以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1を参照して、本実施例の画像形成装置1の全体的な構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置1の概略断面図である。本実施例の画像形成装置1は、電子写真方式のレーザープリンタであって、ホストコンピュータなどの外部装置200(図3)から入力される画像情報に応じて画像を紙やプラスチックフィルムなどの記録材Pに形成する。
画像形成装置1は、像担持体としての回転可能なドラム形状(円筒形状)の感光体(感光体ドラム)2を有する。外部装置200から画像形成装置1にプリント指令(プリント動作の開始指示)が入力されると、感光体2は図1中の反時計回り方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。本実施例では、感光体2は、アルミニウムシリンダ上に、OPC層(有機感光体:Organic Photoconductor)が形成されて構成されている。本実施例では、OPC層は、ポリカーボネート系バインダーを主体とした厚み20μmのCT層(電荷輸送層:Charge Transfer Layer)を有する。また、本実施例では、感光体2の外径は30mmである。
回転する感光体2の表面は、帯電手段としての回転可能なローラ状の帯電部材である帯電ローラ3により、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。本実施例では、感光体2は、表面電位(帯電電位、暗電位)が-500Vとなるように帯電処理される。本実施例では、帯電ローラ3は、導電性芯金の周りに導電性弾性層を被覆した単層構成の弾性体ローラである。本実施例では、帯電ローラ3は、導電性芯金の長手方向の両端部が押圧手段(図示せず)により感光体2に向けて押圧されており、感光体2の表面に接触して感光体2の回転に伴い従動回転する。本実施例では、帯電工程時に、帯電ローラ3には、負極性の直流電圧である所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。なお、感光体2の回転方向に関する感光体2上の帯電ローラ3による帯電処理が行われる位置が帯電位置である。帯電ローラ3は、感光体2の回転方向に関して感光体2と帯電ローラ3との接触部の上流側及び下流側に形成される感光体2と帯電ローラ3との間の微小な空隙のうちの少なくとも一方で生じる放電により感光体2の表面を帯電処理する。ただし、感光体2の回転方向に関する感光体2上の帯電ローラ3と接触する位置を帯電位置と擬制して考えてもよい。
帯電処理された感光体2の表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナ)4により画像情報に応じて走査露光される。画像形成装置1のビデオコントローラ110(図3)は、外部装置200から画像形成装置1に入力される画像情報を処理して時系列電気デジタル画素信号を生成する。露光装置4は、上記時系列電気デジタル画素信号に応じて変調されたレーザー光Lを出力して、このレーザー光Lにより感光体2の帯電面を走査露光する。これにより、感光体2上に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。
感光体2上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像器5により現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光体2上にトナー像(トナー画像、現像剤像)が形成される。現像器5は、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光体2上の露光部(イメージ部)に、感光体2の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを付着させる(反転現像方式)。本実施例では、現像工程時に、現像器5が有する現像剤担持体(現像部材)としての現像ローラには、負極性の直流電圧である所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。また、本実施例では、現像器5は、現像剤として非磁性一成分現像剤を用いるが、現像剤は、磁性一成分現像剤や、トナーとキャリアとを備えた二成分現像剤であってもよい。なお、感光体2の回転方向に関する感光体2上の現像器5による静電潜像の現像処理が行われる位置(本実施例では感光体2上の現像ローラと接触する位置)が現像位置である。
感光体2に対向して、転写手段としての回転可能なローラ状の転写部材(転写回転体)である転写ローラ8が配置されている。本実施例では、転写ローラ8は、外径5mmのSUS(ステンレス鋼)製の芯金の上に、肉厚4.5mmのNBR(アクリルニトリルブタジエン)、ヒドリンからなるスポンジ状の弾性層を形成した、外径14mmの弾性体ローラである。本実施例では、転写ローラ8は、感光体2に向けて押圧され、感光体2の外周面と転写ローラ8の外周面との接触部である転写ニップ部(転写部)Nを形成する。転写ローラ8は、感光体2の回転に伴って従動回転する。感光体2上のトナー像は、感光体2の回転によって転写ニップ部Nに送られる。なお、感光体2の回転方向に関する感光体2上の記録材Pへのトナー像の転写処理が行われる位置(本実施例では感光体2上の転写ローラ8と接触する位置)が転写位置であり、上記転写ニップ部Nを形成する感光体2上の位置が相当する。
給送カセット9のシート積載台9a上に積載されている記録用紙などのシート状の記録材Pは、所定の制御タイミングで駆動される給送ローラ10により1枚ずつピックアップされ、搬送ローラ対11によりレジストレーション部へと送られる。レジストレーション部では、記録材Pの先端がレジストレーションローラ12とコロ12aとの間のニップ部で一旦受け止められて、記録材Pの斜行矯正が行われる。また、レジストレーション部には、記録材Pの搬送方向に関してレジストレーションローラ12及びコロ12aよりも下流側に、記録材検知手段としてのレジセンサ13が配置されている。このレジセンサ13により、記録材Pの先端及び後端のそれぞれの到達タイミングが検知される。その後、記録材Pは、レジストレーション部から転写ニップ部Nへと給送される。転写ニップ部Nに給送された記録材Pは、感光体2と転写ローラ8とにより挟持されて搬送される。転写ローラ8には、転写ニップ部Nを記録材Pが搬送される過程で、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である所定の転写電圧(転写バイアス)が印加され、感光体2上のトナー像が記録材Pに転写される。
記録材Pの搬送方向に関して転写ニップ部Nよりも下流側に、記録材Pの除電手段としての除電針20が設けられている。この除電針20は、記録材Pに対して転写ローラ8から付与された余剰な電荷を除電することを目的として設置されている。感光体2の表面から分離された記録材Pは、搬送ガイド14に沿いながら、定着手段としての定着装置15へと搬送される。定着装置15は、定着フィルムなどの定着回転体15aと、定着回転体15aに圧接する加圧ローラなどの加圧部材15bとを有する。定着装置15は、定着回転体15aと加圧回転体15bとの接触部である定着ニップ部において、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することで、記録材Pにトナー像を定着させる。トナー像が定着された後の記録材Pは、定着装置15の定着ニップ部から排出されて、排出ローラ16により搬送される。記録材Pの搬送方向に関して定着ニップ部よりも下流側に、記録材検知手段としての排出センサ18が配置されており、記録材Pの排出センサ18の通過の有無がこの排出センサ18により検知される。排出ローラ16は、記録材Pを画像形成装置1の装置本体の外部に設けられた排出トレイ17上に排出(出力)する。
一方、記録材Pが分離された後の感光体2の表面に残留したトナー(転写残トナー)などの付着物は、クリーニング手段としてのクリーナー6により感光体2の表面から除去されて回収される。これにより、感光体2は繰り返して画像形成に供される。
なお、本実施例の画像形成装置1は、プロセススピード(感光体2の周速度に相当)が約300mm/sであり、プリントスピードが40枚/分(LTRサイズの記録材Pの場合)である。
また、本実施例では、感光体2と、感光体2に作用するプロセス手段としての帯電ローラ3、現像器5及びクリーナー6とは、一体的に画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジを構成している。
