JP7724204B2 - 腸内または口腔内の環境改善用組成物 - Google Patents
腸内または口腔内の環境改善用組成物Info
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Description
[1]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の環境改善用組成物、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善用組成物または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物、並びに腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤。
[2]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸管および/または口腔内免疫調節用組成物、並びに腸管および/または口腔内免疫調節剤。
[3]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、気分状態の改善促進用組成物、並びに気分状態の改善促進剤。
[4]ホエイタンパク質酵素分解物中のGTWYの含有量(固形分換算)が0.5~5mg/gである、上記[1]~[3]に記載の組成物および用剤。
[5]ホエイタンパク質酵素分解物中のWYの含有量(固形分換算)が0.05~2mg/gである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[6]ホエイタンパク質酵素分解物をヒト1日当たり1~50000mg(固形分換算)で摂取させる、上記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[7]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の環境改善用組成物、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善用組成物または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物、並びに腸内および/もしくは口腔内の環境改善剤、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善剤または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進剤。
[8]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含んでなる、腸管および/もしくは口腔内の免疫調節用組成物、並びに腸管および/もしくは口腔内の免疫調節剤。
[9]GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列を有するペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列を有するペプチドを有効成分として含んでなる、気分状態の改善促進用組成物、並びに気分状態の改善促進剤。
[10]GTWY(配列番号1)をヒト1日当たり0.001~1000mg(固形分換算)で摂取させる、上記[1]~[9]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[11]WYをヒト1日当たり0.001~500mg(固形分換算)で摂取させる、上記[1]~[10]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[12]食品組成物である、上記[1]~[11]に記載の組成物および用剤。
[13]1食当たりの単位包装形態である、上記[1]~[12]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[15]健常人に摂取させるための、上記[1]~[13]のいずれかに記載の組成物および用剤。
[16]中高年者に摂取させるための、上記[1]~[14]のいずれかに記載の組成物および用剤。
(1)怒り-敵意:怒りまたは他者への反感の状態
(2)混乱-当惑:当惑または認知効率の低さ
(3)抑うつ-落ち込み:自信喪失感を伴う抑うつ気分
(4)疲労-無気力:疲労感、無気力、および活力低下
(5)緊張-不安:筋骨格系の緊張の高まり
(6)活気-活力:元気さ、躍動感および活力の高さ
(7)友好:他者に対してポジティブな感情を感じていること
・腸内フローラを改善したい方に
・おなかの調子を整えたい方に
・便通を改善したい方に
・口内フローラを改善したい方に
・口臭を予防、改善したい方に
・口内のねばつきを改善したい方に
・いろいろなことが心配な方に
・やる気が落ちやすい方に
・意欲、モチベーションまたは気力の低下が気になる方に
・落ち込みやすい方に
・前向きでいたい方に
・抑うつ感を感じやすい方に
・ストレスを感じやすい方に
・不安を感じやすい方に
・いらいらすることが多い方に
例1では、動物モデルを使用してWYペプチドによる腸内環境改善の効果を評価した。
ア 実験手順
