添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。図2は、本実施形態に係る検査装置56を含む加工システム2を模式的に示す斜視図である。加工システム2は、被加工物を加工する加工装置4と、該被加工物を検査する検査装置56と、を有する。
まず、被加工物について説明する。被加工物は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料からなる略円板状のウェーハである。または、被加工物は、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる基板等である。また、被加工物は、モールド樹脂等で封止された複数のデバイスチップが含まれるパッケージ基板等でもよい。
図1は、被加工物1の一例であるウェーハを模式的に示す斜視図である。被加工物1の表面1aは、例えば、互いに交差する複数のストリート3と呼ばれる分割予定ラインで区画されている。被加工物1の表面1aのストリート3で区画された各領域にはIC(Integrated Circuit)、LSI(Large-Scale Integrated circuit)等のデバイス5が形成されている。被加工物1をストリート3に沿って分割すると、個々のデバイスチップを形成できる。
ただし、加工システム2で加工される被加工物1はこれに限定されず、表面1aにデバイスが形成されていなくてもよい。以下、複数のデバイス5が形成され、ストリート3に沿って分割されるウェーハが被加工物1である場合を例に加工システム2及び検査装置56について説明する。
被加工物1が加工装置4に搬入される前に、図1に示す通り、被加工物1は、環状のフレーム9と、該フレーム9の開口を塞ぐように貼られたテープ7と、と一体化され、フレームユニット11が形成される。テープ7に貼着され、該テープ7を介してフレーム9に装着された被加工物1は、この状態で加工装置4に搬入され分割される。そして、形成された個々のチップはテープ7により支持される。フレームユニット11を形成すると、被加工物1及びチップの取り扱いが容易となる。
被加工物1の分割には、例えば、ストリート3に沿って被加工物1にレーザビームを照射して被加工物1をレーザ加工するレーザ加工装置が使用される。または、円環状の切削ブレードによりストリート3に沿って被加工物1を切削する切削装置が使用される。また、最終的に薄型のデバイスチップを得るために、被加工物1は分割される前に研削装置で薄化される。加工システム2は、加工装置4として被加工物1を薄化する研削装置を有してもよい。以下、加工装置4が切削装置である場合を例に加工システム2について説明するが、加工システム2に含まれる加工装置4は切削装置に限定されない。
加工システム2では、被加工物1が加工装置4で適切に加工されたことを確認するために、加工後の被加工物1が検査装置56に送られ、被加工物1が撮影され検査される。検査装置56では、例えば、被加工物1がストリート3に沿って検査され、加工痕の形成位置や幅、加工痕に沿って被加工物1に形成されるチッピングと呼ばれる欠けの形状や大きさ、分布等が調査される。また、被加工物1が分割されて形成されたデバイスチップの大きさが確認される。
加工システム2では、加工装置4と、検査装置56と、が接続されている。ただし、加工装置4及び検査装置56は互いに独立していてもよく、加工システム2は、複数の加工装置4及び複数の検査装置56を備えてもよい。図2は、一つの加工装置4と、一つの検査装置56と、が互いに接続された加工システム2を模式的に示す斜視図である。なお、図2等では、加工装置4及び検査装置56を構成する筐体等の一部の構成が省略されている。
加工装置4は、各構成要素を支持する基台6aを備える。基台6aの前方の角部には、昇降可能なカセット支持台6bが設けられている。カセット支持台6bの上面には、複数のフレームユニット11を収容するカセット(不図示)が載せられる。
基台6aの上面のカセット支持台6bに隣接した位置には、X軸方向(加工送り方向)に長い矩形の開口10が形成されている。開口10には、チャックテーブル14と、該チャックテーブル14が載る移動テーブル12をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構(不図示)と、該X軸方向移動機構を覆う防塵防滴カバー10aと、が設けられている。
加工装置4には、カセット支持台6bに載せられたカセットに収容されたフレームユニット11を搬出入する搬送ユニット16が設けられている。搬送ユニット16は、基台6aの立設部6cの前面に配設されたY軸方向に平行な一対のガイドレール18を有する。該一対のガイドレール18には、移動体20がスライド可能に取り付けられている。移動体20の後面側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはガイドレール18に平行なボールネジ22が螺合されている。
ボールネジ22の一端部には、パルスモータ24が連結されている。パルスモータ24でボールネジ22を回転させると、移動体20はガイドレール18に沿ってY軸方向に移動する。移動体20の下端には、X軸方向に沿って伸長した腕部26が昇降機構を介して接続されている。腕部26の下面には、フレーム9の大きさに対応して配設された複数の吸引部28が配設されている。さらに、腕部26の中央には、カセット支持台6bに向いたプッシュプル機構30が配設されている。
また、基台6aの上面には、開口10を跨ぐように設けられた一対の搬送レール8が配設されている。該一対の搬送レール8は、フレーム9の径よりも小さい幅で互いに離間して配設されているが、互いに離れる方向に移動可能である。