図2を参照して、本実施例の画像形成装置1における転写ローラ8への電圧の印加に関する構成について説明する。図2は、本実施例の画像形成装置1の転写ニップ部Nの近傍の模式図である。図2中の矢印Sは記録材Pの搬送方向を示している。記録材Pは転写ニップ部Nを通って矢印Sの方向に搬送される。
帯電ローラ3には、電圧印加手段として、直流の負極性の電圧を出力する第1の電源30が接続されている。第1の電源30から帯電ローラ3に負極性の直流電圧である帯電電圧を印加することで、感光体2の表面を負極性に帯電させることができる。
転写ローラ8には、電圧印加手段として、直流の正極性の電圧を出力する第2の電源31と、上記負極性の電圧を出力する第2の電源31と、が直列に接続されている。第1の電源30は、帯電ローラ3に負極性の電圧を印加する電源としての機能と、転写ローラ8に負極性の電圧を印加する電源としての機能と、を兼ねている。本実施例では、斯かる構成により、画像形成装置1の小型化やコストダウンを図っている。また、第2の電源31には、後述するように転写ローラ8に印加する電圧の定電流制御を行うために、転写ローラ8(転写ニップ部N)に流れる電流を検知する電流検知手段としての電流検知部(電流検知回路、電流計)32が接続されている。電流検知部32は、転写ローラ8に流れる電流を検知して、電流値の検知結果を示す信号を後述する制御部100に入力する。また、本実施例では、後述する制御部100は、電圧検知手段として機能し、第1の電源30、第2の電源31に対する電圧出力指示に基づいて、第1の電源30、第2の電源31が出力する電圧の電圧値を検知(認識)することができる。なお、第1の電源30、第2の電源31などに電圧検知手段としての電圧検知部(電圧検知回路、電圧計)を設け、その電圧検知部が電圧値の検知結果を示す信号を制御部100に入力するようになっていてもよい。
第1の電源30は、プリント動作中(感光体2の回転開始から回転停止までの期間に相当)は、帯電ローラ3に負極性の電圧を印加するために継続して一定の電圧を出力している。そして、第1の電源30が出力する負極性の電圧と、第2の電源31が出力する正極性の電圧と、を重畳して、転写ローラ8に印加する。第2の電源31が出力する正極性の電圧を制御することで、後述するようにプリント動作中に転写ローラ8に正極性の直流電圧から負極性の直流電圧まで所望の電圧を印加(印加電圧を約0Vとすることを含む。)することができる。また、転写ローラ8に正極性の電圧と負極性の電圧とを重畳した電圧を印加することで、後述する紙後端制御において転写ローラ8に印加する電圧を切り替える際に、転写中の転写電圧から後端電圧へ減衰させる速度(応答速度)を速くすることが可能となる。転写ローラ8に印加する電圧の減衰時間には、第2の電源31の出力を安定化させるためのコンデンサーなど(図示せず)から電荷が抜けるための時間が大きく影響する。本実施例では、転写ローラ8に印加する電圧を後端電圧に変更するタイミングで既に第1の電源30から負極性の電圧が出力されている。そのため、正極性のみの印加に比べ、コンデンサーなどからの電荷の移動が促進され、結果的に転写ローラ8に印加する電圧の減衰時間を短縮することが可能となる。本実施例では、第1、第2の電源30、31が、転写部材8に電圧を印加する印加部を構成する。
なお、画像形成装置1は、帯電ローラ3に負極性の電圧を印加する電源と、転写ローラ8に正極性の電圧と負極性の電圧とを印加可能な電源と、を別個に設けた構成とすることもできる。
2.制御態様
図3は、本実施例の画像形成装置1の要部の制御態様を示す概略ブロック図である。画像形成装置1には、画像形成装置1の動作を制御するための制御部100が設けられている。制御部100は、演算処理を行う中心的素子である演算制御手段としてのCPU101、記憶手段としてのROM、RAMなどのメモリ(記憶媒体)102、制御部100と各部との信号の授受を制御する入出力部(図示せず)などを有して構成される。書き換え可能なメモリであるRAMには、制御部100に入力された情報、検知された情報、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。CPU101とROM、RAMなどのメモリ102とは互いにデータの転送や読込みが可能となっている。
制御部100は、画像形成装置1の各部を統括的に制御する。本実施例との関係では、制御部100には、特に、レジセンサ13、排出センサ18、第1の電源30、第2の電源31、電流検知部32などが接続されている。制御部100は、後述するように、レジセンサ13や排出センサ18による記録材Pの搬送状態の検知結果に基づいて、第1の電源30、第2の電源31(特に、第2の電源31)を制御して、転写ローラ8に印加する電圧の切り替えを行う。また、制御部100は、後述するように、電流検知部32による転写ローラ8(転写ニップ部N)に流れる電流の検知結果に基づいて、転写中に転写ローラ8に印加する転写電圧の制御を行う。
ここで、画像形成装置1は、1つの開始指示により開始される、単一又は複数の記録材Pに画像を形成して出力する一連の動作であるプリント動作(プリントジョブ、画像形成動作)を実行する。プリント動作は、一般に、画像形成工程、前回転工程、複数の記録材Pに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に記録材Pに形成して出力する画像の静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の転写を行う期間であり、画像形成時とはこの期間のことをいう。より詳細には、画像形成時のタイミングは、上記静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の転写の各工程を行う位置で異なり、感光体2上の画像形成領域が上記各位置を通過している期間に相当する。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程(画像間工程、記録材間工程)は、複数の記録材Pに対する画像形成を連続して行う際(連続画像形成)の記録材Pと記録材Pとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置1の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程などが含まれる。より詳細には、非画像形成時のタイミングは、感光体2上の非画像形成領域が、上記静電潜像の形成、トナー像の形成、トナー像の転写の各工程を行う各位置を通過している期間に相当する。なお、感光体2上あるいは記録材P上の画像形成領域とは、記録材Pのサイズなどに応じて予め設定された、記録材Pに転写されて画像形成装置1から出力されるトナー像が形成され得る領域であり、非画像形成領域は画像形成領域以外の領域である。なお、本実施例では、記録材Pの搬送方向に関する記録材Pの先端部及び後端部(特に後端部)の所定の領域には、非画像形成領域である余白部が設けられる。
3.紙コバ汚れの発生メカニズム
次に、紙コバ汚れの発生メカニズムについて説明する。画像形成装置1において、プリント動作が開始された後にジャム(紙詰まり)が発生すると、プリント動作が未完了な状態で画像形成装置1が停止する。そして、このようにジャムが発生してプリント動作が未完了な状態で画像形成装置1が停止すると、転写ローラ8に負極性のトナーである汚れトナーが付着する場合がある。なお、制御部100は、レジセンサ13や排出センサ18の検知信号に基づいて、所定の範囲のタイミングで記録材Pの先端や後端がこれら各センサにより検知されない場合などにジャムが発生したと判断し、画像形成装置1の動作を停止させることができる。ここで、プリント動作が未完了の状態で画像形成装置1が停止するとは、より詳細には、次のようなことをいう。つまり、画像形成装置1に開始指示が入力されてプリント動作が開始された後に、該プリント動作で指定された全ての画像の出力が終了して画像形成装置1の動作が正規に停止する前に、画像形成装置1の動作(感光体2の回転、記録材Pの搬送)が強制的に停止することをいう。典型的には、プリント動作が開始され、感光体2の回転が開始された後に、感光体2上にトナー像の少なくとも一部がある状態、あるいは少なくとも一部のトナー像が未定着のまま記録材P上にある状態で、感光体2の回転、記録材Pの搬送が停止することをいう。
