に含まれる。
特に芳香族エポキシ化合物(f1)が式(301)~(305)、(312)、(314)及び(318)にそれぞれ示される化合物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。これらの化合物は、化合物中の少なくとも一つのエポキシ基(オキシラン)とベンゼン環とが単結合又はアルキレン基で結合されていることで、高い反応性を有しやすく、そのため組成物(X)の硬化性を高めやすい。
カチオン重合性化合物(A2)全体に対する芳香族エポキシ化合物(f1)の百分比は、5質量%以上であることが好ましい。この場合、芳香族エポキシ化合物(f1)による上記の作用が特に得られやすい。この百分比は、95質量%以下であることも好ましい。この場合、組成物(X)の保管性が良好となりやすい。この百分比は10質量%以上90質量%以下であればより好ましく、20質量%以上85質量%以下であれば更に好ましい。
カチオン重合性化合物(A2)が、オキシアルキレン骨格を有する化合物(f2)を含有してもよい。オキシアルキレン骨格とは、一又は複数の直鎖状のオキシアルキレン単位からなる直鎖状の骨格である。なお、オキシアルキレン骨格を有する化合物(f2)は、上述の化合物(A02)に含まれる。
カチオン重合性化合物(A2)が化合物(f2)を含有すると、化合物(f2)は低い粘度を有するため、化合物(f2)は組成物(X)を低粘度化させやすい。また、化合物(f2)は揮発しにくく、そのため組成物(X)を保存していても、組成物(X)には芳香族エポキシ化合物(f1)の揮発による組成の変化が生じにくい。そのため化合物(f2)は組成物(X)の保存安定性を高めやすい。
また、化合物(f2)は、組成物(X)をインクジェット法で吐出する場合に、サテライトと呼ばれる不良な液滴を生じさせにくい。さらに、化合物(f2)は、インクジェット法で吐出される液滴の速度を速くしてもサテライトを生じにくくできる。そのため、インクジェットの条件にもよるが、例えばサテライトを生じさせることなくインクジェット法による液滴の吐出速度を4m/s又はそれ以上にすることも可能である。液滴の速度を速くできると、液滴の軌跡が外乱の影響を受けにくくなるので、組成物(X)から作製される硬化物の寸法精度を高めることができる。さらに、化合物(f2)は上述のとおり組成物(X)の保存安定性を高めることができるので、組成物(X)を長期間保管しても、サテライトを生じにくいという組成物(X)の特性が維持されやすい。
オキシアルキレン骨格は、特に「-C-C-O-」という構造、すなわちオキシエチレン単位を含むことが好ましい。この場合、サテライトが特に生じにくくなり、例えばインクジェット法で組成物(X)を吐出するに当たっての駆動周波数を変動させてもサテライトが生じにくくなる。また、化合物(f2)がより揮発しにくく、かつより低粘度になりやすく、更に組成物(X)の無機材料に対する親和性(濡れ性)が高まりやすい。
化合物(f2)におけるオキシアルキレン骨格中のオキシアルキレン単位の数は1以上8以下であることが好ましい。この場合、化合物(f2)がより低粘度になりやすいため、サテライトが特に生じにくくなり、かつ硬化物の架橋密度が高くなりやすいことで硬化物のガラス転移温度が特に高くなりやすい。このオキシアルキレン単位の数は1以上6以下であればより好ましく、1以上4以下であれば更に好ましい。
なお、化合物(f2)におけるオキシアルキレン骨格中のオキシアルキレン単位には、水素以外の置換基が結合していてもよい。例えばオキシアルキレン骨格に含まれているオキシエチレン単位が「-CH(CH3)-CH2-O-」という構造を有してもよい。
化合物(f2)の百分比はカチオン重合性化合物(A2)に対して10質量%以上であることが好ましい。この場合、インクジェット性が良好となり、基材への濡れ性がよくなる。この百分比が70質量%以下であることも好ましい。この場合、十分にガラス転移温度を高めることができる。この百分比は15質量%以上60質量%以下であればより好ましく、20質量%以上50質量%以下であれば更に好ましい。
化合物(f2)は、例えばオキシアルキレン骨格とエポキシ基とを有する化合物(f21)と、オキシアルキレン基とオキセタン基とを有する化合物(f22)とのうち、少なくとも一種の化合物を含有する。
化合物(f21)は、例えば上記の式(1b)に示す化合物、式(4)に示す化合物、式(5)に示す化合物、式(6)に示す化合物、式(7)に示す化合物、式(8)に示す化合物、式(13)に示す化合物、式(14)に示す化合物等からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。なお、化合物(f21)が含有しうる成分は前記のみには制限されない。
化合物(f22)は、例えば上記の式(3)に示す化合物、式(12)に示す化合物、式(16)に示す化合物、及び式(17)に示す化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有する。なお、化合物(f22)が含有しうる成分は前記のみには制限されない。
組成物(X)がカチオン重合性化合物(A2)を含有する場合、組成物(X)は、増感剤を更に含有することが好ましい。この場合、組成物(X)は特に高いカチオン重合反応性を有することができる。増感剤は、例えば9,10-ジブトキシアントラセン及び9,10-ジエトキシアントラセンのうちいずれか一方又は両方を含有する。カチオン重合性化合物(A2)に対する増感剤の百分比は、0質量%より多く、1質量%以下の範囲内であることが好ましい。この場合、増感剤が硬化物の透明性(可視光透過性)を阻害しにくく、そのため硬化物は良好な透明性(可視光透過性)を有することができる。
組成物(X)がカチオン重合性化合物(A2)を含有する場合、光重合開始剤(B)は、光カチオン重合開始剤(B2)を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤(B2)は、光照射を受けてプロトン酸又はルイス酸を発生する触媒であれば、特に制限されない。光カチオン重合開始剤(B2)は、ピーク波長395nmの光照射を受けてプロトン酸又はルイス酸を発生する触媒を含有することが好ましい。光カチオン重合開始剤(B2)は、イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒と、非イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒とのうち、少なくとも一方を含有できる。
イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒は、オニウム塩類と有機金属錯体とのうち少なくとも一方を含有できる。オニウム塩類の例は、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、及び芳香族スルホニウム塩を含む。有機金属錯体の例は、鉄-アレン錯体、チタノセン錯体、及びアリールシラノール-アルミニウム錯体を含む。イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒は、これらの成分のうち少なくとも一種の成分を含有できる。
非イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒は、例えばニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、及びN-ヒドロキシイミドホスホナートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。なお、非イオン性光酸発生型のカチオン硬化触媒が含有しうる成分は前記には限られない。
