JP7673348B2 - 可視光透過性を有するピッカリングエマルション - Google Patents
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Description
しかし、本発明者は、このような油中水型の乳化化粧料が、海水や汗などのようなイオンを含む水溶液に接触すると、外相を構成する油剤の親水基とイオンが反応し親水性の塩となることで、油剤が溶出してしまうという問題があることを発見した。つまり、従来型の油中水型の乳化化粧料は耐水性効果を謳ってはいるものの、耐汗性や耐海水性に劣り、実効力に悖る。
上記課題を解決する本発明は、ポリオール及び/又は増粘剤を含有する水相と、油相と、粉体とを含む、可視光透過性を有するピッカリングエマルションである。
本発明のピッカリングエマルションは、可視光透過性を有することで見た目の清涼感に優れ、かつ、耐汗性にも優れている。
油相に対する相対屈折率が前記範囲である粉体を用いることで、ピッカリングエマルションの見た目の清涼感と耐汗性を向上させることができる。
油相に対する水相の相対屈折率を前記範囲とすることで、ピッカリングエマルションの見た目の清涼感と耐汗性を向上させることができる。
前記範囲のポリオールを含有する本発明のピッカリングエマルションは、より透明性と耐汗性に優れる。
前記範囲の増粘剤を含有する本発明のピッカリングエマルションは、より透明性と耐汗性に優れる。
このような粘度の本発明のピッカリングエマルションは、安定性に優れる。
部分的疎水化粉体を用いることで、耐汗性と安定性に優れたピッカリングエマルションを提供することができる。
また、本発明のピッカリングエマルションは、イオンを含む水溶液に対する抵抗性に優れる。
以下、本発明のピッカリングエマルションの成分、組成等について詳細に説明する。
なお、本発明においてピッカリングエマルションとは粉体を用いて安定化された乳化組成物のことをいう。粉体が乳化安定性に寄与している乳化組成物であれば、他の界面活性剤を含んでいてもピッカリングエマルションという。
本発明のピッカリングエマルションの可視光の透過率は、光路長が1cmのとき、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
ポリオール及び/又は増粘剤を含有し、可視光透過性を有する構成の本発明のピッカリングエマルションは、見た目の清涼感に優れるだけでなく、耐水性に優れている。
本発明の好ましい形態では、油相に対する水相の相対屈折率は、好ましくは0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.1、さらに好ましくは0.95~1.05である。特に、水相の屈折率を油相の屈折率と実質同一にすることが好ましい。
水相の屈折率を上記範囲とすることにより、透明性が高く見た目の清涼感に優れたピッカリングエマルションを提供することができる。また、ピッカリングエマルションの耐汗性を向上させることができる。
なお、油相に対する水相の相対屈折率とは、水相の屈折率を油相の屈折率で除した数値のことをいう。
水相の屈折率は水相に種々の添加物を加えることにより調整可能であるが、ポリオールの含有量及び/又は増粘剤の含有量を調整したり、塩化ナトリウムや硫酸マグネシウム等の水中で電離する塩を添加したりすることにより調節することが好ましい。
ポリオールの含有量を前記範囲とすることにより、ピッカリングエマルションの透明性、また、耐汗性を向上させることができる。
ポリオールの含有量を前記範囲とすることにより、ピッカリングエマルションの保湿性を向上させることができる。
増粘剤の含有量を前記範囲とすることにより、ピッカリングエマルションの透明性、また、耐汗性を向上させることができる。
このような粉体としては以下の屈折率を有するものが好ましく挙げられる。すなわち、油相に対する相対屈折率が、好ましくは0.7~1.3、より好ましくは0.8~1.2、さらに好ましくは0.90~1.1である粉体を用いることが好ましい。特に、油相の屈折率と実質同一である屈折率を有する粉体を用いることが好ましい。
このような粉体を用いることで、透明性が高く見た目の清涼感に優れたピッカリングエマルションを提供することができる。また、このような粉体を用いることで、ピッカリングエマルションの耐汗性を向上させることができる。
なお、油相に対する粉体の相対屈折率とは、粉体の屈折率を油相の屈折率で除した数値のことをいう。
また、粉末に金属酸化物等を被覆させて得られる複合粉体や、粉末表面を化合物等で処理した粉体を用いてもよい。
ここで、「粉体の表面が全部又は部分的に被覆されている」とは、粉体の表面に疎水化処理剤が物理的に付着することにより被覆している状態だけではなく、粉体表面に露出している官能基に疎水化処理剤に由来する疎水基が共有結合している状態のこともいう。
粉体としてシリカや酸化金属を用いる場合には、疎水化粉体は、粉体と疎水化処理剤を反応させ、該粉体の表面に存在する水酸基に疎水基を共有結合によって付加したり、また、粉体の表面に疎水化処理剤を物理的に付着させることで被覆したりすることによって調製することができる。
乾式シリカ粉末としては、例えばAerosilシリーズ(日本アエロジル株式会社)、CAB-O-SILシリーズ(キャボットコーポレーション)、HDKシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン株式会社)、湿式シリカ粉末としては、例えばNipsilシリーズ(東ソー・シリカ株式会社)、HI-SILシリーズ(PPG)等の市販品を用いることができる。
特に好ましくは、有機ケイ素化合物又はシリコーンを疎水化処理剤として粉体を処理する。
