JP7674686B2 - 熱伝達流体用組成物、熱伝達機構を備えるデバイス及び熱伝達方法 - Google Patents

熱伝達流体用組成物、熱伝達機構を備えるデバイス及び熱伝達方法 Download PDF

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Description

本開示は、熱伝達流体用組成物、熱伝達機構を備えるデバイス及び熱伝達方法に関する。
電気機器及び電子機器においては、熱管理が必要とされる。例えば、半導体ウェハ製造において、プロセス温度を制御する必要がある。また、マイクロプロセッサ、データセンター、パワーエレクトロニクス、又は航空機で発生する過剰な熱を除去する必要がある。このような課題解決のため、熱伝達流体が使用されている。一般に、そのような熱伝達流体としては、動粘度が低く、かつ誘電特性に優れるものが望ましいとされる。
また、熱伝達流体は、二相液浸冷却流体、チラー流体、又はランキンサイクル作動流体等の用途にも用いられている。
現在、上記の用途に以下のものが用いられている:
・製品名「フロリナート(登録商標)」(3M社製)(FC-3283)に代表されるパーフルオロトリプロピルアミン(又はトリス(ヘプタフルオロプロピル)アミン、若しくはN,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン)[N(CFCFCF(CF(CF)CF3-n(nは0~3の整数)](特許文献1);
・製品名GALDEN(登録商標)「HT135」及びGALDEN(登録商標)「HT110」(ソルベイ社製)に代表されるパーフルオロポリエーテル(PFPE)、あるいはより具体的にはテトラフルオロエチレンオキサイド重合体(特許文献2);及び
・製品名「OpteonSF10」(ケマーズ社製)に代表されるメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物、あるいはより具体的にはメチル-パーフルオロヘプテンエーテル(MPHE)(C13OCH)(非特許文献1)。
特表2016-505882号公報 国際公開第2010/034698号公報
Aaron M. Jubbら、他4名「Methyl-Perfluoroheptene-Ethers (CH3OC7F13): MeasuredOH RadicalReaction Rate Coefficients for Several Isomers and Enantiomers andTheir Atmospheric Lifetimes and Global Warming Potentials」、2014年、Environ. Sci. Technol., 48, 4954-4962
本開示は、上述の既存の熱伝達流体を代替する熱伝達流体を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、C18で表される化合物が、上述の既存の熱伝達流体を代替できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づきさらに研究を重ね、本開示を完成するに至った。
すなわち、本開示は、以下の態様を含む。
項1.パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体への代替用の、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体を含む組成物。
項2.前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、項1に記載の組成物。
Figure 0007674686000001
項3.前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体が、前記ヘキサフルオロプロペン三量体全体に対して85質量%未満の式(I)で表される化合物を含む、項2に記載の組成物。
項4.下記条件(i)~(vi)を満たす、項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
(i)沸点が、前記熱伝達流体の沸点の80%以上である。
(ii)流動点が、前記熱伝達流体の流動点以下である。
(iii)動粘度が、前記熱伝達流体の動粘度の200%以下である。
(iv)前記熱伝達流体と任意の割合で相溶する。
項5.C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種とを含む、熱伝達流体用組成物。
項6.前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、項5に記載の熱伝達流体用組成物。
Figure 0007674686000002
項7.前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体が、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の全体に対して85質量%未満の式(I)で表される化合物を含む、項6に記載の熱伝達流体用組成物。
項8.前記化合物が、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の全体に対して85質量%以上の式(I)で表される化合物を含む、項6に記載の熱伝達流体用組成物。
項9.デバイスと、前記デバイスへ又は前記デバイスから、項1~4のいずれか一項に記載の組成物、又は項5~8のいずれか一項に記載の熱伝達流体用組成物を熱伝達流体として用いて熱を伝達する熱伝達機構とを備え、前記熱伝達機構が、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている、熱伝達機構を含むデバイス。
項10.C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体への代替のための使用。
