JP7676861B2 - 造粒粉末、及びボンド磁石の製造方法 - Google Patents
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Description
図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る造粒粉末10は、複数の磁石粒子4から構成される磁石粉末と、樹脂組成物6とを含む。造粒粉末10は、磁石粉末及び樹脂組成物6のみからなっていてよい。造粒粉末10は複数の造粒粒子2から構成される。つまり、造粒粉末10は複数の造粒粒子2の全体である。造粒粉末10を構成する一つの造粒粒子2は、複数の磁石粒子4と樹脂組成物6とを含む。つまり、一つの造粒粒子2は、複数の磁石粒子4及び樹脂組成物6の集合である。樹脂組成物6は、熱硬化性樹脂を含む。造粒粒子2は、複数の磁石粒子4及び樹脂組成物6のみからなっていてよい。一つの造粒粒子2は、顆粒(granule)又は二次粒子と言い換えられてよい。複数の磁石粒子4が、樹脂組成物6で覆われていてよい。複数の磁石粒子4が樹脂組成物6によって互いに結着されていてよい。一つの造粒粒子2内における各磁石粒子4の位置及び向きは樹脂組成物6によって固定されていてよい。
以下に記載の「粘度特性」とは、樹脂組成物6の100℃での粘度が1Pa・秒以上50Pa・秒以下であり、VfがViよりも高く、樹脂組成物6が25℃で固体であることを意味する。
Sm-Fe-N系磁石からなる磁石粉末を含む造粒粉末10の粒径は、10μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上150μm以下、より好ましくは80μm以上120μm以下であってよい。Sm-Fe-N系磁石からなる磁石粉末を含む造粒粉末10の粒径が10μm以上である場合、造粒粉末10が十分な流動性を有し易く、成形工程の自動化が容易である。Sm-Fe-N系磁石からなる磁石粉末を含む造粒粉末10の粒径が200μm以下である場合、造粒粉末10が隙間なく金型へ充填され易く、造粒粉末10の微細な成形が容易である。
Nd-Fe-B系磁石からなる磁石粉末を含む造粒粉末10の粒径は、10μm以上500μm以下、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは10μm以上150μm以下であってよい。Nd-Fe-B系磁石からなる磁石粉末を含む造粒粉末10の粒径が10μm以上である場合、造粒粉末10が十分な流動性を有し易く、成形工程の自動化が容易である。Nd-Fe-B系磁石からなる磁石粉末を含む造粒粉末10の粒径が500μm以下である場合、造粒粉末10が隙間なく金型へ充填され易く、造粒粉末10の微細な成形が容易である。
磁石粉末は、例えば、サマリウム-鉄-窒素(Sm-Fe-N)系磁石、ネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)系磁石、サマリウム-コバルト(Sm-Co)系磁石、鉄-コバルト(Fe-Co)系磁石、アルニコ(Al-Ni-Co)合金系磁石、及びフェライト系磁石からなる群より選ばれる少なくとも一種の磁石(永久磁石)を含んでよい。Sm-Fe-N系磁石は、例えば、主相としてSm2Fe17N3を含む磁石であってよい。Nd-Fe-B系磁石は、例えば、主相としてNd2Fe14Bを含む磁石であってよい。磁石粉末は、磁石のみからなっていてよい。Sm-Fe-N系磁石は、比較的安価な原料から製造することが可能である。Sm-Fe-N系磁石は磁化容易軸を有し、Sm-Fe-N系磁石を含む磁石粉末から形成された異方性磁石は優れた磁気特性を有する。しかしSm-Fe-N系磁石は高温(500℃付近)で分解し易いため、Sm-Fe-N系磁石を含む磁石粉末を焼結することは困難である。したがって、Sm-Fe-N系磁石は、ボンド磁石としてモータ等の製品に適用され易い。
樹脂組成物は、造粒粒子に含まれる磁石粒子を互いに結着する結着材(バインダ)として機能し、各造粒粒子に機械的強度を付与する。また加熱を伴う造粒粉末の成形工程において、樹脂組成物は溶融して磁石粒子を互いに結着するバインダとして機能し、造粒粉末から形成される成形体に機械的強度を付与する。例えば、金型を用いて造粒粉末が高圧で成形される際に、樹脂組成物は磁石粒子の間に充填され、磁石粒子を互いに結着する。そして、成形体中の樹脂組成物を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物が磁石粒子同士を更に強固に結着して、成形体の機械的強度が増加する。