光カチオン重合開始剤(B2)が含有できる化合物のより具体的な例は、みどり化学製のDPIシリーズ(105,106、109、201など)、BI-105、MPIシリーズ(103、105、106、109など)、BBIシリーズ(101、102、103、105、106、109、110、200、210、300、301など)、TSPシリーズ(102、103、105、106、109、200、300、1000など)、HDS-109、MDSシリーズ(103、105、109、203、205、209など)、BDS-109、MNPS-109、DTSシリーズ(102、103、105、200など)、NDSシリーズ(103、105、155、165など)、DAMシリーズ(101、102、103、105、201など)、SIシリーズ(105、106など)、PI-106、NDIシリーズ(105、106、109、1001、1004など)、PAIシリーズ(01、101、106、1001、1002、1003、1004など)、MBZ-101、PYR-100、NBシリーズ(101、201など)、NAIシリーズ(100、1002、1003、1004、101、105、106、109など)、TAZシリーズ(100、101、102、103、104、107、108、109、110、113、114、118、122、123、203、204など)、NBC-101、ANC-101、TPS-Acetate、DTS-Acetate、Di-Boc Bisphinol A、tert-Butyl lithocholate、tert-Butyl deoxycholate、tert-Butyl cholate、BX、BC-2、MPI-103、BDS-105、TPS-103、NAT-103、BMS-105、及びTMS-105;
米国ユニオンカーバイド社製のサイラキュアUVI-6970、サイラキュアUVI-6974、サイラキュアUVI-6990、及びサイラキュアUVI-950;
BASF社製のイルガキュア250、イルガキュア261及びイルガキュア264;
チバガイギー社製のCG-24-61;
株式会社ADEKA製のアデカオプトマーSP-150、アデカオプトマーSP-151、アデカオプトマーSP-170及びアデカオプトマーSP-171;
株式会社ダイセル製のDAICAT II;
ダイセル・サイテック株式会社製のUVAC1590及びUVAC1591;
日本曹達株式会社製のCI-2064、CI-2639、CI-2624、CI-2481、CI-2734、CI-2855、CI-2823、CI-2758、及びCIT-1682;
ローディア社製のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート トルイルクミルヨードニウム塩であるPI-2074;
3M社製のFFC509;
米国Sartomer社製のCD-1010、CD-1011及びCD-1012;
サンアプロ株式会社製のCPI-100P、CPI-101A、CPI-110P、CPI-110A及びCPI-210S;並びに
ダウ・ケミカル社製のUVI-6992及びUVI-6976を、含む。光カチオン重合開始剤(B2)は、これらの化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
光カチオン重合開始剤(B2)は、トリアリールスルホネート型のカチオンを有することが好ましい。特に光カチオン重合開始剤(B2)が、下記式(61)に示すカチオン、式(62)に示すカチオン、式(63)に示すカチオン及び下記式(64)に示すカチオンからなる群から選択される少なくとも一種のカチオンを有する塩を含有することが好ましい。この場合、光カチオン重合開始剤(B2)は、ピーク波長395nmの光照射を受けてカチオン重合性化合物(A2)の反応を効果的に進行させることができる。
光カチオン重合開始剤(B2)が、(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸アニオンを有する塩を含有することも好ましい。この場合、硬化物の透明性(可視光透過性)が高まりやすい。光カチオン重合開始剤(B2)全体に対する(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸アニオンを有する塩の百分比は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であればより好ましく、0.8質量%以上であれば更に好ましい。
(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸アニオンは、(Rf)nPF6-n
-で示される。Rfはパーフルオロアルキル基であり、nは1から5までのいずれかの数である。Rfの炭素数は例えば1以上3以下であり、Rfが複数の場合(nが2以上の場合)はRfは互いに同一であっても異なっていてもよい。
(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸アニオンを有する塩が、トリアリールスルホネート型のカチオンを有すること、すなわちトリアリールスルホネート型のカチオンと(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸アニオンとの塩であることも、好ましい。
カチオン重合性化合物(A2)に対する光カチオン重合開始剤(B2)の百分比は、1質量%以上4質量%以下であることが好ましい。この百分比が1質量%以上であることで、組成物(X)は特に良好なカチオン重合反応性を有することができる。また、この百分比が4質量%以下であることで、組成物(X)は良好な保存安定性を有することができ、また過剰な光カチオン重合開始剤(B2)を含有しないことで製造コスト削減が可能である。
次に、紫外線吸収剤(C)について説明する。上述のとおり、紫外線吸収剤(C)は硬化物の紫外線透過性を低減することができる。また、紫外線吸収剤(C)は、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子などの光反射材と比べて、可視光の透過を阻害しにくい。
紫外線吸収剤(C)は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、ジアジン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ピラゾリジンジオン系紫外線吸収剤、及びエチレン系紫外線吸収剤よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する。この場合、紫外線吸収剤(C)のブリードアウトが更に生じにくく、さらに、硬化物の紫外線透過性が更に低減しやすい。
紫外線吸収剤(C)は、反応型紫外線吸収剤(C1)と非反応型紫外線吸収剤(C2)とのうち、少なくとも一方を含有する。反応型紫外線吸収剤(C1)とは、光重合性化合物(A)に含まれる少なくとも一種の化合物との重合反応を起こしうる紫外線吸収剤のことである。非反応型紫外線吸収剤(C2)とは、光重合性化合物(A)と重合反応を起こさない紫外線吸収剤のことである。
紫外線吸収剤(C)が反応型紫外線吸収剤(C1)を含有すると、硬化物からの紫外線吸収剤(C)のブリードアウトが生じにくくなる。これは、反応型紫外線吸収剤(C1)が光重合性化合物(A)中の化合物と反応することで、硬化物中で高分子骨格中に組み込まれやすいためであると推察される。
反応型紫外線吸収剤(C1)は、光重合性化合物(A)に含まれる化合物との反応性を有する官能基(反応性官能基)を有することが好ましい。例えば光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物を含有する場合に、反応型紫外線吸収剤(C1)は反応性官能基としてラジカル重合性官能基を有することが好ましい。ラジカル重合性官能基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。光重合性化合物(A)がカチオン重合性化合物を含有する場合、反応型紫外線吸収剤(C1)は反応性官能基としてカチオン重合性官能基を有することが好ましい。カチオン重合性官能基は、例えばエポキシ基、オキセタン基及びビニルエーテル基よりなる群から選択される少なくとも一種を含む。
反応型紫外線吸収剤(C1)は、例えばベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤、アゾメチン系反応型紫外線吸収剤、インドール系反応型紫外線吸収剤、ジアジン系反応型紫外線吸収剤、トリアジン系反応型紫外線吸収剤、ピラゾリジンジオン系反応型紫外線吸収剤、及びエチレン系反応型紫外線吸収剤よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