ジャムの発生後のプリント動作において、転写中の正極性の転写電圧が転写ローラ8に印加されていれば、転写ローラ8に付着した負極性のトナーは、転写ローラ8に引き付けられて保持されるので、記録材Pの裏面(非画像形成面)には転移しにくい。しかし、転写ローラ8に印加される電圧が、正極性で転写中よりも絶対値が小さい場合、約0Vの場合、あるいは負極性である場合には、次のようになる。つまり、転写ローラ8に付着した負極性のトナーの転写ローラ8による保持力が弱くなったり、転写ローラ8から反発する方向に力が働いたりする。そのため、記録材Pの後端部において、感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るために、転写ローラ8に印加する電圧を転写中に転写ローラ8に印加する転写電圧よりも低くする制御を行う場合には、次のようになることがある。つまり、トナーが転写ローラ8から記録材Pの後端のコバ(端面)に転移しやすくなり、記録材Pの後端の紙コバ汚れが発生することがある。特に、コバが汚れた記録材Pが積層されると、その汚れが視認されやすくなる。
4.転写ローラに印加する電圧の制御
次に、本実施例における転写ローラ8に印加する電圧の制御について説明する。本実施例では、画像形成装置1には、プリント動作において転写ローラ8に印加する電圧の設定として、第1の設定と、第2の設定と、が設けられている。第1の設定は、感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るための設定(以下、「通常設定」ともいう。)である。また、第2の設定は、ジャムの発生後の紙コバ汚れを抑制するための設定(以下、「汚れ抑制設定」ともいう。)である。ここで、転写ローラ8に印加する電圧の設定とは、より詳細には、転写ローラ8に定電圧制御で電圧を印加する場合の電圧の目標値(目標電圧)、又は転写ローラ8に定電流制御で電圧を印加する場合の電流の目標値(目標電流)の設定のことである。
図4(a)を参照して、通常設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の制御について説明する。図4(a)は、通常設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の時系列的変化を示すチャート図である。図4(a)は、記録材Pとしての先行紙P1と後続紙P2とをそれらの間に紙間を設けて搬送して連続画像形成を行なった場合の例を示している。
制御部100は、プリント動作を開始すると、まず、前回転工程において、転写ローラ8をクリーニングするクリーニング制御を実行する。つまり、制御部100は、転写ローラ8に転写中の転写電圧とは逆極性である負極性の電圧を定電圧制御で印加し、転写ローラ8に付着している可能性がある汚れトナーを感光体2へ転移させた後、そのトナーをクリーナー6により回収するように制御する。本実施例では、クリーニング制御における転写ローラ8のクリーニングのための電圧の電圧値は、-500Vに設定した。
次に、制御部100は、前回転工程において、ATVC(Auto Transfer Voltage Control)を実行する。ATVCは、後述する転写電圧の初期電圧値を決定するための制御である。ATVCは、記録材Pが転写ニップ部Nに搬送される前に実行される。制御部100は、ATVCにおいて、電流検知部32により検知される電流が目標電流に近づくように第2の電源31を制御する。本実施例では、ATVCにおいて、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の電圧が転写ローラ8に印加される。そして、制御部100は、その際に転写ローラ8に印加される電圧(第2の電源31が出力する電圧)の電圧値を求め、求めた電圧値に基づいて転写電圧の初期電圧値を決定する。本実施例では、ATVCの目標電流は、3μAに設定した。
次に、制御部100は、記録材Pが転写ニップ部Nに搬送される直前に、第2の電源31を制御して、転写ローラ8にATVCで決定した初期電圧値の転写電圧を定電圧制御で印加するように制御する。つまり、本実施例では、記録材Pの先端を含む記録材Pの先端部の所定の領域が転写ニップ部Nを通過している際には、ATVCで決定された初期電圧値の転写電圧が定電圧制御で転写ローラ8に印加される。本実施例では、上記記録材Pの先端部の所定の領域は、記録材Pの先端部の余白部に対応する。ただし、上記記録材Pの先端部の所定の領域は、画像形成領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。その後、制御部100は、転写ローラ8に印加する転写電圧(トナーの正規の帯電極性及び感光体2の帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧)の定電流制御を実行する。定電流制御は、記録材Pに対してトナーを転写するために実行される制御である。制御部100は、転写電圧の定電流制御において、電流検知部32により検知される電流が目標電流に近づくように第2の電源31を制御して、転写ローラ8に印加する転写電圧を調整する。つまり、本実施例では、上記記録材Pの先端部の所定の領域と、後述する記録材Pの後端部の所定の領域と、の間の所定の領域が転写ニップ部Nを通過している際(「転写中」)には、転写電圧が定電流制御で転写ローラ8に印加される。本実施例では、上記記録材Pの先端部の所定の領域と、後述する記録材Pの後端部の所定の領域と、の間の所定の領域は、画像形成領域の全域を含む領域に対応する。ただし、該所定の領域は、上記記録材Pの先端部の所定の領域又は後述する記録材Pの後端部の所定の領域が画像形成領域の少なくとも一部を含む場合には、画像形成領域の一部を含んでいなくてよい。本実施例では、転写電圧の定電流制御の目標電流は、10μAに設定した。また、本実施例では、温度23℃、湿度60%の環境下では、転写電圧の初期電圧値は約1000Vとなる。
転写電圧の定電流制御後に後続紙P2がある場合、制御部100は、先行紙P1の後端部が転写ニップ部Nを通過している時以降の転写ニップ部Nに画像形成領域が存在しない状態で紙後端制御を実行する。紙後端制御は、先行紙P1の画像形成領域が転写ニップ部Nを通過した後に開始される。制御部100は、紙後端制御において、転写ローラ8に後述する所定の後端電圧を定電圧制御で印加するように制御する。このように、紙後端制御では、記録材Pの後端部が転写ニップ部Nを通過している時以降の転写ニップ部Nに画像形成領域が存在しない状態で転写ローラ8に後端電圧を定電圧制御で印加する。上記記録材Pの後端部が転写ニップ部Nを通過している時以降の転写ニップ部Nに画像形成領域が存在しない状態は、記録材Pの後端部の余白部及び紙間領域が転写ニップ部Nを通過している期間に対応する。なお、例えば転写ローラ8に印加する電圧の減衰時間が遅い構成の場合などには、画像形成領域内のトナーが転写可能な範囲内で開始するように紙後端制御の開始タイミングを早めてもよい。つまり、本実施例では、記録材Pの後端を含む記録材Pの後端部の所定の領域が転写ニップ部Nを通過している際には、後端電圧が定電圧制御で転写ローラ8に印加される。本実施例では、上記記録材Pの後端部の所定の領域は、記録材Pの後端部の余白部に対応する。ただし、上記記録材Pの後端部の所定の領域は、画像形成領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。
通常設定における紙後端制御は、感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差を小さくすることで、感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るために実行される。通常設定における紙後端制御では、負極性(転写中の転写電圧とは逆極性、トナーの正規の帯電極性及び感光体2の帯電極性と同極性)の直流電圧である後端電圧が定電圧制御で転写ローラ8に印加される。本実施例では、通常設定における後端電圧は、感光体2の表面電位(帯電電位、暗電位)である-500Vと同じ-500Vに設定した。通常設定における後端電圧は、通常設定での紙後端制御中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差が、転写中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差よりも小さくなるように設定されればよい。つまり、通常設定における後端電圧は、転写中に転写ローラ8に印加する転写電圧よりも低く(小さく)すればよい。ただし、通常設定における後端電圧は、感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差が放電開始電圧未満となるように設定することが好ましい。また、通常設定における後端電圧は、感光体2の帯電極性と同極性である負極性として、感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差を極力小さくすることが好ましい。この観点から、通常設定における後端電圧は、感光体2の表面電位(帯電電位、暗電位)と略同一(すなわち、電位差が約0V)であることがより好ましい。
