以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
本発明の一実施形態の運転支援装置は、自動車等の車両に搭載され、当該車両の運転者による運転操作を支援するための運転支援制御を実行するための装置である。本実施形態の運転支援装置は、例えばカメラユニットのイメージセンサやレーダ装置のレーダセンサ等の各種センサデバイスを用いて車両の周囲状況に関する情報を取得する。なお、これらの各種センサデバイス等は、それぞれが自律して作動する自律センサデバイスが適用されている。
ここで、車両の周囲状況に関する情報とは、例えば、車両の周辺を走行する先行車両,後続車両,対向車両,併走車両等、二輪車を含む他車両や歩行者,自転車等の移動体のほか、縁石,ガードレール,側壁,電柱等の各種の立体構造物等や道路側方領域(路肩)に駐停車中の他車両等の静止物等、走行中の車両の周辺に存在する各種の物体等の回避対象物に関する情報をいう。以下、車両の周囲状況に関する情報を周囲状況情報等というものとする。上述したように、この周囲状況情報は各種センサデバイスを用いて取得される。
本実施形態の運転支援装置は、各種センサデバイス等を用いて取得した周囲状況情報等を車両を運転する運転者による運転操作を支援するための運転支援制御を実行する際の情報として適宜利用する。
本実施形態の運転支援装置により実行される運転支援制御としては、例えば、車線維持(ALK;Active Lane Keeping)走行制御と、車線逸脱抑制(LDP:Lane Departure Prevention)制御等がある。
本発明の一実施形態の運転支援装置の概略構成について、図1,図2を用いて以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の運転支援装置を搭載した車両の概略構成を示すブロック構成図である。図2は、本発明の一実施形態の運転支援装置におけるカメラユニットと走行制御ユニット(MCU)とを取り出して、その概略構成を示すブロック構成図である。
本実施形態の運転支援装置1は、上述したように、自動車等の車両Mに搭載される装置である。当該運転支援装置1は、基本的には、従来の同種の形態の運転支援装置と略同様の構成を有する。したがって、図1,図2においては、本実施形態の運転支援装置1の構成要素のうち本発明に直接関連する構成のみを図示し、本発明に直接関連しない構成要素の図示は省略している。そして、以下の説明においては、本発明に直接関連する構成要素以外の構成要素については、従来の運転支援装置と略同様であるものとして詳細な説明を省略し、本発明に直接関連する構成要素についてのみ以下に詳述する。
図1に示すように、本実施形態の運転支援装置1は、周囲状況情報取得装置であるカメラユニット21及びレーダ装置23と、操舵支援制御部11を含む走行制御部である走行制御ユニット24と、電動パワーステアリング(Electric Power Steering:EPS)装置6(以下、EPS装置6と略記する)等を有して構成されている。
カメラユニット21は、図1,図2に示すように、メインカメラ22a及びサブカメラ22bからなるステレオカメラで構成され、周囲状況取得センサであり自律センサデバイスである車載カメラ22と、この車載カメラ22(22a,22b)に接続される画像処理ユニット(IPU;Image Processing Unit)21c(図1には不図示;以下、IPU21cと略記する)と、このIPU21cが接続される画像認識処理部21d(図1には不図示)等によって構成されている。
車載カメラ22は、例えば、車両Mの車室内前部のルームミラーの上部前方部分であって、車両Mのフロントガラスの内面に近接する位置に設置されている。この場合において、車載カメラ22の2つのカメラ(22a,22b)は、車両Mの車幅方向中央位置から左右に略等しい間隔を置いて水平方向に並べた形態で、それぞれ配置されている。
車載カメラ22は、例えば、車両Mの前方の実空間をセンシングして、車両Mの主に前方の周囲状況の画像情報を取得する自律センサ装置である。車載カメラ22におけるメインカメラ22a及びサブカメラ22bは、上述したように、車幅方向中央を挟んで左右対称な位置に配置されている。これにより、車載カメラ22は、2つのカメラ(22a,22b)によって車両Mの前方の所定の範囲の領域を異なる視点から撮像した2つの画像データを取得する。
IPU21cは、車載カメラ22(22a,22b)により取得された2つの画像データに基づいて所定の画像処理を行う回路ユニットである。即ち、IPU21cは、例えば、車載カメラ22(22a,22b)により取得された2つの画像データに基づいて、ステレオ画像情報(三次元画像情報)を生成し、2つの画像データのそれぞれに撮像された同一の対象物について、2つの画像上における位置ズレ量から求められる距離情報を含む画像情報(以下、距離画像情報という)等を生成する。こうして生成された距離画像情報等は、画像認識処理部21dへと送信される。
画像認識処理部21dは、IPU21cから送信されてきた距離画像情報等を受信し、当該距離画像情報等に基づいて車両Mの周囲状況を認識する周囲状況認識処理部として機能する。
画像認識処理部21dは、例えば、車両Mが走行する道路の走行車線の左右を区画する車線区画線を認識し、当該左右車線区画線のそれぞれの道路曲率[1/m]及び左右区画線間の幅(車線幅)等の各種情報を求める。
また、画像認識処理部21dは、距離画像情報に基づいて所定のパターンマッチングなどを行って、道路に沿って存在する縁石,ガードレール,側壁,電柱等のほか、車両Mの走行する道路上に存在している歩行者,自転車,二輪車を含む他車両等、各種の立体物(回避対象物)の認識を行う。ここで、画像認識処理部21dによって行われる対象物の認識は、例えば、対象物種別,対象物までの距離,対象物の移動速度,対象物と車両Mとの相対速度等の各種情報の取得も含む。
このように、本実施形態の運転支援装置1においてカメラユニット21は、周囲状況取得センサとしての自律センサデバイスである車載カメラ22によって取得される周囲状況の画像データに基づいて車両Mの周囲状況を認識し、周囲状況情報として取得する周囲状況情報取得装置として機能する。
走行制御ユニット24は、例えば、中央処理装置(CPU;Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory),不揮発性メモリ(Non-volatile memory),不揮発性記憶装置(Non-volatile storage)等のほか、非一過性の記録媒体(non-transitory computer readable medium)等を備える周知のマイクロコントローラユニット (MCU;Micro Controller Unit) 及びその周辺機器等によって構成されるハードウエアを含むプロセッサにより構成されている。そして、ROMや不揮発性メモリ,不揮発性記憶装置等には、MCUが実行するソフトウエアプログラムやデータテーブル等の固定データ等が予め記憶されている。また、MCUは、ROM等に格納されたソフトウエアプログラムを読み出してRAMに展開して実行する。そして、当該ソフトウエアプログラムは、各種データ等を適宜参照等することによって、本実施形態の運転支援装置1における各構成ユニット等における各所定の機能が実現される。
なお、プロセッサは、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの半導体チップなどにより構成されていてもよい。また、ソフトウエアプログラムは、コンピュータプログラム製品として、フレキシブルディスク,CD-ROM,DVD-ROM等の可搬型板媒体や、カード型メモリ,HDD(Hard Disk Drive)装置,SSD(Solid State Drive)装置等の非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable medium)等に、全体あるいは一部が記録されている形態としてもよい。
走行制御ユニット(MCU)24には、上述のカメラユニット21や後述するレーダ装置23等、各種センサデバイスを含む各種構成ユニットが接続されている。これにより、走行制御ユニット24は、接続された各種構成ユニット等の作動状況を制御し、各種センサデバイス等からの検出結果(周囲状況情報)を受け取って、適宜所定の走行制御を行うと共に、本実施形態の運転支援装置1の全体を統括的に制御する。
なお、車両Mの周囲状況を認識するための各種センサデバイスとしては、例えば、上述のカメラユニット21に含まれる車載カメラ22と、後述するレーダ装置23に含まれるレーダセンサ(23fl,23fr,23rl,23rr)等のほか、例えば、車両Mの前後左右各車輪の回転速度を検出することにより車両Mの現在車速を検出する車速センサ13,車両Mのヨーレート及び横加速度を検出する横加速度センサ又はヨーレートセンサ14,車両Mの操舵角を検出する操舵角検出センサ15,車両Mの角速度または角加速度を検出するジャイロセンサ(不図示),複数の測位衛星から発信される測位信号を受信するGNSS(Global Navigation Satellite System;全球測位衛星システム)受信機(不図示)等を具備している。
本実施形態の運転支援装置1においては、図2に示すように、周囲状況情報取得装置としてのレーダ装置23が設けられている。このレーダ装置23は、走行制御ユニット24に接続されており、周囲状況に関するデータを取得し所定の処理を行って、周囲状況情報を含む所定の形態の認識データとして走行制御ユニット24へと出力する。
レーダ装置23は、複数のレーダセンサによって構成される。本実施形態で例示するレーダ装置23は、車両Mが4個のレーダセンサを備えた構成例である。ここで、複数(4個)のレーダセンサは、例えば、左前側方レーダセンサ23flと、右前側方レーダセンサ23frと、左後側方レーダセンサ23rlと、右後側方レーダセンサ23rrとがある。