特に反応型紫外線吸収剤(C1)が、ベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤とベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤とのうち少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合、ベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤とベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤とは、比較的短波長の紫外線を吸収しやすい。そのため硬化物が紫外線をより透過させにくくなり、かつ反応型紫外線吸収剤(C1)によって可視光の透過が阻害されにくくなる。反応型紫外線吸収剤(C1)が、ベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤を含有することが特に好ましい。ベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤は比較的広い波長域の紫外線を吸収できるため、硬化物が紫外線を、特に透過させにくくなる。
ベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤は、例えば下記式(80)に示す構造を有する。
上記式(80)において、複数のRは、反応性官能基を有する有機基を、少なくとも一つ含む。例えば複数のRのうち、一つのR、又は二つのRの各々が、反応性官能基を有する有機基であることが好ましい。
光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物を含有し、かつ反応性官能基がラジカル重合性官能基である場合、反応性官能基を有する有機基は、例えば上記式(81)に示す有機基、式(82)に示す有機基又は式(83)に示す有機基である。上記式(81)において、R2は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R3は単結合、炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基である。上記式(82)において、R4は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R5は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、X1はO、S、NH又はNR6であり、R6は炭素数1~5のアルキル基である。上記式(83)において、R7は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R8は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、R9は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、X2はO、S、NH又はNR13、R13は炭素数1~5のアルキル基であり、mは1~6の数である。
光重合性化合物(A)がカチオン重合性化合物を含有し、かつ反応性官能基がカチオン重合性官能基である場合、カチオン重合性官能基は、例えば環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。環状エーテル基は、例えばエポキシ基とオキセタン基とのうち少なくとも一方である。反応性官能基を有する有機基は、例えばビニルエーテル基である。
式(80)中の複数のRのうち、反応性官能基を有する有機基以外の基(非反応性基)の各々は、例えば水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、又は反応性官能基を有さない有機基である。反応性官能基を有さない有機基は、例えば炭素数1~10のアルキル基、水酸基を有する炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、又は炭素数1~10のアルキルオキシ基である。非反応性基は、特に水酸基を1つ以上含むことが好ましい。この場合、分子内水素結合により紫外線吸収剤(C)自体の光安定性が向上しやすい。
ベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤は、例えば下記式(90)に示す構造を有する。
上記式(90)において、複数のRは、反応性官能基を有する有機基を、少なくとも一つ含む。例えば複数のRのうち、一つのR、又は二つのRの各々が、反応性官能基を有する有機基であることが好ましい。
光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物を含有し、かつ反応性官能基がラジカル重合性官能基である場合、反応性官能基を有する有機基は、例えば上記式(91)に示す有機基、式(92)に示す有機基又は式(93)に示す有機基である。上記式(91)において、R2は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R3は単結合、炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基である。上記式(92)において、R4は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R5は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、X1はO、S、NH又はNR6であり、R6は炭素数1~5のアルキル基である。上記式(93)において、R7は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R8は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、R9は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、X2はO、S、NH又はNR13、R13は炭素数1~5のアルキル基であり、mは1~6の数である。
光重合性化合物(A)がカチオン重合性化合物を含有し、かつ反応性官能基がカチオン重合性官能基である場合、カチオン重合性官能基は、例えば環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。環状エーテル基は、例えばエポキシ基とオキセタン基とのうち少なくとも一方である。反応性官能基を有する有機基は、例えばビニルエーテル基である。
式(90)中の複数のRのうち、反応性官能基を有する有機基以外の基(非反応性基)の各々は、例えば水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、又は反応性官能基を有さない有機基である。反応性官能基を有さない有機基は、例えば炭素数1~10のアルキル基、水酸基を有する炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、又は炭素数1~10のアルキルオキシ基である。式(90)中の非反応性基が水酸基を含むことが好ましく、特に非反応性基のうち少なくとも二つが水酸基であることが好ましい。すなわち、ベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤は、二つ以上の水酸基を有することが好ましい。この場合、硬化物の透明性(可視光透過性)が阻害されにくく、かつ硬化物の波長400nmの光の透過率が効果的に低減されやすい。
一方、非反応型紫外線吸収剤(C2)は、例えば反応性官能基を有さないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、反応性官能基を有さないベンゾフェノン系紫外線吸収剤、反応性官能基を有さないアゾメチン型紫外線吸収剤、反応性官能基を有さないインドール型紫外線吸収剤、反応性官能基を有さないフタロシアニン型紫外線吸収剤、及び反応性官能基を有さないトリアジン型紫外線吸収剤よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する。非反応型紫外線吸収剤(C2)は、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
反応性官能基を有さないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、例えば上記式(80)において、複数のRの各々が非反応性基である構造を有する。この場合、複数のRの各々は、例えば水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、又は反応性官能基を有さない有機基である。反応性官能基を有さない有機基は、例えば炭素数1~10のアルキル基、水酸基を有する炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、又は炭素数1~10のアルキルオキシ基である。