紙後端制御の実行後に、制御部は、後続紙P2が転写ニップ部Nに到達する前に、ATVCを実行する。その後、先行紙P1の場合と同様に、後続紙P2についての転写電圧の定電流制御、紙後端制御を繰り返すことで連続画像形成を行う。
なお、転写電圧の定電流制御後に後続紙がない場合、すなわち、現在転写電圧の定電流制御を行っている記録材Pが現在実行中のプリント動作におけるラスト紙の場合は、紙後端制御を行い、プリント動作を終了する。
図4(b)を参照して、汚れ抑制設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の制御について説明する。図4(b)は、汚れ抑制設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の時系列的変化を示すチャート図である。汚れ抑制設定は、ジャムの発生後のプリント動作で適用される。汚れ抑制設定でのプリント動作時のクリーニング制御、ATVC、転写電圧の定電流制御については、通常設定と同じであるので、説明を省略する。図4(b)に示す汚れ抑制設定でのプリント動作時には、紙後端制御において転写ローラ8に印加する後端電圧の設定が図4(a)に示す通常設定でのプリント動作時と異なる。
転写電圧の定電流制御後に後続紙P2がある場合、制御部100は、先行紙P1の後端部が転写ニップ部Nを通過している時以降の転写ニップ部Nに画像形成領域が存在しない状態で紙後端制御を実行する。通常設定の場合と同様、紙後端制御は、先行紙P1の画像形成領域が転写ニップ部Nを通過した後に開始される。制御部100は、紙後端制御において、転写ローラ8に後述する所定の後端電圧を定電圧制御で印加するように制御する。なお、通常設定の場合と同様、例えば転写ローラ8に印加する電圧の減衰時間が遅い構成の場合などには、画像形成領域内のトナーが転写可能な範囲内で開始するように紙後端制御の開始タイミングを早めてもよい。
汚れ抑制設定における紙後端制御は、紙コバ汚れの発生を抑制するために実行される。汚れ抑制設定における紙後端制御では、正極性(転写中の転写電圧と同極性、トナーの正規の帯電極性及び感光体2の帯電極性とは逆極性)の直流電圧である後端電圧が定電圧制御で転写ローラ8に印加される。転写ローラ8がトナーで汚れるジャムが発生した場合、その後のプリント動作では記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過している際に十分な正極性の後端電圧を転写ローラ8に印加する。これにより、負極性のトナーを転写ローラ8に保持し、記録材Pに付着させないようにして、紙コバ汚れを抑制することができる。本実施例では、汚れ抑制設定における後端電圧は、+500Vに設定した。すなわち、汚れ抑制設定における後端電圧の電圧値は、通常設定における後端電圧の電圧値よりもトナーの正規の帯電極性とは反対の極性である正極性の方向に大きい電圧値に設定する。ここで、本実施例では、汚れ抑制設定の後端電圧は、汚れ抑制設定での紙後端制御中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差が、転写中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差よりも小さくなるように設定されている。つまり、本実施例では、汚れ抑制設定における後端電圧は、転写中に転写ローラ8に印加する転写電圧よりも低く(小さく)している。ただし、汚れ抑制制御における後端電圧は、転写中の転写電圧と実質的に同じであってもよい。
なお、転写ローラ8に印加する電圧の制御は、レジセンサ13による記録材Pの先端、後端の検知結果と、レジセンサ13と転写ニップ部Nとの間の記録材Pの搬送距離と、を勘案して実行する。これにより、記録材P(より詳細には記録材P上の画像形成領域)が転写ニップ部Nを通過するタイミングと同期して、転写ローラ8に印加する電圧を変更することが可能となる。
5.カウント値
感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るために、ジャムの発生後に十分に紙コバ汚れを抑制できるように汚れ抑制設定でのプリント動作を行った後には、転写ローラ8に印加する電圧の設定を汚れ抑制設定から通常設定へ戻す必要がある。
そこで、本実施例では、カウント値を設定し、カウント値に基づいて転写ローラ8に印加する電圧の設定として通常設定又は汚れ抑制設定のいずれかの設定を適用する。本実施例では、カウント値は、転写ローラ8に印加する電圧の設定を汚れ抑制設定から通常設定に戻すまでに画像を形成する記録材Pの枚数(画像形成枚数)を示す値である。本実施例では、制御部100は、カウンタとして機能するメモリ(RAM)102に、後述するようにカウント値を逐次更新して記憶させることができるようになっている。なお、カウント値は、所定のサイズに換算した記録材Pの枚数を示す値であってよい。また、カウント値としては、記録材Pの枚数に代えて、転写ローラ8や感光体2の回転回数(回転時間)などの、ジャムの発生後の転写ニップ部Nにおける記録材Pの搬送距離と相関する指標値を適宜用いることができる。
転写ローラ8に付着した汚れトナーは、記録材Pの裏面に目視では確認できない程度に付着するので、記録材Pが転写ニップ部Nを通過するのに伴って徐々に減少していく。そこで、本実施例では、ジャムが発生したらカウント値に所定の値を設定し、転写ニップ部Nを記録材Pが1枚通過するごとに(すなわち、1枚画像形成するごとに)カウント値を1減らす。そして、カウント値が0になったら転写ローラ8に印加する電圧の設定を汚れ抑制設定から通常設定に戻す。本実施例では、カウント値を120に設定した。なお、本実施例では、カウント値をカウントダウンする方式を採用したが、ジャムの発生後にカウント値をカウントアップしていき、カウント値が所定の閾値に到達したら転写ローラ8に印加する電圧の設定を汚れ抑制設定から通常設定に戻すようにしてもよい。
図5は、プリント動作において転写ローラ8に印加する電圧の設定を選択する処理を説明するためのフローチャート図である。制御部100は、プリント動作を開始すると、カウント値が0か否かを判断する(S101)。制御部100は、S101でカウント値が0ではないと判断した場合は、汚れ抑制設定で画像形成を行う(S102)。その後、制御部100は、カウント値を1減らし(S103)、今回画像を形成した記録材Pがラスト紙か否かを判断する(S104)。そして、制御部100は、S104でラスト紙であると判断した場合はプリント動作を終了し、ラスト紙ではないと判断した場合はS101の処理に戻る。一方、制御部100は、S101でカウント値が0であると判断した場合は、通常設定で画像形成を行い(S105)、S104の処理に進む。
6.評価試験
本実施例及び比較例1について紙コバ汚れの評価試験を行った結果について説明する。ここでは、ベタ画像の転写中に強制的にジャムを発生させた後、連続画像形成を行い、紙コバ汚れの発生の有無を確認した。記録材Pとしては、REDLABEL80g/m2紙(キヤノン社製、商品名)を用いた。比較例1では、転写ローラ8に印加する電圧の設定は本実施例における通常設定のみとし、ジャムの発生後も通常設定で画像形成を行なった。表1に、本実施例及び比較例1についての連続画像形成の1枚目から10枚目の記録材Pの紙コバ汚れの発生の有無を示す。
本実施例では、ジャムの発生後に転写ローラ8に印加する電圧の設定として汚れ抑制設定が適用され、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過する際には正極性の電圧が転写ローラ8に印加された。これにより、紙コバ汚れは発生しなかった。
比較例1では、ジャムの発生の有無にかかわらず、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過する際には常に負極性の電圧が転写ローラ8に印加された。そのため、ジャムの発生後には、転写ローラ8に付着したトナーが記録材Pの後端のコバ(端面)に転移し、紙コバ汚れが発生した。
また、本実施例では、カウント値の設定により、ジャムの発生後の積算120枚の画像形成後に、転写ローラ8に印加する電圧の設定は汚れ抑制設定から通常設定に切り替わる。本実施例では、ベタ画像の転写中にジャムが発生し、転写ローラ8に汚れトナーが付着した場合に、その後120枚の画像形成後に汚れ抑制設定から通常設定に戻しても、紙コバ汚れが発生しないことが確認された。このように、紙後端制御における後端電圧を正極性とする期間を最小限にとどめることで、感光体2の寿命に対する影響を最小限に抑えつつ、紙コバ汚れを抑制することができる。