搬送ユニット16は、Y軸方向に移動してカセット支持台6bに載置されたカセットにプッシュプル機構30の先端を差し入れて該カセットに収容されたフレームユニット11のフレーム9を把持できる。プッシュプル機構30でフレーム9を把持し、Y軸方向に沿って逆方向に腕部26を移動させると、フレームユニット11を一対の搬送レール8上に引き出せる。
その後、プッシュプル機構30によるフレーム9の把持を解除し、搬送ユニット16の吸引部28を上方からフレーム9に接触させ、吸引部28によりフレーム9を吸引保持する。そして、フレームユニット11を搬送レール8から上方に引き上げ、該一対の搬送レール8の間隔を広げ、フレームユニット11を下降させることで、チャックテーブル14上にフレームユニット11を搬送できる。
被加工物1を保持するチャックテーブル14の上面には多孔質部材が配設されており、該多孔質部材の上面がフレームユニット11を保持する保持面となる。該多孔質部材は、チャックテーブル14の内部に形成された吸引路(不図示)を介して吸引源(不図示)に接続されている。この吸引源を作動させると、吸引路及び多孔質部材を介してフレームユニット11(被加工物1)に負圧が作用し、チャックテーブル14でフレームユニット11を吸引保持できる。
図3は、加工システム2の構成を模式的に示す平面図である。加工装置4は、被加工物1を加工する加工ユニット32を備える。加工ユニット32は、例えば、円環状の切削ブレード34と、該切削ブレード34の貫通孔に挿通されたスピンドル36aと、スピンドル36aの一端を収容するスピンドルハウジング36と、を備える切削ユニットである。
スピンドル36aは、切削ブレード34を回転させる際の回転軸となる。スピンドルハウジング36には、スピンドル36aを回転させる図示しないモータ等の回転駆動源が収容されている。チャックテーブル14に保持された被加工物1に回転する切削ブレード34を切り込ませると、被加工物1が切削加工される。
なお、図3に示す加工装置4には、被加工物1を切削する2つの加工ユニット32が装着されているが、加工装置4はこれに限定されない。例えば、加工装置4が備える加工ユニット32は一つでもよい。また、加工装置4がレーザ加工装置である場合、加工ユニット32は、被加工物1をレーザ加工するレーザ加工ユニットとなる。
図2及び図3に示す通り、加工装置4は、基台6aの上面の開口10に隣接する位置に開口38を有する。開口38の内部には、加工ユニット32により加工された被加工物1を洗浄できる洗浄装置40が配設される。搬送ユニット16等により加工後の被加工物1を洗浄装置40の洗浄テーブル上に搬送し、被加工物1が載る該洗浄テーブルを高速に回転させながら図示しないノズルから被加工物1に高圧の洗浄液を噴出させると被加工物1を洗浄できる。
なお、洗浄装置40への被加工物1の搬入は、搬送ユニット42により実施されてもよい。搬送ユニット42は、基台6aの立設部の前面に配設されたY軸方向に平行な一対のガイドレール44を有する。該一対のガイドレール44には、移動体46がスライド可能に取り付けられている。移動体46の後面側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはガイドレール44に平行なボールネジ48が螺合されている。
ボールネジ48の一端部には、パルスモータ50が連結されている。パルスモータ50でボールネジ48を回転させると、移動体46はガイドレール44に沿ってY軸方向に移動する。移動体46の下端には、腕部52が昇降機構を介して接続されている。腕部52には、フレーム9の大きさに対応して配設された複数の吸引部(不図示)が配設された保持機構54が設けられている。
例えば、被加工物1の表面に複数のデバイス5が形成されており、該被加工物1を加工装置4の加工ユニット32によりデバイス5毎に分割すると、個々のデバイスチップが形成される。被加工物1が適切に加工されていることを確認するために、加工後の被加工物1が本実施形態に係る検査装置56で検査される。
洗浄装置40による被加工物1の洗浄が完了した後、保持機構54により被加工物1を保持し、搬送ユニット42で検査装置56に搬送する。なお、被加工物1は、搬送ユニット42に代えて搬送ユニット16で検査装置56に搬送されてもよい。ここで、搬送ユニット16,42に被加工物1を保持させる前に予め洗浄テーブルの向きを調整すると、検査装置56に搬入される被加工物1の向きを所定の向きに合わせられる。
例えば、検査装置56では、被加工物1に形成された分割溝(加工痕)に沿って被加工物1が検査され、該分割溝に沿って被加工物1に形成されるチッピングと呼ばれる欠けの形状や大きさ、分布等が調査される。また、被加工物1が分割されて形成されたデバイスチップの大きさが確認される。
検査装置56は、被加工物1の一部を上面側(表面1a側)と、下面側(裏面1b側)と、の双方から同時に観察できる。図2等に示す通り検査装置56が加工装置4に接続されている場合、加工後の被加工物1を直ちに検査できる。ただし、検査装置56はこれに限定されない。
ここで、加工装置4が切削装置である場合、被加工物1の切削に利用される切削ブレード34は、被加工物1を次々に加工する間に消耗するため、定期的に交換される。また、加工装置4が研削装置である場合、被加工物1の研削に利用される研削砥石が消耗するため、該研削砥石が固定された研削ホイールが定期的に交換される。そして、交換直後のこれらの工具が備える砥石は目潰れや目詰まりと呼ばれる状態となりやすく、これらの工具で被加工物1を加工したときに被加工物1にかかる負荷が大きくなり、クラックとよばれる亀裂が被加工物1に生じることがある。
被加工物1の外側に表出したクラックは、被加工物1を外部から観察することで検出可能である。しかしながら、例えば、被加工物1の切断面から内部に進行したクラックや、被加工物1の外面に表出しないクラック等、被加工物1を外部から観察しても発見できないクラックが被加工物1に発生することもある。そして、被加工物1の内部のいずれの箇所にも不要なクラックが形成されていないことを確認するために、被加工物1の内部をくまなく点検したいとの要望がある。