反応性官能基を有さないベンゾフェノン系紫外線吸収剤は、例えば上記式(90)において、複数のRの各々が非反応性基である構造を有する。この場合、複数のRの各々は、例えば水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、又は反応性官能基を有さない有機基である。反応性官能基を有さない有機基は、例えば炭素数1~10のアルキル基、水酸基を有する炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、又は炭素数1~10のアルキルオキシ基である。
非反応型紫外線吸収剤(C2)は、加熱されることで紫外線吸収性を発現する化合物、いわゆる潜在性紫外線吸収剤、を含有してもよい。この場合、潜在性紫外線吸収剤は、組成物(X)中では紫外線吸収性を発現しないために、組成物(X)を紫外線で硬化させやすい。また、硬化物を加熱すれば硬化物中の潜在性紫外線吸収剤が紫外線吸収性を発現することで、硬化物が紫外線を透過させにくくなる。
紫外線吸収剤(C)が反応型紫外線吸収剤(C1)と非反応型紫外線吸収剤(C2)とを含有する場合、紫外線吸収剤(C)全体に対する反応型紫外線吸収剤(C1)の百分比は30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であればより好ましく、50質量%以上であれば更に好ましい。この場合、硬化物からの紫外線吸収剤(C)のブリードアウトがより生じにくくなる。
紫外線吸収剤(C)は、分子量400以上の化合物を含有することが好ましい。この場合、硬化物からアウトガスが生じにくくなる。紫外線吸収剤(C)全体に対する分子量400以上の化合物の百分比は、3質量%以上であることが好ましい。この場合、10μmという薄膜においても十分に紫外線を吸収することができるという利点がある。この百分比は5質量%以上であればより好ましく、8質量%以上であれば更に好ましい。またこの百分比は、30質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X)のインクジェット性が良好になり、アウトガスも少なくなるという利点がある。この百分比は25質量%以下であればより好ましく、15質量%以下であれば更に好ましい。
紫外線吸収剤(C)の百分比は、例えば組成物(X)全体に対して1質量%以上25質量以下である。この百分比が1質量%以上であれば硬化物が紫外線を特に透過させにくいという利点がある。この百分比は1質量%以上であればより好ましく、3質量%以上であれば更に好ましい。この百分比が25質量%以下であれば組成物(X)の塗布性が良好であるという利点がある。この百分比は20質量%以下であればより好ましく、15質量%以下であれば更に好ましい。
増感剤(D)について説明する。組成物(X)が増感剤(D)を含有するため、上述のとおり、組成物(X)が紫外線吸収剤(C)を含有するにもかかわらず、組成物(X)に光が照射された場合の良好な反応性が維持されやすい。
増感剤(D)は、アントラセン系増感剤を含有することが好ましい。この場合、組成物(X)に波長395nm付近の光が照射された場合でも、良好な反応性が維持されやすい。アントラセン系増感剤は、例えば下記式(70)に示す構造を有する化合物を含有する。
上記式(70)において、複数のRは各々独立に、反応性官能基を有する有機基又は反応性官能基を有する有機基以外の基(非反応性基)である。nは1~6の数である。
複数のRが反応性官能基を有する有機基を含む場合において、光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物を含有し、かつ反応性官能基がラジカル重合性官能基である場合、反応性官能基を有する有機基は、例えば上記式(72)に示す有機基、式(73)に示す有機基又は式(74)に示す有機基である。上記式(72)において、R2は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R3は単結合、炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基である。上記式(73)において、R4は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R5は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、X1はO、S、NH又はNR6であり、R6は炭素数1~5のアルキル基である。上記式(74)において、R7は水素原子又は炭素数1~5のアルキル基、R8は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、R9は炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数6~20のアリーレン基、X2はO、S、NH又はNR13、R13は炭素数1~5のアルキル基であり、mは1~6の数である。
光重合性化合物(A)がカチオン重合性化合物を含有し、かつ反応性官能基がカチオン重合性官能基である場合、カチオン重合性官能基は、例えば環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも一種の基である。環状エーテル基は、例えばエポキシ基とオキセタン基とのうち少なくとも一方である。反応性官能基を有する有機基は、例えばビニルエーテル基である。
非反応性基は、例えば水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、又は反応性官能基を有さない有機基である。反応性官能基を有さない有機基は、例えば炭素数1~10のアルキル基、水酸基を有する炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、上記式(71)に示す基、又は「-O-R10」で表される基である。R10は、反応性基を有さない有機基である。上記式(71)において、R11は炭素数1~10のアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、又は炭素数1~10のアルキレンオキシ基であり、R12は炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数1~10のアルキルオキシ基である。非反応性基の各々は、特に水素原子、OH基、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。この場合、アントラセン系増感剤の増感作用が特に発現しやすくなり、そのため組成物(X)の良好な反応性が更に維持されやすくなり、また大量の増感剤を使用する必要性が低くなる。
増感剤(D)は、アントラセン骨格と、アントラセン骨格に結合する「-O-R10」で表される基とを有するアントラセン系増感剤(D1)を含有することが好ましい。「-O-R10」は上記の説明のとおりである。アントラセン系増感剤(D1)として、例えば上記式(70)において複数のRが「-O-R10」で表される基を少なくとも一つ含む化合物を含有する。増感剤(D)がアントラセン系増感剤(D1)を含有すると、増感剤(D)による増感作用が更に発現しやすく、そのため組成物(X)の良好な反応性が更に維持されやすい。また、増感剤(D)と光重合性化合物(A)との親和性が高くなりやすく、そのため、増感剤(D)が反応性官能基を有さない場合でも、硬化物から増感剤(D)がブリードアウトしにくくなる。
R10は、例えば非反応性の基を含んでもよい飽和炭化水素基である。非反応性の基は、例えばカルボニル基、エーテル結合、及びエステル結合等よりなる群から選択される少なくとも一種である。R10における、Oに結合する最長の直鎖状の鎖を構成する原子の数は、1~10であることが好ましい。R10における、Oに結合する最長の直鎖状の鎖を構成する原子の数は2以上であることが好ましく、4以上であればより好ましく、5以上であれば更に好ましい。この場合、増感剤(D)のブリードアウトが更に生じにくくなる。また、この原子数は8以下であることが好ましく、6以下であれば更に好ましい。この場合、組成物(X)の良好な反応性が特に維持されやすい。
アントラセン系増感剤(D1)は、例えば下記式(701)に示す化合物を含有することが好ましい。式(701)において、「-O-R10」は、上記の説明のとおりである。この場合、増感剤(D)による増感作用が更に発現しやすく、そのため組成物(X)の良好な反応性が更に維持されやすい。また、増感剤(D)と光重合性化合物(A)との親和性が高くなりやすく、そのため、増感剤(D)が反応性官能基を有さなくても、硬化物から増感剤(D)がブリードアウトしにくくなる。
