JP7715577B2 - 液体分離装置用流路材 - Google Patents
液体分離装置用流路材Info
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Description
また、前述した3つの先行文献については、いずれも熱可塑性芯鞘複合繊維をシングルトリコットの組織で編み立てし、熱セットを行うことにより、トリコット生地全体を硬化させることで海水淡水化に必要な逆浸透圧で加圧させても流路が閉塞せず、流量低下にならないことが記載されている。しかしながら、いずれも実際の逆浸透圧下での流路の断面積維持について比較および検討されたものはなかった。
つまり、流路材の加圧下の潰れやすさについて検討されたものではなかった。また、常温で加圧後の流路材の厚みについて検査する方法があるが、長時間において加圧する必要があり、複数の検査を行う場合はかなりの手間およびコストがかかる。
従って、流路材に高い圧力がかかったときに最も潰れにくく、流量の低下が少なくなるような流路材の構成および条件を容易に見出すことができていなかった。
本発明者は、長時間において高い圧力で加圧されたときの流路材の潰れ程度を容易に判断する方法を見出した。すなわち、透過水用流路材を構成している樹脂についてその樹脂をガラス転移温度以上の条件で加圧させた後の流路材と加圧前の流路材の厚みを測定することにより、潰れやすさを容易に測定することができるものである。更に、この方法を用いて流路材に高い圧力がかかったときに最も潰れにくく、流量の低下が少なくなるような流路材の構成および条件を見出し、本発明に到達した。
前記熱可塑性芯鞘複合繊維において、高融点成分は芯部に、低融点成分は鞘部に配されている。両成分の融点差は、好ましくは60℃以上である。なお、本発明においては、融点を持たず軟化点がある場合の軟化点との差も融点差という。
総繊度が30dtex未満の場合、糸が細すぎてループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えられずに潰れやすくなり、また総繊度が110dtexを超える場合、生地の厚みが大きく、生地が硬くなり、透過水用流路材に適さない傾向にある。また、総繊度が40~60dtexであることがより好ましい。
フロント糸とバック糸に用いる熱可塑性芯鞘複合繊維は、芯鞘成分の組成が同一の繊維でも異なる繊維でもよいが、融点または軟化点が同一であることが好適である。
ウエル密度が50本/2.54cm以上かつコース密度が50本/2.54cm以上の場合、一定面積におけるニードルループの凸の部分が多く、ループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えて潰れにくい傾向にある。またウエル密度が68本/2.54cm以下かつコース密度が68本/2.54cm以下の場合、生地の厚みが大きくならず、生地が硬くなりにくく、透過水用流路材に適している。
トリコット生地のウエル密度とコース密度の積が2700未満であるとトリコット生地の一定面積におけるニードルループの凸の部分が少なくなり、ループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えられずに潰れやすくなる傾向にある。
また、トリコット生地のウエル密度とコース密度の積は、4600以下であることが好ましい。
トリコット生地のウエル密度とコース密度の積が4600を超える場合、生地の厚みが大きく、生地が硬くなり、透過水用流路材に適さなくなる傾向にある。
ダブルトリコット編では、生地の厚みが大きく、生地が硬くなり、透過水用流路材に適さない傾向にある。
トリコット生地を構成している熱可塑性芯鞘複合繊維のフロント糸とバック糸を合わせた総繊度が80dtex未満であると、ニードルループの凸の部分の強度が弱くなり、ループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えられずに潰れやすくなる傾向にある。また、トリコット生地を構成している熱可塑性芯鞘複合繊維のフロント糸とバック糸を合わせた総繊度が140dtexを超えると、生地の厚みが大きく、生地が硬くなり、透過水用流路材に適さなくなる傾向にある。
トリコット生地のフロント糸とバック糸のランナー長の差が40cmを超えると、シンカーループ部である地組織の部分とニードルループ部である凸の部分のバランスが悪くなり、トリコット生地をヒートセット処理するときに破れたり、目標とする性量に調整することができないことがある。