動物モデルとしてC57BL/6J雄性マウス(日本チャールス・リバー社、以下、単に「本マウス」ということがある)を使用した。日本チャールス・リバー社の資料によれば(https://www.crj.co.jp/cms/cmsrs/img/usr/top/B6-Aged.pdf)、本マウスはジャクソン研究所により開発され、加齢研究に広く使われているものであり、本マウス32匹を観察した結果、100週齢で死亡個体が発生し、170週齢までにすべての個体が死亡したことが公開されている(マウス・フェノーム・データベース(https://www.phenome.jax.org/)参照)。本マウスとヒトとの生涯の対応は、それぞれヒト20~30歳が本マウス3~6月齢(成熟個体)、ヒト38~47歳が本マウス10~14月齢(中年個体)、ヒト56~69歳が本マウス18~24月齢(老年個体)である。
短鎖脂肪酸量の定量は常法に従いガスクロマトグラフィー(GC)法にて行った。具体的には、サンプリングした試料100mgをビーズチューブに精秤し、9倍量の0.5%リン酸溶液を加えて混合後に85℃で15分の熱処理をした。試料を破砕後に冷却し、遠心(14000rpm、10分)後の上清を新しいチューブに移し等量の酢酸エチルを加えて混合し、再度遠心(14000rpm、10分)した。酢酸エチル層をバイアルに移し、内部標準物質(4-メチル吉草酸)を加えて測定試料とした。測定は分離・検出システムGC-FID(7890B、Agilent Technologies)を使用して表1の条件下で行い、濃度換算は標準品による絶対検量線法により行った。
シーケンシング
菌叢解析は、試料中に含まれる細菌について、次世代シーケンス・アンプリコン解析によって得られた検体由来の16SrDNA部分塩基配列を決定し、微生物同定データベースによる検索を行った。具体的には、サンプリングした試料について、Takahashiらの方法(PLoS One 2014;9:e105592.)により前処理、粗抽出操作を行い、DNA自動分離装置(GENE PREP STAR PI-480、倉敷紡績社)および組織DNA分離用試薬キット(NR-201、倉敷紡績社)を使用してDNAを精製した。DNA濃度および純度が適切であると確認し、PCR法にて16SrDNAを増幅させた後、その配列を決定した。PCRは34lf-R806およびDual-index(8-bp barcode)を使用し(Appl Environ Microbiol 1993;59:695-700、Proc Natl Acad Sci USA 2011;108 Suppl 1:4516-4522.)、前記Takahashiらの条件に従って行った。配列決定は次世代シーケンス・アンプリコン解析により行った。次世代シーケンスはMiSeq(Illumina)装置を使い、該装置に付属するプロトコルの条件にて、MiSeq Reagent Kit v3(600サイクル)(Illumina)を使用して行った。fastqペアエンドの連結はfastq―join(デフォルトの条件)、クオリティーフィルタリングは配列の99%以上がQuality Value20以上を満たす配列とした。
微生物同定データベースDB-BA13.0(TechnoSurugaLaboratory)およびMetagenome@KIN(World Fusion)ソフトウェアを使用し、相同率97%以上となる分類群(界~種)を抽出した(Appl Environ Microbiol 1993;59:695-700、Proc Natl Acad Sci USA 2011;108 Suppl 1:4516-4522.、Arch Microbiol 2015;197:19-934.、BMC Gastroenterol 2015;15:100.)。
配列を決定した16SrDNAの総数(総リード数)に対する特定の分類群に該当するリード数の割合(%)を求め、群ごとに平均値±標準誤差で記載した。群間の評価はT検定により行い、危険率P<0.05%であった場合に比較した両群間に有意差ありとした。
ア 短鎖脂肪酸の定量
酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、iso―酪酸、n-吉草酸、iso―吉草酸、n-カプロン酸の7物質を分析対象の短鎖脂肪酸としたが、n-カプロン酸はほとんどの検体で定量下限以下であったため評価対象外とした。図1に示す通り、WY摂取群(摂取期間:1.5ヶ月)は非摂取群と比較して酢酸および6種の短鎖脂肪酸合計量が有意に増加した。また、図2に示す通り、3ヵ月WY摂取群(摂取期間:3ヶ月)は、非摂取群と比較して酢酸、6種の短鎖脂肪酸合計量に加え、n-酪酸も有意に増加した。
図3に示す通り、WY摂取群(摂取期間:3ヶ月)は非摂取群と比較して総リード数に対するActinobacteria門の割合が有意に増加し、Firmicutes門の割合が有意に減少した。また、図4に示す通り、WY摂取群(摂取期間:3ヶ月)は非摂取群と比較して総リード数に対するBifidobacterium属の割合が有意に増加し、Clostridium属およびRomboutsia属の割合が有意に減少した。さらに、図5に示す通り、3ヵ月WY摂取群は非摂取群と比較して、総リード数に対するBifidbacterium pseudolongumの割合が有意に増加した。
これらの結果よりWYペプチドの投与は腸内菌叢を変化させ、短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
例2では、66週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用してWYペプチドによる腸内環境改善の効果を評価した。