項11.パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている熱伝達機構を含むデバイスにおいて、項1~4のいずれか一項に記載の組成物、又は項5~8のいずれか一項に記載の熱伝達流体用組成物を前記熱伝達流体に代替して用いて熱伝達機構を作動させることにより、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する工程を含む、熱伝達方法。
本開示により、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を代替する熱伝達流体を提供できる。
本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、A以上B以下を意味する。
1.C 18 で表される化合物を含む組成物
(1)熱伝達流体
本開示の組成物は熱伝達流体化合物を含み、該熱伝達流体化合物は、C18で表される化合物を含む。
18で表される化合物は、好ましくは、ヘキサフルオロプロペン(HFP)三量体である。
ヘキサフルオロプロペン三量体としては、C18で表される公知のものを広く採用することができ、特に限定はない。
かかるヘキサフルオロプロペン三量体として、具体的には下記式(I)~(III)で表される化合物を例示できる。
Figure 0007674686000003
本開示において、上記式(I)で表される化合物は、特段の断りがない限りジアステレオマーのE体及びZ体の双方を含むものとする。
本開示のC18で表される化合物に含まれるヘキサフルオロプロペン三量体は、上記式(I)~(III)で表される化合物のうち一種のみでもよいし、これらの二種又は三種を含む混合物であってもよい。
HFP三量体が混合物である場合、その全体(つまり、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物のうち、当該混合物に含まれるものの合計)中の、上記式(I)で表される化合物の配合割合については、HFP三量体全体に対して1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがよりさらに好ましく、40質量%以上であることが特に好ましく、45質量%以上であることが特に好ましく、50質量%以上であることがさらに特に好ましい。また、式(I)で表される化合物は、HFP三量体全体に対して99質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下(または未満)であることがさらに好ましく、80質量%以下であることがよりさらに好ましく、70質量%以下であることが特に好ましく、60質量%以下であることが最も好ましい。上記式(I)で表される化合物の配合率については、C18で表される化合物全量に対して、例えば10質量%以上90質量%以下、30質量%以上90質量%以下、10質量%以上85質量%以下、35質量%以上85質量%以下、10質量%以上85質量%未満、20質量%以上85質量%未満、30質量%以上85質量%未満、40質量%以上85質量%未満、50質量%以上85質量%未満、40質量%以上80質量%以下、55質量%以上80質量%以下、60質量%以上75質量%以下、又は65質量%以上70質量%以下、35質量%以上60質量%以下、50質量%以上60質量%以下、であり得、好ましくは30質量%以上90質量%以下、好ましくは40質量%以上85質量%未満、より好ましくは40質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは45質量%以上70質量%以下、さらにより好ましくは50質量%以上60質量%以下であり得る。
同様に、式(II)で表される化合物の配合割合については、HFP三量体全体に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、式(II)で表される化合物は、HFP三量体全体に対して70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがよりさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
同様に、式(III)で表される化合物の配合割合については、HFP三量体全体に対して1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、式(III)で表される化合物は、HFP三量体全体に対して70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがよりさらに好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
HFP三量体における式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物の質量比は、特に限定されないが、例えば、1:9~9:1、2:8~8:2、3:7~7:3、4:6~6:4、又は4.5:5.5~5.5:4.5であり得る。
HFP三量体におけるC18で表される化合物の含有量は、熱伝達流体用組成物全体に対して、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。また、熱伝達流体用組成物中に含まれるC18で表される化合物の含有量は、熱伝達流体用組成物全体に対して、99.9999質量%以下であることが好ましい。
HFP三量体全体中、式(II)で表される化合物及び式(III)で表される化合物の質量比は、特に限定されないが、例えば、1:9~9:1、2:8~8:2、3:7~7:3、4:6~6:4、又は4.5:5.5~5.5:4.5であり得る。
HFP三量体は、式(I)~(III)で表される化合物以外の、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体を含んでいてもよい。
HFP三量体は、ヘキサフルオロプロペン二量体を含んでいてもよい。
