「ガス充填微小胞」という表現は一般に、ガスと液体の界面に置かれた安定化両親媒性材料(典型的にリン脂質)を含む非常に薄いエンベロープ(フィルム)によってガス/液体界面において境界が作られているガスの気泡を指す。上記校正されたガス充填微小胞は、超音波イメージング技術において(造影増強超音波(CEUS)イメージングとして知られる)、または、例えば超音波が介在する薬物輸送と組み合わせた治療的適用において、造影剤として適切である。
これらの安定化された気泡(適切な生理学的溶液中に分散される)は一般に、当該分野において、典型的にはその調製に用いられる安定化材料によって様々な専門用語で呼ばれ;これらの用語は、例えば、「マイクロスフェア」、「微小気泡」、「マイクロカプセル」または「マイクロバルーン」を含み、ここでは包括的に「ガス充填微小胞」(または短縮して「微小胞」)と呼ぶ。
「校正された(calibrated)」という用語は(ガス充填微小胞を指す場合)、特に、3~8μmの異なるサイズを有しており、少なくとも1.2以下、好ましくは少なくとも1.1、例えば1.05までの幾何標準偏差(GSD)を有するサイズ分布によって特徴付けられる、高度に校正された微小胞(CMV)を有する微小胞懸濁液を指す。
本明細書および特許請求の範囲において、「校正された」という用語は、「サイズが制御された」、「単分散性の」または「単一サイズ(の)」微小胞と相互交換可能に用いられる。
本発明では、校正されたガス充填微小胞は、好ましくはマイクロ流体フローフォーカシング技術を用いて生産され、フローフォーカシングデバイス内でガススレッド(gas thread)が2つの液体流の間で収束して(focused)、リン脂質によって安定化された校正された微小胞が形成されて、出口チャネル内に集められる。この手法を用いて、校正された微小胞が、非常に再現性のある方法で合理的な生産率(1分あたり約6000万の気泡)で製造される(図2および図3)。
製造工程およびデバイスのパラメーターに応じて、およそ任意の所望の平均径、例えば3~8μm、好ましくは約4μmの相対的に狭いサイズ分布で、校正された微小胞が取得され得る。
上記校正された微小胞のサイズ分布は、少なくとも1.2以下、好ましくは少なくとも1.1、例えば1.05までの幾何標準偏差(GSD)値によって典型的に特徴付けられる。
校正された微小胞濃度は(特に、マイクロ流体フローフォーカシングを用いて生産された際)、典型的に3×108~4×108個のCMV/mLの間に含まれ、好ましくは4×108個のCMV/mLに近く、3×108個のCMV/mLよりも低くない。
「幾何標準偏差」(GSD)は一般に、粒子(特定の場合においてはガス充填微小胞)の集団におけるサイズ分布のブレス(breath)を特徴付けるための適切な値を提供する。広範なサイズを有する粒子の集団はしたがって、粒子サイズが平均値付近に狭く分布しているものよりも大きなGSD値を有する(すなわち相対的にサイズがより小さい)。
図1は、市販の測定デバイス(例えば、Multisizer 3ソフトウェアを備えるCoulter Counter Multisizer 3)を用いて、そのチャネルのそれぞれに関するガスの体積を決定することによって得ることのできる(それぞれのチャネルは、微小胞の所定の直径(例えば0.1ミクロン単位)に対応する)、ガス充填微小胞の集団のサイズ分布グラフ(体積による)の例を示す。懸濁液中の校正されたガス充填微小胞の数、選択されたサイズ範囲(例えば、4.5μm CMV平均径については3μm~6μm)におけるそれらのそれぞれの直径および体積分布を決定することにより、CMV分布のGSDを、以下の等式1を用いることによって計算することが可能である:
ここで:
ni=ithチャネルについて計算された、微小胞内にトラップされたガスの体積のパーセンテージ(合計に対する)
xi=ithチャネル内の微小胞の体積
であり、
ここで、
(di=ithチャネル中央(channel center)内の微小胞の直径)
x(エックスバー)=選択された範囲内の微小胞の体積の幾何平均
であり、
ここで:
様々な市販される測定デバイスのうち、Multisizer 3ソフトウェアを備えるCoulter Counter Multisizer 3は、上記に定義されるようにGSD値を計算および提供することが可能である。
例えば、1.2というGSD値は、CMVの約50%が、4μmの平均径について2.5~5μmに校正されていることを示し;1.05~1.08(<1.1)というGSDは、CMVの約90~95%が2.5~5μmの間に含まれるサイズを有することを示す。
本明細書において用いられる「微小胞濃度」という表現は、Coulter Counter器具を用いて決定される体積単位内のCMVの数、すなわち、CMVの数/mLを指す。
出願人が観察したように、マイクロ流体フローフォーカシングによって得られる上記校正された微小胞は、室温で数週間、それらの主な特性に対して実質的な影響なく保管することができるが、上記保管期間後に、上記微小胞の特性(例えば濃度およびサイズ分布)は維持され得ず、次第に悪化し得る。
そのようなガス充填微小胞の懸濁液の貯蔵寿命はしたがって、医薬製品については相対的に短く、CMVの最初の特性、例えば濃度、GSDおよび最終直径を、例えば何ヶ月か、または何年かのより長い時間、維持することが可能な長期の保管手順を開発する必要がある。
凍結乾燥工程は、校正された微小胞の乾燥形態を、長期にわたり高い安定性で最初の特性を維持して取得するための適切な手法である。
驚くべきことに、CMVの最初の特性、例えば濃度、GSDおよび最終直径は、同一の凍結乾燥保護成分を単一の添加剤として用いる凍結乾燥工程と比較して、凍結乾燥保護成分の適切な組み合わせを用いることによる凍結乾燥工程後に実質的に維持され得ることが見いだされた。
第1の態様では、本発明は、両親媒性材料と、凍結乾燥保護成分の混合物とを含む凍結乾燥組成物を提供し、それは、生体適合性ガスの存在下で適切な水溶液を用いて再構成した際に、校正されたガス充填微小胞の懸濁液を提供し、上記微小胞は、少なくとも1.2以下、好ましくは少なくとも1.15、例えば1.1までのGSD値を有する。
本明細書および特許請求の範囲において、用語「凍結乾燥(freeze-drying)」および「凍結乾燥(lyophilization)」は、用語「凍結乾燥された(freeze-dried)」および「凍結乾燥された(lyophilized)」と同様に、相互交換可能に用いられる。
凍結乾燥組成物
本明細書において用いられる「凍結乾燥組成物」という表現は、凍結乾燥工程によって得られるガス充填微小胞製剤の長期保管のための任意の乾燥剤形を示す。上記凍結乾燥組成物は、1つまたは複数の活性成分と、少なくとも2つの凍結乾燥保護成分の混合物とを含むことができる。
本明細書において用いられる「活性成分」という表現は、微小胞安定化材料、例えば両親媒性材料を示し、それは、凍結乾燥保護成分とともに凍結乾燥組成物内に含まれる。
凍結乾燥保護成分の混合物
本明細書において用いられる「凍結乾燥保護成分の混合物」という表現は、凍結乾燥に適切な少なくとも2つの成分の組み合わせを指し、その凍結乾燥工程前に微小胞懸濁液内に含まれるものである。
「凍結乾燥保護成分」という用語は、凍結乾燥工程の任意の段階の間に活性成分を保護するために添加される任意の化合物を指す。適切な凍結乾燥保護成分の例は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオール、糖類、界面活性剤、バッファー、アミノ酸、キレート錯体、および無機塩類である。
本発明の一実施態様によれば、上記凍結乾燥保護成分の混合物は、凍結乾燥に適切な少なくとも2つの異なる化合物の組み合わせであり、ポリマー、ポリオールおよび糖類の群の中から選択される。好ましくは、上記混合物は、ポリオールまたは糖類とポリマーの組み合わせを含む。
本発明の好ましい一実施態様では、凍結乾燥保護成分の混合物の成分の1つは、ポリマー、好ましくは親水性ポリマー、より好ましくはポリグリコールである。
さらにより好ましい一実施態様では、上記ポリグリコール(polyglicol)は、ポリエチレングリコール(PEG)である。
ポリエチレングリコール(PEG)は、その標準的な化学的意味を有する。PEGの化学式はHOCH2(CH2OCH2)mCH2OHであり、ここで、mはオキシエチレン基の平均数を表わす。典型的なポリエチレングリコールは、190~210g/mol(PEG200;m=4.2)から始まり、7000~9000g/mol(PEG8000;m=181.4)までの、広い範囲の平均分子量で利用可能である。
本明細書によれば、「分子量」という表現は、PEGポリマー鎖の平均長を示し、示された分子量に対して±10%の変動を有する。
本発明の一実施態様によれば、凍結乾燥保護成分の混合物は、2000~10000g/mol、好ましくは4000~8000g/molの間に含まれる分子量を有するPEGを好ましくは含む。