造粒粉末の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の通りであってよい。
[造粒粉末の作製]
熱硬化性樹脂、硬化剤、カップリング剤(エポキシ基と反応する官能基を有する化合物)、硬化促進剤(硬化触媒)、及びアセトンを、ナス型フラスコ内で混合することにより、樹脂組成物の溶液(樹脂溶液)が調製された。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ当量が192であるビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製のYX-4000H)が用いられた。
硬化剤としては、水酸基当量が108であるフェノールノボラック樹脂(昭和電工マテリアルズ株式会社製のHP-850N)が用いられた。
カップリング剤としては、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社製のKBM-573)が用いられた。
硬化促進剤としては、テトラ(n-ブチル)ホスホニウムテトラフェニルボレート(日本化学工業株式会社製のPX-4PB)が用いられた。
アセトンの体積は50mlであった。
ナス型フラスコの容積は、300mlであった。
熱硬化性樹脂、硬化剤、カップリング剤、及び硬化促進剤其々の質量は、下記表1に示される値であった。下記表1中のMKBMはカップリング剤の質量を表す。下記表1中のMBは、熱硬化性樹脂の質量と硬化剤の質量の合計を表す。下記表1中のMEは、熱硬化性樹脂の質量を表す。
上記と同じ樹脂溶液がナス型フラスコ内で調製された。樹脂組成物の各成分が溶液中で完全に溶解した後、エバポレータにより25℃でアセトンが樹脂溶液から留去された。ナス型フラスコ内に液体がほぼ見られなくなった時点で、フラスコを減圧乾燥機に入れ、フラスコの内容物が常温の真空中で1日間乾燥された。以上の方法により、樹脂組成物が回収された。
走査型電子顕微鏡(SEM)で、造粒粉末が観察された。造粒粉末を構成する複数の造粒粒子其々が、複数の磁石粒子と樹脂組成物から構成されていた。
造粒粉末のDSC曲線が測定された。DSC曲線の測定には、示差走査熱量計(Perkin-Elmer社製Pyris1)が用いられた。DSC曲線の測定には、密閉型のアルミパンが用いられた。DSC曲線は、窒素雰囲気下で測定された。約50mgの造粒粉末が、DSC曲線の測定用のサンプルに用いられた。DSC曲線の測定における造粒粉末の昇温速度は、10℃/分であった。DSC曲線が測定される温度範囲は、40~250℃であった。造粒粉末のDSC曲線が、100℃以上200℃以下である範囲において発熱ピークを有する場合、下記表1中の「発熱ピーク」のコラムに「有り」と記載され、発熱ピークの温度が下記表1中の「ピーク温度」のコラムに記載される。
造粒粉末の流動性が、JIS-Z2502に基づく以下の方法によって測定された。50gの造粒粉末が、漏斗内に導入された。漏斗の内角は60°であり、漏斗の直径の最小値(漏斗の出口の口径)は0.23mmであった。漏斗内に導入された造粒粉末の全量が漏斗内を通過する時間(流動時間)が測定された。実施例1の流動時間(単位:秒)は、下記表1に示される。流動時間が短いほど、造粒粉末は流動性に優れている。
金型内に充填された上記造粒粉末を100℃で加熱しながら上記造粒粉末を100MPaで圧縮するにより、直方体状の成形体が得られた。金型のキャビティーの寸法は、幅7mm×奥行き7mmであった。造粒粉末の圧縮には、油圧プレス機が用いられた。成形体は乾燥機内に設置され、5℃/分の昇温速度で常温から200℃まで加熱され、更に200℃で10分間保持された。乾燥機から取り出された成形体は常温まで冷却された。
上記の方法で得られた成形体の寸法(縦幅、横幅及び高さ)がマイクロメーターで測定された。測定された成形体の寸法から、成形体の体積が算出された。成形体の質量が電子天秤で測定された。成形体の質量を成形体の体積で割ることにより、実施例1の成形体の密度が算出された。実施例1の成形体の密度は、下記表1に示される値であった。
万能圧縮試験機を用いて、圧縮圧力が成形体の端面に印加された。つまり、成形体の高さ方向において、圧縮圧力が成形体へ印加された。圧縮圧力を増加させて、成形体が破壊された時の圧縮圧力が測定された。成形体が破壊された時の圧縮圧力は、圧壊強度を意味する。万能圧縮試験機としては、株式会社島津製作所製のAG-10TBRが用いられた。圧壊強度の測定におけるクロスヘッドの速度は、0.5mm/分であった。圧壊強度の測定は、室温(25℃)の大気中で行われた。実施例1の成形体の圧壊強度は、下記表1に示される値であった。