ヘキサフルオロプロペン二量体は、(E)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、(Z)-1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン、又は1,1,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテンを含み得る。
HFP三量体は、ヘキサフルオロプロペン四量体を含んでいてもよい。
ヘキサフルオロプロペン四量体は、1,1,1,2,5,6,6,6-オクタフルオロ-2,3,5-トリス(トリフルオロメチル)-4-(ペルフルオロプロピル-2-イル)-3-ヘキセンを含み得る。
上記式(I)~(III)で表される化合物は、常法により製造することができ、例えば、国際公開第2018/172919号公報に記載された方法により得ることができるが、これに限定されず、公知の方法を幅広く採用することにより得られる。また、HFPを原料として三量体化することにより得てもよい。
本開示の組成物は、C18で表される化合物とは異なる追加的な熱伝達流体化合物を含んでもよい。追加的な熱伝達流体化合物は、一種又は複数種であってもよい。追加的な熱伝達流体としては、例えば、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物、パーフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
パーフルオロトリプロピルアミンは、トリス(ヘプタフルオロプロピル)アミン、又はN,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミンとも呼ばれ、一般式:N(CFCFCF(CF(CF)CF3-n(nは0~3の整数)で表される。パーフルオロトリプロピルアミンは、上記一般式で表される化合物のうち一種のみを含んでもよいし、複数種を含んでもよい。N(CFCFCFが好ましいが、不純物としてN(CFCFCF(CF(CF)CF3-n(nは0~2の整数)を含んでいてもよい。具体的には、製品名「フロリナート(登録商標)」(3M社製)(FC-3283)等が挙げられる。
パーフルオロポリエーテルは、好ましくは、一般式:
RO-Rf-R’
で表され、
式中、
R及びR’は、同一又は異なって、-C2m+1で表される一価の基であり、ここでmは1~8の整数であり、かつ
Rfは、2~20個の反復単位を含む二価のフルオロポリオキシアルキレン基であり、前記反復単位は:
(i)-CFXO-、(式中、Xは、F又はCFである);
(ii)-CFCFXO-(式中、Xは、F又はCFである);
(iii)-CFXCFO-(式中、Xは、F又はCFである);
(iv)-CFCFCFO-;若しくは
(v)-CFCFCFCFO-で表され、又は
Rfは、
(vi)-(CF-CFY-O-(式中、nは、0~3の整数であり、Yは、一般式-ORfZで表される一価の基であり、ここで、Rfは、-CFXO-、-CFCFXO-、-CFCFCFO-、又は-CFCFCFCFO-で表される、2~20個の反復単位を含む二価のフルオロポリオキシアルキレン基であり、ここで、各Xは、同一又は異なって、FまたはCFであり、Zは、一価のC1-5ペルフルオロアルキル基である)で表される二価の基である。
パーフルオロポリエーテルは、具体的には、製品名GALDEN(登録商標)「HT135」及びGALDEN(登録商標)「HT110」(ソルベイ社製)等が挙げられる。
メトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物は、具体的には、メチル-パーフルオロヘプテンエーテル(MPHE)(C13OCH)を含む。具体的には、製品名「OpteonSF10」(ケマーズ社製)等が挙げられる。
本開示の組成物は、熱伝達流体全体に対して、C18で表される化合物を、20質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、60質量%以上含むことがさらに好ましく、80質量%以上含むことがもっとも好ましい。ただし、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物を含む場合は、これらとC18で表される化合物とは熱伝達流体としての特性が似通っていることから、これらの含有割合にかかわらず、組成物全体の熱伝達流体としての特性は基本的には不変である。よって、この場合は、本開示の組成物は、熱伝達流体全体に対して、C18で表される化合物を、40質量%~99.9質量%含むことが好ましく、60質量%~99.9質量%含むことがより好ましく、80質量%~99.9質量%含むことがさらに好ましい。
(2)その他の成分
本開示の組成物は、熱伝達流体化合物に加えて、さらに他の成分を含んでもよい。
本開示の組成物は、安定剤を含んでもよい。安定剤は、安定化効果を発揮することにより、いわゆる受酸剤又は酸化防止剤としての機能を発揮するものである。安定化効果としては、系内に発生するラジカルを補足することで熱伝達流体化合物の分解を防止する効果、系内に発生した酸を捕捉することで、酸によるさらなる熱伝達流体化合物の分解等を防止する受酸効果などが主要なものとして挙げられる。
かかる安定剤としては、公知の安定剤を広く採用することが可能である。中でも、組成物による金属の腐食発生を効果的に抑制できることから、不飽和アルコール系安定剤、ニトロ系安定剤、アミン系安定剤、フェノール系安定剤及びエポキシ系安定剤からなる群より選ばれる1種以上の安定剤を使用することが好ましい。
不飽和アルコール系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、3-ブテン-2-オール、2-ブテン-1-オール、4-プロペン-1-オール、1-プロペン-3-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-3-ブテン-2-オール、3-メチル-2-ブテン-1-オール、2-ヘキセン-1-オール、2,4-ヘキサジエン-1-オール及びオレイルアルコールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
