JP7717457B2 - 複合固体電解質、および複合固体電解質二次電池 - Google Patents

複合固体電解質、および複合固体電解質二次電池

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Description

本発明は、複合固体電解質及び複合固体電解質二次電池に関する。
従来、リチウムイオン電池に代表される非水電解質二次電池は、電解質にイオン伝導性の点から溶液またはペースト状のものが用いられている。しかし、液漏れによる機器の損傷の恐れがあることから、種々の安全対策が必要であり、大型電池開発の障壁になっている。
これに対し高分子固体電解質、無機固体電解質などの電解質が固体化された固体電解質が提案されている。高分子固体電解質は、一般に柔軟性、曲げ加工性、および成形性に優れ、応用されるデバイスの設計の自由度が高くなるなどの利点があるが、負荷特性や低温特性が悪いために、高温作動の電池用途に限られるという欠点がある。一方、無機固体電解質は、高分子固体電解質と比べて、イオン伝導性が高いものの、電解質が結晶質あるいは非晶質からなり、充放電時の正負極活物質による体積変化の緩和が難しく、更に、電極と電解質の界面抵抗が高いため、充放電特性が不十分という問題がある。
電極と電解質の界面抵抗を下げる方法として、無機固体電解質にポリマーを混合することによって、電解質内および電極界面との結着性を向上させることが知られている。例えば、特許文献1では、硫化物系固体電解質に、分岐型ポリマーとして水素添加スチレンブタジエンゴムなどの水素添加ポリマーを結着剤として用いているが、このようなポリマーではイオン伝導性の低下を抑制するまでには至らない。また、特許文献2、3では、イオン伝導性の比較的に高いポリエチレンオキサイド(ポリエチレングリコール)を用いているが、ポリエチレンオキサイドは結晶性が高く、ポリマーで融点が60℃付近にあり、融点以下ではイオン伝導度が低い。また、融点以上に加熱すると軟化して、強度を維持することができず、断裂による短絡が発生しやすいという問題がある。
国際公開第2013-1623号 特開平3-129603号公報 特開2010-33918号公報
本発明は、固体電解質二次電池に優れた充放電特性を発揮させる新規な複合固体電解質を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該複合固体電解質を含む複合固体電解質二次電池を提供することも目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、無機固体電解質と、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質とを含有する複合固体電解質は、固体電解質二次電池に優れた充放電特性を発揮させることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 無機固体電解質と、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質と、を含有する、複合固体電解質。
項2. 前記分岐型ポリエーテルは、側鎖にエチレンオキシド単位を有するエーテル化合物から形成された構成単位を含む、項1に記載の複合固体電解質。
項3. 前記分岐型ポリエーテルは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、及びメタクリル酸グリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種から形成された構成単位を含む、項1又は2に記載の複合固体電解質。
項4. 前記分岐型ポリエーテルは、架橋されている、項1~3のいずれか1項に記載の複合固体電解質。
項5. 前記無機固体電解質は、酸化物系固体電解質又は硫化物系固体電解質である、項1~4のいずれか1項に記載の複合固体電解質。
項6. 項1~5のいずれか1項に記載の複合固体電解質を含む、複合固体電解質二次電池。
本発明によれば、固体電解質二次電池に優れた充放電特性を発揮させる新規な複合固体電解質を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該複合固体電解質を含む複合固体電解質二次電池を提供することもできる。
本発明の複合固体電解質は、無機固体電解質と、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質とを含有することを特徴としている。本発明の複合固体電解質は、このような構成を備えていることにより、固体電解質二次電池の固体電解質として適用されると、固体電解質二次電池に優れた充放電特性を発揮させることができる。より具体的には、本発明の複合固体電解質は、無機固体電解質に加えて、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質を含有していることから、無機固体電解質のみによって固体電解質が形成されている場合などと比較して、電極材料層と固体電解質層との界面の接触面積が大きく、その結果、電極と電解質の界面抵抗が低下し、優れた充放電特性が発揮されるものと考えられる。また、複合固体電解質中においても、当該高分子固体電解質は、無機固体電解質と密着することで、複合固体電解質の内部での抵抗を低下させていると考えられる。また、固体電解質二次電池は、高温環境(例えば100℃以上の高温環境)で使用されることもあるが、本発明の複合固体電解質を用いることにより、高温環境において優れた充放電特性が発揮される。以下、本発明の複合固体電解質及びこれを利用した固体電解質二次電池について詳述する。
なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
本発明の複合固体電解質は、少なくとも、無機固体電解質と、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質とを含有する。具体的には、本発明の複合固体電解質は、少なくとも、無機固体電解質と、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質との混合物である。
