JP7683531B2 - 複合粒子、正極、全固体電池、および複合粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
前記コーティング膜は、ガラスネットワーク形成元素である第1元素および遷移元素である第2元素の少なくとも一方を含み、
前記コーティング膜の断面のラマン分光スペクトルにおいて、600~200cm-1の範囲内にピークトップを有するピークが存在する、複合粒子。
前記リン化合物は、前記第1元素および前記第2元素の少なくとも一方と、リンとを含み、
前記コーティング膜において、下記式(1)の関係を満たす、請求項1に記載の複合粒子。
CLi/(CP+CE1+CE2)≦2.5 …(1)
(上記式(1)中、
CLi、CP、CE1、CE2は、X線光電子分光法により測定される元素濃度を示し、
CLiは、リチウムの元素濃度を示し、
CPは、リンの元素濃度を示し、
CE1は、前記第1元素の元素濃度を示し、
CE2は、前記第2元素の元素濃度を示す。)
(b)前記混合物を乾燥することにより、複合粒子を製造すること、
を含み、
前記コーティング液は、溶質と溶媒とを含み、
前記溶質は、ガラスネットワーク形成元素である第1元素および遷移元素である第2元素の少なくとも一方を含む、
複合粒子の製造方法。
図2を参照して、複合粒子5は、正極活物質粒子1とコーティング膜2とを備える。複合粒子5は、例えば「被覆正極活物質」等と称され得る。
コーティング膜2は、正極活物質粒子1の表面の少なくとも一部を被覆している。コーティング膜2は、複合粒子5のシェルである。
コーティング膜2は、さらに、リン(P)を含み得る。コーティング膜2は、例えば、リン化合物を含み得る。
E2は、例えば、La、Ce、Zr、およびYからなる群より選択される少なくとも1種である。E2は、例えば、La、Ce、およびYからなる群より選択される少なくとも1種である。
なお、Liの組成比は、ゼロであってもよい。すなわち、コーティング膜(複合粒子)の表面にLiが存在していなくてもよく、コーティング膜(またはリン化合物)が全くLiを含んでいなくてもよい。
複合粒子の表面におけるLiの組成比「CLi/(CP+CE1+CE2)」は、次の手順でXPSにより測定され得る。XPS装置が準備される。例えば、アルバック・ファイ社製のXPS装置「製品名 PHI X-tool」(またはこれと同等品)が使用されてもよい。複合粒子からなる試料粉末がXPS装置にセットされる。224eVのパスエネルギーにより、ナロースキャン分析が実施される。測定データが解析ソフトフェアにより処理される。例えば、アルバック・ファイ社製の解析ソフトフェア「製品名 MulTiPak」(またはこれと同等品)が使用されてもよい。Li1sスペクトルのピーク面積(積分値)が、Liの元素濃度(CLi)に変換される。P2pスペクトルのピーク面積が、Pの元素濃度(CP)に変換される。E1およびE2については、その種類に応じて、適切なスペクトルが選択される。例えばBの場合、B1sスペクトルのピーク面積が、Bの元素濃度(CE1)に変換される。例えばLaの場合、La3d5スペクトルのピーク面積が、Laの元素濃度(CE2)に変換される。CP、CE1およびCE2の合計で、CLiが除されることにより、粒子表面におけるLiの組成比が求まる。
LiwE1 xE2 yPOz …(2)
上記式(2)中、E1はE1を示す。E2はE2を示す。w、x、y、zは、任意の数である。w、x、y、zは、例えば、複合粒子5の断面のコーティング膜2の部分がSTEM-EDX(Scanning Transmission Electron Microscope - Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)等により分析されることにより特定され得る。断面試料は、後述の(膜厚測定)と同様の手順に従って作製される。
被覆率もXPSにより測定される。パスエネルギーを120eVとした点以外は上記の(Liの組成比のXPS測定)と同様にして得られる測定データが解析されることにより、C1s、O1s、P1s、M2p3等の各ピーク面積(強度値)から、各元素の比率(元素濃度)が求まる。下記式(3)により、被覆率が求まる。
θ=(P+E1+E2)/(P+E1+E2+M)×100 …(3)
上記式(3)中、θは被覆率(%)を示す。P、E1、E2、Mは、各元素の比率を示す。
LiMO2 …(4)
Mは、1種の元素からなっていてもよいし、複数の元素からなっていてもよい。Mは、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)およびアルミニウム(Al)からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。Mが複数の元素を含むとき、各元素の組成比の合計は1であってもよい。