ニトロ系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。脂肪族ニトロ化合物として、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、2-ニトロプロパン等が挙げられる。芳香族ニトロ化合物として、例えば、ニトロベンゼン、o-、m-又はp-ジニトロベンゼン、o-、m-又はp-ニトロトルエン、ジメチルニトロベンゼン、m-ニトロアセトフェノン、o-、m-又はp-ニトロフェノール、o-ニトロアニソール、m-ニトロアニソール及びp-ニトロアニソールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
アミン系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジアリルアミン、トリエチルアミン、N-メチルアニリン、ピリジン、モルホリン、N-メチルモルホリン、トリアリルアミン、アリルアミン、α-メチルベンジルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジベンチルアミン、トリベンチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン及びジエチルヒドロキシルアミンからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
フェノール系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、2,6-ジターシャリーブチル-4-メチルフェノール、3-クレゾール、フェノール、1,2-ベンゼンジオール、2-イソプロピル-5-メチルフェノール、及び2-メトキシフェノールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
エポキシ系安定剤としては、公知のものを広く採用することが可能である。例えば、ブチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、ブチルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、及び1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパンからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
異なる安定化効果を有する安定剤を組み合わせて用いることで、様々な原因で起こりうる熱伝達流体化合物の分解をより効果的に防止するという理由から、上記したエポキシ系安定剤、並びに、不飽和アルコール系安定剤、ニトロ系安定剤、及びフェノール系安定剤からなる群より選択される1種以上からなることが好ましい。
熱伝達流体化合物からの酸遊離を効果的に抑制し、液状組成物による金属の腐食を抑制するという観点から、組成物全体に対する安定剤の含有割合は、0.0001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。一方、安定剤の過剰な添加による液状組成物の好ましくない物性変化を避けるという点を考慮すれば、組成物全体に対する安定剤の含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本開示の組成物は、C2m及び/又はC(2n-2)〔式中、mは4以上12以下で9以外の整数である。nは4以上12以下の整数である。〕で表される化合物を含んでいてもよい。
上記一般式において、mは4以上の整数であり、5以上の整数であることが好ましく、6以上の整数であることがより好ましい。また、nは12以下の整数であり、11以下の整数であることが好ましく、10以下の整数であることがより好ましい。但し、mは9を含まない。
上記一般式において、nは4以上の整数であり、5以上の整数であることが好ましく、6以上の整数であることがより好ましい。また、nは12以下の整数であり、11以下の整数であることが好ましく、10以下の整数であることがより好ましい。さらに、nは9であることが特に好ましい。
本開示の組成物においては、C2m及び/又はC(2n-2)が含まれることにより、C18で表される化合物の安定性が向上する。
また、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、本開示の組成物全体に対して、0.0001質量%以上であることが好ましい。
一方、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、本開示の組成物全体に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
一の態様において、本開示の組成物中、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、HFP三量体の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましい。
一方、本開示の組成物中、C2m及び/又はC(2n-2)の含有量は、HFP三量体の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
なお、C2m及び/又はC(2n-2)が複数種含まれる場合、上記含有量は、これらの合計量を意味する。
2m及び/又はC(2n-2)の含有量を上記の範囲とすることにより、C18で表されるHFP三量体の分解を抑制することができ、ひいてはフッ化物イオンの増加及び酸性度の上昇を抑制することができる。
本開示の組成物は、フッ化物イオンを含んでもよい。フッ化物イオンを含む場合、その含有割合は、長期間使用時の熱伝達流体の熱安定性という点で、組成物全体に対して、0.0000001~5質量%であることが好ましく、0.000001~1質量%であることがより好ましい。
