JP7677563B2 - 加飾フィルム、加飾フィルムの製造方法、加飾成形体及び加飾成形体の製造方法 - Google Patents

加飾フィルム、加飾フィルムの製造方法、加飾成形体及び加飾成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、加飾フィルム、加飾フィルムの製造方法、加飾成形体及び加飾成形体の製造方法に関する。
自動車等の車両の外観を変えたり、車両に所望の意匠を付与したりするための加飾フィルムが知られている。加飾フィルムを、自動車のルーフ、ボディ側面などに貼り付けることで、塗装などを施すことなく、容易に意匠を付与することができ、車両外観の変更も容易に行なうことができるため注目されている。
車両の外装用加飾フィルムは種々提案され、市販品も存在するが、その殆どは可撓性の加飾フィルムを車両の形状に追従させながら貼り付けるフィルムであり、このようなフィルムを車両の立体形状に適合させ、外観を損なわないように貼り付けるには熟練を要していた。
そこで、立体形状を有する車両外装への貼り付け性を向上させる目的で、剥離層と、粘着層と、表皮層とを有し、前記剥離層が形状保持層を備える加飾フィルムが提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。加飾フィルムの剥離層が形状保持層を備えることで、予め被着体の立体形状に合わせて加飾フィルムを予備成形することができ、予備成形された加飾フィルムは、平面状の加飾フィルムに比較して、被着体の表面の凹凸に対し、位置合わせが容易となるとされている。
予備成形が可能な加飾フィルムは、被着体に貼り付ける際に、予備成形し、トリミングを行い、加飾フィルムから剥離層を剥離して被着体に貼り付ける。一般に加飾フィルムを被着体に貼り付ける際には、被着体への貼り付け位置の修正を容易にする目的で、被着体表面及び加飾フィルムの粘着層を有する側の面の少なくともいずれかに水を吹き付けることが行なわれる。
剥離層が剥離され、水を吹き付けられた加飾フィルムを被着体の表面に配置して位置合わせし、その後、スキージで水を押し出しながら被着体と加飾フィルムにおける粘着層とを密着させる。被着体にビード形状などの微細な凹凸がある場合、加飾フィルムと被着体の僅かな凹部との間に水が滞留し、水を完全に押し出すことが困難な場合がある。
水が被着体と加飾フィルムとの間に残存すると、経時で水の残存箇所に膨れが生じて、外観を著しく損なう懸念がある。
一方、水を吹付けないで、被着体に加飾フィルムを貼り付ける場合、一旦配置した位置から加飾フィルムを剥離して、貼り付け位置を修正するのは困難である。さらに、貼り付け位置を修正すると、加飾フィルムに係った応力に起因して僅かなシワが生じ、成形体の表面に加飾フィルムの微細なシワによるツヤムラが生じて外観不良となる懸念がある。
特開2016-198900号公報 特開2016-203434号公報
特許文献1及び特許文献2に記載の加飾フィルムは、剥離層に形状保持層を備え、加飾フィルムを予備成形することで被着体の立体形状により即した形状のフィルムが予め得られる。しかしながら、成形体に貼付する際に剥離層を剥離すると、形状保持層も剥離層と共に剥離され、得られたシートには剛性がなく、フィルム自体は可撓性で変形しやすいものとなる。このため、特許文献1及び特許文献2に記載の加飾フィルムを立体形状の成形体に貼り付ける際において、水の吹きつけを行なわないと、空気を残存させずに、被着体に加飾フィルムを貼り付けるのは困難である。また、特許文献1及び特許文献2に記載の加飾フィルムでは、一旦貼り付けた後の位置の修正においてツヤムラが生じやすく、作業性の観点からは、なお改良の余地がある。
本発明のある実施形態の課題は、立体形状の成形体に貼り付ける際に、予備成形が可能であり、乾式にて成形体に貼り付ける場合も貼り付け位置の修正が容易であり、且つ、貼り付け後の密着性能が良好な加飾フィルム及び加飾フィルムの製造方法を提供することである。
また、本発明の別の実施形態の課題は、立体形状を有する成形体の表面が、加飾フィルムにより加飾された、外観が良好な加飾成形体及び加飾成形体の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段は以下の実施形態を含む。
<1> 表皮層と、基材層と、接着層と、接着層保護シートとを、この順で有し、
前記接着層は、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤を含有し、厚さが10μm~80μmであり、且つ、下記試験方法(I)で測定した初期剥離強度が0.1N/cm~5N/cmの範囲である接着層である、
立体形状を有する成形体の加飾に用いられる加飾フィルム。
(試験方法(I))
加飾フィルムから接着層保護シートを剥離し、ステンレス鋼板に貼り付け、JIS Z 0237(2009年)に規定する粘着テープの180°剥離試験に準じて剥離強度を測定する。
<2> 前記接着層保護シートの、前記接着層を有する側とは反対側の面に、形状保持層を有する、<1>に記載の加飾フィルム。
<3> 前記接着層保護シートの接着層と接する側に、接着層と嵌合した凹凸を有する、<1>又は<2>に記載の加飾フィルム。
<4> 前記接着層は、下記試験方法(II)で測定した経時後の剥離強度が7N/cm以上である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
(試験方法(II))
加飾フィルムから接着層保護シートを剥離し、ステンレス鋼板に貼り付け、20℃にて24時間保持した後、JIS Z 0237(2009年)に規定する粘着テープの180°剥離試験に準じて剥離強度を測定する。
<5> 前記基材層は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<6> 前記接着層保護シートは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリエチレン(PE)から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<7> 加熱成形可能である<1>~<6>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<8> フッ素樹脂を含む表皮層を準備する工程、ポリ塩化ビニル樹脂を含有する樹脂組成物を用いてポリ塩化ビニル樹脂を含有する基材層を形成する工程、前記基材層の、前記表皮層を有する側とは反対側の面に、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤を含有し、厚さが10μm~80μmの接着層を形成する工程、接着層保護シートを準備する工程、前記接着層保護シートを前記接着層に接触させて、前記接着層保護シートにより前記接着層を被覆する工程、を含む、加飾フィルムの製造方法。
<9> さらに、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体及びポリ塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を用いて、形状保持層を形成する工程、及び、得られた形状保持層を、前記接着層保護シートの接着層側とは反対側に、接着剤を介して貼り合せる工程を含む、<8>に記載の加飾成形体の製造方法。
<10> 前記接着層保護シートを準備する工程は、樹脂シートにエンボス加工を施し、前記接着層に嵌合する凹凸を備えた接着層保護シートを作製する工程を含む、<8>又は<9>に記載の加飾フィルムの製造方法。
<11> 立体形状を有する成形体と、<1>~<7>のいずれか1つに記載の加飾フィルムから接着層保護シートが剥離された加飾積層体と、を有する加飾成形体。
<12> <1>~<7>のいずれか1つに記載の加飾フィルムを、加飾フィルムを貼付する成形体の形状に適合する形状に真空成形法により予備成形する工程、前記予備成形した加飾フィルムの接着層保護シートを剥離する工程、接着層保護シートを剥離した、前記加飾フィルム由来の加飾積層体を、前記加飾積層体の接着層を介して、立体形状を有する成形体の表面に貼り付ける工程、及び、成形体の表面に貼り付けた前記加飾積層体を加圧する工程、を有する加飾成形体の製造方法。
<13> さらに、成形体の表面に貼り付けた前記加飾積層体を加熱する工程を含む、<12>に記載の加飾成形体の製造方法。
本発明のある実施形態によれば、立体形状の成形体に貼り付ける際に、予備成形が可能であり、乾式にて成形体に貼り付ける場合も貼り付け位置の修正が容易であり、且つ、貼り付け後の密着性能が良好な加飾フィルム及び加飾フィルムの製造方法を提供することができる。
また、本発明の別の実施形態によれば、立体形状を有する成形体の表面が、加飾フィルムにより加飾された、外観が良好な加飾成形体及び加飾成形体の製造方法を提供することができる。
本開示の加飾フィルムの一態様を示す概略断面図である。 図1に示す本開示の加飾フィルムから接着層保護シートと形状保持層とを剥離して、成形体表面に貼り付けた状態の一態様を示す概略断面図である。 本開示の加飾成形体の一態様を示す概略断面図である。
以下、本開示の加飾フィルム、加飾フィルムの製造方法、加飾成形体の製造方法及び加飾成形体について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における「樹脂を含む層」とは、「当該層の主成分である樹脂を含んで形成された層」を指す。即ち、本開示における「樹脂を含む層」は、樹脂のみを含む樹脂層、及び、主成分である樹脂に加え、可塑剤、着色剤、紫外線吸収剤等の任意成分をさらに含む樹脂組成物により形成された層の双方を包含する意味で用いられる。
なお、本開示における「主成分である樹脂」とは、当該成分が含まれる樹脂組成物の全量に対し、60質量%以上含有される樹脂を指す。
以下、本開示では、ポリ塩化ビニル樹脂をPVC樹脂と称することがある。また、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体をABS樹脂と称することがある。