一実施態様によれば、凍結乾燥保護成分は、8000g/mol(±10%)の分子量を有するPEGである。別の実施態様によれば、凍結乾燥保護成分は、4000g/mol(±10%)に近い分子量を有するPEGである。
本発明の一実施態様では、凍結乾燥保護成分の混合物は、100mg/mL~300mg/mL、好ましくは120mg/mL~250mg/mLの間に含まれる、より好ましくは200mg/mLに近い濃度を有する溶液としてCMVの懸濁液に添加される。
本出願人が観察したように、150mg/mL以上(例えば200mg/mL)の濃度を有するポリマー(特にポリグリコール、例えばPEG)懸濁液は、それらの相対的に高い粘度に起因して、工業プロセス中に取り扱うことが困難であり得る。したがって、150mg/mLよりも低い濃度を有するポリマー懸濁液を使用し続けることが好ましい。
凍結乾燥工程後に再構成されるCMV懸濁液の最初の特性の維持を改善するために、出願人は、第2の凍結乾燥保護成分と組み合わせたPEGの適切な混合物を150mg/mLよりも低い濃度(例えば100mg/mL)で用いることが好ましいことを見いだした。
本発明の好ましい一実施態様では、凍結乾燥組成物は、ポリオールと、ポリマー、好ましくはポリグリコールの組み合わせである凍結乾燥保護成分の混合物を含む。
本明細書および特許請求の範囲において、「ポリオール」という用語は、その従来の化学的意味を有し;2つよりも多いヒドロキシル官能基を有する任意の有機化合物を示し、一般式HOCH2(CHOH)nCH2OHによって特徴付けられ、ここでnは、1~6、好ましくは2~4の整数である。ポリオールは、鎖長が異なり、すなわち、4個、5個または6個の炭素鎖である。それらは、それぞれの炭素に付着した1つのヒドロキシル基を有する。ポリオールは、これらのヒドロキシル基の相対的配位(立体化学)によってさらに区別することができる。適切なポリオールは、エリトリトール、キシリトール、ソルビトール、ラクチトールおよびマンニトールを含む。
本発明では、上記ポリオールは好ましくは、4個~6個の炭素原子の炭素鎖長を有するポリオールの群より選択される。
さらにより好ましい一実施態様では、上記ポリオールは、ソルビトールまたはキシリトールである。
「ソルビトール」という用語は、化学分野におけるその従来の意味を有する。ソルビトール、または(2R,3R,4R,5S)-ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソールは、直鎖炭素を含む多価アルコールであり、6個の炭素原子を有しており、それぞれがヒドロキシル官能基によって置換されている。それは182.172g/molの分子量を有する。ソルビトールは天然に発生し、また、グルコースから合成的にも生産される。それは、マンニトールと異性体である。
「キシリトール」という用語は、化学分野におけるその従来の意味を有する。キシリトール、または(2S,4R)-ペンタン-1,2,3,4,5-ペントールは、5個の炭素の糖アルコールであり、ここで、分子の全ての5個の炭素原子はヒドロキシル基に結合している。その分子量は152.146g/molである。
さらなる一実施態様では、凍結乾燥組成物は、糖類とポリマーの混合物を含む。
「糖類」という用語は、化学分野におけるその標準的な意味を有する。糖類は、炭水化物とも呼ばれ、3つの元素:炭素、水素および酸素だけから作られる分子化合物である。最も単純な糖類は単糖類と呼ばれ、二糖類、三糖類および多糖類のようなより大きな糖類のためのビルディング単位である。
好ましくは、上記糖類は、二糖類、三糖類および多糖類、より好ましくは二糖類または三糖類の群から選択される。
単糖類は、一般分子式(CH2O)nを有し、ここでnは3、5または6であってよい。単糖類は、OH基とカルボニル基の反応によって環状構造を形成することができる。これらの環状分子は続いて、別のアルコールと反応することができる。単糖類の適切な例は、グルコース、フルクトースおよびガラクトースを含む。
二糖類(C12H22O11)は、グリコシド結合によって結合された2つの単糖類単位からなる糖類である。この後者は、第2の単糖類のOH基と1つの環状単糖類のアノマー炭素の反応によって形成される共有結合である。二糖類は、単糖類成分およびそれらを連結する特定のタイプのグリコシド結合が互いに異なっている。二糖類の例は、マルトース、ラクトース、およびスクロースを含む。二糖類の中でも特に好ましいものはスクロースである。
三糖類は、3つの単糖類からなる糖類であり、それらを連結する2つのグリコシド結合を有する。二糖類と同様に、それぞれのグリコシド結合は、構成要素の単糖類上の任意のヒドロキシル基の間に形成され得る。3つの構成要素の糖類が全て同一であるとしても(例えば、グルコース)、異なる結合の組み合わせ(位置化学)および立体化学(α-またはβ-)によって、異なる化学的および物理的特性を有するジアステレオ異性体である三糖類がもたらされる。三糖類の例は、マルトトリオース、メレチトース、マルトトリオース(maltotriulose)およびラフィノースである。三糖類の中で特に好ましいものはラフィノースである。
多糖類は、グリコシド結合によって一緒に結合された単糖類単位の長い鎖からなる高分子糖類分子である。それらは、構造が線形から高度の分岐まで及ぶ。多糖類の例は:デンプン、セルロース、デキストランおよびキチンである。多糖類の中でも特に好ましいものはデキストランである。
本発明の好ましい一実施態様では、上記糖類は二糖類であり、より好ましくはスクロースである。
本発明において、「スクロース」という用語は、その標準的な意味である。スクロースは、グルコースのヘミアセタールからフルクトースのヘミケタールへのアセタール酸素架橋によって連結されたグルコース単位とフルクトース単位によって形成された二糖類である。スクロースは、実験式C12H22O11および342.30g/molの分子量を有する。
最初のCMV特性は、凍結乾燥保護成分の混合物を用いる場合に特に維持され、上記凍結乾燥保護成分の混合物が、100mg/ml~300mg/mL、好ましくは120mg/ml~250mg/mLの間に含まれる合計濃度を有しており、より好ましくは、PEGおよびポリオールまたはPEGおよび糖類の合計濃度が200mg/mLである点を特徴とする。
好ましい一実施態様では、凍結乾燥保護成分の混合物は、PEGおよびポリオールまたはPEGおよび糖類を、2:1~2:3、好ましくは3:2~4:5、より好ましくは1:1の比で含む。
凍結乾燥保護成分の上記混合物は、校正された微小胞懸濁液の凍結乾燥工程において使用した場合に有利な結果を示し、凍結乾燥組成物を調製して、それから再構成して、濃度およびサイズ分布の観点から許容できる特性を有する校正された微小胞の懸濁液を得ることができる。
両親媒性材料
ガス充填微小胞の安定化層を形成するのに適切な材料(すなわち微小胞安定化材料)は、当技術分野で知られているものである。これらは、好ましくは両親媒性材料を含む。
本明細書において用いられる「両親媒性材料」という用語は、水性媒体と相互作用することのできる親水性極性頭部(例えば、極性またはイオン基)、および、例えば有機溶媒と相互作用することのできる疎水性有機尾部(例えば、炭化水素鎖)を有する分子を有している化合物を含む。これらの化合物はしたがって、一般に、「表面活性剤」として作用し、すなわち、他の方法では一般に非混和性材料である混合物、例えば、2つの非混和性の液体(例えば、水と油)の混合物、ガスと液体の混合物(例えば、水中のガス微小気泡)、または不溶性粒子と液体の混合物(例えば、水中の金属ナノ粒子)を安定化することのできる化合物として作用する。
