JP7724204B2 - 腸内または口腔内の環境改善用組成物 - Google Patents

腸内または口腔内の環境改善用組成物

Info

Publication number
JP7724204B2
JP7724204B2 JP2022511150A JP2022511150A JP7724204B2 JP 7724204 B2 JP7724204 B2 JP 7724204B2 JP 2022511150 A JP2022511150 A JP 2022511150A JP 2022511150 A JP2022511150 A JP 2022511150A JP 7724204 B2 JP7724204 B2 JP 7724204B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intestinal
oral
intake
group
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022511150A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021201263A1 (ja
Inventor
泰久 阿野
怜奈 大屋
達宏 綾部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Holdings Co Ltd
Original Assignee
Kirin Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Holdings Co Ltd filed Critical Kirin Holdings Co Ltd
Publication of JPWO2021201263A1 publication Critical patent/JPWO2021201263A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7724204B2 publication Critical patent/JP7724204B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; PREPARATION OR TREATMENT THEREOF
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/17Amino acids, peptides or proteins
    • A23L33/18Peptides; Protein hydrolysates
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/05Dipeptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/07Tetrapeptides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P1/00Drugs for disorders of the alimentary tract or the digestive system
    • A61P1/10Laxatives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/02Immunomodulators
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K5/00Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K5/04Peptides containing up to four amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof containing only normal peptide links
    • C07K5/10Tetrapeptides
    • C07K5/1002Tetrapeptides with the first amino acid being neutral
    • C07K5/1005Tetrapeptides with the first amino acid being neutral and aliphatic