このように、本実施例では、画像形成装置1は、回転可能な感光体2と、感光体2の表面を帯電処理する帯電手段3と、感光体2の表面にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段5と、感光体2の表面に接触して転写部Nを形成し、回転する感光体2の表面から転写部Nを通過する記録材Pにトナー像を転写させる転写部材8と、転写部材8に電圧を印加する印加部30、31と、記録材Pの搬送方向における記録材Pの後端が転写部Nを通過する際に印加部30、31により転写部材8に印加する後端電圧を変更する制御を実行可能な制御部100と、を有する。そして、本実施例では、制御部100は、後端電圧を、感光体2から記録材Pにトナー像を転写する際に印加部30、31により転写部材8に印加する転写電圧よりも小さい第1の後端電圧(通常設定の後端電圧)と、第1の後端電圧よりもトナーの正規の帯電極性とは反対の極性の方向に大きい第2の後端電圧(汚れ抑制設定の後端電圧)と、に変更可能であり、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した後(すなわち、ジャムの発生後)の画像形成動作において、上記搬送方向における記録材Pの後端が転写部Nを通過する際に第2の後端電圧を印加するように制御する。本実施例では、制御部100は、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した場合、所定の枚数の記録材Pのそれぞれの上記搬送方向における後端が転写部Nを通過する際に第2の後端電圧を印加した後に、後端電圧を第1の後端電圧に変更する。また、本実施例では、第1の後端電圧は、トナーの正規の帯電極性と同極性である。また、本実施例では、第2の後端電圧の絶対値は、転写電圧の絶対値よりも小さい。ここで、典型的には、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した場合は、感光体2上にトナー像がある状態、又は感光体2から記録材Pに転写されたトナー像が未定着のまま該記録材P上にある状態の少なくとも一方の状態で、感光体2の回転が停止した場合を含む。
以上説明したように、本実施例によれば、ジャムの発生後に転写ローラ8に印加する電圧の設定として汚れ抑制設定を適用し、所定の枚数の画像形成後に転写ローラ8に印加する電圧の設定を通常設定に戻す。これにより、感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図りつつ、紙コバ汚れを抑制することが可能となる。本実施例によれば、ジャムの発生後の転写ローラ8のクリーニングが不十分であっても、ジャムの発生後のプリント動作で転写ローラ8に印加する後端電圧の設定を変更することで、感光体2の長寿命化を図りつつ、紙コバ汚れを抑制することができる。つまり、本実施例によれば、記録材Pの後端が転写部Nを通過する際に転写部材8に印加する後端電圧を制御する構成において、記録材Pの後端の紙コバ汚れを抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1の画像形成装置のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1の画像形成装置と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.本実施例の画像形成装置の構成
本実施例の画像形成装置1のプロセススピード(感光体2の周速度に相当)は、実施例1の画像形成装置1と同様、約300mm/sである。一方、本実施例の画像形成装置1のプリントスピード(後述する通常設定を適用した場合)は、55枚/分(LTRサイズの記録材Pの場合)であり、実施例1の画像形成装置1よりも速い。実施例1では紙間の長さが171mmであるのに対し、本実施例では紙間の長さを48mm(後述する通常設定を適用した場合)と短くすることで画像形成装置1の生産性の向上を図った。これにより、実施例1では紙間の長さが感光体2の周長(1周分)94mmより長いのに対し、本実施例では紙間の長さ(後述する通常設定を適用した場合)が感光体2の周長94mmよりも短くなっている。このように紙間の長さを短くした場合、後端メモリが発生しやすくなる。
2.後端メモリの発生メカニズムと対策
図6を参照して、後端メモリの発生メカニズムについて説明する。図6(a)は、記録材Pが転写ニップ部Nを通過している状態を示す模式図である。図6(a)中の矢印Sは記録材Pの搬送方向を示している。転写ローラ8には正極性の転写電圧が印加されている。感光体2の表面は負極性に帯電しており、記録材Pの裏面は転写ニップ部N中では正極性に帯電している。そのため、感光体2の表面と記録材Pの裏面との間には電位差が生じている。この電位差により記録材Pには一定の電荷が蓄えられ、コンデンサーのような役割を果たすことが知られている。
図6(b)は、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを抜けた後の状態を示す模式図である。記録材Pに一定の電荷量が蓄えられた状態で、記録材Pが感光体2から分離されると、見かけの静電容量が急激に減少し、記録材Pと感光体2との間の電位差が急激に増加する。この電位差が放電閾値を上回ると、剥離放電が発生し、感光体2に対して正極性の電荷が急激に移動し、感光体2の電位が局所的に下がった電位ムラを発生させてしまう。この剥離放電が顕著であると、後続の記録材Pに対する画像形成を行なう際に電位ムラが1回の帯電処理によってキャンセルしきれずに横黒スジ(感光体2の回転軸線方向に沿って延びる濃度が濃い部分)となって現れる。この画像不良を「後端メモリ」と呼ぶ。このように、剥離放電に起因して後端メモリが発生する。
そこで、本実施例では、実施例1と同様に、転写ローラ8に印加する電圧の通常設定では、紙後端制御において転写ローラ8に印加する電圧を転写中に転写ローラ8に印加する転写電圧よりも低く(小さく)する。これにより、実施例1と同様に感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るとともに、後端メモリの発生を抑制することができる。
3.転写ローラに印加する電圧の制御
次に、本実施例における転写ローラ8に印加する電圧の制御について説明する。本実施例では、画像形成装置1には、プリント動作において転写ローラ8に印加する電圧の設定として、第1の設定と、第2の設定と、が設けられている。第1の設定は、感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るとともに、後端メモリを抑制するための設定(「通常設定」)である。第2の設定は、ジャムの発生後の紙コバ汚れを抑制するための設定(「汚れ抑制設定」)である。
図7(a)を参照して、通常設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の制御について説明する。図7(a)は、通常設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の時系列的変化を示すチャート図である。図7(a)は、記録材Pとしての先行紙P1と後続紙P2とをそれらの間に紙間を設けて搬送して連続画像形成を行なった場合の例を示している。
本実施例における通常設定でのプリント動作は、実施例1における通常設定でのプリント動作と概略同様である。図7(a)に示す本実施例における通常設定でのプリント動作時には、先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さが図4(a)に示す実施例1における通常設定でのプリント動作時と異なる。本実施例では、通常設定でのプリント動作時の紙間L1は、感光体2の周長L0よりも短い(L0>L1)。したがって、本実施例では、通常設定でのプリント動作時には、先行紙P1の後端と接触した感光体2の表面は、転写ニップ部Nを通過後、紙間のような非画像形成領域に供されることなく、直ちに後続紙P2の画像形成領域に供される。すなわち、先行紙P1の後端と接触した感光体2の表面が次の画像形成に供されるまでに帯電ローラ3による帯電位置を通過する回数は1回である。
通常設定における紙後端制御は、感光体2の表面の削れを抑制して感光体2の長寿命化を図るとともに、後端メモリの発生を抑制するために実行される。通常設定における紙後端制御では、負極性(転写中の転写電圧とは逆極性、トナーの正規の帯電極性及び感光体2の帯電極性と同極性)の直流電圧である後端電圧が定電圧制御で転写ローラ8に印加される。本実施例では、通常設定における後端電圧は、感光体2の表面電位(帯電電位、暗電位)である-500Vと同じ-500Vに設定した。