適切な両親媒性材料は、例えば、リン脂質;リゾリン脂質;脂肪酸類、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸またはオレイン酸;ポリマーを保有する脂質、例えば、キチン、ヒアルロン酸、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコール(PEG)、「ペグ化脂質」とも呼ばれる;スルホン化モノ-ジ-、オリゴ-または多糖類を保有する脂質;コレステロール、コレステロール硫酸またはヘミこはく酸コレステロール;ヘミこはく酸トコフェロール;エーテルを含む脂質またはエステル結合脂肪酸;重合脂質;リン酸ジアセチル;リン酸ジセチル;セラミド類;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸ステアリン酸)、ポリオキシエチレン脂肪族アルコール類、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル類、ポリオキシエチル化ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセロールポリエチレングリコールリシノール酸、エトキシ化大豆ステロール類、エトキシ化ヒマシ油またはエチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)ブロック共重合体;コレステロールグルクロニド、ラノステロールグルクロニド、7-デヒドロコレステロールグルクロニド、エルゴステロールグルクロニド、コレステロールグルコン酸、ラノステロールグルコン酸、またはエルゴステロールグルコン酸を含む、糖酸類のステロールエステル類;ラウリルグルクロニド、ステアロイルグルクロニド、ミリストイルグルクロニド、ラウリルグルコン酸、ミリストイルグルコン酸、またはステアロイルグルコン酸を含む、アルコール類および糖酸類のエステル;スクロースラウリン酸、フルクトースラウリン酸、スクロースパルミチン酸、スクロースステアリン酸、グルクロン酸、グルコン酸またはポリウロン酸を含む、脂肪酸類と糖類のエステル類;サルササポゲニン、スミラゲニン、ヘデラゲニン、オレアノール酸、またはジギトキシゲニンを含む、サポニン類;グリセロールまたは脂肪酸とのグリセロールモノエステル類(グリセロールモノパルミテート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノミリステートまたはグリセロールモノラウレートを含む);n-デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、またはn-オクタデシルアルコールを含む、長鎖アルコール類;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;ジガラクトシル-ジグリセリド;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシ-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド;6-(5-コレステン-3β-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシル-1-チオ-β-D-マンノピラノシド;12-(((7’-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカン酸;N-[12-(((7’-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)-オクタデカノイル]-2-アミノパルミチン酸;N-スクシニルジオレイルホスファチジルエタノールアミン;1,2-ジオレイル-sn-グリセロール;1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニルグリセロール;1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール;1-ヘキサデシル-2-パルミトイルグリセロホスホエタノールアミンまたはパルミトイルホモシステイン;アルキルアミン類またはアルキルアンモニウム塩類、以下を含む、少なくとも1つの(C10-C20)、好ましくは(C14-C18)、アルキル鎖、例えば、N-ステアリルアミン、N,N’-ジステアリルアミン、N-ヘキサデシルアミン、N,N’-ジヘキサデシルアミン、N-ステアリルアンモニウム塩化物、N,N’-ジステアリルアンモニウム塩化物、N-ヘキサデシルアンモニウム塩化物、N,N’-ジヘキサデシルアンモニウム塩化物、ジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物(DDAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物(CTAB);第3級または第4級アンモニウム塩類、以下を含む、1つまたは好ましくは2つの(C10-C20)、好ましくは(C14-C18)、アシル鎖((C3-C6)アルキレン橋を通してN原子に連結される)、例えば、1,2-ジステアロイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DSTAP)、1,2-ジパルミトイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DPTAP)、1,2-オレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP)、1,2-ジステアロイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DSDAP);およびそれらの混合物または組み合わせを含む。
本発明によれば、両親媒性材料は、好ましくはリン脂質である。
「リン脂質」という用語は、任意の両親媒性のリン脂質性(phospholipidic)化合物を包含することを意図し、その分子は、最終微小気泡懸濁液中で、ガスと水の境界界面において材料の安定化フィルムを(典型的に単分子層の形態で)形成することが可能である。したがって、これらの材料は、当該分野において「フィルム形成リン脂質」とも呼ばれる。
適切なリン脂質の例は、1つまたは好ましくは2つの(等しい、または異なる)脂肪酸残基およびリン酸とグリセロールのエステルを含み、ここで、リン酸残基は次いで、例えば、コリン(ホスファチジルコリン-PC)、セリン(ホスファチジルセリン-PS)、グリセロール(ホスファチジルグリセロール-PG)、エタノールアミン(ホスファチジルエタノールアミン-PE)、イノシトール(ホスファチジルイノシトール)などの親水性基に結合される。ただ1つの脂肪酸残基とリン脂質のエステルは、一般に、当該分野において、リン脂質の「リゾ」形態または「リゾリン脂質」と呼ばれる。リン脂質内に存在する脂肪酸残基は一般に、典型的に12~24個の炭素原子、好ましくは14~22個を含む長鎖脂肪酸類であり;脂肪族鎖は、1つまたは複数の不飽和を含んでよく、または、好ましくは完全に飽和である。リン脂質に含まれる適切な脂肪酸の例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、およびリノレン酸である。好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸のような飽和脂肪酸が例示される。
リン脂質のさらなる例は、ホスファチジン酸類、すなわち、脂肪酸とグリセロール-リン酸のジエステル類;スフィンゴミエリン類のようなスフィンゴ脂質類、すなわち、脂肪酸とのグリセロールジエステルの残基がセラミド鎖によって置換されているホスファチジルコリンアナログ;カルジオリピン類、すなわち、脂肪酸と1,3-ジホスファチジルグリセロールのエステル類;糖脂質類、例えば、ガングリオシドGM1(またはGM2)またはセレブロシド類;糖脂質;スルファチド類およびグリコスフィンゴリピド類である。
本明細書において用いられる、用語「リン脂質」は、単独または混合物としてのいずれかで用いられ得る、天然起源、半合成または合成のいずれかで調製された産物を含む。
天然起源のリン脂質の例は、天然レシチン類(ホスファチジルコリン(PC)誘導体)、例えば、典型的に、大豆または卵黄レシチン類である。
半合成リン脂質の例は、天然起源レシチン類の部分的または完全に水素化された誘導体である。好ましいリン脂質は、ホスファチジルコリン、エチルホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールまたはスフィンゴミエリンの脂肪酸ジエステルである。
好ましいリン脂質の例は、例えば、ジラウロイル-ホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイル-ホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドイル-ホスファチジルコリン(DAPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイル-ホスファチジルコリン(DOPC)、1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(エチル-DSPC)、ジペンタデカノイル-ホスファチジルコリン(DPDPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイル-ホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイル-ホスファチジルコリン(PSPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(SPPC)、1-パルミトイル-2-オレイルホスファチジルコリン(POPC)、1-オレイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン(OPPC)、ジラウロイル-ホスファチジルグリセロール(DLPG)およびそのアルカリ金属塩類、ジアラキドイルホスファチジル-グリセロール(DAPG)およびそのアルカリ金属塩類、