本発明の好ましい実施の形態では、トリメチルシランによって粉体を処理し、表面にトリメチルシリル基が付加された疎水化粉体を用い、特に好ましくはトリメチルシランによってシリカ微粒子を処理し、表面に部分的にトリメチルシリル基が付加された部分的疎水化シリカを用いる。
また、ピッカリングエマルションを油中水型とする場合には、疎水化粉体のM値の上限は、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下とすることができる。
測定試料(疎水化粉体微粒子)0.2gを容量250mLのビーカー中で50mLの水に添加し、続いてメタノールをビュレットから徐々に滴下する。このとき、ビーカー中の溶液をマグネティックスターラーで常時撹拌し、測定試料の全量が溶液中に均一に懸濁された時点を終点とする。この終点におけるビーカー中の水・メタノール混合溶液のメタノールの容量百分率がM値である。
疎水化粉体のM値は、その疎水化率によって調整することができる。M値乃至は疎水化率は、粉体と疎水化剤との混合比、及び処理時間を適宜設定することにより調節することができる。
この場合、疎水化粉体は少なくとも乳化状態、つまり水に接触している状態において荷電していればよく、エマルションの調整前において電荷を有している必要はない。
平均二次粒子径を前記範囲とすれば、乳化粒子径をより小さくすることができ、イオンを含む水溶液への接触後における塗布膜の凝集の程度を向上させることができ、より該水溶液に対する抵抗性を高めることができる。
なお、平均二次粒子径は乳化を行う際に組成物に加える応力によって調整することができる。
中でも、化粧料に用いることが好ましく、日焼け止め、化粧下地等とすることが好ましい。
室温(25℃)下、表1に示す(イ)水相成分に(ロ)乳化成分(部分的疎水化シリカ又は界面活性剤)を分散し、そこへ(ハ)油相成分を撹拌しながら投入し、乳化することで、実施例及び比較例の水中油型の乳化組成物を製造した。
この結果は、水相が多量のポリオールを含む場合には、界面活性剤ではなく粉体で乳化したピッカリングエマルションの形態とした方が好ましいことを示している。
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、以下の方法により耐汗性を評価した。各組成物を、50mm×50mmのポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)プレートに0.2g/cm2となるように均一に塗布し、SPF Analyzer System UV-2000S(labsphere社製)によってSPF値を測定した。続いて、このPMMAプレートを人工汗に浸漬し、2時間、150rpmで撹拌した後、水から取り出し、同様の方法でSPF値を測定した。
浸漬後のSPF値を浸漬前のSPF値で除した値をSPF値の残存率(%)とし、耐汗性の指標とした。結果を表2に示す。
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、高温における乳化安定性を以下の方法により評価した。
調製後、20℃で24時間静置した後乳化粒子径を測定した(初期乳化粒子径)。乳化粒子径は、光学顕微鏡 OLYMPUS BX51にて倍率400倍(接眼10倍-対物40倍)、20℃で観察した乳化粒子10個の最大径の個数平均を算出することにより求めた。続いて、当該乳化組成物を、40℃でそれぞれ1週間保存した後、同方法で乳化組成物における油相の平均粒子径(保存後粒子径)を測定した。その結果、保存後粒子径が初期粒子径に対して2倍以上であったものを×、1.5~2.0倍であったものを△、1.5倍以内であったものを〇として、表2に示した。
また、調製した乳化組成物を40℃下で1か月放置した後の粘度を上述の方法で計測した。結果を表2に示した。
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、それぞれ可視光透過率を測定した。なお、可視光透過率は、紫外・可視分光光度計V660(JASCO)を用いて、一般に可視光といわれる400~800nmの可視光透過率とした。結果を表2に示す。
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、見た目の清涼感及び保湿性を官能評価した。評価は、化粧品の官能評価に従事している熟練の研究者10名によって、それぞれの評価項目について、以下の基準により5点満点で評価し、その平均点をそれぞれの評価項目の評価点とすることによって行った。結果を表2に示す。
5点・・・非常に強い清涼感を感じる。
4点・・・清涼感を良く感じる。
3点・・・清涼感を感じるが弱い。
2点・・・清涼感をやっと感じる。
1点・・・清涼感を感じない。
5点・・・塗布後、一定時間経過後も極めてしっとりとしている。
4点・・・塗布後、一定時間経過後もしっとりとしている。
3点・・・塗布後、一定時間経過後にやや肌に乾燥感を感じる。
2点・・・塗布後、一定時間経過後に乾燥感を感じる。
1点・・・塗布後、一定時間経過後に乾燥感を顕著に感じる。
この結果は、実施例1のピッカリングエマルションの水相はポリオールを多量に有することにより屈折率が変化し、油相に対する相対屈折率とほぼ同一となっていることに起因していると考えられる。
上述の通り、実施例1と同一の含有量でポリオールを含有する比較例3の処方によっては、乳化組成物を形成することはできなかった。
以上より、可視光透過性を有する乳化組成物を形成するには、粉体により乳化されるピッカリングエマルションの形態にすることが好ましい。
さらに、表1に記載の調製直後の乳化組成物の粘度と、表2に記載の40℃下で1ヶ月放置した後の乳化組成物の粘度を比較すると、界面活性剤により乳化されている比較例2の乳化組成物においては著しい粘度の低下が見られる一方、ピッカリングエマルションである実施例1と比較例1の乳化組成物においては粘度の低下が見られなかった。