レーダ装置23における4個のレーダセンサ(23fl,23fr,23rl,23rr)のうち、左前側方レーダセンサ23fl及び右前側方レーダセンサ23frは、例えば車両Mのフロントバンパの左右側部に各々設けられている。これら左前側方レーダセンサ23fl及び右前側方レーダセンサ23frは、車載カメラ22(22a,22b)によって取得される2つの画像データによっては認識することのできない車両Mの左右斜め前方及び側方の領域にある物体を認識する。なお、左前側方レーダセンサ23fl及び右前側方レーダセンサ23frによって認識される領域のそれぞれの一部は、車載カメラ22(22a,22b)によって認識される各領域の一部とそれぞれ重畳するように設定されている。これにより、車載カメラ22(22a,22b)と、左前側方レーダセンサ23fl及び右前側方レーダセンサ23frとは、車両Mの前方寄りの左右側方から前方の領域のほぼ全域を認識し得る。
また、レーダ装置23における4個のレーダセンサ(23fl,23fr,23rl,23rr)のうち、左後側方レーダセンサ23rl及び右後側方レーダセンサ23rrは、例えば車両Mのリヤバンパの左右側部に各々設けられている。これら左後側方レーダセンサ23rl及び右後側方レーダセンサ23rrは、上述の左前側方レーダセンサ23fl及び右前側方レーダセンサ23frでは認識することのできない車両Mの後方寄りの左右側方から後方にかけての領域にある物体を認識する。なお、左後側方レーダセンサ23rl及び右後側方レーダセンサ23rrによって認識される領域のそれぞれの一部は互いに重畳するように設定されている。これにより、左後側方レーダセンサ23rl及び右後側方レーダセンサ23rrは、車両Mの後方寄りの左右側方から後方の領域のほぼ全域を認識し得る。
この場合において、レーダ装置23は、車両Mの前方及び後方と左右側方の立体物の位置及び相対速度等を認識すると共に、当該立体物の大きさ等を認識し、車両Mの周囲状況情報を取得する周囲状況情報取得装置として機能する。
そして、このレーダ装置23により認識された立体物等に関する情報は、走行制御ユニット24に入力される。これを受けて走行制御ユニット24は、車両Mの周囲の他車両、例えば前方の先行他車両や、左右側方の並走他車両,後方の後続他車両,交差点等において車両Mの進行路と交差する方向から当該車両Mに接近してくる交差他車両等のほか、車両Mの周囲の歩行者,自転車等の各種の移動体等についても立体物として認識する。
なお、レーダ装置23としては、例えば、ミリ波レーダ装置,レーザレーダ装置,ライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)装置等が適用される。
一方、走行制御ユニット24は、操舵支援制御部11を含んで構成されている。ここで、操舵支援制御部11は、例えば、走行制御ユニット24内に形成される電子回路等によって構成されている。
なお、操舵支援制御部11は、上述したように走行制御ユニット24内に設けられる形態とは別に、当該走行制御ユニット24とは、別体で独立した形態のハードウエアを含むプロセッサによって構成してもよい。
本実施形態の運転支援装置1における操舵支援制御部11は、本実施形態の運転支援装置1が実行し得る各種制御のうち操舵支援制御を伴う走行制御、例えば車線維持走行制御や車線逸脱抑制制御等を行う。そのために、操舵支援制御部11は、例えば、車線維持走行制御ユニット(以下、ALK_ECUという)11aと、車線逸脱抑制制御ユニット(以下、LDP_ECUという)11b等を有する。
ALK_ECU11aは、車両Mを走行車線内において安定させて走行させるための操舵支援制御(車線維持制御)に寄与するコントロールユニットである。ここで、車線維持走行制御は、カメラユニット21の車載カメラ22やレーダ装置23のレーダセンサ(23fl,23fr,23rl,23rr)等の周囲状況取得センサによって認識された車両Mの主に前方及び側方の周囲状況に基づいて車両Mが走行している走行車線の左右の区画線のほか、周囲に存在する立体構造物等(縁石,ガードレール,側壁,電柱等の回避対象物)を認識し、当該左右区画線の中央に沿って車両Mを走行させるための操舵制御を含む走行制御である。
また、LDP_ECU11bは、車両Mが走行車内を走行中に遭遇する危険状況、例えば走行中の道路上の障害物等と車両Mとの衝突又は接触を回避する際の運転者による操舵を支援する操舵支援制御(車線逸脱抑制制御)に寄与するコントロールユニットである。ここで、車線逸脱抑制制御は、カメラユニット21の車載カメラ22やレーダ装置23のレーダセンサ(23fl,23fr,23rl,23rr)等の周囲状況取得センサによって認識された車両Mの主に前方及び側方の周囲状況に基づいて車両Mが走行している走行車線の左右の区画線のほか、周囲に存在する立体構造物等(縁石,ガードレール,側壁,電柱等の回避対象物)の周囲状況を認識し、車両Mの進行方向が走行車線から逸脱する傾向にあると判定した場合には、操舵トルクを制御して左右区画線と平行になるように所定の操舵制御を介入させることで、当該車両Mが走行車線から逸脱すること回避し、若しくは車線逸脱を抑制する走行制御である。
なお、本実施形態の運転支援装置1において適用されるALK_ECU11a及びLDP_ECU11bの構成は、従来の同種の運転支援装置等において適用されているものと略同様である。したがって、これらの制御ユニットの構成についてのこれ以上の詳細説明は省略する。
ここで、EPS装置6は、適宜必要となる所定のタイミングで所定の操舵支援制御を介入させるための構成ユニットである。
図1に示すように、車両Mは、左右前輪FL,FRと左右後輪RL,RRとを有しており、左右前輪FL,FRは、タイロッド3を通じてラック&ピニオン機構等からなるステアリング機構2に連設されている。また、ステアリング機構2には、先端にハンドル4を固設するステアリング軸(シャフト)5が連設されている。この構成により、運転者がハンドル4を操作すると、ステアリング軸5,ステアリング機構2を通じて左右前輪FL,FRが転舵される。このように、ステアリング機構2,タイロッド3,ハンドル4,ステアリング軸5等によって、車両Mの操舵機構が構成されている。なお、このような形態の操舵機構は、従来の自動車等の車両が一般的に具備している操舵機構と、略同様の構成からなる。
EPS装置6は、このような操舵機構におけるステアリング軸5に作用する。EPS装置6は、EPSモータ7と、EPS制御ユニット(EPS_ECU)8と、操舵トルクセンサ12等を有して構成されている。
なお、車両Mは、EPS_ECU8と、走行制御ユニット24と、カメラユニット21等のほか、図示を省略しているが、例えばエンジンや電動モータ等の駆動源を制御する駆動源制御ユニット,変速機制御ユニット,ブレーキ制御ユニット等、車両の走行状態を制御する各種の制御ユニット等を有している。そして、これらの各種制御ユニット等は、CAN(Controller Area Network)通信10等を用いた車内ネットワークを通じて双方向通信自在に接続されている。
EPS装置6のEPSモータ7は、ステアリング軸5に対して不図示の伝達機構を介して連設されている。そして、EPS_ECU8は、EPSモータ7がステアリング軸5に付与する操舵トルクを制御する。
また、操舵トルクセンサ12は、運転者による運転操作量としてハンドル4に付与される操舵トルクを検出するセンサデバイスである。そのために、操舵トルクセンサ12は、ステアリング軸5に取り付けられている。そして、操舵トルクセンサ12は、EPS_ECU8に接続されている。これにより、操舵トルクセンサ12の検出結果は、EPS_ECU8へと出力される。
EPS_ECU8は、操舵トルクセンサ12によって検出された操舵トルクや、後述する車速センサ13によって検出される車両Mの車速等の各データに応じて、運転者がハンドル4に加える操舵トルクをアシストするトルク(アシストトルク)を設定する。ステアリング軸5にアシストトルクを付与することによって、運転者のハンドル操作の負担を軽減し、運転者の操舵支援を行う。
また、走行制御ユニット24には、車速を検出する車速センサ13と、車体に発生するヨーレート及び横加速度を検出するヨーレートセンサ14と、ステアリング軸5の回転角から操舵角及び操舵方向を検出する操舵角検出センサ15等、車両Mの挙動を検出するセンサデバイスが接続されている。
走行制御ユニット24におけるALK_ECU11a及びLDP_ECU11bは、上述した各種のセンサデバイスからの出力を受けて、適宜所定の操舵制御を含む走行制御を実行する。本実施形態の運転支援装置1の概略構成は以上である。
次に、本実施形態の運転支援装置における作用のうち車線維持走行制御及び車線逸脱抑制制御が行われる際の作用を、図3~図8を用いて以下に説明する。図3は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、左方向への車線逸脱傾向のある場合に、主に車線維持走行制御及び車線逸脱抑制制御が行われる際の作用を示すフローチャートである。図4は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、車線逸脱傾向のない場合に、主に車線維持走行制御及び車線逸脱抑制制御が行われる際の作用を示すフローチャートである。図5は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、右方向への車線逸脱傾向のある場合に、主に車線維持走行制御及び車線逸脱抑制制御が行われる際の作用を示すフローチャートである。
図5は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、左方向への車線逸脱傾向のない場合に車線維持走行制御が行われる際の状況を概念的に示す図である。図6は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、左方向への車線逸脱傾向のある場合に車線逸脱抑制制御が介入する場合の状況を概念的に示す図である。