トリコット生地の厚みが0.18mm未満であるとトリコット流路材のシンカーループ部である地組織の部分とニードルループ部である凸の部分で構成される空隙が少なく、十分な流量を確保することができない。トリコット生地の厚みが0.26mmを超えると生地の厚みが大きく、生地が硬くなり、透過水用流路材に適さなくなる傾向にある。
フロント糸とバック糸との総繊度の差が20dtexより大きいと、ニードルループの凸の部分の強度およびシンカーループ部の地組織の強度が弱くなり、ループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えられずに潰れやすくなる。また、生地の厚みにムラができやすく、透過水用流路材に適さなくなる傾向にある。
なお、フロント糸の総繊度とバック糸の総繊度は、どちらが大きくても構わない。
トリコット生地を、90℃、7.0MPaで3分間熱プレスしたときの圧力印加前と圧力印加後のトリコット生地の厚みの変化割合が14%を超えるということはニードルループの凸の部分の強度が弱く、ループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えられずに潰れやすいことを示している。
また、90℃、7.0MPaで3分間熱プレスしたときの圧力印加前と圧力印加後のトリコット生地の厚みの変化割合は、7%以下であることがより好ましい。
また、透過水用流路材を構成している樹脂について、その樹脂をガラス転移温度以上の温度をかけた状態で圧力をかけることにより、圧力により受けた歪みを固定できるものであり、これを利用し、加圧させた後の流路材と加圧前の流路材の厚みを測定することにより、潰れやすさを容易に測定することができる。本発明においては、ポリエステル系樹脂を用いるものであり、ポリエステル系樹脂のガラス転移点は約80℃であることから、90℃で熱プレスする。
ニードルループの凸部と凸部の間の部分の幅(溝幅)と凸の部分の幅(畝幅)の比(溝幅/畝幅)が0.4未満であるとトリコット流路材のシンカーループ部である地組織の部分とニードルループ部である凸の部分で構成される空隙が少なく、十分な流量を確保することができない。ニードルループの凸部と凸部の間の部分の幅(溝幅)と凸の部分の幅(畝幅)の比(溝幅/畝幅)が0.8を超えるとニードルループの凸の部分の強度が弱くなり、ループの上から圧力が掛かったときにその圧力に耐えられずに潰れやすくなる。また、圧力が掛かったときに分離膜が溝に落ち込みやすく、流量が低下する傾向にある。
また溝の高さは80~120μmであることが好ましい。溝の高さが80μm以上であれば十分な流量を確保でき、120μm以下であれば高い圧力が掛かったときに潰れにくい。
上記ニードルループの凸部と凸部の間の部分(溝)の高さ、幅(溝幅)と凸の部分の幅(畝幅)は、編密度、使用する熱可塑性芯鞘複合繊維の総繊度、熱セットの条件により調整し、所望の幅及びその比とすればよい。
熱可塑性芯鞘複合繊維を、2枚筬のトリコット編機のフロント糸とバック糸に用いてトリコット編地を編製する。得られたトリコット編地を熱セットして、熱可塑性芯鞘複合繊維同士を互いに接着させて剛直化し、トリコット生地を得る。トリコット編地のゲージ数は、28以上が好ましい。
また、熱セットは、ピンテンター熱処理機、シリンダー乾燥機などにより行えばよい。
卓上型ホットプレス(テクノサプライ(株)製、小型プレスG-12型)を用いて、90℃、7.0MPaで、3分間の条件下でトリコット生地を熱プレスしたときの、加圧前と加圧後のトリコット生地の厚みを測定し、厚みの変化割合を下記の式より算出した。
厚みの変化割合(%)={(加圧前の厚み-加圧後の厚み)/加圧前の厚み}×100
光学顕微鏡を用いてトリコット生地の平面写真および断面写真を採取して溝幅および畝幅を測定した。
ピーコックダイアルゲージ((株)尾崎製作所製、H-30型、0.01目盛、測定子30mmφ)を用いてトリコット生地の厚みを測定した。
JIS L 1096 8.6.2 編物の密度に従い、トリコット生地の2.54cmの区間のウエル数およびコース数を測定した。
米国特許出願公開第2005/0173333号明細書にも記載のあるH-valueを、公知の方法で測定した。米国特許出願公開第2005/0173333号明細書とは違い、所定の圧力下における流量をH-value(ml/min)として測定した。5.5MPa加圧したときのH-value(ml/min)と、7.0MPa加圧した後に再度5.5MPa加圧したときのH-value(ml/min)から、流量低下率を算出した。
流量低下率が5%以下を◎、5より大きく12%以下を○、12%より大きいものを×と評価した。