式(701)に示す化合物は、例えば下記式(702)に示す化合物、下記式(703)に示す化合物、下記式(704)に示す化合物、及び下記式(705)に示す化合物よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
増感剤(D)は、アントラセン系増感剤以外の化合物を含有してもよい。その場合、増感剤(D)は、例えばチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、アントラキノン、1,2-ジヒドロキシアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ジエトキシナフタレン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノベンゾフェノン、p-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p-ジメチルアミノベンズアルデヒド、及びp-ジエチルアミノベンズアルデヒド等からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
増感剤(D)がアントラセン系増感剤(D1)を含有する場合、増感剤(D)全体に対するアントラセン系増感剤(D1)の百分比は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であればより好ましく、90質量%以上であれば更に好ましい。
組成物(X)の固形分に対する増感剤(D)の百分比は、1.0質量%以上4.5質量%以下であることが好ましい。なお、固形分とは、組成物(X)中の溶剤などの揮発性成分を除いた成分のことである。百分比が1.0質量%以上であれば組成物(X)の良好な反応性がより維持されやすい。また、百分比が4.5質量%以下であれば硬化物の透明性(可視光透過性)が阻害されにくく、また、硬化後に増感剤由来で発生するアウトガスを低減することができる。この百分比は1.2質量%以上であればより好ましく、1.5質量%以上であれば更に好ましい。また、この百分比は4.0質量%以下であればより好ましく、3.0質量%以下であれば更に好ましい。
また、紫外線吸収剤(C)と増感剤(D)との合計に対する増感剤(D)の百分比は、3質量%以上70質量%以下であることが好ましい。この百分比が3質量%以上であることで組成物(X)の良好な反応性が特に維持されやすい。またこの百分比が70質量%以下であることで、硬化物が紫外線を特に透過させにくくなり、かつ組成物(X)の保存安定性が特に高まりやすい。この百分比は4質量%以上であればより好ましく、5質量%以上であれば更に好ましい。またこの百分比は50質量%以下であればより好ましく、40質量%以下であれば更に好ましい。
組成物(X)は吸湿剤(E)を更に含有してもよい。組成物(X)が吸湿剤(E)を含有すると、組成物(X)の硬化物は吸湿性を有することができる。このため、硬化物を含む封止材5は、発光装置1における発光素子4へ水分が更に侵入しにくくできる。吸湿剤(E)の平均粒径は200nm以下であることが好ましい。この場合、硬化物は高い透明性(可視光透過性)を有することができる。
吸湿剤(E)は、吸湿性を有する無機粒子であることが好ましく、例えばゼオライト粒子、シリカゲル粒子、塩化カルシウム粒子、及び酸化チタンナノチューブ粒子からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有することが好ましい。吸湿剤(E)がゼオライト粒子を含有することが特に好ましい。
平均粒径200nm以下のゼオライト粒子は、例えば一般的な工業用ゼオライトを粉砕することで製造できる。ゼオライト粒子を製造するに当たって、ゼオライトを粉砕してから水熱合成などによって結晶化させてもよく、この場合、ゼオライト粒子は特に高い吸湿性を有することができる。このようなゼオライト粒子の製造方法の例は、特開2016-69266号公報、特開2013-049602号公報などに開示されている。
ゼオライト粒子は、ナトリウムイオンを含有することが好ましい。このため、ゼオライト粒子は、A型ゼオライト、X型ゼオライト及びY型ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種から作製されることが好ましい。ゼオライト粒子が、A型ゼオライトのうち4A型ゼオライトから作製されることが特に好ましい。これらの場合、ゼオライト粒子は、水分の吸着に好適な結晶構造を有する。
ゼオライト粒子のpHは7以上10以下であることが好ましい。ゼオライト粒子のpHが7以上であると、ゼオライト粒子の結晶が破壊されにくくなり、そのためゼオライト粒子を含有する組成物(X)の硬化物が特に高い吸湿性を有することができる。また、ゼオライト粒子のpHが10以下であると、組成物(X)を硬化させる場合にゼオライト粒子が硬化を阻害しにくい。なお、ゼオライト粒子のpHは、イオン交換水99.95gにゼオライト粒子0.05gを入れて得られた分散液を、90℃で24時間加熱してから、分散液の上澄みのpHをpH測定器で測定することで得られる値である。pH測定器としては、例えば堀場製作所製のコンパクトpHメータ<LAQUAtwin>B-711を用いることができる。
吸湿剤(E)の平均粒径は、10nm以上200nm以下であることが好ましい。この平均粒径が200nm以下であれば、硬化物は特に高い透明性(可視光透過性)を有することができる。また、この平均粒径が10nm以上であれば、吸湿剤(E)の良好な吸湿性を維持できる。なお、この平均粒径は、動的光散乱法による測定結果から算出されるメディアン径、すなわち累積50%径(D50)である。なお、測定装置としては、マイクロトラック・ベル株式会社のナノトラックNanotrac Waveシリーズを用いることができる。
吸湿剤(E)の平均粒径は、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であれば更に好ましく、70nm以下であれば特に好ましい。また、吸湿剤(E)の平均粒径が20nm以上であることが好ましく、50nm以上であればより好ましい。この場合、硬化物は、特に良好な透明性(可視光透過性)と吸湿性とを有することができる。
吸湿剤(E)の累積90%径(D90)が100nm以下であることも好ましい。この場合、硬化物は特に高い透明性(可視光透過性)を有することができる。
組成物(X)が吸湿剤(E)を含有する場合、組成物(X)の全量に対する吸湿剤(E)の百分比は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。吸湿剤(E)の百分比が1質量%以上であれば硬化物は特に高い吸湿性を有することができる。また、吸湿剤(E)の百分比が20質量%以下であれば組成物(X)の粘度を特に低減でき、組成物(X)がインクジェット法で塗布可能な程度の十分な低粘度を有することもできる。吸湿剤(E)の百分比は、3質量%以上であれば更に好ましく、5質量%以上であれば特に好ましい。また、吸湿剤(E)の百分比は、15質量%以下であればより好ましく、13質量%以下であれば特に好ましい。
組成物(X)は、吸湿剤(E)以外の無機充填材を更に含有してもよい。例えば組成物(X)は、ナノサイズの高屈折率粒子を含有してもよい。高屈折率粒子の例はジルコニア粒子を含む。組成物(X)が高屈折率粒子を含有すると、硬化物の良好な透明性(可視光透過性)を維持しながら、硬化物を高屈折率化することができる。そのため、硬化物を光学部品に適用した場合に、光学部品を透過して外部へ出射する光の取り出し効率を向上することができる。高屈折率粒子の平均粒径は、5~30nmの範囲内であることが好ましく、10~20nmの範囲内であれば更に好ましい。
組成物(X)中の高屈折率粒子の百分比は、硬化物が所望の屈折率を有するように適宜設計される。特に高屈折率粒子は、硬化物の屈折率が1.45以上、1.55未満の範囲内になるように組成物(X)に含有されることが好ましい。この場合、発光装置1の光の取り出し効率が特に向上する。
組成物(X)が吸湿剤(E)を含有する場合、組成物(X)は更に分散剤(F)を含有することが好ましい。この場合、分散剤(F)は組成物(X)中での吸湿剤(E)の分散性を向上できる。このため、組成物(X)には、吸湿剤(E)による粘度の増大と保存安定性の低下とが生じにくい。