そこで、本実施形態に係る検査装置56では、被加工物1の表面1aと裏面1bの間の所定の高さにおいて被加工物1の内部を撮影し、撮影画像を取得することで被加工物1の内部に形成されたクラック等の検出を可能とする。以下、本実施形態に係る検査装置56について説明する。
図4は、検査装置56を模式的に示す斜視図である。検査装置56は、該検査装置56の各構成を支持する基台60を備える。基台60には、X軸方向に沿った開口62が形成されている。検査装置56は、基台60の開口62を跨ぐように配設され被加工物1を保持できる保持テーブル58と、保持テーブル58に保持された被加工物1を撮影できる赤外線カメラユニット82と、を備える。
検査装置56は、保持テーブル58と、赤外線カメラユニット82と、をX軸方向に沿って相対的に移動できるX軸移動ユニット64aと、Y軸方向に沿って相対的に移動できるY軸移動ユニット64bと、を備える。図5(A)には、検査装置56のX軸移動ユニット64a及び保持テーブル58の斜視図が模式的に示されている。図5(B)には、赤外線カメラユニット82の斜視図が模式的に示されている。
X軸移動ユニット64aは、基台60の上面の開口62の側方にX軸方向に沿って伸長したガイドレール66aを備える。また、基台60の上面のガイドレール66aとは反対側の開口62の側方には、ガイドレール66aに平行に伸長したガイドレール66bを備える。ガイドレール66aには移動体68aがスライド可能に装着されており、ガイドレール66bには移動体68bがスライド可能に装着されている。
移動体68a及び移動体68bの上には、両移動体68a,68bを跨るように橋状の支持構造74が配設されている。また、移動体68a及び移動体68bの一方の下端にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはガイドレール66a,66bに平行なボールネジ70が螺合されている。
ボールネジ70の一端部には、パルスモータ72が連結されている。パルスモータ72でボールネジ70を回転させると、移動体68a,68bはガイドレール66a,66bに沿ってX軸方向に移動し、橋状の支持構造74がX軸方向に移動する。保持テーブル58は、基台60の開口62と重なる位置で支持構造74に支持される。X軸移動ユニット64aは、支持構造74をX軸方向に沿って移動させることで保持テーブル58をX軸方向に沿って移動できる。
保持テーブル58は、上下に露出した円板状の赤外線透過プレート76を有する。赤外線透過プレート76は、例えば、ガラス、樹脂等の材料で形成される。赤外線透過プレート76の上面は、テープ7を介して被加工物1が載置される載置面76aとなる。保持テーブル58は、赤外線透過プレート76に載せられた被加工物1を支持できる。
図6には、保持テーブル58を模式的に示す断面図が含まれている。赤外線透過プレート76は、載置面76aとは反対側の裏面側にも露出している。そして、赤外線透過プレート76は、赤外線カメラユニット82が撮像する波長の赤外線を透過する。そのため、載置面76aに載る被加工物1を赤外線透過プレート76越しに下面側から赤外線カメラユニット82で観察可能である。
保持テーブル58は、載置面76aの外周側にテープ吸引保持面78bを備えるテープ保持部78を備える。テープ保持部78は、テープ吸引保持面78bに形成された吸引溝78aを有する。吸引溝78aには、図示しない吸引路を経て、図示しない吸引源が接続されている。保持テーブル58は、さらに、テープ保持部78の周囲に配置され、フレームユニット11のフレーム9を支持できる環状のフレーム支持部80を備える。
フレーム支持部80と、フレーム9と、が重なるように保持テーブル58の上にフレームユニット11を載せ、該吸引源を作動させると、テープ7を介して保持テーブル58に被加工物1が吸引保持される。このとき、保持テーブル58と、テープ7と、の間が吸引されて載置面76aの全面にテープ7が密着するため、保持テーブル58に保持された被加工物1が検査中にずれることはない。
例えば、被加工物1が反りを有したウェーハ等である場合においても、保持テーブル58に被加工物1を保持させるとき、載置面76aの全体にテープ7が密着する。そのため、被加工物1は、反りが緩和された状態で保持テーブル58に吸引保持される。保持テーブル58に保持された被加工物1の反りが緩和されていると、被加工物1の各領域を次々に撮影する際にカメラの焦点が被加工物1からずれにくくなるため、被加工物1をより鮮明に撮影できる。
ここで、赤外線透過プレート76の載置面76aの高さは、テープ保持部78のテープ吸引保持面78bの高さより低いことが好ましい。また、テープ吸引保持面78bに形成された吸引溝78aは、赤外線透過プレート76に達していてもよい。この場合、保持テーブル58の上にフレームユニット11を載せたときにテープ7と、載置面76aと、の間に隙間が形成され、吸引溝78aに接続された吸引源を作動させたときに該隙間を通じてテープ7の被加工物1と重なる領域が早く吸引される。
図6には、保持テーブル58により被加工物1が吸引保持されている際のフレームユニット11及び保持テーブル58の断面図が模式的に示されている。図6に示す通り、該吸引源を作動させると、テープ7及び載置面76aの隙間が排気され、テープ7及び載置面76aが密着する。
なお、被加工物1の検査が完了した後、吸引源を停止させてフレームユニット11を保持テーブル58から搬出する際に、載置面76aからのテープ7の剥離が容易となるように、例えば、載置面76aはフッ素樹脂でコーティングされていてもよい。