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

関連出願の参照
本願は、先行する日本国出願である特願2020-67855(出願日:2020年4月3日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
本発明は腸内および/または口腔内の環境改善用組成物に関する。本発明はまた、腸内および/または口腔内の菌叢改善用組成物、腸内および/または口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物、腸管および/または口腔内の免疫調節用組成物、並びに気分状態改善促進用組成物に関する。
腸内には細菌が推定40兆個ほど存在し、これら細菌群は腸内フローラ(腸内菌叢)と呼ばれている。また、腸内と同様、口腔内にも細菌が存在し、これらの細菌群は口腔内フローラ(口内フローラまたは口腔内菌叢)と呼ばれている。腸内または口腔内の菌叢を構成する細菌は個人個人で種類や量に違いがあることが知られているところ、これら腸内または口腔内の細菌は多様な働きを持ち、近年では腸内または口腔内の菌叢の状態が多くの疾患に関係していることが分かってきた。また、ヒトの免疫機能の多くが腸内菌叢の状態に依存し、またヒトの免疫機能と口腔内菌叢の状態に関連があることが明らかとなっており、腸内または口腔内の菌叢のバランスを適切に保つことにより免疫機能を正常な状態に維持できることも分かってきた。すなわち、腸内および/または口腔内の環境を整えることで健康を維持できるとともに生活習慣病をはじめとする様々な疾患の予防につながることが期待されている。
このような背景のもと腸内および/または口腔内の環境の改善に有効な様々な成分ないし素材が開発されてきた。例えば、特許文献1には乳由来の糖ペプチドを含有する腸内環境改善用組成物が開示されている。
国際公開第2019/044960号
本発明は新規な腸内および/または口腔内の環境改善用組成物および腸内および/または口腔内の環境改善剤の提供を目的とする。本発明はまた、新規な腸内および/または口腔内の菌叢改善用組成物および腸内および/または口腔内の菌叢改善剤、腸内および/または口腔内における新規な短鎖脂肪酸産生促進用組成物および短鎖脂肪酸産生促進剤、新規な腸管および/または口腔内の免疫調節用組成物および腸管および/または口腔内の免疫調節剤、並びに気分状態改善促進用組成物および気分状態改善促進剤の提供を目的とする。
本発明者らは今般、動物モデルを用いた試験およびヒト試験において、マウスまたはヒトに特定配列を有するペプチドや該ペプチドを含有するホエイタンパク質分解物を摂取させたところ、腸内および口腔内の菌叢改善効果、並びに短鎖脂肪酸の産生促進効果をはじめとする腸内および口腔内の環境改善効果があることを見出した。本発明者らはまた、特定配列を有するペプチドや該ペプチドを含有するホエイタンパク質分解物に腸管および口腔内の免疫を介した免疫調節作用、並びに気分状態の改善促進作用があることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の環境改善用組成物、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善用組成物または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物、並びに腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤。
[2]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸管および/または口腔内免疫調節用組成物、並びに腸管および/または口腔内免疫調節剤。
[3]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、気分状態の改善促進用組成物、並びに気分状態の改善促進剤。
[4]ホエイタンパク質酵素分解物中のGTWYの含有量(固形分換算)が0.5~5mg/gである、上記[1]~[3]に記載の組成物および用剤。
[5]ホエイタンパク質酵素分解物中のWYの含有量(固形分換算)が0.05~2mg/gである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[6]ホエイタンパク質酵素分解物をヒト1日当たり1~50000mg(固形分換算)で摂取させる、上記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[7]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の環境改善用組成物、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善用組成物または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物、並びに腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤。
[8]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含んでなる、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節用組成物、並びに腸管および/もしくは口腔内の免疫調節剤。
[9]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含んでなる、気分状態の改善促進用組成物、並びに気分状態の改善促進剤。
[10]GTWY(配列番号1)をヒト1日当たり0.001~1000mg(固形分換算)で摂取させる、上記[1]~[9]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[11]WYをヒト1日当たり0.001~500mg(固形分換算)で摂取させる、上記[1]~[10]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[12]食品組成物である、上記[1]~[11]に記載の組成物および用剤。
[13]1食当たりの単位包装形態である、上記[1]~[12]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[15]健常人に摂取させるための、上記[1]~[13]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[16]中高年者に摂取させるための、上記[1]~[14]のいずれかに記載の組成物および用剤。
上記[1]、[2]、[3]、[7]、[8]および[9]の組成物を本明細書において「本発明の組成物」と、上記[1]、[2]、[3]、[7]、[8]および[9]の用剤を本明細書において「本発明の用剤」と、それぞれいうことがある。
本発明の有効成分であるホエイタンパク質酵素分解物は、ヒトが長年摂取してきた食品素材に由来する成分である。したがって、本発明の組成物および用剤は、腸内および/または口腔内の環境を改善する機能性食品として利用できるとともに、ヒトを含む哺乳類に安全な機能性食品として利用できる点で有利である。
図1は、WYペプチドによる6月齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける短鎖脂肪酸の定量結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:1.5ヶ月、非摂取群:n=7、摂取群:n=7)。*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図2は、WYペプチドによる6月齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける短鎖脂肪酸の定量結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月、非摂取群:n=8、摂取群:n=8)。*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図3は、WYペプチドによる6月齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける菌叢解析の結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月、非摂取群:n=8、摂取群:n=8)。*はP<0.05%を示す。 図4は、WYペプチドによる6月齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける菌叢解析の結果(摂取期間終了時)について、摂取期間を1.5ヶ月(1.5M、WY非摂取群:n=7、WY摂取群:n=7)と3ヶ月(3M、WY非摂取群:n=8、WY摂取群:n=8)とした場合のそれぞれを比較したものを示す。CTLはWY非摂取群、WYはWY摂取群、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図5は、WYペプチドによる6月齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける菌叢解析の結果(摂取期間終了時)について、摂取期間を1.5ヶ月(1.5M、非摂取群:n=7、摂取群:n=7)と3ヶ月(3M、非摂取群:n=8、摂取群:n=8)とした場合のそれぞれを比較したものを示す。CTLはWY非摂取群、WYはWY摂取群、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図6は、WYペプチドによる66週齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける短鎖脂肪酸の定量結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:4.5ヶ月、非摂取群:n=10、摂取群:n=9)。CTLはWY非摂取群、WYはWY摂取群、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図7は、WYペプチドによる3月齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスおけるリンパ球解析の結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月、非摂取群:n=10、摂取群:n=10)。CTLはWY非摂取群、WYはWY摂取群、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図8は、GTWYペプチドによる62週齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける短鎖脂肪酸の定量結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:8.5ヶ月、非摂取群:n=12、摂取群:n=8)。CTLはGTWY非摂取群、GTWYはGTWY摂取群、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図9は、ホエイ分解物による6.5月齢(摂取開始時)のCrl:CD1(ICR)雄性マウスおける短鎖脂肪酸の定量結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月、非摂取群:n=10、摂取群:n=7)。*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図10は、ホエイ分解物による6.5月齢(摂取開始時)のCrl:CD1(ICR)雄性マウスにおける菌叢解析の結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月、非摂取群:n=10、摂取群:n=7)。*はP<0.05%を示す。 図11は、ホエイ分解物による6.5月齢(摂取開始時)のCrl:CD1(ICR)雄性マウスにおける菌叢解析の結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月)。CTLはホエイ分解物非摂取群(n=10)、HW-3はホエイ分解物摂取群(n=7)、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図12は、ホエイ分解物による6.5月齢(摂取開始時)のCrl:CD1(ICR)雄性マウスにおける菌叢解析の結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:3ヶ月)。CTLはホエイ分解物非摂取群(n=10)、HW-3はホエイ分解物摂取群(n=7)、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。 図13は、ホエイ分解物による62週齢(摂取開始時)のC57BL/6J雄性マウスにおける短鎖脂肪酸の定量結果(摂取期間終了時)を示す(摂取期間:8.5ヶ月)。CTLはホエイ分解物非摂取群(n=12)、HW-3はホエイ分解物摂取群(n=15)、*はP<0.05%、エラーバーは標準誤差を示す。
発明の具体的説明
本発明の組成物および用剤は有効成分としてホエイタンパク質酵素分解物を含んでなるものである。本発明において「ホエイ」とは、乳清、乳漿またはホエー等ともいい、乳から乳脂肪分およびカゼイン等を除いた水溶液を意味する。ホエイはβ-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、血清アルブミンおよび免疫グロブリン等のタンパク質から構成される。本発明で使用するホエイの由来動植物は問わないが、牛乳由来ホエイを用いることが好ましい。本発明の組成物および用剤の有効成分であるホエイタンパク質酵素分解物(本明細書において単に「ホエイ分解物」ということがある)は、ホエイの酵素分解物である限り限定されない。
本発明の組成物および用剤におけるホエイ分解物の含有量(固形分換算)は、その目的、用途、形態または剤型等に応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないが、例えば、液体組成物および液剤の場合には、全体量に対して0.001~100mg/100mL(好ましくは0.005~50mg/100mL、より好ましくは0.01~10mg/100mL)であり、固体組成物および固形剤の場合には、全体量に対して0.1~90質量%(好ましくは0.5~80質量%、より好ましくは1~70質量%)である。
また、本発明の組成物および用剤は、有効成分としてGTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよびWYのアミノ酸配列を有するペプチド(以下、これらを「本発明のペプチド」ということがある)のいずれかまたは両方を、少なくとも含んでなるものとして特定することができる。したがって本発明のホエイ分解物は、GTWYのアミノ酸配列を有するペプチドおよびWYのアミノ酸配列を有するペプチドのいずれかまたは両方を含有してなるものを使用することができる。ここで、「アミノ酸配列を有するペプチド」とは、前記アミノ酸配列により配列が特定されたペプチドを意味する。また、GTWYは4つのアミノ酸からなるテトラペプチド、WYは2つのアミノ酸からなるジペプチドをそれぞれ意味する。
本発明のホエイ分解物中のGTWYの含有量(固形分換算)は、例えば、ホエイ分解物全体量に対して0.01~1質量%(好ましくは0.05~0.5質量%、より好ましくは0.1~0.2質量%)であり、WYの含有量(固形分換算)は、例えば、ホエイ分解物全体量に対して0.005~0.5質量%(好ましくは0.01~0.1質量%、より好ましくは0.03~0.09質量%)である。
本発明のペプチドの含有量の測定は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC-MS/MS)、蛍光法または比色法等の公知のペプチド含有量分析方法を用いて測定でき、例えば、LC-MS/MSを用い、後記実施例2に記載の方法により実施できる。LC-MS/MSを用いる場合において、測定の際には標準ペプチドとしてLC-MS/MS測定用の純度を有するペプチドを使用し、例えば、AQUAペプチド(SIGMA ALDRICH)を使用することができる。
本発明のホエイ分解物(特に、本発明のペプチドを含有するホエイ分解物)の製造方法は公知であり、例えば、国際公開公報第2017/086303号の記載に従って製造することができる。また、市販されているホエイ分解物(例えば、HW-3(雪印メグミルク社)、HWP-205(Tatua)、Thermax690(Glanbia)またはProtherma(Glanbia)等)をホエイ分解物として用いてもよい。