66週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用し、試験飼料摂取期間を4.5ヶ月とした。WY摂取群12匹、非摂取群13匹にそれぞれ体重の偏りのないように分け、飼育中に自然死した個体を除き、WY摂取群9匹、非摂取群10匹について評価した。前記以外の条件や方法については、例1(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
図6に示す通り、WY摂取群は、非摂取群と比較して酢酸および6種の短鎖脂肪酸合計量が有意に増加し、n-酪酸も増加傾向を示した。ここで、マウスは試験飼料摂取開始時にヒト中年に、摂取終了時にはヒト老年に換算される。したがって、WYの摂取は中高年者においても短鎖脂肪酸量を増加させ、腸内環境を改善することが示された。
例3では、被験物質WYペプチドについて、被験物質摂取マウスおよび非摂取マウスの腸間膜リンパ節の免疫細胞を比較検討した。
ア 実験手順
C57BL/6J雄性マウスを馴化飼育した後、3月齢の個体を使用し、WY摂取群10匹、非摂取群10匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。WY摂取群にはWYペプチドを乾燥質量換算で0.05%(w/w)を含む精製飼料(AIN-93M、オリエンタル酵母社)を自由摂食させた。非摂取群にはWYペプチドを含まないAIN-93Mを自由摂食させた。3ヶ月の摂取期間終了後、腸間膜リンパ節を摘出した。摘出した腸間膜リンパ節をコラゲナーゼ4(ロシュ社)で処理を行い、70μmのセルストレーナーで濾過し、リンパ球を回収した。その後、回収したリンパ球について、下記イに記載の方法により解析を行った。なお、下記イにおいて、供給元を記載しない試薬はeBioscience社から入手した。
樹状細胞の解析
回収したリンパ球を常法に従いFITC-I-A/I-E、PE-PDL-1、PE-CD80、FITC-CD86、CD11b-APC-Cy7(BD Pharminge)、CD11c-PE-Cy7で染色し、フローサイトメーター(BD CANTO2)を用いて樹状細胞を解析した。
回収したリンパ球を常法に従いLeukocyte、Activation、Cocktail、with、BD、GolgiPlug(BD Pharminge)で4時間半処理し、Cell Fixation/Permeabilization Kitを用いてCD4-APC、TNF-α-FITC、IFN-γ-PE-Cy7抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。
回収したリンパ球を常法に従いFoxp3 staining kitを用いて、CD3e-PerCP、CD4-APC、CD25-APC-Cy7、Foxp3-PE-Cy7抗体で染色し、フローサイトメーターで解析した。
測定値は平均値±標準誤差で記載した。群間の評価はT検定で行い、危険率P<0.05%であった場合に比較した両群間に有意差ありとした。
図7に示す通り、WY摂取群は非摂取群と比較して、CD11b+CD11c+myeloid樹状細胞のI-A/I-E、CD86が有意に増加し、PDL-1、CD80も増加傾向を示した。また、CD3e+CD4+T細胞中のTNF-α陽性CD4+T細胞の割合に変化はなかったものの、IFN-γ陽性CD4+T細胞の割合が増加傾向を示した。このことから、免疫系が必要十分かつ適正に賦活化されたといえる。一方で、CD3e+CD4+T細胞中のCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞の割合が有意に増加したことから、免疫系の過剰な反応が抑制されたといえる。これらの結果よりWY摂取が腸管免疫を調節することが示された。
例4では、C57BL/6J雄性マウスを使用してGTWYペプチドによる腸内環境改善の効果を評価した。
62週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用し、試験飼料GTWYペプチド(Bachem社)の摂取期間は8.5ヶ月とした。GTWY摂取群8匹、非摂取群12匹をそれぞれ体重の偏りのないように分けた。前記以外の条件や方法については、例1(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
図8に示す通り、GTWY摂取群は、非摂取群と比較してプロピオン酸、n-酪酸およびn-吉草酸が有意に増加し、iso-酪酸も増加傾向を示した。これらの結果よりGTWYの投与は短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
例5では、Crl:CD1(ICR)雄性マウス(日本チャールスリバー社)を使用してホエイ分解物(雪印メグミルク社、HW-3)による腸内環境改善の効果を評価した。
Crl:CD1(ICR)雄性マウスを訓化飼育した後、6.5月齢の個体をホエイ分解物摂取群7匹、非摂取群10匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。摂食期間を3ヶ月として、ホエイ分解物摂取群には、ホエイ分解物を乾燥質量換算で5%(w/w)を含む精製飼料(AIN-93M、オリエンタル酵母社、タンパク質量を14%に調整)を自由摂食させた。非摂取群にはホエイ分解物を含まないAIN-93M(カゼイン量14%)を自由摂食させた。前記以外の条件や方法については、例1(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