分岐型ポリエーテルは、架橋体を含んでいてもよい。
分岐型ポリエーテルは、側鎖にエチレンオキシド単位を有するエポキシ化合物から形成された構成単位を含むことが好ましい。すなわち、分岐型ポリエーテルは、側鎖にエチレンオキシド単位を有するエポキシ化合物を少なくとも単量体としたポリマーであることが好ましい。
側鎖にエチレンオキシド単位を有するエポキシ化合物としては、例えば、下記式(2)で表される単量体が挙げられ、下記式(2)、必要により下記式(1)、下記式(3)で表される単量体を用いた分岐型ポリエーテルは、側鎖にエチレンオキシド単位を有するポリエーテル(i)となる。式(1)~(3)で表される単量体は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[式(2)中、Rは-CH2O(CH2CH2O)n4であり、R4は炭素数1~6のアルキル基であり、nは0~12の数である。]
[式(3)中、R5は、エチレン性不飽和基を含有する基を表す。]
式(3)の単量体としては、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4-エポキシ-1-ブテン、3,4-エポキシ-1-ペンテン、4,5-エポキシ-2-ペンテン、1,2-エポキシ-5,9-シクロドデカンジエン、3,4-エポキシ-1-ビニルシクロヘキセン、1,2-エポキシ-5-シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル-4-ヘキセノエートが用いられる。好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテルである。
側鎖にエチレンオキシド単位を有するポリエーテル(i)の合成は、例えば、次のようにして行うことができる。開環重合触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などの配位アニオン開始剤、または対イオンにK+を含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤を用いて、各単量体を溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10~120℃、撹拌下で反応させることによってポリエーテル(i)が得られる。重合度、あるいは得られる共重合体の性質などの点から、配位アニオン開始剤が好ましく、なかでも有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が取り扱い易く特に好ましい。
側鎖にエチレンオキシド単位を有するポリエーテル(i)において、式(1)の単量体に由来する繰り返し単位(A)と、式(2)の単量体に由来する繰り返し単位(B)と、式(3)の単量体に由来する繰り返し単位(C)とのモル比は、(A)95~5モル%、(B)5~95モル%、および(C)0~20モル%が適当であり、好ましくは(A)92~9モル%、(B)7~90モル%、および(C)1~15モル%、更に好ましくは(A)88~18モル%、(B)10~80モル%、および(C)2~15モル%である。繰り返し単位(A)が95モル%以下であるとガラス転移温度の上昇とオキシエチレン鎖の結晶化を招かず、結果的にイオン伝導性の点で好ましい。
側鎖にエチレンオキシド単位を有するポリエーテル(i)の具体例としては、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アクリル酸グリシジル三元共重合体等が挙げられる。
側鎖にエチレンオキシド単位を有するポリエーテル(i)の重量平均分子量は特に限定されないが、1万~300万であってよく、5万~250万であることがより好ましく、10万~200万であることが特に好ましい。重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で、溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)を使用して、標準ポリスチレン換算により算出する。
分岐型ポリエーテルの高分子固体電解質としては、リチウム塩化合物を含有することが好ましい。リチウム塩化合物としては、リチウムイオン電池に一般的に利用されているような、広い電位窓を有するリチウム塩化合物が好適である。リチウム塩化合物としては、例えば、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22(LiTFSI),LiN(SFO22(LiFSI)、LiN(C25SO22、LiN[CF3SC(C25SO232などを挙げられるが、これらに限定されない。これらは、単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
高分子固体電解質にリチウム塩化物が含まれる場合、その含有量としては、リチウム塩化合物のモル数/分岐型ポリエーテルのエーテル酸素原子の総モル数の値が0.0001~5が好ましく、更に好ましくは0.001~0.5の範囲がよい。
また、分岐型ポリエーテルの高分子固体電解質としては、常温溶融塩を含有してもよい。常温溶融塩は、常温において少なくとも一部が液状を呈する塩をいい、常温とは電源が通常作動すると想定される温度範囲をいう。電源が通常作動すると想定される温度範囲とは、上限が120℃程度、場合によっては60℃程度であり、下限は-40℃程度、場合によっては-20℃程度である。
常温溶融塩はイオン液体とも呼ばれており、ピリジン系、脂肪族アミン系、脂環族アミン系の4級アンモニウム有機物カチオンが知られている。4級アンモニウム有機物カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウム、トリアルキルイミダゾリウム、などのイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。特に、イミダゾリウムカチオンが好ましい。