本開示の組成物は、水を含んでもよい。水を含む場合、その含有割合は、長期間使用時の熱伝達流体の熱安定性という点で、組成物全体に対して、1~1000質量ppmであることが好ましい。
一の態様において、水の含有量は、C18で表される化合物の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、0.01質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましい。
一方、水の含有量は、水の含有量は、C18で表される化合物の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
本開示の組成物は、導電性物質を含んでもよい。導電性物質としては、金属、金属イオン、金属酸化物、金属窒化物、カーボン、導電性高分子、および超電導セラミックス、ならびにこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。導電性物質を含む場合、その含有割合は、デバイスの隙間から侵入することで回路のショートを引き起こす等の不具合を抑制するという点で、組成物全体に対して、10000質量ppm以下であることが好ましく、1000質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることがさらに好ましい。
本開示の組成物は、不溶物を含んでもよい。不溶物を含む場合、その含有割合は、繰り返し使用時における配管の閉塞や回路上での抵抗が引き起こされることを抑制するという点で、組成物全体に対して、5000質量ppm以下であることが好ましく、1000質量ppm以下であることがより好ましい。
2.熱伝達流体への代替用途
本開示の組成物は、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体への代替用の組成物として使用できる。本開示の組成物は、現在、実際に使用されている以下の熱伝達流体を代替できる。
・製品名「フロリナート(登録商標)」(3M社製)(FC-3283)に代表されるパーフルオロトリプロピルアミン(又はトリス(ヘプタフルオロプロピル)アミン、若しくはN,N-ビス(ヘプタフルオロプロピル)(ヘプタフルオロプロピル)アミン)[N(CFCFCF(CF(CF)CF3-n(nは0~3の整数)];
・製品名GALDEN(登録商標)「HT135」及びGALDEN(登録商標)「HT110」(ソルベイ社製)に代表されるパーフルオロポリエーテル(PFPE)、あるいは具体的には上記一般式:RO-Rf-R’で表される化合物、さらにより具体的には、テトラフルオロエチレンオキサイド重合体及びヘキサフルオロプロピレンオキサイド;及び
・製品名「OpteonSF10」(ケマーズ社製)に代表されるメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物、あるいはより具体的にはメチル-パーフルオロヘプテンエーテル(MPHE)(C13OCH)。
具体的には、上記の熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている機器において、本開示の組成物を前記熱伝達流体に代替して用いることができる。
本開示の組成物は、上記の熱伝達流体へのドロップイン代替、ニアリードロップイン代替、又はレトロフィット代替が可能である。なお、「ドロップイン代替」とは、機器側における変更を伴わずに代替できることを意味する。「ニアリードロップイン代替」とは、機器側における変更をほとんど伴わずに代替できることを意味する。「レトロフィット代替」とは、機器側における最小限の変更を伴って(大幅な変更を伴わずに)代替できることを意味する。本開示の組成物は、好ましくは、上記の熱伝達流体へのドロップイン代替又はニアリードロップイン代替が可能である。
本開示の組成物が、ドロップイン代替、ニアリードロップイン代替、又はレトロフィット代替が可能であるか否かは、下記の条件をすべて満たすか否かで判断できる。
(i)本開示の組成物の沸点が、交換以前の熱伝達流体の沸点の少なくとも約80%以上、好ましくは少なくとも約85%以上である。
(ii)本開示の組成物の流動点が、交換以前の熱伝達流体の流動点同等以下である。
(iii)本開示の組成物の動粘度が、交換以前の熱伝達流体の動粘度の少なくとも約200%以下、好ましくは少なくとも約150%以下である。
(iv)本開示の組成物が、交換以前の熱伝達流体と任意の割合で相溶する。
本開示の組成物の沸点を、交換以前の熱伝達流体の沸点の少なくとも約80%以上、好ましくは少なくとも約85%以上とすることにより、キャビテーションの発生、装置からの漏れを抑制することができる。熱伝達流体の沸点の上限は特に限定されないが、例えば、交換以前の熱伝達流体の沸点の少なくとも約130%以下であってもよい。
本開示の組成物の流動点を、交換以前の熱伝達流体の流動点同等以下とすることにより、従来の使用温度以下でも使用することが可能になり、使用温度領域を大きくすることができる。熱伝達流体の流動点の上限は特に限定されないが、例えば、交換以前の熱伝達流体の流動点よりも30℃高い温度以下であってもよい。
本開示の組成物の動粘度を、交換以前の熱伝達流体の動粘度の少なくとも約200%以下、好ましくは少なくとも約150%以下とすることにより、消費電力の増加を抑制する、あるいは消費電力を小さくすることができる。動粘度は、使用温度における動粘度で比較することが好ましいがこれに限定されず、例えば-20℃~-40℃のいずれかの温度、具体的には-20℃での動粘度で比較することができる。
本開示の組成物が、交換以前の熱伝達流体と任意の割合で相溶することにより、代替作業が容易になる。
さらに、本開示の組成物が下記の条件を満たすことにより、ドロップイン代替、ニアリードロップイン代替、又はレトロフィット代替により適する。
(v)本開示の組成物が、交換以前の熱伝達流体の誘電率の120%以下である。
(vi)本開示の組成物が、交換以前の熱伝達流体の絶縁耐力の90%以上である。
(vii)本開示の組成物が、交換以前の熱伝達流体の比熱の90%以上である。