θ=(P+E1+E2)/(P+E1+E2+Ni+Co+Mn)×100 …(3’)
上記式(3’)中のNiは、Ni2p3のピーク面積から求まるニッケルの元素比率を示す。Coは、Co2p3のピーク面積から求まるコバルトの元素比率を示す。Mnは、Mn2p3のピーク面積から求まるマンガンの元素比率を示す。
膜厚(コーティング膜の厚さ)は、次の手順で測定され得る。複合粒子が樹脂材料に包埋されることにより、試料が準備される。イオンミリング装置により、試料に断面出し加工が施される。例えば、日立ハイテクノロジーズ社製のイオンミリング装置「製品名 Arblade(登録商標)5000」(またはこれと同等品)が使用されてもよい。試料の断面がSEM(Scanning Electron Microscope)により観察される。例えば、日立ハイテクノロジーズ社製のSEM装置「製品名 SU8030」(またはこれと同等品)が使用されてもよい。10個の複合粒子について、それぞれ、20個の視野で膜厚が測定される。合計で200箇所の膜厚の算術平均が、膜厚とみなされる。
正極活物質粒子1は、複合粒子5のコアである。正極活物質粒子1は、二次粒子(一次粒子の集合体)であってもよい。正極活物質粒子1(二次粒子)は、例えば、1~50μmのD50を有していてもよいし、1~20μmのD50を有していてもよいし、5~15μmのD50を有していてもよい。一次粒子は、例えば、0.1~3μmの最大フェレ径を有していてもよい。
図3は、本実施形態における全固体電池を示す概念図である。全固体電池100は、例えば、外装体(不図示)を含んでいてもよい。外装体は、例えば、金属箔ラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。外装体が、発電要素50を収納していてもよい。発電要素50は、正極10とセパレータ層30と負極20とを含む。すなわち全固体電池100は、正極10とセパレータ層30と負極20とを含む。
正極10は層状である。正極10は、例えば、正極活物質層と、正極集電体とを含んでいてもよい。例えば、正極集電体の表面に正極合材が塗着されることにより、正極活物質層が形成されていてもよい。正極集電体は、例えば、Al箔等を含んでいてもよい。正極集電体は、例えば、5~50μmの厚さを有していてもよい。
負極20は層状である。負極20は、例えば、負極活物質層と、負極集電体とを含んでいてもよい。例えば、負極集電体の表面に負極合材が塗着されることにより、負極活物質層が形成されていてもよい。負極集電体は、例えば、Cu箔、Ni箔等を含んでいてもよい。負極集電体は、例えば、5~50μmの厚さを有していてもよい。
セパレータ層30は、正極10と負極20との間に介在している。セパレータ層30は、正極10を負極20から分離している。セパレータ層30は、硫化物固体電解質を含む。セパレータ層30はバインダをさらに含んでいてもよい。セパレータ層30と正極合材との間で、硫化物固体電解質は同種であってもよいし、異種であってもよい。セパレータ層30と負極合材との間で、硫化物固体電解質は同種であってもよいし、異種であってもよい。
図4は、本実施形態における複合粒子の製造方法の概略フローチャートである。以下「本実施形態における複合粒子の製造方法」が「本製造方法」と略記され得る。本製造方法は、「(a)混合物の準備」および「(b)複合粒子の製造」を含む。本製造方法は、例えば「(c)熱処理」等をさらに含んでいてもよい。
本製造方法は、コーティング液と正極活物質粒子とを混合する(正極活物質粒子の表面にコーティング液を付着させる)ことにより、混合物を準備することを含む。正極活物質粒子の詳細は、前述のとおりである。
溶質は、例えば、E1のオキソ酸、およびE1の酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。溶質は、例えば、ホウ酸、ケイ酸、硝酸、硫酸、およびゲルマニウム酸からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。溶質は、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸等を含んでいてもよい。
溶質は、例えば、E2の酸化物を含んでいてもよい。溶質は、例えば、酸化ランタン、酸化セリウム、および酸化イットリウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
0.040<(nE1+nE2)/nP≦1.51 …(5)
上記式(5)中、
nPは、コーティング液中におけるPのモル濃度を示す。
nE1は、コーティング液中における第1元素のモル濃度を示す。
nE2は、コーティング液中における第2元素のモル濃度を示す。