図7は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、右方向への車線逸脱傾向のない場合に車線維持走行制御が行われる際の状況を概念的に示す図である。図8は、本発明の一実施形態の運転支援装置において、右方向への車線逸脱傾向のある場合に車線逸脱抑制制御が介入する場合の状況を概念的に示す図である。
なお、本実施形態の以下の説明においては、図5~図8に示すように、車両の通行区分が左側である左側通行を基本とする道路システムの場合を例示している。したがって、右側通行を基本とする道路システムに、本発明の構成を適用するには、左右を入れ替えて考慮するのみで容易に応用することができる。また、本実施形態の以下の説明において、左右というときは、対象物に向きあった場合の左右をいうものとする。
まず、本発明の一実施形態の運転支援装置1を搭載した車両M(以下、自車両Mという)が、例えば中央分離帯等の立体構造物が存在しない形態の一般道路を、車線維持走行制御を実行しながら走行している状況を考える。このとき、自車両Mは、さらに車線逸脱抑制制御をいつでも実行し得る状態(即ち、車線逸脱抑制制御の待機状態)にあるものとする。そして、この場合において、走行中にある自車両Mの運転支援装置1における走行制御ユニット24は、操舵トルクセンサ12からの信号を継続して受信している。したがって、例えば、自車両Mの運転者がステアリング操作を行う(操舵する)ことによって発生した操舵トルクが操舵トルクセンサ12によって検知された場合には、走行制御ユニット24は、受信した操舵トルクの検知結果に基づいて、適宜所定の走行制御を実行する。
ここで、例えば、図5~図8に示すような状況を想定する。詳細は後述することになるが、例えば、図5,図7に示す状況例の概略は、次のような状況を想定している。即ち、例えば、車線維持走行制御を実行中の自車両Mの運転者が対向車両(M1又はM2)又は対向車線上において駐停車中の車両(不図示;以下の説明においては、走行中の対向車両と、対向車線上において駐停車中の車両とを合わせて「対向車線上の車両」と略記する)を意識して、当該対向車線上の車両(例えば、符号M1又はM2等参照)を避ける方向、即ち左方向(路肩方向)への操舵を行った場合、或いは同自車両Mの運転者が左側方(自車線の路肩側)の側壁等204を意識して右方向(道路中央線方向)への操舵を行った場合に、自車両Mが車線逸脱傾向にはないと判定されたときに行われる車線維持走行制御の例示である。
また、図6,図8に示す状況例の概略は、例えば、車線維持走行制御を実行中の自車両Mの運転者が対向車線上の車両(M1又はM2等)を意識して、当該対向車線上の車両(M1又はM2等)を避ける方向、即ち左方向(路肩方向)への操舵を行った場合、或いは同自車両Mの運転者が左側方(自車線の路肩側)の側壁等204を意識して右方向(道路中央線方向)への操舵を行った場合に、自車両Mが車線逸脱傾向にあると判定されて車線逸脱抑制制御が介入する際の例示である。
まず、図6~図9において、自車両Mの走行中の車線を符号201で示している(以下、自車線201という)。符号202は、自車線201に対して並行に隣接して設けられる対向車線を示している。符号203は、自車線201と対向車線202とを区分する区画線である道路中央線である。この場合において、道路中央線203は白破線で示されている。また、自車線201の左側方縁部(以下、路肩側という)には、自車線201に沿って側壁等204等が設けられているものとする。同様に、対向車線202においても、当該対向車線202を走行する対向車両(M1,M2;詳細後述)にとっての路肩側に、側壁等204等が設けられている。
このような道路上を走行中の自車両Mは、上述したように車線維持走行制御により自車線201内を走行している。このとき自車両Mの運転支援装置1は、自車線201の所定の位置に車線維持目標走行経路(符号205で示す仮想線;二点鎖線)を設定して、当該車線維持目標走行経路205に沿って自車両Mを走行させる走行制御を実行している。この車線維持目標走行経路205は、自車両Mの周囲状況を鑑みて設定される仮想線である。通常の場合、車線維持目標走行経路205は、自車線201の略中央位置に設定される。
また、図6~図9において、対向車線202を走行する対向車両を符号M1,M2で示している。なお、以下の説明において「対向車両」というときには、例えば、図において符号M1,M2で示される走行中の対向車両のほかにも、対向車線上で駐停車している車両(不図示)をも想定しているものとする。したがって、以下の説明において、単に「対向車両」,「対向車両M1」,「対向車両M2」,「対向車両(M1,M2)」等の表記をしている部分は、「対向車線上において駐停車中の車両」又は「対向車線上の車両」等と置き換えても、同様に考えることができる。この場合において、図6~図9にて破線で示す対向車両M1は、対向車線202の略中央位置に設定した車線維持目標走行経路205xに沿って対向車線202上を走行している状況を示している。
このとき、自車両Mと対向車両M1との距離(各車両M,M1の各進行方向に対し横方向の距離、即ち車幅方向の距離)は、例えば自車両Mの右側面位置に沿う走行方向の延長線206a(図5~図8において破線で示す)と、対向車両M1の右側面位置に沿う走行方向の延長線206b(図5~図8において破線で示す)との間の横方向距離G1で示されている。
一方、図5~図8にて破線で示す対向車両M2は、対向車線202上において道路中央線203に近寄った位置を走行している状況を示している。このとき、自車両Mと対向車両M2との距離(各車両の進行方向に対し横方向の距離、即ち車幅方向の距離)は、例えば自車両Mの右側面位置に沿う線206a(図5~図8において破線で示す)と、対向車両M2の右側面位置に沿う走行方向の延長線206c(図5~図8において破線で示す)との間の横方向距離G2で示されている。
なお、図5~図8において示す対向車両M1,M2は、道路上において図に示す各位置に同時に存在していることを示しているわけではなく、自車両Mと各対向車両M1,M2のそれぞれとの横方向(車幅方向)における位置関係の相違を示すために同一図面上に記載しているものである。この場合において、自車両Mと各対向車両M1,M2との縦方向(車両の進行方向)の位置関係については、図面の繁雑化を避けると共に図面上での重畳表示を避けるために、各対向車両M1,M2を前後方向にずらして図示している。したがって、自車両Mと各対向車両M1,M2との縦方向(車両の進行方向)の位置関係は、図示の表示に拘束されるものではない。
このような状況において、自車両Mの運転支援装置1における走行制御ユニット24は、図3のステップS11において、走行制御ユニット24は、自車両Mが現在走行中の走行車線(自車線201)から左方向又は右方向への車線逸脱傾向にあるか否かの確認を行う。ここで、自車両Mが車線逸脱傾向にあるか否かの判定は、操舵角検出センサ15の出力結果に基づいて判定される。
例えば、操舵角検出センサ15の出力結果(操舵角)が所定値を超えていない場合には、自車両Mは、図5の符号207aa(二点鎖線)で示される左方向への走行予想経路、又は図7の符号207ab(二点鎖線)で示される右方向への走行予想経路に沿って走行しているものと推測できる。ここで、図5の走行予想経路207aaは、予め自車線201内に設定された左側の逸脱判定横位置仮想線208L(点線)と、比較的長い所定の時間後に交差することを示している(図5の状況参照)。また、図7の走行予想経路207abは、予め自車線201内に設定された右側の逸脱判定横位置仮想線208R(点線)と、比較的長い所定の時間後に交差することを示している(図7の状況参照)。
このことは、自車両Mが、現在の(所定値を超えていない)操舵角を維持して走行を継続しても自車線201から逸脱するまでには、比較的長い所定の時間がかかると推定できる。つまり、このとき、自車両Mは、所定の時間内で逸脱しそうな状況にはないと判定できる。したがって、この場合、運転支援装置1は、自車両Mが車線逸脱傾向にはないと判定する(図5,図7の状況参照)。
一方、例えば、操舵角検出センサ15の出力結果(操舵角)が所定値を超えている場合には、自車両Mは、図6に示す符号207ac(二点鎖線)で示される左方向への走行予想経路、又は図8に示す符号207ad(二点鎖線)で示される右方向への走行予想経路に沿って走行しているものと推測できる。ここで、図6の走行予想経路207acは、予め自車線201内に設定された左側の逸脱判定横位置仮想線208L(点線)と、比較的短い所定の時間内に交差することを示している(図6の状況参照)。また、図8の走行予想経路207adは、予め自車線201内に設定された右側の逸脱判定横位置仮想線208R(点線)と、比較的短い所定の時間内に交差することを示している(図8の状況参照)。
このことは、自車両Mが、現在の(所定値を超える)操舵角を維持して走行を継続すると、比較的短い所定の時間内に自車線201から逸脱してしまうと推定できる。つまり、このとき、自車両Mは、所定の時間内に逸脱しそうな状況にあると判定できる。したがって、この場合、運転支援装置1は、自車両Mが車線逸脱傾向にあると判定する(図6,図8の状況参照)。
なお、逸脱判定横位置仮想線208L,208Rは、自車線201の路肩側(例えば側壁等204等)又は中央線203から自車線201側に所定の距離だけ離れた位置に、当該路肩側(側壁等204)又は中央線203に沿って設定される仮想線である。自車両Mの走行経路が、この逸脱判定横位置仮想線208L,208Rよりも路肩側又は中央線203側に逸れることが予想される場合に、自車両Mが車線逸脱傾向にあると判定する。
図3に戻って、まず、ステップS11の処理にて、自車両Mが自車線201から逸脱しそうな状況にあると判定された場合には、次のステップS12の処理に進む。この場合、当該ステップS12以降の処理ステップにて、車線逸脱抑制制御が介入し、適宜、周囲状況に応じた所定の走行経路が設定される。ただし、この場合において、左方向への車線逸脱傾向がある場合は図6の状況が相当する。また、右方向への車線逸脱傾向がある場合は図8の状況が相当する。なお、制御自体は、左方向の場合と右方向の場合とで同様である。そのため、フローチャートの説明においては、左右の場合で、それぞれ説明している。