なお、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルエチルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルキルピリジウムイオンとしては、N-メチルピリジウムイオン、N-エチルピリジニウムイオン、N-プロピルピリジニウムイオン、N-ブチルピリジニウムイオン、1-エチル-2メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-4-メチルピリジニウムイオン、1-ブチル-2,4ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3-ジメチルイミダゾリウムイオン、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1-メチル-3-ブチルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3-トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-エチルイミダゾリウムイオン、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウムイオン、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、これらのカチオンを有する常温溶融塩は、単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いても良い。
高分子固体電解質に常温溶融塩が含まれる場合、その含有量としては、分岐型ポリエーテル100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
高分子固体電解質は、分岐型ポリエーテルに加えて、可塑剤などを含んでいてもよい。可塑剤としては、特に限定されないが、ジシアノ化合物、分岐型エーテル化合物が好ましい。可塑剤を添加する場合は、分岐型ポリエーテルを架橋することが好ましい。この架橋は、化学架橋であり、電極内からの可塑剤の流出を抑制できる。
ジシアノ化合物としてはスクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン等が挙げられる。分岐型エーテル化合物の例として、下記の多分岐型エーテル化合物などが挙げられる。
高分子固体電解質に可塑剤が含まれる場合、可塑剤の含有量としては、分岐型ポリエーテル100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
また、無機固体電解質としては、酸化物系固体電解質、及び硫化物系固体電解質を例示することができる。本発明の複合固体電解質において、無機固体電解質は、例えば粒子状で含まれており、無機固体電解質の粒子間を高分子固体電解質で密着させている構造を有している。
酸化物系固体電解質は、酸素を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。
酸化物系固体電解質を構成する具体的な化合物としては、LixLayTiO3〔x=0.3~0.7、y=0.3~0.7〕(LLT)、LixLayZrzmn(MはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは5≦x≦10を満たし、yは1≦y≦4を満たし、zは1≦z≦4を満たし、mは0≦m≦2を満たし、nは5≦n≦20を満たす。)Lixyzn(式中MはC,S,Al,Si,Ga,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは0≦x≦5を満たし、yは0≦y≦1を満たし、zは0≦z≦1を満たし、nは0≦n≦6を満たす。)、Lix(Al,Ga)y(Ti,Ge)zSiamn(ただし、1≦x≦3、0≦y≦1、0≦z≦2、0≦a≦1、1≦m≦7、3≦n≦13)、Li(3-2x)xDO(xは0以上0.1以下の数を表し、Mは2価の金属原子を表す。Dはハロゲン原子または2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixSiyz(1≦x≦5、0<y≦3、1≦z≦10)、Lixyz(1≦x≦3、0<y≦2、1≦z≦10)、Li3BO3-Li2SO4、Li2O-B23-P25、Li2O-SiO2、Li6BaLa2Ta212、Li3PO(4-3/2w)w(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO4、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO3、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi2312、Li(1+x+y)(Al,Ga)x(Ti,Ge)(2-x)Siy(3-y)12(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLi7La3Zr2O12等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
その中でも、LixLayTiO3〔x=0.3~0.7、y=0.3~0.7〕(LLT)、LixLayZrzmn(MはAl,Mg,Ca,Sr,V,Nb,Ta,Ti,Ge,In,Snの少なくとも1種以上の元素でありxは5≦x≦10を満たし、yは1≦y≦4を満たし、zは1≦z≦4を満たし、mは0≦m≦2を満たし、nは5≦n≦20を満たす。)、Li7La3Zr212(LLZ)、Li3BO3、Li3BO3-Li2SO4、Li3BO3-Li2CO3、Lix(Al,Ga)y(Ti,Ge)zSiamn(ただし、1≦x≦3、0≦y≦1、0≦z≦2、0≦a≦1、1≦m≦7、3≦n≦13)が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硫化物系固体電解質は、硫黄を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば下記式で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
Liabcde