図7(b)を参照して、汚れ抑制設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の制御について説明する。図7(b)は、汚れ抑制設定でのプリント動作時の転写ローラ8に印加する電圧の時系列的変化を示すチャート図である。本実施例における汚れ抑制設定でのプリント動作は、実施例1における汚れ抑制設定でのプリント動作と概略同様である。図7(b)に示す汚れ抑制設定でのプリント動作時には、紙後端制御において転写ローラ8に印加する後端電圧の設定と、先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さとが、図7(a)に示す通常設定でのプリント動作時と異なる。
汚れ抑制設定における紙後端制御は、紙コバ汚れの発生を抑制するために実行される。汚れ抑制設定における紙後端制御では、正極性(転写中の転写電圧と同極性、トナーの正規の帯電極性及び感光体2の帯電極性とは逆極性)の直流電圧である後端電圧が定電圧制御で転写ローラ8に印加される。本実施例では、汚れ抑制設定における後端電圧は、+500Vに設定した。すなわち、汚れ抑制設定における後端電圧の電圧値は、通常設定における後端電圧の電圧値よりもトナーの正規の帯電極性とは反対の極性である正極性の方向に大きい電圧値に設定する。
本実施例における汚れ抑制設定でのプリント動作時の先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さ(紙間L2)について説明する。汚れ抑制設定における後端電圧は、汚れ抑制設定での紙後端制御中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差が、転写中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差よりも小さくなるように設定されている。しかし、汚れ抑制設定での紙後端制御中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差は、通常設定での紙後端制御中の感光体2の表面(帯電電位)と転写ローラ8との間の電位差よりも大きい。そこで、本実施例では、汚れ抑制設定でのプリント動作時には、紙間L2が感光体2の周長L0よりも長くなるように記録材Pの搬送タイミングを制御している(L0<L2)。このように紙間の長さL2を感光体2の周長L0よりも長くすると、先行紙P1の後端と接触した感光体2の表面は、転写ニップ部Nを通過後、一旦、紙間の非画像形成領域に供された後、後続紙P2の画像形成領域に供されることになる。すなわち、先行紙P1の後端と接触した感光体2の表面が次の画像形成に供されるまでに帯電ローラ3による帯電位置を通過する回数は複数回(本実施例では2回)となる。感光体2の表面が次の画像形成に供されるまでに帯電処理される回数を増やすことにより、剥離放電により生じた感光体2の表面の電位ムラを低減し、好ましくは無くすことができるので、後端メモリの発生を抑制することができる。
4.評価試験
本実施例及び比較例2、3について後端メモリと紙コバ汚れの評価試験を行った結果について説明する。ここでは、ベタ画像の転写中に強制的にジャムを発生させた後、後端メモリを検出しやすいハーフトーン画像の連続画像形成を行い、後端メモリと紙コバ汚れの発生の有無を確認した。記録材Pとしては、REDLABEL80g/m2紙(キヤノン社製、商品名)を用いた。比較例2では、ジャムの発生後も転写ローラ8に印加する電圧の設定は常に通常設定とし、かつ、紙間をL1(<L0)のままとした。また、比較例3では、ジャムの発生後は転写ローラ8に印加する電圧の設定を本実施例と同様に汚れ抑制設定に切り替えるものの、紙間はL1(<L0)のままとした。表2に、本実施例及び比較例2、3についての連続画像形成の1枚目から10枚目の記録材Pの後端メモリ及び紙コバ汚れの発生の有無を示す。
本実施例では、ジャムの発生後に転写ローラ8に印加する電圧の設定として汚れ抑制設定が適用され、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過する際には正極性の電圧が転写ローラ8に印加された。これにより、紙コバ汚れは発生しなかった。また、本実施例では、汚れ抑制設定でのプリント動作時には紙間がL2(>L0)とされた。これにより、後端メモリは発生しなかった。
比較例2では、ジャムの発生後も転写ローラ8に印加する電圧の設定として通常設定が適用され、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過する際に負極性の電圧が転写ローラ8に印加された。そのため、後端メモリの発生は抑制できたものの、紙コバ汚れが発生した。結果として、比較例2では、後端メモリの抑制と紙コバ汚れの抑制とを両立することができなかった。
比較例3では、ジャムの発生後に転写ローラ8に印加する電圧の設定として汚れ抑制設定が適用され、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過する際に正極性の電圧が転写ローラ8に印加された。そのため、紙コバ汚れは抑制することができた。しかし、比較例3では、汚れ抑制設定でのプリント動作時の紙間がL1(<L0)のままであった。そのため、感光体2の表面の剥離放電による電位ムラ部が帯電処理される回数が1回だけであり、感光体2の表面電位の均し効果が不十分となり、後端メモリが発生することがあった。結果として、比較例3では、後端メモリの抑制と紙コバ汚れの抑制とを両立することができない場合があった。
このように、本実施例では、制御部100は、第1の記録材P1と、第1の記録材に後続する第2の記録材P2と、に連続してトナー像を転写する場合の、記録材Pの搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nに到達してから上記搬送方向における第2の記録材P2の先端が転写部Nに到達するまでの感光体2の回転距離(紙間の長さに相当)を、第1の距離と、第1の距離よりも長い第2の距離と、に変更する制御を実行可能であり、上記搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nを通過する際に第1の後端電圧(通常設定の後端電圧)を印加する場合に上記回転距離を第1の距離とし、上記搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nを通過する際に第2の後端電圧(汚れ抑制設定の後端電圧)を印加する場合に上記回転距離を第2の距離とする。本実施例では、第1の距離は感光体2の周長よりも短く、第2の距離は感光体2の周長よりも長い。また、本実施例では、上記搬送方向における第1の記録材P1の後端と接触した感光体2の表面の領域が、第2の記録材P2に転写するトナー像を形成可能な画像形成領域とされるまでに帯電手段3による帯電処理が行われる帯電位置を通過する回数は、上記回転距離が第1の距離の場合よりも、上記回転距離が第2の距離の場合の方が多い。
以上説明したように、本実施例によれば、ジャムの発生後のプリント動作では、記録材Pの後端が転写ニップ部Nを通過している際に転写ローラ8に正極性の電圧を印加し、負極性のトナーを転写ローラ8に保持させる。それとともに、ジャムの発生後のプリント動作では、紙間が感光体2の周長以上になるように紙間を延長する。これにより、紙コバ汚れを抑制し、かつ、後端メモリを抑制することが可能となる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例2の画像形成装置のものと同じである。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1、2の画像形成装置と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例2では、汚れ抑制設定でのプリント時には、常に紙間を延長しているため、後続紙P2に形成される画像によっては、不必要に画像形成装置1の生産性が低下する可能性がある。そこで、本実施例では、制御部100は、画像情報検知手段としてのビデオコントローラ110内のデータ処理部により、後続紙P2に形成される画像の画像情報を取得する。また、制御部100は、その画像情報から、後続紙P2の後端メモリが発生する可能性のある位置(領域)に形成される画像の画像情報を取得する。そして、制御部100は、上記位置の画像情報に基づいて、汚れ抑制設定でのプリント動作時の先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さを変更する。これにより、不必要に画像形成装置1の生産性が低下することを抑制することができる。特に、本実施例では、制御部100は、上記位置の画像の有無に基づいて、先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さを変更する。ただし、上記位置の画像のトナー量に関する情報(載り量、被覆率など)に基づいて、先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さを変更すればよい。例えば、上記位置の画像のトナー量が所定の閾値以上の場合には、本実施例における画像がある場合と同様の制御とし、上記閾値より少ない場合には本実施例における画像が無い場合と同様の制御とすることができる。