一方、ステップS11の処理にて、自車両Mが自車線201から逸脱しそうな状況にはないと判定された場合には、図4のステップS21の処理に進む(図3,図4の丸符号4参照)。この場合、図4のステップS21以降の処理ステップにて、車線維持走行制御により、適宜、周囲状況に応じた所定の走行経路が設定される(図5,図7の状況参照)。
図3のステップS11の処理にて、自車両Mが自車線201から逸脱しそうな状況(図6の状況)にあると判定された場合に、ステップS12の処理に進むと、このステップS12において、走行制御ユニット24は、周囲状況情報取得装置(22,23等)の出力情報に基づいて対向車両(M1又はM2)が認識されているか否かの確認を行う。ここで、対向車両(M1又はM2)が認識されている場合には、次のステップS13の処理に進む。また、対向車両(M1又はM2)が認識されていない場合には、ステップS18の処理に進む。
なお、この状況において自車両Mの運転支援装置1によって認識される対向車線上の車両としては、図6,図8の符号M1と符号M2で示される対向車両を例示している。この場合に想定される状況で自車両Mにより認識される対向車両は、符号M1又はM2のいずれか一方を想定する。また、対向車両が認識されていない場合の状況は図示を省略しているが、図6,図8の対向車両(M1又はM2)が存在していない状況を想定する。
続いて、ステップS13において、走行制御ユニット24は、周囲状況情報取得装置(22,23等)の出力情報に基づいて自車両Mと認識された対向車両(M1又はM2)との横方向の距離(G1又はG2)と、自車両Mと対向車両(M1又はM2)との相対速度を検出し、検出された距離値及び相対速度値についての判定を行う。
ここで行われる判定の例示としては、例えば、自車両Mと対向車両(M1又はM2)との横方向の距離(G1又はG2)が所定の閾値以下であり、かつ自車両Mと対向車両(M1又はM2)との相対速度が所定の閾値以上であるか否かの判定を行う。
ここで、自車両Mと対向車両(M1又はM2)との横距離(G1又はG2)についての所定の閾値と、自車両Mと対向車両(M1又はM2)との相対速度についての所定の閾値とは、自車両Mと対向車両(M1又はM2)とがすれ違う際に、自車両の運転者が対向車両から威圧感又は圧迫感を受けない程度の距離が設定される。
自車両と対向車両との横距離の閾値の具体例としては、例えば車両の幅寸法程度(例えば1.5m前後)を想定する。また、自車両と対向車両との相対速度の閾値の具体例としては、例えば、一般道路において一般的な走行速度(例えば50km/h程度)で自車両と対向車両とが走行している状況を想定すると、この場合の自車両と対向車両とのすれ違い時の相対速度は100km/h程度が想定される。
この場合において、上記2条件(横距離及び相対速度)に合致する状況としては、図6,図8において対向車両M2が認識された場合を想定する。この状況においては、自車両Mと対向車両M2との横方向の距離G2が所定の閾値より近く、かつ相対速度が所定の閾値より高いことから、自車両Mが当該対向車両M2とすれ違う際には、対向車両M2は、自車両Mの運転者に威圧感若しくは圧迫感を与える可能性が高い。このことは、対向車両M2との距離が近い程、また、相対速度が高い程、運転者は大きな威圧感若しくは圧迫感を当該対向車両M2から受けることになる。
また、走行中の自車両Mが走行中の対向車両M2とすれ違う場合において、上記2条件に合致するような状況は、衝突可能性等を考慮すると回避優先度が高いと推定できる。したがって、上述のステップS13にて、上記2条件に合致する状況の場合には、次のステップS14の処理に進む。
一方、上述のステップS13にて、上記2条件に合致しない状況としては、図6,図8において対向車両M1が認識された場合を想定する。この状況においては、自車両Mと対向車両M1との横方向の距離G1が所定の閾値より離れているか、または相対速度が所定の閾値より低い場合である。このことから、上記2条件に合致しない状況で自車両Mが当該対向車両M1とすれ違う際には、自車両Mの運転者が受ける威圧感若しくは圧迫感は比較的低く、また回避優先度は低いと推定できる。
したがって、上述のステップS13にて、上記2条件に合致しない状況の場合には、ステップS16の処理に進む。
ステップS16において、走行制御ユニット24は、走行中の自車線201の路肩側に沿って存在する側壁等204の高さが所定の閾値を超えているか否かの判定を行う。本実施形態に示す例では、側壁等204の高さと、自車両Mの車外後写鏡(アウターリアビューミラー;outer rear-view mirror;不図示;なお図3においてはミラーと表記している。以下、単にミラーと称する)の高さとを比較して、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いか否かの判定を行う。
この場合において、側壁等204の高さは、周囲状況情報取得装置(22,23等)の出力情報に基づいて得られる情報である。また、自車両Mのミラーの高さ位置は、自車両Mの固有の数値情報であって、例えば走行制御ユニット24に含まれる記憶装置等(不図示)に予め記憶されているデータを参照する。
一般に、車両におけるミラーの高さ位置は、水平方向において運転者の視線位置と略同等の位置に設定されている。したがって、走行中の自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置(即ち、運転者の視線位置)よりも高い場合の状況では、運転者は、側壁等204から威圧感もしくは圧迫感を受ける可能性がある。このことは、側壁等204が高い程、運転者は大きな威圧感若しくは圧迫感を当該対向車両M2から受けることになる。
そして、自車両Mが路肩側の側壁等204に沿って走行するとき、側壁等204の高さが高い状況では、衝突可能性等を考慮すると回避優先度が高いと推定できる。したがって、上述のステップS16にて、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合には、自車両Mの運転支援装置1は、側壁等204を衝突回避対象として認識し、次のステップS17の処理に進む。また、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合には、ステップS18の処理に進む。
ステップS17において、走行制御ユニット24は、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路よりも、自車両Mが側壁等204から横方向において離れる位置に、新たな車線逸脱抑制目標走行経路(図3においては車線逸脱抑制経路と略記している)を作成する制御を行う。その後、ステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する。
ここで、例えば、左方向への車線逸脱傾向がある場合のステップS17の処理(側壁等対応車線逸脱抑制経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図6において、符号207blで示す走行経路は、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路を示している。また、符号207dlで示す走行経路は、運転者が対向車両を意識する等により左操舵がなされて走行予想経路が左寄り(図6の符号207ac参照)のときの側壁等204の路肩側回避対象物に対応した車線逸脱抑制目標走行経路を示している。この車線逸脱抑制目標走行経路207dlは、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207blに対して、横方向において側壁等204から離れた位置に生成されている。
つまり、このときの状況は、自車両Mが自車線201を左方向へ逸脱しそうな状況にあり(ステップS11のY)、対向車両(M1又はM2)が認識されていて(ステップS12のY)、さらに、ステップS13の処理における上記2条件(横距離及び相対速度)に合致しない状況(ステップS13のN)であり(したがって、認識されている対向車両は符号M1)、かつ路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合(ステップS16のY)という状況にある。つまり、対向車両M1が認識されており、かつ側壁等204は自車両Mのミラー高さより高い場合である。
このとき、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blに対して自車両Mが側壁等204から離れる位置を走行する新たな車線逸脱抑制目標走行経路207dlを作成する制御が行われる。このとき自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M1は、横方向の距離が所定の閾値より離れているか、または相対速度が所定の閾値より低いため、当該対向車両M1についての回避優先度は低いと推定できる。一方、側壁等204は、所定の閾値より高いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は高いと推定できる。このことから、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blよりも側壁等204から離れる位置(即ち対向車線202側に寄せた所定の位置)に、新たな車線逸脱抑制目標走行経路207dlを設定しても、運転者が対向車両M1から受ける威圧感や圧迫感は低いと考えられる。一方、新たな車線逸脱抑制目標走行経路207dlは、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blよりも側壁等204から離れた位置に設定されるので、運転者は側壁等204から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