式中、Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。なかでも、B、Sn、Si、Al、Geが好ましく、Sn、Al、Geがより好ましい。Aは、I、Br、Cl、Fを示し、I、Brが好ましく、Iが特に好ましい。a~eは各元素の組成比を示し、a:b:c:d:eは1~12:0~1:1:2~12:0~5を満たす。aはさらに、1~9が好ましく、1.5~4がより好ましい。bは0~0.5が好ましい。dはさらに、3~7が好ましく、3.25~4.5がより好ましい。eはさらに、0~3が好ましく、0~2がより好ましい。
式において、Li、M、P、S及びAの組成比は、好ましくはb、eが0であり、より好ましくはb=0、e=0で且つa、c及びdの比(a:c:d)がa:c:d=1~9:1:3~7であり、さらに好ましくはb=0、e=0で且つa:c:d=1.5~4:1:3.25~4.5である。
無機固体電解質が粒子状である場合、その粒子径としては、例えば0.01~100μm、好ましくは0.1~20μmが挙げられる。
本発明の複合固体電解質において、無機固体電解質と高分子固体電解質との質量比としては、特に制限されないが、固体電解質二次電池に優れた充放電特性をより好適に発揮させる観点から、無機固体電解質100質量部に対して、好ましくは0.1~1000質量部、より好ましくは0.5~500質量部、さらに好ましくは1~400質量部が挙げられる。
本発明の複合固体電解質は、無機固体電解質に加えて、高分子固体電解質を含んでいることから、無機固体電解質のみを用いる場合と異なり、好適にシート状に成形することもできる。本発明の複合固体電解質を固体電解質二次電池に適用する場合の厚みとしては、特に制限されないが、例えば0.01~1mm程度、好ましくは0.05~0.3mm程度が挙げられる。
複合固体電解質の製造方法
本発明の複合固体電解質は、従来公知の方法を利用して調製することができる。例えば、分岐型ポリエーテルとリチウム塩化合物を含む溶媒中に無機固体電解質を分散させて複合固体電解質スラリーを調製し、当該スラリーを、熱風中に噴霧・乾燥して複合固体電解質を得る方法や、当該分散スラリーの溶媒を大気圧または減圧下に加熱蒸発させて乾固する方法、或いは、当該分散スラリーを集電シート、等に塗布し乾燥する方法、等によって製造することができる。
分散溶媒としては、水、有機溶媒、および、これらの任意の比率の混合物を使用することができる。得られた分散スラリーが、均一溶液であっても、分散溶媒に溶解しない溶質が無機固体電解質、および/または、分岐型ポリエーテルの高分子固体電解質であっても、上記の一般的な調製方法によって調製できる。分散溶媒を除去して得られる複合固体電解質は、残存する溶媒および水分をできる限り除去することが望ましい。例えば、30℃~200℃の加熱下で1時間~48時間真空排気することで実現できる。乾燥された本発明の複合固体電解質は、イオン伝導性と結着性を有するので、本電解質粉末自体を加圧成型して、固体電解質材料として使用することができる。更に、加圧熱処理をおこなうことによって、空隙率を減少させ粒子界面密着性を増大できる。有機溶媒としては、極性溶媒が好ましい。具体的にはアセトニトリル、エチルアルコール、メチルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が単独、或いは混合して用いられる。無機固体電解質単独で加圧成型すると、結着性が殆どないため、厚膜の電解質になるが、複合固体電解質では、高分子固体電解質の結着性により、より薄い固体電解質の製造が可能である。
複合固体電解質の架橋
複合固体電解質は、架橋することによって、複合固体電解質内の無機固体電解質と高分子固体電解質との結着強度を上げることができ、また、拘束圧やデンドライドの析出による電池の短絡を防止することもできる。架橋方法としては、熱を加えるもしくは紫外線などの活性エネルギー線を照射することによって架橋することができる。
熱による架橋の場合では、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤が用いられる。有機過酸化物としては、ケトンパーオキシド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられる。ラジカル開始剤の添加量は種類により異なるが、通常、分岐型ポリエーテル(イオン伝導性ポリマー)を100質量部として0.1~10質量部の範囲内である。
活性エネルギー線を照射する架橋の場合のラジカル開始剤としては、アルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン類、トリアジン類、ビスイミダゾール類、オキシムエステル類などが用いられる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は種類により異なるが、通常、分岐型ポリエーテル(イオン伝導性ポリマー)を100質量部として0.01~5.0質量部の範囲内である。
本発明においては、複合固体電解質に架橋を施す場合に架橋助剤を使用してもよい。架橋助剤としてエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
本発明の複合固体電解質二次電池においては、正極と複合固体電解質との間、及び負極と前記複合固体電解質との間の少なくとも一方に、リチウム塩化合物を含む側鎖にエチレンオキシド単位を有するイオン伝導性ポリマー材料の架橋フィルムを配置してもよい。イオン伝導性ポリマー材料の架橋フィルムは、リチウム塩化合物とイオン伝導性ポリマーを含む組成物の架橋フィルムである。当該架橋フィルムを配置することにより、電極や複合固体電解質の界面抵抗をより一層低下させることができる。
架橋フィルムは、少なくとも、リチウム塩化合物と、側鎖にエチレンオキシド単位を有するイオン伝導性ポリマーとを含む組成物を架橋することにより形成される。すなわち、架橋フィルムは、リチウム塩化合物とイオン伝導性ポリマーを含む組成物の架橋フィルムである。リチウム塩化合物及びイオン伝導性ポリマーについては、前述の通りである。
架橋フィルムに含まれるイオン伝導性ポリマーの含有量としては、架橋フィルム全体を100質量部として、好ましくは10~90質量部、より好ましくは20~80質量部である。
