JP7720159B2 - 植物エキス粉末含有顆粒の製造方法 - Google Patents

植物エキス粉末含有顆粒の製造方法

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本発明は、植物エキス粉末含有顆粒の製造方法および得られた植物エキス粉末含有顆粒に関するものである。
植物エキスは健康増進成分を含んでおり、特定保健用食品などの有効成分として注目されている。そして、植物エキスを服用しやすくするために、植物エキス粉末を顆粒化する技術が検討されている。
一般的に、植物エキス由来原料から製造された粉末品の粒子径は小さく、水に混ぜる際に継粉(ママコ)になりやすく、水に溶かし難いという問題がある。継粉とは、粉末を水溶液中に添加した時、当該粉末の集合体の表面部分だけが水和、溶解し、当該集合体の内部まで水分が移行しないことにより形成されるもので、ダマとも呼ばれる。このような継粉が発生するとなかなか水に溶解せず、完全に溶解させるには、攪拌の強度を上げたり、時間を長くしたりといったことが必要である。
植物エキス顆粒の製造法として、従来は、粉末原料をつなぎ成分(バインダー)によって圧着一体化した顆粒を製造することが行われており、一般に乾燥状態の造粒物を製造する手段として流動層造粒装置などが用いられている。流動層造粒による造粒機構は、流動層内で基材となる粉粒体を流動状態に保ち、この流動層内にバインダー含有液を噴霧して、粉体同士をバインダーによって凝集させ乾燥して造粒するものである。
例えば、特許文献1は、植物由来ポリフェノール含有エキスの粉末を流動層造粒により顆粒化する方法を開示している。ここでは、ヒドロキシプロピルセルロースなどのバインダーが造粒工程で使用されている。
このように流動層造粒においてはバインダーが使用されるのが一般的であったが、その場合、得られた顆粒が水に溶けにくくなることや、最終製品の成分や組成が変わってしまうという問題があった。
特開2010-154769号公報
本発明は、植物エキス由来粉末原料の成分組成を変えずに、且つ継粉(ママコ)を生じず即時に水中に溶解する顆粒を効率よく製造するための方法を提供することを課題とする。
本発明者らが上記課題を解決するために鋭意検討した結果、流動層造粒を行う際に、噴霧液(結合液)としてバインダー(結合促進剤)を含まない水を植物エキス粉末原料に噴霧して流動層造粒を行うこと、または、植物エキス粉末原料として水分を含んだ粉末原料を使用し、結合液を噴霧せずに流動層造粒を行うことで、植物エキス粉末の顆粒を効率よく形成することができ、得られた顆粒は継粉(ママコ)を生じず即時に水中に溶解する即溶性の顆粒であることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は以下を含む。
[1]植物エキス粉末原料を流動層造粒に供することで植物エキス粉末の顆粒を得る工程を含む、植物エキス粉末含有顆粒の製造方法であって、
(I)結合液として、バインダーを含まない水を植物エキス粉末原料に噴霧して流動層造粒を行うこと、または
(II)植物エキス粉末原料として水分を含んだ粉末原料を使用し、結合液を噴霧せずに流動層造粒を行うこと、
を特徴とする方法。
[2](I)において、植物エキス粉末原料に含まれる水分と噴霧される水の合計量が、植物エキス粉末原料の総量に対して、2.5重量%以上30重量%以下である、[1]に記載の方法。
[3](II)において、植物エキス粉末原料に含まれる水分の量が、植物エキス粉末原料の総量に対して、2.5重量%以上10重量%以下である、[1]に記載の方法。
[4]植物エキスが、ビルベリーエキスまたはリンゴエキスである、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の方法で得られた植物エキス粉末含有顆粒。
[6][5]に記載の植物エキス粉末含有顆粒を含む食品。
本発明によれば、継粉(ママコ)を生じず即時に水中に溶解する植物エキス粉末の顆粒を効率よく得ることができる。結合液として、バインダーを含まない水を植物エキス粉末原料に噴霧して流動層造粒を行うこと、または植物エキス粉末原料として水分を含んだ粉末原料を使用し、結合液を噴霧せずに流動層造粒を行うことで、製造プロセスを簡易化できるだけでなく、植物エキス由来粉末原料の成分組成を変えずに顆粒を得ることができるので製品化も容易である。
水噴霧量を変化させて流動層造粒を行ったときに得られた顆粒の粒径の組成を解析した結果を示す図。 水噴霧量を変化させて流動層造粒を行ったときに得られた顆粒のかさ比重を解析した結果を示す図。
<植物エキス粉末含有顆粒の製造方法>
本発明は、植物エキス粉末原料を流動層造粒に供することで植物エキス粉末の顆粒を得る工程を含む、植物エキス粉末含有顆粒の製造方法に関し、当該方法は、(I)結合液として、バインダーを含まない水を植物エキス粉末原料に噴霧して流動層造粒を行うこと、または(II)植物エキス粉末原料として水分を含んだ粉末原料を使用し、結合液を噴霧せずに流動層造粒を行うこと、を特徴とする。
<植物エキス粉末>
原料となる植物エキス粉末は、例えば、ポリフェノールなどの健康増進成分を含む植物から当該健康増進成分を含む画分を抽出し、乾燥させて粉末化することで得ることができる。植物エキス粉末は健康増進成分を複数含んでもよいし、健康増進成分以外の成分を含んでもよい。なお、植物エキス粉末は市販品を使用してもよい。
健康増進成分の種類は特に制限されないが、例えば、ポリフェノール、アントシアニン、アントシアニジン、ナリンジン、シリビニン、イソフラボン、ステビオール、グリチルリチン、エラグ酸、クエン酸、クロロゲン酸、リンゴ酸などが挙げられる。