また、右方向への車線逸脱傾向がある場合のステップS17の処理(側壁等対応車線逸脱抑制経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図8において、符号207brで示す走行経路は、運転者が側壁等を意識する等により右操舵がなされて走行予想経路が右寄り(図8の符号207ad参照)のときの側壁等204の路肩側回避対象物に対応した車線逸脱抑制目標走行経路を示している。この車線逸脱抑制目標走行経路207drは、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207brに対して、横方向において側壁等204から離れた位置に生成されている。
つまり、このときの状況では、自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M1は、横方向の距離が所定の閾値より離れているか、または相対速度が所定の閾値より低いため、当該対向車両M1についての回避優先度は低いと推定できる。一方、側壁等204は、所定の閾値より高いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は高いと推定できる。このことから、上述のような新たな車線逸脱抑制目標走行経路207drを設定することにより、運転者は対向車両M2及び側壁等204から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
そして、走行制御ユニット24は、この新たな車線逸脱抑制目標走行経路207dl,207drに沿って自車両Mを走行制御する。その後は、側壁等204が認識されなくなったら、図6,図8の符号207rで示すように、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御が行われる。
これにより、運転者が対向車両を意識して左方向への操舵を行った場合、又は運転者が側壁等204を意識して右方向への操舵を行った場合に車線逸脱抑制制御が介入するとき、路肩側に側壁等204の存在が認識された場合、又は対向車両M1の存在が認識された場合には、その側壁等204の高さや対向車両M1を考慮した新たな車線逸脱抑制目標走行経路207dl,207drを作成する。この新たな車線逸脱抑制目標走行経路207dl,207drは、通常の車線逸脱抑制目標走行経路207bl,207brに対して、自車両Mが側壁等204から離れる位置に設定されるので、運転者は、対向車両M1からの威圧感や圧迫感を避けることができると同時に、側壁等204からの威圧感や圧迫感を抑えることができる。この場合、さらなる車線逸脱抑制制御が介入することによる違和感や不快感を運転者に与えることがない。
他方、上述のステップS13にて上記2条件(横距離及び相対速度)に合致する状況であることが確認されて、ステップS14の処理に進むと、このステップS14において、走行制御ユニット24は、上述のステップS16と同様に、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いか否かの判定を行う。ここで、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合は、ステップS18の処理に進む(図3の丸符号A参照)。また、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合は、次のステップS15の処理に進む。
ステップS15において、走行制御ユニット24は、自車両Mが対向車両M2から横方向において離れる位置に、新たな車線逸脱抑制目標走行経路(図3においては車線逸脱抑制経路と略記している)を作成する制御を行う。その後、ステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する。
ここで、例えば、左方向への車線逸脱傾向がある場合のステップS15の処理(対向車両対応車線逸脱抑制経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図6において、符号207clで示す走行経路は、運転者が対向車両を意識する等により左操舵がなされて走行予想経路が左寄り(図6の符号207ac参照)のときの対向車両対応制御時の車線逸脱抑制目標走行経路を示している。この車線逸脱抑制目標走行経路207clは、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207blに対して、横方向において対向車両M2から離れた位置に生成されている。つまり、このときの状況は、自車両Mが自車線201を左方向に逸脱しそうな状況にあり(ステップS11のY)、対向車両(M1又はM2)が認識されていて(ステップS12のY)、さらに、ステップS13の処理における上記2条件(横距離及び相対速度)に合致する状況(ステップS13のY)であり(したがって、認識されている対向車両は符号M2)、かつ路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合(ステップS14のN)という状況にある。つまり、対向車両M2が認識されており、かつ側壁等204は自車両Mのミラー高さより低い場合である。
このような場合には、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blに対して、自車両Mが対向車両Mから離れる位置を走行する新たな車線逸脱抑制目標走行経路207clを作成する制御が行われる。このとき自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M2は、横方向の距離が所定の閾値より近付いており、かつ相対速度が所定の閾値より高いため、当該対向車両M2についての回避優先度は高いと推定できる。一方、側壁等204は、所定の閾値より低いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は低いと推定できる。このことから、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blよりも対向車両M2から離れる位置(即ち側壁等204側に寄せた所定の位置)に、新たな車線逸脱抑制目標走行経路207clを設定しても、運転者が側壁等204から受ける威圧感や圧迫感は低いと考えられる。一方、新たな車線逸脱抑制目標走行経路207clは、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blよりも対向車両M2から離れた位置に設定されるので、運転者は対向車両M2から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
また、例えば、右方向への車線逸脱傾向がある場合のステップS15の処理(対向車両対応車線逸脱抑制経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図8において、符号207crで示す走行経路は、運転者が側壁等を意識する等により右操舵がなされて走行予想経路が右寄り(図8の符号207ad参照)のときの対向車両対応制御時の車線逸脱抑制目標走行経路を示している。この車線逸脱抑制目標走行経路207crは、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207brに対して、自車両Mが横方向において対向車両M2から離れる位置(即ち側壁等204側に寄せた所定の位置)に生成されている。
つまり、このときの状況では、自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M2は、横方向の距離が所定の閾値より近付いており、かつ相対速度が所定の閾値より高いため、当該対向車両M2についての回避優先度は高いと推定できる。一方、側壁等204は、所定の閾値より低いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は低いと推定できる。このことから、上述のような新たな車線逸脱抑制目標走行経路207crを設定することにより、運転者は対向車両M2及び側壁等204から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
そして、走行制御ユニット24は、この新たな車線逸脱抑制目標走行経路207cl,207crに沿って自車両Mを走行制御する。その後は、対向車両M2が認識されなくなったら、図6,図8の符号207rで示すように、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御が行われる。
これにより、運転者が対向車両を意識して左方向への操舵を行った場合、又は運転者が側壁等204を意識して右方向への操舵を行った場合に車線逸脱抑制制御が介入するとき、対向車両M2の存在が認識された場合には、その対向車両M2と共に側壁等204の高さを考慮した新たな車線逸脱抑制目標走行経路207cl,207crを作成する。この新たな車線逸脱抑制目標走行経路207cl,207crは、通常の車線逸脱抑制目標走行経路207bl,207brに対して、自車両Mが対向車両M2から離れる位置に設定されるので、運転者は、側壁等204及び対向車両M2からの威圧感や圧迫感を避けることができ、さらに、車線逸脱抑制制御が介入することによる違和感や不快感を運転者に与えることがない。
また、上述のステップS12の処理にて対向車両が認識されない場合、または上述のステップS14の処理にて自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合(図3の丸符号A参照)、または上述のステップS16の処理にて自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合のそれぞれにおいて、ステップS18の処理に進むと、このステップS18において、走行制御ユニット24は、通常の車線逸脱抑制制御を実行する。