ポリエチレンテレフタレート(融点:260℃)を芯部とし、ポリエチレンテレフタレートの酸成分としてイソフタル酸を25%モル%共重合させて得た低融点共重合ポリエステル(融点:190℃)を鞘部とし、そのときの芯部/鞘部の割合は容積基準で72/28として熱可塑性芯鞘複合繊維(44dtex/24f)を得た。前記複合繊維をフロント糸として、バック糸にも同じ熱可塑性複合繊維を用いて、36ゲージの2枚筬のトリコット編機で、フロント糸のランナー長は112.0cm、バック糸のランナー長は112.0cmでダブルデンビー組織(閉目)に編み立てた。
ピンテンターで1分間熱セットした後の加工反のウエル密度を65本/2.54cmとした以外は実施例1と同様にして、流路材を得た。
実施例1と同様の樹脂組合せの熱可塑性芯鞘複合繊維(56dtex/12f)をフロント糸として用い、36ゲージの2枚筬のトリコット編機で、フロント糸のランナー長は127.5cm、バック糸のランナー長は94.0cmでハーフ組織に編成したこと以外は実施例1と同様にして、流路材を得た。
実施例1と同様の樹脂組合せの熱可塑性芯鞘複合繊維(56dtex/48f)をフロント糸として用い、36ゲージの2枚筬のトリコット編機で、フロント糸のランナー長は127.5cm、バック糸のランナー長は94.0cmでハーフ組織に編成したこと以外は実施例1と同様にして、流路材を得た。
[比較例1]
実施例1と同様の樹脂組合せの熱可塑性芯鞘複合繊維(56dtex/24f)をフロント糸として用い、36ゲージの2枚筬のトリコット編機で、フロント糸のランナー長は94cm、バック糸のランナー長は127.5cmでクインズコート組織に編成したこと以外は実施例1と同様にして、流路材を得た。
[実施例1~4]
トリコット生地を熱プレスしたときの処理前後の厚みの変化割合(%)は14%以下であり、そのときの流量低下率も12%以下となり、これを流路材として評価したときに高圧条件でも長期間安定して使用できるレベルにあった。
比較例1はトリコット生地を熱プレスしたときの処理前後の厚みの変化割合(%)は14%以下であったが、流路材の厚みが0.26mmより大きいものであった。また、比較例2は厚みの変化割合(%)が14%を超えるものであった。また、そのときの流量低下率が12%を超えており、これを流路材として評価したときに流量が少なく、実使用に耐えられるものではなかった。
Claims (5)
- 融点または軟化点の異なる2種類のポリエステル樹脂により構成された熱可塑性芯鞘複合繊維を含むトリコット生地からなる液体分離装置用流路材であって、前記熱可塑性芯鞘複合繊維において、高融点成分は芯部に、低融点成分は鞘部に配されており、前記高融点成分は、ポリエチレンテレフタレートであり、前記両成分の融点差が60℃以上であり、前記トリコット生地は、フロント糸とバック糸のみからなるトリコット編地であり、前記フロント糸とバック糸が前記熱可塑性芯鞘複合繊維であり、前記熱可塑性芯鞘複合繊維同士が互いに接着して剛直化したものであり、そのウエル密度が50~68本/2.54cm、コース密度が50~68本/2.54cmであり、前記トリコット生地を、90℃、7.0MPaで3分間熱プレスしたときの、プレス前後のトリコット生地の厚みの変化割合が14%以下である液体分離装置用流路材。
- 前記トリコット生地を構成しているフロント糸の熱可塑性芯鞘複合繊維と、バック糸の熱可塑性芯鞘複合繊維との総繊度の合計が80~140dtexであり、フロント糸とバック糸のランナー長の差が40cm以下であり、前記トリコット生地の厚みが0.18~0.26mmである請求項1記載の液体分離装置用流路材。
- 前記トリコット生地を構成しているフロント糸の熱可塑性芯鞘複合繊維と、バック糸の熱可塑性芯鞘複合繊維との総繊度の差が20dtex以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体分離装置用流路材。
- 前記トリコット生地を構成しているフロント糸及びバック糸の熱可塑性芯鞘複合繊維の芯部/鞘部の比率は、容積基準で60/40~80/20であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の液体分離装置用流路材。
- 前記トリコット生地は、2枚筬のうち1つの筬でシンカーループ部である地組織の部分を、もう1つの筬でニードルループ部である凸の部分を構成してなり、凸の部分と凸の部分の間の部分の幅(溝幅)と凸の部分の幅(畝幅)の比(溝幅/畝幅)が0.4~0.8であることを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載の液体分離装置用流路材。
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