また、本開示において「立体形状を有する成形体」又は「成形体」とは、加飾前の成形体(成形体の基体)を指し、「加飾成形体」とは、本開示の加飾フィルムを用いて加飾された成形体を指す。
本開示では、以下、加飾フィルムの表皮層を有する側を表面と、粘着層を有する側を裏面と、それぞれ称することがある。
加飾フィルムから接着層保護シートを剥離した、被着体への貼り付けに用いる、表皮層、基材層及び接着層を有する積層体を、加飾積層体と称する。
加飾フィルムから接着層保護シートを剥離する場合、接着層と接着保護シートとの界面で剥離する。従って、加飾フィルムが任意の層としての形状保持層を有する場合においても、接着層と接着保護シートとの界面で剥離し、接着層保護シートに隣接する形状保持層は、接着層保護シートと同時に剥離される。このため、接着層保護シートを剥離することで、表皮層、基材層及び接着層を有する加飾積層体が得られる。
接着層保護シートの接着層と接する面とは反対側の面に、形状保持層のみならず、その他の任意の層を有する場合にも、接着層から接着層保護シートを剥離することで、任意の層も同時に剥離される。
本開示の加飾フィルムは、表皮層と、基材層と、接着層と、接着層保護シートとを、この順で有し、前記接着層は、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤を含有し、厚さが10μm~80μmであり、且つ、上記試験方法(I)で測定した初期剥離強度が0.1N/cm~5N/cmの範囲である接着層である加飾フィルムであり、立体形状を有する成形体の加飾に用いられる。
前記接着層保護シートの接着層と接する側に、接着層と嵌合した凹凸を有することが、貼り付け位置の修正がより容易であるという観点から好ましい。
本開示の加飾フィルムは、接着層保護シートを有することで、加飾フィルムにより加飾される成形体の表面形状に適した予備成形を行うことができ、予備成形後、接着層保護シートを剥離して得られる加飾積層体は、成形体に貼り付けやすくなる。
また、加飾フィルムが有する接着層は、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤を含有することで、硬質な成形体表面に貼付した際の初期粘着性が、具体的には、上記試験方法(I)で測定した初期剥離強度が0.1N/cm~5N/cmの範囲に低く抑えられ、得られた前記加飾積層体の貼り直しが容易に行える。また、接着層の厚さが10μm~80μmの範囲にあることで、貼り直しの際の加飾積層体の伸びなどの変形が抑制され、且つ、成形体表面に僅かな凹凸が存在した場合も、その凹凸を吸収し易い。
加飾フィルムのひとつの好ましい態様として、接着層保護シートの、接着層を有する側とは反対側の面に、形状保持層を有する態様が挙げられる。接着層保護シートに隣接して形状保持層を有することで、加飾フィルムの予備成形性がより良好となる。形状保持層の詳細については後述する。
加飾フィルムの他の好ましい態様では、接着層保護シートの表面に凹凸が存在することで、接着層保護シートを剥離した後の加飾積層体における接着層には、接着層と嵌合した接着層保護シートの凹凸に起因して、接着層保護シート側に凹凸形状が転写される。そして、凹凸を有する接着層は、凹凸を有しない接着層に比較して、成形体表面に貼り合わせた場合の接触面積がより小さくなり、密着性がより低くなることで、貼り直しがより容易に行える。
接着層は、既述のように、特定の高分子化合物を含む粘着剤又はホットメルト接着剤であり、加飾フィルムを成形体に貼り合わせ、位置決めが完了した際に、加圧することにより、密着性が向上し、成形体表面に安定に固定化される。また、接着層の厚さが10μm~80μmの範囲であるため、接着層に凹凸を有する場合でも、凹凸が加圧により押圧されて、接着層が変形しながら成形体表面の形状に追従して接触面積がより大きくなることで、安定な密着性が得られると考えている。
なお、接着層がホットメルト接着剤を含む場合には、より安定な密着性を達成するために、さらに、成形体に貼り合わせた加飾成形体を加熱することが好ましい。
本開示の加飾フィルムを用いることにより、加飾フィルム由来の加飾積層体を、立体形状を有する成形体へ容易に、水の吹きつけなどを必要とせず、乾式にて貼り付けても、貼り合わせ後の位置の修正を容易に行うことができ、且つ、位置決め後に加飾積層体を加圧することで、安定な密着性が達成される。
なお、本開示の加飾フィルムは、水の吹きつけを行なって成形体に貼り付ける水貼りにも適用することができるのは言うまでもない。水貼りの場合にも、加飾積層体の成形体に対する初期粘着性は低く抑えられ、位置決めがしやすく、さらに、位置決め後に加飾積層体を加圧することで、接着層と成形体との間に残存する水が加飾積層体の端部から速やかに排水され、貼付後の水残りが抑制され、加圧による高い密着性が達成される。
位置決め後の加飾積層体を加圧することで、例えば、接着層に凹凸を有する場合でも、加飾積層体を成形体に押しつけて加圧する際の応力により、接着層が成形体表面の形状に追従するように変形して凹凸形状がならされて、接着層と成形体との接触面積がより大きくなり、分子間力の働きによる高い密着性が得られる。
本開示の加飾フィルムを用いることで、例えば、自動車などの車両の外観を容易に変更することができ、立体形状を有する各種の成形体の表面に様々な意匠が施され、外観に優れた加飾成形体を簡易に製造することが可能となる。
以下、本開示の加飾フィルム、加飾フィルムの製造方法、加飾成形体の製造方法及び加飾成形体の好ましい実施形態を挙げて詳細に説明する。しかし、本開示は、以下の実施形態に何ら制限されない。
<加飾フィルム>
本開示の加飾フィルムは、表皮層と、基材層と、接着層と、接着層保護シートとをこの順で有し、前記接着層は、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤であり、厚さが10μm~80μmであり、且つ、上記試験方法(I)で測定した初期剥離強度が0.1N/cm~5N/cmの範囲である接着層である。
本開示の加飾フィルムは、予備成形性をより良好にするという観点から、前記接着層保護シートの、前記接着層を有する側とは反対側の面に、形状保持層を有することが好ましい。
本開示の加飾フィルムについて、図1を参照して説明する。図1は、本開示の加飾フィルム10の層構成の好適な一態様を示す概略断面図である。
加飾フィルム10は、一方の面に凹凸を有する表皮層(以下、適宜、表皮層と称する)12と、表皮層の凹凸を有する側とは反対側の面に設けられた基材層(以下、適宜、基材層と称する)14と、接着層18と、接着層18を被覆する接着層保護シート20と、形状保持層22と、をこの順で有する。
前記接着層保護シート20には、接着層と接する側に、接着層と嵌合した凹凸を有する。既述のように、接着層保護シートの凹凸は所望により設けられ、必ずしも、接着層保護シートは凹凸を有しなくてもよい。
なお、図1に示すように、接着層保護シートが凹凸を有することで、隣接する接着層に凹凸が転写により形成され、接着層保護シートを剥離した後の接着層と、被着体である成形体表面との接触面積がより小さくなり、加飾積層体の位置の修正がより容易となる。
各層を「この順で有する」とは、それぞれの層が記載した順に存在することを意味し、必要に応じてさらに設けられる任意の層の存在を否定するものではない。
即ち、図1では、基材層14と接着層18との間に、両者の接着性を向上させる樹脂層であるプライマー層16を有するが、前記プライマー層16は所望により設けられる任意の層である。また、図1では、接着層保護シート20に隣接して形状保持層22を有するが、形状保持層22は、加飾フィルムの予備成形性をより向上するために所望により設けられる任意の層である。
図1に示す加飾フィルム10の一実施形態では、表皮層12と、基材層14と、プライマー層16と、接着層18とを順次有する積層体(加飾積層体)24に対し、接着層保護シート20と、形状保持層22とを有する構造をとる。図1に示すように、表皮層12の基材層14側とは反対側の面には、シボ模様とも称される凹凸模様を有してもよい。
表皮層の凹凸模様を有する側は、加飾フィルム10から接着層保護シート20及び形状保持層22を剥離した加飾積層体24を後述する成形体に配置し、加飾成形体とした際に最表面に位置することから、以下、表面と称することがある。凹凸模様は、天然皮革様の凹凸模様に代表される、加飾フィルムによる成形体の表面の外観を特徴付ける模様であり、必要に応じて設けられる。
また、基材層14は、例えば、着色剤を含むことで、加飾フィルム10に任意の色相を付与することができる。このため、本開示の加飾フィルム10が適用される加飾成形体に所望の色相を容易に付与することができる。
なお、図1、図2A及び図2Bにおいて、同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。
以下、加飾フィルムについて、これを構成する材料とその製造方法とともに順次説明する。
(1.表皮層)
加飾フィルムの表皮層は、樹脂により形成される。なかでも、表皮層はフッ素樹脂を含有することが好ましい。表皮層がフッ素樹脂を含むことで、加飾フィルムの耐久性が向上し、また、所望により、前記基材層側とは反対側の面に凹凸模様を形成する場合に、凹凸模様の保持性がより向上する。
表皮層に用い得るフッ素樹脂としては、フッ素原子を含む単量体の少なくとも1種を重合成分として、重合して得られる樹脂であれば、特に制限はないが、フッ素原子を含むオレフィンを重合して得られる樹脂が好ましい。