本発明のペプチドを含有するホエイ分解物は、例えば、ホエイタンパク質にホエイ分解酵素を含む酵素製剤を作用させることにより製造することができる。
酵素反応に供されるホエイタンパク質の濃度は、タンパク質が溶解し得る限り限定されないが、ゲル化や凝集を抑制し、濃縮の手間を省く観点から、1~30w/v%とすることが好ましく、より好ましくは1~20w/v%であり、さらに好ましくは5~15w/v%である。
ホエイは、そのままで、または、濃縮もしくは希釈してから酵素反応に供すればよく、必要に応じpH調整等をすることができる。また、原料となるホエイタンパク質が紛体等の固形物の場合、酵素反応が進行する限り、いずれの水系溶媒に溶解させてもかまわないが、食品としての利用を考慮し、水または食品添加物グレードの緩衝液に溶解させることが好ましい。酵素反応で生じたアミノ酸により反応液のpHが変化しないようにするため緩衝液を使用することが好ましい。緩衝液の種類は任意であり、その後の利用および風味・味覚・ミネラル量等を考慮して決定すればよいが、反応液のpHを4~9、好ましくは5~8、より好ましくは7~8に維持できるような組成が好ましい。緩衝液としては、例えば、クエン酸ナトリウム緩衝液、炭酸ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液またはリン酸カリウム緩衝液等が挙げられ、好ましくはリン酸カリウム緩衝液である。緩衝液の濃度は緩衝効果が得られる範囲であれば任意であるが、風味・味覚・ミネラル量を考慮すると、例えば、0.01~0.5Mが挙げられ、好ましくは0.05~0.2Mであり、より好ましくは約0.1Mである。
酵素反応に供する酵素は、タンパク質分解酵素またはタンパク質分解酵素を含む組成物、酵素剤もしくは酵素製剤であればいずれも使用できるが、中性プロテアーゼを含む酵素製剤であることが好ましく、1種類またはそれ以上を組合せて使用することができる。酵素製剤は、例えば、バチルス・サブティリス、アスペルギルス・オリゼ、アルペルギルス・メレウス等の微生物を由来としたものを使用することができ、このうちアスペルギルス・オリゼ由来の酵素製剤またはアルペルギルス・メレウス由来の酵素製剤が好ましく、より好ましくはアルペルギルス・メレウス由来の酵素製剤である。
また、酵素反応に供する酵素として、市販の酵素製剤を使用することができ、例えば、天野エンザイム社、新日本化学工業社、DSM社、ダニスコ社、ノボザイム社またはHBI社等から酵素製剤を入手可能である。酵素製剤の添加量は任意であるが、適度な加水分解反応速度またはコスト等を考慮すると、例えば、0.01~5w/v%が挙げられ、好ましくは0.05~4w/v%、より好ましくは0.1~0.5w/v%である。
酵素反応温度および酵素反応時間は原料タンパク質の加水分解が十分になされ、酵素分解物の品質が保たれるように設定することができる。酵素反応温度は、例えば、30~70℃が挙げられ、好ましくは40~70℃であり、より好ましくは45~65℃である。また、酵素反応時間は、例えば、1~12時間であり、好ましくは2~10時間であり、より好ましくは4~5時間である。なお、酵素反応温度および酵素反応時間は本発明のペプチドの生成量を確認しながら適宜調整することができる。
酵素反応は温度を上昇させながら行うこともできる。例えば、30℃から75℃にまで4~10時間かけて上昇させながら反応させる方法が挙げられる。好ましくは、35℃から75℃まで5~8時間かけて上昇させながら反応させる方法であり、より好ましくは35℃から75℃まで6~8時間かけて反応させる方法である。温度上昇スピードおよびプログラムは任意であるが、酵素投入後、45℃から55℃の間での保持時間を長めにし(例えば、5~7時間)、その後60℃まですみやかに上昇させた後に60℃から75℃の間で長めの時間で(例えば、1~3時間)保持する方法が好ましい。最も好ましいのは、50℃で酵素を投入し、5~7時間保持後、任意の速度で昇温させ、60~65℃または65~75℃の目標温度で1~3時間保持する方法である。
酵素反応に際しては反応効率の観点から反応液を撹拌することが好ましい。基質が酵素とよく接するように、液撹拌速度は速い方がよいが、速すぎると反応液が飛び散る恐れがあるため、例えば、100~500rpmが挙げられ、好ましくは200~400rpmであり、より好ましくは約250rpmである。
酵素反応の結果、所望のペプチドが生じた後、所望のペプチドを含む反応液を酵素反応の停止工程に付すことが好ましい。酵素反応停止工程としては、反応液の高温処理もしくはキレート剤添加により酵素の化学構造を変化させ、酵素を失活させる方法、または膜処理により酵素を除去する方法を採用できる。好ましい方法は、反応液を高温に処理する失活処理である。該高温処理方法は、例えば、80~90℃で5~30分間保持する方法であり、好ましくは80~90℃で20~30分間保持する方法である。また、後述の濃縮工程で高温になる場合には、濃縮工程を兼ねて行うことができる。
上述の酵素反応工程および酵素反応停止工程を経た反応液(ホエイ分解物)は、さらに殺菌工程に付してもよい。殺菌工程としては、例えば、後述の膜処理工程または加熱殺菌工程が挙げられる。加熱殺菌工程は上述の酵素反応停止工程を兼ねることもでき、製造工程の簡略化の点で有利である。
酵素反応工程および酵素反応停止工程を経た反応液(ホエイ分解物)は、さらに精製工程に付してもよい。精製工程としては、例えば、粗ろ過、精密ろ過、限外ろ過または逆浸透等の膜ろ過方法を用いた膜処理工程が挙げられ、好ましい膜処理は限外ろ過である。限外ろ過における分画分子量は、所望のペプチドおよび用いた酵素等により任意に選択できるが、3~100kDaが好ましく、5~50kDaがより好ましい。精製工程は、該精製工程を実施しなかった場合と比較してペプチド組成物の風味を改善することができる点で有利である。また、精製工程は酵素反応停止工程および殺菌工程を兼ねることもでき、製造工程の簡略化の点でも有利である。
酵素反応工程および酵素反応停止工程を経た反応液(ホエイ分解物)は、保管や運搬の観点からさらに濃縮工程に付してもよい。濃縮工程は任意の方法を選択できるが、好ましくは減圧濃縮、凍結乾燥、噴霧乾燥(スプレードライ)、または膜処理による濃縮(例えば、逆浸透膜を用いる方法)による方法であり、より好ましくは凍結乾燥または噴霧乾燥である。濃縮を大量かつ効率的に実施する観点から噴霧乾燥が特に好ましい。
本発明の組成物および用剤にホエイ分解物を含有させる場合、本発明のペプチドを指標にホエイ分解物を含有させることができ、例えば、1食あたりGTWYを0.001~1000mg(好ましくは0.01~500mg、より好ましくは0.05~5mg)およびWYを0.001~500mg(好ましくは0.01~100mg、より好ましくは0.05~3mg)含有させることができる。
本発明の組成物および用剤に本発明のペプチドを含有させる場合、1食あたりGTWYを0.001~1000mg(好ましくは0.01~500mg、より好ましくは0.05~5mg)を含有させることができ、WYを0.001~500mg(好ましくは0.01~100mg、より好ましくは0.05~3mg)含有させることができる。
本発明のペプチドは、ホエイタンパク質酵素分解物等の食品素材に由来するものを使用でき、また、ペプチド鎖が短く化学合成しやすいため合成品、それらの塩または溶媒和物も使用できる。すなわち本発明のペプチドは入手がしやすい点で有利である。
本発明の第一の面によれば、本発明の組成物および用剤は、腸内および/または口腔内の環境改善を目的として使用できる。ここで、「腸内および/または口腔内の環境改善」とは、下部消化管および/または口腔内に存在する善玉菌(例えば、乳酸菌、酢酸菌、プロピオン酸菌、酪酸菌等の短鎖脂肪酸産生菌およびビフィズス菌;特に、ビフィズス菌)を相対的に増加させること、または悪玉菌(例えば、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、大腸菌;特に、Clostridium属細菌)を相対的に低下させることをいう。相対的に増加させるとは腸内および/または口腔内の菌叢に占める善玉菌の割合を増加させることをいい、相対的に低下させるとは腸内および/または口腔内の菌叢に占める悪玉菌の割合を低下させることをいう。すなわち、腸内および/または口腔内の環境改善は腸内および/または口腔内の菌叢改善を含む意味で用いられる。
このため本発明の第二の面によれば、本発明の組成物および用剤は腸内および/または口腔内の菌叢の改善を目的として使用できる。ここで、「腸内および/または口腔内の菌叢改善」とは、腸内および/もしくは口腔内の菌叢に占める善玉菌の割合を増加させること、または腸内および/もしくは口腔内の菌叢に占める悪玉菌の割合を低下させることをいう。腸内および/または口腔内の菌叢における各種細菌の割合は、例えば、腸内の場合には対象から大便等、口腔内の場合には対象から唾液等を検体としてそれぞれ採取し、検体中の各種細菌を16SrDNAもしくはゲノムの次世代シーケンス・アンプリコン解析、およびデータベース検索を組み合わせる方法、またはFISH-フローサイトメトリーを用いて分析することで、評価できる。またここで、下部消化管には、回腸、盲腸、結腸および直腸が含まれる。なお、本発明の腸内および/もしくは口腔内の環境の改善、または腸内および/もしくは口腔内の菌叢の改善により腸内および/または口腔内における短鎖脂肪酸の産生が増加する。
本発明の第三の面によれば、本発明の組成物および用剤は腸内および/または口腔内における短鎖脂肪酸産生促進を目的として使用できる。短鎖脂肪酸は、食物繊維を基質とし、腸内および/または口腔内の細菌の発酵によって生じる代表的な腸内および/または口腔内の細菌由来の代謝物である。短鎖脂肪酸は、生体の単なるエネルギー源としてだけではなく、生体のエネルギー代謝調節に重要な役割を果たしていることが知られており、近年では腸内での短鎖脂肪酸の産生促進が糖尿病、肥満等の代謝性疾患の予防および改善に有効であることが解明されている(日内会誌 2015,104,57-65、Jpn. J. Clin. Immunol., 2017,40(6),408-415)。また、腸内での短鎖脂肪酸の産生促進が、高血圧もしくは慢性腎臓病(日腎会誌 2017,59(4),562-567)、炎症性腸疾患、アトピー性皮膚炎もしくは自己免疫性疾患(Jpn. J. Clin. Immunol.,2017,40(6),408-415)、うつ病性障害もしくは双極性障害等の気分障害、またはストレスによって引き起こされた行動異常もしくは脳内変化(臨床精神薬理,2019, 22,1045-1052)等の予防および改善に有効であると言われている。また、口腔内での短鎖脂肪酸の産生促進が歯周組織の恒常性または免疫応答の維持等に関与し、う蝕、歯周病または感染症等の予防および改善に有効であることが知られている(腸内細菌学雑誌, 2014, 28, 111-120)。このため、本発明の組成物および用剤は、上述の疾患の予防および改善を期待できる点で有利である。
本発明において短鎖脂肪酸とは、炭素数が6以下、好ましくは2~6の脂肪酸であり、例えば、酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、iso-酪酸、n-吉草酸、iso-吉草酸またはn-カプロン酸等が挙げられる。
腸内および/または口腔内における短鎖脂肪酸産生量は、例えば、腸内の場合には対象から大便等、口腔内の場合には対象から唾液等を検体としてそれぞれ採取し、ガスクロマトグラフィー等の分析装置を用いて分析することで、検体中における上記個々の短鎖脂肪酸の産生量またはその合計として評価できる。なお、本発明の腸内および/もしくは口腔内の環境の改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢の改善、または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸の産生促進により、腸管免疫および/もしくは口腔内免疫を介した免疫調節がなされることが期待される。
本発明の第四の面によれば、本発明の組成物および用剤は腸管および/または口腔内免疫調節を目的として使用することができる。腸内および/または口腔内の細菌の代謝産物である短鎖脂肪酸が、樹状細胞、B細胞、T細胞または制御性T細胞等の免疫細胞の分化誘導促進および/または免疫細胞の細胞死抑制により、腸管および/または口腔内の免疫状態を調節すること、また、前記免疫細胞は腸管パイエル板、腸間膜リンパ節または歯周組織等に存在することが知られている(Jpn. J. Clin. Immunol., 2017, 40(6), 408-415、腸内細菌学雑誌, 2014, 28, 111-120)。すなわち、本発明において「腸管および/または口腔内免疫調節」とは、腸管および/または口腔内免疫を介した免疫調節を意味し、腸管(特に腸管パイエル板および/または腸間膜リンパ節)および/または口腔内(特に歯周組織)に存在する免疫細胞(例えば、T細胞または制御性T細胞)を介した免疫系の調節を意味する。免疫細胞を介した免疫系の調節は、例えば、T細胞または制御性T細胞の分化誘導を促進することおよび/または免疫細胞の細胞死抑制によりなされる。
腸管および/または口腔内免疫調節の程度は、例えば、対象から末梢血または唾液を採取し、炎症性サイトカイン、炎症抑制性サイトカインまたはイムノグロブリン等の免疫調節に関与する因子の濃度を測定し、評価できる。例えば、炎症性サイトカインの濃度が高く、炎症抑制性サイトカイン(抗炎症性サイトカイン)の濃度が低い状態であれば免疫状態を賦活化したと評価でき、この逆であれば免疫状態を制御ないし抑制したと評価できる。また、イムノグロブリン(Ig)Aの濃度が高い状態であれば免疫状態が賦活化されたと評価できる。腸管免疫調節の程度はまた、対象から採取したリンパ球を解析することでも評価できる。例えば、CD86陽性細胞数が増加していれば免疫系の必要十分で適正な賦活化がなされたと評価でき、T細胞または制御性T細胞数が増加していれば免疫系の過剰な反応が抑制されたと評価できる。
本発明の第五の面によれば、本発明の組成物および用剤は気分状態の改善促進を目的として使用することができる。本発明において気分状態とは、例えば、公知の気分状態の測定または評価方法として知られるProfile of Mood States 2nd Edition(POMS2)において構成させる以下の7因子等が挙げられる。
(1)怒り-敵意:怒りまたは他者への反感の状態
(2)混乱-当惑:当惑または認知効率の低さ
(3)抑うつ-落ち込み:自信喪失感を伴う抑うつ気分
(4)疲労-無気力:疲労感、無気力、および活力低下
(5)緊張-不安:筋骨格系の緊張の高まり
(6)活気-活力:元気さ、躍動感および活力の高さ
(7)友好:他者に対してポジティブな感情を感じていること
また、本発明において改善促進とは、例えば標準または通常の状態と比較してネガティブな状態から標準または通常の状態に改善することも、例えば標準または通常の状態からポジティブな状態に促進することも、いずれの現象も含まれる。すなわち、本発明における気分状態の改善促進としては、例えば、日常生活においていらいらを感じることの多いもしくは不安を感じることの多い対象における、無気力状態、無気力感、抑うつ状態、抑うつ感、活力の低下、意欲低下、やる気の低下、不安な気分、不安の感じやすさ、長期的な不安感、主観的ストレス、ストレスの感じ方、知覚ストレス、日常的なストレスもしくは体の痛み等の改善が挙げられ、また精神的に健康な対象における、気力、活力、やる気、不安への耐性もしくはストレス耐性等の増強が挙げられる。本発明の組成物および用剤による対象の気分状態の改善促進は、公知の気分状態の測定または評価方法を用いて、本発明の組成物および用剤の対象への摂取または投与の前後の状態を比較することで測定または評価することができる。公知の気分状態の測定または評価方法としては、例えば、POMS2、Beck Depression Inventory 2nd Edition(BDI-II)、状態-特性不安検査(STAI)、知覚ストレス尺度(PSS)、やる気スコア、Sukemune-Hiew(S-H式)Resilience Test、Five Facet Mindfulness Questionnaire(FFMQ)または健康関連QOL等の尺度またはこれらの尺度を組み合わせて用いた測定または評価方法が挙げられる。また、例えば、POMS2におけるTotal Mood Disturbance(TMD)またはMOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36(登録商標))等、公知の総合的な気分状態の測定または評価方法を用いることができる。
上述の通り、本発明の組成物および用剤は、腸内および/もしくは口腔内の環境の改善、または腸内および/もしくは口腔内の菌叢の改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、腸管および/もしくは口腔内免疫調節、または気分状態の改善促進を目的に使用できることから、本発明の組成物および用剤を摂取させるまたは投与する対象としては、上述の疾患を有する対象および健康な対象のいずれも含まれるが、健康な対象(対象がヒトの場合、健常人)が好ましい。以下、本明細書において、投与と摂取とを同じ意味として用いることがある。