植物エキスの抽出法は特に制限されず、植物の種類、部位、健康増進成分の種類などに応じて適当な方法を選択すればよく、当業者が通常用いる手段が用いられる。例えば、植物に対して、溶媒懸濁、乾燥、機械的破砕、圧搾、超臨界抽出などの操作により抽出が行われる。これらの抽出操作は単独で行われてもよいし、これらを組み合わせて行われてもよい。抽出に用いられる溶媒としては、水や、クロロホルム、ヘキサン、アセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒を用いることができ、健康増進成分の種類に応じて適宜選択することができる。乾燥方法は、棚式乾燥、流動層乾燥、フラッシュ乾燥、噴霧乾燥など常法にしたがって行うことができる。機械的に粉砕する方法は、湿式、乾式のどちらでもよく、ビーズミル、ロールミル、ハンマーミル、ジェットミル、ピンミルなどで行うことができる。圧搾方法は常法にしたがって行うことができる。
植物の種類は上記のような健康増進成分を含む植物であれば特に制限されないが、例えば、ベリー類、リンゴ、ハカマウラボシ(Drynaria fortunei)、マリアアザミ(Silybum
marianum)、大豆、ステビア、甘草などが例示される。
植物エキスとしては、上記のような健康増進成分を含むエキスであればよいが、糖質を含むものが好ましく、糖質を80重量%以上含むものがより好ましい。
植物エキスの例としては、ベリー類エキス(アロニアエキス、エルダーベリーエキス、クランベリーエキス、クロマメノキエキス、コケモモエキス、ストロベリーエキス、ビルベリーエキス、ブラックカラントエキス、ブラックベリーエキス、ブルーベリーエキス、ボイセンベリーエキス、ラズベリーエキス、リンゴンベリーエキス、レッドカラントエキス)、リンゴエキス、骨砕補エキス、マリアアザミエキス、大豆エキス、ステビアエキス、甘草エキスなどが挙げられる。
粉末は流動層造粒に供することのできる程度の粒径を有する粉末であれば特に制限されず、原料の種類によって適宜選択することができる。
流動層造粒に供する粉末は水分を含むものであってもよく、水分を2.5重量%以上、好ましくは2.8重量%以上含むと、後述の本発明の造粒法(II)にも使用可能である。
<流動層造粒>
流動層造粒は公知の方法で行うことができる。植物エキス粉末原料を流動層造粒機またはそれに類する造粒装置内に投入し、熱気流下で、水を植物エキス粉末原料に噴霧し攪拌すればよい。例えば、流動層造粒装置の造粒室の下部から熱風を送り込み、原料である植物エキス粉末を空中に巻き上げることにより粒子が流動する状態になる層を形成してから、造粒液体(水)を噴霧して、植物エキス粉末の粒子を凝集させて顆粒に成長させる。なお、植物エキス粉末原料が水分を一定量以上含む場合は、水を噴霧することなく、植物エキス粉末原料を流動させるだけで自らが含有する水によって造粒が可能である。
本発明の方法の態様(I)においては、結合液として、バインダーを含まない水を植物エキス粉末原料に噴霧して流動層造粒を行う。
ここで、バインダーとは造粒を促進する物質で、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリビニルピロリドンなどが例示される。本発明の方法においては、造粒液体として水のみを用いてもよいが、造粒液体として水はバインダー以外の水溶性成分を含んでもよい。
本発明の方法の態様(I)においては、流動層造粒に使用される水分量を一定の範囲とすることが好ましい。具体的には、植物エキス粉末原料に含まれる水分と噴霧される水の合計量が、植物エキス粉末原料の総量に対して、2.5重量%以上30重量%以下となるように調整することが好ましい。すなわち、用意した植物エキス粉末原料を造粒する際に、造粒が終了するまでに噴霧される造粒液体としてのバインダーを含まない水の量と植物エキス粉末原料に含まれる水分量の合計を、植物エキス粉末原料の総量の2.5重量%以上30重量%以下の量とすることが好ましい。下限は2.8重量%以上がより好ましく、
上限は25重量%以下がより好ましい。
本発明の方法の態様(II)においては、植物エキス粉末原料として水分を含んだ粉末原料を使用し、結合液を噴霧せずに流動層造粒を行う。
ここで、植物エキス粉末原料に含まれる水分量を2.5重量%以上とすることが好ましく、2.8重量%以上とすることがより好ましい。
上限としては、植物エキス粉末原料を流動層内で流動させることができる程度の水分量であればよいが、例えば、10重量%以下または6重量%以下である。
造粒時の造粒室内の温度は、例えば、30℃~50℃とすることができる。
<顆粒>
本発明の方法で得られる顆粒は、即溶性を有する。ここで、即溶性とは、例えば、顆粒を水面に投下したときに、継粉の発生なく即時、例えば、30秒以内に沈降および溶解することをいう。
本発明の方法で得られる顆粒は、かさ比重が0.45 g/ml以下であることが好ましい。下限は特に制限されないが、例えば、0.10 g/ml以上であることが好ましい。
本発明の方法で得られる顆粒は、そのまま服用されてもよいが、顆粒がカプセル等に内包された製剤として服用されてもよい。カプセルはハードカプセルでもソフトカプセルでもよい。
本発明の方法で得られる顆粒を含む製剤は、健康増進成分の効果や、顆粒の即溶性を妨げない範囲で、甘味料、香料、賦形剤、着色料等の他の任意成分を含んでいてもよい。
<食品>
本発明の方法で得られる顆粒またはそれを含む製剤は食品とすることができる。顆粒はバインダーを含まないので、食品にしたときにバインダーが食品に含まれないために、植物エキスの成分を変えずにそのまま食品に適用可能である。
前記食品は、機能性食品であってよい。機能性食品とは、例えば、健康食品、健康補助食品、病者用食品、栄養補助食品、または、厚生労働省の定める保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)のような、通常の食品に比べて優れた生理的特性を有する食品をいう。本発明における組成物は、健康食品、健康補助食品、病者用食品、栄養補助食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の成分として使用することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
植物エキス粉末原料として、表1に記載のビルベリーエキス粉末(MyrtiPROビルベリーエキスパウダー25.5%、BGG Japan株式会社)を用いた。