なお、分散剤(F)は、粒子に吸着しうる界面活性剤である。分散剤(F)は、粒子に吸着されうる吸着基(一般にアンカーともいう)と、吸着基が粒子に吸着することでこの粒子に付着する分子骨格(一般にテールともいう)とを、有する。分散剤(F)は、例えばテールがアクリル系の分子鎖であるアクリル系分散剤と、テールがウレタン系の分子鎖であるウレタン系分散剤と、テールがポリエステル系の分子鎖であるポリエステル系分散剤とからなら群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。吸着基は、例えば塩基性の極性官能基と酸性の極性官能基とのうち少なくとも一方を含む。塩基性の極性官能基は、例えばアミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、及び含窒素複素環基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。酸性の極性官能基は、例えばカルボキシル基とリン酸基とからなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。分散剤(F)は、例えば日本ルーブルリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYKシリーズ及び味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
組成物(X)が吸湿剤(E)を含有する場合、吸湿剤(E)100質量部に対する分散剤(F)の量は、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。分散剤(F)の量が5質量部以上であることで分散剤(F)の機能が効果的に発現でき、また60質量部以下であることで硬化物中の分散剤(F)の遊離の分子が硬化物と無機材料製の部材との間の密着性を阻害することを抑制できる。また、分散剤(F)の量は15質量部以上であればより好ましく、50質量部以下であることもより好ましく、40質量部以下であれば更に好ましく、30質量部以下であれば特に好ましい。
発光装置1の構造について説明する。発光装置1は、光源と、光源が発する光を透過させる光学部品とを備える。例えば、発光装置1は、発光素子4と、発光素子4を覆う封止材5及びパッシベーション層6とを備える。この場合、発光素子4が光源であり、封止材5が光学部品であり、パッシベーション層6が無機質層である。封止材5とパッシベーション層6とは重なっている。
発光素子4は、例えば発光ダイオードを含む。発光ダイオードは、例えば有機EL素子(有機発光ダイオード)とマイクロ発光ダイオードとのうち少なくとも一方を含む。発光素子4が有機発光ダイオードを含む場合は、発光素子4を備える発光装置1は例えば有機ELディスプレイである。発光素子4がマイクロ発光ダイオードを含む場合は、発光素子
4を備える発光装置1は例えばマイクロLEDディスプレイである。なお、ELとはエレクトロルミネッセンスの略である。
発光装置1の構造の例を、図1を参照して説明する。この発光装置1は、トップエミッションタイプである。発光装置1は、支持基板2、支持基板2と間隔をあけて対向する透明基板3、支持基板2の透明基板3と対向する面の上にある発光素子4、並びに発光素子4を覆うパッシベーション層6及び封止材5を備える。
支持基板2は、例えば樹脂材料から作製されるが、これに限定されない。透明基板3は透光性を有する材料から作製される。透明基板3は、例えば、ガラス製基板又は透明樹脂製基板である。発光素子4は、例えば一対の電極41、43と、電極41、43間にある有機発光層42とを備える。有機発光層42は、例えば正孔注入層421、正孔輸送層422、有機発光層423及び電子輸送層424を備え、これらの層は前記の順番に積層している。
発光装置1は複数の発光素子4を備え、かつ複数の発光素子4が、支持基板2上でアレイ9(以下素子アレイ9という)を構成している。素子アレイ9は、隔壁7も備える。隔壁7は、支持基板2上にあり、隣合う二つの発光素子4の間を仕切っている。隔壁7は、例えば感光性の樹脂材料をフォトリソグラフィ法で成形することで作製される。素子アレイ9は、隣合う発光素子4の電極43及び電子輸送層424同士を電気的に接続する接続配線8も備える。接続配線8は、隔壁7上に設けられている。
パッシベーション層6は窒化ケイ素又は酸化ケイ素から作製されることが好ましく、窒化ケイ素から作製されることが特に好ましい。図1に示す例では、パッシベーション層6は、第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62とを含む。第一パッシベーション層61は素子アレイ9に直接接触した状態で、素子アレイ9を覆うことで、発光素子4を覆っている。第二パッシベーション層62は、第一パッシベーション層61に対して、素子アレイ9とは反対側の位置に配置され、かつ第二パッシベーション層62と第一パッシベーション層61との間には間隔があけられている。第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62との間に、封止材5が充填されている。すなわち、発光素子4と、発光素子4を覆う封止材5との間に、第一パッシベーション層61が介在している。
さらに、第二パッシベーション層62と透明基板3との間に、第二封止材52が充填されている。第二封止材52は、例えば透明な樹脂材料から作製される。第二封止材52の材質は特に制限されない。第二封止材52の材質は、封止材5と同じであっても、異なっていてもよい。
組成物(X)を用いる封止材5の作製方法及び発光装置1の製造方法について説明する。
本実施形態では、組成物(X)をインクジェット法で成形してから、組成物(X)に紫外線を照射して硬化することで、封止材5を作製することが好ましい。本実施形態では、インクジェット法で組成物(X)を塗布して成形することが可能である。
組成物(X)をインクジェット法で塗布するに当たっては、組成物(X)が常温で十分に低い粘度を有する場合、例えば25℃における粘度が30mPa・s以下、特に15mPa・s以下である場合には、組成物(X)を加熱せずにインクジェット法で塗布することで成形できる。
組成物(X)が加熱されることで低粘度化する性質を有する場合、組成物(X)を加熱してから組成物(X)をインクジェット法で塗布して成形してもよい。組成物(X)の40℃における粘度が30mPa・s以下、特に15mPa・s以下である場合、組成物(X)を僅かに加熱しただけで低粘度化させることができ、この低粘度化した組成物(X)をインクジェット法で吐出することができる。組成物(X)の加熱温度は、例えば20℃以上50℃以下である。
より具体的には、例えばまず、支持基板2を準備する。この支持基板2の一面上に隔壁7を、例えば感光性の樹脂材料を用いてフォトリソグラフィ法で作製する。続いて、支持基板2の一面上に複数の発光素子4を設ける。発光素子4は、蒸着法、塗布法といった適宜の方法で作製できる。特に発光素子4を、インクジェット法といった塗布法で作製することが好ましい。これにより、支持基板2に素子アレイ9を作製する。
次に、素子アレイ9の上に第一パッシベーション層61を設ける。第一パッシベーション層61は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、第一パッシベーション層61の上に組成物(X)を、例えばインクジェット法で成形して、塗膜を作製する。発光素子4の形成と組成物(X)の塗布のいずれにもインクジェット法を適用すれば、発光装置1の製造効率を特に向上できる。続いて、組成物(X)の塗膜に光を照射することで硬化させて、封止材5を作製する。
組成物(X)に照射する光のピーク波長は395nm付近であることが好ましい。本実施形態では、波長395nm付近の光が照射された場合の組成物(X)の良好な硬化性が得られやすい。組成物(X)に照射する光のピーク波長は、例えば365nm以上405nm以下である。
組成物(X)に光を照射するに当たり、大気雰囲気等の酸素を含む雰囲気下で組成物(X)に光を照射してもよく、窒素雰囲気などの不活性雰囲気下で組成物(X)に光を照射してもよい。本実施形態では、上述のとおり、組成物(X)の酸素割合が75質量%以下であるため、特に光重合性化合物(A)がラジカル重合性化合物(A1)を含有していても、酸素阻害が生じ難い。そのため、酸素を含む雰囲気下で組成物(X)に紫外線を照射しても、組成物(X)を硬化させやすい。
次に、封止材5の上に第二パッシベーション層62を設ける。第二パッシベーション層62は、例えばプラズマCVD法といった蒸着法で作製できる。