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)およびそのアルカリ金属塩類、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)およびそのアルカリ金属塩類、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)およびそのアルカリ金属塩類、ジオレオイル-ホスファチジルグリセロール(DOPG)およびそのアルカリ金属塩類、ジミリストイルホスファチジン酸(DMPA)およびそのアルカリ金属塩類、ジパルミトイルホスファチジン酸(DPPA)およびそのアルカリ金属塩類、ジステアロイルホスファチジン酸(DSPA)、ジアラキドイルホスファチジン酸(DAPA)およびそのアルカリ金属塩類、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ジオレイルホスファチジル-エタノールアミン(DOPE)、ジアラキドイルホスファチジル-エタノールアミン(DAPE)、ジリノレイルホスファチジルエタノールアミン(DLPE)、ジミリストイルホスファチジルセリン(DMPS)、ジアラキドイルホスファチジルセリン(DAPS)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)、ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、ジパルミトイルスフィンゴミエリン(DPSP)、およびジステアロイルスフィンゴミエリン(DSSP)、ジラウロイル-ホスファチジルイノシトール(DLPI)、ジアラキドイルホスファチジルイノシトール(DAPI)、ジミリストイルホスファチジルイノシトール(DMPI)、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール(DPPI)、ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、ジオレオイル-ホスファチジルイノシトール(DOPI)である。
適切なリン脂質は、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール(PPG)のような親水性ポリマーが、それに結合することによって改変されたリン脂質をさらに含む。好ましいポリマー改変リン脂質は、「ペグ化リン脂質」、すなわち、PEGポリマーに結合したリン脂質を含む。ペグ化リン脂質の例は、ペグ化ホスファチジルエタノールアミン類(短縮して「PE-PEG」)、すなわち、親水性エタノールアミン部分が可変分子量(例えば300~20000ダルトン、好ましくは500~5000ダルトン)のPEG分子に結合されたホスファチジルエタノールアミン類、例えば、DPPE-PEG(またはDSPE-PEG、DMPE-PEG、DAPE-PEGまたはDOPE-PEG)である。例えば、DPPE-PEG2000は、約2000の平均分子量を有するPEGポリマーがそれに付着したDPPEを指す。
特に好ましいリン脂質は、DAPC、DSPC、DPPC、DMPA、DPPA、DSPA、DMPG、DPPG、DSPG、DMPS、DPPS、DSPSおよびエチル-DSPCである。最も好ましいのは、DPPG、DPPSおよびDSPCである。
リン脂質の混合物、例えば、DSPS、DPPS、DSPA、DPPA、DSPG、DPPG、エチル-DSPCおよび/またはエチル-DPPCと、DPPEおよび/またはDSPE(ペグ化誘導体を含む)、DPPC、DSPCおよび/またはDAPCの混合物も用いられ得る。
例えば、リン脂質の混合物は、ホスファチジルコリン誘導体、ホスファチジン酸誘導体およびペグ化ホスファチジルエタノールアミン、例えばDSPC/DPPA/DPPE-PEG、DPPC/DPPA/DPPE-PEG、DSPC/DPPA/DSPE-PEG、DPPC/DPPA/DSPE-PEG、DAPC/DPPA/DPPE-PEG、DAPC/DPPA/DSPE-PEG、DSPC/DSPA/DPPE-PEG、DPPC/DSPA/DSPE-PEG、DSPC/DSPG/DPPE-PEG、DPPC/DSPG/DSPE-PEGを含んでよい。
本発明によれば、リン脂質は、任意の上記に挙げた両親媒性化合物との混合で好適に用いられ得る。したがって、例えば、コレステロール、エルゴステロール、植物ステロール、シトステロール、ラノステロール、トコフェロール、没食子酸プロピルまたはパルミチン酸アスコルビルのような脂質類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびそれらの誘導体のような脂肪酸、またはブチル化ヒドロキシトルエンおよび/または他の非リン脂質化合物は、前述のリン脂質の1つまたは複数に、例えば、好ましくは0~50重量%の範囲、より好ましくは25%までの比率で、任意に添加されてもよい。例えば、DSPC/DPPG/パルミチン酸、DSPC/DPPE-PEG/パルミチン酸、DPPC/DPPE-PEG/パルミチン酸、DSPC/DSPE-PEG/パルミチン酸、DPPC/DSPE-PEG/パルミチン酸、DSPC/DPPE-PEG/ステアリン酸、DPPC/DPPE-PEG/ステアリン酸、DSPC/DSPE-PEG/ステアリン酸またはDPPC/DSPE-PEG/ステアリン酸を含む、リン脂質および脂肪酸を含む両親媒性材料の混合物が有利に用いられ得る。
本発明によって調製される微小胞は、標的化リガンドを任意に含んでもよい。
「標的化リガンド」という用語は、生体内の任意の生物学的または病理学的部位に向かう、本発明の組成物の微小胞の標的化活性(例えば選択的結合を含む)を有する、またはそれを促進することが可能な、任意の化合物、部分または残基をその意味の中に含む。標的化リガンドが関連し得る標的は、組織、例えば、心筋組織(心筋細胞(myocardial cells)および心筋細胞(cardiomyocytes)を含む)、膜質組織(内皮および上皮を含む)、薄膜、結合組織(間質組織を含む)または腫瘍;血塊;および受容体、例えば、ペプチドホルモン、神経伝達物質、抗原、補体断片、および免疫グロブリンに関する細胞表面受容体、および、ステロイドホルモンに関する細胞質受容体を含む。
標的化リガンドは、合成、半合成、または天然起源であってよい。標的化リガンドとして作用し得る材料または物質は、例えば、限定されないが、抗体、抗体フラグメント、受容体分子、受容体結合分子、糖タンパク質およびレクチンを含む、タンパク質;オリゴペプチドおよびポリペプチドを含むペプチド;ペプチド模倣薬;単糖類および多糖類を含む、糖類;ビタミン類;ステロイド類、ステロイドアナログ類、ホルモン類、補助因子、生物活性剤、ならびに、ヌクレオシド、ヌクレオチド、および、ポリヌクレオチドを含む遺伝物質を含む。
標的化リガンドは、それ自体が両親媒性化合物であってよく(微小胞の他の構成要素と混合される)、または、微小胞の形成に用いられる両親媒性分子(例えばリン脂質)に結合された化合物であってよい。
ガス
適切なガスは、生体適合性フッ素化ガス、好ましくはパーフルオロ化ガスを含む。フッ素化ガスは、少なくとも1つのフッ素原子を含む材料、例えば、フッ素化炭化水素(1つまたは複数の炭素原子およびフッ素を含んでいる有機化合物);六フッ化硫黄;フッ素化、好ましくはパーフルオロ化ケトン類、例えば、パーフルオロアセトン;およびフッ素化、好ましくはパーフルオロ化エーテル類、例えばパーフルオロジエチルエーテルを含む。好ましい化合物は、パーフルオロ化ガス、例えば、SF6またはパーフルオロカーボン(パーフルオロ化炭化水素)、すなわち全ての水素原子がフッ素原子によって置換されている炭化水素であり、特に安定したガス充填微小胞懸濁液を形成することが知られている。
「パーフルオロカーボン」という用語は、飽和、不飽和、および環状パーフルオロカーボン類を含む。生体適合性の、生理的に許容できるパーフルオロカーボン類の例は:パーフルオロアルカン類、例えば、パーフルオロメタン、パーフルオロエタン、パーフルオロプロパン類、パーフルオロブタン類(例えばパーフルオロ-n-ブタン、パーフルオロ-イソブタンのような他の異性体との混合であってもよい)、パーフルオロペンタン類、パーフルオロヘキサン類またはパーフルオロヘプタン類;パーフルオロアルケン類、例えばパーフルオロプロペン、パーフルオロブテン類(例えばパーフルオロブト-2エン)またはパーフルオロブタジエン;パーフルオロアルキン類(例えばパーフルオロブト-2-イン);およびパーフルオロシクロアルカン類(例えばパーフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロブタン、パーフルオロジメチルシクロブタン類、パーフルオロトリメチルシクロブタン類、パーフルオロシクロペンタン、パーフルオロメチルシクロペンタン、パーフルオロジメチルシクロペンタン類、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロシクロヘプタン)である。好ましい飽和パーフルオロカーボン類は、例えば、CF4、C2F6、C3F8、C4F8、C4F10、C5F12およびC6F14を含む。特に好ましいガスは、室温でガス状形態であるものであり、SF6、C3F8、およびC4F10を含む。