一般的に腸内および/または口腔内の環境は加齢(特に老化)に伴って変化する傾向にある(Odamaki et al. BMC Microbiology (2016) 16:90)。したがって本発明の組成物および用剤を摂取させる対象の年齢は特に限定されないが、本発明の組成物および用剤は、好ましくは中高年の対象(対象がヒトであれば、例えば、50歳以上の者)に摂取させるためのものとすることができ、特に好ましくは高齢の対象(対象がヒトであれば、例えば、65歳以上の者)に摂取させるためのものとすることができる。すなわち、本発明の組成物および用剤は、好ましくは中高年または高齢の対象を摂取対象とすることができる。本発明の組成物および用剤はまた、食事、抗菌薬またはストレス等の加齢以外の理由により腸内環境が変化した対象に摂取させるためのものとすることもできる。
本発明の組成物および用剤は、医薬品(例えば、医薬組成物)、医薬部外品、食品(例えば、食品組成物)、飼料(ペットフード含む)等の形態で提供することができ、下記の記載に従って実施することができる。
本発明の有効成分は、ヒトおよび非ヒト動物を対象として投与することができ、好ましくは経口投与することである。代表的な投与形態は医薬品または医薬部外品であり、本発明の有効成分を含有する製剤としては、経口投与に適切な剤形であれば特に限定されないが、例えば、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤または懸濁剤等が挙げられる。これらの製剤は、当該分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤または防腐剤等が挙げられる。このような製剤化した製剤には、通常本発明の有効成分を有効量含有する。
また、本発明の有効成分は、ヒトおよび非ヒト動物を対象として摂取させることができ、好ましくは経口摂取させることである。経口摂取において、代表的な摂取形態は食品である。本発明の有効成分を食品として提供する場合には、それを食品に含有させて提供することができる。このようにして提供された食品は本発明の有効成分を有効量含有した食品である。本明細書において、本発明の食品において有効成分を「有効量含有した」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に後述するような範囲で本発明の有効成分が摂取されるような含有量をいう。また「食品」とは、日常摂取する食品に加え、例えば、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、保健機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)、特別用途食品(例えば、幼児用食品、妊産婦用食品、病者用食品等)およびサプリメント等を含む意味で用いられる。なお、本発明の有効成分をヒト以外の動物に摂取させる場合には、本発明でいう食品が飼料として使用されることはいうまでもない。
本発明の有効成分は、上記のような腸内および/または口腔内の環境の改善効果等を有するため、日常摂取する食品に含有させることができ、あるいは、サプリメントとして提供することができる。すなわち、本発明の組成物および用剤は食品の形態で提供することができる。この場合、本発明の組成物および用剤は1食当たりに摂取する量が予め定められた単位包装形態で提供することができる。1食当たりの単位包装形態としては、例えば、パック、包装、缶またはボトル等で一定量を規定する形態が挙げられる。本発明の組成物および用剤の各種作用をよりよく発揮させるためには、後述する、本発明の有効成分の1日当たりの摂取量に従って1食当たりの摂取量を決定できる。本発明の食品は、摂取量に関する説明事項が包装に表示されるか、または説明事項が記載された文書等と一緒に提供されてもよい。
単位包装形態においてあらかじめ定められた1食当たりの摂取量は、1日当たりの有効摂取量であっても、1日当たりの有効摂取量を2回またはそれ以上(好ましくは2または3回)に分けた摂取量であってもよい。従って、本発明の組成物および用剤の単位包装形態には、後述のヒト1日当たりの摂取量で本発明の有効成分を含有させることができ、あるいは、後述のヒト1日当たりの摂取量の2分の1から20分の1の量で本発明の有効成分を含有させることができる。本発明の組成物および用剤は、摂取の便宜上、1食当たりの摂取量が1日当たりの有効摂取量である、「1食当たりの単位包装形態」で提供することが好ましい。
「食品」の形態は特に限定されるものではなく、例えば、飲料の形態であっても、半液体やゲル状の形態であっても、固形状や粉末状の形態であってもよい。また、「サプリメント」としては、本発明の有効成分に賦形剤、結合剤等を加え練り合わせた後に打錠することにより製造された錠剤や、カプセル等に封入されたカプセル剤が挙げられる。サプリメントとして提供するときは、上述の1食当たりの単位包装形態とするほか、1日当たり、1週間当たりまたは1月当たりの単位包装形態として提供することも好適である。
本発明で提供される食品は、本発明の有効成分を含有する限り、特に限定されるものではないが、例えば、清涼飲料水、炭酸飲料、果汁入り飲料、野菜汁入り飲料、果汁および野菜汁入り飲料、牛乳等の畜乳、豆乳、乳飲料、ドリンクタイプのヨーグルト、ドリンクタイプもしくはスティックタイプのゼリー、コーヒー、ココア、茶飲料、栄養ドリンク、エナジー飲料、スポーツドリンク、ミネラルウォーター、ニア・ウォーターまたはノンアルコールのビールテイスト飲料等の非アルコール飲料;飯類、麺類、パン類またはパスタ類等の炭水化物含有飲食品;カマンベールチーズ等のナチュラルチーズ類またはプロセスチーズ類等のチーズ含有食品;ハードタイプもしくはソフトタイプのヨーグルト、畜乳その他の油脂原料による生クリーム、またはアイスクリーム等の乳製品;クッキー、ケーキもしくはチョコレート等の洋菓子類、饅頭もしくは羊羹等の和菓子類、ラムネ等のタブレット菓子(清涼菓子)、キャンディー類、ガム類、ゼリーもしくはプリン等の冷菓、氷菓、煎餅等の米菓またはスナック菓子等の各種菓子類;ウイスキー、バーボン、スピリッツ、リキュール、ワイン、果実酒、日本酒、中国酒、焼酎、ビール、アルコール度数1%以下のノンアルコールビール、発泡酒、その他雑酒または酎ハイ等のアルコール飲料;卵を用いた加工品、魚介類もしくは畜肉(レバー等の臓物を含む)の加工品(珍味を含む)、味噌汁等のスープ類等の加工食品;みそ、しょうゆ、ふりかけもしくはその他シーズニング調味料等の調味料;濃厚流動食等の流動食等が挙げられる。なお、ミネラルウォーターは、発泡性および非発泡性のミネラルウォーターのいずれもが包含される。また、本発明で提供される食品には、食品製造原料および食品添加物のいずれもが含まれる。
茶飲料としては、発酵茶、半発酵茶および不発酵茶のいずれもが包含され、例えば、紅茶、緑茶、麦茶、玄米茶、煎茶、玉露茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ウコン茶、プーアル茶、ルイボスティー、ローズ茶、キク茶、イチョウ葉茶またはハーブ茶(具体的には、ミント茶もしくはジャスミン茶等)等が挙げられる。
果汁入り飲料、または果汁および野菜汁入り飲料に用いられる果物としては、例えば、リンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、ナシ、モモ、マンゴー、アサイー、ブルーベリーまたはウメ等が挙げられる。また、野菜汁入り飲料、または果汁および野菜汁入り飲料に用いられる野菜としては、例えば、トマト、ニンジン、セロリ、カボチャ、キュウリまたはスイカ等が挙げられる。
本発明の有効成分の摂取(投与)量は、受容者の性別、年齢および体重、症状、摂取(投与)タイミング、摂取(投与)時間、剤形、摂取(投与)経路並びに組み合わせる薬剤等に依存して決定できる。腸内および/もしくは口腔内の環境改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節、または気分状態の改善促進を目的としたホエイ分解物のヒト成人1日当たりの摂取量(固形分換算)は、例えば、1~50000mg(好ましくは10~10000mg、より好ましくは100~5000mg)であり、GTWYの成人1日当たりの摂取量(固形分換算)は、例えば、0.001~1000mg(好ましくは0.01~500mg、より好ましくは0.05~5mg)であり、WYの成人1日当たりの摂取量(固形分換算)は、例えば、0.001~500mg(好ましくは0.01~100mg、より好ましくは0.05~3mg)である。上記の本発明の有効成分の摂取量および下記摂取タイミングおよび摂取期間は、本発明の有効成分を非治療目的および治療目的のいずれで使用する場合にも適用があり、治療目的の場合には摂取は投与に読み替えることができる。なお、本発明の有効成分はヒト以外の哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル、イルカまたはアシカ等)に対しても摂取させることができ、摂取量、摂取タイミングおよび摂取期間は上述のヒトに関する記載を参考にして決定することができる。
本発明の有効成分は、腸内および/もしくは口腔内の環境改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節、または気分状態の改善促進の効果が期待される期間内は摂取を継続することが好ましい。本発明の有効成分の摂取期間は、例えば、上記1日量での摂取を少なくとも7日間(好ましくは少なくとも14日間、より好ましくは少なくとも42日間)である。また、本発明の有効成分の摂取間隔として、例えば、上記1日量での摂取を3日に1回、2日に1回または1日1回とすることができ、1日量の摂取を1日当たり2回またはそれ以上(好ましくは2または3回)に分けることもできる。
本発明の組成物および用剤並びに食品には、腸内および/もしくは口腔内の環境改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、または腸管および/もしくは口腔内の免疫調節の効果を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の組成物および用剤並びに食品には以下の一部または全部の表示が付されてもよい。なお、本発明において「腸内および/もしくは口腔内の環境改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、または腸管および/もしくは口腔内の免疫調節の効果」が以下の表示を含む意味で用いられることはいうまでもない。
・腸内フローラを改善したい方に
・おなかの調子を整えたい方に
・便通を改善したい方に
・口内フローラを改善したい方に
・口臭を予防、改善したい方に
・口内のねばつきを改善したい方に
また本発明の組成物および用剤並びに食品には、気分状態の改善促進効果を有する旨の表示が付されてもよい。この場合、消費者に理解しやすい表示とするため本発明の組成物および用剤並びに食品には以下の一部または全部の表示が付されてもよい。なお、本発明において「気分状態の改善促進効果」が以下の表示を含む意味で用いられることはいうまでもない。
・いろいろなことが心配な方に
・やる気が落ちやすい方に
・意欲、モチベーションまたは気力の低下が気になる方に
・落ち込みやすい方に
・前向きでいたい方に
・抑うつ感を感じやすい方に
・ストレスを感じやすい方に
・不安を感じやすい方に
・いらいらすることが多い方に
本発明の別の面によれば、GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の環境改善方法、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善方法、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進方法、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節方法、または気分状態の改善促進方法が提供される。本発明の別の面によればまた、GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の環境改善方法、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善方法、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進方法、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節方法、または気分状態の改善促進方法が提供される。本発明の方法は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
本発明のさらに別の面によれば、腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節剤、または気分状態の改善促進剤の製造のための、腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節剤、または気分状態の改善促進剤としての、あるいは本発明の腸内および/もしくは口腔内の環境改善方法、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善方法、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進方法、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節方法、または気分状態の改善促進方法における、GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物の使用が提供される。本発明の別の面によれば、腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節剤、または気分状態の改善促進剤の製造のための、腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節剤、または気分状態の改善促進剤としての、あるいは本発明の腸内および/もしくは口腔内の環境改善方法、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善方法、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進方法、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節方法、または気分状態の改善促進方法における、GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドの使用が提供される。本発明の使用は、本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
本発明のさらにまた別の面によれば、腸内および/もしくは口腔内の環境改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節、または気分状態の改善促進方法に用いるための、GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物が提供される。
本発明の別の面によれば、腸内および/もしくは口腔内の環境改善、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善、腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節、または気分状態の改善促進に用いるための、GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドが提供される。上記のホエイタンパク質酵素分解物および2種のペプチドは、それぞれ本発明の組成物および用剤に関する記載に従って実施することができる。
本発明の方法および本発明の使用はヒトを含む哺乳動物における使用であってもよく、治療的使用と非治療的使用のいずれもが意図される。本明細書において、「非治療的」とはヒトを手術、治療または診断する行為(すなわち、ヒトに対する医療行為)を含まないことを意味し、具体的には、医師または医師の指示を受けた者がヒトに対して手術、治療または診断を行う方法を含まないことを意味する。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:WYペプチドによる腸内環境改善(1)
例1では、動物モデルを使用してWYペプチドによる腸内環境改善の効果を評価した。