フッ素樹脂としては、例えば、4フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、フッ化ビニル、及びフッ化ビニリデンから選ばれる重合成分を含んで構成される樹脂が挙げられる。より具体的には、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素原子を含む重合成分の単独重合体、及び前記重合成分を含む共重合体である、3フッ化塩化エチレン-フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン-4フッ化エチレン共重合体などが挙げられる。なかでも、3フッ化塩化エチレン-フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン共重合体、及び、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン-4フッ化エチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種のフッ素樹脂を含むことが好ましい。
表皮層がフッ素樹脂を含む場合、フッ素樹脂を1種のみを含有してもよく、2種以上を併用してもよい。
表皮層が、2種以上のフッ素樹脂を含む場合、例えば、フッ化ビニリデン樹脂、3フッ化塩化エチレン-フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン共重合体、及び、フッ化ビニリデン-6フッ化プロピレン-4フッ化エチレン共重合体からなる群より選択される2種以上の樹脂の混合物などを用いることも好ましい態様である。
表皮層が2種以上の樹脂を含む場合、既述のように2種以上の樹脂の混合物である態様に加え、2種以上の樹脂の積層構造の態様をとることもできる。例えば、表皮層として、最表面、即ち、成形体上に加飾フィルムを配置した場合の外側に当たる面を、フッ素樹脂を含む層とし、表皮層と、基材層との接着性をより向上させる目的で、表皮層を、フッ素樹脂を含む層と、アクリル樹脂を含む層との2層構造として、アクリル樹脂を含む層側を基材層と接する面に位置させることができる。
表皮層は、公知のシート成形方法、例えば、Tダイなどで押し出し成形する押出し法、カレンダー法、キャスティング法等により形成してもよいし、市販のフィルムを適用して形成してもよい。
表皮層の厚みは、強度及び凹凸模様を形成した際の凹凸模様保持性の観点から、5μm~100μmの範囲であることが好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。
ここで、表皮層の厚みとは、凹凸模様が形成された面の凸部の頂部から、表皮層の底面までの距離を指す。
表皮層の厚みは、表皮層の基材層側の面とは反対側に形成される凹凸模様の保持性の観点から、凹凸模様の凹部の最深部における底部と凸部の頂部との距離よりも大きいことが好ましい。例えば、凹部の深さが1μm以下である如き凹凸模様を形成する際には、表皮層の厚みは5μm程度とすることができ、天然の皮革様模様の如く、浅い凹部と深い凹部とを有し、深い凹部が2μm~5μmである場合には、表皮層の厚みは10μm以上であることが好ましい。
なお、表皮層が既述のように2層以上の積層構造をとる場合の表皮層の厚みは、複数の層の総厚みを指す。
本開示の加飾フィルムにおける各層の厚みは、加飾フィルムを面方向に垂直に切断した切断面を観察することで測定することができる。従って、本開示における加飾フィルムにおける各層の膜厚は、乾燥後の膜厚を指す。
基材層の、接着層側の面とは反対側の面に表皮層を形成する方法は任意である。例えば、予め成形した表皮層と基材層とを接着させてもよく、表皮層を形成後、表皮層の一方の面に基材層を形成してもよい。
また、表皮層の、基材層側の面とは反対側の面に凹凸模様を形成する方法には特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。公知の方法としては、凹凸模様を有する離型紙上に表皮層を形成する方法、まず、表面が平滑な表皮層を形成し、その後、絞ロールを用いてエンボスする方法等が挙げられる。
(2.基材層)
基材層は、樹脂により形成される。基材層は、樹脂としてPVC樹脂を含むことが好ましい。
基材層がPVC樹脂を含むことで、表皮層に係る熱応力が緩和され、表皮層に所望により形成される凹凸模様の保持性がより良好となる。
PVC樹脂としては、特に制限はなく、公知のフィルム形成性のPVC樹脂を適宜選択して使用することができる。
基材層は、好ましい樹脂としてのPVC樹脂に加え、その他の成分を含んでもよい。基材層が含み得るその他の成分としては、着色剤、可塑剤、充填剤、滑剤、加工助剤等が挙げられる。なお、その他の成分は、基材層の熱加工性を低下させない範囲で用いることができる。
基材層は着色剤を含むことができる。
基材層が着色剤を含むことで、加飾成形体の製造に際して、加飾積層体を貼付した領域において、被着基体である成形体が本来有する色相、意匠等が、加飾成形体の外観に影響を与えることを抑制し、加飾フィルムに由来する加飾積層体、ひいては、加飾積層体を貼り付けてなる加飾成形体に任意の色相を付与することができる。
前記表皮層が、フッ素樹脂を含み、透明性が良好である場合、基材層に着色剤を含むことで、基材層の色相が加飾フィルムの外観を特徴付けることができる。
例えば、成形体としての赤色の車両の屋根部分のみに、異なる色相である銀色の着色剤を含む基材層を有する加飾フィルムを用いて、加飾フィルムから接着層保護シートを剥離してなる加飾積層体を車両の屋根に貼り付けて加飾することで、車体が赤色で、加飾積層体を貼り付けた屋根のみが銀色の車両となり、加飾積層体を貼り付けた箇所は、成形体の本来の色相である赤色が隠蔽される。
基材層が着色剤を含む場合の着色剤には特に制限はなく、染料、顔料などを適宜選択して使用することができる。
着色剤としては、チタン白(二酸化チタン)、亜鉛華、群青、コバルトブルー、弁柄、朱、黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、キナクリドン、パーマネントレッド4R、イソインドリノン、ハンザイエローA、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料又は染料、アルミニウム及び真鍮等金属の箔粉からなる群より選択される金属顔料、二酸化チタン被覆雲母及び塩基性炭酸鉛の箔粉からなる群より選択される真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。なかでも、耐候性及び耐久性に優れる着色剤である顔料が好ましく、成形体を効果的に隠蔽し得るという観点から、カーボンブラック、アニリンブラック、ペリレンブラック等の黒色顔料がより好ましい。
また、基材層には、必要に応じて、炭酸カルシウム、シリカ(二酸化硅素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、硫酸バリウム等の体質顔料(充填剤)を含有してもよい。
基材層が着色剤を含む場合、着色剤を1種のみ含んでもよく、調色などの目的で2種以上を含んでいてもよい。
基材層の形成に用いられる樹脂組成物における着色剤の含有量には特に制限はなく、加飾フィルムにおいて目的とする色相、成形体の隠蔽性などに応じて、用いる着色剤の種類、含有量などを適宜選択すればよい。
着色剤を用いる際の一般的な着色剤の含有量は、基材層を形成する樹脂組成物の全固形分中に対し、1質量%~20質量%であることが好ましく、2質量%~10質量%であることがより好ましい。なお、ここで固形分とは、基材層を形成する樹脂組成物の全成分中、溶剤を除いた成分の総量を指す。
基材層の厚みは50μm~400μmの範囲であることが好ましく、100μm~350μmの範囲であることがより好ましい。厚みが上記範囲にあることで、加飾フィルムを真空成形法などにより予備成形する際の、加飾フィルムの溶融による破断が効果的に抑制され、さらに、被着体である成形体の隠蔽性がより良好となる。
基材層の形成方法には特に制限はなく、公知のシート成形方法、例えば、Tダイなどで押し出し成形する押出し法、カレンダー法、キャスティング法等を適用することができる。
なかでも、カレンダー法が製造の簡易性、装置のメンテナンスが容易である点で好ましい。特に、基材層が着色剤を含有する場合、軟化した樹脂と固体状の着色剤とをカレンダーロールに供給し、シート又はフィルム状に成形することができるため、種々の着色剤を含有する基材層を簡易に製造することができる。
また、カレンダー法を適用することにより、押出し法等の成形法に比較して、着色剤の種類や添加量を変更する際に必要な装置内の清掃を、より容易に行うことができる。このため、基材層として着色剤を含む層を形成する際にカレンダー法を適用することで、所望の色相を有する様々な基材層を簡易に製造することができ、加飾フィルムの小ロット生産にも適する。
(3.接着層)
加飾フィルムは、基材層の表皮層側とは反対側の面に、成形体との接着性を向上させるための接着層を備える。本開示における接着層は、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤(以下、特定粘着剤と総称することがある)を含有する。
接着層は、基材層の表皮層側とは反対側の面に、特定粘着剤を付与することで形成することができる。
接着層の形成に使用される特定粘着剤は、感圧粘着剤の如く、初期粘着性が比較的低いという観点から粘着剤又はホットメルト接着剤を選択して用いる。
粘着剤としては、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤を選択する。上記粘着剤はいずれも、初期粘着性が比較的低く、且つ、加圧後の粘着性が高いことから好ましい。なかでも、アクリル樹脂を主剤として含む特定粘着材が、貼り付け後の密着性がより高いことから好ましい。
ホットメルト接着剤としては、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含むホットメルト接着剤を選択して用いる。ホットメルト接着剤は、接着層を形成する際に、上記の樹脂を加熱して流動状態として基材層表面に付与することで形成することができる。温度が降下した後に、安定な密着性を得る。通常、ホットメルト接着剤は、主剤となる樹脂の溶剤を含まないため、接着層の形成時における、加熱、乾燥工程を必ずしも必要としない。