本発明の一態様はしたがって、校正されたガス充填微小胞の長期保管のための凍結乾燥組成物を調製する方法に関し、以下のステップ:
a.凍結乾燥保護成分の混合物を含む校正されたガス充填微小胞の懸濁液を調製するステップ;
b.校正された微小胞懸濁液を凍結乾燥するステップ、を含む。
好ましくは、ステップa)の調製方法は、参考文献1[WO2018/041906 A1-BRACCO SUISSE SA]および参考文献2[PCT出願番号PCT/EP2019/055325]において説明されるマイクロ流体フローフォーカシング技術である。
図2は、本発明の工程において有用なフローフォーカシングデバイス(「マイクロ流体チップ」)のコア部分200の略図を示す。チップは、ガス流(gaseous flow)201’を供給するための第1の供給チャネル201と、両親媒性材料を含む液体流を供給するための2つのさらなるオルトゴナル供給チャネル202aおよび202bとを備える。
ガス流(gas flow)および2つの液体流は、接触ゾーン203へ向かい、それから、図1において点線として示される校正されたオリフィス204を通る。校正されたオリフィスは、好ましくはオリフィスと同一の横断面を有する校正されたチャネル204’に接続されて、次いで、出口チャネル206の最初の部分205に接続される。代替の実施態様(図示せず)では、校正されたオリフィス204は、出口チャネル206の最初の部分205に直接的に接続された、すなわち校正されたチャネルが間にない、ノズルであってよい。微小胞203’は、校正されたオリフィス内で形成され、校正されたチャネル204’を通って、出口チャネル206の最初の部分205へ向けられる。出口チャネルの水力直径は一般に、校正されたオリフィスの水力直径よりも大きく、典型的に、校正されたオリフィスの最初の直径から出口チャネル206の最終の直径へと増大していて、フローフォーカシングデバイスを微小胞の懸濁液を回収するためのコンテナー、例えば密封されたバイアルに接続する、回収チューブ(図示せず)の水力直径に実質的に対応する。
デバイスの出口チャネルの最初の部分205において、および好ましくは接触ゾーン203においても、および校正されたオリフィス204において、微小胞の温度は、参考文献1[WO2018/041906 A1-BRACCO SUISSE SA]および参考文献2[PCT出願番号PCT/EP2019/055325]に説明されるように制御されている。
液体流
本発明の方法による校正されたガス充填微小胞を調製するための水性液体流は、水性担体中に分散された、例えば5.0~20mg/mL、好ましくは7.5~15mg/mLの濃度の両親媒性材料(上記に定義)を含む。
好ましくは生理的に許容できる適切な水性担体は、水(好ましくは滅菌水)、食塩水のような水溶液(注入のための最終産物が低張でないように有利に緩衝されてよい)、または、1つまたは複数の浸透圧調節物質の溶液を含む。浸透圧調節物質は、塩類または糖類、糖アルコール類、グリコール類または他の非イオン性ポリオール材料(例えばグルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、グリセロール、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール類など)、キトサン誘導体、例えば、カルボキシメチルキトサン、トリメチルキトサンまたはゲル化化合物、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプンまたはデキストランを含む。
代替の実施態様では、さらなる油相が、治療的疎水性物質を微小胞中に取り込むために添加されてよい。この目的を達成するために、2つのさらなる導管が、例えば参考文献1[WO2018/041906 A1-BRACCO SUISSE SA]および参考文献2[PCT出願番号PCT/EP2019/055325]において説明されるように、所望の油相を供給するためにデバイス内に提供されてよい。形成されたガス充填微小胞はしたがって、ガスおよび両親媒性材料の安定化層の間の界面に配置された油のフィルムを有しており、所望の治療的薬剤を担持させることができる。適切な油類は、室温で液体である任意の生体適合性の油を含んでよく、例えば、飽和または不飽和(C2-C18)アルキル鎖とグリセロールのモノ-、ジ-またはトリ-エステル(ホモ-またはヘテロ-アルキルエステル類(allkylesters)を含む)、例えば、グリセロールモノブチリン、モノリノール酸グリセロール、1,2-ジヘキサノイルグリセロール、1,2ジオクタノイルグリセロール、1,2-ジオレイル-sn-グリセロール、トリアセチン、トリブチリン、トリカプロイン、トリカプリリン、トリカプリン、およびそれらの混合物;または天然油類、例えば、大豆油、オリーブ油、ベニバナ種子油、ヒマワリ種子油、落花生油およびそれらの混合物を含む。
混合ガス流
形成されたばかりの微小胞は、前に示したものの中から選択されるガスを含む。好ましくは、ガスは、参考文献2[PCT出願番号PCT/EP2019/055325]において予期されるように、水中に非常に可溶性であるガス(「HSガス」)および水中に難溶解性であるガス(「LSガス」)の混合物である。
安定化の段階中に、非常に可溶性であるガスの大部分が水中に急速に溶解するが、可溶性が低いものは、両親媒性化合物の密集層中にトラップされたままであり、典型的に、HS溶解度ガスの一部の残量はその中に分散されている。
HSガスの例は、窒素、空気、および二酸化炭素を含み、この後者は水中の溶解度がより高いので特に好ましい。
適切なLSガスは、フッ素化ガス、好ましくはパーフルオロ化ガスである。本明細書において前に説明したフッ素化ガス。
本発明の好ましい一実施態様では、80/20~90/10、例えば85/15の体積比でCO2/C4F10を含むガス充填微小胞が、図3に模式的に示されるものと同様のガス混合デバイスによって調製され得る。
図3は、校正された微小胞の生産のために用いられるマイクロ流体フローフォーカシングデバイスの例を示す。ガス流302(例えばC4F10およびCO2の混合物を含む)および液体流301(両親媒性材料、例えば、リン脂質、脂肪酸またはそれらの混合物を含む)は、マイクロ流体チップ303に供給されて、オリフィス304を通して微小胞が生産される。微小胞懸濁液は、好ましくは雰囲気圧でガス(例えばC4F10)が予め充填されているバイアル305内に回収される。ガス抜き(venting)デバイス(例えばニードル306)は、好ましくは、バイアルの液体充填によって生じた過剰圧力を一様にするために用いられる。微小胞懸濁液の回収の最後に、ガス抜きデバイスを好ましくは取り外し、外部雰囲気とのさらなるガス交換を避けるために好ましくはコンテナーを密封する。
本発明の好ましい一実施態様によれば、回収段階の後に、マイクロ流体フローフォーカシング方法によって得られた校正された微小胞を、アセンブルされなかった(not-assembled)両親媒性材料およびあり得る残渣化合物を除去するために適切な洗浄技術を用いて処理する。
本明細書において、「洗浄する(washing)」という用語は、調製されたばかりの微小胞懸濁液に対して行われ、アセンブルされなかった両親媒性材料および残渣化合物を除去(または実質的にその量を減少させる)ように完了される任意の操作を示す。
本明細書によれば、適切な洗浄技術は、遠心分離、濾過、バブルソートおよびデカンテーションを含む。
本明細書において、「アセンブルされなかった(not-assembled)両親媒性材料」という表現は、調製工程の最後に校正された微小胞懸濁液中に存在するが、ガス充填微小胞の安定化層を形成していない両親媒性分子を指す。
本明細書において、「残渣化合物」は、微小胞の調製中に両親媒性材料溶液へ添加される任意のあり得る添加物質、例えば前に説明した浸透圧調節剤を示す。
本発明の好ましい一実施態様では、洗浄操作後に、凍結乾燥保護成分の混合物を、校正された微小胞懸濁液へ添加する。
あるいは、凍結乾燥保護成分の混合物を、マイクロ流体技術による微小胞の調製中に、上述の両親媒性化合物を含んでいる液体流へ添加することができる。
最初のCMVの特性は、凍結乾燥保護成分の混合物を用いた場合に特に維持され、上記凍結乾燥保護成分の混合物が100mg/ml~300mg/mL、好ましくは120mg/ml~250mg/mLの間に含まれる合計濃度を有し、より好ましくはPEGおよびポリオールまたはPEGおよび糖類の合計濃度が200mg/mLであるという点を特徴とする。