流動層造粒は流動層造粒機(フロイント産業株式会社、FLO-5型)を用い、表2の条件で行った。噴霧する水の量を0%、21%、32%、43%と変えた条件でそれぞれ造粒を行い、造粒反応は噴霧水が枯渇するまで行った。
原料のビルベリーエキス粉末が水分を3.2%含むため、造粒に使用された総水分量は以下の通りである。
噴霧水量0%・・・3.2%
噴霧水量21%・・・24.9%
噴霧水量32%・・・35.7%
噴霧水量43%・・・46.5%

<実施例2>
植物エキス粉末原料として、表3に記載のリンゴエキス粉末であるリンゴポリフェノール粉末(ApplePhenon SH、BGG Japan株式会社)を用いた。


流動層造粒は流動層造粒機(フロイント産業株式会社、FLO-5型)を用い、表4の条件で行った。噴霧する水の量を10%、20%、30%、37%と変えた条件でそれぞれ造粒を行い、造粒反応は噴霧水が枯渇するまで行った。原料のリンゴポリフェノール粉末が水分を2.9%含むため、造粒に使用された総水分量は以下の通りである。
噴霧水量10%・・・12.9%
噴霧水量20%・・・22.9%
噴霧水量30%・・・32.9%
噴霧水量37%・・・39.6%