次に、支持基板2の一面上に、第二パッシベーション層62を覆うように、光硬化性の樹脂材料を設けてから、この樹脂材料に透明基板3を重ねる。透明基板3は、例えばガラス製基板又は透明樹脂製基板である。
次に外部から透明基板3へ向けて紫外線を照射する。紫外線は透明基板3を透過して光硬化性の樹脂材料へ到達する。これにより、光硬化性の樹脂材料が硬化し、第二封止材52が作製される。
本実施形態では、上述のとおり、発光装置1におけるパッシベーション層6と封止材5とに起因する発光効率の低下を生じにくくできる。
封止材5の厚みは、例えば1μm以上50μm以下である。封止材5の厚みは、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましい。この場合、封止材5を薄型化することで、発光装置1を薄型化することができ、フレキシブル性を有する発光装置1を得ることも可能となる。また、封止材5によって発光素子4への水分を効果的に抑制するためには、封止材5の厚みは3μm以上であることが好ましく、5μm以上であればより好ましく、8μm以上であれば更に好ましい。
封止材5に重なっているパッシベーション層6の厚みは、例えば0.1μm以上2μm以下である。上記のようにパッシベーション層6が第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62とを含む場合、第一パッシベーション層61と第二パッシベーション層62との各々の厚みが0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態に係る組成物(X)の用途は、発光素子4のための封止材5の作製に限られない。組成物(X)は、光源が発する光を透過させる種々の光学部品を作製するために用いることができる。例えば、光学部品がカラーレジストであってもよい。すなわち、例えば組成物(X)に蛍光体を含有させ、この組成物(X)からカラーフィルタにおけるカラーレジストを作製してもよい。このカラーフィルタを、例えば発光装置である有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイといった表示装置に設けることができる。
1.組成物の調製
下記表に示す成分を混合することで、実施例及び比較例の組成物を調製した。
なお、表中に示される成分の詳細は次のとおりである。また、下記の各成分の粘度はレオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR-2)を使用し、温度25℃、せん断速度1000s-1の条件で測定された値である。
-ジシクロペンタニルアクリレート:粘度10mPa・s、-R-O-骨格有り。
-N,N―ジメチルアクリルアミド:KJケミカルズ社製、品番DMAA、粘度1mPa・s、-R-N-骨格あり。
-ウレタンアクリレート:ダイセル・オルネクス社製、品番KRM9276、粘度30mPa・s、-R-N-骨格有り。
-アクリロイルモルホリン:粘度10mPa・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格有り。
-トリプロピレングリコールジアクリレート:粘度10mPa・s、-R-O-骨格有り。
-ポリエチレングリコールジアクリレート:粘度10mPa・s、-R-O-骨格有り。
-1,9-ノナンジオールジアクリレート:粘度10mPa・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格無し。
-VEEA:アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、粘度4mPa・s、ガラス転移温度40℃、沸点260℃、-R-O-有り。
-ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート:粘度600mPa・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格無し。
-セロキサイド8010:ダイセル製、品名セロキサイド8010、式(1a)に示す化合物、粘度60mPa・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格無し。
-OXT-221:3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(式(3)に示す化合物)、東亞合成社製、品番OXT-221、粘度12mP・s、-R-O-骨格有り。
-セロキサイド2021P:3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、式(1b)に示す化合物、粘度250mP・s、-R-O-骨格有り。
-1,2,7,8-オクタンジエポキシ:粘度3mP・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格無し。
-X-40-2669:信越化学製、品番X-40-2669、式(10a-1)に示す化合物、粘度45mP・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格無し。
-NBB-ME:ENEOS株式会社製、品名NBB-ME、粘度13mPa・s、-R-O-骨格及び-R-N-骨格無し。
-AL-EOX:四日市合成製、品名AL-EOX、式(16)に示す化合物(3-アリルオキシメチル-3-エチルオキセタン)、粘度2mPa・s、-R-O-骨格有り。
-紫外線吸収剤1:下記式に示される、カチオン重合性官能基を有するベンゾトリアゾール系紫外線反応型吸収剤。
-紫外線吸収剤2:下記化学式に示される、水酸基を二つ有し、かつカチオン重合性官能基を有するベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤3:下記式に示される、水酸基を一つ有し、かつカチオン重合性官能基を有するベンゾフェノン系紫外線反応型吸収剤。
-紫外線吸収剤4:下記式に示される、ラジカル重合性官能基を有するベンゾトリアゾール系反応型紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤5:下記式に示される、水酸基を二つ有し、かつラジカル重合性官能基を有するベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤6:下記式に示される、水酸基を一つ有し、かつラジカル重合性官能基を有するベンゾフェノン系反応型紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤7:BASFジャパン株式会社製、品名Tinuvin970、反応性官能基を有さないトリアジン系紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤8:山田化学工業株式会社製、品番FDB-009、反応性官能基を有さないジアジン系紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤9:オリヱント化学工業株式会社製、BONASORB3912、反応性官能基を有さないインドール系紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤10:オリヱント化学工業株式会社製、BONASORB3701、反応性官能基を有さないアゾメチン系紫外線吸収剤。
-紫外線吸収剤11:ADEKA株式会社製、品番LA-46、反応性官能基を有さないトリアジン系紫外線吸収剤、分子量512。
-Omnirad TPO H:IGM Resins B.V.製、品名Omnirad TPO H、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、フォトブリーチング性有り。
-CPI-210S:サンアプロ株式会社製、品名CPI-210S、式(64)に示すトリアリールスルホネート型のカチオンと(パーフルオロアルキル)フルオロリン酸アニオンとの塩。
-UVS-1331:川崎化成工業株式会社製、品名アントラキュアーUVS-1331、式(701)に示す、R10がいずれもn-ブチル基であるアントラセン系増感剤。
-UVS-107:川崎化成工業株式会社製、品名アントラキュアーUVS-107、式(701)に示す、R10がいずれもイソプロピルオキシカルボニルメチレンであるアントラセン系増感剤。
2.評価試験
実施例及び比較例について、次の評価試験を実施した。その結果を表に示す。
(1)粘度