ア 短鎖脂肪酸の定量
図9に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して酢酸、n-酪酸および6種の短鎖脂肪酸合計量が有意に増加し、プロピオン酸も増加傾向を示した。これらの結果よりホエイ分解物の投与は短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
図10に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して、総リード数に対するBacteroidetes門の割合が有意に減少し、Actinobacteria門の割合が有意ではないが増加した。また、図11に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して総リード数に対するBacteroides属の割合が有意に減少し、Romboutsia属の割合が有意ではないが減少し、Bifidobacterium属、Lactobacillus属の割合が有意ではないが増加した。さらに、図12に示す通り、ホエイ分解物摂取群は非摂取群と比較して、総リード数に対するClostridium scindensの割合が有意に減少し、Romboustia ilealisの割合が有意ではないが減少し、Bifidbacterium pseudolongumの割合が有意ではないが増加した。
これらの結果からホエイ分解物の投与は腸内菌叢を変化させ、短鎖脂肪酸量を増加させることが示された。
例6では、62週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用してホエイ分解物による腸内環境改善の効果を評価した。
62週齢のC57BL/6J雄性マウスを使用し、試験試料としてホエイ分解物を用い摂食期間を8.5ヶ月とした。ホエイ分解物摂取群15匹、非摂取群12匹にそれぞれ体重の偏りのないように分けた。前記以外の条件や方法については、例1(1)および例5(1)に記載した条件や方法と同様の方法により行った。
図13に示す通り、ホエイ分解物摂取群、非摂取群と比較してプロピオン酸、n-酪酸およびn-吉草酸が有意に増加し、iso-酪酸も増加傾向を示した。ここで、マウスは試験飼料摂取開始時にヒト中年に、摂取終了時にはヒト老年に換算される。したがって、ホエイ分解物の摂取は老年対象者(ヒト56~69歳)においても短鎖脂肪酸量を増加させ、腸内環境を改善することが示された。
(1)分析試料の調製
ホエイ分解物(HW-3、雪印メグミルク社)に滅菌水を加え適宜希釈・ろ過して測定試料とした。上記ホエイ分解物(HW-3)は、ホエイタンパク質にタンパク質分解酵素を含む酵素製剤を作用させ、次いで膜処理を行って未分解物を除去し、乾燥させて得られた製品であり、後述のようにテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYを含有するものである。
上記(1)で得られた測定試料中のテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYの濃度をLC-MS/MS法により下記の分析条件で定量した。なお、AQUA Peptide(Sigma Aldrich)を標準試料とする検量線法により測定試料のGTWY濃度、WY濃度を算出した。
質量分析装置:4000Q TRAP(エービー・サイエックス社)
HPLC装置:Agilent 1200 Series(アジレント・テクノロジー社)
カラム:TSK gel ODS-100V 3μm 2.0mm I.D.×150mm(東ソー社)
カラム温度:70℃
移動相A:0.1%ギ酸水溶液
移動相B:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液
グラジエント条件:表4に示すグラジエント条件を適用した。
試料注入量:2μL
イオン化法:ESI(正イオン検出モード)
カーテンガス:40psi
ネブライザーガス:50psi
乾燥ガス:80psi
乾燥ガス温度:600℃
コリジョンガス:窒素
イオン化電圧:5000V
設定質量数(m/z)/コリジョンエネルギー(eV):526.4→159.2/47、526.4→368.3/23
DP電圧(V):36
設定質量数(m/z)/コリジョンエネルギー(eV):368.2→351.1/19、368.2→159.2/33
DP電圧(V):51
ホエイ分解物(HW-3)1g中にテトラペプチドGTWYは1.62mg、ジペプチドWYは0.60mg、それぞれ含まれていることが確認された。
例8では、ヒトを対象とした臨床試験においてホエイ分解物(雪印メグミルク社、HW-3)による気分状態、健康関連QOL(Quality of Life)、唾液免疫指標および腸内環境改善効果を検証した。
本試験は、プラセボを対照としたランダム化二重盲検並行群間比較試験とした。試験期間は6週間とし、試験期間中は後述の試験食品または対象食品を摂取させた。具体的には、日常生活でいらいらを感じることが多い、もしくは不安を感じることが多い45歳以上64歳以下の健常な男女に試験食品として「ホエイ分解物含有タブレット」を、対照食品として「ホエイ分解物非含有タブレット」をそれぞれ摂取させて、ホエイ分解物の気分状態、健康関連QOL、唾液免疫指標および腸内環境に及ぼす効果を検証した。
