JP7717424B2 - 大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇抑制方法、食品の製造方法、及び水中油型乳化物 - Google Patents
大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇抑制方法、食品の製造方法、及び水中油型乳化物Info
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Description
しかし、大豆由来の蛋白素材は、水溶液とした場合に粘度上昇が著しく、水溶液の流動性が悪くなるため、食品製造工程において、通常の撹拌で均質な溶液が調製できない(他の原料が溶かせない等)などの問題や、油脂を添加するとさらに粘度が上昇し、均質な乳化物ができない等の問題があった。また、均質な溶液を得るために、過度な撹拌や乳化を行うと、含泡して流動性が失われたり、脱気処理が必要になり、製造が煩雑になる問題もあった。
また、乳蛋白質濃縮物を高濃度で含有する液体栄養組成物の高粘度化を抑制する方法として、重量平均分子量が19000以上のカゼイン分解物を特定量含有させる方法が報告されているが、大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇を抑制する方法については、報告されていなかった。
(2)大豆蛋白素材及びコラーゲンペプチドを含有する食品の製造方法であって、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンを30~300質量部含有する水溶液を調製する工程を含む、食品の製造方法。
(3)油脂を10~60質量%、大豆蛋白素材を1~10質量%、及びコラーゲンペプチドを含有し、該大豆蛋白素材100質量部に対して該コラーゲンペプチドを30~300質量部含有する水中油型乳化物。
また、本発明によれば、大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇を抑えることにより、食品製造時の送液、殺菌等の生産適性も改善することが出来る。
本発明の大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇抑制方法(以下、本発明の粘度上昇抑制方法ともいう。)は、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンペプチドを30~300質量部含有となるように、該大豆蛋白素材含有水溶液に含有させる方法である。ここで、本発明において「粘度上昇抑制方法」とは、前記大豆蛋白素材含有水溶液において、コラーゲンペプチドを含有するときに、コラーゲンペプチドを含有しない大豆蛋白素材含有水溶液と比較して、粘度値の減少率が50%よりも大きくなることを指す。前記粘度は、B型粘度計を用い、測定上限値に留意して、適切なローターと回転速度を選択し、20℃に調整した検体の測定値を取得し、使用したローターと回転数に応じた換算乗数を測定値に乗算することで、20℃における粘度値を測定することができる。
本発明における大豆蛋白素材は、具体的には、脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、大豆粉等である。これらの大豆蛋白素材は、1種単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、及び大豆粉は、市販品を使用することができる。脱脂大豆の市販品としては、例えば、日清オイリオグループ(株)販売の商品「ソーヤフラワーA」が挙げられ、分離大豆蛋白の市販品としては、日清オイリオグループ(株)販売の商品「ソルピー4000H」、「ソルピー6000H」が挙げられ、濃縮大豆蛋白の市販品としては、例えば、ADM社販売の商品「アーコンF」が挙げられ、大豆粉の市販品としては、日清オイリオグループ(株)販売の商品「アルファプラスHS-600」、「ソーヤフラワーNSA」が挙げられる。本発明における大豆蛋白素材は、好ましくは分離大豆蛋白である。
本発明におけるコラーゲンペプチドは、牛、豚、魚等に由来し、平均分子量が10000以下となるように分解処理されたコラーゲンペプチドである。前記コラーゲンペプチドは、1種単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、前記コラーゲンペプチドは、市販品を使用することができる。例えば、(株)ニッピ製「FCP」、「GELITA SOL NPS」、ルスロ社製「F5000HD」、「P5000HD」「F2000HD」、「P2000HD」等が挙げられる。
なお、重量平均分子量は、日本ゼラチン・コラーゲンペプチド工業組合の写真用ゼラチン試験法(PAGI法)第10版「20-2 平均分子量」に記載されている方法に従って算出することができる。PAGI法は、高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル濾過法によってコラーゲンペプチドのクロマトグラムを求め、その分子量分布を推定する方法である。なお、市販のコラーゲンペプチドを使用する場合は、原料メーカーの製品情報に基づいて重量平均分子量(Mw)を判断することができる。