コーティング液中の上記モル比「(nE1+nE2)/nP」は、次の手順で測定される。0.01gのコーティング液が純水で希釈されることにより、100mLの試料液が準備される。P、E1、E2の水溶液(1000ppm、10000ppm)が準備される。0.01gの水溶液が純水で希釈されることにより、標準液が準備される。ICP-AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)装置が準備される。ICP-AES装置により、標準液の発光強度が測定される。標準液の発光強度から、検量線が作成される。ICP-AES装置により、試料液(コーティング液の希釈液)の発光強度が測定される。試料液の発光強度と、検量線とから、コーティング液におけるP、E1、E2の質量濃度が求まる。さらにP、E1、E2の質量濃度がモル濃度に変換される。E1のモル濃度(nE1)と、E2のモル濃度(nE2)との合計が、Pのモル濃度(nP)で除されることにより、モル比が求まる。
本製造方法は、上記の混合物を乾燥することにより、複合粒子を製造することを含む。正極活物質粒子の表面に付着したコーティング液が乾燥することにより、コーティング膜が生成され、複合粒子が製造される。本製造方法においては、任意の乾燥方法が使用され得る。
本製造方法は、複合粒子に熱処理を施すことを含んでいてもよい。熱処理によりコーティング膜が定着し得る。熱処理は「焼成」とも称され得る。本製造方法においては、任意の熱処理装置が使用され得る。熱処理温度は、例えば、150~300℃であってもよい。熱処理時間は、例えば、1~10時間であってもよい。例えば、空気中で熱処理が実施されてもよいし、不活性雰囲気下で熱処理が実施されてもよい。
〔複合粒子の調製〕
870.4質量部の過酸化水素水(質量濃度 30%)が容器に投入された。次に、987.4質量部のイオン交換水と、44.2質量部のリン酸〔P2O5・3H2O〕とが容器に投入された。次に、87.9質量部のアンモニア水(質量濃度 28%)が容器に投入された。容器の内容物が十分攪拌されることにより、溶液が調製された。溶液は、Pのペルオキソ錯体を含むと考えられる。さらに、0.1質量部の水酸化リチウム・1水和物(LiOH・H2O)が溶液に溶解されることにより、コーティング液が調製された。
(正極の作製)
下記材料が準備された。
硫化物固体電解質:LiIを含むLi2S-P2S5系ガラスセラミックス(D50:0.8μm)
導電材:VGCF(気相法炭素繊維)
バインダ:SBR(ブタジエンゴム)
分散媒:ヘプタン
正極集電体:Al箔
フィルミックス装置(プライミクス製30-L型)の混練容器に、硫化物固体電解質(LiIを含むLi2S-P2S5系ガラスセラミックス、D50:0.8μm)と、1質量%の導電助剤(VGCF)と、2質量%のバインダー(SBR)と、ヘプタンとを投入し、20000rpmで30分間撹拌した。
次いで、負極活物質(Li4Ti5O12粒子、D50:1μm)と固体電解質とを体積比率が6:4となるように、混練容器に投入し、フィルミックス装置を用いて15000rpmで60分間撹拌することにより、負極合剤を調製した。調製された負極合剤を銅箔上に塗工し、100℃にて30分間乾燥させた。これにより負極原反が製造された。負極原反から、円盤状の負極が切り出された。負極の面積は1cm2であった。
内径断面積1cm2の筒状セラミックスに、64.8mgの硫化物固体電解質(LiIを含むLi2S-P2S5系ガラスセラミックス、D50:2.5μm)を入れ、平滑にした後、1ton/cm2でプレスし、セパレータ層(固体電解質層)を作製した。
固体電解質層の一方の面に作製された正極を重ね、固体電解質層の他方の面に作製された負極を重ね合わせて、6ton/cm2で1分間のプレスを行った。次いで、正極および負極に端子(ステンレス棒)が入れられた状態で、1tonで拘束することにより、全固体電池(全固体リチウムイオン電池)が作製された。
実施例1では、166質量部のイオン交換水に、10.8質量部のオルトリン酸(85%、キシダ化学社製)が溶解されることにより、溶液が調製された。さらにモル比「nLi/(nP+nE1+nE2)」が0.45となるように、溶液に水酸化リチウム・1水和物が溶解されることにより、コーティング液が調製された。それ以外の点は比較例1と同様にして、実施例1の複合粒子および電池が作製された。なお、実施例1の複合粒子において、コーティング膜は、例えば、Li0.5PO3などのLixPOy(x、yは任意の数である。)を含むと考えられる。
実施例2では、166質量部のイオン交換水に、6.7質量部のホウ酸(ナカライテスク社製)が溶解されることにより、コーティング液が調製された。それ以外の点は比較例1と同様にして、実施例2の複合粒子および電池が作製された。なお、実施例2の複合粒子において、コーティング膜は、例えば、BOなどのBOx(xは任意の数である。)を含むと考えられる。