事前検査において心理的な健康度が低く、医師から健常と判断された者を試験食品群(30名)と対照食品群(30名)に無作為に割付した。解析対象者は、試験食品群では28名(男性19名、女性9名)、対照食品群では28名(男性20名、女性8名)であり、解析対象者の年齢(平均値±標準偏差)は試験食品群では54.3±4.8歳、対照食品群では53.6±5.5歳であった。被験者には試験期間中は試験期間前と同様の生活を継続させた。
試験期間中(6週間)、試験食品群には6粒の試験食品を、対照食品群には6粒の対照食品を1日1回水またはぬるま湯とともに毎日摂取させた。
試験食品として、ホエイ分解物(HW-3、雪印メグミルク社)と、賦形剤および結合剤を混合して練り合わせた後、打錠することによりホエイ分解物含有タブレット(300mg/粒)を製造した。タブレット1粒中のホエイ分解物の含有量は168mgであった。対照食品は、ホエイ分解物に代えてマルトデキストリンを168mg配合したホエイ分解物非含有タブレットを用いた。
上記(ア)で調製したタブレット30粒(9g)を乳鉢でよくすりつぶし、滅菌水を用いて0.01または0.02%(w/v)溶液をそれぞれ調製した。溶液を遠心分離(15,000rpm、室温、3分)して得られた上清を限外ろ過し(0.2μmフィルター)、ろ液を0.1%(w/v)ギ酸含有20%アセトニトリルで5倍希釈して測定試料とした。測定試料中のテトラペプチドGTWYおよびジペプチドWYの量を、例7(2)に記載の分析方法を用いて測定した。
ホエイ分解物含有タブレット1粒(300mg)中に、テトラペプチドGTWYは0.27mg(0.090質量%)、ジペプチドWYは0.11mg(0.036質量%)それぞれ含まれることを確認した。ホエイ分解物非含有タブレット中のテトラペプチドGTWY、ジペプチドWYはいずれも検出限界以下であることを確認した。
ア 測定項目
測定項目は、以下の項目とした。
(i)気分状態
・状態-特性不安検査(本明細書において、「STAI」ということがある。)
・知覚ストレス尺度(本明細書において「PSS」ということがある。)
・やる気スコア
(ii)健康関連QOL
・SF-36v2日本語版アキュート版(本明細書において「SF-36」ということがある。)
(iii)唾液免疫指標
・唾液中免疫グロブリンA量(本明細書において、「IgA」ということがある。)
(iv)腸内環境
・糞便中短鎖脂肪酸量(酢酸、プロピオン酸、n-酪酸、iso-酪酸、n-吉草酸、iso-吉草酸、n-カプロン酸)
(i)気分状態
STAI、PSSおよびやる気スコアは試験食品摂取開始前(0週目)、試験食品摂取開始後6週目の被験者の来院時に各1回(合計2回)実施した。
(ii)健康関連QOL
SF-36は、試験食品摂取開始前(0週目)、試験食品摂取開始後2週目、4週目、6週目に被験者の自宅にて各1回(合計4回)実施した。
(iii)唾液免疫指標
唾液サンプルは試験食品摂取開始前(0週目)、試験食品摂取開始後6週目の被験者の来院時に各1回(合計2回)採取し、それぞれ摂取0週目、摂取6週目サンプルとした。採取後に遠心分離した上清を冷凍保管し、6週目サンプル回収後に0週目サンプルおよび6週目サンプルを同時に測定した。
(iv)腸内環境
糞便回収は、試験食品摂取開始予定日7日前から前日までに1回、試験食品摂取終了予定日7日前から前日までに1回(合計2回)採取し、それぞれ摂取0週目、摂取6週目サンプルとした。糞便サンプルは保冷状態で回収、冷凍保管を行い、6週目サンプル回収後に0週目サンプルおよび6週目サンプルを同時に測定した。
(i)気分状態
来院時において、被験者には、STAI、PSSおよびやる気スコアの質問紙に回答を記入させた。STAIは、不安について状態不安(回答時に感じている不安、短期的な不安)および特性不安(回答者の性格としての不安の感じやすさ、長期的な不安)にわけて評価する質問紙であり、状態不安項目である20項目および特性不安項目である20項目からなる質問紙である。点数が高いほど不安度が高いことを示す(参考文献:『精神・心理機能評価ハンドブック』、238-239頁、山内俊雄、鹿島晴雄ほか、中山書店)。PSSは、主観的なストレスを評価する質問紙であり、点数が高いほど主観的ストレスの感じ方が高いことを示す(参考文献:『知覚されたストレス尺度(Perceived Stress Scale)日本語版における信頼性と妥当性の検討』、健康心理学研究19 巻(2006)2号、鷲見克典)。やる気スコアはアパシー(意欲低下状態)を判定するために用いられる、14項目からなる質問紙である。点数が高いほど意欲低下状態であることを示す(参考文献:『精神・心理機能評価ハンドブック』、462-463頁)。
被検者に自宅でSF-36v2日本語版アキュート版に回答させた。SF-36は国際的に広く使われる健康関連QOLの評価方法であり、身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)および心の健康の8つの健康概念を測定するための36項目で構成されている。また、8つの下位尺度から日本語版の2つのコンポーネント・サマリースコア(身体的側面のQOL、精神的側面のQOL)を算出した。点数が高いほどQOLが高いことを示す(参考文献:『精神・心理機能評価ハンドブック』、205-206頁)。