なかでも、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などが、特定粘着剤が完全に硬化する前に位置決めされ、加圧され、温度が降下した後に良好な密着性が得られることから好ましい。
ウレタン樹脂としては、ポリウレタンリアクティブ(PUR)と称される、空気中の水分と反応して硬化性が向上し、耐熱耐寒性が良好な接着層が形成される特定粘着剤があり、PURも、本開示における接着層の形成に使用することができる。
特定粘着剤の好ましい物性としては、粘着性が良好であり、初期粘着性が低く抑えられるという観点から、樹脂としての重量平均分子量は、10万~40万であることが好ましく、15万~30万であることがより好ましい。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等の公知の測定方法により測定することができる。測定装置の例としては、東ソー製HLC-8220シリーズ等が挙げられる。
また、特定粘着剤のガラス転移温度(Tg)は、-30℃以上が好ましく、-25℃以上がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、及び昇温速度10℃/分の条件で測定することができる。測定の結果、得られたDSCカーブの変曲点を樹脂のガラス転移温度とする。
特定粘着剤は、初期粘着性が比較的低く、且つ、加圧することで粘着性が向上し、安定に固定化される物性を有することが好ましい。
粘着性の好ましい態様としては、本開示における接着層は、下記試験方法(I)で測定した初期剥離強度(初期粘着性)が0.1N/cm~5N/cmの範囲であり、2N/cm~4N/cmの範囲であることが好ましい。
(試験方法(I))
加飾フィルムから接着層保護シートを剥離し、ステンレス鋼板に貼り付け、JIS Z 0237(2009年)に規定する粘着テープの180°剥離試験に準じて剥離強度を測定する。
試験方法(I)は、初期剥離強度(初期粘着性)の目安であり、基材上に接着層を形成した試験片で、上記180°剥離試験を行ったとき、粘着性が0.1N/cm~5N/cmの範囲であることで、一旦、試験片を硬質基材の表面に貼り付けた後、剥離する際の剥離強度が低く抑えられ、剥離時に接着層が伸張したり、シワが生じたりすることが低減され、容易に貼り直しを行うことができる。
なお、接着層保護シートに隣接して任意の層である形状保持層を有する場合には、接着保護シート及び形状保持層を共に剥離すればよい。剥離は、接着剤と接着層保護シートとの界面で行われるため、一般に、接着層保護シートの剥離に伴って任意の層である形状保持層も同時に剥離される。
本開示における接着層は、下記試験方法(II)で測定した加圧後の粘着性が7N/cm以上であることが好ましく、8N/cm以上であることよりが好ましい。
(試験方法(II))
加飾フィルムから接着層保護シートを剥離し、ステンレス鋼板に貼り付け、20℃にて24時間保持した後、JIS Z 0237(2009年)に規定する粘着テープの180°剥離試験に準じて剥離強度を測定する。
試験方法(II)は、養生後(経時後)の接着層の粘着性を示す目安である。接着層を有する試験片を被着体である硬質基材の表面に密着させ、24時間養生することで、硬質基材と接着層との密着面積がより大きくなり、両者の分子間力がより多点で発生し、さらに、接着層の熟成が進み、接着層自体の強度もより向上して、硬質基材上に接着層がより安定に固定化される。
試験方法(II)においても、任意の層である形状保持層を有する場合、接着層保護シート及び形状保持層を共に剥離すればよい。
なお、本開示の加飾フィルムから、接着層保護シートを剥離した加飾積層体から接着層のみを取り出して評価することは困難であるため、上記試験片に代えて、加飾積層体を用いて剥離性を評価してもよい。これは、本開示の加飾フィルムにおいて、被着体である成形体との密着性に関与する層が、接着層のみであることによる。
接着層の厚さは、接着性、及び貼り付け位置の修正のしやすさの観点から、10μm~80μmの範囲であることが好ましく、30μm~60μmの範囲であることがより好ましい。
接着層の厚みは、加飾フィルムを面方向に垂直に切断した切断面を、光学顕微鏡で50倍~100倍の倍率で観察し、測定される。本開示では、光学顕微鏡の視野角内で、異なる箇所の厚みを5カ所測定し、その算術平均を接着層の厚みとする。
なお、基材層の面上に接着層を形成する場合、基材層と接着層との間に、接着性を向上させる目的で、後述するプライマー層を形成し、形成したプライマー層表面に、接着剤及び粘着剤の少なくとも一方を付与することで接着層を形成することができる。
基材層又はプライマー層上に接着層を付与する方法としては、転写法、塗布法など公知の方法をいずれも使用できる。均一な厚みの接着層を簡易に形成し得るという観点からは、転写法を用いることが好ましい。
(4.接着層保護シート)
接着層の形成後に、接着層の表面保護を目的として、接着層表面を接着層保護シートで被覆する。
本開示の加飾フィルムの形成に用いる接着層保護シートとしては、離型性がある素材からなるシート、基材の接着層と接する側の面が離型処理されたシート等を用いることができる。
接着層保護シートは、接着層と接する側の面は平滑であってもよく、凹凸を有していてもよい。
なかでも、接着層保護シートは凹凸を有することが好ましい。接着層保護シートが、凹凸を有することで、加飾フィルムにおいて前記接着層保護シートが有する凹凸と前記接着層とが嵌合し、前記接着層から接着層保護シートを剥離した後、前記凹凸が転写されて接着層の露出した面に凹部が形成され、形成された凹部に起因して、貼り付け時に、接着層と成形体との接触面積が、接着層保護シートの表面が平滑な場合と比較して、より小さくなり、密着性がより低くなる。このため、初期剥離強度がより小さくなり、貼り付け後の位置の修正がよりし易くなると考えられる。
また、接着層が凹凸を有することで、接着層の凹部が、空気、水などの流体の流通経路となり、所望されない流体が加飾積層体の端部からより速やかに排出され、貼り付け性が向上するという利点をも有する。
接着層保護シートに形成される凹凸は、凸部の高さが15μm以上であることが好ましく、17μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。凸部の高さの上限としては、35μm以上とすることができ、40μm以下が好ましく、38μm以下がより好ましい。
接着層保護シートにおける凹凸の凸部の高さ及び幅は、上記接着層の厚みと同様の方法で測定することができる。
接着層保護シートの素材としては、接着層と接する面が離型性を有していれば特に制限はない。例えば、樹脂フィルム、離型処理された紙、樹脂をラミネートした紙などが挙げられる。
接着層保護シートが凹凸を有する場合には、凸部の形状保持性、及び予備成形性がより良好であるという観点からは、樹脂フィルムが好ましい。
接着層保護シートとして用い得る樹脂フィルムとしては、PPフィルム、PETフィルムなどが挙げられ、PPフィルムが好ましい。
接着層保護シートの厚みには特に制限はない。予備成形性が良好であるという観点からは、20μm~80μmの範囲であることが好ましく、30μm~60μmの範囲であることがより好ましい。
接着層保護シートは、後述する加飾フィルムの予備成形後、加飾フィルムを成形体に適用する際に剥離される。
(5.その他の層)
加飾フィルムは、既述の表皮層、基材層、接着層、及び接着層保護シートに加え、効果を損なわない限り、その他の層をさらに有していてもよい。
その他の層としては、形状保持層、プライマー層、意匠層等が挙げられる。
(5-1.形状保持層)
本開示の加飾フィルムにおいて、既述の接着層保護シートの、接着層側とは反対側の面には、形状保持層を備えることが好ましい。
形状保持層を有することで、加飾フィルムの予備成形時の形状保持性がより向上する。
即ち、加飾フィルムが形状保持層を有することで、加飾フィルムを80℃~150℃の温度条件で、真空成形法などの手段により予備成形し、その後、常温(25℃)まで降温した場合でも、加飾フィルム全体は、形状保持層の機能に起因して予備成形された形状が保持される。
加熱を伴う予備成形後において、加飾フィルムが予備成形された形状を保持する機能を与える層を本開示における形状保持層と称する。
ここで、「形状が保持される」とは、予備成形した50cm四方の加飾フィルムを、正方形の隅部の1点で固定した場合、固定されていない部分が重力により固定点から変形して垂れ下がるなどの変形を起こさないことを意味する。
このような形状が保持される機能を付与するためには、本開示の加飾フィルムが形状保持層を有する場合の形状保持層の厚さは、100μm~500μmの範囲であることが好ましく、200μm~400μmの範囲であることがより好ましい。
本開示の加飾フィルムは、表皮層、基材層、接着層及び接着層保護シートに加え、さらに形状保持層を有することが予備成形性向上の観点から好ましい。なお、特に形状保持層をさらに設けなくとも、例えば、基材層に含まれる樹脂、基材層の厚みなどを選択することで、基材層に形状保持機能を与えることも可能ではある。基材層に形状保持の機能を与える場合、基材層の厚み及び剛性を所定の範囲に維持する必要が生じる。しかしながら、基材層の厚みを厚くしたり、剛性を付与したりするためには、基材層の配合に制限が生じ、顔料の分散性などに起因する外観品質等に影響を与える場合がある。
加飾フィルムにおいて、基材層とは別に、基材層の表皮層側とは反対の側に設けられた接着層保護シートに隣接して、さらに形状保持層を設けることで、基材層に起因する外観品質を確保しながら、加飾フィルムに形状保持の機能を与えることができる。
このため、本開示の加飾フィルムでは、基材層とは別層として、形状保持層をさらに備えることが好ましい。本開示の加飾フィルムの好ましい態様として、接着層保護シートと隣接してさらに形状保持層を有することで、接着層保護シートが凹凸を有する場合、形成された凹凸の形状をより効果的に維持することができるという利点を有する。