(1)方法
ア 実験手順
動物モデルとしてC57BL/6J雄性マウス(日本チャールス・リバー社、以下、単に「本マウス」ということがある)を使用した。日本チャールス・リバー社の資料によれば(https://www.crj.co.jp/cms/cmsrs/img/usr/top/B6-Aged.pdf)、本マウスはジャクソン研究所により開発され、加齢研究に広く使われているものであり、本マウス32匹を観察した結果、100週齢で死亡個体が発生し、170週齢までにすべての個体が死亡したことが公開されている(マウス・フェノーム・データベース(https://www.phenome.jax.org/)参照)。本マウスとヒトとの生涯の対応は、それぞれヒト20~30歳が本マウス3~6月齢(成熟個体)、ヒト38~47歳が本マウス10~14月齢(中年個体)、ヒト56~69歳が本マウス18~24月齢(老年個体)である。
例1では、本マウスを訓化飼育した後、6月齢の個体をWY摂取群15匹、非摂取群15匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。WY摂取群にはWYペプチドを乾燥質量換算で0.05%(w/w)を含む精製飼料(AIN-93M、オリエンタル酵母社)を自由摂食させた。非摂取群にはWYペプチドを含まないAIN-93Mを自由摂食させた。3ヶ月の摂取期間終了後、盲腸内容物および糞便を採取し、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸の定量および糞便中の菌叢解析をテクノスルガ・ラボ社にて下記イ、ウに記載の通り行った。また、摂取期間を1.5ヶ月とした場合についても同様の手順で短鎖脂肪酸の定量を行った。
イ 短鎖脂肪酸の定量
短鎖脂肪酸量の定量は常法に従いガスクロマトグラフィー(GC)法にて行った。具体的には、サンプリングした試料100mgをビーズチューブに精秤し、9倍量の0.5%リン酸溶液を加えて混合後に85℃で15分の熱処理をした。試料を破砕後に冷却し、遠心(14000rpm、10分)後の上清を新しいチューブに移し等量の酢酸エチルを加えて混合し、再度遠心(14000rpm、10分)した。酢酸エチル層をバイアルに移し、内部標準物質(4-メチル吉草酸)を加えて測定試料とした。測定は分離・検出システムGC-FID(7890B、Agilent Technologies)を使用して表1の条件下で行い、濃度換算は標準品による絶対検量線法により行った。
ウ 菌叢解析
シーケンシング
菌叢解析は、試料中に含まれる細菌について、次世代シーケンス・アンプリコン解析によって得られた検体由来の16SrDNA部分塩基配列を決定し、微生物同定データベースによる検索を行った。具体的には、サンプリングした試料について、Takahashiらの方法(PLoS One 2014;9:e105592.)により前処理、粗抽出操作を行い、DNA自動分離装置(GENE PREP STAR PI-480、倉敷紡績社)および組織DNA分離用試薬キット(NR-201、倉敷紡績社)を使用してDNAを精製した。DNA濃度および純度が適切であると確認し、PCR法にて16SrDNAを増幅させた後、その配列を決定した。PCRは34lf-R806およびDual-index(8-bp barcode)を使用し(Appl Environ Microbiol 1993;59:695-700、Proc Natl Acad Sci USA 2011;108 Suppl 1:4516-4522.)、前記Takahashiらの条件に従って行った。配列決定は次世代シーケンス・アンプリコン解析により行った。次世代シーケンスはMiSeq(Illumina)装置を使い、該装置に付属するプロトコルの条件にて、MiSeq Reagent Kit v3(600サイクル)(Illumina)を使用して行った。fastqペアエンドの連結はfastq―join(デフォルトの条件)、クオリティーフィルタリングは配列の99%以上がQuality Value20以上を満たす配列とした。
データベース検索
微生物同定データベースDB-BA13.0(TechnoSurugaLaboratory)およびMetagenome@KIN(World Fusion)ソフトウェアを使用し、相同率97%以上となる分類群(界~種)を抽出した(Appl Environ Microbiol 1993;59:695-700、Proc Natl Acad Sci USA 2011;108 Suppl 1:4516-4522.、Arch Microbiol 2015;197:19-934.、BMC Gastroenterol 2015;15:100.)。
エ 統計学的解析
配列を決定した16SrDNAの総数(総リード数)に対する特定の分類群に該当するリード数の割合(%)を求め、群ごとに平均値±標準誤差で記載した。群間の評価はT検定により行い、危険率P<0.05%であった場合に比較した両群間に有意差ありとした。
(2)結果
ア 短鎖脂肪酸の定量
酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、iso―酪酸、n-吉草酸、iso―吉草酸、n-カプロン酸の7物質を分析対象の短鎖脂肪酸としたが、n-カプロン酸はほとんどの検体で定量下限以下であったため評価対象外とした。図1に示す通り、WY摂取群(摂取期間:1.5ヶ月)は非摂取群と比較して酢酸および6種の短鎖脂肪酸合計量が有意に増加した。また、図2に示す通り、3ヵ月WY摂取群(摂取期間:3ヶ月)は、非摂取群と比較して酢酸、6種の短鎖脂肪酸合計量に加え、n-酪酸も有意に増加した。
イ 菌叢解析
図3に示す通り、WY摂取群(摂取期間:3ヶ月)は非摂取群と比較して総リード数に対するActinobacteria門の割合が有意に増加し、Firmicutes門の割合が有意に減少した。また、図4に示す通り、WY摂取群(摂取期間:3ヶ月)は非摂取群と比較して総リード数に対するBifidobacterium属の割合が有意に増加し、Clostridium属およびRomboutsia属の割合が有意に減少した。さらに、図5に示す通り、3ヵ月WY摂取群は非摂取群と比較して、総リード数に対するBifidbacterium pseudolongumの割合が有意に増加した。
ウ 小括
これらの結果よりWYペプチドの投与は腸内菌叢を変化させ、短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
例2:WYペプチドによる腸内環境改善(2)
例2では、66週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用してWYペプチドによる腸内環境改善の効果を評価した。
(1)方法
66週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用し、試験飼料摂取期間を4.5ヶ月とした。WY摂取群12匹、非摂取群13匹にそれぞれ体重の偏りのないように分け、飼育中に自然死した個体を除き、WY摂取群9匹、非摂取群10匹について評価した。前記以外の条件や方法については、例1(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
(2)結果
図6に示す通り、WY摂取群は、非摂取群と比較して酢酸および6種の短鎖脂肪酸合計量が有意に増加し、n-酪酸も増加傾向を示した。ここで、マウスは試験飼料摂取開始時にヒト中年に、摂取終了時にはヒト老年に換算される。したがって、WYの摂取は中高年者においても短鎖脂肪酸量を増加させ、腸内環境を改善することが示された。
例3:WYペプチドによる腸内免疫に対する影響
例3では、被験物質WYペプチドについて、被験物質摂取マウスおよび非摂取マウスの腸間膜リンパ節の免疫細胞を比較検討した。
(1)方法
ア 実験手順
C57BL/6J雄性マウスを馴化飼育した後、3月齢の個体を使用し、WY摂取群10匹、非摂取群10匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。WY摂取群にはWYペプチドを乾燥質量換算で0.05%(w/w)を含む精製飼料(AIN-93M、オリエンタル酵母社)を自由摂食させた。非摂取群にはWYペプチドを含まないAIN-93Mを自由摂食させた。3ヶ月の摂取期間終了後、腸間膜リンパ節を摘出した。摘出した腸間膜リンパ節をコラゲナーゼ4(ロシュ社)で処理を行い、70μmのセルストレーナーで濾過し、リンパ球を回収した。その後、回収したリンパ球について、下記イに記載の方法により解析を行った。なお、下記イにおいて、供給元を記載しない試薬はeBioscience社から入手した。
イ リンパ球解析
樹状細胞の解析
回収したリンパ球を常法に従いFITC-I-A/I-E、PE-PDL-1、PE-CD80、FITC-CD86、CD11b-APC-Cy7(BD Pharminge)、CD11c-PE-Cy7で染色し、フローサイトメーター(BD CANTO2)を用いて樹状細胞を解析した。
T細胞の解析
回収したリンパ球を常法に従いLeukocyte、Activation、Cocktail、with、BD、GolgiPlug(BD Pharminge)で4時間半処理し、Cell Fixation/Permeabilization Kitを用いてCD4-APC、TNF-α-FITC、IFN-γ-PE-Cy7抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。
制御性樹状細胞の解析
回収したリンパ球を常法に従いFoxp3 staining kitを用いて、CD3e-PerCP、CD4-APC、CD25-APC-Cy7、Foxp3-PE-Cy7抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。
ウ 統計学的解析
測定値は平均値±標準誤差で記載した。群間の評価はT検定で行い、危険率P<0.05%であった場合に比較した両群間に有意差ありとした。
(2)結果
図7に示す通り、WY摂取群は非摂取群と比較して、CD11bCD11cmyeloid樹状細胞のI-A/I-E、CD86が有意に増加し、PDL-1、CD80も増加傾向を示した。また、CD3eCD4T細胞中のTNF-α陽性CD4T細胞の割合に変化はなかったものの、IFN-γ陽性CD4T細胞の割合が増加傾向を示した。このことから、免疫系が必要十分かつ適正に賦活化されたといえる。一方で、CD3eCD4T細胞中のCD4CD25Foxp3制御性T細胞の割合が有意に増加したことから、免疫系の過剰な反応が抑制されたといえる。これらの結果よりWY摂取が腸管免疫を調節することが示された。
例4:GTWYペプチドによる腸内環境改善
例4では、C57BL/6J雄性マウスを使用してGTWYペプチドによる腸内環境改善の効果を評価した。
(1)方法
62週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用し、試験飼料GTWYペプチド(Bachem社)の摂取期間は8.5ヶ月とした。GTWY摂取群8匹、非摂取群12匹をそれぞれ体重の偏りのないように分けた。前記以外の条件や方法については、例1(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
(2)結果
図8に示す通り、GTWY摂取群は、非摂取群と比較してプロピオン酸、n-酪酸およびn-吉草酸が有意に増加し、iso-酪酸も増加傾向を示した。これらの結果よりGTWYの投与は短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
例5:ホエイ分解物による腸内環境改善(1)
例5では、Crl:CD1(ICR)雄性マウス(日本チャールスリバー社)を使用してホエイ分解物(雪印メグミルク社、HW-3)による腸内環境改善の効果を評価した。
(1)方法
Crl:CD1(ICR)雄性マウスを訓化飼育した後、6.5月齢の個体をホエイ分解物摂取群7匹、非摂取群10匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。摂食期間を3ヶ月として、ホエイ分解物摂取群には、ホエイ分解物を乾燥質量換算で5%(w/w)を含む精製飼料(AIN-93M、オリエンタル酵母社、タンパク質量を14%に調整)を自由摂食させた。非摂取群にはホエイ分解物を含まないAIN-93M(カゼイン量14%)を自由摂食させた。前記以外の条件や方法については、例1(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
(2)結果
ア 短鎖脂肪酸の定量
図9に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して酢酸、n-酪酸および6種の短鎖脂肪酸合計量が有意に増加し、プロピオン酸も増加傾向を示した。これらの結果よりホエイ分解物の投与は短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
イ 菌叢解析
図10に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して、総リード数に対するBacteroidetes門の割合が有意に減少し、Actinobacteria門の割合が有意ではないが増加した。また、図11に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して総リード数に対するBacteroides属の割合が有意に減少し、Romboutsia属の割合が有意ではないが減少し、Bifidobacterium属、Lactobacillus属の割合が有意ではないが増加した。さらに、図12に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して、総リード数に対するClostridium scindensの割合が有意に減少し、Romboustia ilealisの割合が有意ではないが減少し、Bifidbacterium pseudolongumの割合が有意ではないが増加した。
ウ 小括
これらの結果からホエイ分解物の投与は腸内菌叢を変化させ、短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
例6:ホエイ分解物による腸内環境改善(2)
例6では、62週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用してホエイ分解物による腸内環境改善の効果を評価した。
(1)方法
62週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用し、試験試料としてホエイ分解物を用い摂食期間を8.5ヶ月とした。ホエイ分解物摂取群15匹、非摂取群12匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。前記以外の条件や方法については、例1(1)および例5(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
(2)結果
図13に示す通り、ホエイ分解物摂取群、非摂取群と比較してプロピオン酸、n-酪酸およびn-吉草酸が有意に増加し、iso-酪酸も増加傾向を示した。ここで、マウスは試験飼料摂取開始時にヒト中年に、摂取終了時にはヒト老年に換算される。したがって、ホエイ分解物の摂取は老年対象者(ヒト56~69歳)においても短鎖脂肪酸量を増加させ、腸内環境を改善することが示された。
例7:ホエイ分解物中のテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYの含有量の測定
(1)分析試料の調製
ホエイ分解物(HW-3、雪印メグミルク社)に滅菌水を加え適宜希釈・ろ過して測定試料とした。上記ホエイ分解物(HW-3)は、ホエイタンパク質にタンパク質分解酵素を含む酵素製剤を作用させ、次いで膜処理を行って未分解物を除去し、乾燥させて得られた製品であり、後述のようにテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYを含有するものである。
(2)分析方法
上記(1)で得られた測定試料中のテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYの濃度をLC-MS/MS法により下記の分析条件で定量した。なお、AQUA Peptide(Sigma Aldrich)を標準試料とする検量線法により測定試料のGTWY濃度、WY濃度を算出した。
<分析条件>
質量分析装置:4000Q TRAP(エービー・サイエックス社)
HPLC装置:Agilent 1200 Series(アジレント・テクノロジー社)
カラム:TSK gel ODS-100V 3μm 2.0mm I.D.×150mm(東ソー社)
カラム温度:70℃