被験者は来院後に水でうがいをし、15分間座位にて安静にした後、唾液の採取を行った。唾液採取はサリソフト(ザルスタット社)を用いて行った。サリソフト付属のスポンジを2~3分間口の中に含み、唾液をスポンジに染み込ませ、2~3分後にスポンジをサリソフトに戻した。得られたサリソフトを遠心分離(2,000rpm、室温、5分間)し、得られた唾液(約1g程度)をマイクロチューブに分注し、-80℃で凍結した。凍結サンプルは4℃、一晩で融解し測定に供した。唾液中IgAはSecretory Immunoglobulin A Salivary Immunoassay Kit(サリメトリックス社)を用いて、キット付属のプロトコルに従い定量した。
摂取0週目および摂取6週目の糞便サンプル中の短鎖脂肪酸の定量は、例1(1)に記載の分析方法と同様にガスクロマトグラフィーを用いて実施した。
ア 気分状態
STAI、PSSおよびやる気スコアは摂取0週目、摂取6週目それぞれの実測値を取得した後、摂取6週目での摂取0週目からの変化量を算出した。やる気スコアについては性別による層別解析を行い、女性を対象として評価を実施した。被験食品群および対照食品群において、各評価項目の摂取6週目の実測値および変化量をMann-WhitneyのU検定を用いて比較した。また、被験食品群および対照食品群それぞれにおいて摂取0週目および摂取6週目の実測値をWilcoxonの符号付順位和検定を用いて比較した。
被験食品群および対照食品群におけるSF-36について、摂取2週目、摂取4週目および摂取6週目における摂取0週目からの変化量を、2標本t検定を用いて、比較した。また、被験食品群および対照食品群において摂取2週目、摂取4週目および摂取6週目の実測値を、2標本t検定を用いて、比較した。また、各群それぞれにおいて摂取2週目、摂取4週目および摂取6週目の実測値と摂取0週目の実測値とを、1標本t検定を用いて比較した。
唾液中IgA量は、摂取0週目、摂取6週目それぞれの実測値を取得した後、摂取6週目での摂取0週目からの変化量を算出した。被験食品群および対照食品群において摂取6週目の実測値および変化量を、2標本t検定を用いて、評価した。また、被験食品群および対照食品群それぞれにおいて摂取0週目および摂取6週目の実測値を、1標本t検定を用いて、比較した。
短鎖脂肪酸の解析は、年齢が高い被験者(年齢の中央値である54.5歳以上)を対象とした層別解析により実施した。糞便中短鎖脂肪酸量は、摂取0週目、摂取6週目それぞれの実測値を取得した後、摂取6週目での摂取0週目からの変化量を算出した。被験食品群および対照食品群において摂取6週目の実測値および変化量を、2標本t検定を用いて、評価した。また、被験食品群および対照食品群それぞれにおいて摂取0週目および摂取6週目の実測値を、1標本t検定を用いて、比較した。短鎖脂肪酸のうちiso-酪酸、n-吉草酸、iso-吉草酸およびn-カプロン酸において、0週目または6週目のどちらかの時点で定量下限値0.3μmol/g未満の値を示した被験者については、該当項目を欠損値とした。
ア 気分状態
STAIの結果は表3に示される通りであった。STAIにおいて、被験食品群での特性不安の得点変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に低下(改善)した(p=0.046)。この結果から、ホエイ分解物は、特性不安(不安の感じやすさ、長期的な不安感)を改善することが示された。
SF-36の結果は表7に示す通りであった。「体の痛み」において、摂取6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(p=0.043)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(p=0.674)。また、被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して増加(改善)する傾向を示した(p=0.060)。「活力」において、摂取6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して有意に増加(改善)した(p=0.011)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(p=0.194)。また、被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(p=0.033)。「心の健康」において、摂取4週目および6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(それぞれp=0.030、p=0.019)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.461、p=0.998)。また、被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して増加(改善)する傾向を示した(p=0.079)。「精神的健康(サマリースコア)」において、摂取4週目および6週目での被験食品群の得点が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(それぞれp=0.045、p=0.013)。一方、対照食品群の得点は統計学的に有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.606、p=0.850)。被験食品群での6週目における変化量が対照食品群と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(p=0.039)。これらの結果から、ホエイ分解物は「体の痛み」、「活力」、「心の健康」および「精神的健康」等の健康関連QOLを改善することが示された。