図8は、先行紙P1の後端位置P1eと後続紙P2における後端メモリが発生する可能性がある位置Mとの関係を示す模式図である。図8中の矢印Sは記録材Pの搬送方向、L0は感光体2の周長、L1は紙間(通常設定を適用した場合)を示している。先行紙P1の後端位置P1eから感光体2の周長L0分だけ離れた位置Mに後端メモリが発生する可能性がある。この位置は、後続紙P2の先端位置からL0-L1の位置にある。この位置を「後端メモリ発生位置M」と呼ぶ。
後端メモリ発生位置Mに画像がない場合、後端メモリは顕在化しない。つまり、剥離放電で感光体2の表面の電位ムラが生じても、画像がないため露光装置4による露光が行われず、感光体2の表面電位がそもそも現像電位近傍まで低下しないためである。
そこで、本実施例では、制御部100は、汚れ抑制設定でのプリント動作時に、後続紙P2の後端メモリ発生位置Mに画像があるか否かを、ビデオコントローラ110内のデータ処理部により取得される画像情報に基づいて判断する。そして、制御部100は、後端メモリ発生位置Mに画像がない場合は、紙間をL2に延長せず、紙間をL1としたままとするように、後続紙P2の画像形成タイミングを調整する。これにより、不必要に画像形成装置1の生産性が低下することを抑制することができる。
図9は、プリント動作において転写ローラ8に印加する電圧の設定、紙間の長さを選択する処理を説明するためのフローチャート図である。制御部100は、プリント動作を開始すると、カウント値が0か否かを判断する(S201)。制御部100は、S201でカウント値が0ではないと判断した場合は、ビデオコントローラ110内のデータ処理部により取得される画像情報に基づいて、後続紙P2の後端メモリ発生位置Mに画像があるか否かを判断する(S202)。なお、本実施例では、制御部100は、S202において、各部品寸法の公差や変動などを考慮し、後続紙P2の後端メモリ発生位置Mに対して記録材Pの搬送方向の上流及び下流にそれぞれ2.5mmの幅5mmの領域に画像があるか否かを判断する。そして、制御部100は、S202で画像があると判断した場合は、汚れ抑制設定で紙間をL2(>L0)に延長して画像形成を行う(S203)。その後、制御部100は、カウント値を1減らし(S204)、今回画像を形成した記録材Pがラスト紙か否かを判断する(S205)。そして、制御部100は、S205でラスト紙であると判断した場合はプリント動作を終了し、ラスト紙ではないと判断した場合はS201の処理に戻る。
一方、制御部100は、S202で画像がないと判断した場合は、汚れ抑制設定で紙間を延長せずにL1(<L0)のままとして画像形成を行い(S206)、S204の処理に進む。
また、制御部100は、S201でカウント値が0であると判断した場合は、通常設定で紙間をL1(<L0)として画像形成を行い(S207)、S205の処理に進む。
このように、本実施例では、制御部100は、第1の記録材P1と、第1の記録材P1に後続する第2の記録材P2と、に連続してトナー像を転写し、記録材Pの搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nを通過する際に第2の後端電圧(汚れ抑制設定の後端電圧)を印加する場合の、上記搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nに到達してから上記搬送方向における第2の記録材P2の先端が転写部Nに到達するまでの感光体2の回転距離(紙間の長さに相当)を、第2の記録材P2に転写するトナー像の情報に基づいて、第1の距離と、第1の距離よりも長い第2の距離と、に変更する制御を実行可能である。本実施例では、制御部100は、上記回転距離を第1の距離とした場合に上記搬送方向における第1の記録材P1の後端と接触した感光体2の表面の領域に第2の記録材P2に転写するトナー像が形成されるか否かを判断し、形成される場合には上記回転距離を第2の距離とし、形成されない場合には上記回転距離を第1の距離とする。上記第1の距離は、上記搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nを通過する際に第1の後端電圧(通常設定の後端電圧)を印加する場合の、上記搬送方向における第1の記録材P1の後端が転写部Nに到達してから上記搬送方向における第2の記録材P2の先端が転写部Nに到達するまでの感光体2の回転距離(紙間の長さに相当)と略同一である。
以上説明したように、本実施例によれば、後続紙P2に形成される画像の画像情報に基づいて、先行紙P1と後続紙P2との間の紙間の長さを変更する。これにより、汚れ抑制設定でのプリント動作時の後端メモリの発生を抑制し、かつ、不必要に画像形成装置1の生産性が低下することを抑制することができる。
[実施例4]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例2の画像形成装置のものと同じである。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1、2の画像形成装置と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例2では、ジャムの発生後には常に転写ローラ8に印加する電圧の設定として汚れ抑制設定を適用しているため、ジャムの発生時の状況によっては不必要に画像形成装置1の生産性が低下する可能性がある。そこで、本実施例では、制御部100は、画像情報検知手段としてのビデオコントローラ110内のデータ処理部により取得される、ジャムが発生した時の感光体2上又は記録材P上の画像の画像情報に基づいて、転写ローラ8への汚れトナーの付着量を予測する。そして、制御部100は、予測した転写ローラ8への汚れトナーの付着量に基づいて、転写ローラ8に印加する電圧(及び紙間の長さ)の設定を変更する。これにより、不必要に画像形成装置1の生産性が低下することを抑制することができる。
本実施例では、カウント値を設定し、カウント値に基づいて転写ローラ8に印加する電圧の設定として通常設定又は汚れ抑制設定のいずれかの設定を適用する。本実施例では、カウント値は、画像被覆率から予測される転写ローラ8への汚れトナーの付着量に基づいて決定される、転写ローラ8に印加する電圧の設定を汚れ抑制設定から通常設定に戻すまでに画像を形成する記録材Pの枚数を示す値である。なお、本実施例では、実施例2と同様に、ジャムが発生してカウント値を設定したら、転写ニップ部Nを記録材Pが1枚通過するごとに(すなわち、1枚画像形成するごとに)カウント値を1減らす。そして、カウント値が0になったら転写ローラ8に印加する電圧の設定を汚れ抑制設定から通常設定に戻す。
ここで、画像被覆率とは、ジャムが発生して記録材Pの搬送が停止するまでに、感光体2上のトナーが付着された(すなわち、感光体2上の現像器5による現像位置を通過した)画像形成領域においてトナーが感光体2の表面を覆っていた割合である。本実施例では、画像被覆率は、ホストコンピュータなどの外部装置200から入力される画像情報に基づいて、ビデオコントローラ110内のデータ処理部が算出して求める。具体的には、ビデオコントローラ110内のデータ処理部は、画像被覆率として、上記感光体2上の現像位置を通過した画像形成領域の全画像画素数に対する露光装置4で露光した画素の割合を算出する。
転写ローラ8の汚れは、ジャムの発生時の画像被覆率によって変化し、また記録材Pが転写ニップ部Nを通過するのに伴って記録材Pの裏面に付着して徐々に減少していく。そこで、本実施例では、転写ローラ8への汚れトナーの付着量から予測される転写ローラ8の汚れ度合いに基づいて、汚れ抑制設定での画像形成枚数(カウント値)を決める。これにより、汚れ抑制設定でのプリント動作の実行を最小限にとどめることで、不必要に画像形成装置1の生産性が低下することを抑制することが可能となる。