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
グラジエント条件:表4に示すグラジエント条件を適用した。
流量:0.2mL/分
試料注入量:2μL
イオン化法:ESI(正イオン検出モード)
カーテンガス:40psi
ネブライザーガス:50psi
乾燥ガス:80psi
乾燥ガス温度:600℃
コリジョンガス:窒素
イオン化電圧:5000V
<テトラペプチドGTWYの分析条件>
設定質量数(m/z)/コリジョンエネルギー(eV):526.4→159.2/47、526.4→368.3/23
DP電圧(V):36
<ジペプチドWYの分析条件>
設定質量数(m/z)/コリジョンエネルギー(eV):368.2→351.1/19、368.2→159.2/33
DP電圧(V):51
(3)分析結果
ホエイ分解物(HW-3)1g中にテトラペプチドGTWYは1.62mg、ジペプチドWYは0.60mg、それぞれ含まれていることが確認された。
例8:ヒトを対象としたホエイ分解物による気分状態、健康関連QOL、唾液免疫指標および腸内環境改善効果の検証試験
例8では、ヒトを対象とした臨床試験においてホエイ分解物(雪印メグミルク社、HW-3)による気分状態、健康関連QOL(Quality of Life)、唾液免疫指標および腸内環境改善効果を検証した。
(1)試験の概要
本試験は、プラセボを対照としたランダム化二重盲検並行群間比較試験とした。試験期間は6週間とし、試験期間中は後述の試験食品または対象食品を摂取させた。具体的には、日常生活でいらいらを感じることが多い、もしくは不安を感じることが多い45歳以上64歳以下の健常な男女に試験食品として「ホエイ分解物含有タブレット」を、対照食品として「ホエイ分解物非含有タブレット」をそれぞれ摂取させて、ホエイ分解物の気分状態、健康関連QOL、唾液免疫指標および腸内環境に及ぼす効果を検証した。
(2)被験者
事前検査において心理的な健康度が低く、医師から健常と判断された者を試験食品群(30名)と対照食品群(30名)に無作為に割付した。解析対象者は、試験食品群では28名(男性19名、女性9名)、対照食品群では28名(男性20名、女性8名)であり、解析対象者の年齢(平均値±標準偏差)は試験食品群では54.3±4.8歳、対照食品群では53.6±5.5歳であった。被験者には試験期間中は試験期間前と同様の生活を継続させた。
(3)被験食品
試験期間中(6週間)、試験食品群には6粒の試験食品を、対照食品群には6粒の対照食品を1日1回水またはぬるま湯とともに毎日摂取させた。
ア 被験食品の調製
試験食品として、ホエイ分解物(HW-3、雪印メグミルク社)と、賦形剤および結合剤を混合して練り合わせた後、打錠することによりホエイ分解物含有タブレット(300mg/粒)を製造した。タブレット1粒中のホエイ分解物の含有量は168mgであった。対照食品は、ホエイ分解物に代えてマルトデキストリンを168mg配合したホエイ分解物非含有タブレットを用いた。
イ 被験食品の分析
上記(ア)で調製したタブレット30粒(9g)を乳鉢でよくすりつぶし、滅菌水を用いて0.01または0.02%(w/v)溶液をそれぞれ調製した。溶液を遠心分離(15,000rpm、室温、3分)して得られた上清を限外ろ過し(0.2μmフィルター)、ろ液を0.1%(w/v)ギ酸含有20%アセトニトリルで5倍希釈して測定試料とした。測定試料中のテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYの量を、例7(2)に記載の分析方法を用いて測定した。
ウ 被験食品の分析結果
ホエイ分解物含有タブレット1粒(300mg)中に、テトラペプチドGTWYは0.27mg(0.090質量%)、ジペプチドWYは0.11mg(0.036質量%)それぞれ含まれることを確認した。ホエイ分解物非含有タブレット中のテトラペプチドGTWY、ジペプチドWYはいずれも検出限界以下であることを確認した。
(4)測定
ア 測定項目
測定項目は、以下の項目とした。
(i)気分状態
・状態-特性不安検査(本明細書において、「STAI」ということがある。)
・知覚ストレス尺度(本明細書において「PSS」ということがある。)
・やる気スコア
(ii)健康関連QOL
・SF-36v2日本語版アキュート版(本明細書において「SF-36」ということがある。)
(iii)唾液免疫指標
・唾液中免疫グロブリンA量(本明細書において、「IgA」ということがある。)
(iv)腸内環境
・糞便中短鎖脂肪酸量(酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、iso-酪酸、n-吉草酸、iso-吉草酸、n-カプロン酸)
イ 測定時期
(i)気分状態
STAI、PSSおよびやる気スコアは試験食品摂取開始前(0週目)、試験食品摂取開始後6週目の被験者の来院時に各1回(合計2回)実施した。
(ii)健康関連QOL
SF-36は、試験食品摂取開始前(0週目)、試験食品摂取開始後2週目、4週目、6週目に被験者の自宅にて各1回(合計4回)実施した。
(iii)唾液免疫指標
唾液サンプルは試験食品摂取開始前(0週目)、試験食品摂取開始後6週目の被験者の来院時に各1回(合計2回)採取し、それぞれ摂取0週目、摂取6週目サンプルとした。採取後に遠心分離した上清を冷凍保管し、6週目サンプル回収後に0週目サンプルおよび6週目サンプルを同時に測定した。
(iv)腸内環境
糞便回収は、試験食品摂取開始予定日7日前から前日までに1回、試験食品摂取終了予定日7日前から前日までに1回(合計2回)採取し、それぞれ摂取0週目、摂取6週目サンプルとした。糞便サンプルは保冷状態で回収、冷凍保管を行い、6週目サンプル回収後に0週目サンプルおよび6週目サンプルを同時に測定した。
ウ 測定方法
(i)気分状態
来院時において、被験者には、STAI、PSSおよびやる気スコアの質問紙に回答を記入させた。STAIは、不安について状態不安(回答時に感じている不安、短期的な不安)および特性不安(回答者の性格としての不安の感じやすさ、長期的な不安)にわけて評価する質問紙であり、状態不安項目である20項目および特性不安項目である20項目からなる質問紙である。点数が高いほど不安度が高いことを示す(参考文献:『精神・心理機能評価ハンドブック』、238-239頁、山内俊雄、鹿島晴雄ほか、中山書店)。PSSは、主観的なストレスを評価する質問紙であり、点数が高いほど主観的ストレスの感じ方が高いことを示す(参考文献:『知覚されたストレス尺度(Perceived Stress Scale)日本語版における信頼性と妥当性の検討』、健康心理学研究19 巻(2006)2号、鷲見克典)。やる気スコアはアパシー(意欲低下状態)を判定するために用いられる、14項目からなる質問紙である。点数が高いほど意欲低下状態であることを示す(参考文献:『精神・心理機能評価ハンドブック』、462-463頁)。
(ii)健康関連QOL
被検者に自宅でSF-36v2日本語版アキュート版に回答させた。SF-36は国際的に広く使われる健康関連QOLの評価方法であり、身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)および心の健康の8つの健康概念を測定するための36項目で構成されている。また、8つの下位尺度から日本語版の2つのコンポーネント・サマリースコア(身体的側面のQOL、精神的側面のQOL)を算出した。点数が高いほどQOLが高いことを示す(参考文献:『精神・心理機能評価ハンドブック』、205-206頁)。
(iii)唾液免疫指標
被験者は来院後に水でうがいをし、15分間座位にて安静にした後、唾液の採取を行った。唾液採取はサリソフト(ザルスタット社)を用いて行った。サリソフト付属のスポンジを2~3分間口の中に含み、唾液をスポンジに染み込ませ、2~3分後にスポンジをサリソフトに戻した。得られたサリソフトを遠心分離(2,000rpm、室温、5分間)し、得られた唾液(約1g程度)をマイクロチューブに分注し、-80℃で凍結した。凍結サンプルは4℃、一晩で融解し測定に供した。唾液中IgAはSecretory Immunoglobulin A Salivary Immunoassay Kit(サリメトリックス社)を用いて、キット付属のプロトコルに従い定量した。
(iv)腸内環境
摂取0週目および摂取6週目の糞便サンプル中の短鎖脂肪酸の定量は、例1(1)に記載の分析方法と同様にガスクロマトグラフィーを用いて実施した。
(5)評価と解析
ア 気分状態
STAI、PSSおよびやる気スコアは摂取0週目、摂取6週目それぞれの実測値を取得した後、摂取6週目での摂取0週目からの変化量を算出した。やる気スコアについては性別による層別解析を行い、女性を対象として評価を実施した。被験食品群および対照食品群において、各評価項目の摂取6週目の実測値および変化量をMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。また、被験食品群および対照食品群それぞれにおいて摂取0週目および摂取6週目の実測値をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて比較した。
イ 健康関連QOL
被験食品群および対照食品群におけるSF-36について、摂取2週目、摂取4週目および摂取6週目における摂取0週目からの変化量を、2標本t検定を用いて、比較した。また、被験食品群および対照食品群において摂取2週目、摂取4週目および摂取6週目の実測値を、2標本t検定を用いて、比較した。また、各群それぞれにおいて摂取2週目、摂取4週目および摂取6週目の実測値と摂取0週目の実測値とを、1標本t検定を用いて比較した。
ウ 唾液免疫指標
唾液中IgA量は、摂取0週目、摂取6週目それぞれの実測値を取得した後、摂取6週目での摂取0週目からの変化量を算出した。被験食品群および対照食品群において摂取6週目の実測値および変化量を、2標本t検定を用いて、評価した。また、被験食品群および対照食品群それぞれにおいて摂取0週目および摂取6週目の実測値を、1標本t検定を用いて、比較した。
エ 腸内環境
短鎖脂肪酸の解析は、年齢が高い被験者(年齢の中央値である54.5歳以上)を対象とした層別解析により実施した。糞便中短鎖脂肪酸量は、摂取0週目、摂取6週目それぞれの実測値を取得した後、摂取6週目での摂取0週目からの変化量を算出した。被験食品群および対照食品群において摂取6週目の実測値および変化量を、2標本t検定を用いて、評価した。また、被験食品群および対照食品群それぞれにおいて摂取0週目および摂取6週目の実測値を、1標本t検定を用いて、比較した。短鎖脂肪酸のうちiso-酪酸、n-吉草酸、iso-吉草酸およびn-カプロン酸において、0週目または6週目のどちらかの時点で定量下限値0.3μmol/g未満の値を示した被験者については、該当項目を欠損値とした。
(6)結果
ア 気分状態
STAIの結果は表3に示される通りであった。STAIにおいて、被験食品群での特性不安の得点変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に低下(改善)した(p=0.046)。この結果から、ホエイ分解物は、特性不安(不安の感じやすさ、長期的な不安感)を改善することが示された。
PSSの結果は表4に示される通りであった。PSSにおいて、被験食品群での得点変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に低下(改善)した(p=0.043)。この結果から、ホエイ分解物は、主観的ストレスを改善することが示された。
やる気スコアの結果は表5に、女性を対象としたやる気スコアの層別解析結果は表6にそれぞれ示される通りであった。やる気スコアにおいて、摂取6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に低下(改善)した(p=0.004)。一方、摂取6週目での対照食品群の得点は0週目と比較して統計学的に有意な変化は認められなかった(p=0.796)。また、女性を対象としたやる気スコアにおいて、被験食品群での得点変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に低下(改善)した(p=0.047)。この結果から、ホエイ分解物は、意欲を改善することが示され、特に女性において顕著に意欲を改善することが示された。
イ 健康関連QOL
SF-36の結果は表7に示す通りであった。「体の痛み」において、摂取6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(p=0.043)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(p=0.674)。また、被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して増加(改善)する傾向を示した(p=0.060)。「活力」において、摂取6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して有意に増加(改善)した(p=0.011)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(p=0.194)。また、被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(p=0.033)。「心の健康」において、摂取4週目および6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(それぞれp=0.030、p=0.019)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.461、p=0.998)。また、被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して増加(改善)する傾向を示した(p=0.079)。「精神的健康(サマリースコア)」において、摂取4週目および6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(それぞれp=0.045、p=0.013)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.606、p=0.850)。被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(p=0.039)。これらの結果から、ホエイ分解物は「体の痛み」、「活力」、「心の健康」および「精神的健康」等の健康関連QOLを改善することが示された。
ウ 唾液免疫指標
唾液中IgAの測定結果は表8に示す通りであった。摂取6週目での対照食品群のIgA量が0週目と比較して統計学的に有意に低下(悪化)した(p=0.018)。一方、被験食品群のIgA量は有意な変化は認められなかった(p=0.927)。被験食品群での唾液中IgAの6週目における変化量の値は対照食品群と比較して有意に少ない変化量を示した(p=0.045)。この結果から、ホエイ分解物は唾液免疫指標を改善することが示された。
エ 腸内環境
年齢が高い被験者(年齢中央値以上)を対象とした短鎖脂肪酸量の測定結果は表9に示す通りであった。酢酸およびプロピオン酸について、摂取6週目での対照食品群の酢酸およびプロピオン酸量が0週目と比較して統計学的に有意に減少(悪化)した(それぞれp<0.001、p=0.045)。一方、被験食品群では統計学的に有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.964、p=0.392)。n-酪酸およびn-吉草酸について、摂取6週目での被験食品群のn-酪酸およびn-吉草酸量が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(それぞれp=0.024、p=0.031)。一方、対照食品群では有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.459、p=0.348)。被験食品群での酢酸(p=0.027)、プロピオン酸(p=0.028)、iso-酪酸(p=0.026)、n-吉草酸(p=0.045)およびiso-吉草酸(p=0.030)の6週目における変化量が対照食品群と比較して有意に増加(改善)した。また、被験食品群でのn-酪酸の6週目における変化量が対照食品群と比較して増加傾向を示した(p=0.094)。これらの結果から、年齢が高い被験者においてホエイ分解物は糞便中の短鎖脂肪酸量を増加することが示された。
(7)小括
これらの結果より、テトラペプチドGTWYまたはジペプチドWYを含有するホエイ分解物は長期的な不安感もしくは抑うつ感、主観的ストレスまたは意欲低下等の気分状態を改善すること、活力または精神的健康等の健康関連QOLを改善すること、IgAを指標とする免疫状態を改善すること、および糞便中の短鎖脂肪酸量を増加させ、腸内環境を改善することが示された。