架橋フィルムに含まれるリチウム塩化物の含有量リチウム塩化合物のモル数/イオン伝導性ポリマーのエーテル酸素原子の総モル数の値が0.0001~5が好ましく、更に好ましくは0.001~0.5の範囲がよい。
また、架橋フィルムには、常温溶融塩が含まれていてもよい。常温溶融塩については、前述の通りである。
架橋フィルムに常温溶融塩が含まれる場合、その含有量としては、イオン伝導性ポリマー100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
架橋フィルムは、可塑剤などを含んでいてもよい。可塑剤については、前述の通りである。
架橋フィルムに可塑剤が含まれる場合、可塑剤の含有量としては、イオン伝導性ポリマー100質量部に対して、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは20~500質量部である。
リチウム塩化合物とイオン伝導性ポリマーを含む組成物に反応開始剤や架橋助剤を配合して、架橋フィルムを形成してもよい。反応開始剤としては、熱反応開始剤、光反応開始剤が挙げられる。
熱反応開始剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物等から選ばれるラジカル開始剤が用いられる。有機過酸化物としては、ケトンパーオキシド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、ジアシルパーオキシド、パーオキシエステル等、通常架橋用途に使用されているものが用いられ、アゾ化合物としてはアゾニトリル化合物、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物等、通常架橋用途に使用されているものが用いられる。ラジカル開始剤の添加量は種類により異なるが、通常、イオン伝導性ポリマーを100質量部として0.1~10質量部の範囲内である。
光反応開始剤としては、アルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン類、トリアジン類、ビスイミダゾール類、オキシムエステル類などラジカル開始剤が用いられる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は種類により異なるが、通常、イオン伝導性ポリマーを100質量部として0.01~5.0質量部の範囲内である。
架橋助剤としては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイミド、フェニルマレイミド、無水マレイン酸等を任意に用いることができる。
リチウム塩化合物とイオン伝導性ポリマーを含む組成物には、有機溶媒を配合してもよく、有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、アセトニトリル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、THF(テトラヒドロフラン)が挙げられる。
架橋フィルムの作製方法は、例えば、イオン伝導性ポリマー、必要に応じて反応開始剤、及びリチウム塩化合物を有機溶媒に混合して溶解して組成物を形成し、基材(例えばPETフィルムやテフロン(登録商標)板など)上に組成物をキャスティングし、溶媒を除去後、加熱又は紫外線などの活性エネルギー線照射によって架橋フィルムを作製する方法が挙げられる。また、直接、複合固体電解質の表面に当該組成物をキャスティングして、架橋フィルムを作製することもできる。
架橋フィルムの膜厚は、好ましくは0.1μm~200μm、より好ましくは0.5μm~100μmの範囲内である。
本発明の複合固体電解質二次電池の積層構成としては、例えば、以下の構成が挙げられる。
正極、無機複合固体電解質、及び負極が順に積層された積層構成;
正極、架橋フィルム、複合固体電解質、架橋フィルム、及び負極が順に積層された積層構成;
正極、架橋フィルム、複合固体電解質、及び負極が順に積層された積層構成;
正極、複合固体電解質、架橋フィルム、及び負極が順に積層された積層構成。
本発明の複合固体電解質二次電池においては、複合固体電解質と前述の架橋フィルムとが接触していることが好ましい。架橋フィルムは、リチウム塩化合物を含むイオン伝導性ポリマーを含む組成物の架橋体であることから、イオン伝導性を有しており、かつ、無機材料と比較して高い柔軟性を有している。従って、当該架橋フィルムは、複合固体電解質との接触面積が大きくなり、その結果、複合固体電解質の界面抵抗が効果的に低下し、本発明の複合固体電解質二次電池は優れた充放電特性を発揮するものと考えられる。なお、本発明の複合固体電解質二次電池においては、架橋フィルムが電極の電極材料層と接触していることも好ましいし、架橋フィルムが電極材料層と複合固体電解質の両方と接触していることも好ましい。
複合固体電解質二次電池
本発明の複合固体電解質二次電池は、正極、負極、及び本発明の複合固体電解質を少なくとも備える。本発明の複合固体電解質については、前述の通りである。本発明の複合固体電解質は、正極及び負極の間に配置される。特に、本発明の複合固体電解質二次電池に用いる複合固体電解質は、前記の通り、無機固体電解質に加えて、分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質を含有していることから、無機固体電解質のみによって固体電解質が形成されている場合などと比較して、電極材料層と複合固体電解質層との界面の接触面積が大きいと考えられ、その結果、電極と電解質の界面抵抗が低下し、優れた充放電特性が発揮されるものと考えられる。また、複合固体電解質中においても、当該高分子固体電解質は、無機固体電解質の粒子間を密着させることで、複合固体電解質の内部での抵抗を低下させていると考えられる。
正極、負極ともに公知のものを用いることができるが、集電体に電極材料層、即ち正極材料層、又は負極材料層を備える電極を例示することができる。
正極、負極には、公知の集電体を用いることができる。具体的には、正極には、集電体として、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等の金属が使用される。負極には、集電体として、銅、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等の金属が使用される。