(viii)本開示の組成物が、交換以前の熱伝達流体の熱伝導率の85%以上である。
本開示の組成物の誘電率を、交換以前の熱伝達流体の誘電率の120%以下とすることにより、代替組成物として好適に使用することができる。熱伝達流体の誘電率の上限は特に限定されないが、例えば、交換以前の熱伝達流体の誘電率の80%以上であってもよい。
本開示の組成物の絶縁耐力を、交換以前の熱伝達流体の絶縁耐力の90%以上とすることにより、代替組成物として好適に使用することができる。熱伝達流体の絶縁耐力の上限は特に限定されないが、例えば、交換以前の熱伝達流体の絶縁耐力の120%以下であってもよい。
本開示の組成物の比熱を、交換以前の熱伝達流体の比熱の90%以上とすることにより、代替組成物として好適に使用することができる。熱伝達流体の比熱の上限は特に限定されないが、例えば、交換以前の熱伝達流体の比熱の120%以下であってもよい。
本開示の組成物の熱伝導率を、交換以前の熱伝達流体の熱伝導率の85%以上とすることにより、代替組成物として好適に使用することができる。熱伝達流体の熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば、交換以前の熱伝達流体の熱伝導率の120%以下であってもよい。
本開示の組成物の沸点は、好ましくは105℃以上、より好ましくは108℃以上であり得る。また、本開示の組成物の沸点の上限は特に限定されないが、例えば150℃以下、130℃以下、または120℃以下であり得る。
本開示の組成物の流動点は、好ましくは-80℃以下、より好ましくは-100℃以下、さらに好ましくは-110℃以下であり得る。また、本開示の組成物の流動点の下限は特に限定されないが、例えば-180℃以上、または-160℃以上であり得る。
本開示の組成物の動粘度は、-20℃で、好ましくは6.0cSt以下、より好ましくは5.0cSt以下、さらに好ましくは4.0cSt以下、さらにより好ましくは3.0cSt以下であり得る。また、本開示の組成物の動粘度の下限は特に限定されないが、例えば1.0cSt以上であり得る。
本開示の組成物の誘電率は、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2.0以下であり得る。また、本開示の組成物の誘電率の下限は特に限定されないが、例えば1.1以上であり得る。
本開示の組成物の絶縁耐力は、好ましくは40kV以上、より好ましくは50kV以上、さらに好ましくは50kV以上であり得る。また、本開示の組成物の絶縁耐力の上限は特に限定されないが、例えば150kV以下、または100kV以下であり得る。
本開示の組成物の比熱は、30℃で、好ましくは800J/kg・K以上、より好ましくは900J/kg・K以上、さらに好ましくは1000J/kg・K以上であり得る。また、本開示の組成物の比熱の上限は特に限定されないが、例えば2000J/kg・K以下、または1500J/kg・K以下であり得る。
本開示の組成物の熱伝導率は、30℃で、好ましくは0.055W/mK以上、より好ましくは0.060W/mK以上、さらに好ましくは0.065W/mK以上であり得る。また、本開示の組成物の熱伝導率の上限は特に限定されないが、例えば0.090W/mK以下、または0.080W/mK以下であり得る。
本開示の組成物の沸点は、DSC(示唆操作熱量測定)を用いて、25℃から5℃/分で昇温した際の吸熱に由来するピークが観測された温度である。
本開示の組成物の流動点は、DSCを用いて、液体窒素で凝固点以下まで冷却したのち、5℃/分で昇温した際に吸熱に由来するピークが観測された温度である。
本開示の組成物の誘電率は、静電容量法を用いて、温度25℃湿度60%の環境下、周波数1kHzで観察される値である。
本開示の組成物の動粘度及び密度は、Anton Paar社製動粘度計SVM3001を用いて測定した値である。
本開示の組成物の絶縁耐力は、所定の間隔に調整した球状電極間に液体試料を浸漬させ、一定速度で電圧を上昇させた際の絶縁破壊電圧である。測定条件は、以下の通りである。
電極形状:球状(φ12.5mm)
電極間隔:2.5mm
昇圧速度:2kV/秒
測定雰囲気:空気中(22℃、57%RH)
本開示の組成物の比熱は、DSCを用いて、下記の条件下で得られる値である。
測定装置:Perkin-Elmer社製示差走査熱量計DSC8500
昇温速度:10℃/分
標準試料:サファイア(-Al2O3)
雰囲気:乾燥窒素気流中
試料容器:アルミニウム密閉容器
本開示の組成物の熱伝導率は、非定常細線法によりえら得る値である。
本開示の組成物の相溶性は、対象となる溶媒と混合させて相溶したか否かで判断される。ここに、相溶とは、両者を混合した際に均一な状態になること、即ち相が分離しないことをいう。
3.熱伝達流体を含む機器
本開示の機器は、本開示の組成物を含む。
本開示の機器には、デバイスと、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する熱伝達機構とを備えるデバイスが含まれる。
具体的には、熱伝達機構を備える本開示のデバイスは、デバイスと、前記デバイスへ又は前記デバイスから、本開示の組成物を熱伝達流体として用いて熱を伝達する熱伝達機構とを備え、前記熱伝達機構が、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている、熱伝達機構を含むデバイスである。
デバイスとしては、例えば、コンピュータ、サーバーコンピュータ、ブレードサーバーを含むサーバー;ディスクアレイ/ストレージシステム;ストレージエリアネットワーク;ネットワークに接続されたストレージ;ストレージ通信システム;ワークステーション;ルーター;電気通信インフラ/スイッチ;有線、光学及び無線通信装置;セル処理装置;プリンタ;電源装置;ディスプレイ;光学装置;手持ち式のシステムを含む計測システム;軍事用電子機器等が挙げられる。