従って、形状保持層をさらに備えることで、本開示の加飾フィルムは、加熱成形がより良好となり、予備成形性がより良好となる。また、加飾フィルムを成形体に貼り付ける場合、接着層保護シートを剥離する必要があるが、形状保持層を接着層保護シートの接着層側とは反対側の面に有する場合には、接着層保護シートを剥離する際に形状保持層も同時に剥離されるために、加飾積層体を得やすいという利点をも有する。
形状保持層は樹脂により形成することができる。形状保持層は、ABS樹脂及びPVC樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。
形状保持層がABS樹脂及びPVC樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことで、加飾フィルムを、真空成形法等により予備成形した場合、積層される接着層保護シートの収縮が抑制され、且つ、予備成形された形状の保持性が良好となり、さらに、予備成形時における局所的な延伸部分の、延伸による破断等が効果的に抑制される。
ABS樹脂及びPVC樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、AS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)等と混合して用いてもよい。また、ABS樹脂とPVC樹脂とを併用してもよい。
なかでも、樹脂として、ABS樹脂又はPVC樹脂を単独で用いるか、PCとABS樹脂との混合物(PC/ABS)を用いることが好ましく、樹脂として、ABS樹脂又はPVC樹脂を単独で用いることがより好ましい。
ABS樹脂は、1種のみを用いてもよく、互いに共重合比が異なる2種以上のABS樹脂を併用してもよい。
PVC樹脂としては、特に制限はなく、公知のフィルム形成性のPVC樹脂を適宜選択して使用することができる。
形状保持層は、ABS樹脂及びPVC樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂に加え、効果を損なわない限り、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。形状保持層が含み得るその他の成分としては、可塑剤、充填剤、滑剤、加工助剤等が挙げられる。
(5-2.プライマー層)
加飾フィルムは、基材層に隣接して設けられる接着層と基材層との密着性向上を目的として、基材層と接着層との間に、さらにプライマー層としての樹脂層を有していてもよい。
プライマー層は塗布法により形成することができる。即ち、プライマー層を形成するための樹脂を適切な溶媒で溶解し、基材層の、表皮側とは反対側の面に塗布し、乾燥することでプライマー層を形成することができる。
プライマー層に含まれる樹脂は、基材層に含まれる熱可塑性樹脂、及び、隣接して設けられる接着層に含まれる接着剤等との親和性が良好であるという観点から、ポリエステル樹脂などの樹脂を用いて形成されることが好ましい。
プライマー層としての樹脂層の塗布量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。一般的には、接着性向上効果の観点から、1g/m~5g/mの範囲であることが好ましく、2g/m~3g/mの範囲であることがさらに好ましい。
(5-3.意匠層)
本開示の加飾フィルムは、表皮層と基材層の間にさらに意匠層を有してもよい。意匠層は加飾フィルムに意匠を付与する層であり、印刷により形成される印刷層であってもよく、着色剤を含む着色層であってもよく、これらを併用した層であってもよい。
本開示の加飾フィルムに意匠層を設けることで、所望により加飾フィルムの用途に応じた種々の意匠を成形体に付与することができ、成形体に意匠性に優れた外観を付与することができる。
意匠層は、例えば、表皮層又は基材層の面上に印刷法により形成された印刷層であってもよい。印刷層としては、樹脂を含む印刷インクにより公知の印刷法により形成された層が挙げられる。樹脂を含む印刷インクとしては、クリアな印刷画像の形成が可能であるという観点から、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等を含む印刷インクが好ましい。
印刷方法には特に制限はなく、グラビヤ印刷(凹版印刷)、凸版印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷など、任意の印刷方法を適用することができる。
意匠層としては、アクリル樹脂又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体から選ばれる少なくとも1種を含む印刷インク層が好ましい。
意匠層は、着色層であってもよい。着色層としては、任意の着色剤を含有する樹脂組成物により形成された層が挙げられる。例えば、アクリル樹脂に、既述の基材層に用い得る着色剤として挙げたものから選択した着色剤を含有させた樹脂組成物を、カレンダー法、押出し法、キャスティング法などによりフィルム状に成形した意匠層等が挙げられる。
意匠層の形成に用い得るアクリル樹脂としては、具体的には、たとえば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるメタクリル酸又はメタクリル酸エステルの重合体或いは共重合体、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体などが挙げられ、成形性の観点からは、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとスチレンの共重合体及びメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルの共重合体の混合物が好ましい。
アクリル樹脂は、耐候性、延伸性に優れ、隣接して設けられる他の樹脂層との密着性が良好である。
また、アクリル樹脂は透明性が良好であることから、アクリル樹脂に着色剤等を添加したり、金属光沢を有する顔料、パール顔料等の光散乱性の着色剤を添加したりすることにより、加飾フィルムに所望の良好な色相、光沢に優れた意匠等を任意に付与することができる。
また、アクリル樹脂を含む印刷インクを用いて印刷インク層を形成する場合、文字、画像等を印刷することで、加飾フィルムにさらに複雑な任意の意匠を付与することができる。
本開示の加飾フィルムが意匠層を有する場合の意匠層の厚みは1μm~15μmの範囲であることが好ましく、2μm~10μmの範囲であることがより好ましく、2μm~5μmの範囲であることがさらに好ましい。厚みが上記範囲にあることで、所望の意匠を加飾フィルムに付与することができ、且つ、加飾フィルムを予備成形する際における、表皮層と基材層との良好な相関性が維持され、表皮層の凹凸模様の保持性がより良好となる。
本開示の加飾フィルムの好ましい態様としては、表皮層として、一方の面に凹凸を有し、且つ、フッ素樹脂を含有する耐熱性が良好な層を有する態様が挙げられる。フッ素樹脂を含有する表皮層においては、所望により一方の面に形成された凹凸模様が加熱により変形し難い。さらに、表皮層は、好ましくは、PVC樹脂を含む基材層と積層される。また、接着層保護シートは、予備成形に好適なPP、PET、PEN及びPEから選ばれる少なくとも1種の樹脂を含み、接着層保護シートに隣接して、好ましくは、ABS樹脂及びPVC樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む形状保持層を有する。これらの層を有する加飾フィルムは、真空成形法等により予備成形した場合、形状保持性がより良好となる。
好ましい態様では、表皮層と隣接するPVC樹脂を含む基材層とが、いずれも柔軟で変形しやすく、さらに、接着層保護シートに隣接して所望により形成されるABS樹脂及びPVC樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む形状保持層を有する場合、これらの層に起因して、真空成形時における接着層保護シートの収縮が抑制され、設計通りの予備成形をより容易に行なうことができる。
さらに、予備成形時の加圧が除かれた後においても、接着層保護シートが有する凹凸により形成された接着層の凹部の形状が維持され易い。従って、真空成形後、接着層保護シートを剥離して、加飾積層体とした後も、表皮層、基材層、及び接着層を有する加飾積層体は、貼付しようとする被着体である立体形状を有する成形体に適合する形状がより良好に維持される。
なお、接着層が凹凸を有する場合には、成形体に一旦貼付した場合、成形体と接着層との接触面積がより小さくなる。このため、貼り付け後に位置を修正する場合でも、加飾積層体の剥離時において、加飾積層体に伸び、シワなどが生じ難くなり、位置の修正がよりし易い。
本開示の加飾フィルムは、最表面に、透明性、耐久性に優れ、加熱時の凹凸模様の保持性が良好な表皮層を有しており、且つ、熱加工性に優れた基材層、及び接着層保護シートを有している。このため、加飾フィルムを、立体形状を有する成形体の凹凸に適合した形状に予備成形した後、接着層保護シートを剥離して得られる加飾積層体は、表皮層の凹凸模様及び接着層が有する凹部の保持性が良好であり、ある程度の柔軟性を有しながら、予備成形された形状の保持性が良好である。
また、一旦貼り付けた後の、位置の修正がより容易となる。従って、立体形状を有する成形体の表面に予備成形された加飾積層体を貼り付ける場合に、容易に位置決めができ、一旦貼り付けた後の、位置の修正がし易いため、加飾積層体により成形体に任意の意匠を簡易に形成することができる。接着層保護シートに隣接して、さらに形状保持層を設けることで、加飾フィルムの形状保持性をより良好とすることもできる。
加飾積層体を表面に貼り付けて得られた加飾成形体は、加飾フィルムの意匠性が反映されて外観に優れ、耐溶剤性等の耐久性にも優れたものとなる。
従って、本開示の加飾フィルムは、凹凸形状を有する成形体の表面に意匠性を付与する加飾フィルムとして、種々の用途に適用し得る。
<加飾フィルムの製造方法>