この結果は、高温安定性の観点からも、可視光透過性を有する乳化組成物を形成するには、粉体により乳化されるピッカリングエマルションの形態にすることが好ましいことを示している。
この結果は、透過性を有する本発明のピッカリングエマルションは見た目の清涼感だけではなく、耐汗性にも優れていることを示している。
シリカ微粒子(AEROSIL社製、平均一次粒子径12nm(測定方法は前述のとおり)、以下、未処理シリカともいう)と、該シリカ微粒子とトリメチルシリル疎水化処理剤を混合することにより得られた部分的疎水化シリカを用意した。
その結果、純水と海水に分散したときの部分的疎水化シリカのゼータ電位は、それぞれ16.84±2.18mV、4.16±1.26mVであった(図1)。
試験例5で用いた部分的疎水化シリカを用いて、表3に示す処方にて、参考例1と比較例4の水中油型のエマルションを調製した。
試験例6の方法によって海水に浸漬する前後のPMMAプレート上に形成された参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜の断面の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した(図3)。
試験例6と同様の方法により海水に浸漬する前後において、PMMAプレート上に塗布された参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜のSPF値をSPFアナライザーにて測定した。
参考例1のエマルションを石英プレートに一定の厚みとなるように塗布し、海水への接触の前後における紫外領域の光の散乱率を、分光光度計(V-600、JASCO社)により測定した。
その結果、参考例1のエマルションの塗布膜は、驚くべきことに、海水への接触後において紫外領域の光の散乱率が上昇した(図5)。
試験例1と同様にトリメチルシリル疎水化処理剤により処理された部分的疎水化シリカを用いて、表4に示す処方で調製した参考例2の水中油型のピッカリングエマルションを走査型電子顕微鏡により観察した。電子顕微鏡像を図6に示す。
参考例2と、実施例のピッカリングエマルションは、共通する部分的疎水化シリカを用いて同一の方法で製造したものである。したがって、参考例2のピッカリングエマルションの走査型電子顕微鏡による観察結果より、実施例のピッカリングエマルションにおけるシリカの平均二次粒子径も50nm以下であることが推認できる。
試験例1と同様にトリメチルシリル疎水化処理剤により処理された部分的疎水化シリカを用いて、表5に示す処方の比較例5のエマルションを調製した。比較例5と上で調製した参考例1とのエマルションを試験例6と同様の方法で海水に浸漬した。その後、試験例7と同様に浸漬後のエマルションの塗布膜の断面図を走査型電子顕微鏡により観察した。電子顕微鏡像を図7に示す。
そのため、比較例5のエマルションの塗布膜を海水に接触させると、水相に分散した部分的疎水化シリカが凝集体(図7中、点線で囲まれた箇所)を形成するものの、塗布膜全体の凝集化及び疎水化が起こらなかった(図7)。
そして、参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜は、海水への接触後、部分的疎水化シリカが界面に吸着した乳化滴が凝集することで、塗布膜自体が凝縮し疎水化している(図7)。
参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜を試験例6と同様の方法により、純水と海水に浸漬した。純水又は海水に浸漬する前後における塗布膜の断面の電子顕微鏡画像を図8に示す。
この結果は、本発明のピッカリングエマルションの塗布膜は、耐水性にも優れていることを示している。
この結果は、本発明のピッカリングエマルションの塗布膜が、イオンを含む水溶液に接触することで高度に凝集することにより、膜全体の疎水性が高まっていることを示している。
Claims (7)
- ポリオールを含有する水相と、油相と、粉体とを含み、
前記粉体は、平均二次粒子径が200nm以下である部分的疎水化シリカであり、
光路長が1cmのときの可視光透過率が20%以上である、
前記部分的疎水化シリカが水相と油相の界面に吸着することで乳化状態が安定化されたピッカリングエマルション。
(ただし、前記平均二次粒子径は、走査型電子顕微鏡像上で2500個以上の二次粒子の最大径を測定し、その個数平均を算出することにより求めるものである。) - 前記粉体の前記油相に対する相対屈折率が0.7~1.3であることを特徴とする、請求項1に記載のピッカリングエマルション。
- 前記水相の前記油相に対する相対屈折率が0.8~1.2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のピッカリングエマルション。
- 前記水相に対して30質量%以上のポリオールを含有することを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のピッカリングエマルション。
- 前記水相に対して0.1質量%以上の増粘剤を含有することを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のピッカリングエマルション。
- 25℃、1気圧における粘度が4000mPa・s以上であることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のピッカリングエマルション。
- 前記粉体が、表面の一部が疎水化処理剤により被覆された部分的疎水化粉体であることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のピッカリングエマルション。
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