次に、赤外線カメラユニット82について説明する。図4に示す通り、赤外線カメラユニット82は、例えば、開口62、X軸移動ユニット64a、及び保持テーブル58を跨ぐように基台60の上に配設された門型の支持構造84により支持される。支持構造84の上には、赤外線カメラユニット82をY軸方向に沿って移動させるY軸移動ユニット64bが配設されている。
Y軸移動ユニット64bは、支持構造84の上面にY軸方向に沿って配設された一対のガイドレール86を備える。一対のガイドレール86には、赤外線カメラユニット82を支持する移動体88がスライド可能に装着されている。移動体88の下面にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部には一対のガイドレール86に平行なボールネジ90が螺合されている。
ボールネジ90の一端部には、パルスモータ92が連結されている。パルスモータ92でボールネジ90を回転させると、移動体88はガイドレール86に沿ってY軸方向に移動し、赤外線カメラユニット82がY軸方向に移動する。X軸移動ユニット64a及びY軸移動ユニット64bは、協働して、保持テーブル58及び赤外線カメラユニット82を載置面76aに平行な方向に相対的に移動できる移動ユニットとして機能する。
赤外線カメラユニット82は、保持テーブル58の赤外線透過プレート76の上方に配設された上部カメラ106aと、該赤外線透過プレート76の下方に配設された下部カメラ106bと、の一方または両方を備える。図5(B)に示す通り、赤外線カメラユニット82は、上部カメラ106a及び該下部カメラ106bを連結する連結部108をさらに備える。
上部カメラ106aは、柱状の支持構造94aに支持される。柱状の支持構造94aの前面には、上部カメラ106aを昇降させる昇降機構96aが配設されている。昇降機構96aは、Z軸方向に沿った一対のガイドレール98aと、該ガイドレール98aにスライド可能に装着された移動体100aと、該移動体100aの後面に設けられたナット部に螺合されたボールネジ102aと、を有する。
移動体100aの前面には、上部カメラ106aが固定されている。そして、ボールネジ102aの一端部にはパルスモータ104aが連結されている。パルスモータ104aでボールネジ102aを回転させると、移動体100aがガイドレール98aに沿ってZ軸方向に沿って移動し、移動体100aに固定された上部カメラ106aが昇降する。
連結部108の上端部は、例えば、支持構造94aの後面側下端部に接続されており、連結部108の下端部は、下部カメラ106bを支持する柱状の支持構造94bの後面側上端部に接続されている。支持構造94bの前面には、支持構造94aに配設された昇降機構96aと同様に構成された昇降機構96bが配設されている。
昇降機構96bは、Z軸方向に沿った一対のガイドレール98bと、該ガイドレール98bにスライド可能に装着された移動体100bと、該移動体100bの後面に設けられたナット部に螺合されたボールネジ102bと、を有する。ボールネジ102bの一端部にはパルスモータ104bが連結されている。パルスモータ104bでボールネジ102bを回転させると、移動体100bの前面に固定された下部カメラ106bが昇降する。
上部カメラ106aは下方を向いており、保持テーブル58に支持された被加工物1を上方から直接撮影できる。また、下部カメラ106bは上方を向いており、赤外線透過プレート76及びテープ7を介して被加工物1を下方から撮影できる。上部カメラ106a及び下部カメラ106bは、例えば、赤外線を受光できる赤外線センサを有するエリアカメラ、ラインカメラ、又は、3Dカメラ等である。ここで、該赤外線センサは、赤外線透過プレート76、テープ7、及び被加工物1を透過できる波長の赤外線を受光できる。
なお、赤外線透過プレート76及びテープ7を通して被加工物1を撮影する場合、得られる撮影画像のコントラストが球面収差の影響を受けて低下する場合がある。そこで、下部カメラ106bは、該球面収差の影響を低減できる補正環等で構成される補正ユニットを有していてもよい。
なお、赤外線カメラユニット82においては、該載置面76aに平行な方向における位置が同一となるように上部カメラ106a及び下部カメラ106bが連結部108により互いに連結される。すなわち、被加工物1の上面側と下面側の同一位置を撮影できる。そして、連結部108は、被加工物1のいずれの箇所を撮影箇所とした場合においても、保持テーブル58と干渉しない形状とされる。
図2を使用して、加工装置4についてさらに説明する。加工装置4は、タッチパネルを有する表示ユニット110を備える。加工装置4を操作する作業者は、例えば、表示ユニット110のタッチパネルにより加工装置4において実施される加工の条件等を入力する。また、表示ユニット110は、各種の情報を表示する機能、入力画面を表示する機能、及び各種の警報を表示する機能等を備える。
また、加工装置4は、該加工装置4の各構成要素を制御する制御ユニット112を備える。制御ユニット112は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成されている。
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、制御ユニット112の機能が実現される。そして、補助記憶装置に記憶されるプログラム等のソフトウェアに従い処理装置を動作させることによって、ソフトウェアと処理装置(ハードウェア資源)とが協働した具体的手段として機能する。制御ユニット112の構成及び機能について、詳細は後述する。
検査装置56は、タッチパネルを有する液晶ディスプレイ等で構成される表示ユニット114を備える。表示ユニット114を操作する作業者は、例えば、表示ユニット114のタッチパネルにより検査装置56において実施される検査の条件の入力や、表示ユニット114に表示させる画像の選択等を実施する。また、表示ユニット114は、各種の情報を表示する機能、入力画面を表示する機能、及び各種の警報を表示する機能等を備える。