半導体素子は、デバイスに搭載される発熱性素子であり、例えば、CPU、GPU、SSD等が挙げられ、該半導体素子は、例えば、単元素のシリコン、ゲルマニウム、化合物半導体のヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN)、炭化珪素(SiC)等で構成される。
デバイスがサーバーコンピュータの場合、1つのロジックボード又は複数のロジックボードが内部空間内に配置されている。ロジックボードは、CPU、GPU等の少なくとも1つのプロセッサを含む多数の発熱電子部品を備える。それに加えて、例えば、チップセット;メモリ、グラフィックス・チップ、ネットワーク・チップ、RAM、電源装置、ドーターカード;固体ドライブ、機械式ハードディスク等の記憶ドライブ;といったコンピュータの他の発熱部品を使用することもできる。
熱伝達機構は、本開示の組成物を使用して被熱伝達対象物との間で熱を移動させるための熱伝達機構であり、被熱伝達対象物と熱接触することで熱の授受(伝達)が行われる。たとえば、被熱伝達対象物から熱を奪う場合は冷却であり、熱を供給する場合は加熱である。それぞれの場合に応じて異なる機構としてもよいが、1つの熱伝達機構で冷却と加熱を賄ってもよい。
熱伝達機構としては、特に限定はなく、たとえばポンプ、弁、流体閉じ込めシステム、圧力制御システム、冷却器、熱交換器、熱源、ヒートシンク、冷蔵システム、能動温度制御システム、受動温度制御システムなどが例示される。
より具体的には、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)ツール内の温度制御されたウエハチャック、ダイ性能試験のための温度制御試験ヘッド、半導体プロセス機器内の温度制御された作業領域、熱衝撃試験浴液リザーバ、恒温槽などがあげられる。
熱伝達機構と熱的に接触させる被熱伝達対象物は、制御すべき温度において冷却、加熱または温度維持される物品、装置、雰囲気である。このような被熱伝達対象物としては、電気部品、機械部品および光学部品、並びにこれらの加工物、組立品などがある。本開示における被熱伝達対象物の具体例としては、例えばマイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために用いられるウエハ、電力制御半導体、電気分岐開閉器、電源トランス、回路基板、マルチチップモジュール、実装および非実装半導体デバイス、化学反応器、原子炉、燃料電池、熱交換器、電気化学セル、レーザー、ミサイル部品などがあり、もちろんこれらに限定されない。
本開示の機器を使用するに際しての本開示の組成物の温度条件は、-100~100℃とすることが好ましく、-90~90℃とすることがより好ましく、-70~90℃とすることがより好ましい。本開示の組成物は-20℃以下の低温でも低い動粘度を示し、中でも-70~-60℃で低い動粘度を示すという利点を有するため、上記温度範囲においても当該装置を好適に使用することができる。
本開示の機器は、さらに、二相液浸冷却流体、チラー流体、及びランキンサイクル作動流体等を含む。
4.熱伝達方法
本開示の熱伝達方法は、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている機器において、本開示の組成物を前記熱伝達流体に代替して用いて熱を伝達する工程を含む、熱伝達方法である。
該機器には、デバイスと、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する熱伝達機構とを備えるデバイス、二相液浸冷却流体、チラー流体、及びランキンサイクル作動流体等が含まれる。
上記において、デバイスには、「3.熱伝達流体を含む機器」で説明したデバイスが含まれる。上記デバイスを用いる場合、本開示の熱伝達方法は、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている熱伝達機構を含むデバイスにおいて、本開示の組成物を前記熱伝達流体に代替して用いて熱伝達機構を作動させることにより、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する工程を含む、熱伝達方法である。
上記の本開示の熱伝達方法では、デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱が伝達され得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されるとき、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスへ)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
Chem Ber 1973, 106, 2950-2959に記載された方法に基づき、実施例1の熱伝達流体用組成物を得た。得られたHFP三量体を蒸留により精製して、ヘキサフルオロプロペンの二量体および四量体等の不純物を除去した。さらに、精製したHFP三量体を蒸留により、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物に分離した。分離したHFP三量体のそれぞれをシリカゲルを用いて脱水した。
上記で得られた式(I)、(II)及び(III)で表される化合物を、式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の割合が下記表に示す割合となるように混合して、実施例1~4の三量体混合物を得た。
Figure 0007674686000004
量%含まれていることが確認された。
<比較例1>
比較例1として、3M社製FC-3283を用意した。この中には、(I)、(II)及び(III)で表される化合物は含まれていなかった。
<比較例2>
比較例2として、3M社製HFE7100を用意した。この中には、(I)、(II)及び(III)で表される化合物は含まれていなかった。
実施例1~4および比較例1~2の組成物について、沸点、流動点、誘電率、動粘度、絶縁耐力、比熱、熱伝導率、および相溶性を評価した。
<沸点、流動点及誘電率測定>