本発明の食品の製造方法は、上記大豆蛋白素材及び上記コラーゲンペプチドを含有し、かつ、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンを30~300質量部含有する水溶液を調製する工程を含む。前記大豆蛋白素材100質量部に対するコラーゲンペプチドの含有量は好ましくは60~250質量部、より好ましくは80~220質量部、さらにより好ましくは100~200質量部、最も好ましくは120~170質量部含有する。コラーゲンペプチドの含有量が上記の範囲にあると、大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇の抑制効果がより得られる。
また、前記工程は、大豆蛋白素材とコラーゲンペプチドとを同時に水に含有させて水溶液を調製する工程、大豆蛋白素材含有水溶液にコラーゲンペプチドを含有させて水溶液を調製する工程、及び、コラーゲンペプチド含有水溶液に大豆蛋白素材を含有させて水溶液を調製する工程のいずれであってもよく、これらの工程を組み合わせてもよい。また、本発明の食品の製造方法は、コラーゲンペプチド含有水溶液に大豆蛋白素材を含有させて水溶液を調製する工程を含むことが好ましい。
本発明の食品の製造方法は、大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇が抑えられるため、油脂を多く含む水中油型乳化物を、ホモジナイザー等の乳化機を使用して製造する際にも、せん断力にムラが発生しにくく、過度な乳化処理、脱気処理等を行わなくても均質なエマルションが得られる。
本発明の食品の製造方法における水溶液の水の含有量は、好ましくは30~95質量%、より好ましくは35~80質量%、さらにより好ましくは40~70質量%、最も好ましくは45~60質量%である。
また、本発明の食品の製造方法における食品が油脂を含む場合、食品全体中の油脂含量が好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~55質量%、さらにより好ましくは20~50質量%、最も好ましくは30~45質量%である。
本発明の水中油型乳化物は、油脂を10~60質量%、大豆蛋白素材を1~10質量%、及びコラーゲンペプチドを含有し、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンペプチドを30~300質量部含有する。本発明の水中油型乳化物は、具体的には、濃厚流動食、エネルギー補助食品、術後食、介護食、治療食、嚥下調整食等の少量摂取で高エネルギーを補給するための食品に好適に使用できる。また、本発明の水中油型乳化物は、液状、ゾル状、半固形状、及びゲル状のいずれの態様でもよい。
本発明の水中油型乳化物は、エネルギーが100g当たり100kcal以上であることが好ましい。また、少量の摂取で十分なエネルギーを摂取する観点から、100g当たり200kcal以上であることがより好ましい。エネルギーの上限は特に規定されないが、食べやすさの面から、100g当たり600kcal以下であることが好ましく、500kcal以下であることがより好ましい。なお、エネルギーは、栄養表示基準(平成8年5月20日厚生省告示第146号)別表第1の第3欄記載の修正アトウォーター法に準じて算出される。
前記油脂は、食用油脂であれば特に限定されないが、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、魚油、及びこれらの分別油脂、エステル交換油脂、並びにこれらの混合油脂が挙げられる。また、前記油脂は好ましくは20℃で液状の油脂である。
なお、前記大豆蛋白素材の好ましい態様、蛋白含量等は上記の「本発明の粘度上昇抑制方法」に記載した態様と同様である。
なお、前記コラーゲンペプチドの好ましい態様、蛋白含量等は上記「本発明の粘度上昇抑制方法」に記載のものと同様である。
本発明の水中油型乳化物の製造方法は、大豆蛋白素材を1~10質量%、及びコラーゲンペプチドを含有し、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンペプチドを30~300質量部含有する水溶液を調製する工程を含む。前記工程は、大豆蛋白素材とコラーゲンペプチドとを同時に水に含有させて水溶液を調製する工程、大豆蛋白素材含有水溶液にコラーゲンペプチドを含有させて水溶液を調製する工程、及び、コラーゲンペプチド含有水溶液に大豆蛋白素材を含有させて水溶液を調製する工程のいずれであってもよく、これらの工程を組み合わせてもよい。また、前記工程は、コラーゲンペプチド含有水溶液に大豆蛋白素材を含有させて水溶液を調製する工程を含むことが好ましい。