既述の本開示の加飾フィルムの製造方法には特に制限はなく、公知の製造方法を適宜採用することができる。
なかでも、後述の本開示の加飾フィルムの製造方法により製造されることが好ましい。
本開示の加飾フィルムの製造方法は、フッ素樹脂を含む表皮層を準備する工程(工程(I))、ポリ塩化ビニル樹脂を含有する樹脂組成物を用いてポリ塩化ビニル樹脂を含有する基材層を形成する工程(工程(II))、前記基材層の一方の面に、フッ素樹脂を含む表皮層を積層する工程(工程(III))、前記基材層の、前記表皮層を有する側とは反対側の面に、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤であり、厚さが10μm~80μmの接着層を形成する工程(工程(IV))、接着層保護シートを準備する工程(工程V))、及び前記接着層保護シートを前記接着層に接触させて、前記接着層保護シートにより前記接着層を被覆する工程(工程(VI))、を含む。
前記接着層保護シートを準備する工程(工程(V))は、樹脂シートにエンボス加工を施し、前記接着層に嵌合する凹凸を備えた接着層保護シートを形成する工程(工程(V-2))をさらに含むことができる。
(工程(I))
工程(I)では、フッ素樹脂を含む表皮層を準備する。表皮層を準備することは、フッ素樹脂を含む表皮層を形成すること、及び、市販の表皮層を調達することの双方を含む。
工程(I)では、フッ素樹脂を含む表皮層を、カレンダー法、押出し法、キャスティング法などにより形成することができる。
積層構造を有する表皮層を形成する場合には、2種以上の樹脂を共押出し法等により、積層フィルムを成形することができる。
また、工程(I)は、表皮層として、加飾フィルムの説明において既述した如き、フッ素樹脂を含む市販のフィルムを準備することを含む。
(工程(II))
工程(II)では、ポリ塩化ビニル樹脂を含有する樹脂組成物を用いてカレンダー法、押出し法、キャスティング法等の公知の方法によりポリ塩化ビニル樹脂を含有する基材層を形成する。なかでも、加工性の観点からカレンダー法により基材層を形成することが好ましい。基材層をカレンダー法により形成することで、例えば、押出し法等に比較して、簡易に、均一な膜厚の基材層を形成することができる。また、基材層に着色剤を含有させる際にも、カレンダー法を適用することで、基材層に使用する着色剤の種類や添加量を変更する際に必要な装置内の清掃を容易に行うことができる。
PVC樹脂と着色剤としての顔料を用いて基材層を形成する方法の一例を挙げれば、PVC樹脂に対して、顔料を所定量投入し、熱ミキシングロールで加熱混合することにより着色されたPVC樹脂を得ること、得られた着色されたPVC樹脂を用いて基材層をカレンダー法により形成すること、を含む方法が挙げられる。着色剤を用いない場合には、顔料の投入工程を省いて同様にして行なうことができる。
なお、前記工程(I)と本工程(II)はいずれを先に行なってもよく、それぞれの工程は並行して実施することができる。
(工程(III))
工程(III)では、工程(II)で得られた基材層の一方の面に、工程(I)で準備した表皮層を積層する。
ここで、所望により、積層した表皮層の、基材層を有する側とは反対側に、絞ロールを用いてラミネートエンボス加工を施し、前記表皮層の基材層側とは反対側の面に凹凸模様を形成してもよい。
工程(III)では、所望により、表皮層及び基材層の積層と、表皮層への凹凸模様の形成とを同時に行なうことができる。即ち、表皮層の一方の面上に、基材層を積層し、その後、積層体に対し、絞ロールを用いてラミネートエンボスを行い、各層の加熱加圧接着と、表皮層の面上における所望の凹凸模様の形成を同時に行なうことができる。
本開示において、所望により行われるラミネートエンボスとは、加熱圧着を行う一対のエンボスロールの一方に絞ロールを用いてエンボスし、複数の樹脂含有フィルムを熱圧着により貼り合わせ、且つ、樹脂含有フィルムの絞ロールと接する面に絞ロールによる絞押しを行って表面に凹凸を形成することを指す。工程(III)において、表皮層に凹凸模様を形成する場合には、表皮層側に絞ロール、基材層側に平滑なロールが位置する配置にてラミネートエンボスする。この方法によれば、2層の積層と表皮層における凹凸模様の形成が逐次又は同時に一工程で実施できる。
表皮層に凹凸模様の形成を行わない場合には、ラミネート時に、一対の平滑なロールによるラミネートを行えばよい。
表皮層の面上に予め天然皮革様の凹凸模様などの任意の凹凸模様を形成した絞ロールを用いてラミネートエンボスすることにより、基材層との貼り合わせと表皮層の絞押し(凹凸形性)とが一工程で行われ、形成された加飾フィルムにおいて表皮層の最表面に天然皮革様の凹凸など、任意の意匠の凹凸模様が転写される。
絞ロールに形成する凹凸模様の形状を選択することで、加飾フィルムの表面に、天然皮革様の模様のみならず、任意の凹凸形状を有する模様を形成することができる。
平滑ロールによるエンボス加工及びラミネートエンボス加工のいずれにおいても、加工時の加熱温度は、100℃~190℃が好適である。加熱温度は、ロールの表面温度である。
なお、表皮層の一方の面に凹凸を形成する方法はこれに限定されず、例えば、表皮層を塗布法で形成する場合、予め凹凸が形成された離型紙上に表皮層形成用組成物を付与して、離型紙上の凹凸を表皮層に転写することで形成する方法をとることもできる。
(工程(IV))
工程(IV)では、工程(II)で形成された基材層の、表皮層を有する側とは反対側の面に、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む粘着剤又はホットメルト接着剤を含有し、厚さが10μm~80μmの接着層を形成する。
接着層は、基材層の表皮層を有する側とは反対側の面に、既述の特定粘着剤の少なくとも一種を付与することで形成することができる。
接着層の形成に使用される特定粘着剤の好ましい例は、既述の加飾フィルムにおいて、記載したとおりであり、好ましい例も同様である。
接着層の厚さは、10μm~80μmの範囲であり、20μm~60μmの範囲が好ましい。
(工程(V))
工程(V)では、接着層保護シートを準備する。接着層保護シートは、樹脂フィルムが好ましく用いられる。
樹脂フィルムとしては、PPフィルム、PETフィルムなどが挙げられ、PPフィルムが好ましい。
なお、接着層保護シートは、基材となる樹脂フィルムにエンボス加工を施し、凹凸が形成された接着層保護シートとすることが好ましい(工程(V-2))。
樹脂フィルムに凹凸を形成して接着層保護シートを得る方法としては、公知の方法を用いることができる。一般的には、エンボスロールを用いて加熱加圧して凹凸を形成するエンボス加工が適用される。
エンボス加工の温度は、樹脂フィルムの種類により適宜選択することができる。
接着層保護シートの厚みには特に制限はないが、予備成形性が良好であるという観点からは、20μm~80μmの範囲であることが好ましく、30μm~60μmの範囲であることがより好ましい。
接着層保護シートは、後述する加飾フィルムの予備成形後、成形体に適用する際に隣接する形状保持層と共に剥離される。
(工程(VI))
工程(VI)では、工程(IV)で形成された接着層を、工程(V)にて準備された接着層保護シートにより被覆する。
接着層保護シートとしては、既述のように易剥離性の樹脂フィルムとしてのPPフィルムがより好ましく、PPフィルムであって、凹凸が形成された接着層保護シートであることがより好ましい。
工程(VI)は、工程(III)と連続で行なうことができる。即ち、基材層上に接着剤を付与して、接着層を形成し、接着層が未硬化の状態で、接着層の表面に、別工程である工程(V)で準備された接着層保護シートを適用して、被覆することができる。
上記工程を経て、表皮層、基材層、接着層、及び接着層を被覆する接着層保護シートをこの順に有する加飾フィルムを得る。
加飾フィルムを成形体に貼り付ける場合には、加飾フィルムから、接着層保護シートを剥離した加飾積層体の状態で、接着層の表面(露出側)を成形体に接触させて貼り付ける。
本開示の加飾フィルムの製造方法は、さらにその他の工程を含むことができる。
例えば、加飾フィルムの製造方法は、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体及びポリ塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を用いて、形状保持層を形成する工程(工程(VII))、得られた形状保持層を、前記接着層保護シートの接着層側とは反対側に、接着剤を介して貼り合せる工程(工程(VIII))、基材層と接着層との間に、プライマー層を形成する工程(工程(IX))、表皮層と基材層の間に意匠層を形成する工程(工程(X))をさらに含むことができる。
加飾フィルムが任意の層である形状保持層を有する場合、形状保持層の形成は、下記工程(VII)及び工程(VIII)により行われることが好ましい。
(工程(VII))
工程(VII)では、ABS樹脂及びPVC樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を用いてカレンダー法、押出し法、キャスティング法等の公知の方法により形状保持層を形成する。なかでも、加工性の観点からカレンダー法により形状保持層を形成することが好ましい。
カレンダー法による形状保持層の形成方法は、用いる樹脂が異なる他は、工程(II)における基材層の形成方法と同様にして行なうことができる。
(工程(VIII))
工程(VIII)では、前記接着層保護シートの接着層側とは反対側の面に、接着剤を介して、前記工程(VII)で得た形状保持層を貼り合せる。
接着剤としては、シリコーン樹脂形の接着剤が好ましい。また、接着層の形成に用いられる接着剤を同様に使用することができる。
接着剤の塗布量は、20g/m~80g/mの範囲であることが好ましい。
(工程(IX))
工程(IX)において、プライマー層の形成は、塗布法により行なうことができる。即ち、プライマー層を形成するための樹脂を適切な溶媒で溶解し、基材層の、表皮層側とは反対側の面に塗布し、乾燥することでプライマー層を形成することができる。