三量体混合物の沸点はDSC(示唆操作熱量測定)を用い、25℃から5℃/minで昇温した際の吸熱に由来するピークが観測された温度とした。流動点はDSCを用い、液体窒素で凝固点以下まで冷却したのち、5℃/minで昇温した際に吸熱に由来するピークが観測された温度とした。誘電率は温度25℃、湿度60%の環境下で静電容量法により周波数1kHzの値を測定した。
<動粘度及び密度測定>
三量体混合物の動粘度及び密度を、Anton Paar社製動粘度計SVM3001を用いて測定した。
<絶縁耐力測定>
所定の間隔に調整した球状電極間に液体試料を浸漬させ、一定速度で電圧を上昇させた際の絶縁破壊電圧として、三量体混合物の絶縁耐力を測定した。詳細な測定条件は、以下の通りであった。
電極形状:球状(φ12.5mm)
電極間隔:2.5mm
昇圧速度:2kV/秒
測定雰囲気:空気中(22℃、57%RH)
<比熱測定>
三量体混合物の比熱は、DSCを用いて測定した。測定条件は下記の通りであった。
測定装置:Perkin-Elmer社製示差走査熱量計DSC8500
昇温速度:10℃/分
標準試料:サファイア(-Al2O3)
雰囲気:乾燥窒素気流中
試料容器:アルミニウム密閉容器
<熱伝導率測定>
三量体混合物の熱伝導率は、非定常細線法により測定した。
<相溶性>
三量体混合物の相溶性は、下記の3種の溶媒と各三量体混合物とを等量で混合させて評価した。
Galden HT135(Solvay社製)
SF-10(ケマーズ社製)
FC3283(3M社製)
Figure 0007674686000005

Claims (9)

  1. パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体への代替用の、C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体を含む組成物であり、
    前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の含有率は、組成物全体に対し80質量%以上であり、
    前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III):
    Figure 0007674686000006
    で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含み、
    前記式(I)で表される化合物の含有率は、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体全体に対して30質量%以上85質量%未満である、組成物。
  2. 下記条件(i)~(iv)を満たす、請求項1に記載の組成物。
    (i)沸点が、前記熱伝達流体の沸点の80%以上である。
    (ii)流動点が、前記熱伝達流体の流動点以下である。
    (iii)動粘度が、前記熱伝達流体の動粘度の200%以下である。
    (iv)前記熱伝達流体と任意の割合で相溶する。
  3. 18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体と、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種とを含み、
    前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の含有率は、80質量%以上である、熱伝達流体用組成物。
  4. 前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項3に記載の熱伝達流体用組成物。
    Figure 0007674686000007
  5. 前記化合物が、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の全体に対して85質量%未満の式(I)で表される化合物を含む、請求項4に記載の熱伝達流体用組成物。
  6. 前記化合物が、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の全体に対して85質量%以上の式(I)で表される化合物を含む、請求項4に記載の熱伝達流体用組成物。
  7. デバイスと、前記デバイスへ又は前記デバイスから、請求項1に記載の組成物、又は請求項3若しくは4に記載の熱伝達流体用組成物を熱伝達流体として用いて熱を伝達する熱伝達機構とを備え、前記熱伝達機構が、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている、熱伝達機構を含むデバイス。
  8. 18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体の、パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体への代替のための使用であり、
    前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体は、下記式(I)~(III):
    Figure 0007674686000008
    で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含み、
    前記式(I)で表される化合物の含有率は、前記C18で表されるヘキサフルオロプロペン三量体全体に対して30質量%以上85質量%未満である、使用。
  9. パーフルオロトリプロピルアミン、パーフルオロポリエーテル、及びメトキシトリデカフルオロヘプテン異性体混合物からなる群より選択される少なくとも一種を含む熱伝達流体を用いて熱を伝達するよう設計されている熱伝達機構を含むデバイスにおいて、請求項1に記載の組成物、又は請求項3若しくは4に記載の熱伝達流体用組成物を前記熱伝達流体に代替して用いて熱伝達機構を作動させることにより、前記デバイスへ又は前記デバイスから熱を伝達する工程を含む、熱伝達方法。
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