Claims (12)

  1. GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善並びに/または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物。
  2. GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸管および/または口腔内免疫調節用組成物。
  3. ホエイタンパク質酵素分解物中のGTWYの含有量(固形分換算)が0.5~5mg/gである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. ホエイタンパク質酵素分解物中のWYの含有量(固形分換算)が0.05~2mg/gである、請求項1~3いずれか一項に記載の組成物。
  5. ホエイタンパク質酵素分解物をヒト1日当たり1~50000mg(固形分換算)で摂取させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善並びに/または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物。
  7. GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを有効成分として含んでなる、腸管および/または口腔内免疫調節用組成物。
  8. GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドをヒト1日当たり0.001~1000mg(固形分換算)で摂取させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. WYのアミノ酸配列からなるジペプチドをヒト1日当たり0.001~500mg(固形分換算)で摂取させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 食品組成物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 1食当たりの単位包装形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 中高年者に摂取させるための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
JP2022511150A 2020-04-03 2021-04-02 腸内または口腔内の環境改善用組成物 Active JP7724204B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020067855 2020-04-03
JP2020067855 2020-04-03
PCT/JP2021/014271 WO2021201263A1 (ja) 2020-04-03 2021-04-02 腸内または口腔内の環境改善用組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021201263A1 JPWO2021201263A1 (ja) 2021-10-07
JP7724204B2 true JP7724204B2 (ja) 2025-08-15