なお、ここで、上述のステップS14の処理にて自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合(図3の丸符号A参照)は、その前のステップS13の処理にて対向車両(M1又はM2)に関する上記2つの判定条件(横距離及び相対速度)が合致する状況である(つまり認識されている対向車量は符号M2である)と判定されている。
したがって、本実施形態の運転支援装置1においては、対向車両M2に加えて、路肩側の側壁等204を同時に考慮しなければならない状況である。この場合には、対向車両M2と側壁等204とのいずれもが、自車両Mにとっては回避優先度が高いと推定できる。したがって、この場合には、左右いずれかの方向へ寄せる走行経路ではなく、通常の車線逸脱抑制制御を実行するものとしている。そして、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207blを作成し、これに沿わせる走行制御を行う。
一方、上述のステップS16の処理にて自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合は、その前のステップS13の処理にて対向車両(M1又はM2)に関する上記2つの判定条件(横距離及び相対速度)が合致しない状況であると判定されている。
したがって、本実施形態の運転支援装置1においては、対向車両M2と路肩側の側壁等204とをいずれも考慮する必要のない状況であると推定できる。このような状況においては、当然のことながら通常の車線逸脱抑制制御を実行する。そして、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207blを作成し、これに沿わせる走行制御を行う。
また、上述のステップS12の処理にて対向車両が認識されない場合には、例えば、運転者の不注意など、運転者の意図的な操舵ではないと推測できる。この場合には、当然ながら、通常時の車線逸脱抑制目標走行経路207blを作成し、これに沿わせる走行制御を行えばよい。
その後は、図6の符号207rで示す走行経路のように、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御が行われる。この場合において、当該ステップS18以前の処理ステップにて、対向車両を認識している状況の場合(ステップS12のYの場合)であれば、当該対向車両を認識しなくなってから、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御を行う。その後、ステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する。
また、上述の図3のステップS11の処理にて、自車両Mが自車線201から逸脱しそうにない状況であると判定された場合に、図4のステップS21の処理に進むと、上述したように、当該ステップS21以降の処理ステップにて、車線逸脱傾向のない場合の車線維持走行制御により、適宜、周囲状況に応じた所定の走行経路が設定される。
即ち、図4のステップS21において、走行制御ユニット24は、上述のステップS12と同じ処理を行う。即ち、走行制御ユニット24は、対向車両(M1又はM2)が認識されているか否かの確認を行う。ここで、対向車両(M1又はM2)が認識されている場合には、次のステップS22の処理に進む。また、対向車両(M1又はM2)が認識されていない場合には、ステップS27の処理に進む。
なお、この状況において自車両Mの運転支援装置1によって認識される対向車線上の車両としては、図5,図7の符号M1と符号M2で示される対向車両を例示しているのは、上述の図6,図8の状況(図3のステップS12)と同様である。即ち、この場合に想定される状況で自車両Mにより認識される対向車両は、符号M1又はM2のいずれか一方を想定する。また、対向車両が認識されていない場合の状況は図示を省略しているが、図5,図7の対向車両(M1又はM2)が存在していない状況を想定する。
続いて、図4のステップS22において、走行制御ユニット24は、上述のステップS13と同じ処理を行う。即ち、ステップS22において、走行制御ユニット24は、自車両Mと対向車両(M1又はM2)との横方向の距離(G1又はG2)と、自車両Mと対向車両(M1又はM2)との相対速度を検出し、検出された距離値及び相対速度値についての判定を行う。
このステップS22にて、上記2条件(横距離及び相対速度)に合致することが確認された場合には、次のステップS23の処理に進む。また、上記2条件に合致しない場合は、ステップS25処理に進む。
ステップS23において、走行制御ユニット24は、上述のステップS14と同じ処理を行う。即ち、ステップS23において、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いか否かの判定を行う。ここで、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合には、ステップS27の処理に進む(図4の丸符号B参照)。また、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合には、ステップS24の処理に進む。
ステップS24において、走行制御ユニット24は、自車両Mが対向車両M2から離れる位置に、新たな車線維持目標走行経路(図4においては車線維持経路と略記している)を作成する制御を行う。その後、ステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する(図4,図3の丸符号3参照)。
ここで、例えば、自車両Mが左方向への走行予想経路207aa(図5)を走行中の場合のステップS24の処理(対向車両対応車線維持維持経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図5において、符号205で示す走行経路は、通常制御時の車線維持目標走行経路を示している。また、図5において、符号205alで示す走行経路は、運転者が対向車両を意識する等により左操舵がなされて走行予想経路が左寄り(図5の符号207aa参照)となった時の対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路を示している。この車線維持目標走行経路205alは、通常時の車線維持目標走行経路205に対して、横方向において対向車両M2から離れた位置に生成されている。つまり、このときの状況は、自車両Mが自車線201を逸脱しそうな状況になく(図3のステップS11のN)、対向車両(M1又はM2)が認識されていて(図4のステップS21のY)、さらに、ステップS22の処理における上記2条件(横距離及び相対速度)に合致する状況(ステップS22のY)であり(したがって、認識されている対向車両は符号M2)、かつ路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合(ステップS23のN)という状況にある。つまり、対向車両M2が認識されており、かつ側壁等204は自車両Mのミラー高さより低い場合である。
このような場合には、通常制御時の車線維持目標走行経路205に対して、自車両Mが対向車両M2から離れる位置を走行する新たな車線維持目標走行経路205alを作成する制御が行われる。このとき自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M2は、横方向の距離が所定の閾値より近付いており、かつ相対速度が所定の閾値より高いため、当該対向車両M2についての回避優先度は高いと推定できる。
一方、側壁等204は、所定の閾値より低いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は低いと推定できる。このことから、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも対向車両M2から離れる位置(即ち側壁等204側に寄せた所定の位置)に、新たな車線維持目標走行経路205alを設定しても、運転者が側壁等204から受ける威圧感や圧迫感は低いと考えられる。
また、新たな車線維持目標走行経路205alは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも対向車両M2から離れた位置に設定されるので、運転者は対向車両M2から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
また、例えば、自車両Mが右方向への走行予想経路207ab(図7)を走行中の場合のステップS24の処理(対向車両対応車線維持維持経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図7において、符号205で示す走行経路は、通常制御時の車線維持目標走行経路を示している。また、図7において、符号205arで示す走行経路は、運転者が側壁等を意識する等により右操舵がなされて走行予想経路が図7の符号207abとなった時の対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路を示している。この車線維持目標走行経路205arは、通常時の車線維持目標走行経路205に対して自車両Mが横方向において側壁等204から離れる位置であって、かつ側壁等対応制御時の車線維持目標走行経路205br(詳細後述)に対して対向車両M2から離れる位置に生成されている。
このときの状況では、自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M2は、横方向の距離が所定の閾値より近付いており、かつ相対速度が所定の閾値より高いため、当該対向車両M2についての回避優先度は高いと推定できる。