プライマー層を形成する場合、工程(IX)の後に、既述の工程(IV)を実施して、プライマー層上に、接着層を形成すればよい。
(工程(X))
工程(X)は、加飾フィルムの製造方法において、さらに意匠層を形成する任意の工程である。
工程(X)では、工程(I)で準備した表皮層又は工程(II)で形成した基材層の片面に、意匠層を形成することができる。
意匠層を形成する方法としては、例えば、表皮層又は基材層の片面に、予め形成した意匠層を接着する方法、表皮層又は基材層の片面に、アクリル樹脂又は塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含む印刷インクを用いて印刷を行なう方法などが挙げられる。
なかでも、印刷により意匠層を形成することが、意匠の自由度が高いため好ましい。意匠層の形成方法としては、図柄を含む意匠層では、印刷法を適用することが挙げられ、着色層としての意匠層であれば、着色剤を含有させた樹脂組成物を、公知の方法によりフィルム状に成形して意匠層とする方法などが適用できる。
印刷法は、樹脂を含む印刷インクにより公知の図柄を印刷する方法であり、樹脂を含む印刷インク、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等を含む印刷インクを、公知の印刷方法、例えば、グラビヤ印刷(凹版印刷)、凸版印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷などにより印刷して形成する方法が挙げられる。
印刷法としては、具体的には、表皮層の片面に、グラビヤ印刷により、アクリル樹脂を含む印刷インクを用いて印刷を行なうことなどが挙げられる。グラビヤ印刷に用いるプリントロールの彫刻の大きさを調整することで、印刷インクの塗布量を調整しながら印刷を行なうことができ、種々の意匠を形成できる。
任意の層である意匠層は、表皮層又は基材層の一方の面上に所望により独立して形成することができることから、任意の色相、任意の意匠で所望の意匠を有する層が形成できる。従って、意匠層を設けることで、加飾フィルムに種々の意匠を付与することができる。
<加飾成形体>
本開示の加飾成形体は、立体形状を有する成形体と、前記加飾フィルムから接着層保護シートが剥離された加飾積層体と、を有する。なお、接着層保護シートに隣接して形状保持層を有する場合には、加飾フィルムの接着層から接着層保護シートを剥離することで、同時に接着層保護シートに隣接する形状保持層も剥離されて加飾積層体が得られる。
図2Aは、図1に示す本開示の加飾フィルムから接着層保護シートと形状保持層とを剥離した加飾積層体24として、成形体28の表面に貼り付けた状態の一例を示す概略断面図であり、図2Bは、加飾積層体24を加圧して成形体28に密着させて加飾成形体30とした状態の一例を示す概略断面図である。
図2Bに示すように、加飾成形体30は、加飾される成形体28と、成形体の表面に配置された、本開示の加飾フィルムから接着層保護シートと形状保持層とを剥離した加飾積層体24とを有する。加飾積層体24は、接着層保護シート及び形状保持層を有しない以外は、既述の本開示の加飾フィルムと同じ層構成を有する。即ち、図2A及び図2Bに示すように、加飾積層体24は、表面に凹凸を有してもよい表皮層12、基材層14、プライマー層16、及び接着層18を有する。図2A及び図2Bにおいて、基材層14と接着層18との密着性向上のために設けられるプライマー層16は、既述のように任意の層である。
<加飾成形体の製造方法>
既述の本開示の加飾フィルムは、加熱成形による成形体を作製する際に、成形体表面に意匠を付与する目的で好適に使用される。
本開示の加飾成形体の製造方法は、既述の本開示の加飾フィルムを、加飾フィルムを貼付する成形体の形状に適合する形状に真空成形法により予備成形する工程(工程(i))、前記予備成形した加飾フィルムの接着層保護シートを剥離する工程(工程(ii))、接着層保護シートを剥離した、前記加飾フィルム由来の加飾積層体を、前記加飾積層体の接着層を介して、立体形状を有する成形体の表面に貼り付ける工程(工程(iii))及び、成形体の表面に貼り付けた加飾積層体を加圧する工程(工程iv))を含む。
工程(i)では、本開示の加飾フィルムを、被着体基体としての成形体の立体形状に適合する型を用いて真空成形法により予備成形する。
予備成形する方法として、予備成形された加飾フィルム(加飾フィルムの予備成形体)の形状保持性の観点から、真空成形法を適用する。真空成形法は、公知の方法を適用できる。加飾フィルムを真空成形にて予備成形する際の加熱条件は、既述のように、80℃~150℃の温度範囲であることが好ましい。
工程(i)では、立体形状を有する成形体に即した形状の成形型の面上に加飾フィルムを配置し、常法により真空引きして成形型に沿わせて予備成形し、加飾フィルムの予備成形体を得る。
本開示の加飾フィルムは、上記した層構成を有するため、真空成形法により、速やかに予備成形され、得られた予備成形体は、形状保持性が良好となる。また、接着層保護シートに隣接して、さらに形状保持層を有することで、加飾フィルムの予備成形性はより良好となる。
工程(ii)では、前記予備成形した加飾フィルムの接着層保護シートを剥離する。そして、接着層保護シートが剥離され、接着層が露出した状態の加飾積層体を得る。加飾積層体は、接着層保護シートの機能により、接着層には、接着層保護シートの凹凸に由来する凹部が形成されている。
加飾フィルムは、接着層保護シートに隣接してさらに形状保持層等を有することで、予備成形時の接着層保護シートの収縮がより抑制され、予備成形体の形状保持性及び接着層に形成された凹部の形状保持性がより良好となる。
接着層保護シートに隣接してさらに形状保持層を有する場合、加飾フィルムの接着層から接着層保護シートを剥離する場合、接着層保護シートに隣接する形状保持層も同時に剥離され、加飾積層体が得られる。
工程(iii)では、工程(ii)において接着層保護シート及び所望により設けられた形状保持層を剥離した、前記加飾フィルム由来の加飾積層体24を、前記加飾積層体24の、成形体と接する面に凹部26が形成された接着層18を介して、立体形状を有する成形体28の表面に貼り付ける。(図2A参照)
工程(iii)では、前記加飾フィルム由来の加飾積層体を、前記加飾積層体24の接着層を介して、立体形状を有する成形体28の表面に貼り付ける工程は、接着層18の成形体と接触する側に設けられた接着層保護シートにより形成された凹部26の形状が維持される間に行なわれることが好ましい。
加飾積層体24は、接着層に形成された凹部26の形状保持性が良好であるため、成形体にそのまま貼り付けて配置することができる。加飾積層体24を、接着層18を介して成形体28に貼り付ける際に、接着層18に形成された凹部26により、接着層18と成形体28との接触面積が、接着層の表面が平滑な場合に比較して、より小さくなる。
このため、加飾積層体24を一旦貼り付けた後、貼り付け位置を修正する場合に、加飾積層体24は容易に再剥離することができ、且つ、簡易に貼り付けの位置修正を行うことができる。従って、加飾積層体24の再剥離に起因する伸び、しわの発生などの故障が抑制され、加飾積層体により加飾された外観が良好な加飾成形体30が得られる。
その後、図2Bに示すように、位置決めが完了した加飾積層体24を成形体28に向かって加圧することにより、接着層18に含まれる特定粘着剤が、応力によって成形体28の表面形状に沿うように変形して接着層18に形成された凹部は均されて、図2Bに示すように、成形体28に密着した均一な接着層18となる。このため、特定粘着剤の作用により、加飾積層体24は、接着層18を介して成形体28に密着し、安定に固定化される。
本開示の加飾積層体の製造方法は、さらに、成形体の表面に貼り付けた加飾積層体を加熱する工程(工程iv))を含んでもよい。
図2Bに示す状態に、加飾積層体24と成形体28とが密着した後、加飾積層体24を加熱することで、接着層18に含まれる特定粘着剤の硬化が促進されること、接着層18の成形体28表面への形状追従性が向上し、接触面積がより向上されること等により、加飾積層体24が成形体28により強固に密着する。
また、特定粘着剤としてホットメルト接着剤を用いた場合には、加飾積層体24における接着層18が再度軟化して、接着層18の成形体28表面への形状追従性が向上し、密着性が向上する。その後、加熱を終了して温度が常温まで降下することで、加飾積層体24と成形体28とがより強固に密着する。
本開示の加飾成形体は、既述のように、簡易な方法で製造することができる。同じ成形体に、異なる色相、意匠等を、容易に付与し得るため、種々の用途に適用することができる。また、予備成形され、接着層保護シートを剥離されて得られる加飾積層体は、柔軟であり、流体の除去性に優れるため、簡易な方法により種々の意匠の、外観が良好な加飾成形体を得ることができる。従って、本開示の加飾成形体の製造方法は、デザインの異なる加飾成形体の小ロット生産にも適する。
加飾成形体に適用し得る成形体としては、自動車、鉄道等の車輌、家具、航空機、船舶、建装、壁装などが挙げられ、種々の成形体の加飾に好適に使用し得る。
以下、実施例を挙げて本開示の加飾フィルムについて具体的に説明するが、本開示はこれらに制限されるものではない。
〔実施例1〕
(加飾フィルムの製造)
表皮層として、KFCフィルム FT-50Y(商品名)、クレハエクステック(株)(フッ素樹脂であるポリフッ化ビニリデン含有層とアクリル樹脂であるポリメチルメタクリレート含有層との積層体、厚み:50μm)を準備した(工程(I))。
PVC樹脂〔TH800(商品名)、大洋塩ビ(株)〕100kgに、顔料〔PV MAF 725(商品名)、大日精化工業(株)〕2kgを投入し、カレンダー法により、乾燥後の厚みが150μmになるようにシート状に成形して基材層を得た(工程(II))。