また、正極材料層、負極材料層は、それぞれ、少なくとも正極活物質、負極活物質を含有し、更に導電助剤、バインダー、増粘剤を含有していてもよく必要に応じて、前述の無機固体電解質を含有させてもよい。
本発明で使用される正極活物質は、LiMO2、LiM24、Li2MO3、LiMEO4のいずれかの組成からなるリチウム金属含有複合酸化物粉末である。ここで式中のMは主として遷移金属からなり、Co、Mn、Ni、Cr、Fe、Tiの少なくとも一種を含んでいる。Mは遷移金属からなるが、遷移金属以外にもAl、Ga、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどが添加されていてもよい。EはP、Siの少なくとも1種を含んでいる。正極活物質の粒子径には50μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm以下のものを用いる。これらの活物質は、3V(vs.Li/Li+)以上の起電力を有するものである。
正極活物質の具体例としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケル/コバルト/マンガン酸リチウム(3元系)、スピネル型マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなどが挙げられる。
本発明で使用される負極活物質は、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを吸蔵・放出可能な構造(層間化合物)を有する炭素材料(天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素等)か、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを吸蔵・放出可能なリチウム、アルミニウム系化合物、スズ系化合物、シリコン系化合物、チタン系化合物等の金属である。粉末の場合、粒子径は10nm以上100μm以下が好ましく、更に好ましくは20nm以上20μm以下である。また、金属と炭素材料との混合活物質として用いてもよい。
導電助剤を用いる場合には、公知の導電助剤を用いることができ、黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維、または金属粉末等が挙げられる。これら導電助剤は1種または2種以上用いてもよい。
バインダーとしては、例えばPVdF等のフッ素樹脂、フッ素ゴムやアクリルゴム、変性アクリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリル系重合体、ビニル系重合体、前記記載の分岐型ポリエーテルから選ばれる1種以上の化合物を用いることができる。これらバインダーは活物質を100質量部として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、例えば0.01~2質量部添加する。
増粘剤の具体例としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびこれらの塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。これら増粘剤は1種または2種以上用いてもよい。これら増粘剤は活物質を100質量部として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、例えば0.01~2質量部添加する。また、塗工液の粘度が低い場合には増粘剤を併用することができる。
集電体と正極材料層、負極材料層を備える正極、負極の作製方法は特に限定されず一般的な方法が用いられる。例えば、正極活物質あるいは負極活物質、導電助剤、バインダー、水またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の溶媒、必要に応じて増粘剤などからなる正極材料、負極材料のペースト(塗工液)をドクターブレード法やシルクスクリーン法などにより集電体表面上に適切な厚さに均一に塗布することより行われる。
例えばドクターブレード法では、負極活物質粉末や正極活物質粉末、導電助剤、バインダー等を水に分散してスラリー状にし、金属電極基板に塗布した後、所定のスリット幅を有するブレードにより適切な厚さに均一化する。電極は活物質塗布後、余分な有機溶剤を除去するため、例えば、100℃の熱風や80℃減圧状態で乾燥する。乾燥後の電極はプレス装置によってプレス成型することで電極が製造される。
集電体上に正極材料層、負極材料層を形成した場合には、正極材料層、負極材料の電極材料間、例えば活物質間、活物質と他の電極材料との間等に空隙を生じることになる。本発明の複合固体電解質二次電池においては、このような空隙に、イオン伝導性ポリマーである前記の分岐型ポリエーテルを含んでいてもよい。
複合固体電解質二次電池の製造方法
本発明の複合固体電解質二次電池の製造方法は特に限定されず、少なくとも、正極、負極、及び本発明の複合固体電解質で構成され、公知の方法にて製造される。例えば、コイン型のリチウムイオン電池の場合、正極、複合固体電解質、負極を外装缶に挿入する。その後、封口体とタブ溶接などで接合して、封口体を封入し、カシメることで蓄電池が得られる。電池の形状は限定されないが、例としてはコイン型、円筒型、シート型などがあげられ、2個以上の電池を積層した構造でもよい。
以下の実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
本実施例では、複合固体電解質を用いて、コイン電池を作製し、コイン電池の充放電特性の性能評価を以下の実験にて行った。
[作製した電池の評価]
作製した電池の評価としては充放電装置を用いて充放電試験を行い、充電容量および放電容量を求めた。
充放電測定
0.1C(10時間率)に相当する電流で4.2VまでCCCV充電(0.01Cカット)後、0.1Cに相当する電流で、2.5VまでCCCV放電(0.01Cカット)を行った。試験温度は100℃環境とした。