また、検査装置56は、該検査装置56の各構成要素を制御する制御ユニット116を備える。制御ユニット116は、例えば、加工装置4の制御ユニット112と同様に構成される。制御ユニット116の構成及び機能について、詳細は後述する。
ここで、加工システム2では、互いの制御ユニット112,116は配線で接続されていてもよく、無線通信により接続されてもよい。または、加工システム2は、加工装置4及び検査装置56を制御する統合された一つの制御ユニットを備えてもよい。また、加工システム2は、加工装置4の表示ユニット110及び検査装置56の表示ユニット114の機能を兼ねる一つの表示ユニットを備えてもよい。
加工システム2では、カセット支持台6bに置かれたカセットから被加工物1が次々に引き出され、加工装置4で加工され、検査装置56で検査され、再びカセットに戻される。ただし、カセットに収容された被加工物1の全てが検査装置56で検査されなくてもよく、選択された一部の被加工物1が検査装置56で検査され、他の被加工物1の検査が省略されてもよい。検査装置56では、被加工物1やチップの内部のクラックや損傷、加工不良等の異常の有無が検査される。
また、加工システム2では、加工装置4と、検査装置56と、が切り離されていてもよい。この場合、例えば、オペレーターは、被加工物1を加工装置4に搬入して加工装置4で被加工物1を加工し、加工された被加工物1を加工装置4から検査装置56に搬送し、検査装置56で被加工物1やチップを検査する。
さらに、加工システムには、複数の加工装置が含まれていてもよく、複数の検査装置が含まれていてもよい。図7は、3つの加工装置4と、一つの検査装置56と、を含む加工システム2aの構成例を模式的に示す斜視図である。例えば、被加工物1は、3つの加工装置4のいずれかで加工され、加工された被加工物1が検査装置56で検査される。
検査装置56は、赤外線カメラユニット82を使用して被加工物1の内部の所定の高さにおける撮影写真を取得できる。図11は、赤外線カメラユニット82を構成する下部カメラ106bの焦点106cを所定の高さに合わせて被加工物1の内部を撮影する様子を模式的に示す断面図である。
図11に示す被加工物1は、加工装置4で加工されてストリート3に沿った分割溝3aが形成され、分割溝3aの側壁から被加工物1の内部に伸長するクラック3bが生じている。ここで、クラック3bは、被加工物1の表面1a及び裏面1bのいずれにも達していない。そのため、焦点を被加工物1の表面1aまたは裏面1bに合わせて被加工物1を赤外線カメラユニット82(上部カメラ106a及び下部カメラ106b)で撮影しても、得られる撮影画像にはクラック3bが写らない。
図12(A)は、被加工物1のストリート3に沿って形成された分割溝3aを赤外線カメラユニット82の上部カメラ106aで上方から撮影して取得した撮影画像23aを模式的に示す平面図である。撮影画像23aには、被加工物1の表面1aに形成されたデバイス5と、分割溝3aと、が写るとともに、分割溝3aの外側で被加工物1に形成されたチッピング3cと呼ばれる欠けが写る。しかしながら、被加工物1の内部に形成されたクラック3bは写らない。
そこで、焦点を被加工物1の表面1a及び裏面1bの間の高さに合わせて被加工物1の内部を赤外線カメラユニット82(上部カメラ106a及び下部カメラ106b)で撮影する。例えば、図11に示すように、被加工物1の表面1a及び裏面1bの間の第1の高さ1cに焦点106cを合わせ、赤外線カメラユニット82の下部カメラ106bで被加工物1の内部を撮影する。なお、第1の高さ1cは、被加工物1の表面1a及び裏面1bの間の任意の高さであり、特に制限はない。
図12(B)は、第1の高さ1cに焦点106cを合わせて下部カメラ106bで被加工物1の内部を撮影して取得される第1の撮影画像23bを模式的に示す平面図である。図12(B)に示される通り、被加工物1を表面1a側から撮影して得られた撮影画像と比較しやすいように、被加工物1を裏面1b側から撮影して得られた撮影画像は、上下反転されてもよく、左右反転されてもよい。
第1の高さ1cにおいて被加工物1の内部にクラック3bが形成されている場合、第1の高さ1cに焦点106cが合わせられて取得された第1の撮影画像23bには、クラック3bが写る。したがって、第1の高さ1cに焦点106cが合わせられて取得された第1の撮影画像23bを解析すると、被加工物1の内部の第1の高さ1cにおいて、クラック3bが存在するか否かを判定できる。
なお、検査装置56では、被加工物1の内部の第1の高さ1cにおいて、さらに、上部カメラ106aで被加工物1の内部を撮影してもよい。被加工物1の内部を同じ高さで上方及び下方から撮影すると、被加工物1の内部に形成されたクラック等をより多角的に解析できる。
また、被加工物1の内部をより詳細に検査するために、検査装置56は、被加工物1の内部を複数の高さでそれぞれ撮影し、撮影画像を取得してもよい。例えば、赤外線カメラユニット82(上部カメラ106a及び下部カメラ106b)の焦点106cを被加工物1の表面1a及び裏面1bの間の第1の高さ1cとは異なる第2の高さ1dに合わせて赤外線カメラユニット82で被加工物1の内部を撮影して第2の撮影画像を取得する。
図12(C)は、第2の高さ1dに焦点106cを合わせて下部カメラ106bで被加工物1の内部を撮影して取得される第2の撮影画像23cを模式的に示す平面図である。図12(C)に示された撮影画像23は、左右反転画像である。
第2の高さ1dにおいて被加工物1の内部にクラック3bが形成されている場合、第2の高さ1dに焦点106cが合わせられて取得された第2の撮影画像23cには、クラック3bが写る。したがって、第2の高さ1dに焦点106cが合わせられて取得された第2の撮影画像23cを解析すると、被加工物1の内部の第2の高さ1dにおいて、クラック3bが存在するか否かを判定できる。