本発明の好ましい一実施態様では、凍結乾燥工程の前に、CMV懸濁液は、10~25%、好ましくは14~24%、さらにより好ましくは18~22%(w/v%)の濃度の凍結乾燥保護成分の混合物を含む。
凍結乾燥保護成分の混合物は、最終的な凍結乾燥製剤の多い方の量を示し、それは典型的に、少なくとも90%、好ましくは94%~99.7%、より好ましくは99.5%を示し、99.9%(w/w)までである。
上記凍結乾燥保護成分の混合物は、本明細書において上記に説明したものである。上記混合物は、校正された微小胞懸濁液の凍結乾燥工程において使用した場合に有利な結果を示し、凍結乾燥組成物を調製して、それから再構成して、最初の懸濁液(凍結乾燥前)と比べて濃度およびサイズ分布の観点から許容できる特性を有する校正された微小胞の懸濁液を得ることができる。
例えば、凍結乾燥保護成分の混合物を使用することは、凍結乾燥工程後のGSD値を実質的に維持するための最善のストラテジーをもたらす。一実施態様によれば、1.16~1.18の間に含まれるGSD値は、より高いGSD値によって特徴付けられる校正された微小胞を与える単一の添加剤の使用と比べて、凍結乾燥保護成分の混合物を用いた場合に得ることができる。
好ましい一実施態様では、凍結乾燥保護成分の混合物の使用は、単一の凍結乾燥保護成分の使用と比べた場合、凍結乾燥後に校正された微小胞の収率を38%の増大で有意に改善することが可能である。
本明細書および特許請求の範囲において、凍結乾燥という用語は、調剤技術分野におけるその標準的な意味を有する。凍結乾燥工程は、低圧または真空および低温での、予め凍結された(pre-frozen)液体産物の乾燥からなる。主な目的は、長期保管に適切な凍結乾燥産物を提供するために産物から液体を除去することである。
本出願人が観察したように、凍結乾燥パラメーターは、微小胞の再構成された懸濁液の特性(例えば収率、サイズ、GSD)をさらに最適化するために選択されてよい。
本発明の好ましい一実施態様では、校正されたガス充填微小胞の長期保管のための上記方法の凍結温度は、-30℃~-70℃、好ましくは-30℃~-60℃の範囲であり、さらにより好ましくは-40℃である。
さらに好ましい一実施態様では、凍結乾燥の圧力は、好ましくは0.5mbar以下、好ましくは0.2以下、例えば0.1mbar付近である。
本発明のさらなる一態様は、校正されたガス充填微小胞の懸濁液を調製するための凍結乾燥組成物に関し、上記凍結乾燥組成物は、以下のステップ:
a.以下のステップを含むフローフォーカシング工程によって、ガスが充填された校正された微小胞の第1の懸濁液を調製するステップ、
ここで上記懸濁液は、凍結乾燥保護成分の混合物をさらに含む;および
b.上記懸濁液を凍結乾燥するステップ、を含む工程によって得ることができる。
本発明のさらなる一態様は、ガス充填微小胞の懸濁液を含んでいる注入可能な造影剤を調製する方法に関し、ここで上記方法は、両親媒性材料と、凍結乾燥保護成分の混合物とを含む、上述のとおりに得られる凍結乾燥組成物を、生体適合性ガスの存在下で薬学的に許容できる溶液によって再構成するステップを含む。
それから、凍結乾燥組成物を、生体適合性ガスの存在下で適切な薬学的に許容できる(水性)溶液によって再構成することができ、したがって、校正されたガス充填微小胞の懸濁液を提供し、ここで上記微小胞は、少なくとも1.2以下、好ましくは少なくとも1.15、例えば1.1までのGSDを有する。
本発明において、薬学的に許容できる(水性)溶液は、水、典型的に滅菌された、発熱物質フリーの水(最終の再構成された産物における汚染の可能性をできるだけ防止するため)、食塩水のような水溶液(注入のための最終産物が低張でないように有利に緩衝してよい)、または、塩類または糖類、糖アルコール類、グリコール類または他の非イオン性ポリオール材料などの1つまたは複数の浸透圧調節物質の水溶液である。
凍結乾燥組成物は典型的に、凍結乾燥工程を受ける懸濁液の体積と同様の体積の水溶液を用いて再構成される。したがって、再構成された懸濁液中の凍結乾燥保護成分の濃度は、最初の懸濁液中のものと実質的に同一である。この理由により、過剰な量のポリマー(典型的にポリグリコール、例えばPEG)、例えば150mg/mLよりも多い量(例えば200mg/mL)は、投与される懸濁液の過剰な粘度を避けるために好ましくは回避すべきである。
驚くべきことに、校正された微小胞の再構成された懸濁液は、凍結乾燥工程の前に特徴付けられる、校正された微小胞の最初の特性を実質的に維持することが見いだされ、その後の製剤用途に適切なものとなった。
校正された微小胞の上記再構成された懸濁液は、少なくとも1.2以下、好ましくは少なくとも1.15、例えば1.1までのGSDを有する校正された微小胞によって特徴付けられる。
本発明の一実施態様では、校正された微小胞の上記再構成された懸濁液は、少なくとも2.0×108個のCMV/mL、好ましくは2.25×108個のCMV/mL、より好ましくは2.5×108個のCMV/mLの濃度、5.50×108個のCMV/mLまでの濃度によって特徴付けられる。
上述のとおり、「微小胞濃度」という表現は、Coulter Counter器具を用いて決定される体積単位内の微小胞の数、すなわちMBの数/mLを指す。
典型的に、適切な水溶液を用いて本発明の凍結乾燥組成物を再構成した後に測定される校正された微小胞の濃度(%)は、凍結乾燥工程前に測定された微小胞濃度と比較した、上記再構成後の微小気泡の収率を決定することを可能にする。
本発明において、本発明の凍結乾燥組成物の再構成後の校正された微小胞の収率は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも65%、例えば85%まで、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは100%である。
「校正された微小胞の収率」という表現は、凍結乾燥前に測定された微小胞濃度と、凍結乾燥および再分散後に測定された微小胞濃度の間の比を指す(等式2を参照):
等式2:凍結乾燥後のCMV収率(%)=(凍結乾燥後のCMV濃度/mL)/(凍結乾燥前のCMV濃度/mL)
「GSD比」という表現は、凍結乾燥後のGSD値に対する、凍結乾燥前のCMVについて測定されたGSD値の比を示す(等式3を参照):
等式3:GSD比=(凍結乾燥前のGSD)/(凍結乾燥後のGSD)
凍結乾燥工程後のCMV系の単分散性は、GSD比の値によって監視することができる。例えば、良好な単分散性は、凍結乾燥後のGSD値が凍結乾燥前のものと同様である場合に評価され、1に近いGSD比をもたらす。一般に、GSD比が高ければ高いほど(すなわち、1に近ければ近いほど)、凍結乾燥後のCMV分布における最初の単分散性の維持を示す。
用途
本発明の方法によって調製される微小胞は、様々な診断および/または治療的技術において用いられてよく、特に超音波および磁気共鳴を含む。
診断方法は、ガス充填微小胞の使用によって、動物(ヒトを含む)の身体の一部(portion)または部位(part)の可視化を増強することが可能になる任意の方法を含み、前臨床および臨床研究目的のためのイメージングを含む。様々なイメージング技術が超音波適用において用いられ得て、例えば、基本およびハーモニックBモードのイメージング、パルスまたは位相反転イメージング、ならびに、基本およびハーモニックドップラーのイメージングを含み;必要に応じて三次元イメージング技術が用いられ得る。
本発明に係る微小胞は典型的に、例えば、それぞれの組成、イメージングされる組織または臓器および/または選択されるイメージング技術に依存して、患者のkgあたり約0.01~約1.0μLのガスの濃度で投与されてよい。この一般的な濃度範囲は、特定のイメージング適用に応じて、例えば、カラー・ドップラーまたは電源パルス反転のような非常に低い用量でシグナルを観察することができる場合は、もちろん変化し得る。
一実施態様では、上記診断方法は、
(i)本発明の工程によって得られる凍結乾燥産物の再構成によって得られるガス充填微小胞の懸濁液を患者へ投与するステップ;および
(ii)上記患者における関心領域からの超音波シグナルを検出するステップ、を含む。
一実施態様によれば、ガス充填微小胞の上記懸濁液は、両親媒性材料と、凍結乾燥保護成分の混合物とを含む。
凍結乾燥産物の再構成は、好ましくは、生理的に許容できるガス(例えばSF6)の存在下で、穏やかに撹拌しながら、生理的に許容できる水性担体(例えば食塩水)中にそれを分散させることによって行なわれる。
可能性のある他の診断イメージング適用は、シンチグラフィー、光イメージング、およびX線イメージング(X線位相コントラストイメージングを含む)を含む。
本発明の別態様は、本発明による凍結乾燥産物から再構成された微小胞の懸濁液の治療的処置の方法での使用に関する。