[正極の作製例]
(1)正極活物質としてNCM(ニッケル/コバルト/マンガン酸リチウム=5/2/3)100質量部に、導電助剤としてアセチレンブラック3質量部、黒鉛3質量部、バインダーとしてPVdF3質量部を加え、さらにスラリーの固形分濃度が35質量%となるようにNMP溶液中に加えて、十分に混合して正極用スラリーを得た。得られた正極スラリーを厚さ20μmのアルミ集電体上にダイコーターを用いて塗布し、100℃で12時間以上乾繰後、ロールプレス機にてプレスを行い、厚さ20μmの正極の前駆体を作製した(目付量6.6mg/cm2、正極密度3.1g/cm3、空隙率26%)。
(2)分岐型ポリエーテルとしてエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル=80/17/3モル%三元共重合体(重量平均分子量150万)100質量部、リチウム塩化合物としてホウフッ化リチウム12質量部、架橋助剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、ラジカル開始剤としてベンゾイルパーオキシド(ナイパーBMT、日油株式会社製)0.3質量部をアセトニトリル900質量部に完全に溶解させた正極含浸用塗工溶液を調製した。
(3)上記(1)の正極の前駆体の上に、上記(2)の正極含浸用塗工溶液を塗工した。その後、2時間静置することにより、溶媒を除去しながら、正極内の空隙に分岐型ポリエーテルと電解質リチウム化合物を含浸した。100℃で2時間、減圧下、含浸した分岐型ポリエーテルの架橋を行い、正極を作製した。
[負極の作製例]
(1)負極活物質として人造黒鉛(粒径10μm)100質量部に、導電助剤として気相成長炭素繊維(VGCF)2質量部、バインダーとしてSBR 3質量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩2質量部を加え、さらにスラリーの固形分濃度が35質量%となるように水を加えて、十分に混合して負極用スラリーを得た。得られた負極スラリーを厚さ16.5μmの銅集電体上にダイコーターを用いて塗布し、100℃で12時間以上乾繰後、ロールプレス機にてプレスを行い、厚さ22μmの負極の前駆体を作製した(目付量3.1mg/cm2、負極密度1.2g/cm3、空隙率23%)。
(2)分岐型ポリエーテルとしてエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル=80/17/3モル%三元共重合体(重量平均分子量150万)100質量部、リチウム塩化合物としてLiTFSI 38質量部を、架橋助剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、ラジカル開始剤としてベンゾイルパーオキシド(ナイパーBMT、日油株式会社製)0.3質量部をアセトニトリル900質量部に完全に溶解させた負極含浸用塗工溶液を調製した。
(3)上記(1)の負極の前駆体の上に、上記(2)の電極含浸用塗工溶液を塗工した。その後、2時間静置することにより、溶媒を除去しながら、負極内の空隙に分岐型ポリエーテルと電解質リチウム化合物を含浸した。100℃で2時間、減圧下、含浸した分岐型ポリエーテルの架橋を行い、負極を作製した。
[複合固体電解質の実施作製例]
(1)無機固体電解質の調製
イオン交換水99.5質量部にホウ酸リチウム0.5質量部を溶かし、0.5質量%のホウ酸リチウム水溶液を調製した。別途、イオン交換水99.5質量部に硫酸リチウム一水和物0.5質量部を溶かし、0.5質量%の硫酸リチウム水溶液13質量部を加え、更に、酸化物系固体電解質LATP(豊島製作所製)(組成:Li1.3Al0.3Ti1.7312、平均粒径:1μm)10.5質量部を添加し、室温中で撹拌した。このスラリーを60℃の湯浴を備えたロータリーエバポレーターに移し、加熱・撹拌・減圧下に溶媒を留出・乾固させ、白色の乾固品を得た。これを150℃1時間真空乾燥し、5質量%-ホウ酸リチウム-硫酸リチウムが被覆されたLATP(無機固体電解質)の乾燥品を得た。乾燥品(粉末)84mgを、直径10mmφの錠剤成型ダイスに入れ、20kNで、5分間加圧して行い、500μmの厚みの成型品を得ることができた。なお、粉末50mg以下では、取出し時に、成型品の破損が生じ、成型品が得られなかった。
(2)分岐型ポリエーテルの高分子固体電解質の調製
分岐型ポリエーテルとしてエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル=80/17/3モル%三元共重合体(重量平均分子量150万)100質量部、リチウム塩化合物としてホウフッ化リチウム12質量部、架橋助剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、ラジカル開始剤としてナイパーBMT(日油株式会社製)0.3質量部をアセトニトリル中、室温で、10時間、攪拌し、完全に溶解させて、0.5質量%分岐型ポリエーテルの高分子固体電解質を含むアセトニトリル溶液を調製した。
(3)無機固体電解質と高分子固体電解質の複合固体電解質の調製
上記(2)の0.5質量%分岐型ポリエーテルの高分子固体電解質を含むアセトニトリル溶液100質量部に、上記(1)の無機固体電解質の乾燥品8.7質量部を加え、60℃の湯浴を備えたロータリーエバポレーターで、加熱・撹拌・減圧下に溶媒を留出させ乾固した。乾固品を110℃2時間真空乾燥し、白色の乾燥品を得た。乾燥品の粉末39mgを、直径10mmφの錠剤成型ダイスに入れ、20kNで、5分間加圧して行った。この加圧成型条件では、成型品の取出しは、何れも円滑に行うことができ、230μmの厚みの成型品を得ることができた。
[複合固体電解質の比較作製例]
(1)ポリエチレンオキシドの高分子固体電解質の調製
ポリエチレンオキシド(重量平均分子量110万)100質量部、リチウム塩化合物としてホウフッ化リチウム12質量部をアセトニトリル中、室温で、10時間、攪拌し、完全に溶解させて、0.5質量%ポリエチレンオキシドの高分子固体電解質を含むアセトニトリル溶液を調製した。
(2)複合固体電解質の調製