このように、被加工物1の内部を異なる高さで撮影して複数の撮像画像を取得すると、被加工物1の内部にクラック3bが形成されているか否か、くまなく検査できる。ただし、検査装置56では、赤外線カメラユニット82により被加工物1の表面1aが写る撮影画像や、被加工物1の裏面1bが写る撮影画像が得られてもよい。
また、第1の高さ1c及び第2の高さ1d以外の高さで被加工物1の内部が撮影されてもよい。数多くの高さで被加工物1の内部を撮影するとクラック3bの検出精度が高まり、クラック3bの検出漏れが生じにくくなる。ただし、被加工物1の内部を撮影する回数が増えると検査に時間がかかる。例えば、2つの高さで被加工物1の内部を撮影して被加工物1を検査すると、検査時間を短縮化できる。
また、検査装置56では、被加工物1の同一の高さの同一箇所を上方と下方から同時に赤外線カメラユニット82で撮影できる。例えば、第1の撮影画像及び第2撮影画像は、それぞれ、被加工物1の内部を上部カメラ106aが撮影して形成された上部カメラ画像と、被加工物1の内部を下部カメラ106bが撮影して形成された下部カメラ画像と、が関連付けられた組で構成されてもよい。これにより、被加工物1の各領域を表面1a側及び裏面1b側から確認できるため、被加工物1をより詳細に検査できる。
なお、被加工物1には、いずれの箇所においてもクラック等の異常が生じうる。そのため、被加工物1の全域が赤外線カメラユニット82で撮影されることが好ましく、撮影画像には、被加工物1の全域が写ることが好ましい。しかしながら、赤外線カメラユニット82で一度に被加工物1の全域を鮮明に撮影するのは困難である。撮影画像の精細度が不十分であると、被加工物1を精密に検査できなくなることも考えられる。
そこで、赤外線カメラユニット82で被加工物1を小区画ごとに拡大して高精細に撮影し、得られた小画像を基に撮影画像を形成するとよい。すなわち、撮影画像を得る際には、被加工物1を支持する保持テーブル58と、赤外線カメラユニット82と、をX軸移動ユニット64a及びY軸移動ユニット64bで相対的に移動させて撮影領域を変えつつ被加工物1を撮影する。そして、小区画ごとに被加工物1を赤外線カメラユニット82で順次撮影して形成された複数の小画像をもとに撮影画像を形成する。
図8は、小区画ごとに撮影される被加工物1の撮影領域を模式的に示す平面図である。図8には、すでに赤外線カメラユニット82で撮影された小区画134が実線で示され、これから赤外線カメラユニット82で撮影される小区画136が破線で示されている。
被加工物1の撮影をする際には、一つの小区画で被加工物1を撮影し、該小区画の一辺に相当する距離で保持テーブル58等を移動させ、次の小区画で被加工物1を撮影する。これを繰り返して、被加工物1の全域を撮影し複数の小画像を得る。なお、赤外線カメラユニット82が撮影する各小区画は、互いに隣接する小区画と一部が重複していてもよい。
得られた複数の小画像を組み合わせると、第1の撮影画像及び第2の撮影画像を形成できる。得られた撮影画像は、高精細で鮮明な小画像の集合体となるため、これを必要に応じて拡大することで、被加工物1の各所を詳細に解析できる。
図2には、加工システム2を構成する検査装置56の制御ユニット116の構成を示すブロック図が含まれている。検査装置56は、赤外線カメラユニット82により形成された撮影画像を記録する記録部118を制御ユニット116に備える。また、検査装置56は、第1の撮影画像23b及び第2の撮影画像23cを処理し、該被加工物1の状態を検査する検査部120を制御ユニット116に有する。検査装置56は、より詳細には、第1の撮影画像23b及び第2の撮影画像23cを検査結果に紐づけて記録部118に記録する。
例えば、検査部120は、撮影画像に基づいてストリート3に沿って被加工物1に形成された分割溝(加工痕)3aを画像処理技術により検出し、この分割溝(加工痕)3aの品質を検査する。この検査作業は、カーフチェックとも呼ばれる。
カーフチェックでは、検査部120は、ストリート3における分割溝3aの形成位置や分割溝3aの幅、分割溝3aの両側壁側に形成されたチッピング3cの形状や大きさ、量、分布等を評価する。そして、各項目について、所定の基準を満たす場合に加工結果が正常であると判定し、該所定の基準を満たさない場合に被加工物1に異常が生じていると判定する。
さらに、検査部120は、被加工物1の内部が写る第1の撮影画像23b及び第2の撮影画像23cを解析して被加工物1の内部に伸長するクラック3bを検出する。また、検査部120は、クラック3bの形成箇所や大きさ、長さ、数、量等を検出する。これらの情報は、被加工物1の良否の判定及び被加工物1に生じた異常の解析、異常の原因の分析等に活用できる。
また、検査部120は、複数の撮影画像23b,23cと、それぞれの撮影画像23b,23cが撮影された高さ1c,1dと、それぞれの撮影画像23b,23cに写るクラック3bの形状と、からクラック3bの3次元構造モデルを作成してもよい。この際、3次元構造モデルの基となる撮影画像の数は2に限定されない。基となる撮影画像の数が多いほどクラック3bの構造を高精度に反映した3次元構造モデルを形成できる。
なお、図7に示す通り、加工装置4は、無線通信または有線通信により検査装置56に各種の情報を送信できる情報送信部130を備えるとよい。そして、検査装置56は、加工装置4の情報送信部130から送信された各種の情報を受信できる情報受信部132を備えるとよい。
例えば、加工装置4及び検査装置56が互いに独立している場合、情報送信部130は電波を送信できるアンテナであり、情報受信部132は該電波を受信できるアンテナである。また、例えば、加工装置4及び検査装置56が一体化されている場合、情報送信部130及び情報受信部132は、加工装置4及び検査装置56を接続する配線である。