一方、側壁等204は、所定の閾値より低いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は低いと推定できる。このことから、上述のような新たな車線維持目標走行経路205arを設定することにより、運転者は対向車両M2及び側壁等204から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
そして、走行制御ユニット24は、この新たな車線維持目標走行経路205al,205arに沿って自車両Mを走行制御する。その後は、対向車両M2が認識されなくなったら、図5,図7の符号205rで示すように、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御が行われる。
これにより、車線から逸脱しそうにないと判定されて(図3のステップS11のN)、図4以降の処理ステップ、即ち車線維持制御が行われる場合において、対向車両(M1又はM2)が認識され(ステップS21のY)、認識された対向車両(M1又はM2)と自車両Mとの関係が上記2条件(横距離及び相対速度)を満たす場合(ステップS22のY)には、その対向車両は、図5,図7に示す符号M2に相当する対向車両であると認識する。
そして、このとき、側壁等204が自車両Mのミラー高さよりも低い場合(ステップS23のN)であって、走行予想経路が図5の符号207aaとなっている場合には、運転者の意志を反映させて、自車両Mを通常の車線維持目標走行経路205よりも路肩側に寄せた新たな車線維持目標走行経路205alを作成する。この新たな車線維持目標走行経路205alは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも、横方向において対向車両M2から離れる位置に作成する。
また、このとき、側壁等204が自車両Mのミラー高さよりも低い場合(ステップS23のN)であって、走行予想経路が図5の符号207abとなっている場合には、通常時の車線維持目標走行経路205よりも右側方に寄せた位置(詳しくは、通常時の車線維持目標走行経路205に対し側壁等204から離れる位置で、かつ側壁等対応制御時の車線維持目標走行経路205br(詳細後述)に対し対向車両M2から離れる位置)に新たな車線維持目標走行経路205arを作成する。
簡略に言えば、運転者が対向車両を意識して左操舵を行うか、又は運転者が側壁等204を意識して右操舵を行っても、車線逸脱傾向に無いと判定されて、車線維持制御が行われる場合において、対向車両M2が認識されて、かつ側壁等204が低い場合には、自車両Mを通常時の車線維持目標走行経路205よりも路肩側又は右側方に寄せて、横方向において対向車両M2又は側壁等204から離れた所定の位置に新たな車線維持目標走行経路205al,205arを作成する。この新たな車線維持目標走行経路205al,205arが対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路となる。
この場合、自車両Mは、運転者の操舵意図に則した挙動(左方向又は右方向に自車両Mを寄せる走行)をしながら、対向車両M2から横方向において離れる位置に設定した新たな車線維持目標走行経路205al,205arに沿って、車線維持制御を適切に行う。したがって、運転者に違和感や不快感を与えることがない。
一方、上述のステップS22にて、上記2条件に合致しない状況の場合に、ステップS25の処理に進むと、このステップS25において、走行制御ユニット24は、上述のステップS16と同じ処理を行う。即ち、ステップS25において、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いか否かの判定を行う。ここで、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合には、ステップS26の処理に進む。また、側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合には、ステップS27の処理に進む。
ステップS26において、走行制御ユニット24は、通常時の車線維持目標走行経路205に対して、横方向において対向車両M2から離れた位置であって、かつ上述の対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路205al,205arよりも、自車両Mが側壁等204から横方向において離れる位置に、新たな車線維持目標走行経路(図4においては車線維持経路と略記している)を作成する制御を行う。その後、ステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する(図4,図3の丸符号3参照)。
ここで、例えば、自車両Mが左方向への走行予想経路207aa(図5)を走行中の場合のステップS26の処理(側壁等対応車線維持維持経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図5において、符号205blで示す走行経路は、運転者が対向車両を意識する等により左操舵がなされて走行予想経路が左寄り(図5の符号207aa参照)のときの側壁等204の路肩側回避対象物に対応した車線維持目標走行経路を示している。この車線維持目標走行経路205blは、左方向への操舵に応じて、通常時の車線維持目標走行経路205に対して、横方向において対向車両M2から離れた位置であって、かつ上述の対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路205alよりも、自車両Mが側壁等204から横方向において離れる位置に生成されている。つまり、このときの状況は、自車両Mが自車線201を逸脱しそうな状況になく(図3のステップS11のN)、対向車両(M1又はM2)が認識されていて(図4のステップS21のY)、さらに、ステップS22の処理における上記2条件(横距離及び相対速度)に合致しない状況(ステップS22のN)であり(したがって、認識されている対向車両は符号M1)、かつ路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合(ステップS25のY)という状況にある。つまり、対向車両M1が認識されており、かつ側壁等204は自車両Mのミラー高さより高い場合である。
このような場合には、自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M1は、横方向の距離が所定の閾値より離れているか、または相対速度が所定の閾値より低いため、当該対向車両M1についての回避優先度は低いと推定できる。一方、側壁等204は、所定の閾値より高いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は高いと推定できる。
このことから、走行制御ユニット24は、対向車両M1を意識した運転者による左方向への操舵に応じて、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも路肩側寄りの所定の位置(対向車両M1から離れる位置)に新たな車線維持目標走行経路205blを設定する。この場合において、新たな車線維持目標走行経路205blは、対向車両M1(回避優先度低)及び側壁等204(回避優先度高)の存在を考慮して、対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路205alよりも、側壁等204から離れる位置(つまり対向車両M1に寄せる方向の位置)に設定される。
このように設定される新たな車線維持目標走行経路205alは、対向車両M1及び側壁等204のいずれをも考慮していることから、運転者が側壁等204及び対向車両M1から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
また、例えば、自車両Mが右方向への走行予想経路207ab(図7)を走行中の場合のステップS26の処理(側壁等対応車線維持維持経路作成)が行われる状況は、次のようになる。即ち、図7において、符号205brで示す走行経路は、運転者が側壁等を意識する等により右操舵がなされて走行予想経路が右寄り(図7の符号207ab参照)のときの側壁等対応制御時の車線維持目標走行経路を示している。この車線維持目標走行経路205brは、通常制御時の車線維持目標走行経路205に対して、自車両Mが横方向において側壁等204から離れる所定の位置に生成されている。
このときの状況では、自車両Mの運転支援装置1によって認識されている対向車両M1は、横方向の距離が所定の閾値より離れているか、または相対速度が所定の閾値より低いため、当該対向車両M1についての回避優先度は低いと推定できる。一方、側壁等204は、所定の閾値より高いと判定されているので、当該側壁等204に対する回避優先度は高いと推定できる。このことから、上述のような新たな車線維持目標走行経路205brを設定することにより、運転者は側壁等204及び対向車両M1から受ける威圧感や圧迫感を抑えることができる。
そして、走行制御ユニット24は、この新たな車線維持目標走行経路205bl,205brに沿って自車両Mを走行制御する。その後は、側壁等204を認識しなくなったら、図5,図7の符号205rで示すように、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御が行われる。その後、図3のステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する(図4,図3の丸符号3参照)。
これにより、車線から逸脱しそうにないと判定されて(図3のステップS11のN)、図4以降の処理ステップ、即ち車線維持制御が行われる場合において、対向車両M1が認識され、かつ、側壁等204が自車両Mのミラー高さよりも高い場合には、運転者の意志を反映させて、自車両Mを通常の車線維持目標走行経路205よりも路肩側又は右側方に寄せた新たな車線維持目標走行経路205bl,205brを作成する。