実施例3では、166質量部のイオン交換水に、10.8質量部のメタリン酸(富士フイルム和光純薬社製)が溶解されることにより、溶液が調製された。さらにモル比「(nE1+nE2)/nP」が1.0となるように、溶液にホウ酸(ナカライテスク社製)が溶解されることにより、コーティング液が調製された。それ以外の点は比較例1と同様にして、実施例3の複合粒子および電池が作製された。なお、実施例3の複合粒子において、コーティング膜は、例えば、BPOXなどのBxPOy(x、yは任意の数である。)を含むと考えられる。
実施例4では、複合粒子の熱処理の温度が400℃に変更された。それ以外の点は実施例3と同様にして、実施例4の複合粒子および電池が作製された。なお、実施例4の複合粒子において、コーティング膜は、例えば、BPOXなどのBxPOy(x、yは任意の数である。)を含むと考えられる。
〔複合粒子(コーティング膜)のラマン分光スペクトルの測定〕
上記実施例および比較例の各々の複合粒子について、コーティング膜の断面を対象としたラマン分光スペクトルが測定された。図1に、実施例および比較例の各々の複合粒子(コーティング膜)のラマン分光スペクトルが示される。また、表1に、ラマン分光スペクトルの各ピークのピークトップにおけるラマンシフト値が示される。ラマン分光スペクトルの測定条件は以下のとおりである。
ラマン分光装置: 「DXR3xi イメージング顕微ラマン」(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社)
レーザーエネルギー: 1.5mW
露光時間: 50~100Hz
スキャン回数: 100
上記の実施例および比較例の各々の電池(全固体電池)について、以下の方法により出力特性(反応抵抗)が評価された。
各々の電池について、1/3Cレートにて定電流-定電圧(CC-CV)充電および定電流(CC)放電が3サイクル繰り返された。3サイクル目の放電容量が初期容量として確認された。なお、「C」は電流レートの単位である。「1C」は、1時間の充電により、SOC(充電率:State of Charge)が0%から100%に到達する電流レートを示す。
上記の初期容量が確認された電池が、1/3CレートにてSOC(充電率)が50%の状態まで充電された。その後、電池の交流インピーダンスが10mV、0.1~106Hzの条件で測定された。交流インピーダンスの測定結果に基づいて作成されたCole-Coleプロットに対して円弧をフィッティングし、フィッティングした円弧と実軸との交点の2点間の距離を反応抵抗(放電抵抗)として測定した。
Claims (6)
- 正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆するコーティング膜と、を備え、
前記コーティング膜は、リン化合物を含み、
前記リン化合物は、ガラスネットワーク形成元素である第1元素および遷移元素である第2元素の少なくとも一方と、リンと、を含み、
前記第1元素は、ホウ素、珪素、およびゲルマニウムからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記コーティング膜の断面のラマン分光スペクトルにおいて、600~200cm-1の範囲内にピークトップを有するピークが存在し、
前記コーティング膜において、下記式(1)の関係を満たす、複合粒子。
CLi/(CP+CE1+CE2)≦2.5 …(1)
(上記式(1)中、
CLi、CP、CE1、CE2は、X線光電子分光法により測定される元素濃度を示し、
CLiは、リチウムの元素濃度を示し、
CPは、リンの元素濃度を示し、
CE1は、前記第1元素の元素濃度を示し、
CE2は、前記第2元素の元素濃度を示す。) - 前記第2元素は、第2遷移元素および第3遷移元素からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の複合粒子。
- 前記コーティング膜の断面のラマン分光スペクトルにおいて、さらに、1250~1050cm-1および800~630cm-1の範囲内にピークトップを有するピークが存在する、請求項1に記載の複合粒子。
- 請求項1に記載の複合粒子と、硫化物固体電解質と、を含む、正極。
- 請求項4に記載の正極を含む、全固体電池。
- 請求項1に記載の複合粒子を製造する、製造方法であって、
(a)コーティング液と正極活物質粒子とを混合することにより、混合物を準備すること、および
(b)前記混合物を乾燥することにより、複合粒子を製造すること、
を含み、
前記コーティング液は、溶質と溶媒とを含み、
前記溶質は、前記第1元素および前記第2元素の少なくとも一方と、リンと、を含む、
複合粒子の製造方法。
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