また、制御ユニット116及び制御ユニット112の機能が統合された一つの制御ユニットにより実現されている場合、情報送信部130及び情報受信部132は、該制御ユニットに含まれる電子回路等である。
なお、情報送信部130及び情報受信部132は互いの機能が入れ替えられてもよく、情報送信部130及び情報受信部132が検査装置56から加工装置4への情報の伝達に使用されてもよい。
検査装置56は、情報送信部130及び情報受信部132を通して加工装置4から情報を取得し、例えば、加工装置4における被加工物1の加工条件を赤外線カメラユニット82が形成する撮影画像に紐づけて記録部118に記録してもよい。この場合、被加工物1等にクラック等の異常が検出された際、異常の原因を多角的に究明できる。
さらに、個々の被加工物1には識別のためのID情報が付されていてもよく、この場合、被加工物1から読み取られたID情報が撮影画像に紐づけられて記録部118に記録されるとよい。また、記録部118には、被加工物1が加工装置4に搬入される際に収容されていたカセットにおける収容位置に関する情報が送られてもよく、該情報が撮影画像に紐づけられて記録部118に記録されるとよい。
本実施形態に係る検査装置56では、表示ユニット114は、記録部118に記録された撮影画像を表示できてもよい。図9は、被加工物1の撮影画像を表示する表示ユニット114を模式的に示す平面図である。検査装置56の制御ユニット116は、記録部118から各種の情報や画像を読み出して表示ユニット114に表示させる。
図9に示す通り、表示ユニット114の上部には、例えば、第1の撮影画像13aと、第2の撮影画像13bと、が並べて表示される。また、表示ユニット114の下部には、第1の撮影画像13aの一部を拡大した複数の第1の拡大画像17aと、第2の撮影画像13bの一部を拡大した複数の第2の拡大画像17bと、が並べて表示される拡大画像表示領域15a,15bが配設される。
例えば、第1の撮影画像13a及び第2の撮影画像13bには、それぞれ、被加工物1の全景が表示されている。そして、被加工物1の全景が表示された第1の撮影画像13a及び第2の撮影画像13bにより、拡大画像17a,17bに写る被加工物1の領域が示される。例えば、第1の撮影画像13a及び第2の撮影画像13bには、拡大画像17a,17bの写る領域を示す枠21a,21bが重ねて表示される。
また、表示ユニット114の画面において、作業者は枠21a,21bをタッチ操作で移動できてもよく、この場合、移動した枠21a,21bで示される領域が写る他の拡大画像17a,17bが表示ユニット114の下部に表示されるとよい。なお、被加工物1の特定の領域を第1の高さ1c及び第2の高さ1dで同時に確認できるように、一方の枠21a,21bを移動させたときに他方の枠21a,21bが連動して移動することが好ましい。
また、拡大画像17a,17bに写る領域をより詳細に精密に指定したい場合、画面の上方に写る第1の撮影画像13a及び第2の撮影画像13bが拡大可能であることが好ましい。例えば、表示ユニット114には、第1の撮影画像13a及び第2の撮影画像13bの拡大倍率を変更できる拡大縮小ボタン19a,19bが表示されるとよい。そして、オペレーターが拡大縮小ボタン19a,19bをタッチすると、第1の撮影画像13a及び第2の撮影画像13bの大きさ及び拡大倍率が変化するとよい。
次に、加工システム2において、加工装置4で被加工物1を加工し、被加工物1を検査装置56で検査する過程について説明する。まず、被加工物1を含むフレームユニット11が収容されたカセットを図2に示す加工装置4のカセット支持台6bの上に載せる。そして、搬送ユニット16でフレームユニット11を該カセットから引き出し、フレームユニット11を搬送ユニット16で加工装置4のチャックテーブル14の上に搬送し、フレームユニット11をチャックテーブル14に吸引保持させる。
次に、被加工物1を加工ユニット32により加工する。例えば、加工装置4が切削装置である場合、チャックテーブル14に保持された被加工物1をスピンドル36aの先端に装着された切削ブレード34で切削する。図10(A)は、切削ブレード34で切削される被加工物1を模式的に示す断面図である。
スピンドル36aを回転させることで切削ブレード34を回転させ、回転する切削ブレード34をストリート3に沿って被加工物1に切り込ませると、被加工物1に分割溝3aを形成できる。そして、フレームユニット11を搬送ユニット42により洗浄装置40に搬送し、洗浄装置40で被加工物1を洗浄する。
次に、加工された被加工物1を検査装置56で検査するために、該被加工物1を搬送ユニット42により洗浄装置40から検査装置56の保持テーブル58の上に搬送し、保持テーブル58で吸引保持する。そして、赤外線カメラユニット82で被加工物1を撮影して被加工物1の撮影画像を取得する。図6は、検査装置56の赤外線カメラユニット82で被加工物1を撮影する様子を模式に示す断面図である。
まず、昇降機構96a,96bを作動させる等して上部カメラ106a及び下部カメラ106bのそれぞれの焦点を被加工物1の表面1a及び裏面1bの間の第1の高さ1c(図11参照)に合わせる。そして、移動ユニット64a,64bを作動させて図8に示す方法により赤外線カメラユニット82を走査しつつ、被加工物1の各所を上部カメラ106a及び下部カメラ106bで撮影し、第1の撮影画像を形成する。赤外線カメラユニット82により形成された第1の撮影画像は、記録部118に記録される。