ここで、新たな車線維持目標走行経路205blは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも、横方向において対向車両M1から離れる位置であって、かつ対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路205alよりも側壁等204から離れる位置に作成する。また、新たな車線維持目標走行経路205brは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも、横方向において側壁等204から離れる位置に作成する。
簡略に言えば、運転者が対向車両を意識して左操舵を行っても、車線逸脱傾向に無いと判定されて、車線維持制御が行われる場合において、対向車両M1が認識されて、かつ側壁等204が高い場合には、自車両Mを通常時の車線維持目標走行経路205よりも路肩側に寄せて、対向車両M1から離れる位置で、かつ上記車線維持目標走行経路205alに対して側壁等204から離れる方向に寄せた位置に新たな車線維持目標走行経路205blを作成する。この新たな車線維持目標走行経路205blが側壁等対応制御時の車線維持目標走行経路となる。
同様に、運転者が対向車両を意識して右操舵を行っても、車線逸脱傾向に無いと判定されて、車線維持制御が行われる場合において、対向車両M1が認識されて、かつ側壁等204が高い場合には、自車両Mを通常時の車線維持目標走行経路205よりも右側方に寄せて、側壁等204から離れる位置に新たな車線維持目標走行経路205brを作成する。この新たな車線維持目標走行経路205brが側壁等対応制御時の車線維持目標走行経路となる。
この場合、自車両Mは、運転者の操舵意図に則した挙動(左方向又は右方向に寄せる走行)をしながらも、新たな車線維持目標走行経路205bl,205brに沿う車線維持制御を適切に行う。したがって、運転者に違和感や不快感を与えることがない。
また、上述のステップS23の処理にて自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも高いと判定された場合(図4の丸符号B参照)と、上述のステップS25の処理にて自車両Mの路肩側の側壁等204の高さが自車両Mのミラーの高さ位置よりも低いと判定された場合に、ステップS27の処理に進むと、このステップS27において、走行制御ユニット24は、通常の車線維持制御を実行する。その後は、対向車両や側壁等204を認識しなくなったら、図5の符号205rで示すように、自車両Mを元の車線維持目標走行経路205へ復帰させる走行制御が行われる。その後、図3のステップS11の処理に戻り、車線維持走行制御を継続する(図4,図3の丸符号3参照)。
ここで実行される通常の車線維持走行制御は、例えば、図5に示す車線維持目標走行経路205に沿う走行制御である。このときの状況は、上述したように、車線逸脱しそうにないと判定された場合である(図3のステップS11のN)。したがって、このとき、自車両Mは、走行中の車線維持目標走行経路205から路肩側に若干ずれた位置を走行している可能性がある。そのため、ここでは、車線維持目標走行経路205からのずれを修正するための操舵介入を行って、車線維持目標走行経路205へと復帰させる走行制御が行われる。このように車線維持走行制御が継続して行われる。
以上説明したように上記一実施形態によれば、自車両Mを自車線201に沿って走行させる車線維持走行制御と、自車両Mが自車線201から逸脱するのを抑制する車線逸脱抑制制御とを少なくとも実行し得る車両の運転支援装置1を搭載した自車両Mが、例えば中央分離帯等の立体構造物が存在しない形態の一般道路を、車線維持走行制御を実行しながら走行しているときに、運転者が対向車両や路肩側の側壁等204の回避対象物を意識して左右いずれかの方向への操舵を行ったことが検知された場合には、操舵トルクセンサ12及び操舵角検出センサ15からの出力に基づいて得られる操舵トルクや操舵角等の情報から、操舵方向や自車両Mの車線逸脱傾向を判定する。
ここで、左方向(路肩側)への操舵が検知され、かつ車線逸脱傾向があると判定された場合に、車線逸脱抑制制御が介入する場合には、以下のように、車線逸脱抑制目標走行経路を設定する。
対向車両(M1又はM2)と、路肩側の側壁等204とが認識され、側壁等204よりも対向車両(M2)の方が回避優先度の高い場合(図3のステップS15)は、対向車両M2に応じた車線逸脱抑制目標走行経路207cl(図6参照)を設定する。この車線逸脱抑制目標走行経路207clは、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blよりも対向車両M2から横方向に離れる位置に設定される。
また、対向車両(M1)よりも路肩側の側壁等204の方が回避優先度が高い場合(図3のステップS17)は、側壁等204に応じた車線逸脱抑制目標走行経路207dl(図6参照)を設定する。この車線逸脱抑制目標走行経路207dlは、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207blよりも側壁等204から横方向に離れる位置に設定される。
また、左方向(路肩側)への操舵が検知され、かつ車線逸脱傾向がないと判定された場合に、車線維持制御が行われる場合には、以下のように、車線維持目標走行経路を設定する。
対向車両(M1又はM2)と、路肩側の側壁等204とが認識され、側壁等204よりも対向車両(M2)の方が回避優先度の高い場合(図4のステップS24)は、対向車両M2に応じた車線維持目標走行経路205al(図5参照)を設定する。この車線維持目標走行経路205alは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも対向車両M2から横方向に離れる位置に設定される。
また、対向車両(M1)よりも路肩側の側壁等204の方が回避優先度が高い場合(図4のステップS26)は、側壁等204に応じた車線維持目標走行経路205bl(図5参照)を設定する。
この車線維持目標走行経路205blは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも対向車両M2から横方向に離れた位置であって、かつ対向車両対応制御時の車線維持目標走行経路205alよりも、自車両Mが側壁等204から横方向に離れる位置に設定される。
一方、右方向(道路中央側)への操舵が検知され、かつ車線逸脱傾向があると判定された場合に、車線逸脱抑制制御が介入する場合には、以下のように、車線逸脱抑制目標走行経路を設定する。
対向車両(M1又はM2)と、路肩側の側壁等204とが認識され、側壁等204よりも対向車両(M2)の方が回避優先度の高い場合(図4のステップS24)は、対向車両M2に応じた車線逸脱抑制目標走行経路207cr(図8参照)を設定する。この車線逸脱抑制目標走行経路207crは、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207brよりも対向車両M2から横方向に離れる位置に設定される。
また、対向車両(M1)よりも路肩側の側壁等204の方が回避優先度が高い場合(図4のステップS26)は、側壁等204に応じた車線逸脱抑制目標走行経路207dr(図8参照)を設定する。この車線逸脱抑制目標走行経路207drは、通常制御時の車線逸脱抑制目標走行経路207brよりも側壁等204から横方向に離れる位置に設定される。
また、右方向(道路中央側)への操舵が検知され、かつ車線逸脱傾向がないと判定された場合に、車線維持制御が行われる場合には、以下のように、車線維持目標走行経路を設定する。
対向車両(M1又はM2)と、路肩側の側壁等204とが認識され、側壁等204よりも対向車両(M2)の方が回避優先度の高い場合(図4のステップS24)は、対向車両M2に応じた車線維持目標走行経路205ar(図7参照)を設定する。
この車線維持目標走行経路205arは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも対向車両M2から横方向に離れる位置であって、かつ通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも、自車両Mが側壁等204から横方向に離れる位置に設定される。
また、対向車両(M1)よりも路肩側の側壁等204の方が回避優先度が高い場合(図4のステップS26)は、側壁等204に応じた車線維持目標走行経路205br(図7参照)を設定する。
この車線維持目標走行経路205brは、通常制御時の車線維持目標走行経路205よりも側壁等204から横方向に離れる位置に設定される。
このように、本実施形態の運転支援装置1においては、周囲状況情報取得装置によって取得した自車両Mの周囲状況情報や、操舵トルクセンサ及び操舵角検出センサにより取得される自車両Mの操舵方向,操舵角等の各種情報に基づいて、自車両と回避対象物との相対的な関係を検出し、自車両Mの周囲に認識される対向車両を含む回避対象物についての回避優先度を推測し、回避優先度に応じて、車線維持目標走行経路又は車線逸脱抑制目標走行経路の設定を行うようにしている。
この構成により、本実施形態の運転支援装置1は、一般道路を走行中の自車両Mの運転者が、例えば対向車両または路肩側の側壁等を意識して、左右いずれかの方向への操舵を行った場合に、車線維持制御または車線逸脱抑制制御が必要以上に介入してしまうことを抑えつつ、運転者の操舵意志を反映させた車線維持制御または車線逸脱抑制制御を行うことができ、よって運転者に違和感や不快感を与えることなく、適切な運転支援制御を行って、円滑な走行制御を実現することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。