<造粒物の評価>
実施例1、2で得られた顆粒について、溶解性、粒径、かさ比重を測定した。
溶解性試験は、水200mlが入った275ml容コップの水面にスプーン上の試料0.1g(または1g)を投下し、目視で評価した。
かさ比重は以下のようにして測定した。
・秤に比重測定用の100mLステンレス製容器を乗せ風袋を「0.00」にする。
・ステンレス製の筒を容器の中に立て、筒の上部約5cmより、ポリ袋入り試料をステンレス製の筒から溢れるまで投入する。
・ステンレス製容器に当たらないようにステンレス製の筒を一気に引き抜き、衝撃を与えずステンレス製容器上端以上の試料を擦切る。
・試料の重量を測定し、試料のかさ比重(g/mL)を以下の式より算出する。
かさ比重(g/mL)=試料重量(g)÷100mL
<結果>
ビルベリーエキス粉末造粒物について評価した結果を、表5に示す。
造粒しない粉末原料では水面に継粉が発生して顆粒が水面に1分以上残存したが、水噴霧量が0%(総水分量3.2%)および21%(総水分量24.9%)の流動層造粒で得られた顆粒では継粉の発生無く即時に沈降および溶解する性質に改善された。また、水噴
霧量が32%(総水分量35.7%)の流動層造粒で得られた顆粒でも性質は変化し、継粉の発生無く沈降したが水中に顆粒が1分以上残存した。
なお、水噴霧量43%以上(総水分量46.5%)ではブロッキングの発生により製造することができなかった。
このように、ビルベリーエキス粉末の造粒においては、水分を含む粉末原料を用いることで水を噴霧することなく流動層造粒が可能であることが見いだされ、植物エキス粉末原料に含まれる水分と噴霧される水の合計量が、植物エキス粉末原料の総量に対して3.2~24.9重量%の場合には継粉の発生無く即時に沈降および溶解する即溶性顆粒を得ることができた。


○,即溶(継粉の発生なく即時に沈降および溶解)
△,遅溶(継粉の発生なく沈降するが水中に顆粒が1分以上残存)
×,残存(継粉が発生し水面に顆粒が1分以上残存)
リンゴポリフェノール粉末造粒物について評価した結果を表6に示す。
造粒しない粉末原料では水面に継粉が発生して顆粒が水面に1分以上残存したが、水噴霧量が10%(総水分量12.9%)および20%(総水分量22.9%)の流動層造粒で得られた顆粒では継粉の発生無く即時に沈降および溶解する性質に改善された。また、水噴霧量が30%(総水分量32.9%)の流動層造粒で得られた顆粒でも性質は変化し、継粉の発生無く沈降したが水中に顆粒が1分以上残存した。
なお、水噴霧量37%以上(総水分量39.6%)ではブロッキングの発生により製造することができなかった。
このように、リンゴポリフェノール粉末の造粒においては、植物エキス粉末原料に含まれる水分と噴霧される水の合計量が、植物エキス粉末原料の総量に対して12.9~22.9重量%の場合には継粉の発生無く即時に沈降および溶解する即溶性顆粒を得ることができた。


○,即溶(継粉の発生なく即時に沈降および溶解)
△,遅溶(継粉の発生なく沈降するが顆粒が水中に1分以上残存)
×,残存(継粉が発生し顆粒が水面に1分以上残存)
各造粒物の粒径の組成を解析した結果を図1に示す。
その結果、リンゴポリフェノール粉末原料(一番左)には篩に静電気付着するほど小さい粒子が含まれているが、水噴霧量10%以上の造粒品では粒度組成の「未回収」がなくなっていた。
また、造粒物のかさ比重を測定し、噴霧液量とかさ比重との関係を調べた。
結果を図2に示す。ビルベリーエキス粉末造粒物及びリンゴポリフェノール粉末造粒物のかさ比重は水噴霧量の増加に伴い減少し、かさ比重と粒度分布との相関がみられた。

Claims (1)

  1. 植物エキス粉末原料を流動層造粒に供することで植物エキス粉末の顆粒を得る工程を含む、植物エキス粉末含有顆粒の製造方法であって、
    (I)結合液として、結合促進剤であるバインダーを含まない水を植物エキス粉末原料
    に噴霧して流動層造粒を行うこと、
    (I)において、植物エキス粉末原料に含まれる水分と噴霧される水の合計量が、植物
    エキス粉末原料の総量に対して、2.5重量%以上30重量%以下であること、および
    植物エキスが、ビルベリーエキスまたはリンゴエキスであること、
    を特徴とする方法。
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