次に、昇降機構96a,96bを作動させる等して上部カメラ106a及び下部カメラ106bのそれぞれの焦点を被加工物1の内部の第2の高さ1d(図11参照)に合わせる。そして、同様に被加工物1の各所を上部カメラ106a及び下部カメラ106bで撮影し、第2の撮影画像を形成する。赤外線カメラユニット82により形成された第2の撮影画像は、該第1の撮影画像に紐づけられて記録部118に記録される。なお、被加工物1の内部は、赤外線カメラユニット82により3以上の高さで撮影されてもよい。
そして、検査装置56の検査部120は、記録部118に記録された第1の撮影画像及び第2の撮影画像等を画像処理して被加工物1の内部に形成されたクラック3bの検出を試みる。その結果、被加工物1の内部にクラックが検出されない場合、または、検出されたクラックが十分に小さく許容されるものである場合、加工された被加工物1を正常品として認定する。その一方で、被加工物1の内部に形成された許容されないクラックを検出した場合、被加工物1または該クラックを含むチップを不良品として認定する。
被加工物1の内部に発生したクラックが検出された場合、例えば、加工装置4で被加工物1に実施された加工による負荷が大きく、加工条件が不適切であることが考えられる。そこで、加工装置4で実施される被加工物1の加工の条件が適切であるか否か、検証されるとよい。そして、検査部120による検査結果は、第1の撮影画像及び第2の撮影画像等とともに、表示ユニット114に表示されるとよい。作業者は、表示ユニット114に表示された検査結果に基づいて加工条件の適否を検証できる。
検査装置56で被加工物1の内部を撮影して検査した後、被加工物1を含むフレームユニット11は、搬送ユニット42及び搬送ユニット16によりカセット支持台6bに支持されるカセットに搬入される。そして、カセットが加工システム2から搬出される。被加工物1が分割されて形成された個々のチップは、テープ7からピックアップされて所定の実装対象に実装される。
以上に説明する通り、本実施形態に係る検査装置56によると、被加工物1の内部を複数の高さで撮影し、得られた撮影画像から被加工物1の内部に形成されたクラックを効率よく検出できる。
なお、本発明の一態様は上記の実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、加工装置4が切削装置であり、検査装置56では切削ブレード34で切削された被加工物1の内部が撮影され、被加工物1の内部に形成されたクラック3bが検出される場合について説明した。しかしながら、加工装置4は切削装置に限らず、被加工物1には分割溝3aが形成されなくてもよく、検査装置56では被加工物1の内部に形成されるクラック3bが検出されなくてもよい。
例えば、加工システム2の加工装置4は、被加工物1をレーザ加工して被加工物1の内部に改質層を形成するレーザ加工装置でもよく、検査装置56では、被加工物1の内部に形成される改質層を検出してもよい。図10(B)は、レーザ加工装置4aで加工され内部にストリート3に沿った改質層3dが形成される被加工物1を模式的に示す断面図である。
レーザ加工装置4aは、被加工物1を保持するチャックテーブル14と、被加工物1を透過できる波長のレーザビーム34aを被加工物1の内部に集光して被加工物1の内部に改質層3dを形成するレーザ加工ユニット32aと、を備える。改質層3dが形成された被加工物1に外力を加えると、改質層3dから被加工物1の表面1a及び裏面1bに至るクラックが形成され、被加工物1がストリート3に沿って分割される。すなわち、改質層3dは、被加工物1の分割起点となる。
ここで、レーザ加工装置4aで被加工物1が適切に加工されず、改質層3dが被加工物1の内部に適切に形成されない場合、改質層3dからクラックが伸長しない場合や、不適切な方向に向けてクラックが進行することがある。そこで、レーザ加工装置4aでレーザ加工された被加工物1に適切に改質層3dが形成されたか否かを検査したいとの要望がある。
しかしながら、被加工物1の内部に形成された改質層3dは被加工物1の外面に表出しないため、改質層3dを被加工物1の外部から確認できない。そこで、本発明の一態様に係る検査装置56で被加工物1の内部を撮影し、得られた撮影画像に基づいて改質層3dの状態を検査するとよい。
例えば、検査装置56では、改質層3dが形成される高さに赤外線カメラユニット82の焦点を合わせて赤外線カメラユニット82で被加工物1の内部を撮影し、改質層3dが写る撮影画像を取得するとよい。そして、得られた撮影画像に基づいて被加工物1の内部に形成された改質層3dの良否を判定するとよい。
ここで、被加工物1を確実に分割するために、被加工物1の内部には互いに高さの異なる複数の層の改質層3dが形成されてもよい。この場合、検査装置56では、改質層3dが形成された高さのそれぞれに赤外線カメラユニット82の焦点が合わせられ、改質層3dの各層がそれぞれ写る複数の撮影画像が得られるとよい。すなわち、改質層3dの一つの層が形成された高さを第1の高さ1cとし、改質層3dの他の一つの層が形成された高さを第2の高さ1dとして、第1の撮影画像及び第2の撮影画像を取得するとよい。
このように、加工システム2が有する加工装置がレーザ加工装置4aであり、被加工物1の内部に改質層3dが形成される場合、本発明の一態様に係る検査装置56を使用すると被加工物1の内部をくまなく点検できる。そして、被加工物1の内部に発生した改質層3dを確実に検出できる。
なお、上記実施形態では、第1の高さ1c及び第2の高さ1dの両方において被加工物1の内部を赤外線カメラユニット82で撮影する場合について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。すなわち、検査装置56では、第1の高さ1c及び第2の高さ1dの一方において被加工物1の内部が赤外線カメラユニット82により撮影されてもよい。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。