治療的技術は、患者の任意の治療方法(上記に定義)を含み、それは、超音波およびガス充填微小胞の併用を、それ自体として含み(例えば、超音波によって仲介される血栓溶解、高密度焦点式超音波アブレーション、血液脳関門の透過化、免疫調節、神経調節、放射線増感において)、または、治療剤と組み合わせて含み(すなわち、超音波によって仲介される送達、例えば、選択部位または組織への薬物または生体活性化合物の送達のため、例えば、腫瘍治療、遺伝子療法、感染性疾患の療法、代謝疾患の療法、慢性疾患の療法、変性疾患の療法、炎症性疾患の療法、免疫性または自己免疫性疾患の療法において、または、ワクチンとしての使用において)、したがって、ガス充填微小胞の存在は、例えば、生物学的効果をインビトロおよび/またはインビボで与えるか、または与える要因となることによって、それ自体によって、または様々な物理的方法による特定の活性化の際に(例えば超音波によって仲介される送達を含む)、治療的効果自体を提供し得て、または、適用される超音波の治療的効果を増強することができる。
本発明に係る微小胞は典型的に、例えば、それぞれの組成、治療中の対象のタイプ、治療される組織または臓器および/または用いられる治療的方法に依存して、患者のkgあたり約0.01~約5.0μLのガスの濃度で治療的目的のために投与することができる。
一実施態様では、超音波の治療的処置の上記方法は、
(i)本発明の工程によって得られる凍結乾燥産物の再構成によって得られるガス充填微小胞の懸濁液を患者へ投与するステップ;
(ii)治療的処置に曝される上記患者における関心領域を同定するステップ(上記関心領域は、ガス充填微小胞の上記懸濁液を含んでいる);および
(iii)上記関心領域を治療的に処置するために超音波ビームを適用するステップ;を含み、
それにより、上記超音波の治療的処置は、上記関心領域におけるガス充填微小胞の上記懸濁液の存在によって増強される。
以下の実施例は、本発明をさらに例示するのを助けるであろう。
[実施例1]
ガス充填微小胞の調製
ガス充填微小胞を、市販のチップホルダー(Micronit microfluidics,Fluidic Connect PRO Chip Holder(4515 Insertsを有する))内にマウントされた、市販のマイクロ流体フローフォーカシングデバイス(CU4553.007 N30デザイン、Micronit Microfluidics,NL)を用いて合成した。微小胞形成チャネルは、19μmの幅を有していた。チップおよびそのホルダーを、20倍の倍率対物(Olympus,LMPLAN 20x)およびCCDカメラ(Lumenera,LM156M)を具備する倒立顕微鏡上にマウントされた光透明性の温度制御された水浴内に置いた。恒温浴の温度を50℃に設定した。
液体流中の両親媒性材料はDSPC:DPPE-PEG5000であり、それぞれのモル比は9:1であった。
材料を、上記モル比で20mg/mLの濃度で、60℃で攪拌しながら、両親媒性材料が完全に溶解するまで、クロロホルム/メタノール2:1(体積比)の混合物に添加した。それから、減圧下で溶媒を蒸発させて、得られたフィルムを減圧下で一晩乾燥させた。それから、乾燥した材料を、60℃で撹拌しながら30分間、食塩水(0.9%NaCl)中に(15mg/mLの濃度で)再分散させた。それから、チップ・ソニケーター(Branson Sonifier 250)を用いることによって分散物を超音波処理して、材料を均一に分散させた。それから、調製物を、ポリカーボネート・フィルター(0.45μmポアサイズ)を用いて濾過して、室温まで冷却して脱気した。
85/15の体積比でCO2/C4F10を含むガス充填微小胞を、図3に模式的に示したものと同様のガス混合デバイスを用いて調製した。簡潔に説明すると、2つのガスコンテナーに、それぞれCO2およびC4F10を充填した。それぞれのガスのガス流を、それぞれの質量流量コントローラー:(i)EL-Flow:F200CV-002-RAD-11-K(CO2用)および(ii)Low-ΔP-Flow:F-200DV-RAD-11-Z(C4F10用)によって調節した(ガス・コントローラーは両方とも、Bronkhorst,Ruurlo,The Netherlandsによる)。質量流量コントローラーは、所望の混合比を設定および維持するために、パーソナルコンピューター上にインストールされたMatlab(Mathworks)に実装されている、カスタマイズされたソフトウェアプログラムによって制御した。圧力センサー(PSE530-M5-L;SMC Corp.,Tokyo,Japan)は、マイクロ流体チップに導く出口チャネル内のガス混合物における実際の圧力を測定し;微小胞の形成には2バールのガス圧力を用いた。液体並行流量(co-flow rate)は、別個の質量流量コントローラー(Mini Cori Flow:M13V14I-MAD-11-K-S;Bronkhorst,Ruurlo,The Netherlands)を用いることによって制御した。約150μL/分の液体並行流量を用いて、ジェット・レジームにおけるフローフォーカシングデバイスを操作して、約4μmの直径(モード)を有する微小胞を生産した。
[実施例2]
凍結乾燥組成物の調製
まず、実施例1で説明したマイクロ流体フローフォーカシング方法によって得られた3mLの校正された微小胞懸濁液を、Pyrexチューブ(Pyrex使い捨てチューブ12×75mm)内に、チューブ内にC4F10をさらに添加せずに移した。それから、校正された微小胞懸濁液を、64gで6分間、遠心分離して(Sigma3-16遠心分離機)、針を備えたシリンジを用いて下澄液(infranatant)を吸引した。残っている200μLの洗浄した微小胞を、以下の実施例に詳述されるように、凍結乾燥保護成分を含む3mLの溶液を用いて再分散させた。効果的な濃度の凍結乾燥保護成分は、残っている洗浄した微小胞の再分散後、188mg/mLであった。
それから、凍結乾燥保護成分の溶液中に懸濁された、校正された微小胞を、DIN8Rガラスバイアル中に分取して(1.5mL懸濁液/バイアル)、凍結乾燥器内に移した。
バイアルを、-30℃~-60℃の温度で冷却して(以下の実施例において詳述する)、およそ1時間、真空下で凍結乾燥した。手順の最後に、凍結乾燥組成物は、白い均質な乾燥固体として得られた。それから、ヘッドスペースに純粋なC4F10を充填した。
[実施例3]
校正された微小胞の特性に対する、凍結乾燥保護成分の効果
表1は、試験した凍結乾燥保護成分を列挙する。
上記材料を、実施例2に示される凍結乾燥組成物の調製において、-60℃の温度で、単一成分またはそれらの混合物として、様々な濃度で用いた。表2は、単一成分(S1~S13)およびそれらの混合物(M1~M9)の様々な例を列挙する。
特性化
凍結乾燥工程後、校正された安定した微小胞懸濁液を得るために、それぞれの凍結乾燥組成物を、生体適合性ガスの存在下で1.5mLの水溶液を用いて再構成した。凍結乾燥保護成分の混合物の濃度は、凍結乾燥の前後で188mg/mLであった。
再構成後、再構成した校正された微小胞懸濁液を、30μmアパーチャ-チューブを具備するCoulter Counter Multisizer 3を用いて特性化する前にベンチ上に5分置いて、微小胞のサイズ、幾何標準偏差(GSD)、濃度および凍結乾燥工程後の収率を測定した。
結果
再構成した校正された微小胞懸濁液の特性化の主な結果を、表3および表4に報告する。
微小胞のGSD値および濃度を、凍結乾燥工程の前後に測定して、校正された微小胞の最初の特性を維持する凍結乾燥保護成分の有効性を評価した。
凍結乾燥後のGSD値および微小胞の収率を考慮すると、結果は、凍結乾燥保護成分の混合物を校正された微小胞懸濁液に添加することは、微小胞の特性を維持するのに、単一成分を添加するよりも効果的であることを明らかに示している。
表4に示される結果から、凍結乾燥効率が、凍結乾燥保護成分の混合物を用いて改善されたことが明らかである。特に、ポリエチレングリコール(PEG4000およびPEG8000)およびポリオール類(すなわちキシリトール、ソルビトール、およびマンニトール)の混合物中の校正された微小胞の凍結乾燥は、凍結乾燥後の微小胞の収率の改善を可能にした。例えば、混合物M1の使用は、S1Aの使用と比較して、凍結乾燥後の微小胞の収率の17%の増大を可能にした。さらにより有利に、M2の使用は、製剤S2Aと比較して、CMV収率のより高い増大(38%)を可能にした。さらに、混合物M2中でのCMVの凍結乾燥は、製剤S2AおよびS3Aの単一凍結乾燥保護成分(それぞれ、1.21および1.33)を用いて得られたものよりも低い、より良好なGSD値(1.17)を得ることを可能にした。
同様の傾向が、ポリエチレングリコール(PEG4000およびPEG8000)および糖類(すなわちマルトース、スクロース、ラフィノース、デキストラン6000)の混合物中で校正された微小胞を凍結乾燥した後に観察された。例えば、混合物M5中で凍結乾燥した後のCMV収率は51%であることが分かり、製剤S2Aと比較すると25%の増大であった。さらにまた、混合物M5を用いたGSD値は1.17であることが分かり、単一凍結乾燥保護成分S2AおよびS6(それぞれ、1.21および1.28)よりも著しく低かった。