実施例2の熱硬化性樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC-3000L)が用いられた。
実施例3の熱硬化性樹脂として、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のHP-7200L)が用いられた。
実施例4の熱硬化性樹脂として、ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のHP-4770)が用いられた。
実施例5の磁石粉末として、Sm-Fe-N系磁石からなる粉末(日亜化学株式会社製の磁石粉末)が用いられた。BET法によって測定される実施例5の磁石粉末の比表面積は、2.549m2/gであった。実施例5の磁石粉末は球状であった。実施例5の磁石粉末の平均粒径は、2.9μmであった。
実施例6の磁石粉末として、Nd-Fe-B系磁石からなる粉末(Magnequench International, LLC製の磁石粉末)が用いられた。実施例6の磁石粉末の平均粒子径は、100μmであった。
実施例1~6の場合、熱硬化性樹脂、硬化剤、カップリング剤、硬化促進剤及び磁石粉末其々の質量は、下記表1に示される値であった。
比較例1の磁石粉末として、実施例5と同じ磁石粉末が用いられた。比較例1の樹脂組成物の組成は、実施例1及び5其々の樹脂組成物の組成と同じであった。ただし、比較例1では、造粒粉末が作製されなかった。比較例1では、樹脂組成物のみからなる粉末が作製された。この樹脂組成物の粉末と磁石粉末を常温で撹拌及び混合することにより、比較例1のコンパウンド粉が作製された。比較例1のコンパウンド粉の粒径は、100μm以下の値に調整された。比較例1の成形体はコンパウンド粉から形成された。造粒粉末の代わりにコンパウンド粉が用いられたこと以外は実施例1と同様の方法で、比較例1に関する測定が実施された。比較例1の測定結果は下記表1に示される。
Claims (10)
- 磁石粉末と樹脂組成物とを含む造粒粉末であって、
前記造粒粉末を構成する一つの造粒粒子が、前記磁石粉末を構成する複数の磁石粒子と前記樹脂組成物とを含み、
前記樹脂組成物が、熱硬化性樹脂を含み、
前記造粒粉末の示差走査熱量曲線が、100℃以上200℃以下である範囲において発熱ピークを有し、
前記樹脂組成物の100℃での粘度が、1Pa・秒以上50Pa・秒以下であり、
100℃で30分間加熱された後の前記樹脂組成物の50℃での粘度が、Vfと表され、
100℃で30分間加熱される前の前記樹脂組成物の50℃での粘度が、Viと表され、
VfがViよりも高く、
前記樹脂組成物が、25℃で固体である、
造粒粉末。 - 前記磁石粉末が、Sm-Fe-N系磁石を含む、
請求項1に記載の造粒粉末。 - 前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂を含む、
請求項1又は2に記載の造粒粉末。 - 前記エポキシ樹脂が、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、
請求項3に記載の造粒粉末。 - 前記樹脂組成物が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びエポキシ基と反応する官能基を有する化合物を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の造粒粉末。 - 前記エポキシ基と反応する前記官能基が、アミノ基である、
請求項5に記載の造粒粉末。 - 前記樹脂組成物が、前記エポキシ基と反応する前記官能基を有する前記化合物として、前記アミノ基を有する化合物を含み、
前記アミノ基を有する前記化合物が、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブテリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、
請求項6に記載の造粒粉末。 - 前記エポキシ基と反応する前記官能基を有する前記化合物の質量が、100質量部の前記樹脂組成物に対して、1~20質量部である、
請求項5~7のいずれか一項に記載の造粒粉末。 - 前記エポキシ基と反応する前記官能基を有する前記化合物の質量が、100質量部の前記エポキシ樹脂に対して、1~30質量部である、
請求項5~8のいずれか一項に記載の造粒粉末。 - 請求項1~9のいずれか一項に記載の造粒粉末を用いたボンド磁石の製造方法であって、
磁場中で前記造粒粉末から成形体を形成する工程を備える、
ボンド磁石の製造方法。
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