さらに、本発明の水中油型乳化物の製造方法は、上記の工程を含む水相を調製する工程、油相を調製する工程、及び、該水相と該油相とを乳化する工程を含む。乳化する工程は、均質な水中油型乳化物が得られる乳化方法であれば特に限定されず、例えば、水相と油相を合わせてホモミキサーで予備乳化し、さらにホモジナイザーで均質化(10~20Mpa)する方法が挙げられる。
なお、前記大豆蛋白素材、コラーゲンペプチド、油脂等の好ましい態様、含量等は上記「本発明の水中油型乳化物」に記載のものと同様である。
表1~4に記載の配合に従って、各種の大豆蛋白素材含有水溶液を製造し、コラーゲンペプチドを含有させることによる、粘度上昇抑制効果を確認した。具体的には常温の水にコラーゲンペプチド以外の原料を撹拌混合して均一に溶解・分散した後、コラーゲンペプチドを添加し、撹拌混合して溶解した水溶液を調製した(実施例1~9、比較例1及び2)。
なお、表1~4中の各種原料は以下のものを使用した。
〈大豆蛋白素材〉商品名:ソルピー6000H、日清オイリオグループ(株)製、分離大豆蛋白、蛋白含量87質量%
〈乳蛋白〉商品名:Solmiko MPC80、大石化成(株)製、濃縮乳蛋白、蛋白含量80質量%
〈コラーゲンペプチド-1〉商品名:GELITA SOL NPS、(株)ニッピ製、蛋白含量90質量%、平均分子量4787
〈コラーゲンペプチド-2〉商品名:ROUSSELOT PEPTAN P2000HD、ルスロ社製、蛋白含量92質量%、平均分子量約2000
〈コラーゲンペプチド-3〉商品名:ROUSSELOT PEPTAN P5000HD、ルスロ社製、蛋白含量92質量%、平均分子量約5000
〈コラーゲンペプチド-4〉商品名:ROUSSELOT PEPTAN F2000HD、ルスロ社製、、蛋白含量92質量%、平均分子量約2000
〈コラーゲンペプチド-5〉商品名:ROUSSELOT PEPTAN F5000HD、ルスロ社製、蛋白含量92質量%、平均分子量約5000
上記で調製した各種水溶液(20℃)について、B型粘度計(東京計器社製)用いて、表中に示したローター番号と回転数で粘度を測定した。粘度(mPa・s)を表1~4に示す。また、対照例(大豆蛋白のみを含む水溶液)の粘度に対して、減少した粘度の割合(%)を求め、以下の評価基準に従い粘度上昇抑制効果を評価した。評価結果を表1~4に示す。
(評価基準)
◎:70%より大きい
○:50%より大きく、70%以下
×:50%以下、又は対照例の粘度以上
また、コラーゲンペプチドを含有しない大豆蛋白素材含有水溶液は、エネルギー密度を高めるために他の原料を追加する場合、粘度がさらに上昇して均一な溶液を調製することが困難になることが予想された。
表5に記載の配合に従って、大豆蛋白素材及び油脂を含有する水中油型乳化物について、コラーゲンペプチドを含有させることによる、粘度上昇抑制効果と乳化物の状態を確認した。具体的には常温の水に菜種油以外の原料を撹拌混合して均一に溶解・分散した後、菜種油を投入してホモディスパーを使用し乳化して水中油型乳化物を製造した(実施例10、比較例3)。なお、ホモディスパーでの乳化は、実施例10及び比較例3で同じ条件(回転数、時間)で行った。
なお、表5中の各種原料は表1及び2に記載の原料と同様の原料を用い、乳化剤と菜種油は以下のものを使用した。
〈乳化剤〉商品名:リョートーシュガーエステル P-1570、三菱ケミカルフーズ(株)製
〈菜種油〉商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製
上記で調製した水中油型乳化物(20℃)について、B型粘度計(東京計器社製)用いて、表中に示したローター番号と回転数で粘度を測定した。粘度(mPa・s)を表5に示す。また、水中油型乳化物の外観を目視観察し、以下の基準で評価した。評価結果を表5に示す。
(評価基準)
○:均質な乳化物
×:含泡した不均質な乳化物
Claims (3)
- 大豆蛋白素材含有水溶液の粘度上昇抑制方法であって、該大豆蛋白素材が脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、大豆粉のいずれか1種又は2種以上であり、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンペプチドを80~220質量部含有させる、粘度上昇抑制方法。
- 大豆蛋白素材及びコラーゲンペプチドを含有する食品の製造方法であって、該大豆蛋白素材が脱脂大豆、分離大豆蛋白、濃縮大豆蛋白、抽出大豆蛋白、大豆粉のいずれか1種又は2種以上であり、該大豆蛋白素材100質量部に対してコラーゲンを80~220質量部含有する水溶液を調製する工程を含む、食品の製造方法。
- 油脂を10~60質量%、大豆蛋白素材を1~10質量%、及びコラーゲンペプチドを含有し、該大豆蛋白素材100質量部に対して該コラーゲンペプチドを80~220質量部含有する水中油型乳化物。
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