表皮層におけるポリメチルメタクリレート含有層側に、基材層を積層し、得られた積層体を、一対のエンボスロールの一方が絞模様を有する絞ロールであるエンボスロールを用いて、表皮層側を絞ロールに接触させて、ラミネートエンボスを行い、表皮層の表面に絞模様を形成した(工程(III))。
前記積層体の基材層の表皮層側とは反対側の面に、ウレタン系樹脂〔レザロイド(商品名)、大日精化工業(株)〕を塗布し、乾燥膜厚が3μmのプライマー層を形成し(工程(IX))、プライマー層上に、アクリル系粘着剤a〔Tg:-20℃、分子量:20万〕を、塗布量40g/mで塗布し、乾燥して厚さ50μmの接着層を形成した(工程(IV))。
接着層保護シートの基材として、平らな樹脂シート(PP(フジコー(株)、BK0A(商品名)、厚さ:60μm)を準備し、樹脂シートの表面温度150℃の条件で、凹凸を形成した。断面を光学顕微鏡で測定した凸部のサイズは、(凸部の幅120μm、高さ25μmであった(工程(V))。
工程(IV)で形成した接着層の表面を、工程(V)で得た凹凸が形成された接着層保護シートで被覆した(工程(VI))。
ABS樹脂〔TM-30G6(商品名)、UMG-ABS(株)〕100kgを、カレンダー法により、乾燥後の厚みが250μmになるようにシート状に成形して、形状保持層を形成した(工程(VII))。
接着層を被覆した接着層保護シートと、工程(VII)で得た形状保持層とを、シリコーン樹脂系接着剤〔セメダインPM165-R(商品名)、セメダイン(株)、塗布量5g/m〕を介して貼り合せ、実施例1の加飾フィルムを得た(工程(VIII))。
(比較例1)
工程(IV)で接着層の形成に用いた特定粘着剤であるアクリル系粘着剤aに代えて、アクリル系粘着剤b〔Tg:-52℃、分子量:60万〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の加飾フィルムを得た。
(比較例2)
工程(IV)で接着層の形成に用いた特定粘着剤であるアクリル系粘着剤aに代えて、アクリル系粘着剤c〔Tg:-47℃、分子量:50万〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の加飾フィルムを得た。
(比較例3)
工程(IV)で接着層の形成に用いた特定粘着剤であるアクリル系粘着剤aに代えて、アクリル系粘着剤d〔Tg:-35℃、分子量:60万〕を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の加飾フィルムを得た。
(加飾フィルムの評価)
得られた加飾フィルムを、真空成形装置を用いて、成形体の形状に合わせて予備成形した。
成形体としては、車両のルーフサイドを適用した。予備成形の際の展開率は、予備成形前の面積の100%~300%の範囲であった。
その後、予備成形した加飾フィルムの接着層保護シート及び形状保持層を剥離し、接着層側を、成形体側として、成形体に接触させ、成形体表面に貼り付けた。
モニターとしての作業者10名が、貼り付け時の成形体に対する加飾積層体の予備成形性、及び一旦成形体に貼付した後の位置修正の容易性について、実作業を行なって評価した。
また、加飾積層体を貼付した後の、加飾成形体の外観を目視で評価した。
いずれの評価も、以下の基準にて行なった。
10名の作業者のうち、一番多かった評価を採用した。評価結果が同数である場合には、より良好な結果を記載した。
結果を下記表1に示す。いずれも、Aが実用上問題のない範囲である。
(粘着性:ボールタック試験)
JIS Z 0237(2009年) 14.傾斜式ボールタック試験に準じて粘着性を評価した。傾斜角は30°とした。結果を下記表1に記載する。
ボールタック試験において評価が2以下であることが、初期粘着性が低く、貼り直しが容易であるという観点から好ましい。
(貼り付け位置の修正容易性)
A:容易に修正できる
B:修正がやや困難である
C:修正は不可であるか、又は修正後の加飾積層体にシワ、ヨレが発生した
(基材密着性)
A:貼り付け後の成形体との密着性が良好である
B:貼り付け後に貼り直しに起因した膨らみが僅かにある
C:貼り付け後に貼り直しに起因した膨らみが多く認められる
(外観)
A:外観に問題なし
B:シワ又は膨らみが僅かにあり、外観にやや問題あり
C:シワ又は膨らみがあり、外観に問題あり

実施例1の加飾フィルムは、予備成形後に加飾積層体として成形体に貼り付けた場合、位置修正の容易性が良好であり、作業性よく貼り付けができた。
また、貼り付け後の貼り直しに起因するシワ、膨らみがなく、加飾積層体と成形体との密着性が良好な加飾成形体が得られた。
比較例1~比較例3の加飾フィルムは、初期粘着性が強く、貼り直しが困難であった。また、貼り直しに起因して外観にやや問題があった。
以上の結果より、実施例の加飾フィルムを用いることで、外観の良好な加飾成形体を容易に得ることができることがわかる。
10 加飾フィルム
12 表皮層
14 基材層
16 プライマー層(樹脂層)
18 接着層
20 接着層保護シート
22 形状保持層
24 加飾積層体
26 接着層の凹部(凹部)
28 成形体(成形体基体)
30 加飾成形体

Claims (11)

  1. 表皮層と、基材層と、接着層と、接着層保護シートとを、この順で有し、
    前記接着層は、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含み、ガラス転移温度が-30℃以上であり、かつ、重量平均分子量が10万~40万である粘着剤により形成されており、厚さが10μm~80μmであり、前記接着層保護シートと接する側に凹凸を有し、下記試験方法(I)で測定した初期剥離強度が0.1N/cm~5N/cmの範囲であり、且つ、下記試験方法(II)で測定した経時後の剥離強度が7N/cm以上である接着層であり、
    前記接着層保護シートは、前記接着層と接する側に、前記接着層の凹凸と嵌合した凹凸を有する、
    立体形状を有する成形体の加飾に用いられる加飾フィルム。
    (試験方法(I))
    加飾フィルムから接着層保護シートを剥離し、ステンレス鋼板に貼り付け、JIS Z
    0237(2009年)に規定する粘着テープの180°剥離試験に準じて剥離強度を測定する。
    (試験方法(II))
    加飾フィルムから接着層保護シートを剥離し、ステンレス鋼板に貼り付け、20℃にて24時間保持した後、JIS Z 0237(2009年)に規定する粘着テープの180°剥離試験に準じて剥離強度を測定する。
  2. 前記接着層保護シートの、前記接着層を有する側とは反対側の面に、形状保持層を有する、請求項1に記載の加飾フィルム。
  3. 前記基材層は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む、請求項1又は請求項に記載の加飾フィルム。
  4. 前記接着層保護シートは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリエチレン(PE)から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  5. 加熱成形可能である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  6. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルムを製造する方法であって、
    フッ素樹脂を含む表皮層を準備する工程、
    ポリ塩化ビニル樹脂を含有する樹脂組成物を用いてポリ塩化ビニル樹脂を含有する基材層を形成する工程、
    前記基材層の、前記表皮層を有する側とは反対側の面に、エチレン酢酸ビニル、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、及び合成ゴムから選ばれる少なくとも1種を含み、ガラス転移温度が-30℃以上であり、かつ、重量平均分子量が10万~40万である粘着剤により、厚さが10μm~80μmの接着層を形成する工程、
    一方の面に凹凸を備えた接着層保護シートを準備する工程、
    前記接着層保護シートの前記凹凸を備えた面を前記接着層に接触させて、前記接着層保護シートにより前記接着層を被覆する工程、
    を含む加飾フィルムの製造方法。
  7. さらに、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体及びポリ塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を用いて、形状保持層を形成する工程、及び、
    得られた形状保持層を、前記接着層保護シートの接着層側とは反対側に、接着剤を介して貼り合せる工程を含む、請求項に記載の加飾フィルムの製造方法。
  8. 前記接着層保護シートを準備する工程は、樹脂シートにエンボス加工を施し、前記凹凸を備えた接着層保護シートを作製する工程を含む、請求項又は請求項に記載の加飾フィルムの製造方法。
  9. 立体形状を有する成形体と、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルムから接着層保護シートが剥離された加飾積層体と、を有する加飾成形体。
  10. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルムを、貼付する成形体の形状に適合する形状に真空成形法により予備成形する工程、
    前記予備成形した加飾フィルムから接着層保護シートを剥離する工程、
    前記加飾フィルムから接着層保護シートを剥離した加飾積層体を、前記加飾積層体の接着層を介して、立体形状を有する成形体の表面に貼り付ける工程、及び、
    成形体の表面に貼り付けた加飾積層体を加圧する工程、
    を有する加飾成形体の製造方法。
  11. さらに、成形体の表面に貼り付けた加飾積層体を加熱する工程を含む、請求項10に記載の加飾成形体の製造方法。
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