組成物の粘度を、レオメータ(アントンパール・ジャパン社製、型番DHR-2)を使用して、温度25℃、せん断速度1000s-1の条件で測定した。
(2)硬化性(395nm)
組成物を、赤外線分光分析装置(アジレントテクノロジー社製、型番Agilent Cary 610 FTIR 顕微鏡システム)で測定することで、IRスペクトルを得た。
組成物を塗布して厚み10μmの塗膜を作製し、塗膜にUV照射器(ウシオ電機株式会社製、型番E075IIHD)を用いてピーク波長395nmの光を、照射強度3W/cm2かつ積算光量0.9J/cm2の条件で照射した。続いて、紫外線を照射した後の組成物(硬化物)を上記の赤外線分光分析装置で測定することで、IRスペクトルを得た。
二つのIRスペクトルの各々において、反応性官能基の吸収のピーク強度を測定した。塗膜についてのピーク強度I0と、硬化物についてのピーク強度I1とから、{1-(I0-I1)/I0}×100(%)の式を用い、紫外線を照射する前後での組成物中の反応性官能基の減少率を、算出した。その結果を、反応率とした。
なお、反応性官能基の吸収とは、実施例1~16及び比較例1、2では885cm-1にあらわれる脂環エポキシ基の吸収であり、実施例17~36及び比較例3では810cm-1にあらわれるアクリロイル基の吸収である。
この結果を下記のように評価した。
A:90%以上。
B:80%以上、90%未満
C:80%未満。
(3)インクジェット性
組成物をインクジェットプリンター(富士フイルム製、形式DMP2831)のカートリッジに入れ、温度30℃、周波数1kHz、の条件でインクジェットプリンターのノズルから組成物の液滴を吐出した。この液滴をハイスピードカメラで観察し、下記のとおり評価した。その結果、液滴が分離しない場合を「A」、本来の液滴からサテライトが分離した後、サテライトが本来の液滴と一体化して再び一つの液滴になる場合を「B」、本来の液滴からサテライトが分離したまま一体化しない場合を「C」と、評価した。
(4)ガラス転移温度
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜を、大気雰囲気下、UV照射器(ウシオ電機株式会社製、型番E075IIHD)を用いてピーク波長395nmの光を、照射強度3W/cm2かつ積算光量1.5J/cm2の条件で照射することで塗膜を光硬化させ、厚み500μmのフィルムを作製した。このフィルムから切り出したサンプルのガラス転移温度を、粘弾性測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、型番DMA7100)を用いて測定した。
(5)透過率
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜に、UV照射器(ウシオ電機株式会社製、型番E075IIHD)を用いてピーク波長395nmの光を、照射強度3W/cm2かつ積算光量1.5J/cm2の条件で照射することで塗膜を光硬化させ、厚み15μmのフィルムを作製した。
このフィルムの、430nm、400nmの各波長の光の透過率を、分光測色計(日本電色工業社製。型番SD7000)を用いて測定した。
(6)ブリードアウト評価
組成物を塗布して塗膜を作製し、この塗膜に、UV照射器(ウシオ電機株式会社製、型番E075IIHD)を用いてピーク波長395nmの光を、照射強度3W/cm2かつ積算光量1.5J/cm2の条件で照射することで塗膜を光硬化させ、厚み15μmのフィルムを作製した。得られたフィルムを85℃、相対湿度85質量%の条件下にて500時間暴露した後フィルムを目視で観察し、表面に斑点状の模様が全くない場合をA、フィルム端部など一部に斑点が確認される場合をB、全体に斑点が確認される場合をCと評価した。
(7)アウトガス評価
組成物の硬化物を加熱した場合のアウトガスをヘッドスペース法でサンプリングしてガスクロマトグラフにより測定した。詳しくは、まず容積22mLのヘッドスペース用バイアルに組成物を100mg入れた。続いて、組成物に、大気雰囲気下、UV照射器(ウシオ電機株式会社製、型番E075IIHD)を用いてピーク波長395nmの光を、照射強度3W/cm2かつ積算光量1.5J/cm2の条件で照射することで組成物を硬化させた後、バイアルを封止した。続いて組成物を100℃で30分間加熱してから、バイアル中の気相部分をガスクロマトグラフに導入して分析した。その結果、得られたガスクロマトグラムのピーク面積に基づいて、組成物から発生したアウトガスの濃度を特定した。アウトガスの濃度とは、バイアルの容積(22mL)に対する、バイアルの気相中のアウトガスの体積分率である。
なお、アウトガスの濃度は、トルエンを基準物質として特定した。具体的には、バイアル中でトルエンを揮発させることで、トルエン濃度が1000ppmと100ppmの二つの基準サンプルを用意した。各基準サンプルをガスクロマトグラフに導入して分析した。これにより得られた二つのクロマトグラムのピーク面積から、ピーク面積と濃度との関係を規定し、この結果に基づいて、上記のアウトガスの濃度を特定した。
この結果を下記のように評価した。
A:濃度200ppm以下。
B:濃度200ppm超300ppm以下。
C:濃度300ppm超。
(8)保管性
組成物を60℃で336時間保管した。その結果、組成物の色及び粘性に変化がない場合を「A」、組成物に黄変とゲル化とのうち少なくとも一方が確認される場合を「B」と、保管後に組成物が硬化しなくなっていた場合を「C」と評価した。
(9)デバイス評価
30mm角のITO電極付きガラス基板(厚さ700μm)を、アセトン、イソプロパノールそれぞれを用いて洗浄した。その後、真空蒸着法にて以下の化合物を薄膜となるように順次蒸着し、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極からなる2mm角の有機EL素子を有する基板を得た。各層の構成は以下の通りである。
・陽極 ITO、陽極の膜厚150nm
・正孔注入層 4,4’,4”-トリス{2-ナフチル(フェニル)アミノ}トリフェニルアミン(2-TNATA)
・正孔輸送層 N,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチルベンジジン(α-NPD)
・発光層 トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(金属錯体系材料)、発光層の膜厚1000Å、発光層は電子輸送層としても機能する。
・電子注入層 フッ化リチウム
・陰極 アルミニウム 膜厚150nm
その後、2mm×2mmの有機EL素子を覆うように、10mm×10mmの開口部を有するマスク(覆い)を設置し、プラズマCVD法にてSiN膜を形成した。
次に、組成物を、窒素雰囲気下にてインクジェット装置を用いて2mm×2mmの有機EL素子を覆うように厚み10μmで塗布し、ピーク波長395nm、照射強度3W/cm2かつ積算光量1.5J/cm2の条件にて、この組成物を硬化させた。これにより封止材を作製した。
続いて、封止材の全体を覆うように、10mm×10mmの開口部を有するマスク(覆い)を設置し、プラズマCVD法にてSiN膜を形成した。
形成されたSiN膜(無機物膜)の厚さは、約1μmであった。その後、SiN膜を、30mm×30mm×25μmtの透明な基材レス両面テープを用いて30mm×30mm×0.7mmtの無アルカリガラス(Corning社製 Eagle XG)と貼り合わせ、有機EL発光装置を作製した。
作製した直後の有機EL発光装置を、85℃、相対湿度85質量%の条件下にて70時間暴露した後、6Vの電圧を印加し、有機EL素子の発光状態を目視と顕微鏡で観察し、ダークスポットの直径を測定した。
ダークスポットの直径は、パッシベーション層のピンホールへの封止材の浸透の程度及び封止材中の水分がアウトガスとして排出される程度を評価する指標として捉えることができる。ダークスポットの直径は、50μm超300μm以下を「C」、50μm以下を「B」、ダークスポットが存在しない場合を「A」と、評価した。
(10)デバイス評価(サンシャインウェザーメーター)
上記(9)で作製したデバイスの耐光性評価試験を、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、型番S80HB)を用いて、積算光量236W/m2、ブラックパネル温度63℃、試験時間400時間の条件で行った。その結果、デバイスの発光輝度が初期と比較して90%以上である場合を「A」、80%以上90%未満の場合を「B」、80%未満の場合を「C」と評価した。