[実施例4]
異なる凍結温度での凍結乾燥後の、校正された微小胞の特性の特性化
凍結乾燥組成物の調製を、調製されたばかりの校正された微小胞が凍結乾燥手順の最初に冷却される異なる凍結温度を評価してさらに研究した。
製剤工程は、表5に報告したように異なる凍結温度でバイアルを冷却したことを除き、実施例2において前述したように行なった。
凍結乾燥工程の最後に、校正された安定した微小胞懸濁液を得るために、それぞれの凍結乾燥された組成物を、生体適合性ガスの存在下で1.5mLの水溶液を用いて再構成した。凍結乾燥組成物はしたがって、凍結乾燥工程を受けた懸濁液の体積と同様の体積の水溶液を用いて再構成される。したがって、再構成された懸濁液中の凍結乾燥保護成分の濃度は、最初の懸濁液中の濃度と実質的に同一である。
再構成後、再構成した校正された微小胞懸濁液を、30μmアパーチャ-チューブを具備するCoulter Counter Multisizer 3を用いて特性化する前にベンチ上に5分置いて、微小胞のサイズ、幾何標準偏差(GSD)、濃度および凍結乾燥工程後の収率を測定した。
表5は、異なる温度で凍結された、異なる凍結乾燥保護成分を含んでいる、凍結乾燥された組成物の再構成後に得られたそれぞれの微小胞懸濁液に関して凍結乾燥後に測定された、GSD値および微小胞収率を報告する。
結果
結果は、凍結乾燥成分の混合物の使用は、単一成分の使用と比較した場合、任意の試験された凍結温度において凍結乾燥性能を改善させることを確認した。例えば、表5に示されるように、混合物M2中で凍結乾燥されたCMVは、任意の試験された凍結温度において最も低いGSD値によって特性化され、実施例3において以前に得られた結果が確認された。
[実施例5]
校正された微小胞の特性に対する、凍結乾燥保護成分の濃度の効果
凍結乾燥後のGSD値および微小胞収率の維持の観点から凍結乾燥効率を評価するために、凍結乾燥保護成分の混合物の濃度も試験した。
この試験のために、凍結乾燥保護成分の混合物を、対応する凍結乾燥保護成分単独と比較した。特に、以下の凍結乾燥保護成分を評価した:
i) PEG4000単独と比較した、PEG4000およびソルビトール(等量で含む)。
ii) PEG4000単独と比較した、PEG4000およびキシリトール(等量で含む)。
iii) PEG8000単独と比較した、PEG8000およびソルビトール(等量で含む)。
iv) PEG8000単独と比較した、PEG8000およびキシリトール(等量で含む)。
50mg/ml~250mg/mlの濃度範囲の異なる溶液を、それぞれの試験した製剤について調製した。
それから、凍結乾燥保護成分の異なる溶液中に懸濁された校正された微小胞をDIN8Rガラスバイアル中に分取して(1.5mL懸濁液/バイアル)、凍結乾燥器内に移した。
バイアルを、-60℃または-40℃(PEG8000混合物)および-60℃(PEG4000混合物)で1時間、雰囲気圧で冷却して、その後に、-20℃および0.1mbarで一次乾燥させた。手順の最後に、凍結乾燥組成物は、白い均質な乾燥固体として得られた。それから、ヘッドスペースに純粋なC4F10を充填した。
結果
凍結乾燥後のCMV収率(等式2)およびGSD比(等式3)を考慮して、校正された微小胞の特性に対する凍結乾燥保護成分の濃度の効果を試験した。
i)PEG4000単独と比較した、PEG4000およびソルビトール(等量で含む)。
表6は、増加する濃度で、FD保護混合物(PEG4000およびソルビトール)およびPEG4000単独について、凍結乾燥後のCMV収率およびGSD比に関する比較を報告する。
CMV収率を考慮すると、結果は、凍結乾燥効率の改善の増大が、混合物および単一成分の両方について、50mg/mL~200mg/mLの凍結乾燥保護成分濃度を用いて得られることを示した。さらに、結果は、試験された凍結温度で、混合物(PEG4000およびソルビトール)およびPEG4000単独について、実質的に同様のCMV収率が得られることを示した(≦200mg/ml)。
それとは対照的に、GSD比に関する限り、単一成分と混合物の間の違いが観察された。特に-60℃で凍結した場合、GSD比は、PEG4000単独よりも、PEG4000およびソルビトール混合物について、体系的に増大した値を生じた。
ii)PEG4000単独と比較した、PEG4000およびキシリトール(等量で含む)。
表7は、増加する濃度で、FD保護PEG4000およびキシリトール混合物およびPEG4000単独について、凍結乾燥後のCMV収率およびGSD比に関する比較を報告する。
以前(ケースi)と同様に、GSD比に関する結果は、-60℃で凍結した場合に、PEG4000およびキシリトール混合物の改善された凍結乾燥効率を示し、PEG4000単独よりも良好なGSD比の値をもたらした。それとは異なり、CMV収率は、低い濃度(50~100mg/mL)でのみ、混合物に関してより高いことが見いだされた。
iii)PEG8000単独と比較した、PEG8000およびソルビトール(等量で含む)
表8は、PEG8000およびソルビトールの混合物を含む製剤とPEG8000単独を含む製剤を比較することにより、それぞれの試験した濃度について、凍結乾燥後のCMV収率およびGSD比に関する比較を報告する。
CMV収率を考慮すると、結果は、凍結乾燥効率の改善の増大が、混合物および単一成分の両方について、両方の凍結温度において、50mg/mL~250mg/mLの凍結乾燥保護成分の濃度を用いて得られることを示した。
しかしながら、-60℃の凍結温度では、CMV収率は、低い濃度(50~100mg/mL)で混合物についてのみ増大するが、値は、混合物および単一成分の両方について、より高い濃度(特に≧200mg/mL)で実質的に同様であることが見いだされた。
それとは異なり、-40℃の凍結温度では、PEG8000およびソルビトールの混合物は、PEG8000単独と比較して、CMV収率およびGSD比の両方の値が改善した。
表8に示すように、PEG8000単独の代わりにPEG8000およびソルビトールの混合物を用いる利点が、GSD比の値によっても確認された。特に、より高いGSD値は、全ての試験された濃度および両方の凍結温度において、PEG8000およびソルビトールの溶液中でCMVを凍結乾燥した場合に評価され、等量のPEG8000を含むCMV懸濁液と比較して改善された単分散性が示された。
v)PEG8000単独と比較した、PEG8000およびキシリトール(等量で含む)。
表9は、PEG8000およびキシリトールの混合物を含む製剤およびPEG8000単独を含む製剤を比較することにより、それぞれの試験した濃度について、凍結乾燥後のCMV収率およびGSD比に関する比較を報告する。
増大するCMV収率の値によって示されるように、凍結乾燥効率の改善が、混合物および単一成分の両方について、50mg/mL~250mg/mLの凍結乾燥保護成分の濃度を用いて得られた。結果は、-60℃の凍結温度では、CMV収率の値は、低い濃度(<100mg/mL)で、混合物について特に改善されることを示した。
GSD比は、全ての濃度および両方の凍結温度で、混合物において改善されることが見いだされた。
ケースiii)と同様に、-40℃の凍結温度では、PEG8000およびキシリトールの混合物は、PEG8000単独と比較してCMV収率およびGSD比の両方の値が改善され、その改善された凍結乾燥効率が確認された。
全ての結果の分析から、FD保護成分の混合物の使用は、単一FD保護成分と比較した場合、凍結乾燥効率の改善の増大を与えることが明らかになった。
特に、S1AをM1(PEG4000+ソルビトール)およびM9(PEG4000+キシリトール)と比較すると、GDS比の値の改善が、-60℃で凍結した場合に、混合物に関して評価されることが観察された。
S2A(PEG8000)と混合物M2(PEG8000+ソルビトール)およびM3(PEG8000+キシリトール(Xyilitol))の間の比較から、混合物の凍結乾燥効率の改善の増大が、-40℃で凍結した場合に評価され、全ての試験したパラメーター(CMV収率、GSD、GSD比)の増大が観察されることが明らかになった。しかしながら、-60℃の凍結温度では、CMV収率は、単一FD保護成分と比較して混合物について、同様か、またはわずかにより高いことが見いだされたが、GSD比およびGSD値は、混合物M2およびM3についてのみ、特に高い濃度の凍結保護物質(cryprotectant)(≧200mg/mL)で改善をもたらした。
引用文献
1. WO2018/041906 A1 - BRACCO SUISSE SA
2. PCT application number PCT/EP2019/055325
3. US2017/080113 A1 - GE Healthcare
4. WO97/29782 A1 - NICOMED IMAGING A/S