唾液中IgAの測定結果は表8に示す通りであった。摂取6週目での対照食品群のIgA量が0週目と比較して統計学的に有意に低下(悪化)した(p=0.018)。一方、被験食品群のIgA量は有意な変化は認められなかった(p=0.927)。被験食品群での唾液中IgAの6週目における変化量の値は対照食品群と比較して有意に少ない変化量を示した(p=0.045)。この結果から、ホエイ分解物は唾液免疫指標を改善することが示された。
年齢が高い被験者(年齢中央値以上)を対象とした短鎖脂肪酸量の測定結果は表9に示す通りであった。酢酸およびプロピオン酸について、摂取6週目での対照食品群の酢酸およびプロピオン酸量が0週目と比較して統計学的に有意に減少(悪化)した(それぞれp<0.001、p=0.045)。一方、被験食品群では統計学的に有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.964、p=0.392)。n-酪酸およびn-吉草酸について、摂取6週目での被験食品群のn-酪酸およびn-吉草酸量が0週目と比較して統計学的に有意に増加(改善)した(それぞれp=0.024、p=0.031)。一方、対照食品群では有意な変化は認められなかった(それぞれp=0.459、p=0.348)。被験食品群での酢酸(p=0.027)、プロピオン酸(p=0.028)、iso-酪酸(p=0.026)、n-吉草酸(p=0.045)およびiso-吉草酸(p=0.030)の6週目における変化量が対照食品群と比較して有意に増加(改善)した。また、被験食品群でのn-酪酸の6週目における変化量が対照食品群と比較して増加傾向を示した(p=0.094)。これらの結果から、年齢が高い被験者においてホエイ分解物は糞便中の短鎖脂肪酸量を増加することが示された。
これらの結果より、テトラペプチドGTWYまたはジペプチドWYを含有するホエイ分解物は長期的な不安感もしくは抑うつ感、主観的ストレスまたは意欲低下等の気分状態を改善すること、活力または精神的健康等の健康関連QOLを改善すること、IgAを指標とする免疫状態を改善すること、および糞便中の短鎖脂肪酸量を増加させ、腸内環境を改善することが示された。
Claims (12)
- GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善並びに/または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物。
- GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを含有するホエイタンパク質酵素分解物を有効成分として含んでなる、腸管および/または口腔内免疫調節用組成物。
- ホエイタンパク質酵素分解物中のGTWYの含有量(固形分換算)が0.5~5mg/gである、請求項1または2に記載の組成物。
- ホエイタンパク質酵素分解物中のWYの含有量(固形分換算)が0.05~2mg/gである、請求項1~3いずれか一項に記載の組成物。
- ホエイタンパク質酵素分解物をヒト1日当たり1~50000mg(固形分換算)で摂取させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
- GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを有効成分として含んでなる、腸内および/もしくは口腔内の菌叢改善並びに/または腸内および/もしくは口腔内における短鎖脂肪酸産生促進用組成物。
- GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドおよび/またはWYのアミノ酸配列からなるジペプチドを有効成分として含んでなる、腸管および/または口腔内免疫調節用組成物。
- GTWY(配列番号1)のアミノ酸配列からなるテトラペプチドをヒト1日当たり0.001~1000mg(固形分換算)で摂取させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
- WYのアミノ酸配列からなるジペプチドをヒト1日当たり0.001~500mg(固形分換算)で摂取させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
- 食品組成物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
- 1食当たりの単位包装形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
- 中高年者に摂取させるための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
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| ALMAAS, Hilde et al.,Antibacterial peptides derived from caprine whey proteins, by digestion with human gastrointestinal,Br J Nutr,2011年,Vol.106,pp.896-905 |
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