画像被覆率が高いほど、転写ローラ8が汚れている可能性がある。そのため、本実施例では、汚れ抑制設定での画像形成枚数(カウント値)を、ジャムの発生時の画像被覆率に基づいて変更している。具体的には、ジャムの発生時の画像被覆率が大きい場合には、汚れ抑制設定での画像形成枚数を増やすように、カウント値の数値を大きい値に設定する。本実施例では、このカウント値は、実験を通して設定した。具体的には、画像被覆率10%の場合は紙コバ汚れは発生しなかった。画像被覆率30%の場合は、20枚の画像形成で紙コバ汚れは消失した。画像被覆率60%の場合は、60枚の画像形成で紙コバ汚れは消失した。画像被覆率100%の場合は、120枚の画像形成で紙コバ汚れは消失した。したがって、本実施例では、ジャムが発生した場合に、表3に示すようにジャムの発生時の画像被覆率に基づいてカウント値を設定した。
このように、本実施例では、制御部100は、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した場合、所定の枚数の記録材のそれぞれの記録材Pの搬送方向における後端が転写部Nを通過する際に第2の後端電圧(汚れ抑制設定の後端電圧)を印加した後に、後端電圧を第1の後端電圧(通常設定の後端電圧)に変更する。このとき、本実施例では、制御部100は、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した際の感光体上又は記録材上のトナー像のトナーの量に関する情報に基づいて、上記所定の枚数を変更する。
以上説明したように、本実施例によれば、転写ローラ8への汚れトナーの付着量から予測される転写ローラ8の汚れ度合いに基づいて、汚れ抑制設定での画像形成枚数を決める。これにより、画像形成装置1の生産性の低下を最小限にとどめることができる。
なお、ここでは実施例2と同様の画像形成装置1に適用する(すなわち、実施例2におけるカウント値に代えて本実施例におけるカウント値を用いる)ものとして本実施例の制御を説明した。ただし、本実施例の制御は実施例1と同様の画像形成装置1に適用する(すなわち、実施例1におけるカウント値に代えて本実施例におけるカウント値を用いる)ようにしてもよい。その場合、汚れ抑制設定でのプリント動作の実行を最小限にとどめることで、感光体2の寿命に対する影響を最小限に抑えることができる。
[実施例5]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例2の画像形成装置のものと同じである。本実施例の画像形成装置において、実施例1、2の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1、2の画像形成装置と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例2では、ジャムの発生時の記録材Pの停止位置にかかわらず同じ制御を適用しているため、ジャムの発生時の状況によっては不必要に画像形成装置1の生産性が低下する可能性がある。そこで、本実施例では、制御部100は、停止位置検知手段により検知したジャムの発生時の記録材Pの停止位置に基づいて、転写ローラ8に印加する電圧(及び紙間の長さ)の設定を変更する。これにより、不必要に画像形成装置1の生産性が低下することを抑制することができる。
本実施例では、停止位置検知手段として、レジセンサ13や排出センサ18を用いる。制御部100は、レジセンサ13や排出センサ18のオン・オフの状態や、オン又はオフになってからの経過時間に基づいて、ジャムの発生時の記録材Pの停止位置を予測することができる。
ジャムの発生時の記録材Pの停止位置によって転写ローラ8の汚れ度合いは変わる。本実施例では、それぞれジャムの発生時の記録材Pの停止位置が異なるケース1、ケース2、ケース3にわけてジャムの発生時の転写ローラ8の汚れ度合を予測する。図10(a)~(c)は、それぞれケース1、ケース2、ケース3を説明するための転写ニップ部Nの近傍を示す模式図である。
図10(a)は、ケース1のジャムの発生時の状態を示す。記録材Pが転写ニップ部Nに到達しない段階でジャムが発生し、プリント動作が停止した場合である。記録材Pが転写ニップ部Nに到達したものとして、画像形成装置1はプリント動作を行っているので、本来記録材Pに転写されるべきトナーTが転写ローラ8に転写される。そのため、転写ローラ8への汚れトナーの付着量は多い。このようなケースは、具体的には、記録材Pが本来のタイミングでレジセンサ13に到達しない場合、あるいは記録材Pのレジセンサ13への到達が遅い場合のジャムが該当する。
図10(b-1)は、ケース2のジャムの発生時の状態を示す。記録材Pが転写ニップ部Nに到達してからジャムが発生し、プリント動作が停止した場合である。未定着のトナーTが記録材Pに転写された状態である。このようケースは、具体的には、記録材Pがレジセンサ13に到達し所定の時間が経過した後、あるいは記録材Pが排出センサ18に到達した後のジャムが該当する。図10(b-2)は、ケース2のジャムの発生後、感光体2と転写ローラ8とを離間させて、記録材Pを取り除いた後(ジャム処理後)の状態を示す。感光体2上の現像位置Dと転写ニップ部(転写位置)Nとの間にトナーTが残っている。図10(b-3)は、図10(b-2)の状態から感光体2と転写ローラ8とが回転した状態を示す。ジャム処理後の感光体2の回転動作時にトナーTが転写ローラ8に転移するため、転写ローラ8が汚れる。
図10(c)は、ケース3のジャムの発生時の状態を示す。記録材Pが転写ニップ部Nを通過した後にジャムが発生し、プリント動作が停止した場合である。感光体2上の現像位置Dと転写ニップ部(転写位置)Nとの間にトナーTは残っていないので、転写ローラ8は汚れない。このようケースは、具体的には、記録材Pがレジセンサ13を完全に通過してから所定の時間が経過した後、あるいは記録材Pが排出センサ18に到達してから所定の時間が経過した後のジャムが該当する。
転写ローラ8の汚れ度合いは、ケース1がもっと高く、次いで、ケース2、ケース3の順となる。そこで、本実施例では、ジャムの発生時の記録材Pの停止位置に基づいて、カウント値を重み付けする。
表4に、本実施例におけるケース1、ケース2、ケース3のそれぞれにおけるカウント値を示す。本実施例では、このカウント値は、実験を通して設定した。具体的には、ベタ画像を形成するプリント動作の実行中にジャムを発生させた場合に、ケース1の場合は120枚の画像形成で紙コバ汚れは消失した。ケース2の場合は40枚の画像形成で紙コバ汚れは消失した。ケース3の場合は紙コバ汚れが発生しなかった。
このように、本実施例では、制御部100は、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した場合、所定の枚数の記録材のそれぞれの記録材Pの搬送方向における後端が転写部Nを通過する際に第2の後端電圧(汚れ抑制設定の後端電圧)を印加した後に、後端電圧を第1の後端電圧(通常設定の後端電圧)に変更する。このとき、本実施例では、制御部100は、画像形成動作が未完了の状態で感光体2の回転が停止した際の記録材Pの停止位置に基づいて、上記所定の枚数を変更する。
以上説明したように、本実施例によれば、ジャムの発生時の記録材Pの停止位置に基づいて、汚れ抑制設定での画像形成枚数を決める。これにより、画像形成装置1の生産性の低下を最小限にとどめることができる。
なお、ここでは実施例2と同様の画像形成装置1に適用する(すなわち、実施例2におけるカウント値に代えて本実施例におけるカウント値を用いる)ものとして本実施例の制御を説明した。ただし、本実施例の制御は実施例1と同様の画像形成装置1に適用する(すなわち、実施例1におけるカウント値に代えて本実施例におけるカウント値を用いる)ようにしてもよい。その場合、汚れ抑制設定でのプリント動作の実行を最小限にとどめることで、感光体2の寿命に対する影響を最小限に抑えることができる。また、本実施例の制御と、実施例3、4の制御と、を任意に組み合わせて用いてもよい。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
上述の実施例では、転写部材が転写ローラである場合について説明したが、転写部材は転写ローラに限定されるものではない。転写部材は、例えば、感光体に接触する回転可能な無端状のベルトを有して構成されていてもよい。この転写ベルトの内周面側において、感光体と対向する位置には転写ベルトを介して転写部に転写電圧を供給する電圧印加部材(ローラ、ブラシ、シートなど)が配置されていてよい。
また、上述の実施例では、感光体が感光体ドラムである場合について説明したが、感光体は感光体ドラムに限定されるものではない。感光体は、無端ベルト状に構成された感光体ベルトであってもよい。