0.5質量%ポリエチレンオキシドの高分子固体電解質を含むアセトニトリル溶液100質量部に、上記(1)無機固体電解質の調製で得た無機固体電解質の乾燥品8.7質量部を加え、60℃の湯浴を備えたロータリーエバポレーターで、加熱・撹拌・減圧下に溶媒を留出させ乾固した。乾固品を110℃2時間真空乾燥し、白色の乾燥品を得た。乾燥品の粉末45mgを、直径10mmφの錠剤成型ダイスに入れ、20kNで、5分間加圧して行った。この加圧成型条件では、成型品の取出しは、何れも円滑に行うことができ、350μmの厚みの成型品を得ることができた。
[イオン伝導性ポリマー材料の架橋フィルムの作製]
側鎖にエチレンオキシド単位を有するイオン伝導性ポリマーとしてエチレンオキシド/ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル/アリルグリシジルエーテル=80/17/3モル%三元共重合体 100質量部、リチウム塩化合物としてLiTFSI 38質量部を、架橋助剤として、トリメチロールプロパントリアクリレート10質量部、ラジカル開始剤としてナイパーBMT(日油株式会社製)0.3質量部をアセトニトリル900質量部に溶解させた溶液を調製した。この溶液をポリテトラフルオロエチレン製モールド上にキャストして、室温で乾燥した後、100℃、2時間、熱架橋を行い、厚さ20μmのイオン伝導性ポリマー材料の架橋フィルムを作製した。
電池の製造例
[コイン電池の実施製造例1]
ドライルーム内において、正極の実施作製例で得た正極、複合固体電解質の成型品(厚み 230μm)、作製例のイオン伝導性ポリマー材料の架橋フィルム、負極としての金属リチウム箔を順に積層後、カシめ、試験用2032型コイン電池を製造した。
<充放電条件>
下限電圧2.5V-上限電圧4.2V、100℃
CC-CV/CC-CV 0.1C-0.01C充電、0.1C-0.01C放電
<充放電試験結果>
充電容量165mAh/g、放電容量150mAh/g
[コイン電池の実施製造例2]
ドライルーム内において、正極の実施作製例で得た正極、複合固体電解質の実施作製例で得た複合固体電解質の成型品、負極の実施作製例で得た負極を積層後、カシめ、試験用2032型コイン電池を製造した。
<充放電条件>
下限電圧2.5V-上限電圧4.2V、100℃
CC(0.1C)-CV(0.01C)充電
CC(0.1C)-CV(0.01C)放電
<充放電試験結果>
充電容量 151mAh/g 放電容量 130mAh/g
[コイン電池の比較製造例1]
ドライルーム内において、正極の実施作製例で得た正極、ポリエチレンオキシドを用いた複合固体電解質の比較作製例で得た複合固体電解質の成型品、作製例のイオン伝導性ポリマー材料の架橋フィルム、負極としての金属リチウム箔を順に積層後、カシめ、試験用2032型コイン電池を製造した。
<充放電条件>
下限電圧2.5V-上限電圧4.2V、100℃
CC(0.1C)-CV(0.01C)充電
CC(0.1C)-CV(0.01C)放電
<充放電試験結果>
充電容量110mAh/g、放電容量90mAh/g
実施製造例および比較製造例より、無機固体電解質と分岐型ポリエーテルを含む高分子固体電解質とからなる複合固体電解質は、高分子固体電解質を含まない固体電解質と比べて、明らかに、固体電解質二次電池に対して、高い充電および放電容量を発揮させることがわかる。また、無機固体電解質単独で加圧成型すると、柔軟性と結着性が殆どないため、厚膜の電解質になるが、複合固体電解質では、高分子固体電解質の柔軟性と結着性により、より薄い固体電解質が得られている。
本発明の複合固体電解質、および複合固体電解質を用いて製造される固体電解質二次電池は、充放電特性に優れており、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの車載用途や家庭用電力貯蔵用の蓄電池といった大型の電池用途に好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 無機固体電解質と、分岐型ポリエーテル及びリチウム塩化合物を含む高分子固体電解質と、を含有する、複合固体電解質であり、
    前記分岐型ポリエーテルは、側鎖にエチレンオキシド単位を有するエポキシ化合物から形成された構成単位を含み、
    前記エポキシ化合物は、下記式(1)の単量体に由来する繰り返し単位(A)と、下記式(2)の単量体に由来する繰り返し単位(B)と、下記式(3)の単量体に由来する繰り返し単位(C)とのモル比が、(A)95~5モル%、(B)5~95モル%、および(C)0~20モル%である、複合固体電解質
    [式(2)中、Rは-CH 2 O(CH 2 CH 2 O) n 4 であり、R 4 は炭素数1~6のアルキル基であり、nは0~12の数である。]
    [式(3)中、R 5 は、エチレン性不飽和基を含有する基を表す。]
  2. 前記エポキシ化合物は、下記式(1)の単量体に由来する繰り返し単位(A)と、下記式(2)の単量体に由来する繰り返し単位(B)と、下記式(3)の単量体に由来する繰り返し単位(C)とのモル比が、(A)92~9モル%、(B)7~90モル%、および(C)1~15モル%である、請求項1に記載の複合固体電解質。
  3. 前記分岐型ポリエーテルは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、及びメタクリル酸グリシジルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種から形成された構成単位を含む、請求項1又は2に記載の複合固体電解質。
  4. 前記分岐型ポリエーテルは、架橋されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合固体電解質。
  5. 前記無機固体電解質は、酸化物系固体電解質又は硫化物系固体電解質である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合固体電解質。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の複合固体電解質を含む、複合固体電解質二次電池。
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