Family

ID=77928124

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022511150A Active JP7724204B2 (ja) 2020-04-03 2021-04-02 腸内または口腔内の環境改善用組成物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7724204B2 (ja)
WO (1) WO2021201263A1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101594785A (zh) 2006-12-20 2009-12-02 丹尼斯科有限公司 潜在免疫原性降低的乳蛋白水解产物
JP2011051914A (ja) 2009-08-31 2011-03-17 Obihiro Univ Of Agriculture & Veterinary Medicine 低温殺菌処理ホエータンパク濃縮物を含む腸管炎症抑制剤
JP2011144167A (ja) 2009-12-18 2011-07-28 Meiji Co Ltd 血糖値降下剤及び血糖値降下飲食品組成物
WO2017086303A1 (ja) 2015-11-16 2017-05-26 キリン株式会社 ペプチド組成物およびその製造方法
JP2020011908A (ja) 2018-07-13 2020-01-23 キリンホールディングス株式会社 注意機能および判断機能向上用組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101594785A (zh) 2006-12-20 2009-12-02 丹尼斯科有限公司 潜在免疫原性降低的乳蛋白水解产物
JP2011051914A (ja) 2009-08-31 2011-03-17 Obihiro Univ Of Agriculture & Veterinary Medicine 低温殺菌処理ホエータンパク濃縮物を含む腸管炎症抑制剤
JP2011144167A (ja) 2009-12-18 2011-07-28 Meiji Co Ltd 血糖値降下剤及び血糖値降下飲食品組成物
WO2017086303A1 (ja) 2015-11-16 2017-05-26 キリン株式会社 ペプチド組成物およびその製造方法
JP2020011908A (ja) 2018-07-13 2020-01-23 キリンホールディングス株式会社 注意機能および判断機能向上用組成物

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ALMAAS, Hilde et al.,Antibacterial peptides derived from caprine whey proteins, by digestion with human gastrointestinal,Br J Nutr,2011年,Vol.106,pp.896-905
KATO L. M. et al.,Immunology and Cell Biology,2014年,92,p.49-56
田村 吉隆、ほか1名,乳蛋白質ペプチドの特性と利用,月刊フードケミカル,1991年02月01日,Vol.7, No.2,pp.78-84

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2021201263A1 (ja) 2021-10-07
WO2021201263A1 (ja) 2021-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3158997A1 (en) Composition with high content of cyclic dipeptide
CN108137650A (zh) 肽组合物及其制造方法
CN111212575A (zh) 肌肉增量用组合物
JP2021031408A (ja) 糖代謝改善用組成物
JP7358239B2 (ja) エネルギー消費促進用組成物
WO2018012582A1 (ja) 血中アミノ酸濃度上昇促進剤
JP7724204B2 (ja) 腸内または口腔内の環境改善用組成物
AU2006335883B2 (en) Pharmaceutical composition, food or drink, or feed for intestinal disease
JP7511056B2 (ja) 脳血流を増加させるための組成物
JP2019031466A (ja) 血糖値上昇の抑制又は改善用組成物
JP2021164423A (ja) ラクノスピラ科細菌増殖用組成物
JP2004083526A (ja) 抗ウイルス組成物
WO2020013307A1 (ja) 濃縮発酵乳の製造方法
JP2009114111A (ja) カルシウム吸収促進剤
CN112040972A (zh) 用于降低血压和/或用于减少中性脂肪的组合物
JP7231313B2 (ja) 血圧を降下させるための組成物
JP7206623B2 (ja) 糖代謝異常の予防および改善用組成物
JP4395658B2 (ja) コレステロール再上昇抑制用組成物およびその用法
JP5087297B2 (ja) インターロイキン−11産生促進剤
WO2020013306A1 (ja) 注意機能および判断機能向上用組成物
JP7308329B1 (ja) Gabaを有効成分とするサルコペニア予防または改善剤
JP7300121B2 (ja) 抗糖化用組成物、及び抗糖化用組成物の製造方法
JP2020014452A (ja) 濃縮発酵乳の製造方法
JP2020058346A (ja) 認知機能改善用組成物
JP2005350452A (ja) IgE産生抑制作用を有する組成物およびIgE産生抑制方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240321

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20250318

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20250508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20250715

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20250722

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20250804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7724204

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150